・アンネ・ロゼ・アゲマンダー/16歳ドイツ人と中央アジアのトルコ系民族のハーフドングリみたいな大きな瞳肌は褐色髪は焦げ茶武闘派

・イン・ラン/13歳中華系の双子三つ編み武闘派

・イン・リン/13歳双子のもう一人ジョイトイとも呼ばれる武闘派

・アクメ・イク・エクスタシー/15歳母親はギリシャ系の娼婦黒髪に白い肌で鼻高背が高い細身のスラッとした身体

・クンニ・マンジール・カウパー/11歳南インド系長い黒髪を後ろに垂らしている落ち着いた雰囲気で肌の色は濃い

・オルガ・ズム・ダイクン/12歳コーカサス地方出身黒髪で、とても大人びた美人顔子供らしさがまったく無い武闘派

・クリト・リリス/14歳ペルシャ系ビビリな性格

◇国際犯罪者◇その他

・ミス・コーデリア/年齢不詳キョーコのパートナーロサンゼルスの犯罪組織の幹部ほとんど家族みたいな状態でお屋敷に居ることが多い

・イーニーとミーニー/年齢不詳ミス・コーデリアのペットの双子

家族でない人たち

◇黒い森関係者

・岩倉幸代/18歳黒い森の現役娼婦淫乱変態、生徒会長

・戸野内珠代/27歳引退した元娼婦スタイリスト見習いだが、ラブホテルを経営している娼婦候補生たちの講師も勤めている

・矢沢/香月セキュリティサービスの代表香月老人の腹心

・工藤優作/42歳美智の父親裏の仕事専門の警護人裏部隊を率いている

◇名家の人たちとその警護役

・歌晏雲英/82歳名家・歌晏家の当主桃子の祖父

・石神瑞希/16歳名家・石神家の令嬢主人公に犯され、処女喪失

・鞍馬美里/18歳名家鞍馬家の令嬢ありすの姉碁の才能がある

・住友桃香/17歳ショートカットのスポーツ美少女モモカ敬語

・白旗せつな/17歳黒髪ロングの和風巨乳美少女ツンデレ

・朝比奈希美/16歳茶髪ツインテールのクゥオーター美少女黒森くん

・徳大寺園子/17歳関西ヤクザたちに輪姦された経験あり

・黒沢直子/17歳関西ヤクザの娘美人でないので犯されなかった

・工藤遙花/18歳チーム・クロモリ所属美智の姉去年の女子高生空手チャンピオン調子に乗りやすい

・剣道マリア/17歳チーム・クロモリ所属元・天童乙女巫女に記憶を操作されて別人になった

・グレース・マリンカ/21歳チーム・クロモリ所属格闘にしか興味が無い性格本名は尾上ジュン元女子レスラー

・ライン晴子/17歳ゴールデンバウム・ジム所属本名は緑川晴子

・大ポロン・カリスマン/27歳超実戦空手トミー・アシダ道場所属インチキ京都弁を使う

・モンキー・ミミ/26歳超実戦空手トミー・アシダ道場所属萩原美々子

◇芸能界の人たち

・サイトー・ユーキ/17歳(西塔夕貴)デススター・プロモーションM&M・セクションF所属のアイドル

・藤森リンダ/26歳 サイトー・ユーキのマネージャー

◇高校の生徒

・竹芝百合香/18歳女子陸上部キャプテン陸上を武道だと考えている

・松下真樹/16歳茉莉花と同じ高校の音楽科のピアノ少女お団子頭にしている切れ長の眼の大人しそうな子

・松下美樹/14歳真樹の妹大きな瞳のボブカットバイオリン少女

・五十嵐イズミ/16歳茉莉花と同じ高校の音楽科の声楽科少女制服の上に黒の革ジャン化粧が濃くて、目付きが悪い

◇名前だけ出ている子たち

・慶良間レオナ/12歳慶良間酒造の娘アニエスが家族にしたがっている美少女

 水島ノエル/14歳可憐の従姉水島家分家で水島製薬の社長の娘可憐をいじめていた

・水島ローラ/15歳水島ノエルの姉イジメとは無関係

・水島ヨーコ/17歳水島ノエルの姉妹に命じて可憐をイジメていた

再確認しておかないと私が困るのでまとめてみました

再登場しそうな人のみ取りあえず

翔姉ちゃんとレイちゃんの年齢は最初に登場させた時の設定が若すぎなんですよね

調整しないといけないんですが

1418.次のミッション/風呂場の会話

でも石神家の今の当主ってどういう人なんだ

 大浴場の脱衣所でオレを待っていた、みすず、美智、可憐、素子  オレはその中の素子に尋ねる  素子の栗宮家と石神家は近い間柄らしいから、みすずたちよりもよく知っているだろう

オレは石神憲王ってのと石神瑞希と会ってみたけどあんまり良い印象は無いぞ

 息子があれだけ、威張ってるだけの馬鹿なんだから親だって大して変わらないと思う

それは殿のご想像通りだと思います今回のことも、黒森家にではなく、香月家に対する謝罪がしたいとおっしゃっているわけですから

 石神兄妹が迷惑を掛けたのは黒森家のオレにだ  香月家ではない  つまり、家柄の低い黒森家には詫びる気はない  あくまでも、オレが香月家のみすずのパートナーだから香月家を怒らせたくないということだけで、謝罪の席を設けようとしている

ですが石神家も名家の一員ですから、香月家に弓を引く様なことはなさらないと思いますわ

 石神家の謝罪なんて期待はできないけれど香月家を相手にする以上、馬鹿な振る舞いはしないか

大丈夫ですわ旦那様何か有れば、わたしの方で対応致しますから

 オレの腕の中でみすずが微笑む

名家とのお付き合いは、わたしの仕事ですいつまでも、お祖父様のご威光をお借りするわけには参りませんから

 みすずや瑠璃子たちを家族にした以上オレも、一生、名家の連中とつき合っていかなけりゃいけない  その覚悟はできている

判った石神家といつどこで会うかは、みすずと素子で調整してくれ

 オレは、二人に命じた

明日とか、無理だからな

 明日は学園祭の振替休日で、学校は休みだが  昼間は、デススター・プロの女性タレント部門を手に入れに行かなければならないし  夜は

次の予定があるから、可憐の話は風呂の中で聞くよ

 夜には、可憐が水島家の分家の姉妹からイジメを受けていた件で可憐を連れて水島家に行かなければならない  12歳の可憐は、小さな声でオレに答えた

ええっと、その前に

 そうだ忘れてた  素子とはすでに顔合わせしているはずけれど

みすずと美智は、初めてだろ石神家から奪い獲った警護役の黒瀬安寿だオレの専任警護をやらせることになった

 オレはルナと一緒に、オレの背後に控えていた黒瀬安寿を二人に示す  この子は昨日からお屋敷に居るけれどみすずと美智は、さっき香月家本家から戻って来たばかりだから、黒瀬安寿とは初対面だ

く、黒瀬安寿と申します香月様、よろしくお願い致します

 黒瀬安寿は、緊張した表情でみすずに改めて頭を下げる  名家の警護役をやってた子だから香月家のみすずのことは知っているんだな  主人だった石神瑞希は、みすずたちの通う超お嬢様校の生徒ではなかったけれど名家の一員なら、どこかのパーティなんかで会うかもしれないし  黒瀬安寿は、できる子だから事前に全ての名家の人間の顔と名前を記憶しておくぐらいのことは、やってきているだろう

香月みすずです旦那様より、あなたは、なかなか良い資質の持ち主だと聞いています

香月みすず様の専任警護役工藤美智です

 オレの足にしがみついたまま美智も安寿に名乗った

しかしご主人様の専任となるには、あなたの肉体は鍛錬が足りていませんね

す、済みません鍛錬いたしますっ

 ペコペコと美智に頭を下げる安寿  オレの足にしがみついたままでも、美智の発する気が黒瀬安寿を圧倒している  ええっと2人とも同じ年齢なんだよな  美智は中学3年の15歳  黒瀬安寿はヨーロッパで飛び級して、中学を卒業してきているけれど、やっぱり15歳  いや、そんなことよりも

美智この子は、あんまり鍛えすぎないで欲しい

 怪訝な顔をしてオレの顔を見上げる美智  オレの足を掴む力が弱まる

彼女には、オレの警護役をやらせるだろそうなるとさずっと、オレの学校に居ることになるだろお前たちの学校とは、条件が違うんだよオレの高校とは

名家の令嬢なら学校に警護役が付いてるのは当たり前のことだけれど、オレの学校は違うオレの日常生活でに警護役とハッキリ判るような子が常に居るのは変だし、オレの高校では目立ち過ぎる

イーディも、ミタマもなかなか目立つ存在だと思いますが

それはその通りなんだけれどでも、イーディは留学生という設定で、オレやメグのクラスメイトになっているしあいつはスゴくの明るくてオープンな性格だからオレたちと、いつも一緒に居るのが変でない雰囲気をずっと作ってくれててるんだよ

そうやって、今まではイーディが、オレやメグたちをガードしてくれていた

ミタマはちょっと違うしなだいたい、ミタマはなでしこ科だから、オレたちとはクラスが違うし

 どっちかっていうと美里たちなでしこ科の娼婦候補生や月子のガードをしている  普段は昼休みのパンを売る時間と放課後しか、オレのところには来ない

だけどイーディはもうすぐマルゴさんたちと格闘技の試合でアメリカに行くだろだから、オレたちは、イーディが居なくても、自分たちの身を守れる体制を早急に作らないといけないんだ

だいたい美智やイーディみたいな人材は、なかなか居ないんだよお前たちみたいな有能過ぎる警護役は

 警戒も戦闘もハイレベルで、何から何まで1人で全部やれるなんていうのは美智やイーディみたいな天才児だけだ  そんな娘が、世の中に何人も居てたまるか

何より全ての警護役が、美智やイーディみたいなオールラウンダーになることを目指す必要は無いはずだそれぞれが、得意な分野を受け持って連携して行動した方が良い今後は複数の警護役で、チームを組んで行動していくようにするべはなんだ

 家族は増えている  どんな状況でも、敵から身を守ることができるようにするには、ガードの人数を増やすしか無い

だから、黒瀬安寿はしばらくは警戒専門にしようと思っているガードとしての能力は、最低限のことができればいいオレたちの敵が、まさかあの娘が警護役なはずはないと誤認させるぐらいが丁度良いんだ

 黒瀬安寿の見た目は、小柄で可愛らしい子だ  警護役であることを、普段は隠しておく方が良い  彼女には広い視野で危険な敵の接近だけを警戒してくれればいい  排除や迎撃は、別の警護役にやらせる

なるほど、父上のやり方ですね

 美智の父親の工藤さんは配下のフリー警護人たちを上手く使う  自分が囮になって敵を引き付け、他の人を使って、相手を探索したり、先制攻撃したりする

確かに、みすず様たちの学校は、わたくしも居りますし香月セキュリティサービスによる警備体制もできていますが

 超お嬢様校は、名家の娘たちを護るためにジッちゃんと歌晏さんが手を入れまくった学校だから警護を心配する必要はない  美智とハイジだけでなく、巫女の力の持ち主もヨミ、ルナ、コヨミちやんと3人も配置してある

ご主人様の学校の方は、イーディが居なくなると、大幅な戦力減となります

ああミタマは、戦闘力特化だから警戒能力や指揮能力には問題があるからな

 ミタマには、冷静に全体を見渡すことはできない

だから、この子を敵の接近を素早く探知できて、交戦中も俯瞰して全体を見通すことのできる人材に育てて欲しいんだ

 美智が改めて、しげしげと黒瀬安寿を見る

なるほど磨けば輝く逸材だとは感じます

それと、この子の他に昨日からの外国の子たちの中で、警護役になりたいと希望する子が何人か出て来ると思うそっちもオレの高校に配置することになるだろうけれどまあ、使えるようになるまでにはかなり時間が掛かると思うけれど

 13人の少女暗殺者たちのうち今朝までに、槍を捨てた子が5人  朝のトレーニングに来た残り8人ドリィ、アナ、アンネ・ロゼ、オソソ、イン・リン、イン・ラン、オルガ、クリトの中からさらに脱落者が出るだろう  それでも警護役を選ぶ子は何人かはいると思う

まだ日本語が判らない子たちだから、もちろん日常生活の中での警戒役なんてのは無理だ今までは、相討ち狙いの一撃必殺の闘いしかやってきていない子だから現状では、危なくて戦闘も任せられない

 それでも、オレはあの子たちが望むなら立派な警護役にしなくてはいけない

当面は、オレの高校の方は、黒瀬安寿とミタマのチームで保たせることになるだろうけれど半年後をメドに、黒瀬安寿を中心にして、外国の子たちも交えた、多人数の警護チームが組めるようにしたいんだ

 オレの提案に美智はオレの足元から、すっと立ち上がり

承知致しました翔お姉様や、イーディ、ミタマ姉たちと相談して、プランを作成致します

 オレにそう言うと

あなたもよろしいですね

 黒瀬安寿にそう告げた  黒瀬安寿はすっかり緊張して、また同じ年齢の美智に頭を下げた

では服を脱ぐのです

 美智が、ギロリと黒瀬安寿を睨む

服を着たままだとお風呂に入れないからですよ

 ルナが、脅える黒瀬安寿に微笑みながら脱衣を始める

ああ、早いとこ汗を流して着替えて出掛ける準備をしないといけないからな

 松下姉妹のお祖父さんと会う時間は決まっている

旦那様は、わたしと素子さんで

 オレの服は、みすずと素子が脱がしてくれる

早く脱ぐのですわたくしたちが先に風呂場に入って、もう一度、室内を確認しご主人様をお迎えしなくてはなりません

 美智は、するるっと着ていた薄手の肌襦袢を脱いで、全裸になった

は、はぁ判りました

 黒瀬安寿は、覚悟を決めたらしくおずおずと服を脱いでいくが  黒瀬安寿の声に、美智が反応する

わ、わたくしはく、工藤さんをどの様にお呼びしたらよろしいのでしょうか

 美智は昨日のうちに黒瀬安寿の情報を聞いているはずだから、自分たちが同学年だということは知っている  先輩もお姉様も美智と黒瀬安寿の間では使えない  美智は、3秒ほど考えて

呼び方などすぐに変わると思いますが

 一緒に行動して関係が深くなっていく度にオレたちは相手の呼び方を変えていく

とりあえず、わたくしのことは工藤ちゃんと呼びなさいわたくしも、あなたを黒瀬ちゃんと呼びます

工藤ちゃんです黒瀬ちゃん

 工藤ちゃんという呼び方懐かしいな  オレも美智と知り合ったばかりの頃にそう呼んでた時期がある

わ、わかりました工藤ちゃん

   *********

黒瀬ちやんも、それなりに鍛えているようですがこの辺りの筋肉が、もう少し必要ですねこの肉体のままでは、わたくしたちが求める最低限レベルのガードには達しません

 裸の美智が裸の黒瀬安寿の背中を触りながら、そう言う

は、はい済みませんえっと、工藤ちゃん

 言葉だけ聞いていると親しげだが黒瀬安寿は、ただただ美智の強い気の圧力に参っている  美智みたいなタイプの警護役と話すのは初めてなんだろう  イーディは誰にでもフレンドリーだし、ハイジやレイちゃんはプロ警護人としての教育が完璧だから、判りやすく丁寧に話す  香月家のような大名家の警護役を勤めている美智は他の子とは、人との関わり方が違う

黒瀬ちゃんはご主人様とのセックスは、まだなのですね

は、はいそ、それはまだです工藤ちゃん

で、でもそのうちいえ、近いうちにそういうことになるみたいです工藤ちゃん

 当たり前のようにみんなが言うから黒瀬安寿も、もう、そうなるものだと諦める気持ちになってきたようだ

急ぐことはありませんご主人様は、きっと、黒瀬ちゃんに素晴らしい経験をお与え下さります

黒瀬ちゃんの自身もセックスを体験することによって変わりますより強く思慮深くなれますわたくしも、そうでした

 美智はつるぺたの胸に手を当てる

そ、そうなんですか工藤ちゃん

 黒瀬安寿は戸惑っているが  しかし、15歳の黒瀬安寿の裸身はまだ成長中だけれどなかなか美しい子だ  ふくらみかけの胸は、つるぺたの美智を追い越しているけど  頭が小さく、手足が長い全体のバランスが良いんだな

それでいてお尻はぷりつとしているなかなか、抱き心地が良さそうな身体だ

はい、旦那様こちらにどうぞ

 全裸のみすずが、オレを洗い場に連れて行く  大浴場の風呂は沸いているけれど、ゆっくり湯船に浸かっている時間は無い  さっさと1日パン工房で働いた汗を、洗い流さないと  まずは、熱いシャワーを浴びて

旦那様の右側はわたしが左側は素子さんが洗います可憐たちは正面を

 みすずが、他の子たちに声を掛ける

ルナさんも、わたくしと一緒にご奉仕致しませんか

 可憐が、同じ12歳のルナに声を掛ける  この子は、本当に人に気を遣う優しい子だ

ボクは兄さんの学校で、お姉さんたちとしてきたばかりですから

 ルナは遠慮するこの子も、こういう性格だ

では、わたくしたちで

 素子の号令で素子、みすず、可憐の手がオレの肌の肌に伸びる  ボディソープの泡が、オレの身体に優しく塗られていく  みすずと素子は、自分のおっぱいを泡だらけにして、オレの背中に擦り付けていく  可憐の可愛い手が、オレの胸を擦っていく

可憐の件ですが

 みすずが、オレの身体を洗いながら言う

ルリルリから詳しいことは聞いていますが

 可憐が同じお嬢様校の生徒である分家の姉妹からイジメを受けていたというのは、昨日、みすずが留守の時に出た話だった

これは、香月家にも関わることですので厳しく対処しなくてはならないと思っています

 可憐の実家の水島家は不祥事を起こした責任を取って、今は名家から格下げになっている  その代わり、経営が悪化していた水島家の企業グループは、香月グループが受け入れて経営再建している  また娘の可憐が罰として、香月家に預けられているということになっているが、実際は黒森家でオレのセックス奴隷になっている  将来、水島家が名家に復帰する時には可憐の生んだオレの子が、当主になるというのが香月家が、水島家再建に手を貸す条件だった  水島家には本家とは別に製薬会社を興して成功した分家があって  分家だから、水島本家の他の企業のように、香月グループの傘下に入ることはなかったけれど  水島本家が、名家から格下げされたことは恥だと感じていて

その分家の娘の水島ヨーコという娘が、水島本家に腹を立てて

妹の水島ノエルを使って本家の娘の可憐に、酷い嫌がらせをしていたらしい

 彼女たちからすれば、不甲斐ない水島本家に対する怒りからの行為なんだろうが  今の可憐は、香月家の預かりという身分だ  可憐に手を出すことは、香月家に手を出すことに等しい

それはそれとして粛々と処分しなくてはいけないことですがそれよりも、わたしは可憐が旦那様にお願いしたことが問題だと思いました

 オレへのお願い

可憐がオレに、水島ヨーコとノエルをレイプして欲しいと言ったことか

 可憐は自分をイジメた少女たちを辱めることを望んでいる

そうですそのことについて、こちらのお屋敷に戻ってから、可憐と少し話し合いました

 みすずが、可憐を見る  可憐は、ちょうどオレの股間を洗い始めたところだった

はいわたくしも、昨日、アニエスさんに言われたことが気になっていました

 12歳の可憐が言う

アニエスさんがおっしゃっていた通りだと思います公お兄様にセックスしていただくことは、ご褒美であって罰ではないのですね

 そうだ可憐が、水島姉妹を犯して欲しいとオレに言った時に  アニエスが、そんなことを言った

そうよわたしたちは旦那様にそんなことをさせてはいけないのよ

誰とセックスするかは旦那様がご自分で決められることであって、わたしたちがお願いして良いことではないわ旦那様には楽しいセックスをしていただきたいですもの

誰かのためにしなくてはいけないセックスなんて、楽しめないですものね

 素子も、優しく可憐に言う

はいわたくしも反省致しましたですから、水島ヨーコさんたちのご処分に関しましては、全て公お兄様にお任せ致します我が儘なことをお願いして申し訳ございませんでした

 せっけんの泡の付いた、可憐の小さな指がオレのペニスを撫でていく

判った実際にどういう処分をするかは、その人たちに会ってから決めるよ

 オレは快感を感じながら、そう答えた

その処分について旦那様にご相談したいのですが

 んみすず

可憐に酷いことをした娘たちの家が経営している水島製薬という会社ですが

ああ、知ってるよ喉の薬なんかで有名な会社だろ

 昔から、テレビコマーシャルなんかをやっているからオレでも知っている  長年使われている名の通った薬を幾つも販売している力のある製薬会社だ

この際ですから水島製薬を手に入れてしまおうと思うんです

 みすずは明るく言った

今、経営なさっている水島家の分家の皆さんから取り上げてわたしたちのものに

いずれ可憐の水島本家を名家として復活させるためにも、水島製薬という優良企業を手に入れるべきだと思います

書くスピードが戻らないですね

リハビリだなあ

統一地方選は、うちの選挙区は昨日からなのですが

ボーカロイドを使って初音ミクに歌で自分の名前を連呼させている候補者がいました

政治活動に利用していいのか

うーん何か納得できませんでした

1419.次のミッション/使えるモノは

・水島ノエル/14歳可憐の従姉水島家分家で水島製薬の社長の娘可憐をいじめていた

 可憐をイジメた水島家の分家の娘たちその父親が経営している水島製薬を奪い獲る  可憐が驚いてオレのチンコを洗っていた手を止める

可憐ご奉仕を続けなさい

 みすずが、可憐に微笑む  みすずと素子は、話をしながらオレの身体を洗い続けている  泡まみれのおっぱいをオレの背中に擦り付けることも、忘れていない  可憐の小さな手が、再びオレのペニスをボディソープの泡で包み込む  オレは、そんな可憐を見下ろして

オレは可憐の意見も聞きたいな可憐は今の話をどう思う

 12歳の元名家令嬢今はオレのセックス奴隷少女に尋ねる

何でもいいから、思ったことを話せお前の家に関わることだぞ

はい水島製薬は水島という名前ではありますが、水島本家とは関係の無い会社です水島家の分家の水島裕一郎という方が1代で、全てお一人で創業なさって、立派な会社に育てられたと聞いています

 水島製薬は、可憐の実家の水島家とは関係が無い  だからこそ、水島本家が没落した時にも無関係でいられた他の水島グループの企業のように、香月グループの傘下に入って企業再生されることもなかった  水島製薬自体は、黒字の優良企業だったからだ  そこまでは、オレも知っている

現在は創業者のお孫さんである、水島裕次郎さんが会社を継いでいらっしゃいます

その方が可憐に酷いことをした姉妹のお父様ですわ

 みすずが、説明を足してくれた

そうでございますそうでございますが水島家の再興のために、水島製薬を裕次郎さんご一家から奪い獲るというのは、いけないことだと私は思います

 可憐はそう言う  自分をイジメた相手を可憐は、昨夜、レイプしてくれと言った犯される分家の娘を見たいと  つまり、可憐個人は自分を苦しめた姉妹のことを、心の底から怒っている  分家の一家が、経営している会社を奪い獲られることには反対する

うん可憐の気持ちは判る

 オレは可憐に玉袋の裏を洗われながら、そう言った  可憐の怒りは自分をイジメた水島ヨーコ・水島ノエル姉妹にだけ向けられている  彼女たちの父親や家族に対して怒りを感じてはいない  ましてや、水島製薬のような大企業を巻き込むとなると会社で働いている人たちにまで影響が出る  そこまで大事になるようなことを可憐は望んでいない

今度は、みすずに聞きたいみすずは、何で水島製薬を奪い獲るなんて、キツいことをやろうと思うんだ

 オレも高校生と中学生の娘2人のやらかしたことに対する罰としては、厳しすぎるんじゃないかと感じていた

実はこのことを言い出されたのは、お祖父様なんです

 名家を束ねる家柄である香月家の当主であるジッちゃんの指示なのか

ジッちゃんがオレたちに水島製薬を奪い獲って来いって言ったのか

 ジッちゃんが、香月家の当主という立場から指示したことならそれは絶対にやらなくてはいけないことだ  ジッちゃんは、中途半端な考えでそういう指示はしない人だ  何か深い考えがあるからオレたちに、そうしろと命じるんだろう

いえお祖父様は、指示はなさっていませんただそういう考えもあるぞとわたしにお話になられました

今回のことは、旦那様とわたしに全てお任せになられるそうですただ香月家として、正しい処分をするようにということと、今回のことを処理するためには、香月家のモノはいかなるモノも使って良いとおっしゃられてその後に、そうそう水島製薬を奪い獲って、水島本家の再建に使うということを考えても良いかもしれない実際にどうするかは、お前たちで考えて決めろとおっしゃっておられました

 1つの案として示しただけなのか  それが正解かどうかは、ジッちゃんは教えてはくれない  何を選択するかはオレとみすずで決めろと

それでわたし、こちらへ戻る車の中でずっと考えてきたのですがやはり、この機会に水島製薬を手に入れるべきなんじゃないかと思ったんです

 みすずが、オレの裸の肩に頬擦りする

水島製薬は良い会社なんですから手に入れて困ることはありませんわたしたちは、可憐の将来のことも考えないといけませんし

 水島家再建にはもちろん多額の資金がいる  その中核となる会社も必要だ  元々、水島家の分家の会社で名前に水島と付いている優良企業を手に入れておくことは、可憐の未来のためには悪くないことなのかもしれない

ですが水島製薬は水島本家とは、無関係の会社でございます

 可憐がまた手を止めて泣きそうな眼で、オレを見上げる  可憐からすれば、他所の家のものを盗み取るというようなそういう、いけないことをする感覚なんだろうこの話は

素子はどう思う

 オレは、みすずの反対側でオレの身体を擦っている素子に尋ねる  素子も名家・栗宮家の令嬢だ意見は聞いてみたい

わたくしは獲ってしまうのもアリだと思いますわ

 素子は、ニコッとオレに微笑む  均整の取れた美しい裸身のおっぱいに、汗の玉が浮いていた

水島製薬は、それだけの価値がある会社だと思いますしそれに

 ピンクの乳首の先をオレの腕に押し付ける

わたくしたちは、わたくしたちで自分の力で、生きていくことを考えなくてはいけませんから今、持っているものを守るだけではなく常に勢力拡大を考えていくべきですわ

 素子は武闘派の令嬢だから、常に前向きな考えをする  確かに、オレたちは香月家の庇護の下で生きていることに満足していてはいけない  香月家が、ずっとオレたちの後ろ盾になってくれるかどうかは判らないんだから  ジッちゃんは、高齢だし香月家には、面倒な分家や臣下たちがいる  突然、クーデターを起こされる可能性だってある  だから、ジッちゃんは香月家の裏の力である、香月セキュリティサービスを、オレに譲ってくれた  ならば、表の力になるものも今の内に、幾つか手に入れておくべきなのかもしれない

でもそんな簡単にできることなのか水島製薬を手に入れるなんてことがさ

お前の娘が可憐を苦しめたから罰として会社を寄越せとか、無理だろ水島裕次郎って人は、水島家の分家の血筋だってだけなんだから香月家からの命令だって言っても従うとは思えないし

 水島グループとは関係なく、自分の会社を大きくしてきたという自負もあるだろう  香月家と水島家の本家が、名家同士の繋がりのことは、一応、知っているだろうけれど自分たちが香月家の命令に従わなくてはいけないとは、思っていないだろうな

何より水島製薬は、経営が順調なんだからオレたちが、どんな手を使ったって、会社を手放してくれるとは思えないよな

 お金も充分にあるだろうし取引先とかもいっぱいあるだろう

言うことを聞かないと香月家が圧力を掛けるぞなんて脅しても、やれるものならやってみろって返されるだけなんじゃないのかな

それに、今の香月家の企業グループの経営は、ジッちゃんじゃなくて司馬さんがやっている

 5月の騒ぎの時にジッちゃんはグループのトップを、重役だった司馬さんに任せた

司馬さんに、オレたちが可憐のことで頭に来ることがあったんで、香月グループの力を使って、水島製薬に圧力を掛けて下さいって頼んでも、やってもらえないだろ

 そんな個人的なことで企業グループを動かしてくれるほど司馬さんは甘い人ではない  優良企業の水島製薬とモメても、香月グループに得になることは無いのだから

なるほど具体的にどうするかという話になると難しいのですね

 素子も考え込む

いえそれほど難しいことではございません

 後ろに控えていた美智が口を開く  美智はオレの女の中では、イーディに並ぶ天才児だ  武術もスゴいが頭も良い

何か考えがあるの美智

 みすずが2つ年下の美しい警護役に尋ねる

しかし、その話をする前に

ご主人様がすっかり泡々になっておられます

 みすずも、素子も、可憐もすっかり話に夢中になって  オレの身体を洗い続けているから

そ、そうね一先ず、旦那様にシャワーを

 黒瀬安寿が、スッとシャワーのノズルをみすずに手渡す  すぐに渡せるように、準備していたらしい  こういうところで気が利くのがこの子の良いところだ  うちの大浴場のシャワーは、ノズルの取っ手にハンドルが付いていてグイと握るとお湯が出る  みすずが、オレにシャワーを掛けて全身の泡を流してくれた     *********

こういうことで、ございます

 今度は美智が手で、オレの髪をシャンプーしながら、自分の考えを話してくれた  みすずたちは、オレの周りに座って黙って、美智の話を聞いている

なるほど、水島製薬の株はそういうことになっているのね

 素子が美智の知識に感心する

水島製薬に関しましては、昨夜のうちに様々なデータを調べておきましたので

 美智は香月セキュリティサービスのデータベースにある会社情報を調べたらしい  記憶力も抜群だから細かい数字まで、暗記している

ですからこの様にすれば、水島製薬をご主人様が手に入れることは可能です

 美智はきっぱりと言い切った

事前の根回しが必要ですが水島家での話し合いは、明日の夜でございますから今晩と明日の昼間を使えば、充分間に合うと思います

そうね美智の計画なら、何とかできると思うわわたしでは説得するのが難しい方もたくさんいるけれどやってみるわ

 みすずも頷く  可憐は水島製薬を奪い獲るということを、まだ納得できていないようだ

可憐妹、わたくしは思うのですが

 美智はオレのツムジをゴシゴシ洗いながら、可憐に言う

本当に水島製薬は、水島本家の力を借りないで、大きな会社に発展したのでしょうか

 可憐は戸惑いの表情を見せる

それはだって水島製薬は、水島本家の企業グループとは、一切関係無い会社でございますから

本当にそう思いますか

もし、そう思うのなら可憐妹は世の中を生きる、人と人との繋がりというものを、理解していないのだと思います

ご主人様今回の件は、可憐個人の問題ではなく香月家の名誉に関する問題ですですから水島製薬については、徹底的にやってしまって良いのです

 水島家本家の可憐が分家の娘たちにイジメられたということは  可憐を預かっている香月家にケンカを売ったのと同じだ  そのことは、オレにも判っていた  水島家の分家と分家の経営している会社は、別だとオレは考えていた

いつもの黒い森の活動と同じですナメられたままではいけないナメたことをした相手には、百倍返しで罰を与える一罰百戒苛烈な罰を与えることで、こちらをナメる相手が出ないようにする

 美智の言葉はいつものオレたちのやり方だ  犯罪組織黒い森の

ご主人様は、水島ノエルという娘が、可憐妹に嫌がらせをしていたということを、わたくしたちの学校のどれぐらいの生徒が知っていると思いますか

いや可憐がイジメられていたことは、そんなに知られていないんじゃないか水島家の分家の子は、可憐が1人の時を狙って嫌がらせしていたって聞いたし

 同学年のアニエスやルナやコヨミちゃんが、可憐とは別の授業を受けていている時にだけ、イジメを実行していたと聞いている  だから、問題の発覚が遅れた

見えないようにコソコソとイジメていたんだろそれなら、知っている子は少ないと思うけれど

 偶然、イジメの場面に出くわしたでもしない限りみんな、イジメの実態には気が付いていないと思う  実際みすずたちは、気付いていなかった  ルナやヨミが巫女の力で、可憐の心の中の影を読み取ったからそれで、可憐がオレたちに事情を話してくれたんだし

だいたいみすずたちの学校の生徒は、全員、可憐が名家の令嬢だってことを知っているわけだし香月家に預かりになっていることも知っているわけだし

 可憐が預かりになったキッカケは、香月家の屋敷で行われたガーデンパーティだ  あのパーティには、みすずたちの学校に通う名家の女の子たちがたくさん来ていたからみんな事情は知っている

だから水島家の分家の娘は、表立って可憐をイジメることはできなかったはずだよな他の生徒たちに知られないようにコソコソと嫌がらせをやっていたんだろ

それは非常に浅い考えだと思いますご主人様

 美智は確信を持ってそう言った

どういうことなの美智

 みすずも尋ねる

わたくしは思うのです可憐妹に酷いことをした下劣な娘はもちろん、その行為は、隠れて密かに行われ他の人間には見られないように実行されたのでしょうけれど

しかし嫌がらせをした犯人たちは、自分のした行為を親しい人間に話したとは考えられませんか

 イジメをした人間が自分のイジメを仲間に吹聴する

わたくしたちの学校でも名家の本家の令嬢は、数が限られております

 そうだ香月家のパーティに来た令嬢たちは20人ぐらいだった  あの時は、名家の令嬢でも警護役を連れている子だけを集めたパーティだったけれど  警護役のいない名家の令嬢もみすずたちの超お嬢様校に通っているだろうけれど  それでも、一般生徒よりは数が少ないはずだ

誇り高い名家の令嬢を侮辱するしかも、その令嬢は、香月家の庇護下に居るのですそういう令嬢に不埒な行いをしたということを、犯人たちは親しい仲間に面白おかしく語っているとは思いませんか

 それは充分、考えられる  イジメをするような卑劣な人間だ  自分が可憐をイジメているということを仲間に得意げに話しているかもしれない

だからこの件は、徹底的に犯人を打ちのめさなければならないのです

 オレたち香月家と水島家の内々の話で、決着を付けても  水島家の分家の娘は、裏で可憐や香月家のことを馬鹿にして話し続けることになる  問題の起点は、綺麗さっぱり処理しなければならない

ですから香月家は、心の底から怒っているだから、ここまで苛烈な罰を与えたということを世間に示さなければならないのです

 預かった娘をイジメられたことで、親の会社を奪い獲るなんていうのはやり過ぎかもしれない苛烈過ぎるかもしれない  だが、香月家はオレたちは、そこまでやる人間なんだと、見せつけなければ  香月家の怖さをはっきりと示さなければ、またこんな事件が起きる

それでしたら水島製薬を奪い獲るぐらいのことは、しなければなりませんね

 素子がそう言った

そしてみすずお姉様

香月様は、みすずお姉様に今回の件を処理するためには、香月家のモノはいかなるモノも使って良いとおっしゃられました

 そうだみすずが、さっきそう言っていた

その香月家のモノの中には香月様自身も含まれております

 ジッちゃん自身

判ったわわたしが説得できなそうな方は、お祖父様からお話していただくことにするわ

 みすずは、すぐに美智の言葉の意味を理解する  いや、ジッちゃんの言葉の真意を

お祖父様は、今回のことをわたしたちに任せるとおっしゃったけれどそれは、わたしたちだけで処理しろということではないのねお祖父様に相談することも、お祖父様に助けていただくことも、私たちの選択でやって良いことなのね

香月様は、香月家の持つ力を表の力も裏の力も、全て活用してみろとおっしゃっているのだと思います

香月家という巨大な力そのものを使いこなせるようになれと

 美智がオレの髪にシャワーの湯を掛けていく  シャンプーの泡が洗い流される間に、オレの覚悟は決まっていく

ですが、それでは水島製薬が

 可憐はまだ戸惑っている  12歳の少女には、強大な力を振るうことがただただ恐ろしいのだろう

可憐お前は苦しまなくて良い全て、オレが決めて、オレが腹を括って、オレが実行させることだ責任は全部、オレにある

 オレは風呂場の椅子から腰を上げ、可憐の前に進む

美智、時間はまだあるか

10分少々でしたら

 それだけあれば充分だ

可憐咥えろ

 オレは、可憐の可愛らしい顔の前にグイとチンコを差し出す

出掛ける前に、もう一度射精させろ

昨日は、父のケアマネージャーの面談日で

今日は、脳梗塞で寝たきりになった兄の様子を見に施設まで行かないといけません

明日は、死んだ母の相続のことで証券会社へ

亡くなって7ヶ月経ちますがまだ終わらないのですよ10ヶ月経つ前に税務署に申告しないといけないんですが

母の会社も私が継いだのですがこれも税の問題で清算しないといけません

中小企業は、社長が赤字を会社に貸し付けるのが普通らしいんですが

母が自分の会社に貸し付けたことになっている戻って来ないお金が帳簿上、数千万円になっていて

これが、母の遺産として計算されてしまうので相続税が大変なことになるのです

とりあえず、今回は父に相続してもらうので、税金は発生しないのですが(配偶者には相続税がかからないので)

帳簿上、貸付金が残っていることに変わりがないので、今度、父が亡くなった時にまた税金が発生することになるんです

なので父が生きている内に会社を清算して、貸付金を消してしまわないといけないそうです

7ヶ月ずーっと面倒なことが続いています

1419.次のミッション/オレの女に手を出すな

 大浴場の洗い場でオレは、裸の可憐の前に立つ  膝立ちになった12歳の美しい令嬢がオレのペニスを両手で捧げ持った  ペロッペロッ  小さな赤い舌が、オレの亀頭の先を舐め上げていく  可憐の粘膜の温かな感触にもの凄い勢いで、オレのチンコがそそり立っていった

気持ち良いぞ可憐

 オレは、可憐の柔らかな黒髪を撫でてやる

怖くなったんだろ自分が原因で、色んな人に大きな影響を与えることになってしまうことが

 オレの言葉に可憐がハッとする

舌を止めるな、まだ途中だぞ

 可憐は、今度は唇でオレの勃起をしごき始めた

オレの経験がある自分のしたことが、予想を越えた結果になってしまったことが何度も

 半年前のオレは白坂雪乃を犯したいだけだった  だが、雪乃をレイプしたことでオレは犯罪組織黒い森の一員となり  色んな人間の運命に深く関わることになってしまった  人も殺したシザーリオ・ヴァイオラという極悪人だったけど

立ち止まって、自分の周りで起きていることを見直してみると愕然とするよ何で、こんなことになっているんだろうって思う

 今の可憐もオレと一緒だ  実家の水島家が没落したことも、まだ12歳なのにオレのセックス奴隷になってしまったことも可憐自身のせいではない  もちろん学校で水島家の分家の姉妹にイジメられたことも  自分をイジメた姉妹にお仕置きしてくれと、オレに願い出たことは可憐の正統な権利だと思う  しかしそれが原因で、分家の姉妹たちの父親が経営している水島製薬をオレたちが奪い獲るという話になるのは  可憐の想像のレベルを遙かに越えていたと思う  自分の告発が原因で大きな企業の運命を左右してしまうことになるとは

でも怖くなっても、先に進むしかないんだ生きている限りは

オレたちは、いつも先に進もうとしているだけだ眼の前にあるもの、眼の前で起きたことを、一つ一つ確実に解決していってるだけだ

 フェラチオしながら、可憐の美しい瞳がオレを見上げている

後から考えたら、もっとこうした方が良かったと後悔することもあるんだろうけれどとにかく、眼の前の問題を時間切れになる前に、全力でなんとかしていくしかないんだその時ベストだと思ったことをした方が何もしないよりは絶対に良いオレは、そう思うんだ

 みすずや素子美智やルナや黒瀬安寿たちも、オレの話を聞いてくれている

何かすれば少なくても、状況は変わるもちろん、良く変わる場合だけじゃなくて、状況が悪化することもあるだろうそんな時はそんな時で、そこから状況が良くなるように、さらに行動してみる実際に、好転するまで何度でも何度でも、変化を起こしていくそれが大切なんだと思う

 可憐の舌使いが、激しくなるそれでも可憐の瞳は、オレの眼を見上げている

大丈夫だお前にはオレが付いてる他の家族もいる可憐を可愛いと思っている、たくさんの姉たちがオレも他の女たちも可憐が苦しむような結果には、絶対にしない良い結果になるまで何度でも、どんなことでもするから

 今回の問題は  可憐がイジメの存在を、すぐにオレたちに知らせなかったことにある  可憐は一人で、この問題を抱え込んでいた

可憐水島家の分家の娘たちによるイジメが始まった時、お前はすぐにオレたちに相談しなかったオレたちの力に頼ろうとしなかったそれはこれが水島家の本家と分家の問題から始まっていることでオレたちに知らせて良いことがどうなのか迷ったからだと思う

 可憐自身が、水島本家の令嬢として水島家の恥を、オレたちに知らせることをためらったんだ  オレに話せば、他の名家の娘たちから香月家や栗宮家や狩野家はたまた、桃子姉ちゃんの歌晏家にも、話が伝わるかもしれない  それは家の恥を晒すことだ  だからイジメが進行して、事態が悪化することになった

お前はまだ、名家の令嬢としてのプライドを持っている矜持と品格を失わないことそれは良いことだだが、忘れるな可憐

 オレは可憐の瞳に言い聞かせる

お前はオレの女だ名家の娘である前に、オレのセックス奴隷だみすずや素子や美智や他の女たちの妹なんだ

 可憐の瞳がオレを見ている

お前をイジメるヤツは、どんな人間も許さないお前の持ち主のオレが許さない徹底的にやり返す二度と可憐をイジメるようなやつが現れないようにするオレの可憐に手を出すなって、世界中に宣言してやるそうするって、オレが決めたオレが決めたから、オレが実行するだけだお前が責任を感じる必要はないんだ

 可憐の瞳に涙が溢れていく

だから、可憐お前は、もうこんなことで悩むなどんな結果になろうとも全部、オレが、オレの意志でやることなんだから

 フェラチオしたままオレを見上げたまま可憐の瞳から、大粒の涙が流れた  この子は12歳の可憐はホンモノのお嬢様だ  もっと、オレに甘えろとかもっと、オレに頼れとか命じても彼女のプライドが、そうさせてはくれない  だから違う形で命じるしかない

お前のことも、お前の家のこともどうせ、オレがオレの意志でどうにかしてしまうからなお前がどんなに悩んだって意味が無いんだオレが、お前が幸せになるまで、絶対に諦めないで、状況を変え続けるからな

可憐は、オレとのセックスのことだけ考えてれは良いんだ

 何があっても、オレが可憐を幸せにするという意味の言葉がそんな風に変化して、オレの口から飛び出した  オレのペニスから唇を離して小さな手は、まだオレの勃起を握っているオレの亀頭と可憐の唇の間で、可憐のツバが糸を引いた

可憐はこっちに欲しいです

 オレに見えるように大きくM字開脚する  可憐の秘部は濡れていた  涙で濡れた顔と同じ様に

犯して下さい可憐を、思い切り

待ってタオルを敷いてあげるわ

 みすずと美智があらかじめ用意してあった厚手のバスタオルを洗い場の床に敷き簡易ベッドを作る  可憐の言葉をみすずが遮る

いいのよ、今は可憐の時間だから遠慮しないで

可愛い妹が愛していただく時間を邪魔するつもりはないわ

 素子も可憐に、そう言う  香月家のみすずと栗宮家の素子可憐の水島家よりも、格の高い名家の令嬢たちの言葉だから可憐も素直に受け入れられる

それではお言葉に甘えて、失礼させていただきます

 可憐がみすずたちの作ったタオルのベットに横たわり大きく足を開く

犯して公お兄様

 可憐の小さな身体に、正常位で上から、のし掛かるッ  可憐の狭い割れ目に剛直をググッと突きたてるッ

来て下さいっ

 可憐の濡れた瞳がオレを見つめている  オレは一気に

あああああーっっっ

 可憐の中を押し開いていくッツ  可憐の内部は、奥までしっとりと濡れていた

あっああーっああーっ

 時間を掛けるつもりはない  オレはぐっちょ、ぐっちょと、激しく腰を動かしていく

ひぃああっああっくぅぅぁあああーっ

 大きな声で可憐は啼く  可憐の幼いおっぱいが、オレの突き込みに合わせて、淫らに揺れている

気持ちいいぞ、可憐ッ

 12歳の膣が、オレを締め付けている  内側からとろけるように愛液が染み出している  オレの亀頭が、可憐のぷっくりした子宮口を何度もキスしている

可憐も気持ちいいです公お兄様に犯されるの気持ちいいッ犯して公お兄様ずっと、可憐を可愛がって

ああずっと可愛がってやる犯してやるからな可憐

 オレは絶頂を目指す  今必要なのは、ゆっくりとした穏やかなセックスじゃない  男が女を制圧する荒々しいセックスだ

ああーっああーっあああーっ

 ああイキそうだ  可憐は、大きく眼を見開いてオレの予兆を感じ取っている

はい下さい可憐の中にはしたない可憐の中に下さいっっっ

 可憐も身体の奥で、淫らな炎が燃え上がった

ああーっ公お兄様ッ公お兄様ぁぁあああーっ

イクぞ可憐ッ

あっあああああッッッッッ

 可憐が爆ぜた  汗まみれになった身体で、下からオレにしがみつき  ビクビクビクッと身体を痙攣させながらエクスタシーに跳ぶ  びゅるるるっびゅるるるっ  キュウキュウと可憐の膣に締め上げられながらオレのペニスが射精する  可憐の子宮に白く濁った熱液を、ポンプみたいに送り込むっ

熱いぃぃぃっ

 身体の一番奥で可憐は、オレの精液を受けとめていく  オレが射精した後も  可憐の絶頂は続いている  びくん、びくんと身体を震わせてオレのペニスの中に残った精液も絞り出している  オレがキスすると可憐は自分から、オレに舌を絡ませてきた  すっかり火照った肌大きな声で喘いでいたから、口の中は乾いている  可憐の大きな瞳が開いてオレを見る

可憐公お兄様の赤ちゃんが欲しいです

 突然そんなことを言い出した

今すぐでも生んでみたい

すぐはダメだだが、絶対に生ませるから、楽しみにしておけ

 オレの身体の下で、可憐の心臓がドクンドクンと鼓動している  12歳の小さな胸が、大きく呼吸して上下していた

あの公お兄様

何だ、可憐

 オレは可憐とまだ繋がったまま可憐のおっぱいを揉んで、楽しんでいた  硬くなった乳首の感触を、手の平で味わう

水島家の分家に水島製薬とは別の家ですお兄様の奴隷に推薦できる娘が何人かおりますわ

家の恥となることでしたので今までは、申し上げられませんでしたでも、今ならお話できます

 12歳のセックス奴隷がオレに言う

とても美しくて、頭も良くて、性格も良い娘たちでとても、可愛そうな環境で暮らしていますどうぞ、公お兄様のお力で、その娘たちをお救い下さいそして公お兄様のセックス奴隷として、可愛がってあげて下さい

 可憐はそう、オレに言った

明日その娘たちも、水島家の本家の屋敷に来るように話しますですから

判った後は、どうするかオレが判断する価値のある子たちなら、オレの女にするそれでいいな

 にっこりと微笑む可憐  オレたちの下半身は、繋がったままだ  今、可憐の子宮の中はオレの精液で満たされている

大好きです愛してますわ

 可憐はようやくオレとの関係の良い距離感を見つけたらしい  オレとはこういう関係で、やっていけばいいのだと

オレも愛しているよ可憐

 オレは、もう一度可憐にキスした

ご主人様すでに予定時間を3分オーバーしています

 美智が低い声で、そう言った

うわそれはマズイな

 オレは慌てて、可憐からペニスを引き抜く  可憐の小さな割れ目から、トローっと白い精液が滴った

お掃除させていただきますわ

 みすずと素子が、オレのペニスを舐めていく

いや、二人とも時間が

せめてこれぐらいは、させていただきます

 素子が、そう言って微笑んだ

美智も少し舐める

はい、みすずお姉様参加させていただきます

 美智もオレの股間にやってくる

可憐はこれで安定するかな

アニエスと二人、淫乱少女ペアになってくれると有り難い

次話から松下姉妹の話に戻ります

残っている伏線

1.松下姉妹

2.水島家問題

3.芸能プロダクションを手に入れる話

4.アニエスが家族にしたがってる子(慶良間レオナ)

5.瑠璃子が紹介したいと言っていた子

6.石神瑞希リターンズ

7.アメリカでの格闘技大会

8.桃子姉ちゃんの処女喪失

9.コヨミ、木下さん、黒瀬安寿、シエ、美子さんの処女喪失

10.少女暗殺者たちの処女喪失(13人分)

こんなもんか

この間書きました、選挙にボーカロイドを使っている候補者のポスターを見たら

表現の自由を守りますだって

どうも、オタク層を取り込むつもりらしい

だけどボーカロイドの規約違反の政治利用は違うだろうと思いました

1420.次のミッション/行ってらっしゃい

パパ、お風呂が長いですの

 と突然、大浴場のガラス戸が開いて  金髪の美少女アニエスが、顔を出す

早く着替えて準備して下さいだそうですのっ

 今夜のオレには、予定がある  これから、ミナホ姉さんの持っている駅前のホテルに行って  松下姉妹のお祖父さんと対決しなくちゃいけない

残念ね

仕方ないですわ

せめて、一舐め

 みすずと素子と美智が、それぞれオレのチンコにキスをする

みんなで、パパとセックスしてたんですの

 アニエスが、ちょっとムッとした顔でこちらを見る  洗い場の床に敷いたタオルの上に寝ていた可憐が、起き上がり  アニエスの方へ走っていく  裸のまま太ももの間から、オレの精液を垂らしたまま

どうしたんですの可憐ちゃんお風呂場で走ったら、危ないですの

 アニエスは、可憐の突然の行動に驚いている

アニエスさん、わたくしっ

 可憐は、アニエスの前まで行くと彼女の手を両手で、ギュッと掴む

わたくしっやっと、アニエスさんがおっしゃっていたことの意味が判りましたっ

わたくしは可憐は、公お兄様に犯していただくために生まれてきた娘です一生、公お兄様にご奉仕いたしますわ

可憐ちゃん

 アニエスは、ポカンとした顔をしている

やっと、判ったんですの

はいこれまで、何度も何度も、アニエスさんは可憐を導いて下さろうとしていたのに愚かなわたくしは、その意味を理解していませんでした

 可憐は顔を真っ赤に紅潮させて、アニエスに言う

ですがたった今、判りました今、公お兄様に犯していただいて心と身体で理解しましたわたくしは可憐は、ここに居ていいのですねっ公お兄様に可愛がっていただいて良いのですねっ

 アニエスはそんな可憐に、ニコっと微笑み

当たり前ですのっ最初にパパとセックスした時から、可憐ちゃんはうちの子ですのっアニエスの姉妹ですのっ

 12歳の金髪ハーフ美少女が同い年の黒髪の令嬢に、抱きつく

ずーっとここに居て、アニエスや他の子と一緒にパパとセックスしてて良いんですのっ

はいそう致しますもう、可憐は迷いません

 可憐も、アニエスを抱き締めた

やっと吹っ切れたみたいです可憐さん

 ルナが、やって来てオレに言う  ルナもアニエスや可憐と同じ12歳で同じ学校に通っている  人の心を読むことができるルナは可憐の心の中を、ずっと見ていたんだろう

可憐さんのプライバシーに関わることだからボクたちも、今まで兄さんに報告できなかったんです

さっき可憐さんが、水島家の他の子たちのことを話していたでしょ

 分家の水島製薬の娘たちの他にオレの奴隷に推薦できる子がいるという話のことか

ボクやアニエスちゃんやコヨミちゃんが居ない時に可憐さんのところに、イジメの姉妹の他に、相談の子たちも来ているんです

 相談

可憐ちゃんは香月家の預かりになっているから

 そうかみすずや瑠璃子と一緒に、同じ家で暮らしていることは、超お嬢様校の生徒なら、みんな知っている  朝も夕方も、みすずたちと同じ車列で登下校しているんだし  香月家の本家の娘であるみすずや瑠璃子に、直接、相談やお願いをするのは、ちょっとマズいけれど  可憐を通して、香月家の令嬢たちに何かをお願いすることはできる

そういう子たちがいるから水島製薬のお姉さんは、妹に可憐さんをイジメさせているんです

 単に名家だった水島家が格落ちしたことに腹を立てているのではなく  格落ちしたのに、香月家に入り込んだ可憐に嫉妬している

でも、可憐さんは水島家の娘で、香月家にお世話になっている自分が他の生徒の相談の仲介をするのは間違っていると考えて、全て断っていたんですそれどころか、自分にそういう相談をする子がいることも兄さんやみすずさんたちには、話さないでいたんです

 それも可憐の名家の令嬢としてのプライドからしたこと  問題のあることを全て、可憐の中だけに閉じ込めていた  イジメはさすがに大問題だし、ルナたちに心を覗かれていることは判っているから何とかオレたちに話してくれたけれど  他の子たちから、一方的に相談されていることは話さないでいた

だけど今のセックスで可憐さんの中で、水島家の令嬢であることと兄さんのセックス奴隷であることの位置が逆転したから

もう何でもかんでも、兄さんに委ねちゃって良いんだって吹っ切れたんだよ自分が一人で悩むより兄さんに話した方が、何でもすぐに解決するって、やっと判ったんだ

それで水島家の他の娘も、可憐に何かを相談してたってことなのか

 可憐は家の恥だから、今まで言えなかったと話していた

みすずたちの学校に通っている水島家の娘は可憐と水島製薬の3姉妹だけじゃなかったっけ

 オレはみすずに尋ねる

ええ、そのはずですけれど

いえ、水島ではないですけれど月島さんの姉妹がいますわ確か、お母様が水島家のご出身です

 みすずの言葉を素子が訂正する

ああお母様が女優の月島華英さんの

わたしたちの学校は芸能人の娘は、基本的に入れないんですけれど月島さんのお母さんは、名家に生まれた娘が女優になった方なので、特例で入学が許されたと聞いています

 みすずが、オレに説明する

お父様の月島兵吾さんは名家月島家は、映画会社や商業大劇場の経営もなさっている家ですし

 名家では珍しい芸能界に属している家の娘なんだ  その家の娘たちから可憐は、何かを相談された  それは香月家が持つ様な大きな力を使わないと解決できないことで  しかも、可憐は月島家の姉妹をオレの奴隷にしようとしている

とりあえずみすずや素子で、調べてみてくれ翔姉ちゃんに聞いても良いし

 香月セキュリティサービスは、常に名家の人たちについての情報をチェックしているから  月島家の現在の状況についてのレポートも持っているはずだ

可憐からも、お前たちに詳細を伝えさせるから

かしこまりました殿

 オレはシャワーのお湯を出して、セックスでかいた汗と  チンコについた、愛液と精液と唾液を流し落とす

さ出るぞ

 オレは浴室から、脱衣場へ向かう     ********

可憐とにかくオレは、次の仕事に行かなきゃいけない今の話も含めて、みすずと素子に詳しい話をしておいてくれ帰って来てから、オレも聞くけれどオレのいない間に、二人と相談して、明日の準備はしておいてくれて構わない

 明日は月曜日だけど、学園祭の振替休日でオレは休みだ  昼間はミナホ姉さんや寧と、芸能プロダクションを貰い受けに行く  そして夜は水島家で、水島製薬の娘たちとイジメの件について対決することになっている

はい、判りました公お兄様

 可憐は、満面の笑みでオレに返事する

パパ今、可憐ちゃんと相談したんですけれどアニエスと可憐ちゃん、このまま小学生のうちにパパの赤ちゃんを産むというのはアリかもしれませんのっ

アニエス妹今からでは、小学生のうちに出産するのは難しいですね

 今は10月アニエスと可憐は、小学6年生  小学校卒業までに、出産するのはちょっと無理だ

早産なら可能かもしれませんが生まれて来る子供も、母親になるあなたたちも、健康でいられない可能性が非常に高いですその計画は、ナシです

うん妊娠も出産も、もう少し後にしてくれ

それよりも可憐妹は、もっとご主人様とのセックスの上達を心がけるべきだと思います

あそうですね判りました可憐は、もっとセックスを頑張りますもっと公お兄様に歓んでいただけるセックス奴隷になります

 屈託ない微笑みで、そう言い切る可憐  迷いが消えたのなら今は、これで良いか

はいはいはーい、お話が済んだんなら、着替えてよっヨッちゃんの服はここねっ

 寧がオレの着替えを持って来てくれていた  オレの持っている一番良いスーツ  腕時計なんかもミナホ姉さんのお祖父さんの遺品の高級品だ

先生がこれで行きなさいってさ

 一代で巨大なドラッグストア・チェーンを築き上げた松下老人  そういう人間と対するためには一番上等な服を着て行くのが妥当なのか

はーい、今は急ぐから他の子は、ヨッちゃんに拭いてもらったり、下着を穿かせてもらうのはナシねっヨッちゃんも、自分でさっさと服を着てそれから、ミィちゃんはヨッちゃんの髪に触らないでねっあたしがやるからっ

 みすずは、オレの髪型をワイルドにしたがる傾向がある  みすずは、ブラジャーを付けながら残念そうに、そう言った

ルナちゃんは、いつもの制服ねっ

 ルナは超お嬢様校のセーラー服を着る  この服ならちょっとした礼服よりも気品がある

黒瀬さんは、それを着てっサイズは合ってるはずだよっ

黒瀬安寿は黒いスーツが用意されていた

そらっ、急いで着てっ

    ************  スーツに着替えて廊下に出る

もう、他の人は玄関のホールに集まってるからっヨッちゃんとルナと黒瀬さんは急いでっ他の子は、お留守番ねっ

美智あなたも旦那様に付きなさい

 みすずが美智に命じる

警護役が一人だけでは心配だわ

 美智の服装もいつもの超お嬢様校のセーラー服だ連れて行くのに、問題は無い  美智は黒瀬安寿を見て

そういうことですからよろしく

 黒瀬安寿は、チラっとオレの顔を見る  確かに、新入りの黒瀬安寿一人だけじゃ心配だ  だからといって、松下さんのお祖父さんと会うのに警護役が外国人のイーディやハイジだと、警戒されてしまうだろう  レイちやんじゃ、顔が知られ過ぎてるし企業家の松下老人は、香月セキュリティサービスの現場トップである翔姉ちゃんの顔も、知っているかもしれない  ミタマも、今では有名人だし  キヌカは、黒瀬安寿とは連携が取れない  木下さんも、ブッ壊し屋だし  ここは、美智に付いてきてもらうのが正解か

うん、美智頼む

 オレはみすずの提案を了承する

そんじゃあ、行ってらっしゃーいっ

 寧も留守番組だ

パパ、行ってらっしゃいですのっルナも頑張ってですの

行ってらっしゃいませ公兄様

 アニエスと可憐は、仲良く手を繋いでオレを見送ってくれた     **********

あら、あんた出掛けるの

 廊下で雪乃と出会った

雪乃こそ今、帰って着たのか

 雪乃は制服姿のままだった

そうなのよ今日も、学園祭の様子を監視カメラで観てるだけの1日だったんだけれど帰りの車が、なかなか来てくれないんだもの

 雪乃は、プンスカ怒っている

ああ今日は、色んなことがあったから運転できる人が足りてなかったんだと思うよ

 学園祭で色々と手伝ってもらったから  イーディもマルゴさんも、女子格闘家の皆さんたちを送りに行ったままだし  可奈センパイも、今日は誰かが自宅まで送り届けてくれることになっている  パン工房に残った子たちも、まだ帰って来ていないみたいだし

あたしの存在を忘れられちゃったみたいで頭にきちゃったわよまったく

 怒る雪乃をオレは抱き寄せる

あんまり、プリプリするなよお腹の子供がか、カワイソウだ

あたしの方がカワイソウよ

 オレは雪乃にキスする  雪乃は、すぐに舌を絡ませて来た

行ってらっしゃい気を付けてね

 唇を離すと雪乃はオレの眼を見て、そう行った

まあんたのことだから、どうせ心配してもムダなんだろうけれど

 そして美智を見る

このバカのこと頼んだわよ

 美智は、雪乃にいつもの無表情で返事をした

ようやく雪乃再登場

小池一夫先生が亡くなられたそうですね

主人公がヒロインをレイプした後に説教してホレさせるというムチャクチャなシステムを構築したのは、本当にスゴいと思っています

男しか読者のいない劇画誌や男性誌や昔の週刊誌で男の妄想世界そのものに、高尚な理屈と、見事なセリフ使いを組み合わせて、数々の素晴らしい作品を生み出されていました

高校生無頼控なんて、主人公が毎回レイプマン並みにレイプしながら犯したヒロインをメチャクチャな展開でホレされてにもかかわらず、どんどん捨てて次のレイプに向かうという

昔の劇画だから絵の方は今となっては、そんなにエロくないんですけれどね

ご冥福をお祈り致します

1421.次のミッション/パンの味

遅かったわね松下さんたちは先に車に乗ってもらったわ

 玄関ホールに着くとミナホ姉さんは、もう来ていた  いつもの漆黒のスーツを着ている

うんゴメン

謝らなくて良いわあなたたちが何をしていたか、全部聞いていたから

 玄関ホールの脇にも、このお屋敷の監視システムと繋がっている小部屋がある  ミナホ姉さんは、そこから大浴場でのオレたちの会話を聞いていたんだ  いつものことだから、気にはならないけれど

美智さん水島製薬に関するあなたの提案、採用させてもらうわ

 ミナホ姉さんは、美智にそう言った

公香月セキュリティサービスを動かしても良いかしら

 香月セキュリティサービスの現在のオーナーはオレだからミナホ姉さんは、オレに許可を取る  ミナホ姉さんも、香月セキュリティサービスの情報分析部門に在籍している

ちょっとネットに水島製薬に関する噂を流したいの

 やはり警護役の方でなく、情報操作の仕事か

ああ、構わないよミナホ姉さんが良いと思うことは、何でもやって

 オレは全てを承諾する

指示は、車の中からするわ

 車中から携帯電話かメールで指示するということは車の運転は、ミナホ姉さんがするんじゃないんだな  松下姉妹+五十嵐イズミに茉莉花、ミナホ姉さんとオレと美智と黒瀬安寿とルナまり子も一緒に行くって言って気がする

どうやっても1台の車に乗り切れないから2台以上で行くしかないんだけれど

 ミナホ姉さんが運転しないのなら運転手は

おようやく来たねほんじゃあ、あんたは2号車にそっちの新人のお嬢ちゃんとルナちゃんと乗ってミナホと工藤の嬢ちゃんは、あたしと1号車だ

 足音を立てずに、フラッと外から玄関に入って来た、その女性は  ええっと誰  あなたは誰ですか

あたしだよ、あたし不審者を見るような眼をするのは止めておくれ

 うちのお屋敷にこんな老年の女性が居たっけ  年齢は60歳半ば過ぎぐらいか  髪の毛は白髪が混じっているし、鎖のついた大きなメガネを掛けている  服は高価そうなスーツハンドバックも持ってる  優しそうなふっくらとした顔は鼻が高くて、外国の人みたいだ  それでいて髪型と服装は、とても上品で  ブッキラボウな喋り方とは、全然合っていない

公キョーコさんよ

 キョーコさんてこんなに高齢じゃないし、もっとガッシリとした体格で、いつも男っぽい服装なのに

これはあたしの変装の1つさ変装って言っても、ちゃんと実態があるんだけどね

 キョーコさんも、笑いながらオレたちに言う

名前はチェーミン幸田63歳香港生まれ父親は日系イギリス人のブライト幸田母親は未来、姉はアン=ハサウェイ幸田香港からフランスへ留学して、ソルボンヌ大学で日本とヨーロッパの美術交流史を研究その後、父のルーツである日本に来た現在は、香月世界文化交流センターの上席研究員として常勤しているっていう設定になっている

 香月の名前が付いてる団体ってことは

これも香月のジイさんとの契約の1つなのさあたしの身に何かあった時の保険としてね

 キョーコ・メッサーが、公安警察に捕まりそうになった時に

チェーミン幸田として、国外へ脱出するのか

 世界文化交流センターの仕事なら仕事で頻繁に日本と外国を行き来していても、おかしくはないし

ちゃんと香月世界文化交流センターから毎月、給料も出ているし職員名簿にも名前が載ってる数年経ったら、部署が移動したり、役職が付いたりってこともやってるたまにはセンター主催のイベントに顔を出して、実在する職員だってこともアピールしてるもちろん、都内の高層マンションに幸田チェーミン名義の部屋も借りてあるよそれからチェーミン幸田の名前でインスタグラムもやってる

 国際的な犯罪者であるキョーコさんは全てが徹底している  偽装工作に不備は無い

まこんな変装する時じゃないと、シャネル・スーツなんて着ないんだけどね

 ああ服とバッグはシャネル製なんだ

あのキョーコさんも、オレたちと一緒に行ってくれるんですか

 キョーコさんはオレたちをいつも見守ってくれているけれど  直接的な手助けは、基本的にしない人だ  常に自分の尻は自分で拭けという意識でオレたちに教育してくれている

今回は特別だよあんたがあたしが思ってたよりも、スムーズにドリィたちを受け入れてくれたからね

 ドリィたちキョーコさんが、東南アジアの犯罪組織から連れて来た13人の少女暗殺者

だから、ちょっと助けてやろうと思ってさ成金のジィさんをダマしに行くんなら、ミナホだけじゃ、押しが足りないと思ってさ

 キョーコさんは、一代で大きなドラッグストア・チェーンを気付いた松下姉妹の祖父を成金と評した

年輩のジィさんだと相手の年齢が若いってだけで、信用しなかったりするからね一人ぐらい、それなりの年齢で、それなりの地位に居る人間がいないと交渉にならないかもしれないんだよ

 高校生のオレにはミナホ姉さんは、とっても大人の女性だと感じているけれど  ミナホ姉さんだってまだ28歳  松下さんのお祖父さんから見たら交渉相手としては、若すぎるんだ

まあ、任しておきなジィさん相手には、どうしたら良いかっていう手本を見せてやるよ

 白髪の上品な女性に化けたキョーコさんは、クククと大きく笑った    ********

はい、お待ちしてました乗って下さーい

 オレが乗ることになった2号車の運転手は香月セキュリティサービスの木下さんだった  この人もオレの警護を専任してやることになっている  木下さんは、オレたちのために運転席から降りて、ガチャリとドアを開けてくれた  車は大きな黒塗りのリムジンだった  10人以上乗れそうな大きさのスゴいゴージャスな  こんなのはお屋敷にない車だからミナホ姉さんが、用意させたんだろう  窓から中を見ると茉莉花と松下真樹さん、美樹さん姉妹に五十嵐イズミの姿が見えた

五十嵐イズミは、オレたちを威嚇するためにしてきた派手なメイクを落としていたけれど、音楽高校の制服の上に黒の革ジャンを羽織ったままだった

 それからやっぱり、まり子も乗っている

瑠璃子も行くのか

 瑠璃子は制服でなく、品の良い高価そうなワンピースを着ていた  本物の宝石の付いたペンダントや、腕時計もしていた  まるで一流ホテルの三つ星レストランに行く時のような装いだ  瑠璃子は、笑顔でオレを出迎えてくれた

わたくしでは足りないんですって

 まり子が、不満そうに言う

ま仕方ないですわトリイ電子の社長の娘よりも名家・香月家のご令嬢の方が、相手に与える印象が強いでしょうし

 松下姉妹はお父さんが病気で急死してしまって、音楽の勉強が続けられなくなっている  松下姉妹のお祖父さんは音楽を理解しない人で、音楽なんて止めて普通の学校に行けと言っている  松下美樹さんがお父さんに買ってもらったヴァイオリンを売り飛ばせと強要しているらしい  だから、今夜の仕事は松下姉妹が音楽を続けられるように、松下さんのお祖父さんを説得することなんだけれど

確かにわたくしが、たまたま知り合った松下さんたちの音楽が気に入ってお父様に頼んで、トリイ電子の奨学生制度を使ってそれで、松下さんたちは、音楽を続けるのに充分な費用が支払われることになったから、もうお祖父様からは金銭的な援助は要りませんから、放っておいて下さいていうのは、信ぴょう性が薄いですものね

 そんな話も昼間にしたよな

ネットで、トリイ電子の奨学制度を調べたら今が選定の時期じゃないことも、中学生は応募できないことも、すぐにバレてしまうもの

 松下姉妹が突然、2人同時に奨学金が貰えることになったというのは、どう考えてもおかしいか  松下老人をダマすのは無理だな

だけどそれは、香月家だって同じじやないのか

 中学3年生の瑠璃子がジッちゃんにお願いしたから、松下姉妹の費用が全て支払えって貰えるようになったというのも  やっぱり、信ぴょう性が無いと思うけれど

違うわよ公そこは、全然違うわよ

香月家よ香月グループよ鳥居家とは、比較にならないぐらい伝統と格式と企業グループの規模が違うわ瑠璃子さんは、そのお嬢様なんだからどんなムチャなことだって実現できるって思うわよ世間の人は

こういう時のためにテレビに出演しておいたんですわ

 瑠璃子はこの前、香月家本家の屋敷や、屋敷の中の工芸品を紹介するテレビ番組を自分で企画して

案内役として、瑠璃子自身も出演している

放送は国営放送のゴールデンタイムに行われとても好評だったと聞いている

今後は、様々な名家の家に伝わる宝物を瑠璃子が紹介する番組としてシリーズ化する予定らしい

わたくしが香月瑠璃子だと世間に認知されているいうことが切り札になりますから

 香月家のお嬢様の顔と名前を相手が知っていれば交渉はしやすくなる

香月家とお知り合いになりたい人はたくさん、いるでしょうからね

 まり子が苦笑した

瑠璃子さんの番組わたくしの知る限り、大企業のトップの方たちはみんな観ているわパーティなんかで、必ず話題に出るってお父様がおっしゃってたもの

でも、それは鳥居電子みたいな、大企業の経営者の人たちの中での話なんじゃないか

そういう人たちは、名家との付き合いがあるから普段公開していない香月家の宝を香月家の娘が紹介する番組に興味があったんだろうけれど

 松下さんのお祖父さんの経営しているのは、ドラッグストア・チェーンだ

名家と交流するような業種なんだろうか

そこは問題ないわよ松下さんのお祖父様は直接、名家の人たちとコンタクトしていないでしょうけれど松下さんのお祖父様が普段、お取引している会社の方たちには、名家とお付き合いのある方もいるはずよ

 まり子が、笑顔で答える

ビジネスの場はいきなり本題に入らないわ世間話なんかも、するでしょそしたら、当然瑠璃子さんのテレビの話題は出るわあちこちの会社との取引の場で

 松下老人が、名家や香月家に興味が無いとしても他の企業の経営者との会話の中で話題になっているのなら

それなら、松下さんのお祖父様は、他の経営者話題を合わせることができるように瑠璃子さんの番組を観るわ小さな薬屋さんから始められて、数百店舗のドラッグストア・チェーンに育て上げた人なら、当然、それぐらいの努力はしているはずよ

 全く面識の無いまり子が、トリイ電子の社長令嬢だと名乗って現れるより  テレビで観たことのある名家・香月家令嬢の瑠璃子が現れた方がインパクトがある

ああそれで、キョーコさんはあの格好なのか

 香月家の瑠璃子が60歳過ぎの香月世界文化交流センターの職員を連れて現れる

そういうこと瑠璃子様のご希望で、香月家が世界文化交流センターの奨学金を松下さんたちに支払うことになったそういう話にするみたいよ

実際そうなります真樹さんも、美樹さんも今後の学費と生活費については、ご心配なさらないで下さい

 瑠璃子が、柔らかな笑顔で言った

全て香月家が、お支払い致しますから

 姉の真樹さんも妹の美樹も無理矢理、姉妹に付いて来ただけの五十嵐イズミも困惑した表情で、黙り込んでいる  状況がまだ受け入れられないんだろう

大丈夫信じて

 茉莉花が笑顔で真樹さんの手に自分の手を重ねる

はーい、皆さんシートベルトしましたねーそれでは、出発しまーす

 運転席から木下さんが言う  オレたちのリムジンの前に停まっていたキョーコさん、ミナホ姉さん、美智を乗せた黒いベンツがエンジンを始動させた  ヘッドライトが点灯する  向こうの車も運転手は、別の人みたいだな  木下さんも、車のエンジンを始動させた

発車オーライでーすっ

 2台の車は問題無く、お屋敷の敷地から外に出る  香月家の娘である瑠璃子の外出だから屋敷の外に停まっていた香月セキュリティサービスの車が、3台ほど護衛に付いてきた  公安警察の方は1台も付いてこない  キョーコさんの変装は、見破られていない  公安警察は、この外出は香月家の私的なもので国際重犯罪者キョーコ・メッサーとは関係ないものだと認識しているようだ

お兄様お食事の時間が取れませんでしたので、車内で軽食をお召し上がり下さいませ

 瑠璃子が、オレに食べ物の包みを手渡してくれた  中を見るとパンに、チーズやハムやレタスが挟んである

わたくしたちは、お兄様がお支度なさっている間にいただきました

 オレが風呂場で可憐とセックスしている間に

ありがとうこれは誰が作ったんだ

桜子お姉様とくるみちゃんですわ

 ああそう言えば、台所に居るのを見たな

ルナちゃんと黒瀬さんもどうぞミッチーの分は、向こうの車に届けてあります

 瑠璃子は、オレと一緒だった2人にもサンドイッチを手渡す

飲み物は、車内ですので申し訳ございませんが

 紅茶のペットボトルをオレたちにくれた

このパンはお屋敷の方で作ってくれてたやつの残りか

 オレは食べながら尋ねる  今日の学園祭で瑠璃子たちにお屋敷でお土産用のパンを作ってもらっていた  できたパンは、レイちゃんに学校まで車で運んでもらってたけれど  お客の様子を見て、途中でストップしたけれどすでにオーブンの中で焼いてしまっていたパンもあったんだな

はいお兄様がもう充分とご連絡して下さった時にある程度までできていたパンがたくさんありましたので

今日はお屋敷では、アニエスちゃんたちが頑張ってくれましたから新しい子たちの中でも、上達の早い人はもう一通り作れるようになりました

 少女暗殺者たちの中でもパン作りに興味を示して、熱心に作ってくれた子がいる  誰がそうなのかは後で確認しよう  今は松下さんたちの前では、あまり少女暗殺者たちの話はしない方が良い  クリトの騒ぎがあったばかりだし

アニエスたちに、あとで礼を言うよ

 ホント帰って来たら、ヴァイオリン事件で大騒ぎだったから  みんなに礼もまだ言ってなかったな

はいそれでお兄様

そのわたくしたちで、作りすぎてしまったパンを袋に詰めてお屋敷の前の方たちに差し入れ致しました

 香月セキュリティサービスと公安警察の人たちにパンを差し入れた

学園祭で作ったパンのお裾分けということで麗華お姉様とわたくしとアニエスさんで、お配り致しました

 レイちゃんと瑠璃子とアニエスが

アニエスちゃんのアイデアです残ったパンは家の前にいらっしゃる方たちに差し上げる方が良いと

 アニエスが、そんなことを

ですから先ほど、皆さん、笑顔でお見送りして下さいました

 瑠璃子の言葉にオレは驚く  オレは公安警察の監視者たちの表情まで、チェックしていなかった  パンを差し入れてくれた瑠璃子のお出掛けだから  公安警察も、ニコニコして見送ってくれていたのか

事後報告になってしまって、申し訳ございませんでもわたくしも、良い提案だと思いましたので

いや問題無いよオレも、それで良かったと思う

香月セキュリティサービスのエースで、今では有名人になったレイちゃんと

香月家令嬢の瑠璃子

 そして金髪美少女のアニエス  この3人が、焼き上がったばかりの手作りのパンを差し入れてくれたらオレたちを監視している警察の人たちの緊張も緩む  香月セキュリティサービスの人たちも、喜んだと思うし  悪いことではない  アニエスが、そういう提案をしたなんて

うん美味い

 オレは、サンドイッチを食べる  半年前には、地下室から出たことがなくて外の世界を全く知らなかったアニエスが  アニエスの心の成長がただただ、嬉しかった

美味しいですね

 ルナが隣の座席に座っている黒瀬安寿に言う

はいちょうどお腹が減っていたので、助かります

 黒瀬安寿も、緊張気味だけれど食べられる時に食べておくという警護役の鉄則は守っている

もう、お願いしたことをキャンセルすることはできないのですね

 ずっと黙っていた松下真樹さんが不意にそんなことを言い出した

わたしたちこのまま、お祖父様にお会いして良いのでしょうか

昔は土日の方が時間があったけれど

今はバタバタしています

なかなか時間を上手く使えないでいます

そろそろ家の中の整理をしないといけないんですけれど

連休中に何とかやらないとはぁ

選挙に行って来ましたがうちの選挙区は即日開票じゃないそうです

1日待たされるのって、候補者は大変だろうなと思いました

でもやっと昼間が静かになる

1422.次のミッション/不等価交換

 ミナホ姉さんの持つ駅前のホテルへ向かうリムジンの車内で  松下真樹さんが、オレに言う

わたしは高畑茉莉花さんを信じていますし、高畑さんが紹介して下さった貴方が、お祖父様を説得するができるような力を持っていることも、今は理解しています

 16歳の真樹さんは恐る恐る話し始める

鳥居さんは、本当にトリイ電子の社長のお嬢さんなんだと思いますしそちらの方が、香月グループのお嬢様だということも信じます

 オレたちの会話を聞いていて嘘ではないんだと、理解してくれたらしい  茉莉花にオレたちの高校に連れて来られた時は、まだ半信半疑だったんだろうけれど  マルゴさんやまり子と出会ってレイちゃんやミタマやキヌカやリエとエリみたいな、テレビに出ている人たちにも出会って  ミナホ姉さんの前で演奏もして  オレたちの住むお屋敷の様子も見せた

美樹さんは、どう思っている

 オレは14歳の真樹さんの妹の美樹さんにも尋ねてみる

わたしも今は信じてますあの皆さんが、私たちを助けてくれるかもしれないって

 確信は無いけど信じられるかもしれないとは感じているのか

お前はどうなんだどう感じてる

 ついでにオレは、松下姉妹に無理矢理付いて来た五十嵐イズミにも尋ねてみた  この子はどうやら、松下真樹さんに同性愛的な感情を抱いているらしい

わたしは何が何だか、訳が判らないわよ正直あなたたちが怖いわ危ないことに巻き込まれているのかもしれないって思ってる

 五十嵐イズミには、巫女の力で強制的に変装させてスクール水着柔道大会で国歌斉唱させたりしたからな  オレたちに対しては、恐怖感の方が強いんだろう  初対面の時には、あれだけ高圧的な態度で、ペラペラ良く喋ってたくせに今は、全然話さない  本当は少し気の弱い子なんだと思う

とりあえずオレたちは、約束したことは必ず実行しますオレたちの家族の一員である茉莉花の友人の松下真樹さんそれから、真樹さんの妹さんの美樹さんお二人が、これからも音楽を続けられるようにします

 オレは姉妹に、そう告げる

お祖父さんとの交渉は、オレたちに任して下さいというか、うちの家族の中でも一番そういうことが上手い人たちが来てくれましたから

 オレはオレたちの乗るリムジンの前を走っている車を、見る  ミナホ姉さんとチェーミン幸田という人物に変装したキョーコさん  あの二人なら、確実に松下さんのお祖父さんを説得できる  どんな手を使っても、自分の思う通りに状況を持っていくヤバイ人たちだから

今、この段階でストップさせることは、もう無理ですすでに、もう色んな人たちが動いていますから

 ミナホ姉さんは松下さんのお祖父様と会う約束を取り付けるために、裏の世界の人脈を使っている  間に入ってもらった人は、1人や2人ではないだろう  これから行く駅前のホテルだってミナホ姉さんが所有しているホテルだけれど事前に連絡をして、すでに何人もの人がオレたちと松下さんのお祖父様の到着を待っているはずだ  会見の準備はできている

お金も相当掛かっているんですか

 松下真樹さんは、豪華すぎるリムジンの内装を見てそう言う

真樹さんが、想像なさっている通りです

 わざわざ派手なリムジンを用意したこと  香月家の令嬢である瑠璃子に、正装させたこと  オレにも、一番良いスーツを着るようにさせた  この3つは、ミナホ姉さんとキョーコさんの指示によるものだ  一代で大きなドラッグストア・チェーンを築き上げた松下老人を圧倒するためには徹底的に、こちらが上流階級に属している大金持ちだということをアピールしなくてはダメだということだろう  松下老人は松下真樹さんと美樹さんが音楽を学ぶための資金を出さないと言っている  真樹さんに、音楽科の高校を今すぐにでも辞めて普通の高校へ行けと命じている  美樹さんに、父親が遺してくれたヴァイオリンを売り払えと強要している  こういうジィさんに対抗するためには  オレたちが真樹さんと美樹さんの学費と生活費を保障すると言い切らないといけないし  それを可能にするだけの金と力を、オレたちが持っているということを、明確に示さないといけない  オレたちが、ドラッグストア・チェーンの会長よりも遙かにデカい存在であることを、最初っから全力で見せつけてやらないといけないんだ

でもわたしたち姉妹には、皆さんにしていただいたことに対してお返しできるものがありません

 そう言ってうつむく松下真樹さんの手を茉莉花が握りしめている  姉の言葉に、美樹さんも緊張する  五十嵐イズミは、困惑の表情のままだ

ですからこれは、確かにわたしたち姉妹がお願いしたことなんですけれどわたし怖くて

実際に物事が動き出してしまうと、怖くなるってことそういうのは判らないでもないけれど

 まり子が笑顔で、真樹さんに話し掛ける

そうですそういうことなんだと思います私も美樹も、まだプロの演奏家ではないですし演奏家のタマゴにもなっていませんただの学生ですお金の稼げる演奏家になれるかどうかは判りませんしそこまで到達するのにも、たくさんの費用が必要なことは判っています

 真樹さんのピアノは、音楽科高校ではトップクラスの成績を保っているらしい  美樹さんのヴァイオリンとの演奏も聞いた  オレは音楽は良く判らないけれどミナホ姉さんは、この姉妹の将来性を感じ取ったようだった  本当にプロの演奏家になれるかどうかは今の段階では判らない

そんなわたしたちなのに皆さんに、今、助けていただくことが本当に良いことなのか判らなくなってきました本当にこれで良いのか

美樹さんは、今のお姉さんの話を聞いてどう思う

 オレは再び妹の方にも質問してみる

わたしはまだ中学生ですから全て、真樹お姉さんに言う通りにします

 美樹さんは、潤んだ瞳でオレを見てそう言う

それなら、お姉さんがやっぱり止めると言ったらそのヴァイオリンのことも諦めるか

 美樹さんは、父のヴァイオリンのケースをギュッと抱き締める  諦めることはできないけれど自分で自分の人生の選択をすることはできないってことか

えっとつまり、あなたたちが悩んでいるのは公や瑠璃子さんに助けてもらっても、それだけのお返しをするものを持っていないからどうしたら良いか判らないから不安てこと

あるいは今回のお返しのために、一生、オレたちに頭を下げて生きていかなくちゃならなくなるとか考えているのかオレたちに弱みを握られて延々と奉仕させられるとか

 オレは姉妹の眼を覗き込みながら、聞いてみた

そういうことだってあるかもしれないわよ松下さん

 五十嵐イズミが、ぶるぶる震えながら真樹さんに言った

ああ、そういうことが、あるかもしれないしないかもしれないそれだって、あなたたち次第だ

 姉妹が、ビクっとしてオレを見る

松下さんは本当に、他人にしてもらったことは、同じだけお返ししないといけないものだと思っていますか

それはできる限り、そうしないといけないものだと思っています

 姉がオレに返答する

オレも昔は、そう思っていましたそう考えていた時期が、オレにもありましたでも、今はそうじゃないと思うんです

あなたたちは、オレたちの学園祭に来たからオレがパンを作って売ってることは、知っていますよね学園祭じゃない日も学生食堂で、パンを売っていることも聞いていますか

 松下姉妹たちとは、最初、学食で対面したしその時に、パンを食べさせた  オレたちが普段からパンを作って売っていることはお屋敷で家族の誰かが話しているはずだ  オレが戻って来るまでの間に松下姉妹たちは、かなりの時間お屋敷で待機していた  その時間、アニエスや他の家族が、一生懸命、松下さんたちと会話していたと聞いているからパンの話は絶対にしている

はい聞きましたそのことは

 真樹さんは何で今、その話をするんだろうという顔をしながらオレに答えた

オレは毎日、パンのビジネスをやっててそれで、いつも考えていたことがあるんですけれど

100円のパンは本当に100円の価値があるんでしょうか

 真樹さんも、美樹さんも、五十嵐イズミもオレの言葉の意味が判らないらしい  キョトンとした顔になる  緊張が少し緩む

いや、最初の頃はこう思っていたんです100円で売るパンは、それを買って下さるお客さんにとっても100円の価値がないといけないって100円の価値があるものを100円で売るのが、正しいことなんだってそういうのをえっと、何て言うんだっけ

等価交換ですわ、お兄様

 瑠璃子がすぐに教えてくれた

そうだ等価交換だそういうのが、ビジネスの正しい形なんだとパンを売り始めた頃のオレは、思い込んでいたんです

それが正しいんじゃないの

 五十嵐イズミが、思わず口を開く

いや、違ったそうじゃなかったんです

お客さんに、喜んでモノを買ってもらうためには100円のものを100円で売るじゃダメなんですお客さんにとっては100円以上の価値のあるものが、100円で買えた方が良いわけですから

 150円とか200円ぐらいの価値があるモノが100円だったら、嬉しい

100円のものを100円で買うのは、当たり前でつまらないしお得感が無いそういうビジネスは、成長していかないんですそういうことに、最近になって、ようやく気付きました

 夏休み開けに初めてパンを売った時から本当に色々と勉強させてもらっている

ていうかお客さんにとって100円の価値があるとか100円以上の価値があるっていうのも、実は感覚的なものでしかなくて実態は無いんですよ実際は100円以下の原価で作っているんですから儲けが出ないと商売になりませんから100円で売ってるものは、100円で作ってません

 いつの間にか、松下姉妹も五十嵐イズミもジッとオレの話を聞いている

それでお客さんがこれ本当に100円なのか150円ぐらいの価値があるぞと感じてくれるような商品が実は、他の100円のパンより原価が安く作れたりもするんです

価値は相対的なモノでしかないってこと

いや、もっといい加減なものだよお客さんが値打ち以上のものだと感じてくれさえすれば良いんだから本当は80円や70円のものでも良いんだ

お客さんの感覚を満足させることが大切なのであって100円のものをバカ正直に100円で売ることに意味は無いんだよ

 お客さんが良いものを買うことができたと満足してくれるようにする  それが全てだ

なるほど公は、マルクス経済は間違ってるって言うのね

マルクス何

知らないんですかぁマルクス・アウレリウス・アントニヌスですよー五賢帝の1人で自省録を書いた哲人皇帝ですよー

 オレたちの話を聞いていた木下さんが、運転席から楽しそうに言った

後漢書に出て来る大秦国王・安敦は、そのマルクスのことだと言われてまーす

 言われているのか

とにかくオレたちが、松下さんたちのためにすることに対するお返しだって等価交換じやないってことですよ

オレたちが満足すれば、お返しは何でも良いってことです掛かったお金とか労力とかそういうもののことを、気に病む必要はありません

 むしろ

それよりオレが、ハッキリさせておきたいのは

 そう駅前ホテルに着く前に、明確にしておきたいことがある

松下さんたちは本気で音楽が続けたいんですか音楽を続けるためなら、どんなことでも受け入れる覚悟がありますか

 お祖父さんと対決する前にそれだけは、はっきりさせておかないといけない

お返しをどうするなんて、後で考えれば良いんです今、あなたたちの眼の前に音楽を続けるチャンスがありますオレたちが、チャンスを用意しましたそのチャンスにあなたたちは、飛び付きますかそれとも、このチャンスはスルーしますか

 松下真樹さんと美樹さんがハッとした顔で、オレを見る

あなたたちが、飛び付かないのならオレたちは、助けることもできません何もしてあげられません勇気の無い人間には、何も与えることはできません

 自分から手を伸ばさない人間に与えてはいけない  そういう甘いことは、オレたちは絶対にしない

わたしはヴァイオリンを続けたいですどんなことになっても

 姉より先に妹の美樹さんが答えた

わ、わたしも今は、ピアノを止めたくないです

 真樹さんも妹に続いて、そう言う

済みませんでしたわたしたちから、お願いしたことなんですからどんなことでもしますから、助けて下さいって、わたしたちの方から言うべきだったんですね

いえそれも違います

この姉妹は絶対に家族にしなければならない

 しかも、姉の真樹さんのことを茉莉花は愛しているようだから  オレのセックス奴隷としてではなく茉莉花の恋人として受け入れないといけない

もっと貪欲になって下さいプロの音楽家を目指すなら

 オレは姉妹に言う

自分の夢のためには、何でもどんなことでもやってだけど、幸せにならなくちゃいけないんですよオレたちに負い目を感じて苦しむ必要は無いんですどうやったら、苦しい思いをしないで自分も周りの人も、幸せになれるかを考えてそういう考えで、前に進んでいかなきゃいけないんです

 助けてやったから生涯、オレの奴隷になれとか  そういうことは、真樹さんには命じてはいけない

もっと自由で、したたかで、貪欲ならないといけないと思いますプロの演奏家にはなるんなら

 この姉妹の抱えている暗さは払い取らないといけない

そうねプロの音楽家ならもう少し自分勝手な方が良いかもねそれでももちろん、守るべきラインはあるし多少ワガママでも、周りの人を幸せにできるだけの力がないといけないけれど

 まり子が笑って、松下姉妹にそう言った

どっちにしても今は、あたしたちに全部委ねる覚悟だけすれば良いんじゃない後のことは、後で考えることにして

 黒い森に入った頃に、マルゴさんに言われた  とりあえず、眼の前にあるものを食ってみろ後のことは、後で考えれば良い

何も考えずに、飛び付くことは大切ですよ後で後悔することになっても飛び付かなきゃ、何も始まらないんですからオレは、そう思います

 オレは眼の前の話に飛び付いて、雪乃をレイプした  そのことを悩んだことはある  でも、今は後悔していない  あの時、飛び付かなかったら今のオレはない

そうですね覚悟します今は音楽を続けることだけを考えます

わたしもお姉さんと同じです

 姉妹はそう言ってくれた

お祖父様には縁を切られてしまうと思いますが

でも仕方ないです

それも違うよ

 ずっと黙っていたルナが姉妹に言う

兄さんが言ってた貪欲になれって言葉はもっと深いんですお姉さんたちの心の中に音楽を続けたいという願いだけでなく、お祖父さんと和解したいという願いもあるのなら

 ルナには姉妹の心が、読める

その両方の願いを叶えるようとして下さい望んでいるものは、全部手に入れようと努力してみるべきなんです

 オレはさっきの食堂での月子を思い出す  月子は松下姉妹のことを家族内の些細な問題だと言っていた  オレは松下老人の意志を月子の巫女の力でねじ曲げて、姉妹が自由に音楽を続けられるようにしようと考えていたけれど  月子は、自分が行かなくてもルナで充分な案件だと言っていた

お姉さんたちは、お祖父さんの意志に背いて音楽を続けることになったらお祖父さんとは、もう一生決別しなくてはいけないって思っているみたいですけれど

でも、本当にそうなんでしょうか音楽を続けて、お祖父さんと仲良くするっていうのが一番じゃないですかお姉さんたちは、心の中でそう願ってはいませんか

無理です、そんなこと

 姉妹は、そう言うが

無理じゃないわお願いしたら、公くんが何とかしてくれるから

 茉莉花が松下姉妹に優しく告げる

お願いすればいいの助けて下さいって

選挙終わりましたが区議会議員てホントに立候補した人の3分の2が通るんですねえ

うちの区だと2400票採れたら当選するようです

駅前で5年ぐらいずっと演説してた人がいてその間、区議選も都議選も何回も全部立候補して落選してた人が居るんですが

この度、ようやく当選なさったそうです

それは良いんですが

選挙終わったばかりなのに、今日の夕方も駅前で演説してました

いつもはビニールジャンパーなのに今日はビシッとスーツ姿で

当選して嬉しいから当選なさったんですよね、おめでとうございますと言われたくて

浮き浮きした気分で今日も演説しに来ちゃったんだろうなあ

そういう浮かれた気分をその人から感じました

1423.次のミッション/怖さを呑みこむ

 いや、松下姉妹が音楽の勉強の継続と祖父との和解の両方を望むのならそうなるように、オレは全力で動く  たった今、姉妹に貪欲になれと言ったのはオレだ

茉莉花の言う通りですお二人が、それを望むのなら、オレはそうなるようにしますどんな手を使っても

でしたら、お願いします

 妹の美樹さんがすぐに、そう答えた

わたしはヴァイオリンを続けたいですお祖父様とも、仲良くなりたいです

美樹お姉さんもそうでしょ

 姉を見る

はいそうですわたしもピアノを止めたくないですし、お祖父様との関係を断ち切りたくないです親族ですから

 親族  オレには、判らない感情だ  オレは両親から捨てられた  父も母も、今、オレがどうやって暮らしているかを一度も尋ねて来ない  オレ自身も、両親のことはもう忘れている  今のオレにとっては、血の繋がりなんて何の意味も無い  オレの家族は血の繋がらない黒森家だ

判りましたでは、そうします

 オレは、そう答えて考える  この後駅前ホテルで、松下さんのお祖父様に会う前に  松下姉妹の希望〈オーダー〉をミナホ姉さんとキョーコさんに相談しないといけない  多分どういう風に松下老人と対決するか、作戦を考えているだろうし  オレはオレたちの乗る大型リムジンの前を走るベンツを見る  ミナホ姉さんとキョーコさんはあの車に乗っている

木下さん前の車と連絡が取りたいんだけれど

 オレは、運転席の木下さんに言う  今は黒い森の作戦中だから普段使っている携帯を使うべきではない  香月セキュリティサービスは、車列を作って走っている時に連絡し合うために専用の通信システムを使っている  それで前の車のミナホ姉さんと連絡を取って  一度車を停めて、オレがあっちの車に移って  この後、どうやって松下老人と交渉するのか車内で話し合う  駅前ホテルに着くまでの時間が、残りわずかだからそうするしかないな

全部、聞いていたわ公

 リムジン内にミナホ姉さんの声が流れる

あたしも聞いてたよククク

 キョーコさんの声もスピーカーから聞こえて来る

心配しなくていいわわたしたちは最初から、松下さんたちの音楽の継続と家族関係の修正の両方を考えていたから

だってもったいないでしょ松下さんたちが、お祖父様との関係を完全に断ち切ってしまうのは松下さんのお祖父様は、成功した実業家なのよ

 松下老人は大きなドラッグストア・チェーンの創業者だ

わたし自身は松下さんたちに投資しても良いと思っているわお姉さんも妹さんも傑出した音楽の才能があると感じたからレッスンのための費用や生活費を出してあげても構わないと思っているけれど

お金持ちのお祖父さんが居るんならとりあえずは、お祖父さんに費用を出してもらった方が良いと思うね

縁もゆかりもない赤の他人よりまずは、血縁者が支払うべきだそれで足りなきゃ、足りない分をミナホが払うあるいは、香月家の財団から奨学金とことにしても良いでもジィさんが先だそうしないと、ジィさんのメンツが潰れる家族として孫娘たちに、会わせる顔がなくなる

家族の問題ってのは、面倒臭いものなんだよ特に、そこそこ貯め込んでいる成金は、色々とね

香月家みたいな突き抜けた名家は別よ香月様は、香月家の資産をご自分だけのものだとは思っていらっしゃらないもの

はいお祖父様は、いつも、香月家の財産は先祖から預かり、子孫へ伝えていくものだとおっしゃっていますわ

 香月家は、室町時代から続く家だという  資産の量も、家の品格もとんでもなく突き抜けた名家だ

でも、松下さんのお祖父様はご自分の資産を、全てご自分が一人で稼いで貯めたものだと思っていらっしゃるわ

だから面倒なんだよ

 ミナホ姉さんとキョーコさんの声がそう言う

とにかく今夜のことは、あたしとミナホに任せなちゃんと、お嬢ちゃんたちの望む方向に落とし込んでやるからさ

 それなら良いんだけれど  キョーコさんとミナホ姉さんのペアが、しくじるとは思えない

うん任せます心配ないですよ大丈夫です

 オレは松下姉妹に、そう言う

ええ、大丈夫大丈夫だから

 茉莉花が、松下真樹さんにニコッと微笑む

今の松下さんたちの様子をよく覚えておきなさい

 松下姉妹  オレの視界にある松下さんたちはまだ安心できないらしく、困惑した表情のままだ

それが、わたしたちと接触した普通の人たちの反応よ

 普通の反応

普通の人たちが、いきなり、わたしたちの世界を見たらすぐには何も理解できないわただただ、びっくりして怖くなる

 そうだ松下真樹さんは、さっき怖いと言っていた

わたしたちが、普通ではない世界に生きていることだけは何となく理解できるけれどその普通じゃない世界が、きちんと成立しているから怖くなるのよ

 今日の午後最初に学食で会った時には  オレはただの男子高校生だった学園祭で、パンを売っているだけの  それからトリイ電子の社長の娘のまり子とか  ちょっと怖いアメリカ人のマルゴさんとか  レイちゃんとか  段々、普通じゃない人が現れて  そのまま、オレたちのお屋敷に連れて行って

いきなり、美少女しかいない家に連れて行かれたのは驚いただろしかも、可愛すぎるアニエスが、その子たちの相手をしていたし

 キョーコさんの言う通りアニエスは、茉莉花が松下姉妹を家族にしたがっていると知って、一生懸命、姉妹に話し掛けていたと聞いた  オレたちには、もうアニエスの美しさは当たり前のことだけど  松下姉妹にとっては何で、金髪ハーフの超美少女が、親しげに話し掛けて来るのか理解できない

そんでクリトの一件だあんたが、クリトのお尻をひん剥いて叩いたのは、あたしはモニターで見て大爆笑したけれど普通の子はドン引きだろう

 クリトが松下美樹さんのヴァイオリンを勝手に持ち出そうとして  アンネ・ロゼたちがクリトを殺そうと、ドリル槍を持ちだしたところからすでに普通じゃない  もちろん、オレがクリトの生尻を叩いたのも普通じゃないんだろうけれど

でも、普通じゃないことがあの屋敷の中では、問題なく成立している誰も、あんたがクリトの尻を赤く腫れ上がるまで叩いたことを責めないしむしろ、アレであの場は上手く治まったそういう状況を見ているから普通の子は、怖く感じる

 普通じゃないことが普通に受け入れられているから、おかしいとも言えない  自分の知っている常識と違う世界が成立していることに、恐怖を覚える

で最後が、そのリムジンに、香月セキュリティサービスの護衛車あんたと瑠璃子ちゃんは、高そうな服に着替えている瑠璃子ちゃんが、香月家のご令嬢だっていうのも嘘じゃないと感じるあんたたちが、それを当然のこととして話していてその話が、成立しているから嘘なら、どこかが破綻しているはずだけれどあんたたちの言動には、何一つ迷いが無いきちんと成立しているだから、怖い

 キョーコさんは、そう分析してくれた  改めて松下姉妹を見る  確かに怖がっている  オレたちみたいな存在が、成立していることが怖いんだ

怖くないです

 茉莉花が真樹さんに言う

どんなものも、どんなことも、どんな人もそういうものなんだって判ったら、怖くなくなるの

わたしは自分のことも、妹のことも、公くんたちのことも突然、驚くことがいっぱいあったんだけど全部そういうものなんだって呑みこんだら受け入れられたよ

 茉莉花はお屋敷に居た娼婦の娘だ  引退した後の娼婦を茉莉花の父親は孕ませた  エリカという妹がいたことを知ったのもほんの少し前だ  茉莉花は自分の出生の秘密も、妹の存在も突然、知らされた  そして、その夜のうちに妹と同時に、オレの女になった

大事なのは、眼の前で起きていることをそのまま呑みこむこと怖がっているだけじゃ、前に進めないから

 真樹さんの手を握ったまま茉莉花は言う  真樹さんが、茉莉花の眼を見る

もう茉莉花でいいわわたしも、今からは真樹って呼ぶから

 優しく微笑む茉莉花

ドキドキしてるわたしも、ドキドキしてるわドキドキしている自分を受け入れてるドキドキしている真樹のことも、受け入れてるこれは吊り橋効果とかじゃないわ真樹にはあたしが付いてるあたしには、公くんが付いてる大丈夫、何も心配はないわ

大丈夫すべて上手くいくから公くんや、わたしのお姉さんたちが、全部解決してくれるから

 真樹さんは

高畑さんを茉莉花を信じる茉莉花が信じている人たちを信じるわわたし

 今度は、真樹さんの方から茉莉花の手を握りしめた

ね怖くない怖くないわ真樹

はーい、まもなくご到着でーす

 前を見ると目的地の駅前ホテルが見えた

公、最後に言っておくけれど

 ミナホ姉さんからの通信が続く

松下さんのお祖父様も松下さんたちと同じだから

わたしたちとは違う普通の人なのよ常識や考え方、センスが

 オレたちとは違う世界の人間

今夜は普通の人と、どう向き合うべきなのかそれを学びなさい

あたしとミナホの特別講義さ

 キョーコさんの声は、楽しそうだった

それじゃあレッスン・スタートだよ

 オレたちの車列は駅前ホテルの地下駐車場へ下りて行く  先頭が香月セキュリティサービスの護衛車  2台目が、ミナホ姉さんとキョーコさんたちの乗るベンツ  3台目が、オレたちのリムジン  その後ろに、さらに護衛車が2台続いている  車列は地下2階で停まった  このフロアには、ほとんど車が停まっていない

ああもう、いらしてるみたいですね

 木下さんの言う方を見ると駐車場に1台の外国車が停まっていた  オレたちの車から、7メートルぐらい離れている

お祖父様の車です

 松下美樹さんが呟く

BMWの1シリーズですね

 木下さんがそう言った

どういう車

BMWの中で一番安い車です

 つまり大手ドラッグストア・チェーンの社長だから外車ぐらい乗らなきゃいけないと思っているけれど  高価過ぎる乗用車を買う気はないという人か

あ、御名穂さんが降りますね

 見ると前のベンツのドアが開いて、ミナホ姉さんが出て来る

あちらも出て来ますね

 安いBMWの後部座席からも人が降りた  70ぐらいの長身の黒眼鏡でグレーのスーツを着た長身の老人髪は薄い

黒森御名穂です

 ミナホ姉さんが、老人に名乗った

松下ヒロキだ

 松下老人も名乗った

今夜はわざわざお出で下さいまして、ありがとうございます

 ミナホ姉さんは、そう言うが老人に頭は下げない

私に特別の話をしてくれるというから来てみたんだ

 ミナホ姉さんは、松下老人に製薬業界のヤバイ話を教えるという名目で、この場に呼び出している  ドラッグストア・チェーンの経営者なら、絶対に知りたがるような情報を教えると

しかしどういうことなんだあんたは、私に一人で来いと言っただから私はまあ、運転手に運転させて来たが、秘書も連れずに一人で来た

 松下老人のBMWには運転手が乗ったままだ

エンジンは掛けたままですね

 木下さんの言う通りBMWは、松下老人が飛び乗ったら、すぐに発進できる状態になっている  松下老人も、車のドアを開けたままにしている  ミナホ姉さんもドアを閉じていなかった  オレたちの車列は香月セキュリティサービスの護衛車も含めて、全てエンジンを止めていない  やはり、いつでも走り出せる態勢になっている

あらわたしは一人で行くなんて言っていませんわ

 そう言ってミナホ姉さんは、静かに車のドアを絞める  その瞬間ミナホ姉さんの乗って来たベンツ、オレたちのリムジン、香月セキュリティサービスの護衛車の全てが同時にエンジンを切った  地下駐車場が静かになる  松下老人の車のエンジンだけが、ドゥドゥドゥと音を立てている

わたしのことどういう風に聞いていらっしゃいます

 ミナホ姉さんが松下老人に問う

裏の世界の人間だと聞いているよお友達は、怖い人ばかりだとね

 松下老人は、そう答えた

そうでもないですわ確かに、わたしは裏の人間ですけれど、わたしの顧客は皆さん表の世界の方たちですから

だから、松下さんに特別な情報をお知らせすることもできます裏と表両方のルートからの

それは有り難いね有りがたいが、私はまだ、あんたを信用するわけにはいかない

 松下老人はオレたちのリムジンを指す

あんたは、誰を連れて来たんだそれは、あんたが話してくれるっていうことに関係する人なのかね

 ミナホ姉さんだけが、秘密の情報を売りに来ると思ったのに  豪華なリムジン車と護衛の車3台が一緒に来たんだから警戒はする

こちらの方は、また別のビジネスですわわたしにとっては

今お話した通りわたしは表の方たちとお取引きさせていただいておりますから

裏の人間ではないのだな

裏の人間は、こういう車には乗らないですわこういうのは表の方だけです

 わざわざ派手過ぎるリムジンを用意したのはこういう理由か  松下老人は、ミナホ姉さんが裏の人間だと知っているから  他の人間を連れて来たらその人たちも裏の世界の人間だと考えてしまう  だから、わざと高級すぎるリムジンみたいな車にして、松下老人の警戒心を下げることにしたんだ  確かに、暴力団やヤクザの親分が乗ってくるような車じゃない

とは言え表の人間が、こういう車に乗るのかね

 松下老人は言う

名家の方ですから

 ミナホ姉さんの言葉松下老人はと反応する

香月家の方をご案内致しました

 ミナホ姉さんが、そう言うとミナホ姉さんのベンツから、チェーミン幸田に変装したキョーコさんと  運転席からは翔姉ちゃん  翔姉ちゃんが、運転してたんだ  二人が車から、降りてくる

香月セキュリティサービスの関です一度、ご挨拶をさせていただいことがございますが覚えていらっしゃいますか、松下様

香月世界文化交流センターの幸田と申します

 二人が、品良く挨拶する

香月いや、確かにあんたは

 翔姉ちゃんはジッちゃんの専任警護人だったし  日本どころか、世界中の政財界の人たちとコンタクトして来ている  パーティや会合なんかに来る人の顔と名前と役職は全て暗記しているから  どこかの機会に、松下老人と会っていてもおかしくはない

しかし、まさかこんなところに香月氏が来られるわけが

 翔姉ちゃんの登場に松下老人は、リムジンに乗っているのがジッちゃんだと勘違いしたようだ

はいそうではございません閣下ではございません

閣下では、ございませんが香月家の方でございますそして、もちろんこちらのお方が、今夜、松下様にお会いするということを閣下はご存知でいらっしゃいます

 ジッちゃんの承認を受けていることを伝える  松下老人は、数秒オレたちのリムジンを見てから

おい、エンジンを切れ

 自分のBMWの運転手にそう命じる

香月家の方に失礼だ

 BMWもエンジンを止めた  地下駐車場の中がシンと静まり返る

ドラッグストア・チェーンの創業者なので名前はマツシタ・ヒロキ

松下という名前は、昔の知り合いから取ったんですが

何でドラッグストア・チェーンの社長にしたんだろ

2年以上前のことだから覚えていません

死んだ母の会社は帰って来ない貸付金を消すために清算しないといけないのですが

それでもわずかですが収入のある事業もあるので、代わりに新会社を作らないといけなくなりました

母の会社は30年以上前に設立したから株式会社ですけれど

今度のはお手軽に合同会社で

そんで、今日、会社の実印を作りにハンコ屋さんへ行きました

会社の印鑑がないと会社が作れないんですよね法務局に登記できない

そんで法務局に会社と会社の実印を登記してようやく銀行に会社の口座が作れる

何かまだまだ新しいことを経験しなくちゃいけないんだなと、日々、困惑してます

1424.次のミッション/普通の感覚

・黒森御名穂/28歳黒森家当主犯罪組織黒い森のリーダー家族の長姉公あるいは良信

・キョーコ・メッサー/年齢不詳国際的犯罪者異常なまでに強い同性愛者黒森家の父親役現在チェーミン幸田に変装中

・松下ヒロキ/76歳松下姉妹の祖父大手ドラッグストア・チェーンの創業者社長

 大型リムジンの中から祖父の姿を見て、松下真樹さんと美樹さんの姉妹は震えていた  その顔には明らかに怖れの影が見えた  オレはそのことに、疑問を持つ  何で、こんなに自分の祖父を怖がっているんだ  さっき松下姉妹は祖父と和解したいと望んでいた  親族の情を感じている相手に対して、こんなにも怖がるなんてことがあるんだろうか

兄さんは、判らなくなってしまっているんです

 ルナがオレの心を読んで、そう言う

兄さんだって昔は、自分のお父さんやお母さんが怖かったでしょ

 オレの両親  オレの本当の両親  オレを捨てたオレも捨てたオレの父と母

子供の頃のことを思い出して、兄さん

 ルナの言葉にオレは  子供の頃いや、まだほんの半年前だ  オレは両親が怖かった  一方的にオレを支配してオレを台所の狭い空間に押し込んで

何一つ会話することさえなかった母

そんな母に文句一つ言わず母がオレに酷い生活をさせていることを見逃し続けた父

 子供の頃のオレはあの両親が怖かった  そういう感覚は覚えている

なぜ怖かったか兄さんは、覚えているよね

理屈が通じないからだ

 オレは言葉を絞り出す

あの人たちが、何を考えているのか全然判らなかったからだオレをどうしたくて、どういうつもりで苦しめているのか理由が判らないから、怖かったんだ

 台所のソファで寝起きさせ、私物は段ボール1つ分だけ食事は最低限のものだけ広い家だったのに、台所以外の部屋は全て母の部屋でオレは立ち入ることが許されない  なぜ、母が自分にそんなことをさせるのかなぜ、父がそんな母を許しているのか  そして何より両親が、オレをどうしたいのかどうするつもりなのか、全然判らないから怖かった  そして、最終的に両親はオレを捨てて、あの家から出て行ったまま帰らなかった

松下さんたちも、同じなんだよ

お祖父さんが何を考えているのか、理解できないからだから、怖いんだよ

 真樹さんも美樹さんも、音楽の才能があってお父さんが亡くなった後も、音楽を続けたがっている  それなのに松下老人は、孫娘たちに音楽の勉強を止めさせようとしている  普通の学校に転校しろとか、亡くなったお父さんのヴァイオリンを売れとか高圧的にムチャなことを言っている  確か、姉妹とも将来は薬剤師になって自分が経営しているドラッグストアで働けみたいなことまで言われていたはずだ  松下姉妹からすればそういう祖父の考えが理解できない判らない

親族だから、何とか仲良くしたいという気持ちとは別に判らないものは、単純に怖いんだよ

 ルナが姉妹を見て、そう言う  それも普通の人の普通の感覚か  さっきミナホ姉さんは今夜は普通の人への接し方を学べと言っていた  オレはこの半年間で感覚が普通じゃなくなっているんだ  黒い森や香月家と関わる生活をしてきたことでニブくなっている

黒瀬さん

 オレは専任警護役にしたばかりの黒瀬安寿を見る

あなたの眼で見て、どういう状況なのか解析してみてくれ

 この子の感覚は鋭い周囲の状況を、ちゃんと見通す力のある子だ  今のオレより正しく情報分析ができると思う

松下老人は今、どういう風に考えていると思う

まだ半信半疑だと思いますわたくしたちが、本当に香月家の人間かどうかを疑っています

 数メートル向こうにいる松下老人の表情からそう読み取る

もし、本当に香月家の人間が来ているのならビジネス・チャンスとして最大限に活かさなくてはいけないと考えていると思います

根拠は

松下氏のような経歴のビジネスマンはせっかくのチャンスを見逃すことを嫌うと思うんです何もせずに機会を失うのは負けだと感じてしまう傾向が強いと思います

 1代で大きなドラッグストア・チェーンを築き上げたような人ならビジネスに対しては、常に前向きか  何でも物事を勝ち負けで考える

香月家と繋がりを持つことができれば、どんなビジネスを新しく展開できるかそういうことまで、もう頭の中で考え始めてると思います

 名家を束ねる家柄の香月家なら、香月グループの企業だけでなく他の名家とも親しくなることができるかもしれない  前向きな人間は、どんどん可能性を想像してしまう

今はとりあえずオレたちに、興味を示しているってことだな

はい、それは間違いないと思います

 黒瀬安寿は、そう言い切った

お兄様、そろそろわたくしの出番ですわ

全員、整列ッ

 外では翔姉ちゃんが、号令を掛けた  同時にオレたちに付いてきた香月セキュリティサービスの護衛車3台から  黒服の警護人たちが、一斉に降りてくる  10人を越す黒服たちは、オレたちのリムジンを護るように整列した  松下老人が、強い視線でこちらを見ている  このリムジンの窓は、全てマジックミラーになつているから  松下老人には、リムジンの中の様子は見えていないようだ  翔姉ちゃんが、コツコツと足音を立てて乗って来たベンツの前から、オレたちのリムジンにゆっくりと歩いて来る  瑠璃子の座る席の前に着くと

瑠璃子様、松下ヒロキ様でございます

 窓ガラス越しに、瑠璃子に頭を下げてそう告げた  ヴゥオーン  瑠璃子はリムジンの窓ガラスを下ろす  優雅に、翔姉ちゃんに礼を言うと改めて、松下老人を見て

香月瑠璃子でございます

 松下老人には、会釈もしない  ただ自分の名を名乗る

どういうことですかな

 松下老人はリムジンの中に居た香月家の人間が、中学生の少女だったことに困惑していた  明らかかに、当てが外れたという顔をしている  瑠璃子が相手では、ビジネスにはならないと感じたからだろう

わたくしはお祖父様の名代で、こちらに参りました

 瑠璃子は香月家の当主であるジッちゃんの名を出す

名代いや、だがしかし

 松下老人は迷っている  中学生の瑠璃子では相手にならないと感じているがそれでも  豪華なリムジンにジッちゃんの専任警護人である翔姉ちゃんと10人を越す黒服たち香月家の団体の職員を名乗る老女性に扮しているキョーコさんも居る  明らかに普通の状況ではないことも肌で感じている

本日瑠璃子お嬢様は、松下様のお孫様たちのことに関して、お話しなさりたいそうでございます

 今度はツカツカとキョーコさんが変装したチェーミン幸田が、瑠璃子の窓のすぐ横に進み出た  翔姉ちゃんと、二人で瑠璃子の左右に立つ

孫娘真樹と美樹のことですか

 松下老人は驚く

はい、お二人ともこちらのリムジンに乗っておられます

何故ですどうして、わたしの孫娘が香月家に

 代わりに、チェーミン幸田が

お孫様のお姉様の松下真樹様は、音楽専門の高校に通っていらっしゃいますねああいう学校には良家のお嬢様たちが多く通われております

 いつものキョーコさんとは全く違う落ち着いた老女の声で、ゆっくりと説明していく

学内のお友達が、真樹様のことをトリイ電子の鳥居様のお嬢様にご相談なさり鳥居様から、香月家の方にお話がございました

トリイ電子

 香月家に続いて、世界的な電気機器メーカーの名前が出たことで松下老人は強く反応する

トリイ電子の社長様の奥方は名家、狩野家のご出身であらせられますから香月家ともご縁が深いのです

 チェーミン幸田が、そう説明する

鳥居様のお嬢様もこちらの車にお乗りになっておられます

わたくしの出番ね

 まり子は小声でオレにそう言うと自分の席の窓ガラスを開く

鳥居まり子でございます

 松下老人に、恭しく挨拶した  まり子も会釈はしないただ名乗っただけだ

そ、それで真樹と美樹は本当にその車に乗っているのですか

 松下老人は、そう言うが

これ以上のお話はここではできませんこちらのホテルの中に、お部屋を用意してありますので、そちらへ移動致します

 チェーミン幸田が低い声で告げる

香月瑠璃子様のご希望でございますから

香月家の令嬢がこんな駐車場で密談するわけがない

話をするには、それに相応しい場所が必要となる

ご理解いただけませんか

 チェーミン幸田の黒縁眼鏡の底から、キョーコさんが松下老人にプレッシャーを掛ける

判った場所を変えよう

瑠璃子様鳥居様お降り下さい

 翔姉ちゃんが、リムジンのドアを開ける  同時に、香月セキュリティサービスの黒服たちがガード態勢を形成する  優雅に瑠璃子とまり子が、車から降りる

皆様もどうぞ

 翔姉ちゃんに促されてオレたちも

大丈夫ですオレたちが付いてますから

 オレは松下姉妹に声を掛けた

心配ありません

 ルナも、姉妹に声を掛ける  オレと黒瀬安寿に続いてルナと茉莉花が、松下姉妹と五十嵐イズミを庇うようにリムジンから降りた  ミナホ姉さんのベンツから、美智も降りて来てオレたちに合流する

真樹美樹

 松下老人は、孫娘の姿を確認して思わず声を上げる

おい、お前たちどうして

 孫娘に近寄ろうと歩み寄るが

はいはいダメですよー

 リムジンの運転席から降りて来た木下さんかせ、爆砕フレイルで松下老人の接近を遮る

おい私はあの子たちの祖父だぞそこをどけっ

 松下老人が、木下さんを怒鳴りつけるが

わたくしは、香月家の警護人ですーっ

 木下さんは、ガンとして動かない  その間に、松下姉妹と瑠璃子やオレたちの周りを香月セキュリティサービスの黒服たちが完全にガードしてしまった  これでは、もう松下老人は孫娘に近付けない

斉藤くんと戸草くんここを頼むわ後の人は、このままお部屋まで瑠璃子お嬢様たちのガードよ

 翔姉ちゃんが、黒服への指示という形で接触不可を宣言してしまう

松下様運転手の方は、このままこちらで待機していただきますよろしいですね

 翔姉ちゃんもプロの警護人だ  強い態度で松下老人が文句を言う余地を与えない

判った、従おう

 松下老人は不承不承、受け入れる

ではお部屋に移動します

 ガチャリ、ガチャリ、ガチャリ  長柄の先に、金属の重い分銅が鎖で付いているフレイルという打撃武器  木下さんの必殺武器はこういう時に、実に威圧感がある  黒服たちにガードされているオレたちと松下老人の間に  フレイルを鳴らしながら、木下さんが歩いているので  松下老人は、こちらには近付けない  さらに松下老人が逃げ出さないように翔姉ちゃんとチェーミン幸田が、側に付いているしミナホ姉さんもいる  エレベーターもオレたちと、松下老人と分かれて乗った  そのまま23階まで上がる

あなたたちは、ここで待機石川くん、よろしく

 ガードの黒服たちは部屋の前まで  途中でホテルの従業員から受け取ったカードキーで翔姉ちゃんは、部屋のドアを開ける

松下様どうぞ、お入り下さい

 先に松下老人を部屋に入れてからオレたちも、中に入る  20畳ぐらいの洋室  普段は貸し会議室とか、小規模のパーティーに使っている部屋みたいだ  机がコの字型に並べてあるが

松下様はそちらにお座り下さい

 松下老人側の机には椅子が1つしかなかった  残りの椅子は、全て反対側の机に並べられている  これなら充分な距離を取って松下老人と孫娘が話すことができる

瑠璃子様と鳥居様は、こちらのお席に松下様ご姉妹は、こちらへお座り下さい

 翔姉ちゃんが、座る椅子を指示していく  松下姉妹の隣に茉莉花と五十嵐イズミルナ、そしてオレ  警護役として美智が瑠璃子の横に立つ  オレの横には、黒瀬安寿と木下さんがやっぱり椅子に座らずに立つ  翔姉ちゃんとチェーミン幸田とミナホ姉さんは、オレたちの前に立っていて松下老人がと孫娘の間に入る  ここでもガード態勢は完璧だ

今の状況を見て、少し冷静になったようです

 松下老人の様子を見て黒瀬安寿がオレの耳に囁く

今の状況

 老人1人VS多人数のオレたち  状況は、圧倒的にオレたちが優位だと思うけれど

あの人にはボクたちは、女子供の集団にしか見えないんですよ

 今度はルナがオレに囁く  香月セキュリティサービスの黒服の男たちを廊下の外に残して来たから  松下老人が一人で対面させられているのは女子供とオレだけだ  大人でも見た目が老女のチェーミン幸田(キョーコさん)と  ミナホ姉さんと翔姉ちゃんと木下さんは20代の女性  オレとまり子と茉莉花が高1  瑠璃子と美智は中3  ルナに至っては小6だ  これなら何とか優位に立って、自分のペースで話が進められるのではないかと  向こう側から、こちらを見て松下老人は、そういう風に感じたのか

もう、いいかね

 松下老人が、口を開く

なかなか執筆時間が安定しません

困ったものです

1425.次のミッション/怖さの源

 ミナホ姉さんが所有している駅前ホテルの一室  松下老人は、自分の孫娘を庇うように座っているオレたちの方をジロリに睨み

だいたいどういうことになっているのかは、想像がつく

 吐き捨てる様に言う

あなたたちが私の孫を思って、色々と画策してくれたとのだろうが

 松下姉妹16歳の真樹さんと14歳の美樹さんが、音楽の勉強を続けることに、祖父の松下老人は反対している  だから、真樹さんが通っている音楽科の高校の同級生のツテで、香月家の瑠璃子に接触して  何とか音楽を続けられるように、松下老人を説得する場を設けたのだと想像しているようだ  翔姉ちゃんとキョーコさんが変奏しているチェーミン幸田が、そういう風にしか、松下老人に情報を見せていないのだから

だがこれは、やり過ぎだこういう、大人を脅かす様なやり方は、私は好きではないね

 松下老人は女と子供しかいない部屋の中で、何とか優位に立場を取ろうと、言葉を選びながら喋り続ける

私はもちろん、日本の代表的な名家である香月家の力は、よく知っているしその力に屈するつもりはないが、香月家に対してはそれなりの尊敬はしているだが子供が家の力を使って、こういうイタズラみたいなことをさせているというのは非常に良くないと思うね不愉快だ

 松下姉妹は、額に汗を浮かべて震えている  茉莉花が真樹さんの手を、ルナが美樹さんの肩に触れて姉妹の折れそうな心を支えていた

孫娘の将来に関することは、私たち家族の問題だ香月家だろうが、何だろうが、勝手に口出しして良いことではない君たちがしていることは、実にバカげたことだ下らん実に下らん

 松下老人は、荒ぶってみせるが震え上がるのは、孫娘たちだけだ  オレたちはこれぐららいの緊張感には、もう慣れきっている

と、とにかく私は孫娘を連れて帰らせてもらうもちろん構わないだろうねそこにいるのは、私の孫なんだから

 松下老人も、オレたちが動じないことに違和感を感じている  だが、眼の前の光景女と子供たちしかいない集団には、自分のような大人の男が負けるわけがないという常識が  松下老人の判断を狂わせている

真樹、美樹帰るぞさあ

 松下老人は馬鹿みたいな大きな声で、孫娘に呼び掛けた  ビクッと震え上がる真樹さんと美樹さん

ぷっくくくくっ、くくくくくっ

 ミナホ姉さんが意地悪そうに笑い出す

何がおかしいのかね

 松下老人は、カッとなってミナホ姉さんを睨み付けるが

失礼でも、仕方ありませんわあんまりにも滑稽な状況ですから

松下様は、もう少し聡明な方だと想像していましたが残念です

わ、私は裏の世界の女に馬鹿にされるような覚えはないぞ

馬鹿にされたくないのでしたらしばらく、黙っていらっしゃるべきですわね

 松下老人の怒りをミナホ姉さんの暗い気が圧倒する

香月家は、松下様がお考えになっている様な甘い存在ではありませんからもっともっと想像以上に、怖くて厳しいものですわ

 松下老人は黙る  荒ぶってみせても、怒鳴りつけてみても自分の孫娘以外は、反応しない状況が、さすがに変だと気付いたのだろう

ではこれより、香月瑠璃子様にご報告させていただきます

 香月セキュリティサービスの現場責任者の翔姉ちゃんが口を開く

幸田さん、どうぞ

はい、ここからの報告は香月世界文化交流センターの幸田がさせていただきます

 60代の品の良い老女にしか見えないチェーミン幸田が、恭しく瑠璃子に対して頭を下げる  翔姉ちゃんもチェーミン幸田も松下老人を完全に無視している

これから行う報告は全て、瑠璃子に行うものだと態度で示している

お願い致しますわ幸田さん

 瑠璃子も優雅に幸田に応えた

はい瑠璃子様よりご依頼のありました件につきまして香月世界文化交流センターで調査を致しました

 普段のキョーコさんからは想像できない落ち着いた老女の声でチェーミン幸田は、報告を続ける

まず松下真樹様について、これまでお出になられた演奏会やコンクールの映像を全て確認致しましたまた、今通われていらっしゃる学校の先生方からも、お話を伺って参りましたその結果、審査委員会の結論と致しましてはAプラスの評価で香月世界文化交流センターの特別奨学生1級に相応しい逸材であると認定させていただきました

 ハッと顔を上げる松下真樹さん  松下老人も、驚いている

特別奨学生1級というのは、どのようなものなのですか

 瑠璃子の問いに

はい特別奨学生1級ですと、学費・生活費の全てが香月世界文化交流センターより与えられます期限は、とりあえず音楽大学を卒業するまでとなっていますが海外の音楽学校に留学なさる場合は、さらに延長することもできますもちろん、留学先の斡旋や個人レッスンをして下さる海外の著名な音楽家の紹介なども、全て香月世界文化交流センターが責任を持って行います小学期間終了後もプロの音楽家として活躍するためのステップ・アップやマネージメントも、松下真樹様が望まれるのなら、わたくしたちがサポートさせていただきます

 つまり香月家が、松下真樹さんの将来を保証するということだ

続いて松下美樹様の審査でございますが、お姉様と同じように演奏会やコンクールなどの資料は全て確認させていただきました現在、松下美樹様のレッスンを担当なさっておられる先生からもお話を伺っております

 キョーコさんはチェーミン幸田として、余裕たっぷりに話続ける

審査委員会と致しましては確かにヴァイオリニストとして、とても高度な才能をお持ちで、将来を期待できるという評価をさせていただきましたが、松下美樹様はまだお若くコンクールなどでの実績が特別奨学生の内規に達しておりませんですので、松下美樹様に関しましては香月世界文化交流センターの次世代の英才育成制度の特別推薦奨学生が相応しいのではないかという結論になりました

それはどういうものですか

はい特別推薦奨学生に関しましては、香月世界文化交流センターが指定する育成プログラムを受けていただくことを条件に、全ての学費が与えられますまた特別推薦奨学生が寄宿制の音楽学校に進まれる場合は、寮費や食費なども全て負担致します

 つまり美樹さんが将来、お姉さんと同じ音楽科高校の寮に入った場合は、学費も生活費も、香月家が負担する  それまでは、姉の真樹さんほどサポートが厚くないが美樹さんが音楽の勉強を続けていけるだけの費用は確実に手に入る

もちろん、今後の実績によっては特別推薦奨学生から普通の特別奨学生にサポートの内容が切り替わります

 チェーミン幸田の言葉に瑠璃子は

幸田さん、ありがとうございます

 礼を言うと松下姉妹に

香月世界文化交流センターは、その様にして下さるそうですわそれでお二人とも、よろしいですか

 松下姉妹は、驚きすぎて声も出ない

とても良いお話だと思いますわ真樹さん、美樹さんお受けになられた方が良いわ

 まり子が姉妹に微笑む

心配ないから松下さん

 茉莉花も隣に座る真樹さんに笑顔で、そう言った

ちょっちょっと待ちたまえ

 向こう側のテーブルから松下老人が口を挟む

なぜ、そういうことになる祖父である私を通さずに、勝手にそんな話を進めてもらっては困る

だいたい音楽みたいな遊びは、人様から金を恵んでもらってまで続けるようなことじゃない

 祖父の剣幕に再び、松下姉妹は震え上がる

だいたいそんな都合の良い奨学金制度が、存在するわけがない奨学金というものは、だいたい応募の時期が決まってるハズだ

そういう奨学金も有りますが香月世界文化交流センターの特別奨学生は随時受け付けていますそういう特例を用意しておかないと本当に才能の有る人材に適切なサポートをすることができませんので

 チェーミン幸田は、すぐに松下老人に言い返す

それがおかしいと言っているんだ私の孫娘たちがそんな特別な支援がもらえるような才能を持っているわけがない

なぜ、そう言い切ることができるのですか松下様はお孫様たちの音楽的な才能を審判なさることができるぐらい、音楽のことを理解なさっておられるのですか

 言葉で追い詰めていくチェーミン幸田

それは私が、そんなに音楽に詳しいわけがないだろう

 瑠璃子がスッと、松下老人を見る

わたくしも、奨学生の選定ができるほど音楽に詳しくはございませんですから、香月世界文化交流センターの専門家の皆様にご判断していただきました

専門家の方たちの審査で真樹さんも美樹さんも、香月世界文化交流センターの奨学生となるのに相応しい人材であると認められたのですわ

しかし私の孫だぞ私の血を引いている娘が、音楽の才能なんてあるわけがない

 松下老人の論拠は、もうメチャクチャだ

だいたい奨学金とか人の金をアテにするという行為自体を私は軽蔑するそんなものは自分で額に汗して働いたことのない人間の発想だ音楽なんて遊びだぞ、下らないお遊びだ名家のお嬢様に、こういう話をしてもムダだろうが

 まり子が冷たい眼で、松下老人に言った

これ以上、貴方とお話するのは時間のムダだと思いますわ

では松下真樹様、美樹様の奨学生認定につきましてはこのまま進めてしまってよろしいですね

 チェーミン幸田が、瑠璃子に言う

おい、待ち給え祖父の私を無視して、勝手なことをするなッ

 激しい怒声で、再び松下老人が叫ぶ

あら、どうしてです

 キョーコさん扮するチェーミン幸田が、ニヤリと笑った

どうしても何も私は、そこに居る娘たちの祖父なんだぞッ

 松下老人は、さらに声を荒げるが

はいはい、確かにお祖父様ではいらっしゃられるようですが

 チェーミン幸田は

しかし、松下真樹様、美樹様の親権者では、ございませんね

 シンケンシャ

お二人の親権は、お母様がお持ちです祖父の松下様はお持ちではありません

 チェーミン幸田は言う

わたくしは、真樹様、美樹様のお母様につい先ほど、特別奨学生の件で、ご連絡をさせていただいきました

 松下姉妹のお父さんは、病気で急逝している  だが、お母さんは体調を崩していると聞いたが、まだ生きている  その母親に電話した

それでお母様は

 松下姉妹が、幸田に尋ねる

お二人のお母様にはわたくしが、お電話する前に、すでに真樹様の学校や、美樹様がレッスンを受けていらっしゃる先生から香月世界文化交流センターの奨学制度についてお電話があったそうですわそれらの先生方には、審査の時にお二人に奨学制度が適用されるかもしれないということをお話してありましたのでですから、奨学生の存在は、すでにご存知でした

 事前に奨学制度の内容や、松下姉妹が審査対象になっているということを姉妹のお母さんは、他の人から聞いて知っていた

そして、お二人のお母様はわたくしに

松下真樹様と美樹様お二人が、今後も音楽の勉強を続けたいという強い意志をお持ちであるならお二人の意志を確認してその上で、ぜひとも奨学生制度を受けたいとおっしゃっておられましたよろしくお願いしますと

 チェーミン幸田はそう言う

母親としてお二人が夢に向かって、精一杯頑張って行かれるのなら、全力で応援したいとおっしゃっておられました

お母様ありがとう

 姉妹の眼に涙が溢れる

私は私は認めないぞ音楽は絶対に続けさせない

 松下老人は、断固としてそう言うが

残念ながら松下様には、関係の無いことですわ

 チェーミン幸田が、冷たく言う

関係ないわけがないだろう私は祖父だぞ

祖父だからといって松下様が、真樹様、美樹様の人生を決めることはできません

しかし、私は

そんなことはできないと、申し上げております

 見た目は老女でも、中身はキョーコさんだから内側から発する強い気に、松下老人は圧倒される

では、なぜ、君たちは私をここに呼んだんだ皆で、私を笑いものにするためか私から、孫娘を奪い獲るためか

 松下老人は、怒りの矛先をオレたちに向けた

これが名家のやることかね名家の人間というのは、こんな風に人を小馬鹿にするのかふざけるなっ

わたくしが、今日、ここに来たのは

 瑠璃子が静かに言う

お祖父様に、松下ヒロキという方が、どのような人物なのか自分の代わりに見極めてくるようにと命じられたからです

 瑠璃子は最初に、松下老人に告げている  自分はジッちゃんの名代であると

今のご様子ではお祖父様には、松下ヒロキという方には、狭量な人物であったと報告することしかできませんとても残念ですわ

 瑠璃子は穏やかに言う

そ、それはわ、私を脅しているつもりかね

 松下老人は、動揺している

瑠璃子様は貴方のそういうところが、心が狭くて、人間が小さいとおっしゃっているんです

 松下老人は、今度こそ口籠もる

でも、ここまで黙って聞いてきたけれどわたくしには、どうしても判らないわ公、松下様はどうしてこんなにも意固地に、真樹さんや美樹さんが音楽を続けることに反対しているのかしら

香月世界文化交流センターの専門家が、特別奨学生になるだけの才能があるって認めたのよ普通なら、真樹さんたちのお母様みたいにありがとうございますよろしくお願いしますってなるものでしょ真樹さんたちの才能が、高く評価してもらえたってことなんだから

 娘のことを高く評価してもらって嬉しく思わない親族はいない

それなのに何が何でも絶対反対音楽を続けるのは、絶対に許さないなんて、意味が判らないわ

判らないからだよ

 松下老人を見て答える

松下さんは音楽のことが、判らない自分では、真樹さんや美樹さんの音楽の才能が理解できないだから理解できないものは、認められない

 それで姉妹が音楽の道に進むことを、止めさせようとしている

それって勝手過ぎない自分が価値が判らないからって、真樹さんたちに人生を自由に選ばせないなんて

 まり子は、真っ直ぐな性格だから松下老人への怒りを隠さない

そういうことだけじゃないと思うよ

 キョーコさんがチェーミン幸田として、色々話してくれたから  オレは客観的な立場で、松下老人のことをジックリ観察することができた

怖いんだよ判らないから

松下さんも、本心では真樹さん、美樹さんと仲良くしたいんだよでも、音楽のことは自分は理解できないから、判らない自分が理解できないことをに、孫娘たちが人生を掛けることに抵抗を感じるし孫娘たちと共通の会話ができないことも怖いとにかく、怖いんだ

孫娘たちから音楽を奪い獲ったら自分の判る世界で、会話ができるそういうことだよ

確か、松下さんは真樹さんに音楽科の高校を辞めて、普通の高校へ移って、将来は薬剤師になれとか、ドラッグストアのお店をやれとか言ってたろそれだってさ、そういうのが松下さんにとっては自分の得意分野だからさ孫娘と話すことがたくさんある教える立場で、上から色々話せるお互いに話をすることができる共通分野を持つことが出来るそういうことなんだと思うよ

 松下老人は真樹さんたちに音楽を止めさせ

何それ心が狭過ぎるわよ器が小っちゃ過ぎだわ

 まり子が呆れた眼で、松下老人を見る

富野監督のアニメ作品だと小悪党とか心の狭い男とかセコイ男とか

そういうオジサンキャラがたくさん出て来るのですが

ガンダム00ぐらいになると、作っている人たちはお父さんたちは毎日、頑張っているんだよという意識があるから

見た目の悪いオジサンキャラも、みんな必死で頑張ってる人に描かれていて

世代によって、描き方が違うんでしょうが私はセコイ人も好きです

鉄血のオッサンは、カッコ付けだけで血の通ってない中身の無い人物ばかりでしたが

1426.次のミッション/音に解ける

き、君たちこそそうやって、私を責めて楽しいのかね

 松下老人は、オレたちを睨む

何の苦労も知らない子供のくせに私は、たった一人で小さな薬屋を始めて、それを今では、全国に1500店舗にまで増やしたんだぞ

 そういう話をこの場でされてもと思うが  こういう話しかできないんだろうなこの人は

そこまで到達するには君たちなんかでは、絶対に想像ができないような苦労をしてきたんだ人に裏切られたことも、ダマされたことも何度もある倒産するかもしれないという様な危機も、何度も経験しただが、私はたった一人で全ての苦難を乗り越えてきたんだ

 必死に松下老人は語っているがオレたちは、冷ややかな眼で見ている

私がやっているのは実業だ現実と戦って、現実の中で血と汗を流して自分の存在を確立していく実のある仕事だ音楽なんていう虚業とは違う

何がおっしゃいたいのか、よく判りませんわ

 キョーコさんが変奏しているチェーミン幸田が、せせら笑う

そりゃ判らないだろう君たちみたいに名家という巨大な力に縋って生きているような人間には私は松下ヒロキだ私は私一人の力で私自身の力だけで大地に立って生きている君たちとは、違う

 松下老人は喚き散らす

君たちに私の人生が私の苦労が、判ってたまるかッ

そんなの判らないですし判りたくもありません

誰だって、人の人生を全部理解するなんてことはできませんから松下さんだって、オレや瑠璃子の人生は判らないでしょうし

当たり前だ金持ちの息子や娘の人生なんて私の知ったことではない

でも、オレたちは対話する相手について理解しようとする努力はしますよどんな相手に対しても

香月セキュリティサービスのことだから松下さんについても、詳細な調査をしてあるんだよね

もちろん調査しています

まずは、松下さんが薬屋を始めるまでのことを教えて

 翔姉ちゃんはタブレット端末を取り出して、調査報告書を読み上げる  本当は全て暗記しているんだろうけれど松下さんみたいな人の前では、きちんと読み上げているという形で報告するのが、香月セキュリティサービスの流儀だ

松下ヒロキ様本名、松下ヒロキチ大分県生まれ中学卒業後、集団就職で上京大手製薬会社の薬品工場で働きながら、夜間高校を卒業勤めていた製薬会社より奨学金を得て、アサノ大学の薬学部に進学

あなたも奨学金を貰ってたんじゃない

 まり子が、突っ込む

大学卒業後奨学金を受けていた製薬会社に入社するが、社内での人間関係が上手く行かず4年で退職故郷の親戚の援助を受けて、1975年にくすりのマツシタヒロキの1号店を開業

 翔姉ちゃんは松下老人の過去を読み上げていく

その続きも聞きたいな

はい1977年にお見合いで結婚した後奥様の実家の援助で、1981年に2号店を開業その後、都市型ドラッグストアとしてチェーン店を増やし、バブル好景気に乗り、1988年までに国内に300店舗にまで拡大1998年に500店舗に到達し、東京証券取引所1部上場現在まで1500店舗にまで事業を拡大現在に至る以上です

奨学金に、親戚の援助奥さんの実家からも助けられてますしお店をどんどん拡大していった時期だって、きっと色んな人に助けてもらってますよね

 松下老人がさっき語ったように自分1人だけの力で、ドラッグストア・チェーンを大きくしたのではない  どんな時だって、誰かから助けてもらっているばすだ  口籠もる松下老人

それも調査報告には書かれています松下様の交友関係や、どういう方たちに支援されてこられたかも全て

 松下老人の会社は大きいから普段から、香月セキュリティサービスの調査対象に入っているんだろう

松下様と裏の方たちとのお付き合いはわたしが知っているわ

 ミナホ姉さんがそう言って笑う  松下老人は、ミナホ姉さんに釣り出されて、ここへ来たのだから

仲介者を通じての情報は、ミナホ姉さんが握っている

松下さんも、人に助けられてこられたんですそれなら、松下真樹さんや美樹さんが、香月世界文化交流センターの奨学生になって援助を受けることが、どうして悪いことだと言えるんですか

違う私が若い頃に受けた奨学金と香月家の奨学金は

何も違わないですどちらも、若くて夢と才能がある人を援助するものです松下さんだって夜間高校での成績が良くて、もっと勉強したいという気持ちが認められたから、奨学金を貰うことができたんでしょうお店を開店する時も松下さんの夢に、親戚の人が助けてあげたいと思ってくれたから、お金を貸してくれたんじゃないですか

 人は絶対に1人では生きていない  どんな時でも、誰かに助けられている

真樹さんと美樹さんも同じです香月世界文化交流センターの審査の人に、音楽の才能を認められたから奨学生になることができるんです松下さんのと、同じですよ

いや違う

 松下老人は

音楽なんて勉強したって必ず成功するものでは、ないだろう人生をかけて長い時間を音楽に費やして、それでも音楽で食っていくことができない可能性はあるだろうそういう芸術家くずれは幾らでもいる失敗するかもしれなようないい加減な世界に、私は自分の孫娘を送り込みたくはない

 祖父の言葉に松下姉妹は、またビクッと震える

だから音楽を止めて、松下さんたちに薬屋の仕事をしろって言うんですか

 まり子がムッとして言う

ああ、薬屋なら日銭が入る確実に食っていくことはできる

へえ薬屋さんて、そんなにチョロイ商売なんですか

 煽るまり子

チョロイだとどんな商売だって、チョロイはずがないだろ君は、額に汗して働くということを馬鹿にしているのか

 松下老人は、激怒するが

薬屋さんだって、経営していくのは大変なんですよね必ず成功する仕事なんて、ありませんよねだったら松下さんたちが、音楽科を目指すのと変わらないじゃないですか

会社経営に失敗した経営者くずれだって、世の中にはいっぱいいると思いますし

小娘が、聞いたようなことを言うなッ

あなたのドラッグストア・チェーンだって失敗して倒産することだってありえるんですよ判ってます

私が失敗するわけがないだろう私は40年以上、薬屋をやって来たんだぞ

これから先は判らないでしょ少なくてもわたくしは、あなたの会社には絶対に投資しないわ

 まり子は歌晏桃子姉ちゃんの影響で、日頃から株の売買をしている

君のような小娘に投資など、私の会社は必要としていない

 松下老人は、怒りに任せて、まり子を怒鳴りつけるが

あなた、自分の会社を株式市場に上場してるんでしょ馬鹿なこと言わないで

 まり子は、少しも動じないで反撃する

企業の創業者は多分、あなたぐらいバイタリティがあって、何でも独善的に自分の意志を通していかないと、小さな会社を大きく発展させることなんてできないんでしょうけれど会社のトップがそんな狭量な性格の人じゃ、これから先の発展は無いわよ

私が間違っているというのか私は70過ぎだぞ1代で会社を育てた経営者だぞ君のような娘に何が判る

過去のことは、過去のことでしょわたくしが言っているのは、これから先の未来のことよ

 これからのこと

わたくしのお祖父様が、以前おっしゃっていたわ創業者が一代で成長させた企業は、その創業者が高齢になってもトップで居続けることで危うくなるって特にカリスマ創業者がトップダウンで何でも1人で決めているような会社は、老害かした経営者が判断を間違うと一気に崩壊することもあるそうよあなたみたいに、70歳過ぎなのに、自分の感覚が時代にそぐわなくなってることに気付いていない創業者社長が一番危険だってそう、おっしゃっていたわ

馬鹿にするなっ小娘がっ

だって、あなた人の意見に耳を傾ける気が全然無いじゃない偉そうに喚いてるだけで、今自分がどんな立場にいるのかも理解していないこんな失礼な人間は、経営者として失格だと思うわ

失礼なのは君の方だ君は私を誰だと思っているんだッ

あなたこそわたくしを誰だと思っているのわたくしは、鳥居まり子最初にご挨拶したはずよつまり、あなたは今、トリイ電子にケンカを売っているの判ってるの

香月グループとも敵対なさってますよ

 まり子の言葉に翔姉ちゃんが、付け加える

香月瑠璃子様のいらっしゃる席で醜態を晒されているわけですから

 ハッとなる、松下老人  まり子は、世界的電気機器メーカーのトリイ電子の社長令嬢瑠璃子は、名家を束ねる大名家、香月家本家の娘  瑠璃子は無言のまま、冷ややかに、松下老人を見つめていた

瑠璃子様はあなたのこの醜態を、香月閣下にご報告なさるでしょうしわたくしも、もちろん父に話しますわたくしが親しくさせていただいている様々な企業の方たちにも、お話しします

そ、それで私を脅しているつもりなのかね

 松下老人は、それでも虚勢を張るが

わたくしは、事実を申し上げるだけですわあなたの態度や言葉でわたくしや瑠璃子様に不快な思いをしていることは事実ですし

 静まり返る室内  松下姉妹は、動揺して震えているそろそろ限界だな

まり子ストップだ

 オレはまり子を止める

よくやってくれたまり子のお陰で、松下さんのことが大体判った

松下さんがそういう人の意見を聞かないで、何でも自分のやりたいようにしたがる人だから松下さんの息子さんは、家を出て独立するしかなかったんだな

 オレは松下姉妹を見る  真樹さんと美樹さんの父親は祖父とは別に、自分で小さな貿易会社をやっていたと聞いた  そして病気でつい最近、亡くなったという

息子さんとも、何年も何十年もきちんと話し合いをしたことは無かったんでしょう

 父親の下で、ドラッグストア・チェーンを継ぐことを息子さんは望まなかった  松下老人に人生を支配されることを拒んだんだろう

だったら、何だと言うんだ

 松下老人は、オレを睨み付ける

ということは孫娘の真樹さんや美樹さんとも、きちんと話をしたことはないんでしょ真樹さんたちから、直接、将来の夢のことを話してもらったこともないしそれどころか

真樹さんや美樹さんの音楽の演奏も聞いたことがないんじゃないですか

 松下姉妹が顔を上げて、オレを見る

一度も無いがだから、どうだと言うんだ必要がないことだから、聞かなかっただけだ孫娘の演奏会に行く時間があるんなら、私はその時間をビジネスに費やす私は、そうやって今の地位を築いてきたんだ

じゃあ、聞いてみましょうミナホ姉さん

 オレはミナホ姉さんを見ると

ええもう、用意してあるわよここはホテルですから

 ホテルならピアノぐらいある

では、皆さんお隣の部屋にどうぞ

 松下老人は、拒否しようとしたが

あら戦わずして、負けるつもり

ここで真樹さん、美樹さんの演奏を聴かなければあなたの負けよ人間としても、経営者としてもね

経営は関係ないだろう

経営者ならばこれ以上、わたくしや瑠璃子様を不快にさせるべきではないと思いますけれど

 まり子の言葉に、瑠璃子が

わたくしと一緒にお孫様たちの演奏を聴いていただけませんか

短い時間で済むことですから

すぐに終わるのなら我慢しよう

 そうしてオレたちは、翔姉ちゃんに先導されて  隣の部屋へ移動する  隣の部屋も、ホテルの宴会用の部屋だったが今まで居た部屋よりも、ずっと広い大規模のパーティ用の部屋だった  そして、その部屋には  大きなグランドピアノが2台並べて置いてあった

茉莉花あなたも、松下さんたちと一緒に演奏なさい

 ミナホ姉さんが茉莉花に命じる  茉莉花は驚き真樹さんを見るが

真樹さんたちだけじゃ、緊張して上手く弾けないかもしれない茉莉花、助けてやれ

 オレもそう命じる  真樹さんと美樹さんの姉妹にとって松下老人は、怖い存在だ  ひたすら自分たちを圧迫してくるだけの理解できない人  だけど、自分たちの祖父であるのだから心の底では、理解されたいとも願っている  祖父の前で演奏するこのチャンスを緊張のし過ぎで台無しにしてはいけない

お祖父さんの前で、演奏するのはこれが最初で最後になるかもしれないんですから、後悔がないようにね

 ミナホ姉さんにそう言われても松下姉妹は、まだ迷っているようだった  表情から不安が消えない

はい、真樹さん、美樹さんボクと手を繋いで下さい

 ルナが姉妹の手を握る

ボクの眼を見てゆっくり呼吸しますすーぅ、はぁー、すーぅ、はぁー

 巫女の力で真樹さんと美樹さんは、深呼吸する度に心を洗われていくルナが姉妹を、リラックスさせていく

はいもう大丈夫ですいつも通りに演奏できますよ

 茉莉花も覚悟を決めて

パッヘルベルのカノンにしましょうか

 松下姉妹にそう提案した  松下姉妹も腹を括ったようだ  美樹さんがヴァイオリンケースを開く

松下様こちらにお座り下さい

 老女に変装したキョーコさんが、松下老人に椅子を勧めた  姉妹の演奏を聴く松下老人の方も少しは、リラックスした方が良い  松下老人は促された椅子に座った  松下真樹さんが祖父に言う  それから、茉莉花と妹を見て  2人も眼で、真樹さんに合図した  演奏が、始まる  昼間のオレの学校の音楽室の時も感じたけれど  本当に才能の有る音楽家の演奏は音が違う  ピアノやヴァイオリンから発せられる音は透明で、純粋で  音そのものが美しい  とても高校生と中学生の演奏には思えない  音に厚みがある清廉な鮮やかさを感じる  これは香月世界文化交流センターの奨学生になるのに相応しい演奏だ誰もが、そう納得できる演奏だと思う  真樹さんと美樹さんの姉妹の演奏は、もちろんぴったり合っていたけれど  茉莉花と真樹さんも完全に溶け合っている  昼間の音楽室の時の演奏よりもさらに良い  2人の間の信頼や愛が、感じられてくる演奏だった  5分を超えた3人の演奏は終わった  しばらくは、誰も口を開かなかった  音楽の余韻に浸っていた

いかがでしたか、松下様

 キョーコさんがチェーミン幸田として、松下老人に言う

香月世界文化交流センターは、松下真樹様、美樹様を奨学生として受け入れますこれからの彼女たちを全力でサポート致しますそれはもう、決定事項です松下様が、どの様なご意見をお持ちだとしてもわたくしたちは、必ず、お二人を世界で活躍する演奏家に育てますわ

 松下老人の眼には涙が、浮いていた  小さな声で言う

私は何もしてやれないのでしょうか孫たちのために

こんなに素晴らしい演奏をするとは思っていませんでした私の孫がこんな音楽を奏でるなんて信じられない

 実際に演奏を聴いたことで松下老人の心が変わった

私が間違っていましたこの子たちには音楽を続けさせるべきですあなたの言う通りです

 見た目が老女のチェーミン幸田だから松下老人は、素直にそう言う

ですが私は私にはもう、この子たちにしてあげられることは何も無いのですか私は

そろそろ和解させなければいけない頃なのに

まり子が煽るので困りました

創業者がカリスマで、世代交代に失敗してダメになった企業はたくさんあるのですが

よく言われるように2代目がダメだったのでなく創業者の晩年期にすでに衰退がスタートしていることが多いと思います

大学の時に1年生の時にキレッキレでスゴイ人だなと思っていた60代の教授が

ほんの数年でガタガタとダメになって

4年生の時には、当時の1年生に馬鹿にされているのを見たことがあります

どんなにスゴかった人でも老いるし、感覚も判断力も鈍っていく

そういうことはあるんだと思っています

世間はゴールデンウィークの様ですが、私は認知症の父を一人で看ているのでいつも通りです

昨年、母が亡くなってからは、急に歩けなくなったので外出には車椅子が必要となってしまっています気楽に外にも連れ出せません

ま仕方ないですね

1427.次のミッション/和解と別れ

 初めて孫娘たちの演奏を聴いた松下老人は  感動して泣いていた  さっきまでの、高飛車で不機嫌な表情は完全に消えていた

先ほど、お放ししました通り松下真樹様と美樹様は、香月世界文化交流センターの奨学生となられます

 チェーミン幸田という老女に扮しているキョーコさんが言う

わたくしたちは、お孫様たちを完璧にサポート致しますわたくしたち香月世界文化交流センターでしたら、現在考えられる限り最高の音楽教師による最高のレッスンを提供することもできます

 キョーコさんの言葉を松下老人は、静かに聞いている

それ以上に香月家の庇護を受けているという事実が、お孫様たちの将来を光り輝くものにするでしょう

 香月家に認められた音楽奨学生になることで普通の音楽を志す人よりも、優位な条件を得られることもある

もちろん金銭的な面についても、わたくしたちはサポート致しますこのことは先ほどもお伝えしましたね

 香月世界文化交流センターの奨学生になれば  学費だけでなく、生活費も与えられるとチェーミン幸田は言っていた

では私は

 うなだれる松下老人

しかし本当に世界に通用する音楽家に大成するためには費用は、幾らでも必要になります奨学金で足りない金額はご親族にご負担していただくこともあるでしょう

その様な時には、随時、ご相談させていただきますしばらくは、お孫様たちのお小遣いなどをお祖父様が差し上げてはいかがですか奨学金では、そこまでは賄えませんので

 ニコッと微笑むチェーミン幸田

判りましたそうしましょうまた、金が必要な時には、いつでも私に言って下さい必要な学費は、幾らでも出します

 松下老人が、そう言うと  茉莉花が松下真樹さんの背中を押す

頑張ってお話しして

 茉莉花の優しい微笑みに真樹さんは

お祖父様にお願いがございます

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