オレは、そう頼むが

嫌よわたくしはわたくしは、歌舞伎だって最前列の花道脇お相撲だって、必ず砂被りで観ることにしているのよこんな面白そうなモノを、間近で観られないなんて嫌ですからねっ

でも巫女は、月子は必ず連れて行くからね

オレは強い口調で、突っぱねる

判ったわよそれなら車を2台用意してちょうだいわたくしとセバスティアヌスは、巫女の乗っていない方の車に乗るから

おいおい桃子姉ちゃん

安奈圭一郎氏との会見も広い部屋にしなさいねそれならわたくしたちは、巫女の力の届かない位置から観ることができるわ

巫女の力は相手と距離があると効果が消える

桃子姉ちゃんは、その弱点を知っているようだった

残念ですが警備の都合がございますから、皆様が乗る車は1台に致しますしホテルのお部屋も、普通の部屋を用意させています

宴会場のような広いお部屋では警護が難しくなりますわ

オレは、翔姉ちゃんの代わりに桃子姉ちゃんに答えた

広い部屋だと死角ができるし瑠璃子たちと、桃子姉ちゃん、警護しなくちゃ行いけない核になる人物が2人になるそれだと警備の人を増やさないといけないし

増やせばいいじゃないの

桃子姉ちゃんは、それでも突っ張る

ダメだよあんまりにも警備員が増えたら目立っちゃうだろ歌晏家の桃子姉ちゃんと、香月家の瑠璃子が大手の監査法人化の代表である安奈さんのお父さんと秘密の会見しているなんていう噂が、広まるのはよくないだろ

どうしても桃子姉ちゃんが付いて来たいって言うんならオレたちと一緒に、月子の側に居てもらうこれは絶対だから

もおっ、判ったわよ公ちゃんっ

どう判ったんだ

その代わりわたくしやセバスティアヌスの心が操作されたという痕跡が少しでも感じられたら歌晏家と香月家の全面戦争になりますからねっ覚悟しなさいよっ

うわ一緒に行く方に、決めたのか

そんなことするわけないだろ月子は、鷹倉姉妹の長女でとっても落ち着いている子だからさ桃子姉ちゃんが言ってたみたいに、勝手に力を使うようなこともしないよ

そう願いたいわねっ

桃子姉ちゃんは、プリプリしながらそう言う

食事が終わったのを見計らって瑠璃子と安奈さんを呼ぶ

そろそろ出掛けるから、着替えて着飾る必要は無い学校の制服でいいよ安奈さんも、持って来ているだろ

ここに家出して来た時大きなカバンを持っていた

制服も、絶対に持って来ているはずだ

はいありますけれど

安奈さんの大きな瞳が、オレを見上げる

ああ、カバンとかは、ここの屋敷に残したままでいいまた、すぐに戻って来るんだから

そう安奈さんの父親と会うと言っても

家出してきた安奈さんを、両親の家に帰すということではない

ええエリカさんはわたくしたちと一緒に、お兄様のセックス奴隷としてここで暮らすのですから、荷物は要らないのよ

安奈さんが、自分で決めてきたことだろ

オレはわざと追い詰める

まさか今更、奴隷になるのは止めるとか言い出すんじゃないだろうな

そ、そうは申しませんが

やっぱり迷いが生じている

そこへアニエスがやって来た

どうしたんですの

ああ、オレたちちょっと出掛けないといけないんだすぐに帰ってくるつもりだけれど

アニエスは真緒ちゃんが、ルナたちと一緒に別室に向かって行くのを確認して

ああエリカちゃん、パパとセックスして来るんですのねっ

小声で無邪気に微笑む

アニエスも一緒に行きましょうかアニエスが先にパパとセックスしてエリカちゃんのセックスの先生になりますのっ

安奈さんは、驚いて何も言えなくなっている

アニエス先生役は、瑠璃子がすることになっているんだ安奈さんは、瑠璃子の学校の後輩だから

なあんだそうなんですの

でも、ほらアニエスとは、いつでも一緒にセックスできるから

そうですのっアニエスのお当番日には、ゲストに呼んで差し上げますのっ約束しますのっアニエスとルナとエリカちゃんで、3人一緒にパパのオチンチンをペロペロ舐めましょうですのっ

アニエスは、嬉しそうに言う

パパエリカちゃんは、初めてなんですからゆっくりしてあげて下さいですのっオチンチンを入れる前にたっぷり、お大事を舐めてあげて下さいですのっ

ああ、判っているよアニエス

エリカちゃんもパパは、セックス前におっぱいを舐めるのが大好きですから、いっぱい舐めさせてあげて下さいですのそれから最初はちょっと痛いですけれど、ガマンですのっ毎日パパとセックスすれば、1週間も経たない内に気持ち良くなりますからっアニエスも、ルナも、そうでしたのっ

わたくしも、そうだったわ

パパにたっぷり可愛がってもらって下さいですのアニエスたちは、みんなパパにセックスしてもらうために生まれて来たんですから

ええ、そうねその通りだと思うわ

安奈さんは呆然としている

さあ、安奈さんと瑠璃子が支度があるからアニエスは、今日はお片付け係なんじゃないのか

あ、そうでしたのっじゃあエリカちゃん、幸せな時間を楽しんで下さいですの

そう言ってアニエスは、パタパタと台所の方へ駆けていく

良く調教されているって思うか

オレは安奈さんに尋ねる

アニエスの場合は調教したわけではないんだあの子にとって、一番幸せな形を探したらこうなったっていうだけで

でも本当に幸せそうでしょっ

寧が顔を出す

だから、これで良いんだよヨッちやんとあたしたちは、倫理や道徳なんてどうでもいいんだとにかく、まず幸せでいることが大事なんだからっ

安奈さんは、小さく呟く

安奈さんはオレのセックス奴隷にするそれは、もう決定だ安奈さんがやっぱり止めるって言い出しても絶対に奴隷にするオレは、そう決めた

安奈さんが怯えた瞳で、オレを見る

その代わり幸せにするよそれだけは、約束する

黒森様は何が、あたしの幸せなのか判っていらっしゃるんですか

14歳の大きな瞳がオレに問う

安奈さんの幸せはオレとセックスすること、オレの子を産むことつまり、オレに守られて生きることだ

あたしを守る

守られたくてここへ来たんだろ

安奈さんの奴隷志願とはつきつめれば、そういうことだ

親や家族との絆を喪失してしまったから

自分を保護してくれる新しい絆を欲している

安心しろオレとオレの女たちが安奈さんを今の悩みから救うから準備はできている

よく判らないですあたし

安奈さんの方はまだ疑心暗鬼のようだ

とにかく着替えてたら、玄関に来てくれ瑠璃子、頼む

瑠璃子が、安奈さんを連れて着替えに行く

美智も後ろから付いていく

さあって、あたしも着替えてくるねっ月子さーん、着替えに行こうっ

寧が、月子に声を掛けて外出の支度に向かう

さてオレも

ヨシくん克子姉さんが、あたしと愛さんに、ヨシくんの義替えを手伝うようにって

メグと愛がやって来る

ああ、頼むよ一番良いスーツに着替えるからYシャツにネクタイだ

また大変なことになっているの

それほど大変でもないけれど公認会計士の人に会うから、ちゃんとした格好をしないといけないんだ

黒森公として会見に臨むんだからビシッとスーツだよな

真面目な席だからさどんなネクタイが良いか、メグが選んでくれよ

ええ判ったわ

今夜はこれぐらいしか、メグとの時間が取れないから

愛も台所から、こっちにやって来る

オレはダークグレイのスーツに、ゴールドのネクタイを締めた

うん、こんな感じかな

髪は愛が整えてくれた

おっし、行ってくる

玄関へ行くと瑠璃子と安奈さんは、制服に着替えてすでに来ていた

美智もいつもの制服姿

寧も来る大人っぽい、黒のパンツスーツ姿だこれなら、香月家のスタッフにしか見えない

あなた何を考えているのよっ

桃子姉ちゃんに怒られながら月子が現れる白と朱の巫女の衣装で

わたくしの場合はこの姿の方が、判りやすいですので

あら、そうあなた、公ちゃんからも言われていると思うけれどわたくしの心には、絶対に入り込まないでよ

桃子姉ちゃんは、強く月子に言う

月子は、笑みを崩さない

判っていればいいんだけれどねくれぐれも、変なことはしないでねっ

そんな桃子姉ちゃんの後ろでセバスティアヌス(山田梅子)さんが、心配そうに月子を見ていた

はーい、行ってらっしゃいアニエスちゃんたちは、ちゃんと勉強させておくから安心してね

見送りに来た克子姉がそう言う

明日のパンは、愛たちで仕込みしておくから大丈夫だからね

愛がオレに言う

はーあ今回は、わたくしもこっちで中継を観ている組なのね

残念そうに、まり子が言う

あんた、あそこのホテルに行くんならさパンケーキを買って来なさいよあそこの名物なんだから

まだインド人の格好で楽しんでいる雪乃がそう言った

ミチ頼むネ

イーディは、美智に声を掛けている

ご武運を

お早くお帰り下さいませ

ミタマとキヌカが、オレに言った

旦那様瑠璃子と安奈さん、それから桃子お姉様たちのこともよろしくお願い致しますわ

みすずはオレに、そう言った

ああ判っている

マナや双子たちやヨミ、それに年少組はアニエスたちと夕食の片付けをしているから、見送りには来ていない

今はこれで全部だ

じゃあ、みんな行って来るよ

オレは、そう言って外へ向かう

ドアの外は、もうすっかり夜になっていた

前々話で、また痛いミスをしていました

居ないはずの人と会話してました修正しました

はぁぁまた、やってしもうた

私はエロい妄想を元にエロ小説を書いていますが

それは私の想像であってホントに反社会的な行為はしていません

オカダ先生は元愛人たちからのリークが、出て来る出て来る

先生の弟子になりたいと、土下座して懇願しろとか

弟子の仕事は、セックスで満足させることだとか

この先、10年はオレの性欲のはけ口になれとか

ビンタして、強制フェラ30分とか

ホントに強要していたとしたら人として終わってますね

何か、呆れるを通り越して唖然としています

1144.夜を迎える / 見知らぬ顔

+美智、瑠璃子、寧

外へ出ると

玄関前には、車が2台停まっていた

いつものうちのミニバンと普通の車

あっ、そうか桃子姉ちゃんたちが、無理矢理付いて来るって言い出したから

翔姉ちゃんに、オレに、安奈さんに、瑠璃子に、美智に、月子に、寧なら

7人だから、ミニバン1台で乗り切れるけれど

プラスして桃子姉ちゃんとセバスティアヌス(山田梅子)さんだと9人になるから

マイクロバスとかでも持って来ないと、乗り切れない

何よ、車が2台ならさっきのわたくしの提案通り、わたくしとセバスティアヌスだけ別の車に乗り込めば良かったんじゃないの

桃子姉ちゃんが、プリプリして怒る

ああ、巫女の力を持つ月子とは顔を合わせないように別の出口から、乗り込むとか、したかったんだな

警護上の問題があると申し上げたはずです

歌晏桃子様と瑠璃子様には、必ず同じ車に乗っていただかなければなりませんお二人の専任警護員もです

歌晏家と香月家大きな名家のお嬢様2人の移動なんだから、香月セキュリティ・サービスの警護車輌が前後に付くことになるはずだ

それなら警護の核になる車は、1台だけの方が良い

だったらこの子は、後ろの車に乗せなさい

桃子姉ちゃんは、月子を指差してそう言う

いや、桃子姉ちゃん警護のことを考えたら、月子が同じ車輌に乗っている方が良いんだよ

どうしてよ、公ちゃんこの子は人の心が読めるんでしょ

だからだよ月子なら、悪意を持って近付いて来る相手がすぐに判る犯罪のプロの巧妙な演技だって、一瞬で見抜けるんだからさ

どうして、そんなにわたくしのことを恐れていらっしゃるのです

巫女服を着た18歳の少女はやんわりと言う

あなたわたくしの心を覗いているの

心を覗かなくとも、お顔の表情で判りますわ特に、歌晏桃子様のように、ご自分の感情を素直に表現なさっているお方はどなたでも、お心が見えます

そしてわたくしたち姉妹にとって、心を見るというのは、その方のお顔の表情を眼で見ることと、そんなに変わらないのです

相手の顔を見れば、どんな気持ちなのかが、だいたい判るように

近くに居るだけで、心の中が判る

巫女の力の及ぶ範囲も相手の表情が見える距離と、ほぼ同じだ

でも、あなたたちの力は心を覗くだけではないのでしょ

そちらの力は、公様のご許可がなければ、使いませんわ絶対に

そんなの判らないじゃないあなたが公ちゃんの心に働きかけて、力を使えって命令させるかもしれないもの

そういうことは、絶対にございませんわ

月子は真っ直ぐに、桃子姉ちゃんを見る

わたくしたちの力で、人様の心に介入すればその方の心を壊してしまう可能性があります自分の意志とは違うことを、強制的にやらせるのですから抑圧が暴発して、恐ろしい結果になることもありますそして、わたくしたちには自分の力によって、人様の心が壊れてしまう過程が、全て見えてしまいますそれは巫女自身の心を壊していきますわたくしたちの血縁者の多くがそのために死にました

月子たちの両親も、コヨミちゃんの両親も力に呑み込まれて死んだ

ですから、わたくしたちが公様の心を操作することは、決してございません公様にはずっと、今のままの公様でいていただきたいと願っておりますから

ヤクザの玩具になるしかなかったわたくしたち巫女の運命を救って下さったお方です大恩あるわたくしたちの主様のお心に汚れた気持ちで触れることは決してありません鷹倉家の長姉として次の巫女として、妹たちにもこの誓いは、わたくしが命をかけて守らせます

そこまで言うのなら信用するわ

あなたもここの家の子たちと同じで、公ちゃんにメロメロなのね

公様のお心には、表裏がございませんから私利私欲もありません家族を守るということしかお心の中に無い方ですから

そうねでも、男の人は、もっと野心的な方が良いとは思わない

桃子姉ちゃんは、オレを見て笑う

これだけの人材を家族として次々に受け入れられている方が、野心的ではないと思われるのですか

そうだよねっ普通なら1人でもギブ・アップしちゃうようなメンドクサイ女の子を、ヨッちゃんは何人でも受け入れちゃってるもんねっ

月子の言葉に寧が微笑む

今、ヨッちゃんの周りに集まっている女の子たちを見てそして、この子たちなら、これから何をやれるかを考えたら

そうね、あなたたちは非常に魅力的な集団ね表の世界でも、裏の世界でものし上がっていけるだけの人材が居るものねまり子も公ちゃんに獲られちゃったし

何より、みんなとんでもなく可愛い子ばかりですものね

桃子お姉様もわたくしたちの家族に参加なさるべきですわ

瑠璃子が真顔で言う

冗談は止めて歌晏家と香月家が、協力し合うことはあるとしても一緒になることはできないわよ家が違うんだから

そういう既存の概念に囚われていると幸運の女神様の髪の毛を掴み損ねるよっ

とにかくあなたも公ちゃんの家族の一員として生きているのね

桃子姉ちゃんは、話を戻して月子に言う

はいわたくしたちの未来は公様に全てお預けしておりますから

判ったわあなたが本気だってことはね酷いことばかり言って、悪かったわねあなたのこと信用するわ

鷹倉月子でございます

ええ、よろしくお願いするわ

桃子姉ちゃんと月子の和解を安奈さんは、呆然として見ている

ではお車にどうぞ

翔姉ちゃんが、ミニバンのドアを開ける

最後部のお席に歌晏桃子様と山田梅子さん、安奈エリカさんがお座り下さい瑠璃子様と月子さんは、2列目に美智さんは助手席で、わたくしのサポートをお願い致します

翔姉ちゃんは、席を決めた

もし何者かの襲撃を受けた場合は助手席の美智は、外に飛び出して戦闘相手の攻撃に隙を作る

翔姉ちゃんは、車を運転して危険地域からの脱出に専念

後ろのセバスティアヌス(山田梅子)さんが桃子姉ちゃんたちに張り付いて警護するという態勢なる

てことはオレとヤッちゃんが後ろの車だね

ええ、悪いけれどそうしてもらうわ

翔姉ちゃんが、オレに微笑んだ

まあそうなるよな

オレは、警護はできないんだから

では、お兄様寧お姉様、お願い致します

瑠璃子も前の車に乗り込む

任せといてヨッちゃん、行こう

オレは寧と後ろの車に向かう

普通の国産の中型車だ

よおっ

運転席の窓が開き工藤父が顔を出す

新しくオレの部下になった短パンのグラサン・オヤジに運転手をやらせるつもりだったんだが、そいつは女の子とバイクでツーリングに出かけたまま帰って来ねえんだ

それって岩倉会長をバイクに乗せてった、あのオッサンのことか

さっき携帯電話の位置情報を調べたら青森県の恐山に居るらしい

うわ走行中のバイクの上でセックスしたまま、青森まで行ったか

しかも現在も移動、北上中だ明日の朝には、オホーツク海に着いているかもしれねぇ

どこまで行くんだ

まあ、いい早いとこ乗れああ、お前は助手席な

何でだろうと思ったら後部座席に誰か乗っている

それは高校生ぐらいの髪の長い綺麗な女の子だった

儚げで、大人しそうな感じの子だ

はーい、ごめんねっ

寧が後部座席のその子の隣に座る

あたし黒森寧っよろしくねっ

寧は学校で使っている奈島ではなく、黒森の姓を名乗った

黒森公ですよろしくお願いします

オレも樹種席に乗り込み黒森の方の名前で挨拶する

オレの名前を聞いて、長い髪の少女は

高畑茉莉花です

少女は、小さな声でそう言った

ああそういうことなんだねっ

オレも彼女の顔を見ただけで何となく判った

まルリちゃんは、少し前からエリカちゃんのことについて、翔お姉さんに相談してたわけだから色々と仕込みをする時間は充分にあったってことだもんねっ

高畑さんは誰に、この車に乗るように言われたんだ

香月セキュリティ・サービスの関さんです

やっぱり翔姉ちゃんか

それで翔姉ちゃんは、どんな指示を

この車で待っていれば黒森公という人が乗って来るからその人に、包み隠さず今までのことを話す様にって

うんそれでオレが、その黒森公だよ

知ってます今さっき挨拶していただきました

おい、前の車に合わせてオレたちも出るぞ

工藤父の声で前を見ると翔姉ちゃんの運転するミニバンが、点灯して玄関前から動き出している

こちらも工藤父が、エンジンを始動させた

ライトが、ピカッと点灯し夜の闇を照らす

じゃ、詳しいことはさ会場のホテルに行くまでの間に聞かせてもらうよっ

寧が、高畑さんにそう言った

うんオレと工藤父だけの車内より、明るい寧が居てくれた方が、高畑さんも話しやすいだろう

そういうことまで翔姉ちゃんは、計算しているんだろうな

オレたちの乗る2台の車がお屋敷の玄関前を離れ、坂道を下り、巨大な鉄の正門前へ

門の外では、香月セキュリティ・サービスの警護車輌がさらに数台待機しているだろう

夜の街を車列を作って、疾走する

もっとも、一見して警護車輌とは判らないように色も種類も大きさも違う車で、核となる瑠璃子と桃子姉ちゃんの乗るミニバンを取り囲んでいる

オレたちの工藤父車のように無個性の国産セダン車もあれば

大きな外国のスポーツカーや、赤ちゃんが乗ってますなんてステッカーの貼られた軽自動車さらに、機材も積んでいるはずのワンボックスカーまで

うん、道は混んでねぇこれなら予定通りに到着できるだろうな

工藤父が、運転しながらそう言った

そしてオレたちは

移動する車の中で高畑茉莉花さんの話を聞いた

高畑さんは、少し緊張しているみたいで声も小さかったけれど

この人は、聡明なんだと思う

話の内容はとても判りやすかった

こちらから聞き返すことはほとんどなく全てを上手に説明してくれた

高畑さんの生まれと、これまでのこと安奈さんの家との関係を

なるほど、よく判ったよ

オレは安奈エリカさんに関わる事件の全貌を知ることができた

いや、まだこれで全部かどうかは判らないけれど

とにかく安奈さんがヤケクソだったその根本的な理由が判った

父親との間に、家出してしまうほどの溝ができてしまったわけも

結局翔姉ちゃんが一番、演技しているんだなわざと少しずつしか、情報をくれないから

さっきもオレや桃子姉ちゃんの前では、現状で判っているのは、これで全部みたいな顔をしていたけれど

すでに高畑茉莉花さんを見つけていてしかも、今日、連れて来ているということは黙っていた

仕方ないよっ今日は歌晏桃子さんもターゲットなんだからっ

昨日、歌晏さんが今日の夕方にお屋敷に来るって決まった段階で今日、安奈さんの件を解決しちゃうことにしたんだろうねっルリちゃんと翔お姉さんとで話し合って

つまり、安奈さんの家出は

桃子姉ちゃんがうちに来るのに合わせて瑠璃子が家出の決行を促した

でも、ホント食い付いたよねぇ歌晏さん何しにうちに来たか、完全に頭から消えちゃっているものっ

ホントは桃子姉ちゃんはイーディに負けた罰として、セバスティアヌス(山田梅子)さんをオレに犯させるために、やって来たはずだった

一番、可哀相なのは覚悟を決めて来たはずのセバ子ちゃんだけどま、いいんじゃないの自分のご主人様の訳の判らない命令でそんなことになるのはあの子にとってき、不幸なだけだし

名家のお嬢様たちが観ていた場で、イーディに負けたからといって処女を奪われるというのは、ムチャクチャ過ぎる

ま、安奈さんの持ち込んだ案件が歌晏さんの好奇心を刺激しちゃったんだろうねっていうか歌晏さんもヒトゴトじゃないんだと思うよっ

そりゃ遺産問題なんていうのは、名家の人の方が深刻でしょっ

というかそれ以上に複雑な問題になっちゃってるもんな

オレは、ルームミラー越しに高畑さんを見た

ご迷惑をお掛けして、申し訳ありません

うつむく高畑さん

いや高畑さんが悪いわけじゃないからさ

そうだよっ、気にしちゃダメだって

オレと寧で、慌ててそう言う

それで高畑さんとしては、どういう風に解決したいのかなっ

そうだねそれを聞いておかないと、この後の対応が決められないよ

オレも鏡の中の高畑さんに、尋ねる

瑠璃子と翔姉ちゃんは全部、知っているんだよなそれで桃子姉ちゃんと安奈さん本人には、まだ知らせたくないからオレたちをこっちの車に配置したんだと思う

今は夜だし前の車からは、オレたちの車の後部座席に座っている高畑さんの姿は、よく見えないはずだ

もし、人影が見えたとしても翔姉ちゃんが、香月セキュリティ・サービスの女性警護員だと話せば、誰も不思議には思わない

高畑さんは言う

あたしはよく判らないんです安奈エリカさんという方が、あたしのことをどう思っているのか全く想像できないですから

そうかまだ会ったことは無いんだ

ただ正直現在、あたしが直面している問題とは別に一度、会ってお話ししてみたいと思いましただから

今日翔姉ちゃんの要請に応えて、来てくれたのか

えっと今、高畑さんが直面している問題っていうのは

もう、こうなったら何でも全部ブチ撒けちゃった方がいいよっヨッちゃんとあたしは、この後、安奈さん親子の会見に立ち合うけれど発言できるのは、ヨッちゃんだけだからっ

オレは瑠璃子のオマケだけれど香月家のカンバンでも、黒森家の名前でも、どっちでも使ってとにかく、介入するから高畑さんの希望を何とか伝えてみるよ

現状では高畑さんは、会見の場には連れて行けない

だからオレが彼女の代弁者になるしかない

そんなことができるんですか

高畑さんは、オレを見る

ああ、できるよそいつは、けっこう発言力を持っているからマジな話香月セキュリティ・サービスっていう会社の実質的なオーナーなんだよお嬢ちゃんが、色々話していた関翔のボスなんだ

工藤父が運転席から、そう言う

ジッちゃんは香月セキュリティ・サービスの株を全てオレにくれると言った

その手続きがどうなっているかは知らないが元々、香月セキュリティ・サービスは香月グループの会社ではなく、100パーセントジッちゃんの個人所有の会社いや私兵だったから

香月グループ全体の経営を任せた司馬さんにも香月セキュリティ・サービスだけは、手を付けることができない

その調査力と防衛力と攻撃力はそのままオレに託されることになる

みすずと瑠璃子と美子さん香月家の3人の孫娘たちを、これからも守護し続けるために

ま、信じられねえと思うけれど大金持ちの家じゃあ、そういう無茶が良くあるんだだからこいつには、何でも話しておいた方がいい

工藤父は、クスッと笑う

ああ、翔姉ちゃんだってオレの指示には逆らえないもっとも、オレの方が翔姉ちゃんに助けて貰っているのがほとんどだけど

とにかく、今のうちに話してくれそうでないと、オレも正しい対応ができないから

うん話してみてっ高畑さんっ

高畑さんは少し間を置いてから

判りましたあたしも、ここまで来たんですから後悔はしたくないですだから、全部、お話しします

そして現在直面している危機について

丁寧に話してくれた

ああ、だからか

だから、安奈さんは父親にお祖父さんからもらった遺産を渡せないんだ

うんそういうことだねっ

寧も大きくうなずく

これで全部、判らなかったことが繋がったそういうことなのか

安奈エリカさんは間違いなく、高畑さんのために、お父さんと闘うことにしたんだと思う

驚く高畑さん

ああ、オレは安奈さんの様子を、実際に見ているからよく判る間違いないよ安奈さんは、高畑さんを助けたいと思っているんだ

Gレコが佳境に入ってきて、どんどん面白くなっています

わざわざ販促回を作らなくても、メカを活躍させる姿勢もスゴイです

最近のアニメのお約束ごとは特に守らなくてはならないルールではないことを一つ一つ示しているというか

日本のアニメのドラマが濃いのは30分という枠で、1話ごとの起承転結を付けなければならなかったからで

1時間なら、もっと緩い描写だってできるのですが

30分で話を成立させるためには相当、スピーディに展開させないと無理なんです

私は昔、演劇の仕事をしていましたが

アニメ世代以前の演出家は今の若い観客は、アニメで早い展開のストーリーに慣れているからその演出では、のろく感じて飽きてしまうという私の意見を理解してくれませんでした

ところが今のトミノ監督は30分で普通のアニメの2話分のストーリーと情報量をブチ込むもんなぁ

1145.夜を迎える / 安奈家の人々

・高畑茉莉花/16歳長い髪のピアノ少女安奈家と関わりがある

もうすぐ着くぞ

工藤父が、運転席から言う

オレたちの車列は、いつの間にか夜の湾岸エリアに入っていた

オレは後部座席の少女に

あのそう言えば、高畑さんて今、何歳なんですか

安奈さんの家と高畑さんの家の間の過去の問題についての話は散々してもらった現在の高畑のことも何に困っているかも

それなのに高畑茉莉花さん本人についての細かいデータをまだ聞いて無かった

高校1年です16歳です

オレと同じか大人っぽく見えるけれど

それで今は、どちらで生活しているんですか

学校の寮ですあのあたし、音楽科の高校に通っているんです

あっ、そうなんだっ楽器をやっているのそれとも声楽

寧が、にこやかに尋ねる

ピアノですでもこのまま続けられないかもしれないって思ってます

うつむく、高畑さん

音楽科は学費が高いですから今までのように、甘えさせていただくわけにはいかなくなると思いますし

そのことも安奈さんが、家出してまで父親に反抗しなくちゃいけなくなった理由の1つなんだな

今夜は何時まで平気なの寮って、門限とかあるんじゃない

寧が、笑顔で話を変える暗い雰囲気を払うように

今夜は外泊許可を貰ってあります今日は、母のアパートに泊まるということに香月セキュリティ・サービスの関さんから、そうしておくようにお話して下さいましたので

そうだね下手したら、深夜まで話が続く可能性もあるもんな

なるほど翔姉ちゃんのやることには、抜かりがない

今夜のお話し合いの結果次第ではホントにあたし、学校を辞めるしかないわけですし

もちろん、ピアノは続けたいんだよね

それはできればでも、あたしの立場ではお願いすることもできないことは、よく判っていますし

でも高畑さんの希望は、聞いておきたいよ続けたいの

高畑さんは

それは続けたいですでも

ピアノの勉強を続けられるのならどんなことでも受け入れられるっ

寧が横から、高畑さんに尋ねる

あの続けられるのなら

判った続けたいんだね

オレは、田畑さんの意志を確認した

でも、あたしにはそれを望む権利があのません

じゃあピアノを続けられないとなったら、高畑さんはどうするんです

さらに問う

それは判りませんあたしにとっても、今回のことは突然で本当に、あたし自分の学費がどこから出ているのかを、全然知らなかったのであの母からは、何も聞いていなかったんです

高畑さんは答える

ずっと学費のことは心配しなくていいって言われていましたからそれで今年の春に、音楽科のある高校へ入学したばかりですし

ピアノみたいな楽器だと高校生が、アルバイトしながら続けるっていうのも無理だろうしねぇ

はい学校は辞めるしかないんだということだけは、判っています

今のままでは学費どころか、生活費だって困窮することになるだろうしな

じゃあ、とにかく高畑さんの生活の現状維持、音楽科の寮生活が続けられることを第一に交渉してみればいいんだね

違うよ、ヨッちゃん音楽科の高校を出て、音楽大学を卒業するまでの学費と生活費を、なんとか保証してもらうところが最低ラインだと思うよ

いえ、そんなそこまで望むのは、申し訳ないです

田畑さんの声は、どんどん小さくなる

あたし、本当に今まで自分がどなたからの支援で生きてこられたのかを、全く知らなかったので

でもさ音大を卒業しないと、高校だけ音楽科を出ていたって世間的には何の意味もないじゃんか

はい、ですから音大へ進む学資が無いのなら、今の高校もすぐに辞めるしかないと思っています

と、言いながら辞めた後のプランは何も無いんだな

どれだけ高畑さんにとって、今回のことが急な話だったのかが彼女の表情でよく判る

ほら着いたぞ

工藤父が言った

湾岸エリアの巨大なホテルが見えてくる

暗い夜空に目映い光を放っていた

高畑さんの状況は判りました後は、オレに任せて下さい

小さな声で、長い髪の美少女は答える

でも無理でしたら、構いませんからあたしホントに自分の立場は判っていますから

ええ、高畑さんのお気持ちは、よく判りました

この人は自分の運命を決める交渉に立ち合うことも許されない

だから、高畑茉莉花さんのことは、オレが代わりに話をするしかない

そろそろ、タイム・アップだぞ

車列がホテルの地下駐車場に入っていく

工藤さん高畑さんは、この後

お前たちがホテルの中に入っていくのを見送った後でオレが、お前たちと同じフロアの別の部屋に連れて行くことになっている

ああ高畑さんが来ていることは、まだ安奈さんにも安奈さんのお父さんにも隠しておきたいんだな

ここは香月家の系列のホテルで1フロアまるごと、香月セキュリティ・サービスが借り上げているお前たちの話し合いの様子は、このお嬢ちゃんが居る部屋で観られるようになっているはずだ

判りました工藤さん高畑さんのこと、お願いします

高畑さんも不安でしょうけれど、待ってて下さい話し合いが終わったら、安奈さんを連れて行きますから

はいあたし自分のことは、どんなことになってもそれが、あたしの運命なんですから、受け入れます今夜はただどうしても、安奈エリカさんに会いたくてそれだけを目的に、ここまで参りましたから

ええ、絶対に会わせます約束します

地下駐車場の最下層に車が停まる

オレたちの前方の翔姉ちゃんの運転していたミニバンのドアが開いて

まず美智がそして、安全を確認してから、月子や瑠璃子たちが降りて来る

ああ、じゃあ高畑さん、また後で工藤さん

おう、判ってる

オレもドアを開けて、外に出る

地下駐車場の底は、空気がどんよりとしていた重い

寧も降りてくる

2人で翔姉ちゃんたちに合流する

もう全員、運転していた翔姉ちゃんまで車外に降りていた

安奈さんはオレたちの乗っていた車の後部座席の少女の存在に、気付いていない

桃子姉ちゃんたちも

関さんっ

香月セキュリティ・サービスの警護員らしい男性が、翔姉ちゃんのところに走って来る

何やら、小声で報告した

翔姉ちゃんは、オレたちに振り向き

安奈圭一郎さんは、もういらしているそうよ余計な人も連れてね

そして苦笑する

誰のことですの

安奈エリカさんの許婚者っていうか、まだ許婚者候補の段階なのよね窓堀革命《マドホリ・タダシ》さんも、来ているそうよ

えっと日本初の大統領を目指している大学院生のマッド・ホリだっけ

ああそれは、ちょっとメンドクサそうね

桃子姉ちゃんは、人事のように笑う

それと安奈さんのお母様も一緒にいらしているそうよ

その翔姉ちゃんの言葉に安奈さんは凍り付く

父親との話し合いにも母親も同席することは想定外だったらしい

あなたわたくしに何か指示はある

工藤父の車の中で高畑茉莉花さんと話したことで、何か言いたいことはあるかということなんだろう

いや、特にないよまだ翔姉ちゃんの手の内を、全部、見せて貰ったわけじゃないんだろうしさ

今はとりあえず、翔姉ちゃんの計画に乗っかってみるよ

判ったわさあ、行きましょう

翔姉ちゃんに従ってオレたちは、ゾロゾロと駐車場からホテルの内部に入って行く

エレベーターの前にも、香月セキュリティ・サービスの警護員が居た

翔姉ちゃんに部屋のカードキーを数枚、手渡す

ゲストは、2504に入れました2503、2505、2506を空けてありますこれがキーです、自由にお使い下さい2513は待機室にしています

弁護士さんは

まだ到着なさっていません

判りましたありがとう

安奈夫妻とマッド・ホリはすでに2504室に到着している

弁護士さんというのは安奈さんが貰った遺産を管理している亡くなったお祖父さんの弁護士だろう

それから、おそろく2513室に、高畑茉莉花さんが入ることになるんだな

そこで、オレたちの話し合いの中継をリアルタイムで観ることになる

一旦、別室に入って気持ちを落ち着かせてから、お父様たちと面談しますか控え室にできる部屋も用意してありますけれど

翔姉ちゃんが、安奈さんに尋ねる

2503室、2305室、2306室のことだろう

いえこのまま、行きます

安奈さんは、険しい表情で答えた

わたくしたちも控え室とかはいらないわよこのまま公ちゃんたちに付いていくわ別室から覗き見るんじゃなく、正々堂々とわたくしも話し合いの場に立ち合いたいから

判りましたでは、参りましょう

オレたちは大型エレベーターに乗り込む

そして地上25階の会見場へ

25階のエレベーター・ホールにも

香月セキュリティ・サービスの警護員が居た

香月家の瑠璃子と、歌晏家の桃子姉ちゃんが揃っているんだから

警備態勢が厳重なのは、当たり前か

こちらですわ

普段から、香月セキュリティ・サービスが借り上げて使っているフロアだから

翔姉ちゃんは、まっすぐに2504室に向かう

安奈さんが、緊張しているのが判る

重い雰囲気が、ホテルの廊下に漂っている

ドアの前に着いて

あ、ちょっと待って翔姉ちゃん

オレは、翔姉ちゃんを止める

安奈さん、こういう時は深呼吸をした方が良い

深呼吸ですか

そんなことをしなくとも、あたしは

いや、絶対にした方が良いしかも、気持ちが落ち着く特別なのがあるんだ美智

はい工藤流古武術の呼吸でございますね

そうだ安奈さんに教えてあげてくれ

これは、わたくしの家に伝わる敵と対する時に、心を落ち着けるための呼吸法でございます

美智がみすずの警護役であることは、同じ超お嬢様校の中等部に通う安奈さんも知っているはずだ

名家の警護役なら、何かしらの武術の心得があることも

まずは8つ数えながらゆっくりと息を吸い、また8つ数えながら吐きます

へえ、わたくしもやってみるわ瑠璃子やセバスティアヌスも、一緒にやりましょう

桃子姉ちゃんが乗ってくれたから、安奈さんもやるしかなくなる

オレと寧も参加する

次は4カウントで

翔姉ちゃんも加わって全員で、呼吸を合わす

次は2カウント吸って、吐く1、21、2

ハッハフッフ

1カウント

ハッ、フッハッ、フッ

また2カウントそして、4カウントに戻しますはい、8カウントでさらに16カウント

オレたち全員の呼吸が、ゆっくりになる

はい完了です

うん全身に新鮮な空気が送り込まれて、身体がシャキッとなった

それでいて、リラックスできた

何より、ここで全員の息が合ったことは良い結果に繋がるはずだ

安奈さん言っておきますけれど、わたくし、野次馬根性だけでここに来ているわけではありませんからね

あなたも、わたくしの可愛い後輩なのですからあなたにとって不幸な結果になるのは見たくありません悪いようにはしないわよ

そして、瑠璃子とオレを見て

公ちゃんと瑠璃子も、ここに居る人はみんな同じ気持ちなのよそうよね

桃子姉ちゃんが、1人1人を見ていく

美智、セバスティアヌス(山田梅子)さん、寧、翔姉ちゃんそれから

月子を見る

公ちゃんが、最後の切り札も用意してくれているしね

月子に微笑む桃子姉ちゃん

車の中で話してみたら思っていたよりも、ずっとさっぱりしてて性格の良い子だって判ったわ

接触して話す機会さえあれば桃子姉ちゃんと月子は、馬が合うだろうと思っていた

もっとも、それはすでに、わたくしの心が操作されているからなのかもしれないけれど

そんなことは致しませんわ

月子は、真顔で答えた

冗談よ安奈さん、最悪の場合になっても、この月子さんの力を借りればたいていのことは切り抜けられるはずだから、安心なさいね

公様のご命令があればわたくしは、いかようにも致します

そ、そうですかあたしには、よく判らないですけれど

巫女の力について、きちんと説明されていないし実際に力の怖ろしさを見ていないから、安奈さんには理解できないのは当然だ

とにかく、オレたちが付いている心配はいらないよ

オレも、そう断言する

ではよろしいですね

安奈さんも、覚悟を決めたようだ

翔姉ちゃんが、ドアをノックする

ドアが開いて背の高い、痩せていて黒眼鏡の青年が顔を出す

全身黒づくめだ

黒いスーツに、黒いシャツ、黒いジャケットを着ている

とても機嫌が悪そうな顔でオレたちを睨む

いきなり険悪な空気になった

香月セキュリティ・サービスの関です安奈エリカさんをお連れ致しました

翔姉ちゃんが、青年に答える

安奈さんは、翔姉ちゃんの背中に隠れていた

ああ、エリカさん待ってましたよいやはやホント、親不孝はマズイんじゃないですかね

青年は、いきなり安奈さんに言う

そんじゃエリカさんだけ入って下さい他の人は、外で待ってて下さいそういうことでいいですよねっ

偉そうな口調で、青年はオレたちに言う

いえ、わたくしたち安奈さんと一緒に入らせていただくわ

桃子姉ちゃんが、ムッとして痩せた黒眼鏡に言う

へえ、どういう権利があって、そんなバカなことを言ってるんですこれは、家庭の問題ですからねぇ外部の人には触れていただきたくないんですけど

そういうあなただって外部の人なんじゃないのっ

そんなこと、あなたたに答える必要は無いと思いますけれど

男がそう言うから

あら、そじゃあ、安奈さん帰りましょこんな人がいるんじゃ、話し合いになんてなりそうにないわよ

桃子姉ちゃんが、このまま安奈さんを連れて帰るというカードを切る

ちょっと、ふざけたことを言うのはやめて下さいよこっちには、エリカさんのご両親が居るんですよエリカさんはまだ中学生未成年なんですからこのまま連れて行くのなら、未成年者の誘拐で警察に訴えますからね

どうぞ、訴えたら

桃子姉ちゃんは小馬鹿に下表情で、そう言う

でも、本当にそんなことをなさるのあなた

あ、当たり前じゃないですかっボクは社会的に正しいことを言っているんですからっほら、エリカさんをさっさと、こちらに渡してお前たちは帰れっ

中から、慌ててスーツ姿の中年のスマートな男が飛び出して来る

や、やめてくれたまえ窓堀くんっ

この人が安奈エリカさんの父親安奈圭一郎氏か

か、歌晏桃子様失礼をお許し下さい香月瑠璃子様も、申し訳ございませんああ関さんも、ご苦労をお掛けして済みません

急いで、桃子姉ちゃんたちに謝罪する

さすが、大企業専門の監査法人の代表歌晏家や香月家とはケンカできないことを知っている

エリカよく来てくれた

自分の娘に声を掛ける

わたくしたち、中へ入ってもよろしいのかしら

桃子姉ちゃんが、改めて安奈圭一郎氏に言う

あ、そ、そうですねどうぞ、中へお入り下さい

ちょっと、安奈さん交渉は、ボクに任せてくれるっていうお話だったじゃないですかっこういう時は、最初にガツーンッといかないと、それが後々の交渉に響いていくわけで

喚き出す、青年窓堀革命

うん、確かに窓堀じゃなくて、マッド・ホリだ

君は少し黙っていてくれたまえそもそも、わたしは君に交渉を任せるなどという約束をした覚えはないよ

いやいやこの期に及んで、そういうのはマズいですよ、安奈さーん

マッド・ホリは小声で、安奈圭一郎氏に言う

こっちが一枚岩だっていうことを見せつけないとヤツラに漬け込まれますよ

だから、君にそういうことを求めてはいないっ黙っていてくれたまえっ

歌晏グループと香月グループの会長のお嬢様たちなんだぞこの方たちは

マッド・ホリの顔がはとなる

うん、マジで

ええ、今日は平服ですしパーティなどの席では、なるべくあなたから遠く離れたところに居るようにしていますから、お気づきにならなかったんだと思いますけれど

桃子姉ちゃんが苦々しい顔で、言う

エリカさんの学校の友達とかじゃないんですか家出した先の

聞いていなかったのかねエリカが家出して向かったのが、香月家だったんだよ

えっ聞いて無いですよー

話したよ、わたしはっ

いやいやいや、ボクは香月セキュリティ・サービスが関わっているのは聞いてましたが、香月家そのものが関係しているというのは

もう黙っててくれたまえっ

このコントいつ終わるんだろう

桃子姉ちゃんが、安奈圭一郎氏をジトッと見る

あああ、済みませんどうぞどうぞ中へお入り下さい

2504室の内部は中規模の会議室になっていた

ああオレたち交渉団の人数が増えたので、翔姉ちゃんが多人数で話し合える部屋に変更してくれたんだな

部屋の奥には綺麗な40代の女の人が、座っていた

オレたちに気付いて立ち上がって、頭を下げる

エリカの母でございますこの度は、エリカがご迷惑をお掛けしました

この人が安奈さんのお母さん

オカダ先生の件はどんどん炎上していますねヤバイ話が次々とリークされて

某カラサワ氏もそうでしたがオタク第1世代を名乗っていた人たちは

ヤマトの頃にオタクだったというだけで

実は、その後のアニメやマンガにたいして興味が無かったという

ここ20年ぐらいの作品をちゃんと見ていないどころかガンダムやボトムズ、戦隊や宇宙刑事辺りの話もホントに見てたのっていうぐらい怪しい話しかしないし

オタクは死んだのではなくオカダ氏たちがオタクの流れについていけなくなっただけどころか

実は最初から大したオタクでは無かったという

うーむ恐ろしい

1146.夜を迎える / AO

オッケー、了解、判りましたぁーっつまり、色々とボクたち双方に誤解があったというわけですねぇ

全員が部屋に入り安奈エリカさんと瑠璃子、桃子姉ちゃんたちが椅子に座った途端

安奈さんの許婚者候補窓堀革命《マドホリ・タダシ》は、安奈さんの両親を差し置いて喋り出した

あれだけ安奈さんの父親から、君はもう黙っててくれと言われたのにめげないのは凄い

ああ、そうそうそうですねご挨拶が遅れましたボクは、エルオー大学で社会学者をやっています窓堀革命です革命と書いてタダシと読みます生まれながらの革命児ですなんちゃって

ところでどうして、この部屋からはネットにアクセスできないんですボクとしては今回の件についても、ネットに公開して、ボクのフォロワーたちから広く意見を集めたいと思っていたんですけれど

窓堀は自分のスマートホンを取り出して、そう言う

申し訳ありませんが、ここは普段は大切な会議をするための部屋ですから、電波は完全に遮断されています

確かにホテルの25階なのにこの部屋には窓が無かった

まあいいですけれどね会話の内容は全て記録して、ネットには後でアップしますから

窓堀は、ムッとしながらそう言う

ボクは今、毎週、ボクの思想を発信し、日々の活動を報告するネットの番組を生放送で配信してますしああ、最近、どんどん色々な媒体に顔を出しているんで当然、皆さんの中には、ボクのことをご存知な方は多いですよね

何だその自信は

時々はテレビとか雑誌とかにも、たまに載るようになりました今年の今、輝いている若者30人の中にも入れてもらえてますしそれから、社会問題や、政治についてみんなで語り合うようなイベントで、よく現代の若者代表として出演させてもらうことも多いですねぇ

自慢げにそう言う

ボクが代表を勤めているNPO法人若いボクらが地球を廻すなんちゃって革命団でも、企画事業で毎月色んなイベントをやってますし先月は、**党の**先生と**新聞の政治部の**さんとエッセイストで評論家の**先生とボクで日本とアジアの明日はどっちだっていうパネルディスカッションをしたんですけれどボクの意見が、かーなーり好評でした**新聞でも取り上げてもらえましたし

それは、**新聞の記者を出演させたからその新聞に掲載されているんじゃないだろうか

あ、ちなみに、ちなみにボクの戦闘力は今、10021ですっもちろん、それってフォロワーの数のことですけれどねっうっひひっ夢の1万人ですよっ

何を言っているのかよく判らない

いやぁ、今日はエリカさんの件で来たのに歌晏グループと香月グループのお嬢様と友達になれて、ラッキーですこれはもう、相互フォローですよねっネットでも、リアルでもうっふっふ

窓堀くん、ちょっと落ち着き給え

舞い上がっているマッド・ホリに安奈さんの父親が、苦言を呈す

いえ、安奈さんのお父様こうなったら、先にこの方の問題から片付けてしまいたいと思いますわ

桃子姉ちゃんが苦笑して、言う

わたくし、面倒なことは先に片付けてしまいたい性分ですから

ヨッちゃんも、そうだよね

この後、安奈エリカさんのことで真面目な話をしなくちゃいけないんだからこんな人のことは、とっとと片付けちゃいたいよね

うん、それはそうだよな

どう見ても、この青年は桃子姉ちゃんと瑠璃子に、自分を売り込むことしか考えていない

安奈エリカさんのこととか、二の次になっている

できればどこかへ消えて欲しいと思う

じゃあ、あたしたちで大至急、排除しちゃうねっ

歌晏さんやルリちゃんは、黙ってていいよっこういうタイプの男の人と話すと口が汚れるからあたしたちに任せておいてっ

でも、一応ヨッちゃん、世の中には、こういう変な人が居るっていうことも知っておいてね

えっと、あの君は何何なのかなちょっと邪魔しないでくれる今、ボクは大事な話をしているところなんだからさ

寧の美貌にも動ぜず窓堀は言う

こいつ女性に興味は無いんだろうか

ああなたのことなんてどーでもいいんだよっそう言えばさあなたって、エルオー大学で社会学者をやってますとか名乗っているけれどホントはただのエルオー大の大学院生でしょっ

普通はそこの大学で教えているとか、そこの大学で博士号を取ったとかでないと**大の学者とか名乗っちゃいけないんじゃないのせめてちゃんと論文を書いて大学院で修士を取るぐらいじゃないとさまだただの大学院生なのに、学者を名乗るなんてのは、相当恥ずかしいことだと思うけどっ

窓堀は

あーあー、それボクのアンチの人が、よくそーやってボクを批判するんですけれどねぇかぁー、またかぁっ

下品な笑みを浮かべて

常識的に考えたら学問を志して、そこの大学で研究をしている人間は、全て**大学の学者を名乗ってもいいものだと思いますけれどねーだって、大学で教えてたり、博士・修士課程を修めていないと学者と名乗っちゃいけないとかそんな法律は、どこにもないわけですしボクが今、エルオー大学で研究していることは事実なんですからそこには嘘はないわけで真実はひとーつ

ああもちろん、ボクは表現の自由は守られるべきだと思う護憲派の社会学者ですからあなたの視界の狭ぁい認識をボクは否定はしませんけれどね人の考えは様々ですからどんなに偏った意見でもまあ、言いたいことも言えない世の中より知ったかぶりで勝手なことを言う人が許されている社会の方が健全なわけですし

そんなスラスラと言葉が出て来るところを見るとこいつ、いつも同じことを言われて、毎回反論をしているんだと思う

でもさっ、あなたの場合はエルオー大で研究しているっていうのも経歴ロンダリングじゃないっ

何だ経歴ロンダリングって

あわー、出た出たいつもの誹謗

窓堀は言う

今ボクがあなたを訴えたら、確実にボクが勝ちますよ賠償金2000万円ぐらいで裁判します今のは、それぐらいのレベルのヘイト・スピーチですよ

何でこいつこんなにノリノリなんだ

寧は、そんな窓堀の言葉を無視して

ヨッちゃん、この人さ大学院だけは、エルオー大学みたいな超一流のトコに通っているけれどその前に居た大学は、少しレベルの下がるアサノ大学なんだよねっ

大学は入りやすいアサノ大を卒業して大学院から名門のエルオー大に移って、今はエルオー大の窓堀としか名乗らないのよっ

それが何か問題でも

マッド・ホリは、そう言うが

え、君ホントはアサノ大なのかね

安奈さんのお父さんは、知らなかったらしい

しかも、そのアサノ大学だってAOで入ったんじゃないっ

エーオー

えっと、ヨッちゃんに説明するとAO入試っていうのは、他の普通の学生みたいに入学試験を受けずに志望書と面接と小論文だけで、入学できちゃう制度のこと

そんな制度があるんだ

つまり、この人はちゃんとした学力試験を受けてないのよ

はいはいはいいつもいつも、同じ低レベルの批判をありがとーございますっ

窓堀は答える

ホーント、AO入試ってのはテッテーテキに勘違いされてますけれどまず、これはアドミッションズ・オフィス入試の略で、各大学でそこの大学がこういう人材が欲しいという理想の学生像に合った学生を探しているということから始まっているんですつまり、ボクがアサノ大学が考えている理想の学生だったというだけのことです

とは言うものの多くの私立大学では、少子化で学生が減っているから、手っ取り早く学生を確保するために、安易にAO入試で合格者を集めているっていう批判もあるよねっ

はいはいま、ごく一部のテイノーな大学には、そういう例もあるんでしょうがねボクの卒業したアサノ大学は、まあエルオー大ほどとは言いませんがそこそこレベルの高い大学ですよAO入試だって、バカじゃ入れないんですよだから、ボクに関してはその批判は、的を得ているとは言えないと思いますけれどね

的を射るよ

こいつは失礼、口が滑った、リベラシオンボクは社会学者なんで、国語は苦手なんですよたはははっ

いや、社会学者とか関係無いだろ

AO入試っていうのは、いわゆる一芸入試とは違うのよねスポーツで抜群の実績があるとか、伝統芸能をやっている子だとか、その他普通の学生にはない特別の能力があるから特別に学力試験抜きで入学を認めるとか

そのまま桃子姉ちゃんが、窓堀に尋ねた

ええ、アサノ大の場合は、そういうんじゃないですねっていうか、まず訂正しておきたいんですけれどAO入試だって、最低限の学力はチェックされますよホントにバカは入れないですからで、それ以外に学生自身の社会との関わりですよね留学経験があるとか、ボランティア活動の実績があるとか、NPOで社会に貢献する活動に参加していたとかそういうのが重視されますから

窓堀は、ノリノリで答える

ああ最初から批判的に対した寧に対して

桃子姉ちゃんは自分が話題にしているAO入試について興味があるように尋ねてきたから

機嫌良く返答しているんだ

ブッちゃけねアサノ大のレベルになねと、AO入試だって合格するのは大変なんですよボクの見たところ一般入試で合格するよりも難易度は高いと思いますね

ボクの場合は中3時には、もう大学はAO入試で入ろうって決めてましたからいや、大変でしたとにかくね合格するためには、分厚い活動実績が必要なんですよだから、AO入試専門の予備校があるんですけれど高1から高い金を払って、その予備校に通って大学の審査に通りやすいボランティアとか社会活動をしている団体を紹介してもらったり、留学もカナダとフィリピンに短期留学しましたフィリピンなんて、実際は英語学校から一歩も外に出てないんですけれど現地のボランティア団体と一緒に活動したことにしたりしてだアサノ大に出した自己推薦にはその時のフィリピンでの経験によって格差社会の問題について痛烈に考えるようになったっていうことにしていますけれどまあ、嘘なんですけれどでも、ほらそういうことを書いた方がウケが良いわけですし

何なんだこいつ

今、ボクが代表をしているNPO法人・若いボクらが地球を廻すなんちゃって革命団も、高2の時に母と作りましたはい、100パーセントAO入試で合格するためですそこまでやっちゃう学生は、なかなかいないですからねでも、AO入試予備校で紹介してもらった政治家の先生とか、新聞記者とか、弁護士とか、社会活動家とかそういう人たちと会って話をする機会は、NPO法人を作ったことで増えましたしそうやって実績をですねぇ一緒に握手したりしている写真も自己推薦に使えますから、そういう努力はとことんやったんですよホント、ボクは頑張ったんですあの頃のボクを褒めてあげたいっいえ、今のボクだって凄い、偉い、頑張ってますっ

つまりですねぇ大学が望む学生像に合った人間になるために、ボクは高校3年間を貴重な青春時代を捧げたわけですよお金も、いっぱい使いました1千万円とかじゃ足りないと思いますもちろん、ボクのお金じゃないですけれどそれはボクという優秀な子供に、親がしてくれた投資ですから有望だからこさの投資ですそれがボクなんですだから、AO入試に受かったんですっ

普通に勉強して、普通に受験するのでは、どうしてダメだったんですか

引き気味に瑠璃子が尋ねる

あー、判ってない判ってない判ってないなぁぁいいですかぁ普通の入学試験で合格したんじゃ、それはただ単に頭の良い学生ってことにしかならないじゃないですかっ

窓堀は、豪語する

とっころがギッチョンですねぇAO入試で合格するっていうのは、大学から理想の学生として選ばれるっていうことなんです頭だけじゃないんです社会に関心があって、積極的に社会と関わっていてそして、その活動を優秀性を、社会から認められているっていうことです今のボクはたくさんの政治家や新聞記者やジャーナリストや社会活動家の知り合いがいますからそういう人たちが、みんなボクのことを推薦してくれるんですよっお願いすれば20万円ぐらい持っていけば、みんな推薦書を書いてくれます

どうして、そんなに自信たっぷりなんだろう

でも、それって政治家っていっても、一部の政党の人でしょ新聞記者とかジャーナリストだって、どんどん信頼されなくなっているし社会活動家なんて、ホントは何している人か判らないし

ホント、判ってないなぁ日本は肩書き社会なんですよ若い世代なら、人と出会ったら、一度ネットで検索してその人の評判を確かめたりもしますけれどね年輩の世代には、そういうスキルは無いわけですから**さんを知っているとか**先生から高い評価を得ているってだけで、充分、食い込めますからボクなんて、**党の**先生の名前を出させてもらうことであちこちに食い込ませてもらってますからいや、ボクもことある度に**先生は凄いってネット配信やイベントで話してますから持ちつ持たれつの関係なんですけれどね

そう言えば君は、わたしと最初に会った時も**代議士の名前を出していたね

安奈さんの父親が言う

はいいつも使わせていただいてますっ本当は、3回だけそれも5分ぐらい会っただけなんですけれどいや、**先生の秘書の上から5番目ぐらいに偉い人とは仲が良いんですだから、**先生の党のネット戦略や、若者向けのアピールなんかには、ボクのNPOが関わってますから

ペラペラと窓堀は、喋り続ける

ボクはまあ、ネット配信とかでも公言してますけれど今は、大学院生ですけれど、別にこのまま研究者になるつもりはないんですまあ、通りが良いから社会学者を名乗ってますけれど、このままそうですねぇ、30代まではテレビとかにガンガン出て、世間に名前を売ってですねそれで、いずれは政治家に転身したいんですよほら、最初っから政治家を志しても無名だと、政党の下の方でメンドクサイ仕事をやらされるじゃないですかボク、そういう下積みとか嫌いですし無意味だと思うんですよねだって、そこそこ名前があればフォロワーが多ければ、それはそれで1つの力票につながるわけですから、最初っからデカイ顔をして国会へ行けるわけじゃないですかやっぱり、顔と名前が世間に知られてないとだから、30代までは社会学者で知的なイメージで売るんですま、一応、大学にコネも作っておきますけれどほら、政治家の先生たちって落選したら、大学の先生になって次の選挙まで食いつなぐでしょいや、ボクは落選しませんよボクは負けそうな勝負はしませんから選挙に出るんなら、確実に勝ちますけれどでも、大学にコネがあれば今、大学院に通っているエルオー大でも、卒業したアサノ大でも、ボクのコネで、落選した先生を非常勤講師に推薦してあげられるよっていうことになれば、他の政治家たちよりも立場が上になれますし

まるで狂ったように窓堀は、ペラペラと話し続ける

そんで政治家になって何がしたのさっ

ボクは大統領になりたいんですよ憲法を改正して、日本を大統領制の国にして、この国の最初の大統領になるんですっ15年くらい先の予定ですけれど

ニターッと窓堀は微笑む

いやいやいや、だからさっ大統領とかじゃくって、政治家として何がやりたいのさっ

寧は、改めて尋ねる

ボクはボクが大統領になること以外は特に何も考えてませんよ個別の政策とかはそういうのは官僚とか、政策ブレーンとかにこういうのはどうですって提案させて、ボクがそれ採用って決めていけばいいんですからそんな細かいことまで、ボクが一々考える必要はないんですよ大統領ですよ偉いんですからしかも、ボクは死ぬまで大統領ですからそういう風にするために、憲法改正です

それは大統領制じゃなくって、ただの独裁じゃないの

桃子姉ちゃんは、ムッとして怒る

あっ、あっ、あーっ知らないんですかぁ下手な民主主義は、衆愚政治になっていくだけなんですよ民衆の本質は愚鈍ですから優秀な人間による独裁政治の方が、国家の運営はスムーズになるはずなんですだって、ボクは優秀なんですからこんなの常識ですよパッパリラリラ

何か変だ

どう見ても普通じゃない

革命ですよ文字通り窓堀革命による、革命を起こすんですボクには、それができるっだってボクは優秀なんですから優秀で、努力家です頑張ってますホント凄いなあ、偉いなあ、ボクいずれは、日本国民1億2千万人が全てボクのフォローワーになるんですっボクに従うことになるのでーすタリラリラーン

君がそういう思想の持ち主だとは、思わなかったよ

安奈さんの父親安奈圭一郎氏が言う

君はもっと頭が良くて、真面目で実直な若者だと思っていたどうしてしまったんだ普段の君は、そんな人物じゃなかっただろう

普段も、心の中はこんなですよーっいつものボクは、ネコを被っているだけですからっだーって、演技しないと今の政治家、ジャーナリスト、活動家、それから色んな企業の人たちボクに協力してくれそうなオッサンたちを騙せないじゃないですかだから、普段は真面目でキリリっとした若者を演じているんですっだって、ボク現代の若者代表なんですからーっゲッチュー

窓堀は、不意に

あれ何でこの部屋に、巫女が居るんだ

突然巫女服を着ている月子に、気付く

あれ君、いつ入って来たの

ポカンとしている窓堀

月子は、ずっとオレたちと一緒に居た

白と朱の目立つ巫女衣装を着ているのに、今まで気付かなかったなんて

そんなはすが無い

月子さんもういいよっはい、カット

寧がそう言った瞬間

ひっ、ぎゃふんっ

窓堀青年は突然、力が抜けたようにヘナヘナと床にへたり込む

あなたが、力を使っていたのね

桃子姉ちゃんが、月子に言うが

公様よりこの方を排除せよという指示がございましたから

そうだよっだから、あたしと月子さんで本性をバラしたんだよっ

寧が、月子を見てニィと微笑む

心の中で思っていらっしゃることを包み隠さず、率直に話されるようにしただけです人格を変えてしまうような、強い力は使っていません

だから、今のがホントにこの人の本性なんだよ世の中の人のことを全員見下してて自分にしか興味がないんだよね自己評価が高すぎるから現実世界でも、みんなから評価される人間にならないといけないっていう欲求が強いんだよ

だから、わざわざAO入試を受けて優秀な学生と認められたいとか

ネットで積極的に発言したり、公の場に出たがったり

人生の目標を独裁政治家にしたりしているのか

どうせ安奈さんのお父さんに取り入った時も頭良さげで、マトモな人のフリをしてたんだろうしさっ

いかかです安奈さんこういう本性の男性を、エリカさんの許婚者になさって良いのですか

桃子姉ちゃんが、改めて安奈さんのお父さんに尋ねた

本当に今のが彼の本音なのですか

安奈さんの父親は、半信半疑のようだった

そうだと思いますこの巫女さんにはそういう不思議な力があるみたいですから

桃子姉ちゃんは、月子を見る

ええ、この少女の特殊能力は、わたくしが保証致します

香月家の臣下でございますか

安奈圭一郎氏は、翔姉ちゃんに尋ねる

いいえ、香月セキュリティ・サービスのエージェントではありません黒森家に属している子ですわ

黒森家

はい安奈様は黒森家のことは、もちろんご存知だと思いますが

安奈さんの亡くなった祖父も大昔に黒森家の娼館に通っていたし

大企業専門の監査法人の代表なんだから黒森家の存在は、知っていないとおかしい

名誉ある方々の、特別な秘密をお預かりするのですからこういう、人の心に触れる特殊能力を持つ人材を抱えていらっしゃるんです

こちらが黒森家の黒森公様です今日は、わたくしたちと一緒に来ていただきました

改めて瑠璃子が、オレのことを紹介してくれた

あ、初めまして黒森公です

慌ててオレは、挨拶をする

で、取りあえず安奈エリカさんとこの人、窓堀革命さんの話は無かったことにしていいですよね

いや、わたしとしては本当に、わたしの眼が曇っていたというか取り消せるものなら、取り消してしまいたいと思いますが窓堀くんは納得してくれるだろうか

安奈父は不安そうに、そう言う

あ、それなら大丈夫です月子

この窓堀っていう人から安奈さんに関する記憶を消せ

それでしたら、消すよりも付け足す方が早いですわこの人の精神に与える影響も少なくて済みますし

付け足す

ああ、判った安奈エリカさんとの婚約の話があったけれどちょっと気に入らないことがあったので、自分の方から断ったという風に、記憶を足してしまえばいいんだっ

そういうことでございますその方が、この方のプライドが傷付きませんから拒絶反応無しで、すんなり受け入れると思います

うん、じゃあここのホテルまで来て、実際にエリカさんを見たら、自分の思ってた感じと違った好みのタイプじゃなかったから、自分から断ったっていう設定でいこうよっ

寧の提案を聞いて月子は、オレを見て

それでよろしいですか公様

ああ、そういう風に、この人に記憶を付け足してくれ月子

あ、月子さんついでにさ、今すぐにやらなきゃいけないこととして、この人の記憶にデス・クィーン島へ渡って、全ての暗黒聖闘士を打ち倒して、フェニックスの聖衣を手に入れるっていうのも書き込んでおいて

フェニックスですか

あ、待って天竺までありがたいお経を取りに行くでいいや犬、猿、キジのお供を連れてで

あ、犬、猿、キジはやっぱり止めるお供は、ミクラスとアギラとセブンガーで

え、ヤッちゃんウィンダムじゃないの

いや、そこはセブンガーでいくよっ

寧は断固として、そう言う

意識が高い系というのは、最近、問題になっていますが

わたしが昔、演劇の裏方の仕事をしていた頃は

演劇をやっている人たちなんて、意識が高い系がホントに多いですから色々、大変でした

反戦を訴える芝居を上演しながら

離婚した子供の養育費を払っていないような人とか

自分に甘いくせに、他者に厳しい人たちうーん

1147.夜を迎える / 答え合わせ・1

・安奈圭一郎/51歳大手監査法人の代表エリカの父

・安奈和美/48歳エリカの母

はい、それじゃああたしたちと会ったっていう記憶は消して

寧が、月子に言う

はいでも、心に驚くの痕跡が残っていますから、このホテルに来る直前に、交差点を渡っていて車に跳ねられそうになったという偽の記憶に差し替えますわ

いいね、いいねそれでいいよね、ヨッちゃん

月子が自称・社会学者の窓堀革命の記憶を操作していく

はい必要最低限の改変を致しましたこの程度でしたら、心が壊れてしまうことは無いと思いますわ

記憶の深い層にまで無理矢理に手を突っ込んで、書き換えたわけではない

まだ記憶が脳に定着していないオレたちと出会ってからの数分分を消去し

自分から、安奈エリカさんとの婚約話を断ったという偽記憶とどうしても、天竺まで行って有り難いお経を取りにいかないといけないという強烈な衝動を植え込んだだけだ

オッケーイそんじゃ、頑張って天竺まで行ってきてねっ

寧がぼんやりしている窓堀に言う

えっとあの天竺がインドだってことき知っているんですけれどお経って、どこへ貰いに行けばいいんです

眼がうつろなまま、そう言う窓堀に、寧は

それぐらい、自分でネットで検索しなさいっ

はあそれとお供のミクラスとアギラとセブンガーって

ミクラスは、500円のソフビで売ってるからアギラは前のEXシリーズで出てたけれど、もう売ってないからネットオークションとかで探してセブンガーはプレイヒーローの対決セットでちょっと前に売ってたから、それもネットで探してゲットしてねっ

はあ判りました

とにかく、あなたみたいな人はインドに行って自分を見直して来た方がいいからっ急いで行って、すぐに出発お経が貰えるまでは、帰って来ちゃダメだからっ

窓堀は、返事をする

じゃ、出口はそつちだからっミッちゃん、ドアを開けてあげてっ

はい、お帰りはこちらでございます

美智が開けたドアに向かって、とぼとぼと歩く窓堀

じゃあねっもう2度と、ここに居る人たちの前には顔を出さないでねっバイバーイっ

窓堀は、何も言い返さずにそのまま外の廊下に出て行った

翔姉ちゃんも廊下に出て

吉住くん

はい、関さん

香月セキュリティ・サービスの警護員を呼んで、何か指示する

一応窓堀が帰宅するまでは、監視を付けておくのだろう

頼むわね

警護員が急いで窓堀の後を追うのを確認すると、翔姉ちゃんは再び部屋の中に入って来る

美智がドアを閉めた

再び、この完全防音、盗聴不可能な会議室が外部と遮断される

しかしこうやって間近で見させてもらうと、本当に恐ろしい力よね

歌晏桃子姉ちゃんが、月子に言う

人の心を読み記憶を操作し、人を操る

わたくしは、鷹倉神社の巫女を継ぐ女でございますから

月子は、やんわりと微笑むと

わたくしには、こういう力があるということをご理解下さいませ

安奈さんの両親と安奈エリカさん本人に言う

巫女姿で神秘的な雰囲気のある美少女の言葉には重みがあった

月子には、この部屋に居る人間全員の思考と記憶が読み取れますし書き換えることもできます思考を書き換えれば、月子の思い通りの行動をさせることもできますし記憶を書き換えれば、皆さんの過去を改変してしまうこともできます

でも、月子はオレの指示が無ければ、勝手に他人の心に手を付けるようなことはしませんから、安心して下さい

心の中が見透かされるのは仕方ないのよね

はい月子には、見えちゃってますからそれはもう諦めて下さい

オレが、そう言うと寧が

安奈エリカさんも心の中に隠していること、全部、丸見えになっちゃっているからねっ

不安そうに、こちらを見る安奈さん

彼女は今、別室に高畑茉莉花さんが来ていることは知らない

オレと寧が、ここへ来る車の中で高畑さんから、今回の件の詳細を聞いていることも

あの、それでわたしたちは、どうすればよろしいのですか

このような不思議な力を見せられていや、それ以前に歌晏様と香月様のお嬢様たちに来ていただいてさらに香月セキュリティ・サービスの関さん、裏の世界の黒森家の方までいらっしゃったのではわたくしとしては、ただ、皆さんに従うしかありません

そうオレたちに話す父親を安奈エリカさんは、寂しそうに見ている

安奈さんの母親も

そうね公ちゃんどうやって決着をつけるつもり

桃子姉ちゃんが、オレに微笑む

今夜のわたくしはあくまでも立会人ですから公ちゃんたちに任せるわよ

オレは安奈エリカさん自身が話してくれたこと

それから、車の中で高畑茉莉花さんから聞いた話

2つの情報を知っている

その上で安奈さんたちの家族のこれからのことを考えて

1番良い形で、解決するためにはえーっと

ヨッちゃんちょっと、しばらく、あたしと月子さんに任せてくれるかなっ

あのさ多分、今回のことって何の問題もなく片付けるためには、結構、手間が掛かると思うんだよねっ

うんオレもそう感じている

だからさっちょっと、丁寧なアプローチをしたいんだよねっ

寧には、何か良いアイデアがあるらしい

それなら任せるべきだろう

判った寧と月子に任せるよ

ちょっと公ちゃん、この人に任せても平気なの

ああ、桃子姉ちゃんは寧のことは良く知らないんだよな

問題ありませんわ桃子お姉様

香月家を代表して、瑠璃子が言う

寧お姉様はお兄様が最も信頼されていて、最も愛していらっしゃるお姉様ですから

もちろん、わたくしも心より信頼しております

わたくしも、そうでございます

とても頭の良い人ですわ寧さんは綺麗すぎる笑顔で、ついついダマされちゃいますけれどね

翔姉ちゃんも、笑顔でそう言ってくれた

もう、酷いなぁっあたしはダマしてないよっ

とてもお美しいというのは、真実ですわ

ああ、この2人は同い年なんだよな寧は1年留年しているから、学年は違うけれど

さっきの男の人に寧さんの美しさを認識させないようにするのは大変でした記憶に残ってしまうと、消さないといけなくなりますから

そうかマッド・ホリが、寧の美貌に反応しなかったのは

いや、歌晏桃子姉ちゃんや瑠璃子の顔を、なかなか認識できなかったのも

月子が、マッド・ホリの認識力に介入していたからか

そういえば、目立つ巫女の衣装を着ている月子自身のことも窓堀に認識させてなかったものな

ありがとっ、月子さんっそんでこういう風にしたいんだけどさ

寧は頭の中で、思考する

うん、言葉で打ち合わせしなくていいっていうのは楽でいいよねっ

寧は、そう言うと

ほらほら、ヨッちゃんは座って見てて他の人も、翔お姉さんも、ミッちゃんも、山田さんもさっ

わたくしは桃子お嬢様の警護役でございますから

セバスティアヌスこと山田梅子さんが言う

美智もそうだけれど名家の臣下は、こういう時には基本的に主人の背後に立っている

いいわ、セバスティアヌス座りなさい

立ったままだと危険なんでしょこの人の力が放射されるんだから

いえいえ、そうじゃないよっ月子さんの力は、指向性が強いから間違って他の人に影響が出ることは無いからたださ

せっかくだから皆さんには、傍聴人になって欲しいんだよねっ

傍聴人

これは、そういう秘密が解き明かされる場だからさっ

オレは見逃さなかった

寧の秘密という言葉に反応したの安奈エリカさんと、彼女の母親だけだ

父親の安奈圭一郎氏はぽかんとした表情のままだった

では、座らせていただきますわこの部屋の中でしたら、警護の必要はありませんし

翔姉ちゃんが率先して、椅子に座る

失礼させていただきます

美智も近くの椅子に座った

セバスティアヌス(山田梅子)さんも席に着く

っていうことは月子さんは、その辺に居てくれる

寧が月子を、部屋の全員の顔が見える位置に移動させる

白と朱の巫女服を着た月子がオレたちを見る

うんその位置からなら、全員に巫女の力を使うことができるな

そんで、あたしが検事で弁護士ってことになりまーすっ

黒のスラッとしたパンツスーツ姿の寧は確かに法廷に立つ法律家のように見える

まあいいわお手並みを拝見させてもらうわよ

桃子姉ちゃんが、寧に言う

安奈エリカさんと彼女の両親はとっても不安そうだ

はーい、それではこれより安奈エリカさん家出事件の真相に迫りたいと思いますっまず始めにエリカさんのお父さんっ

わ、わたしですか

いきなり呼ばれて驚く安奈圭一郎氏

はい、そうですっ安奈圭一郎さんあなたは、お嬢さんのエリカさんが今回家出してしまった理由に、心当たりはありますかっ

安奈父は改めて、娘の顔を見るが

いや、あのそれが大変、お恥ずかしいことですが

本当に何もないのですかっ

寧は月子の方をチラッと見る

わたくしからお話した方が、よろしいですか

うろたえる安奈父

この人の前で、隠し事は無意味ですわよ

桃子姉ちゃんが、ニヤッと笑って言う

わたくしや瑠璃子、公ちゃんや関さんにはもう隠せないと思われた方が良いですわ

安奈様こちらで聞いたことについては他言致しませんご安心下さい

翔姉ちゃんが安奈父に言う

わたくしや瑠璃子公ちゃんたちも秘密は守りますわ

ああ、守りますし守らせます

オレは安奈父に約束する

エリカは、自分の出生について気付いたのだと思いますそのことについて、わたしたち夫婦がずっと黙っていたことを怒っているのだと思います

安奈父は仕方なく話してくれた

安奈エリカさんは、ジッと無言で父親を見ている

わたしたち夫婦は結婚以来、なかなか子供に恵まれませんでした病院にも夫婦で通い、色々な方法も試してみたのですが上手く行かずそれで、あの最終的に、代理母出産を致しました

オレも桃子姉ちゃんも驚かなかったのは

そこまでの話は翔姉ちゃんの調査報告から、聞いていたからだ

安奈エリカさん自身は、亡くなった祖父の遺した日記からその事実を知っていたはずだ

代理母出産と申しましても色々な方法がありますしかし、わたしたちが選択したのはわたしと家内の受精卵を、代理母の子宮に入れるという方式ですですから違う女性の肉体を借りてはいますが、エリカこの子がわたしたちの夫婦の娘であるということには間違いはないのです

強い口調で、安奈父は言った

もちろん、代理母出産は、今の日本では認められていない行為ですのでアメリカの病院で、家内が出産したことにしてあります代理母のことは、完全に表に出ないようにしてあれますから法的にも、完全にエリカはわたしの娘なんですっ

父は改めて娘に

今まで隠していて話をしなくて悪かったでも、エリカお前は、わたしの娘なんだわたしと和美の

安奈エリカさんは、父親の言葉に堪えきらないで何か言おうとする

はいカット

安奈圭一郎氏が虚ろな眼で、虚空を見上げている

エリカさんとお母さんは、圭一郎氏の異変に慌てる

大丈夫ですわわたくしの力で、この方の思考を停止しましただけでございます

今、この方は何も見えていません何も聞こえていませんこの後、思考を再開しても思考が停止していた間のことは何もご存知ないままです

つまり安奈圭一郎さんは、今時間が止まっている状態だからっ

やっぱり安奈圭一郎さんは、真実をしらなかったうん、これで確認ができたよっ

桃子姉ちゃんが、寧に尋ねる

それは安奈様お母さんの和美さんだよね和美さんに聞いてみれば判るよっ

寧は安奈母に微笑む

教えて下さいっ安奈エリカさんはアメリカで代理母によって産まれたのは判ったけれどその受精卵の精子と卵子は誰のモノ

深刻な話だけに明るく尋ねる

安奈エリカさんの本当の両親は誰なのっ

安奈母は停止したままの夫を見る

主人には、本当に聞こえていないんですね

はい安奈圭一郎さんの知覚は全て停止しています

巫女姿の月子が答える

お母様教えて下さいあたしは、お母様から真実を聞かせていただきたいです

安奈エリカさんが、真剣な眼で母親に言った

彼女はすでに、祖父の日記から真実を知っている

それでも母親の口から、本当のことを聞きたいのだろう

この子が産まれた頃はまだ、お義父様がお元気でしたから

安奈母は小さな声で、話し始める

主人の精子では受精卵を作ることが難しかったのですですから、お義父様の精子をいただきましたいえ、そうするようにお義父様が指示なさったんです

主人には内緒なしていましたお義父様の精子をわたくしの卵子に体外受精させ代理母の方の子宮に入れていただいたのです

安奈母は真実を語る

ていうことはエリカさんの生物学上の父親は、お祖父様ということになるのね

なるほど亡くなる直前に、エリカさんを養女して、お父様と同じ遺産相続

の権利を与えたのは本当にご自分の子供だったからなのね

孫でなく、娘だから

養女にして自分の遺産の半分を、直接遺した

お義父様は主人がエリカが自分の娘でないことに気付いたら、腹を立ててエリカに酷い仕打ちをするのではないかと恐れられたのだと思います

安奈母は言う

ですからエリカを養女になさって、遺産を

安奈エリカさん自身に個人資産が有ればもし父親と不仲になっても自立できる

主人はエリカが生まれたことを本当に喜んでいましたし子供ができない理由が主人の身体にあったということをお義父様は、主人に知らせたくなかったのだと思います本当に長い時間を掛けて、色々な試みをしてみて、ようやく生まれた娘でございますから

ホントは自分の娘じゃなくって、お父さんと自分の妻の子だと知ったら可愛さ余って、憎さ100倍になるんじゃないかって、思っちゃったんだよねっ

はいそうだと思いますわ

安奈母の言葉をエリカさんは無言で聞いている

すると、翔姉ちゃんが

わたくしたちが、エリカさんの出生の秘密を知ったのはエリカさんを出産なさった代理母の方が、黒森家の関係者だったからですわ

ハッとして安奈エリカさんは、翔姉ちゃんに振り向く

亡くなられた安奈エリカさんのお祖父様は黒森家を通して正確には、黒森家の番頭を務めていらっしゃった森下さんという方に、代理母となる女性をお求めになられたんです

アメリカに長期滞在して秘密裏に子供を産むことを受け入れてくれる女性だ

その上口が固くて、絶対に顧客の秘密を守ってくれて後から、ゴチャゴチャしたことを言い出さない女性

となると昔の黒森楼で働いていた元娼婦が適任だ

安奈さんのお祖父さんは、黒森楼に通っていたから

森下さんに口利きを頼んだのも、よく判る

それで森下さんが、数年前に出産経験がある、理想的な代理母になれる女性を紹介したそうですわ

翔姉ちゃんの言葉に

高畑さん、お元気ですか

わたしが出産して産んだ子にしないといけませんからわたし、半年以上、アメリカで高畑さんと暮らしましたエリカが産まれるまでわたし、お産にも立ち合いましたし高畑さんの小さなお嬢さんも一緒でしたわ

それが高畑茉莉花さんだ14年前の

つまり、安奈エリカさんと高畑茉莉花さんは同じ母体から生まれた姉妹

高畑香子さんは、最近、お身体の調子を悪くなさっていますがご健在ですお嬢さんの茉莉花さんも、今年高校生になられましたわ

翔姉ちゃんの安奈母への報告を、エリカさんも聞いている

まあ、そうですかアメリカで産まれたエリカを引き取って以来、高畑さんとはお会いしておりませんからいえ、そういう約束でしたので仕方ないのですけれど

安奈母は、寂しそうにそう言う

寧の合図で、月子が力を放出する

安奈父に続いて安奈母も、思考が停止する

時間が止まったままの状態になる

月子さん安奈さんのお母さんの記憶見た嘘とかは吐いてないよね

はい全てご自身の知っておらっしゃることを、正直に話していらっしゃいましたわ

月子が安奈母の心の様子を教えてくれた

だってさ、ヨッちゃんどうする

寧がオレに苦笑する

これってさ安奈さんのお母さんも、途中までしか真実を教えてもらってないってことだもんねっ

我が家の電話回線がイカレました

どうもネズミに噛まれたらしく、配線のどこが傷付いているか不明

修理の人に来てもらって、ルーターからの配線をやり直してもらいました

ていうか線だけ引いてもらって、壁や床への固定は私がやりました

1148.夜を迎える / 答え合わせ・2

月子の巫女の力によって、思考停止の時間が止まった状態にさせられた安奈夫妻を見ながら寧が言う

安奈エリカさんは、黙ったまま表情を強張らせている

夕食の時に翔姉ちゃんがした説明ではここから先の話は出ていないから、桃子姉ちゃんは知らない

翔姉ちゃんは、プロだから完全に裏が取れる前に、不確かな情報を報告したりはしない

それと、正確な情報は移動中の車内で、高畑茉莉花さんからもたらされた

エリカさんのお母さんはなかなか子供ができない理由が、旦那さんの方だけに原因があったと思っているけれど

寧はぼんやりとした表情で、虚空を見つめたまま固まっている安奈母を見る

ホントはさお母さんの方にも、問題があったんだよっだから、亡くなったエリカさんのお祖父さんは

ハッと気付く桃子姉ちゃん

そうお祖父さんは、エリカさんのお父さんにはお前たち夫婦の精子と卵子を体外受精させて、代理母の胎内に仕込んだって説明したけれど、それは嘘だったよね

安奈エリカさんのお父さんはその説明を信じていた

だから、代理母による出産でもエリカさんは、自分と妻との娘だと言い切っていた

そんでエリカさんのお母さんには、息子の精子がダメだっので、自分の精子を代わりに使ったと説明してた

安奈父の精子+安奈母の卵子を体外受精させて代理母の胎内に入れて、出産させたのではなく

安奈祖父の精子+安奈母の卵子を体外受精させて代理母の胎内に入れたと

で、今、見た通り安奈さんの奥さんは、その説明を信じていた義理のお父さんが、息子の気持ちを傷付けないように黙っていて欲しいと言われたから、今までずっと秘密にしてきたって

安奈さんの家の先代は1代で、大手の監査法人を育て上げた方だからとても、威厳があって、カリスマ性が高い方だったそうよ

息子さんの安奈圭一郎さんは亡くなるまで、お父様には頭が上がらなかったみたいねお父様の命令には、どんなことでも逆らえなかったそうよ今でも亡くなられた先代には、強烈なコンプレックスを感じられているのだと思うわ

だから、息子の妻もエリカさんの祖父の命令を守り続けてきた

ずっと子宝に恵まれなかったのに、ようやく産まれた娘が

本当は、自分の娘でないと知ったら

しかも、頭の上がらない父の精子と自分の妻の卵子でできた子だと知ったら

絶望してしまうだろう

でもエリカさんのお母さんにした説明も、嘘だったんだよっ

お母さんの卵子も使えなかったんだよねだけど、それをそのまま言うと、お母さんも絶望しちゃうからさ

では安奈エリカさんは

桃子姉ちゃんの問いに安奈エリカさんは、ブルッと身体を震わせる

答えは1つだよ代理母に出産してもらったんじゃないんだよそのまま、普通に妊娠して、普通に出産したんだよね

そうつまり

安奈エリカさんは祖父と、代理母ということになっている黒い森の元・娼婦、高畑香子さんとの間に産まれた娘なんだ

エリカさんには安奈圭一郎夫妻との血縁関係は無いんだよっ

なるほどそれがエリカさんが、突然家出した理由なのね

桃子姉ちゃんは、納得する

自分が両親の子じゃなくってお祖父さんと別の女性の間の子だって知ったからなのね

しかも、本当のお母さんが黒森家の娼館で働いていた元・娼婦で、お祖父さんはお客様だったってこともお祖父さんの日記に書いてあったんでしょっ

寧の言葉に安奈さんは、ただただうつむいて、黙り込んでいる

この方の心は、そうだと認めていますわ

月子がやんわりと言う

ごめんなさいわたくしには、皆さんの心の全てが見えてしまっていますから

安奈エリカさんは、半泣きの眼で月子を見る

一応、わたくしたちの調査では安奈エリカさんの受胎は、人工授精でしたお医者さんの手で、精子と卵子を体外受精させて高畑香子さんの身体に入れていますそれは確実ですから

翔姉ちゃんが、エリカさんに言う

それはエリカさんが、祖父と元・娼婦の生々しいセックスで産まれたわけではないということを示している

たまたま、高畑香子さんを妊娠させてしまってお腹の中の子供を、言葉巧みに息子夫婦をダマして押し付けたとか、そういう可能性はありませんあくまでも、子供の誕生を熱望する息子夫婦のために、なさったことです黒森家の番頭さんだった森下さんに妊娠・出産してくれる女性を要望して森下さんが、それなら、よく知っている女性の方が安心できるだろうと、すでに娼婦を引退していた高畑さんを紹介なさったそうですそれは森下さんから証言をいただいています

翔姉ちゃんが、ハッキリと言う

自分の祖父と実の母親が以前は娼婦と客の関係にあったというのは

14歳の少女にとっては、受け入れがたい話だろう

自分は本当は娼婦の娘だと知ったからこそ

何もかもヤケクソになって、オレのセックス奴隷に志願してきた

はい安奈エリカさんの出生に関して、悪意を持っていらした方は1人もいらっしゃらなかったと思います

月子が安奈さんに言う

あなたが、1番恐れていたこと本当は、父も母も真実を知っていて自分のコトをダマしていたという事実はありません今、あなたがご覧になった通り安奈圭一郎さんは、あなたが自分の娘だと信じていらっしゃいますし奥様の安奈和美さんも、あなたが自分の卵子から産まれた子供だと信じておられます

他人の心の奥深くまで見通せる月子だからこそその発言は重い

あなたと同じでお父様、お母様も真実を知らされてこなかったのですでも、それだって亡くなられたお祖父様が、悪意をもってそうなされたのではなくあくまでも、息子夫婦の気持ちを思って、仕方なくそうなさったんですわ

月子の言葉にエリカさんは静かに口を開く

でも、あたしはお父様、お母様に愛される資格がないです

自分が、両親の実の子じゃなかったことが本当にショックだったんだな

今は、あなたの個人的な感情より眼の前の問題を片付ける方が先だよっ

寧が力強く、エリカさんに言う

眼の前の問題って

エリカさんの代わりに、桃子姉ちゃんが寧に尋ねた

ほらエリカさんが持ってる株のこと安奈圭一郎さんは、娘の名義でも、その株を持ってちゃマズイんでしょっ

安奈父が代表の監査法人が、他の監査法人と合併することで

相手の法人が監査を担当している企業の株は大急ぎで手放なさなきゃいけない

ああ、その件ね

うなずく桃子姉ちゃん

エリカさんに遺された方の遺産には、優良な企業の株がいっぱい入ってたことは知ってるよねっしかも、エリカさんが貰った分はお祖父さんの弁護士さんに、管理をお願いしている

ここから先は全部、高畑茉莉花さんから聞いたことだ

株の配当金が弁護士さんによって、とある人に送金されているわわたくしたちの調査でも、それは明らかになっているわ

香月セキュリティ・サービス現場統括者の翔姉ちゃんが言う

もちろん、そのことは安奈圭一郎さん小瀬夫妻はご存知ないでしょうけれど

安奈さんが成人するまで、そのまま弁護士さんが管理しているはずの資産から毎年、かなりの額が支出している

これは、高畑香子さんにつまり、エリカさんの実のお母様に送られているのよねエリカさんを出産したことへの謝礼、あるいは秘密を守ってもらうための口止め料かもしれないけれど

その方に対する年金ですお祖父様の日記には、そう書かれていました

まだ小さな娘さんを抱えて、お金にとっても困っていらっしゃったらしいですからだからこそ、自分のお腹を貸してあたしを産むなんてことも、しなくちゃいけなかったんだと思いますけれど

高畑香子さんが娼婦を引退したのは白坂創介が、黒い森を支配し始めた頃だ

その頃の白坂創介は、メチャクチャ横暴な経営をしていたから

引退する娼婦を、ほとんど無一文で叩き出したんだろう

そして、さっき車の中で会った人

高畑香子さんの娘である高畑茉莉花さんはおそらく、娼館の客との間に生まれた子だ

渚もそうだったけれど白坂創介は娼婦を輪姦して、父親が誰だか判らない子を妊娠させないと、引退を許さなかった

渚の場合は、それでもミナホ姉さんが引退後の仕事を始める資金を用意してくれたけれど

高畑香子さんの頃はミナホ姉さんは、まだ黒い森に連れて来られていない

そういうことなんだと思います年金の支払いがエリカさんを産む報酬だったんでしょうねただ、そのことは亡くなった先代と高畑さんとの約束で、息子さん夫婦にはお話なさっていないんだと思います

どうして安奈夫妻は、その方を普通の代理母だと思っていて、面識もあったんでしょさっき、エリカさんのお母さんがアメリカで半年近く一緒に暮らしたって話されていたわ

だからこそ先代は、高畑さんが息子さん夫婦と二度と接触しないようにしたかったんだと思います高畑さんから、真実が漏れるのが恐ろしかったんでしょうそれに高畑香子さんは、代理母でなく実の母ですから急に、エリカさんのことを取り戻そうと裁判所などに訴えたりしないように、毎年多額の年金を与えることで抑え込もうとしたのでしょうねそれで息子さんには内緒でご自分が所有していらいた優良株の配当金を、高畑さんへの年金に当てられていたんです

それがエリカさんのお祖父様が亡くなった後も、ずっと続いたのね

はい歌晏様ご自分の弁護士さんに頼んで、エリカさんに遺す資産の中に高畑さんの年金の元となる優良株を全て含めてそこから、こっそり年金を支払い続けるようになさったんです間に弁護士さんが入れば、安奈圭一郎夫妻も高畑さんも、お互いに接触を持たずに済みますから

徹底してエリカさん出生の秘密が、息子夫婦に知られないように

生前、弁護士さんに指示していたのか

生活の厳しい高畑さん一家にとっては安奈家からの年金は、とても助かっていらしたようですもっとも、年金のほとんどは娘さんの学資として貯めていらっしゃたみたいですけれど

高畑さんのことも調べたんですか

実の母と姉の身辺情報を聞いて安奈エリカさんの表情が変わる

ええ、もちろんですわ

翔姉ちゃんは、笑顔で答えた

娘さんの茉莉花さんは、ちょっとお金のかかる学校に通っていらっしゃるんですそれにさっきも話しましたけれど、高畑香子さんは、最近、お身体の具合が良ろしくないみたいです

高畑茉莉花さんは、音楽科のある高校でピアノを勉強していると言っていた

あの人はエリカさんの異父姉なんだ

あたし会いたいです

エリカさんは、まさか姉がすでに隣室に来ているとは思っていない

ほらほら、今は眼の前のことに集中してっ

とにかく高畑さんに払っている年金が途切れないようにしないといけないでしょっ

そ、そうですねあたし、そんなに生活に困っていらっしゃるとは思っていなかったから

エリカさんが、オレを見る

あたしのいただいた遺産は、全て黒森様に差し上げますなんて申し上げてしまいましたけれど

エリカさんは、悲壮な表情でオレに言う

気にするなオレはそんなのどうでもいいから

あたしは、ただお父様に、あたしがいただいた遺産をお渡しするわけにはいかないとだけ思ってましたお父様が、あたしの資産の状況をご覧になったら管理をお願いしている弁護士さんを訴えてしまうかもしれませんから

エリカさんは言う

安奈圭一郎さんは、娘が成人するまでは弁護士さんは、資産をそのまま保持してくれていると思っている

だから、そこからこっそり送金されていることに気付いたら、弁護士さんの横領を疑うだろう

そうなる前に送金先が高畑さんだってことは、すぐにバレちゃうよそうなったら、エリカさんのお父さんは高畑さんの現住所だって突き止められるし、会って話を聞こうとするよねっそれで高畑さんが、ついホントのことを話しちゃうかもしれないし

エリカさんが安奈夫妻の実の娘ではないことを

安奈圭一郎さん夫妻としてはさっ高畑さんには、とっくに亡くなったお祖父さんがエリカさんを産んだ時に多額の報酬を支払っていてそれでもう、もう縁が切れているものだと思っていたはずだからさっエリカさんが成長したこの14年間、まったくコンタクトが無かったわけだからさエリカさんを代理出産したことは、綺麗さっぱり忘れてくれたって思っているんだろうから真実を知ってしまったらメッチャクチャに落ち込むと思うよっ

14年間育ててきた愛娘が自分たちとは血を繋がっていないのだから

そうなったらそんな原因を作ったエリカさんのお祖父さんのことを恨むだろうしエリカさんのことも、娘としては見られなくなるかもしれないよねっ

エリカさんは

ですから、あたしはそうなる前に、あたしの資産を全部丸ごと黒森様に差し上げてしまいたかったんです

なるほどオレに献上してしまえば、安奈圭一郎さんがチェックすることはできなくなる

香月家と関わりのある裏の世界に属する家の金庫に吸い込まれてしまえば

あたしのことは、いいんですとにかく

エリカさんは顔を上げて、オレたちを見る

あたしの本当のお母さん高畑さんの年金をきちんと払い続けられるようにするには、どうしたら良いでしょうか

でも今まで年金の原資にしてきた株を売らないと、エリカさんのお父様は困るのよね

桃子姉ちゃんが翔姉ちゃんに尋ねる

となると問題になっている株を売って他の株に買い換えるしかないのかしら

でも歌晏様お祖父様が遺して下さったのはどれも、一流の多くの配当金が見込める安定した優良企業の株ばかりなんです

なるほど他の会社の株じゃ、今ほど配当金が見込めないのね

溜息を吐く桃子姉ちゃん

はい、株を売って金銭に換えたらそこから高畑さんへの年金を引き出していくと、エリカさんの遺産はどんどん目減りすることになります

翔姉ちゃんが、説明してくれる

それじゃあ、ますます、弁護士さんが横領を疑われることになるわね

はい、歌晏様そして、その嫌疑を晴らすために、本当のことを言えば

エリカさんのお父様たちに出生の秘密を話さなくてはならなくなるわ

そういうことでござます

歌晏桃子姉ちゃんと翔姉ちゃんが、うなずき合う

確かに、それはマズイ

ただ株を買い取るだけなら、わたくしがお祖父様にお願いして買ってあげてもいいんだけれどその後に、わたくしから高畑さんという方に年金を差し上げるのは変よね

確かに、高畑さんという人は歌晏家とは縁もゆかりもない人なんだから

桃子姉ちゃんが年金を払うのは筋違いだ

それは香月家も同じ

黒森家は、高畑さんが娼婦として働いていた家だから関係はあるけれど

いや、だからこそ黒森の家とは、接触したくないだろう

彼女は、黒い森が1番悪い時期を経験してきている

翔姉ちゃん香月セキュリティ・サービスって、もうオレのモノでいいのかな

ええ事実上、あなたの所有物ということで構わないわ

香月セキュリティ・サービスで、その株を預かることはできないかな

要は名義だけ安奈さんの名前から変えればいいんだろだったらさ、香月セキュリティ・サービスで、その株を全部預かってそれで高畑さんという人を、香月セキュリティ・サービスの役員にして、役員報酬っていうことで今までの年金と同じ額を支払ってあげればいいじゃないか

でも、全て優良企業の株となると結構な額になるわよ預かるにしても香月セキュリティ・サービスも担保として、同じくらいの価値のあるものをエリカさんに渡さないといけないわ

桃子姉ちゃんが、すぐにそう言う

それなら大丈夫です香月セキュリティ・サービスには、未使用の土地が幾つかありますからそれを担保にすれば

翔姉ちゃんが、即座にそう言った

それでいいよねエリカさん

あ、あのよろしいんですか

エリカさんは、驚いていた

預かるなんて形にすると換金とかできなくなりますし、配当金も高畑さんに払って下さるのなら、香月セキュリティ・サービスにとって得なことは何も無いと思いますけれど

得はあるよエリカさんが、オレのモノになる

はっきり言うけれど、オレは裏の世界の人間だからただ働きは絶対にしないオレとオレの家族にとって、得だと思うことしかしないよ

オレは、安奈エリカさんの14歳の肉体を見る

約束通り、エリカさんがオレの奴隷になるのなら全て何とかするよその代わり、覚悟は決めてくれいい加減な気持ちで、奴隷になられたら、みんなが困る

はっきりとここでみんなの前で宣言してくれよ

思考停止の状態とはいえ、オレはこの子の親の前で

エリカさんに奴隷宣言を求める

オカダ事件をウォッチしていると

もう少し早ければ、窓堀のキャラを変えたのにうーん

1149.夜を迎える / 答え合わせ・3

思考停止させられたままの両親の前で安奈エリカさんは、奴隷になることを宣言しようとする

まだ、だな

まだ、心が完全に受け入れていない

ストップだ気が変わった

追い込みが、まだ足りないと感じる

先に眼の前のことを片付けよう

オレは、安奈夫妻を見る

とにかくこの人たちに、現在の状況を納得させてしまおう

ヨッちゃん、任してっ

エリカさんのお父さんとお母さんがそれぞれの現状認識で、どうしてエリカさんが家出したのかの理由付けをしちゃうからっ

人間は、納得できる理由さえあれば大抵のことは受け入れられちゃうもんねっ

そして、月子に振り向き

じゃ、月子さんまずは、お母さんの方から

月子が返事をする

エリカさんのお母さんは彼女が、本当はお祖父さんの精子と母親の卵子を体外受精させ、代理母の高畑香子さんに産んでもらって子だと思っている

そのことを告白した瞬間に月子によって時を止められた

思考停止を解除致します

寧が返事をした途端

ごめんなさい、エリカずっと、あなたに秘密にしていて

安奈母の時が動き出す

でも高畑さんに代理母として産んでいただいたとしても、あなたはわたしの娘なのよお父様の子ではなく、お祖父様の娘だったということはショックだったと思うけれどわたしは、心からあなたを愛しているわ

娘に一生懸命に語っている

お母さん自身が、真実を知らないというのに

安奈エリカの誕生に、この人の卵子は使われていないのだから

お願いお父様にだけは、秘密のままにしてあげてお父様もずっと待ち望んで、ようやく産まれたエリカのことを愛していらっしゃるわ本当は、自分の娘ではないことが判ったら悲しまれると思うの苦しまれるわお辛い思いをしていただきたくないのよ

亡くなったエリカさんの祖父に、強いコンプレックスを感じている安奈圭一郎さんは

愛娘が父親の種から産まれた子だと知ったら、絶望して、どうなってしまうか判らない

エリカお願い

安奈母は戸籍上の娘に、頭を下げる

エリカさんは、困惑した表情のまま固まっていた

エリカさんが今回家出しちゃったりしたのも実は、そのことが原因だったりするんですっ

寧が話を作っていく

誰だっていきなり自分が本当はお父さんの子じゃなくって、お祖父さんの娘だって知ったら、ビックリしちゃいますもんねっ

そうでしょうね本当に、ごめんなさいエリカあなたには、いずれ話すつもりだったのよわたしはあなたに話すのは、まだ早いと思っていましたから

まだ、14歳では自分の出生の秘密を知るのには若すぎるショックを受けとめきれないだろうと安奈母は思っていたらしい

体外受精とか代理母っていのも14歳の女の子には、生々しくて気分が悪くなったんだと思うよっそんな科学実験みたいな感じで、自分が作られたなんて知ったらさっ

そうなのでしょうね判りますでも、エリカわたしは、あなたに生まれてきて欲しかったのよどんな手段を使ってもお父様と一緒に、不妊治療のために何度も病院に行って色んな方法を試してそれでもダメで最後の最後に、ようやく手に入れた娘ですもの

お母様

エリカさんが母を見る実の母ではない母を

生まれてから14年間、育ててもらって来ているがこの眼の前に居る女性とは、自分は血縁関係が無い

自分は祖父と高畑香子という女性の間に生まれた娘だ

しかし、この女性はその真実を知らない

お願いよお父様には秘密のままにしておいてあげてっエリカ

そう言う安奈母をエリカさんは、呆然と見つめるしかない

大丈夫だよねっエリカさんも秘密は守るよねっ

笑顔で寧が、エリカさんに言う

エリカさんがずーっと秘密を守っていけばそれで全部、丸く納まることなんだからさっ

もちろん、わたくしたちも秘密は守るわよ

桃子姉ちゃんも、エリカさんに言う

秘密を守るとは安奈父にエリカさんの生物学上の父親でないことを伝えないことだと、安奈母は思っている

しかし、桃子姉ちゃんの言う秘密とは

安奈母にも実はエリカさんの生物学上の母ではないということを隠し続けるということだ

ああ、オレたちも約束するここで見聞きしたことは、誰にも話さない瑠璃子、翔姉ちゃんそうだよな

香月セキュリティ・サービスの代表として、お約束致します

美智やセバスティアヌス(山田梅子)さんに聞かないのは臣下だからだ

臣下は、主の命に従うものだ

後は月子だけれど巫女の力を放出している月子は、寧の背後に隠れて

エリカさんや安奈母に対して気配を消している

このおかしな状況安奈父は、思考停止のままだし

オレたちに取り囲まれて、家の秘密を明らかにされてしまっているようなことを

エリカさんや、彼女のお母さんが平然と受け入れているのは

今、この部屋の中が月子の巫女の力によって、緩く抑え込まれているからだ

強い力は使ってないが何となくおかしいとは気付いてはいるけれど、特にことを荒立てて変だとは主張できないような空間になっている

じゃ、エリカさんそういうことでいい

寧がダメ押しをする

仕方のないこととしてエリカさんは小さな声で、そう答えた

エリカさんだって、両親のことは嫌いではないのだ

自分に真実を話さなかったことに悪意がなかったことが判った以上

安奈家の両親には、心配をかけたくないと思っているだろう

じゃあさエリカさんのお父さんへの返答だけれどさっ

お父さんは自分の精子と奥さんの卵子で、ちゃんと体外受精できたって信じているんだからさっ、エリカさんの家出の理由は代理母出産だったことを知ったってことだけにまとめちゃおっ

自分を産んでくれた人が、お母さんと別にいたでも、そのことを今まで、両親に教えてもらえなくてショックだったその一点だけで、突破しようよっ

そうですわね主人には、その説明が1番良いと思います

安奈母が、そう言った

エリカさんはどう

それでいいです

エリカさんは、力なく答える

それじゃあ、月子さんお父さんの方も解除してあげてっ

なるほど、そういうことでしたかそれで娘は

寧と安奈母の説明を安奈父は、あっさりと受けとめた

そうですね代理母の存在はエリカにとっては、相当、衝撃的なことだったんでしょうね

高畑香子さんの現在のお住まいは香月セキュリティ・サービスで調べてありますわ

はいエリカが産まれるまでのことは、死んだ父が全て取り仕切っていましたからあれから14年、わたしも妻も改めてエリカの代理母を務めて下さった高畑さんにお礼も申し上げていません一度、大きく成長したエリカを連れて、ご挨拶に伺いたいと思います

安奈父は、そう言うが

いや、エリカさんは多分、お父さんたちと一緒じゃなくって1人で高畑さんに会いたいんじゃないかって思うよっ

寧は笑顔で言う

だって、ほらこう言ってはなんだけれど、エリカさんにとってはさっ代理母の高畑香子さんていう人は、もう一人のお母さんでもあるんだからさっ

そうね自分のお腹を痛めて、産んでくれた人だものね

桃子姉ちゃんも、そう言う

ああ別に、エリカさんのお母さんのことを責めてるわけじゃないからねっあくまでも、エリカさんの気持ちとしてはっていうことでさっ

いえおっしゃることは良く判ります

安奈母はエリカさんを見て

そうよねエリカを産んで下さった恩人ですものねエリカが、会ってみたいと思う気持ちは判るし

そうだなそうなったら、わたしたちと一緒でない方がエリカの気分が楽になるかもしれないな

安奈父も言う

そう感じるように、月子が力で促している

高畑さんとの会見につきましてはわたくしたちがセッティング致します

翔姉ちゃんが、安奈夫妻に言う

お願い致します関さんそれでエリカ

安奈父は、再び娘を見て

とにかく、お前に色々と隠し事をしていたことは謝るこの通りだ申し訳なかったでも、これでもう話さなければならないことは全て話しただから、エリカも家出なんて止めて、家へ帰って来てくれ

そうよ、エリカ歌晏様、香月様、黒森様にお礼を言って家に戻りましょう

しかしエリカさんは

あ、あたしはその

本当の父親と母親でないこの人たちと、このまま暮らすことを

エリカさんは、躊躇している

エリカさんはまだ混乱なさっているようですわですから、今夜はわたくしたちの屋敷にお泊まりいただこうと思います

ずっと黙っていた瑠璃子がそう言う

でもご迷惑なのでは

安奈父は香月家に貸しを作ることを恐れているんだと感じた

お気になさらないで下さいお兄様、よろしいですわよね

ああ、もちろんだ

エリカさんにはこのままオレのセックス奴隷になってもらうのだから

ご迷惑とか今更ですわわたくしも、今夜はご自宅に戻るより、瑠璃子たちと過ごした方がエリカさんの精神状態には良いと思いますし

桃子姉ちゃんも、そう言ってくれた

安奈父は、妻を見て

ではお願いしようか

そうですわね無理に家に連れ帰るのは、今のエリカに良くないことかもしれませんわね

安奈母は、エリカさんを心配そうに見る

ところで安奈さん

翔姉ちゃんから、いえ、香月セキュリティ・サービスの関さんから安奈さんのお仕事の都合で、エリカさんがお祖父さんからもらった遺産の中にある優良企業の株を売らなくてはいけないと聞きましたが

はい、その通りですが

安奈父が、怪訝な顔をしてオレを見る

それ、株式市場に売るのではなく全部、そのまま丸ごとオレに売ってもらえませんかもちろん、値段は市場通りで構いません

君に

驚く安奈父

ああ、オレって言うより香月セキュリティ・サービスです

お兄様はお祖父様から、香月セキュリティ・サービスの経営を任されているんですわ

瑠璃子が説明する

香月閣下が君に香月セキュリティ・サービスを

普通じゃ考えられない話だよな

香月セキュリティ・サービスは、名家専門の警護会社であると同時に香月家の私兵だ

オレみたいな高校生に任せていいものではない

もちろん、会社の運営とかは翔姉ちゃん、じゃなかった関さんにお任せしていのすけれどほら、オレはみすずのパートナーですからご存知ですよね

大企業専門の監査法人の代表なんだから名家のことに関しての最新情報は確実にキャッチしているはずだ

ジッちゃんはいえ、香月閣下は、今の内からオレに企業経営について勉強させたいんだと思いますそれで、まあ香月セキュリティ・サービスなら、翔姉ちゃん、じゃなかった関さんていうお目付役も居るし、色んな名家の人とも知り合えるしそういう理由で、オレの研修先にしてくれたんだと思います

オレも、どんどんそれらしい話を作っていく

そういうわけでオレは、香月セキュリティ・サービスで何かしら収益の上がることをしないと、ジッちゃんに怒られちゃうんですよそれで

オレは、安奈父を見る

今、エリカさんが保有していてこれから売りに出そうとしている株は、全て安定した優良企業のものだと聞きました資産価値もあり、配当金も期待できる株だと

安奈父は、うなずく

この先、大暴落して株価が極端に落ちるようなことは、まず考えられない株です断言します

そういう株を香月セキュリティ・サービスが保有することは企業にとっては、良いことだと思うんです

そうですね企業内部に現金を貯め込んでいるよりは、株式として保有している方が良いと思います

だから丸ごとガバッと、全部、オレがいえ、香月セキュリティ・サービスで引き取らせていただきたいんですけれど

安奈父は、少し考えて

それはつまり、香月家が株を保有して下さるということですよね

そういうことですね香月セキュリティ・サービスですから、黒森家じゃないですあくまでも、香月セキュリティ・サービスの資産になります

黒森家は、裏社会だが香月家なら、表の存在だ

いいでしょうそれでしたら、香月家にお売り致します

うんよし

ていうことだから、翔姉ちゃん

判ったわ後はわたくしに任せて下さい

株式売買に関する細かいことはオレ、じゃあ何も判らないもんな

よし、これで1つ片付いたな

パンッと、手を打ち鳴らす月子

その瞬間強い巫女の力が、再び安奈夫妻に襲い掛かる

思考停止の時間が止まった状態にする

慌ててエリカさんが、オレを見る

お父様もお母様ももう

ああ、安奈圭一郎さんと奥さんの方は、とりあえず話が着いたこれでオーケイだでももう一つの方が残っているじゃないか

エリカさんの亡くなったお祖父さんの弁護士さんだよ

亡くなったエリカさんの祖父に遺言として、秘密の指示を与えられている

つまり、エリカさんに渡された遺産を管理しているように見せ掛けて株の配当金を、年金として高畑香子さんに送金し続けている

あ、そう言えばその弁護士さんも、ここにいらっしゃるっていうお話だったわよね

桃子姉ちゃんが、思い出したように言う

もう来ているんだろ翔姉ちゃん

ええ、別室で待機していただいているわ

さすが、翔姉ちゃん

じゃあ、ここへ呼んでよ

翔姉ちゃんは、この部屋の外に居る部下に命令しに行こうとする

ここは電波なんかも漏れない完全防音室だから

ドアを開けて、外に出て直接、命令するしかない

内線電話もあるけれど、ここのホテルの中の内部回線だから盗聴される可能性があるし

ちょっと待ってここへ呼ぶって、このままでいいの

桃子姉ちゃんが思考停止している安奈夫妻を指差す

こんな状態の人を見たらわたくしたちが、無理矢理危険ドラッグみたいなモノを飲ませたとか、勘違いされるんじゃないかしら

大丈夫だよ見えなくするから

オレの頭の中の言葉を読んで月子は、そう答える

ああ、その子の力で見えなくしちゃうのね

納得する桃子姉ちゃん

一方、エリカさんは思考停止状態の両親を見て、考え込んでいる

じゃ、呼んでくるわ

翔姉ちゃんが、廊下に続くドアを開ける

毎年恒例の天地無用GXPの新刊が出たと聞いたので買って来ました

11巻アニメのテレビ放送が2002年ですからもう13年前の作品

そのノヴェライズがまだ完結せずに、毎年1巻ずつ出版され続けているという

ラノベだと途中で途切れちゃう作品も多いのに

しかしわたしの家の近くの本屋では、置いていないので

ラノベ自体、売れ線のレーベルのモノしか売ってないですから

電車に乗って、1番近いオタク本屋にまで、買いに行きました

というか、本屋自体10年前と比べて、激減していますし

ネットの新刊評で、面白そうだなと思った小説やマンガを探しても

近くの本屋では、まず売ってない

かといって、最近は少し前の新刊とかになるとオタク書店でも売ってなかったりしますし

ネットで取り寄せるしかない時代に、なってっちゃうんでしょうね

1150.夜を迎える / 角砂糖

それでよろしいのでございますね

安奈エリカさんの亡くなったお祖父さんの弁護士はもう70歳近い白髪の老人だった

高畑香子さんに年金を払い続けるというのがお祖父様のご遺言だったんですよね

エリカさんは、改めて弁護士さんに確認する

はい、それが先代様のご遺言でございます高畑香子さんのお嬢様が大学を卒業なさるまでは毎月、送金するようにと

弁護士さんは、答える

それをあたしに遺して下さった遺産の株の配当金から支払えと

はい、そういうご指示でございました

エリカさんは、亡くなられたお祖父さんの養女になっているから

遺産の半分を相続している

それを弁護士さんが、エリカさんの成人まで管理することになっていたから

えっと安奈エリカさんは14歳で、高畑茉莉花さんは16歳2つ違いだから

エリカさんの成人の年に、茉莉花さんが問題なく大学を卒業できればエリカさんの手に遺産が渡ると同時に年金は終了ということになる

お祖父さんは、そういう計画を組んでいたのだろう

これならエリカさんは、年金のことを知らないままでいられたかもしれない

エリカさんのお祖父さんは遺した日記を読まれるなんてことは、考えていなかったんだな

お祖父さんの計画がバレたのはエリカさんが、離れの地下の秘密図書館にあった日記を読んでしまったからだ

先代は急逝なさいましたから

老弁護士は、言う

本当は人目に触れないように、亡くなられる前に処分なさるおつもりだったのだと思います

心筋梗塞だったんです朝はお元気だったんですけれど本当に突然亡くなって

エリカさんは、そう言った

それでも、先代はいつ亡くなられても良いように、わたくしたちにご自分の死後のことに関してご指示を遺されていましたそのご遺言通り、これまではやってまいりましたが他の監査法人と合併することで、株を手放さなければならないなどということが起きるとは、想像なさっていなかったのだと思います

エリカさんのお祖父さんが亡くなったのは10年前だもんな

色々と情勢は変わる

計画通りにはいかないこともあるのは仕方がない

それでは、問題の株は香月セキュリティ・サービスが引き取られていただきますわ

翔姉ちゃんが、老弁護士に言う

それで株をいただく対価なんですけれど

香月セキュリティ・サービスの土地やお金を引き替えにするより、もっと良い物があることを思い出したわ

オレには翔姉ちゃんの意図が判らない

安奈さんから引き取らせていただくのは全て、安定した優良企業の株でしょだったらわたくしたちの方も、安定した優良企業の株とお引き換えするべきじゃないかしら

え香月セキュリティ・サービスって、そういう株を持っているの

名家専門の警護会社なのに株も保有している

オレの知らない部門で、株への投資とかもしているのか

有るわよ会社ではなく、あなたの持っている株が

オレの持っている株

香月セキュリティ・サービスそのものの株よ

香月セキュリティ・サービスの株は、上場していないわ現在は閣下からあなたに、全ての株が譲渡されているその株の一部を、安奈エリカさんに差し上げるというのはどう

エリカさんの持っている株と、香月セキュリティ・サービスの株とを交換するのか

エリカさんの株は、高畑さんへの年金が確実に支払えるぐらい配当金がある優良株ばかりなんだろ

香月セキュリティ・サービスの株と釣り合うのか

一部どころか、全ての株を渡しても足りないんじゃないのか

わたくしは、良いアイデアだと思うけれど月子さんに相談してみてくれないかしら

翔姉ちゃんはオレに微笑む

後々のことを考えたらそれが1番、良い選択だと思うのよ

エリカさんが、オレの女になるのなら

彼女の資産もいずれは、オレたちの家族で管理することになる

それなら、今の段階で、下手に香月セキュリティ・サービスの財産をイジって名義変更だの、換金だのとバタバタするのはバカらしい

今の問題は安奈家としての持ち株の中から、法人の合併に支障をきたす問題のある株が消えればいいだけなんだから

月子頼む

巫女の力が放出される

ではわたくしたちからは、香月セキュリティ・サービスの株とお引き換え致しますそれでよろしいですね

翔姉ちゃんの言葉に、老弁護士は

えっとええ、まあ良いと思います香月セキュリティ・サービスも、安定した優良企業ですからはい

弁護士さんは、取引が妥当なモノであると信じるように心を操作された

安奈エリカさんもよろしいわね

はい全て、お任せします

エリカさんは、青ざめた表情で答えた

月子の力の怖ろしさを目の当たりにしているから

何があっても、オレたちの意志通りにコトが進むということを判っている

今後の高畑への年金は香月セキュリティ・サービスからお支払い致しますわ

翔姉ちゃんは、約束する

さすがに香月セキュリティ・サービスの株では今までのような多額の配当金は見込めないだろう

弁護士さんから、優良株を受け取った以上は高畑家への年金の支払いの義務も、オレたちが引き継ぐ

月子の力の影響下にある弁護士さんは、あっさりと翔姉ちゃんの提案を受け入れてくれた

しかし、良かった現在の安奈家のご当主、安奈圭一郎さんとお会いする前にこうやって、株の問題を私たちだけで解決することができました

老弁護士さんは満足そうに言う

いやはや、全て先代様のご指示で圭一郎氏には、秘密にしていたことですから10年間もどのように、圭一郎氏に説明すべきか、頭を抱えていたところでした圭一郎氏には、どうぞ高畑さんへの年金のことはご内密に願います

エリカさんを産んだ代理母の高畑香子さんにずっと年金が支払われてきたことは、安奈圭一郎夫妻には秘密のままにしておく

そういう約束を弁護士さんと翔姉ちゃんはする

安奈圭一郎氏と奥さんの前で

月子の力で思考停止した安奈夫妻の姿は、弁護士さんに見えていない

だから、ここに居ないと思い込んで話している

それでは安奈圭一郎さんをお呼びしますわ

月子が安奈夫妻の思考停止を解除する

同時に弁護士さんには、今、ちょうどこの部屋に安奈夫妻が入って来たように錯覚させる

ああ、圭一郎さん、和美さん

よく来て下さいました

これで改めて

安奈夫妻、弁護士さん、翔姉ちゃん3人顔を合わせての話し合いがスタートする

後の細かい話はわたくしたちで致しますわ

エリカさんの株の問題について香月セキュリティ・サービスの株と交換するということで、話が決まったところで

歌晏様や瑠璃子様もお疲れでしょうから、別室でご休憩下さい安奈エリカさんも、ご一緒にどうぞ

ああ、そうですねここから先は実務的な話だけですから

弁護士さんも、そう言う

歌晏桃子様も、香月瑠璃子様も、黒森様もありがとうございました

エリカさんの父親の圭一郎氏もオレたちに頭を下げる

お前も一緒に、休んでくれていいたんだぞ

奥さんの安奈母にも、そう言うが

でも、あなた

安奈母はエリカさんを見る

そうですわねエリカさんは、まだ色々と混乱しているようですから申し訳ありませんが、しばらくは、わたくしたちだけにして下さいませ

そうですわねでは、皆様にお願い致します

寂しそうに、安奈母はそう言った

じゃあ、行きましょうわたくしお茶が飲みたいわ

歌晏桃子姉ちゃんが、席を立つ

2506室をお使い下さい

翔姉ちゃんは、そう言うとその部屋のカードキーをオレに手渡した

お茶とお菓子も、用意させてありますから

さすが関さん、気が利くわねっ

微笑む桃子姉ちゃん

さあ、公ちゃん、瑠璃子他の子も、お茶にするわよっエリカさんもさあっ

名家・歌晏家の令嬢にそう言われたら、行くしかない

さあ、エリカさん

瑠璃子が、エリカさんに手を差し伸ばす

美智が、ススッとエリカさんの背後に回る

よろよろと、椅子から立ち上がる

じゃあ、翔姉ちゃんよろしく

ええ、任せて

廊下の先には香月セキュリティ・サービスの警護員の姿が見えるが、オレたちからはずっと離れていた

翔姉ちゃんや瑠璃子が呼ばない限り、こっちには近付いて来ないだろう

こっちよ、公ちゃん

ああ、カードキーはオレが預かっているんだ

2506号室のドアに、キーを差し込みロックを解除した

この部屋もドアが分厚い完全防音で電波も遮断されている部屋だな

ああ、さっきの部屋よりは狭いけれどここも会議用の部屋か

翔姉ちゃんが言っていた通り、部屋の隅にポットとお茶のセットと菓子缶が置いてある

オレたちはそのまま、中に入る

オレ、桃子姉ちゃん、瑠璃子、エリカさん、美智、セバスティアヌス(山田梅子)さん、月子、寧みんな、こっちの部屋に移動した

はぁぁ、くったびれたっ

ドアが閉まると寧が大きく伸びをして、そう言う

あなた、途中までは大活躍だったわね

桃子姉ちゃんが寧に言う

あたしはさ正面に立って、こっちのペースでストーリーが進行するようにガイドラインを引く役だったからさっ

わたくしが力の制御に精一杯でしたから、寧さんが前に出て下さって助かりました

なるほどチーム・プレイだったってことなのね

月子さんの力は慎重にコントロールしないと、相手の心を壊してしまいからさっ

寧さんがわたくしが混乱しないスピードで、ゆっくりと論理的にお話を進めて下さいました

寧と月子はそう言う

月子座ってろよ疲れているんだろ

オレは月子の表情を見て、そう言う

ええ、お茶はわたくしとミッチーが入れますわ

瑠璃子が、お茶の用意に向かう

セバスティアヌスも手伝いなさい

山田梅子さんもお茶の係となった

でもあなた、こっちに来ちゃって大丈夫なの向こうの方たちの話し合いは

桃子姉ちゃんが、月子に尋ねる

はいもう、あの方たちの心には、何をどうしなくてはいけないということは刻み込まれていますからこのまま、わたくしの影響下でないところで翔お姉様とお話ししていけば

月子の力に促されたのでなく全部、自分で考えて、自分で決めたことだって、思うようになるらしいよ巫女の力の影響が、身体に馴染むらしくてさ

オレも座って、桃子姉ちゃんに言う

そうなのそれならいいけれどほら、エリカさんも突っ立ってないで座りなさいよ

桃子姉ちゃんに言われて安奈エリカさんは、椅子に座る

でも、取りあえずこれで全部解決よねあなたのお父様はエリカさんを自分の本当の娘だと思っている体外受精で代理母に託しての出産だけれど

安奈夫妻の精子と卵子による妊娠・出産だと思っている

で、お母さんはお祖父様の精子と自分の卵子による娘だと信じ込んでいるのよねでも、体外受精だから別に、あなたのお祖父様とお母様に肉体関係があったわけではないわ

桃子姉ちゃんの言葉をエリカさんは、うつむいて聞いている

ま、本当はエリカさんはお祖父様と代理母の方との子供だったわけだけどお父様とお母様は、真実を知らないままの方が良いものねっ

桃子姉ちゃんは、笑顔でそう言う

エリカさんは、お父さんやお母さんはホントは真実を知ってて自分だけが教えてもらっていなくてそんで、両親の本当の子ではない自分のことを、お父さんとお母さんは嫌いなんじゃないかって悩んでいたんだよねっ

でもそんなことはありませんでしたお父様、お母様もあなたを騙すようなことはなさっていませんし心の底から、あなたのことを愛して下さっていますわわたくしには愛の深さが、よく判りました

月子が力による探査結果をエリカさんに告げる

そうよご両親は、エリカさんのことを愛していらっしゃるわだからこのままでいいのよ秘密は秘密のままでそれで問題はなくなるんだから

桃子姉ちゃんの言葉に、エリカさんは

問題はありますあたしが、お父様とお母様の本当の娘でないことを、知ってしまいました

それにあたしを産んでくれた人のことも

桃子姉ちゃんの言葉を遮って、エリカさんはそう言った

それはほら、公ちゃんが株のことを解決してくれて、これから先も代理母だった人に年金が届くようになったんだから

それは亡くなったお祖父様が指示なされたことであたしは、その人たちに何もお返ししていません

桃子姉ちゃんは隣室に、高畑香子さんの娘エリカさんの異父姉妹である高畑茉莉花さんが来ていることを知らない

あんまり深刻に考えるのは、よくないわよ代理母の人だってあなたが産まれてから、ずっとお金だけ貰って、エリカさんには会ってないんだしその方には、その方の生活があるのだから今更、エリカさんが騒ぎを起こすと、迷惑になるかもしれないわよ

代理母の契約をしてあなたが産まれたら、安奈家に引き取られることを判っていて出産したんだからあなたには、もう会えないものと割り切っていると思うわよそうじゃないと、代理母なんてやれないと思うもの

代理じゃないですあたしにとっては、本当のお母様です

エリカさんは、強く言う

気持ちは判るけれどでもね、エリカさん

割り切れないのはエリカさんの方か

まだ14歳だもんな

幾ら安奈夫妻が、自分のことを娘として愛してくれているとしても

本当の母親がいると知ったら、心が揺れる

落ち着いて、エリカさんお茶が入りましたから

瑠璃子が銀盆にティーカップを幾つか乗せて、持って来る

公ちゃん、こうなったいっそのことその子の力を使って、エリカさんの記憶を書き換えちゃったら

エリカさんにとって本当の母親のことは、忘れてしまった方が良いと思うわこれから先のご両親との関係を考えても

エリカさんが、ご両親と特にお母さんと、何だかぎこちない様子になっているのは

エリカさんが、気にしすぎているからだろうけれど

い、嫌ですあたし本当のお母様のことを忘れて生きていくなんて

でも、エリカさん今のまんまなら、エリカさんは安奈家には戻れないでしょっ安奈家のお父さんやお母さんと一緒に暮らせる

実の父母ではなかったことが判ってしまったのに今まで通りの親子関係を続けるのは苦しいか

はいはい、止め止めお茶にしましょうこんなの、どれだけ考えても答えが出ないことだし、悩めば悩むほど袋小路に入ってくから

桃子姉ちゃんがそう言う

エリカさん、甘い物でも食べなさい紅茶にもお砂糖をたっぷり入れて脳に糖分をあげないと、元気に頭が回転しないわよっ

わたくしも、そうさせていただきますわ

月子が、ニコツと微笑んで‥自分の紅茶に角砂糖を落としていく

1つ、2つ、3つ‥

そうだなエリカさんは自分のことで悩む前に、しなくちゃいけないことがあるもんな

とにかく、オレたちはエリカさんのために働いたそして取りあえずは、良い方向に事態を変えたまだ途中だけど、それでも

エリカさんの大きな瞳が怯えている

だから、エリカさんはオレたちに支払わないといけないオレたちの働きに対して、何かしらを

オレたちはボランティア活動はしない

どんなことでも、必ず対価を求める

判っていますここまでしていただいたのですからあたし

スツと、顔を上げる安奈エリカさん

奴隷に奴隷になります黒森さんのセックス奴隷に

ついに彼女は、奴隷宣言をした

最近の少年マガジンの

編集者がホントは、マンガなんて担当したくないんだっていう空気が凄いと思います

いや、マガジンは昔から、そうだけれど

どこへ向かっていくんだろう

1151.夜を迎える / 契約

公ちゃん、そんなにツンケンしなくてもいいんじゃないエリカさんをイジメるのは、可哀相よ

歌晏桃子姉ちゃんが、オレに言う

いやいや、今、ヨッちゃんは強度検査をしているんだよっ大事なところだからさっ

寧が笑って、そう言う

強度検査

そうだよっエリカさんがうちの子になるのに相応しいかの最終確認をねっ

エリカさんは、怯えてオレを見る

わたくしたちの家族はお兄様がお認めになった子しか入れませんから

瑠璃子が、菓子缶に入っていたクッキーを、桃子姉ちゃんに勧めながら言う

ふーん、それでどうなの公ちゃん

桃子姉ちゃんは、クッキーを1つ手に取り上品に割って食べながら、オレに尋ねる

うんエリカさんのお父さんやお母さん、それに亡くなったお祖父さんの弁護士さんに会ってみて、色々判った

オレはエリカさんから、瑠璃子に視線を移す

瑠璃子がエリカさんを家に連れて来た理由も

そうエリカさんは

エリカさんの家は亡くなった先代の当主のお祖父さんが、とんでもなく偉大な人だったんだろすっごく用意周到で、周りの細かいことにまで眼が届き徹底して管理・支配していた人なんだよね

亡くなってから、もう10年が経っているっていうのにエリカさんのお父さん、お母さんも、弁護士さんもいまだにお祖父さんの支配から抜け出ていないお祖父さんの遺言っていうか遺された意志を、何が何でも守らないといけないって思っている

そうね確かに、亡くなった先代の意志に囚われたままという印象を感じたわね

桃子姉ちゃんも、オレの感想に同意してくれる

人を統率するカリスマ性が強くて、実務もできて、計画立案能力も高くて、それ確実に行う実行力もある完璧超人だったんだと思うよっ

そうだったんだろうなそういう人がボスだったから周囲の人は、ついついボスに依存する性質になっちゃったんだろうって思うんだ

だからみんな自分の意志とかは二の次で、とにかく先代の意志に従うことばかりに心が向かっているそうするのが当たり前で、そうしないといけないって思っている10年も前に死んだ人に、いまだに囚われているから

エリカさんは、オレの話を真面目な顔で聞いている

そういう家の事情がちょっと似てるなって思ったんだ

公ちゃん、何に

桃子姉ちゃんが聞くからオレは瑠璃子を見て

香月家にだよ

瑠璃子は、クスッと微笑む

香月家もジッちゃんが偉大なカリスマだからみんな、ジッちゃんの意志通りに動くのが当たり前になっててさそれってつまり、ジッちゃんに依存しているわけじゃないかいや、確かにジッちゃんには、すっげぇ発想力と決断力があるから、色んなコトを計画して、たくさんの部下を駆使して実行させる力がさだから、みんなジッちゃんを信頼して、ジッちゃんの命令には何でもハイハイッて承っているんだと思うけれど

しかし、それは

でもそういうのって、危ういよな

危うい

ああ、桃子姉ちゃんだって、ジッちゃんだって永遠に生きられるわけじゃないしいや、ジッちゃんのことだから、安奈さんの家の先代みたいに、自分の死んだ後の10年や20年ぐらいの分までの計画は準備しているんだろうけどさ

すっかりボスに依存するのが当たり前になっている人たちにはそのボスが居なくなっちゃう困るよねっ組織の中心が、スッポリ抜けちゃうみたいになるんだからさっ

ああ、創業者が偉大だった企業が延々と創業者の理念に囚われて、会社として冒険しにくくなっちゃうみたいなことね

創業者の伝記とか、言葉をまとめたパンフレットとかを社員に配ったりしてねもう、創業者が会社を興した頃とは時代が違うんだから、かつての発想が通用するわけがないんだから、参考にしかならないはずなんだけれど

しかも、死んじゃった創業者のことを聖人化しちゃったりするからね成功体験だけがクローズアップされて、失敗したことの方は書かれないからさっ

確かにそうね

寧の言葉に、翔姉ちゃんはうなずく

結局次代の社員たちに、偉大な創業者を乗り越えて独り立ちしていこうとする強い意志が無ければダメなのよ

しかし、瑠璃子は

理想としては、そうなのでしょうけれど実際に偉大な当主の近くで長く過ごしてきた者には、そう簡単に独自の意志を持って生きることは難しいですわ

でも、それを克服しないといつまでも、先人の影響から抜け出せないわよ

桃子姉ちゃんは、言う

そういうことを考えている段階で、すでにドップリ、先代の影響力の中にハマッているんだよっ

ええ、寧お姉様のおっしゃる通りですわわたくしやみすずお姉様のように、生まれてからずっとお祖父様の支配下にあった娘は抜けられないですわ以前のわたくしでしたら自分がどうしたいかよりも先に、お祖父様は、どうするべきだと考えられているんだろうという考えに囚われていましたそれで自分の望みを曲げてでも、お祖父様の意志に沿うように行動するように生きていました多分、あのままでしたらお祖父様が亡くなられた後でも、一生、こんな状況の時は、お祖父様はわたくしにどうしろと命じられるだろうと、お祖父様のご希望を想像して、それに沿った行動をして生きていくことになったと思います

それぐらい瑠璃子はジッちゃんの強い影響下にいた

今はどうなの

桃子姉ちゃんが、瑠璃子に尋ねる

今のわたくしはお兄様が全てですから

ただ、お祖父様の時とは違うんですお祖父様でしたらわたくしが何か問題に直面した時には、すぐにお祖父様が解決策を示されてわたくしが気付かないうちに、すでに解決プランが実行されていたりするんですお祖父様はいつも、わたくしたちの前を先に先に進まれていますから

ああジッちゃんは、いつもオレたちの先に居る

でも、お兄様はいつも、わたくしたちと同じところに居て下さいますから問題に直面したら、わたくしたちと一緒に考えて下さってわたくしたちの提案に耳を傾けて下さってそれで、お兄様のご承認を得て一つ一つ、一緒に対処していきますから

いや、それは瑠璃子

ジッちゃんは頭が良いからそれに、経験も豊富だから問題に対してどう対処すればいいのかが、あっという間に判るからオレたちよりも、先に手を打ってくれるなだよでも、オレはバカだからさジッちゃんみたいに、一発で対抗策を思い付いたりできないんだよ

何言ってるのヨッちゃんは、そのちょっとバカなところがいいんだよっ

ヨッちゃんは、絶対に人を馬鹿にしないしパッと見で、決めつけたりもしないいっつも、じっくり時間を掛けて何が問題の本質なのか見極めようとするじゃんかっ

時間をかけないと判らないんだよオレ、ホントに頭が悪いんだから

違うよっ本当はヨッちゃんみたいに、時間をかけて理解しようしなければ人なんて判らないんだよっ一瞬で人を見抜いてこいつは、こういう人間だって判断する方が雑でイイカゲンな人なんだよそういう人はオレって頭がいいだろってカッコつけてるだけで、ホントは愚か者なんだよっ

なるほどそうかもしれないわね

桃子姉ちゃんは、寧の意見に感心する

いずれにしても、身近な偉大な人物に依存する生活をしてきた者はそういう暮らしから抜けられませんわエリカさんのお父様たちが、亡くなられて10年経ってもなお、先代様の意志に囚われているように

だから、お祖父様はわたくしの依存先を、ご自分からお兄様に変更なされたんですわご自分が亡くなられた後のことをお考えに成られて

わたくしは自分が普通の方たちよりも、ずっと歪んだ性質であることを知っています

瑠璃子は笑顔で、言う

わたくしは香月家の本家の娘として臣下の皆様の上に君臨し、香月家全体を自分の意志の下に支配したいという欲求がありますしかし、それと同時に子供の頃から、ずっとお祖父様のご支配を受けてきたからこそこれからも敬愛する方に支配されたいという欲求も持っております

ずっと香月様の側に居たのならそういう性質にもなるわよね

桃子姉ちゃんが苦笑する

はい、ですからわたくしはお兄様でないとダメなんですお兄様はわたくしを支配して下さっていますがその支配は、温かくて優しいものです相矛盾した欲求を持つわたくしを、そのままやんわりと包んで下さっていますから

判るわこの半年わたくしは、学校での瑠璃子の様子を見てきているけれどあなた、本当に雰囲気が柔らかくなったわ前は他の生徒たちが近寄るのを怖がるくらい、ピリピリとした固さがあったけれど今は、いつも和やかですものね

桃子姉ちゃんは高等部で、瑠璃子は中等部だけれど

超お嬢様校は、生徒数が少ないし2人とも、幼稚部から通っているし

何より、名家中の名家、歌晏家と香月家の令嬢たちだから

瑠璃子のことは、いつも気にして見てたんだろう

全て、お兄様に愛していただくようになったからですわ名家・香月家の娘のまま、わたくしは同時にお兄様のセックス奴隷でございますから

令嬢と奴隷を家の内と外で使い分けることで、瑠璃子は自分の中の葛藤を解消している

わたくしは、エリカさんもわたくしと同じようになられるのが1番だと思うんです

瑠璃子は、エリカさんに言う

エリカさんも家全体が、亡くなられた先代のお祖父様のご意志に依存されたままの家で成長なさったわけですから

10年前エリカさんが4歳の時に、お祖父さんは亡くなられているけれど

その影響力は現在も、安奈家を支配している

そうだよねっエリカさんが、最初にうちに来た時に言ってた昔のヨーロッパのポルノグラフティのことだけど

ああ、エリカさんのお祖父さんの秘密図書館で見つけて、愛読していたっていう

あれってみんな女が男に支配されるストーリーの本ばかりだよねっ

寧の言葉に、エリカさんは身体をブルッと振るわせる

ああいう小説が好きだっていう話は本当なんでしょっつまり、エリカさんは自分を支配してくれるご主人様を求めているそうなんだよねっ

寧は、ニコッとエリカさんに微笑む

エリカさんのお父さんたちは亡くなったお祖父さんの遺言や理念、形の無い言葉や意志に縛られたままになっているけれどでも、エリカさんは

エリカさんは、寧を見たまま震えている

そういうものでの支配には満足できないんだよねっ女の子だからちゃんと、肌と肌で肉体で支配されたいんでしょ

お祖父さん秘蔵のポルノグラフティを読んでしまったことで世の中には、そういう支配があることを知ってしまったから

み、淫らなんですエッチなんですいやらしいんですあたし他の女の子たちよりずっと

恥ずかしそうに顔を赤らめて言う

だからっセックスとか、レイプとか、調教とかに興味があって変な子なんですっ

お腹の底にあった思いを吐き出す

それで、あたし自分が本当は、お父様とお母様の子じゃないってことが判ってあたしの本当の父親は、お祖父様で本当のお母様は、娼婦をしていた方だということも判って

エリカさんは祖父の日記を読んだ

エリカさんを産んだのは黒い森の元・娼婦、高畑香子さん

だから、あたしは淫らで、エッチで、いやらしいのは当たり前ででも、こんなエッチな子が、このまま安奈の家にお父様とお母様の娘として、暮らしていくのなんて許されるはずがないから

判ったやっぱり、エリカさんもうちに来るしかない子なんだな

うちに居るのはみんな、そういう女の子ですよ黒森家の家族になるしか、道が無かった子です

ヨッちゃんが気に入った子を集めて、ハーレムを作っているんじゃないんだよっヨッちゃんじゃないとダメな子が集まってヨッちゃんが受け入れて、そんで一緒に暮らしているだけだから

エリカさんの場合はさお父さんお母さんに、自分が本当の娘でないことを隠していること、それなのに今まで育ててもらったことへの罪悪感自分を肉体的、精神的に罰したい、罰されたいという気持ちとエッチなこと、それも少し変態的なセックスへの興味が、ごちゃ混ぜにになって心の中で煮えたぎっているんだよそんなハチャメチャナ女の子の気持ちを、全部丸ごと受けとめられるのは、世界中探してもヨッちゃんしかいないってヨッちゃんのところへ来るしかないんだよっ

すると、瑠璃子が何やら、紙を取り出す

はい、エリカさんエリカさんのために、わたくし、書いてみたんです

スッとエリカさんの前に、差し出す

お兄様との奴隷契約書です

エリカさんは大きな瞳をさらに大きく見開いて、瑠璃子の差し出した書類を見ている

契約内容は、一生、お兄様にご奉仕することいつでも、どこでもお兄様がお求めになられたら必ずお相手をすることお兄様以外の男性とは、生涯セックスしないことお兄様の赤ちゃんを産むことお兄様のご家族、他の奴隷と仲良くすること

瑠璃子が、笑顔で契約書の項目を読み上げていく

さあここにサインしてエリカさん

そう言って万年筆を取り出す

エリカさんは、ジッと書面に眼を落としたまま凍り付いている

公ちゃん、1つ、聞きたいことがあるんだけれど

どうして、こういう時にはあの子の力を使わないの

桃子姉ちゃんは美智たちとお茶を飲んでいる月子を指す

あの子の力ならエリカさんが悩んだりしないように、心を操作して、ササッとサインさせちゃうことだってできるでしょ

エリカさんが、顔を上げオレを見る

そういうんじゃダメなんだよ

瑠璃子が、わざわざ奴隷契約書みたいなものを作ってきたってのはさ

瑠璃子は、ただ微笑んでいる

エリカさんが、こういうのが好きなんだって考えたからなんだと思うんだ

こういうのが好き

あの子が読んでたポルノグラフティの内容は、オレはよく知らないけれど多分

エリカさんの被虐趣味に合うっていうこと

ああ、だからこれはオレのセックス奴隷の先輩としての瑠璃子のサービスなんだと思う

オレがそう言うと、瑠璃子は

今、ドキドキしているでしょエリカさん

エリカさんに、紅潮した顔で言う

わたくしも、そうだったわお祖父様から、お兄様のセックス奴隷になるように命じられた時は瑠璃子は、この後、どうなってしまうんだろうって不安だったけれど、ワクワクもしたわだって本当に、どうなってしまうのか判らないんですもの

わたくしは香月家の娘として、自分がどんな風に生きていくことになるのか自分の将来についてのイメージを持っていたわそれが全部お兄様の奴隷にしていただいた瞬間に、吹き飛んでしまったんですものっ

瑠璃子は自分こそが、香月家の次の当主になるのだと思い込んでいた

あなたも、そうでしょお父様とお母様の本当の子ではないと知った時に自分が、お祖父様と全く知らない女性との間に生まれた娘だと知った時に、それまで信じていた自分の世界が全て崩壊してしまったのでは

エリカさんは答えない

自分の居るべき場所を見失ってしまったんでしょわたくしも、そうだったでも、すぐに判るわわたくしたちの居るべき場所は、お兄様のお側だということが

すると、エリカさんは

あのあたし、良く判らないですけれど

上ずった声で言う

ホントにあたし、今の自分が自分自身が、この後、どうしたらいいのか判らないですけれど本当に、黒森様の奴隷になっちゃっていいものなのか、それも判らないですけれど

潤んだ瞳で、オレを見る

でも、これサインしますセックス奴隷の契約をします

そして、万年筆を取り

ホントによく判らないけれどそれでも、黒森様や瑠璃子様が真剣にあたしのことを考えて下さっているっていうことだけは感じましたから

震える手で安奈エリカとサインした

もし、これであたし、酷いことになっちゃうとしても後悔しません

ああ、まだ不安なんだな

そんなことには、ならないよだって、ヨッちゃんだもん

大丈夫だよエリカさんもううん、エリカちゃんも、どうせヨッちゃんが幸せにしてくれちゃうってあたしたちみたいにさ

はい、心配はいりませんわ

瑠璃子も笑顔でエリカさんから、奴隷契約書を受け取る

お兄様ご確認下さい

オレはエリカさんのサインを確認すると

オレもサインするよペンを貸してくれ

それでしたらこちらの余白にお願い致しますわ

オレも、同じ書類にサインした

これでいいか

はいでは、この契約書はわたくしがお預かり致します額装して、お屋敷の中のエリカさんが暮らすお部屋に飾りますわ

瑠璃子、そのことだけど

オレはエリカさんを見て

主として、最初の命令をするよ

ギョッとするエリカさん

エリカさんは、オレたちと一緒に暮らさなくていい普段は、今まで通り安奈家で両親と暮らせそれでそうだな取りあえずは、週に2日、泊まりに来い

エリカさんには通いの奴隷になってもらう

そ、そんなあたしは

本当の両親ではない人に養ってもらっていること真実を黙っていることに罪悪感があるんだろうけれど、そういうのは噛み殺せ今まで通りの生活を演技しろオレの奴隷ならできるはずだ

ご主人様からのご命令だよっ

その代わり、うちに来た日はレイプでも、調教でもしてやる思いっきり、たっぷり可愛がってやるから

オレの言葉に、瑠璃子が

安奈圭一郎様には、わたくしからお話しますわエリカさんの精神が不安定なようだから週に何日かは、わたくしたちの家で過ごすようにそうね、香月家に行儀見習いに来ていただくということなら、受け入れて下さると思いますわ

安奈父だって、自分の娘が香月家と縁が深まるのなら反対はしないだろう

ただし、お兄様週2日では足りませんわ調教していただくのなら週の半分、せめて週に3日はお屋敷に居ていただかないと

そうだよねっうちには、週3で来てもらおうよっ

そうだな最初は、エリカさんに他の家族たちと親しくなってもらう時間も必要だしな

じゃあ、そうしよう週3日だ

エリカさんはまだ呆然としている

エリカさん、ご主人様のご命令ですわ

瑠璃子がたしなめる

あ、はいそ、そうですねか、かしこまりました

エリカさんは、オレに返事する

結局のところ、エリカさんだって、この方が楽なはずだ

安奈家の両親への罪悪感もオレから強制的に命じられているということで、抑えられる

本当はこの子だって、安奈家のお父さんとお母さんと離れたくないんだろうから

ただ実の娘じゃなかった自分は、今まで通りに安奈家で暮らしてはいけないと

14歳の少女らしい清らかな気持ちで、思い込んでしまっていただけで

それじゃああっちの部屋に戻ろうか

いや、お父さんとお母さんそれに弁護士さんにも、エリカさんがオレのセックス奴隷になったってことを報告しなくちゃ

ちゃんと自分の口から、報告しろそれから

これから、オレとセックスしますオレに犯されて、処女喪失、中出しされてきますってお父さんたちに言うんだ

また風邪です今年の風邪はツラいです

やっとセックス・シーンに突入できそうです

あ、でもまだお姉さんとの対面が残っているのか

1152.夜を迎える / セルダム・イリーガル

オレたちは再び安奈夫妻と弁護士さん、翔姉ちゃんが株の譲渡について話し合っている部屋に戻る

メンバーは、エリカさん、オレ、瑠璃子、桃子姉ちゃんそれに月子だ

美智と寧とセバスティアヌス(山田梅子)さんは廊下で待っている

あの安奈さん、エリカさんのことでお話がございます

瑠璃子がまずエリカさんの両親に話を切り出す

はい、どういたしました

心配そうに、安奈圭一郎氏は答えた

さっきも、申し上げましたがやはり、エリカさんは今回のことで色々とショックがあったようですわですからお家へ戻られるより、しばらくは、わたくしたちの家に滞在していただいた方がよろしいと思います

エリカ

安奈夫妻は、寂しそうに娘を見る

しかし世間の眼もございますから、エリカさんは香月家に行儀見習いにいらしているということにしたいんですそれならエリカさんが、学校からわたくしたちの車に乗り込むことも、変には思われませんから

それはエリカさんが、事実上、香月家の身内になるということだ

大企業専門の監査法人の代表である安奈氏からしてみたら、娘が名家・香月家と特別な関係になるということは、歓迎すべきことのはずだ

ええ、エリカさんのことを、わたくしは妹のように思っております

瑠璃子は、やんわりと優しい微笑みで答える

ああ本当に、ご迷惑をお掛け致します

エリカを、よろしくお願い致します

安奈夫妻からすれば父は、今までエリカさんが代理母によって産まれたことを黙っていたこと

母は、生物学上のエリカさんの父親が祖父であることを秘密にしていたこと

それぞれ、娘に対して負い目がある

それで、エリカさんが突然家出してしまったということは、理解しているから

家に無理矢理連れ戻すよりしばらくは香月家で、瑠璃子たち年齢の近い少女たちと暮らすの方が、娘の精神安定に良いと考えるだろう

お父様、お母様たちもお寂しいでしょうから週に3日間は、お家に帰るようにさせます残りの4日は、わたくしたちの所で行儀見習いですからそういう形にしたいと思いますわ

安奈夫妻は、瑠璃子に頭を下げる

さあ、エリカさんお父様、お母様にご挨拶なさい

瑠璃子が笑顔でエリカさんに命じる

14歳の美少女は、緊張しながら前に出る

すると、オレたちの背後から白と朱の巫女服を着た月子が

巫女の力が、部屋の中に充満していく

お、お父様、お母様こ、これまでエリカのことを大切に育てて下さってありがとうございます

たどたどしく、エリカさんは話し始める

そんな娘の話を両親は真剣に聞いている

同席している弁護士さんも,

あ、あたしは、今日黒森公様のど、奴隷にセックス奴隷にしていただくことに致しましたっ

エリカさんの衝撃的な告白は両親たちには、月子の力によって、別の問題のない言葉に変換されている

だから、エリカさんの両親は娘の言葉に特別の反応をしない

エリカはせ、セックスの黒森様にセックスで満足していただくためだけの淫らでいやらしい奴隷になります黒森様だけにご奉仕する奴隷ですエリカの身体と心を使って、楽しんでいただけるように努力致します

顔を赤らめながら恥ずかしそうに、エリカさんは宣誓していく

こ、この後す、すぐにエリカの初めてをヴァージンを奪っていただきますレイプしていただきますエリカの中に、黒森様のオチンチンを入れていただいてお腹の中に中に精子を出していただきますっ

両親たちは笑顔で、娘の言葉を聞き続けている

き、きっとあ、赤ちゃんができちゃいますっでも、エリカはエリカは、一生黒森様の奴隷ですから、黒森様の赤ちゃんを孕みます産みますどうしよう、あたし中学生でママになっちゃう

心配いらないわわたくしたち、みんなで育てましょうね

瑠璃子が、エリカさんに言った

ううっお父様、お母様あたし、エリカい、今からセックスを最初のセックス奉仕をして参ります

安奈夫妻は

うん色々大変だろうと思うが、一生懸命やりなさい

エリカが自分で決めたことならわたしたちは応援するわ

ああエリカさんが香月家へ行儀見習いに行く話だと思っているんだな

は、はい精一杯、頑張って参ります

涙の溜まった潤んだ眼でエリカさんは両親に言った

では、エリカさんロスト・ヴァージンしていただきに行きましょうか

瑠璃子が引導を渡す

この部屋を使って

と、オレにまた別の部屋のカードキーを渡してくれた

ああ、そっきの会議室じゃベッドも無いしな

オレは、キーを受け取ると、安奈夫妻に

エリカさんのことは、オレに任せて下さい一生、大切に可愛がりますから

セックス奴隷として

ええ、どうか

エリカをお願い致します

夫妻はこれから愛娘が、オレに犯されるということを理解していない

はぁぁ、凄いわねわたくし見ているだけなのに、ドキドキしちゃったわ

廊下に出て、ドアを閉めると桃子姉ちゃんが言った

桃子姉ちゃん、ここではあんまり大きな声で騒がないで

結構離れているけれど、廊下の先には香月セキュリティ・サービスの警護員が立ち番している

あ、そうねごめんなさいっ

自分の口を押さえる桃子姉ちゃん

1回、休憩室の方に戻ろう

え、公ちゃん直接、今、カードキーを貰った部屋に行けばいいんでしょ

桃子姉ちゃんはそう言う

いや全員は連れて行かないよ

エリカさんの大切な儀式なんだから

きっと、翔姉ちゃんのことだから

とにかく、ここでは話ができないから

そうねじゃあさっきの部屋に戻りましょう

オレたちは、再び休憩室に入り防音ドアを閉める

エリカさんが、大きく溜息を吐いた

興奮したろ

大きな瞳で、エリカさんがオレを見る

両親の前で奴隷宣言をして、興奮しただろ

恥ずかしそうに、うつむくエリカさん

正直に答えろよエリカさん、今、濡れているだろ

ギョッとして、オレを見るエリカさん

答えろ

奴隷の主として命じる

ぬ、濡れています

そうだろそうだと思った

エリカが、こういういやらしいことが好きだっていうのは判っていたんだ

ここで、彼女を呼び捨てにする

そんなあたしっ

だって、興奮しているんだろホントはずっと、こういうエッチなことをやってみたかったんだろ

オレは問い詰める

セックスってさ何か凄く、悪くて後ろめたいとところがあるよないけないことをしているって気分がしてゾクゾクするそうだろ

エリカは、小さくうなずいた

あたしやっぱり、エッチな子だったんだ

お兄様に、いっぱい淫らなことを教えていただきましょうね

もうエリカの調教が始まっているんですか

そうよだって、もうエリカさんは、お兄様の奴隷なんだから誓いもした、契約書にサインもした、お父様お母様にご報告もしたわ

だから、後は何の心配も無く、お兄様に全てを捧げればいいのよ

よし、エリカの心は定まった

あ、やっぱり回線が一本だけ生きているよっ

寧が、この休憩室に設置されているノートパソコンを開いて、確認する

多分、ここの部屋からヨッちゃんとエリカちゃんが、セックスする部屋の様子が観られるようになっているんだと思うねっ

翔お姉様のなさっていることですから手抜かりは無いはずですわ

そういうことだからさ桃子姉ちゃんは、観たければこの部屋で中継映像を観ていてくれよ

エリカの処女レイプは、調教だからさ見学者がいると気になるのから嫌なんだ

本当は、それだけが理由じゃないけれど

仕方ないわねま、いいわここならお茶も飲めるしお菓子でも摘まみながら、観せてもらうわ

桃子さんの相手は、あたしがしているよっ

ルリちゃんはエリカちゃんを連れて来た張本人だから、立ち合いたいんでしょっ

はいお兄様の奴隷の先輩として

ていうか、写真と動画の撮影がしたいんでしょっ

自分がオレとするのを撮影するのも、オレが他の女とセックスするのを撮るのもどっちも大好きだ

特に、新しい女との最初のセックスを撮影するのが

それもありますけれどエリカさんの場合は、わたくしこの子のこと、本当の妹のように可愛いんですんですわ

瑠璃子はそう言って、微笑む

お兄様は、まだエリカさんの憂いの顔しかご存知ないと思いますけれど普段の学校でのエリカさんは、元気で明るくてとても自由な方ですから

そうよね、中等部のスターですものね

桃子姉ちゃんが、椅子に座って言う

スポーツ万能で、先輩からも後輩からも愛されている中等部で1番の女の子も公ちゃんのモノになっちゃうのね

この少女もまた、ご主人様でないとダメなタイプの女なのでございます

ずっと黙っていた美智がムスッとして言う

わたくしと同様に

今中3の美智にとっても、エリカは1つ年下の後輩なんだ

しかも、エリカは名家の令嬢ではないから香月家の臣下である美智が、気を遣わずに話せる相手だ

よし、そんなら瑠璃子と一緒に美智も来い

オレは、決めた

エリカのロスト・ヴァージンの場に立ち合うのは瑠璃子と美智だけでいい

あら、公ちゃんこの人は連れて行かないの

桃子姉ちゃんが、月子を指差す

わたくしは立ち合うべきではないですわ

月子が、答える

どうして、あなたがいたら便利じゃないエリカさんがいよいよの時にグズッたりしても、あなたがいれば気持ちをコントロールできるでしょ

月子の力の効果を何度も見て桃子姉ちゃんは、そう感じているらしい

いいや、桃子姉ちゃん今からはエリカのセックス奴隷としての修行だからさドーピングみたいなことは無しだよ

あら、そうねえ、公ちゃん

この人の力があれば公ちゃんは、どんな人でも思いのままに操れるんでしょ

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