狩野典明氏は、ますます勘違いをした

今、わたしは彼に最後のチャンスをやったもしここで典明くんが、桜子くんに謝ることができたのなら桜子くんの本当の母親にしたことと、桜子くんにずっと辛い思いをさせてきたことを謝罪するのなら典明くんの押し込めを中止させても良いと思っていたしかし

狩野典明氏は、桜子さんに謝るどころか

全ての問題を桜子さんに押し付けようとした

馬鹿な男だしかしわたしは、彼のことを赤ん坊の頃からよく知っているのだ狩野家に跡取り息子が産まれたことを香月と死んだ狩野と3人で祝った

死んだ親友の息子を処罰しなくてはいけない

歌晏老人の表情は、辛そうだった

もういい典明くんを連れて行ってくれ

不知火父が、倒れている狩野典明氏を抱きかかえる

身体だけは、みんなに大きくなられたのに坊ちゃん

不知火父も、子供の頃から典明氏を警護してきた

藤宮です入って来て

レイちゃんが、内線電話にそう言うと山田太一さんが、廊下に通じるドアを開ける

そこには香月セキュリティ・サービスの制服組が10人ほど立っていた

神田くんたちは、不知火さんに付いて狩野家までお送りして富田くんたちは、ここに引っ繰り返っている3人を連れ出して下に工藤さんが来ているから、引き渡して後は、工藤さんが処理して下さるわ

工藤父に、3人の黒服のことは任せるのか

香月セキュリティ・サービスの職員たちは、てきばきとレイちゃんの指示を実行していく

では、失礼いたします歌晏様、皆様

不知火父が、オレたち全員に言う

不知火くん君は典明くんの個人的な警護役でなく、狩野家の警護役なのだからまた会うこともあるはずだな

歌晏老人は、不知火父にそう言う

いえ、歌晏様わたくしには、もう警護役としてやっていかれるだけの気力と体力がございません後進に後を譲り隠居致します

そうか残念だが、君の意志がそうであるのなら仕方あるまい

はい誠に申し訳ございませんが

不知火父は、歌晏老人にそう言うと

桜子様江のことを、よろしくお願い致します

桜子さんに、頭を下げる

娘はわたくしと違って桜子お嬢様のためだけの警護役でございますから

父親が当主の座を剥奪され母と弟は実家に帰る

これから先の狩野家は、どういうことになるのか全く判らない

桜子さんの今後のことだって

いえ、桜子お嬢様は狩野家の気品をお持ちになっておられますあなた様は、いままでもこれからも名家・狩野家のご令嬢でございます

不知火さんは、笑顔を作ってそう言った

不知火さん

失礼致しますお嬢様

不知火父が、狩野典明氏を連れ去り

レイちゃんと山田太一さんの居る部屋とのドアが再び閉ざされた

オレ、克子姉、歌晏老人、桃子姉ちゃん、みすず、桜子さん、まり子

それから、桜子さんの母親の狩野聡子さんだ

お祖父様狩野家は、この後、どうなるのです

桃子姉ちゃんが、歌晏老人に尋ねる

典明くんにやらせていた様々な財団などの名誉職はああいうものの代わりは、すぐに見つかるものだがとりあえず、聡子くん君が全て代わってくれ

驚く、聡子さん

神崎の家に戻っても君、個人の収入がなければ肩身が狭い思いをすることになるだろう典明くんに関しては、対外的には病気をして長期療養することになったと公表することにするだから、典明くんがしていた役職を、聡子くんが引き継いでも皆、変には思わないだろう

でも、わたくしは離縁せよと父に命じられております

典明くんの印鑑を押した離婚届は用意させる離婚はいつでもできる聡子くんに新しく交際したい男性ができたのなら話は別だが今はまだ離婚するべきではないと思う息子さんのためにも

いずれにせよ、狩野の家からはしばらく離れていた方が良い今回調べてみて判ったが狩野家の中には、典明くんと同じ病に冒されている者が多い

昔の栄光を忘れられずに高すぎるプライドを振りかざす人たちが

今、狩野家の内部に居る人間では狩野家内の改革はできないと感じただから君の実家の神崎家と、まり子くんの鳥居家から、改革者を入れようと思う

わたくしの家から

君のお母さんは、狩野家の出身だ典明くんの妹なのだから鳥居家が、狩野家の窮状を助けるのはおかしなことではあるまい

でも、鳥居家は名家ではございません

わたしと香月は鳥居家が、狩野家を乗っ取ってしまっても構わないと思っているよこれも昔からよくあることだ勢いを失った古い名家に新興の家が入り込み、名と血筋を受け継いでいくということは

歌晏老人は、聡子さんを見て

神崎家にも話はしてある神崎家も、狩野家の名前は欲しいだろうが狩野家を丸まる呑み込むだけの資力は無いむしろ、神崎家も鳥居家との関係を深めることの方に興味があるだろう

鳥居家は名家でないが財力はある

鳥居家と神崎家で共同して、狩野家を再興してくれとわたしと香月が言えば、済むことだ今後は、歌晏家と香月家は表立って、狩野家への支援はしない他の家からの援助も、鳥居家か神崎家を通さないと、狩野家には届かないことにすれば狩野家の中の連中も、大人しく従うだろう

困ったことが起きても、歌晏家や香月家が助けてくれると思っていたから狩野典明氏は、余裕をぶっこいていたけれど

これからは名家・神崎家と鳥居家を通さないとどんな助けも望めないとなれば

おかしな暴走は起きなくなる

お祖父様、鳥居家が狩野家を乗っ取っても良いということでしたら

桃子姉ちゃんは祖父に言う

次の狩野家の当主はまり子でもいいっていうことになりますわね

ええーっ

まり子が叫んだ

だって、そうでしょあなたのお母様は、狩野家の出身なんだしまり子が、養女として狩野家に入って当主になれば、鳥居家と狩野家が1つになるわ

それで、まり子くんが神崎家から婿を取れば何もかも丸く治まるないや、聡子さんのところの典靖くんでもいい

母親が狩野本家の娘で、父親が鳥居家の当主であるまり子と

父親が狩野典明氏で、母親が神崎家の娘である典靖という子供との結婚

そんなの嫌ですわ典靖くんて、まだ小学生じゃないですか

典靖くんが嫌なら、神崎家にはもっと適齢の男子がいるはずだから候補はたくさんおるぞ

わたくしは嫌ですし困ります

ほんの1時間前、まり子は永遠にオレの女でいると誓ったばかりだ

それにわたくしが、狩野家の当主になんてなってしまったら

まり子は桜子さんを見る

桜子は、どうなるんです

そうだ父親は、当主の座を廃された

母親は、弟を連れて実家に帰るという

しかし、桜子さんは

桜子さんが、狩野聡子さんの娘でないことは実家の神崎家も知っているだろう

桜子さんはこの先、どこで暮らせばいいんだ

大改革が行われることになっている狩野家の中は桜子さんの居場所はあるのか

父の体調がおかしいらしく、足がふらついてウォーター・サーバーに頭から激突し、部屋中水浸しにして倒れていました

微熱はあるらしいのですが、身体がふらつく以外症状が無く

連休中なので、医者にも行かれません

言ってることも変なんです

空中を指してここから、この辺あたりまでがエフなんだとか言ってます

ああ全てがエフになる

1251.桜子・売春したいお嬢様 / 珠に傷

まり子の言葉に、歌晏老人は

さて、どうしたらいいのかね神崎家は、聡子くんと聡子くんの息子である典靖くんを引き取ることに合意してくれているが

桜子さんは、狩野典明氏が不倫をして産ませた娘だ

正妻の狩野聡子さんの娘ではない

親は、当主の座を廃された

わたくしは桜子も連れて参りたいと思っております

聡子さんは言う

わたくしは、これまでも桜子を自分の娘として育てて参りましたその思いは、これからも変わりません

桜子、ごめんなさい今まで、あなたに本当のことを言えなかったことそれから、あなたの本当のお母様のことも

桜子さんは、自分が不倫の子だということは知っていた

しかし、本当の母親がどういう経緯で狩野家から追い出され売春婦という悲惨な境遇に身を堕として死んでしまったということを知らされないままでいた

本当にごめんなさいごめんなさい、桜子

母親に抱きついて、桜子さんは泣く

やっと桜子さんに謝ってくれる大人が現れた

いや、狩野聡子さんも、名家・神崎家の出身で名家の娘としての教育を受けてきている

狩野家の当主である夫には、今まで逆らえなかったのだろう

夫が、どんなに無茶なことを求めて来たとしても

ありがとうございます、お母様

桜子さんは顔を上げて涙を拭き、母親に言う

でも、わたくしは桜子は、お母様や典靖と一緒に神崎家へ行くことはできませんわ

それでは神崎の家にお戻りになるお母様がお辛いでしょうわたくしのことで、お母様と典靖が肩身の狭い思いをするのは

狩野典明氏が、最後に桜子さんにお前のせいでと暴言を吐いたように

せつかく家柄の良い狩野家に、神崎家から娘を嫁に出したのに不倫の娘の桜子さんの件で、当主が押し込められ、香月家や歌晏家から睨まれることになったのだから

神崎家の中でも、桜子さんに辛く当たろうとする人たちはいるだろう

桜子さんを連れて戻った母親と弟も冷たい眼で見られることになる

そんなことはいいのよあなたは、わたくしの娘なのですから

狩野聡子さんは、そう言うが

お祖父様わたくしたちの家に、聡子様、典靖くん、桜子さんの3人を引き取ることはできませんか

桃子姉ちゃんが歌晏老人に尋ねる

いっそのこと母親と姉弟3人まとめて歌晏家に引き取るという考えか

それは無理だな

歌晏老人は、厳しい表情で答えた

現在の当主の狩野典明くんが、家臣たちによって押し込めということになっても典明くんの息子の典靖くんには、本家の嫡男として当主を継ぐ資格がまだある

桜子さんの異母弟

狩野典明氏と正妻の聡子さんの間に生まれた息子には

典靖くんを歌晏家が引き取ることになったら、それは歌晏家が狩野家の嫡男を人質に取るということになるそれは名家の世界では配下に下ることを意味する

ああ、戦国時代に今川義元が、松平家の嫡男だった徳川家康を人質として受け入れていたのと同じことですわね

狩野家は歌晏家と香月家と同格の家だぞわたしたちが、狩野家のそれも本家の相続資格を持つ男子を引き取れば狩野家の格が下がり、歌晏家の家来と見なされることになるそんなことを狩野家の分家や家臣たちが認めるだろうか

認めないだろう

今の狩野家には家柄の高さしか誇るものがないのだから

つまり香月家が、桜子くんたちを引き取るのもダメだということだそれから小僧、お前たちもだ黒森家は、一応、香月家の関係者ということになっているからなお前たちのところで3人とも迎え入れるというのも無理だぞ

黒森家のお屋敷で引き取るのも無理か

かといって狩野家の中は、これから大改革を断行しなくてはならない聡子くんも、典靖くんも特に桜子くんは、今の狩野家の中に居場所はあるまい

昔の栄華を忘れられない人たちは、改革に抵抗するだろうそんな家の中に他家から嫁に来た聡子さんや、母親が一般人の桜子さんが居続けるのは無理だ

神崎家が聡子くんに子供を連れて実家に戻れと命じているのは、そのためだ神崎くんは、君たちのことを案じているのだよ名家としての面目を保とうとしているのではなく、一人の親として聡子くんたちのことを保護したいと思っているのだ

お父様には感謝しておりますわ

ああ、このタイミングでしかも神崎家の当主から、娘の変換を求めるのなら全て典明くんの失態が原因ということになる聡子くんが負うダメージは、最低限で済む

理由は不明でも、狩野典明氏が何かをしでかしたということは、他の名家の人たちにもすぐに知られることになる

狩野聡子さんが、即座に実家に戻ったということは聡子さんも典明氏の被害者で、神崎家の当主が非情に立腹しているということを意味するのだろう

それでしたら、なおさらわたくしは、お母様や典靖と一緒に神崎家へは参れませんわ

わたくしは神崎のお祖父様の孫ではないのですから肉親で無い者が、肉親の情にすがることはできません

歌晏家も香月家もダメ黒森家も、桜子さんを引き取ることはできない

かといって、このまま狩野家に残るのも無理だし

そうですわね、聡子様と典靖様はこのまま神崎家にお戻りにならればいいんですわ

神崎家が聡子様のご実家である以上それが一番良い選択だと思いますそれで

まり子はニコッと微笑んで、桜子さんを見る

桜子は、うちに鳥居家に来ればいいのよ

まり子の家へ

格が下がるとか、どっちが格上かとかは名家同士の場合の話ですよね

まり子は、歌晏老人に尋ねる

ところが、鳥居家は名家ではございませんから全ての名家が格上ですわですから桜子を狩野家からお預かりして、生活する場所を鳥居家がご提供させていただくことにいたします

まり子、大丈夫なの

桃子姉ちゃんが、まり子に尋ねる

問題ありませんわうちのお父様は、わたくしのお願いは何でも聞いて下さいますし桜子なら、家族全員大歓迎ですわ

鳥居家は、母親が狩野家の出身だし

名家との繋がりを欲しているから、桜子さんを喜んで迎えてくれるだろう

ふむ一般の家が、名家の娘を迎え入れるという形にするのかそれならば狩野家の連中も受け入れると思う

歌晏老人は、納得する

狩野家の改革は神崎家と鳥居家が共同して行うんですよねそれでしたら神崎家に前当主の嫡男の典靖様が行かれるのなら、鳥居家がご令嬢の桜子をお預かりするのは、おかしなことではありませんわ

歌晏老人にまり子は笑顔で言う

なるほどまり子くんに、こうまで政治的なセンスがあるとは知らなかったな

歌晏老人も微笑み返した

さっきのまり子くんを狩野家の次の当主に据えるというのは、なかなか良いアイデアなのかもしれんな

え、本当にまり子が当主になる

そうでしょ、お祖父様

自分の妹分を褒められて桃子姉ちゃんは、嬉しそうに言う

いや本当のことを言うとだな、わたしも香月も、狩野家の次の当主は、10年ぐらいは決めるべきではないと思っているのだ

10年間当主が不在

名目上は病気療養中の典明くんを当主のままにしておいて、家の差配をする当主は置かない方が良いいや、長い名家の歴史の中には、こういうケースが何度もあったのだ

これだけ狩野家の内部が混乱しているのに、この上、跡継ぎ争いまで起きたら本当に家が滅ぶだから、今は家の立て直しの方を最優先にさせたいのだ

お家騒動が起きるのは、確かにまずい

だから、聡子くんこのまま、君の典靖くんが次の当主になるという可能性もまだ残っているし、狩野家の分家の中から適当な人物を抜擢するかもしれないもちろん、さっき話が出たように鳥居家からまり子くんに当主になってもらうというアイデアもアリだそれは全て、これから先、10年間の狩野家と、それぞれの声歩車の成長を見て決めることにしたい

その10年の間に神崎家は、自分の血の入っている典靖少年を擁立しようとするだろうし

狩野家は、家の内部から後継者候補を選ぼうとするかもしれない

鳥居家が、本気になってまり子を押そうとするかもしれないし

でも、10年間は決めないというルールがある以上各勢力は、それぞれ10年後に向かって全力で狩野家の再興の方に力を注ぐ

いずれにせよ、名家・狩野家の再興に関わることはそれぞれの勢力にとってメリットがある悪い方向に進まないように、わたしや香月が調整するから安心していたまえ

お祖父様桜子さんには、狩野家の当主になるチャンスは無いのですか

桃子姉ちゃんが、不意に歌晏老人に尋ねた

残念だがそれは無い今現在桜子くんを押す勢力は存在しないのだからね

歌晏老人の言葉に、桜子さんはビクッと震える

本当の母親が一般人で、すでに亡くなっている桜子さんには後ろ盾がない

だから桜子くんは自由なんだ君は自由に自分の人生を生きなさい

歌晏様

誰が何と言おうと桜子くんが名家・狩野家の娘であることは変わらないだから、これから先もわたしと香月が、桜子くんは名家の一員としての地位を保証するしかし桜子くんは、名家の令嬢としての義務を負う必要は無い

今の桜子くんには、もう、狩野家のためにどこかの名家に嫁に行くという義務も無いどの勢力も、桜子くんを利用することがないように徹底させる

歌晏老人は、そう言うが

それは困りますわ義務を負わないのに、権利だけをいただく訳にはまいりません

桜子さんが、慌ててそう言い返す

桜子くんの場合は、名家の一員としての義務を免除されたわけではない今の名家の世界には、君に義務を負わすことができる者がいないのだ

歌晏さんは、低い声で答える

狩野家の当主は、10年間は不在になる君に何かを命じる者はいないわたしや香月も、狩野家の娘である桜子くんに、不当を要求をすることはできない

歌晏家、香月家、狩野家3大名家は同格なのだから

歌晏家や香月家の当主が、狩野家の娘を勝手に結婚させたりはできない

いや、歌晏さんもジッちゃんも権力者だから強制することはできるだろうが

わたしも香月も名家の当主としてのプライドがあるそんなことは、決してしない

歌晏さんは断言する

狩野家の連中が、桜子くんに無理な要求をする可能性もあるが今の狩野家は、君や君の本当の母親に対する負債の方が遙かに大きいはずだとわたしは考えているこの上、桜子くんに狩野家のために人生を捧げろなどと言い出す者がいたら、このわたしが直々に成敗する

狩野家の内部の人たちには、桜子さんに手を出すなと歌晏さんが脅しを掛けてくれるということか

君は自由なんだ、桜子くん

再び笑顔を作って、歌晏さんは言う

鳥居家でまり子くんと自由気ままに暮らしたまえ好きなことを勉強をして、やりたい仕事に就きたまえ恋も君の自由にしていいんだ

桜子さんはうつむくが

君は本当のお母さんの分まで、自由に生きるべきだ

歌晏老人の言葉に、桜子さんはハッとなる

若くして不倫の子を産んで子供を奪われ、追放され

実家には勘当されて売春婦として死ななくてはならなかった、桜子さんの本当のお母さん

わたしや香月は、桜子くんに表立った援助はできないがどんなことでも協力は惜しまないよ困ったことがあったら、何でも相談したまえ

老人は優しい笑顔でそう言った

あら、お祖父様わたくしやみすずが、桜子さんを助けるのは構いませんわよねわたくしたちは、歌晏家や香月家の看板を背負ってはおりますがわたくしたち、桜子さんと義姉妹の誓いを立てておりますから

桃子姉ちゃんが、笑顔で言う

もちろん構わんよお前たちの個人的な友愛にまで、口は出さんよまた、他の人間にも口出しはさせない

歌晏老人は、約束してくれた

いいのよ、桜子は鳥居家に来て

ううんわたくしは、桜子に来て欲しいわたしが望んでいるんだから、来てくれないと困るわ

鳥居家で桜子は、わたくしと生活しながらこれから先の自分の未来のことをゆっくり考えればいいわわたくしもあなたも、まだ高校1年生なんだから学校に進路届を出すのだって、まだ1年は余裕があるもの

まり子が、優しく桜子さんに言う

桜子さんは、まり子に礼を言った

聡子様も典靖様をお連れになって、いつでもお遊びにいらして下さいませ鳥居家は、いつでも歓迎致しますわ

まり子が、狩野聡子さんに言う

桜子さんが、名家・神崎家に居る母や弟に会いに行くよりも

名家ではない鳥居家の方に、神崎家から母子が来る方が問題が少ないのか

よし、ではこの件はこれで終了とする問題は無いな

狩野家は当主の典明氏は、分家と家臣に押し込められ、当主の座から引き摺り下ろされたおそらく、次の当主が決まるまで、どこかに監禁されることになるだろう

典明氏の妻の聡子さんと息子の典靖さんは実家の神崎家に行く

桜子さんは従姉妹のまり子が居る鳥居家にお預けになる

そうして、今後の狩野家は神崎家と鳥居家が、人材と資金を出して改革し、再興させる

今後10年間は、誰が次の当主になるかは決めない

問題がないようなら、解散しよう小僧太一と藤宮くんを呼んでくれ

オレはすぐに、隣の部屋に通じるドアを開いて二人を呼ぶ

ああ、藤宮くん聡子くんと桜子くんのために部屋を用意してやってくれ少し、わたしのいない所で母娘で話したいこともあるだろうああ、桃子とまり子くんも一緒に行ってやってくれ2人きりでは、かえって気まずいかもしれんからな二人の邪魔にならない範囲で、付き添ってあげてくれ

歌晏老人は、レイちゃんや桃子姉ちゃんたちに言う

かしこまりましたどうぞ、狩野様、桜子様、桃子様、まり子様もこちらへ

レイちゃんが、他の部屋へ桜子さん親子たちを誘導しようとすると

あの、歌晏様

桜子さんは、何故か心配そうにオレを見た

歌晏さんは、桜子さんにニコッと微笑むと

大丈夫だ桜子くんが思っているようなことにはならんよ

また、オレを見る

さあ、行きましょう桜子さんお祖父様にお任せしていれば平気よ

公も図太い人だから、大丈夫全然平気よ聡子様も、こちらへ

桃子姉ちゃんとまり子が狩野家の血の繋がらない母娘を促す

では、歌晏様失礼致します

聡子さんが、歌晏老人に頭を下げた

うむ、全て良いようにさせる安心したまえ

では、お祖父様一旦、失礼致しますわ

歌晏老人に一礼した後も、桜子さんは心配そうな眼でオレを見ていた

桜子様参りますよ

レイちゃんが桜子さんに声を掛けて

桃子姉ちゃんとまり子が桜子さんと母親を連れて部屋を出る

山田太一さんは、そのまま部屋に残った

部屋に居るのはオレ、歌晏老人、克子姉、みすず、太一さんの5人となる

桜子くんが何を心配していたか判るかね

歌晏老人が、オレに尋ねる

いや判らないです

桜子くんは、自分が退席した後にお前が、わたしに厳しく叱責されるのではないかと思っているのだよ

オレが怒られる厳しく

お前は桜子くんが言い出した売春婦ごっこを受け入れて桜子くんの身体を楽しんだのだからな

そのことか

詳しいことは知らんが、どうせお前のことだから相当、楽しんだのだろう

口内射精して飲精させて

処女喪失は、抜かずの2発で

その後も

責任は取ります

何だ、お前みすずくんを諦めて、桜子くんと結婚するのか

そうじゃないです結婚はできませんけれどこれから先、オレが生きている限りは桜子さんが困っていたら、世界中のどこにいても駆けつけてオレが助けますそういう覚悟です

ふむ本気でそう言っているのか

歌晏老人は、オレの顔を見て言う

そういう覚悟ができる相手じゃなければセックスしませんオレだって、覚悟を決めてパンツを脱いでるんですから

おかしな表現をするのだな覚悟してパンツを脱ぐか

歌晏老人は苦笑するとみすずを見て

みすずくんは、いいのかねこういう男を自分のパートナーにしていて

あたしは、旦那様に従うだけですというより、わたくしは旦那様のこういうご性格を愛しております

節操の無さをかね

自分が愛さねばならないと感じた女性は全て幸福にしようとなさることですわわたくしの旦那様は、これ以上は自分には無理だとか許容量を超えてしまったら自分が保たないとかは一切、おっしゃいませんから愛すべき女性は、全て手を抜くことなく、徹底的に愛されますそれにわたくしの旦那様でしたら、まだ100人でも200人でも愛すべき女性を受け入れられると思いますわ

みすずは、オレをスーパーマンだと勘違いしている

黒森家も同じ考えかね

歌晏老人は、今度は克子姉に尋ねた

はいこの子は良い子しか選びません鼻が効くのか、眼が肥えているのか判りませんけれど

克子姉は、まるで自慢するように言う

この子の場合中身の無い女性には、全く興味を示しませんから美しくて、優しくて、何かしらの能力に優れた子しか選ばないんです今まで子の子が見つけてきた子は本当に全員、素晴らしい魅力と才能の持ち主ですわ黒森家の屋敷は、今はちょっとした女の梁山泊になっていますもの

克子姉の答えに歌晏老人は

確か、梁山泊に集まった英傑は108人だったな

うちに居る子たちは梁山泊の食客とは違いますからみんな家族としてこの子を中心に家を盛り立てて行く覚悟ができていますわみんな数年先には何かしらを成し遂げる力を持っていますしつまり、この子が女の子を連れて来る度に黒森家は大きく強く成長しているんです

そんなに女ばかり集まってよくケンカにならないものだね

歌晏老人が尋ねる

みんな仲良くが我が家の家訓ですそれが守れない者は、家から追い出されますからこの子の愛を失うぐらいなら、みんな、協力して家を守る方を選びますわ

ふむなるほど

歌晏老人は改めて、オレを見る

女の子とは美しい珠《たま》のようなものだと、わたしは考える

女の子は珠

美しいが壊れやすい珠だ珠に1つでも小さな傷が入ればそこからひび割れて、割れてしまうかもしれない

女の子の心のことか

そして、名家の娘たちは一般の娘たちよりもずっとか弱い普段から守られすぎているから珠に傷が付きやすい割れる時は、あっさりと割れる珠に傷が一番怖い

悲しげな表情で、歌晏老人は言う

狩野典明くんのしたことは娘の内面に珠に大きく深い傷を付けたと思うそれならば、わたしたちのするべきことは傷が大きくならないように、娘の心が割れてしまわないように手当することが最重要だと思う

狩野桜子さんが、心に受けた傷

元々、桜子くんには自分が父親の不倫の娘であり、そのことを世間に隠しているという負い目傷があった

最初から桜子さんという珠には歪みがあった

それでも本当の母親のことを何も知らされていなかったから桜子くんには、実の母はどこかで幸せに暮らしているのに違いないという希望があった

今回のことで桜子くんは真実を知ってしまった狩野典明くんが、彼女の本当の母親に何をしたかということと何もしなかったということを

子供だけ産ませて、狩野家から追い出したこと

わずかな金だけを与えて、その後全くフォローしなかったこと

桜子くんは、名家の娘だ気高い娘だ自分が狩野家の中で、何不自由なく安穏と暮らしていた時に実の母親が、自分の知らないところで生活に困窮し売春婦に身を堕とし売春婦のまま死んでしまったと知ったのはショックだろう

歌晏さんは、オレを見る

彼女の珠に深い傷ができてしまったのだ真実を知った桜子くんが、自暴自棄となり死んだ母親を理解するために自分も売春行為をしてみたいと考えたのも仕方ないことだと思う

歌晏さんはオレたちの全てを知っている

ここのホテルはジッちゃん専用で、盗聴したりはできないんじゃなにかったのか

いや、オレたちにそう思わせただけで

ジッちゃんと歌晏さんは、オレたちの行動を全て監視していた

どの部屋を使うか指示したのはジッちゃんだ

ジッちゃんしか知らない監視システムがあの部屋に仕掛けられていたのかもしれない

結果的に言えばわたしも、香月同様、お前に桜子くんの相手をしてもらって良かったと思う

歌晏老人はそう言う

お前じゃなければロクでもない男が、自暴自棄な桜子くんの相手をしていたら、彼女の傷はさらに広がったと思う悪い男に騙されて、本物の売春婦となってしまったかもしれないお前だったからこそ桜子くんは、名家の令嬢のまま踏み留まれたのだと感じているよ

オレもずっと、それが怖かった

人間の心の傷は本物の珠と違って、時間が経てば少しは癒える最初の手当が適切なら傷が広がったり深まったりすることはない

とてもよく判りますわ

しかし傷跡は残る傷は癒えるが、消えしないのだよ同じところにショックを受ければ、傷はまた大きくなる

人の心の傷は絶対になくなったりはしない

桜子くんは今日は、お前のおかげで持ちこたえたしかし、これで彼女の傷が癒えたわけではない

また売春したがるってことですか

売春というより贖罪だな桜子くんの本当の母親が生きていてくれたなら幾らでも取り戻しようがあった母親孝行をすることで、困窮していた母親のことを知らなかった罪を償うことができただが桜子くんの本当の母親が死んでしまっている以上

死んだ母親には尽くせない

死んだ母親の苦しみを知るために何も知らなかった自分を責めるために桜子くんは、また突発的に売春しようとすると思う

桜子さんの本当の母親に対するイメージが売春婦だったということしかないからか

だから、わたしは先ほど桜子くんを狩野家から切り離した狩野家の監視ある場所から外して、こちらがチェックできるところへ置いておくしかない

歌晏老人は、桜子さんに君は自由だと言い切った

その上で、お前に頼みたいのだがこれからも、桜子くんの売春ごっこの相手をしてやってくれないか彼女の中で、突発的に湧き上がるやるせない思いは、誰かが秘密裏に解消してやらなければならぬ

桜子さんはこれからも時々、無性に売春したくなるのか

だから、その度にオレが相手をして、不安定な心を安定させなくてはならない

狩野家にも、鳥居家にも、神崎家にも誰にも知られないところで

この傷は、一生治らないかもしれん桜子くんは、誰かと愛し合い結婚した後もお前に売春を求めるかもしれないもし、そうなったとしても、わたしはお前に密かに桜子くんと通じて欲しいと願うこんなことを頼めるのは、お前だけだ

人の心の傷が、そんなに簡単に治らないことはオレもよく知っている

君の公式なパートナーである、みすずくんにも黒森家にも、お願いしたいどうか、彼にこの役目を

他の人たちに知られないように、密かに売春ごっこして桜子さんの心を安定させるのはオレにしかできないことだ

あたしは構いませんわ名家・狩野家の名誉のためにも桜子さんがそういうことをなさることは隠さないといけないことは判りますし

黒森家としてはお断り致しますわ

笑顔で、そう答えた

驚く歌晏老人

克子姉は、オレの腕を掴んで

この子は、男娼ではありませんから名家の皆様のご都合で、お役目としてセックスしたりは致しません

仕方ないから、セックスしてあげなきゃいけないなんて考えは、絶対にしてはダメよそんなの、あなた自身にとっても、桜子さんにとっても良いことではないわ

真剣な眼で、オレに言う

桜子さんが、自分でこの人の女になると決心しこの人の子供を産む覚悟をして、あたしたち家族の一員になるのでなければ、これ以上のセックスも売春ごっこもしてあげる必要はないのよ

昨日あったこと

ふらついて頭を打った父の様子がおかしい

さっきまで自分で歩いてトイレに行っていたのに

急に歩けなくなった動けなくなった

腰に力が入らずにベッドから落ちて、おしっこを漏らした

慌てて母が熱を測ると39度もある

ゴールデンウィークだし、救急車を呼ぶとどこの病院に連れて行かれるか判らないので

大通りまでタクシーを捕まえに行って、前に父が緊急手術をした大学病院へ

前の時も夜間診療で連れて行ったから3年ぶり2度目

父は病院に着いたときは、完全に腰が抜けてしまって入り口で車椅子を借りる

それから診察を受けて

前回は、大動脈瘤破裂で緊急手術で、そのまま3ヶ月入院したから

今度も覚悟はして言ったのですが

結果的には、風邪のウィルスのせいではないかということで

夜遅くにまたタクシーで、父を帰宅させました

薬が効いたのか、朝になったら何とか自分でトイレに行くぐらいには改善していました

ホッと胸を撫で下ろしたのですがああああああ

たった1日で、痴呆が劇的に悪くなっている

またお漏らししたので、ついに老人用おむつを買って来ました

これを書いている間も、何度も騒ぎを起こしているので

リアル・イズ・ヘル

1252.桜子・売春したいお嬢様 / 偏見と覚悟と決心と

・鷹倉夜見子/14歳鷹倉神社の巫女の3姉妹の真ん中強気な性格のロリ巨乳ヨミ

歌晏様が名家の一員である桜子様を大切になさっているようにあたしたちもこの子のことが大切です家族ですから

この子が家族に向けるべき愛情をお役目として桜子様に注ぐのは間違っていますし、黒森家は断固として拒否致します

わたしの頼みが聞けないというのかね

歌晏老人は強い眼で克子姉に言う

克子姉は、圧力に屈しない笑顔のまま、歌晏老人の眼を真っ直ぐに見返している

君たちは、娼婦をわたしたちに売ることを生業にしているはずだそんな黒森家が、わたしの願いを無視するというのか

歌晏老人の機嫌を損ねたらミナホ姉さんがこれから再開する黒い森の新しい娼館は、間違いなく経営危機となる

一番の顧客である政財界の人たちが、歌晏老人を恐れて娼館に来てくれなくなるだろう

あたしも娼婦でしたいえ、正式な引退表明はまだしておりませんからお客様たちは、まだあたしのことを娼婦だと思われているはずですですから、あたしの身体は汚れていますそのことは、あたし自身が一番よく知っています

この子はあたしたちの希望なんです馬鹿な子です脇の甘い子です誘惑に弱い子ですでも正直な子です真っ直ぐな子なんですあたしたちにとって、愛おしい可愛い子なんです

克子姉は、潤んだ瞳でオレを見る

この子は真っ直ぐに人を愛しますセックスの時も真っ直ぐに、あたしたちを見てくれますいつでも、今現在のあたしの心と身体を真っ直ぐそのままに受け入れてくれますどんな時も、不平や不満を言わずにありのままのあたしたちを悦んでくれますだから、この子とのセックスは幸せなんです他の男性のように女が、男の方の欲望を我慢して奉仕することがありませんから

あたしたちは、この子とこの子の家族のためなら何でもしますわあたしだってこの子のために、また娼婦にならなければならないような事態になったら、喜んで娼婦になります何でもします死ななければならないのなら、死にますだって今のあたしは、この子に愛されるために生きているんですから

克美姉の気合いが、歌晏老人を圧する

だからこの子の愛やセックスを、名家のお嬢様の精神ケアのためになんか使わせませんわこの子にはそういう役目のために、仕方なくセックスしなくてはいけないような体験は絶対にさせませんからっ

そのまま克子姉は、みすずを見る

今回は狩野桜子様の件は、ご事情が判りましたから、あたしやミナホお嬢様や渚も、受け入れました

ああ桜子さんの本当の母親が売春婦として死んでしまったということや

もう桜子さんが、死んでしまった母親に会えないということに

ミナホ姉さんや克子姉たちは、心を動かしたのだろう

ミナホ姉さんは誘拐されて娼婦に堕とされて監禁されている間に、母親を亡くしている母の顔を再び見ることはできなかった

でも、これから先みすずちゃんも、瑠璃子ちゃんも、まり子ちゃんでもつまらない理由で、この子を他の女の子とセックスさせようとしたら、あたしたちが許さないわお屋敷から叩き出して、2度とこの子に会わせないから、覚悟なさいねっ

克子姉の剣幕に、みすずは

慌てて、克子姉に頭を下げる

それからシゲちゃんもよっどうせ、ここの様子を監視カメラで観ているか録画しておいて、後で観るんでしょうけれどうちの子を手駒にするようなことをしたら、お尻を蹴飛ばしてやるんだからっシゲちゃんだって許さないからねっ

克子姉は、天井に向かって大声で叫ぶ

やっぱり、そうか監視システムは無いというのはフェイクで

ジッちゃんや歌晏さんだけが覗けるようになっているんだ

か、克子くんき、君は、香月に

天下の香月家当主を叱り飛ばす克子姉に歌晏老人は驚愕している

あのせっかくの機会だから、お教えいたしますけれど歌晏様は、あたしたち黒森家が名家・香月家に従属しているとお考えのようですがまあ、対外的にはその方が判りやすいから、そういう風にしていますけれど現実は違いますから

現実には、お寂しい香月シゲちゃんもこの子の恩情で、黒森家の家族に参加しているだけですからだから、この子シゲちゃんのことをジッちゃん、ジッちゃんて呼んでるのよ

それはこの小僧が将来的にみすずくんと結婚して、香月家の一員にんるからではないのかだから、香月はこいつにそう呼ばれることを許しているんじゃないのか

歌晏老人は、オレを見る

あなた香月家に入るのみすずさんの婿養子とかになる戸籍から香月家の子になる

歌晏老人は、驚いてオレを見る

だってみすずや瑠璃子や美子さんやジッちゃんは家族だから、大切ですけれどオレが香月家の人間になったら、香月家の分家の香月昴とか香月仁たちの面倒まで見なくちゃいけなくなるじゃないですかオレはあいつらと家族になりたくないですから

みすずたちの親戚としては付き合えるけれど

同じ家族として、生きていくのは嫌だ

みすずたちのためなら、身体も命も張れますけれど香月昴たちのために死ぬのは嫌ですから

ほらこの子は、こういう子なんです香月家の財産や権力には、全く興味が無いんです

克子姉は、歌晏老人に言う

頭が悪いんです野心を抱くほどの賢さが無いんですでも良い子なんですあたしたちにとっては、最高の男の子なんです

歌晏老人は、しばらく考えて

判った色々と誤解していたようだ謝罪する

小さな声で、そう答えた

しかし桜子くんはどうなるこれからも、突発的に売春の欲求が芽生えたらそれを誰が解消する

あの歌晏さんもジッちゃんも、桜子さんのことが心配なのは判りますけれど

二人とも、女の子のことを甘く見過ぎです桜子さんは、そんなに弱い人じゃありませんよ

うん、オレは肌を合わせたからよく知っている

歌晏さんたちに、そこまで心配されなくても桜子さんは、自分で自分のことを決められる人です

部屋の中の内線電話が鳴る

歌晏さんの警護役の山田太一さんが、電話に出る

判りました御前藤宮さんからです

さっき、桜子さん親娘と桃子姉ちゃんとまり子を別室に連れて行ったんだよな

何かあったんだろうか

藤宮くんが、どうしたんだ

歌晏老人は、山田太一さんに聞き返す

狩野桜子様が入室を求めていらっしゃるそうです

入室この部屋への

ということは、桜子さんは今この部屋の隣の警護役の待機室に居るのか

入っていただいて良いと思いますわ

克子姉が、歌晏老人に言う

麗華お姉様が、そろそろ頃合いだと思われたんでしょうから

歌晏老人は克子姉を睨んで尋ねる

ここは香月家の施設ですわ歌晏様やシゲちゃんが覗き見できるシステムを稼働なさっているのなら香月セキュリティ・サービスの警護人である麗華お姉様が、外から監視できないはずがないじゃありませんか

笑顔で克子姉は言う

いかがなさいますか御前

山田太一さんは、電話機を持ったまま歌晏老人に尋ねる

入室を許可する

と歌晏老人が言った瞬間

つまり、山田さんが改めて電話機でレイちゃんに許可のことを伝える前に

カシャッっとドアの電子ロックが解除される

ということは、隣の部屋にここの部屋の音声は丸聞こえになっているということか

太一

歌晏老人が、山田さんを見る

いえ、先ほどわたしが藤宮さんと待機していた時には何も聞こえませんでした

レイちゃんもプロだ同業者の山田さんが居る前では、ボロは出さない

ドアは、あたしが開けますわ

みすずが、そう言ってドアを開く

外には

狩野桜子さんとレイちゃんそして、ヨミが立っていた

藤宮くんこれはどういうことなのかね

歌晏老人は、ムッとしてレイちゃんに言う

香月が、このような指示を君にしたとは思えない

はい、これはわたくしの独断したことでございます

レイちゃんは明るい笑顔で言う

君は香月家の家臣なのだろうこんなことをして良いと思うのか

歌晏さんは、鋭くそう言うが

翔お姉様でしたら、現在も香月閣下の専任警護人でいらっしゃいますから許されないと思いますがわたくしは、香月セキュリティ・サービスの一職員でございますから

レイちゃんは、ニコッと微笑んでオレを見る

現在の香月セキュリティ・サービスのオーナーは、黒森公様でございますのでわたくしは、香月閣下よりも黒森公様に忠誠を誓っております

あ、そうだった香月セキュリティ・サービスは、すでにオレの会社になっていた

それに歌晏様は、ご存知ないと思いますが

わたくしも、黒森公様の女黒森家の家族でございます

驚く歌晏老人山田太一さんも

君は香月やわたしよりも、こいつの方が大切だと言うのかね

わたくしたちの家族は血よりも濃い絆で結ばれております

で、ですが藤宮さんどういうことですかその後ろに居る少女は、鷹倉家の巫女の一人でしょう御前の側には、絶対に近づけないと事前に約束していただいはずです

山田さんは、すでに戦闘態勢でヨミを睨んでいる

巫女の力があれば、歌晏老人を自由に操ることができるのだから歌晏家の乗っ取りも可能になるのだから

あら、わたくしの力には有効範囲があります残念ですけれどこの距離からでは、歌晏様やあなたには届かないですわ

隣の部屋の奥からでは無理だな

ギリギリ心を読むことはできるかもしれないけれどより力を使う記憶を操作するとか身体を支配するのは無理だ

し、しかし鷹倉神社の巫女は、精神的に不安定で非情に危険な存在だと報告を受けています即刻、立ち退いていただきたい

山田さんは言う

うんヨミたちの母親の先代の巫女も、コヨミちゃんのお母さんである巫女の妹も非情に精神が不安定だった

自分と周囲の人たちの心を壊し姉妹ともども無惨な最期を遂げた

あら、ヨミちゃんは安定していますわ香月セキュリティ・サービスが、毎週、鷹倉家の姉妹たちの精神状態をテストしていますけれどみんな、問題ある数値が出たことは一度もありません

どうやら黒森公様とのセックスが多ければ多いほど、安定度が増しているという統計が出ています

ですから、わたくしが一番安定していますヨミが一番、先生にセックスしてもらってますから

ニコっと、ヨミが微笑む

妹のルナはまだ幼いですし、月子お姉様は恥ずかしがり屋さんですからだから、ヨミが回数だけは一番なんです

コヨミちゃんのことを言わないのは巫女の力を持つ少女がもう一人いることが秘匿事項だからだ

コヨミちゃんの存在が、オレたちの切り札になるかもしれない場合もあるから隠している

ヨミさんにはわたくしが同行して下さるよう、お願い致しました

あのこちらでお話なさっていたことは、全てお隣のお部屋で聞かせていただきました

桜子さんは歌晏老人が、オレに売春ごっこの相手をこれからも続けろと命じたことを知っている

克子姉が、もの凄い勢いでその要求を拒絶したことも

わたくしのことで、歌晏様や香月様がご心配して下ったことは大変嬉しいのですが黒森様がおっしゃっていた通り、桜子は桜子自身のことを自分で決められますですから

桜子さんは、そう言ってオレの前に歩いてくる

黒森様まだ桜子は、お礼を申し上げておりませんでした本日はありがとうございます

礼を言われるようなことはしていない

裸にして、1回、口内射精をして処女を奪って、3回、膣内射精しただけだ

桜子ももう16歳でございますから映画や小説やお芝居で、売春ということがどういうものなのかは、何となく判っておりましたそれが汚れた行為であることも

ですが、黒森様はわたくしの売春を体験したいという無理なお願いを叶えて下さりながら、同時にわたくしが名家の令嬢としての誇りを失わないように様々なお心遣いをして下さいましたわたくしのような馬鹿な娘のために

桜子さんの眼が、潤う

そして歌晏老人を見て

歌晏様先ほど、歌晏様はわたくしに自由だとおっしゃいましたわたくしは、もう狩野家のためにどこかの名家に嫁入りしなくてもいいのだと

うむ確かにそう言った桜子くんは自由だ自由に恋をして、好きな男と結婚して、子供を産みたまえ

歌晏老人は答える

それでしたら桜子も、黒森様のご家族の末席に、置いていただきたいですわ

桜子さんもオレの家族に

黒森様がお許し下さるのならあの、黒森様

桜子さんの眼が、恥ずかしそうにオレを見る

桜子のことをお好きでございますか

好きだよオレは桜子さんのことは、好きだ

わたくしのどこがお好きですか

おっぱいの形が桜子さんは、すげぇ綺麗だから肌触りも良いし、乳首の感度がいいところも好きだ

ああ、もちろん顔も綺麗だと思うし、声も可愛いし、プロポーションも良いし優しくて、素直なところも好きだようん、嫌いなところが1つも無い

オレの女たちは、みんなそうだ

みんな嫌いなところは1つも無い

わたくし黒森様のそういうところが大好きでございますわ

桜子さんは、そう言った

黒森様が気に入って下さったことは狩野の家とは何の関係も無い、わたくし自身の肉体と心ですから

いやだってオレは、桜子さんとしかセックスできないから狩野家なんて、よく判らないものとはセックスできないじゃないか

でしたら、桜子とわたくしの肉体と心と、これからもセックスしていただけませんか桜子はわたくしも、黒森様だけの女にしていただきたいのです

即答はしない

もう一度、桜子さんをジックリと眺める

身体の良さはよく知っている

繊細で美しい心の持ち主だということも

桜子さんの眼は、きちんと覚悟している人の眼になっている

いいよでも

毎回、売春ごっこは嫌だよ3回に1度くらいならいいけれどああいう面倒な設定は無しで次は何も考えずに、桜子の身体を楽しみたいから

桜子さんは、恥ずかしそうに微笑んで言う

でも、わたくしのような女はまた、何かとご面倒をお掛けするかもしれません

いや、面倒なのはいいんだよ面倒なのは、当たり前だからみんな生きているんだからさどうしても色んなことを抱え込んじゃうし、面倒なことに巻き込まれたりするのは仕方のないことだからそういうのを一緒に悩んで、一つ一つ解決していくことは家族なら当然のことでオレの女なんだからそんなのを面倒臭いとか思わないよ

それでしたらあの、わたくしは、本当の映画や小説に出て来る売春婦のように、荒々しく黒森様に犯していただきたいですわ

判ったそういうのもやろう

すると、桜子さんいや、桜子は

それでは今から、桜子はヨミさんに一生、黒森様としかセックスできない身体にしていただきますわ

あ、先生別にレイプされたら、必ず自害するとか、そういのじゃないですわ桜子さんが、一生、先生にしか性的魅力を感じなくてセックスしたいなって思ったら、先生のことしか考えられなくするようにするだけです

おいおい、それって

あ、大丈夫ですすでにわたくしと月お姉様とルナは、お互いに力を使って、そうなってますから試験済みですから、心に変な負担が掛かったりするようなことはありません

すでに鷹倉姉妹が、そんな暗示を掛け合っている

だって、わたくしたち姉妹こそ一生、先生だけの女でないと、大変なことになってしまうじゃないですか

巫女の力が外部に出たら恐ろしいことになる

だから、万に一つのことも起こらないようにわたくしたちは常にお互いを監視していますし、先生のことしか愛せないし、先生としかセックスできないし不安なことがあったら隠さず抑え込まず、すぐに先生にセックスして安心させてもらうようにしているんです

そう話して、ヨミは山田太一さんを見る

そこまで徹底していますからわたくしたち姉妹のことは、ご心配なく

鷹倉姉妹たちは何重もの鎖で、オレに繋がれ常に、ストレスを溜めないで心を落ちつかせるように努力している

同じ縛りをわたくしも致します

いや、ちょっと待ってくれ巫女の力で一生オレとしかセックスできなくなるとかそんなことをしなくたって、オレは桜子の覚悟を信じるよ

黒森様は桜子を信じて下さることは判っておりますでも

桜子は、歌晏老人を見た

ここまで致しませんと歌晏様には、判っていただけないと思いますから

歌晏様がこれから先も、わたくしが突発的に売春したがるだろうとお考えになられたのは偏見です

桜子は、悲しそうな眼で言った

歌晏様は、わたくしの本当の母が売春婦となり売春婦として死んだことをお知りになられたから

売春婦の娘ならそういう欲求に囚われるだろうと、お考えになられたのでございますわ

歌晏老人の偏見

桜子を売春婦の娘だからと勝手な決め付けをした

ですから、わたくしは歌晏様の前で一生、黒森様しか愛さない女になりますそれでしたら、今後、わたくしの売春相手を探すようなご心配は、していただかずに済みますから

桜子は、自らヨミの方へ向かう

待ちたまえ、桜子くん

歌晏老人が、桜子を止めようとするが

ヨミが、桜子の頭に手を当てる

歌晏老人の指示で、山田太一さんがヨミを止めようと飛び出すが

邪魔しないでね

レイちゃんが、シュバッと一撃で山田太一さんを抑え込む

腕の間接技を完全にキメて山田太一さんの頭を床にグッと押し付ける

あなた自分で思っているほど強くないわよさっきは、弱い人を倒していい気になっていたけれど

ニッと、レイちゃんは微笑む

香月セキュリティ・サービスじゃ、警備部には入れてもトップ・エリートにはなれないわうちには、わたくしよりも遙かに強い人たちがいるし黒森家には、本物のモンスターもいるわよ

キョーコさんの強さは比べるものがないあの人は常識外れだ

はーい、完了です

桜子さんは、再びオレの前に戻ると

狩野桜子生涯、黒森様にお仕え致しますふつつか者ですが、どうぞ可愛がって下さいませ

改めて、オレに深く礼をした

わたくしも聞いていたわあれはお祖父様が悪いわ確かに、今後も桜子が売春したがるというのは偏見よ

歌晏老人たちをレイちゃんに任せて

オレとみすずと桜子とヨミ、克子姉は桃子姉ちゃんたちと合流した

廊下を出て、すぐ隣の部屋だ

狩野聡子さん、瑠璃子、美子さん、美智、不知火シエさん、セバスティアヌス(山田梅子)さん、美里もいる

藤宮さんが、お兄様よりも強いなんて

山田梅子さんは、レイちゃんが山田太一さんを制したことを驚いている

麗華お姉様も、わたくしやイーディの技を学んでおりますから

ああ、本当にレイちゃんの策略でオレと歌晏老人の会話を、この部屋でモニターしていたんだ

黒森家裏規則第3条第2項であなたの行動は、家族はいついかなる時でも監視していいことになっているのよ

え、オレのプライバシーは

え、何か問題があるの

無いなうん

勝手に好きなだけ監視していてくれ

嬉しいわ、桜子これで、わたくしたちはずーっと一緒よ

まり子が、従姉妹に抱きついて喜んでいる

ずーっとずーっと公に可愛がってもらいましょうねっ

はい、まり子ありがとう

桜子は、まり子に礼を言う

もう、そんなこと言わないでよ照れちゃうわよあーん、これも公のせいよわたくしって、自分勝手な我がままキャラでこの年齢まで生きてきたのに

そんなことないよまり子は、場の空気が読めない子だっただけで最初から、優しい良い子だったと思うぞ

空気が読めなくて済みませんでしたっでも、いいわとにかく、桜子もわたくしたちの家族になったんだから

桃子お姉様も、早く、こちらにいらっしゃればいいのに

また桃子姉ちゃんにプレッシャーを掛ける

そうね桜子の覚悟を見て、考えさせられたわ

今のわたくしはまり子や桜子、みすずたちよりも意気地が無いのかもしれないって

いえ、あたしも自分のダメさに思い知らされました

名家のルールに縛られたままで旦那様や黒森家のことを考え切れていなかったと思います反省しますわ

そうね今のままなら、みすずちゃんにこの子の表の妻の座は任せられないわね

裏の妻の方はメグちゃんや愛ちゃんたちが、本気で争い合っているわよ表の妻だって、みすずちゃんが安泰なんてことはないからね

あのもしかして、わたくしが本気で頑張って、狩野家の当主の座をゲットしたらわたくしが公と、結婚式を挙げちゃってもいいってことですか

それもアリだと思うわよ別にこの子の方は、香月家とか狩野家とか気にしていないんだし黒森家としても、どうしても香月家の娘と結婚して欲しいとかは考えていないわ

克子姉は、笑顔でそう考える

じゃ、ちょっとガンバっちゃおうかしら

ええ、頑張ってわたくしも、狩野家の次の当主はまり子が良いと思うわ

桜子は、そう言う

何言ってるのよあなたも頑張って当主を目指しなさい桜子の本当のお母さんに対する偏見を覆すには桜子が当主になるのが一番なんだから

桜子が売春婦の娘であることは狩野家の分家や家臣たちは全員知っている

戦って、勝って、あなた自身を認めさせるのよわたくしは負けてあげるつもりは無いけれど一緒に競い合いましょう桜子

桜子は、涙を溜めてまり子に言う

お母様このようなことになりましたでも、桜子が自分で決めたことです悔いはありません

育ての母の聡子さんに言う

ええ、桜子が決めたことなら反対はしないわ黒森様、まり子さん桜子をお願い致します

聡子さんは、オレたちにそう言う

歌晏桃子様も、香月みすず様、瑠璃子様、美子様もどうか、これからも桜子のことをよろしくお願い致します

大丈夫よわたくしたちが、桜子のことは守るわ

桃子姉ちゃんが、笑顔でそう約束した

お祖父様は10年先のお話をなされたけれどわたくしたちの残りの人生はもっともっと長いですもの50年後でも70年後でもわたくしたちは桜子の味方でいますわ

桜子の章は、これで終わりです

次話は、黒森家の祝勝パーティとなります

この物語は、毎日書き続け積み重ねることだけを目的にしています

とにかく続けること

毎日、先へ進むこと

コイケカズオ先生が作品とは結局、自分の慰めのために作るのだということをおっしゃっていますが

わたしにとってはツライ日常から逃れるために、1日のうちの3時間前後をこの作品に使っているだけです

だからストーリーのあるものなはずなのにちゃんと、その時その時のわたしの心象風景が出ます

というか、ストーリーすら変わります

後から読み返すと、その時、その時の自分の状況や精神状態が本当によく判ります

自分がどういう人間かということも

どんな作品も、人間性が透けて見えるというのは本当のことだと思います

作品中の設定や、あからさまなわたしの勘違いなどもそのまま残しておくべきなんだとわたしは考えています

その時、その時のわたしの記録として

これは商業作品ではありませんし文学ですらありませんから

というより、この作品を書き続けることでわたしは自分が作家にはなれないということを痛感しています

でも絶望していても先に進まないといけない

ラストシーンに向かって

わたくしの現実がどうであったとしても、作中の人物たちには関係無いのですから

昔、舞台の裏方の仕事をしている時に、とある先生に言われたのですが

全ての物語は、一度スタートしたら最後まで語られるべきなんだ

なぜなら、全ての物語は語り始められた瞬間から、人だけでなく天の神の眼にも晒されているから

ショウ・マスト・ゴー・オン

幕が下りるまでは、どんなに苦しくともショウは終わらない

父がついにわたしのことを認知できなくなりました

3日前までは、一緒に駅前でコーヒーを飲んで世間話などもしていたのに

今は家の中でトイレに行くだけでも介護が必要で

わたしの名前が判らない

そういう日だからこそ、わたしはこの章の最後に運命に反抗する桜子を書いたのだと思います

昨日までの予定では、もっと運命に流される子になるはずだったのに

1253.余韻 / また今度

それじゃあ、落ち込んでいるお祖父様を慰めてくるわまり子も来なさいご機嫌取りは得意でしょ

桃子姉ちゃんは、笑ってそう言う

セバスティアヌスもよクリスのフォローを頼むわ

ああ、山田梅子さんの兄の山田太一(ハンス・クリストファー・アンダーソン)さんはレイちゃんに、完敗してたもんなあ

ああ、慰めるんじゃないわよクリスには、傷口に塩を揉みこむ感じにしてあの人はなにくそってならないと努力しないタイプだからもっと伸びる人なのに、そこそこの才能と実力があるから自分から、今以上強くなろうとはしないのよねだから、今日藤宮さんにコテンパンにされて良かったと思うわ歌晏家の警護役の中では、クリスに対抗しようとする人なんていないから井の中の蛙だったのよ、あの人

桃子姉ちゃんは、山田太一さんをそんな風に評価している

おそらく山田家というのが、先祖代々、歌晏家を警護している一族なんだと思う

今の歌晏家は歌晏老人は当主のまま、支配下の会社なんかの経営は桃子姉ちゃんのお父さんである息子にやらせて、隠居みたいな生活をしているから

山田家の当主が、歌晏老人の息子の警護をしていて

跡取り息子の山田太一さんが、歌晏老人の警護担当者になっているのだと思う

そういう立場の人だから歌晏家の警護役たちは、山田太一さんに頭が上がらないのだろう

警護役の能力では香月家には、いえ、香月セキュリティ・サービスには敵いませんわ

山田梅子さんも、そう言う

セバスティアヌスも、余計なプライドを捨てて、香月セキュリティ・サービスでの合同練習に参加なさい

今は香月セキュリティ・サービスの施設を借りて、名家のお嬢様たちとその警護役たちの合同護身術練習会が定期的に行われている

あなたたちのお父様はずっと他家の警護役と交流することを嫌がっていたんでしょうけれどこれもあたしたちの代から改革していかないことの一つなんでしょうね

桃子姉ちゃんは、まり子を見て

今日はこのまま、お祖父様と帰宅するけれどまり子はどうするの今夜はわたくしの家に来ない桜子さんも一緒にどう

二人を自宅に誘う

残念ですけれど今夜は、黒森のお屋敷でイーディさんたちの祝勝パーティですから公の家族のわたくしが参加しないわけには参りませんわ桜子、あなたも、もちろん行くのよ家族の皆様にわたくしが紹介してあげるわ

まり子は、桜子に言う

はいよろしくお願いしますまり子

嬉しそうに、桜子は答えた

でも、その前に桜子さんは、お医者さんの検診があるわ麗華お姉さんが、香月セキュリティ・サービスの口の固い女医さんに来て貰っているはずよ

いつもの処女喪失後の検診か

あたしは美里ちゃんを、御名穂お嬢様のところへ送ってから帰るわ

美里は駅前ホテルの地下にある黒い森の新しい娼館に帰らないといけないんだ

美里さんごめんなさいわたくし

桜子が、改めて美里に謝る

本当に娼婦にならないといけない美里のような運命の子がたくさんいるのに一時の感情から、自暴自棄で売春体験をしようとしたことを謝っているんだ

いいえ人は、それぞれ違う運命を生きているのですからわたくしはわたくし、桜子様は桜子様で、精一杯頑張っていけばいいのだと思います

わたくしもどうしようもなく、辛く苦しくなっしまった時には、黒森様にお縋りすればいいのだと判っていますからだから平気です

5年間頑張れば鞍馬家を再興し、ありすともまた暮らせます黒森様の赤ちゃんを産んで、わたくしも皆様の一員にしていただきますそういう明るい未来が来ることが判っているのですから今は、どんなことにも堪えられます

頑張って下さいわたくしも頑張りますあの時々、美里さんにお電話しても構いませんか

桜子は、美里に尋ねた

わたくしたち娼婦の外部との通話は制限されていますから黒森御名穂様のご許可がいただければ

大丈夫よあたしが許可をもらってあげるわただし傍受される危険性のあるアプリは使わせられないわよ

克子姉が二人に言った

恐る恐るずっとすみに控えていた不知火シエさんが、オレたちに声を掛ける

わ、わたくしはこれからどうしたらいいのでしょうか

桜子は狩野家を離れて、まり子の鳥居家にお預けになる

となると桜子の警護役だった不知火さんは

うちは、別に不知火さんも来たって全然平気よ

鳥居家の財力なら桜子のついでに不知火さんも受け入れることは可能だ

いえそういうことにはいかないわ

桜子は、真顔で言う

シエあなたの人生は、あなた自身で決めなさい

狩野家は存続させていただけることになったのですから狩野家に戻っても、あなたの居場所はあるはずです微禄でも、不知火家はこれからも狩野家に従って下さるでしょうから

不知火家の父親の元に帰ることも、不知火シエさんにはできる

わたくしと一緒に神崎家に来てくれてもいいのよ典靖にも警護役を付けないといけなくなるでしょうし昔から気心の知れているあなたなら、心強いわ

桜子の育ての母狩野聡子さんも、そう言ってくれた

シエさんには、聡子さん親子と神崎家へ行くという選択もある

不知火さんなら、他の名家の警護役になるという手もあるわよ元・狩野家の警護役ならうちの娘にぜひという人は多いと思うの

いっそのこと、香月セキュリティ・サービスに入れていただいたら藤宮さんにお願いしてああ、今は公がオーナーなんだから、公が推薦したら絶対に入社できるわよ

まり子は、そんなことを言う

わたくしはこれからも、ずっと桜子様のお側に居たいのです

不知火さんは、そう言った

しかし、現在、黒森家の警護役は足りております

しかも不知火さんのような名家のお嬢様の警護役にのみ特化したタイプの警護役は黒森家では、余り役に立ちません

ああ気が使えて、スバ抜けて頭が良くて、底抜けに強い美智とイーディが居て

戦闘力だけに全てを注いでいるミタマとキヌカの安城姉妹が居て

策略も使えて、小技の効くハイジもいる

巫女の力が使えるヨミも今は警護役を目指しているし

今は警護役から格闘家に軸足を移したとはいえ何かあったら頼りになるマルゴさんも居る

さらに、本当の危機にはキョーコさんが助けに来てくれるだろう

警護役として余り特色のない不知火さんは、確かにうちには合わないかもしれない

どういたしましょうか旦那様

不知火さんは警護役以外に何ができるんだ

ズバリと聞く

わ、わたくしはう、生まれてからずっと、桜子様の警護役でございましたから

過去のことはどうでもいいんだよ今の不知火さんは、警護役以外に何ができるのかを聞いているんだ

し、しかし、わたくしは

シエはお裁縫が上手ですわ

桜子が言う

わたくしのハンカチを縫ってくれましたしワンピースを作ってくれたこともあります

それってもしかして今年の夏の狩野家の本家の集まりの時に、桜子が来てた服

ああ、やっぱりあれは素敵だったわあんなのが作れるのなら、凄く才能があるわよ

まり子が、不知火シエさんに言う

それは、あのわたくしの裁縫は、趣味の範囲のことでございますから

いいえ、立派な才能ですわわたくしが推薦致します黒森様、シエはお裁縫ができますわっ

じゃあ、裁縫係っていうことで不知火さんにも、うちに来てもらおうか

いや、普段は桜子と一緒でいいんだけれど桜子はまり子と一緒に行動するんだから、どうせ週の半分は黒森の屋敷に泊まるんだろ

あったり前でしょ公とセックスする機会を減らしたくないもの桜子にも早く、公と一緒にイク感覚を知って欲しいし

なら、不知火さんは名目上は、桜子の警護役のまま、うちに来た時は裁縫係をやってて貰うよ

お裁縫ができる子は少ないから助かるわ

ヨミたちにも教えて下さい

ヨミも笑顔で、そう言った

あ、あのわ、わたくしは、黒森様に、せ、性的なご奉仕をする下僕とかでなくてよろしいのでしょうか

恐る恐る不知火さんはオレに聞く

いや、そういうのはえっと、ゴメン、今日は不知火さんのことも何とかしてあげたいって、ずっと考えてたんだけれど

でも、ほら今日はずっと桜子がどんな女の子なのかを理解するのに精一杯だったから

桜子の美しい顔を見る

いや、こんな短い時間で理解できるわけがないしていうか、ずっと一緒にいるみすずや瑠璃子たちのことだって、オレは本当に理解しているのかどうか判らないよ時々、もしかしたら、この子はこういう子なのかもしれないって閃くことがあるけれど人は生き物だから今はそうでも、またどんどん変わっていくものだから理解しきることは、無理なんだ

だから、オレは女の子のことを判ったと勘違いしたくないし、判っているフリもしたくないでもいつも理解したいと思っているし、理解しようとする努力は続けないといけないと思うんだ

オレはまだまだ判っていない

それが真実だ

今日はとにかく桜子のことを理解するのが先決だったからそれで、何かが判ったとは癒えないけれどとにかく桜子の心の奥を、ほんの少しだけでも覗くことはできたと思う今日は、それが精一杯だオレみたいな頭の悪い男にはさ

そんなことありませんわ

桜子は、オレに言う

オレは不知火さんのことは全然、まだ理解できていない理解するだけの時間が圧倒的に足りてない桜子のことを大切に思ってくれている優しい人だってことと、顔が綺麗でプロポーションが良いことは判っているけれどそれ以上のことは、まだ判らないから

わ、わたくしは狩野桜子様の警護役ですそれ以上でも、それ以下でもありません

不知火さんは、そう言うが

違うよ不知火さんは桜子の警護役である前に、不知火シエという一人の女の子なんだ

ただの警護役なんていない警護役って言ったって、みんな性格も違うし、得意にしている領分も違う、趣味も嗜好も異なっているんだから

いえご主人様の警護役は、全てご主人様が大好きでございますつまり、男性に対する嗜好は全員、同じです

それは違うわ、美智旦那様の方が、あたしたちの性的嗜好に合わせて下さっているのよだから色んな嗜好を持つ女の子たちが、みんな旦那様の女でいられるのよ

みすずが、美智の意見を否定する

とにかく、少し理解し合う時間を作ろうよそうでないと、オレも不知火さんにどうしてあげたらいいのか判らないからさ

別にいいでしょ、不知火さんも,これで、桜子と一緒に居てもいいっていうことになったんだからさ

まり子が、笑顔でシエさんに言う

そ、そうですねで、では裁縫係として、よろしくお願い致します

不知火さんは、オレたちの提案を受け入れてくれた

はぁーあ

と不意に桃子姉ちゃんが、溜息を吐く

今日一日見てて思ったけれど公ちゃんて、思っていたよりもずっと大きいのよね

いやオレのチンコは、そんなに大きくないよ

桃子姉ちゃんには、オレと桜子のセックスをじっくりと見られている

いや、別にオレも他の男のチンコの大きさなんて、あんまり良く知らないけれどさ中学で寮生活をしていた時に風呂場で、メッチャクチャ、チンコがでかいやつとかに会ったことがあるからさなんつーか、500ミリのペットボトル大勃起していない時で、そういう凄いチンコのヤツラがこの世の中にはたくさんいるからさ

公ちゃんの男性器がそこまで大きくないのはみすずたちにとって良いことだと思うわよペットボトル大とかナンセンスよちょっとした恐怖映画の怪物だわ

桃子姉ちゃんは、そう言うと

違う違う、わたくしは別に男性器の話とかしたいわけじゃないのよっもうっ

え違うんだ

とにかく今日は、わたくしも桜子のことで精一杯だったわだから、このまま帰りますけれど次は

今度はわたくし自身のことで、公ちゃんと向き合うわ

そうでないとそろそろ、わたくしも限界だもの

何が限界なのだろう

またね公ちゃんセバスティアヌス、まり子、お祖父様の部屋に戻るわよ

桃子姉ちゃんは、すっと身を翻すと部屋の入り口へと向かう

ああ、また今度桃子姉ちゃん

オレが桃子姉ちゃんに声を掛けると

ええ近々また会いましょう

桃子姉ちゃんは、笑顔でオレに振り返った

黒森様どうか、桜子のことをよろしくお願い致します

先に狩野聡子さんのお迎えの人が来た

香月セキュリティ・サービスと、聡子さんの実家の神崎家の人たちだ

これから狩野家へ行って、お子さんの典靖くんと身の回りの物を持ち出して神崎家へ戻る

本家の嫡男が連れ去られることについて、狩野家の分家やわずかに残っている家臣が抵抗するかもしれないがそこは、歌晏家と香月家の意向ということで押し切るらしい

まあ、狩野典明氏の押し込めも含めてジッちゃんと歌晏老人で、狩野家内部の根回しはほぼ終わっているはずだから

大きな問題はならないだろう

下手に逆らったら、本当に狩野家が潰されるかもしれないということは狩野家の人たちもよく判っているだろうし

はい、桜子のことはオレに任せて下さい

狩野聡子さんは、最後に深々とオレに頭を下げて部屋から退出した

部屋に残っているのは

オレ、克子姉、みすず、瑠璃子、美子さん、美智、美里、桜子、不知火シエさんの9人となる

狩野桜子様、お医者様がいらしていますので参りましょう

そう言ってやって来たのは香月セキュリティ・サービスの滝さんだった

久しぶりだなあ

桜子が、オレに言う

うん不知火さんも付いて行ってあげてよ一人じゃ、心細いだろうから

ということで桜子と不知火さんも部屋から退出した

これで7人

桜子さんがいなくなった途端

はぁぁ、あたしってダメな女ですわね

そういうことを言っていると、本当にダメな女になってしまうわよ

克子姉は笑顔で言う

人生は長いんだから今日ダメなら、明日は取り返せるように頑張りなさい

そうですわ、みすずお姉様みすずお姉様が不甲斐ないようでしたらお兄様も香月家も、わたくしがいただきますわ

みすずお姉様とお兄様の公式パートナーを解消して名家の皆々様たちの前で、瑠璃子がお兄様と結婚式を挙げても構いませんか

わたくしも自分の欲を抑えすぎていたと思います競い合いましょうお互いにお互いを磨き合いましょうみすずお姉様そうでないと、お兄様を狩野家の桜子さんや歌晏家の桃子お姉様に奪われてしまいますわ

そうね旦那様の公式のパートナーという立場をいただいて、少し浮かれていたと思うわあたしも、覚悟し直さないといけないわね

部屋の内線電話が突然、鳴り出した

美智が電話を取る

はいかしこまりました、少々お待ち下さいご主人様、香月様からでございます

オレは美智から受話器を受け取る

あ、代わりましたオレです

ああわたしだ

確かにジッちゃんの声だった

香月から聞いていると思うがどうしてもわたしが顔を出さなければならない重要な案件があってねこの後も別の会談が控えている

ああ、何かどこかの国の重要人物が来ているんだっけ

だから、今日そこで起きていたことについて全てを知っているわけではないが、わたしの代わりに関くんモニターしていてもらったからだいたいのことは今、報告してもらった

ジッちゃんの代わりにオレたちの様子を翔姉ちゃんが監視していたんだ

お前たちにやり込められて、歌晏のやつがヘコんでいるのだそうだな

いや、あのそれは

気にするなわたしもかつて、瑠璃子の時にお前にヘコまされたことがある

えそうだったっけ

わたしたちのような立場だと、人に叱責させるようなことはなくなる皆、わたしたちの機嫌を伺って悪いことも遠回しに言うからなわたしにとって瑠璃子の件は良い教訓になった瑠璃子をお前に売り飛ばしたのはわたし自身だがお前に瑠璃子を奪われたように感じているよ

今の歌晏もそうだろう全て自分の手の中で、お前や桜子くんたちを操っているつもりだったのにいつの間にか操りの糸は切れていて、お前たちは自立していたこういう体験は、歌晏にとっても新鮮だと思う

実際黒森家は、わたしたちから自立しているマルゴくんはついに、わたしに援助を求めなかった彼女は自分の才覚だけで、格闘技の興行を開催しようとしている

マルゴさんはスポンサーを見つけるために、香月家のパーティでレイちゃんと闘って見せたりしていたけれど

ジッちゃんには香月家からは、何の援助も求めていないのか

何から何まで香月家にすがるのは危険だということを理解しているんだろうまた、そういう立場になるのは面白くないとも感じているんだろう本当に独立心に満ちた強い女性だと思うよ御名穂くんや克子くんもそうだが黒森家の女性は、本当に強いわたしは彼女たちに敬意を払う

克子くんが言う通りわたしは、お前のお情けでお前たちの家族に入れてもらっているだけの人間だわたしは、お前にジッちゃんと呼ばれることが本当に嬉しいのだ後はできれば、わたしが生きている内に、みすずでも瑠璃子でも美子でもいいから、お前との間に赤ん坊を見たいそれだけを強く望んでいる

ジッちゃんは、真面目な声でそう言うと元の明るい声に戻り

歌晏には、わたしからも連絡しておくお前たちは気にしなくて良い落ち込んだ老人の相手は、同年代の友でなければ落ち込みが増すばかりだからなだから、お前にはみすずたちのフォローを頼むあの子たちも、他家の元気なお嬢さんたちに当てられてヘコんでいるだろ

そっちはお前に任すそれと、狩野聡子くんのフォローもこっちでしておくから

お前にとっては、桜子くんの母親は立派な大人に見えるんだろうがわたしや歌晏は、聡子くんが神崎家に生まれた時から知っているんだ聡子くんもわたしたちが救ってやらねばならない名家の娘なのだよ

そうか今年82歳のジッちゃんにとっては

桜子も桜子の育ての母の聡子さんも立場は同じなのか

歌晏のやつは平然と、10年間は狩野家の当主は定めないなどと言ったらしいがわたしも歌晏も80代だ10年先に生きているかどうかの保証は無いそれよりも歌晏の孫娘と、みすずたちがお前を認めているからだから、聡子くんはお前に大切な娘を託してくれたのだお前たちの将来性に賭けてくれたということだ

ああそうだよな

オレを信用してくれたわけじゃない

名家・神崎家の娘で名家・狩野家に嫁に行った聡子さんは

歌晏桃子姉ちゃんや、みすずたちのこともずっとよく知っているんだよな

だから、桃子姉ちゃんたちを信じてオレに桜子を託してくれた

聡子くんも夫が押し込めとなり、息子を連れて狩野家から実家に戻らなくてはならないことはショックなはずだ娘として可愛がっていた桜子くんをお前に奪われたこともしかし、聡子くんも名家の娘だお前たちのような若者には絶対に、辛い顔は見せたくないと思っている堪えているのだ

だから、聡子くんのことはわたしの方で何とかするすでに聡子くんの学生時代からの親友の女性に来てもらうことになっている神崎家の当主にも、絶対に聡子くんを責めないように強く言ってある

ジッちゃんオレたちには何かすることはある

無い強いて言うなら気が付かないフリをしていてくれ年長の人間には、年下の人間に気遣われるのが一番辛いからな

ジッちゃんは、歌晏老人のこともオレに言っている

オレたちが、歌晏さんに余計なフォローをしないようにって

オレは、ジッちゃんに答えた

桜子とシエさんは、後から香月セキュリティ・サービスの人が黒森家に連れて来てくれることになったので

先に帰って良いとレイちゃんから連絡が来た

オレたちは、また専用エレベーターでホテルの地下のVIP専用駐車場に降りる

しかし行きにオレたちを連れて来てくれたレイちゃんは

歌晏老人のところから、戻って来ない

克子姉の車は、5人しか乗れないし

オレたちは7人だ

さて、どうしようかと思っていると

みんなこっちだよ、こっち

駐車場の奥に、マルゴさんが来てくれていた

うわ、久しぶりのマルゴさんの業務用バンだ

白いボディに、今日は丸子典礼というロゴが取り付けられていた

あれ、今夜の祝勝パーティはマルゴさんも主役ですよね

何でここに居るんだ

そうだけどだから、準備はマナちゃんたちでやるって、あたしは追い出されたんだよ

それに君がいないとパーティが始められないから、さっさと連れて来いって寧にも言われてきた

とにかく、車が2台あれば全員が乗る

克子姉の車は、美里を下ろすために駅前ホテルに寄らないといけないけれどあそこはお屋敷まで15分も掛からない距離だし

さあ乗って

マルゴさんに言われてオレたちは、車に乗り込む

警護役は、それぞれの車に乗らないといけないから

美智は、克子姉の車の方だ

旦那様は先にお屋敷に戻られた方がいいですから

うん、オレはマルゴさんの車の方に乗ることにする

エレベーター・ホールの奥から

歌晏老人が、桃子姉ちゃんやまり子や山田太一さんや山田梅子さんやたくさんの警護役を連れて、駐車場へやって来た

桃子姉ちゃんが微笑む

まり子、あなたはこのまま、あっちの車に乗せてもらったら

すると、まり子は

公わたくしは桜子たちを待って後から行くから、先に帰ってて

大きな声で、オレに叫ぶ

オレは返事をするが

ああ、桃子姉ちゃんやまり子たちの後ろの歌晏老人は

とっても不機嫌な顔をしている

やっぱり、オレたちにヘコまされたのが後を引いているんだ

歌晏さんまた、遊びましょうね

笑顔で元気に歌晏老人に叫ぶ

小僧お前

今度は歌晏さんのルールじゃなくってオレたちのルールで、遊びましょう楽しみにしてて下さい

オレがそう叫ぶと

歌晏老人の表情が緩む

ふん好きにしろ

オレたちはそれぞれの車に乗り込みホテルから出発する

こうしてちゃんと最後には主役をやってくれるから良信くん(黒森公くん)には感謝です

とりこぼし分、何とかしましたはぁ

1254.余韻 / 押し掛けて来た客

・マルゴ・スタークウェザー・クロモリ/19歳金髪碧眼のアメリカ・インディアン今は黒森家の養女

・黒森マナ/15歳旧名・白坂舞夏雪乃の妹主人公の性奴隷

克子姉の車には美里と美智が乗った

マルゴさんの商用バンにはオレと、みすず、瑠璃子、美子さん、ヨミが乗り込む

香月家所有のホテルを出て、空が暗くなった夕方の街を抜け黒森家の屋敷に戻る

お兄様、お休みになっていて下さい

少し疲れた

やっぱり、名家の人たちとかお嬢様たちとの接するのはくたびれる

オレからしてみればやっぱり異世界の異文化の人たちだもんなぁ

あのマルゴお姉様、お尋ねしたいことがあるのですが

みすずが不意に、マルゴさんに言う

マルゴさんは運転しながら、ルームミラー越しに笑顔でみすずに答える

あのマルゴお姉様はどうして、こんなに急いで格闘技のビジネスを始められたのですか

確かにマルゴさんは、この半年間格闘技興行を行うために奔走しまくっている

自分の肉体を娼館の警護役から格闘家に改造することから初めて

スポーンサーを探したり、格闘ビジネス界の人とコネを作ったり

あたしは今年19歳だからさ

キョーコさんが昔、言ってたんだけれど人間は20歳までに、自分の基礎が定まってしまうって

基礎

考え方とか、生き方とか自分自身が世の中を渡っていくための個人的なルールとかかなそういうのって20歳までに出会った人の影響とか、それまでの生活の中で身に付けた物とかにずーっと縛られてしまうまあ、20歳を過ぎても軍隊に入るとか、刑務所に入るとか、故郷とは全く違う文化圏で暮らさないといけなくなるとか、そういう場合は基礎から変わっちゃう場合もあるんだろうけれどさでも、ほとんどの人の場合20歳までに体験したことが、残りの人生に影響するんだと思うんだよね

20歳までの生活と体験、出会った人たちの影響、知ったこと、学んだこと

娼館の元・娼婦のお姉さんたちを見ていて感じたんだけれどみんな、娼婦を引退した後も、物事の判断基準が娼婦だった頃と変わらないんだよねミナホなんてさ、娼婦としての稼働期間はほんの数年で身体を壊されちゃったからね娼館経営者として過ごしてきた時間の方が、娼婦として過ごした時間よりもずっと長いのに今でも、娼婦としての意地とか娼婦としての仁義にこだわっているよね克子さんも、そう何か判断をしなくちゃいけない時には、娼婦の考え方で動くそれが基礎になっちゃっているんだよ

確かにさっき克子姉はオレのために、歌晏老人に怒ってくれた

普通の人間は歌晏家の当主に、あんなにズケズケと文句は言えない

あれは克子姉の行動理念が黒い森の娼婦のままだからだ

政財界の大物を顧客にして肌を重ねて来た克子姉だからこそ、堂々と反抗してみせることができる

それも、ジッちゃんのことをわざとシゲちゃんと呼んだりして、可愛らしく怒ることで歌晏老人が、克子姉の言葉に反射的に反発するのを防いでいたと思う

そういうのも高級娼婦だった時に学んできたテクニックなんだと思う

あたしはさミナホにアメリカの養護施設で拾われてから、ずっと娼館の用心棒だったでしょだからさ裏の世界のこととか、効率の良い人の脅し方とか、そんなことばかり学んできたんだけれど

鏡の中のマルゴさんの口元が、苦笑する

娼館の用心棒のままで、20歳になるのはちょっと嫌だなって思ったんだよだから、20歳までに格闘家にチェンジしておきたいって、少し急いだんだ

みすずは、つぶやく

うん、残りの人生自分の基礎が娼館の用心棒より格闘家の方がいいなって思うからまあ、格闘家なんてずーっとやっていけるかは判らない職業だけれどとにかく、裏の世界のやり方とか考え方が自分の基礎として固まっちゃうのは怖いと思うんだあたしだけじゃなくって寧もね

あの子も、ここ数年はって言っても、中学生から高校生っていう一番多感な時期をズッポリ裏の世界で過ごしちゃったわけでしょ完全に抜け出すの無理だとしても、せめて少しでも表の世界に近いとこへ連れて行かないといけないと思うししばらくは、ミナホから遠ざけないといけないよね

ミナホ姉さんから

ミナホは娼館とか裏の世界のビジネスからは抜け出せないよそういう世界で生きていくことがミナホの基礎になっちゃっているからもちろん、予定通りに5年後には娼館は廃業するんだろうけれど、裏世界との付き合いは一生続くと思うよミナホの場合は

ミナホ姉さんは12歳で誘拐されて娼婦に堕とされてから、ずっと娼館の中で暮らして来た

克子さんは、良信くんたちとパンを作ったり特に、学校で実際にお客さんの学生たちにパンを売ることで、今、全面的な矯正を掛けているこのままいけば、克子さんの基礎は娼婦のままだとしても日常生活で見せる範囲においては、普通の人たちと問題なく暮らしていけると思うよ

さっき話した今までと違う環境に身を置くことで、克子さん自身が変わっていくんだよ今は克子さんパンの店頭販売や、パン製作の実習とかで君の学校の生徒たちも仲良く話をしているんだろ

家族だけの会話じゃなくってそういう外部の人たちの接触が、克子さんを良い方向に変えてくれるはずだよ年下の高校生たちとの交流はリハビリとしては最高なんじゃないかなただ

ルーム・ミラーの中のマルゴさんの眼が、ジロッとオレを見る

良信くん君は、克子さんに娼館のオープンまでミナホを助けるようにお願いしたんだってね

それはミナホにとってはありがた迷惑だったと思うよミナホは、克子さんを自分から自立させたいんだから

オレが克子姉に新しい娼館を手伝うように言ったのは大失敗だったのか

それでもリニューアル・オープンまでの話なんだよね今は、新人娼婦の子たちの研修も時間が足りてないみたいだし、克子さんが来てくれてミナホは助かっているかもしれないでも、運営が軌道に乗ったらミナホは、克子さんを新しい娼館には呼ばなくなると思うね

克子姉もそうだろう

オレが頼んだから、今は新しい娼館の手伝いに行っているけれど

克子姉は本当はもう娼館には近付きたくないんだもんな

まあ、二人とも大人だから君がそんなに気にしなくて良いことなのかもしれないむしろ、これで克子さんも娼館とケジメを付けて別れられると思うしとにかく、克子さんの矯正は君が高校を卒業するまで残り2年数ヶ月、たっぷりと時間を掛けてやっていくことになるんだし

克子姉はオレが高校を卒業するまで、自分のパン屋の開業を待ってくれている

だから、それまでは克子さんには娼婦としての基礎の上に、たっぷりと普通の人たちとの交流体験を積み重ねていくことができるでも、ミナホは

これからも、5年間は娼館の経営者として、裏の世界で生きていく

ミナホがどうして今みたいな性格話し方とか態度とか何で、ああいう人との関わり方しかできなくなっちゃったかは、君にも判るよね

オレは、オレのクラスの担任だった頃のミナホ姉さんを思い出す

ミナホ姉さんて、普通の人たちには基本的に、思いっきり相手にプレッシャーを掛ける態度でないと会話できないんですよねぇ

うんああでないと裏社会の怖い人たちとは、渡り合っていけないからね

常に、自分が優位になるように相手をネチネチといたぶるように、脅しながら怖い笑顔で余裕たっぷりに話すっていうやり方

ミナホは家族と香月さんみたいな目上の人たち以外にはああいう態度でしか対応できないでもあんなんじゃ普通の人には堪えられないよね

昔の良信くんぐらいだよああいうモードの時のミナホに食らいついていったのは普通の人は、二度とミナホとは会いたくないって思うだけだよ

ああああいう態度や言動が、ミナホ姉さんの基礎になっちゃっているんだ

そして、ミナホ姉さんがこれからも裏の世界で生きていく以上この基礎は崩れない

あたしや克子さんや寧もミナホ流のやり方はできるよ良信くんは、よく知っていると思うけれど

ああ、マルゴさんや寧がミナホ姉さん流のやり方で人を脅す様子は何度も見て来ている

あたしと克子さんと寧は黒い森の一番古いメンバーだからさミナホの影響を一番受けているからね

先に娼館から独立して自分の花屋をやっていた渚さんは、ミナホの影響はそんなに受けていない真緒ちゃんもいたしね

半年前までのあたしたちは、ミナホの強い影響下にあったのはさ、あたしたち自身の方にも問題があったんだよあたしも克子さんも寧もミナホの復讐心に同調することで、何とか自分自身の絶望に堪えていたから

克子姉は娼婦に堕とされて、人生をねじ曲げられことに

寧はシザーリオ・ヴァイオラに両親と最愛の弟さんを殺され、自分の命も狙われ続けていたことに

マルゴさんは金髪碧眼で生まれて、インディアン居留地の中でずっと迫害されてきて実の父親たちにレイプされ自分の父親を銃殺してしまったことに絶望していた

あたしたち黒い森の初期メンバーは、それぞれ絶望の淵にいただけどミナホの白坂創介に対する復讐計画に参加することでギリギリ何とか生きる意欲を保たせていたんだと思うあの頃は

マルゴさんは暗い声でそう言うとククッと笑って

だけど、ミナホの復讐は半年前に終わったんだからさそういう関係も終わりにしないとねみんなそれぞれ前に歩き出したんだよ

そうだ今は、もう、みんな絶望はしていない

オレたちには、守らなくてはいけない家族がいる

そうか渚が、マルゴさんたちほどミナホ姉さんの影響下に入らなかったのは

守らなくてはいけない真緒ちゃんが居たからか

人は自分自身よりも大切な人がいれば絶望なんてしているわけにはいかないんだ

あたしたちがミナホの影響下から抜け出していくことを抜け出さなきゃいけないってことを、ミナホも自分で判っているんだよだから、ミナホは、最近ずっと新しい娼館に泊まり込んで、黒森のお屋敷の方には帰って来ないんだよ

自分が一人だけまだ裏の世界の中に居て、暗い空気を発していることに気付いているんだよそういう波動が手伝いに来ている克子さんはしょうがないけれど、あたしや寧に影響を及ぼさないように、ミナホなりに心配してくれているんだよね

自分の影響下から離れて行こうとするマルゴさんや寧のために

でも、それだと今、みんなと別れているミナホ姉さんは、すっげぇ寂しいじゃないですか

そうだろうねでもあたしたちには、どうすることもできないあたしたちはあたしたちで、自分の道を切り開くのに今は精一杯だから

マルゴさんも寧も克子姉も黒い森の初期メンバーは、ミナホ姉さんから巣立ちしないといけない

判りましたオレが何とかします

マルゴさんは、クククと笑い出す

君が、そこまで頑張る必要は無いんだよ

何のために、今、新しい娼館に珠代さんが居ると思うのさ珠代さん以外にも、引退した黒い森の元・娼婦のお姉さんたちが、順番にミナホの様子を見に行ってくれているそうだよ

ミナホが娼館で過ごした年月は、決してムダじゃなかったってことだよミナホが娼婦だった時の先輩も経営の方に移ってから、サポートした人たちも、ミナホのことを忘れてはいないってミナホが、あの地獄みたいな場所で必死に生きてきたことを、みんな見てきているんだから

ミナホのケアはお姉さんたちに任せておけばいい君は、君が今するべきことを頑張ってミナホは、いつでも君のことを観ているんだからそしてミナホが帰って来た時に、少しだけ優しくしてあげてよそれで充分なんだから

年下のオレがあからさまに心配そうな顔をする方が

ミナホ姉さんを傷付けることになるのか

判りましたオレは、オレのするべきことをやります

オレは、マルゴさんに約束する

あたしも、変わらなきゃ

みすずがそっと呟く

ただのお嬢様のまま、20歳を迎えるのは嫌ですわ

みすずも、今日一日で色々と考えることがあったらしい

わたくしはすでに動き出しておりますわ

え瑠璃子、お前

お兄様、わたくし前に、香月家の明治期の旧館を紹介するテレビ番組に出演致しましたでしょ

あ、ああそういうのをこの間、放送した

オレも観た

あれが、今度、本になります香月グルーブの出版社から続いて、香月瑠璃子が紹介する香月家の秘宝や香月瑠璃子と観る、日本の宝などテレビ番組と書籍のシリーズ化が決定しております

わたくしただのお嬢様にはなりません日本で一番良く知られている名家のお嬢様になりますわたくしは、名家の広報ウーマンとして名家と一般の人たちを繋ぐ役割に就きたいと思っております

まずは香月家の屋敷や宝物から始めて他の名家の歴史ある建物や宝物を、わたくしが一般の方たちに紹介させていただきますそれで名家の伝統や、何代にも渡って続いてきた家の重さを皆様に知っていただきたいと思うのです

そういう活動を誰かがしなければ鞍馬家の鞍馬閣のようなことが、また起きてしまいますから

ああ、鞍馬閣はとても素晴らしい建築物で、名家の宝の一つだったのに

鞍馬家の若い当主が悪いやつにそそのかされて、取り壊してしまった

ジッちゃんが、こっそりと移築させたから何とか守れそうだけれど

世間の皆様に、名家の宝物の価値を知っていただいたらあのような破壊はできなくなると思うのです

先に広く価値を知らしめてしまったら

若い名家の当主が無茶なことをするのに歯止めが掛かるか

香月家のわたくしがお願いすればそれぞれの名家の方たちも協力して下さると思いますし、失礼がないようにプロジェクトチームを組んでいただくことに致しましたもちろんメンバーは全員女性ですので、ご安心下さい

お兄様にご心配いただくようなことは、絶対に起きないように徹底して配慮致しますわ

そして、隣に座っている美子さんに

美子も手伝ってちょうだいいいわね

瑠璃子は主人モードで言った

美子さんは、嬉しそうに言う

この人はやっぱり瑠璃子に仕えるのが好きなんだ

いつでにお兄様色々なカメラと、その使い方も習って参りますから、お楽しみに

瑠璃子のハメ撮り好きは変わらないようだ

あたし、どうしよう

みすずがうつむいてポツリと言った

オレが、みすずに声を掛けようとすると

先生こういう時は、放っておいてさしあげるべきですわ

そうだね今、声を掛けるのは、みすずちゃんを甘やかせるだけになると思うよ

マルゴさんも笑顔でオレに言った

Darlingお帰りナノネ

お屋敷に帰るとイーディとマナとありすが出迎えてくれた

ただイーディは

なぜか派手な色の水着の上に、ビロードのたっぷりとしたマントを羽織り頭に王冠を乗せている

今日はアタシの祝勝会ダカラ主役らしい格好にしたノネ

いやイーディ、その姿は

どう見ても、美女コンテストの世界大会の優勝者だぞ

マルゴの分もあるネ、マルゴはどこ

ガレージに車を入れているよ

マルゴさんこの格好するのかな

あ、Darling今日は、アタシ、トモダチ呼んだのネ

え友達

もう食堂の方に来ているよイーディちゃんの格闘技仲間が

YESセイコとハルコとポロンとミミとグレースなのネ

昨日の女子格闘技大会に出場した選手でマルゴさんと一緒にアメリカへ行くと宣言した人たちか

えーと創作マーシャルアーツゴールデンバウム・ジム主宰のルドルフ聖子さんと

ルドルフさんの弟子のライン晴子さんと

超実戦空手トミー・アシダ道場の大ポロン・カリスマンと

同じ道場のモンキー・ミミさんと

女子プロレスラーのグレース・マリンカさんか

アニエスちゃんの訓練のために呼んだらしいよ

ほら、アニエスちゃんたち明日から学校でしょいきなり家族じゃない人たちがいっぱいいる世界に行くんじゃなくって

外の人の方を、お招きしたノネ

それでアニエスちゃんには、外の人たちの前では絶対にセックスの話題とかは禁止って言ってあるからルナちやんとコヨミちゃんが横に張り付いているから、うっかり話しそうになっても巫女の力で食い止めるし

アタシやマルゴのトモダチに失礼なことをしないトイウところカラ実践的に学ばせるノネ

ああ悪い考えじゃないな

女子生徒だらけの超お嬢様学校に行く前の練習には丁度いいか

それから、お兄ちゃん他にも、変な人が来ているけど

えどんな人

それがもの凄く、お料理が上手なのよ二人とも

二人

お料理だけじゃないネ今日は早く来て、パーティ会場のお掃除とかもやってくれたヨスゴクよく働くしかも笑顔Darling、あの子たち当たりネ

って誰のことだよ

栗宮素子様ですわ

ずっと横でオレたちの話を聞いていたありすが言う

栗宮様とお付きの御厨さんもご一緒です

ああ昨夜、一緒にイーディたちの試合を観戦した

槍の師範の武闘派お嬢様とその警護役か

お客さんだからいいって言ったんだけれど気にしないで下さいって、どんどんお料理や家事を手伝ってくれるのしかもどんなこともスッゴく上手いんだよ

パーティのお料理の半分くらいは、あの人たちに手伝ってもらっちゃたもの

ええーっとた、確か

あの子たちはオレの側室になるとか言ってるんじゃなかったっけ

今、栗宮さんはどちらに

みすずがマナに尋ねる

もちろん、パーティ会場の食堂にいるよ

新たなるお嬢様の登場にみすずの顔色が変わる

仕事から帰って来てベッドで寝たままの父に

どう大丈夫と聞くと

ああ、何か言わなきゃいけないことがあったんだよなぁ

悪い予感

何思い出せる

と、父は

あ、思い出したウンチ漏らした

で着替えてないの

うん着替えてはいない

ついに老人用オムツの出番

風呂場連れてって、ベッドのシーツなんかも全取っ替えの大騒ぎ

ウンチ漏らしたってどんなシムラケン世界だよっ

ダッフンだぁぁ

1255.余韻 / 祝勝パーティ (その1)

◇白坂姉妹

・白坂雪乃/16歳主人公にレイプされて現在、妊娠中登山ロープ並みに神経が太い少女

・黒森マナ/14歳旧名・白坂舞夏雪乃の妹主人公の性奴隷

◇犯罪組織黒い森

・黒森御名穂/黒森家当主娼館の経営者

◇主人公の高校

・星崎可奈/17歳愛のテニス部の先輩主人公の性奴隷2年生で一番の美人

◇超お嬢様校の生徒

・鳥居まり子/16歳トリイ電子の社長令嬢名家・狩野家の血は引く

・不知火シエ/17歳桜子の警護役裁縫係として採用

・安奈エリカ/14歳瑠璃子の後輩主人公の性奴隷

・高畑茉莉花/16歳長い髪のピアノ少女実はエリカの姉(学校は別の高校)

◇鷹倉神社の巫女

◇セックス奴隷たち

・安城キヌカ/13歳主人公の性奴隷元・ありすの警護役ミタマの妹

・アーデルハイト鹿取/13歳まり子の元・警護役日独ハーフハイジ

◇香月セキュリティ・サービス

◇その他

◇格闘美女&格闘美少女

・グレース・マリンカ/21歳女子レスラーほややんとした性格

パーティ会場となる食堂へ行くと

武闘派お嬢様の栗宮素子さんと、彼女の警護役の御厨くるみさんがオレたちを出迎えてくれた

2人とも、和服の上に割烹着という戦前の若奥様な格好だった

お兄さんスゴイです、この人たち

2人でパッパカとお料理でも何でも、もの凄い早さでやってくんですわ

13歳の双子のリエとエリが、オレに言う

確かにテーブルの上には、たくさんの美味しそうな料理が並んでいる

克子お姉ちゃんが残してったレシピをあたしと恵美お姉ちゃんが中心になって午後から作ってたんだけど、この人たちが来たらアッという間に全部作っちゃったんだよ

ああ、台所からメグも出て来た

メグとマナは瑠璃子と一緒に、この半年、克子姉の家事の技術を学んできている

克子姉が外出しないといけなかったから、パーティの料理の準備を頼まれていたのか

わたくしもくるみもお料理、お洗濯、お掃除、お裁縫などの家事一切と槍の技を祖母より徹底的に仕込まれておりますから

はい、わたくしも家事と槍を、大奥様より教わりました

えーと家事と槍

栗宮家の娘は家事と槍ができなくてはなりませんから

どちらも、素子お嬢様は免許皆伝なさっております

くるみも、もう少しよあなたの免状は、栗宮家槍術家元として、わたくしが認可致しますからね

はい、早くお免状がいただけるように日々精進致します

主と警護役は、そんなことを言い合う

あでも、黒森様わたくしたち、夜伽の技については、何も教えていただいておりませんので

大奥様がそういうものは、全て殿方の趣味・嗜好に合わせるものだと

ですから、黒森様のお好みでまだ色の付いていないわたくしたちを、ご自由にお染め下さいませ

2人はニッコリと微笑んでオレに頭を下げる

あ、あの栗宮さん、これはどういうことなの

ご安心下さい今日はご挨拶に参りましただけでございますから

栗宮さんは、笑顔で答える

輿入れの日取りは黒森様とご相談して、吉日を選びたいと思っております

輿入れって何だ

本日は黒森様のご愛妾の末席に加えていただくために、ご先達の皆様へのご挨拶と

こちらのお屋敷の中での槍の置き場とお稽古場所を探しておこうと思い、参上致しました

ああ、オレの側室になるって話本気なんだ

しかも、ここに槍も持って来るんだ

あ、あたし、何も聞いていませんわ旦那様

いや、オレもあんまり良く知らないっていうか、正式な話は何も聞いていないんだけれど

まあ香月様にはすでに栗宮家からご許可をいただいておりますが

栗宮素子さんは、そう言う

黒森御名穂様にもお電話でお話して、お許しをいただきましたわ

ジッちゃんさっきの電話でも、何も言って無かったぞ

ミナホ姉さんからも、何も聞かされてはいない

突然のことでご迷惑だとは思いますがわたくしもくるみも、みすず様や他のご愛妾の皆様を軽んじるようなことは決して致しません

もちろん、黒森様には生涯、お仕え致します決して口答えは決して致しませんどんなことでも致します忠節を尽くします

ただ2つだけ、お願いがございます

お願いがございます

毎日、数時間だけわたくしたちに槍のお稽古をさせて下さいませ

槍に触れさせて下さいませ

それとわたくしとくるみが産む、黒森様のお子に栗宮流槍術を伝授することをお許し下さいませ

お許し下さいませ

わたくしは栗宮流槍術を、わたくしの代で断絶させるわけにはいかないのでございます

どうかよろしくお願い致します

栗宮さんと御厨さんは息を合わせて、オレに言う

つまりお家の槍を伝えるために、栗宮さんたちは旦那様にお仕えするというの

ありていに申し上げればその通りでございます

栗宮さんは、笑顔のまま答える

しかし、わたくしもくるみも昨日、黒森様とお人柄を拝見し、この方ならばと感じました

はい、黒森様でしたらわたくしも、全てをお捧げできると思います

やっぱり一緒に、イーディの試合を観戦することになったのは

あれはお見合いだったのか

この方ならわたくしたちを受け入れて下さると感じましたし、この方の下ならば栗宮流槍術を後世に伝えることができるはずだと

わたくしも感じました

つまり、栗宮さんたちは槍の技の伝承が、何よりも大切なんだ

他の名家に嫁に行ったら栗宮流の槍の稽古をさせてもらえないし

そこの家で子供を産んでも、槍の技を伝えることは禁じられるかもしれないから

この屋敷に来て、心ゆくまで槍を極める代わりにオレの側室として、家事でも何でも引き受けるということなんだな

栗宮さんと御厨さんはわたくしたちの学校の中でも、とりわけ変わっていらっしゃいますものね

横から瑠璃子が言う

確かにお兄様でないと他の男性では、受けとめきれないかもしれません

でも瑠璃子

みすずが、瑠璃子に振り向く

栗宮家は香月家や歌晏家や狩野家ほどでは無いけれど、名家の中では家格の高い家よ可憐の水島家や、ありすさんの鞍馬家よりもずっと

だから、格上の香月家の命令で可憐やありすが、オレたちのところに居ることが許されている

そういう名家のルールはもう、いいではありませんかみすずお姉様

瑠璃子は、笑ってそう言う

大切なのは、栗宮さんたちのお気持ちとお兄様が、お受け入れになるかどうかだけですわ

はい、ですから本日は黒森様に、わたくしたちの能力を知っていただきたいと思い、馳せ参じましたお望みでしたら夜伽の方もわたくしとくるみの身体も、お試し下さって構いませんわ

はいいかようにもして下さいませ

うんとそれは

とにかく今日は、マルゴさんとイーディの祝勝会だからそういうことは全部、後にしてくれもちろん、栗宮さんと御厨さんの料理は、じっくり味わって食べるけど

はい、お召し上がり下さいませ

お召し上がり下さいませ

栗宮さんと御厨さんは、ニッコリとオレに微笑む

お祖父様にお電話して参ります

みすずが、キッとなってそう言うが

いや、ダメだよジッちゃんは何か、どっかの国の偉い人と会っている最中らしいからさっき、そう言ってた

さっきの電話で、ジッちゃんが栗宮さんたちのことをオレに話さなかったということは

これぐらいのことは、自分たちで解決しろっていうことだろう

栗宮さんを受け入れるか、拒絶するかはオレ次第だってことだ

あれれー、どうしたのーミィちゃん、余裕が無いねー

と寧が、食堂に入ってくる

何何々やっとメグちゃんが腹を括ったと思ったら、今度はミィちゃん

みすずに向かってニィと微笑む

あたしはそういうことではありませんわ

自分の地位を脅かしそうな人が入ってきそうになってから、大慌てになるっていうのはみっともないと思うよ逆を言うと、今までミィちゃんがいかに他の子たちをナメてたかってことでしょヨッちゃんの表の妻の座は、自分のものだってタカをくくってたわけだからさ

香月家の娘である自分はヨッちゃんの一番隣の位置は、絶対にキープできるはずだとか思ってなかった

そういう寧お姉様は、どうなんですか

みすずはムッとして、寧に言い返す

寧お姉様こそ自分が旦那様に一番近いと考えていらっしゃるのではありませんか

おーおー、ミィちゃんも言うようになったねえ瑞兆、瑞兆言いたいことを言い合えない姉妹より、こうやってケンカを恐れずに何でも話せる方が全然良いもんねっ

あたしはミィちゃんみたいに欲深じゃないもんあたしは、ヨッちゃんが幸せなら、それでいいからさ別に、自分がヨッちゃんの一番になりたいとかは考えないよ

あたしはヨッちゃんだけ、オンリー・ワンだものヨッちゃんがこの世界に生きているから、あたしもこの世界で生きていたいと思うしヨッちゃんが信者ったら、あたしも死んじゃうしあたしは家族が大好きだしお姉ちゃんたちも、妹たちもみんな大事だけれどでも、この家族だって、真ん中にヨッちゃんが居るから、何とかまとまっている家族でしょ

それは判りますけれど

あたしは、ヨッちゃんを愛していてるよ宇宙で一番だからヨッちゃんにとって、あたしが何番目でもいいんだよ何番目だろうが、あたしはいつも全力でヨッちゃんのことを愛してるもん好き好き、ヨッちゃん

寧はそう言ってオレを抱き締め

唇にチュッとキスをする

今日も、頑張ったね偉いよ、ヨッちゃん

寧の柔らかくて温かな身体に抱き締められているとオレの身体から、スーッと力が抜けていく

大変だったんだよねこんなに身体が緊張しちゃってずっと、身体に力が入ったままだったもんね

桜子のこととか歌晏老人とか

今日も、メチャクチャ緊張することばかりだった

どんな展開になっても、オレは桜子が不幸にならないように必死で考えて行動しないといけなかったんだから

自暴自棄な処女のお嬢様を前にして失敗は許されなかった

ミナホ姉さんと、ジッちゃんと、歌晏老人が次から次へと、色んな人を送り込んで来たから

もうちょっとシンプルにことが進めば良かったんだけどさいつものように、色んな人たちの思惑が絡んだからさなかなかツラかったよ

オレが寧に言ったツラかったという言葉にみすずは、驚く

うん、ヨッちゃんお帰りもう、ここはヨッちゃんの家の中だからね名家の人たちと会うときみたいに気張らなくていいんだよ

自分の大きな胸を、オレの頬に押し付けて寧は言う

それから栗宮さんたちを見て

あなたたちも、うちの子になりたいんならさ対戦モードになっていない、素顔のヨッちゃんのこともよく見て

判っておりますわわたくしもくるみも香月家でのガーデンパーティで、香月様や歌晏桃子様の発せられるプレッシャーを敢然と受けとめていらっしゃる黒森様を拝見させていただきましたからいつも、あんな風に気張っていらっしゃったら精神が保ちませんわ

わたくしもくるみも家の中では、黒森様にリラックスしていただけるように努めないといけないのですわね判りました精進致します

ご忠告、ありがとうございます

栗宮さんと御厨さんが、寧に言う

そうそう、愛情の押し付けはダメだからね気を付けて

うんうん、物分かりが良くて助かるよこれ以上、ミィちゃんみたいな子が増えると困るけれどあなたたちみたいに気遣いができる子なら、みんなも歓迎してくれると思うよっ

寧の言葉にみすずは、絶句する

あ、ヨッちゃんそろそろ、お客さんたちみんなここの部屋に呼ぶけれど、いいよね

お客さんああ、昨日の女子格闘技大会に出場していた選手たちが、イーディの招きで来ているんだっけ

マルゴお姉ちゃんが、ヨッちゃんたちを迎えに行ってたからさあたしが、お客さんたちに庭とか、ここのお屋敷の中で見せても良い場所だけ案内してあげてたの今は、マルゴお姉ちゃんが戻って来たからガイドを交代してもらたんだよお客さんたちを呼ぶ前に、ヨッちゃんの顔を普通の高校1年生に戻さないといけないと思ったからさ

みすずのパートナーとして香月家の当主であるジッちゃんに認められた男黒森公としての顔のままでいるのは良くないか

これから行われるのは、マルゴさんとイーディの祝勝会なんだから

ただの高校1年生の黒森良信に戻らないといけない

お姉ちゃんはキリリッとしたヨッちゃんも好きだけどヘニャヘニャでいいんだよここは、家の中なんだから

寧は、笑顔でオレに言う

うん、そうだねはぁぁ

うんうんいつものヨッちゃんの顔だ可愛いよ、ヨッちゃん

寧はもう一度、オレの唇にキスをすると

じゃお客さんたちを連れて来まーす

笑顔で食堂から出て行く

台所からエプロン姿の愛とメグが、出て来る

おっ、ただ今愛、メグ

オレが2人に声を掛けると

お料理はその人たちが手伝ってくれて、全部できたから愛は、恵美ちゃんとパーティの最後に出すケーキを作ってた

愛もキリっとしてる吉田くんよりクタクタしている吉田くんの方が好き

クタクタ

うん、クタクタ大分、クタクタしてきたこっちの方が、吉田くんは可愛いよ

愛が、オレのほっぽたを手で撫でながらそう言う

そうねあたしも今のヨシくんの方が好きだわ

名家とかの人たちに会いに行く時のヨシくんは頭の中をフル回転させてて、いっぱいいっぱいな感じなのよそれはぞれで素敵だけどヨシくんは、気が抜けてホエっとしている時の方がいいわ

クタクタとかホエッとか

とにかく、オレはカッコつけずに頭悪さを隠さないでいた方が良いっていうことなんだろう

とにかくお疲れ様何があったかは判らないけれど大変だったみたいねその辺に座ってて何か冷たい物でも、持ってきましょうか

じゃあ麦茶をくれ

そう言えば喉が渇いている

判ったわみすずさんたちも麦茶でいいわね

メグが台所に戻ろうとすると

スーッと、栗宮さんと御厨さんがメグの後ろに付いていく

あの人たち、ああやって付いて来るけれど、絶対にあたしたちの邪魔にならないようにしてるんだよ自分たちから、余計なことは言わないでお台所の中の物のありかや、あたしたちがどんな風に道具を使っているかとか、ずっと観察して手伝いが必要なことだけ、ササッと助けてくるんだよね

マナが、小声でオレに言った

絶対に押しつけがましいことはしないのこっちが手伝って欲しい範囲を適確に把握してくれて勝手に味付けを変えたりはしないんだよそれでいて、手伝ってくれたものはあたしたちだけで作るよりも、確実に良くなっているの本当にもの凄くお料理が上手な人たちなんだなって判ったから途中からどんどん積極的に、お料理を手伝ってもらうことにしたんだていうか、最終的に3品ぐらいは克子お姉ちゃんのレシピだけ見せて作ってもらったけれどこれがまた、ちゃんと克子お姉ちゃんの味になっているんだよね

良い人たち愛もそう思うあの人たち本気でうちの子になりたいんだって判った

愛がそう言った

結局、ここのお屋敷は何なんだいマルゴやイーディはここのお屋敷とどういう関係になっているのさ

マルゴさんとイーディが女子格闘家たちを連れて来る

マルゴさんに質問しているのは超実戦空手のトミー・アシダ道場に所属しているモンキー・ミミさんだ

そうやねうちもよう判らんわ2人とも出身はアメリカやろここのお屋敷の持ち主とは、どういう関係

同じくトミー・アシダ道場の先輩の大ポロン・カリスマン選手も尋ねる

ああここのお屋敷の持ち主は篤志家でねここは、今、特殊な事情を抱えている人たちの孤児院みたいになっているんだよ

さっきも話したけれどあたしはアメリカに帰る場所が無いから

アタシもネ最後の肉親だったグランマは亡くなったしニューオリンズには帰る家が無いヨ

まだミスコンの優勝者の格好をしているイーディも笑顔で答える

ここの子たちは、みんなそんな感じなんだよね、吉田くん

マルゴさんは、いきなりオレに声を掛ける

あ、はいオレも親は離婚してますし親父が失踪しました

黒森の家の黒森公ではなく吉田良信として答える

あたしも、ロクでなしのパパは死んじゃってママとお祖父ちゃんに見捨てられて、ここの家に拾ってもらいました

マナがオレに続けて言う

わたくしも今年の5月に父を亡くしましたわ

嘘ではない瑠璃子の父は、ミス・コーデリアに蹴り殺された

驚いて、オレたちにそう答えたのは創作マーシャルアーツゴールデンバウム・ジム所属のライン晴子さんだ

そうそうあたしなんて、ロサンゼルスで家族全員、地元のギャングに殺されちゃってるし嘘じゃないよ当時の新聞記事とか、見せてあげようか

寧みたいな事情の子は少ないけれどでも、他にも似たような事情の子も何人かいるんだよねそういうわけだからさあたしたちはいいけれど小さい子たちもいるし他の子たちには、あんまり個人的な事情を尋ねたりしないであげてね

マルゴさんが、女子選手たちに釘を刺す

わ、判ったわ子供たちを傷付けるようなことはしないわ

ゴールデンバウム・ジム主催のルドルフ聖子選手が約束してくれた

みんなも頼むよまあ、何人かはあなたたちも知ってると思うけれど

普段は無口な美少女女子プロレスラーのグレース・マリンカ選手が答えた

じゃあそろそろ、他の子たちも呼んできてええですか

みんな、待ってますからうちらが呼んで来ます

双子のエリとリエがマルゴさんに尋ねる

あれれあんたたちって

モンキー・ミミさんが2人に気付く

確かテレビに出ている子でしょ

あそうだわわたしも毎週、観てるもの

ルドルフ聖子さんも気付いた

そうですわお父ちゃんとお母ちゃんがヤクザで

自分の親分さんの家にピストル持って襲撃掛けて死んでしもうて、大ニュースになりましたわ

わたしがエリです

うちがリエですわ

双子が、ニコッと微笑む

あそうだわ双子の悪魔だわ

モンキー・ミミさんが、双子を指差してそう言う

嫌やな、リエちゃん双子の悪魔なんて

しゃーないよ、エリちゃんこの間、テレビ局の中で色んなゲーノージンに恥かかせたから

ネットでわたしのこと双子の悪魔ってアダナ付けられてしもうとるんよね情けないわ

うちら、悪魔やないのになぁお兄さん

うん悪魔じゃないよな

双子は、雪乃のために嫌がらせをしていた芸能人たちに仕返ししに行っただけだから

ちょっと、パーティとかいつ始まるのよあたし、お腹がペコペコよあたしは、お腹の子の分まで人の3倍食べないといけないんですからねっ

雪乃が、食堂に入って来る

げっ白坂雪乃っ

モンキー・ミミさんが、雪乃の顔を見て仰天する

何よげっっていうのは何なのよっ

いや、それはげっ、げっげげげのげ

歌って誤魔化そうとするモンキーさんに、雪乃は

そこはせめて、♪ゲッ、ゲッ、GET THE GLORY♪でしょうが

と訳の判らないことを言う

ま、待って双子の悪魔と白坂雪乃がここに居るということは

モンキー・ミミさんが、そう言った瞬間

安城ミタマ、ただ今、参上

ミタマと顔を時代劇みたいな頭巾で隠したキヌカが乱入して来る

そしてその後ろから

ありすと可憐とハイジが

さらに、鷹倉家の月子とルナとコヨミちゃんがヨミと合流する

そして、エリカと茉莉花の姉妹

お店から、ここに来る途中で可奈ちゃんを拾って来たわよ

あたしも来たわよルンッ

渚が、可奈センパイと入って来る

最後にアニエスと真緒ちゃんが、手を繋いでやって来た

マルゴお姉ちゃん、イーディちゃん優勝おめでとうですのっ

2人で元気に明るくマルゴさんとイーディを讃える

まあ、可愛いわぁん

ポロンさんが、アニエスたちを見てそう言った

まあみんな、揃っちゃったのね

オレやみすずたちのための麦茶を台所からワゴンで運んできたメグが言う

ええっとこれでまだ来ていないのは

美里を新しい娼館に送って行った克子姉と美智

ミナホ姉さんはパーティに来てくれるんだろうか

それから、桜子と彼女の処女喪失後検診が終わるのを待ってくれているまり子と不知火シエさんこの3人は、多分レイちゃんが2人を連れて来てくれると思う

翔姉ちゃんは、ジッちゃんのお偉いさんとの面談に付いているから今日は無理か

あれ、あの子たちどうしたのさ

モンキー・ミミさんが、マルゴさんに尋ねる

ああ、あの子たちは寧が今、呼んでくるよ

チーム・クロモリの中で1人だけ優勝できなかったから罰ゲームとして、裏庭の草刈りをしてもらっているんだ

え片方の子は、優勝してたでしょうが

モンキーさんは言う

それがこの子が優勝できなかったのは、自分にも責任があるから一緒に罰ゲームをするって言うからさ

苦笑するマルゴさん

ほら、あんたたちちょっと急いでシャワー浴びて来て、その格好じゃパーティに出られないよっ

寧の声の方を見ると

お揃いのジャージの上下に、麦わら帽子に片手にカマを持って、手足と顔が泥だらけの

工藤遙花と天童乙女改め、剣道マリアが廊下を歩いて行く

工藤遙花は、クラス優勝して剣道マリアは、途中で負けたんだった

10分だけ待っててすぐに着替えさせるから

寧が、オレたちに言う

じゃあマナちゃん、みんなに飲み物を配ってくれるかい

はーい栗宮さん、御厨さん、お手伝いいただけますか

ありすやキヌカたちも手伝ってくれるようだ

みんなワラワラとパーティの準備に入る

お客様たちはこちらのテーブルにどうぞ

メグが、女子格闘選手たちを席に誘導した

あううう、パパ

たくさんの知らない人たちしかも、みんな大きくて迫力のある人たちだから

アニエスは、緊張している

大丈夫ヨみんな、アタシとマルゴのトモダチネ

イーディが、アニエスに微笑む

あ、そうだ ついでに、あたしの友達も呼んだわよ

突然雪乃が言う

え、雪乃お前

驚くオレ

いたのか友達

馬鹿もうっ

雪乃が、オレの足をカツンと蹴る

と、そこへお屋敷の正門に誰かが着たことを示すブザーが鳴った

だ、誰だ

あたしの友達って行ったら決まっているでしょ

食堂のモニターに正門の前に停まった車の座席が、クローズ・アップされる

夜だけど誰かが来たら照明のライトが付くからすぐ判る

あらお笑いのスナッチじゃない

ルドルフ聖子さんが画面を観て言った

嘘、スナッチも来たの

モンキー・ミミさんもモニターを覗き込む

確かに雪乃の番組に出てくれているお笑い芸人のスナッチが、車の運転席に乗っていた

あららスナッチの車の後部座席に居るの

うん間違いなく、フランシーね

これまた雪乃のテレビに出演してくれているオカマのフランシーも来ていた

太りすぎてて、助手席だとシートベルトが締められないっていう話本当だったみたいね

モンキーさんが、そう言う

ええっとオレが正門まで行って、誘導しましょうか

正門を開けるのは、ここから遠隔操作でできるけれど

お屋敷のどこに車を停めればいいかとかは判らないだろうから

あ、大丈夫みたいだよ良信くん

マルゴさんが、モニターを観て言う

丁度他の車も着いたみたいだから

スナッチの車の後ろにさらに2台、車が来た

1台は克子姉が運転する車

助手席には美智

ああ後ろに、ミナホ姉さんも乗っている

ミナホ姉さん来てくれたんだ

それから、もう1台は

ねえねえあれって

モンキー・ミミさんが思わず叫ぶ

藤宮麗華よね

うん間違いないと思うわ

ルドルフ聖子さんが言う

レイちゃんの運転する車中には、まり子と桜子と不知火シエさんの姿が見えた

ああ、桜子だけの検診だから早く終わったんだな

どうすんのよ藤宮麗華まで来ちゃったわよ何なのよ、ここ

モンキー・ミミさんが騒ぐ

パーティは、ほぼフルメンバーで行きます

これはサクっと終わらせて、さっさと新章へ行きたいと思っているのですが

前は同じ分量を書くのに3時間ぐらいでできたのに

最近は4時間ぐらいかかります

集中力が落ちているのかもはぁ

1256.余韻 / 祝勝パーティ (その2)

◇主人公の高校の生徒

・香月瑠璃子/15歳香月家の令嬢主人公のセックス奴隷みすずの従妹

・香月美子/18歳香月家の令嬢普段は瑠璃子のお付きの立場に戻っている

・スナッチ/雪乃のテレビ番組に出ているお笑い芸人

・フランシー/雪乃のテレビ番組に出ているオカマのコラムニスト

ちょっと、雪乃ちゃんここ、良い感じのお屋敷じゃない写真撮って、ブログに載せちゃってもいい

雪乃に付き合って、玄関まで出迎えに行くとオカマのフランシーが、雪乃に言った

そんなことしたらあきませんわ

うん確実に死ぬわなぁ

絶対に殺されますわ

間違いないです

雪乃のテレビ番組でフランシーと共演している双子のエリとリエが苦笑して言う

おいおい冗談だろ

お笑い芸人のスナッチが、双子たちに尋ねると

冗談ではありませんわここで見聞きしたことは、一切他言無用に願います

ミナホ姉さんが美智と克子姉と一緒に、玄関から入って来てフランシーとスナッチに言う

だ、誰なの

明らかに思いオーラを背負っているミナホ姉さんに2人の客はたじろぐ

その人、怒らせちゃダメよホントに、人の命なんか何とも思っていない人だから

雪乃が嫌味っぽく、ミナホ姉さんを見る

あたしは黒森御名穂、この屋敷の主です

ミナホ姉さんは、そう自己紹介すると

うちの雪乃がいつもお世話になっております

スッとスナッチとフランシーに頭を下げる

ミナホ姉さんが雪乃のために

ちょっちょっと

わたしたちの大切な家族である雪乃のことを、お二人がいつも大変可愛がって下さっていることには家族一堂感謝しております

ミナホ姉さんは、そう言うと顔を上げる

眼から強いプレッシャーを、発しながら

ゆえあって、わたしはやこの屋敷に関することはお二人にご説明することはできませんどうか、ご詮索なさらないで下さいませ

いや、だけどよ

ミナホ姉さんの圧迫感に男のスナッチは思わず反発してしまう

待ちなさい、スナッチ

しかし、フランシーは

あたし判るわこの人のこの独特の雰囲気これって裏の世界の人のものなのよ

ミナホ姉さんは否定も肯定もしない

どうぞ今夜は、当家でのパーティをお楽しみ下さい

とどうでもいいことを答える

フランシーは、深く溜息を吐き

こんな業の深そうな人に会うのは久しぶりよまったく

雪乃ちゃんもたいがいだけどこの人は、輪を掛けて重たそうよね

だから、知らない方がいいことは知らないでいいのよ

まあそういうことなんでしょうね

フランシーは、ふんふんとうなずいている

だから、今夜は細かいことは考えないで、ここのお屋敷のパーティを楽しんでってよ

しかしな、雪乃

スナッチは、まだスッキリしないらしい

こんばんはいらっしゃいませ

ヨミと月子がやって来る

もう一度、ルールを説明しますここのお屋敷の位置や、お屋敷の中の様子、お屋敷に住んでいる家族の人たちのことは、一切、誰にも話してはいけません

写真などはご遠慮下さいませそれからここのお屋敷の敷地の外に出るまでは、携帯電話などの記録装置のある機会には一切手を触れないで下さい

ていうか、この建物の中からは電波の発信などはできなくなってますけどね

その他、何か疑問に思ったことやお困りのことがございましたら、すぐにわたくしたちにご相談下さい

勝手に何かやったり、色んな場所を覗きに行ったりしちゃダメですからね

そういうルールでよろしくお願い致します

二人は巫女の力を発していた

あ、ああ判った

そ、そうなのじゃ、仕方ないわね

スナッチとフランシーの心にルールが書き込まれる

格闘技の選手たちにもすでに、同じ術を掛けてあります

ミタマが、オレの耳に囁くミタマも今は番組の出演者だからオレたちと一緒に出迎えに来ていた

そうかさっき、寧が格闘家の女性たちを庭に連れ出した時に

巫女の力やら電波遮断やら、色んな方法ですでに危険の除去が行われている

だから、今夜のパーティの客たちからこの屋敷についての情報が漏れる心配は無いのか

はいもういいですわ

ヨミがパンと大きく手を叩く

美智が玄関のドアを開けて、外に居るレイちゃんたちを呼ぶ

やれやれただ今

まずはレイちゃんが中に入って来る

ええ藤宮麗華

何で、ここに居るのよ

ああオレたちの監視カメラは、一番最後に来たレイちゃんの顔まで見えていたけれど

スナッチとフランシーには、1台後ろの克子姉たちまでしか見えていなかったのか

わたくしは、ここのお屋敷の住人家族の一員ですですからわたくしに出会ったことは、他言無用に願います

レイちゃんは、笑顔で言う

そうよ今、ただ今って言ってたでしょ

雪乃がレイちゃんの言葉を裏付けた

わたくしが、なぜこちらのお屋敷に住んでいるかということも全て、機密事項でのでお話できません

ああ何か、判ってきたような気がする

スナッチは言う

スナッチは、半年前のキョーコさんがテレビスタジオを乗っ取って、レイちゃんと最初の戦闘をテレビ放送した時にその場に居た

何か判っても、言っちゃダメよいいわね

フランシーが、スナッチに言う

ああ、判ってるよルールなんだよな、ああ、チクショ

巫女の力が発動している

もういいんでしょ入るわよ

レイちゃんの背後から

まり子が、桜子と不知火シエさんの背中を押して入って来た

わたくしもただ今っと

見知らぬ場所と、見知らぬ人たちに桜子とシエさんは、緊張している

何、固くなっているのよこれからは週の半分は、ここで暮らすことになるんだからあなたたちの家になるのよ

まり子が桜子と不知火シエさんにニカッと微笑む

桜子さんとシエさんねお話は、うかがっているわ

つまり、二人を引き受けるということはジッちゃんから、もう話が通っている

何もご心配なく黒森家は、あなたたちを受け入れるわ

ミナホ姉さんの笑顔はちょっと怖い相手にプレッシャーを感じさせる暗い微笑だ

狩野桜子ですこの度は、ご面倒をお掛け致しますどうぞ、よろしくお願い致します

スッとミナホ姉さんに頭を下げる桜子

その立ち振る舞いだけで育ちの良さが判る

し、不知火シエでございます

不知火さんも、慌てて頭を下げた

ええ歓迎するわ

ミナホ姉さんは、二人に応えた

あの、黒森御名穂様わたくしも、初めましてでございますわね

まり子も、ミナホ姉さんに一礼する

鳥居まり子でございますお留守の時にいつもこちらに来させていただいています

ええ、知っているわあなたは、あたしのことは知らないでしょうけれどわたくしは、あなたがここの屋敷でしたことは全て知っているわ

オレとまり子のセックスもミナホ姉さんは、覗き見している

あたし、あなたには少し期待しているのよあなたみたいなお行儀の悪い、躾のなっていない子の方が、見ていて面白いから何より、あなたは元気だしね

ミナホ姉さんそれ褒め言葉になってないよ

顔は微笑んでいるけれどまり子に圧力を掛けているとしか思えない

あなたのことも歓迎するわ

まり子の足が、震えている

あー、この強気な資産家のお嬢様は

ミナホ姉さんみたいな人と、真っ正面から対話するのは、これが初めてなんだろうな

常に、抜き身のナイフを片手に握っているような人との対面は

みんな、もう揃っているのね

ああジッちゃんと翔姉ちゃん以外は

じゃあ、パーティの会場へ行きましょう

オレたちは食堂へと向かう

桜子、大丈夫か

食堂に向かう廊下の途中で、そっと桜子の耳に囁く

はい問題無いそうです今すぐにでも、お相手致します

桜子は笑顔で答えた

処女喪失したばかりだから幾らなんでも今すぐはムチャだ

無理をするなお前、ガニマタで歩いているぞ

腰を重そうにして歩いている桜子のお尻を眺めながら、オレは歩く

この小さくて細い身体の中にほんの数時間前には、オレのチンコが入っていた

今もオレの精液が、桜子の子宮に溜まっている

詮索しちゃいけないのは判っているけれどこんなに可愛い女の子ばかり揃っていると、色々と想像しちゃうわ

フランシーが雪乃にそんなことを言っている

それがまだまだ居るのよ

嘘だろ何だ、そりゃ

スナッチは、信じていないようだ

そんな話をしているうちにオレたちは、食堂に着いた

せーの

寧の号令とともに

部屋の中のオレの女たちが一斉に、挨拶する

何よ小鳥ちゃんと天使ちゃんばっかりじゃないの

す、すげぇ

フランシーとスナッチは、ただただ感嘆している

わー、ホントに桜子様だぁぁ

超お嬢様校の後輩であるエリカが桜子の姿を見て、やって来る

ようこそ桜子様

可憐とありすも

新しく来た桜子とシエさんとオレがセックスしたか聞きたいのだと思う

女子選手たちは、オレが帰って来る前からイーディの友達として紹介されているからアニエスは、オレの女だとは思っていない

オレが近くに居たときの雰囲気も違うし

だけど桜子にはオレが肌を重ねた空気を感じ取ったのだろう

そ、そのですの

しかし、アニエスにはお客さんたちの前では、セックスに関する言葉は喋らないように言ってあるし

ルナとコヨミちゃんが、べったりと側に付いてアニエスの心の状態を監視している

桜子は、オレたちの家族になったよシエさんの方は取りあえず、保留中だ

アニエスの顔が、パッと明るくなる

アニエスは家族が増えることに、いつも喜びを感じている

アニエスですのよろしくお願いしますですの

ニコッと、桜子に微笑んだ

狩野桜子ですよろしくお願い致します

桜子も、アニエスに笑顔で応える

アニエス、桜子にみんなを紹介してあげてくれルナとコヨミちゃんアニエスを頼むよまり子とエリカと可憐は、桜子とシエさんを頼む

とりあえず従姉妹のまり子に、顔見知りのエリカと可憐がいれば、桜子とシエさんは安心するだろう

じゃあ、まず真緒ちゃんと渚ちゃんから紹介しますですのっ

アニエスが、桜子を渚たちの方へ連れて行く

はいはいはーいみんな揃ったんだから、グラスを持ってぇぇ

マイクを持って、寧がみんなに言う

何だとんでもねぇ美少女だな

うん綺麗な子ね

スナッチとフランシーが、寧を見て言う・

はーい、グラス配ってまーす

無い人は手を上げて

飲み物も好きなものを注いで下さい

エプロンドレス姿のマナとメグと瑠璃子が、みんなにグラスを配っていた

他の子たちもとにかく、みんな可愛いわよ

ああアイドル専門の芸能事務所だって、ここまでのタマは揃ってないぜ

とマナが、女子格闘家たちのテーブルへ行って

格闘家の皆さんはお酒ですか

飲み物を尋ねる

ワインもビールもシャンペンも他のお酒も一通り、用意してありますけれど

ええーっとあたしは、最初の一杯だけはいただきますわ

創作マーシャルアーツのルドルフ聖子さんはそう言う

うちの晴子は未成年だからお酒はダメよ

炭酸飲料や、糖分が強いものもダメなんです

ルドルフ聖子さんの弟子のライン晴子は言う

そう思ってお茶とかも、何種類も用意してありますから、お好きなものをどうぞ

マナは、笑顔で答えた

うちの子たちもあんまり甘い飲み物は好まないから

みんな、お茶とかなんだよな

炭酸やジュースを飲みたがるのは、エリとリエの双子ぐらいだ

うちらも最初だけは、お酒をいただきますわ

超実戦空手のポロン選手が言う

わたしたちも、スポンサーとかの接待の時にはお酒を飲まないわけにはいかないから、多少は飲むのよ

ポロン選手と同じ道場のモンキー・ミミ選手がそう言った

わたしも出されたものは、拒まずに杯は全て飲み干すそれが決まりだった

女子プロレスラーのグレース・マリンカさんが言う

だったら、シャンパンを開けちゃおうよいいのがあるんだ

マルゴさんが瓶を持って来て言う

そちらのお二人スナッチさんとフランシーさんも、シャンパンいかがですか

マルゴさんが持っている瓶を見て

ちょっと、あんたそれ

フランシーが、慌ててマルゴさんの方へやって来る

これすっごい高いやつでしょあたし、知ってるわよ

そうでもないですよあたしが選んできたんだけど、そこそこのヤツしか持って来てないですから

ああここのお屋敷、お酒はいっぱいあるのよでも、ここの大人の人たちって、普段はほとんど飲まないから

この屋敷の酒蔵の中にあるものは政財界の大物の顧客たち用に仕入れてきた銘酒ばかりだ

克子姉たちが、そんなに飲まないのは娼婦だった時に、お客さんの相手をして飲まされたのを思い出すからだろう

何だったら、二人ともお土産に一本ぐらいワインを持ってっても構わないと思うわよ

って雪乃ちゃんが言っているけれどミナホ、いいかい

マルゴさんが、ミナホ姉さんに許可を取る

じゃあ大目に持って来たから、あそこの瓶の中から選んで下さい

マルゴさんが、ワイン瓶を置いてあるテーブルを指差す

おいおいおい、これはオレも知ってるぜ一本、20万円ぐらいするワインだろ

こっちのはもっと高いと思うわよ

スナッチとフランシーは、ワイン瓶を一本一本確かめていく

そんなの後にしなさいよ

雪乃が2人に言う

そうですよはい、シャンパン・グラスをどうぞ

マルゴさんは、2人の前にグラスを置く

それじゃあシャンパンを開けますね

マルゴさんが瓶を持つ

シュポンッ

小気味の良い音とともにシャンパンの栓が飛ぶ

はい注ぎます

マルゴさんは、そのままスナッチとフランシーのグラスに、注いでいく

いいただくわ

うんマルゴさん、お酒を注ぐ姿も颯爽としているな

格好いい

じゃあルドルフさんたちにも

ええっとあなたの祝勝会なのに、注いでもらうのは悪くない

ルドルフさんが尋ねる

いいんですよここはあたしの家で、皆さんはお客さんなんだからあたしが注がせていただきます

マルゴさんはルドルフさん、ポロンさん、ミミさん、グレースさんのグラスにもシャンパンを注いでいく

ハルコには、アタシが注いであげるノネ

イーディが、冷たいお茶の入ったピッチャーを持って来てライン晴子さんの持ったグラスに注ぐ

イイノヨこれから長い付き合いになるんダカラネ

この女子選手たちと一緒にマルゴさんたちは、アメリカへ進出する

はーい、そんじゃあ皆さーんグラスは持ってますかぁ飲み物は入ってますかぁ

寧がマイクを持って、会場のみんなを見渡す

あ、あたしグラス無いです

ちょっとマリアあんた何をやっているのよ

工藤遙花がすっかり妹分と化している天童乙女改め剣道マリアを叱る

あ、マリアもお茶ね

えーっ、じゃないわよあんただけは、昨日の大会で途中負けなんだからもっと節制しなさいよ

そうだマルゴさん、イーディ、工藤遙花はそ、それぞれのクラスで優勝している

だってじゃないわよあんたはね何事にも真剣さが足りないのよ

工藤遙花のバカ真面目っぷりが剣道マリアに良い影響を与えている

関西ヤクザのスパイだった頃の面影はすっかり消えている

あの旦那様、お茶でよろしいですか

ああオレもまだだった

みすずが、グラスとお茶を持って来る

オレはみすずから、グラスを受け取りながら

堂々としていろよ焦っているのが丸見えなのはよくないぞ

自分に自信を持てよ

みすずがうつむくから、オレはこっそりと、みすずのお尻を揉む

みすずのお尻は自信を持っていいと思うぞ

オレは、ニコッと微笑んだ

はいはいはーいみんな、グラスあるねっそれじゃあマルゴお姉ちゃん、イーディ、工藤遙花さんの優勝を祝って、みんなで乾杯しまーす乾杯の音頭はミナホお姉ちゃん、お願いしまーす

寧がミナホ姉さんを指名する

あらあたしでいいの

ミナホ姉さんが、マルゴさんを見る

うんあたしは、ミナホがいい

イーディも、笑顔で言った

では僭越ながら

ミナホ姉さんはグラスを片手に、立ち上がる

マルゴ、イーディさん、工藤遙花さんおめでとうよく頑張ったわねでも、まだ道の途中よ今日は、思い切り騒いで明日からまた精進しなさい

ミナホ姉さんの言葉は厳しさの中に、優しさが見えた

お客様たちも本日は、ありがとうございますでは乾杯

そして祝勝パーティが始まる

うーんなぜか、妙に日々忙しい

はぁぁ作品を書くのに割ける時間が安定しない

困ったもんだ

まあ、最終的には睡眠時間を削れば済むことなんだけれど

1257.余韻 / 和解

・グレース・マリンカ/21歳女子レスラーぽややんとした性格

それでは皆さーん、しばらくご歓談をお楽しみ下さーい

乾杯が済むと司会役の寧が、マイクで言う

今日の祝勝パーティはいつもの家族だけじゃない

新しく家族になった桜子とシエさんもいるし

イーディが呼んだ女子格闘家の皆さん

さらには、雪乃が呼んだお笑い芸人のスナッチとオカマタレントのフランシーまで来ている

場が和むのには少し、時間が必要だ

はーいお皿とお箸をどうぞ

お料理もいっぱいありますから、食べて下さい

マナとメグが中心になって今度は小皿と箸を配っていく

あら、あたしの残してったレシピ通りにみんなできてるわね

克子姉が、料理を見て笑顔で言う

それはあそこのお二人がお手伝いしてくれたんです

メグが和服に割烹着姿の栗宮素子さんと御厨くるみさんを示す

ああ、この人たちも居た

いえいえ、わたくしたちは

マナさん、恵美さんのご指示通りにお手伝いしただけですわ

槍の師範の武闘派お嬢様たちが謙遜して言う

そんなことないよあたしよりも、素子さんたちの方がずーっとお料理が上手だもん

克子お姉ちゃんの置いてったレシピと下ごしらえが終わっている食材を見たら克子お姉ちゃんが、どういう味にしたいのかのイメージをパパッと理解して、もの凄い勢いで仕上げていくんだもの

いえいえいえいえわたくしも、くるみもまだまだ未熟者でございます

どうぞご指導下さいませ

栗宮さんと御厨さんは深々と克子姉に頭を下げる

あの子たちもなのよね香月様から、お話はうかがったわ

乾杯の音頭を取ったミナホ姉さんがシャンパングラスを片手に持って、オレのところに来た

取りあえずは受け入れるけれど最終判断は、あなたに任せるわ

黒森家の屋敷に受け入れることは了承するが本当に側室にするかどうかは、オレが決めるんだな

克子が歌晏様に直談判に行ってくれたから名家の面倒な子を押し付けられるのは、これで止まると思うわ

ああ桜子たちと栗宮さんたちでストップか

没落名家の鞍馬家の美里とありす姉妹に

香月家からペナルティを受けることになった名家・水島家の可憐

さらには、名家じゃないけれど名家の血を引くまり子に

一般家庭の子だけれど、超お嬢様校の中等部のスターのエリカ

ここのところ問題を抱えたお嬢様たちが、みんな、オレのところに来てたからなぁ

何言っているのよ歌晏桃子様が残っているでしょ

うううわざと忘れたフリをしていたのに

あの方こそ何とかしてさしあげないといけないわよ対等にお話することができる相手が、あなたしかいないんだから

歌晏家のお嬢様の桃子姉ちゃんにとってはみんな目下だからな

親しくなった子は、みんな妹分だと思っているし

ホント、ああいう性格だと友達はできにくいよな

オレはミナホ姉さんに約束する

頼むわじゃ、あたし、向こうの部屋で仕事をしているから

ミナホ姉さん、またパーティは始まったばかりだよ

乾杯して、シャンパンを一杯飲んだだけで料理だって何も食べていないはずだ

あたしが居たらお客様たちが落ち着けないでしょ

確かにスナッチたちも、格闘家の皆さんも見た目は若いのに、異様に威圧感のあるミナホ姉さんを不思議そうにチラチラと見ている

あなたたちだけの方が楽しいパーティになるわよ

ミナホ姉さんは居るだけで近くの人たちにプレッシャーを掛けてしまうけれど

みんな落ち着かないだけでミナホのことを怖がってはいないよ

スッと近付いて来たマルゴさんが笑顔で、ミナホ姉さんに言った

あの人たちは、みんなそれぞれの世界で、ミナホ並みに怖い人を見てきているからねだから、普通の人みたいに、怖がったりはしていないよ

ああ芸能界でも、それなりに活躍している2人と

格闘技の世界に身を置いてこれまた、それなりに実績の有る人たちだもんな

普通の人たちよりは規格外の人間に慣れている

でも、今晩中にやらないといけない仕事があるのよ古くからのお客様に新しい娼館のご案内のお手紙も書かないといけないし

業務再開のお知らせは娼館主のあたしが、お一人お人のに手書きで書かないと失礼に当たるわ

娼館の再開の準備は着々と進んでいる

そうじゃあ、また後で顔を出してよミナホ、今夜はこっちに泊まるの

ええ、あっちは今日は珠代さんが、引退したお姉様たちと一緒に新人の子たちの面倒を見て下さっているわ今頃、みんなであたしの悪口でも言って盛り上がっているんじゃないかしら

苦笑して答えるミナホ姉さん

そうかなむしろミナホが娼館の娼婦を守るために、どれだけ闘って来たかを話してくれていると思うよ

マルゴさんはそう言うと

今夜は来てくれてありがとう、ミナホ

笑顔でミナホ姉さんに礼を言う

妹のお祝いのパーティなんだから、来ないわけにはいかないわよ

ミナホ姉さんは少し照れた声で答えた

娼館再開の追い込みの忙しい時にわざわざ、戻って来てくれたんだ

アメリカでミナホがあたしを拾ってくれたからあたしは夢を見ることができたんだ感謝しているよミナホ

あなたは才能のある子よあたしと出会わなくなって、きっと成功していくわよ

ミナホ姉さんの言葉に、マルゴさんは首を振って

違うよミナホに会えなかったら、あたしはまだアメリカの田舎の養護施設の中に居るよそして暗くて思い過去から、一歩も抜け出せないまま、あそこで干涸らびていたと思う

それこそ、あなたの誤解よマルゴあなたは、あなたが思っているよりもずっと強いわ今だってあたしが手伝わなくても、ちゃんと着実に自分の計画を進めていってるじゃない

マルゴさんは香月家の力だけでなくミナホ姉さんの力も借りていない

寧と2人でアメリカ進出の夢に向かって突き進んでいる

そうだよあたしたちは、手伝ってはもらわないよこれは、あたしたちの夢だからミナホはミナホで、今、やらなくてはいけないことがあるんだし自分のことは自分でやるさ

マルゴさんは笑って、そう言う

それでもあたしたちは、いつも、ミナホに力を貰っているんだよミナホを身近に感じ入るんだ

あたしを

不思議そうにマルゴさんを見るミナホ姉さん

そうさ格闘技興行のためにスポンサーを口説きに行く時とかさ面談の前に、寧と一緒に話しているんだこういう人を相手にする時は、ミナホならどうするんだろうっていつも

それで作戦を立てていくけれどあたしは19歳で、寧は18歳だよ20歳も30歳も年上のオジサンたちに色々と言い負かされそうになった時にはさまた、ミナホなら、こんな人には絶対に負けないはずだって自分に言い聞かせて必死で食い下がるんだよ

フフッと、小さく笑う

あたしや寧の心の中にはリトル・ミナホが住んでいるんだよねそして心の中のミナホが、何か困ったことに直面する度にいつもあたしたちのことを叱咤激励してくれているんだどんな時でも、心の中のミナホがあたしたちと一緒に闘ってくれているとっても心強いんだよ

だから、ありがとうミナホいつも、あたしたちの心の中に居てくれてあたしたちの姉になってくれて、ありがとうあたしたちにたくさんの素敵な家族をくれて、ありがとうミナホが居てくれたからあたしは、ちゃんとやっていけている頑張れているんだよありがとう

ば、馬鹿なこと言わないでよあたしなんかが心の中にいたら、小うるさくって溜まらないわよとにかく仕事してくれるわ優勝、おめでとう

マルゴさんにそう言うとそのまま立ち去って、食堂の外へ歩いて行く

うーんミナホお姉ちゃんは、相変わらず照れ屋だねぇ

いつの間にか横から見ていた寧が退室していくミナホ姉さんの背中を見て、クスッと笑った

でも良かったね来てくれてっ

寧もミナホ姉さんが今夜のパーティに来てくれたことが嬉しいらしい

良信くんもありがとう

オレは礼を言われるようなことは、何もしていない

君と出会って、ミナホは変わった昔のミナホならパーティの最初の乾杯だけ付き合うなんてことすらしなかったよ

そうだよねぇ暗い部屋で、あたしたちが楽しんでるのを監視カメラで眺めながら次の悪巧みの準備をしていたよねぇ

ヨッちゃん、後でミナホお姉ちゃんに食べ物を差し入れしに行ってよ今すぐじゃなくていいから

そうだな後で、パーティの料理をお皿に乗せて運んであげよう

オレが返事をすると寧は、食堂の中を見渡して

さてさて皆さんのご歓談は、どんな感じかな

オレも、部屋の中をぐるっと見てみる

もっと盛った方がよろしいでしょうか

栗宮さんと御厨さんは、料理のテーブルのところに張り付いてみんなに給仕している

あの槍姉妹は人間ができすきているよね

ヤッちゃん槍姉妹って

レズっ子なら百合姉妹なんだけれどあの子たちに、そういう雰囲気は無いからどっちもノンケっぽいんだよねぇそんで槍っ子なんでしょだから槍姉妹槍マンとかじゃないんだから良いでしょっ

あなたたち、そこは代わるわお食事して、みんなとお喋りして来なさい

克子姉が槍姉妹に言う

いえわたくしたちは

皆様のために、ご奉仕する立場でございますから

ああオレの女の末席がどうとか言ってたな

でも、まだそういうことになったわけではないんだから

今夜は、あなたたちもお客様なのよ

いえ、わたくしたちの覚悟はできております

わたくしたちにできることは何でもさせていただきたいと思っております

はぁぁ参ったな

アニエスちょっと来い

オレは、アニエスを呼ぶ

アニエスが、パタパタとオレの方へやって来る

もちろんルナとコヨミちゃんも一緒だ

オレは、アニエスと一緒に槍姉妹の所へ行く

黒森様何を召し上がります

皆様もわたくしがお取り致します

御厨さんたちは、取り皿を用意してオレたちを出迎える

アニエスこの人たちは

アニエスは真剣な眼で、オレを見上げる

オレたちの家族になりたいと言ってきてくれたんだがまだ、どうするかオレは決めていない

栗宮さんは

そんなことおっしゃらずにこちらに置いて下さいませ

わたくしにできることは、何でも致します

御厨さんも、笑顔を崩さずにそう言う

オレは、アニエスの意見を聞いてみたいんですこの子は、うちの年少組の中心ですから

オレは槍姉妹たちに、そう言うとアニエスを見て

というわけだからアニエス、このお姉さんたちとちょっとご飯を食べながらお話してみてくれそれでうちの家族にした方がいいか、アニエスの意見をオレに教えてくれいいな

アイ・アイ・サーですのっ

アニエスは、オレに敬礼すると

ルナとコヨミちやんも手伝って下さいですのアニエスは、あんまり外の人たちのことを知りませんからもし、悪い人たちだったらダマされてしまうかもしれませんのっ

わたくしたち悪い人ではないですわ

御厨さんが、そう言うが

いいえ、本当は悪い人の方が自分は悪い人じゃないって言ったりするから、注意しなくてはいけないんですのっアニエスは、そう教わりましたですのっ

どなたにです

栗宮さんが尋ねる

真緒ちゃんに教わりましたですのっ

12歳のアニエスが4歳の真緒ちゃんに教わったのか

明日からアニエスはお外に行かなければなりませんの

ああ、明日の月曜日からアニエスたちは超お嬢様校に編入する

アニエス栗宮さんたちは、お前の学校の先輩だから学校のことも、色々と聞いておけ

かしこまりましたですのっ

アニエスは、オレにうなずくと

可憐ちゃんとハイジちゃんも、こっちに来て下さいですの

可憐とハイジを呼ぶ

もし、学校のことでアニエスを騙そうとしても可憐ちゃんが気付きますですの

いや、確かに可憐は超お嬢様校の生徒だけれど

どうして、そこまで栗宮さんたちを警戒しているんだ

ああーやっぱり、あの槍姉妹に何か信用できないものを感じ取ってるみたいだよねっ

うんちょっとアニエスたちの反応を見てみよう

ていうかルナとコヨミちゃんが、すでに槍姉妹の心の中をチェックしているんだろうけれど

ではみんなでお食事しながら、取り調べをしますですの

えーと誰かアニエスに刑事ドラマとか観せたのか

栗宮さんと御厨さんは年少組のグループに連れて行かれる

料理の給仕係は

克子お姉様、そこはわたくしと美子がやりますから

瑠璃子と美子さんが担当する

じゃ、頼むわちょっと心配だから、アニエスちゃんの方を見ているわ

克子姉も、アニエスたちのテーブルに向かった

新しく来た桜子とシエさんを中心にエリカと茉莉花の姉妹、ありすとキヌカ&ミタマ、エリカと可奈センパイが集まっている

ちょっといいの可奈

まり子が小声で尋ねる

あなたホントは、あっちの芸能人の居る方のテーブルに行きたいんじゃない

可奈先輩は

お笑いの人は興味無いわもう一人の人も

そっけなく言う

あ、イケメン俳優とかも、どうでもいいわよあたしは、ノブ一筋だから

ニッと、まり子に微笑む

むしろ、女優さんとか女性アーティストなら、話を聞いてみたいと思うけれど

ふうん、そうなんだわたくしも、テレビなんてほとんど観ないし、芸能人も興味が無いのよね

女子高生2人に、興味が無いと言われたスナッチたちは

どういうことだか女子格闘家たちのテーブルに合流していた

そんでな普段から、イーディお姉さんはもの凄―く強いんですわ

こっちの美智さんも強いです

どうやらスナッチとフランシーと共演している双子がこのテーブルに連れて来たらしい

雪乃とマナにイーディと美智メグもここのテーブルら居る

渚と真緒ちゃんに工藤遙花と剣道マリアも

ああお嬢様ではない普通の子が集結しちゃった感じなんだな

みんな芸能人にも格闘女子にも興味があるみたいだ

うん、その子が何かヤバいのは知っているよ

モンキー・ミミさんが、美智を見て言う

確かあんたの妹なんだろ

と、工藤遙花に言った

あたしはこの子の不肖の姉ですから

ツンとして工藤遙花は言う

ルドルフ聖子さんが尋ねる

あたしたちの家に工藤流古武術っていうのがあるんですよ先祖代々、それを伝えてきていたんですけれど

わたくしはお祖父様より、工藤流古武術の全てを学びました

だから、この子は底抜けに強いのよ姉のあたしよりも、ずっとずっと強いんだから

姉のあんたはその工藤流古武術ってのは使えないのかい

モンキーさんが問う

あたしは習わなかったんですあの工藤流古武術は、古臭くて、カッコ悪くて、全然ダメな武術だと思っていたんでだから空手を習ったんです

どうしてです妹さんは強いのに

ポロン選手が、不思議そうに尋ねた

それがあたしたちの父親が父親が工藤流古武術を使うんですけれどこの父親が、とにかくカッコ悪くて、ダメなんですあたし、子供の頃からチャランポランな父が大っ嫌いでだから、工藤流古武術もダイッ嫌いだったんです

服のセンスも変だし言動は訳が判らないし友達がおかしな人ばかりだし武闘の技も変なんです工藤流古武術ネバーセイ・ネバーアゲインとか

その技は昔、工藤父に仕掛けられたことがある

あの技は、父のオリジナルです工藤流古武術に昔からある技ではございません

父は修行の途中で祖父の家から飛び出したので、工藤流の免許皆伝には至っていないのです

そんなの知らないわよとにかく、あの人はいつも家にいなくてあちこちをフラフラしているし稼ぎは悪いし結局、母との仲は悪くなっていくし母も馬鹿だから、変な男と不倫して離婚するハメになっちゃうしホント、どうしようもないオトコなのよっあの人は

工藤遙花は父に対する怒りをブチ撒ける

だから、嫌だったんです工藤流古武術とか父に、技を習うのとか絶対に嫌だと思ってたんですあたしは

ああちょっとは判るなあ

モンキー・ミミさんが口を開く

あたしの実家山梨でほうとう屋をやってたんだけどねほうとうって知ってるよね平べったくて太いウドンなんだけれどさ

ほうとうか

そんでまあうちの店は、昭和の頃にあたしのお祖父さんが始めたんだけれどどういうつもりだったのか、店の名前をほうとうむすこってのにしちゃってさその名前の呪いなのかもしれないけれど本当に息子が、つまりあたしの父親は放蕩息子になっちゃってねぇ店のお金を盗んで、ギャンブルに使ったり母親に隠れて、外に愛人を作ったり困った人だったんだよだから、あたしも子供の頃は、親父のことが大嫌いだったんだよねぇ

今は、どうなんです

ずっと黙っていたグレース・マリンカさんが尋ねる

うーん、嫌いだよねえだから、あたしモンキー・ミミなんて名前で闘ってるわけだしさ嫌なんだよ本名の、萩原美々子っていう名前が親父の名前が萩原美々男でさ最後の1文字しか違わないんだよねだからさ、自分の名前を見ると親父のことを思い出すからさモンキー・ミミにしているんだよ

ミミさんはそう言う

って言ってもうちの父親は、もう死んじゃってるからねえいつものようにベロンベロンに酔っ払ってた時にさたまたま、その日に台風が上陸してさ山梨を直撃したんだよねそしたら、親父酔っ払っているのに、店の様子を見てくるって外に出てさなぜか店とは反対側の方角の飲み屋街に向かう途中に、農業用の用水路に落ちて溺れ死んだんだよねあたしが高2の時に

だから、死んじゃったんだから、もう恨みは忘れて水に流せっていう親戚もいるんだけれど無理なんだよねえだって、親父との良い思い出とか一つも無いんだからどっか、遊びに連れてってもらったとか一度も無いし親父のことを思い出しても酔っ払っている顔か、キレまくってお母さんのことを蹴飛ばしている姿かしか出て来ないんでもん楽しい記憶が無いんだからさぁ

オレもそうだな

本当の母親に関する楽しい思い出は一つも無い

そんで山梨の実家はさあたし、兄ちゃんが2人居るんだけれど親父が死んだら、上の兄ちゃんがほうとう屋は、継ぎたくないって言い出して車の洗車専門店を始めたのねでも、それが経営的には、あんまり上手くいってなくてさそれで下の兄ちゃんが、親戚のほうとう屋で修行して洗車専門店の敷地の中で、ほうとうの店を始めたんだよそんでさ店の名前をほうとうむすこのままにすると、親父みたいな子がまた産まれるかもしけないだろだから

モンキー・ミミさんは言う

上の兄ちゃんが阪神ファンで、下の兄ちゃんが車好きだからさ店の名前は、タイガー洗車ポルシェほうとうって言うんだよ

ミミ、それもしかして、笑うとこなん

ポロン・カリスマン選手が尋ねる

そうだよ笑うとこ、笑うとこ

モンキー・ミミ選手はニヤッと笑う

ちゃんと下の兄ちゃんのほうとう屋にはタミヤの16分の1のプラモデルが作って置いてあるから

ま、みんな親で苦労しているってことよね

話を聞いていたフランシーが言う

あたしの場合は、オカマになっちゃったから親の方を困らせているけれどだって、あたし本名は、青井龍治よ

それはまた男っぽい名前だ

龍治なんて、英語で言ったらドラゴン・スレイヤーよしかも、青井でブルードラゴン退治なんだからっ

フランシーが、強く言う

だから、あたしも子供の頃は、龍治って名前は嫌いだったわぁしかも、あたし雑誌連載でデビューしたでしょ本名が印刷されてお店に並ぶのは嫌だったからそれで慌ててペンネームをフランシーにしたのよ

確かに、名前は大切よね

いやあの弟子のリング・ネームを強制的にライン晴子にした人が、よく言う

ああ、ライン晴子さんが師匠を睨んでいる

考えてみれば子供が産まれた時に、親が最初にするのが命名なんやわねやっぱり、親の責任が大きいのよねぇ

ポロンさんが、そう言うのを聞いていると

愛がちょんちょんと、オレの肩を叩く

オレに台所の方を指差す

あのねちょっと来て欲しいの

愛はみんなのためにケーキを作っていたはずだから

何か、オレに手伝って欲しいことでもあるんだろうか

オレは、愛と一緒に台所へ行く

あれ姿が見えないと思っていたみすずもここに居たのか

よ、よう

工藤父が居た

いつもの黒の細いスーツに派手なカラーシャツとネクタイ

昔のマンガに出て来るような、探偵スタイルだ

いや、あの遙花の祝勝会だって聞いたんで、来てみたんだが

工藤父が苦笑する

何か出て行き辛い空気になってねぇか

なってるよ

うーむ今日も睡眠時間が

困った困った

1258.余韻 / 和解(続)

ほらよぉオレのところによ、工藤探偵事務所の助手としてよ毎回、香月セキュリティ・サービスの若い奴らが出向して来るだろ

パーティ会場の食堂に隣接している台所の奥

オーブンの前に椅子を並べて工藤父がオレに言う

他にはみすずと愛という、なかなか普段は一緒にいない2人が一緒に工藤父の話を聞いていた

ああ5月の頃は、若い男の人と女の人が居ましたよね

最近の工藤父は、基本的に1人で行動していたけれど

工藤父と出会った頃には確かに助手が居た

香月セキュリティ・サービスの若い人たちの中でジッちゃんや谷沢チーフがこいつには裏の仕事の実情も知っておいてもらいたいと思った時に、工藤父のところに出向させているのだ

あれでまた若いのが2人来たんだけどよーこいつらが、まあどうしょもねぇんだよ

取りあえず、初日によ親睦を深めるために、カラオケに誘ったんだけどよー

工藤父とカラオケ

いや、オレも鬼じゃねぇから初日だろまあ、若い奴らのレベルに合わせてやろうと思ってよ松村和子の帰ってこいよの曲に合わせて帰って来たウルトラマンを歌うっていう、定番のネタをやったんだけどよ

定番のネタ

そしたら、そいつらいや、若けーんだからよ、松村和子の帰ってこいよを知らねえのは仕方ないのかもしれねーけどよ帰って来たウルトラマンの歌を知らねえっていうんだぜ考えられねーだろ

だから、スマホでよ帰って来たウルトラマンの画像を見せたらよ1人は、ウルトラマンのことは全然知らないって言うしよもう1人の方は、これはウルトラマン・ジャックだとか言い出してよふざけんなっオレが子供の頃は新マンとか帰りマンて呼んでたんだっウルトラマン・ジャックなんてグランドキングの映画の辺りからだろオレは、あの大問題作のウルトラ6兄弟VS怪獣軍団だって劇場公開時に観ているんだぞ

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