871.ハイ・ライフ / 降格
あたしが呼んでくるわあなたが行くと、アニエスが付いて来ようとするでしょうから
ミナホ姉さんは、そう言うとジッちゃんに頭を下げて、退室する
確かにさっきの感じだと、アニエスも水島可憐さんを友達に欲しがっているみたいだったし
でも、アニエスまで、この部屋に連れて来ることはできないもんな
ここでは、これからかなり厳しい空気になると思うし
それにしてもジッちゃんは、どうして鞍馬姉妹をこの部屋に連れて来たまま放置しているんだろう
鞍馬姉妹は、みすずが主催のパーティに来ることでイチかバチか、鞍馬家の救済をジッちゃんに直訴しようとした
そして、ジッちゃんはたくさんの名家のお嬢様たちの前で、拒絶してみせた
鞍馬姉妹は、鞍馬家がもうダメだということで落胆はしているけれど自分たちが黒い森の娼館に売り払われることになっているということは知らないはずだ
姉妹の父親の鞍馬家の現当主も、どこまで承知しているか判らない
ジッちゃんは、この姉妹の前で鞍馬家の当主に電話して何らかの話はつけないといけないんじゃないのか
なのに、鞍馬家の方を飛ばして
スパイを連れ来てしまった水島家の方から処理しようとしている
お姉様、お心をしっかりありすがおりますから
相変わらず気弱な姉を妹が励ましている
ミナホ姉さんに連れられて緊張した面持ちで、12歳の水島可憐さんが入って来た
この度は大変なご無礼を働き、誠に申し訳ございません
殊勝な態度は関心だが君から謝ってもらっても、どうにもならないのだよ
これは、水島家と香月家いや、今日のパーティに参加した全ての名家との問題だからな
天童乙女というスパイが潜入したことは全部の名家に関わる不祥事だ
天童乙女が、みすずたちの超お嬢様校に潜り込んだことで、それぞれのお嬢様の個人情報を探って、ヤクザに流していたかもしれないという懸念がある
今日のパーティだってレズッ子仲間にしたお嬢様を操って、みすずにイチャモンを付けたり悪い噂を流して、香月家の評判を落とそうとしていたし
そういう人間の潜入を許したということは名家全体の問題で
娘のそれもまだ小学生の可憐さんが謝っても、どうにもできないことだ
おっしゃる通りでございますわたくしは、まだ若輩者であり今回の失態について、責任を取って責めを受ける資格すら持ってはおりません
可憐さんは、凛とした態度でそう言う
ああ、君が自分の意志であのような不逞の輩を、私の屋敷に連れて来たのではないということは判っている
不逞の輩関西ヤクザたちのスパイである、天童乙女
君はただ祖父や父親に、あの少女を君の警護役にすると告げられただけだろうだから、全ての罪は水島くんにある私は君を責める気はないよ
言葉は優しいが、ジッちゃんの表情は冷たい
お言葉ではございますがしかしながら、私もあの方が問題のある人物であることは承知しておりました判っていたにもかかわらず、わたくしの護衛役として連れ歩いていたのでございます
だからそれは、君には父親の命令を拒絶することができなかったからなのだろうと言っている
少し不快そうに、ジッちゃんは答えた
そうだ悪いのは水島家の可憐さんの祖父や父親たちだ
可憐さん本人には罪は無い
それは、あくまでもわたくし個人の事情でございます
水島可憐さんは、毅然としてそう答える
そんな理由が名家に生まれた者として、許されないということは承知しております
若輩者だとしても、わたくしも水島家本家の娘でございます家の外に居る時は、どんな状況に置かれていても、水島の家を代表しているものだと考えております
名家の本家の娘
どこに居ても、どんな時でも人々の視線を受ける
**家の令嬢として、家の名誉を背負っている
ですから水島家が皆様に対して行ったご無礼は、全て、わたくしも同罪でございます祖父と父の犯した罪は、家の罪ですから、家人としてわたくしも処罰を受けなくてはならないのだと思います
可憐さんは、おでこに緊張の汗の玉を浮かべている
一生懸命香月家の恐ろしい当主に立ち向かっている
特に本日のパーティには、香月様のご家中の皆様だけでなく、わたくしが日頃から敬愛しております先輩の皆様、さらにはわたくしの大切なお友達がたくさんいらっしゃっておりますわたくしは、むざむざと皆様の前に、危険人物を連れて来てしまったのですこの失態は、決して許されるものではございません
みんな12歳の可憐さんには、罪が無いことは判っているだろうけれど
それでも、このままならわだかまりは残るだろう
形式的だけでも、可憐さんにも何らかの処分をしないとかえって、可憐さんが学校に居づらくなるかもしれない
香月様は、これから水島の家をご処罰なさると思いますどうか、わたくしも父と一緒に、罰して下さいませそしてお願い致しますどうか、父の臣下やミズシマ・ホールディングスの傘下の企業で働いて下さっている皆様に、罰が及ばぬようにしてはいただけないでしょうか伏して、お願い致します
可憐さんは、もう一度深々と頭を下げた
小賢しいね
驚いてジッちゃんを見る可憐さん
途中までは良かったが最後のその一言が余計だ作為を感じる
作為って
君のような幼い少女が、そういう態度でそういう話をするというのは一見、痛々しくて、何とか救ってやらなくてはいけないように思わされてしまいそうだが
ジッと、可憐さんを見る
それも君の祖父や父親の入れ知恵かね
もし天童乙女の正体がバレて、ジッちゃんの前で申し開きしなければならなくなったら
こういう風に話せと、祖父たちに命じられてきた
いや、これは全て、わたくし自身の考えでございます
可憐さんは、真っ直ぐにジッちゃんを見てそう言う
だとしたら、君という少女が小賢しいということになる
まあいい何が本当なのかは、いずれ判るだろうただ
ジッちゃんは、鞍馬姉妹を見る
12歳の少女でも、これだけ立派に自分の意見が言えるのだぞ鞍馬ありすくんは13歳、鞍馬美里くんに至ってはもう18歳だろう今まで、この部屋に居て私に対して、何のアピールもしないというのは、どういうことなのかね
泣いている姉と、その姉を気遣うだけの妹君たちは、自分たちが鞍馬の家を代表しているということさえ判っていないのだな
ジッちゃんの部屋に連れて来られても鞍馬姉妹は、ずっと怯えているだけだったんだ
そ、それはわたくしたちから何申し上げるのは、香月様に失礼なのではないかと思ったからなんですっ
妹のありすさんが、慌ててそう言う
ふん、後からなら何とでも言える元々、君たちは、みすずの招待にかこつけて、私に鞍馬家の窮状を訴えに来たのだろう
でも、それはパーティの前に、香月様のご叱責を受けましたので
一度、怒られたぐらいで、もう諦めるのかねそれで鞍馬家の伝統はどうなる家が潰れたら、ご先祖様に何とお詫びをするんだね鞍馬閣グループで働いてくれている諸君らには何と説明する
ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
姉の鞍馬美里さんが、眼からポロポロ涙を零しながら、ジッちゃんに謝った
もういいっ君たちのことは、後回しにする水島家の方を先に処理する
ああこういうことか
鞍馬姉妹の危機感を煽るために
部屋に連れて来ておきながら、わざと無視し
あげくに、後から呼んだ水島家の方を先に片付けようとする
鞍馬姉妹のプライドは、ズタズタになる
娼婦に堕とすための精神攻撃は、もう始まっている
慌てて、言葉を繋げようとする鞍馬ありすさん
黙っていろと言ったばかりだぞ
鞍馬美里さんが、また泣き出す
その阿鼻叫喚な光景が、水島可憐さんの精神も圧迫している
克子くん、悪いが水島の家に電話してくれ
はい、かしこまれましたわ
まるで秘書のように、克子姉が電話を掛ける
この流れは、事前に打ち合わせしてあったんだろうな
繋がりました、水島様です
克子姉の言葉にジッちゃんは、机の上の機械のスイッチを入れる
香月だ
か、閣下こ、この度は大変申し訳ございません
スピーカーから、老人の声がした
おそらく、これが水島家の現当主で、可憐さんの祖父の声なんだろう
言い訳は致しません関西の暴力団組織につけ込まれてしまいました気が付いた時には、もう逃げることはできずどうしても、彼らの言う通りにしなければならなくなっていましたそれで、今回のような不祥事を
水島老人は、ツラツラと語る
でどうするつもりかね
ジッちゃんは、一言だけ尋ねた
そ、それは、もちろん責任を取って、わたくしはミズシマ・ホールディングスの全ての役職から退きます今後は、わたくしの息子に
それでは足りんね全然、足りない
ジッちゃんは、バッサリと切り捨てた
わたくしの息子も、ミズシマ・ホールディングスから離れよと水島家に、ミズシマ・ホールディングスの経営から手を引けとおっしゃるのですか
そんなことは、どうでもいいのだよ私は、ミズシマ・ホールディングスのことなど興味は無い私を相手に、下らない交渉は止めたまえ
ジッちゃんは、厳しい声で言う
水島家の一族が、ミズシマ・ホールディングスの経営陣からいなくなったとしてもグループ企業全ての株の大半は、君が持っているんだ水島家がミズシマ・ホールディングスの傘下企業を支配していることに代わりは無い
私に譲歩する形にして君の思い通りにしようとする腹づもりだったのだろうがね
可憐さんの祖父が会長職を辞して、息子に継がせると言えば
ジッちゃんが、それを拒絶することは判っていたんだ
それで、ジッちゃんの言うとおりにするフリをして息子を経営のトップの地位に就けないで、話を終わらせようとした
現実には筆頭株主として、水島家が経営を支配しているし
いつでも、また企業のトップに戻ることができるのに
そもそも、君たちはこうなることを狙って、わざと不祥事を起こしたのだろう
そ、そんなわざとなど今回の一件は、あくまでも暴力団組織の圧力に屈せざるを得なかったという事情から
ミズシマ・ホールディングスのここ何期かの経営報告を見たよかなり業績が悪化しているようだね
えいや、あの
水島老人の声が上ずる
第2次世界大戦が終わった頃に、こんなジョークがあったのを君は知っているかね
貧しくて、経済破綻を起こしていてなおかつ国内が、様々な勢力に分かれて争っているどうしょうもない国がある既得権益を守ろうとする古い勢力がのさばっているせいで、国内の社会制度の改革もできないこのままでは、国ごと滅んでしまうことは眼に見えているそこで新しく選ばれた大臣が、こんな提案をするんだ
こうなったら、もう戦争しかありませんそれも世界一の強国、アメリカに宣戦布告するしかありませんとな
アメリカに戦争をフッ掛ける
もちろん、我が国は敗北してしまうでしょう私たちは戦争犯罪人として処罰されるかもしれませんしかし、戦勝国となったアメリカは私たちの国に乗り込んで来て、建て直してくれるはずです何千億ドルもの経済援助をし、古い態勢を崩壊させ、インフラ整備や医療や教育にも協力してくれるはずです戦争に負けることで、アメリカにこの国を再生してもらうのです
な、何じゃそりゃあ
第2次大戦後は、実際色んな国がアメリカの援助で立ち直った事例があったからな実際に、国の改革や経済復興のためにアメリカに戦争をフッ掛けた国はないが
君たちの今回の狙いはつまり、そういうことなのだろ
名家は潰せない、潰してはならないそれは私の信条だ実際、敗戦時に多くの名家が消えたからな没落したり、品の悪い乗っ取り屋に襲われたりあの頃の私たちは、自分の家を守るだけで精一杯だっただから、助けられなかった家がたくさんあるその後悔を忘れぬために私は、どんなことがあってもこれ以上名家が消えることのないようにしていきたいと思っている
は、はい、その閣下のお考えは大変よく承知しております
水島老人は言う
だから君はわざと不祥事を起こせば、私が君たちの企業に介入し資本を注入し、人材を補強し、傾きかけたミズシマ・ホールディングスを再生すると思ったのだろう
ジッちゃんが経営陣から、水島家の人間を排除しただけで終わるはずがない
香月グループから援助をして、ミズシマ・ホールディングスの企業を立ち直させる
水島家は、大株主だからミズシマ・ホールディングスが蘇れば、それでいい
ジッちゃんの名家への思いを利用しようとするなんて、酷い話だ
で、ではお力添えはいただけないのですか
水島老人は、驚愕している
君は大きな勘違いをしている私が、次の時代に残していかなくてはならないと考えているのは名家であって、名家の持つ企業グループではない
し、しかしこのままでは、ミズシマ・ホールディングスは倒れますそうなったら、水島家の資産も全て失われることに
そうはならんよ
水島家という名家は残すただし、ミズシマ・ホールディングスという企業グループは、分割し売却する
ば、売却
今のままの会社組織、従業員のままで君たちの傘下でない方が、業績が上がりそうなのが何社かあった同業他社に譲渡するべき企業もある雇用者たちの生活を考えたら、そうするのがベストだろうこのまま、ミズシマ・ホールディングスという中途半端な大きさ企業グループの中では、どの企業も先はあるまい
わ、わたくしたちにミズシマ・ホールディングス・グループを手放せとおっしゃるのですか
水島老人の言葉に、ジッちゃんは
そういう了見だから、関西の暴力団組織につけ込まれたのだよ
強く言った
水島家にはいや、君には企業グループの総帥たる経営能力が無かったそれだけのことだ世間の皆様にこれ以上迷惑を掛けないうちに、退き給え後片付けぐらいは、助けてやる
水島家の財産を集めて財団化するんだなそれで、先祖代々の文物は守れる水島家の体面が保てるだけの社会的な地位は、私が用意してやろう狩野家と同じだ
ああ、社会的な団体とかの名誉職みたいなのをいっぱいやって
生活だけは何とかできるようにしてくれるのか
それでは水島家は死んだも同然です
気落ちした様子で、水島老人は言った
ミズシマ・ホールディングス・グループを失うなんて
では、ミズシマ・ホールディングスと共に滅びたまえ
私の屋敷に暴力団組織の手の者を送り込んだことは全ての名家の怒りを買うことになるだろう私が水島の家は滅ぼすと宣言したら全ての名家が、君との縁を切ることになる
色んな名家の経営している会社が、一斉にミズシマ・ホールディングスとの取引を止める
この決定は、私だけでなく歌晏と狩野と連名で出すことにする
香月家だけでなく3大名家で
そ、それでは水島家は、全ての名家から見捨てられてしまいます
君のやったことの結果だ覚悟したまえよ
か、閣下ぁ
ああ、君の孫娘だがこのまま、我が家で引き取る私が適当な人物と結婚させ、水島家を継がせるこの娘は小賢しいところがあるが、勇気がある知性もある少なくとも、君や君の息子よりも見所があるちゃんと水島家だけは残してやるから、感謝したまえよ
お、お待ち下さい可憐はわたくしの大切な孫娘でございます
大切ならば、どうして暴力団組織の人間に委ねるようなことをしたのかねっ
厳しく叱責する
もう切るぞ君のような人間とは、話をするだけムダだ君には誠意が無い真摯さも無い
お、お待ち下さいかっ、閣下ぁぁ
ジッちゃんは、返事をせずに電話を切った
すぐに、別のところへ電話を掛ける
私だ水島が電話を掛けて来ても、私には繋ぐな君が応対しろそれでミズシマ・ホールディングスの分割の件は、どんどん進めてくれ大丈夫だすぐに泣きついてきて、そうなることになるそれで歌晏家や他の家にも、利益が出るように君のところで調整してくれたまえ今日の件の迷惑料は、それぞれの家に支払ってやらんとならんそうでもせんと、治まらない家もあるだろうから
ああ大切な家のお嬢様を危険に晒したということで
他の名家が、水島家を攻撃する前に水島家の持っている利権を分配する話を付けてしまおうというのか
うむ頼む高浜物産の方は娘がバカだったというだけのことだすでに高浜の方から詫びと今日来ている全ての家に対して、充分な慰謝料を支払うと連絡があった水島のやつも高浜ぐらい、周りを眼を見る眼があれば、こんなことにはならなかったのになまあ、仕方がない
天童乙女にそそのかされて、香月家に楯突いた高浜さんの方は
すでに、ジッちゃんや他の名家の人たちに全面降伏したんだ
だから問題が深刻にならずに許される
一方、水島家は姑息な工作をしようと企てたから
全面的に潰されることになった
頼んだぞ
ジッちゃんは秘書か、会社の部下か判らないけれど電話を切った
こういうことになったよ水島可憐くん
可憐さんに、厳しい表情で言う
水島家の先祖代々の屋敷や資産はバラバラに売り払われることがないように監視しておくだから、それらはきちんと君が引き継ぐことになるはずだ君個人の物ではなく、君が長となる財団の所有物ということになるかもしれないが
とりあえず次の世代には、残される
ミズシマ・ホールディングスという企業グループはなくなるそれは、覚悟してくれたまえ
可憐さんは、辛そうにうつむいた
そして、わたくしは水島家には、戻れないのですね
ああ、申し訳ないが帰すわけにはいかんな人質というわけではないが水島や彼の息子からは、引き離す
さっき君は家の罪は自分の罪だから、自分のことも罰して下さいと、私に言ったがその考えは、今でも変わっていないかね
可憐さんは
はい先ほども申し上げました通りあれは、わたしく自身の覚悟でございます
祖父や父に命じられたから、ああ言ったのではないと可憐さんは強調する
では、君自身も処罰することにする
何なりと、お申し付け下さいませ
可憐さんは、上品に一礼した
うむでは君は、今から香月家の家臣となれ
水島家という名家の令嬢ではない香月家に仕える1人の家臣だ
可憐さんは、ジッとジッちゃんを見ている
そうだな君が20歳になって成人した時に君を水島家の次の当主にするそれまで8年間香月家の臣下して、みすずに仕えるのだ
みすず様にで、ございますか
私には、12歳の少女にしてもらうような仕事は無い
ムッとして、ジッちゃんはそう言う
謝罪する、可憐さん
はっきり言えば君の祖父や父親は、今回、自分たちがしでかしたことの重さを理解していない典型的な坊ちゃん育ちの名家の当主だな自分が何をやっているのか判っていないしやってしまったことの結果、何が起きるかということに対して楽天的過ぎる
それは私も感じておりました
水島老人は自分たちが、ミズシマ・ホールディングスの経営から退けば、全てが許されると思っていた
それどころか、香月グループや他の名家が、ミズシマ・ホールディングスを建て直してくれるだろうとすら
名家には、結束が必要だ同じ業種で争っている家もあるが長い歴史を共有する古い家同士、なるべく協力しあっていかなくてはならない
だからこそ水島家が今回したことは、他の名家への裏切り行為なのだ家同士の信頼関係を破壊してしまうことだ
他の名家のお嬢様たちが集まっているパーティに暴力団関係者を送り込むということは
しかも、そういうことを引き起こしておきながら簡単に許してもらえるだろうと、舐めた態度に出た
一罰百戒というつまり水島家に対しては、思い処罰をしなければ、今後またこのようなことが起こらんとも限らない
暴力団だけでなく、悪い人間たちは、いつだって名家を狙っているのだからもう少し、それぞれの家に警戒させるためにも
だから、わたくしが名家の地位を剥奪され、みすず様の臣下に降格されるのですね
可憐さんは、答えた
うむそこまでやらねば他の家に示しが付くまいそして、さっきは8年後に君が成人したら、水島の家を再興させると約束したがそれも君自身の行動に掛かっている
わたくしが、みすず様に忠孝を果たさなかったら水島家の再建は無いということですのね
可憐さんは少し考える
水島家の先祖代々に伝わる財産の保全に関しては、お約束いただけるのですね
企業グループは諦めるとしても昔からの屋敷や、美術品などは
それは保証する私は老齢だが歌晏の息子にも話しておく他の名家の当主たちにもな水島家の財産は、消散しないただしそれを引き継ぐのは、君だ君の祖父や父親とは、私たちは今後、いかなる取引もしない
ジッちゃんは、12歳の少女を追い込んでいく
君は、自らの力でみすずへの忠節を示すことで、それぞれの名家の人々にアピールしていくことになるだろうそして、君の行動が認められれば成人共に、水島家の当主として名家に復帰することができるのだ
みすずに忠節を尽くすということは
みすずのペットになるということだ
そんなことは12歳の少女は、想像していないだろう
判りましたわたくし、香月家にお仕え致します
可憐さんはそう答えた
わたくしもそうすることでしか、水島家が他の名家の皆様に許していただくことはできないと思います
そして、何より香月様が、わたくしや水島家のために、ここまでお考えになって下さったことですから
真面目な顔で、12歳の美しいお嬢様は言った
みすず様にお仕えする忠実な臣下になりますわ
昔、良い家のお坊ちゃん過ぎて大学生でも彼女とセックスしないという男の子が同級生に居ました
つまり、間違って子供ができたりしたら家の問題になるから、セックスするなと親兄弟に言われてそれを守っているという
本当に、そういう家の子は実在するわけで
その男の子の彼女は、セックスしてくれないからという理由で別れてました
まあ、よくよく考えたら将来的に結婚するつもりはないという表明でもあるわけなので
一度、その男の子と飲んだ時に聞いたのですが、本当に親に
お前が誰と結婚するかで、家の力が強化されるんだから勝手に相手を見つけてくるなと言われていたそうです
そんな人生もあるのか
872.ハイ・ライフ / 堕ちる前
では、後ほど中庭に居る連中に君自身が、そう伝えなさい
ジッちゃんは、水島可憐さんにそう言う
今日のパーティに来た名家のお嬢様たちに可憐さん自身が、香月家のみすずの臣下になることを告げるのか
それは、名家・水島家のお嬢様という地位を奪われることを意味する
可憐さんは、スッと頭を下げた
うむ、ではしばらく元の部屋で待機していたまえ
外では、まだみんな楽しくパーティを続けている
水島可憐さんがみんなに報告するのは、パーティの終了寸前がベストだろうな
アニエスの披露と一緒に、すればいい
あたしが送って行きますわアニエスちゃんたちが居るお部屋でしょ
ああ、頼む克子くん
はいじゃあ、参りましょう
克子姉が笑顔で、水島可憐さんを連れて退室して行った
部屋の中に残ったのは
ジッちゃんと2人の専任警護人
鞍馬姉妹
そして、オレとミナホ姉さん
お前たちも、少し外していてくれ
ジッちゃんが、背後に控えている大徳さん、張本さんに言った
キョーコくんたちが退室したのだこの部屋にはもう、危険な人物はいない
は失礼致します
大徳さんと張本さんも部屋を出て行く
ドアが、ガチャッと閉ざされると
お前はどう思うね
ジッちゃんは、いきなりオレにそう尋ねた
私はムダなことをしているのかもしれん
名家のことだよ私は名家を守りたいと思っているが現状は、名家は減る一方だそれも自分から没落の道に進んでいる家が多い
今の水島の甘えた態度を聞いたいただろ私が名家を潰すようなことはしないと思っているから、こんな不祥事を起こしてもなお、家を救済してもらえるものだと思い込んでいる
確かに舐めていたよな
香月家の本家に関西ヤクザのスパイを送り込むっていうことが、どれくらいシャレにならない話なのか全然判っていなかった
また、今日のパーティには他の名家のお嬢様も来ているわけで他の家がどう思うかなんてことも、考えていない
だから、あの娘を香月家が保護するのではなく、臣下に落とすしか手がなくなったのだ
ジッちゃんは苦々しく言う
話してみたところ水島可憐というあの娘は、まだまともだ今なら、まだ修正がきくだろうしかし、このまま祖父や父親のところへ帰したら名家の地位に甘えただけの困った大人に成長してしまうことは眼に見えている
いやあの子は
可憐さんは、ちゃんとした子だったと思うけど
礼儀正しいし、責任感も強そうだし、頭も良さそうに見えた
別に、親が変だからって子供も同じ様になるとは限らないと思うけれど
今の水島家の連中とは引き離し20歳までみすずに仕えさせ、名家の人間としての教育を徹底的に施してやらんとならんそうしなければ、水島家は屋敷や財産が残ったとしても、名家としての誇りの無い家になってしまうそれでは、家が残ったことにはならん
ジッちゃんは、オレに話すフリをして鞍馬姉妹に話しているんだな
鞍馬家もそうだ私たちの忠告を無視して外国資本の口車に乗り、伝統ある鞍馬閣を取り壊し、高層ホテルに建て替えようとしたのに今になって、外国人に騙されていたから助けてくれというのは話にならんよ
鞍馬姉妹の妹のありすさんが頭を下げる
君には話していない私は、こいつと内輪の話をしているんだ
ありすさんを叱りつける、ジッちゃん
姉の美里さんが、また泣きながら謝る
水島家は、私の家に不逞の輩を忍び込ませたことによって、傘下の企業グループを失うことになる本家の跡を継ぐべき娘は、香月家の臣下となるそれぐらいの処罰をしなければ他の家が納得しないまた、こんな馬鹿げたことが二度と起こらないように、厳しい態度でのぞむのは当然のことだ
では、鞍馬家にはいかなる処分を行うべきだろうか鞍馬家が経営している鞍馬閣グループは、本体の鞍馬閣にこそ価値があったその歴史と伝統のある建物と庭園に価値があったからこそ、グループの他のホテルや高級料亭も高い品格を保てたのだ
価値と品格
その大切な鞍馬閣が失われてしまった以上、グループに残っているのはどこにでもある普通のホテルや料亭だもし、鞍馬閣の跡地に高級高層ホテルが完成していたとしても、伝統ある古い鞍馬閣が持っていたほどの品格は感じられなかったろう
どれだけハイグレードな新しいホテルを建設したとしても取り戻せないものがある
名家とはすなわち何か大切な物を先祖より受け継ぎ、次の世代へと守り続けているかということだ鞍馬の家の場合は、あの鞍馬閣こそが受け継ぎ、守り続けるべきものだったのだそれを失ってしまった以上、鞍馬家はもはや名家ではない私たちが助けてやるべき家ではないのだ
ジッちゃんの言葉に鞍馬姉妹は、震え上がる
全く、残念だよこのようなことで、伝統ある名家が1つ消えしまうということは
ジッちゃんは、水島家は可憐さんの代で再興すると
企業グループは分割売却しても水島家の先祖代々の屋敷や資産は、財団化してでも、可憐さんに受け継がせると約束していた
しかし、鞍馬家に対しては
受け継いでいく価値のあるものさえなくなってしまっているからこのまま潰すと宣言している
こ、香月様そ、それはあんまりでございます
あああ、ごめんなさいごめんなさいあああっ
取り乱す妹と姉
騒がしいぞ君たちとは、話していないと言っている
ジッちゃんの態度は、どこまでも冷たい
怯えて震え上がる妹
しかし、姉の方は泣きながら
ご、ごめんなさいわ、わたくしたちがく、鞍馬の家が、もはやお救いいただけないということはわ、判っておりますで、でも
ポロポロ涙を流しながら、鞍馬美里さんは言う
わたくしたちは自業自得でもく、鞍馬閣グループで働いていただいている方たちがあの方たちを路頭に迷わせるわけにはそれだけはできません
ご、ご無礼は承知で申し上げますどうか、鞍馬閣グループだけはお救いいただけけませんか今のままではこのままでは、倒産してしまうと思いますそうなったら、おそらく皆様の退職金を支払うことすらできないのではないかと
そんな鞍馬美里さんに、ジッちゃんは
それは君でなく君の父親が、私に言うべきことだろう
高校生の娘でなくお父さんの鞍馬家の現当主が
鞍馬閣グループを経営しているのは、お父さんなんだから
し、しかしあ、あの、香月様は父とお会いして下さらないと伺いましたので
当たり前だ大金を貸してくれと言ってくるのが判っている男と、どうしてわざわざ時間を作って会ってやらないといけないのだ
で、ですから父の代わりに、わたくしとお姉様が
ありすさんも、必死にジッちゃんに言う
代わりになるわけがないだろうそういうのは、娘を使った泣き落としというのだ
確かにその通りだと思う
お前が鞍馬だったとしたらどうする
ジッちゃんは、オレに尋ねる
いや、お金を貸してくれるのがジッちゃんしかいないのならまずは、どんなことをしてでも会ってもらうように頑張るだろうけれどでも、自分で会わないと意味がないよなみすずのパーティのついでに、娘からお願いさせるっていうのは違うと思うそれと
何だ何でも思った通りに言ってみろ
鞍馬家の方から、自分の身を切るという話が何も出ていないと思う
身を切るで、ございますか
ありすさんが、オレに尋ねた
そうだよただこのままでは、みんな困るのでグループの会社を助けて下さいじゃなくってさジッちゃんにとっても、メリットのある提案をしないとさ
メリット
そうだよ鞍馬さんたちは鞍馬さんのお父さんもそうなんだろうけれど、ジッちゃんにはもうすでに充分な資産があって、権力者の知り合いもいっぱいいるからただただ一方的に自分たちの苦況を助けてくれるものだと思ってるだろ
だからお助け下さいみたいな物の言い方をする
でもさジッちゃんのとこの香月グループだってみんな営利企業なんだからさ自分にとって損な取引をわざわざやるはずないじゃないか
しかし鞍馬閣グループには
ありすさんが反論しようとするが
本体の鞍馬閣はブッ壊しちゃったんだろうけれど他にもホテルとか高級料亭とかを経営しているんだろ
鞍馬閣がなくなった以上、他の施設には価値がなくなったと、先ほどおっしゃられたばかりですわ
ありすさんが、ムッとしてオレを見る
それは、そう言うさジッちゃんの立場から安く買い叩くチャンスなんだから
オレは、彼女の眼を見てそう言う
買い叩く
驚いている美里さんとありすさん
はぁホント、お嬢様なんだな
そういう発想が出て来ないのか
鞍馬家にお金がないんだから売るしかないんだよジッちゃんは価値が無いって言ったけれどきっと、それでも幾つかのホテルや料亭は、そこそこの値が付くはずなんだゼロっていうことはあり得ない香月グループって、ホテルとか料亭の経営もやっているの
オレは、ジッちゃんに尋ねた
もちろんやっている企業もある
じゃあ、ただお金を貸して下さいじゃなく自分の持っているホテルや料亭を買って下さいっていう話だったら、ジッちゃんは鞍馬さんに会った
会わんよただ、担当の者に話を聞きに行かせはする無視はせんよ一等地にあるホテルや旅館なら、儲け話に繋がる話になるからな
で、ですがもし、今の鞍馬閣グループから、高い収益の出ているホテルや旅館がなくなれば
は、はい鞍馬閣グループが立ち行かなくなってしまいますっ
美里さんとありすさんがそう言う
いや、あのだからもう、すでにそういうレベルの話じゃなくなっていると思うんですけれど
どういうことですのっ
ツンとするありすさんに、オレは
だからもう手遅れなんですよ鞍馬閣グループは
結局、この姉妹も鞍馬家の当主もジッちゃんが動けば、鞍馬閣グループは今のまま存続すると思っている
君たちの父親は私に資金援助を求めながら、まだ外国の投資家との関係を続けているね
当座の資金を私から借り入れれば鞍馬閣の跡地に作っている高層ホテルが完成するホテルさえできてしまえば、グループ全体の経営は持ち直すそうなったら、また外国の別の投資ファンドと提携して事業を拡大しようとしているつまり、私のことは一時しのぎだとしか思っていない今後も、私たちの忠告を聞くつもりはないしいつでも、私たちを裏切るつもりでいる
そ、そんな父は
わたくしたちのお父様は
口籠もる鞍馬姉妹
仕方ないよ君たちの父親は鞍馬くんは名家から逃げ出したいと思っているんだからね
名家から逃げたい
名家の一員でいる限り私や歌晏や、他の名家の長老たちの指図を受けることになる私たちは忠告のつもりだが彼にとっては、うるさい老人たちの小言でしかないんだろう名家なんてものから抜けだしてただの実業家として、思う存分自分の力を試してみたいのだと思う
ジッちゃんの眼は暗かった
鞍馬くんのような考えは父親から当主を継いだばかりの若い連中に多い自分が名家というぬるま湯の中で育った井の中の蛙だということに気付かず、私たち老人の忠告を聞かずに馬鹿な振る舞いをしようとする者はねただほとんどの場合、臣下が若い当主の暴走を止める鞍馬くんの場合は、残念だったよ家の中に彼を止めてくれる忠臣がいなかったということなんだろうね
単純に古い鞍馬閣を、最新式の高層ホテルにした方が儲かるって思ったんじゃなくって先祖代々、受け継いで来た鞍馬閣を守り続ける人生が嫌になったってこと
おそらく完全に破壊してしまえば、過去からの因縁から逃れられると思ったのだろう馬鹿な話だ先祖から受け継ぐ物があったからこそ、名家の一員として豊かな生活を享受してきたというのに
鞍馬さんのお父さんは、自分の意志で由緒ある鞍馬閣を破壊した
名家に生まれたしがらみから、逃れたいと
それなのに資金に困ったら、名家のツテを頼って、ジッちゃんに救済して欲しいと言ってくる
だからだよ私は鞍馬くんを許すわけにはいかない私たち老人の忠告を聞かなかったら家が潰れようが、企業が倒産しようが絶対に助けないという前例を作らねばならないそうしなければ今後、また似たようなことが起きる
ジッちゃんたち名家の人たちが残すべきだと思っている先祖代々受け継いできた物を
若い世代の当主たちが、気軽に処分しないように
勝手なことをしたら、絶対に助けないというメッセージを出さないと
わたくしはわたくしだって、あの古い鞍馬閣が大好きでしたあそこには、亡くなったお祖父様たちとの思い出もございましたでも
鞍馬ありすさんが、ジッちゃんを見る
なぜ、古い物を残さないといけないのですかわたくしにはお父様のお気持ちも判ります新しい時代なのですから、新しい物を作っていくことだって必要ではありませんか
君のように若い人間には、判らないことなのかもしれないただ1つの現実があるどれだけ素晴らしいホテルを建て直そうと、古い鞍馬閣の方が価値があったということだこれだけは絶対に覆らんよ
何故です新しいホテルだってお父様が一生懸命なさったら、古い鞍馬閣の価値を上回ることができるかもしれないではありませんか
ありすさんはそう言う
無理だね古き物とはそれだけで、充分な価値があるのだよ
キッパリと、ジッちゃんは答える
どんな物もいずれは失われる人は死ぬ物は壊れる永遠に残るものなど、この宇宙にはないいや、宇宙そのものにさえ終わりがある
エントロピーという言葉を知っているか
そんなの初めて聞いた
物質は、エネルギーに変わるエネルギーに変われば、失われるお前は、毎日何キロもの食料を食べるが、お前の体重はそんなに変わらないでは、食べたはずの物質の重さはどこへ行ったのか答えは、エネルギーに変換され消滅してしまった
判るかね人間が物を食べて活動する度にエネルギー化された分だけ、宇宙から物質が消える火もエネルギーだどんな物も燃やせば消滅するいや、ただこうやって座っているだけでも風が触れるだけで、摩擦熱が起きる熱になることで物質は減っていくこの世のあらゆる物質はいずれエネルギーとなり、消滅する宇宙は誕生して以来、どんどん消滅し軽くなっているのだいずれは何もかもが消えゆく運命にある
あの鞍馬閣は約百年の歴史があった当時の美術・工芸の粋を集めて作られた建物と庭が百年の時を経て、現存していたのだそれがどれだけ価値のあることだったのか君には判らないのか
鞍馬ありすさんは、ウッと息を呑む
物は失われる無常だだからこそ私たちは、古き物をできうる限り、後生に伝えていかねばならないのではないか特に、先祖より古き物を託された私たち、名家の人間は
ジッちゃんは、ハァと大きく溜息を吐く
いや鞍馬閣は、もう失われたのだな守るべき古き物を失くした鞍馬家はもはや名家ではない
も、申し訳ございませんでしたぁぁ
鞍馬美里さんが、椅子から床に這いつくばりジッちゃんに土下座した
激しく泣きじゃくりながら
ありすさんも、慌てて床に膝を付く
ありすも香月様にお詫びなさい
でもじゃありませんわ
だけど香月様にお詫びしてももう、鞍馬家が潰れてしまうのなら
あらそれは、あなたたち次第だと思うけれど
ミナホ姉さんが動き出す
水島さんの件をあなたたちは見ていたのではなくて
ニヤッと、姉妹に微笑む
経営していた企業グループは全て失うことになっても水島家は、名家として生き残ることが許されたわただし今後の水島可憐さんの働き次第でしょうけれど
ジッちゃんは、20歳になったら可憐さんを水島家の当主にして、名家の一員に復帰させると約束はした
ただしそれは、可憐さんがみすずの臣下として、ちゃんと働いたことを認められたらで
可憐さんが忠実な臣下でなかったら約束は守られないだろう
わ、わたくしたちも香月家の臣下になれとおっしゃるのですか
気の強いありすさんが、ミナホ姉さんに言う
臣下になんて、なれるはずがないでしょ
鞍馬家がしたことは水島家以上の大罪なのよ鞍馬閣は、名家の皆様にとっても、思い出の多い大切な場所だったのだから
大切な聖地が勝手に壊されてしまった
ジッちゃんたちの再三の忠告を無視して
水島家は、罰として一定期間、名家としての地位を失うだけで済んだのよ可憐さんの臣下降格はいずれ、名家に復帰するということが前提になっているんだものでも、鞍馬家は自ら、名家の地位を放棄したと見なされているわけですから
ミナホ姉さんの言葉に、鞍馬姉妹はお互いの身体を抱きしめて震え出す
ではわたくしたちは、どうしたら良いとおっしゃるのですか
頑張ってそう尋ねるが、ありすさんの声も震えていた
陰徳を積みたまえ
イントク
鞍馬閣グループの優良な施設は、買い取ってやる香月グループだけでなく、他の名家にも口をきいてやる買い叩きはせん適価で買おうそうでないと、外国資本が買い取ろうとするだろうそれは避けたいすでに、君たちの父親のところにに国外からの話が来ていることも知っている
別に構わん営利企業なのだからより良い条件を出したところに売りたいと思うのは当然だろうただの商売人なら、そう考えるはずだ
ジッちゃんはもう、姉妹の父親を名家の一員ではなくただの商売人と言い切った
だから、外国の連中よりは高く買ってやる従業員も、そのまま全員雇用し続けるそれも約束するしかしこれは、名家の人間同士の助け合いではなく、ただのビジネスだ香月グループとしては、それ以上のことはするつもりはない
で、ですがそれでは鞍馬閣グループには、業績の悪い施設しか残りませんし売却で得たお金だけでは、現在の苦況を乗り切ることはできません
鞍馬美里さんは、ジッちゃんにそう言う
そんなことは私は知らんよビジネスにならないことを香月グループはしない
断固としてそう言う
もうダメですわお姉様
諦めようとするありすさん
ありすさんは、まだ13歳ですからきっとご存じないでしょうね
でも、美里さんは、もう18歳でいらっしゃいますからご存じかもしれないと思うんです
何のお話でしょう
床に手をついたままミナホ姉さんを見上げる、美里さん
あたし黒森御名穂と言います
ミナホ姉さんは自己紹介をする
黒い森という組織のこと聞いたことは、ございませんか
ポカンとしてる、鞍馬姉妹
政財界の要職にある高貴な皆様に若くて健康的な女性を提供しております
驚く、美里さん
お、お姉様どういうお話ですの
ああ、ありすさんは性的なサービスをする娼婦の存在を知らないのか
いや、もしかしたらセックスそのものの知識も無いのかもしれない
瑠璃子という前例もある
そういう高級娼館の主をしております
微笑む、ミナホ姉さん
そういうお仕事の方がわたくしたちに何か御用なのですか
毅然として、美里さんは尋ねる
いえお金にお困りでしたら、お売りになられたら良いと思うんですあたしのところは、お客様は皆様裕福な方たちばかりですし
わたくしに娼婦になれとおっしゃるのですか
ムッとする美里さん
そういう選択肢もあるというお話ですわあたし強制するつもりは、ございませんからあなたの方から雇って下さいと頭を下げて来ない限り、あたしの方からお話を進めるつもりはございませんから
ミナホ姉さんは、余裕たっぷりにそう言い切った
感想欄の返信が滞りっぱなしで、済みません
何とか少しずつ、返信していきます
やっと、時間が取れそうなので
次話で何とか鞍馬姉妹を納得させてアニエスの披露で、パーティは終わりですね
で、夜のエロ話の方へ
1人ずつ、やっつけていく感じですか
今日、小耳に挟んだ話
秋葉原で、オモチャ屋さん同士らしい人たちの会話
先週くらいからさ、妖怪**がパタッと売れなくなった
やばいじゃん
うん多分、もう子供が飽きたんだと思う
流行りに火が付く時もハッとするけれど下火になる時も判るよな
うんいつものパターン今が潮目もう多分ダメだね
でも先週とかに、新商品が出たばっかりじゃないプラモとか
だからB社は判ってないんだよ遅いんだってもっと早く出してくれりゃ、飛ぶように売れたのにさ
まあ、小買の言うことは聞いてくんねーもんなあ
ああ妖怪**、そんなことになっているんだ
あくまでも、この人たちの意見なんだろうけれど
873.ハイ・ライフ / 魔改造
お姉様、娼館とか娼婦とかわたくしには、初めて聞きましたそれは、どのようなものなのですか
やっぱり、まだ13歳のお嬢様鞍馬ありすさんは、性的な知識を制限されている
娼婦というのはお金をいただく代わりに、殿方にいかがわしい行為をする仕事のことです
姉の鞍馬美里さんが、答える
いかがわしいそれは具体的には、どのようなことなのですか
それはわたくしにも、よく判りませんっ
18歳の美里さんは、世の中にセックスというものが存在していることは知っているようだ
ただ、その具体的な詳細までは、よく知らないみたいだな
さっきの水島可憐さんもそうだけど
本当に、みんな箱入りの超・お嬢様なんだ
いやきっと
あれだけ余裕たっぷりの雰囲気を醸し出している歌晏さん桃子姉ちゃんだって、性的な知識は疎いんだろう
キョーコさんがジッちゃんに抗議していた通りお嬢様たちの性は、抑圧されたままになっているのかもしれない
でも、お金にはなるわよあたしの娼館のお客様は、皆さん、とってもお金持ちですから
鞍馬美里さんは、ジッちゃんを見て
これは香月様のご命令ですか
キッとして尋ねる
香月様はわたくしたち鞍馬の血を引く娘を、娼婦になさりたいのですか
私は知らんよたまたま、ここに居た御名穂くんが、そういう商売もやっている人間で君たちに、ビジネスを持ち掛けているだけじゃないか
自分の意志とは関係無いと言い切る
そのオファーを受けるか、断るかは君たち自身の問題だ私の関知する問題ではないただ御名穂くんの話は、よく聞いておいた方が良いと思うぞ今の情勢ならば鞍馬家は確実に破産するし、私たちが買い取りを拒否した鞍馬閣グループのホテルや料亭は、経営破綻する確か解雇する従業員に支払う退職金さえ不足していると言っていたね
さっき鞍馬美里さんが、ジッちゃんに資金援助してもらうために言った言葉がブーメランになって跳ね返って来る
鞍馬家のせいで長年働いてくれた従業員たちにまで迷惑を掛けるつもりかね取引先への支払いは、全て終わっているのかね鞍馬閣グループの崩壊の煽りを食らって、よそ様の企業を連鎖倒産させたりしたら大変なことになるぞ
口籠もる美里さん
そう思われるのでしたら、お助け下さいお願い致します、香月様
鞍馬ありすさんが、破れかぶれでジッちゃんに叫ぶ
いい加減にしたまえ
私は、できる限り名家を残したいとは願っているしかし、だからといって私に全ての家を救済するだけの力があると思うかね
でも香月様は鞍馬の家よりも、もっともっと大きなお家のご当主でいらっしゃいますわ
ありすさんは、半泣きで叫ぶ
その通りだ正直に言おう香月グループの財力なら、鞍馬閣グループを吸収し、君たちの全ての負債を帳消しにすることは可能だろう
だが、そんなことは絶対にしてはならないのだ
強い眼で睨む、13歳の美少女にジッちゃんは
名家の当主が舵取りを失敗して、自分の企業体の経営を傾かせてしまったとしても必ず、香月家が救済してくれるなんという噂になっては困るのだそんないい加減なことではなどうせ最後は、香月が尻を拭いてくれると、放漫な経営をする名家が出て来るかもしれないわざと経営を悪化させて、私から資金を引き出そうとするような輩だっている君はさっきの私と水島くんの電話を聞いていただろう
そうだ水島可憐さんの祖父は
香月家にスパイを送り込む不祥事を利用して自分たちの企業を、香月家の力で建て直してもらおうとしていた
名家の当主たちが、みんなああいう甘い考えの人間になってしまったら香月家の財産は、全て、他の家の救済で食い潰されてしまうそういうことは避けないといけない
そもそも、鞍馬の今の当主だって散々、ジッちゃんの忠告を無視した結果、大失敗をしたのに
平気で、ジッちゃんに助けてもらおうとしている、どうしょうもない人だ
だから私は、君たちにビジネスとして成立する以上のことはしてやれなのだ香月グループが買い取る価値のある資産だけは、買ってやる後のことは、知らん君たち自身の力で不足分の資金を調達するか、全てを投げ捨てて夜逃げでもしたまえ
ありすさんは、どうしていいか判らないという表情をしていた
幼い君のために、もう一度判りやすく説明してやったのだ感謝して欲しいね
吐き捨てる様に、ジッちゃんは言った
一応、あたしの方で計算してあるのよ鞍馬家が、全ての事業を清算するためには、あとどれくらいのお金が必要かまだ残っている採算性の悪いホテルや料亭は、どこかの会社に引き取ってもらうのだってお金が掛かるのよそれから再雇用できない従業員たちの再就職とかのお世話とかも今すでに足りないお金だけでなく、これから必要になるお金もいっぱいあるのよ
そうねもしあたしのところで娼婦になるのなら、そういう一切合切も全て請け負ってあげることはできるわよあたしが責任を持って、処理するわ
御名穂くんの能力は、私が保証する彼女の仕事は信頼できるよ
多分ねあなたたちが娼婦になるぐらいのことをしないと、鞍馬家の抱える問題は対処できないと思うわ
香月家が救済しないということはこの国の金融機関は、全て鞍馬閣グループの支援はしないということよとういうより今回の件は、あなたたちのお父様が外国の投資家ファンドの口車に乗ったのがそもそもの始まりでしょ国内のお金に関する業務をやっている会社の鞍馬家の評判はサイアクよでも、だからと言って国外の金融機関を頼っても、この先近寄って来るのは、みんなハゲタカよ残っている鞍馬家の資産を剥ぎ取ることしか考えていない連中つまりねあなたたちの家は、もう詰んでいるのよ
国内には、鞍馬家を助ける人はもういない
国外を探しても鬼みたいなやつらが寄って来るだけだ
わ、わたくしたちは
姉妹は床の上で絶望する
だから、娼婦になることをお勧めするのよメリットは2つあるわ1つはとにかく、お金になるということあなたみたいな、若いだけで何の能力も無い甘やかされて育てられたお嬢様でも、たくさんのお金を稼ぐことができるわ
具体的な金額を言わないのは
この2人が、本物のお嬢様だからだ
この子たちは、お金で困った経験はこれまで1度も無いだろうから
10万円も、100万円も、1000万円も大した区別がない
自分が客といかがわしい行為をして働けば企業グループの損失を埋めるぐらいのお金を稼ぐことができると信じ込ませることができる
もう1つのメリットは鞍馬家の令嬢が娼婦になってまで、負債を返済しようとしているという姿を示すことができれば今は、あなたたちに冷たい態度を取るしかない名家の皆様も、態度を変えられるかもしれないということね
ミナホ姉さんの言葉に、ありすさんが顔を上げる
結局鞍馬家が、自分のしたことに対して、きちんと責任を果たしているかどうかが問題なのよ香月様や他の名家に泣きつくだけでなくちゃんと、自分の身を切るようなことをしているのかどうかがお嬢様が娼婦になってまで、負債や従業員たちへの補償金を稼いでいるというのは、皆様に対するアピールとしては一番良い物だと思うけれど
姉の美里さんも、ハッとしてミナホ姉さんを見上げる
まあいいわこちらのお屋敷に、あたしは、もうしばらく居ますからあたしが帰るまでにじっくり考えておいて
バサッとミナホ姉さんは、話を打ち切る
ああ、勝手にやっていてくれたまえいずれにせよ、私は鞍馬家のことには、深くは関わりたくない
ジッちゃんも、そう言う
君たちがどうするにしても中庭にいる他の家の少女たちが、この屋敷から帰るまでは、ここに居てもらう鞍馬の娘たちは、先に帰ったらしいなんて話になるのは、君たちも困るだろうしばらく、この部屋に居て今後の身の振り方を考えてみたまえ
家にお父様と連絡したいのですが
鞍馬ありすさんが、ジッちゃんに言う
わたくしたちの携帯電話は、車の方に置いたままになっております
ああ携帯電話なんかを、香月家のパーティに持ち込むのは無粋だから
ここの屋敷の中では、携帯電話は使えんよそういう風にしてある
スパイが入り込んで、外部と連絡なんかをしないようにか
電話は、ここにあるこれを使いたまえ受話器を取ったら、私の秘書に繋がるから彼女から、鞍馬家でも、鞍馬くん本人の携帯電話にでも繋いでもらうといい
警察とか、弁護士とか、報道関係者とか
ジッちゃんが電話して欲しくない人とは、電話することができない
さて、私もそろそろ仕事に戻らんといけないお前も来い御名穂くんもだこの部屋には、この姉妹だけにしてやろう
お茶などが欲しくなったら、同じようにその電話で秘書に言い給え遠慮はいらん企業への資金援助はしてやらんが、お茶と菓子ぐらいは幾らでも出してやる
みすずたちのパーティがお開きになるまで、もう1時間もかかるまいそれまで姉妹で話し合ってみるんだな
鞍馬姉妹はうつむいたまま返答をしなかった
ジッちゃんと一緒に外に出る
ミナホ姉さんも一緒だ
外では、待機していた大徳さんたちがジッちゃんの前後に立つ
大丈夫だあの部屋の監視はさせている思い詰めて、自殺するようなことはないだろうというよりそこまで思い詰めるほど、あの姉妹にとって今の逆境がリアリティのある物にまだ感じられていないと思う
廊下を歩きながらジッちゃんは、そう言う
鞍馬さんたちがいや、予定ではお姉さんの美里さんだけなんだっけ娼婦になるのは
ミナホ姉さんが、返事する
でも美里さんが娼婦になっても、鞍馬閣グループの借金を全部返すとかは無理だろ
高級娼婦なんだから数百万とか、数千万までは稼げるかもしれないけれど
当たり前だ鞍馬閣グループの負債は、数百億だぞ
さっき御名穂くんが言った通り清算してやるだけでも、大変な苦労だだが、やってやらねばなるまい
あの子たちには、香月様でなくあたしが清算事業を担当すると話したけれどこんな大きな企業グループの清算なんて、香月グループじゃないと無理よ
そうだ結局は私がケツを拭いてやるしかないだが、それではさっき話していた通り他の名家に対して示しがつかんからなだから鞍馬家は、名家としての地位を剥奪し娘を娼婦に堕とすそこまで酷いことをやらなければならんのだよ
ああ鞍馬姉妹には、ああ言ったけれど
実際のところ、ジッちゃんが動いてあげるしかないのか
鞍馬家にしても、水島家にしても自分から、落ちていく私は、できる限り多くの名家を残したいのに私自身が、名家であった家を格落ちさせる宣言をしてやることになるとは
香月様水島様の方は、いずれまた名家に復帰させるという予定ですから
ミナホ姉さんが、そう言ってジッちゃんを慰める
水島可憐さんが、みすずの忠実な臣下として仕えてくれたなら20歳で、水島家の当主にして、水島家を再興させるという約束をしている
それまでは、水島家の先祖代々の財産も保全すると
水島家は、まだ眼が残っているしかし、鞍馬家は
ジッちゃんの声は暗い
子孫に残すべき資産すら、もう無いのだからな
鞍馬閣の歴史ある建物も庭園も今は、もう無い
情けない話だまったく
名家というものに対しての、ジッちゃんの思いはオレには判らない
とにかく、水島の娘たちの方は頼む
ジッちゃんは、ミナホ姉さんにそう告げた
親の方は私が片付けておくよ
鞍馬の家は本当に潰れてしまうんだな
良信いいかしら
黒森公でなく、オレを良信と呼んだ
黒い森の娼館では、もう娘を無理矢理にレイプして、娼婦に堕としたりはしないから
だから、鞍馬美里さんには自分から、額を床に擦り付けて娼婦をやらせて下さいと懇願させるわよきちんと納得した上で、働いてもらうようにするから
それがミナホ姉さんの娼館を再開する覚悟
そうなるようにするためには嘘も吐くわ酷い誤魔化しもするわそれでも、あの子自身が自分の意志で、そう決めたと思ってくれないと、娼婦なんていうツライ仕事には耐えられないわ
判っているオレもどんな酷いことでもするよあの子が、割り切って娼婦になれるように
この件は、鞍馬家とその企業の経済問題だけでなく
他の名家をも巻き込んでいる
鞍馬美里さんが娼婦にならないと色んなことが、色んな立場の人たちが収まらない
だからこの運命は、もう変えられない
ありすさんもだよね
ええあなたももう判っていると思うけれど美里さんは、精神的に脆いから
妹とセットでないと心が壊れる
いや、ありすさんだって姉だけに、辛い思いをさせることはできないだろう
でも、ありすさんの方がダマシやすいでしょ
ミナホ姉さんは、真顔でそう言った
性的な知識がなくて、姉をいつもかばおうとしていてしかも、物怖じせずにハキハキと喋る子だ
内向的な性質の姉よりも、堕としやすいだろう
やり方は、あなたに任せるわ黒い森は13歳の娼婦は使わないからありすさんの方は、あなた専用のセックス玩具にしてちょうだい
ミナホ姉さんは、ジッちゃんの前でそう言う
ああ、お前の好きにしろただしだ
鞍馬の姉妹には他のお前の女たちのように、セックスをただ幸福なだけの愛の行為だと思わせるな家の犯した罪のために、ガマンしてやらなくてはならない苦行だと思わせろ
姉は、それで金を稼ぐのだからな肉体とプライドを犠牲にした厳しい労働だからこそ、高い金額を支払ってもらえるものだと思わせなくてはならない妹も、姉と一緒に生活させる以上はセックスがツライ行為だと思っていてもらわないと困る
鞍馬さんたちを調教する時は、アニエスや他の子たちとは一緒にさせないわよ
5年経ったら、あたしは娼館を完全に止めるわその時には鞍馬姉妹は、一般社会に解放して、普通の生活をしてもらわないといけないんだから
絶対にオレたちの家族にはしないってこと
当たり前でしょあたしたちは、あの子たちを地獄に堕とすのよちゃんと最後まで、嫌われていないといけないわ
最後まで嫌われる
娼館の運営者としてのあたしのことを嫌っていた子たちはみんな、黒い森の営業を停止した後、普通の生活を始めてくれたわ
お屋敷に居た娼婦のお姉さんたち
だけど娼館の主であるあたしのことを嫌わないでくれた子に限って、みんなまた戻って来ようとするのよ
新しい生活を始めるためのお金まで渡したのに
ミナホ姉さんに、また娼婦に戻りたいと言ってきたお姉さんたちが数人居た
だから、ミナホ姉さんは5年間限定で、娼館を再開しなくてはいけなくなった
克子や渚もそうでしょあたしのことを好きでいてくれたからまだ、あたしの側に居てくれる
娼館でのことなんて、さっさと忘れた方がいいのよそのためには娼婦たちに、ちゃんと嫌われていないといけなって思ったの反省したのよ1分、1秒でも早くさっさと娼館から離れたいあたしの顔なんて、一生思い出したくないっていう風でないとまた、戻ってきちゃう子が現れると思うから
ミナホ姉さんには、苦い体験になっているんだ
だから、最初から一線を引いておいてあたしたちは、鞍馬さんたちに酷いことをするのよお姉さんを娼婦に堕とし、妹さんを性玩具にするの5年間ねそれは絶対に許されてはいけない犯罪行為なんだからあの子たちには、好かれてはダメなのよ
5年経ったら関係を断つことができるように
判った腹を括るよ
オレは、ミナホ姉さんにそう答えた
お前たちのそういう真面目さを私は気に入っているよ
ジッちゃんは、フフンと笑う
しかし、鞍馬の娘たちは無理に犯さないということは判ったが
あっちの娘の方はレイプするしかないだろう
真顔で、ジッちゃんは言う
あっちの娘ってどっちの娘
スパイの娘に決まっているだろう
天童乙女か
キョーコくんが要らないと言っていた以上お前たちが引き取れ
あの子も帰るところが無いですものね
私たちへの嫌がらせとして使い捨ての鉄砲玉にされた娘だもう地元の関西には帰れまい
お父さんが有名な関西のヤクザらしいし
敵は巫女の力のことを知っているのよ
巫女の力で精神支配されているかもしれない娘を関西のヤクザたちが受け入れると思うかね
オレたちの言うなりになっているかもしれないんだから
このまま、関西に戻したら大阪駅に着いた瞬間に暗殺されるわよ、あの子
巫女の力の恐ろしさは、ヤクザたちもよく知っている
自分の命とかを考えずに、どんな恐ろしいことでも巫女の指示通りにやるのだから
暴力団の事務所で自爆テロとかされたらたまらない
と、同時にヤクザの嫌がらせは、まだ終わっていないのよ
あなたがヤクザだったら次はどんな手を使う
世間的にはあのスパイの天童乙女さんだって、ごく普通の高校生なのよ
このままあの子から連絡が途絶えればうちの娘が、香月家のパーティに行ったまま返って来ないと警察に連絡するでしょうね
ヤクザが警察に
そしてマスコミにもお金を積んだら、どんな記事でも書くっていう人はいるから
本当に、地道な嫌がらせだな香月家の評判を落とすためだけの
こちらが、あのスパイを拘束すれば警察を通じて、取り返そうとするその時にもし、うちの警護人と戦闘した跡が残っていたら香月セキュリティ・サービスに暴行されたと訴えるまた大きな騒ぎにならずに、無事に香月家のパーティから帰って来たり私たちに拘束されても、すぐに解放された場合はヤクザたちがあの娘を殺害する
無事に屋敷の外に出て来た天童乙女を、なぜ殺す
それだってマスコミには、香月家のパーティに行ったら死体で帰って来たと騒がせるのさ高校生の娘の変死ならば、どんなことでもニュースになるそうなれば、今日、パーティに来ている他の家の娘たちにも迷惑がかかるそれで香月家が、他の名家から嫌われるようになる
何て言う身勝手な作戦だ
だからまずは、水島可憐さんの身柄を抑えたのよ天童乙女さんは、水島さんの警護役という名目で来ているんだから
可憐さんが帰宅しなければ、天童乙女もここの屋敷に残っても変ではない
その上で元気そうな天童乙女さんを、一般の人に目撃させておかないといけないわ
ああ、うちの子が返って来ないとか香月家の中で暴行を受けたとか訴えられても、対処できるように
パーティが終わった後で、天童乙女さんとハンバーガーでも食べてきなさい
ついでにヤクザたちの襲撃も跳ね返してね
襲ってくるのは、決定事項か
いや、でも天童乙女が、オレとハンバーガーとか食ってくれるかな
凄い美人だけれどあんな気が強そうで、おっかない人が
何のために巫女の力があると思っているの
天童乙女さん性格から何から、全部、あなたの好きなように作り替えなさい
肉体だけでなく、精神もレイプなさいそれしか方法が無いのよ
放っておいたら、確実に殺される娘だ死なせたくなかったら、躊躇するな
子供の頃、夕方の4時頃になるといつも近所の家からピアノが聞こえてきた
毎日、同じ時間、ピアノの練習をしているのだろう
曲は毎回違っていてだけど、とても綺麗なクラッシックの曲ばかりだった
私はいつも、この美しいピアノの曲は誰が弾いているんだろうかと思っていた
きっと近所の大きなお屋敷にとっても綺麗なお嬢様が居て
その人が白くて長い指で弾いているんだと妄想していた
それから数年後
やっぱり、毎日、午後4時に近所からピアノの曲が聞こえて来るのだけれど
どういうわけだか
毎日、演奏されるのは、ドリフのひげダンスの曲だけになっていた
こりゃ、深窓のお嬢様じゃねーなと、ガックリした
今はもう、近所からピアノの音なんて全くしなくなった
そして、結局あのピアノは、近所のどの家が弾いていたのかも、判らないままになっている
874.ハイ・ライフ / オバケの妹
天童乙女という少女を、オレたちにとって都合の良い性格の少女に精神改造する
そんなことは、本当なら絶対にやってはいけないことだ
関西ヤクザの侠客の娘として生まれた天童乙女が、オレたちの仲間になる可能性は無い
自分でも鉄砲玉として使い捨てになることを覚悟して、ここに潜入して来ているはずだ
自分が死ぬことで、香月家のことが悪く報道されダメージを与えることができりば、それでも構わないと考えているのかもしれない
今、天童乙女は
あっちの部屋に隔離してあるわ
自分の眼で確かめてこいお前に任したからな
ジッちゃんはそう言うと大徳さんたちと共に、奥の部屋に消えて行った
天童さんに会うのなら、月子さんを呼んで来ないといけないわね
今の天童乙女は、月子の巫女の力で精神支配されている
オレが様子を見に行くにしても、月子に一緒に来てもらった方が良い
ヨミとルナは、連れてっちゃダメなんだよね
ええ複数の巫女が、もし矛盾する内容の命令を受けたら、天童さんの精神がおかしくなってしまうわ
例えば、月子からずっと、そこに居ろ動くなと命令されているのにヨミやルナから立って、走りなさいとか、新しい指示を命じられたら
天童乙女の心が混乱する
今はまだ月子の方が力が強いからおそらく、立ち上がったりはしないだろうけれど
相矛盾する命令に心が葛藤したままの状態になる
ブレーキを掛けたまま、自転車のペダルを無理にこぎ続けるようなものだからやがては、かなり深刻なダメージに発展してしまうだろう
でも、月子で良かったよ天童乙女の心を支配した巫女が
オレは、月子たちの居る部屋に向かいながらミナホ姉さんに言った
だってヨミとかだと、おふざけが混じっちゃうだろうからさ天童乙女を、ハチャメチャナ性格の子に変えてしまいそうだし
ヨミは調子に乗りやすい性格だからな
その点、月子はとっても真面目な性格だからさ
無茶なことはしないだろうと思う
そうかしら月子さんみたいな、一見、大人しくて真面目な子の方が、突飛なことをしでかすものよ
普段、抑えている人ほど解放されると、弾けるんだから
そういう考えも、あるんだな
まあ、いいんじゃない思いっきり、ハチャメチャなことになってもあたしたちからすれば、どうなっても構わない人なんだし
ミナホ姉さんは、天童乙女のことをそう考えている
それに月子さんにしても、ヨミさんにしてもルナちゃんは、ちょっと判らないけれど1度はやってみたかったはずよ
自分の中の巫女の力を全開に解放して人の心を、自由に変えてしまうことそれができるのに今までは、できなかったんだから
だって、それはそれがどんなに恐ろしいことなのか、オレたちにはみんな判っていることなんだしさ
巫女の力の暴走
人生に絶望した月子たちの母親の力が同じ巫女の力を持つ清美さんに飛び火して
清美さんは力に呑み込まれてたくさんの人を死に追いやった上に、自分も自殺した
巫女の力は、強大で恐ろしすぎる
一度、力で捻じ曲げてしまった心は2度と元に戻らない
オレたちはもう天童乙女に力を使ってしまったんだしさ
月子は、天童乙女に自分に従えと命じた
だからもう天童乙女は、月子の命令には逆らえない
今はまだ天童乙女の性格には手を付けていないから嫌々ながら、仕方なく従うだけなんだろうけれど
例えばさ時速300キロの出るスポーツカーを買うとするでしょ
でも、普通の道路で300キロなんて出せないわよね危ないし、通行人や周りの車にぶつかってしまうかもしれないしそもそもスピード違反になっちゃうものね
でも、300キロ出る車を買ったらやっぱり、飛ばしたくなるのよハンドルを通して感じるパワーが違うんだから思いっきり、アクセルを踏んでみたいなあってどうしたって感じちゃうわよどこまでスピードが出るのか、試してみたいって
スポーツカーならサーキットへでも行けば、思いっきり走れるわお金さえ積めば、そういう機会を得ることもできるでも、巫女の力は
鷹倉姉妹たちだって、自分たちの中の力の凄さを感じている
思いっきり解放してみたいって、心の中では思っているのか
あの子たちは、あなたのおかげで心が安定しているわだから1度くらい思いっきり力を解放する機会を体験したら、それで落ち着くと思うのああ、こんなものなんだって
心が不安定な子なら、巫女の力に呑み込まれて力に頼った生活しかできなくなってしまうだろうけれど、あの子たちはそうじゃないから
巫女の力を全開で使いまくることに、ハマったりはしない
むしろ1度の経験を戒めにできる子たちよ
1度だけは全開で巫女の力を使って、人の心を大改造する経験をさせた方がいいのか
あたしはむしろそうすることで、天童乙女さんが無残な結果になった方が良いかもしれないって思っているわ
鷹倉姉妹たちが、天童乙女の精神を改造したことが悪い結果になった方が
余程のことが無い限りあの子たちが、他の人たちに巫女の力を使わないようになる
今はあなたの許可が無ければ、あの子たちは力を使わないということになっているけれどみんな、少しぐらいなら、それもあなたのためになるのなら、こっそりと力を使っても良いと思っているわ
ほらみすずさんたちが、あなたに可愛い女の子を捧げようって思っているでしょそういう思いを、あの子たちは心を読んで感じているからだから、自分たちもって
例えばみすずは、水島可憐さんを自分のペットにしたがっている
そうなったら自分の眼の前で、オレに犯させるだろう
瑠璃子も、そんなことをしてみたい相手がいるという話をしていた
みすずたちのはそりゃ、まあ、そういう風になるように、相手の子の心を誘導するみたいなことはしているけれど
水島可憐さんは、すでにジッちゃんによってみすずに仕えることを承諾させられた
仕えるということが、具体的に何をすることなのかは判っていないだろうけれど
でも、きっとみすずは可憐さんに、自ら裸になり、オレに処女を捧げるように誘導するだろう
でも、巫女の力はあれは違う全然、違うよ
誘導されてそうなったとしても、可憐さんには自由意志が残されている
でも、巫女の力を使ったら
本人の意志は失われ、何でも巫女たちの言う通りにさせられる
違わないわよ巫女の力を持つ子たちにとっては
あの子たちにとっては、当たり前の力なんだからちょっと駅まで競争しようって話になった時に、普通の学生なら走るか自転車なのかもしれないけれどあの子らは、タクシーを使うお金を払って、タクシーに乗るなんてズルいって普通の学生は思うかもしれないけれど、あの子らにはいつでもタクシーを使うだけのお金があるんだからルール違反でも何でも無いのよ
あの子たちにとっては巫女の力があるのは、当の前のことなんだから
今まではあの子たちは、ほとんどうちのお屋敷から外に出ていないでしょだから、問題無かったけれどこれからは、困ることになるわ
みんな学校に通うことになるんだから
しかも、あの子たちはあなたの心が読めるのよ例えばあなた、今日のパーティで会った子の中で、特に気に入った子はいた
今日は、みすずが主催のパーティだしみんな、お嬢様ばっかりだし
次から次へと、色んなことが起きるし
そんなことを考えている余裕は無い
あら安城キヌカさんとアーデルハイト鹿取さん、13歳の子同士が闘っている時に、2人のパンティがチラチラ見えた時には、食い付いていたじゃない
それはそこに生足とかパンティとかが見えたら、食い付くのが男の子だろ
歌晏桃子様のドレスの胸の谷間も見ていたわよ狩野桜子様のことだってあなた、ああいう清楚なのに気の強い女の子、抱いてみたいって思ったでしょ
いいのよそれが普通なんだからみんな綺麗なお嬢様たちであなたは、健康的な男の子なんですものただ
鷹倉さんの姉妹が、そういうあなたの心に気付いたら歌晏様や狩野様が、あなたのことを好きになるようにいえ、あなたとセックスしてみたくなるように、こっそりと力を使うかもしれないわ
今はまだ平気よそんなことをしている余裕はあの子たちにも無かったでしょうから
キョーコさんの乱入から、天童乙女の拘束
ずっと大騒ぎだったもんな
そして、歌晏さんが入って来る前に鷹倉姉妹は、パーティ会場を退出した
でも、これからはあなたの心の中に湧き上がった欲望を読み取って、あの子たちがどんどん色んな女の子たちに力を使ってしまうかもしれないわ
そんなの絶対にするなって、オレが命令するから
でも明らかに、性格が変わっちゃっているっていうくらい変化していたら、あなたにも判るでしょうけれどほとんど初対面で、あなたにはまだどんな子だか判らない相手なら
巫女の力であの子たちには、初対面でも相手の子の心が全部読めるんだから
そ、それはそうだけれど
例えば初めて会った子でも、あなたが顔が気に入ったとか裸を見てみたいとかセックスしてみたいって感じることはあるでしょ
そういうことは無いとは言えないというか、よくある
でも、相手の女の子はあなたに対する第一印象が、凄く悪いかもしれない会ったばかりだけれど、見ただけであなたに嫌悪感を持っているとか
そういうことこそよくあるだろう
オレは全然、美男子じゃないんだから
そういう時に巫女の力で、こっそりあなたに対する印象を良い物に変えてしまうとかあの子たちには、できるわよね
オレが気に入っている女の子なんだから女の子の意識も、オレに向けさせようと
巫女の力によって、女の子の心が変えられてもあなたは、気付かないああ、最初の印象と違って、こういう一面もあったんだとしか思わないわよ
オレには巫女の力が使われたことに気付かないまま
その女の子が、最初からオレに好意があったんだと思い込む
そんなことになるのは嫌だな
月子たちは、オレに良かれと思ってそうしてくれるんだろうけれど
ちゃんと自分が評価されていないんだから
だから天童さんを使って、あの子たちにそういうことをしたらダメなんだって思い知らせないといけないのよ
つまり月子たちに天童乙女の精神を改造させて
大きな失敗を体験させないといけない
気軽に人の心に手を加えてはいけないということを実例を使って学ばせないといけないわ
でもそれじゃあ、天童乙女が
あの子の心を人生をメチャクチャにしてしまって、いいのか
いいのよあの子は敵なんですから
敵だから、使い潰しにしても構わないと思うし容赦しちゃいけないのよ
だって、他に今いないでしょ使い捨てにしても構わない女の子が
天童乙女は身内の関西ヤクザたちからすら、見捨てられている
あっ、兄さん
いつの間にか、みんなが待機している部屋の前に到着していた
ドアをガチャリと開け、ルナが顔を出してオレを見た
今、中庭の翔お姉様から連絡が来てアニエスちゃんを連れて来て下さいって
アニエスのお披露目の予定が早まったのか
何か、パーティの様子が良い感じになっているから今の内にって
うんこのまま天童乙女に会いに行くより
少し考える時間を挟んだ方が良いし
それで最初の予定だとアニエスちゃんの警護役として、ボクとヨミお姉様が付いていく予定だったけれど
あ、桃子姉ちゃんか
そう歌晏様はボクたちが、近付くのは嫌だと思うだろうから
歌晏桃子さんは鷹倉神社の巫女のことを知っている
じゃあ、オレが1人で、アニエスを連れて行けばいいんだな
いえ、私も行きます
部屋から顔を出したのはコヨミちゃんだった
私のことは知らないはずですから
鷹倉神社の3姉妹ならともかく
従姉妹のコヨミちゃんの存在は知られていないだろうと思う
しかも、もし調査されていたとしてもコヨミちゃんは巫女の修行を途中で止めていて力は持っていないことになっているから
ええ、コヨミちゃんを連れて行って1人ぐらいお付きがいないと、アニエスちゃんのイメージが良くならないから
克子姉もやって来てオレに言う
そうだアニエスは
香月家の係累のお嬢様という触れ込みで、皆さんに紹介するのだから
この金髪の自由な性格のハーフ美少女は警護役とかお付きには成りようがない
それからこの子も連れてって
克子姉が、水島可憐さんを連れて来る
みすず様の臣下となりましたことを皆様にご報告させていただきます
可憐さんは、緊張した表情でそう言った
ドレス姿のアニエスが、ムギュッとオレに抱きついて来る
この子ね可憐ちゃんて言うんですの
いや知ってるから
オレが連れてきたんだぞアニエス
なかなか可愛い子ですのアニエス、気に入りました
そうかみすずのところの子になるから、これからずっと一緒に住むことになるからな
みすずは、もうオレたちと同居しているんだから臣下の可憐さんもお屋敷に住むことになるだろう
えっと、可憐さん仲良くして下さいアニエスは、可憐さんとも同い年ですし
アニエスが学校に通うようになったら、可憐さんも一緒になるんだな
あのどういう方なのでございますか
可憐さんは、不思議そうにオレとアニエスを見ている
ま、そうだよな
アニエスは金髪碧眼で見た目は白人でとんでもなく美少女過ぎる
アニエスはパパの娘ですのっ
オレを抱き締めたまま、ニカッと笑う
うーんと遠縁ということです
オレは、そう言って誤魔化した
パパトウエンて何ですの
アニエスのことが大好きってことだ
アニエスもパパのことがだーぁい好きですのっ
おいおい、あんまり可愛いおっぱいをオレに擦り付けるな
アニエス、これから外の皆さんの所にご挨拶に行くけれどお前、変なこと言うなよ
名家のお嬢様たちの前でパパとか言われたら
どう釈明すればいいのか
変なこと
あ、大丈夫です黒森さんそれについては寧さんから、指示をいただいていますから
コヨミちゃんがオレに言う
えヤッちゃんが
本当なら、わたくしとルナが担当するはずでしたのに
悔しそうに、ヨミが言う
そう言わないでヨミお姉様ここは、コヨミちゃんにお願いしよう
ルナが、そう2歳年上の姉に微笑んだ
アニエスちゃんも大丈夫だよねちゃんとできたら、寧お姉様が美味しいケーキを買ってきて下さるっていう約束したんだから
判ってますのアニエスは、ちゃんとできますのっ
寧の指示って何か、ちょっと怖いが
まあ、ハチャメチャなことにはならないだろう
寧はイタズラ好きではあるけれどオレたち家族を苦況に陥らせるようなことは、絶対にしない
よし、行くぞ可憐さんも付いて来て下さい
可憐さんは、そう返事をする
中庭のパーティ会場に戻るのは、オレとアニエスとコヨミちゃんと可憐さんの4人だけだ
アニエスちゃん、頑張ってね
ルナの応援に、アニエスは笑顔で応える
コヨミちゃん、頼むわよ
ヨミの言葉に、コヨミたちゃんが返事した
オレは部屋の奥の月子を呼ぶ
うんオレが帰って来るまで、余計なことはしないでくれよ
天童乙女の性格改造とかを、オレが知らないところでやられたら困る
そういうのは、戻って来てからみんなが居るところで、一緒にやるからな
もし天童乙女を、実験動物として精神改造するとしても
その場には、月子だけでなくヨミも、ルナも、コヨミちゃんも、全員揃っていないといけない
そうでないと天童乙女をモルモットにする実体験が、共有できない
ちゃんと人の心に手を入れるということが、どんなことなのか自分自身で理解させないと
だから、オレが居ないうちに月子が気を廻して、天童乙女の精神をこっそり作り替えるようなことは避けないといけない
月子はそういうことをしそうな気がした
月子は、スッとオレに頭を下げた
身勝手な振る舞いは、絶対に致しません
それなら、いいんだけれど
公様のお望み通りにするのが月子の歓びでございますから
そうよあなたには、この子の心を覗いてこの子の望みが見えるんでしょうけれどいつの間にか、自分の知らないうちに望みが実現しているというのは、気持ち悪いだけですからね
ミナホ姉さんが、そう付け足した
ああ月子が、勝手に天童乙女を、オレの好みのタイプの性格の女の子にしないようにか
うんもしそうするしか手が無いのだとしても、オレはオレの意志でそうしろと月子に命令するから
天童乙女の精神改造は、やるしかないことだとしてもその罪は、ちゃんとオレが背負いたい
はい勝手なことは決して致しません
ヨミやルナのことも、月子が見ていてくれよ
よし取りあえずは、これでいい
◇ ◇ ◇
わたくしまだよく判らないのですが
中庭に戻る途上で、可憐さんがオレに尋ねた
さっきのお部屋の方々はみすず様のどういうお立場の方々なのでしょうか
水島可憐さんは、公式な香月家の家系しか知らない
みんな家族ですのっ
オレに抱きついたまま、アニエスが笑顔でそう応えた
そしてきっと可憐ちゃんも家族になりますのっねっ、パパ
アニエスにとって家族とはオレがセックスをする相手のことを指す
きっと可憐ちゃんの方が、コヨミちゃんよりも先に家族になりますのだからコヨミちゃんは、もっとたくさんご飯を食べて、運動して、いっぱい眠って早く大人の身体にならないとダメですのっ
アニエスは、コヨミちゃんがオレとセックスをしないのは
コヨミちゃんの身体の発育が悪いからだと、理解している
セックスに耐えられる肉体に成長したら、すぐにオレと関係を持つと
そういうわけでアニエスの心の中では準・家族というポジションになったらしい
前みたいな拒絶はしなくなったのは、助かる
あのわたくしには、お話がよく判りませんが
可憐さんは、キョトンとしたままだ
いや、あの色々とあるんですいずれ、ちゃんと説明しますから
オレのことは、主であるみすずのパートナーだから一応は敬ってくれているんだな
ホント、可憐さんはとっても礼儀正しい女の子だ
娘はこうなのに何でお祖父さんは、あんなにいい加減な人だったんだろう
親や祖父が自分勝手な人だから子供は、周りを良く見る子になるんです
コヨミちゃんが、オレの心を読んでそう言う
そうでないとどうして、突然機嫌が悪くなったり、ガミガミ怒ったりするのかが判らないですから
ああ勝手な性格の親は、自分の子供にも平気で当たるのか
感情のままに、怒ったり、怒鳴ったり
そういう目に合うのが嫌だから子供は、親の機嫌を察知して、雲行きが危うくなればササッと逃げるようになる
コヨミちゃんも、そうだったの
はいまあ
コヨミちゃんのお母さんの清美さんは神経質っぽい様子だったもんな
ちょっと大変なお母さんでした
悲しそうに、コヨミちゃんは言う
うううパパ
不意に、アニエスが足を止める
窓の向こうに、中庭のパーティ会場の少女たちが見えてきたからか
どうした怖いか
アニエスは、ギュッとオレに抱きつく
あんなにたくさんの知らない少女たちの前に出るのは、初めてだもんな
大丈夫だオレがいる
私もいるよ
コヨミちゃんが、ニコッとアニエスに微笑んだ
それからここからが、寧お姉様とのゲームなんだからねちゃんと頑張ってケーキを貰おう私も黒森さんも、アニエスちゃんと一緒のチームなんだからね
アニエスが聞き返す
そう一緒のチームあ、そうだ
コヨミちゃんが、可憐さんを見る
水島さんも、私たちのチームに入って下さい
可憐さんは、オレを見る
あ、お願いしますアニエスのことはみすずも承知していますから
でしたらご指示通りに致しますが
ええっと何と説明しよう
オレが迷っている間に、コヨミちゃんが話し出す
アニエスちゃんは、外国から来たばかりで日本語が全然判らないという設定になりますですから、水島さんもそのつもりでいて下さい
アニエスちゃんも今からは、日本語禁止だからねっ
それが禁止なのっ
オレは、アニエスの頭や背中を撫でて緊張を解してやる
うんとにかく頑張れ
はいであううううう
よーしよしよしよし、落ち着け落ち着けぇ深呼吸
はぁぁ、すぅぅ
アニエスも、工藤流の鍛錬をやっているからすぐに呼吸が安定する
よし、行こう可憐さんお願いします
オレにしがみついたままのアニエス
その後に続くコヨミちゃん
さらに後ろから、可憐さん
12歳の少女を3人連れて、オレは中庭に入り込む
あらとっても可愛らしい女の子が
外国人なのかしら
まあ、黒森様にくっついてらして可愛らしい
アニエスは、美少女過ぎるからすぐに注目される
元からハーフ美少女の上に、マナと同じプログラムもやっているし
さらに、ほとんど毎日オレとセックスしているから
12歳とは思えない、色香さえ漂わせている
今は、怯えているから可愛らしさばかりが目立っているんだろうけれど
ああ皆様、ご紹介致しますわ
みすずが、オレたちに気付いてスッと椅子から立ち上がる
わたくしの旦那様の隣におりますのは香月家の遠縁で、プリンセス・アニエスと申します
プリンセスとはまた大きく出たな
とある中東の王国の宮廷の中で暮らしておりましたが、この度、日本で教育を受けることになりましたそれで、縁者である香月家で暮らすことになりました来月から、あたしたちの学校に編入することになっておりますわ
そ、そういう設定だったんだ
何で、オレには教えてくれなかったんだ
まあ、本当に可愛らしい子ねあなた、お幾つ
歌晏桃子さんがみんなを代表して、アニエスに尋ねる
アニエスは日本語ができないことにするんだから
オレが、代わりに答えた方がいいのか
しー・いず・12いやーず・おーるど
あ、しまった
何でかオレが英語で答えてしまった
ま、マズい
するとアニエスが
ま、待てお前、喋るな
バケラッタ
プリンセス・アニエス様はご自分は、現在12歳であるとおっしゃっております
平然とコヨミちゃんが、答える
プリンセス・アニエス様のお付き兼通訳をさせていただいております
そして、アニエスに何か耳打ちをする
すると、アニエスは
バケラッタ、バケラッタ、バケバケ
プリンセス・アニエス様は、皆様にお会いできて、大変嬉しいとおっしゃっています
バケバケラッタ、バケラッタ、バケラッタ
どうか、わたくしと仲良くして下さいと、皆様にお願いなさっております
確かにいかにも、寧が思い付きそうなことだけど
あれどこの言葉ですの
さあ、中東というのも色々な国がございますから
ああ、きっと国王様のハーレムの中で育った子なのですわね
きっと、そうですわプリンセスとおっしゃるわけですから
香月家の方で、どなたか向こうへ嫁がれた方がいらっしゃるのね
ああ、それで日本にご留学を
う、嘘
これアリなのかよ
ああ、アニエスの異常な可愛らしさと香月家が、こんな手で人を騙すような馬鹿なことをするわけがないという思い込みから
つ通用している
今日はまだ来日したばかりですので皆様にご挨拶だけさせていただきますわ
みすずが、笑顔でそう言った
今の子は、オバQを知らないらしいですので
オバQ田代のことは、もっと知らない
昨日、父の病院の付き添いに母が行ったのですが
診察を受けて、薬を貰って帰りのバスの中に、薬を全部忘れて来たそうです
1ヶ月分全部
慌てて、バス会社に連絡したのですが、見つからず
今日、もう一回病院へ行って同じ薬を出して貰うように頼んだのですが
こういう場合だと、保険がきかないそうで
同じだけの薬に、2万円ほど取られました
母は、カンカンです
875.ハイ・ライフ / パーティの終わり
あぅぅ
たくさんの少女たちに注目されていることで、アニエスの緊張がMAXになっている
うう、バケラッタ
アニエスが、ギューっとオレに抱きついて来る
まあ、本当に可愛らしいですわ
そんなアニエスの困惑した表情も、お嬢様たちにはキュートに見えるらしい
はい学校に通うようになりましたらどうぞ、皆様、プリンセス・アニエスのことをよろしくお願い致しますわ
香月家に縁のあるプリンセスでございますから
みすずに、こうまで言われたら他の名家のお嬢様たちは、アニエスのことを気遣ってくれるだろう
そうねま、可愛い方だしわたくしも、可愛がって差し上げますわ桜子もいいわね
香月家に並ぶ家柄、歌晏家の桃子お姉ちゃんも、そう言ってくれた
は、はいそうですわね
狩野桜子さんも、アニエスを受け入れてくれる
ば、バケラッタ
真っ赤な顔で、苦しそうにコヨミちゃんにそう言うアニエス
うんプリンセス・アニエス様は、お水が欲しいとおっしゃっています
巫女の力で心を読むから、コヨミちゃんにはバケラッタで通じる
ハイジお水を差し上げてっ
はい、まり子お嬢様
鳥居まり子さんに言われて、警護役のアーデルハイトさんがアニエスのために水を取りに行ってくれる
いや、香月セキュリティ・サービスのメイド部隊の人がササッっと準備したペットボトルの水とコップをアーデルハイトさんが受け取って
はいお水でございますわ
差し出されたボトルとコップは、コヨミちゃんが受け取る
直接、アニエスが受け取ってはいけないこういう時のためのお付きなんだから
ばバケラッタ
それでもアニエスが、お礼を言う
プリンセス・アニエス様は、ありがとうと
それぐらいは判りますわ
アーデルハイトさんは、コヨミちゃんにツンとして答えた
ハイジ、そういうことを言うものではないわよプリンセスが怖がっていらっしゃるわ
鳥居さんが、自分の警護役を窘める
ほら、アニエス
オレは、コヨミちゃんからボトルを受け取って
うわ、よく冷えてるボトルの周りには水滴が付いている
ボトルのキャップを外してコップの中に水をトクトク注ぎ
さあ、飲んで
オレの顔を見て、アニエスはニコッと微笑み
両手でコップを掴んで、コクコクと冷たい水を飲む
何て可愛らしいの
幸せそうな顔で、水を飲むアニエスを見て
お嬢様たちの中から、溜息が零れた
お嬢様たちの視線をアニエスから外さないと
いつまでも、こんな無理な誤魔化しが通用するとは思えない
みすず水島可憐さんから、皆様にご報告したいことがあるそうだ
オレの言葉に、オレたちの後ろに控えていた可憐さんが前に出る
あら、どうなさいましたの
みすずは、ニコッと微笑んで可憐さんに尋ねる
可憐さんは、大きく深呼吸をしてから
香月みすず様、歌晏桃子様、狩野桜子様本日、お集まりになっていらっしゃる全ての皆様に申し上げます
スッと、深く頭を下げる
この度は、わたくしども水島家の不祥事により皆様に大変、ご迷惑をお掛け致しました本当に申し訳ございませんでした
それはお家の方の問題でありあなたは、巻き込まれただけの被害者にのだから、気にすることはないと先ほど申しましたわ
みすずは、笑顔を崩さずにそう言う
いえ今、さっき、そちらのお屋敷の中で香月様とわたくしの祖父、水島家の現当主が、お電話にてお話し合いを致しました
可憐さんは、会場内の少女たちに言う
香月様が
水島様と直接
名家同士の問題だから、お嬢様たちの関心が一気に可憐さんに移る
よしよし、オレはアニエスの背中を撫でてやる
パパ、お尻触って
小さな声で、アニエスはオレに囁いた
うん、この様子なら大丈夫だろう
オレは、ススッとアニエスのお尻に手を伸ばし、12歳のまだ硬めの尻肉をクイッとつまむ
はぁぁ、バケラッタ
大きく息を吐いて、リラックスするアニエス
結論から申し上げますと祖父は、香月様に大変失礼な態度でお話致しましたですから今後の水島家に関しましては、ご容赦いただけないものだと考えております
まあ何て、馬鹿なことをなさったの
歌晏桃子さんが、溜息を吐く
ここは全面的に頭を下げて香月様のお許しを請うことが肝心でしたのに
わたくしもそう思いました
辛そうに、可憐さんは言う
つまり水島様は、香月様に正しくお詫びなさらなかったということなんですわね
桃子姉ちゃんの言葉に、可憐さんは
はいわたくしには、そのように見えました
そうなるとわたくしたちも、水島の家をお助けするわけには参りませんわよ
桃子姉ちゃんは言う
暴力団関係者を連れていらしたことで、危険な目に合いましたのは、ここに居るわたくしたちですからこのことが父や祖父が知ることになれば、全ての家が水島家とご縁を断ち切ることになります
桃子姉ちゃんの言う通り全ての名家によって、水島家は村八分にされることになるだろう
大事な本家の娘たちを窮地に陥れたことになるのだから
また、香月家からすれば本家の邸宅でのパーティにそんな輩を連れて来られるのは顔に泥を塗られたも同然のことだし
唯一、間に入ることのできる歌晏家までが、水島家を責めるということになったら
水島の家を擁護してくれる家なんか、見つかるはずがない
まあ何てことかしら
でも仕方ないのよね
ええこれは、水島様がなさったことが原因でございますもの
わたくしの父も水島様をお許しにはならないと思いますわ
そうですわねわたくしの祖父もきっと
香月様のお家に対するご無礼だけでなくわたくしたちの家、全ての名家に対する不祥事ですものね
水島老人はここまで大きな問題になるとは、全然考えていなかったんだろう
関西ヤクザにどういう経緯に脅され天童乙女をスパイとして潜入させることに同意させられたのかは判らないけれど
もし、バレでも適当にジッちゃんに謝れば、許してもらえると思っていた
それはずっと名家というぬるま湯の中で生きてきて、困ったことがあればジッちゃんや歌晏家みたいな大きな家の人に相談すれば、大抵のことは何とか助けてもらえたから
そういう甘えた関係が、ずっと続いてきたからのことで
では水島家は、お取り潰しになるの香月様は、そういう決意をなされたの
桃子姉ちゃんが、可憐さんに尋ねる
水島様の家も古いお家ですわこんなことで、消えてしまうのは
狩野さんも、残念そうにそう言う
名家は減らしたくないというのはジッちゃんだけの思いではないらしい
わ、わたくしそれであの決意を致しました
可憐さんはジッちゃんからの提案でなく、自分の意志として話をしようとしている
わ、わたくし水島可憐は香月みすず様の臣下にしていただきたいと思います
自分でそう思い付いて、自分から申し出る
そういうことにするのが名家・水島家の令嬢としてのプライドなんだ
ジッちゃんの言うままに行動しているとは、他の家のお嬢様たちには思って欲しくないから
わたくしの臣下に
は、はいわたくしから香月様に、そう、お願い致しました
わたくしが、みすず様にお仕えすることで今回の水島家の不祥事をお詫び致します
でも香月家の臣下になってしまわれるということは、名家としての水島家が消えてしまうのと同じことではありませんか
桃子姉ちゃんが言う
ここにも、親・香月家の名家のお嬢様はたくさん来ているけれど
親・香月家の名家であることと完全に香月家の臣下になることは全く、意味が異なる
名家ならば自分の意志で、香月家の派閥に属しているだけで、家や経営している企業体はあくまでも独立した存在だけれど
臣下というのは、完全に子分になるということだ親分の言うことには、絶対服従で従う香月家に、自分の運命を委ねるということなんだから
それはわたくしが、みすず様の下僕として忠節を尽くしましたらわたくしが成人した時に、水島家の当主として、家の再興をお認めいただけるというお約束をしていただきました
それもジッちゃんからでなく、あくまでも可憐さんからの提案ということにして語られる
このままでしたらどうしたところで、水島家は破滅でございますから
12歳の少女が、決意の面持ちで皆に言う
もちろん、みすず様の臣下として立派に働けるかどうかは今後のわたくし自身に掛かっておりますただ、わたくしとのお約束をお守り下さるために現在の水島家の最低限の資産の保全を、香月様がして下さるそうです
最低限の資産
桃子姉ちゃんが、ピクッと反応する
はい水島家が先祖代々受け継ぎ、子孫に残すべき屋敷や文化財それだけは保全して下さるそうでございます
桃子姉ちゃんは、お嬢様たちに振り向く
皆様お聞きになりましたわね今日、お家にお帰りになられましたらいえ、こちらのお屋敷から退席しましたらすぐでも構いません本日、ここで何があったのかをご両親やお祖父様にご報告なさって下さいそして香月様と歌晏桃子が、水島家の経営する企業や、関連事業に関しましては、ご自由になさって下さいと申し上げていたとお伝え下さい
つまり水島家の企業や事業に関しては、攻撃しようが、横から仕事を奪おうが、何をしても構わないと
今までは、同業であっても同じ名家の人の会社に対してはみんな手加減していたんだ
名家は減らせないなるべく潰したくないから
ただし、水島家の子孫に継ぐべき財産はお手を付けられないようにそれは、いずれここにいらっしゃる水島可憐さんが、お継ぎになられるべきものですから
桃子姉ちゃんは、可憐さんを見る
そうねお金に困って水島様が、ロクでもない連中に財産を売り飛ばしたりしないように、全ての名家が監視しなくてはなりませんね
スッと、頭を下げる可憐さん
なるほど期間を区切って、水島家から名家の地位を剥奪するというのは、良いペナルティなのかもしれませんわね水島様は、それだけの罰を受けるべくことをなさったわけですからその期間可憐さんが、みすずの臣下になるというのもお祖父様たちと決別し、可憐さんだけが香月家の身内になるということはいずれ可憐さんが当主になった時に、スムーズに水島家の再興も果たせますでしょうし
みすずに仕えていたという過去が香月グループが、水島家の再興をバックアップしやすくなる土壌を作る
水島可憐さんは、とって可愛らしいしわたくしの臣下になっていただくという手もありますけれどでも、今回の件は香月様のお屋敷の中で起きたことですものね仕方ないわみすず
桃子姉ちゃんが、みすずを見る
あなたの臣下になるからといって可憐さんに厳しくしてはダメよいずれは、水島家を再興する大事な娘なんですから
みすずは、笑顔のまま
いいえ、桃子お姉様お言葉ではございますけれどあたしの臣下になって下さる以上は、他の臣下と差を付けるわけには参りませんわそういうことをするのは、可憐さんのご決意に対してとても失礼なことだと思いますし
はいみすず様のおっしゃる通りでございますわたくしは必死になって、全身全霊をもって、みすず様にお仕え致しますそうしてわたくしの忠節を、みすず様に、香月様にそして、歌晏様や他の名家の皆々様にご納得していただきたいと思いますそうでなければ、水島家の犯しました罪と恥辱は拭えないものだと思っております
まだ12歳なのに、立派だなあ
わたくしが間違っていたようねみすず厳しく躾けてあげなさい
桃子姉ちゃんが、そう言う
はいそう致しますわ桃子お姉様可憐
早速、みすずが可憐さんに声を掛ける
わたくしの臣下でしたら、わたくしの後ろに控えていなさい
スッと頭を下げ可憐さんは、みすずの椅子の後ろに立つ
さっきまでは、椅子に座って良いお嬢様たちの1人だったのに
今は、主人の命があるまでは席に着くことは許されない臣下だ
今回の一件水島家に関しては、皆さん、色々と思われることがあるでしょうが
この様に、水島可憐はあたしの臣下となりました可憐に対しての誹謗中傷や、暴力は香月家に対するものと考えますよろしいですわね
可憐さんを臣下にするというのは、庇護することでもあるんだ
香月家だけじゃないわ歌晏家もよ
桃子姉ちゃんは微笑む
みすずは、わたくしの妹ですもの妹の臣下を笑われたら姉であるわたくしも笑われたと思いますからね
あ、ありがとうございますみすず様歌晏様
感極まって、可憐さんは泣く
泣いてはいけませんあなたはもう臣下なのですから
臣下の先輩として美智が、可憐さんにハンカチを差し出す
主の前で泣くというのは気が緩んでいるということです
可憐さんは、慌てて渡されたハンカチで涙を拭く
頑張りましょう
どういうわけだかお嬢様たちの中から、パチパチと拍手が起きた
皆さん、今はそんな顔をしていらっしるけれど今の時代、皆さんだって、いつどうなるか判らないですわよ
ニッと鳥居さんが言う
ホントにこの子は余計なことを言う
皆さんの家だってお父様やお祖父様が失敗なさったら、水島さんみたいに他家の臣下にならなくてはいけなくなるかもしれないんですから
あらあなたの家が一番危ないかもね、まり子
桃子姉ちゃんが、鳥居さんにニヤッと笑う
トリイ電子がもし経営危機に陥ったら名家の皆様は、きっと助けては下さらないと思うわよ
鳥居まり子さんは、母方が名家の出身というだけで
鳥居家は、名家の一員では無い
だから、他の名家が名家は減らせないという理屈で、救済してくれたりはしない
その時はわ、わたくし、桃子お姉様の臣下にしていただきますわ
そういう鳥居さんに、桃子姉ちゃんは
嫌よまり子みたいな生意気な娘はわたくしの臣下には要りません
そんな、お姉様ぁぁ
道化役と王女のそんなお遊びの会話が続いていると
あのよろしいでしょうか
狩野さんが、オレを見る
オレは、思わず掴んでいたアニエスのお尻に、ギュッと力を込めてしまった
あ、ごめんごめんアニエス
アニエスを軽く抱く締めてやると
鞍馬さんたちはあのご姉妹は、どうなりましたか
狩野さんはずっと鞍馬姉妹のことを心配していたんだ
水島可憐さんの方は、何となく救われそうな道が示されたけれど
鞍馬姉妹は
ジッちゃんはこう言ってました
先祖から受け継ぎ、子孫に繋げるものを持っているのが名家だでも、鞍馬家は受け継ぎ、受け渡すべき物を失ってしまったって
鞍馬閣という由緒ある建物と庭園
それを鞍馬姉妹の父親が、ジッちゃんたちの再三の忠告を無視して完全に破壊してしまったことは、ここに居る全てのお嬢様が知っているはずだ
だから、もう鞍馬家は名家ではないってそう言ってました
暗い顔で、狩野さんはうつむく
それで今鞍馬さんのご姉妹は
そこの屋敷の中にいますこの中庭の様子を、きっと見ていると思いますこちらの会場に居る皆さんより先に、ここの屋敷から退出するということもできないので
そうですわねわたくしたちが立ち去るのを待っているんでしょうね
本当は、娼婦になることを強要されているから帰りたくても帰れないのだけれど
狩野さんは、名家の令嬢としての恥辱やプライドの問題として理解してくれた
そうですの香月様が、そこまでおっしゃるのなら、わたくしにもお助けすることはできないわね
鞍馬閣の破壊は、わたくしのお祖父様もお心を痛めていらっしゃったから桜子のお父様は、何ておっしゃっていた
絶対に許すことのできない暴挙だと
狩野家の当主は、桜子さんのお父さんだ
つまり、ジッちゃんと桃子姉ちゃんのお祖父さん、桜子さんのお父さん
3大名家の全ての当主が、鞍馬姉妹の父親のしたことに怒りを感じている
伝統文化財に指定されるべき建物とお庭だから工事を行わないように、申し入れをしていたのよそれなのに約束していた協議期間が終わらないうちに、鞍馬様が取り壊しの工事を強硬なさったから
鞍馬家の父親からすれば、鞍馬閣は自分を縛り付けている古い物の象徴だから
何一つ残さず、徹底的に破壊してしまった
高層ホテルを建てるために、庭も深く掘り返してしまったというし
あのご姉妹だけでも、わたくしの臣下にして庇護するというわけにはにかないわよね
そういう桃子姉ちゃんに、みすずが
歌晏様のお家で、鞍馬様のご負債も負担なさるのでしたら
そうねそれもあるのねちょっと無理だわ鞍馬閣グループの負債は、回収できる見込みが全く無いですものね完全に、外国の投資ファンドに騙されているから
桃子姉ちゃんは、鳥居さんを見る
まり子の家で助けてあげたらトリイ電子は、業績良好でしょ
わたくしのお父様は、儲けの出ないビジネスは絶対に致しませんわ元の鞍馬閣が残っているんでしたら、喜んで投資したかもしれませんけれど工事が途中でストップした建てかけの超高層ホテルに、何の特色も無い普通のホテルと料亭だけしかない企業グループでは、ちょっと手が出せませんわ
それが、鞍馬閣グループの正当な評価なんだろうな
せめて、どちらかの家にあのご姉妹が、お嫁入りすればそれでお子さんを何人か産んで、鞍馬家を継がせることはできるでしょうけれど
あの子たちと結婚するのは鞍馬家の負債も一緒に引き受けるということになるわよねそんな罰ゲームみたいなことをする名家は無いわよね
そんなことをしようとしたら家の人間が許さないでしょうし
名家の結婚は親や祖父たちだけでなく、分家たち一族や臣下、傘下の企業の重役たちに納得させないといけないから
オレは、そういう名家の構造をよく知っている
もし、どこかの名家の御曹司が、鞍馬美里さんやありすさんを気に入って自分の嫁にしようとしても
鞍馬家に負債があり、他の名家に睨まれているという事情から家の人間たちに猛反発される
自分たちも、他の名家たちから責められるようなことになっては、大変だし
でもわたくしに何かしてあげられることはないかって、思うんですの
そうねわたくしも、そうは感じるけれど
今は香月様たち大人の方にお任せするしかないわわたくしたち娘にはどうすることもできない問題ですもの
ありがとうございましたとっても楽しかったですわ
ようやくみすずのパーティが終わった
オレとみすずは、中庭の出口に並んでお客様をお見送りする
美子さんも一緒だ
瑠璃子はアニエスを連れて、オレたちの後ろに立っている
色々と勉強をさせていただきました
武闘派お嬢様の栗宮さんが、オレたちにそう言った
香月様での鍛錬楽しみにしておりますわ
みすずが、微笑むと栗宮さんは、ツカツカと美智の前に行き
無表情のまま、驚く美智
みすず様の臣下でいらしても技を教えていただく以上は、わたくしの師でございますから
ああ、そういう考えの人なのか
そういうことは、警護役の方たちとトレーニングする時にそちらの会場でなさって下さい
鳥居さんが、栗宮さんに言う
いついかなる場所も、我が武の鍛錬の場だと考えておりますが
そういう考えは、あなただけですわもう自分が特殊な人間だっていうこと、お判りになっていらっしゃらないみたいね
あなたにだけは、そうは言われたくありませんが
ヤバっ
マズい空気になった
ちょっと、ハイジわたくしの前に出なさいよこの人が少し危ない人だっていうことは、あなたも知っているでしょ
はい、知っていますからまり子お嬢様の前には出ておりません
ちょっとあなた、それでもあたしの警護役
あの警護役でしたら解雇されましたし、まだもう一度雇用していただけるという話にはまだなっておりませんが
だからまた雇ってあげると言ったでしょ
わたくしの条件提示がまだでございます
条件提示って
再雇用していただけるのなら前よりも、良い雇用条件でないと
ちょっとハイジ
わたくしは、アーデルハイトでございますっ
だから、ハイジでしょ
このコントは、いつまで続くのだろう
でもみんな良い感じでまとまったわね感謝しているわよ、みすず
桃子姉ちゃんが、オレたちに言う
今までは名家の娘同士でも、何かそれぞれ壁を作っていたものね今日のパーティで、それが綺麗に取れたような気がするわ
それは、桃子お姉様もご参加して下さったからですわ本当にありがとうございます
まそうなんだろうけれど
胸を張る桃子姉ちゃん
わたくしとあなたと桜子これからは姉妹の誓いをした3人で、名家を盛り立てていきましょうね
明るく微笑む桃子姉ちゃん
でも、その後ろで
狩野桜子さんは、まだ暗い顔をしていた
鞍馬姉妹たちの居るお屋敷の方を静かに見上げている
人様のブログを見ていたら、ガンダムBFは失敗作だという人がいて驚いた
あれだけプラモデルが売れて、失敗作ということはないだろうと思う
初期出荷分は、綺麗に売り切ったんだし
ガンプラ・バトル効果で、他の作品のプラモも売れているし
オッサンたちばっかりが騒いだだけで、子供たちには人気が無かったというのが失敗の理由なのだそうだが
いや、プラモ売り場で父親と一緒にガンプラを買っている子とか、よく見掛けるけれど
世の中、大ホームランの馬鹿売れヒットでなければ、失敗作ということは無いので
ていうか想定していた金額を越えて売れれば、どんな物でも失敗ではない
そういう意味では、馬鹿売れするはずと予想して大量に商品を出荷して、前期の商品が全然売れなかったガンダムAGEは、本当に失敗作だと思う
後半は、これぐらいは売れるだろうという量に出荷を絞っていたけれど
近所の西友とか2年以上立っているのにジェノアスが山積みになったままだし
876.ハイ・ライフ / ボクトツ
本当に楽しかったですわ
とっても、面白かったです
中庭から退出する前に、お嬢様たちはみすずに笑顔で挨拶していく
お楽しみいただけて、とても嬉しいですわ
オレの隣で、みすずが笑顔で言う
今日の会の主催はみすずなのだから、お嬢様たちの退席の挨拶に一々応えていかないといけない
これを機にみすず様や瑠璃子様、美子様と、もっとお近づきになりたいですわ
ええいつでもお声をお掛け下さいそれからプリンセス・アニエスのことも、よろしくお願い致しますわ
みすずが、後ろを振り向く
この挨拶の時間だけは、オレにくっついていていけないと言ってあるからアニエスは仕方なく、瑠璃子にしがみついている
まあ、2人は仲良しだから大丈夫だろうコヨミちゃんも、すぐ脇に控えてくれているし美子さんもいる
みすずの臣下になったばかりの同い年の水島可憐さんも控えているし美智もいる
アニエスはこれから学校に通うようになったら、いつもたくさんの人の前に出て注目されることになるんだろうから
何しろ、ハーフで美少女のアニエスは目立つ美少女揃いのお嬢様たちの中に入っても、ハッと眼を引く魅力がある
少しずつでも、慣れさせていくしかない
ええ、わたくしの下の妹が小学部におりますから伝えておきますわ
うちの家も分家の子が6年生ですからでも、わたくしたちのような家系の者が、プリンセス様のお友達にしていただいてもよろしいのでしょうか
そういうお嬢様に、みすずは
構いませんわプリンセス・アニエスには、まだ日本にいらっしゃったばかりですから、お友達はたくさんできた方が良いと思いますの
今のアニエスには家族しかいない
違う家で生まれ育ち、学校では一緒だけど、寝起きを共にしているわけではない本当の意味での友達には、まだ出会っていないと思う
オレたちの家族は絶対に家族を裏切らない
それはオレたち全員が、運命共同体だからだ
誰かを切り捨てたら、自分も切り捨てられることになる
オレもアニエスもこの家族の中でしか生きていくことができない
この家族以外に心を許すことのできる人たちはいないからだ
オレもアニエスも本来の保護者親がいないのだから
だから、オレたちを拾ってくれて、生きていくことを許してくれたミナホ姉さんには、感謝しかない
こんなオレを受け入れてくれた、みすずたちにも
素晴らしい家族に出会えたことは、とっても幸せだし家族と一緒に居れば、何も怖いことはない
オレも、アニエスも家族の温かさに甘えっぱなしになっているわけにもいかない
外の世界へ
家族でない人たちと、接触していかなければ
そいういう努力をしなければ、家族が保っていけない
オレたちの家族は、閉じた環境で自給自足で生活しているわけではないのだ
外の世界と接触し、ビジネスを行い金を稼いでいる
いずれは、オレもアニエスも家族のために稼げる人間にならないといけない
来年には、渚と雪乃が出産するし
月子も、できるだけ早く懐妊したいと言っている
家族は、増えるのだから
それだからこそアニエスにも、早く外の人たちと生活できるようにさせたい
家族のみんなから守られている立場から新しく生まれてくる家族を守る立場の子になるように
そのためには外の世界で友達を作っていく
友達は家族とは違う
徹底して運命共同体にはなれない違う家の子なんだから
考え方も、常識もオレたちとは違うかもしれない
嘘を付いたり、悪意を持ってアニエスに向かってくるかもしれない
そういう外の人たちとどう上手く関係を構築していくか
それはオレ自身も今悩んでいることだしみすずたちだって苦しんでいる
オレたちと同じ苦悩をアニエスにも体験して欲しい乗り越えて欲しい
強い子に成長して欲しいんだ
もちろん、オレ自身も外の現実に負けない
アニエスは、いつもオレを見ているんだから
オレがアニエスよりも先に、挫折するわけにはいかないんだ
黒田様、永束様、お待たせ致しました
香月セキュリティ・サービスのメイド部隊の女性が、大きな声で呼ぶ
はい今、参りますでは、みすず様本日はお招きいただきましてありがとうございましたまた、学校で
わたくしも、失礼致しますわごきげんよう
お気を付けてお帰り下さいねご機嫌よう黒田様、永束様
みすずも別れの挨拶をする
この中庭の向こうにそれぞれの家の迎えの車が、駐車場から順番に廻ってきている
どの家のお嬢様が先に退出するかというのも、香月セキュリティ・サービスと各家の担当者で事前に話が付いているらしい
まあ、そういうのにも家の格が影響するのだろう
歌晏様、狩野様失礼致しますわ
はい、ごきげんよう
退出するお嬢様たちは、桃子姉ちゃんと狩野さんにも挨拶する
桃子姉ちゃんはまるで自分がパーティの主催者のように、明るく挨拶を返すが
狩野さんは、スッと頭を下げるだけだ
ああ家柄の高い人は、最後になるんだな
パーティの種類とか、開催時間にもよるんだろうけれど今日の夕方で終わりの会の場合は、そういうルールになったらしい
黒森様も失礼致します
は、はいあの、本日はありがとうございました
慌てて、頭を下げる
お嬢様たちは、そんなオレの様子を見てクスリと笑って
ホントとっても誠実そうな良い方ですわねみすず様
こんな素敵な方をパートナーになさって、香月家は安泰ですわね
あ、そうかお世辞だよな
こんな所で、オレを貶したりしたって仕方ないんだから
みすずも笑顔で、そう返す
お嬢様、参りましょう
はい、今、行きますでは
警護役の少女に声を掛けられて、お嬢様たちは中庭から外へと出て行った
続きまして木本様、寺内様
ま、わたくしたちですわみすず様、歌晏様、狩野様失礼致します
ええごきげんよう
スムーズな流れで、どんどんお嬢様たちが帰って行く
全員が帰るまで、みすずと一緒に挨拶していないといけないのか
みすずのパートナーというのは、中々大変だな
今後も、みすずが何かの会を主催したら毎回、こうしないといけないんだろうな
瑠璃子が主催した場合は、どうなるんだ
あーやっぱり、瑠璃子もオレが隣に立ってやらないといけないよな
みすずだけ特別にするのは、不公平だ
旦那様、あちらをご覧下さい
みすずの視線の方を見ると
ああ、レイちゃんの周りには相変わらず、別れの挨拶をするお嬢様や警護役の少女たちレイちゃんファンが集まっている
その向こうに
何人かの警護役の少女たちが、厳しい表情で翔姉ちゃんを取り囲んでいる
今日は、これ以上何もお話するつもりはないわよ
翔姉ちゃんは、にこやかにそう言った
これからは、香月セキュリティ・サービスの研修館で、皆さんでの合同トレーニングがあるんですからわたくしに何か相談のある方は、その時にどうぞただし、皆さん、ちゃんとご自分のご主人様のご許可をいただいてから、来て下さいね
ああ今、仕えている家を離れて、自分の力を試してみたいという子たちか
今後は、香月セキュリティ・サービスがそういう子たちの窓口になる
合同トレーニングで、自分の力がどの程度のものなのかチェックすることもできるし
警護役が余っている家から、足りない家に融通したりすることもできる
ま今回のスパイの件の詳細が明らかになったら、どの家も深刻に考えることになるでしょうね
桃子姉ちゃんが、笑ってそう言った
それぞれの家が自分の家に永年仕えてくれている臣下の娘を警護役にするというのは、年々難しくなってきたものね
少子化で臣下の家系に娘がいないというケースもあるし名家が抱えていた警護専門の臣下というもの自体が減って来ているんだろう
まり子のところのアーデルハイトちゃんみたいに、外国から連れてきて雇うっていうのもなかなか難しいしだからって、暴力団組織から警護役を押し付けられるっていうのは論外だけれど
今までは、それぞれの名家が自己責任で警護役の子を任命して他の家は、一切、口を挟まないことになっていたけれど今回みたいなことがあった以上は、これからは他家の承諾が必要になるでしょうね
天童乙女が、水島可憐さんの警護役として潜入して来たのは1週間前だと言う
だから、お嬢様たちは1週間だけは、天童乙女と学校生活を共にしてしまった
当然、個人情報などを関西のヤクザたちに流された可能性がある
それぞれの家の承諾っていうか香月家に一括してやってもらうことになるでしょうけれど新しく警護役にする子の身辺調査は、香月セキュリティ・サービスにお願いするのが得策だと思うのよそういう面倒なことは、歌晏家ではやりたくないし
3大名家でも狩野家は、今は勢いが衰えているからそういう調査期間を持つだけの財力が無い
名家向けの警護会社は、別に香月セキュリティ・サービスだけではないけれどここは、香月様をご信頼させていただくわお祖父様には、わたくしからお話ししておきます他の家には文句は言わせないわ
今後はそれぞれの名家がうちの娘の警護役にこの子を付けたいという申請を香月家に出し、香月セキュリティ・サービスがその娘の調査をして警護役の就任を認める
香月セキュリティ・サービスのチェックに引っ掛かった子は、警護役として学校に連れて来ることはできなくなる
日頃からそういうことをしていれば、どこの名家にどういう警護役の子がいるのかも、その実力も全て、香月セキュリティ・サービスが把握できる
お嬢様と年齢や性格が合わなかったりした場合は適した家を探して、所属を変更することもできる
ハイジはヨーロッパのアカデミー出身の外国人警護人を、名家に斡旋するビジネスをやりたかったのよね
鳥居さんが、イジワルな笑顔でアーデルハイトさんに言う
自称A級ライセンスのアーデルハイトさんは、そういうことを考えていたみたいだけれど
翔姉ちゃん自身が、そのアカデミーの出身だし
向こうから日本に来たいという人が居たら、香月セキュリティ・サービスの現場トップである翔姉ちゃんに相談してくるだろう
外国からの警護人の身辺調査なんていうのも、香月セキュリティ・サービスでないとできないだろうし
まだ13歳でアカデミーの短期コースしか行っていないアーデルハイトさんの推薦だけでは、ちょっと心配だ
今からでも遅くないから香月セキュリティ・サービスの関さんに媚びてきなさいよ推薦人の内の1人ぐらいにはしてくれると思うわよ
鳥居さんは言う
ああ、アーデルハイトさんがこういう子が日本に来たいと言っていますと翔姉ちゃんに言って、その子のチェックを香月セキュリティ・サービスが行って、身元保証するという手はある
それならアーデルハイトさんだって、ヨーロッパ時代の仲間に声を掛けることができるし紹介料ぐらいは貰えるだろう
もちろん、自分1人で斡旋した方が儲かるんだろうけれどこういうのは信用が大事だからなあ
判りました不本意ですがちょっと行ってきます
アーデルハイトさんは、安城キヌカさんの鉄爪にビリビリに引き裂かれたスカートからプリプリと生足とパンティを覗かせながら翔姉ちゃんの方へと向かう
ハイジはもうちょっと世間を知れば、もっと伸びる子だと思うのよ資質は優れているんだから
鳥居さんはそう言う
それはあなたも同じよまり子
桃子姉ちゃんは、クスッと笑う
みすずまり子とアーデルハイトちゃんは、置いていくから
まだ色々と残っているんでしょ水島家のことは大体済んでいるけれどさっきのスパイの件もあるし鞍馬さんのご姉妹の件とか
桃子姉ちゃんは、チラッとみすずの後ろの水島可憐さんを見てそう言った
鞍馬姉妹の名前が出たことで、狩野さんがビクッと反応する
わたくしはことの顛末はちゃんと知っておきたいのよだから、本当ならわたくし自身がここに残りたいんですけれどここにはほら、巫女さんたちが居るでしょ
ニヤッと微笑む桃子姉ちゃん
歌晏桃子さんだけは鷹倉神社の巫女の存在とその力を知っている
わたくしはどんな時でも、わたくしでいたいの人に操作されるのは嫌よ心の中を覗かれるのは、勝手にしたらって思うけれど
この人は、ホントにサバサバしている
だから、わたくしは残りません代わりに、まり子を置いていくわああこの子は、性格がユニークでしょもし巫女さんに性格を変えられたらすぐに判りますからねそうなった場合は歌晏家と香月家の全面戦争よ
笑顔のままそう言う
桃子お姉様どういうお話ですの
鳥居さんが、キョトンとして言う
ああ、この子には巫女の力のことは、教えていないんだな
ていうか鳥居さんに教えたら、平気でみんなに言い広めるだろうし
そんなことをしたらとんでもないことになるとか考えない子だもんな
巫女は全てわたくしの旦那様がご支配なさっております鳥居様が、わたくしたちに対してよほどのことをなさらない限りご無礼は致しませんわ
みすずも、笑顔で返す
そうま、信用するわみすずはもう、わたくしの妹なんですしまり子、とにかく、あなたは残って成り行きを見届けなさい鳥居家には、わたくしから連絡しておくわあそこの家は、歌晏家には頭が上がらないから
ああ、鳥居さんの家と歌晏家は結びつきがあるんだ
今夜は、お泊まりいただくことになるかもしれないですわ
オレたちの背後からアニエスを抱いた瑠璃子が言う
別に構いませんわ香月家のご本家に泊めていただくんですしわたくし、いつも桃子お姉様のお屋敷にはお泊まりしていますから
お泊まりいただく以上は、我が家の家風に従っていただきますがよろしいですわね
家風よく判らないですけれどまあ、何でも従いますわうふふちょっと楽しみ
鳥居さんは、クククと笑うが
オレには瑠璃子が怖い
こういうことを言い出す時の瑠璃子は、何か企んでいる
桃子お姉様わたくしたち、異能の力で鳥居様のお心を変化するようなことは致しませんがわたくしたちと一晩過ごしていただいた結果、鳥居様が色々と変わられるということはあるかもしれません
瑠璃子が桃子姉ちゃんに言う
お兄様と触れ合った方はみんな成長致しますからわたくしもそうでした
公ちゃんが
不思議そうに、オレを見る桃子姉ちゃん
そうなの良く判らないわねわたくしには
そしてみすずに
今回、わたくしがみすずとの関係を良好にしようと決めたのは、公ちゃんを見たからよ
香月家の本家の娘がよくもまあ、こんな木訥な子を選んだものだなって
ボクトツ
でも、こういう男の子を選ぶのならみすずだって悪い女の子じゃないって思ったのよほら、良く言うでしょ恋人というのは、同じレベルの男女だって男の子と女の子、どっちかが優れてて、どっちかが劣っているなんていう差が付くはずがないって
実際、今日のパーティの進行を見てあなたたちって、余裕が無いわよねいつも、いっぱいいっぱいで汗をかいている感じでエレガントではないわ
みすずは謝る
いいんじゃないのみすずは、まだ若いんだしあなたの頑張っている感じが、皆様には良く伝わってたわよだからみんな、みすずや香月家それに公ちゃんにまで、好印象を持ってくれたんだと思うわ
ああ確かに
みすずもオレもあんまり余裕は無かったと思う
でも、あたしだったらもっと優雅なパーティにするわよ次は、歌晏家のパーティに招待するから、公ちゃんと一緒にいらっしゃい
はいありがとうございます勉強させていただきます桃子お姉様
でも余裕がなくて、エレガントでは無いパーティでしたがとにかく、どんな時でも一生懸命になって頑張り続けるというのがあたしたちの家風ですから
家風
さっき、瑠璃子も同じ言葉を使ったけれど
あらまた、家風香月家にそんな家風があるなんて知らなかったわ
桃子姉ちゃんは笑う
違いますあたしの旦那様黒森公に仕える者の家風ですわ
みすずは真顔で、そう言う
ですから、優雅さは桃子お姉様にお任せ致します
改めて桃子姉ちゃんが、オレを見る
瑠璃子もそうなの
はいわたくしもお兄様に従う者でございますから
美子さんも
桃子姉ちゃんに聞かれて、美子さんは
今の香月家は公様を中心にして動いていますわ
ば、ばけらった
アニエスが、突然口を開いた
ギッと、桃子姉ちゃんを睨んでいる
美智も無言で、桃子姉ちゃんを見ていた
えー、プリンセス・アニエス様は
慌てて、コヨミちゃんが通訳しようとするが
通訳は結構よ何が言いたいのかは伝わったから
なるほど公ちゃんの影響なの
はいもちろん巫女とは関係ありませんいえ、巫女たちも旦那様と触れ合ったことで、良い方向へ進むことができました
じゃあまり子も、良くなるかしら
お姉様わたくしはいつも最高に良い状態ですわ
鳥居さんは、反発する
少なくとも、鞍馬さんたちのことは心配しなくていいのね
そういう桃子姉ちゃんに、みすずは
鞍馬さんのご姉妹どころか先ほどのスパイのことも、お任せ下さい
ふーんこんな木訥だけな子にそんな力があるとはとても思えないけれど
オレの顔を覗き込む
オレは、口を開いた
なあに、公ちゃん
ボクトツってどういう意味です
ボクトツというのは人の名前ネ
突然イーディが、現れる
ボクトツというのは、前漢の頃の匈奴の王様ネ紀元前174年に死んだのネ
あなたっそれは冒頓単于よっ
鳥居さんが、叫ぶ
そうネその人の話をしているノネ
わたくしたちは、その人の話はしていないのよっ
イーディそう言えば、お前、今まで何をしていたんだ
しばらく姿が見えなかったけれど
スパイの監視ネあの子眼を醒ました途端に、逃げようとしたから、フン捕まえて来たところネ
ああ、天童乙女か
今はどうしている
月子が来てくれたから大人しくしているノネ
はぁならいいけれど
あらあら、大変そうねじゃそっちは、あなたたちに任せるわ
そう言って桃子姉ちゃんは狩野さんの方へと向かう
まり子は置いていくけれど桜子、あなたはわたくしと一緒に帰りますからね
狩野さんの手を取る
鞍馬さんたちが心配なのは判るけれどわたくしたちは、残ってはいけないのよ立場があるんですから
3大名家の娘として
みすずとまり子から報告があったことは、あなたにも教えてあげるから今日は、わたくしと帰りましょういいわね
桃子姉ちゃんは、そう言った
辛そうに狩野さんは答えた
最近、オタクイベントにはすっかり足が遠のいているのですが
ゴールデンウィークのスーフェスだけは行こうかなと思っています
ゲストが、V3、スバットの宮内さんとキカイダーの伴さんなので
このお二人のトークショーは、1度見ておくべきな気がして
いや、藤岡さんと佐々木さんとスーパーワンの方は、前にトークショーを拝見したことがあるんですけれど
特撮の金字塔みたいなお二人が、同じ日に同じ会場で観られるのなら行ってみようかなあと
いつの間にか、入場料が値上げになってますけれど
877.夜は楽し / ハードデイズナイト
ようやく、最後のお客が帰ってくれた
みすずの主催したお嬢様と警護役の懇親会パーティは、何とか盛況に終わった
ああ、日が大分傾いている
オレたち身内の人間と鳥居さん+アーデルハイトさんだけの中庭は静かだ
まあ、色んなコトがあったけれどほぼ目的は達成できたと思いますわ
いや、別にオレはその辺をウロウロしていただけで、頑張ったのはみすずたちじゃないか
会の主催者として、ドッシリと構えていたみすず
みすずを立てて、控え目にしてくれていた瑠璃子
それから他のお嬢様の中に入り込んで、フォローをしてくれた美子さん
今は、香月セキュリティ・サービスのメイド部隊と一緒にパーティの片付けをしていくれている
ええ、美子お姉様には感謝の気持ちでいっぱいですわ
ジッちゃんが、香月家本家の娘として認知したとはいえ
美子さんは、亡くなったジッちゃんの長男の隠し子つまり、本妻の娘ではない
その上、ずっと瑠璃子のお付きとして臣下として仕えてきた
みすずや瑠璃子と並んで香月家の後継者を名乗るのは気が引けるらしい
だから、自ら進んで一歩下がった位置に居ようとする
いや、美子さんがそうやってみすずや瑠璃子を立ててくれないと
美子さんに対して反発する人々のイジメに合うことになるし
美子さんを無理に擁立して、香月家を乗っ取ろうとするような連中も出て来るかもしれないから仕方ないんだけれど
そして、美子お姉様と同じくらい旦那様にも感謝しているんです
あたし、今日は旦那様が近くに居て下さるから頑張れました旦那様が、ずっとあたしを見ていて下さるって感じているから
みすずが、オレの手を掴む
指と指を絡ませて来る
うんまあ取りあえず、無事に終わって良かったアニエスやヨミたちのお披露目もできたし
オレには、名家の中の問題よりアニエスたちの今後のことの方が心配だった
何とか悪い印象を与えずに、受け入れてもらえそうだよな
みんなみすずたちの学校に編入する
香月家に関係する女の子たちとして
ええ今日いらした方たちは、皆さん有力なお家のお嬢様たちですからあの方たちにお気遣いいただければ、他の生徒たちにも受け入れていただけると思いますわ
後は、マナが残っているけれど
そうですわねマナちゃんは、また別のルートを考えないといけないですよね
香月家の力で、みすずたちの学校に編入させるのはアニエス、ヨミ、ルナ、コヨミちゃんが限界だ
プリンセス・アニエスのお付きがコヨミちゃんで、警護役がルナ香月家の縁者で、中東のとある国のプリンセスということにしてあるからそれで、従者が2人態勢を何とか強引に認めさせる
ヨミの方は、瑠璃子の警護役という肩書きで
月子もなあ
オレは、つい呟いてしまう
月子を美子さんのお付きということで編入させようかと思っていたけれど
これは月子自身が、高校には通わないと宣言したことでご破算になった
巫女の修行とオレの子を孕むことに集中したいらしい
鷹倉神社を継ぐ決意をしている以上は不用意に外に出ることは、なるべく避けたいのだと言う
通学はみすずや瑠璃子たちと一緒なんだから警護体勢は万全だし
ヨミやルナも、同じ学校に居るのだからと説明したけれど
月子の意志は変わらなかった
月子さんに美子お姉様のお付きは無理ですわ
あの方は、すでに巫女としての高貴な気品を身に付けていらっしゃいますからそれに、あの方は今更、他の誰かに仕えるというのは無理です
ああ、神様に仕えているんだもんな
巫女になるんだから
違いますわ月子さんは旦那様にお仕えしているんですよ
みすずは、クスッと微笑む
ですから、美子お姉様のお付きはお芝居でも無理だと思います他の方が見たら、すぐにバレてしまいますわ
自分が瑠璃子に仕える立場だった美子さんは人に仕えてもらうことに慣れていないだろうし
月子とセットにしても主とお付きには、見えないか
マナちゃんと同じですわ
ああマナも
瑠璃子や美子さんのお付きにはなれない
マナちゃん、どんどん綺麗になっているから
今のマナはアニエスと同じで、従者にしては美しく気品があり過ぎる
あいつも、元は白坂家のお嬢様だから人に仕えることは苦手だ
もちろん、ヨミやルナみたいな特殊能力があるわけでもないから、警護役は無理だし
それでも、見た目が異国人のアニエスなら、お忍びで留学してきた謎のプリンセスで押し通せるけれど
マナは、どこから見ても日本人だからな
マナちゃんの編入は、春まで待った方がいいかもしれませんわ今はまだ昔の面影も残っていますし
ああみすずたちの学校には、パーティなんかで昔のマナ白坂舞夏と会ったことがある子もいる
舞夏の匂いを完全に消すためには、もう少し時間が必要か
うちの学校の中でヨミちゃんが、お友達をたくさん作った後の方が入り込みやすいですわ
マナとヨミは14歳中学2年生同士だ
先にヨミが編入することでマナが楽に生活できる下地を作ることができる
ヨミちゃんは今日のパーティでも、皆様にお顔を知っていただけましたから警護役としては、美智に師事していて、香月セキュリティ・サービスとも繋がっているのですから他の子たちからは一目置いていただけると思います
香月みすずの警護役、工藤美智の強さは今日の、キョーコさんや天童乙女との戦いで証明されただろう
背後に美智や香月セキュリティ・サービスが居て、本人も不思議な技を使うことができる子をイジメたりはしないだろうな
まあ勝ち気で明るい性格だから、すぐに友達はできると思うし
春までに新しいルートを見つけましょう
うん今日の会で、今まで疎遠だった他の家とも交流できそうだ
マナは香月家でなく、別の家から編入させた方が良いと思う
そういうことができるようになるためには、もう少し桃子姉ちゃんたちと仲良くして頼み事を聞いてもらえるような関係にならないとな
オレとみすずが話していると
アニエスとコヨミちゃんが、やって来る
お客さんたちは、ほとんど帰ったのに何でまだ、そんなに緊張しているんだ
アニエスコヨミちゃん
いや、もうそういうのはいいから
コヨミちゃんは、向こうで瑠璃子やイーディと話している鳥居さんとアーデルハイトさんを見る
まだ居ますから色々と疑り深い方が
あううう、ばけらった
アニエスは家族でない人間に対しては、激しく警戒する
そういうアニエスの気持ちを、コヨミちゃんは感じているから
あの子たちは、何とか致しますわ
それよりアニエスちゃん、旦那様にお願いしたいことがあるんでしょ
ううう、ばけらった
ほうら、おいでアニエス
オレがしゃがんで、両腕を拡げると
ばけらった
アニエスがワッっとオレの胸に飛び込んで来る
オレの身体をギューッと抱き締める
ばけらった、ばけらった、ばけらった
よしよしうん、怖かったんだなみんなに見られてほら、もう大丈夫だからな
オレも、アニエスの小さな身体をギュッと抱き締める
他の家の少女たちがいる間はオレや瑠璃子にしがみついていることはできたけれど
本当はこうやって、両腕でギュッとして欲しかったんだな
今日はよく頑張った偉いぞ、アニエス
あぅぅばけらった
オレの腕の中で安心したのか、アニエスはハゥと大きく息を吐く
可憐
みすずが、ずっと後ろに控えていた臣下になったばかりの少女を呼ぶ
12歳の美少女はすぐに応えた
あなたは、会の途中で裏へ行ったから色々と見聞きしているのよね
そうだ水島可憐さんは
屋敷の中で、アニエスが自由に日本語で話しているのも聞いている
はい、みすず様しかし臣下というものは、ご主人様がお尋ねになられたこと以外は話してはならないものだと思っておりますから
可憐さんはアニエスが中東から来たプリンセスだと告知された時も、ばけらったしか喋らない時も黙っていてくれた
それは主も同じよ先程までいらしたお客様の大半はアニエスちゃんが、本当にプリンセスでないことは判っているわでも香月家が公の場で宣言したことは、尊重して下さるという度量を皆様、お持ちですから
え、やっぱバレてたの
まそうだよな
問題ありませんわ今日いらした皆さんがお認めになられるということは学校中の生徒たちが、アニエスちゃんを認めるということですから中東のプリンセスというのは事実かどうか判らなくとも、香月家がとても大切にしている女の子であることに間違いはありませんし
みすずはそう言って、可憐さんを見る
可憐はどうやら、お祖父様の最初の試しに合格したようね
試し
そうかわざと、お屋敷の中のオレたちの様子を見せて
可憐さんが、それを他家のお嬢様に吹聴するようなら
みすずの臣下をクビにするつもりだったんだ
これからも気を引き締めて、あたしたちに仕えなさい
12歳の少女は、ブルッと身震いする
あなたはあたしと旦那様の臣下よ、いいわね
それで臣下としての、あなたのお仕事なんですけれど
可憐にはあたしたちのペットになってもらうから
ペットですか
驚く、可憐さん
そうよペットあたしたちに可愛がられるのが、お仕事よ
アニエスちゃんもコヨミちゃんも、可愛がってあげてね可憐は、あたしたち家族全員で飼うペットだから
不思議そうに、アニエスはオレの顔を見る
うんと後で詳しく説明するよ
オレは、アニエスのおでこに自分の額を擦り付けて、そう答える
あ、あのわたくしも、ご説明していただきたいです
可憐さんも、眼をパチクリさせてそう言うが
説明は後でします大分、冷えてきたわねそろそろ中へ入りましょうか
みすずは笑顔のまま、話を打ち切った
瑠璃子、鳥居さん屋敷の中へ入りますよ
少し離れた所にいる2人に声を掛ける
やって来る2人とアーデルハイトさん、イーディ
この子、話してみるととても面白いですわねハイジの代わりに、あたしの警護役にしたいですわ
鳥居さんは、イーディのことが気に入ったらしい
それはダメネアナタのトコは、面白そうじゃナイカラ
あら、それは残念
ああ、鳥居さんとイーディは2人とも、物怖じしない性格で似ているかもしれない
怖い物知らずで、平気でズケズケと物を言う
ただし、イーディの自由さはその強さが裏付けとなっているけれど
鳥居さんの場合は
Darling、このコ良いネ仲間にしておいた方が良いヨ
このコ経済のセンスがあるネさっきのカアン・モモコも、自分で会社を経営していると言っていたケレド
わたくしは個人的な株の売買だけですわ
鳥居さんは、言う
それも桃子お姉様に教わって始めたことですしわたくしより、桃子お姉様の方が経済的なセンスは優れていると思いますわ
ああイーディと、何の話で盛り上がっているかと思ったら
そういう話をしていたのか
アタシはマリコの方が上だと思うネ一度、ミナホと話してみるといいネアタシはよく、ケイザイの話をするヨ
ミナホ姉さんも投資のビジネスをやっている
アタシたちの今後を考えたらこのコの能力は、プラスになるネオモテの世界でケイザイのことができるコがいると、心強いヨ
ミナホ姉さんはあくまでも裏の世界の人間だ
表立った場所に、姿を見せることはできない
だから大きな会社の株を買うときは別の人の名義にしないといけない
株主総会に黒森御名穂が現れるのは、マズいのだ
いずれミスズやルリコがコウヅキ家の当主になっても大きな家のアルジだと、思い切ったことはできないネコウヅキ家の動きは、マークされるヨだから、小回りがキいて、小技の使えるコがいると助かるヨ
それは桃子お姉様は、鳥居さんを歌晏家にとって、そういう子になるようにお育てになられているんだと思うわ
鳥居さんみたいな、自由に動ける駒を持っていることで
将来、歌晏家の経済活動の露払いをさせようと
ダカラ獲っちゃえって言っているノネ
残念ですけれどわたくしは、桃子お姉様を裏切って、香月家の家臣になるつもりはございませんわ
鳥居さんは、笑顔でそう言う
だって、わたくし桃子お姉様が大好きですから香月様よりうふふふふっ
ニコニコと平然として、そう言い切る
確かに、この子はキモが据わっている
別にカシンにならないでいいしモモコのこと好きなままでいいノネ
アタシたちは、モモコも仲間にしてしまうカラククククーッ
このイーディの笑いには、さすがの鳥居さんも驚く
歌晏家のお嬢様である桃子お姉様が香月家に与するはずがありませんわよっ
違うネコウヅキ家じゃないヨアタシたちは
ニーィっと、微笑む
クロモリ帝国《エンパイヤ》ネ
黒森帝国
そうヨそして、この人がアタシたちの帝王様ネ
イーディが、パコッとオレの頭を叩く
はっ、バカじゃないの
呆れる鳥居さんに、イーディは
すぐに判るネアタシたちの帝国の偉大さが
またクククと大きく笑い出した
大口を開けたまま呆然とする、鳥居さん
そこへ美智がやって来る
翔お姉様と麗華お姉様は、こちらのお屋敷の警護体勢を確認してからいらっしゃるそうです
ああお嬢様たちを返すのは、無事に終わったけれど
まだ香月セキュリティ・サービスの仕事が残っているんだ
今は、周囲の警戒を怠るわけにはまいりませんから
テンドウ・オトメが逃げだそうとしたということは、彼女を回収しようとしている人間もいるノネ
えだけど、あのスパイは使い捨てにされる予定で送り込まれて来たんだろ
オレはそう聞いたけど
敵だって、色々な考えの人間がいるノネ特に組織のボスが、そう決めても現場の人間が違った行動を取る可能性があるネ
あのコの親族とか、身内はやっぱり死なせたくないと思っているハズネできれば、回収したいと
天童乙女の父親は侠客の42歳の天童貞男っていう人だと聞いた
父親はボスの命令に従って、娘の死を覚悟しているとしても身内の連中の中には、天童乙女を助けたいと思っている人もいるかもしれない
もちろん、コウヅキ家の不祥事にスルためにあのコを殺してしまいたいと狙っているヤツラもいるネ
香月家のパーティに出掛けた女子高生が、香月家の敷地内で変死したらスキャンダルになる
ダカラ、この屋敷の外には今テンドウ・オトメを生きたまま回収したい人間と、殺してしまいたい人間の両方がいるノネ
関西ヤクザは、2グループ来ている
それも何とかしないといけないな
屋敷の周りで、ドンパチされるのも困るし
天童乙女の処分は、早急にやらないといけない
かといって、変死とかされたら寝覚めが悪い
じゃあ、まず天童乙女さんにお会いになられますか
まず
オレが聞き返すと
今、旦那様にしていただきたいことが大きく分けて、3つあります
み、3っつ
1つは、スパイの天童さんのこと2つめは、鞍馬さんご姉妹のこと
ああ、そうねわたくしもその件に関しては、最後まで見届けないと桃子お姉様に叱られてしまいますわ
鳥居さんが、鞍馬姉妹に反応する
3つめは、可憐を臣下として、旦那様に躾けていただくことですわ
可憐さんが、ビクッと震える
ペットにすると言われたことの意味が、まだよく判っていないとはいえ
貞操の危機であることを感じているのかもしれない
みすずは、自分の眼の前で
可憐さんが、オレに処女を捧げることを望むだろう
今夜は、香月家にお泊まりいただくお約束ですけれど
ああ全て、今夜中に片付けないと
ミスズ3つじゃないネ、4つネ
イーディは、そう言って鳥居さんを見て、微笑む
ああ、そうね4つめもあるわね
みすずも、ニコッと微笑む
2人の視線に、鳥居さんは
な、何よ何で、わたくしを見るんですわたくしは別に何も問題は起こしていませんわよっ
みすずとイーディは、鳥居さんも今夜中に仲間に引き込むつもりなのか
うううううばけらったぁぁっ
オレに抱きついたままのアニエスが、大きな声で叫んだ
ああ、判った、判ったアニエスもだな
オレは、慌ててアニエスの背中を撫でてやる
今日一日のことで、すっかりストレスの溜まったアニエスは
オレとのセックスを熱望している
てことはヨミやルナもだよな
いやいや、みすずと瑠璃子美智とイーディ翔姉ちゃんに、レイちゃん
月子もふつふつと性欲を滾らせている気がする
今夜もなかなかハードな夜になりそうだ
パーティが終わったので、伏線の回収に入ります
歌晏さん、狩野さんは、栗宮さんは別エピソードにて
天童乙女、鳥居さん、アーデルハイト、可憐さんは、ここから
878.夜は楽し / インカ最後の皇帝
うー、うー、うー
鳥居さんたちという異分子がいることで、アニエスは警戒状態を崩さない
オレからしがみついたまま離れないので、抱っこしたままの移動となる
アニエスはまだ12歳だけれど、発育が良いから結構、重い
でも、まあ、しょうがない
ギュッと抱き締めたまま、慎重に運ぶ
まずはどうなさいます
中庭から屋敷の中へ入った段階でみすずが、尋ねてくる
とりあえず、一度、天童乙女に会ってみるよ
会ってみないと、どんな子なのか判らない
では、あたしや瑠璃子は同席しない方がいいですね
あたしたち香月家の娘が居ると緊張するでしょうから
というより、危ないですわ
横から鳥居さんが口を挟む
向こうは、敵地に1人で乗り込んでくるような怖い人ですもの隙を見て、みすず様や瑠璃子様に襲いかかるかもしれません
ソンナ隙は与えないネ
イーディが、フフンと笑う
デモミスズたちは、イナイ方が良いと思うネ
天童乙女を送り込んで来た関西ヤクザは香月家と敵対しているんだから
どんな理由でも、香月家の人間が居れば強く反発するだろう
では、あたしたちは別室で待機しております瑠璃子もいいわね
じゃあ、アニエスもみすずたちと一緒に
オレが、そう言いかけると
ぶるるるるっばけらった
アニエスは、クビをぶんぶん振って拒絶する
今まで以上に、ビシッとオレにしがみつく
いや、コヨミちゃん通訳しなくても判るから
オレは、アニエスに
オレと離れるのは嫌か
今度はウンウンと大きくうなずく
でもなぁ
アニエスを抱きかかえたまま武闘派スパイに会いに行くというのも
そのままで良いと思うネ
そして、みすずの後ろの水島可憐さんを見て
アナタは、テンドウ・オトメに何か変なコトはされなかったノカ
変なことでございますか
首を傾げる可憐さん
いいえ特にはとにかく、周りの方々にご自分の正体を伝えるなということだけ、念を押されました
天童乙女は、水島可憐さんの警護役という立場でこの屋敷に来た
他に何か言われたカネ
いえあの方がわたくしの所にいらしてから、ほぼ1週間ですがほとんどお話はしていないんです一切、わたくしには話し掛けようとはなさりませんでしたから
その証言を聞いてイーディは
自分たちとは無関係の小さな女のコを無理矢理、巻き込んだりスルのが嫌だったんだと思うヨダカラ余計な接触はしなかったんじゃナイカナ
でもほら、高浜さんだっけあっちのお嬢様の方は、巻き込みまくっていたじゃないか
警護役には、発言権が無いから高浜物産のお嬢様に、自分の意見を代弁させて、みすずの主催する会をメチャクチャにしようとしていた
それは趣味と実益を兼ねているノネ
あのお嬢様は高校生ネそして、こっちのお嬢様は小学生ヨテンドウ・オトメの好みは、自分と同年代のコだったってことじゃないノカネ
ああ12歳の可憐さんには、手を出す気になれなかったけれど
高校生の高浜さんは、同性愛で自分の手下に堕としたいと思った
ダカラ、アニエスにも手を出さないと思うヨそうやって、Darlingにしがみついていたら防弾チョッキ代わりになるネ
クククとイーディは笑う
いや、こんなぷにぷにしていて温かくて、可愛い防弾チョッキがあるか
わたくしも、アニエスちゃんを連れて行くのは良いことだと思いますわ
あの人は多分、香月セキュリティ・サービスの怖い方々に尋問されると思っているでしょうからお兄様とアニエスちゃんが行かれるのは、あの人の緊張を解くのに丁度良いと思うんです
アニエスは判るけれどオレもか
ソウヨルリコの言う通りネDarlingは、怖くないネむしろ、ヒトをホッとさせるネ
自分では、そんなつもりは無いんだけれど
心配しなくて、イイネどっちみち、アタシが付いていくネ
イーディがガードしてくれるなら、まあ大丈夫だろう
美智は、ドウスル
イーディは、ずっと無言のままみすずに従っている美智に尋ねる
わたくしはこのまま、みすずお姉様の警護を続けます今日はご主人様の警護は、イーディにお任せしていますし、わたくしたち2人が並んで押し掛けるのは、あの方を刺激するだけでしょうから
それにわたくしのように警護役の経験しか無い人間では、あの方の心理状態が掴めません
ソウネ守る側でなく攻める側、いいや潜入して仕留めることを目的とした教育を受けていないと、とっさに動けないカモネ
イーディはニューオリンズの暗殺教団で、暗殺術を学んでいた子だ
先ほどの逃亡未遂もイーディだから、阻止できたのだと思います
美智の言葉に、イーディがオレを見る
Darlingツキコたちの力には、もう1つ弱点があったノネ
巫女の力に
人の心が読めてもそれを理解して、具体的に対処するのには幾らかの時間が必要ネタイム・ラグがあるノヨ
タイム・ラグ
意識を回復したテンドウ・オトメが、警護の隙を付いて、逃げだそうと考えたことにツキコは気付いたネだけど、力を使ってテンドウ・オトメを制御しようとした時には、もう脱走のアクションを起こされていたノネ
巫女の力で、相手の考えが判っても
鍛え上げられている天童乙女の反射スピードには、追いつかない
タマタマ、アタシが様子を見にいってた時だから、良かったノネテンドウ・オトメが起き上がった瞬間に、気を叩き付けてやったカラそれで、もう一回ツキコが、失神させたネ正確にはツキコがメザメロと命じるまで、眼を醒まさないようにしてアルネツイデに、香月セキュリティ・サービスから拘束具を借りて、縛っておいたネ今は、ツキコが監視しているヨ
なるほど、がんじがらめに縛っておけばもしも、突然、テンドウ・オトメが目覚めても、安心だ
つまり意識を取り戻して、自分が居る部屋の様子を確認した瞬間に、突発的に脱走を企てたのですね
ソウヨ意識が完全に明瞭になる前に身体が先にソウ反応したダカラ、ツキコには対処できなかったトイウコトはテンドウ・オトメは、心の中では生きたいと思っているノネ
ソレがあのコの真意ナンダト、アタシは思うヨ
ニッとオレを見る
お兄様、わたくし前にテレビのドキュメンタリー番組で拝見したことがあるのですけれど
イスラム教の過激派の自爆テロをしに、モスクワへ行った女性のお話だったんですが
自爆テロ
その女性は、中央アジアの貧しい村の出身でお腹に爆弾を巻いて指定の場所で爆発させて死んだら、残された家族にたくさんお金をあげると言われてモスクワまで来たんだそうです
今までは故郷から一度も出たことがなくて貧しい生活に絶望し、世の中に絶望し、もう死んでしまってもいいと思って、爆弾と交通費を貰ってモスクワへ行ったのですが
初めて見る、華やかな大都会の景色に世の中には、こんなに明るい場所があるんだと感動なさって自爆して死んでしまうのが、急に馬鹿馬鹿しく思えてきたんだそうですそれで、自爆テロは止めて警察に出頭なさったって
ああ自分が生まれ育った世界だけしか、知らなかったから
世の中には、もっと違う世界もあるんだと感じてそれで
天童さんも、そういう方なんじゃないかってわたくしは思うんです
父親が侠客で生まれてからずっと、ヤクザの世界で過ごしてきて
ですから、あの方に楽しいことを教えて差し上げて下さい
わたくしもお兄様に教えていただくまでは、美子お姉様と2人で自分の周りの狭い世界だけが全てだと思って暮らしておりましたから
そうだったな
アニエスも、オレを見る
ああ、アニエスもだよな
オレは、よしよしと抱き締めたアニエスの身体を上下に揺する
よしじゃあ、行くか
こっちネ
天童乙女の拘束されている部屋を知っているのは、イーディだけだ
あ、待って、待ってわたくしも参りますわよ
鳥居さんが慌ててそう言う
安全に問題は無いんですわよねだったら、参りますわたくしにはハイジも付いておりますし
しょうがナイノネ付いてくるネ
さすがね、あなた判ってる
鳥居さんとイーディは、さっきから妙に意気投合している
わたくしは、あんまり付いていきたくはないのですが
もうっ、ハイジあなたねっ
はいはい判りましたお付き致しますマリコお嬢様っ
アーデルハイトさんは、憎々しげにそう答えた
私も行きます
コヨミちゃんまで
月子様だけでなくヨミさんやルナさんも、いらっしゃるんですよね
ああコヨミちゃんは、オレの心を読んでいる
そうだ天童乙女の性格改造は、鷹倉姉妹全員でやれと言われて来たんだっけ
でしたら、私も参加した方が良いと思うんです
コヨミちゃんも巫女の力を持っている
判った、一緒に行こうイーディの後ろから、離れないようにして
アニエスは、オレから離れるなよ
キューッとオレを強く抱き締める
では、お気を付けて行っていらっしゃいませ
みすずと瑠璃子が、頭を下げて送り出してくれる
部屋のドアの前に、ルナとヨミが居た
あの黒森様に、ここで先生を待って、一緒に中に入れと
ミナホ姉さんが、2人をここに寄越したんだ
あの人、大分、心がネジ曲がっちゃっているからあんまり同じ部屋に居ない方がいいだろうって、月子お姉様が
ネジ曲がっている
ええさっき中庭でわたくしもルナも、感じたんですけれどグッチャグチャなんです、あの人の心は
そうだよね生きていきたいのかこのまま死にたいのか判らないような
マーブル模様のアイスクリームみたいなんですわバニラとチョコの
つまり天童乙女の中で、生きたいという気持ちと死んでしまいたいという気持ちが、ごちゃ混ぜになっている
そうそう、そんな感じですわ
さすが兄さんっ
2人がオレの心を読んでそう言う
何がそんな感じなのよ
鳥居さんが、オレたちの様子を見て怪訝な顔で言う
何かささっきから聞いている感じですと、あなたたちまるで人の心の中が判るみたいじゃない
この子は馬鹿ではない
むしろ、勘は鋭い
だからこそ、桃子姉ちゃんはオレたちに対する監査役として、鳥居さんを残していったのだし
ソウヨそういうことなのネ
イーディは、平然とそう言う
まさかみんなして、わたくしのことを騙そうとしているの
勘は鋭いけれど疑い深くもある
そんなコトはシナイネアタシはマリコも、仲間に引き込むツモリダカラ、嘘は言わないネ
だから、言ったでしょわたくしは、桃子お姉様の側近なんですからあなたたちの身内にはならないってそれより、あなたこそあたしたちに付きなさいよあなただったら、お父様にお願いしてお金は幾らでも払ってあげるわ
イーディの雇い主ということになっているオレや、自分が今警護役にしているアーデルハイトさんの眼の前で鳥居さんは、イーディを引き抜こうとする
こういう自由さが、この人の強さなんだろうけど
お金じゃダメヨ
イーデイは、ニカッと微笑む
あら工藤美智さんなら、みすず様の警護役としての栄誉もあるでしょうけれど黒森さんの警護役なら、お金だけの問題なんじゃないの
ああ鳥居さんがイーディに盛んに話し掛けていたのは
美智は無理でも、イーディならお金で引き抜けると思ったからか
あなただってハイジみたいにお金が目的で、わざわざ日本まで来たクチなんでしょ
準・名家という立場の鳥居さんには自分の警護役を国内の人材から見つけることができなかった
それで、ヨーロッパからアーデルハイトさんをスカウトしてきたわけで
オレもまたみすずの相手と認められただけで、名家の一員ではない
だから、自分と同じ様にイーディをアメリカから呼び寄せたんだと思っているのか
お金じゃナイノネ愛ネ
イーディは、答える
アイ
アタシは愛しているヨDarlingも、ミスズも、ルリコも、ミチもここに居るアニエスやヨミやルナもネ愛しているから守るのネお金は関係ないヨ
な、何なのよそれ
鳥居さんには、理解できない話だろう
家族《ファミリー》なのネアタシたちはそしてアタシはマリコも、アタシたちの家族になると思っているノネそれからソコのアンタもネ
驚くアーデルハイトさん
まあおいおい判るネ
イーディは、部屋のドアをコンコンとノックする
中から、月子の声がした
イーディなのネDarlingも一緒ヨ
開けて差し上げて下さい
はーい今、開けます
アレ、この声は月子じゃない
ガチャガチャっと、ドアの鍵を開ける音がする
ああ天童乙女が逃亡未遂をやったから
徹底して施錠することになっているんだな
ガチャリとドアが開くと
お待たせ致しました、どうぞっ
顔を出したのは香月セキュリティ・サービスの木下さんだった
ああ、月子だけじゃ心配だから付いててくれたのか
さっきのパーティの時のメイド服を着たままいつもの爆砕フレイルを担いでいる
相変わらず明るくケロケロ笑っていて全く緊張感の無い人だ
捕まえたスパイが暴れたので、拘束具を持っていってついでに監視していろと、関さんのご指示をいただきました
ちょっと、わたくし1人ではできないことがございまして
月子が顔を出す
何かあったのか
はいこの方毒薬を隠し持っていらっしゃいましたので
毒薬
服毒自殺用のカプセルだったんだと思いますね
ニコニコしたまま、木下さんが言う
いや、ヤバかったじゃないかパーティの食べ物とか、飲み物に入れられたら
名家のお嬢様たちに被害が出ていたかもしれない
それはないですよこの方が危険な要注意人物だということは、わたくしたちメイドも全員知っていましたしホント、この方の一挙手一投足を監視していましたからこの方自身も、それに気付いていましたし
もし飲食物に毒を入れるような素振りをしたら、香月セキュリティ・サービスのメイド部隊が全員で阻止した
ホントこんなアウェーの極致みたいなところに、高校生なのによく1人で潜入して来ましたよねここは香月家の本拠地の本丸ですからねなかなか良い根性していると思いますよ
木下さんは、そう言う
ああそう言われてみると、確かにそうね
鳥居さんが納得する
さっき一度眼を醒まされた時に逃げようとなさった後に、一瞬、毒のことを思い出されたんですわそれをわたくしが感じ取って
毒のカプセルは、髪の毛の中と下着の中に隠していましたね
木下さんが、そう言う