思っていた通り、焦れて食らいついてきましたね

美智は姉妹にそう言う

こいつらも、武闘派だから朝は身体が動かしたいんだな

何だ、安城さんたちも一緒に稽古したいのか

稽古何をおっしゃいます安城流拳法は門外不出の秘伝の技たとえ、稽古であったとしても手の内を明かしは致しません

致しません

明かさないって昨日から、随分、見ているけれど

スカイラブ・ハリケーン・ミキサーとか謎の大道芸とか

ゴタクはイイノネ

アンタたちが、ここに顔を出したのは自分たちの強さをアピールするためデショ

オレは洋館の2階テラスを見る

ジッちゃんやみすずたちはお茶を飲みながら、まだオレたちを見ている

香月家の当主の前で、自分たちの実力をアピールしようというのか

わたくしたち姉妹は、武の道に生きる者鞍馬家のお嬢様たちをお救いするには、もはやこの方法しかないと考えました

ましたーっ

するとターゲットは美智か

香月家の警護役である美智を倒すことでジッちゃんに認めてもらい

香月家で働く代わりに、鞍馬姉妹を解放してもらうとか

あるいは、鞍馬家の借金を少しでも減らそうと

工藤美智殿、あなたに恨みはございませんがこれもお家のためですわたくしと決闘して下さいませっ

いざ尋常に勝負っ

安城姉妹は、構える

勝負決闘また、随分、猪口才なことをおっしゃいますね

美智は、静かに言う

あー、ところで勝負は、わたくしと美智殿の1対1でお願い致しますあー、そっちの人は抜きで

色黒の人、抜きでお願いしまーす

ああ、昨日の闘いを見て

美智とイーディのコンビネーションには敵わないと考えたのか

安城流拳法と工藤流古武術それぞれ、代表者同士の決戦ということで一つ

一つ、お願い致します

随分、舐められたものですねわたくしとあなたが対等どうぞ、姉妹で掛かって来て下さいあなたたち2人に倒されるような工藤美智ではございません

何か美智の口調が、芝居っぽいぞ

美智は判っていて安城姉妹のノリに付き合っている

ぶははははは工藤美智、破れたりっ

破れたりたりっ

案の定安城姉妹は、ノリノリで美智を指差す

工藤美智殿ならば、きっとそう返事して下さるだろうと思っておりました

しかし、あなたも判っていらっしゃらないようですね我ら姉妹の本当の実力を

負けませぬっ

そっちでやりましょうここだと、小さい子たちを巻き込みます

美智はススッと人のいない方へ向かう

隙アリッ

覚悟ッ

シュババババッと、突進する安城姉妹

Darling、ハイジ

イーディの言葉に、オレたちはそれぞれ女の子たちを保護する

ハイジは、鳥居さんを

オレは、真緒ちゃんとアニエス

イーディは、ルナとコヨミちゃんを

ヨミも、慌ててオレたちの方へ逃げてくる

それも計算済みですっ

そして、この位置はあなたの死角っ

オレたちの真ん中を突っ切って安城姉妹は、美智に飛び掛かる

行くぞ、キヌカ

どっこい、姉様

安城流奥義ひぃぃさぁつぅぅ

マーライオン飛行斬りッー

姉妹が同時に美智に飛ぶ

マーライオン飛行斬りがどんな技かはこれから考えます

いや、最初は必殺、ジョルト・コォォラァァだったんですけれど

ジョルト・コーラってアメリカではまだ売っているんですね

一々調べないと怖いです

ちなみに、快傑ライオン丸がライオン丸飛行斬りで

風雲ライオン丸がライオン飛行斬りなんだそうです

今は有名なアニメ・特撮の脚本家になった方が、80年代のコミケで

テレビ・ラドンやたのもしい幼稚園というパロディ同人誌を出していたのですが

私は1冊だけ持っていました

その中のネタに風雲ライオン丸の敵、マントル・ゴッドの弟、ホテトル・ゴッドというのがありまして

いや、今の人は判らないですよねマントルとかホテトルという単語は

愛人バンクを題材にしたドラマとかもありましたけれど今観たら、ワケが判らないでしょうね

時代の風俗を映したものは現代では

ポケベルが鳴らなくてとかポケベルの数字だけで会話する人たちとか

エロゲーの放課後恋愛クラブとか、恋人になるとポケベルにメッセージが届くという演出がありました

966.朝の姉妹たち / 文化が違う

マーライオン丸飛行斬りッー

二人同時に、美智に飛び掛かった安城姉妹ッ

姉のミタマさんの方が先に、手刀で美智に襲いかかったところに

妹のキヌカさんが、姉の影から

プゥゥゥゥッ

口から毒霧を、美智に吹きかけるッ

もらったぁぁッツ

その瞬間、美智は2人の視界から消えている

キヌカさんが吐いた毒霧も、美智には当たっていない

驚く2人の背後から

未熟者

美智が気を込めた拳で、安城姉妹の神経節を打つッッ

ぎゃひっ

安城姉妹は、ドタッと中庭の芝生の上に倒れる

ヨミ、ルナ力で抑え込め

オレは、2人に命じた

うん、兄さん

ヨミが、18歳のミタマさんを

ルナが、13歳のキヌカさんをそれぞれ、肉体支配で拘束する

あがっ

はぬっ

安城姉妹は、もう反撃することはできない

なぜ、小さい子たちを巻き込むかもしれないやり方で仕掛けたんだ

美智は、場所を移動しようと言ったのに

安城姉妹は、わざと真緒ちゃんやアニエスたちの居るド真ん中を突っ切って、美智に仕掛けた

あ、あうう

ああ、ルナの方が巫女の力での拘束が強いんだな

キヌカさんは、まともに話すこともできなくなっている

ちゃんと答えるネコトと次第によっては、許さないヨ

イーディも怒っている

こうでもしなくては、隙が作れませぬ

ほげげ、ほがほがほが

キヌカさんはその通りですと言いたいらしい

今のわたくしたちは、どんな手を使ってでも勝たなければならないのですから

ほひひひはひはひ

今度はよく判らない

絶対に負けられないって言いたいみたいだよ

ルナが、キヌカさんの心を読んで教えてくれた

えー、でも負けたよね

真緒ちゃんが言う

はい、一撃で美智ちゃんの価値ですの

ほひひひ、はひはひ、ふひひひ、ぶひぬっ、むへむへげぼぼっ

わたくしたち姉妹が負けを認めない限り、わたくしたちは負けてはいないだってさ

え、この状況でもまだ勝てるとか思っているんですか

コヨミちゃんが尋ねる

ううん、負けてるっていうことは判っているみたいただ、何としても負けてないって言い続けたいみたい

はあ、それは随分負けず嫌いですの

ルナの答えに、アニエスが呆れる

どうしようもないまでに未熟なのですねあなたたちは

た、他流派の人間に、未熟などと評されるのは心外です

姉のミタマさんが、美智を睨んで言う

流派あなたたちは、流派を代表するほどの手練れではないでしょうしかも、わたくしが言っているのは武術者としての評ではありません

スッと美智は、芝に倒れている安城姉妹を涼しい眼で見下ろす

警護役としてあなたたちの今の行動は、失格だと言っているのです

目的のためなら手段を選ばないというのならテロリストと同じです警護役は、自分の主だけを守れればいいというワケにはいきません主と一緒に、近くに居る無抵抗は一般の人たちも守らなくてはならないのです

それは貴様の考えであろうわたくしたち姉妹は安城の家はそうではないっ

ばひひぶひぶひぼふっ

ミタマさんは、美智に抗議するついでにキヌカさんも

まあ、3歳も年上のミタマさんからしたら、美智に文句を言われるのは嫌なんだろうな

安城家にとっては、主家、鞍馬のお家の皆々様のお命とお身体だけが全て近くに居る他の方々を犠牲にしたとしても、主さえご無事ならばそれど良しと覚悟を決めています

ぶひひあんっ

これはオレにも判った決めてますって復唱したんだな

ソンナ考えの警護役を雇っているから、クラマの家は没落したノネ

くぅぅ、わたくしたちだけでなく、主様たちまでも愚弄する気かっええいっ、この拘束を解けっわたくしと勝負なさいっこの卑怯者

あうぐぅすとぅすっ

今度はイーディに決闘を申し込む

ダカラ、そういうのはダメなのネコウヅキの当主が見ているからって、とにかくどんなことでもガンバッてたら努力賞ぐらいは貰えるという考えは、もう止めるネ

イーディの言うとおり安城姉妹は、判っているんだよな

美智やイーディには、実力で勝てないということは

ただ、昨日から主である鞍馬姉妹とコンタクトできない状況が続いていて

ミタマさんキヌカさんも、焦っている

何でもいいから騒ぎを起こしてお前たち、なかなか根性があるじゃないかみたいなことでもいいから

ジッちゃんと話す機会を得たいと思っている

鞍馬家の令嬢姉妹の運命を変えられるのは、ジッちゃんだけだからだ

あなたたちは、大変身勝手ですどんなことでも、自分たちの甘ったれた妄想通りにことが運ぶと思っていますあなたたち自身の武術と同様に視野が狭い想像力が、圧倒的に欠落しているのです

例えば、昨日のパーティでどなたか1人でも、お客様がケガをしたらみすず様、いいえ、香月家が責任を問われます

ハイジとヨミとルナも、よく聞いておくネ

イーディが、警護役候補生たちに言う

わたくしたちの任務は、主だけ主の肉体的な安全だけを守っていればそれでいいということにはなりませんわたくしたちは、主の社会的な評価、他の人々からの信頼、主家の誇りまでも守り切らなければならないのです

例えば、みすずお姉様が他の名家のお嬢様と街中を歩いている時に襲撃を受けたとします敵のターゲットは、他家のお嬢様の方でそこに居たのが香月家の令嬢であることに気付かないで襲い掛かって来るということもありましょうみすずお姉様は、たまたま巻き込まれただけですしかし、どんな理由があったとしてもそこに香月家の令嬢が居たということは意味を持ってしまいます

ぶひっ

鞍馬姉妹は判らないらしい

もし、そこでわたくしが、みすずお姉様だけを守り、他家のお嬢様が襲撃者に攻撃されるのを見過ごしたとしたら香月家の名誉に傷が付きます自分たちだけ助かって、なぜ他家のお嬢様をお守りできなかったのだと

それはそちらの家の警護役の仕事でありましょうターゲットも、そちらのお嬢様だったのならこちらは被害者ではありませぬかっ

まぁんとひひっ

そう言う鞍馬姉妹に美智は

そうはなりません世の中はフィフティ・フィフティで動いているのではないのですから強き者は、常に弱き者を助けることが義務づけられていますそこに香月家の令嬢が居るのならみすず様を狙った襲撃ではなくても全ての襲撃者は撃退され、駆逐されなくてはならないのですただ、その場で倒すだけではありませんその襲撃を企てた人間たちも全て探し出し、この世から根絶します

そこまで、やらなければ裏社会の連中にナメられる

オレたちは、圧倒的な恐怖で恐れられないといけないんだ

もちろん、みすず様や他家のお嬢様さらに、周囲にたまたま居た一般人の皆様まで、誰1人ケガをするようなことがあってはいけませんさらに、警護役であるわたくし自身もケガをすることは許されません

それは、ケガをしてしまったらそれ以降、主に付き従って警護することができなくなるからですか

むひはっ

襲撃犯撃退で肉体にダメージが残ってしまったら、確かに、警護役の仕事に支障が出てしまうかもしれない

そういうことではありませんわたくしたちが警護役が、そんなことでケガをしたりしたらみすず様や、他家のお嬢様、そしてたまたまその場に居た一般人の皆様が心配するでしょうそういうマイナスの感情を、周囲の皆様に感じさせるのはプロフェッショナルの仕事ではありません

ああ美智が襲撃者と闘ったことで、ケガとかしたら

みんな心配するよな

警護役は常に泰然としていなくてはならないのですどんな時でも、圧倒的な強さで相手を撃滅できなければならないのです人様の眼のある場所では

もしケガをしたり、肉体にダメージがあったとしても

周りの人には気付かれないように、耐えなければならない

敵は卑劣な手段を使って、わたくしたちの死角から突然、攻撃を仕掛けてくるかもしれませんですが、わたしたちは瞬時にそれを察知し、冷静かつ適確に対処し、無傷でできれば一撃で、敵を仕留めないといけないのですそれが本当の警護役の仕事です

美智の言葉に、安城ミタマさんは

それは理想論だ実際にはそんなことはできないはずだっ

はむはむっ

美智は首を振り

だから、香月セキュリティ・サービスという組織があるのです1人や2人では無理なことを組織によってカバーしているのです先ほど、わたくしは人様の眼のある場所ではと申し上げました世間の皆様にはみすず様のお側で警護を勤めているのはわたくし1人ですわたくしの姿しか、見えていませんしかし、実際は裏で香月セキュリティ・サービスの方々が調査・偵察・介入・追跡・撃退など様々に動いていますそうして香月家の名を誇りを守っているのです

香月セキュリティ・サービスは名家全体の情報を集めている

みすずと一緒に居る名家のお嬢様の情報も当然、持っている

何かトラブルを抱えている家の子とみすずが行動を共にしたら

自動的に、周囲に私服警護員たちが配置されるし

怪しい人間の接近は、全てチェックされる

美智は、あくまでも警護の最終ライン最後の切り札なんだ

ついでに申し上げると香月家に敵対する敵なら、わざとたまたま周囲に居た一般人にケガをさせ香月家のせいで、罪の無い人たちが巻き込まれたというネガティブ・キャンペーンを仕掛けて来るでしょうだから、わたくしたちは一般の人々には、絶対に被害を出すわけにはいかないのです常に、そこまで考えて任務を遂行していますわたくしたちは

家の誇りまで守り切るというのはそういうことだ

そんなこと香月様のお家だけでございます

ぶひひひん

悔しそうに、安城姉妹は言う

どの名家でもそんなことができるわけがない

ばばるぅ

うん名家と言っても

狩野桜子さんの家みたいに、家柄だけ高くて今は、名誉職だけみたいな仕事で細々と残っている家もあるし

鞍馬家みたいに、没落が確実な家もある

香月様のお家だからこそ、香月セキュリティ・サービスの様な組織が持てるのですっ他の名家は

ちゃんと伝わってないみたいだから、オレが話すけどさ

美智は、警護役としてのプライド誇りの話をしているんだよオレから見たって、安城さんたちの仕事っぷりはダメだプロとしての矜持が感じられないつーか、あなたたちはいつも思い付いたら、すぐに顔を突っ込むの行き当たりばったりで物事をじっくりと考えるみたいなことが、全然できていないじゃないか

だから、こんな変な形で美智に決闘を申し込んだりしたわけだし

もうちょっとさ考えてから、行動しろよそれから、今の香月セキュリティ・サービスのことはさオレたちには、こういう組織がありますから、皆さん活用して下さいっていう話を昨日のパーティで、名家のお嬢様たちにしたろだから、いいんだよ今後は、香月セキュリティ・サービスが名家全体をガードしていくことになるんだから

この姉妹はホント、主の鞍馬家の令嬢たちのことしか頭に無いから

それでは困りますっ

ほびろんっ

それではわたくしやキヌカは、今度どうやって生きていけばいいのでしょうかっ

はばろくすくっ

わたくしたち姉妹は組織との連携などできませんっ

ばくろぐっ

わたくしたちはわたくしとキヌカ2人だけで、生涯、鞍馬美里様、ありす様をお守りしたいのですっ

おっぺけぺっぽうはっぱふみふみっ

気持ちは理解できるが思いっきり、空回りしているなこの姉妹は

デモアンタたち、向いていないネ警護役

警護役にしては、アマリニモ何も考えていないネアマリニモ、顔に表情が出すぎるネアマリニモ、目立つことが大好きネアマリニモ、思い切りが良すぎるネアマリニモ、人の話を聞かないネアマリニモ、状況判断ができないネそして

アマリニモ、面白すぎるネキャラが立ちすぎヨ

こんなに主よりも目立って、言動が面白い警護役はダメだダメ過ぎだ

何とわたくしたちは先祖代々、鞍馬家の警護役を続けている安城家の娘でございまするぞっ

ぴあにっしもっ

ダカラ、時代が違うノネ100年前と今は違うンダカラアンタたちの拳法と同じで今の時代には合ってないノネ

くくっ安城流拳法は100年先でも闘い続けられる技として、170年前に初代・安城孫左右衞門によって編み出された暗殺拳でございますっ

ばんぶるっ

だから時代遅れじゃないか

その古い技をアンタたちが、いかにゲンダイで通用するようにするかが大切なんだと思うヨ

アタシもミチも、そうネアタシたちが習い覚えた技も古い武術ネ

イーディは、ニューオリンズの暗殺教団に伝わっていた技

美智は工藤流古武術

わたくしも、以前、同じ壁にブチ当たったのです祖父より工藤流古武術の全てを伝授された後祖父はわたくしに、父の元へ行くように命じました父はわたくしの流派を途中で投げ出して東京へ出た人間でわたくしは、父から習うことなど何も無いと思っていましたしかし父は

わたくしの父は、香月セキュリティ・サービスの下請けのような仕事をしておりますからわたくしも、父の仕事を手伝うようになりましたそして、実際の現場の中で色々と学んだのです

工藤父から学んだ

一つの武術・流派というものはその中で研ぎ澄まされていく内に理想化されていきます流派内部だけでのルールやしきたりが発生します現代剣道では足へ攻撃はルール違反ですが、ナギナタには脛《すね》への攻撃が認められているように実戦の使用にはそぐわないようなことも増えていきます

わたくしの古武術も日本人が着物を着て、草履を履いているのが当たり前な時代に作られたものですから現代に合わせて直す必要があります相手との間合いや距離感、呼吸が違いますからわたくしの父は、そのアレンジがとても上手いのです

確かに工藤父は、そういう才能はあると思う

父の言葉ですが実戦にはルールは無い、何でもアリだと考えるのは、大間違いだというものがあります

実戦にもルールがある

VIPを襲撃するのに、核ミサイルを使う人はいません毒ガスを使って、周りの人間ごとというのも無いですでも、爆弾テロはあるかもしれない銃撃なら撃つ位置があります状況をよく観察し、守るべき人と敵に関する情報を精査すれば敵にとって何はアリで、何はナシなのかルールが見えてきますそれに則って、こちらは対処すればいいのです

わたくしも、かなり派手な闘い方をしますがそれは敵の注意をわたくしに集めるための行動ですわたくしを先に倒さなければならないというプレッシャーを相手に与えるためです

アンタたちとは違うノネアンタたちは、何も考えて無くてタダ目立つのが好きなダケだから

イーディが、安城姉妹に言う

わたくしたちだって

はるばるとうさんっ

イーディがキヌカさんを見る

アンタ、ソレ面白がってやっているダロ

結構前から、ちゃんと喋れるようになっているヨネ

キヌカさんは

ばぁれたぁかぁぁ

そういうところがダメなのヨ警護役じゃないノヨ

うん、お笑い目指した方が良いと思うよ

この子、美智お姉様の真面目なお話、全然聞いてなくて次に、どれだけ変なことを言うかしか、さっきから考えてなかったから

そちらのお姉様の方は一応は、聞いていらっしゃるみたいですわ

ヨミがミタマさんの心を教えてくれた

ミタマさんは、まだ話が通じるかもしれないが

キヌカさんは、無理だ

何が問題で、何をしなくちゃいけないという以前に

自分が変わらないといけないという気持ちは無い

だから、何を言われているのか全然判らないし

判る気もないし

聞く気もない

Darling、どうするネ

取りあえず、美智この姉妹を、お前に預けるというプランはナシだ

オレは、安城姉妹を見る

姉のミタマさんだって、論点はズレているものな

自分たちはこのままでいたい世界の方が、自分たちに合わせて変わって欲しいって思っているわけだし

美智は真面目だからなこの姉妹とは、合わないと思うよ

とにかく、美智とではどこまでも平行線だ

ソウネドッチかっていうとネイの方が合っているネ

イーディはそう言うが

寧の明るくオチャラケた性格は作ったものだ

本当の寧寧子は、大人しくて真面目な性格だ

この姉妹を指導するのは無理だ

ミナホ姉さんは娼婦候補の子たちの指導で精一杯だろうし

もしかしてあたしの出番かしら

振り向くと、洋館の2階のテラスから克子姉が降りて来ていた

あたしも最近大人しくしていたから久しぶりに、ヤッちゃおうかしらっ

そうだ最近の克子姉は、すっかりみんなの気さくなお姉さんになっているけれど

オレと最初に出会った頃は暴れ大性獣だった

ヨミちゃんとルナちゃん借りていい

どうするの

ん躾けるのよ結局、この子たちは躾がなってないだけだから

克子姉には具体的な対応策が、見えている

この子たちみたいに、なーんにも考えてなくて、ただその時の感情だけで突発的に行き過ぎた行動に出る子はね1回、キッチリ型にハメてあげないといけないのよ周りをよく見て、人の迷惑にならないように、よく考えて行動するようにね

型にハメる

ヨミちゃん、ルナちゃんとりあえず、この子たち、拳法とか一切使えない状況にしてくれる

それは拳法に対する記憶とかを全部削っちゃうってことですか

ルナが聞く

そんなことをしたら安城姉妹は、2度と自分が学んで来た拳法が使えなくなる

そこまでしなくていいわとにかく、身体の自由を奪えばいいのよそうね、両方の手首と足首に、10キロの重りが付いているイメージとかでもいいわとりあえずは

それぐらいでしたらすぐにできます

ヨミが答えた

あぅぅ

ぎょえ

安城姉妹は、いきなり感じる手足の重さに驚く

姉の方はもう5キロ追加ネ妹は、右足だけ3キロ追加左右の重さのバランスが合っていると意外と動けるノネ

むひっ

安城姉妹の感じる重さが増える

とりあえず、あっちの部屋の中でお話しましょうかお話するだけなら、手足が重くても平気でしょ

イーディも付き添ってくれ

もしものことを考えて、イーディにも付いてもらう

安城姉妹と克子姉、ヨミとルナイーディが屋敷の中へ向かう

オレも行った方がいいかな

逆に、屋敷の中から翔姉ちゃんが現れる

オレを見てススッと寄って来る

その顔は少し悲しそうだった

どうしたの、翔姉ちゃん

翔姉ちゃんは、みんなに聞こえないように小声でオレに囁いた

関西から報告があったわ天童貞男さんたち死んだわ

全員死亡を確認したそうよ

そうなるとは思ってたけれど

あいつらには

天童乙女や園子さんたち

リエとエリ

翔姉ちゃんは、オレを見る

判ったオレから伝えるよ

みんなはみ出し者のヤクザで酷い親だったけれど

親は親だ

あの子たちに誰かが伝えないといけない

車、用意してあるわ

翔姉ちゃんが、オレにそう言った

この間、テレビに警察犬の訓練士の人が出ていて

犬に躾をするためには犬に合わせてはダメという話をしていました

散歩とかも、犬が行きたそうな顔をしている時に行くのではなく

飼い主が、犬と散歩したいと思った時だけ行く

義務にしない

毎日の習慣だから今日は行きたくないけれど行くみたいなのは止める

飼い主が犬の顔色をうかがうのでなく

犬の方が飼い主の顔色をうかがうようにならないといけないそうです

967.朝の姉妹たち / 夢の途中

えー、パパ行っちゃうの

オレが出掛けることを知って、真緒ちゃんが叫ぶ

ごめん、ちょっと大切な仕事があるんだ

園子さんたちは、ミナホ姉さんがいるけれど

リエとエリは、オレが責任を持って面倒を見ないといけない

オレのセックス奴隷なんだから

うー、今日こそいっぱい遊ぼうと思ってたのにぃ

そう言う真緒ちゃんに、アニエスが

パパはお仕事ですから、仕方ないですの

アニエスが、お姉さんらしくそう言ってくれる

それに、アニエスたちはハイジちゃんと遊んであげないといけないです

ハイジちゃん、まだうちの子になったばっかりなんですからアニエスや真緒ちゃんたちの方から、仲良くしましょってしてあげないといけないですのっ

真緒ちゃんが、うんとうなずく

そうでないと、ハイジちゃんのことが心配でパパが安心してお仕事に行けないですのっ

アニエスはどんどん、良い子に成長してくれている

あの周りの人と一切コミュニケーションが取れなかった子が

というわけですから、パパ、ハイジちゃんのことは、アニエスと真緒ちゃんとコヨミちゃんにお任せですのっ

胸を張るアニエス

ルナは今、居ないからな

ああ、頼むよ、アニエス

オレはアニエスにそう言うとハイジを見て

ハイジも頼むよ

スッとハイジは、オレに頭を下げた

アニエスたちの警護は、自分が引き受けますと

じゃあ、行こうか翔姉ちゃん

オレが中庭を後にしようとすると

旦那様、ちょっとお待ち下さい

みすずが現れる

ジッちゃんたちの居た洋館2階のテラスから降りて来たのか

まり子さんも連れてっていただけますか

鳥居さんを

あれ、そう言えば安城姉妹が乱入した辺りから、鳥居さんを見ていないけれど

鳥居様、いつまでそこに隠れていらっしゃるんです

翔姉ちゃんが、中庭の茂みに向かって言う

気付いてましたの

鳥居さんが、顔を出す

翔姉ちゃんは、ニコッと笑う

だって、あの人たちが怖かったんですもの

ああ、安城姉妹が美智を牽制するために、わざとオレたちのド真ん中を突っ走って来たから

もう、大丈夫ですよあの子たちは行っちゃいましたから

克子姉とイーディとヨミとルナに連れられて

昨日起きた事件の元凶は、全て、掃討されましたこの屋敷周辺に、危険人物はいませんこれから、旦那様がいらっしゃる場所にもです

翔姉ちゃんが、鳥居さんに言う

まり子さんは歌晏桃子お姉様から、何が起きたか、全て見てくるようにという命を受けていらっしゃいますよね

昨夜の状況では、この屋敷からお出しすることはできませんでしたが今朝はもう平気です

昨夜は香月セキュリティ・サービスの旧・研修館に、天童貞男や猪鹿蝶一郎のヤクザ・グループが居た

天童乙女も、何をしでかすか判らない様子だった

しかし、今はヤクザたちはいなくなった

天童乙女は戦意喪失状態のままだろう

せっかくですから、色々と見ていらした方が良いと思いますわもちろん、警護は付けます美智、まり子さんをガードして

みすずは、美智に声を掛ける

あたしたちは、外出しないから警護はいらないわお祖父様もご在宅だから、大徳さんたちが付いて下さっているし先ほど、谷沢さんも来て下さったわ

はいわたくしと交代で現場指揮を執っていらっしゃいます引き継ぎもして参りました

わたくしは、あちらの麗華と交代しますわたくしは仮眠を取らせていただきましたけれど麗華の方は徹夜勤務ですから

そして、翔姉ちゃんはオレを見る

御名穂さんもよネット上の情報操作をする班の指導をやってもらったからというより、今が一番忙しいかもしれないわ関西の方でマスコミが動き出したから

レンタカーで関西へ戻った、天童貞男たちが全員死んだのなら巫女の力で狂わされたあいつらが、大人しく死ぬはずがない

自分たちに東京行きを命じた組長の家で大暴れをしたはずだ

同時進行で、キョーコさんたちもアクションを開始したはずだし

大きな事件としてニュースになれば、ネットが騒ぐ

ミナホ姉さんの仕事は増える

じゃあ、急いで行かないといけないね

ミナホ姉さんが情報操作に張り付いていて動けないのなら

園子さんたちには、誰も接していないことになる

美智、鳥居さん行こう

えっと、わたくしは

鳥居さんは、戸惑っている

頼みにしていたハイジは来ないみすずたちお嬢様とも離れることになる

彼女は、オレみたいな名家の人間でない男を信用していない

この屋敷に居たままじゃ、真実は判らないよ本当に何があったのかは自分の眼で見に行かないとね

わざと挑発する

ま鳥居さんが、見たくないのならいいけれど

思った通り、鳥居さんはムッとして

そういうところは単純なんだよな、この人は

行きますっ全部、見せていただきますわ

でもうん

鳥居さんは、好奇心の塊の時の方が良い顔をしている

移動の車のところまで行くと

月子が待っていた巫女衣装で

お待ちしておりましたわ

月子が、スッとオレに頭を下げる

月子も行きたいのか

警護役と巫女1人ずつ居た方が良いとは思われませんか

あっちの旧・研修館ビルにはもう危険は無いと思う

そうだな心を読むことのできる巫女が1人は居てくれた方がいい

親が死んだことを知らされてヤクザの娘たちが、どんな反応を示すか判らない

うん月子も来てくれ

香月セキュリティ・サービスの⒎人乗りの車に乗り込む

翔姉ちゃんが、運転席

警護役の美智が、助手席

オレと月子が2列目のシート

一番後ろのシートに、どっかりと鳥居さんが座る

あれ、そう言えば鳥居さんそれ、持って来ちゃったんだ

鳥居さんは、イーディから渡された練習用のビクトリー・ハンマーを手の中に握りしめていた

ご護身用ですわこんなモノでも、役に立つかもしれませんし

ああ、やっぱり不安なんだな

みすずが見てくれているわけでもなく、自分の警護役が居ない場所は

そういえば、鳥居さん、メイド服のままですね

朝のみすずたちと同じ、メイド服のままだ

気にしないわよこんなのっ

もっとも、オレもトレーニング用に着替えたスポーツウェアのままだ

運動したから汗をかいているしそもそも、朝のセックスのままだ

トレーニングが終わってから、みんなで風呂に入る予定だったんだよな

臭うかな

大丈夫ですわ気になりませんから

月子が、オレの心を読んで言う

むしろ、少し男性的に匂いを発していらした方がこれから行く場所には、よろしいと思いますわ

その言葉の意味はよく判らない

はい出発します

翔姉ちゃんが、車を発進させる

今朝までは香月家のお屋敷の周りを監視している人たちが残っていたけれど、全員いなくなったわ完全撤退よ

ゲートを出る前に、翔姉ちゃんがそう言った

そう言えば、いつ、どんな車が屋敷を出入りするか監視している連中がいたっけ

あれは、関西の人たちの東京近郊の友好団体の人たちが、様子を見ていたわけだけど情報を収集して、関西に知らせて恩を売るためにね

関西からの派遣部隊は、天童貞男グループと猪鹿蝶一郎の一派だけだったことは確認されている

でも、その必要がなくなっちゃったから

ルーム・ミラーの中の翔姉ちゃんの唇が微笑む

香月家と敵対していた関西の組織は、全て壊滅したわ天童さんたちは、親分さんを道連れにして死んじゃったし敵が持っていた主要な施設賭場とか、麻薬の集積所とか、組の事務所とか一斉に、キョーコさんが爆破したり火を付けたりしちゃったし猪鹿蝶一郎さんたちが、まっすぐに関西の警察署に行ってそれこそ人殺しから、万引きまで自分自身と自分たちの組の中で見聞きした犯罪の全てを自供しているし

組織としては崩壊か

ボスと仕事場を失ったらヤクザは、弱体化するだけよ寄り集まる旗頭と、寄り集まる場を失ったらね元から香月家に敵対することを反対していた組以外は、残らないわあの人たちとの抗争は、これでオシマイ後は、ミス・コーデリアにお任せするわ

ミス・コーデリアロサンゼルスの裏社会の顔役

香月家は、名家ですから直接、裏社会とはコンタクトしないわこれからはね

今まではジッちゃんは、裏社会の人間との繋がりもあった

しかし、みすずや瑠璃子の代になったら

あの子たちが、直接、裏社会の人間と接触するのはよくない

間に裏社会の人間を挟むべきだ

それも日本の裏社会の連中とのしがらみのない人間を

日本という国はキトクケンエキを打ち壊すためには、外圧を使うしかないのよね良いことだとは思わないけれど、仕方ないのよ

関西の組織に綻びが出来たところに、ミス・コーデリアの外国勢力が食い込む

アメリカの裏社会の組織が侵攻して来れば残った関西の組織は、防衛だけで精一杯になる

今朝だけで、相当弱体化しているはずだから

今後、香月家に手を出している余裕はなくなる

いや、日本中の裏社会の勢力がこれからは香月家に刃向かうことはなくなるだろう

下手なことをすれば、とんでもない勢いで仕返しされる

壊滅させられる

一罰百戒見せしめとして、成功したんだと思う

多くの命を犠牲にした結果

あの何が、どういうことですの

昨日のパーティに水島家の警護役として、関西のヤクザがスパイを送り込んで来ましたよねあのスパイを送り込んで来た組織を壊滅させました

あらそう良かったじゃない早かったわね

オレの答えを、鳥居さんはフンフンと聞いている

で翔姉ちゃん、何人死んだの

43人よ

さすがキョーコさんよね一般の人に死傷者はいないわ関西の組織に属していたヤクザだけよ

天童貞男グループに親分さんその周りに居たヤクザたち

それから、ヤクザの施設にたまたま居た連中も

壊滅させたんですよそりゃ、人も死にます

あそ、そうなの

でも、これで2度と名家のお嬢様たちに、ヤクザの人たちが手を出そうとすることはありませんわパーティにスパイを送り込んだだけでこうですから

鳥居さんは、すっかりビビッている

今から死んだヤクザの娘たちに会います会って、親が死んだことを伝えます

鳥居さんは、オレに尋ねる

それがオレの役目だからですよ

と月子が

高貴な立場にある者は、高貴なる者の義務を果たさないといけません

ニコッと、鳥居さんに微笑む

ノブレス・オブリージュ

そういうことですそして公様は高貴なお方なのです

オレのどこが高貴なんだ

オレはただオレがしなくてはいけないことをするだけだ

不意に、美智が口を開く

ちょっと、ご相談させていただいてもよろしいですか

いいけれどみんな聞いているわよ

それはいいんです

つまり翔姉ちゃんに相談するという形で

オレたちにも聞いて欲しいということか

でも、あくまでも翔姉ちゃんと話しているのだから

意見なんかは言って欲しくないと

わたくし、少し焦っておりました

イーディが、ハイジさんという有望な弟子を得たことにですから、わたくしもご主人様や家族のために、有望な弟子を見つけようと考えたのですが

ちょっと、ハイジは別にあの外人の子の弟子じゃないわよあの子は、わたくしの

お嬢様でない相手には、鳥居さんは横柄になる

彼女は美智をみすずの使用人としか思っていないし

少し、静かにしていて下さいね

月子が巫女の力で、鳥居さんの口を封じる

はい、美智さん先をどうぞ

お手数をお掛けします

美智は、暗い声で返事をした

まあいいわそれで美智ちゃん安城さんの姉妹を試してみたわけね

そうだ美智は安城姉妹を自分の弟子にするプランをオレにも話していた

わたくし勘違いしていたのです

あの姉妹は能力はありますきちんと修行しているし、腕は確かですしかし

警護の仕事には向いていないでしょ性格が

はい驚きでした安城家は、代々鞍馬家の警護役を勤めているということでしたから警護に携わる者としての矜持は、一族から教えられていると思っていました

まあね自分の主の安全だけ考えていたら、それで良いなんて甘い仕事じゃないものね

香月セキュリティ・サービスという、名家の人たちの警護を任務としている会社の翔姉ちゃんは、現場責任者だ

そういうことは、誰よりも良く判っている

でも、割と居るわよあの姉妹みたいな考え方の人まあ、結局は主家からクビにされて、ドロップ・アウトしちゃうけどねどんなに能力があっても共存共栄ができない人は弾き出されるわ他の家の人を見捨ててでも、自分の主だけ守る警護役なんて雇っている主の評判を落とすだけだから

わたくしが指導してあの人たちを修正することはできますか

美智は尋ねる

可能性はゼロではないけれど、止めておいた方がいいと思うわ少なくとも、わたくしは香月セキュリティ・サービスは、安城さんたちは採用しないわ

人の性格はね、その人の生き方そのものだから安易に、干渉するべきではないしそう簡単には変わらないのよ

ですが、わたくしはご主人様と出会ってから、随分、自分が変わったことを自覚しています他の皆様たちも

それは、わたくしも感じているわでも、それは全てではないでしょみんな、この人と接して良い方向へ変わったけれど、その一番根本のところにある性格は変わっていないと思うわ人の根っこの問題よ

確かに美智は変わったけれど、やっぱり美智だ

出会った時から、この凛とした姿勢や空気は変わらない

あの子たちは、根本的なところから警護役には向いていないのよ自分の主自分の好きな人にしか興味が無いし周りの人たちの気持ちを感じるということはしないしとにかく、視野が狭いでしょあれは警護役としては、致命的よ

軍隊式のスパルタ教育で、徹底的に周囲に注意する習慣を付けさせることはできるかもしれないけれどダメだと思うわ軍隊だって、不注意が治らない人はザラだから

結局ね適材適所なのよ真っさらで、どうにでも教育して成長させられる人材なんていないから根本の性格を見てそれに合わせて、伸ばしていくしかないのよねぇ

翔姉ちゃんがオレを呼ぶ

あなたは安城姉妹は、何になった方が良いと思う

芸人

注目されるのが大好きだし、派手なことをしたがるし

くくくっわたくしも、そう思うわ

ハンドルを操作しながら、翔姉ちゃんは笑った

とにかく、警護役の家に生まれて、今までずっと警護役を勤めてきたんでしょうけれど安城さんたちは、警護役には向いていないわわたくしは、そう断言します

いずれにせよ真面目な美智とは、合わない

美智には、あの姉妹の指導は無理だ

では、わたくしはわたくしは、どうなのでしょうか

現在のわたくしは、みすずお姉様の警護役ですが

そうね今はお嬢様学校の中で、世間の皆様に注目されることなく密かにみすず様をお守りするという役目としては、美智さんは最適よ

美智みたいな小柄で、可愛らしい女の子が警護役だとは、普通の人たちは気付かない

みすずの近くに居ても、おかしくないだけの可憐さと品の良さを持っているし

警護役としての美智はこれ以上ないくらい有能だと思う

ですがいずれは

そうよみすず様が成人なさったら大人の、誰が見ても警護役だと判る人をお付けするわこんな人がガードしてるのなら、手出しはできないと犯罪者を寄せ付けないような

閣下の警護を勤めている大徳さんたちみたいな人をね

まだ学生の今は筋骨逞しい警護員がいつも侍っているのは、バツが悪い

だから、美智みたいな一見、警護役と判らない子の方が良い

でも、みすずが大人になって働くようになったら

可愛らしい美智を連れ歩く方が変になる

そこはやっぱり、香月家の後継者としてカッチリとした警護役が付かないと

わたくしも向いていないのでしょうか

美智は悲しそうに言う

安城家の娘たちのように能力はあっても、警護役に向かないのでしょうか

それは、判らないわ

だって覚えているわたくしだって、女だけれど閣下の専任警護人だったのよ

それは翔お姉様は、体格もご立派ですし

人をゴリラみたいに言わないで背は176センチあるけれどそんなマッチョな体型はしていないわよ気を付けているんだから

翔姉ちゃんは、健康的な素晴らしいプロポーションをしている

わたくし背も低いですから

美智は落ち込む

ちょっと美智さんあなた、まだ15歳でしょ成長期なんだからマナちゃんなんて、例の促進プログラムを始めてから、グングン背が伸びているじゃない

マナは、スーパーモデルを目指して食事と運動によって肉体を美しく成長させるプログラムを実行している

わたくしも、同等のプログラムを組んでいただきましたが成長しません

胸も1ミリたりとも増えていません

それだって、判らないでしょ成長の度合いは、人それぞれなんだからマナちゃんにはすぐに効いたけれど、美智さんには時間が掛かるそういうことだって、有り得るんだから

翔姉ちゃんは、ハァと大きく息を吐き

ネガティブに考えていたら、どんどん心がネガティブになってっちゃうわよダメよそんなんじゃ暗い空気を、他の人にもうつすわ

そんなことを考えているよりあなたの理想は、どうなのあなた自身は、どういう女の子になりたいのよ

翔姉ちゃんは、明るく言う

警護役だけが人生じゃないのよというより、あなたには警護役以外の人生もあり得るのよ

ポカンとする美智

わ、わたくしはあの、みすずお姉様の警護役である自分しか想像したことがございませんが

それじゃあ、安城さんたちと同じじゃないあの子たちだって鞍馬家のお嬢様たちの警護役以外の人生が想像できないからあんなにシッチャカメッチャカになっちゃっているわけでしょ

美智もまた生まれてからずっと、武の道を生きてきた子だ

みすずの警護役を天職だと感じていた

もちろん、これからもみんなの警護はお願いしたいわでも、世間から警護役だと気付かれないのが、美智さんの取り柄なら警護しながら、他のこともできるでしょ

この人たちと一緒にパン屋さんをやってもいいし家庭に入って、みんなのお母さんでもいいのよ

お、お母さんわ、わたくしが

だって、ほらみんな、この人の赤ちゃんを産むでしょ成長したら、幼稚園とか学校とか行くようになるわけだし送り迎えには、実は古武術の使える強いお母さんの方が良いと思わない

美智は可愛いお母さんになると思う

さっきも言ったけれど適材適所で考えた方がいいのよ自分が何になりたいかと今の自分は何ができるか自分の特徴は何なのかを考えて一番、合うものになればいいのよ悩んだりする必要はないわなれるものにしかなれないんだから、人間は

しっかりしなさい、工藤美智さんっ

ううー

美智がどんな道に進もうともオレたちは家族だし、オレはオレ、美智は美智のまんまだろだから、気にするなゆっくり考えていこう何にしたって、しばらくは今のままの警護役の美智が必要なんだから

みすずが高校を卒業するまで、まだ1年半もあるし瑠璃子は3年半だ美智もその期間はまだ学生なんだからその先のことは、ジックリと時間を掛けて考えていけばいいんだよ

ただ、思い込むなよ自分には警護役の道しかないとかそんなことはないんだからな

色んなものに興味を持てよそして、興味を感じている自分に気づけよそしたらきっと見えてくるから、美智は何になるべきなのかが

公様もそうですわ

パン屋さんは克子様の夢ですわ公様は、公様のそろそろご自分の夢をサガされるべきです

演劇の裏方の仕事をやっている頃に、思いましたが

結局、できる人にしか仕事は与えられない

お前、これできるかと言われたら、はい、できますって即答しないと

ちょっと判らないですとかだとじゃあ、いいできるやつに任すということになる

ちゃんと会社組織になっていて、研修期間とかあるところは育てるっていう思考もあるんですけれど

私とか、フリーの世界にいましたから

できるかと言われてできますと答えて、ホントにできないと

次の仕事が無い

でも、ああいう厳しさって、経験しておいて良かったと今は思います

968.朝の姉妹たち / プライド

はい、そろそろ着くわよ

昨夜と同じで、香月家の広大な本家邸宅の裏口から廻って正面玄関前の旧・研修館ビルに着く

入り口前には、香月セキュリティ・サービスの制服警備員が居たけど翔姉ちゃんの顔を見たら、すんなり通してくれた

そのまま地下1階の駐車場へ車を入れる

えっとあの子たちに話していいのは、親が死んだってところまでだよね

オレは、翔姉ちゃんに尋ねる

ええ、具体的なことは話せないわマスコミに報道されているレベルの情報ならいいけれど

もちろん、香月家が情報を抑えている

今、ワイドショーで放送しているから信じないようなら、そのまま観せちゃってもいいわよ

ワイドショーの司会者とかコメンテイターとか、民放局のアナウンサーとかが番組で話しているのを観たら信じるだろうな

幾ら香月家でも、そんな連中を集めて偽番組は作らない

いや、偽番組を作るだけの財力やマスコミへの影響力は持っているけれど

ヤクザの娘たちをダマすために、そんな大掛かりなことはしない

それぐらいは判るだろう

おっはよーございまーすっ

朝から楽しそうに、香月セキュリティ・サービスの木下さんがやって来る

あたしは麗華と引き継ぎをして御名穂さんとも打ち合わせしてくるわ案内は木下さんにしてもらって

判ったミナホ姉さんとレイちゃんによろしく言ってありがとう、翔姉ちゃん

オレが礼を言うと翔姉ちゃんは笑顔で、ビルの奥へ入って言った

えーと、どうしますか

木下さんが、オレに尋ねる

うーんと天童乙女や徳大寺園子さん、黒沢直子さんたちとリエとエリ、それから、うちのヤッちゃんとマナは、別々の部屋に居るんですよね

一応、尋ねる

はい、別の階の別の部屋です

ミナホ姉さんもレイちゃんも忙しかったから今朝はまだ誰もコンタクトしていない

はい、昨夜は黒森御名穂さんがお話していましたが深夜以降は、情報操作で忙しかったですから

ああ、園子さんたちに昨夜、娼館での仕事のガイダンスはしたけれど

その後は、香月セキュリティ・サービスの仕事に張り付いているんだな

あ、でも、どっちの部屋もわたくしが朝ご飯は届けました

どんな様子だった

えっと、上の階はあー、黒森家の人が付いている方ですけれど、そっちはまあ和気藹々と夜遅くまで、仲良くお話していたみたいですから

寧とマナがエリとリエの面倒を見てくれている

でも、下の方の階はどっぷりお通夜みたいですねぇ例の子が、すっかり怯え切ってますから

天童乙女はイーディの気で臨死体験させられていた

じゃあ下の階から、様子を見に行くか

昨夜から放っぽらかされている天童乙女たちの方が心配だ

わっかりました、行きましょうっ

木下さんが、ニコッと笑う

美智と月子も、すでに車から降りている

ほら、鳥居さん行くよ

オレは、車の中の鳥居さんに声を掛ける

わたくしはあの

月子の力は解除されている今の鳥居さんは、自由に喋ることができる

どうして、黒森様がわざわざ、こんなことをなさるんですか

あのつまり昨日のパーティに潜入して来た人に、あなたのお父様は死んだって言いにいくんですわよね

そうだよ正確には潜入して来たあの子、天童乙女だけじゃないけれどあの子以外にも、関西の組織から派遣されたヤクザたちは子供たちを連れて来ていたから

オレたちが見捨てた3人ムスメと自分から、親戚の家に行くと言ったシゲヨさんは、もういない

もうどこにも、帰る場所の無い子だけがここに残っているみんな、親が死ぬことになるだろうってことは理解しているでも、ほら実際に死んだって聞かされるのは、どうしたってショックだろうからさ

ですからなぜ、その役目を黒森様がなさるんです

鳥居さんは誰かを殴ったことはある

この人は、女の子だしトリイ電子のお嬢様だし

自分の手でゲンコツでもいいし、ブン殴り棒でもいいんだけど誰かをガツッと殴るとさ、手応えがあるんだよ自分が相手にどれぐらいのダメージを与えたのか、判るんだ自分で殴っているからオレは殴るだけじゃなく殴られたことはあるからどれくらいの強さで殴ればどれぐらい痛いのかも判る

オレは、ギュッと拳を握って言う

オレは誰かを殴るからには、判らなきゃいけないことがあると思うんだその結果、相手がどう感じたのかどれだ痛いのか、苦しいのか、辛いのかちゃんと殴った側が感じていないといけないって、そう思っている

鳥居さんは、ジッとオレを見ている

これが自分の手でなく誰かに殴らせたってことならオレには相手にどんな痛みを与えたのかは判らないままだいや、頭の良い人は想像で何となく相手に与えたダメージの分量がが判るんだろうけれどあるいは、物理的にダメージの量を計算して推察できるんだろうけれどオレはバカだから、そういうことはできない

ちゃんと相手に会って、直接相手を見て判ろうとする努力をしないと

だから、人任せにできないんだオレが殴って、オレが自分の体感で分からないと

ですがわたくしたちに悪意を持つ困った人たちなのでしょうわたくしは、あの天童という子しか知りませんがあんな子、2度と会わなくたって構わないと思いますが

鳥居さんにとっては天童乙女は、名家のお嬢様たちのパーティに潜入して、お嬢様たちの情報を収集し、たくさんの家に害をなそうとしたヤクザのスパイでしかない

会ってみれば判りますよ

とにかく向こうから仕掛けて来たことですけれど、昨日のパーティ関連でたくさんの人が死んだんですそれは事実です

でも、みんな悪い人ですわヤクザとかなんですよね

鳥居さんは、納得できないようだ

ええ、オレはあのヤクザたちが死んだことについては、何とも思っていません死んで良かったとすら思っています

あいつらは東京での暇つぶしに、立場の弱い仲間の娘を輪姦していたような連中だ

それを黙って見過ごしていた連中も許せない

でも、親が死んだ子がいるんです理屈じゃないんですそのことについての怒りと憎しみは、誰かが引き受けないといけないんです

そうでないとあの子たちが、この先、生きていけない

わたくしにはそういうのは、よく判らないわ

鳥居さんはオレから眼を反らす

判らなくて良いですとにかく、見に来て下さい鳥居さんは、全て見届けないといけないんですよね

判りましたわもうっ

メイド服の鳥居さんも車から降りた

はーい、この部屋でーす

木下さんが、オレたちを天童乙女たちの部屋に案内してくれた

ピッピッピと数字式の部屋の電子ロックを開ける

ノックもせずに、ガチャッとドアを開け

はーい、みんな朝ご飯、食べたぁ

相変わらず、底抜けに明るい

というかちょっと怖い

オレたちも、木下さんに続いてゾロゾロと中に入る

そこは10畳ぐらいの畳の部屋だった

右の奥に自分から娼婦になることを受け入れた黒沢さんが、毛布にくるまっている

その横には、飲みかけのペットボトルと弁当の食べ殻

徳大寺園子さんと天童乙女は左の奥に居た

相変わらず、黒沢さんは2人のことを嫌っているらしい

園子ちゃん、園子ちゃん怖いよぉっ

すっかり幼児退行して園子さんにしがみついている

えっと、あのお早うございます

取りあえず、オレは挨拶する

えっと元気ですか

何かマヌケだけどこういう場合の時候の挨拶が思い付かない

この部屋は窓がないから今日は良い天気ですねとか午後から雨らしいですよとか言えないし

やっと来たわね昨夜から、誰も来ないから見捨てられたかと思ったわよ

黒沢さんが言う

ああみんな、忙しかったんですよブッチャケて言うと昨夜、ここから出発した皆さんの親とあと、猪鹿蝶一郎さんたちあれから夜通し、車を飛ばして朝には関西に到着しましたから

オレはできる限り感情を抑えて、サラッと言う

ふぅんそ、そう

黒沢さんの声が強ばる

それでハッキリ言います皆さんの親は死にました全滅です

そう言うオレに、鳥居さんが

ちょっとそんな言い方はないんじゃないの

オレは無視する

全員、死にましたもう誰1人生きていません

シーンとする室内

あ、そうですか判りましたそうですよねやっぱり、そうなりますよね

黒沢さんが、強がって言う

仕方ないですよねお父ちゃんたちバカで、クズで、ロクデナシでしたからいつかは情けない死に方で死ぬって判ってましたから、あたし

グッと奥歯を噛みしめる

この子は、見た目が可愛くなかったから天童貞男たちには使いっ走りみたいに扱われて、他の娘たちからもイジメられていた

グッと堪えることには、慣れている

人殺し

見た目が綺麗であったからこそ親たちに輪姦されていた園子さんは

みんな死んじゃったなんてそんなの

何言ってるのよ清々するでしょ園子これであたしたち、本当に自由になれるのよっあのバカ親たちから解放されて

黒沢さんは、自分の心の中の葛藤を園子さんにブツケる

でも、死んじゃったのよ昨夜まではあんなに元気だったのにっ殺されたりのよっこの人たちにっ

園子さんは、ギロッとオレを睨む

あたし、知っているわあなたが、あの変な力を持つオンナの子に命令してお父さんたちを、おかしくしたのよ

園子さんたちにはヨミが、天童貞男たちを狂わせていく監視カメラの映像をリアルタイムで観せた

そうだオレがオレたちが殺した確実に、お前たちの親が死ぬ様に仕向けたそして、オレたちの計画通りにお前たちの親は死んだ自分たちの親分や組を巻き添えにして

オレは、天井を見る

翔姉ちゃん、聞いてるもし聞こえていたら、テレビの映像とか出せる

聞こえているわこれが今、現在放送している映像よ

壁のテレビモニターが点く

いやはや、まあ、大変なことになっておりますわぁ

画面の中元・お笑いタレントのワイドショー司会者が喚いている

えー、報道局のスガワラさん現在の状況はどうなっていますか

画面が、局アナに切り替わる

ああ、テレビ局の報道エリアも騒然していた

普段なら夕方のニュースを担当している中年のアナウンサーが、慌てて原稿を読む

はい取りあえず、ここまで判っていることをまとめます今朝、7時30分頃、関西の複数の県に跨がる暴力団の住居や事務所が同時テロに襲われましたいや暴力団に対してテロって言うのは正しい表現になるのかどうかはよく判りませんがとにかく、関西一円、少なくとも10箇所以上の関連施設が爆発・炎上したということです

画面の中で燃えている家やビルが次々に映される

何か凄まじいことになっているなあ

きっとキョーコさんが、爆弾や時限発火装置を仕掛けたんだな

それで、あの、情報が錯綜していてこちらでも確認している途中なのですが先ほどお伝えした、**警察署に暴力団関係者が多数、自首してきたというのは、今朝の事件とは関係無い別の犯罪についてだそうです詳しいことは、後ほど警察から発表があるらしいですが

ああ猪鹿蝶一郎たちだな今まで自分たちが関わった全ての犯罪を自白しに警察に出頭した

それから**市の広域暴力団組長宅へ、やはり朝の7時30分同時多発テロと同時刻に、10人以上の人間が押し掛け目撃者の話ですと、全員、この暴力団の関係者らしいのですが口々に、何やら訳の判らないことを喚いて暴れ出し最終的に、暴力団員同士の銃撃戦にまで発展した事件ですが

これは天童貞男たちだ

えー、この事件に関して先ほど、所轄の警察署より発表がありましたえー、銃を持って暴れた犯人は全員死亡した模様ですこれは銃撃によるものなのか、その後に発生した火災によるものなのかは判らないですがとにかく、警察発表では、こちらの事件の犯人は全員死亡したそうです一時避難していた、近隣の住民にも帰宅が許されるそうです

全員死亡の言葉に、ドキリとする園子さんたち

アナウンサーの元に、メモが運ばれてくる

今、詳細が届きましたこの家の組長を始め、暴力団員13名を射殺した犯人たちは、全員、他の暴力団組員たちに射殺されたそうです

結局天童貞男たちは、アフリカの沖に沈んでいるという徳川埋蔵金の在処を示した地図を求めて

組長を襲い、発砲し自分たちも撃ち殺された

えー、死亡した暴力団関係者と犯人たちの名前も公表されていますええー

画面に白い字で次々と名前が浮かび上がる

天童貞男の名前もある

黒沢さんが、溜息を吐いた

園子さんの父親の名前もあったらしい

ううー、怖いよ園子ちゃん、園子ちゃん

天童乙女は、ただただ園子さんにしがみついて、泣きじゃくっている

もういいよありがとう翔姉ちゃん

パツンと、テレビ・モニターが切れる

とにかく、こういうことだからお前たちの親は死んだから

ちょっとなぜ、そんなことを言うのよこの人たち、すっかり怯えているじゃないっ

鳥居さんが、オレに怒る

腹を括ってもらわないといけないからだよ

この人たちの親は死んだ今まで、この人たちを虐げてきた相手だけど血の繋がった親だそれが死んだだから、これからは1人で生きていかないといけないんだよ

黒沢さん、園子さん、天童乙女を見る

今の放送でもう地元には戻れないってことも判ったろ

親がメチャクチャな事件を起こして銃撃戦をして射殺されたとテレビで報道されたんだ

生まれ育った故郷にはもう戻れない

覚悟して東京で働いてくれ

オレのその言葉に鳥居さんが

働くってこの子たち、まだ高校生ぐらいでしょ東京で何をして働くのよ

みすずは、鳥居さんを連れて行けと言った

つまり話してもいいということだ

黒森家の生業が娼館だということは歌晏桃子姉ちゃんは知っているだろうし

売春だよこの人たちていうか、黒沢さんと徳大寺さんには、これから身体を売って稼いでもらう

ええ何でよ

どうして、この人たちがそんなことをしなくちゃいけないのよ

仕方ないだろこの人たちが過去を消して新しい生活を始めるためには、どうしたって金が要るだから、この人たちには5年だけ娼婦として働いてもらうその代わり、オレたちはこの人たちの新しい戸籍と、娼婦を辞めた後に暮らしていくためサポートをする身体を売って働いた賃金で、事業を興す資金を貯めるんだそのためなら5年は決して長くない

馬鹿げているわそんなのあなたなら、みすず様に相談すれば、幾らでもどうにかできるでしょう

鳥居さんは、判っていない

オレにみすずの家の資産から、この人たちを救済しろって言うのか

そうよだって、この人たち可哀相じゃないの親を亡くして、もう独りぼっちなんでしょ

そう思うのなら鳥居さんが、助けてやればいいじゃないか

鳥居さん確か自分で株とかやって儲けているんだろだったらさ、鳥居さんが自分のお金でこの人たちを助けてやればいいじゃないか

鳥居さんはギョッとする

わたくしのお金はお父様は、株とかをすることは許して下さっているけれどこの人たちを助けるために使うことは、許して下さらないわ

何で鳥居さんのお金なんだろ

わたくしの資産ですけれどわたくしはまだ未成年よ管理は、お父様がなさっているのよ

つまりお嬢様だってことだ

買い物とかも、全部カードだから何に使ったかは、全部、お父様に明細が届くわだから、あたしには

じゃあ、そのお父様に頼んでみろよこの見ず知らずの女の子たちを可哀相だから助けてあげてくれって鳥居さんが頼んだらどうなんだよ

む、無理よわたくしのお父様はそういうことには、お金は出して下さらないと思うわ

トリイ電子は、戦後に発展した会社だ

鳥居さんのお祖父さんが、ほとんど一代で大きくした会社だ

そんな家だからお金に関しては、厳しいはずだ

でもあなたなら

鳥居さんは、オレを見る

あんなにたくさんの女の子を抱えているんだからできるでしょ

オレはカチンとくる

自分ができないことを、軽々しく人に押し付けるなよっ

あんたたち、いい加減にしなよ

黒沢さんが怒った

あたしはあんたたちに可哀相とか思われるのは、ゴメンだよっあたしは、違うんだあんたたちとは

オレと鳥居さんを強い眼で睨む

ああ、オレはあんたを可哀相なんて思わないよ死んでも思わないオレだって自分と自分の家族を守るのに必死だからなあんたを助ける余裕なんて、オレには無いんだっ

オレも睨み返す

だから黒沢さんは鳥居さんだけを睨む

あんたたちの助けなんかいらないよあたしはちゃんと、自分でやっていく自分の身体で稼いで生きていくよのし上がってみせるあんたみたいなお嬢様を絶対に見返してやるからね

黒沢さんの剣幕に、鳥居さんはブルルッと震える

わたくし、何でこんなことを言われてますのどうして、この人、わたくしのことをみんなに怒っていますの

対等な人間として、あなたがこの人を見ていなかったからですわ

ずっと見ていた月子がやんわりと微笑む

対等な人間

はい、鳥居様はたくさんのモノをお持ちですだから、平然とこの方を傷つけるようなことをおっしゃるでも、この方は今はもう何も持っていらっしゃらないんですよあるのは自分の肉体だけだから、もはや身体を売るしかないそういうご事情を理解しないでたくさん持っていらっしゃる鳥居様が、無茶なことをおっしゃるのですから憎まれるのは当然ではありませんか

月子の言葉に、鳥居さんは愕然とする

そうだよあたしには、この身体しか残っていないんだ身体で稼いで何が悪いんだっただ、ヘロヘロと生きていくんじゃなくってあんたたちを今まであたしをバカにしてきたヤツラを見返すためには、身体でも何でも売ってデッカク稼ぐしかないんだよっ

黒沢さんは言う

そちらの方はいかがです

月子が園子さんに尋ねる

あたしも嫌です人に恵んでもらうのはあたしもこの身体しかないですから売春でも何でもします自分で稼いで生きていきます

そうですかでは、最後に、そちらの方あなたは、どうなさいますか

月子は天童乙女に尋ねる

うううー、怖い怖いよ乙女ちゃん乙女ちゃん、怖いよー

天童乙女は、園子さんにしがみつき彼女の胸に顔を埋める

あああ、怖いよ怖いよ園子ちゃーん

乙女ちゃんは昨夜から、この状態なんですしばらく、放っておいていただけませんか

園子さんが、天童乙女を庇うように抱き締める

そうはいきませんわ

あなたいい加減になさい

天童乙女にやんわりと、そう言った

この方昨夜、イーディさんから受けた精神的な混乱からは、立ち直っていらっしゃいます

今の幼児退行は、演技

こうやって、こちらの方に甘えている方が楽だからこうしているのですわ

元から園子さんラブな天童乙女は

わざと、園子さんにしがみついている

そういうことでしたらわたくしの出番ですね

立ちなさいわたくしはイーディの様な優しい人間ではありませんよ

美智が構える

うう、怖い、怖い園子ちゃぁぁんっ

天童乙女は、さらにギュッと園子さんにしがみつく

く、苦しい痛いよ、乙女ちゃん

武闘派の天童乙女に本気でしがみつかれたら、華奢な園子さんはたまらないだろう

はい、そこまでよ立ちなさい

月子の巫女の力が、発動する

天童乙女は、園子さんから手を放してスーウと立ち上がる

自分の意志とは別の力によって

あなたが、そんなだとそちらの方が迷います

月子が天童乙女と園子さんを見る

あなたを甘えさせたままにしておけるほどそちらの方は、強くありませんから

幼児退行した天童乙女を抱えて、園子さんが生きていくのは無理だ

天童乙女の方は、このまましがみついていたいだろうけれど

さて、あなたはこれからどうやって生きていくのかご相談致しましょうか

そんな月子の言葉に美智は

言葉は要りませんまずは拳にて

黒沢さんみたいに、超テキトーに作ったキャラが自己主張を始めるのは嬉しい

何か、エルガイムのプライドとかゼネラル・クロソとかの回を思い出しました

力なきものがナメんなよと叫ぶ

自分が一番上等に生きていると思うなよだっけ

エルガイムの2クール目って、30分のロボットアニメで1話完結の青春ドラマをやろうとしているところが好きです

秋葉原のラジオ会館が再建されたらしいですが

しばらく、行ってないな

どんな感じなのか、観に行きたいですね

969.朝の乙女たち / 不燃物

美智が、天童乙女に向かう

ひぃぃぃいっ

怯える、天童乙女

や、やめて下さい今の乙女ちゃんは

園子さんが、天童乙女を止めようとするが

すぇいっ

はぁぅぅ

美智が放った正拳を天童乙女は、受け流す

身体が自然に武道の構えとなる

そうですあなただって、幼き頃から鍛錬を重ねて来たのですから

美智が、ジリジリと間を詰めていく

止めさせて下さい

園子さんが、必死の形相でオレに嘆願するが

大丈夫ですわ美智さんは、本気じゃありませんから

やんわりと、月子が告げる

本気でしたら、最初の一撃で天童さんは死んでいます

だが、美智は別に手を抜いているわけできない

通常の乱取り稽古レベルに抑えているだけだ

すぁぁっ、はぁっ、はぁぁーっ

ほら、技を仕掛ける時にわざと発声している

本気の美智なら息遣いだけだ声を出さずに、相手を仕留める

ヤァァッ、ハッ、トアアッ

天童乙女も、気合いの声を発しながら美智の攻撃を受ける

互角の闘いになっているように見えるのは、美智が天童乙女に合わせているからだ

わたくしに打ち込まれてばかりですがそんな程度なのですか

クゥゥゥっ

天童乙女が、美智に回し蹴りを放つが美智は、片手でガードする

そうではないでしょうあなたは、本当はこういう蹴りを入れたかったはずです

シュバッと美智の制服のスカートがまくれ上がって鋭いキックが、天童乙女の側頭部にヒットする

グワワワッ

畳の上に打ち倒される天童乙女

叫ぶ、園子さん

酷いわっもう、止めて

今度は美智本人に、強く抗議する

大したダメージは与えていません今のはわざと、蹴り抜かないように打ちました体重も乗せていませんこの程度の蹴りで倒れるのは、体幹の鍛え方が足りないからです

まさか、美智天童乙女を、自分の弟子にしようとか考えているのか

安城姉妹を弟子にする計画が頓挫したから

結局、あなたの武術は不良少女のお遊びレベルです街のゴロツキたちを制することはできても、わたくしたちとは戦えません

美智の冷たい言葉に、畳に這いつくばっている天童乙女は

ちっくしょうバカにしやがって

怯えモードでなく、いつもの彼女に戻って美智を睨む

そうやって、上から見下してお嬢様のイヌがこんちくしょうふざけんなっふざけんなっお前ら、ふざけんなってんだぁぁッッ

ブワワッと立ち上がって

一瞬、クッとオレを睨む

だが、あらためて美智の見て

あたしをナメんじゃねぇぇぇぇぇッッ

そう叫んだその瞬間

天童乙女が立ち上がった瞬間美智は、まるでテレポートしたみたいに彼女の前に飛び込み、その頭を掴んで、再び畳の上に押し倒したっ

ふんっっ

全身の体重を掛けて、美智は天童乙女を押し潰す

カエルが潰れたみたいに天童乙女は喘いだ

あなたこそわたくしをナメましたね

そう良いながら美智は、天童乙女の頭を掴んだ手に力を込め彼女の顔を、グリグリと畳に擦り付ける

な、何が起こったんだ

天童乙女さんが、気の技を使おうとなさったんです

あ、だから美智が、それを察して天童乙女が気を発する前に、抑え込んだのか

オレが、そう言うと月子は、クククと微笑み

そうではありませんわこの方も色々と学んでいらっしゃいますから

天童乙女が学んでいる

昨夜イーディさんに気の技を放って、受け流されたのですよね

月子は、天童乙女の記憶を見ている

だから、美智さんに気の技を使っても同じ様に躱されると思ったようです

だから、天童乙女さんは気の技を、あちらの方に放とうとなさったんですよ

月子は黒沢直子さんを指差す

な、何であたしに

驚く、黒沢さん

最初は、公様に放とうなさりましたでも、公様や鳥居様、わたくしに関しては、美智さんが警戒しているだろうと思われてあちらの方に狙いを変えたのです

だから、一瞬、オレを見た

確かに、オレと鳥居さんと月子は1箇所に固まっているけれど黒沢さんは、向こうに居る

美智は、オレたちのガードを考えて自分の位置を定めているけれど

黒沢さんは、美智のガード・エリアに入っていない感じがする

でも、どうしてよだからって、何であたしなのよあたしは、全然関係ないじゃないっ

黒沢さんの言うとおりだ

どうして、天童乙女は仲間である黒沢さんを攻撃しようとしたんだ

関係無いあなたが気の技を受けて苦しんだら、わたくしに隙ができると思ったのです

美智が、なおも強い力で天童乙女を抑え付ける

ええほんのわすがでも隙ができれば、美智さんに反撃できると考えたようです

まさか、フェイント

美智に一瞬の隙を作るために黒沢さんを犠牲にしようとした

たった、それだけのために

あなたが、そういう手に出ることをわたくしが、想定していないと思ったのかぁぁ

美智は月子たちのように人の心は読めないが、気の流れは読める

天童乙女が、技を放つために気を溜めたことと誰に照準を向けたかは

だから、全力で飛び込んで天童乙女を制したのか

黒沢さんに被害が及ばないように

本当にどうしようもなく下劣な人間なのですね、あなたは

美智は、そう言うと天童乙女の頭から、手を放した

はん、何が悪いのさっあたしたちみたいな人間が、あんたたちみたいに何でも持っている連中と闘うためには、卑怯だろうが何だろうがヤるしかないんだよっあんたみたいな、お嬢様のイヌには判らないだろうけどねっ

床の上から天童乙女は、美智に対して喚く

ちくしょう、バカにしやがってあたしはあたしたちは、こうやってくしかないんだよっ

ゆっくりと、身体を起こそうとする

こいつ、まだ逆転のチャンスを狙っている

そうやって情けない言い訳をしながら、一生、生きていくのですか

何と言い繕ったところで、あなたのしようとしたことは仲間に対する裏切りですわ違いますか

あ、あいつは直子はあたしの仲間なんかじゃないよ

黒沢さんをギッと見る

あいつはさっさと、あんたたちのボスに服従を誓った喜んで娼婦になりますだなんてバカじゃないのあいつの方が先に、あたしやオヤジたちを裏切ったんだよっ

黒沢さんは自分から、黒森家の娼婦になることを受け入れた

仲間なんかじゃないんだよっ直子は昨夜から、ずっとあたしと園子のことをバカにしてた一晩中あたしは判ってるんだからねっ

そう言われた、黒沢さんは

何言ってるのよあんたこそ今まで、ずーっとあたしのことをバカにしてたんじゃないっ他の子たちと一緒に、あたしをイジメて

直子さんは天童乙女たち、ヤクザの娘グループの中でイジメに合っていた

そんなの、あんたが弱いからだろっあたしの知ったことかよっ

天童乙女は、突っぱねる

では、あなたも弱いのですから仕方ありませんね

うぎゃああっ

天童乙女が、苦しむが

肉体をマヒさせただけです意識は、失神しないレベルに抑えました

美智は、冷たくそう言うと呆れた表情で、オレを見る

もしかしてそいつ、もう一回、仕掛けようとした

ええ、そちらの方と口論しながら今度は、鳥居様を狙っていました

月子が、鳥居さんを見る

え、わたくしを

黒沢さんとケンカしている最中だから、まさか鳥居さんに狙いを付けたりはしないとオレたちに思い込ませようとした

でも、とてつもなく注意深くて気を読む美智と人の心を読む月子が居るのに

どうして、オレたちがそんな手に引っ掛かると思うんだ

人間というモノは、自分を基準にするからですわ

オレの心を読んで月子が言った

この天童乙女さんという人にとっても、自分自身が基準ですから

自分なら引っ掛かるかもしれないと思って仕掛けて来たのか

公様はご自分よりも、頭が良かったり、能力のある方は世の中にたくさんいると考えていらっしゃいますよね

ああ当たり前だろ

オレの頭の悪さはかなりのものだと思っている

天童さんは世の中の方々は、自分よりも下だと思っていらっしゃいますから

自分を世の中の基準にしてみんな、自分よりも下だと思っているんです

ええ何で

だからです自分よりも、強いイーディさんや美智さんが憎らしいんですズルをしていると思うんですこの方の中では、自分が一番のはずなんですから

強さだけではありません自分よりも恵まれた環境に居る人名家のお嬢様たちや公様のことも、ズルくて卑怯な人間だと思っています自分が一番になれないからです

ああー、そういう人多いわよね最近

鳥居さんがそう言う

だから、自分より弱い人は平気でイジメルし上だと感じる人には、勝手にコンプレックスを感じてムカムカしているのね困っちゃうわよねこういうタイプは

上から目線で、そう言う

いや、あの鳥居さん

鳥居さんだって、コンプレックスを抱えている子だと思うけれど

準・名家であって本当の名家のお嬢様でないから名家の人間でないオレたちには態度が大きいわけだし

公様、人はなかなか自分のことには気付かないものですわ

あたしのこと、勝手に批判しやがってあんたたちが、そんなにご立派な人間なのかよっ

身体がマヒしている天童乙女は、大声で悪態を付く

立派だとは思っていないけれどオレたちは、どんな理由があっても仲間を攻撃したりはしないよ

仲間は仲間だ信頼を裏切るような人間とは仲間になれない

はいその通りでご主人様

美智は、そう言うと園子さんを見る

この女どうしますか

園子さんは、真っ青な顔で床に倒れた天童乙女を見ていた

オレたちと天童乙女の会話を聞いていた

乙女ちゃん全部、嘘だったのね

か細い声でそう言う

そ、園子あ、あたしは

黙っていて下さいね

月子がニコッと微笑んで力で天童乙女の口を封じる

昨日から怖い、怖いってあたしにしがみついていたのも、嘘だったんだね

園子さんは、天童乙女を見下ろしている

昨日の段階では、本当に幼児退行していたんだと思うよ

はい今朝ぐらいからのようですねご自分の心を取り戻されたのは

月子が読み取る

でも、幼児化したまま園子さんにしがみついていた方が、楽だって思ったんだろ園子さんと離れないで済むし園子さんにベタベタ甘えながら、オレたちの警戒が緩むのを待って、園子さんと脱走しようと思ってたんだと思う

オレの推論を、月子が肯定する

美智は、何で判ったんだ

美智は、天童乙女の演技に気付いていただから戦いを仕掛けた

眼を見れば判ります本当に怯えて、錯乱している人間の眼はあんなものではありません

乙女ちゃんはダマしてたんだよねあたしのことを

そう言う園子さんに、喋れない天童乙女は必死で首を横に振る

首から下はマヒしているから、大きくは触れないけれど

嘘だよダマしていたんだよあたしのことも自分より下だとバカなんだって、思っているんでしょ

あたし昨夜から乙女ちゃんを抱き締めながら、ずっと考えていたよこの先、どうしようかってすっごく怖かったよこのまま、乙女ちゃんが正気に戻らなかったらずっと、あたしを頼ったままなら、どうなっちゃうんだろうって

天童乙女は、園子さんから眼を背ける何も無い天井を見る

ああダメだ、こいつ

何でそこで相手を見続けることから、逃げるんだ

園子さんの方は、ジッと天童乙女を見る

あたしは娼婦になるこれはもうしょうがないって思っているわあたしの運命は、そこにしか繋がっていかないから5年間の我慢だし契約とか仕事のことは、この人たちはちゃんと約束を守ってくれると思ったわこの人たちはあたしに考える時間をくれたし頭ごなしに命令するんじゃなく、自分で決めることを許してくれた

その園子さんの言葉に、慌てて天童乙女は園子さんを見て

激しく首を横に振る

あんたはダマされたいるんだこいつらを信用するなと

乙女ちゃんの言いたいことは判るよでもごめん今のあたしは乙女ちゃんよりも、まだこの人たちの方が信頼できるから

園子さんに、そう言われてうなだれる、天童乙女

また、天井の方に視線を戻す

乙女ちゃんと一緒に居ても、あたしの人生は何も開けないと思うもの悪いけれどもう嫌だ乙女ちゃんと一緒の人生は

そして、園子さんは

直子ちゃん直子ちゃんは、あたしのこと嫌いだと思うけれどでも、これからは娼婦仲間だから2人で一緒に娼婦になるんだから仲良くして下さいこの通りですこんなあたしだけど仲良くして下さい

黒沢さんに、頭を下げる

そ、そんなや、やめてよあ、あたしの方こそお、お願いします

黒沢さんも、園子さんに頭を下げた

あら、何かとっても良い状態になったわね

ああ、もっと前に到着していたな

部屋の外から中の会話を盗み聞きしつつ入って来るタイミングを探っていたな

娼婦同士が仲良くすることは良いコトよ助け合っていかないと、辛くなるだけだから

そう言いながら、部屋の奥までやって来る

後で、もう1人あなたたちの他に、娼婦候補の子が来るからね

ミナホ姉さんは、2人に言う

あたしたちの他にですか

黒沢さんが、尋ねた

ええ、そうよその子はホンモノのお嬢様よ家が傾いてしまってねお嬢様だけど、あたしに身売りするしかなくなったのよ可哀相でしょ

まさかホントに鞍馬さんを

鳥居さんが、思わずそう言ってしまう

ああ、鳥井さんは詳細を知らなかったんだっけ

こんな風にミナホ姉さんと話すのも、初めてだよな

あら、鳥居様には関係の無いお話ですわ

ミナホ姉さんは、わざと煽った

ですが、鞍馬家は名家ですわ名家の令嬢がそんな

名家だろうと何だろうと没落してしまえば、オシマイよそれとも、鳥居様が鞍馬家の莫大な負債を支払われますか

これはもう香月様が決裁されたことです変更はありませんですから、これ以上のお口出しは無用に願います

ミナホ姉さんの冷たい笑みが、鳥居さんを圧する

あなたどなたですか

鳥居さんの言葉に、ミナホ姉さんは

あたしは黒森御名穂そこにいる公の姉よ

ああ、オレの姉さんだ

今、話に出たけれどあなたたちと一緒に娼婦になるのは、鞍馬美里という子よ本当に昨日までお嬢様暮らしをしていた子だけれど仲良くしてあげられるかしら

ミナホ姉さんは黒沢さんと園子さんに尋ねる

2人は、眼を合わせて

仲良くしますあの元がお嬢様とか、関係無いですからだって、元なんですよね

黒沢さんは、そう答えた

あたしもその人だって、あたしたちと同じ境遇になるんですから仲良くします3人で協力し合って

園子さんも、そう言ってくれた

そうね5年間の契約期間は、ずっと一緒に暮らすことになるんだから仲良くしてあげてちょうだい

ミナホ姉さんは、そう言うとオレを見て

これで受け入れ態勢ができたわね公鞍馬さんたちの方も進めるから、よろしく頼むわね

まずは、娼婦仲間の2人の方を整えてから鞍馬さんを墜とすのか

そうだよなああの妹に縋って泣いてばかりの鞍馬美里さんは、頼れる仲間がいないと精神がパンクしちゃいそうだ

今、鞍馬美里さんのお名前だけを言われましたが

オレより先に鳥居さんが尋ねる

妹さんの鞍馬ありすさんは、どうなるのです

うちの娼館は若すぎる子は使わないのよありすさんは確かまだ13歳でしょ

では鞍馬家にお返しになられるんですか

鳥居さんの言葉に、ミナホ姉さんはクスッと笑う

まさかあの子も、鞍馬家の負債を減らすための大切な商品よ

娼婦にはしないというだけのことよ売り飛ばすのよ、性奴隷として

ミナホ姉さんは、わざとこう言っている

黒沢さんと園子さんが後から来る鞍馬美里さんに優しくしてくれるように

大丈夫よ売却先は、ちゃんとした人を選ぶから女の子の身体をメチャクチャに痛ぶって、殺してしまうような人には売らないわ大事に可愛がって、愛してくれる人に売るのよ調査はちゃんとしますし売却後のチェックもするわもし、虐待とかしていたら香月様の逆鱗に触れることになりますから鳥居様が心配なさることではないですので

というかオレが引き取ることになっている

食い下がる鳥居さんに月子が

それ以上、何をおっしゃっても偽善にしかなりませんわ

鞍馬家の没落は決定的になっている

他の名家に波及させないために

ジッちゃんは、見せしめとして厳しい処分を取るしかないんだ

つまり鞍馬姉妹は売られる

それは、もう、ジッちゃんですら止められない

善行とは、自分にできる最善のことをすることですご自分ができないことを望むのは鞍馬様たちの迷惑にしかなりませんわ

そうだその通りだ

鳥居さんは、自分の無力を感じているらしい

あたしはあたしも、元・娼婦よしかも、働けなくなった娼婦なの

だからここに居る黒沢さん、徳大寺さんそれから、後で来る鞍馬美里さん娼婦じゃなくって、売り払うことになるけれど鞍馬ありすさんあなたたちの運命を覆すことは、あたしにはできないわあたしも与えられた役目を一生懸命に果たしているだけだからでも、あたしの裁量の許す範囲の中ではできる限り、良くしてあげたいと思っているわ自分の経験した娼婦生活より少しでも、幸せに暮らるようにしてあげたいと思っています今は信じなくてもいいけれどでも、あたしはあなたたちに約束しておくわよ

黒沢さんと園子さんにそう言った

はい今はまだ信じられないですけれどお言葉は、覚えておきます

園子さんが、そう言った

あたしも、よく判らないですけれどとにかく、よろしくお願いします

黒沢さんも、改めて頭を下げる

ええ、こちらこそよろしくごめんなさいね今まで、会いに来られなくてあなたたちのお父さんたちの件が終わるまで、このビルの中はドタバタしていたのよ

昨夜、説明会をしてから今まで放っておいたことを、ミナホ姉さんは謝る

いや色々と、ご事情があったのだと思いますから

園子さんがそう言う

黒沢さんは、直情的で思い切りがいいけれど深く考えるのは苦手で、丁寧な言葉遣いはしない

園子さんは、気が弱くて引っ込み思案だけどよく考えるし、言葉は丁寧だ

この2人、意外と良いコンビになるかもしれない

オレが、そう考えていると

ところで、公

ミナホ姉さんが、オレを呼ぶ

どうするこのゴミ

そこには美智によって、身体をマヒさせられ

月子によって、言葉を封じられた

天童乙女が、転がっていた

ところで、ゴミいえ、アララギくん

私には、ガハラさんがアララギくんに惚れた理由が未だに判りません

登場人物用の名前を適当に思い付いたら、メモしているんですが

ラインハル子とか大月マルス、大月フロルとか

何考えているんだろう私

970.朝の姉妹たち / SAYONARA

捨てるにしてもあたしたちに関する全ての記憶は、消させてもらうことになるけれどね

ミナホ姉さんは、天童乙女を見下ろして言う

それから、徳大寺園子さんたちに関する記憶も消すわよ

ハッとする、園子さん

身体と言葉を抑え込まれている天童乙女も、うううと必死に声を出そうとしている

だって仕方ないでしょ今までは幼馴染みだったのかもしれないけれどここから先は、進む人生が違うんだから

徳大寺さんは天童乙女さんのことを憶えていてもいいと思うわでも、天童さんの方は徳大寺さんのことを思い出すことができないようにしてしまった方が良いと思わない

ただの幼馴染みでなく天童乙女は、園子さんに邪恋を抱いている

園子さんを救出するために、実の父親を裏切って、オレたちに助けを求めたぐらいだ

このままの状態で解放すればありとあらゆる手段を使って、園子さんを取り戻そうとするだろう

そうですね黒森さんのおっしゃる通りだと思います

その一言に天童乙女は、ショックを受ける

ごめんね、乙女ちゃんでも、あたしたちこれきり別れた方が良いと思うあたしは憶えているから一生、乙女ちゃんのことを忘れないからだから、乙女ちゃんはあたしのことを忘れて

黒い森の娼婦になるということは裏社会に属するということだ

ミナホ姉さんの娼館は、日本の政財界の大物たちを顧客にしているということをもう、園子さんは教えられている

天童乙女が変な行動に出れば、お客様たちに迷惑が掛かる

逆を言えば天童乙女の命も危うくなる

あたしはあたしの道を行くから乙女ちゃんも、自分の道を見つけてね

万感の思いを込めて園子さんは、乙女に言う

ちょっと、いいのそんなことして

鳥居さんが口を出す

人の思い出とか記憶をそんな簡単に消すとか勝手に決めちゃっていいわけ

記憶を消さないのなら殺すしかなくなりますわ

ニッコリと微笑んで月子が言う

え何でどうして、そう極端から極端に飛ぶのよとりあえず、この人を説得して他の人には、絶対に言わないって約束させるとかいや、この人が守るかどうかは、よく判らないけれどでも、まず本人の意志を聞くのが筋なんじゃないのこういう場合

興奮気味に喚く

こんなの変よ本人が喋れないようにしておいて他の人が、勝手に運命を決めるなんてそんなの間違っているわ

本人の意志を聞かないからいいんだと思うけれどね

責任はオレたちが背負う天童乙女自身に罪は無いだって、オレたちに強要されただけだから

ええ、徳大寺さんには自分で選択させたわこの人はこれから、あたしたちの共犯になる子だからね天童さんに対する罪は、一緒に背負ってもらうわ

はいそれで構いません

園子さんは、そう答える

ていうか誰だか知らないけれど、すっごい嫌なヤツだよね無関係のクセに、凄く偉そうにしててさ

オレたちの会話を聞いていた黒沢さんが、鳥居さんに不快感を示す

ごめんなさいねちょっと、お嬢様に社会勉強をしていただいている途中なの気に障ったら、あたしが謝るわ

ミナホ姉さんが黒沢さんに言う

いえ、いいんですけれど

黒沢さんも、ミナホ姉さんが娼館のボスだということは判っているからそれ以上は言わない

鳥居さんをこの部屋に連れて来てしまった、オレが釘を刺さないといけないよな

鳥居さんオレたちはさ、表の世界の人間じゃないんだよ裏の世界いわゆる犯罪組織の人間だこの国の法に触れることをやって生きている

鳥居さんの眼を見て、静かにはっきりと言う

だけど、ただの犯罪組織でもないんだオレたちが取引している相手は、この国の大物たち名家の人たちなんだから

一番の顧客が香月様その他、鳥居様が知っておられる名家のご当主を何人もあたしは知っているわよ

白坂創介に乗っ取られる前は黒森楼は、名家の男たちの秘密の社交クラブでもあったのだから

ジッちゃんに近い年齢の当主たちはみんな黒森楼に来ている

当時の顧客リストもある

すでに亡くなったり、引退している人もいるだろうけれどジッちゃんみたいに健在の当主も多い

白坂時代になっても、お屋敷に来て渚や克子姉の顧客になった菱たちもいるみすずと瑠璃子の日舞発表会の時に見た

鳥居様のお父様やお祖父様には会ったことがないけれど

鳥居家は、名家じゃない戦後の成り上がりの家だから誰かに黒森楼に連れて来てもらうなんてことは無かったんだろう

だから何なんですか

名家の人間でないというコンプレックスを突かれて、鳥居さんはムッとする

だからあたしたちは、絶対に失敗できないのよ甘い判断は許されないのあたしたちの些細なミスによって大切な顧客の皆様を巻き込むわけにはいかないから

お祖父様が大名家のご当主様でいらっしゃる鳥居様でしたら家の名誉というものが、どれほど重いものなのかご存知ですね

さらに煽る

テキトーに天童乙女を外に逃がしてそれで、この女がオレたちのことや、ここ数日で知ったことを喋ったらトンデモないことになるんだよ

だから、慌ててオレが間に入る

こいつは、ここ何日か名家の水島家に潜伏してたし警護役として、鳥居さんたちのお嬢様学校にも行っている昨日のパーティで起きたことも、だいたい把握している香月家のこともね

本家ご邸宅のどの部屋が、どう繋がっているかというようなことですら敵対者に知られると厄介なことになります

だから、ホントオレたちのことから、ここ数日の記憶は根こそぎ消すとかないんだよそうできないのなら殺すしかないそして、徳大寺園子さんと黒沢直子さんが、オレたちのところに居るっていうことも、トップ・シークレットになるんだからやっぱり消さないといけない消さなきゃいけないんだよ何が何でも、有無を言わさず

だから鳥居様がおっしゃる通りに、天童さんの意志を確認して記憶を消すことを納得させるなんていうことをホントにしたら高圧的に脅迫するっていう作業になりますけれどそれこそ、拷問とかもして

そっちの方が、可哀相だとは思いません本人の意志は無視して、勝手に決めちゃって実行する方が早いですし

鳥居さんは口をつぐむ

ミナホ姉さんは、園子さんに

これで最後だからよく見ておきなさいもう知らない人になるんだから

園子さんは天童乙女を見る

天童乙女は、捨てられそうな子猫のように園子さんを見上げていた

園子さんに抱き締めて欲しがっている

優しい言葉をかけて欲しいという眼をしている

乙女ちゃん今まで色々とありがとうね

あたしのこと好きだって言ってくれて、ありがとうでも、あたしは乙女ちゃんのことは、友達としか思えなかったよ初めて会った時から、今日までずっと

天童乙女の眼が曇る

さよならごめんもう、さよならしか言葉が出て来ない

園子さんは、そう言って泣く

黒沢さんも天童さんにお別れの言葉はある

ミナホ姉さんは天童乙女にイジメを黙認されていた黒沢さんにも声を掛ける

さよならあたしは、ずっと大っ嫌いだったあんたは、いつも徳大寺さんばっかり贔屓して自分にペコペコする、あの3人にも甘くてあたしがあの子たちにイジメられてても、助けてはくれなかった

憎々しげに黒沢さんは、言う

あんたは園子を助けるんだって言って1人だけで、出掛けて行ったけれどあんたがいない間、徳大寺さんはあんたの父親たちにずっとレイプされてたんだあんたはさ徳大寺さんのことを助けられなかったんだよっ

その一言は天童乙女に、深く突き刺さる

いつもいつも、口ばっかりでちょっと強いからって偉そうにしててでも、実際は何もできないんだそれが、あんただよっちくしょうっ

もういいですもういいですから

ミナホ姉さんにそう言う

じゃあ、公月子さんにお願いしてもらえるかしら

ミナホ姉さんは自分から、月子に命じない

月子の巫女の力は、オレが管理するべきものだと思っている

鳥居さんも見ているしな

いや、翔姉ちゃんたちもきっと監視カメラで観ているよな

となれば、ジッちゃんに報告しないといけない

巫女の力は黒森家の所有物でなく

あくまでも、鷹倉姉妹とオレとの関係の中で使われているということを、公式に示しておかないと

うん月子

オレが、月子に振り向くと

この人にもこの人にも、お別れを言わせてあげるべきなんじゃないの

天童乙女にも園子さんや黒沢さんに

だって、このままお別れも言えなかったら後悔するでしょ

いやでも、天童乙女は全部忘れちゃうんだぜ

今までのことも今現在のことも

だけど忘れちゃうとしても

鳥居さんは、園子さんに

あなたは、そう思うでしょ最後にちゃんと、この人の声を聞いてちゃんとお別れしないと、気持ち悪いでしょ納得できないでしょ後悔しちゃうでしょ

悲しそうに、答えた

嘘よそんなはずがないわっ

鳥居さんは納得しない

何よ、バッカじゃないのっ

黒沢さんが、鳥居さんを睨む

このままだと気持ち悪くて、納得できなくて、後悔しそうなのはあんたでしょあたしたちじゃないわっあんたは、ただの見物人だから、そう思うのよっ

鳥居さんは、言葉を続けようとするが

はい眠りなさい深い眠りに

月子が天童乙女の意識が落ちていく

スーッと穏やかに眼を閉じ、ガクッと脱力する

ま、待って待ってって言ったじゃないのぉっ

鳥居さんは、半べそで抗議するが

申し訳ありませんが、わたくしは公様のご命令のみ承りますので

月子は、にこっと微笑んで相手にしない

記憶の削除と改変には時間が掛かりますから今は、眠らせました次に目覚める時はもう、今までのこの方とは違っています

精神をブッ壊さないように手を加えるのは、細心の注意がいる

ちょっと、目覚めさせなさいよこのままじゃあんまりよ

もういい加減、黙ってくれよ

オレは鳥居さんにそう告げた

全部納得できるような解答は無いんだよどうして、それが判らないんだ

園子さんが、気を失っている天童乙女の頬に触れて

ホントは好きだったよ乙女ちゃん友達としてだけどでも、明るくて、自信家で、元気な乙女ちゃんが好きだったよあたし

いつも守ってくれてありがとう本当にありがとうね

園子さんの涙が、ポタポタと天童乙女の顔に滴る

あたしも大っ嫌いって、さっきは言っちゃったけれどでも、本当は、そんなに嫌いじゃなかったよ

黒沢さんも、ポツリとそう呟いた

何よ、それっあなたたち、何でよっどうして、それをこの人が気絶する前に言ってあげなかったのよっ

鳥居さんが吠える

気絶したから、言えるんだよっ本人には、言えなかったんだよっ何で、そんなことも判らないんだよっ

大きな声で、鳥居さんに叫んだ

園子さんと黒沢さんはミナホ姉さんと娼婦説明会の続きで別室へ

天童乙女はとりあえず、そのまま

オレと美智、月子、そして鳥居さんは次の部屋へ向かうことになった

向こうの部屋でも、わたくしの力が必要になるかもしれませんから

月子がそう言った

ああ、次の部屋リエとエリも、親の死を知ったらどう反応するか判らない

だから、天童乙女は眠らせたままにして月子に付いて来てもらう

部屋から廊下に出ると、香月セキュリティ・サービスの木下さんが、ちゃんと待っててくれた

こっちはオシマイですかーでは、次に参りましょう

この人の明るいマイペースさが、今は助かる

美智は、いつもの無表情で月子は、いつもの微笑みだ

そして、鳥居さんがどっぷりと暗い顔をしている

エレベーターホールに向かいながら

鳥居さんは、酷く不機嫌そうな声で、オレに言う

わたくしのことも最終的には、記憶を全て消すおつもりですか

ああ怒っている

それともわたくしを殺すおつもりですか

さて何て答えよう

こういう時、イーディがいると上手に話してくれるんだけれど

いやいや、あいつに頼りすぎるのはよくない

そんなのまだ決めてません

素直に、答えた

鳥居さんの記憶を消したら桃子姉ちゃんに、すっげぇ怒られると思いますから

歌晏桃子姉ちゃんは巫女の力の存在を知っている

自分の妹分の鳥居さんには巫女の力は使うなと、昨日のうちに釘を刺されている

だからって、殺しちゃったらもっと怒られそうですし

当たり前ですわっ

ムスッとする鳥居さん

でも、わたくしはあなたたちの秘密をたくさん知ってしまいましたわもちろん、全て、桃子お姉様にご報告致しますからねっ

実のところオレは、みすずや瑠璃子が何を考えているのか知っている

みすずたちはこの鳥居さんも、オレの女にしてしまおうと狙っている

というか歌晏桃子姉ちゃんすら、ターゲットにしている

だいたい、わたくし知れば知るほど、あなたたちのことが嫌いになりますあなたたちはご自分の身内にばかり甘くて、外の人間には冷たくて酷くてそういうの、わたくしは大嫌いですわ

ああ、心の中のフラストレーションをオレにぶつけているのか

身内にこそ厳しく外の方にこそ、優しく対処するのが正しいんですあなたたちは、変です

オレたちが変だっていうのは認めますけれどでも、鳥居さんの言うことは違うと思います

何が違うんですの

身内っていうか家族だからこそ、外の人よりも優しくするんです何で、家族を外の人より冷たくしないといけないんですか

あなたねえそれは、道徳というか常識で考えれば判るでしょ

いや鳥居さんの常識は、オレの常識と違うかもしれないから

そのオレの一言に、カチンと来たらしい

あなたわたくしを愚弄するのっ

公様と鳥居様では言葉の概念が異なっているんですわ

月子が、間に入ってくれる

鳥居様のおっしゃる身内と公様の家族が、そもそも違いますから

ああオレたちの家族は、血が繋がっている本当の家族じゃないから

だから家族を繋ぐ絆は、絶対じゃないんだよ細やかな信頼で力尽くで繋ぎ合わせているだけなんだ

鳥居さんは、キョトンとする

だから、オレは家族を絶対に裏切らないし外の人間よりも、家族の方を優先するうちの子がさ自分よりも、知らない子をオレが大切にしたなって知ったら

アニエスは精神崩壊する

真緒ちゃんもショックだろうな

メグは、小一時間はオレに小言を言い続けるだろう

自分の家族が一番で他の人よりも、家族を大切にするのは当たり前じゃないかだって、家族がなかったらオレはオレじゃなくなっちまう

何を言っているのか、よく判りませんわ

オレの家族はたくさんの人が集まって、みんなで家族を作っているんだそれぞれ協力し合ってこの家族があるからオレは、落ち込んだり、ふてくされたり、自殺しちゃったりせずに、毎日何とか生きていられるんだよ家族の存在の方がオレという人間の存在より、上なんだ

ますます判りませんわ

鳥居さんには判らないよな

とにかく信頼が大切なんだよみんなを信頼して、オレも家族から信頼されないといけないんだ困ったことが起きたら、オレが絶対に助けに来るって信じてもらえるようにならないとええと

何か、もっと上手い言い方はないのか

好きだって、伝わらないといけないのです

ご主人様はわたくしのことを好きでいて下さいますそれは、毎日の生活の中で伝わって参りますご主人様は、とても判りやすい方ですから

オレの心は丸見えらしい

もちろん、みすずお姉様のことも好きでいらっしゃいますルリルリのこともここにいる月子様のことも他の方もとっても好きでいらっしゃるわたくしたちの家族とはご主人様が好きでいらっしゃる人間の集まりでもあるのです

何よそれって、つまり黒森様は浮気性っていうこと

鳥居さんは美智に尋ねる

そういうレベルの話ではございませんわたくしたちのご主人様は好きって言ったら、とことん好きなんです全身全霊で、わたくしたちのことを愛して下さっているのです

だから、わたくしたちもご主人様のことを愛していますこれはフィフティ・フィフティの引き合う関係ではありません最初に、ロープを引っ張ったのはご主人様の方なんですご主人様が、わたくしたちに好きだという感情をいえ、感情だけではありません、行動も伴って好きを表現して下さるからこの方は、わたくしのことが好きなのだ、愛して下さっているのだと感じることで、わたくしたちも好きを発するのです

全然判らないわよその説明

鳥居さんは、ムスッとする

すると先頭を歩いていた、木下さんがクルッと振り向き

えー、お判りにならないんですかー

キョトンとする、鳥居さんに

黒森様は鳥居様のことも、お好きなんですよねー

オレが鳥居さんを

だって、黒森様鳥居さんのお話に、ちゃーんと応えていらっしゃるじゃないですかぁ

いや、それは当たり前だよ

そ、そうよわ、わたくしは歌晏桃子お姉様のご命令で、こうやって視察させていただいているわけで黒森様は、わたくしを案内する義務があるのですから

鳥居さんも、慌ててそう言う

いえいえいーえわたくしはそんなに、黒森様のことは存じ上げませんけれど

木下さんは、ニコッと笑う

黒森様ってメンド臭い女の子がお好きですよねぇ

あううう

つーか木下さん

あなたが、一番面倒くせぇ

今日、帰りに秋葉原の新しいラジオ会館へ行ってみたのですが

何だこの閉塞感と圧迫感

各階の移動が、基本的に中央のエスカレーターのみなんですよね

エレベーターはあるけれど、階段は閉鎖されていて使えない

その建物の中央に、エスカレーターを配したレイアウトが何だかなあ

で、窓が一切無く天井が妙に高くて、倉庫っぽい

明るいんだけれど暗い感じ

前の建物と同じ容積のはずなのに、狭く感じます

前のラジオ会館は4階までのエスカレーターと、階段が前後に2つもありましたから

こんな閉塞感は無かったんですよね

1階なんて、どこからでも入れたし、出れたし

それが今度は出入り口も前後のみ

昔みたいな、雑然とした雰囲気の中で宝探しをするような感じはなくなっちゃいましたねえ

971.朝の姉妹たち / RANPO

それで次は、どこへ行くのよ

エレベーターに乗ると、鳥居さんがムスッとして尋ねてきた

ああ、もう2人居るんだよさっきの天童乙女たちと一緒に連れて来られた子が

オレは、簡潔に説明した

子ってことは、その2人も女の子なのね

鳥居さんが、オレを睨む

で何で、その子たちだけ別の部屋に居るのよ

さっきの部屋の人たちは天童乙女は違うけれど、あいつは徳大寺園子さんにしがみついてて離れなかっただけだから徳大寺さんと黒沢さんは関西の組織の眼がある地元には帰れないから、オレたちのところで娼婦になるそれは判っているよな

ええ、判っているわよ納得はしていないけれど

鳥居さんは、ツンとして答える

それから鞍馬家のお嬢様姉妹の話も聞いたろ姉の美里さんは、家の負債を返すために娼婦になるけれど

ああ、妹のありすさんは年が若いから娼婦にはならなくて、その代わりにどこかに売り飛ばされるっていう話でしょそれも、納得はしていないわよ

別に鳥居さんを納得させなきゃいけない要素は何も無いんだけれど

あもしかして

でも、この人は基本的には頭の回転が良い

オレが何を言いたいのか気が付いてくれた

これから行く部屋の子は、まだ幼い子なのねだから、娼婦にはなれなくて

まあ、そういうことだよ違う運命に進む子たちを同じ部屋に置いておくのは、可哀相だろ

ヤクザの娘たちはなかなか微妙な関係なんだよな

天童乙女がドッカリと真ん中で威張っててその下で、あの3人娘が表向きは天童乙女にペコペコしながら、他の子たちをイジメていたわけだし

みんな、そんなに仲良くないというか心を許しあっていない関係だったもんな

その子たちはあの、ホントに売られちゃうの奴隷として

いや、外には売らないオレが引き取ることにした

ああ、オレのセックス奴隷として

鳥居さんは、オレの顔を引っぱたこうとした

お静かに願います

美智が、シュパッと鳥居さんの腕を掴む

オレも、鳥居さんの気を感じて咄嗟に移動していた

止めないでよっ今、この人が何を言ったかあなたも聞いていたでしょっ

鳥居さんは、激高して喚く

よりによって何で、あなたが自分の奴隷にするのよっていうか、奴隷って何よあなた、女の子を何だと思っているのよっ

あら、公様がお引き取りにならなければバラバラにされて、お金持ちの少女愛嗜好の方に売られていくことになりますわ

それよりは姉妹揃って、公様のところに置いていただける方が良いと思いますが

姉妹

ああ、次の部屋に居るリエとエリは双子の姉妹なんだ13歳の

エレベーターが、開く

ああ、この階には見覚えがある

昨夜と同じ部屋だよね

オレは、木下さんに聞いた

はーい、そうでっす

じゃあ、もう判るよありがとうございます、木下さん

オレは、案内して来たくれた木下さんに礼を言う

昨日、ミナホ姉さんが居た監視室の隣だ

仮眠室奥には、シャワー・ルームもある

では、わたくしはこちらの部屋に居りますから何かありましたら、お呼び下さーい

木下さんは、ニコニコ顔でそう言うと監視室の中へ入って行った

何なのよ、あの人わたくしたちのしている話が聞こえているはずなのに、ずっと笑っているし

不機嫌な鳥居さんは、いなくなった木下さんのことを悪く言う

あの人は、香月セキュリティ・サービスの中でも裏の仕事専門の人なんだよ

木下さんは元・バンバルビー3だ

バービーさんとルビーさんに裏の世界の英才教育を受けてきている

だから、聞こえていても聞こえないフリをしていてくれるし聞いてしまったことを、他の人に言うことはないよ

何で、そう言い切れるのよ幾ら香月セキュリティ・サービスの人だからって、大金を積まれたらペラペラ喋り出すかねしれないじゃない

ご機嫌ナナメの鳥居さんは、香月セキュリティ・サービスのことまで悪く言い始める

だからっ、どうしてそう言い切れるんだって聞いているんでしょ

鳥居さんが、オレに怒鳴る

木下さんとは何回か一緒に仕事しているからあの人は、ホンモノのプロだよオレたちと契約している間は、絶対にオレたちを裏切ったりはしないよ

シザーリオ・ヴァイオラとのホテルでの戦いから、ずっと見て来ているからな

じゃあ、契約が切れたらアッサリと裏切られるのね

鳥居さんは、意地悪そうにそう言う

そうなる前に香月セキュリティ・サービスは、木下さんとの契約を更新するよあの人ぐらい有能な人はなかなかいないからボーナスを増やすことはあっても、香月セキュリティ・サービスの方からあの人の年俸を値切ったりはしないよ

それに香月セキュリティ・サービスに行けというのは、バービーさんからの命令だ

木下さんも、学べることがある限りはここに居るだろうと思う

有能あの人がいつもヘラヘラしているし、やる気なさそうだし、身体だって細いし、全然、警護の人っぽくないじゃない高校出たばかりぐらいの年齢でしょ

だから、有能なのです鳥居様が、その事実に気付かれることが無いことをお祈りしておりますわ

ホント木下さんは、童顔で、若く見えるんだよなあそれにとても可愛らしい顔付きだしね普通の人には、まず判らないんだろうけれど

あの華奢な身体で、重くて硬い粉砕フレイルを軽々と振り回すバケモノだ

オレは、木下さんが1人で男のヤクザを30人ぐらいベコボコニに打ち倒す現場に居たことがあるよ

鷹倉神社の件でヤクザたちと手打ちをするっていうことになった時に

ホントだよ

オレの言葉に続けて、美智が

ご主人様はこういうことで嘘をお吐きになりません

それこそ、嘘でしょ

キッと、鳥居さんは美智を睨む

いえ、本当ですわ公様はとても正直なお方です

わたくし、夜見子、ルナそれにコヨミちゃんも、公様の近くに居させていただけているからこそ、心の安定が保たれています

普通の方はどうしても、心と言葉に差がありますからわたくしたちのお父様でさえ言葉に嘘が見えました

ちょっと悲しそうに、月子は言う

しかし、公様はお言葉とお心に違いがありませんから公様が嘘を吐かれる時は、どうしてもその嘘が必要な時だけですしわたくしたち家族に対する愛情から、そうなさっていることは判りますから

そうだオレだって、全然、嘘を吐かないわけじゃない

吐かなきゃいけない嘘もある

例えば、オレはアニエスの本当のパパじゃないわけだし

そういう、真っ直ぐな公様ですからわたくしたち、人の心が見える者には楽なんです安心して、お側に居ることができます

月子は、そう言ってくれた

アニエスさんも、そうですわねアニエスさんは、公様に一番影響を受けていらっしゃいますから真っ正直で、嘘の無い女の子に成長なさっています

アニエスは思ったことを、全部、言葉にするし顔にも出る

隠し事が無い嘘も言わない

ですから今、アニエスさんがルナやコヨミちゃんと毎日、一緒に居てくれることはあの子たちをとても良い状態にしています

表裏の無いアニエスだからルナやコヨミちゃんが、安心するのか

アニエスは、心の底からあの子たちと仲良くしたいと思っているし

真緒ちゃんも含めて、家族であると同時に親友になりたいんだよな

全ての基点は、公様です公様の存在が、わたくしたちを救って下さっているんです

そうか、人の心が読めるというのは本当は、ツライことだもんな

鷹倉神社の巫女の多くが、心を病んで亡くなったというし

心が読める方たちだけではありません

わたくしたちだって公様がいらっしゃるから、心が落ち着くのです

あんたたち、何を言っているのよ全然判らないわよ

苦々しい顔で、鳥居さんが文句を言う

もうちょっと、わたくしに判るように説明して下さらないそれじゃあ、わたくしには何がなんだか、全然判らないわよ

ごめん、これは鳥居さんには判らないと思う

当事者じゃないと判らないことだから

鳥居さんは、それでも

だから、判るように説明しろって言っているのよ忘れたのわたくしは、歌晏桃子お姉様で、ここに来ているのよあなたは、わたくしに説明責任があるんですからねっ

どう説明したって、判らないと思うよていうか、説明できることじゃないし説明したいとも思わないし

鳥居さんは、鳥居さんが見て、鳥居さんが思ったとおりに桃子姉ちゃんに報告すれば良いと思うそれで、桃子姉ちゃんに酷い人間だと思われても、オレは構わないよ

立場や、生きてきた環境の違いがある

どうやっても、理解し合えない溝も

何よ逃げるつもり

鳥居さんはそう感じるのか

違うよ、逃げているんじゃない

逃げているわよわたくしから

そうじゃなくって鳥居さんの方が、高いところに居るんだよオレたちよりもずっと高いところに

だから、オレの方から鳥居さんの居る高さのところまで上がっていって、鳥居さんが判るように説明することはできないんだ

何意味が判らないわよ

涙と共にパンを食べた者でなければ、判らないということですわ

その言葉は知っているわよ、ゲーテでしょ

鳥居さんは、答えた

意味がお判りでも実感が判らなければ、この言葉を理解することはできませんわ

自分の実体験から感じ取ったもの

泥にまみれ、泥をすすったことのない方にご自分の感情だけで、喚かれるのは迷惑なんだよ

結局、鳥居さんはオレたちが園子さんたちを娼婦にすることや、天童乙女の記憶を操作することそれから、これから行く部屋の女の子たちをオレが奴隷にするっていうことが、嫌なんだろ頭に来ているんだろ

鳥居さんは、カチンと来たらしく

ええ、そうよ当たり前じゃないっ

怒りの眼で、オレを見る

こんなの人が人にしていいことじゃないものっあなたたちはサイテイよっわたくしは許さないわっ

ああ泥の掛からない高いところが、オレたちを見下ろしている

オレだって、そう思うよこんなのサイテイだよ許されないと思うよ

でも、こうするしかないんだよっオレたちだって、最善を尽くしているんだ

こんな最善があるわけないでしょっ最善て言うのは、みんなが幸せになることよ

みんながみんな、幸せになれねえから、こうなっているんだろっ

完全な幸せなんて誰にも作れない

オレたちができるのは、自分の手の届く範囲で力を尽くすことだけだ

そんよわけないわよもし、そうだとしたらあんたたちの努力が足りないのよそうに決まっているわ絶対にそうよ

鳥居さんには判らない

ていうかあんたたちは、自分たちの私利私欲のために、あの子たちを酷い目に合わせているのよ絶対にそうっあたしには、判っているわ

自分の手を汚したことのない人には

独りぼっちで、未来の見えない闇の中で自分の体温だけを感じて、恐ろしい夜を過ごしたことのない人には

ちょっと、うるさいよ廊下で何騒いでいるのっ

仮眠室のドアが、ガチャっと開き中から、寧が出て来た

おおっ、ヨッちゃんオハヨッ

オレを見てニコッと微笑む

誰なの

オレの姉さんだよ

えあなたのお姉さんは

鳥居さんは、さっき会ったミナホ姉さんを思い出しているらしい

姉さんなんだから何人いたっていいだろ

オレは、さっきの怒りを抑えられないまま鳥居さんに、そう言った

あれれー、やっと来てくれたと思うたらなあ、リエちゃん

そうやな、エリちゃんお兄さんたら、また違う女を連れてはる

呆れた顔で、双子はオレを出迎えた

あ、お兄ちゃんお早う、今、お茶入れるね

マナも元気だ

朝ご飯はちゃんと食べたか

いややわぁ、お兄さんたらオカンみたいなこと言うてはる

双子は、クスクスと笑う

いやだから、ちゃんと食べたのか

食べましたお弁当やったけど

さすが、香月セキュリティ・サービスさんのお弁当やなぁ

うん、昨日までのお父ちゃんたちがくれてた、お弁当より豪華でしたわ

お父ちゃんたちはわたしらには、基本、ノリ弁やったからなぁ

ホントですお兄さんうちら、東京へ来てから毎日、ノリ弁でした

今朝のお弁当はオカズの数からして違っとったもんな

味も、全然美味しかったわ

朝から、こんならガッツリ食べちゃったらお昼が入らへんかもしれん

それはないわエリちゃん、食いしん坊やから

そうやなやっぱ、昼は昼でガッツリ食べると思うわ

やっぱり双子をセットにすると賑やかだな

そんで、お兄さんこのお姉さんたちは

やっぱりあれですか

うちらと同じ

この人たちもセックス奴隷

双子の言葉に

ち、違うわよっ違いますわっ

鳥居さんが、逆上する

あら違うんやって

ならお姉さん、お兄さんの何ですか

♪ミナミノヨーコ、ヨコハバ、ハコスカぁぁ♪

歌いながら、寧がマナと一緒にみんなにお茶を運んで来る

色々と引っ掛からないように、語句を変更してみましたぁぁ

寧が何を言っているのかよく判らない

そういや、何だろう

鳥居さんはみすずたちの客として、香月家に来ただけで

別に、オレの友達とかじゃないんだよな

お前ら、トリイ電子って会社知ってるか

知ってる、知ってる

うちも知ってます

アレやわな色んな電気の機械を作っている

パソコンとかですよね

ああ、あれだけ大きな会社だから、双子だって知っているよな

そこの会社のえっと、社長の娘なのか

パパが持ち株会社の社長で、お祖父様が会長よ

ケンケンした声で、鳥居さんは喚く

えーと、つまり鳥居さんだトリイ電子の娘だから

オレが、そう説明すると

あー、判ったわつまり

えー、エリちゃん、何が判ったん

だーかーら、アレやわこのお姉さんは

エリが、ニヤッと笑う

お兄さんが、次にコマす予定の子なんやわ

あっ、そうかっなるほどなぁ

しっかし、ホントお兄さん、ベッピンさんしかコマさないんやな

そうですわぁ寧さんに、マナさん昨夜の瑠璃子さんやルナさん今、来た3人さんも、みぃーんなベッピンさんですもんなぁ

で、お兄さんそっちの2人は、もうコマしとるんですか

双子が、今度は月子と美智を見る

はい、コマされておりますわ

月子は、双子の心を読んでコマすの意味を理解している

やんわりと微笑む

な、何よこ、コマ

もちろん、お嬢様の鳥居さんには判らない

コマすですわ

月子が、笑ってそう言う

だから、どういう意味なのよ

ええっとど、どう説明する

英語ですCommerceです

商取引という意味です

いや、コマースなら知っているわよわたくしだって

つまりこの子たちは、鳥居様をご主人様の新しい商取引の相手なのかと聞いているのです

美智上手いぞよし

お前ら、余計なことを言うなよ

オレは、エリとリエに釘を刺す

でもなあ、お兄さん

そうやわぁ、お兄さん

だが、双子はオレが困惑するのを面白がっている

そこまでになさい

美智が、双子に言った言葉に気が込められている

さすがの2人も口をつぐんだ

あー、そうだこの子が、工藤美智それから、そっちが昨夜のルナのお姉さんの鷹倉月子だ

こんにちはよろしくお願いしますね

ニコッと、月子が双子に微笑む

何や、ルナさんのお姉さんですか

そう言えば、似てますわぁ

昨日会ったルナの姉妹ということで、双子には受け入れやすかったらしい

ということは、ルナさんと同じで

お姉さんも、お兄さんのセックス奴隷なんですか

さぁ、どうなんでしょうね

鳥居さんも、月子の方を見ている

一生、公様にお仕えすることを誓っていますし公様の赤ちゃんを産みたいと望んでおりますわでも、わたくしは妹たちのように公様の奴隷の地位に安寧することは許されないのです

月子の家は、神社なんだよだから将来は、神社を継がないといけないんだ

オレは、それだけ言った

詳しいことは、今は話せない

ああ、だから巫女さんの格好をしとるんですね

コスプレと違って、似合っているなぁって、思うてたんです

ホンモノは違うなぁリエちゃん

うん、絵になってます

2人は納得する

わたくしは、工藤美智ご主人様の最強の奴隷を目指しています

おい、美智

ちょっと、あなたあなたは、みすず様の警護役でしょっ

みすずお姉様の警護役でありご主人様の奴隷ですわたくしは、お二人とも、心の底からお慕いしているのですっ

美智は断言する

これもまた鳥居さんには、判らないことだ

まあねぇミッちゃんは、ヨッちゃんの前だと、物凄いMッ子になるからねぇ

はいMです

美智は、胸を張って宣言する

うわわわ、リエちゃんこのお姉さん、Mなんだって

ちょっと、うちには判らんなぁ

見た目はちょっと怖そうだしなぁ

でも、Mらしいでエリちゃん

二人の会話に、鳥居さんが

Mって、何の略よ

お嬢様なんだよなあ

え、知らないのあんなに有名な小説なのに

小説

そうだよ小学校の図書室にあるよあたしは、小4で読んだもん

な、何の話だ

江戸川乱歩の電人Mホントに読んだことないの

電人M

ないわよわたくしたちの小学部の図書室には、無かったわよ

そうだろうなあ

日本一の超・お嬢様校の図書室には

じゃあ、読みなよ読まないと判らないからついでに、鉄人Qと妖星人Rと究極超人Rも読んでおいてねっ

まあいきなり芋虫や人でなしの恋よりは良いでしょう

マナは、押絵と旅する男とか好きだよ

わたくしは、お勢登場が好きですわ

マナと月子まで、そんなことを言い出す

えっとお姉さんたち、何の話をしとるん

えっと江戸川乱歩だよっ

寧が、クククククッと笑う

ところで、ヨッちゃん何か用があって来たんじゃないの

ヤッちゃんあの、レイちゃんや翔姉ちゃんから何か聞いている

双子の様子を見る限りまだ、親の死を知らないと思うけれど

でも、一応確認する

ううん、まだ何もお姉ちゃんたちはヨッちゃんより先に、伝えたりはしないよ

寧は判っているんだ

この時間に、オレが双子に会いに来た理由を

そっかエリ、リエ、オレの話を聞いてくれ

嫌やわ改まって

双子は、顔は笑っているが

何となく、判っているんだろう

想像はついているはずだ

お前たちの親だけど関西へ戻って、死んだよ

オレは腹を括ってスバッと言った

あやっぱりな

エリが言った

そうなんだろうなって思ってましたわ

死んじゃったかぁ

何かアッサリした感じやね、エリちゃん

そうやなサクッと死んでしもうたんやな

2人は穏やかに、親の死を受け入れていく

もう、会えんと思うと何やろ

そやな、ちょっと寂しいわな

そうか、わたしは清々しとるけど

ああ、厄介な人だったもんなぁ

あの人たちが居たらわたしらの人生、未来が無いって思うてたもんな

双子の両親は娘たちの動画をロリコンたちに売って生計を立てるほどの、クズだった

ずっと話し合ってたやないかわたしとエリちゃんで早いとこ、こんな家から逃げだそうって

そうやな2人で家出する計画ずーっと練ってたわな

あの人たちから逃げたらもう二度と、一生会わなくてもいいって思うてたやないか

そうやな逃げんとどこまで行っても、あの人たちにしゃぶり尽くされると思うてたもんな

だからこれでええんよ

うんええんやな

2人は力なく、そう言う

二度と会えなくなって良かったわ清々するわスッキリするわ

そうやな何か、肩の荷が下りた感じがするわ

そんな2人に鳥居さんが

ちょっと待ちなさいよ、あんたたちっ

鼻息を荒くして言う

親が死んだっていうのに、清々したはないんじゃないのっわたくしは、よく知らないけれど親なんでしょ親なのよ

そうですわ親ですわ

うちらをずーっと苦しめ続けた、親ですわ

冷たい眼で鳥居さんを見る

今の小学校には、もうポプラ社の少年探偵団シリーズは置いてないかもしれませんが

小学校で少年探偵団、中学に入ったら星新一が私が子供の頃の流行でした

映画のRANPOは、オクヤマ監督版のパーティの場面になぜかいるチクシ・テツヤさんが

何で、監督を変えて2バージョン作ったのにどっちもつまらないんでしょうかねぇ

オクヤマ氏自身が、今では日本映画界の結局、何だったんだという人になっちゃいましたし

972.朝の姉妹たち / マナの現在

エリとリエは、冷たい眼で鳥居さんを見る

だ、だけど親は親よ親がいなかったら、あなたたちは生まれてないのよ

鳥居さんは、反論する

だから何です

自分が産んだからってどんな目に合わせても構わないって、思っているような親でしたわ

しかも、ヤクザとその情婦やしいっつも、ヤバイ仕事してて、警察のご厄介になるか判らん生活やったもんな

実際何度も夜逃げしたしなぁ

逃げた逃げたお父ちゃんがヘマこいたから

しょーもないわホンマのアホやったからなぁ

うちら親のせいで、ほとんど友達できんかったもんなぁ

あすこの家の子とは、遊んじゃいけんて、後ろ指さされてな

普通の家の子にら、まだ判るけれどヤクザの家の子にまで、ハブにされてたもんなぁ

そうやわたしらのお父ちゃんヤクザの世界でも、ブッチギリの落ちこぼれやったもんなぁ

天童貞男のオッサンみたいな人しか、仲間になってくれんかったもんなぁ

そのせいでわたしらまで巻き込まれて、東京まで連れて来られたもんな

やってられんわ

ホンマや

鳥居さんが入り込む間を与えず、双子はスルスルと会話を続ける

でも、もうええんやなこれで、お父ちゃんと縁が切れたんやから

お母ちゃんともですわ

はぁぁ何か解放されたって気がするわ

うちも、そう感じ取るわ

双子は、安堵の溜息を吐く

な、何なのよ、この子たち

鳥居さんは、理解ができないらしい

この子たちには、人間としての情は無いの変よ変過ぎるわよ親が死んだって聞かさせたのに、どうしてこんなに平然としているのよ

双子には何を言っても通じないと感じたのか、オレに向かって怒鳴る

あのちょっと、いいですか

マナが鳥居さんに言う

鳥居まり子さんですよね

鳥居さんは、返事をする

鳥居さんでご両親とか、お祖父さんお祖母さんとか、親戚のお葬式とか行ったことはありますか

だから、無いって言っているでしょ

鳥居さんは、オレと同じ16歳の高校1年生だから

そういうことも、有り得るんだろうな

遠縁の叔父が亡くなったことがあったけれどわたくしは、まだ小さかったから、お葬式には行かなかったわ東京の人じゃなかったし

あ、やっぱりだから、判らないんですよ

人の死って洪水みたいに、悲しみがザバァッてやってくるパターンだけじゃないですから最初に聞いた時は、そんなにショックでもなくて淡々と受けとめるだけで後から、ジワジワと感情が湧いてくることもありますから

ああ、そうだな瑠璃子が、そうだった

鳥居さんも、知っているだろ瑠璃子は、今年の5月にお父さんを亡くしているから

ええ、もちろんうちの父も、お葬式に参列させていただいたから

ああ、あのお葬式に鳥居さんのお父さんも来てくれているのか

香月家の当主のジッちゃんが喪主を務めた、ジッちゃんの息子の葬儀だもんな

日本の政財界の人たちは、ほとんど来てくれたはずだから

瑠璃子も妙に、頭だけが冴えちゃっててちょっと変だったよ不安定なんだけれど、悲しむという方向には気持ちが向いていないというか

当たり前だよ死んじゃって、もうお別れだって思ったらツライもん耐えられなくなるから、心のリミッターのスイッチが入って、感情が遮断されるんだよ

そういう、悲しみもあるんだよ親が死んだからってそれだけで、ワーワー泣いたりできないこともあるんだよ

マナお姉さん

お姉さんどうなさいました

エリとリエが驚いている

真夜中にハッと眼が醒めてあの人は、もうこの世にはいないんだって、ゾッとなって怖くなってガタガタ震えたりするんだよ夜が明けて、朝になるまで1人のベッドの中で、ブルブル震えてるしかないことがさ

お兄ちゃんと一緒の夜には、そんなことは起きないんだけれど1人のベッドだとね

すっかり、安定していると思っていたけれど

いや、そんなわけがないな

まだ14歳の中学生が眼の前で、父親を殺されたんだから

そして、親を殺した人たちと生活を共にして血の繋がった血縁者のところには戻らないでいる

まあ、今は実姉の雪乃も同居しているから少しは、違うんだろうけれど

鳥居まり子さんあたし、何度かパーティでお会いしたことがあるんですけれど

鳥居さんは、キョトンとしている

あたし白坂舞夏です白坂創介の娘です

ま、マズいぞ

マナはずっと白坂舞夏時代を知る人と接触することを、恐れていた

だから、この半年ほとんどお屋敷の中に籠もったままになっていたし

新しく通う学校も、なかなか決まらなかった

アニエス、ヨミ、ルナは香月家の力で、みすずたちのお嬢様学校へ編入することになったけれど

マナだけは、白坂家の一族としてあのお嬢様学校に、マナの顔を知っている子がいるから、編入は諦めた

昨日のパーティでも、マナは客前には姿を見せないようにした

新聞社とテレビ局を支配していた白坂家もトリイ電子も、戦後に成り上がった新興の家だ

ホンモノの名家の家柄はないけれど似たような、地位にあった

白坂家の1人で当主に可愛がられていた白坂創介が鳥居さんの一家と、パーティなんかで出会っている確率は高かったんだ

鳥居さんは驚いている

だって白坂さんのところの舞夏さんはもっと、背が低くてあなたみたいに綺麗な子じゃなかったわもっと、子供っぽい感じの女の子だったもの

あれからさ、半年経っているんだよねっ

半年経てば、女の子は大きく変わるよ成長期だもんねっ

はい変わりましたからあたし

マナは背が伸びた大人っぽくなった美しくなっている

ああそう言われてみると舞夏さんぽい感じもするかも

鳥居さんは、改めてマナを見てそう言う

パーティで何度か挨拶したぐらいで特に仲良くしていたわけじゃないんだよな

それでも、白坂舞夏の根っこのようなものは残っている

え、でも、ちょっと待ってあなたが、白坂舞夏さんだとして何でここにいるのよ

あたしはお兄ちゃんのセックス奴隷ですから

オレに抱きついて来る震えている

やっぱり、怖いんだ

オレも、マナの腰を抱き締める

マナは、おっぱいをオレの腕に、ぐにぐにと強く押し付ける

一生、お兄ちゃんにセックス奴隷としてお仕えする代わりにお兄ちゃんの側にいさせてもらっているんです

え何でおかしいわよだって白坂家は、以前の様な勢いはなくなったけれど当主が代替わりして、何とか存続しているでしょ

ジッちゃんに屈服し、テレビ局の経営権を譲渡することで白坂家そのものは、どうにか形を残している

それに、確か舞夏さんのお母様は料理研究家で、母方のお祖父様も広告関係の会社をなさっていたはずだわ

鳥居さんは記憶している

いや、マナの母親はテレビや雑誌にも登場するような有名人だったからな

マナが白坂創介の娘だということがバレたら多くの人たちが、母親のことも思い出すんだろう

白坂家でも、お母様のご実家でも受け入れて下さる家は、あるでしょそれがどうしてこんな人の奴隷なんて、やっているのよ

マナは呼吸が速くなる押し付けられたオレの腕に、マナの心臓の高まる鼓動を感じる

大丈夫だから落ち着けなオレもヤッちゃんも居るからな

オレは、マナを抱いたまま優しく、背中を撫でてやる

マナの顔には、大粒の汗の玉が浮いていた

マナの心は闘っている

ちょっとさ自分がもし、マナちゃんの立場になったらって考えてみなよっ

自分のお父さんがあんな、ロクデナシのクズ人間でたくさんの女の子を苦しめ、殺してしまうような人間だったらそれで、それが世間にバレてさあんな無残な死に方をしてそれも世間に公開されて

白坂創介の犯した罪は全て、ネットを通じて公開された

そして、惨い死を遂げたことも復讐によって殺されたことも、日本の国民の全員が知っている

一族の恥さらしでさ白坂家は、事実上、白坂創介のせいで没落したんだよそんな状況でさ娘が一族の家に引き取られたら、どんな思いをして生きていかないといけないと思う大変だよ世間からも、一族からも白い目で見られるんだからお前の父親のせいでって

何言っているのよお父さんと娘は、別の人格でしょお父さんが、どれだけ悪いことをしたからって娘が、そのことで責められるべきじゃないわっ

だって舞夏さん、まだ中学生だったわよねそんな子に、親の罪のことでとやかく言うとかあっちゃいけないことでしょ

でも、そうじゃないからべきじゃないとかあってはならないとか理屈ではそうでも、ゲンジツは違うんだよ

そんなの、ゲンジツの方がおかしいわよっだったら、ゲンジツの方を正すべきでしょ

この子は舞夏さんには、何の罪も無いんだから白坂家でも、お母様の家でも舞夏さんを、優しく迎え入れてあげるべきなのよっ世間の人だってお父さんがどうであれ、舞夏さんには優しくしてあげるべきよだって、舞夏さんだって被害者になるんだからっこの場合

この人は本当に高いところにいるんだな

でも、そうはならないんだよそんな風に理想通りには、ならないんだ

こいつが元の家に戻っても苦しいことしか待っていないそけが、ゲンジツなんだ

リエとエリが、ジッとオレたちの会話を聞いている

で、でももし、そうだとしてもこの子は、白坂舞夏さんなんだから白坂舞夏さんとして生きていくしかないんじゃないの白坂家の中でも、お母様の実家の方でも良いけれどとにかく、血の繋がった人たちの中には、絶対に舞夏さんに優しくしてくれる人はいるはずだからそういう人たちの中で暮らすべきよ家族なんだから

鳥居さんはオレを見る

あなたみたいな、赤の他人のそれも、奴隷にさせられているなんていうのは、絶対に間違っているわわたくしは、許さないわ

細くて長い指でビッと、オレを指す

あたし自分で選んだんですお兄ちゃんのセックス奴隷になることを

静かにマナが、鳥居さんを睨み返す

家とか血の繋がりとかあたしは、信じないですママもお祖父ちゃんもあたしを捨てようとしたあたしはもう汚れた子だから、家の中に閉じ込めて隠してしまおうとした

マナに対しては言葉だけだったけれどマナの祖父と母親は、雪乃を本当に地方の施設に幽閉しようとしていた

一族の恥を隠すために

そういう人間だった

だから、あたし本当に嫌になっちゃったんです白坂舞夏という存在が名前も、過去もみんな嫌になっちゃったんですこのまま白坂舞夏として生きていくのは、本当に嫌だったそしたら

お兄ちゃんは、あたしに吉田マナという新しい名前をくれましたあたらしい生活を、人生を

今のあたしは幸せです白坂舞夏として生きた14年より、吉田マナとして暮らしているこの半年の方が何万倍も充実しています今のあたしには生き甲斐がありますちゃんと生きてます判りますか

そ、そんなの判らないわよだって、ただの現実逃避でしょあなたは、白坂家に生まれた舞夏さんなんだからその事実は、絶対に覆せないんだからどんなに辛かろうともその事実を背負って生きるしかないのよ正しい血縁者と

この人は血に縛られている

鳥居家は名家でないが鳥居まり子さんの母親は、名家の出身

だから、彼女は準・名家の人間として扱われいずれは、どこかの名家に嫁ぐことが義務づけられている

家によって定められた運命を当たり前に受け入れている人だ

少なくてもさ奴隷は変よ何で、奴隷なんかにならないといけないのよ

こんなあたしを受け入れてくれたお兄ちゃんにはあたしは、心と身体を捧げるしかないからですっ

ハッキリと断言する

お兄ちゃんは一生、あたしと生きてくれるって約束してくれましたお兄ちゃんはこの人は、絶対にあたしを裏切らないあたしのこと、大切にしてくれるそれが判るからだったら、あたしだって奴隷として、お兄ちゃんに生涯を尽くすって誓うんです

はぁぁ何でよ

プライドです

一方的に、お兄ちゃんに優しくしてもらうだけであたしが何も返さないのなんて、嫌ですからっそれに

マナが、強くオレにしがみつく

お兄ちゃんに判って欲しいんですあたしもマナも、ずっとお兄ちゃんと一緒に居たいんだお兄ちゃんのことを裏切らないから信じて欲しいからだから奴隷でいいんです奴隷がいいんです離れたくないんだからっ

あたしたちホントに血が繋がっているわけじゃないからそういう家族だから縛りが居るんだよね

あたしとヨッちゃんも、ホントは血が繋がっていないけれどでも、今は戸籍上ではホントの姉弟になっているそれが、あたしの縛り絆だよ戸籍のデーターの上だけのことでも、ホントに姉弟なんだから一生、ずっと姉弟なんだよ死んでも姉弟だから

寧の言葉を聞いて、鳥居さんは月子と美智を見る

あなたたちもそういう人たちなわけ

わたくしは奴隷以下の立場で、生涯、ご主人様とみすず様にお仕えする覚悟でございますので

わたくしは、奴隷にはなれませんのでなるべく早く、公様のお子を産むつもりですわその子が、わたくしと公様の絆です

鳥居さんは、大きくハァと溜息を吐く

全然、判りませんわ何なんですの、あなたたち全員、頭がおかしいんじゃありませんこと

そんなことないわなぁ、リエちゃん

うん、エリちゃんそんなことないですわ

双子が口を開く

わたしにはすっごく良く判りました

うんうちも判りました

昨夜は何となく、判ったような気になったけど

でも、何となくお兄さんたちにダマされているんじゃないかとも感じてました

何でわたしらがお兄さんのエッチ奴隷にならんとあかんのか

他には道は無いのか

昨夜、お兄さんが帰った後に寧お姉さんとマナお姉さんが、色々話してくれましたけれど

そんでも何となく、釈然としてませんでした

何言ってるのよ当たり前でしょあなたたちは、ダマされているのよあなたたちみたいな小さな子を奴隷とか絶対にダメでしょっこの人たちは、あなたたちをダマしているのよ

鳥居さんは、そう叫ぶが

アホかあんた

こんな馬鹿正直な人が、どうして人をダマすんです

みんな、さっきから真っ正直に放しているやないですか

何で、お姉さんだけ判らんの

多分、この人、ちょっとお馬鹿さんなんだと思うわリエちゃん

うちも、そう思うわエリちゃん

2人は顔を見合わせニコッと笑う

な、何よおっ

鳥居さんは、口籠もるしかない

お兄さんわたし、改めて、お兄さんのエッチ奴隷にさせていただきますわ

うちも喜んで、お兄さんのエッチ奴隷になります

な、何でどうして、そうなるのよ

鳥居さんには理解できないらしい

そんなん、決まってますわ

はい決まってます

わたしもプライドがありますから

うちもプライドがあります

2人は言った

昨夜から、色々話してみて寧お姉さんも、マナお姉さんも頭良いし、綺麗だしその上、したたか者ですわ

そうですわ2人とも、ちゃんとゲンジツが見えているお人です

そのお二人のお姉さんたちがお兄さんに、ゾッコンなわけですし

しかも、お兄さんたちには世の中を渡っていくだけの度量も、力もあるってことを教えてくれました

うちらのために結構、アブナイ橋を渡ってくれていることも

色々と偉い人たちも知っているしわたしらが、完全にヤクザの世界から抜けるためには、お兄さんを信じていくしかないってことも判りました

うちら他に行くとこ無いですし

ここを逃げ出してもなぁ

どっかで身体でも売って生きていくしかないですし

衣食住が保証されるんならなぁ

お兄さんのエッチ奴隷でもええかなぁって、思ってました

たくさんの人に売るんやなくて1人にまとめて売るだけですもん

それはうーむ

でも、今の話を聞いてそういうことやないんだってことが判りました

うん、そうやな

マナお姉さんは、お兄さんのエッチ奴隷やけれど

でも、それは身体だけの関係じゃなくって

いわゆる奴隷っていうことやなくて

お兄さんは、本気でマナお姉さんのことが好きで、大切にしているんだなぁっていうのと

マナお姉さんも、お兄さんのこと愛しとるんやなってことが判りました

そしたらなあ

そうですわなぁ

双子は、お互いを見て微笑む

昨夜のことを思い出したらお兄さんは、わたしらのことも

うちらのことも、本気で愛してくれようとしてはるって判ったんですわ

だったら、わたしらも

優しくしてもろうとるだけでは嫌ですから

ちゃんとわたしらも返さんとな

はいだからエッチ奴隷ですわ

お兄さんに守ってもらっている間はわたしらも、絶対にお兄さんを裏切りません

その誓いです

奴隷でいいです奴隷になりますわ

うちらのできることなら、何でもしますわ

どんなエッチなことも

お兄さんが望むのなら赤ちゃんだって産みます

鳥居さんは、唖然としている

全然、判らないどういう、思考回路をしているのよあなたたち、みんなバカなの

わたしらは、お姉さんの方がバカだと思ってますわ

というより、お姉さんは可哀相な人ですね

リエもそう

わたくしが可哀相何でよ

鳥居さんには、納得できないらしい

お姉さんは、狭いですわ

うん、狭いです

双子は、言う

狭い何が

エリは平然と

そんなん、狭いゆうたら視野に決まってますわ

いやいや、このお姉さん心も相当狭いですわ

あ、そうやな狭い狭い

とにかく、ダメですわ

見た目は綺麗なのにな

ホントやわぁ

こういう人のことを心がブスって言うんと違うか

リエちゃん、それを言うなら残念な人ですわ

あ、そうやな残念やなぁホンマに

ホント残念ですわ

双子の口撃が続く

月子さん、どう

寧が、月子に囁く

大丈夫です問題ありません良い状態に向かっています

月子が、ここに同席したのは

双子の現時点における、精神状態のチェックをするためか

マナちゃんも、落ち着いた

マナは、まだオレにしがみついたままだ

ヨッちゃん、マナちゃんとシャワー浴びておいでよ

鳥居まり子さんは、あたしと月子さんと美智ちゃんで相手しててあげるからっ

鳥居さんとマナを、離した方がいいかもしれない

心のチェックができる月子と、警護役の美智が居れば大丈夫だろう

うん、そうだなそういや朝のトレーニングで汗をかいたまま、ここに来たから

ていうか、早朝セックスからそのままだ

マナも、今、変な汗をかいていたから

全部、洗い流した方がいいな

マナ、背中を流してくれるか

マナがようやく微笑む

あなたたちも、一緒にシャワーを浴びてきなさい

美智が双子に言った

マナ妹と親睦を深めるのです

双子とマナ

そうだね、リエちゃん

うん、うちもマナお姉さんと、もっと仲良くなりたいです

そうか、マナが素直な心で、自分の過去を話したから

ロクデナシの親のせいで、オレの奴隷になったという経緯は似ているんだ

今の双子は、マナに一番親近感を感じている

いいよな、マナ

オレは、マナに尋ねた

うん、もちろん一緒においで

マナも明るく双子の妹たちに言った

ということで、明日は双子+マナのセックスですね

ワン・フェスは行きませんでした

もう、模型関係は高騰していますから

中国工場の人件費が上がっているからでしょうけれど

リボルテックのキングゲイナーが再販になるらしいですが

原型も金型ももうあるのにほぼ、初版の倍額ですから

そんな状況で、グッスマが12分の1のガルパンの戦車をそれも電動可動で、14800円で売り出すそうです

やっぱり、鳥取に新工場を作ったからなんでしょうかうーむ

コミケには、見るだけでも行こうと思っています

私の家は、お台場へは40分で行けるので

幕張は、ちょっと遠かったです

973.朝の姉妹たち / 改造

何か、スッゴくムカつくわぁ

今まで居た仮眠室の隣のシャワールームで

蹴飛ばすように、服を脱ぎながらエリが言う

お兄さん、結局あのムカツク姉ちゃんは、誰なんです

うちも知りたいです

リエも裸の胸を露出させながら、尋ねてくる

何て説明しようか

あのさ天童乙女が、お前らと別行動で何をしてたかとか、そういうのは聞いているか

東京に派遣されたハミ出しヤクザのリーダーの天童貞男は

最初、連れて来た娘たち全員に、名家のお嬢様たちと接触させようとした

接触して情報を得るとか、あるいは誘拐するとか

でも、警護役が付いているお嬢様たちが、見知らぬ女の子たちと仲良くなるはずがないし徳大寺園子さんを、餌に使われるのを恐れて、天童乙女が1人だけで名家の水島家に潜入した

あんま、よく知らんわ

ていうか、うちらはなるべく知らないようにしてたんよねエリちゃん

双子は答える

変に知ってしまうとメンドくさいことに巻き込まれそうやったですから

そうやな天童のオッサンやわたしらのお父ちゃんのしでかすことだからどうせロクなことじゃないって判っとったしな

問題のある両親に育てられてきてから

自分たちを守るために、そういう知恵を身に付けている

それが良いことだとは、オレは思わないけれど

簡単に言うとさ天童乙女は、いいとこのお嬢さんの家に潜り込んでさそんで、昨日、そういう金持ちのお嬢様が集まるパーティに紛れ込んで、色々と問題を起こしたんだよ

他家のお嬢様たちに香月家の悪口を吹聴したり

ダマしたお嬢様を操って、一々、みすずに刃向かわせたり

そんで、まぁ結局、バレて天童乙女は、とっ捕まったんだけどさ

はぁぁ、乙女さんらしいわ

ヨソ様のパーティへ行って、迷惑掛けるとことかなぁ

双子はうなずき合う

で、さっきの人はそのパーティに来てた人

ああ、なるほどトリイ電子のお嬢さんだったなぁ

エリが言う

そんでわたしらの様子を見に来たんか面白がって

面白がってっていうわけじゃないけれどお嬢様の世界でも、上下関係があるんだよあの人は、姉貴分の人に結果を見届けて来いそれで、後で報告しろって言われたから、こうして見に来ただけでさ

歌晏家の名前は、出さない方が良いと思った

なるべくシンプルに話そう

何やあの人も、イモ引かされたクチか

エリは、そんな表現をする

イモって言うか見届け役だからなお前たちの部屋に行く前に天童乙女とか園子さんたちにも会って来たしほらやっぱり、親が死んだことはオレの口から伝えないといけないって思ったから

乙女さんたち、どうでした

リエが尋ねる

うんと園子さんと黒沢さんは、とりあえず前向きになってくれた前向きって言ってもオレたちのところの組織で、娼婦になってもらうんだけれど取りあえずは、納得してやってくれることになったから

心配そうに、オレを見上げる

昨日の金髪・赤髪・眉無しパーマの3人娘みたいに記憶を削って、外に放り出すことになると思う

天童乙女はどうしようもない

そこそこ武術が使えても、あの性格では

えー、でも乙女ちゃん、性格はアレやしレズっ子だけれど、なかなか強いで

エリが、そう言う

そうでもないよさっきだって今、隣の部屋に居る美智さっき、オレと一緒に来た小さい方の子だよアイツに、一発でのされちまったから

昨日のパーティでも、気絶させられてたしお前たちを助けに行った、カラオケ屋での闘いも、天童乙女は最初から最後まで役立たずだったしで、昨日の夜もお前らと別れた後に、また別の子にやられて、小便、漏らしてたからなぁ

ずっと負けっ放しだ

うっそぉ

ホントだよこんなの嘘言ったってしょうがない

あの小さなお姉さんそんなに強いんか

でも、エリちゃん確かに、そういう雰囲気あったよ

もう一人の巫女さんの格好したお姉さんも月子さんやったっけ?あの人も、ちょっと、空気が重いもんなぁ

双子は、顔を見合わせてそんなことを言い合う

どっちにしても、天童乙女の能力なら、オレたちの組織には必要ないよ

強さなら、美智やイーディの方が全然上だし

それに才能のある子なら美智たちが教えれば、必ず伸びる

イーディが、ハイジを推薦してきたのは正しいんだ

あの子の賢さと視野の広さは良い

最高の警護役に成長してくれると思う

だから、切り捨てることにしたオレたちも誰でも助けてやれるわけじゃないから慈善団体じゃねぇオレたちは犯罪組織だからな

自分に言い聞かせるように言う

あの、お兄さんわたしらは

そうですうちらはええんですか

双子が、真顔でオレを見る

わたしらかて何も力は無いでただの中学生やから

エッチ奴隷ったってうちら、そんなにエッチな身体してませんわ

寧お姉さんみたいに、おっぱいもお尻も大きくないしな

ていうか、うちらそんなに可愛くないやないですか

な、何だどうして、こんなことを言い出したんだ

お兄さんがうちらのエロ動画を買ってたロリコンさんたちみたいな男の人なら判るんですけれど

お兄さん、綺麗なお姉さんぎょーさん連れとるしエッチもしとるもんなぁ

こうやって、うちらが半脱ぎなのにえっちぃ眼で見ないで、真面目に話してますし

だって今は、真面目に話さないといけない時だろ

そうですけどロリコンさんなら、こんな時でも、チラチラうちらの身体を見ますわ

お兄さん、ずっとわたしらの眼だけ見て話しているし

それは真面目な話をする時は、相手の眼を見て話すのが礼儀だろ

裸は、セックスする時に幾らでも見られるんだから

2人ともお兄ちゃんは、こういう人なんだよとっても真面目でちょっと変なの

ずっと、オレたちの話を聞いていたマナが笑う

ちょっとやないわ、すっごい変やわ

うん変わってますわ

双子は、そう答える

でも最高に良い人だよ他の大人のオトコの人たちみたいにあたしたちのこと小馬鹿にしたりしないから今だって本当に一生懸命、エリちゃんとリエちゃんに説明しようとしてくれているでしょ

双子は、不思議そうにオレを見上げている

でも、やっぱりちょっだけ判らないですわ

何でうちらのことを受け入れてくれたんです

何でそんなに心配するんだ

寧お姉さんなんて、モノスッゴッイ美人やないですか顔も綺麗でボディもバインボインで

マナお姉さんもメッチャメチャ美人さんです可愛いし、肌も綺麗だし

わたしらだってロリコンさんのファンも付いてましたからそれなりに、自分に自信があったんですけど

昨夜から全然、ダメですわお兄さんが連れて来る人、全部、ベッピンさんなんですもの

エリリエ

昨夜の瑠璃子さんも、品の良い美人さんでしたしルナさんも可愛かったですわ

月子さんも、ゾクっとする綺麗さですし今日来た美智さんだって、メッチャ可愛いです

それから昨日の外国人の人たちも綺麗でしたし

さっきのウルサイお嬢様って人も見た目だけは、美人です

こんなに綺麗で可愛い子ばかり連れててあのお嬢様以外の人とは、お兄さん、エッチもしているんですよね

リエが、オレに言う

まあも何もエリとリエを犯す前に、他の子とのセックスを見せているし

ああいう人たちがおるのにええんですか

うちらもお兄さんのエッチ奴隷になって

双子は、大きな瞳でオレに尋ねる

はぁぁ、女の子だねぇエリちゃんも、リエちゃんも

そういうことは気にしなくていいんだよこのお兄ちゃんはホントにエリちゃんとリエちゃんのこと、大切にしてくれようとしているんだから

それは判ります

お兄さんが、嘘吐いてないことはうちらも感じてます

双子は手を繋ぎ合って

何で、そんなに優しくしてくれるか判らないから

だから、何かもどかしいって言うか

ちょっと判らないんです

心がゾワゾワするんです

率直な思いを話してくれた

オレはさ

オレはオレの中の答えを探す

オレはね親に捨てられた子供なんだよオレ自身もう、親との縁が完全に切れちゃっているんだよ死んでるわけじゃないけれど葬式にも行かないと思うな今、オレを親の代わりに引き取ってくれた人に悪いし

オレたちはオレの家族はさみんな寂しい人の集まりなんだオレみたいに親に捨てられた人もいるし

マナもそうだよパパは殺されたけれど殺されても仕方ないようなことをしていたんだしママとお祖父ちゃんには、捨てられたって感じてる

それからエリやリエ、ヤッちゃんもそうだけど親が殺されて、突然、いなくなっちゃった人もいるし親が健在でも、自分の居場所がなかった人もいるそういう寂しい思いを抱え込んだ人たちが集まって1つの家族を作っていてそこにたまたま、男はオレ1人だからだから、みんな、オレとセックスしてくれているだけで

違うよお兄ちゃんはあたしたちの要なんだよお兄ちゃんがあたしたちを愛してくれたからあたしたちは1つにまとまれているんだよお兄ちゃんこそが、絆なんだよあたしたち全員の

でも、マナお姉さんは、それでええん

お兄さんが、他の女の子とエッチしても気にならん

ていうか、お兄さんが誰が一番好きとか考えへん

自分が一番になりたいとか、思わないんですか

うーんとねあたしも女の子だから思わないこともないんだけれど

双子に微笑む

さっき、話した通りあたしの本当の父親は、白坂創介っていう人でだいたい知っているよね5月頃には、さんざんテレビのワイドショーとかで放送されてたからあ今、テレビ出てる白坂雪乃は、あたしの実のお姉ちゃんだよ

あそう言えば似てるわ

うんホンマや

マナと雪乃が似てる

いや、まあ同じ遺伝子を持つ姉妹なんだから、そうなんだろうけれど

何かすっごい、ヒドイ人だったってことは知ってます

うちのお父ちゃんとかお母ちゃんとかゲスい話が大好きなんで、毎日、テレビにカブり付いて観てましたし

わたしらのロリ動画を売るだけで基本、無職でしたし2人とも

双子は、答える

テレビとかで取り上げていたのはほんの一部なんだよもちろん、とてもじゃないけれど放送できないようなことをたくさんパパはしていたしそれだけじゃなくって、テレビの人たちなんかにも知られていないゲスな話があるんだよ

あたしのパパはううん、白坂創介さんはもうちょっと、自分の親だと思いたくないからここからはそう呼ぶけれどさ

ハァと1回深呼吸する

白坂創介さんは女の子を1人、監禁していたんだよ

それってどっかの別荘から見つかった死体の女の子ですか

それとは別の話言ったでしょ、テレビ局には教えてないって

白坂創介さんはさ奥さんじゃない女の人に無理矢理、赤ちゃんを産ませてその子をずーっと、地下室の中に閉じ込めて、育てていたんだよ今年、12歳になったんだけど

それって隠し子がバレると困るからですか

リエが尋ねた

ああ、白坂創介さんてどっかの大きな会社のエリート・サラリーマンだっていう話でしたし奥さん、お料理の先生でしたよね

エリがさらに言う

違うよ白坂創介さん、隠し子なら他にもいるしその地下室に閉じ込めて育てた子は、わざわざ産ませたんだよ自分で作ろうと思って、作った子なんだよ地下室で育てたのも最初からの計画だったんだよ

え、何のためにです

そうですわ何で、隠し子を地下室で育てるんです

それはそれはね白坂創介さん、ホンモノの極悪非道のヘンタイ男だったからね自分の娘を小さい時から、自分だけを崇拝させて学校には行かせないで1人も友達を作らせないどころか、誰にも会わせないでただ、自分のことだけを愛するように自分と父親とセックスすることだけを考えるように、教育して育てていたからだよ

何なんですそれ

そんなことホントにあるんですか

あるも何もあったんだから仕方ないじゃない地下室から、女の子が見つかっちゃったんだから

何の勉強とかもさせてもらっていないんだよただ毎日白坂創介さんが女とセックスしている映像を見せられそのうち、お前もあれをするんだぞって実の父親とセックスすることだけを教え込まれていたんだよ

苦々しい顔でマナは、父親に対する嫌悪の感情を露わにする

あたしの妹なんだよっお母さんは違うけれどあたしの妹なんだっでも、その子が産まれていたことも地下室で、ずっとそんな酷い目に合っていることも知らなかったんだあたしお姉ちゃんなのに

マナの痛々しい告白にエリは

ホントのことなんですね

何て名前の子なんです

あに

アニエスだよお母さんは、フランスの人だったらしいオレも会ったことがないから、よくは判らないけれど

オレは、マナの話が真実だと肯定する

で、そのアニエスさんは今は

エリが聞いて来た

白坂創介に犯される前に助け出したでも、誰かがアニエスの父親代わりにならないとあいつは父親とセックスすることだけを人生の目的だと信じ込まされて育って来たからだから

今はオレのことを父親だと思わせているアニエスは、オレをパパと呼ぶオレとセックスしている

エッチも

セックスしないと心が安定しないんだよアニエスは今はもう半年経ったから、大分落ち着いてきたけれど5月の頃は、毎日セックスしないと不安がってダメだった

今も危ないなって思ったら、すぐにセックスするようにしているそうでないとアニエスの心が壊れちゃいそうだから

そういう子もいるんだよあたしたちの家族には

お兄ちゃんだから何とかなっているんだよお兄ちゃんは、面白半分でセックスしないからセックスの時は、いつだって真剣だからお兄ちゃんが相手じゃなかったらアニエスちゃんは、とっくにオモチャにされて壊されていたと思うよ

お兄ちゃん、あたし普段は、あんまりアニエスちゃんのことを自分の本当の妹だって意識しないようにしているんだよねそうでないとさ変に意識しちゃうと、あの子、敏感だから何か感じ取っちゃうと思うし

だけど判っているんだよアニエスちゃんには負い目があるんだあたしが、白坂の家でノホホンと生活していた間も、アニエスちゃんはあの暗い地下室の中で寂しくて悲しい思いをしていたんだからさあたし、お姉ちゃんなのに助けてあげられなかったんだから

そんな風に思っていたんだ

確かにマナは普段、自分からはアニエスに近付かない

今は嬉しいんだあの最初は、誰にも心を開かないで口もきいてくれなかったアニエスちゃんがお兄ちゃんとセックスするようになって少しずつ、お兄ちゃんの女であるあたしたちとも仲良くなって今はお友達もたくさんできたし、毎日、騒がしいぐらいお喋りする子になって今度は、学校にも通うことになったから凄く嬉しい自分のことみたいに嬉しいんだよ

マナもそろそろ何とかしないとな

マナだって学校に行かなきゃ新しい友達も、いっぱい作らなきゃ

マナはうつむく

外に出たらさっきの鳥居まり子さんみたいに、あたしが白坂舞夏だって知っている人に出会っちゃうかもしれないしあたしが白坂創介の娘だってバレたらお兄ちゃんたちにも、迷惑が掛かるから

迷惑なんて言うなよそれに鳥居さんだって、お前の方から名乗らなければ判らなかったじゃないか半年前とは違うんだよマナは背も伸びたし、どんどん綺麗になっていているもう大丈夫だよ

オレは、マナを抱き締めてそう言う

んうふふ、あはは

不意にマナは、笑い出す

そっか、あたし、今、判ったよ

あたしも同じなんだアニエスちゃんとお兄ちゃんだから生きてこられたんだお兄ちゃんじゃなかったらきっと、この半年の間に頭が変になるか、自殺しちゃってたと思う

ホント、お兄ちゃんは

ギュッと、オレを抱き締める

大好きだよ一生、離さないでマナは奴隷でいいから

ホーントアニエスちゃんとあたしだけじゃないね他の人たちもみんな、お兄ちゃんじゃないとダメになってたと思うお姉ちゃんたちも妹たちも

そして、マナは双子に微笑む

だから、あなたたちも、もう大丈夫だよお兄ちゃんに出会えたんだから信じていいんだよ

エリとリエは何も答えない

困惑しているみたいだ

正直に言うとさまだ悩んでいるんだよオレは、エリとリエを奴隷として受け入れたけれどオレの他の家族に会わせていいのかどうかって

2人が尋ねる

今、マナが話した通りオレの家族は、心に傷が残っている人がたくさんいるんだ見た目は明るくても本当は、とっても繊細で、ちょっとしたことで心が壊れてしまうかもしれない子もいる

寧がそうだ

エリとリエはさお前たちは、ずっと双子の姉妹でメンドウな親たちと交渉しながら生きてきたろだからさ、ついつい2人でコンビを組んでちょっとでも自分たちの立場を良くするように話をするだろ敵対的な空気を作るし相手を責めるようなことも言うだろオレなんかには、それでもいいけれどささっき話したアニエスとかは、そういうのに慣れていないしあいつは、今、ようやく家族は信頼できる人たちなんだって感じられるようになったんだからさ家の中で、嫌な気を感じて欲しくないんだ

他にも4歳の女の子がいるオレの子供じゃないよ、オレはまだ16歳なんだからでも、その女の子のお母さんはオレの女だから、その子はオレをパパと呼んでいる

ホントは誰の子なんです

エリが聞く

今は答えられないそれを教えるのは、エリとリエがその子のお姉さんになるって誓ってくれた時だ

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