美樹さんは答える

サクラギくんを一目見たら、それだけで判っちゃったでしょっ美樹さんは、サクラギくんのことを愛してないってことがさっ

そしてサクラギもミキのことを愛してはいなかったノネ

そーですよねー愛してたら美樹さんの下着の画像を、仲間に見せびらかしたりしないですよねー

 木下さんも、会話に加わる

美樹さんはっサクラギくんが、自分の画像を友達に見せてたことを知ってどう思ったっ

 再び寧が尋ねる

大っ嫌いって思いましたどうして、あたしこんな人と付き合うことになっちゃったんだろうって恥ずかしくて、情けなくて、頭にきて

じゃあヨッちゃんが、サクラギくんのスマホを粉々にしちゃったのを見てどう思ったっ

それは正直、やり過ぎだと思ったしスマホを壊している時の様子が、本当に怖かったんですけれど

 やっぱりオレは怖い顔をしていたのか

でもっ嬉しい気持ちもあったでしょっヨッちゃんが、美樹さんのために怒ってくれてあんなことまでしてくれたことはっ

それははいそうだと思います

 美樹さんはうつむいたまま答えた

じゃあ、これで美樹さんの心の中のサクラギくんは消えたよねっもう、彼に対して何の負い目も無いよねっ美樹さんはサクラギくんに恋してなかったしサクラギくんも美樹さんに恋してなかった恋愛関係が成立してないんだから、交際もしてなかったんだよっだからサクラギくんとの関係は、これでオシマイっ!

 寧が美樹さんを抱きしめて、髪を撫でる

はいそれはそれは、そうなんですけれど

わたしサクラギくんに、もう、あなたとは交際できないから、別れるってきちんと連絡した方がいいですよね

 寧を見上げてそう言うが

ないないなーいっその必要はなーしっ!

 寧は、大きな声でそう言った

あんなやつには、そんなことさえする必要はないんだよっもう、これでキッチリ全部オシマイでいいのっ

だいたいさどうやって、サクラギくんに連絡するのっサクラギくん、もうスマホ持ってないんだよっ!

 オレが完全に粉砕してきたから  SIMカードもペコバコにブッ叩いてきたから他のスマホに差し替えることもできない

そうっすよねーっぎゃははははっ、おっかしー

 運転席で木下さんが爆笑する

あの子、ゼッタイに美樹さんのアドレスとかメモしてないと思いますよースマホがないと何もできないタイプだと思うんでもう、あっちから連絡はできませーんぎゃはははは

 オレもサクラギはそういう男だと思う

ですけどサクラギくんとは、これからも学校で会うことになりますしあっ!

 美樹さんが、大きな声を上げる

わたし今日、学校!!!

 美樹さんは後ろを振り向くが彼女の中学校はすでに、はるか彼方だ  今日は月曜日本来なら、美樹さんは授業に出なければいけない  なのに彼女はオレたちと一緒に、中学校から脱出してしまった

それも、もういいんだ美樹さんには、転校してもらうことになるから

高校からは茉莉花や真樹と同じ、音楽科高校へ行けばいいけれど中学の残り1年半は、違う学校に行ってもらう

オレたちの家族になるならオレたちには味方も多いけれど、敵もいるだから、警護しやすい学校に通ってもらわないと困る美樹さんのためだけに、さっきの中学に警護員を派遣するわけにはいかないからだ

マナちゃんたちと同じ中学校に転校してもらうんだよねっ

 寧がオレに聞く

いや、思い切ってみすずたちの学校でも良いんじゃないか美樹さんが、これからヴァイオリンを続けていくんなら

 1年半だけでも、名家のお嬢様たちが通う超お嬢様校に在籍していた方が美樹さんにとって、プラスになるんじゃないかと思った

いいかもっでも、今から押し込むのは大変じゃないっ

 寧が言う通り超お嬢様校には、少し前にアニエスや鷹倉神社の巫女たちを押し込んだばかりだ  元々、名家とそれに準じる良家の娘とそのお付きしか入学できない学校だし

誰かのお付きってことにして、入学できないかみすずに、相談してみるよ

 それからまだ不安な表情のままの美樹さんを見て

納得できないなら、こういうことにするよオレが命令する美樹さんは二度とサクラギと会ってはいけないオレの強制命令だから美樹さんが、悩むことはないそうするしかないんだよ美樹さんは

そうそう、ヨッちゃんのご命令だからっサクラギくんのことは、忘れちゃっていいんだからねっ

 オレと寧の言葉に  美樹さんは了承する

そうするしかないんですよねだから、そうします

 突然イズミが、大きく溜め息を吐く

わたし真樹お姉さまがおっしゃっていたこと、やっと分りましたニャン

昨夜、真樹お姉さまが公くんさんまことを、こうおっしゃってましたニャンこんなに面倒見の良い人はいないって

 そう言えばそんなことを真樹が言っていたような気がする

もういいです判りましたわたしも、脱帽ですニャン公くんさんには、敵いませんニャン

 イズミは言う

もう好きにして下さいあきらめましたニャンわたし

 そして、もう一度溜息を吐いた

だってさヨッちゃん

 イーディも、笑っていた

わたくしたちも、そろそろあきらめて、ボスの好きにしていただきましょうねっ、安寿ちゃん

 運転席から楽しそうにバンの最後尾で後方警戒している黒瀬安寿に言った

往生際が悪いのはダメですよー往生せいやー

 黒瀬安寿も一昨日から、雰囲気に流されるようにオレの警護役になっているが  彼女もまだ心の奥底では、納得していない  そろそろ黒瀬安寿のことも、決着を付けてやらないと  しかし、今は美樹さんの方が先だ

とりあえず転校の手続きとかは、オレたちの方で上手くやるから学校に残っている美樹さんの私物なんかも、回収させる美樹さんは、もうあの学校には行かなくていい

 つまりサクラギとは、もう会わなくていい

親しい女の子の友達なんかと判れるのはつらいだろうけれど納得してくれそういう子たちは、いずれ美樹さんのヴァイオリンの演奏会に招待できるようにするから

 オレの言葉を聞いてイズミが呟く

ホント面倒見が良すぎるですニャン!

美樹の朝のエピソード終わり

ワンクッション置いて、次は芸能界編の予定

終戦記念日

盆休みだけれど猛暑過ぎてどこにも行けない

日が暮れて気温が下がったら、晩御飯の買い物に行きます

1466.アンパン2つ

 イズミの言葉にオレは

違うよそういうことじゃない

 イズミや美樹さんが、オレを見る

それだってオレが、そうしたいから勝手にやっていることでしかないオレが自分のやっていることに納得したいって、だけのことでイズミが思っているようなことじゃないんだ

 オレはただの高校生なのに  黒い森とか、香月セキュリティサービスとか、巫女の力とか  普通の高校生では持つことができない力を、預けられている  そうオレは力を預かっているだけで  それらは、オレ自身の力ではない  だから、オレは力を自由気ままに使うことは許されないし  何をどう、どこまで制限するかは、自分で決めなくてはいけない

オレは、オレ自身がちゃんとしたいだけだよオレ自身も、オレの家族たちにとって相応しい人間になりたいと思っているだからどんなことでも、どれだけ手間が掛かっても、自分の目で見届けたいし、自分がきちんと責任を負いたいだけなんだ

 だから人任せにせずオレ自身が、常に最前線の現場に赴かないといけない

それはオレ自身の勝手な思いであって面倒見が良いとかじゃないんだ

 オレの言葉にバンの車内は、静かになる  沈黙を破ったのは

Darling、お腹空いてないノカ

 イーディだった

アイのパン、食べナイカ

 そうだった出かける時に、愛が試作品のパンをくれたっけ  美樹さんの中学校潜入のことで頭がいっぱいだったからまだ食べていなかった

そういえば、オレ、朝飯食ってなかったんだよな

 オレの朝食として用意されていたサンドイッチは全て雪乃に喰われた

一つ問題が片付いたからオレは、自分が空腹なことに気付いた

みんなで食おうか木下さん、どこか停められるところへ車を停めて下さい

かしこまりーっ

 木下さんは、川沿いの道から土手に上がって業務用バンを停車させた

さっ、食べよっ、食べよヨッちゃんはどれがいい

 寧が愛が渡してくれた紙袋を開ける  色んな菓子パンが、入っていた

えーと1人2個だな

 オレはパンを数えて、車内の人数で割る

えー、いいよっあたしたちは、朝ゴハン食べてきているからヨッちゃんが、3つでも4つでも食べてよっ

いや、愛はみんなで食べてって言ってたんだから1人2個だよ

 オレは運転席を見て

木下さんどれが良いですか先に選んで下さい

 こういう時は、やはり年齢順だろう  木下さんは見掛けは女子高生に見えるぐらい若いけれど実際は、大人だし

そーですねーそんじゃあ、そっちのパイと手前のクリームパンをいただきまーす

わたくしはこれとこれを

あたしはヨッちゃんの後でいいよっ

いいから先に選んでよ

じゃあこれとこれにするっ

アタシは、コレとコレネ

 年齢順で行くとイズミが高1で、美樹さんが中3、黒瀬安寿はスイスで中学を卒業しているけれど美樹さんと同い年

美樹さん、選んで下さい

 まだ、オレの女でない美樹さんを先にする

じゃあ、これとこれにします

安寿選べ

 律儀に車外の監視を続けていた黒瀬安寿がパンのところへ来る

ではこれとこれにします

 そして残ったパンはアンパン2つとパイが一つとチョコクロワッサンが一つ

イズミ選べよ

えー、わたしはペットですから余り物でいいですニャン

いいから残り4つなんだから、好きなの2つ選べよ

そうですかーそれでは、これとこれをいただきますニャン

 イズミはパイとチョコクロワッサンを選んだ  というわけでオレの食うパンは、アンパン2つに決定

イズミちゃんそれはないでしょうっ!

アンタはアホなのカ

 寧とイーディが、イズミを叱る

こういう場合普通は、アンパン2つ残さないですよね

 美樹さんも呆れた顔で、イズミを見る

ぎゃはははっイズミちゃん、おっかしー

 木下さんは、大爆笑していた

いやあのわたし、アンコ苦手なんですニャン

 イズミは小さくなって、そう言う

もういいよっヨッちゃん、あたしのパンと交換しよっ

 寧がアンパンを一つ引き取ってくれた

お茶を配りますわ

 その間に月子が、パンと一緒に渡された水筒のお茶を紙コップに注いで、みんなに配ってくれた

じゃあ、食おう

 満面の笑顔の木下さんの声でオレたちは、車内でパンを食う

しっかし美味いっすねこれ

愛ちゃん、ホント、パン作りがどんどん上手になっているからっ

才能あるヨアイは

 木下さん、寧、イーディが言う

昨日もいただきましたけれど高校生の作るパンじゃないですね

わたしも、そう思いますニャン

 美樹さんとイズミは昨日の学園祭でも、オレたちのパンを食べている

パンもですけれど黒森のお屋敷は、ご飯が美味しくて幸せですっねっ、安寿ちゃんもそう思いますよねー

 木下さんが、黒瀬安寿に言う

やっぱりね働き先は、ご飯が良いところが一番ですっ

 明るく笑う木下さんと暗い顔の黒瀬安寿

どうかしたのか

 オレは黒瀬安寿に尋ねてみた

いえ、あの何と言うかわたし、気が付いたら黒森様のところの警護役になっていますけれど本当にこれでいいのかなと

 黒瀬安寿は一昨日、オレが石上瑞希から奪い取った

いいんだよっあたしたち、みんな、安寿ちゃんのこと気に入ってるし

アンジュは、鍛えれば良い警護役になる素質を持っているネ

 寧とイーディはもうすぐ、マルゴさんとアメリカに行く  それまでに黒瀬安寿をオレの警護役として、育てたいと思っている

そーですよっ、安寿ちゃんはマジメだし、カワイイし警護役としては最高の人材ですよねー、ボス

 木下さんが、オレを見る  オレは黒瀬安寿は、別のことを心配しているのだと感じていた

昨夜、みすずから聞いたんだけれど石上家とは、近いうちに会うことになっているから

 黒瀬安寿は石上家との契約がそのままになっていることを気にしているのではないか  この子は真面目過ぎる性格だから  石上家の名前を出した瞬間に、黒瀬安寿はハッとオレを見た

その時に石上家には、ちゃんと話をする問題ないようにするから心配するな

はいよろしくお願いいたします

何にしても、これは名家同士の話になるからお前が悩む必要はないんだ

 石上家の息子と娘が悪い輩に騙されて、香月家の関係者であるオレに迷惑を掛けた

だから、罰として石上憲王と瑞希は、肉体的に屈辱を味わってもらったし

 黒瀬安寿は奪い取った  この後、どういう形で手打ちをするかは石上家と香月家の問題であって、黒瀬安寿が気にすることではない  黒瀬安寿は、何か不安を感じているように見えた

っていうかお前は、オレたちのところに居るのは不満なのか

いえわたしの様な者が、香月様の様な名家に関わりのあるお方にお仕えすることは、光栄だと感じています香月セキュリティサービスに入れていただけるということも

 黒瀬安寿も代々、名家の警護役をしてきた家の生まれだ  でも、親の代で仕える主家を失ってしまって  それで、たまたま専任の警護役のいなかった石上家の瑞希に仕えることになった  だが、黒瀬安寿は石上家ではあまり良い扱いをされていないように感じた  彼女の能力や才能がもったいないと思ったから、オレは黒瀬安寿を手に入れることにしたわけで  香月家は、名家のトップだから石上家に仕えるよりも警護役としての格がずっと上だし  黒瀬安寿にとっても、悪い話ではないはずだ

ですよねーご飯は美味しいし、任務は面白いし、お給料は良いしこんな良いとこはありませんよねー

 その木下さんの言葉で  オレは、我に返った  あああああ黒瀬安寿と、給料の話をしていない!!!  オレはイーディや、ミタマたちには給料なんて支払ってないから

お前の給料だけどお前が必要な分だけ出すから

 黒瀬安寿が条件の厳しい石上家の警護役を務めていたのは  彼女が金を稼がなくてはいけない何かしらの理由があったからだとオレは直感で理解した  だから幾ら払うというのでなく、黒瀬杏樹が必要としている金額を払ってやらないといけない

母と弟が2人いるんです

 黒瀬安寿は、小さな声で言った

判った生活費と学費だなもし希望があるんなら、お母さんの仕事や住居も世話する

 黒瀬安寿の家庭環境の調査をさせていない  この数日忙しくて、そこまで頭が回らなかった

アレー、ボス関さんから聞いていないんですかー

 木下さんが、キョトンとした顔でオレを見る

安寿ちゃんのその辺のことはもう全部、関さんが手配してますよっああ、関さんも一昨日、昨日と忙しかったから報告がまだなのかもしれませんねー

 いや翔姉ちゃんは  オレから、黒瀬安寿のことを尋ねてくるのを待っているんだ  全てを先に、問題ないように手配してくれていてその上で  香月セキュリティサービスのオーナーは、オレなんだから  オレはすぐに携帯を取り出して翔姉ちゃんにコールする  翔姉ちゃんは、1コール目で電話に出た

黒瀬安寿の給料と家族のことなんだけれど

判りましたわたくしの方で全て手配して、報告致します

 電話の向こうから優しい声が聞こえた

翔姉ちゃん愛してるよ

わたくしもよ昨夜は、素敵だったわ

 オレは昨夜、翔姉ちゃんとセックスした

オレも最高だったよ

ええ後はわたくしに任せて

では今日も、スケジュールが詰まっているけれど、頑張ってね

ありがとう翔姉ちゃんも、気を付けて

はいでは、失礼します

またね翔姉ちゃん

 電話は切れた

ねっ安寿ちゃんのことは、関さんが全部やってくれてますよねー

 木下さんが、笑う

だーかーらー、安寿ちゃんは心配しなくてもいいんですよー

 そうだ黒瀬安寿が不安になることはない  翔姉ちゃんの仕事は、常に完璧なのだから

心配なら、後で家族に連絡していいぞお屋敷に戻った後なら

 オレは黒瀬安寿にそう言った

関さんから、具体的な話を聞いてからにした方がいいよっ家族と話すのはっ

それに家族には、あたしたちのこととか話しちゃダメだからねっ多分安寿ちゃんの家族の電話は、もう石上家の人に盗聴されてると思うんだよねっ

 寧の言う通りだと思う

オレは石上家が、素直に非を認めてオレたちに謝って来るとは思わない手打ちの日までに、オレたちを攻撃するための材料を探そうと試みるはずだそのために、石上家はお前やお前の家族を利用しようとしてくると思う

 だから、おそらく  翔姉ちゃんは、黒瀬安寿の家族を保護するはずだ  石上家から、守るために

でも、心配するな石上家がどう動こうと、香月セキュリティサービスには敵わないんだから

ショウに任せておけばイイのヨショウは凄いヨ

 イーディも、黒瀬安寿にそう言ってくれた

判りましたお任せします

 黒瀬安寿は、そう言うと

わたしも本当にもう、覚悟を決めないといけないんですね

 美樹さんやイズミと同じ  オレに見出されてしまった以上はもう逃げられない

そうですよー、往生しましょー、わたくしと一緒にー

 木下さんの明るい声が車内に響く

しっかしパン2個食べたら、かえってお腹が減ってきましたよーボスはどうですー

 木下さんは大食いらしい  確かに、もう少し何か食べたい気もする

ささっとお屋敷まで、戻りましょうかっ

 木下さんが、そう提案するが

それだとヨッちゃんが、あんまり休めないよっお屋敷に戻ると、何だかんだってヨッちゃんに負担のかかる仕事が出て来るからっ

 寧が反対した

トハ言うモノノこのメンバーだと、どこかお店に入るワケにもいかないノネ

 イーディが、車内のみんなの顔を見て笑う  今日は月曜日  しかも、まだ朝の8時にもなっていない  作業ツナギ姿の木下さんや、月子や、寧や、イーディはともかく  学生服のオレや、制服姿のイズミやましてや中学の制服の美樹さんに、体育ジャージの黒瀬安寿じゃ  24時間営業のファミリーレストランやファーストフード店には、入れない

そんならさっミナホお姉ちゃんのところへ行こうよっ

 寧が提案した  ミナホ姉さんは昨夜は、駅前ホテルの地下の黒い森の施設に泊まった

どうせ、午後の件でミナホお姉ちゃんと、打ち合わせしなくちゃいけないしさっ

 今日の午後はオレは、ミナホ姉さんや寧たちと、芸能プロを奪い取りに行くことになっている

そうだな打ち合わせのためだけに、ミナホ姉さんにお屋敷に来てもらうのも悪いし

 芸能プロの受け取りにミナホ姉さんも来て欲しいとお願いしたのはオレだ  打ち合わせぐらいは、オレの方から行くべきだ

待ってあたしが連絡するからっ

 寧は自分のスマホを取り出して、ミナホ姉さんに電話を掛けた

渡哲也さんが亡くなりましたが

某テレビ局のニュースで刑事ドラマへの出演で人気が出て大スターになったと言っているものがありまして

石原プロに入る前の日活の映画で主演映画が山ほどあることはスルーなのかと驚きました

簡単に調べれば判ることさえ調べないというか、調べる手間を嫌がる

最近のテレビは本当にダメになっていると思います

1467.芸能界編 写真が2枚

・木下涼子/香月セキュリティサービスのトップエリート警護人元、バンバルビー3いつもニコニコしているが、粉砕フレイルで誰でもブッ倒す怖い人最近、主人公の専任警護人になったまだ処女ボス

はーい、着きましたー

 運転席から、木下さんが言う  車のフロントガラスの向こうにいつもの駅前ホテルが見えた  寧がミナホ姉さんに電話してから約30分  昨夜は、黒いリムジンで来たけれど今朝は白い、業務用のバンだ  木下さんは車を昨夜と同じ、地下駐車場に車を停める

はいっ、みんな降りてっ忘れ物ないようにねっ

 寧を先頭に、オレたちはバンを降りた  松下美樹さんは、大事そうにヴァイオリンのケースを抱えて車の外へ出る  この子にとって、このヴァイオリンは亡くなったお父さんとの思い出のある大切な物だからお屋敷に置いておかずに、ここまで持ってきた  オレたちのことを、まだ完全に信用していないということもあるし

ええっと602号室に行くよっ

 このホテルの地下には黒い森の娼館の別館があって、ミナホ姉さんはそこで美里たち娼婦候補生たちの研修をやっているんだけれど  イズミや松下美樹さんを、極秘施設に連れて行くわけにはいかないから  昨夜に続いて、今朝もホテルの上階の部屋を用意してくれたようだ  まあ、このホテル全体がミナホ姉さんの所有物だからセキュリティは完璧なので、心配は無い  オレ、寧、木下さん、イーディ、月子、イズミ、松下美樹さん、黒瀬安寿の8人でエレベーターに乗って、6階へ上がった  指定された部屋に行って、ドアをノックするとミナホ姉さんが、オレたちを出迎えてくれた  いつものごとくオレたちの車が、ホテルの敷地内に入った時から、監視カメラで観ていたんだろう

ご苦労様中に入りなさい

 602号室は、小規模のパーティ用の個室のようだ  大きなテーブルの周りに、すでにオレたちり人数分の椅子が用意されていた

好きなところに座りなさいお腹が空いていたら、ルームサービスで何でも注文すれば良いわメニューは、そこにあるから

 木下さんが、早速メニューを開く  オレたち全員が椅子に座るとミナホ姉さんは

どうだった松下美樹さんあなたの音は、昨日と変わったのかしら

 14歳のヴァイオリン少女に尋ねる

どういうお話ですか

 美樹さんは質問に質問で答えた

ほら音楽物の映画やマンガなんかで、登場人物がつらい人生体験をすると演奏が上手くなるっていうような展開があるじゃないよりつらい思いを経験して来た人の方が、演奏の中身が濃くなるみたいな話わたしはああいうのが大嫌いなのよ

才能というのは、そういうものではないから才能のある人は、どんな小さな体験でも自然に自分の演奏に生かしていくし才能の無い人は、どんな感動的な体験をしても自分の演奏に反映させることはできないわ

 美樹さんはミナホ姉さんの話を、真剣な眼で聞いている

逆にあまりにもつら過ぎる体験をしてしまった人間は、感覚がマヒしてしまって、芸術的な活動なんてできなくなるわ人間の感受性には限界があるから強すぎる刺激のせいで壊れてしまうと、甘いのも塩辛いのも判別できなくなるのよ

 ミナホ姉さんは白坂創介によって誘拐され、無理矢理、娼婦に墜とされた  妹さんを殺され自分は、子供の産めない体にされて  16年間娼館という地獄の中で生きて来た

わたしはあなたが自分の経験して来たことを、自分の演奏の向上に昇華できる人であって欲しいと思うわ

 美樹さんがこの2日間で体験したこと  祖父との和解と、ヴァイオリンを続けることができるようになったこと  姉の真樹がオレとのセックスで処女を失う様子を全て観たこと  そして、姉が変わっていく様子も、逐一見た  さらに、今朝の交際相手との決別  美樹さんが恋だと思っていたものが恋でも何でもないものでしかなかったと、気付いたこと

わたしは自分が状況に流されやすい、馬鹿な娘だということを心の底から、思い知りました

 彼女は男に交際を迫られて、自分が相手のことを好きなのかどうか確認できないまま交際することを受け入れてしまった

そうねあなたは愛していない男とお付き合いを続けて、男の求めるままセックスも体験していたでしょうね公に出会わなかったら

 ミナホ姉さんは率直に言った

そうですね多分、わたしは流されて、そうしていたと思います

 美樹さんも素直に答える

そして、今公に身を任すことになるたとしたらそれは、それで、やっぱり今の状況に自分が流されているだけだではないかと感じているのかしら

 ミナホ姉さんの言葉に、美樹さんは狼狽する  今の美樹さんは、サクラギ・ケンイチとの交際を流されるまま受け入れてしまったことを恥じて猛烈に反省しているから  このまま、オレの女になることもまた、自分が流されているだけではないかと不安になっているんだ

わたしは自分という人間が信用できなくなっています自分の愚かさを、とことん思い知ったので

 美樹さんは、そう答えた

自分という人間が判らなくなってしまった時は自分の音楽に聞いてみるという方法もあるわよ

 美樹さんの音楽ヴァイオリンの演奏

自分のカ撫でる音が、過去と現在で、どう変わったかそれが感じられたら、あなたがこの先進むべき道も見えて来ると思うわ

今は演奏することが、怖いんです

 ヴァイオリンケースの表面を撫でながらそう言った

変わってしまった自分を知るのが何だか恐ろしくて

 それからもう一度、真っすぐにミナホ姉さんを見る

でもわたしが進むことのできる道は、一つしかないということも判っていますですからもう少しだけ、心を整理する時間をただけませんか

 美樹さんももうオレの女になって、オレたちの家族になるしかないということは、理解している  それしかヴァイオリンを続ける道はないし拒絶したら、姉とも離れ離れになってしまうということも判っている  ただ頭が理解していることに、心が追い付いていない  美樹さんは、まだ14歳の幼い少女だから  ミナホ姉さんが今度は、オレに尋ねる

オレは時間を掛けるのは悪いことじゃないと思ってる

でも、時間が掛かり過ぎるは良くないことだわ

うん判ってるだから、今日の夜までだ

 オレは明確に時間を区切った

どうせ、今日はスケジュールが詰まっているし

 午後には芸能プロを奪いに行くし  夜にはみすずと可憐を連れて、水島家の本家に行かないといけない

それに美樹さんとする時は、エリカを呼んでやらないといけないと思っているんだ

 オレは美樹さんを見る

お屋敷で会ってると思うけれど茉莉花の妹のエリカ

はい昨夜、少しお話しました

エリカは色々と事情があって、つい最近まで自分に姉が居たことを知らなかったんだ茉莉花のことをね

 オレがエリカに起きていた問題を解決する過程で姉の茉莉花と対面することができた

だから今は茉莉花とエリカは、姉妹としての絆を深めようとお互いに頑張っているんだ

 毎週末茉莉花とエリカは、オレとセックスしている  一緒にセックスすることで姉妹としての時間を濃いものにしようとしていた

茉莉花と真樹が特別な関係になったから茉莉花の妹のエリカは、真樹の妹の美樹さんと仲良くなりたいと思っている自分が美樹さんと仲良くなったら、きっと茉莉花が喜ぶだろうって思っているから

 だからエリカは、美樹さんの処女喪失には立ち会いたいと思っているだろう  茉莉花も真樹も寮生活だからまた週末になるまでは、お屋敷には来られない  だから、姉と姉のパートナーの代わりに自分が美樹さんの初セックスに立ち会って、後で姉たちに報告したいと考えているはずだ

だから、オレはエリカがいないところでは、真樹さんとの関係を進めるつもりはないよ

 エリカも今は、超お嬢様校に居るそろそろ一時間目の授業が始まっている頃だ  夕方までは、帰って来ない  だけど、オレは夕方から水島家だから  エリカ立ち合いのもと、美樹さんとセックスするのは夜の帰宅後になる

それなら美樹さんは、もう少しヨッちゃんと居るべきだよっ

芸能プロへ行くのもっ美樹さんも連れてっちゃおうよっ

 今、この場に居るメンバーのうち  オレとミナホ姉さんと寧と月子は午後、芸能プロに行くことにすでに決まっている  オレの専任警護人だから木下さんと黒瀬安寿も付いてくると思う  その他に今はお屋敷にいるけれど芸能プロのやつらにナメられないように、ミタマとアーニャとクリトとオソソも連れて行くことになっている  こうなったらさらに一人ぐらい増えても構わないだろう  夜の水島家にはさすがに無関係の美樹さんは連れて行けないけど  美樹さんともう少し関係を深める時間を得るためにこのまま、オレたちと芸能プロに同行させるのはアリだろう  美樹さんもかなりの美少女だ芸能プロのタレントたちには負けていない  それで思い出した

ミナホ姉さん午後の件だけど

 オレが芸能プロについての話を進めようとした途端に

あのー、そろそろ注文いいスか

 木下さんが、メニューを広げてオレに言った  オレたちがずっと話をしていたので待っていたらしい

わたくしだけでなく皆さんも、食べたいものとか飲みたいものとかあると思うんでー

 そう言えばお茶かコーヒーぐらいは欲しいな  ミナホ姉さんは、クククと笑って

そうね先に注文した方が良いわねわたしは、コーヒーをいただくわ公は

オレもコーヒーそれと、軽く何か食べたいな

サンドイッチか、スパゲッティヨッちゃん、どっちが良いっイーディは

 そんな感じで、全員の注文を聞いて寧が内線電話で、ルームサービスの注文をしてくれた  届いたコーヒーを飲みながら、オレはサンドイッチを摘まんだ  朝、雪乃に横から取られて全部喰われたからどうしても、サンドイッチが喰いたくなったのだ  ミナホ姉さんと寧は、コーヒーのみ  イーディは、ボンゴレ・スパゲッティと紅茶  月子は緑茶  黒瀬安寿と美樹さんは紅茶を飲んでいる  イズミは遠慮しない性格だから、サンドイッチとタピオカミルクティー  そして、さらに遠慮しない性格の木下さんは一人だけがっつりとハンバーグとサラダとライス大盛りのセットとメロンソーダにバニラアイスが浮いたやつを注文していた

いっやー、朝から働いたからお腹すいちゃいましたー

 明るい顔で、パクパクと食べていく  まあ、いいか美味しそうに食べてるし

寧から聞いていると思うけれど

 オレの食事が一段落ついた頃にミナホ姉さんが、話し始めた

デススター・プロはわたしたちに女性タレント部門を譲渡すると約束しておきながら稼いでいる所属タレントは、別の事務所に移籍させようとしているわ

 ミナホ姉さんはすでに情報を得ている  つまり今日、芸能プロへ行ったら  やつらはオレたちに、売れていないタレントだけを引き渡して売れっ子タレントは、自分たちの系列の別の事務所に移籍させたと言ってくる  一応、昨日までデス・プロのホームページに載せていた女性タレントは、全員、集めておけと強く命令しているから  タレントたちは、事務所に来るんだろうけれど  オレたちの目の前でこの子たちは、もうここの事務所のタレントでないから引き渡さないザマーミロとやるつもりなんだろう  オレたちを悔しがらせて、笑い者にするために

別にデス・プロの女性タレントが全員欲しいわけではないから、それでもいいのよというより今、デスプロに居る女のタレントさんは、数が多すぎて、わたしたちには扱いきれないわ

 デス・プロ所属の女性タレントを全員、丸々押し付けられても、芸能の仕事は素人のオレたちでは、全ての人に仕事を与えることはできないだろう

いきなり、たくさんの人のマネージメントを託されてもどうしていいのか判らなくなる

そうだねっっデスプロの中で不良資産になってる売れないアイドルとか、元アイドルで今は仕事が激減してるオバサンのタレントとか押し付けられても、困るだけだもんねっ

それに映画やドラマが専門もタレントも、今のわたしたちには扱えないわ

 なぜ女優はダメなんだ

公あなたは、昭和の時代に映画会社が暴力団と関係を深めなくてはいけなかった理由が判る

いや、判らない

 というか映画会社と暴力団が仲良くしてたことも知らない

映画だとロケがあるでしょ街中で撮影していると地元のヤクザが、誰の許しを得て撮影してるんだって脅しに来るのよそれで要求されたお金を払わないと延々と嫌がらせをしてくるのよね撮影中にカメラが回っている時を狙って大声で喚くとか、集団で撮影スタッフにインネンをつけて脅すとかつまらないことを何度も何度も仕掛けて来るのよ

 そういうことがあったのか

でも、一度お金を払ってしまうと、何度も要求してくるし今度は別のヤクザがあいつに支払ったのなら、オレにも寄越せとか言ってきて嫌がらせをするからキリがないのよだから、映画会社は全国規模の広域暴力団のトップにお願いして、ロケ先で嫌がらせをされないようにあらかじめ、地元のヤクザに根回ししてもらうのよそうすればやっぱり、ある程度のお金は取られるんだけれど嫌がらせしてくるような地元のチンピラヤクザは、大親分が制してくれるわけ

あたしたちが芸能プロを手に入れたらっやっぱり、そういうことをしてくる人がいるってことっ

ええ、確実にやってくるでしょうねわたしたちは芸能界のルールを無視して、芸能プロを手に入れるわけだからすでに色んな大手芸能事務所の皆様には嫌われているわ

 ミナホ姉さんは昨日、そういうやつらが雇った人間に襲撃されそうになった  ミナホ姉さんは、フリーの警護人を使ってミナホ姉さんでなく、ミナホ姉さんを襲うように指示した老舗芸能プロの女社長が襲われるように仕向けたけれど

わたしたちが、所属タレントを映画やドラマにタレントを送ったらあの人たちは、やっぱりそういう古典的な嫌がらせを仕掛けて来るわそれも暴力団員みたいな人たちを使うのなら、わたしたちにも対応のしようがあるけれど

 ミナホ姉さんは、暴力団組織の人たちとの繫がりもるし  香月家と関西ヤクザとの戦いがあったから香月セキュリティサービスに対して、暴力団組織は、うかつに手を出してこないだろう

半グレていう人たちがいるのよ

元々は、暴走族みたいな暴力的な犯罪をする少年たちの集まりだったんだけれど今はもう、みんな大人になっているわ暴力団組織と違って普通の会社組織のフリをしているけれど、利益を得るためならどんなことでもする人たちよ

普通の会社の人のフリをしてヤバい仕事を請け負ってるの

そう暴力団の人たちとは違って、普通の一般市民の顔をして近づいてくるのよそして、やることはヤクザの人たちよりも過激よそうやって、暴力団よりも身軽で、より恐ろしいことをするお手軽な集団として顧客を増やしているの

 アマチュアの顔をした暴力組織

その半グレの人たちが芸能界に、かなり入り込んでるのよ表の顔として、芸能プロを経営している人たちもいるわ

ああだから、色んな芸能事務所の人たちが金を払って、その半グレって人たちにヤバい仕事をやらせているんだね

そういう人たちに狙われたら映画やドラマの撮影なんて、簡単に潰されるわ

暴力団による嫌がらせなら、まだ、対応のしようがあるけれどっ半グレの人たちは、あたしたちとの繫がりが何も無いから、何の対応もできないってこと

繫がりなんて、持ちたくないわ半グレの人たちには長期的な思考とか、相手との関係を尊重する気持ちなんて無いからただ、目の前の利益のことしか考えていない人たちだから、友好関係を築く意味がないのよお金次第で、簡単に裏切る人たちだから

ロケでの撮影なんて色んな場所へ行くわよねそれも、突然撮影場所が変更したりすることもあるわ香月セキュリティサービスにお願いして警護してもらうとしてもどうやっても守り切れなくない状況になるわ

あたしたちの芸能事務所に所属しているタレントを使ったら、確実に撮影が妨害されるなんて話になっちゃったらどこにも使ってもらえなくなるもんねっ

向こうの狙いはそれよだから映画やドラマの仕事は受けられないのよわたしたちはスタジオ内で撮影できるバラエティとか、撮影場所が特定されているコマーシャルの仕事を中心にやっていくしかないわ

ミナホ姉さんそこまで、考えてくれているんだ

 ミナホ姉さんはオレが話をするまでは、芸能プロの経営については自分はそんなに関わらないような顔をしていたのに

ミナホお姉ちゃんは、芸能プロの仕事に向いてると思うよっ

 ミナホ姉さんは驚いた顔をする  ミナホ姉さんがこれまでやってきた娼館の管理の仕事は  芸能プロの経営の仕事に似ていると思う  黒い森の娼館は今後、5年間のみ活動するということになっているから  5年後のメインの仕事としてミナホ姉さんに、芸能プロをやって欲しいとオレは考えていた

そんなことより話を戻すわよ

 ミナホ姉さんは、強引に話を変えた

デス・プロの女性タレントの全てを引く継ぐつもりはないけれどこの子だけは、絶対に奪い取らないといけないっていうタレントはいるのよ

 そう言うとミナホ姉さんは、ファイルを取り出した

わたしたちはデススター・プロから、女性タレント部門を奪い取ったということを、明確に、芸能業界の人たちに示さないといけないわそうでないと、これをやる意味がないわ

 オレたちはデス・プロがテレビ局の中で雪乃に嫌がらせを行っていたということに対するケジメとして女性タレント部門を割譲させることにした

芸能プロが欲しいだけなら、一から自分で会社を作った方が早いものそれなのに、デス・プロから奪い取ったという形を取るのは、わたしたちの怖さを知らしめたいためだから

 デス・プロの背後には暴力団組織が付いていることは、誰もが知っている  そういう恐ろしい後ろ盾のあるプロダクションから女性タレント部門を奪い取ることで、オレたちの背後にある恐ろしい力の存在を理解させる  オレたちは相手が誰であろうと、ナメられるわけにはいかない

だから現在のデス・プロの女性タレンの中で、もう、すでに名前が売れていて、トップ・クラスで稼いでいるような人を2人か3人それ以上は要らないわ確実に、数人はあたしたちの支配下に残ってもらわないとむいけないのよ

 ミナホ姉さんは、そう言うとファイルの中から、女性タレントたちの写真の束を取り出した

あたしたちは、デス・プロの顔になっているようなタレントを取らないといけないのよデス・プロがわたしたちにケジメをとらなくてはいけなかったという、象徴的な存在として

でも、それってミナホ姉さん

ええそういうことになると思うわ

 ミナホ姉さんはオレの考えを肯定する  デス・プロは会社の顔になっているような女性タレントをオレたちに取られるのは嫌だろうし  タレントさん本人も大手の芸能事務所であるデス・プロから、何だか判らない存在であるオレたちのところに来ることは嫌がるだろう  デス・プロ側の思惑や、本人の意思を無視して  何がなんでも、オレたちの所属タレントにさせるのだから  月子はオレに小さく、うなずいた  オレたちは月子の力を使って、無理矢理に女性タレントさんたちを支配下に置くことになる  それしか手はない  ミナホ姉さんも、そうするつもりなんだろう

さっき話した通り映画やドラマ専門の女優はいらないし、名前は知られているけれど、もう人気が下降しているタレントもいらないわそれに

どうせならっ、若い子の方がいいよねっヨッちゃんが好きそうな、可愛い子にしようよっ!

 場の空気を察した寧がオレに微笑む  無理にオレたちの支配下に引きずり込むのならオレは、そのタレントさんたちに対して責任を負わないといけない  彼女たちの運命を、オレたちの都合で変えてしまうのだから

ミナホ姉さんちょっと、それ見せてっ

 寧はミナホ姉さんから、女性タレントたちの写真を受け取り  一枚一枚写真を見て選別していく  オレたちの中では寧が一番、テレビや映画を見ている  選別すべき女性タレントを見極めるのは寧が相応しい

ユーキもいるネ

 イーディが、寧が持っている写真を見て言う  横からオレも覗いてみると  ああ、昨日、イーディのスクール水着柔道大会でアシスタントをしてくれたアイドルのサイトーさんの写真だ  もっとも、あの人はまだ売れていないタレントさんだから

うーん、申し訳ないけれどっユーキちゃんは、こっちだなっ

 ここでは選別される対象ではない  選ばれない方のタレントの山に、寧はサイトーさんの写真を振り分ける

うーん、そうだねっこの中だと、この子とこの子が良いんじゃないかなっ

 そう言うと、寧は2枚の写真を、オレたちに示した

さて二人のタレントさんの名前を明日まで考えないと

母の命日に、母の友人から仏壇に供えるお花をいただいたので

お返しに何か贈らないといけないと思って、昨日、暑い中、都心のデパートへ行きました

その帰りに、久しぶりに秋葉原に行ったのですが

通りに異常な数のメイドさんが立ってて、客引きしてるんですけれど

それも、とらのあなの前の通りも反対側のまんだらけのある通りも

どっちもメイドさんだらけ

100人ぐらいは居たと思います

コロナで客が減っているんでしょうけれど何か気持ちの悪い光景でした

1468.芸能界編 奪い取るべきもの

こっちの子がねっ円城まどかそんで、こっちの子が瀧王子詩織ねっ

 寧はそれぞれの写真を指差して、教えてくれた  円城まどかは高校生ぐらいの少女で  瀧王子詩織はまだ中学生に見える  もちろん、デススター・プロの顔になっているようなタレントだから、どちらも極めつけの美少女だ  もっとも円城まどかは、ちょっと冷たい感じのするし  瀧王子詩織は、優し気な印象だから美少女といっても、特徴は違う

ああ二人とも、観たことがあるな

 普段、あまりテレビを観ないオレでも顔は、何となく覚えている

そりゃそうだよっ二人とも、たくさんのCМに出てるものっ

 寧がそう言うとミナホ姉さんが、ファイルを取り出し、データを読み上げる

今年だけでも、円城まどかさんが8本瀧王子詩織さんが12本のCМに出演しているわ

 そんなになら、観たことがあるのも当然だ

瀧王子さんが、デススター・プロの女性タレントで1番の稼ぎ頭よ円城さんが3番目ね

 ミナホ姉さんが資料を読む

2番目はどんな人

 オレは一応、聞いたみた

2番目は長岡京香っていう女優さんよ27歳今年は2本のドラマと3本の映画に出演しているわ映画のうち2本は主演ねそれとやっぱり8本のCМに出ているわでも

そうだったねオレたちには、女優は要らないんだよね

 さっきミナホ姉さんに、言われたばかりだ

4番目と5番目に稼いでいるタレントさんも女優さんだからわたしも、寧の言う通り、この2人を選ぶべきだと思うわ

えーと確かさっ、円城まどかって子は、デススター・プロがこの1年、物凄いお金を掛けて売り出そうとしていた子だったと思うよっ

そうみたいね円城まどか、17歳高校2年生去年から今年に掛けて、ドラマ4本に映画5本に出ているわドラマの2つと映画の3本は主役だけど

確かどれも大コケしたはずだよドラマの1つは、その時間帯の低視聴率の記録を作ってたはずっ映画の方も主演映画は、どれも公開予定期間を大幅に短縮して打ち切られたと思うっ

 だからドラマや映画の出演数は多いのに、稼ぎは3番目になってるんだ

とにかくっ演技が下手な子なんだよねっそれでいて会社の意向なんだか、本人の希望なんだか判らないけれと゛っ恋愛映画なのに、製作発表の記者会見でわたしは、絶対にキスシーンやエッチなシーンは一切やりませんって宣言してたりしたからそんなもん誰が観るんじゃってネットで炎上しちゃって、映画がコケたりしたんだよっ

ドラマなんかでも、原作を読んでないのが丸わかりだったりしてヒロインがわたしは、あなたが好きなのって告白する原作マンガでは名場面だったところをわたしは、あなたが好きなのっってどうしてなのか疑問形のセリフにしちゃったりしたから、また大炎上それで批判されたら、芸能レポーターに相手役の男優さんの演技のせいでそうなったんだとか言っちゃったのが放送されたりしたからっその時の相手役が、ジョリーズ事務所のそこそこ人気のあるタレントさんだったんだよだから、今度はジョリーズのファンまで巻き込んでネットで騒ぎ出しちゃって、また大炎上円城まどかの大炎上ってタイトルで、スポーツ新聞の一面になったりしてたんだよっ

 なかなか大変な人みたいだな

それでもデススター・プロの社長のお気に入りみたいねだから、8本ものCМに出ているのよ会社としては、何としても売り出したいと考えているタレントなんだと思うわ

いずれにしてもさっ今では、若い人なら絶対に顔と名前を知っている女性タレントにはなっているよねっドラマと映画はコケてても、CМや広告で顔はみんなに観られてるしお騒がせ発言で、ネットニュースの常連だもんっ

わたしとしてはデススター・プロが、会社を上げて売り出そうとしている子だからこそ、奪い取る価値があると思うわね

 オレたちはデススター・プロが所属タレントを使って、テレビ局で雪乃に嫌がらせをしていたことに対するケジメとしてデス・プロの女性タレント部門を奪い取るということになっている  それならデス・プロ側が一番押しているタレントである円城まどかは絶対に奪い取らなくてはいけないだろう

どうして、デス・プロの社長はそんなに円城まどかを押しているんだろう

 オレはもう一度、円城まどかの写真を見る  確かに美少女ではあるけれど芝居が下手で、余計なことばっかり言っているお騒がせタレントなのに  会社の力でゴリ押しして主演の仕事や、CМの仕事をどんどんやらせている  だからまだ17歳なのに、売り上げ3位のタレントになっている

それはさっこの円城まどかって子が、東亞映画の重役の娘なんだよっ

 映画会社のお偉いさんの娘

業界内でのお付き合いというより、円城さんを受け入れることで、東亞映画と関係を深めようと考えたんでしょうね

ラブシーンは全てNGっていうのも映画会社重役のお父様のご意向らしいわ

 自分の娘をデス・プロに預けてタレントとして売り込ませているのに  自分の娘のラブシーンは観せたくないから、やるなと言うのか

だからさっあたしたちのところへ引っ張り込んじゃえば、いいんだよっあたしたちは映画やドラマの仕事は受けないんだせからさっ

 演技の仕事をさせないのならバラエティ番組なんかなら、ラブシーンなんて無い

いずれにしてもっあたしたちが円城さんを奪い取れば世間の人たちも芸能界の人たちも騒然とすることは間違いないよっ今のデススター・プロが、絶対に手放さないはずのタレントさんなんだからさっ

判ったじゃあ、まず一人目は円城まどかに決めるとして

 オレはもう一枚の写真を見る

こっちの瀧王子詩織っていうのは、どういう子なんだ

瀧王子さんは現在、14歳の中学2年生3年くらい前に、テレビドラマの子役でブレイクした子そうよ当時は、大人気だったらしいわ

 ミナホ姉さんがファイルのデータを読む

ええ???・ななな、何で、瀧王子詩織を知らないんですニャン

 ずっと、オレたちの話を聞いていたイズミが思わず口を開く

3年前の連続ドラマでまきこちゃんていう、お父さん思いの女の子役で大当たりしてドラマの主題歌をまきこちゃんの衣装を着た瀧王子詩織が、国営番組の大晦日の番組で歌って踊ってまきこちゃんの貧すれば鈍するだよお父さんってセリフが流行語大賞を獲ってたじゃないですニャン

 わわーっと早口でイズミは言う

公くんさんは覚えてないニャンっ

 オレはえーと

3年前だとオレは、全寮制の中学に居たからテレビとかは、ほとんど観ていないんだ

 母親の命令で山奥の男子校に閉じ込められていた

あたしもっ3年前だと、アメリカに居たからさっ

 オレに続いて寧が言う  寧はキョーコさん、ミナホ姉さん、マルゴさんに、シザーリオ・ヴァイラから助けられた頃だろう  日本には、まだ戻っていない

アタシも3年前はアメリカに居たネ

 イーディお前は、日本に来てまだ半年だろ  3年前のイーディは、ニューオリンズの暗殺教団で祖母から暗殺術を学んでいたはずだ

ええあ、あなたは瀧王子詩織のまきこちゃん知ってるわよ

 イズミは、語尾にニャンを付けるのを忘れて黒瀬安寿に尋ねる

わたしは3年前から今年の夏まで、スイスに居ましたので

 黒瀬安寿は石上瑞希のお付きとして、スイスのお嬢様専門の寄宿学校に居た

わたくしは日本に居ましたが、あまりテレビは観ない生活をしておりますので

 イズミに聞かれる前に月子は、微笑んで言う

3年前の月子は京都の鷹倉神社で、妹たちと一緒に巫女の修行をしていた

わたくしは3年前は家が無かったんで、毎日、野宿してましたねーだからテレビは観てないですねー電気もガスも水道も無い生活でしたからー

 木下さんのバンバルビー3加入前の人生は、初めて聞いた  そのうち詳しく聞かないといけないと思うが今は、スルーしておく

ええーっ、、あなたは

 最後にイズミは松下美樹さんに尋ねる

わたしはもちろん、知ってますドラマも観ていました瀧王子詩織さんは、同学年ですから同じ年の子なのに凄い活躍だなって、思ってました

 美樹さんも14歳の中学2年生だ

というか瀧王子詩織さんは、当時も今も大人気じゃないですか今も、週に2つぐらいバラエティ番組に出演してますよね

そうよ、そうよ、そうなのよわたしが言いたかったことは、それなのニャン

 ようやく自分と同じ意見に出会えてイズミは、語尾のニャンを取り戻す

瀧王子詩織ちゃんは今でも売れっ子ですニャン

 イズミは、ドンと胸を張ってそう言った

そりゃあ、まあデス・プロの女性部門の一番の稼ぎ頭なんだから、そうなんだろうけれど

 オレはふと疑問に思ったことがある

瀧王子詩織って子は、子役でブレイクしたんだろそれなら、演技の仕事もしているんじゃないか

 オレたちは映画やドラマなんかの演技の仕事は受けないと決めている  瀧王子詩織が女優をメインでやっている子なら、オレたちは彼女を選ぶことはできない

それが最初に大当たりした子役のドラマ以降、演技の仕事は一切していないのよ今はCМの仕事をベースにして、バラエティ番組2つとラジオ番組1つやっているわ

 ミナホ姉さんが、またファイルのデータを読む

プロダクションの稼ぎ頭になっているのは12本なんて突出した数のCМに出演しているからみたいねCМは、ギャラが高いから

あの最初にブレイクしたまきこちゃんの役のイメージが強すぎるんで、他のドラマや映画には出ないんだって聞いたことがあります

 松下美樹さんが言う

わたしも、そう聞いたっていうか、そうだと思いますニャン今でもどのCМでも、どのバラエティ番組でも瀧王子詩織って、まきこちゃんのままですニャン

そうかも3年前にドラマで観た女の子が、そのまま育ったって感じがする

 イズミの言葉に、美樹さんがうなずく

今でも3年前のドラマのまきこちゃんのキャラが求められてるんだと思いますだからなんだ映画やドラマに出ないのは

 オレは3年前のドラマを知らないから比較のしようがない

何にせよ今でも、それだけ人気のある子で、演技の仕事はしていないのならデス・プロから奪い取るべき人材だよね

 瀧王子詩織は、デス・プロの女性タレント部門の稼ぎ頭なんだからオレたちは、絶対に奪い取るしかない

そうね瀧王子詩織さんも、決まりだわね

 これでデス・プロから確実に奪い取る女性タレントは  円城まどか、17歳と  瀧王子詩織、14歳に決まった

2人以外にあなたが、この子も欲しいと思ったら、その場で決めて良いわ

わたしたちの芸能事務所は少数精鋭でいきたいと思っているけれど、あなたが望む子なら何人でも受け入れるわ

それは今日の午後に、実際にデス・プロへ行って、タレントさんたちに会ってみてから考えるよ

 人は直接会ってみないと判らない

それともう一つ、デス・プロから確実に奪わなければならないものがあるのよ

デス・プロの女性タレント部門にはみらくる学院というものがあるの

 ミナホ姉さんは、ファイルから資料写真を取り出してオレに見せてくれた  そこには小学校高学年から、高校生ぐらいまでの女の子たちが50人ぐらい、同じ衣装を着てステージに立っていた

簡単に言うと、アイドル養成機関なんだけれど

ああ、デス・プロは大手の芸能事務所だからっタレント養成所も普通とは違うんだよねっ

そうなのよ他の事務所の養成機関よりも、審査が厳しいしレッスン料も高いわその代わり、他の事務所の養成機関よりも注目度が高いしレッスンだけでなく、年に5、6回はライブもやるしインターネット番組の配信もやっているわ

デス・プロのタレントさんと一緒に、年に何回かはテレビにも出てるんじゃんかっ

 寧がミナホ姉さんの資料を横から見て言う

それでね公、あなたにはなかなか理解できない話だと思うけれど

富裕層の人たち普通の人たちよりも、稼ぎが良くてお金を持っている人たちの中には自分の子供の習い事の一つとして、児童劇団やタレント養成所に行かせることがあるのよ

 習い事

自分の娘が、綺麗な衣装を着てステージでアイドルみたいに歌うのを見たいとか子供がアイドルみたいなことをやりたいって言うから、やらせてみたいとかそういう人たち本気で、自分の娘を芸能人にしたていっていう人は、そんなにはいないのよただ子供と一緒に、芸能界の空気を味わってみたいっていうぐらいの考えなのよね

だから娘が中学や高校に進学する前に、勉強が大変になるからって養成所を辞めさせる人が大半なのよわたしが調べた限り、デス・プロのみらくる学院を経て、本当に芸能人になったタレントさんは、10年間で10人もいなかったわ

 それが富裕層の習い事としてのタレント養成所みらくる学院

でも、わたしはこのみらくる学院が欲しいのよこれを押さえることができれば今までわたしたちが接触していない富裕層との繫がりができるから

 ミナホ姉さんは新しい顧客を開拓しようとしている

でもっそうなると、デス・プロもみらくる学院は、奪われたくないと思っているはずだよねっ

もちろん、そうよだから、何としても奪い取るのそれでね

 ミナホ姉さんは一人の女性の写真を取り出す  30代の落ち着いた雰囲気の女性だ

この人は、小松崎みどりさんデス・プロの社員でみらくる学院の責任者よ

責任者が女性なんだ

幼い娘さんたちを預かるんだから男性だと、親たちが警戒するのよ今の大人は、みんな芸能界は、怖いところっていう知識はあるから

 だから、女性を責任者にしている

そういうことだけでなく小松崎さんは、有能な人材らしいわ小松崎さんが責任者になてから、みらくる学院の評価が上がって、入所希望者が倍増したそうだから

倍増してもみらくる学院に入れる子の定数は決まってるんだよねっ

入所審査の時に、かなりの額の審査料を取っているから希望者が倍増したことで、儲けは倍になっているわそれに選抜する対象が増えれば、より良い人材だけを選び出すことができるわ

つまり小松崎みどりという人も、みらくる学院と一緒にデス・プロから奪い取らないといけないんだね

そういうことよ忘れないでね

 一度、頭の中で整理しよう  デススター・プロの女性部門からオレたちが、確実に奪い取らなければいけないもの  タレント2名円城まどか(17歳)・瀧王子詩織(14歳)  タレント養成機関みらくる学院  スタッフ小松崎みどり(みらくる学院責任者)  それ以外に現地で、この人は良いと思ったら、奪い取る

他には、何かある

今現在はそれだけよ

 ミナホ姉さんもデス・プロに行くんだ  後は臨機応変に、相談しながら進めて行けば良いか

色んなものを混ぜていますので特定のモデルはいません

またみらくる学院も特定のモデルはありません

タレント養成機関や児童劇団だけでなく

フィギュアスケートなんかも

本気で娘にやらせるつもりはなくて

雰囲気だけを楽しんむ富裕層の親子がいるそうです

1469.美樹の覚悟

あそれとさ

 オレはすっかり忘れていたことを、思い出した

工藤さんに言われたんだけれどさ

 美智の父親フリー警護人の工藤さんに、オレは一つアドバイスを貰っていた

フリー警護人のダダドムゥさんがアイドルとか好きらしいから、何らかの役職をあげて雇ってしまったらどうかって

 ダダドムゥおじさまは、超変態的な身体能力で敵を翻弄する力のある警護役だ  ただしお金次第で、簡単にオレたちの敵にもなる人だから、この機会に味方にしておくのはアリだと思う

あー、おじさまは見るロりですからねー

 ハンバーグを食べながら、木下さんが言った  木下さんはバンバルビー3に在籍していた頃から、ダダドムゥおじさまを知っている  というか当時は、見た目がロりな木下さんを、おじさまの方が追い回している感じだった

見るロりって、何ですニャン

 イズミが尋ねる

少し離れたところから、ニヤニヤ見ているだけで絶対に直接手で触れないロリコンが、見るロりでーす

ロリータの写真を撮ることに情熱を注ぐのが撮りロり、ロリータ・タレントの歌とかを収集するのが音ロり、ボスみたいに実際にロリータとヤッちゃうのが乗りロりですねー

 そんな分け方があるのか

いやオレは別にロリコンじゃないぞ

 オレは12歳のアニエスやルナや可憐たちともセックスするけれど、大人の渚や克子姉や翔姉ちゃんたちともセックスしてる  決してロリコン専門ではない  それに肉体がセックスできるぐらいまで成長している子としか、しないようにしているし

そういえば、そうですねーボスは来るもの拒まず、オールオッケーですもんねーでも、まあ対象者がロりな時は、乗りロりでいいんじゃないですかー

 木下さんは、断固としてそう言う

ダダドムゥさんなら、わたしの方でもう、声は掛けたわ

 オレと木下さんの会話を遮ってミナホ姉さんが、言った

わたしも工藤さんから、同じ提案をいただいたのよだからデススター・プロへ向かう前に、ダダドムゥさんと会って下さることになっているわ交渉はあなたに任せるわ

あの、オレはあの人と話が合わないと思うんだけどな

 というより、ダダドムゥおじさまは個性的過ぎてどんな人とも、まともな会話はできないように思う

あー、それならわたくしが、おじさまとのお話しする時にお手伝いしましょーか

わたくしはあのおじさまのことは、よーく知ってますし大丈夫ですよーさっきのお話ですとみらくる学院でしたっけそっちの役職に就けてあげた方が喜ぶと思いまーす

はーい、ダダドムゥおじさまはすでに芸能界に慣れてる子よりも、まだ素人っぽい雰囲気の残ってる子の方が好きだと思いまーす

判りましたダダドムゥさんとの交渉の時は、木下さんも手伝って下さいお願いします

 オレは素直にお願いする

了解でーすボス

 ぐふふと笑いながら、木下さんは再びハンバーグを食べ始める

今の段階であなたに伝えられることは以上よもう少ししたら、また状況が変わるかもしれないけれど

 時刻は朝の8時過ぎ  デススター・プロに行くのは午後だから時間はたっぷりある

どうせ、デス・プロが何かしら仕掛けて来ることは判っているのよあの人たちが、すんなりとわたしたちに女性タレント部門を譲渡するわけがないもの

さっき言ってた半グレってやつ

ええデス・プロは自分たちの後ろ盾になっている暴力団のメンバーは、今回は使えないわ暴力団の人たちの方が動かないから

 関西のヤクザ組織と香月家が抗争して香月家が、ほぼ勝利したことは関東の暴力団の人たちもよく知っている  ミナホ姉さんと、香月家の結びつきももう広く知れ渡っているだろう  黒い森のお屋敷の前で香月セキュリティサービスと公安警察の車両が24時間体制で監視するようになって、もう半年になる  美智の母親と不倫相手だった香月セキュリティサービスの元警備部長がオレたちの情報を暴力団組織に流したということもある  今は関東の暴力団は、香月セキュリティサービスと正面から戦争するようなことは避けるはずだ

デス・プロは、知り合いの半グレ集団を使ってわたしたちの妨害をやるでしょうね

 暴力団組織とは関係の無い半グレと呼ばれているヤバい連中を使ってくる

工藤さんにお願いして調べてもらっているわデス・プロと付き合いがあるのはどんな集団なのかを

 工藤父は香月セキュリティサービスの裏部隊を仕切っている  ミナホ姉さんは今は、香月セキュリティサービスの仕事もしているから  こういうことは工藤父にお願いするのが一番だと考えたんだろう  ああその相談をした時に、ダダドムゥおじさまの件も話題に出たのか

そっちもお昼過ぎまでには、調査報告が届くと思うわ

判ったじゃあ、オレはお屋敷に戻るよ

 デス・プロに行く時はミタマやアーニャやクリト&オソソを連れて行くことになっているから一度、お屋敷に戻ろうと、オレは思った

その必要は無いよっ今、お屋敷に居る人たちは、お昼に、ここに来てもらってここから、みんなデス・プロに向かえばいいんだよっ

あっちに戻ったらヨッちゃん、また東南アジアの子たちの相手をしなくちゃいけなくなって、大変でしょっ

 この時間だとみすずたち、超お嬢様校の生徒たちとマナたち、私立中学へ通っている子たちは、学校に行っているし渚と真緒ちゃんも、花屋の方へ行っているはずだから  お屋敷に残っているのは学園祭の代休のメグと愛と克子姉そして、アーニャと少女暗殺者たちだけだ  少女暗殺者たちはオレがクリトとオソソをペットにしたことで、動揺している  もちろん、それはあの子たちが暗殺者の過去を捨てて新しい人生に進める様に、オレが仕掛けたことだけど  今帰ると確かにオレに付きまとってきそうな子も何人かいるな  しばらくオレが姿を見せないであの子たち同士で話したり、考えたりする時間を取るべきかもしれないけれど

でも、アーニャと克子姉とミタマとメグと愛たちに、あの子たちを任せるのはさ

 アーニャはともかく武闘派の外国人少女たちの相手は大変だと思う

それなら問題ないわキョーコさんが、今日は1日、あの子たちの面倒をみて下さるそうよ

あなたと入れ違いで、お屋敷に戻ったわキョーコさん、あなたがあの子たちを受け入れてくれたことが、本当に嬉しいのよあなたのところへ連れてきて良かったって言っていたわ

 少女暗殺者たちは東南アジアの犯罪組織の頭のおかしい女ボスに飼われていた  全員が一人以上の人間を殺した経験の持ち主だ  普通の環境で普通に暮らせるようになるまでには相当の時間と覚悟が必要だ

いや、オレの方こそあの子たちを、オレたちのところに連れて来てくれたことを感謝しているよ

 少女暗殺者たちみたいな子はオレたちの家族になるしか、生きる道が無いと思う

キョーコさんが居てくれてるなら、安心だよっあの子たちも、キョーコさんになら色々と相談できると思うしさっ

ソウネDarlingが居ないところでキョーコと、改めて話をする時間を取るノハ、あの子たちにとってイイコトかもしれないネ

 イーディも、そういう

Darlingは、暗殺者として硬直しまくっていたあの子たちの意識をこの数日、思い切り揺さぶったノネあの子たちに暗殺者以外の生きる道があることを伝えてみたヨソレが今、あの子たちの心にどういう影響を与えているのかキョーコも、確認したいんだと思うヨ

それなら今は、戻らない方が良いか

アタシも、ソウ思うネ

 イーディも、そう考えるのならそうするべきなんだろう

香月セキュリティサービスのマイクロバスを借りることになっているから先にお屋敷に行って、向こうのデス・プロへ行くメンバーを乗せてそれから、ここへ来るようにしてもらうわ

今回は、何台もの車で車列を作って行くべきではないと思うのよだから、マイクロバス1台で行くわ

確かにデス・プロへ行くのに、いつもみたいな車列じゃ圧迫感があり過ぎて、向こうを警戒させちゃうもんねっ

それもあるけれどミナホ姉さんは、襲撃されることを恐れてるんだよね

え襲撃への対応なら、いつもの車列でもやってるじゃんか

 オレの言葉に、寧が疑問を投げかける  確かに、オレたちは、どんな時でも敵からの襲撃を想定して行動している

今回はクリトやオソソたちも連れて行くから、あいつらが襲撃に興奮して暴れ出したりしないように、誰かしらが見てないといけないんだよ

 少女暗殺者たちは殺すか殺されるかの修羅場を経験し過ぎている  もし、クリトたちが車から飛び出したりしたら確実に襲撃者を殺してしまう

アーニャにクリトとオソソと同じ車に乗って監視してもらうとしても襲撃を受けたら、アーニャは二人を抑えるのに精一杯になるだろうから、その車だけ防御態勢が取れなくなるだろ同じ車に、もう一人警護役を乗せて置く手もあるけれど

ソンナことをシタラ、車列全体に均等に警護役を配置することができなくナルネ

 今のところイーディは、デス・プロへ行くメンバーには入っていない  それでも今日の昼間に自由に動ける警護役は、アーニャ・イーディ・ミタマ・木下さん・黒瀬安寿しかいないし  ミタマは、攻撃特化で警戒活動には使えない逆に、黒瀬安寿はまだ見習いだから警戒はできるけれど、攻撃はやらせられない  今の人数で、襲撃されることを前提に車列を作って行くのなら3台がベストだ  前方警戒車・指令車・後方警戒車に分けて襲撃にすぐに対応できるように、1台に乗る人数に余裕を持たせた方がいい

そうなるとどうしても、警護役が足りない

だから今日は、マイクロバス1台にまとめた方が、良いんだよ何かが起きた時も、その場でミナホ姉さんに指示してもらえるし

 無線で対応するよりも、同じ車に乗っていて直接指示してもらう方が早い

そうね今回の場合相手が半グレさんたちだから、何かしら策を弄して来ると思うのよだから、なるべく良く見えるところから的確に指示したいの

 マイクロバスだと普通の車よりも、高いところから周囲を見回せる利点もあるのか

とにかく移動はマイクロバスよ他に何か質問はある特になければこのホテルの中に部屋を用意してあるから、そこでお昼まで休みなさいあなたは、ここ数日大変だったし今日も、スケジュールが詰まっているわ

 昨日までは学園祭で今朝は、松下美樹さんの中学校へ行った  午後からはデススター・プロの件で夜は、可憐のイジメ問題で水島家に行く  ミナホ姉さんの言う通り少し休んでおいた方が良いな  イズミが恐る恐る、オレに言う

そろそろわたし、学校に行きたいんですけどニャン

 イズミは本来なら、茉莉花や真樹と一緒に、今日の早朝に音楽科高校の寮へ戻ることになっていた  それが、何でイズミ一人だけ残されることになったのかと言うと

お前午後までは、学校に戻さないと言っておいたはずだよな

 オレは確かにイズミに、そう申し渡していた

まだ8時だぞ午後までは、時間がある

 オレは腕時計を指で示して、イズミに言う

そうなんですけれどもういいんじゃないかと思ったりしたニャンなんですけれどニャン

 イズミは、もぞもぞしながらそう言った  オレにはイズミが何を考えて、今、帰りたいと言い出したのか判らない

イズミはビビッているのヨ

今のアタシたちの話を聞いてヤクザとか、半グレとか、襲撃とかアブナイwordがいっぱい出てきたカラ

 五十嵐イズミはオレたちの裏の部分を初めて知ったから  オレたちのことが、怖くなったのか

ミキの中学に潜入するぐらいは笑える経験として受け入れられたケレド今度のはマジでヤバいと感じてるノネ

 イーディはそう分析する

美樹さんは、どう思ってますオレたちの今の話を聞いていて

 オレは松下美樹さんに尋ねてみる  彼女もオレたちの裏の部分に接するのは、これが初めてのはずだ

正直驚いてますし、皆さんが話していたことを、どこまで信じたらいいのか判らないというのが正直な感想です

 美樹さんは言う

でもこれまでの皆さんを見てきていますから全部、本当なんだろうなって感じてます

 美樹さんはイズミより何倍も聡明だった

むしろ、ここまで知ってしまったらもう、後戻りはできないわけですし今さら、この場から逃げ出そうとする五十嵐さんの方が信じられません

 美樹さんは、冷たい目でイズミを見る

わたしもイズミさんももう、逃げられないところに居ることはハッキリしてるじゃないですか

ええそうなのニャン

何があっても逃がす気が無いからこの人たちは、わたしたちが聞いているのに、平然と怖いことの打ち合わせをしているんですよそんなことも判らないんですか

 判らないんだよなイズミは

そもそもイズミは、何で自分一人だけ残されたのか、判っているのか

 オレは改めて、イズミに尋ねる

それはわたしが真樹お姉さまや茉莉花お姉さまと帰る時に、公くんさんを怒らせるようなことをしたんでそれで残されたってことは判ってますニャン

 イズミは焦り顔で答える

どんなことをしたから、オレが怒ったか判っているのか

 さらに尋ねると

それはわたしには、判らないですニャンわたしは公くんさんとは違う人間ですから公くんさんの怒るツボがどこにあるのかなんて、判るわけないですニャン

 実際はイズミが、オレの見ている前でやっと、これで解放されるとあからさまに判る態度をしたことにオレは大きな問題を感じたので、彼女を残した

オレが何で怒ったのか、理解しようとは思わないんだな

だ、だって判らないものは、判らないですニャン

 五十嵐イズミには他人がどう考えているかということを理解しようという意識が無い

じゃあイズミはオレに残されてその後、オレに何をされると思った

そ、それはあのお仕置きされると思ってましたニャン

お仕置きってのは、具体的にどんなことだ

 イズミはうつむいて、小声で

ま、またエッチなことをされると思ってましたニャン

 イズミは昨夜、オレに犯されて処女を失っている

そうだなまだ時間はあるセックスする時間は充分に

あのエッチなことは、もうしないで欲しいですニャン好きでない人に、ああいうことをされるのはもう嫌ですニャン

 この状況でそんなことを言い出すのか  ホントにこの娘は頭が悪い

お前は自分の視点でしか、物事が見えないんだな

 オレは呆れて、そう言った

先に学校に戻った茉莉花と真樹は残されたお前が、今、どうなってると思っているだろうなちょっと、想像してみろよ

 オレの問いにイズミは

真樹お姉さまと茉莉花お姉さまはやっぱり、わたしが公くんさんにエッチなことをされていると思っていると思いますニャン

そうだろな茉莉花と真樹はお前が、オレにお仕置きセックスされていると考えているだろうなオレも、そう思うよところで

 オレはイズミを強く睨む

お前が、このままオレとセックスせずに帰ったとしたら真樹と茉莉花は、どう考えるだろう

それは、あのお姉さまたちは、わたしが無事で喜んで下さると思いますニャンけど

 バカだ  ホントにこいつは

多分、イズミちゃんがヨッちゃんにお仕置きされないまま帰ったら真樹ちゃんと茉莉花ちゃんは、慌ててヨッちゃんにお詫びの連絡をしてくるよっそしてイズミちゃんをペットにする話は無しにして、イズミちゃんのことを見捨てるだろうねっ

 寧が厳しく言った

ええな、何でですニャン

 ポケっとした顔で、イズミがそう言った瞬間

真樹姉さんも茉莉花さんも、もう、黒森公さんの支援がなければ生きていけないんですよっ!だからっ、二人とも黒森公さんには、絶対に失礼なことはできないんですよっ

 この場で一番年下の、松下美樹さんがキレた

あなただって、昨夜、話を聞いていたでしょっ茉莉花さんは、音楽の勉強を続けるのに、この人に助けてもらったしこれからも助けてもらわないといけないんですっ

 苦しそうに美樹さんは言う

この人に物凄い恩を受けてしかも、今のわたしたちには一生懸命、音楽の勉強をすることぐらいしか返せるものがないんですっ!そりゃ、姉さんだってセックスの相手ぐらいしますよっ

 美樹さんの眼には熱い涙が溜まっていた

わたしやっと判った姉さんの決意と覚悟がわたし子供でした姉さんの気持ちを全然判ってなくて

 大粒の涙が、美樹さんの頬に流れる  オレとイズミの会話を聞いている中でようやく、心の整理が付いたようだ

わたし自分のことばかりで自分がどういう立場に居るのか、判っていませんでした

 寧が美樹さんの背中を、そっと抱いてやる

大丈夫だよっヨッちゃんは、ちゃんと判ってるからねっ

でも自分で自分が許せないんですわたしは

 そして、美樹さんはイズミを睨みつける

イズミさんはずっと、姉さんやわたしの邪魔をしていたことを判っていますか

 イズミは驚く

昨日イズミさんが、姉さんに付いてきた時にわたしは嫌でした茉莉花さんが、姉さんとわたしが音楽を続けるための手助けをしてくれる人を紹介してくれるという話をわたしは、半分も信じていませんでしたけれどでも、可能性が少しでもあるのなら、それに賭けてみようと思っていましたそれなのに

 イズミは変な不良少女メイクに黒の革ジャンを羽織って、真樹と茉莉花に無理矢理付いてきた

わたしたちの人生が掛かっているのにあの恰好は何ですかイズミさんは、わたしたちのことを馬鹿にしているんですか

 イズミは茉莉花が、真樹たちをオレに紹介するという話を全く信じていなかった  茉莉花に真樹がダマされているとすら思っていた  だから、オレたちを威嚇しようとおかしな扮装で付いてきた、

もし、イズミさんのせいで姉さんやわたしが、香月さんの奨学生になれなくなってしまってたらどうするつもりだったんですか

 イズミは黙り込む

アンタは自分のコトしか考えてないノヨそれで浅い考えで、勝手なことばかりしているノネ

昨夜、黒森公さんがイズミさんのことを家族の方たちに説明する時に、イズミさんの言うことは絶対に信用するなって言ってましたよね

 美樹さんが言う

わたしはとても酷いことを言うんだなって、昨夜は思いましたでも、今は黒森公さんのおっしゃる通りだと思います

イズミさんが、残されたのは今のままのイズミさんでは、姉さんや茉莉花さんのペットにすらなれないって黒森公さんが判断されたからですわたしも、そう思いますこんなワガママで身勝手なことしかしないペットは飼えません姉さんたちも場合によったら、イズミさんを捨てるしかないってことは、もう覚悟していると思います

そんな!

 イズミが、ハッと顔を上げて美樹さんを見る

ペットなら、ペットらしくして下さいっ!あなたが、身勝手なことをすると姉さんたちが困るんですっ

そんなこと言われてもわたしは、どうしたら良いのか

 そう言うイズミにオレは

お前がどうしたいかじゃなくって真樹や茉莉花が、どうしたら喜ぶかを考えろよ

 率直に言う

イズミはそういう考えが欠落してるんだよそんなんじゃ、マジで茉莉花と真樹のペットには、なれないぞ

 うつむくイズミ

もう一度聞くぞ茉莉花と真樹は、お前が今、何をしていると思ってる

公くんさんに、エッチなことをされていると思ってます

なら午後に学校に戻った後、真樹と茉莉花に何て報告したら二人は喜ぶと思う

 口ごもるイズミの代わりに美樹さんが言った

黒森公さんがイズミさんとセックスして、とても満足して下さっただと思いますけど

他に考えられないネ

そういうことだよねっ

 イーディと寧が笑って、付け足した

真樹姉さんと、これからも一緒に生きていきたいのならちゃんとペットになる覚悟をして下さいそうじゃないなら、二度と姉さんやわたしの前に現れないで下さい

 すがるような眼で、イズミは美樹さんを見るが

そんな顔をしても無駄ですわたしだって、今、イズミさんと同じ覚悟をしなくちゃいけない立場なんですから

 美樹さんは真っすぐに、オレを見る

わたしはこれからもヴァイオリンを続けたいです真樹姉さんと姉妹のままで居続けたいですだから

わたしは黒森公さんのものになります覚悟はできました

すみません、少し更新が開きました

単純に夏バテです

猛暑でやられてしまってます

1470.イズミという女の子について

わたしは黒森公さんのものになります覚悟は、できました

 松下美樹さんは暗い顔で、オレにそう告げた

それは覚悟じゃないただヤケクソになっているだけだ

 そう感じた  美樹さんは、自暴自棄になっている  まだ14歳のヴァイオリン少女は、そう言って、オレから視線を逸らす  彼女の暗い表情で、オレは確信した

本当に覚悟した人は、今の美樹さんみたいな顔はしない昨夜の真樹みたいに前向きで吹っ切れた顔になるんだ

 昨夜香月家の財団の奨学生となって、音楽の勉強を続けると同時に

茉莉花のパートナーとオレの女にもなることを受け入れた真樹は晴れ晴れとすっきりした表情をしていた

あれが腹をくくった顔だと、オレは思う

わたしは真樹姉さんとは違います

何が違うネアナタとお姉さんは、同じ立場デショ

 美樹さんも香月家の奨学生となって、ヴァイオリンを続けることに変わりはない  オレの女になるという条件も同じ

今のアナタは、頭で理解しているツモリになっているケレド心では何も割り切れてナイネ今、自分が置かれている状況を心の中では不当だと思ってイルダカラスッキリしてないノヨ

このまま、ヨッちゃんのお世話になるっていうことが何となく嫌なんでしょっ

 寧も笑顔で、そう言った

ヨッちゃんのおかげで音楽は続けられることになったし、お祖父さんとの関係も改善したよく判んない交際相手との関係も解消できたし、下着画像が拡散する可能性もなくなってでもっ

 そこまで言われて美樹さんが、寧を見る

だからといって、それでヨッちゃんの女になって、あたしたちの家族に加入するのは何か違うそういうことじゃないんだって感じてるそうでしょっ

いえあのわたしは

 寧を見る

わたしは黒森さんに助けていただいたことには、深く感謝していますだから真樹姉さんの様に黒森さんのものにならなくてはいけないっていうことも理解しています判っているんですそれぐらいのことをしないとしていただいたことに対して、お返しはできないっていうことを

ダカラそれが頭で分かってイテモ、心で割り切れてナイってコトなのネ

松下美樹さんわたくしたちにとって公様にセックスしていただくことは、義務ではないんですよ

 今までずっと黙っていた月子が美樹さんに言う

それはわたくしたちの権利です公様に抱いていただけるということは公様に選ばれた女だけの特権なのですから

 巫女少女の低い声が部屋の中に響いた

ですが、あのわたしは

 美樹さんが、必死に何とか先の言葉を続けようとする  しかし、そこへ

あのーすいませんけれどニャンっ!

 イズミが空気を読まずに、割り込んでくる

いつの間にか、美樹さんの話になっちゃってますけれどまだ、わたしの話が途中ニャンですニャン

でもこのタイミングで、割り込んでくるのか

 まったくイズミという女は

ていうか皆さんで、美樹さんのお話をしているんでしたら、わたしは早く学校に帰して欲しいですニャン

 バカな娘だと思う  また、自分のことを最優先に要求してきた  さっき、午後までに帰すから今はここに居ろと話したばかりなのに  つまりこいつは、オレの話を全然聞いていない  美樹さんに強く言われたことも右から左に聞き流している  どうして、五十嵐イズミはこんなに頭が悪いんだろう

いえ、公様、それは違います

 !  月子がオレの思考を読んで、オレに言う

イズミさんは公様の思っておられるような方ではありませんわ

 巫女の力を持つ月子にはイズミの思考も、丸見えになっている

イズミはわざと頭の悪いフリをしているってことか

 もし、そうなら凄い演技力だ  でも、イズミがそんな能力の持ち主には、オレに思えない  昨日の昼からオレはずっとイズミを見ているけれど、頭の良さを隠しているようには全感じられなかったし

いえ公様そういうことでもありません

 オレの考えを月子は否定する

イズミさんは公様の考えていらっしゃる通りの、ある意味においては、非常に考えの浅い方です

 考えが浅いつまり、馬鹿な娘だ

いいえ、違いますわ考えが浅いからといって知能や思考能力が劣るわけではありませんイズミさんの思考は普通の人よりも、むしろ早いです次から次へと、色んなことを考えていらっしゃいますし、目の前に起きている状況を即座に観察して思考が、ハイスピードで反応しています

 月子に見えているイズミの脳内での思考は、常に高速回転しているというのか

本質的には頭の良い方だと思います

 イズミが頭が良い

ただ論理的に思考をまとめる能力が欠けていますだから知覚した情報を具体的に理解して、何が最善なのかを判断するのではなく直感のみで、すぐに判断して行動するので、公様の眼には思考能力が劣っているように見えているのだと思います

 直感だけでの行動  確かに、イズミにはそういうところはある

ナルホドイズミの上辺の言動ダケを見て、イズミを判断するのはヨクナイことだったというコトなのネ

 イーディ!

ワタシもイズミみたいな子は、余り会ったことのないタイプだったから良く判らなかったノネデモツキコの言葉で、少し見えてきたネ

 イーディの青い瞳がイズミを見る

イズミはソウねどちらかと言うと、ユキノによく似てるタイプなのネ

目の前で起きたことに対して、ソノママ反応するネ驚いたり、悲しんだり感情をストレートに、そのまま表現するネ気持ちを隠すとか、相手が自分の言動に対してどう思うかナンテ気にしないノヨ

 そう言われれば確かに、イズミは雪乃に似ているところがあるかもしれない  雪乃みたいに、泣き喚いたり、大声を出して暴れたりはしないけれど

デモDarlingは、ユキノをダメな人間だとは思ってないデショ

そうですわ公様は雪乃さんを頭の悪い方だとは思っては、いらっしゃいません

 月子は、いつもオレの心を見ている  月子が言う通りオレは、雪乃を馬鹿だとは思っていない  昔は、雪乃のことを自分勝手で、わがままで、他人のことを考えないダメな人間だと思っていたけれど今は、雪乃の良いところをたくさん知っている  今の雪乃は決してお屋敷の家事を手伝おうとしないけれど真緒ちゃんや、アニエスたちの面倒を見てくれている  他の家族とほとんど交流しないけれど昔みたいに喚いたりして、周りに迷惑を掛けることはしなくなった  時々はオレや家族のみんなに気遣いもする  それにテレビ番組でも才能を示している  ただの自己中心的でバカな人間ならお笑い芸人のスナッチやコラムニストのフランシーと、あんなに上手く会話をすることはできないはずだ  雪乃は雪乃なりに相手の反応を感じ取って、言葉を返している  雪乃の会話が面白いから、雪乃の番組は今では高視聴率番組になっている  だから、雪乃は馬鹿ではない

でも、イズミと雪乃は違うだろ

 オレには二人が、同じには思えなかった

ソウ感じるのはDarlingにとって、ユキノが特別過ぎる存在ダカラだと思うネ

ダカラユキノに似ているイズミに対する評価が、他の人よりもキビシイのヨアタシはそう感じるネ

多分イズミちゃんと雪乃ちゃんて、育ってきた環境が似ているんじゃないかなっ

 不意に寧が、そう言った  雪乃はテレビ局と新聞社を経営する一族に生まれて父親は大手広告代理店のエリート社員でとても恵まれた環境で育った  オレはイズミの家庭環境について、何も知らない  オレが知っているのはイズミが、茉莉花や真樹と同じ音楽科高校の声楽科の生徒だということ  それから、声楽科ではトップクラスの成績に入っているが、1番ではないそれだけだ

イズミについて、調査報告とかあるの

 昨日、松下姉妹にイズミがくっついて来ることはミナホ姉さんは、茉莉花から聞いて事前に知っていたはずだ  いつも通りのミナホ姉さんなら当然、イズミのことについて事前に調査をしているはず  ミナホ姉さんはイズミについてのファイルを取り出した

あなたやっと、イズミさんについての興味を持ったわね

 オレを見てクスリと笑った

この半年であなたは、個性的過ぎるたくさんの人たちに会い過ぎているのよそれで今は少し感覚がマヒしているんだと思うわだから、危険性を感じない人物なついては、判断が甘くなっているのね

 オレは、最初にイズミを見た時から茉莉花と同じ高校の生徒だということで  イズミについて、ただの音楽科の生徒だと思って  イズミが、似合わない不良少女の格好をしてきたり、やたらと言動が子供っぽかったりしたので  つまり、イズミのことをナメていた

あなたはもっと人について知ることに貪欲になるべきだわ

 ミナホ姉さんは、穏やかな声でそう言った

イズミさんが、表裏のない性格で隠し事ができない人だったからあなたには馬鹿な娘にしか思えなかったのよねだから、それ以上のことを知る気にならなかったし知る必要もないと判断したのよね

 オレは素直に自分の失点を認めた

覚えておきなさい世の中には本当に愚かな人たちもいるけれど、愚かな人たちの愚かな行動にも、何かしらの意味や理由があるのよだから自分が関わる人間については、どんな相手でも、相手のことを知ろうとする努力を怠ってはダメなのよ自分の思い込みだけで、相手について調査する努力を疎かにしてはいけないのよ

 ミナホ姉さんの言葉が心にしみる

そうだねオレが間違ってたごめん

 オレはミナホ姉さんに聞けば、昨夜の段階でもイズミについての詳しい情報を教えてもらえたはずなのに  オレは、イズミについて知ることを怠っていた

では、教えてあげるわ五十嵐イズミさんはねお祖父様が、世界的に有名オーケストラ指揮者なのよ五十嵐ハジメさんと言ってね

 祖父の名前が出た途端イズミの顔が真顔になる

お父様は、五十嵐キヨシさん日本で活躍なさっているオペラ歌手よお母様の五十嵐ヒデミさんも、若い頃はオペラ歌手をなさっていたわ現在は、音楽大学で声楽を教えていらっしゃるわつまり、五十嵐さんの家は日本の音楽界では、知らない人はいない音楽一家なのよ

 イズミのファイルを広げてミナホ姉さんは、そう言う

そんなこと茉莉花も真樹も教えてくれなかったよ

 イズミの家族が、音楽の世界では有名な人たちだなんて

それはそうよあの子たちの通っている音楽科高校には、そういう家の子は何人もいるんですもの

 ミナホ姉さんは、苦笑した

むしろあの子たちみたいに、両親が音楽関係の仕事ではない子の方が珍しいはずよイズミさんのご家族よりも、さらに有名な音楽家の娘さんたちが何人も居るのよ

ああ音楽科の高校に子供を通わせている家となると、お父さん、お母さんどころかお祖父さん、お祖母さんの代から音楽家なんていうのは、よくあることなんだねっ

 真樹や茉莉花にとってはイズミの祖父や両親が音楽家だということは、わざわざオレに話すようなことではなかったなだろう  オレが、イズミについて詳しく二人に聞いてないんだから二人が話すわけがない  特に茉莉花は最初からイズミを、自分と真樹のペットにするつもりで連れてきているし  そうする前に、ミナホ姉さんにイズミのことを相談して許可を得ているから  オレが聞かない限り、茉莉花の方から話すことはない  イズミの家族についての情報が、オレたちにとって有益なものならミナホ姉さんが、機会を作ってオレに話すはずなんだから

あ、あの祖父や、両親には迷惑が掛からないようにして欲しいですいえ、して下さいですニャン

 困惑した顔で、イズミがミナホ姉さんに言う

判っているわあなたのお祖父様やご両親には何の問題も生じないようにするから安心なさい

 ミナホ姉さんは、イズミにそう告げる

というよりイズミさんは、公と朝から一緒に行動してみて判ったでしょ公が身内には絶対に危害が及ぶようなことはしない子だってことは

 イズミはオレが美樹さんのために、美樹さんの中学へ乗り込んだ様子を見ている  オレが家族になる子のためには、どんなことでもするということを  そしてイズミもすでにオレたちの家族の一員だ  ペットという身分だけど

それが理解できたからこそそろそろ学校へ行かせてくれなんて、公に甘えてみたんじゃないの

それはそうかもしれませんですニャン

 イズミは、暗い顔でちらりとオレを見る  そうか、こいつは空気が読めないのでなく今なら、多少甘えたことを言い出しても許されるんじゃないかと感じて  それで突然、あんなことを言い出したのか

心配しなくても、大丈夫よイズミさんが昨日、寮に戻らなかったことも茉莉花たちと一緒に学校に戻らなかったことも、今日の午前中の授業に出ていないことも全て、わたしたちの方で正当な理由を作って、学校側に話すからこの件でイズミさんのお祖父様やご両親に迷惑が及ぶことは無いしイズミさんが、お祖父様やご両親から叱られるようなことにもならないようにするわ

イズミお前、それで早く学校へ戻りたかったのか

 オレは、ようやくイズミの心を理解した

昨夜や今日の朝は公くんさんが怖くて、言い出せなかったですニャンでも、できれば早く学校に帰して欲しいですニャン

 イズミが言う

わたしが寮に戻らなかったことや、授業に出てないことで変な噂になって、お祖父様や両親の名前に傷をつけるようなことになるのが怖いですニャン

 イズミは、昨夜の無断外泊や現在授業をサボっていることが問題になることを恐れている  特にそれが祖父や両親に知られることを

大丈夫よあなたの学校は今は、真樹さんが香月家の奨学生に選ばれたことで大騒ぎになっているわあなたはショックで体調を崩したことになっているし医師の診断書も付けてあげるわもう香月セキュリティサービスを通して、香月記念病院に話してあるから

 ミナホ姉さんは、そういう

それにね今から学校に行って、授業の途中に教室に入る方が目立つわよ最初の予定通りお昼前までは公と居て、お昼休みに学校に戻りなさいその方が自然に入り込めるから

 ミナホ姉さんは、イズミの心配をどこまでも理解して、事前に手を打っている

とにかく、祖父と両親には心配を掛けないように、お願いしますニャン

 イズミは、ミナホ姉さんに深く頭を下げた

イズミさんはお祖父様とご両親のことを、心から尊敬しているのね

はいもちろんですニャン

 イズミは困惑した表情で、そう答えた

イズミさんのお祖父様は、幾つかの音楽財団の理事もなさっているのよねだからイズミさんは、今が奨学生に選ばれる時期じゃないってことを知っていたのよ

 ミナホ姉さんの言葉に、寧が

ああだから、イズミちゃんは茉莉花ちゃんが真樹ちゃんたちに香月家の音楽奨学生になれるかもしれないって話したことを、変だと思ったんだねっ

 なるほどとうなずく  今回のことの発端はお父さんが突然亡くなった松下姉妹が、経済的な問題で、音楽の勉強を続けられないかもしれなくなったことだった  それで、茉莉花がオレに松下姉妹を紹介して、何とか経済的支援を得られるようにならないかと頼もうとしたこと  そして、オレが動く前にミナホ姉さんと瑠璃子が、松下姉妹が香月家の文化財団の奨学生になれるように働きかけてくれていた

普通はどこの奨学金制度のある団体でも、今は来年度からの奨学生を選定する時期であって年度の途中なのに、松下さんの姉妹を特別に奨学生にしてくれるところなんて有り得ないものね

 ミナホ姉さんの言う通りオレたちは、通常の方法で、松下姉妹を奨学生にしていない  香月家の娘である瑠璃子の力で無理矢理、香月家の財団の奨学生にネジ込んだのだ

それでイズミさんはっ、茉莉花ちゃんが真樹ちゃんにしている話を怪しいと思ってだから、不良少女の扮装をして、無理矢理付いてきたんだねっ!

 寧の指摘が正しいのなら  イズミは、オレたちが、真樹たちをダマそうとしているのに違いないと、最初から思い込んでいたから

だから何が何でも、話をぶっ壊すつもりでついてきた

 つまり不良少女の扮装には、ちょっと無理があったけれど  理屈としては筋が通っている

もしかしてイズミちゃんは、イズミちゃんのお祖父さんにお願いして、真樹ちゃんたちをどこかの音楽財団の奨学生にしてもらうつもりだったのっ

わたしにはそんなお願いはできないですニャンお祖父様だって、理事はなさっていますけれど奨学生の審査員ではないですしでも

来年度の奨学生に、真樹お姉さまと美樹さんが応募できるようにご相談してみようとは、思っていましたニャン

 そこまで考えていたのなら

イズミはオレが思っていたような、馬鹿な娘ではない

 直情的ではあるけれどイズミの行動には、意味と理由があった

もちろん香月世界文化交流センターみたいな大きな財団の奨学生になれるのなら、その方が真樹お姉さまや美樹さんに良いことも判ってますニャン香月家のお嬢様とか鳥居家のお嬢様と親しくなれるということも

 イズミはちゃんと判っている  こんなにちゃんと判っている子なのに  なぜ、オレはイズミが自分勝手で頭の悪い娘だと思い込んだんだろう

さて、公これからする話をよく聞きなさい今のあなたが、理解しなくてはいけないことだから

イズミさんのお祖父さまが音楽の世界では特別な立場に居る方だということは、さっき話したわよね

 確か世界的に有名なオーケストラ指揮者だと聞いた

ある分野において特別な立場に居る人の子供や孫が偉大な祖父と同じ道に進むということは、よくあることだわ

 イズミの父親は祖父と同じ音楽の道に進み、オペラ歌手になっていると聞いた  オペラ歌手の親から生まれたイズミも今、音楽科高校で声楽を学んでいる

その分野において特別な地位に上ることができた人は自分の経験から、子供や孫ににどんな教育を与えれば良いのかよく理解しているし学習するための最適な環境を用意することができるわその分野の中においては人脈やコネクションだって持っているんだから何歳になったら、どこで、どんな先生に、何を習えばいいのか自分の子供や孫が、自分と同じ世界に上手に導いてあげられるのよ

 ミナホ姉さんの言葉をイズミはうつむいて聞いている

でもねそういう特定の分野で一流の親に育てられた子供が、親や祖父と同じようにその世界の一流の人間にはなかなかなれないのよそういうケースは、とても稀なの

 え!

もちろん、子供の頃から専門の教育を受けてきているのだからその分野のプロにはなれるわでも、たいていは良くて一流半、だいたいは二流から三流の人間になって終わるわ親と様な一級のプロになれる人は、本当に珍しいのよ

確かにスポーツなんかの世界でも、名選手の子供がプロになっても、親みたいに活躍ができないってことは多いよねっ逆に親が二流や三流のプロ選手だった人の方が親を越えて、名選手になったりしてるかもっ

 その例えなら、オレにも理解できた  確かに二世の選手は良くいるけれど、一流の名選手の子が親と同じレベルの大活躍をするということは少ないと思う

どうして、そうなると思う

 ミナホ姉さんがオレに尋ねた

幼い時から、全てにおいて最高の環境が与えられているのにどうして、そういう子供は、親のレベルにまで成長しないのかしら

親から与えられているだけだから

与えられるだけだと自分から、獲得していく力が育たないってこと

わたしもそう思うわ

子供が自分で求める前に一流の親が、プロになるために必要だと思うものを、何もかも与えてしまうからでも、それは全て正しいものだとしても、子供はずっと親から与えられ続ける大量のものを、ひたすら受け入れて消化し続けることになるわそれだけに精一杯になってしまうから自分自身で、今の自分に何が必要なのかを考えて、自分の力でそれを探して、独力で一つ一つ獲得して行く力が育たないのよ

 親の与える環境が良すぎて与えられるものを消化するだけの人間になってしまう

それでも、思春期になって、親に対して反抗するような子供なら親が自分に与えようとするものに対して批判的になるから、自分のことは自分で考えて自立しようとすることもあるけれど親が偉大過ぎて、子供が親のことを心の底から尊敬していたりすると、親が自分にしてくれることは何でも無批判で受け入れるようになってしまうわ

 ミナホ姉さんは、話し続ける

そういう子は、自分で自分がするべきことを判断する力が弱くなるわ次から次へと親が判断した必要だと思われるものを受け入れていくだけだから目の前で起きていることについて、自分でどうしたら良いのか考える能力が育たないのよ

 何でも親に言われるままに、依存してしまうから自立しない人間になってしまう

イズミさんて、そういう子でしょそう思わない

 ミナホ姉さんの言葉にオレたちは、イズミを見る

イズミさんの性格はお祖父様やご両親との関係から、そんな風になってしまったんだと思うわイズミさんはお祖父様やご両親に言われたことは、どんなことでも無条件で、何も考えずに受け入れる子なのよその意味や理由は深く考えないでただ、そのまま受け入れるそうしないと、お祖父様やご両親から与えられるものが、次から次へと多過ぎて対応できなくなるから

 親に〇〇しなさいと言われたら何も考えずに、言われた通りにする  一々、考えていたら、全てを消化することができなくなるから考えずに呑み込む  そういう生活を音楽の勉強を通して、子供の頃からしてきている

そして、今のイズミさんにとっては真樹さんも、ご両親と同じぐらい大切な存在なのよね

 イズミは真樹に対して同性愛的な強い憧れの感情を抱いている

だから、真樹さんの言葉はご両親の言葉と同じように受け入れるし真樹さんのためになると思ったら、茉莉花やあなたの言葉も受け入れているのよどんなことでも

 イズミにとって大切なのは真樹だけオレや茉莉花は真樹を通じて、受け入れているだけだ

さっき月子さんが言っていたようにイズミさんだって、その時に起きていることや周りの人たちの言動には細かく反応しているのよだけどそれを自分なりに分析して、自分から行動していくことができないのよいつもお祖父様や両親の言う通りに行動するだけで、自分の意思で考えて何かするということを経験してきていないから

 イズミは、うつむいたまま震えている

その上、イズミさんは周りの人たちに嫌われたくないって常に思っている子なのよね拒絶されることを恐れているそれもとても影響力の強い親に支配されて育てられた子によく見られる特徴よ親に嫌われたくないからいつも明るい顔をして、何でも従順に親の言う通りにするそれを他の人にも適用するのよだから、嫌われないようにすることを最優先に行動するからまるで何も考えていない、軽薄な人間みたいに見えるのよ

イズミが、語尾にニャンを付けて話続けてるのもそういうことナノネ嫌われたくないカラ、言われた通りのことを守り続けているのネ

そうよ、そんな下らないことだって、嫌われないために守るのよイズミさんはあなたたちに言われたことを、今までどんなことでも全て受け入れているでしょ

 ミナホ姉さんの言う通り、イズミは  真樹と茉莉花のペットになることをあっさり、受け入れた  オレに処女を捧げることも  それもイズミが考えの足りない馬鹿な娘だからではなく  自分で判断するということがない人生を歩んで来たしかも、人に拒絶されることを、心底怖がっている娘だからだ  今のイズミは、真樹やオレに嫌われたくないということが一番大切でだから、ニャンニャン言っていることさえ、必死に続けているのか

イズミさんは今のままなら、二流の人間で終わると思うわお祖父様やご両親の後ろ盾があるから、プロの声楽家やオペラ歌手にはなれるかもしれないけれど一流には届かないでしょうねせいぜい二流のオペラ歌手かお祖父様やご両親のコネクションで、どこかの音楽学校の先生になるとか、何かしらの音楽関係のお仕事には就くことになるんでしょうけれど

 ミナホ姉さんの言葉をイズミは、黙って聞いている

さてわたしは、わたしがイズミさんについて思ったことを好き勝手に話させてもらったけれどイズミさんは、どう思うのかしらイズミさん自身の現在について

 ミナホ姉さんは、イズミを見る

わたしは正直、ちょっと何をどうしたらよいのか、判りませんですニャン

 それでもイズミは、語尾にニャンを付けることを止めない

ただわたしは、公くんさんが怖いですニャン本当はとっても怖いって、思ってます

 それは同性愛傾向の強いイズミにとっては、正直な気持ちなんだろうと思う  イズミはオレとセックスすることは、本当は嫌なんだ  しかもオレが裏の仕事もしていることを知って、ヤバい男だと気づいてしまった  だから、オレのことを怖がっている  いや、真樹がいないこの場では周りに居る人たち全員が怖いんだろう  明るくて馬鹿な娘のようだったけれど実際は、とても怖がりな娘なんだ

とイズミさんは言っているけれど、あなたはどうする公

 ミナホ姉さんは、笑ってオレに尋ねた  オレのできることは、いつだって一つしかない

イズミとセックスするよ昼まで

 オレの言葉に、イズミはぶるっと体を震わせる

イズミと二人きりで、セックスするとにかく、セックスしてセックスしながら、もう一度イズミがどんな女の子なのか感じてみるよ

 全身とペニスで

そうねあなたはそうした方が良いのでしょうね

 ミナホ姉さんはオレに微笑んだ

隣の部屋を使いなさいキーはこれよ

 オレにホテルの鍵を渡してくれた

ところで公、他にわたしに何かある

 オレがミナホ姉さんに頼みたいことは

午後に会う、芸能事務所の子たち特に、オレたちが絶対に手に入れないといけない二人の子についての調査資料が欲しいイズミとセックスした後に読むから

円城まどか、17歳と瀧王子詩織、14歳だっけ

さっきのミナホ姉さんの説明だけでは足りない

 詳細な調査資料があるのならデススタープロに行く前に、オレは読んでおかないといけない  オレは部屋の中でずっと黙ったまま控えている少女を見る  黒瀬安寿を

黒瀬安寿の調査資料も

 黒瀬安寿がスッと顔を上げて、オレを見る  そうオレは  一昨日に、黒瀬安寿を石上瑞希から取り上げてオレの警護役にしているけれど  彼女のことも、まだきちんと知ろうとしていない  ミナホ姉さんや翔姉ちゃんが何も言わないということは香月セキュリティサービスの調査では、問題の無い娘だと判明しているんだろうけれど  オレは彼女についても、もっと知っておく必要がある

判ったわ用意しておくわ

 ミナホ姉さんは、満足そうに笑った  だからオレの答えは正解だったんだと思う

あのわたくしのことは良いんですか

 木下さんが、あれれという顔をしてオレを見る  確かにオレは木下さんのバンバルビー以前の過去について何も知らない

木下さんのことはそのうち、時間を作って、まとめて木下さん自身から聞きます

 木下さんの過去は波瀾万丈の長編ドラマな気がする  調査報告書とか読んだぐらいでは、何も判らないだろう

あそういうことですか了解でーすそれなら、わたしの処女を差し上げる時に、ついでにお話ししまーす!

木下さんは明るく、そう言った

やっと再開できました

体調が良くなかったり、家の問題があったり書けない時は、本当に書けないですね

でも、それ以上にもう一度イズミという女の子について考えないと続きが書けないと思いました

物語の展開としては、ここでイズミとのセックスにならないといけないことは判っていたのですが

猛暑が続きますが、頑張っていきましょう

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