フォックス・タイム
Mikhail Murami
前書き
序言
形のゆりかご
お月様おばあちゃん
フォックス・タイム
プリンセス
怖がり屋のウサギと猛火のキツネ
キツネの世界の岐路
キツネの少女
狐物語
秋の夕暮れのキツネ
フォックス・タイム
前書き
22世紀、科学者たちは生命が住むのに適した惑星を見つられた。地球の統一政府の会議では、動物を乗せた宇宙船を新しい惑星に送ることが決定された。この動物にはキツネが選ばれた。
序言
キツネは、動物園で生まれ、賢く、すくすく育った。人々の気持ちを感じ取ることが得意で、すぐに問題の解決策を見つけることにたけていた。科学者たちが獣の珍しい能力に気づき、キツネを宇宙機関に送った。
キツネは、何千ものスポットライトに照らされた巨大な宇宙船基地やパイロットの厳かな顔が目に悲しみを隠しているのを見てきた。彼女は夜空に宇宙ロケットが飛び立つのも見てきた。彼女自身は同じロケットで遠い星に向かって飛んでいった。
科学者の中誰も、宇宙旅行中にキツネが自己認識を持つようになるとは思っていなかった。今、遠い惑星では、キツネの文明が発達している。動物には知性があり、話したり夢を持ったりするができて、愛することさえできる。
最初のキツネが地球に到着してから新しい文明を築き始めた。暮らしが軌道に乗ると、ファーストフォックスは宇宙船に戻り、残りの日々を本の執筆に捧げた。今までの人生で見た物事をすべて紙に書き出していた。キツネはどんな事実も書き留め、知識の隙間を空想で埋めていた。
今、キツネ文明は技術の面で非常に限られている。電気や自動車はもちろんエネルギー自体は存在していない。彼らの世界は、地球の中世期のようである。
約年に一度、この惑星へ地球からスペースシャトルが飛んでくる。必要な食料雑貨類や簡単な機器、衣類などを届けてくれる。キツネ達には、その船が遠い故郷から来ているのがわかっている。
観察ドローンのおかげで、同本が手に取った。本を見つけて、全ページのコピーを作成して、地球に情報を送ってくれた。
我々には、読者の皆さんに読みやすいテキストに適応するのみ必要だった。キツネは一つの地球言語を使用しているが、我々は、より身近な言語であるロシア語に翻訳した。
この本は、親切でおとぎ話のような物語で溢れている。知性のある動物が書いたものだけあって、興味が全く生まれないのではないでしょうか。現在でも、キツネ文明が盛んに発達している。
初版の序言は、惑星間生物隊(IBC)の隊長ミハイル・ムラミ氏が編纂したものである。
形のゆりかご
初めは無だった。その後は私が現れた。その私は、無の流れの中に存在する小考だった。小考はゆっくりと成長し、形になった。やがて、私は無から離れ始めた。
形になった自身をすべて感じることを学んだ。思考で形を制御することができた。
突然、無が消えた。私の隣にゆりかごが現れた。すぐにそれを調べ始めた。体が動いていたが、周りの物には近づけることができなかった。なぜなら、体を貫くチューブに邪魔されていた。そこには流体が流れていた。揺りかごが激しく揺れ始めた。暗闇が来た。揺りかごが消えて、私も一緒に消えてしまうのではないかと怖かった。でも、ゆりかごは私を手放してくれた。
体内からチューブが出てきた。これで形を自由に動かせるようになった。そうやって体内学が生まれたのだ。
身体は思考とゆりかごの境目である。
ゆりかごにあるいろんな所へ行って、調べたりして、怖かった。遂に体の疲労を感じた。身体も消えてしまうかもしれないと心配になった。揺りかごは助けてくれた。そうやって食学が生まれたのだ。食べ物は体が無に戻るのも思考が消えるのも防ぐ。食べたものが体から排出されたとき、怖かった。しかし、すぐに落ち着いた。
食事をとる時と食べ物が排出される時の間は、私がサイクルと名付けた。それでサイクル学が生まれたのだ。睡眠もサイクルだ。寝ている間は、体の感覚がない。
サイクルの30周後には、言葉を思い考えた。「ゆりかご」は最初に作った単語だった。その後、他にいろいろな言葉を作り上げた。
しばらく経つと、私の体の中には新しい形がいくつか出来た。その形が体から分離してた時はとても痛かったが、揺り籠が無に戻ることを許さなかった。新しい体は私とそっくりだった。そうやって子供学が生まれたのだ。子供は5匹いた。30周のサイクル後、子供たちは皆、ゆりかごを走っていた。
また30周のサイクルが経ったら、子供たちに言葉を教えた。そうやって言語学が生まれた。
何度もサイクルが繰り返して過ぎた。他にも子供をたくさん産んだ。今度は、私の子供たちが自分の子供を産んでいた。
しばらくしたら、揺り籠は私たちを外へ出してくれた。揺り籠の外で住み着いた。そうやって家庭学が生まれたのだ。子供たちはみんな家を出たが、私は残った。体が弱くなり、動けなくなってしまった。
たまに子供たちと孫が会いに来てくれた。誰かが助言を求め、誰かが助けを求めた。話をするのに疲れて、自分の考えを紙に書くことを学んだ。こうして文字学が生まれたのだ。
私はゆっくりと無に戻り始めた。そうやって生命学が生まれたのだ。
母は本を閉じて、娘はしっかり寝ていた。寝巻きの電源を切って外に出た。街の中心部にはゆりかごが立っていて、夜空には星が輝いていた。
最初の母が永遠に寝たとき、ゆりかごが礼拝の場になった。多くの科学者が、ゆりかごの中に書かれた文字を解明しようとした。
そこに人が立っていれば、こう読んだ。
「スカウト級の宇宙船
行き先:惑星フォックス1
ミッション:植民地化
生き物:キツネ
個体数:1匹」
宇宙船が惑星フォックス1に着陸した後、ロケットは宇宙船から分離し、地球に戻った。1年後、目的地に到着した。そのとき、ロケットには飛行中に搭載されたコンピュータのデータが見つかった。
地球科学者はデータを解読したときに驚いた。キツネは未知の方法で第三の信号システムを発動させた。つまり、人間のように意識の高い生き物になったということだ。
お月様おばあちゃん
カサカサと葉擦れの音がし、星が輝き、夜の花が咲いた。平野に飛び込んだ子狐たちが夜の踊りを始め、その踊りは魔法のようで不思議いっぱいだった。
「元気な狐たちね」と雲君達へ向かってお月様が囁いて、優しい目で踊りを見続けた。
「舞い上がってるね」と雲君達が答えた。
「まだ、まだ子供だね」とお月様が笑った。
ふわふわした尻尾が野原で火花のように輝いていた。笑い声が響いていて、子供たちは楽しんでいた。雑木林の中で誰かがフルートを吹き始めたら、そのメロディーが夜の森の中へ広がっていった。
「しかも毎日だよ」とフクロウさんが愚痴を始めた。「彼らのせいでネズミの音はまったく聞こえない。ネズミ達はおとぎ話を語ってくれるのに、奴らは長老を尊重しようもしない。親はいったいどこを見ているのか?」
ハリネズミ君は子狐達にリンゴを渡してこう言った。
「食べて強くなぁれ!静かに、静かにしてね」
やっと子狐達は静かになり、ハリネズミ君はキノコを探し始めた。フルートの曲がミステリーっぽくなると、ネズミ達がおとぎ話の読み会を開始した。
***
両親は静かな池のほとりに座り、流星を眺めていた。
「願い事は間に合った?」とキツネ母さんが微笑んだ。
「全然」とキツネ父さんは急がずに答えた。「水鏡に映ったきみの姿を見てた。」
「ほら、もう一個!早く見て!どう、間に合った?何を願ったの?」
キツネ母さんは耳を立てて興味津々だった。
「俺たちの子供たちが強く賢く育ってくれることを願った。」
キツネ母さんが頷くと、水鏡に映る父さんの姿を見始めた。
「きみは?何を願っている?」空の鏡に映るキツネ母さんの姿を見ながら、キツネ父さんは尋ねた。
「何も願っていない。もうすべてを持っている。私はただ、私たちの小さな世界を守りたいだけなの。」
「なるほど。そろそろ帰ろうか、俺のレッドテールちゃん?」
子狐はまた遊び始め、フクロウさんが不満を呟き、フルートの陽気な曲が流れた。雑木林の中から狐の顔は二つ現れた。大人の狐は、子狐が踊っているのを見ていた。その時、ハリネズミ君は、大きなベニタケの下で居眠りをしていた。
「可愛いね」とキツネ母さんは可愛がっていた。
「そろそろ寝る時間じゃない?」
「少し待って頂戴、マイ・ダーリン、もうちょっと遊ばせてあげよう。夜はとても短い、それに魔法がいっぱい。」
***
フクロウ君は下の枝に飛び移り、ネズミ達のおとぎ話を聞き続けた。
「大きなオークの木の下で宝物がある。あなたのものになった宝箱を開けてみて頂戴。ただし、助けは求めてはいけない。」
「どうして?」フクロウ君が聞いた。
「呪文、魔術や狡猾さなどはあるけれど、それが望むのなら王国で嘆いてはいけない。」
「分からない」フクロウ君が落ち葉の上へ飛んだ。
「金持ちの王様になるけれど、不老不死を見つけて、呪われた王国で永遠にいることになるんだよ。」
「なんて恐ろしいおとぎ話」とフクロウ君が驚いて言った。
「連れて行け! 彼を連れて行け、しかし極悪のことを忘れてはいけない」と、地下の巣窟で何百匹ものネズミの合唱がささやいた。
***
「子狐ちゃん、もう寝る時間だよ」
元気な笑い声は森の奥深くに消え、フルートのメロディーは朝へ向けて溶けていった。フクロウ君はオークのくぼみの中に入ったが、「彼を連れて行け!連れて行け!」はずっと頭の中に響いてしばらく眠れなかった。
ハリネズミ君はベニタケにお別れの挨拶して家へ急いだ。ネズミ達は静かになった。優しいお月婆様は、森が眠りに入ったのを確かめると、曇り空に隠れた。
「おはようございます」とお日様が言うと、大都会の人々は新しい日を迎えた。
フォックス・タイム
「ちょっとみてほら、偉そうにしてる。恥も知らず」
「一言で言えば、怠け者だ。一日中歩き回って、夜は本を見ている。」
「年上への敬意がまったくない。もういい年の我々にはナッツを食べる時間をくれない。」
「さて、森中へそのニュースを広めようっと」
「付き纏おう、付き纏おう。」
***
夕暮れだった。 カササギはみんな飛んで行った。静かになった。クマの兄弟とふさふさのオオカミとバックビークが森の草原に集まってきた。 半分獣半分鳥の生き物は、提灯を持っていた。ガラス窓の向こうでは、一本のロウソクが燃えていた。蝋は、草の上に落ちていて、小さなピラミッドの形で積もっていた。ろうそくは光も熱も与えないけれど、居心地の良い素晴らしい雰囲気になっていた。物事を多く知ったオークの木の間から月が見えた。満月ではっきりと光っていて明るかった。その光は、黄昏時の森の夜行性の生き物に与えていた。お月様は、白髪だらけのフクロウさんが書いた分厚い本のページ照らしてあげていた。噂によると、ネズミ達がフクロウさんにおどき話をした。彼が宝物を見つけて金持ちになったそうだ。まあまあ、色んな噂をしている。だが、それを素直に信じるのは馬鹿馬鹿しいことだ。
くまさんの長男は、小さな声で本を読んでいた。彼が森の住人達が深い夢を見ているところも、夜の魔力も壊すことを恐れていた。抱き合うことでしか、友人たちは忘れ去られた過去の古いおとぎ話を聞くことが出来なかった。
「妖精王国で妖精奇跡の中で、兄と妹が暮らしていた。 二人は、二本足で歩き、二本の腕を持っていたが、心臓は一つしかなかった。 兄は難攻不落の山頂の氷のような冷たい心だった。姉の心は、不可侵の南の砂漠の砂のように熱かった。
毎日、毎時間、兄は武器を上手に扱うように必死に頑張っていた。攻撃と防御、リバウンドとピロエット、敏捷性と狡猾さの練習をし続けていた。一人ぼっちの彼は、優しい妹だけが愛してくれていた。彼女は、老人や子供、病人や盲人、貧乏人や金持ちに手助けしていた。少女は人々に自分の心の火花を散らし、心は日々に燃え尽くしていた。」
小熊君が仲間を見たら、ふさふさした狼は驚きの表情で口を開き、弟は目を丸くし、バックビークは提灯を持ちながらじっとしていた。みんなは、真剣にお話を聞いていた。
「ミーシャ、続けて」と狼は尋ねた。
「兄が15歳になると王子の従者になった。補佐王子は剣の持ち方を自慢していたが、兄の方はとっくの昔に戦法の師匠を凌駕していた。彼の妹も城に住んでいた。 朝夕の集いでお姫様のお手伝いをしていた。
日々が過ぎ去ると、年月も過ぎ去った。渡り鳥も南へ飛び去った。
兄は偉大な戦士となった。その傲慢さで、彼は王子を凌駕した。
狡猾だが賢明な王子が下僕を放り出した。別れの際、王子が兄に鋭い言葉を言い投げた。
「友達だったのに、きみの心が石になってしまった。 私を放っておいて、自分の道を進んで行け。」
姉の方は、心がやがて燃え尽くして、優しさが灰になった。彼女の体は、秋の森の樹冠の中の腐った木のように、老けてポッチャリとしたものになっていた。
お姫様は少女を放り出してこう言った。
「生き生きを失ったあなたは、そろそろ休んだ方がいいよ。」
「でも、まだ二十歳ですが、」と妹は祈った。
「見てご覧、きみの心も体も弱まってきた。全ての熱を手放し、きみの人生はもう砂の中の灰に過ぎない。 出て行って、二度と戻ってこないで。」
妹は頭を下げて、町はずれの小さな家に戻った。」
「キツネ、まだかなぁ」と弟が聞いてきた。
「キツネの時間」とバックビークが囁いた。「キツネの時間だよ」。
"戦士の心が石になり、少女の心が燃え尽きるとキツネが現れた"と小熊が読み続けた。
「キツネ、キツネだ」とみんなが歓喜した。
「キツネが赤ちゃんを助けたと聞いた」とバックビークが言い加えて、本の方に傾いた。ワシミミズク属の舌で書かれた黒文字に蝋の数滴が落ちてきた。
「続きを読んでもいい?」と上の小熊が緊張して聞いた。
「いいよ、ミーシャ」とオオカミが優しく頼んだ。
"キツネは少女の前に現れてこう言った。
「自分の心の火種をすべて人に与えてしまったあなたは今、夜の闇の中をさまよっています。私からの贈り物、炎の光のアーティファクトを受け取って頂戴」。
妹は、素晴らしい美しさと大きな力、そして再び人々を助けたいという願望を見つけた。"
石になった心は重くて、戦士は途中でしばしば休憩を取らなければならなかった。
「で、石心はどうですか? 」とキツネが尋ねた。
「お願い、森の主人、助けてください。」と戦士は祈った。
「助けてあげますとも。ただし、条件は一つあります。」
「何でもいいから」と弟は呻いた。
「鎌を手に持って、力があり限り畑で麦を育て、小麦粉を挽いてパンを焼く。そして貧しくて弱い者にパンを与える。」
兄は剣を抜いて、思いっきり岩にぶつけた。過去を詰め込んだ断片が飛び去り、その手には黒い鋼の鎌が現れた。胸の中の石が割れ、心臓が再び元通りのリズムで鼓動し始めた。
すぐに兄と妹が出会い、平和と調和と優しさとともに一緒に暮らした。
蝋が色とりどりのグラスから溢れ、蝋燭が燃え尽いた。バックビークはランタンを地面において、こう言った:「キツネを呼ばないか。」バックビークはランタンを地面において、こう言った:「キツネを呼ばないか。」
「キツネを呼ばないか。」
「できるの?」と毛皮で覆われたオオカミは驚いて尋ねた。
小熊達がとても眠かったが、友人の提案に誘惑されて、何とか目を覚まそうとした。その間、バックビークは翼から小さな羽を取り、ろうそくで火を付けた。羽がグルグル回転して赤い尾の姿で光るとキツネが現れた。その少女はあくびをしながら目を瞬いて、寒さから震えていた。
「寝ているところをお邪魔してすみません。」とフワフワのオオカミは頭を下げた。
小熊達は静かだった。バックビークは嘴を開いていた。
「今更謝っても。」と少女は答えた。「もう起こされて暖かい布団から引き出されてしまった。」
皆は少女を神のようにじっと見てたが、スレンダーな二本足の少女は目を大きく開いて世界を眺めていた。彼女の髪は赤く、肌は日焼けしていた。
「申し訳ございません」とバックビークは続けた。「私たちがふざけたことがこのような結果に及ばすとは思ってもいませんでした。」
少女は笑った。
「ふさふさ君、くまさん、バックビーク、もう謝るのやめよう。」家に帰りたいので、早く願い事をしてください。
それを聞いて、小熊は話した。
「童話を読むのは大好きなのに、カササギは邪魔している。」
少女は納得して頷き、光る小石のビーズで出来ている首輪を外して手を振った。 ビーズからの火花が野原中に散りばめられた。
「カササギはもう迷惑をかけない。ページをめぐるさわやかな音をお楽しみください。 さて、私は行かなくては。 バックビーク君、ちょっとしたお願いがあるんだけど。」
半分獣半分鳥のバークビックは、自分の翼から羽を一本引き抜いてロウソクで火をつけた。 羽根は緋色の尻尾で閃いた。
「ポータル開始が完了。」とバークビックが言って頭を下げた。
少女は獣を抱きしめた後、ポータルの中へと消えていった。
兄弟は巣穴へ行ったが、ふさふさのオオカミは木の葉に潜り込んだ。バークビックは翼を広げて、黄昏の森の上を飛んでいった。くちばしの中には、小さなガラスの懐中電灯を持っていた。
***
「お姉ちゃん、見て、ピカピカ」
「ええ、私も見つけたよ」とお姉さんは言った。
「あ、もう一つ」
「あ、見える!」
「じゃ、どっちが多く集めるかな」
「いいよ」
プリンセス
5歳ぐらいの女の子が冬の森を走っていた。彼女は手に魔法の杖を持ち、肩には王道のローブがかかっていた。 倒れた木を巧みに飛び越え、凍った水たまりの上を滑空し、魔法でアナグマと永遠に不満を持つオオカミを追い払っていた。
小さな魔法使いは杖を振り回し、子狐達と一緒に踊っていた。キツネ母さんは子供たちが遊んでいるところを見て、「優しいプリンセス、王国では、優しさが何よりも優先だわ」と言っていた。少女は笑い、子狐達は楽しそうに歌を歌っていた。
突然プリンセスは小枝の上にウソが何匹か座っているところを見た。
「鳥さん、元気ですか?」と少女は尋ねた。
「姫様、お会いできて光栄です。私たちは元気で赤ちゃんが生まれるのを待っています」とウソ鳥は答えた。
少女は杖を振った。そうした途端、木の中に鳥の巣箱ができた。
「お姫様、お優しいですね」とウソ鳥のお母さんが言って感謝した。
続いて少女は森の中をさら遠くへ走った。目の前には、巨大な雪たまりが見えた。
「前は確かにここにはなかったよ」と魔術師は思った。
姫は杖を振ったら、見知らぬ鳥の顔が見えてきた。杖をもう一度振ると、雪白の翼が出来た。少女は少し離れて、三回目振った。鳥は羽を広げて目を開いた。
「知らない顔だね。あなたは誰?」と少女は尋ねた。
「私はフクロウです。遠く北の方には私の家族が住んでいます。古来より愛嬌を振りまいて魔術をしてきました。」
「私の名前はプリンセスです」と少女は言った。「私はこの森で遊び、すべての獣は私のことを知っています。」
「私もあなたのことを知っていますよ」とフクロウは言った。「夢の中で、あなたが成長し、力を得て、魔法を学ぶのを見てきましたよ。」
フクロウは立ち上がった。鳥が横たわっていた場所では、緑の草が生えていて、花が咲いていた。
「うあぁ」と、少女は驚いていた。
フクロウが翼を振り、一帯が花畑と化した。
「素晴らしい呪文だ」と少女は叫んだ。
フクロウが尋ねた。
「お嬢様、人生を魔法に捧げたいのですか?」
少女は素直に答えた。
「フクロウさん、あなたの呪文は、私の魔法とは比較にならないほど素晴らしいものです。フクロウさんの力は偉大だと信じています。しかし、私は魔法には人生を捧げたくないです。私はプリンセスです!大人になったら国を治める予定です。私にとっては、国民の未来が最優先です。」
「お嬢さん、素朴さと開放感にびっくりした。人生の中で厳しい選択をしなければならない時がある。その際は、正しいことをしたかどうかもわからない。しかし、自分の力を信じれば、将来は成功するでしょう。」
フクロウが羽を広げて空へ向かって飛んでいった。
「君は最高の女王になるよ」と鳥は別れに叫んだ。
森の獣たちは喜び、踊った。
「親切な友」と小さな魔法使いは言った。「私は皆と力を合わせて平和と合意の上で統治しますよ。」
怖がり屋のウサギと猛火のキツネ
「呪文なんかないよ」と魔女は私に向かって狡猾にウィンクをしながら言った。
「自分の目で見たんだ。火の上には釜で、釜の中には色んな根っこが入っていて、火の炎こらはウサギやキツネが飛び出して、生い茂った草むらへ消えていった。」
「まあ、よしとしよう」と魔女は焦って言った。「あなたの魅力が効いたとしても、とても弱かった。ウサギはキツネから逃げるもんで、自然の法則」
「お前は魔術師だ、魔女だ」と、私はもう我慢できずカッとした。
「で、どうする?世間に言うのか?」
私は否定的に首を振った。魔女は納得して頷いた。夜は静かで、星空がよく見えていた。森の草原には明るい月が輝いていた。魔女が魔法薬を煮出していて、苔むした天蓋の上に寝転がっていた私が彼女をじっと見ていた。若くて綺麗で、おでこが大きくて鼻が小さい。時には彼女は自分が考えに微笑んだら、周りがさらに明るくなることもあった。軽やかな風が、保護された森で集められたハーブのほろ苦い香りを漂わせながら、グラードを駆け抜けていた。
***
「眠ってしまったのか」と魔女は笑った。
「ちょっと居眠りしただけ」と私は起きた。
「では、花婿さん、モテモテ薬の準備ができたよ。誰を誘うつもりなんだ?」
「或る女の子だよ」と寂しく答えた。「どうやら、魔女、私は恋に落ちたようだが、家族は理解してくれないだろう。その選択を認めてくれないだろう。」
「可哀想に。じゃ、魔法薬でみんなの頭をいじりたいんだね。強力な薬で一生効き目が残るので気をつけなさいね。」
琥珀色の巨大な月が木々の隙間から見いていた。野原では猛火のキツネ達が怖がり屋のウサギ達を追いかけていた。魔女は棒で燃え盛る炭をかき回しながら、退屈そうにしていた。私は魔法薬を飲み、愛する女の子を思い出していた。月の光の中で彼女の顔は特により一層美しかった。[...]
魔女は部屋中を走り回り、箪笥の中から草や根っこを取り出していた。
「おい、リテラシー君、起きなさい。いったい何をしているんだ!幽霊なんかに連れ去ればいいのに!今後一生付き合うことになってしまったよ。魔法薬を沸かして愛する女性にモテるようにしたのに、あなたはあんなことをしやがるんなんて。全てを忘れてしまうほど強い魔法薬を作っておくから、覚悟しなさい。」
「お粥の方がいいんじゃない?」
「あ、そう?しゃ、イラクサとエルダーベリーで作ってあげるからね!」
しばらく経つと、魔女は落ち着いて、私の隣にベッドに座り、私の目をじっと見つめて言った。
「さて、どうしよう?」
「生きるんだよ」と私が答えた。
***
金色の月が星空を転がっていた。呪術師は、大きな鍋に入った香ばしい器で魔術をかけていた。焚き火の周り、森の端では、一人の少女が走っていた。
「お母さん、お母さん、見て!お花を見つけたよ!」と声が鳴り響いた。
「よくやったわ」と魔女は笑った。「じゃ、今からこの美しい花をスープに加えて、パパはロバの耳が生えてくるよ。」
私が微笑むと、臆病なウサギが私の膝の上に飛び乗ってきた。草むらのどこかで、ずる賢い猛火の狐が鼻を鳴らしていた。私たちの小さな世界は、平和と優しさと喜びに満ちていた。
キツネの世界の岐路
屋根裏部屋は全体本で埋め尽くされていた。いつからここでホコリをかぶっているのだろうか?
そのうちの一冊は、個人的な日記や回顧録のようなものだった。気になって読み始めた。
***
アカシアの雑木林の中には、ガラスとコンクリートでできた2階建ての邸宅が立っていた。その家は長い間空家だったが、その後、国の所有物になった。その間、前の所有者の痕跡はまったくなくなった。本だけだけど、もう知ってるだろ。
町のはずれにある古い家の話は、友人にから聞いた。彼は、弁護士として働き、国有財産を査定していた。それで屋根裏部屋に本がたくさんある家のことを知った。
動物の本は殆どだった。特に気に入ったものが一冊あった。それは、異次元に住むキツネについての本だった。
アンディに住んでいるキツネは目がないのだ。望むものは何でも、自分の頭の中で想像するとすぐに現実になることで手に入れるようにしている。
イトとは、もう一つの次元だ。ここに住んでいるのは、魚キツネのだ。普通のキツネのように地面を歩くのだが、羊毛が水につくとすぐに魚に変わってしまう。足の代わりに、すぐにヒレが生えてくる。
イェニとは、腕のいいキツネの次元だ。個々のキツネは、バック作りがとても上手のだ。バックのみ!バックがきれいほど、キツネの地位が高いのだ。普段バックは革製だが、竹から作られたものもある。
アティとは、心細いキツネの世界である。そうだ!アティに住んでいるキツネはいつも泣いている。ここではいつも雨が降っていて、キツネは常に濡れている。何も食べないし、寝てもいないのだ。アティのキツネは、可哀想だと思った。
トギのキツネは逆、既に何かを食べている。彼らの次元は、食用物質から成っている。想像してみてください。もし、皆さんのベッドやテーブルがチョコから出来ていれば?おそらく、早かれ遅かれ食べてしまうだろう。そうでしょう?
ロとリのキツネは一番忙しいのだ。彼らは、他の次元を飛び越えて、地元のキツネに変身することができる。アティで泣いたり唸ったりすることが飽きたら、トギへ何かを食べに飛んで行ってしまうということだ。
ロティに住んでいるキツネはキツネの新次元を創造することができる。ボディのロティとも呼ばれている。しかし、破壊力の影響を受けているため、無限に新しい世界を創造することはでないのだ。
次はオルティだ。ここに住んでいるキツネは、みんな陰険のだ。ロティの世界を破壊している。そして、彼らは台無しにするオルティとも呼ばれている。
真夜中の12時過ぎたが、屋根裏部屋で座って本を読んでいる。
「自分が何次元に住んでいるんだろう?それとも全部フィクションなのか?」
その時に全てに気付いたんだ。古民家の屋根裏部屋は、狐の世界の交差点だと。そして、本を読む人は、その十字路の持ち主だ。
今、異次元のキツネ達が私を見ていた、私は彼らを見ていた。キツネ達は私が主人だと認めてくれた。100年ほどかかったが。
残りの500年間は、日常生活を送っていた。愚痴を言いに来たり、要求しに来たり、脅しに来たり、泣いたり笑ったりしていた。キツネ達の目には人間の感情が全て写って見えていた。五百年間が経ったら、私は姿を消し、家はまた空っぽになってしまった。
でも、今の私は何者なんだろう?時の流れの中でたった一つの考えだけかも?
体は存在していないけど、自分の中にはケル狐がいる。一分間も話が止まらないキツネ達のだ。
「そうか、私はケル次元になってしまったんだ」と気づいた。
その後、思い出の日記にマルをつけて、果てしないキツネのおしゃべりを聴くことにした。
***
前のオーナーの過去の日記を読んでみた。
なぜこの家を買ったのか?
最初の百年間は、ただそれを考えていただけだったが、その後は、狐の次元への扉が開いた。
キツネの少女
風に乗って国旗がひらひらと揺れていた。少女は城の屋根の上に座っていた。彼女は太陽の光線で紺碧の山々が照らされている遠い場所を見ていた。彼女は気持ちよさそうに目を細めて、そっと飛び降りた。飛行時間が短く、変身が早かった。四つ足で着地し、顔を引き上げて言った。
「では、退屈するなよ、わが家。森まで走ったらすぐに帰る。
一秒が立つと、赤い尾っぽはもう橋の上で点滅していた。走っている最中、フォクシーは面白い歌を歌っていた、韻も間もない、ただ楽しんでいた。
「ピョンピョン、ジャンプ、川を渡って東へ。誰かのそばだと、寂しさが飛んでいけ。」
少女は一瞬振り返った。「なんでお城に住んでないんだろう?姫の両親は優しいし。」
キツネの少女は、門のアーチを飛び越え、青々とした草原を駆け抜けた。
キラキラと輪舞になって盛り上がっていた。
「楽しい友達と一緒に楽しく暮らしているよ。
お姫様の友達。狼の子は村の少年。彼の父は宮廷で花婿をしているんだよ。フクロウちゃんはお茶目な女の子。彼女の両親は、開花海の海岸にある大規模な土地を所有しているんだよ。キツネの少年は紺碧の山々の王の息子だ。」
「今どこにいるの、キツネの少年?」と少女は考えた。
彼は恋をして、彼女は恋をしている...。
太陽が休む場所、
彼のエメラルドグリーンの玉座はある。
素直で強大な手で支配していて、
鳥が飛びかのように彼の人生は流れていく。
狐物語
「キツネ男はキツネ釜を持っていなきゃダメ。まあ、本物のキツネなら?」
「もちろん、本物だよ」
「じゃあ、キツネ釜を持っていますか?」
「もちろんあるよ!」
「持ってきましたか?」
「信じないのか?」
「信頼するとともに確認すべしと言われている。」
「きつね釜がなくても、案内してもらえる?明日は持ってくる。」
「キツネの良識のお見本のようだな。どうぞ。」
私は、廊下を歩いて隣のドアを覗き込んだ。
「こんにちは。採用していますか?」
ずる賢そうなキツネが私を見て答えた。
「ここでは採用していますよ。キツネ釜はお持ちですか?」
「キツネ釜なしでも案内してもらいました。
「許されたなら質問はなし。どんな仕事をしたいですか?」
「幼稚園でキツネを保育士の仕事をしたいと思っています。」
「子供が好きですか?」
私はうなずいた。
「わかりました」とキツネが言った。「試雇用で雇います。明日の9時に来てください。案内したり、教えたりして、子供たちを紹介します。」
もう帰ろうとしたとき、ずる賢そうなキツネに止められた。
「ちょっと待って。学問は?」
「キツネの高等教育のです。」
キツネは広い笑顔になった。
家に帰ったら、コンロの上にキツネやかんを置いて、本を読み始めた。やかんはすぐに唸り始め、森のハーブを入れた。部屋中は、ラズベリーやチェリー、カシスやセントジョンズワート、ミントやタイムの香りで満たされていた。やんちゃな動物のような香りが部屋中に渦巻いていた。部屋の隅々まで浸透し、鼻を優しくくすぐり、ふさふさの背中を撫でた。私は、思わず微笑んだ。耳の後ろが気持ちよくピリピリしていて、あとは飲み物を近くに持ってくるところだが。
いきなりドアノックの音がした。仕方なく、ドアを開けた。なんと、玄関先でずる賢そうなキツネが立っていた。
「お邪魔して申し訳ありませんが、キツネ釜をお見せしなければなりません。」
「落ち着きのないやつだなぁ」と私が思った。
彼が慌てて台所に入り、匂いを嗅いで言った。
「香りは高貴ですね。」
「どうぞ」と私が誘った。
お茶は居心地の良い雰囲気を醸し出し、時間はゆっくりと過ぎていき、狐はそれほど狡猾ではなかった。
「では、子どもたちとの仕事をしたいということですね。」と彼は尋ねた。
「はい」と私が頷いた。
「ちなみに、お子さんはいますか?」
「まだです。なかなかキツネ女が見つからなくて、」
「どうして?」
「分かって下さるかなぁ。私は生まれつき夢想家なんですよ。夜の池の涼しさ、水中の星の反射を一度想像してみてください。浜辺では、私と彼女」
「まあまあ、確かにそんな夢を見てばっかりだと、嫁を見つけるのは難しいですね。」とキツネが笑った。
「ということで、まだ独身です。」
「あ、考えが一つあります。」とキツネが言った。「この間、一緒に仕事をしに来てくれた素敵な方がいらっしゃいましたよ。彼女は自分のことを作家でキツネ画家と呼んでいました。尻尾がふわふわしている可愛い女の子ですよ。」
「で、何の仕事に雇われましたか?」
「図書館です。」
「いいですね。私のもっとも好きな場所ですよ。そこは、私の狐の魂が宿っている場所です。」
「ならいいですね。」とずる賢そうなキツネが喜んだ。
***
「見てほら、私たちの可愛い子キツネちゃんたち」とずる賢そうなキツネが言ってドアを開けた。
私は片目で隙間を覗き、反跳した。子キツネ達は天井や壁を駆け抜け、笑って楽しんだり、遊んだり転んだりしていた。
「気が変わったりしていないですよね?」と彼は尋ねた。
「でもどうやって子狐達を納得させればいいんだ。向こうは、幼稚園じゃなくて嵐のど真ん中なのよ?」
「言葉で、若い友よ。まず、恐れず、臆することなく、大胆に入ること。そうしたら、それぞれの子キツネの目を見て、何か神秘的なことを言う。見ればわかるんだが、彼らが信じて受け入れてくれるでしょう。嵐が静寂に見えてくるよ。」
「ああいう嵐には私の狐の鼻は訓練されていないんだ。」
「勇気を出して、友よ」とずる賢そうなキツネが言った。
私は子狐達の目を見て言った。
「私は今後船長だ。早くデッキの上へジャンプして、そこは居心地がいいよ。帆とケーブルを手伝い、ネットで髪の毛が絡まないようにしてください。私たちは新しい海岸へ出航していく。新しい発見は君たちへの贈り物だ。追い風を見つけて、自分の場所につけて。今後は私たちはチームであり、これは我々のフォックス・スタイルのだ。」
あっと吐き出した。両親が子狐を連れて家へ帰った。私と一緒に残ったのは、小さな女の子だけだった。とてもかわいくて5歳のキツネの子だった。
「ママはどこですか?」と聞いてみた。
「ママは仕事です。」と女の子は答えた。
「じゃ、お母さんのところまで連れて行ってあげるよ。」と私は提案してみた。
キツネの少女は頷いて言った。
「私のママは、芸術家であり作家でもあり、図書館で働いています。」
「そうっか」
さて、私は少女の手を握って運命の相手に向かって歩き出した。
秋の夕暮れのキツネ
木々が黄色い煙に包まれた。秋の夕暮れのキツネは、年に数日間現れる。残りの時間は世界の真ん中で休んでいる。心臓は鼓動していない、眠りは果てしなく続く場所のだ。
秋が始まると、私は獣の隠れ家を探しに森へ行く。
「キツネのお姉ちゃん、私の魂から秋を奪え。潜在意識の夕暮れで溶けてしまうように」と歩く途中で私が思っている。
会ったんだ。キツネは落ち葉の中に身を包み、秋の空気を吸い込み、黒い脚の上に鋭い顔をつけた。
「キツネのお姉ちゃん、日々の悩みを取り除いて、私の心に幸せと平穏をもたらしてください」と囁いた。
「時は止まり、秋は無限大に耳を傾けた。」と、キツネのお姉さんは言った。
「あなたの不安を取り除いてあげるよ。幸せに末永く暮らしてください。愛すること、愛されること。生きている毎日に感謝し、喜び、笑顔をしてください。そして、幸せだけを考えてください。」
獣は秋の夕暮れの中に消えてしまった。
恋には季節がない。愛に落ちたら、それはもう一生のものなのだ。
フォックス・タイム
著者 Mikhail Murami
訳者 飯塚アンナ
カバーイラスト Reikyourin