小学校の記憶が1つも無いというのは可哀想だ
そうなると急がないといけませんね
瑠璃子が、みすずと美智を見る
まあ、最悪3学期だけの登校でも良いと、オレは思うけれど
いいやアニエスちゃんの護衛役の件ですわ
そうねアニエスちゃんを一人で学校へ行かせるわけにはいかないわよね
みすずが頷く
ああ、オレたちは公安警察の監視対象になっている
いずれ、どこらか情報が漏れ、アニエスを誘拐して、黒い森と交渉しようとするような犯罪組織が現れるかもしれないし
美智ポンアニエスちゃんと同い年の子で、警護役が出来る子を知っていて
同い年ってアニエスはまだ12歳だぞ
そんな年で、警護役ができる子なんて
何人かアテがあります警護人や武闘家の子女で
いるんだ
そうか、美智は工藤父の関係で警護人の子供たちの知り合いがいるから
美智自身が、15歳でこれだけの戦闘力を持っているんだし
アニエスと同学年の子で、候補者が全然いないわけではないんだな
しかしわたくしの父の知り合いだと、エキセントリックな環境で育っている子の方が多いですので
まあ工藤父の知り合いだと、そうだわな
バンバルビーのお姉さんたちや、ダダドムゥおじ様の親戚とか困るよな
それよりうちの学校の初等部に来ている警護役の子を引き抜いてはいかがですか
ひ、引き抜き
山本家のお嬢様に付いている警護役や、月舘家の本家のお嬢様の警護役などはアニエスちゃんと同い年のはずです
ああ瑠璃子やみすずの様に名家過ぎる超名家のお嬢様たちは、学校に自分の警護役を通わせているんだ
本当なら、名家の子女しか通えない超お嬢様校に美智が通えるのは、警護役だからだ美智の姉も、瑠璃子の警護役として通っているはずだし
もちろん、そんな無茶なことがてきるのは、一部の超名家の子女だけなんだろうな
美智の様に、まだ少女なのに警護役が勤まるような人材も少ないだろうし
そうですわね、それらの名家で使っていらっしゃる方なら、技量も性格も申し分ないはずですわ
では、引き抜く方で考えましょう当然、可愛い子でないとダメよ旦那様に可愛がっていただくのだから
候補者をわたくしの方で選定致しますその中から、ご主人様のお好みの警護役を選んでいただきましょう
ってまさか
いいえ美智ポンが候補者として推薦する様な子なら、どの子も問題無いと思うわこの際、引き抜ける子は全員、引き抜きましょう
これからのあたしたちは技量のある警護役は、何人でも欲しいですから才能有る者は、若いうちから囲い込んでおくべきです
そうですわね香月セキュリティ・サービスも、いずれは私たちが経営することになるのですし
瑠璃子も、みすずの意見に賛成する
もちろん旦那様には、引き抜いた警護役とは、全員セックスしていただきますわ美智ポン、全員の処女チェックは入念にね
はい全員、ご主人様に女にしていただけば、全ての警護役が鉄の結束で結ばれることになるでしょう
ちょっと、美智
その中からアニエスちゃんに一番合いそうな子に警護を任せるのですね
では、みすずお姉様アニエスちゃんの学年以外の警護役も、全てチェックしておきますことごとく
任せるわ美智ポン
ま、待ってオレ、何人とセックスすることになるんだ
そんな顔しないで下さい、旦那様うちの学校で警護役を通学させている様な子は、大学部から小学部まで全部合わせても、15人もいないですから
最大、15人
わたくしたちが引き抜こうとしても、応じない方もいらっしゃいますでしょうし
はい先祖代々、警護役として仕えている者もおりますゆえ
てことは、何人も引き抜くのは、現実的には無理だな
それから、アニエスちゃんの場合は警護役だけでなく、お付きも必要ですわね
みすずが、そんなことを言う
お付きというより、常に学校生活をサポートして下さる同級生のお友達ですよね
ええ、そうよ、ルリたん
旦那様アニエスちゃんの入学する学校は、あたしたちの学校で構いませんよね
でも超お嬢様校だろ
編入については、お祖父様に裏から手を廻していただきますから、問題はありませんわそれより、旦那様今のアニエスちゃんには、共学は難しいと思うんです
共学は難しい
小学校高学年や、中学生の男の子たちとはアニエスちゃんは、上手くやっていけないと思いますわ
そうですわねアニエスちゃん、顔立ちが綺麗ですから
ああ男の子たちの前に出したら、チョッカイを出されまくられるのは眼に見えているな
セクハラめいたイジメとか受けたら、可哀想だ
その点、うちの学校は女子校ですし校風がお上品ですし、皆さんお嬢様ですから表立ったイジメは起きません
香月家の係累の子だと、あたしとルリたんが示しておけばその可能性は、さらに減りますわ
何でしたら、わたくしが一暴れ致します
いや、美智お前は、暴れるな話がややこしくなる
しかし確かに
今のアニエスが、同年代の男の子たちと上手くやっていけるとは思えない
そうだなミイやルリたちの学校に入れるのが、一番良いのかもな
でしたら、今の在校生でアニエスちゃんの同学年の子で、学校生活のガイド役をしてくれる子を探しておきますわ
それは警護役の子じゃダメなのか
警護役を任せる子だって、今すでにみすずたちの学校に通っているんだろ
警護役はあくまで、警護役ですから
はい、きちんとした名家の子女のお友達が居た方が、アニエスちゃんの学校内での地位は保証されます
その子だけはアニエスちゃんが、特殊な環境で育ったことを知っていた方が良いと思います地下室に監禁とか、父親のことは伏せておくとしても例えば、ずっと外国の病院の中で暮らしてきたとか
それで、アニエスちゃんが友達のいない環境で成長したことを知って、自分が友達になってあげたいと思ってくれるような子を
みすずちゃん菅原さんの妹さんが、アニエスちゃんと同い年だったと思いますわ
ああ、そうだったわね
そんな話をしていると
アニエスが、全裸になって戻って来る
マナとイーディも、一緒だ
おう、アニエス今、アニエスの友達のことを話していたんだぞ
キョトンとする、アニエス
えーと、家族以外で、仲良しになって、一緒に遊ぶ子のことだ
ああ、家族以外の人間が怖いんだな
ほら、今、家族の中にいるのはみんな、アニエスよりも年上のお姉ちゃんばっかりだろ
真緒ちゃんがいますの
真緒ちゃんは、逆にアニエスよりも、ずっと年下じゃないか今、オレが言っているアニエスの友達は、アニエスと同い年なんだ
同い年
うん生まれてからの時間が一緒だから、背丈も同じぐらいだし一緒に、色んなことができるしどっちが先に上手になるか、競争することもできるんだ
競争
ほら、この間、克子姉にケーキ作りを習ったろでも、瑠璃子お姉ちゃんは、アニエスよりも年上だから、アニエスより上手に作れるのは当たり前だし真緒ちゃんは、アニエスよりも年下だから、アニエスほど上手に作れなかったろ
それが、ほら同い年のお友達だと、競争できるんだどっちが、もっと上手くできるようになるか、一緒にお勉強ができるんだぞきっと楽しいぞ
オレは、そう言ってみた
そんな子がいますの
これから見つけてくるんだお姉ちゃんたちが、探して来てくれるって
アニエスは、微笑む
でアニエスは、どんな子と友達になりたい
アニエスは一緒に、パパとセックスしてくれるお友達が欲しいですのっ
お友達ともっともっと、セックスが上手になりたいですの
白坂創介の残した傷跡は大きい
メーメメメー、メーメーメー、メーメーメー
湯船の中、アニエスはオレの膝の上で歌を歌っている
しかし、歌詞がメしかない上に、リズムが変だからよく判らない
何の歌だ
知りませんのイーディちゃんに教わりました
アニエスは、イーディを見る
イーディの褐色の裸身は、洗い場にあった
美智と何やら話している
メリーさんの羊ですよ、お兄様
ああ、そうかよく聞くとそんな感じがする
パパ、アニエスのおっぱいを揉み揉みして下さいですの
アニエスが、オレに笑顔で言う
オレは、湯の中でアニエスの固さの残ったおっぱいを揉む
気持ちいいですの
アニエス、パパに言われた通り、自分で触るのは止めましたのもうしないですのですから、パパ、アニエスをいっぱい触って欲しいですの
アニエスはセックスのことしか教わってきていない
毎日、決まった時間に自慰することを命じられてきた
アニエスが普通の少女になるにはかなりの時間が必要だ
3学期からでも、学校に通うことは、難しいかもしれない
お兄ちゃん大丈夫だよ
はい、お兄様わたくしたちが付いていますわ
家族のことは、家族みんなで協力して解決致しましょう旦那様
みすずも、オレに微笑む
イーディと話していた美智がオレの方へやって来る
イーディは、不機嫌そうにプイッと向こうを向いている
ああ、サウナ室の方へ入って行く
サウナの中で、褐色の裸体をごろんと横たえる
ただ今、イーディと交渉して参りました
何の
わたくしイーディと決闘致しますっ
何
そして、わたくしが勝ちましたらイーディは、その場でご主人様に処女を捧げるとそう約束してくれましたっ
ちょっと、待てイーディが勝ったら、どうなるんだ
美智は、罰が悪そうに口籠もる
ということで、イーディのフラグを立てておいて
イーディの処女喪失は、本編でやります
翔お姉さんは、番外編へ
レイちゃんは、未定です
しかし、瞳の中の訪問者なんて映画知らないですよね
うちの父は、小学校6年の時が終戦なので
しかも、自宅は空襲で焼けていたので、疎開先から、前に住んでいたのとは別の場所に移ったので
小学校6年の半年だけ、地元の小学校へ通ったそうです
なので、地元に小学校時代の友人が全然居ないという
ちなみに疎開していたのは、金沢の叔父さんの家で
叔父さん本人は、戦争へ行っていて、叔母さんに世話をしてもらったそうですが
その叔母さんは、夫が戦地に行っている間に浮気をしていたらしく
叔父さんが無事に戦地から帰ってきたら、実家に帰されたそうです
ちなみに父の母は祖父の後妻だったそうですが
祖父の前の奥さんはなぜか、離婚後、父の家の隣の家の旦那さんと一緒に住んでいたそうです
昭和の人たち、変なバイタリティがあります
534.お洒落召さるな
特に何も決めておりません
イーディが、ご主人様に処女を捧げるのは規定事項ですから
いや、ちょっと待てそもそも、イーディは何であんなにプンプン怒っていたんだ
凄い不機嫌な顔で、サウナ室に入って行ったぞ
それに確か、オレは美智にイーディのことを敬って、ケンカしないように言っておいたはずだよな
それが何で決闘することになったんだ
あわたくしの説明が不十分でございました
決闘というのはお洒落対決でございます
お洒落対決
旦那様、さっきあたしたちのドレスを買いに行った時に、イーディの服も探したのですが
みすずが、オレたちに割り込む
そのことは、知っている
イーディは着の身着のままで、オレたちと合流したから
そしたら、イーディさん機能性重視で、男性的なお洋服しか興味を示さないので
え、みすずそれって、どんなのだよ
オレは、具体的に尋ねる
とにかくズボンですそれもダボダボでポケットが多い服の方が良いって
大工さんとかのお洋服に、異常に関心を示していらっしゃいました
瑠璃子も、証言してくれた
何で、ポケットがいるんだ
それは暗器を隠しやすいからでございます
アンキ
敵を不意打ちするための凶器のことでございます
ああイーディは、暗殺教団で暗殺術をマスターした子だった
わたくしはスカートの下にも、暗器は隠せるとお伝えしたのですが、どうしてもズボンが良いと
いや、美智スカートの下って
わたくしが、腿に付ける武器ホルダーを差し上げるということも申し出たのですが
美智お前、スカートの下に隠しているのはムチだけじゃないのか
一応聞いてみる
いえ、他にも常に何種類か武器は携帯しています手裏剣とか、煙幕弾とか、目潰し弾とか
エンマクにメツブシ
工藤流古武術では、当然のことです
美智は、真顔でそう言った
どうも、イーディさんのいらした暗殺教団というところが女性の階級が2つあって、基本的に服装が決められているらしいんです
女闘士と聖母と、イーディさんは言っていました女闘士の服装は全員、ズボンなんだそうです逆に、聖母はみんなスカートで
みすず、聖母ってのはどういう階級なんだ
女闘士っていうのが、女暗殺者のことだっていうのはオレにも判る
プロの暗殺者を育てる暗殺教団なんだから
それが、聖母というのは次世代の闘士を産むための
みすずは、口籠もる
どうも、教団の中では地位か低くて、虐げられていた存在のようです
暗殺教団の指導者たちが、教団内の女性を虐げているという話は、前にも聞いた
だから、イーディの祖母は彼女を徹底的に暗殺者として鍛え上げた
教団の男たちが手出しできないように
それでイーディスカートを穿くのを嫌がっているのか
はいですけれど、いつまでもそんなことに囚われていたら、イーディさんはお洒落ができませんわ
みすずの言う通りだ
イーディはもう、暗殺教団の人間では無いのだから
ですからイーディさんが似合いそうなお洋服を、わたくしたちでお勧めして購入して参りました
イーディはそのことを怒っているのか
イーディが女闘士としての誇りを持っているのなら聖母の服であるスカートを履くのは、嫌がると思う
いえ着ることについては、同意して下さったんですが
着ることは、納得したんだ
オレの疑問に、みすずが答える
そこは、そのイーディさんも、自分がもう暗殺教団には帰れないということは判っていますし旦那様に、身を捧げる覚悟もできていますから
旦那様にヴァージンを捧げるということはイーディさんにとっては、聖母になるということですから
はいお兄様お一人のためだけの聖母闘士になるとおっしゃっていましたわ
赤ちゃんを産んでも、まだ暗殺者としての仕事を続けている人をイーディさんの教団では、聖母闘士というんだそうです教団内でも、相当の実力のある女闘士でないと聖母闘士になることは許されないんだそうですイーデイさんのお祖母様が、教団内唯一の聖母闘士だったそうですわ
ですから今までの自分に踏ん切りをつけるために、女性的な衣装を纏うことは同意すると言って下さいましたただ
イーディさん自分には、女の子らしい服は似合わないって思い込んでいるんですわ
ああ今まで、全然、着ていないから
恥ずかしがっているんだ
いえ、旦那様女の子らしい服を着て、あたしたちと並ぶことを怖がっているんです
あのあたしやルリたんは、女の子の服は着慣れているわけですから
みすずお姉様やルリルリの美しさに、自分は劣るとそう思っているようです
ですからわたくしとお洒落対決をしようと、提案致しました
美智と
わたくしも普段は、制服しか着ておりませんしお洒落には、縁の無い人生を歩んで参りました
人生をってお前まだ、中学3年生だろっ
そして、わたくしこの度、生まれて初めてドレスを買っていただきましたので
美智が、頬を赤らめてオレを見る
うん美智も、可愛いドレスを買って来いと言ったのは、オレだ
それでお互いに、今、買って来た服を着てお洒落対決って、ことなんだな
そういう次第でございます
ようやく話が見えてきたぞ
しかし、旦那様イーディさんは美智ポンと対決しても、どうせ自分の負けだと思っていらっしゃるらしくて
余興だと思っていらっしゃるんですわ
余興
イーディさんの女の子らしい姿を見てみんなで、大笑いするのだと
これもまたコンプレックスか
ちょっと、行って来るよ
オレは、湯船から立ち上がる
えっと英語で、イーディは、とっても綺麗だってどう言えばいいんだ
オレはみすずたちに尋ねる
さすがにユー・アー・ビューティフルとかだと、変だろう
かえって、イーディが心を閉ざすことになるかもしれない
こういうのって難しいな
でも、みすずや瑠璃子に一緒に来て貰うとイーディが警戒するだろうし
お兄様それでしたら、こうおっしゃってみて下さい
サウナ室のドアをギイと開けると
イーディは、台の上にうつぶせで寝転がっていた
顔を上げてオレを見る
what’s up?
よく判らないけれど何なのくらいの意味だろう
ちょっとまだ、不機嫌なままだ
オレは返事しないでイーディの隣に、腰を下ろす
イーディの褐色の肌はすっかり汗をかいて、テカテカ光っている
金髪の綺麗な髪青い瞳が、オレを見上げている
イーディの頭を優しく撫でた
艶やかな髪も、汗でぐっしょり濡れていた
不思議そうな顔で、イーディはオレを見ている
こうやって見ると意外と小さな身体なんだな
恭子さんやミス・コーデリアたちほどイーディは長身では無い
16歳オレと同い年なんだっけ
それなのにイーディは、たった一人の家族だった祖母を失い故郷である、暗殺教団を追放された
もう、どこにも行き場がない
なのに、いつも元気で前向きで年下の子たちの面倒を積極的に見てくれている
良い子だよな
本当にネコみたいな子だ
自由だけれど、寂しがり屋で可愛い
隣に座って見ているとそんな風に思えてくる
オレは、ニコッと微笑み穏やかに、イーディに言った
I think of You.
イーディの青い瞳が、大きく見開かれる
andI love You.
オレはイーディのことが好きだ
なし崩しにイーディが、オレたちの家族になるためにオレとセックスするなんていうのは、嫌だ
ちゃんと伝えておきたい
オレが、イーディのことも本気で好きだということを
一緒に、生きていきたいと思っていることを
イーディは、黙ってオレの眼をジッと見つめている
好きだとか愛してるとか言うのは、慣れてきたけれど
英語でアイラブユーは、何か恥ずかしい
そう思った瞬間オレは赤面する
全身から、ドワッと汗が噴き出す
このまま、サウナ室に2人きりでいるのは恥ずかしすぎる
オレはもう一度、イーディの髪を撫でる
じゃあ、あの先に出てるから
英語が出て来ないので、日本語でそう言った
そのまま立ち上がってサウナ室を出ることにする
ギィ
外は涼しい
ああ、みすずたちが心配そうにオレを見ているな
オレは、そのままみすずたちの方へ歩いて行った
サウナ室のドアが、大きく開いた
驚いて振り向くと全裸のイーディが立っている
全身、汗まみれの褐色の肉体ピンク色の乳首
髪の毛とアンダーヘアは、鮮やかな金髪
そして大きな青い瞳
その可愛らしい顔が、ニコツと微笑んだ
I love You ,too
そのまま、ダダダダッとオレに向かって走って来る
いや、跳んだっ
ビヨーンとジャンプして、オレに飛び付くっ
darling
そのままの勢いでオレたちは、ザブーン
湯船の中に、落っこちた
あたたたた
オレは、ぶつけた頭を抑えている
とにかく風呂から上がって、脱衣所に来た
今はみんな、バスローブを着ている
脱衣所の籐の椅子に座ったオレをみすずたちが心配そうに見ている
大丈夫、お兄ちゃん克子お姉ちゃんに、氷をもらって来たよ
マナが氷の入ったビニール袋を渡してくれた
おっ、サンキュ
オレは、痛めたところを冷やすはひぃぃ
I’m so very sorry,darling
イーディが、申し訳なさそうにオレに言う
soでveryなんだから物凄く謝っているんだろう
いいんだよちょっとぶつけただけだから
イーディ、何でお前オレの背中を後ろから、ギュッと抱きしめているんだ
前にはオレの膝の上にアニエスが座って、オレを前から抱きしめているし
パパ、痛いですの
うん、ちょっと痛むけど、平気だから
問題は身動き出来ない
前と後ろから、がっちりホールドされている
イーディが、オレの背中に胸をグイグイ押しつけてくる
ああこの感触は
おっぱいもあるけれど、その下の胸筋が凄いんだな
弾力が普通とは違う
動けるようなら、そろそろ戻ってらっしゃい軽食を用意したわ
スピーカーから、克子姉の声が聞こえる
ああ天の助けだ
ほら、みんな食堂へ行くぞお腹空いているだろ
参りましょう、お兄様
アニエスちゃん、ご飯だってさ
イーディには、瑠璃子が英語で説明してくれた
それで何とか、イーディとアニエスを引き離すことに成功した
サンドイッチとサラダだけどいいもし、お腹が空いていたらもっと何か作るけれど
いや、充分だよ克子姉ありがとうみんなも良いよな
誰も不満は、無い
オレたちは、食事を始める
で何で、イーディさんがあなたにくっついているわけ
テーブルに座っても、イーディがオレの隣に
さかんに、オレにサンドイッチや飲み物を勧めてくれる
イーディさん何か、火が付いてしまったようなんです
瑠璃子が、克子姉に説明した
ホントは知ってるわあたしは、お食事を作りながら観ていたから
ニヒヒと笑う、克子姉
サウナ室の様子も監視していたんだ
恋の炎で胸が焦がれ煙が眼にしみるそんな歌があったわね
SMOKE GETS IN YOUR EYESですね
そうそうまあ、いいんじゃない良い傾向よ
イーディちゃんには、あなたや恵美ちゃんの警護役をやってもらいたいし
オレとメグの
彼女は、あなたたちと同い年だしうちの学校へ編入させるって話は、知っているわよね
オレの高校の理事長は克子姉だ
イーディを潜り込ませることは、容易だろう
すでに実際には正しい戸籍が使えないために学籍の作れないはずの寧が、生徒として学校に通っている
そうですねご主人様の日常の警護のことは、わたくしも心配しておりました彼女なら適任だと思います
わたくしにはみすずお姉様、ルリルリの警護という使命がありますご主人様の学校生活をお守りできないことは、本当に申し訳ないのですが
いやお前は、安心してみすずたちと女子校に通っていてくれ
うちの学校に通うのに警護役とか、別にいらないだろ
そうかしら判らないわよ、これからは
あたしたちがしたことの余波はこれから襲ってくるわ何が起きても良いように対応しておかないとね
オレたちのしたこと復讐
白坂創介の死の謎を追って裏社会の人間が、寄って来る可能性は残っている
だから、アニエスちゃんの警護役を探すっていう話も間違ってはいないのよ
克子姉、本当に全部聞いていたんだな
はいあたしたちの学校に関しては、香月家で警護体勢を強固に致します
旦那様の学校に関してはよろしくお願い致します
克子姉に、頭を下げる瑠璃子と美智も
そんな風にかしこまらないであたしたち、家族でしょ
克子姉は優しく微笑む
この人の学校の方は今まで通り、あたしたちが監視していくし、直接警護はイーディちゃんに任せればいいわそれで問題無しよ
そして、マナを見て
マナちゃんは、アニエスちゃんと一緒で新しい戸籍が手に入るまでは、このお屋敷の中で大人しくしていて外出する時は、必ず警護役付きでいいわね
白坂創介の娘であるマナは公式には、行方不明となる
裏社会に狙われる可能性が高い
雪乃と同じで白坂創介の死に関する秘密を、知っていると思われるだろうから
そして2学期の途中か、3学期には、どこかの中学へ編入するわアメリカン・スクールとかも考えているけれどそれで、さ来年はうちの高校に入学することになるから
お兄ちゃんの後輩になるんですか
マナはワッと喜ぶ
そうよしたいでしょ、先輩後輩セックス
はいっ、したいですっ
ううっマナ妹、羨ましい
美智ポンいいのよあたしたちは、旦那様と学園祭セックスや、修学旅行セックスもするんだから
はっそうでしたっ
下準備頼むわよ
ああ本当にやるんだな
日本一の超名門お嬢様校で
我が校120年の歴史の中で、校内セックスした最初の女生徒になりましょうっ
楽しみですっ
あ、校内処女喪失していただく子も、早く見つけないとね秋の学園祭までに
みすずちゃん体育祭もありますわ
瑠璃子まで、参戦する
そうね、そっちこそ保健体育の祭典なんだからセックスするのは当然だわっ
もちろんですみすずお姉様
じゃあ、あたしはメグお姉ちゃんと色々、考えておくあっ、イーディちゃんや寧さんも一緒か
あたしもよあたし、学校の理事長だから
ははははは
オレどうなるんだろ
一瞬、雪乃のことを考える
あいつ、どうしているんだろう
ミナホ姉さんは、あいつを今まで通り、学校に通わせるって言っていたけれど
いやいやダメだダメだ
雪乃はもう自分で腹を括って、自分の道を歩き出した
今は雪乃自身と、ミナホ姉さんに全て任せるしかない
オレが雪乃の未来を考える余地はもう無い
そしたらサンドイッチを摘まみながら、始めましょうか
え何を
あら美智ちゃんとイーディちゃんで、お洒落対決をするって聞いたわよ
イーディが、3着の服をバーンとオレの前に並べる
これが、みすずたちが勧めて買って来た服か
そのままイーディは、オレに何か言う
自分はもう、お前の女だからどれでも、お前の好きな服を着るぞって言っているよ
マナが通訳してくれる
笑われても構わないお前のために、女の格好をしたいだってさ
イーディは、青い眼を爛々と輝かせて、オレに言う
すげぇな、瑠璃子に習ったあの一言だけでここまで、オレを信じてくれるなんて
じゃあこれ
オレは白いサマードレスを指した
きっとこれが、イーディの褐色の肌と金髪に映えると思う
あのわたくしの方は、今夜用に買って参りましたドレスでございますので
美智が恥ずかしそうに言う
じゃあ、2人ともこっちにいらっしゃいアクセサリーとかは、あたしのを貸してあげるからお化粧もしてあげる
克子姉が、2人に手招きする
あなたたちも、来たら色々と、2人にアドバイスをしてあげて
他の女たちにも、そう言う
あなたはダメよ審査員なんだからちゃんとお洒落した2人を見てあげて
ああ、オレがお洒落する過程にいちゃいけないのか
じゃあ、あたしは美智ポンの応援に行くわ
では、わたくしはイーディさんを応援します
みすずと瑠璃子は、上手に役割分担してくれる
アニエスも行っておいで、お姉ちゃんたちが綺麗になっていくの見たいだろ
オレは、アニエスにそう言う
アニエスは、オレと居たそうだけど
これもお勉強だからな
アニエスには、セックス以外のことにどんどん興味を持って欲しいと思う
お洒落も外界を知る大事な勉強だ
そうよアニエスちゃんも、そのうちにお洒落するんだからパパに綺麗なアニエスちゃんを見て欲しいでしょ
克子姉が、アニエスの手を引く
うー判りましたの
じゃあ、あたしたちちょっと席を外すわね
ああ、えっと残っているもの、全部食べちゃっていい
ええありがとう
オレは残っていたサンドイッチを手に取り、頬張る
マナちゃんは、行かないの
みすずが、マナに声を掛ける
うんあたしはちょっと疲れちゃったここに残っていますありがとう、みすずお姉ちゃん
マナは、そう返事をする
そう、判ったわゆっくり休んでね旦那様、お願いします
そして、ゾロゾロと女の一団が食堂を後にする
雪乃の件があったから、マナのこと心配してくれたんだな
みすずたちはみんな
オレと2人きりで、マナが落ち着いて話す時間を作ってくれたんだろう
ホントみんな、素敵なお姉ちゃんばっかりだよね
氷、持って来た方がいいよね
ああ、やっぱり大きな瘤ができているよ
マナは、オレの頭を触って慌てて台所に走る
そして、また氷の入った水袋を持って来てくれた
イーディちゃんが心配しないように、頭が痛いのガマンしていたんでしょ
オレは、マナの手渡してくれた氷嚢を頭に当てる
ああ良い気持ちだ
本当にお兄ちゃん、我慢強いんだから
マナは、オレにしがみついて泣き出す
心に溜まっていた感情を一気に吐き出すように
昨夜は時間が足りなかったので、美智とイーディが何の対決をするか決めないまま、決闘しますと書いてしまいました
そして、翌日までに具体的なことを考えるという
そういう綱渡りがたまにありますこの作品は
お洒落召さるな、はペルシャでした
私は、前の番組のクリーミーマミは後半しか観ていません当時、東京地方は、ボトムズと放送時間が被ってましたから
次のペルシャは、観ていました
マジカルエミは、学習塾の時間と被って観ていません
パステルユーミは、観ようと思ったら終わっていました
2人のハートブレイク・ラブは最高でした
全然関係無いのですが、最近ボートレースのCMを観る度に東京ミューミューのことを思い出します
535.ふたりは
準備できましたわ、旦那様
みすずが、戻って来る
完璧ですわ、お兄様
二人して、オレの座っているソファに腰を下ろす
ぴったりと、オレに身体をくっつけて
2人とも、とっても綺麗ですの
アニエスも、トコトコと小走りで戻って来る
そのまま、オレの足下の床に座り込む
オレに体重を預けて
マナさんも、こちらへどうぞ
瑠璃子が、マナに声を掛けた
マナは、瑠璃子の隣に座る
1人だけオレと一緒に居たから、少し遠慮しているらしい
さあてレディース&ジェントルマン、あーんど、おっとつぁん、おっかつぁんお洒落対決スタートよーん
克子姉が、台所のおたまをマイクにして司会者として登場する
それでは最初は、美智ちゃんの登場でーすっ
ドアから恥ずかしそうに、美智が現れた
ど、どうですご主人様
ドレス姿なのにドンと仁王立ちで、オレたちの前に立つ美智
ノースリーブで、フリフリのレースやリボンの付いた、可愛らしいパーティ・ドレス
白を基調に、薄いパステルカラーのブルーの生地が使われている
スカートは膝より上、ギリギリでミニスカートではないという様な短さだ
美智のスラッとした細い足のラインがよく判る
足先は、白い小さな靴を履いていた
こ、こんな姿になるのは、生まれて初めてでございます
真っ赤な顔で、オレに言う
うんとっても可愛いよその髪型もドレスに合っているよ
美智は、髪を綺麗にまとめて後ろで結んでいた
ああ、おでこが出るといつもと印象が違うな
首に、ドレスと同系色のチョーカーを付けているけれどそれが良いアクセントになって、美智の綺麗な顔立ちを引き立てている
美智はホント美人顔だよな
後、数年もすれば驚くほどの美女になるだろう
謙遜する美智
旦那様、気に入って下さったみたいね
ほら、やっぱりそのドレスにして正解だったじゃない
そうして、オレに
美智ポンたらお店の中で、地味で黒いドレスばっかり探していたんですよ
黒
えゴスロリってこと
美智には、そういう趣味があるのか
違いますゴシック・ロリータみたいなドレスならまだましですわ美智ポンが、持って来るのは、お葬式にでも行くようなシンプルで面白味の無いデザインなんですもの
せっかくドレスを買っていただくのなら冠婚葬祭に使えるものをと、思いまして
美智は、いつもはどんな席でも制服で通しているしな
みすずお姉様やルリルリより、目立つドレスを着るわけにはいきませんし
そんなことは、美智ポンが心配しなくていいのよ結局、ほらあたしたちとは路線の違うドレスにしたんだから、いいでしょ
路線が違うって、どういう意味だろう
この子そんな地味過ぎるドレスでは、旦那様の気を惹くことはできませんよって、あたしと瑠璃子に説得されてようやく、このドレスに決めたんです
はい、あのこの姿でしたら、犯していただけますかご主人様
美智が上目遣いでオレを見る
ああ、もちろん後でね美智は本当に、とっても綺麗で可愛いんだからもっともっとお洒落になれよオレは、その方が嬉しいよ
は、はいっかしこまりましたっ
マナがジッと美智を見ている
うんと美智お姉ちゃん、それって何かの衣装に似ている気がする
オレには中学生らしい、可愛いパーティドレスにしか見えないけれど
マナが、パンと手を打ち鳴らす
プ*・キュ*だぁぁっ
プ、プ*・*ュア
何ですそれは
瑠璃子が、マナに尋ねる
いや、あのもう10年くらい続いている女の子向けのアニメなんですけれどヒロインが変身して戦うんです
何とです
キョトンとして、瑠璃子が尋ねる
ああ、そういうアニメとかはジッちゃんは、瑠璃子に観せていないよな
えっと何だったけ
マナは、困惑する
いや、あたしも観ていたのは、幼稚園の時だから、あんまりよく覚えていません
お兄様、ごぞんじですか
名前と絵ぐらいは小学校の時に、小さな妹の居る友達の家で玩具とかを見たことがあるからあと、スーパーとかで、お菓子の袋に絵が付いているのも見たことあるしテレビは、オレ観ていないよ
オレにテレビのことを聞かれても困る
でそれに、わたくしの姿が似ているのですか
美智が、マナに問う
ええっと何かね似ているみたいな感じがするんです
改めて見てみる
うーむ確かに、闘うヒロインの風格が漂っている
でも、普通のドレスを買ってきただけですよ別に、アニメの女の子の服に似たものを選んできたつもりもありませんし
みすずも、不思議そうに言う
みすずたちが、コスプレの店とかで買い物をするはずがない
姿勢が良くないのよ
克子姉の言葉に、みんな振り向く
あ、逆ね姿勢が良すぎるのよいつもの美智ちゃんのすぐに戦闘態勢に移れそうな、キリッとしたポーズだから
なるほど、美智の立ち姿が強そうなんだ
ああそういうことね
みすずが、納得する
美智ポンもうちょっと女の子らしく、おしとやかに立てないかしら
おしとやか
美智は困っている
あのわたくし、そんなに変ですか
変じゃないけれどキリリとしてて、颯爽とした感じで、格好いいんだけれど
うん、立ち振る舞いがプ*・キュ*なんだよね
マナの言葉が、全てだ
いつもの制服だとみすずたちの学校の制服は、伝統もあって見た目もシックだから、美智の颯爽とした立ち振る舞いも変ではないけれど
派手なドレスを着たから闘う変身女の子ヒロインに見えるんだな
ででででも、わわわわ、わたくしは
落ち着け美智
こういうのは少しずつ直していくしかないんだから腹を括れ
しかしみすず様たちと一緒にわたくしがパーティに行けば、皆様のご評判を
そういうことを気にするやつは、オレたちの家族にはいない
はっきりと断言する
そうよあたしもルリたんも、旦那様も気にはしません
旦那様が、ちゃんとあたしたちをエスコートして下さいますから平然としていなさい
あれオレ
みすずたちのパーティに付いて行くつもりではいたけれど
オレ、パーティにも出るの
オレ車の中とかで、待っているつもりだったんだけれど
はい翔お姉様に、旦那様の分の招待状も用意していただいています
あなたのスーツ、ちゃんと用意してあるわよ
オレのスーツってホテルの闘いの時に着て行った、ミナホ姉さんのお祖父さんの服を克子姉が直してくれたアレか
あなたが着れそうなスーツは、あたしがどんどんあなた用に仕立て直ししているから
だから、それを着て行ってらっしゃいね
そういうことになるのか
ドアの向こうから、イーディの声がする
ああ、いけない美智に時間を取られ過ぎた
すぐに瑠璃子とみすずが、英語でイーディに説明する
待たしてしまって、ごめんなさいみたいなことだろう
はーい、じゃあイーデイちゃんにも登場してもらいましょうCome IN
克子姉の声にイーディが入室する
白いサマードレスに白い幅広の帽子
イーデイのキッと引き締まった太ももが丸見えになっている
素足に編み上げの革サンダル
イーディも足の形が美しい
オレに向かってニコッと微笑む
手には、金のブレスレット足にも金の鎖のアンクレット
イーディの褐色の肌には金のアクセサリーが、よく似合っている
首にも、金のネックレスをしていた
そのネックレスがイーディの胸の谷間を、強く強調している
ぷっくりとした唇は、リップクリームで輝いていた
ああ、この子は
こんなにセクシーな子だったんだ
それも初夏の太陽の様な、健康的なお色気
綺麗だ、イーディ
beautiful
そんな単語しか出て来なかった
イーディは、ククククと笑う
オレが冗談を言っていると思っているらしい
You Are Beautiful
オレがもう一度言うとイーディは、真顔になる
みすずが、英語で何かイーディに言った
お兄ちゃんは、あたしたちには嘘を付かないって
さらに、瑠璃子が英語で話す
イーディちゃんがどう思おうとも、お兄ちゃんにはイーディちゃんが綺麗に見えているんだだから、素直に喜びなさいってお兄ちゃんにとっては、イーディちゃんが綺麗なんだから、それでいいじゃないかって
イーデイはWOOと唸って、オレを見る
そして、美智を指差し何か言っている
それなら自分と美智お姉ちゃんと、どっちの方が綺麗なんだって聞いているよ
ああこれはお洒落対決なんだっけ
マナ、通訳を頼むよ
まず、美智はとっても、プリティで可愛くて綺麗だ
プリはプリティの略なんだろうがキュアが判らん
そして、イーディはオレにはとってもセクシーで綺麗に見える
うむ
どっちも、違う要素で綺麗だからオレには、甲乙は付けがたい2人とも、オレの大切な愛する女だから
イーデイはマナが訳するオレの言葉を、フンフンと聞いている
納得してくれたのか
何か、話し出す
自分は、闘う女でありお洒落というものとほど遠い人間だミチもまた、そういう人間であると思っている
そういう自分たちに、お洒落対決をさせるというのは自分とミチを笑いものにする余興なんだと思っていた
しかし、お前が自分に愛を告白してくれたから笑われるのも良いだろうと思って、この企画を受け入れたこうやって、笑われることがお前の家族の一員になるのに必要なイベントなんだろうと思った
ああ、アメリカではよくあることなのよほら野球のメジャーリーグのチームに入ったら、ロッカーの着替えを隠されて、その日だけは女装して帰らされるとかイタズラを仕掛けられて、それを笑って受け入れないと、チームの一員としてみんなに認められないっていう習慣があるのよ
克子姉が、教えてくれた
イーディちゃんは、そういう通過儀礼だと思ったのね
イーディが、再び話し出す
しかし、実際に着替えを始めたら彼女たちは、自分に対してもミチに対しても、美しく着飾れるように、一生懸命アドバイスしてくれたまた、自分自身のことは判らないがこうして見る限り、ミチは美しい装いをしているだからこれは、自分たちを笑いものにするようなイベントではないことに気付いた
当たり前だよここには、そんなことを考えている人はいない
オレは、イーディに言う
オレたちは家族なんだからお互いに助け合って磨き合って、どんどんより良い存在になっていきたいと考えている人間の集団だ
イーディが、ウンと頷く
イーディは、綺麗だオレは、そう思うだから、これからももっともっと綺麗になって欲しいって思っている
判ったお前のために、そうしようだってさ
自分のためになら、装いなどどうでも良いお前が、わたしの姿や容貌をそんなに気に入ってくれているのなら頑張ってみようと、わたしは思う
このブラジャーは、ちょっとキツイがなだってさ
そう言って、イーディは服の上から、自分の胸を持ち上げる
彼女これまでは、スポーツブラみたいのしか付けたことがなかったみたいなの
克子姉が苦笑する
暗殺教団では女闘士用には、そういうのしかなかったみたいで
スカートというのも初めてだが確かにミチの言う通り、これはこれで良いものだな
ああ、スカートの良さは判ってくれたのか
この武器の隠しやすさと取り出しやすさは中々良い
そう言ってイーディはいきなり、自分のスカートを捲った
見えるぞパンティが
白い逆三角形が
パンティのすぐ下の太ももに右足の付け根に、黒い革のケースが
わたくしの予備を差し上げました
美智もスカートを捲り上げる
ああ、美智の場合は、両脚に黒革の武器ケースが括り付けられている
右は、赤いムチが
左は、手裏剣とか
このケースは、とても実用的でワン・アクションで4本の手裏剣を引き抜くことが出来ます
美智が、実演する
イーディも、やって見るシュバッと手に握られる手裏剣
この手裏剣は、特殊なセラミックを使ったものですから金属探知機にも引っ掛かりません
同じことを英語で、イーディに説明する美智
イーディは、フンフンと手裏剣を見ながら頷いている
2人とも、パンティ丸出しで
探知機じゃねぇこのトンチキっ
お洒落対決だって言ったろうがっ
2人は、ポカーンとしてオレを見ている
パンツ丸出しのまんまで
申し訳ありません申し訳ありません申し訳ありません
美智が、必死でオレに頭を下げる
イーディはクククと笑って、オレの背中にしがみついている
えっとイーディには、オレが何で怒ったのか説明してくれたんだよな
はい、説明しましたイーディさんはデリカシーが無いことを、旦那様が怒って下さったことが嬉しくて仕方ないみたいですわ
自分のことをちゃんと女の子として見てくれているって、ことですから
イーディが、オレの耳の後ろにキスする
それにこういうことで本気で怒られるのは、お祖母様が亡くなってからは一度も無かったんだそうです
ちゃんとお兄ちゃんが、自分のことを家族として考えていてくれているからだから、怒ってくれたって判っているんだよ
マナも、そう言って微笑む
美智、もういいから
警護人である前に良い女になってくれよお前は、それだけ綺麗で可愛いんだからさ
はいご主人様のために工藤美智、女を磨きます磨かせていただきます
いや、オレはいいから
とミナホ姉さんとレイちゃんが、入って来る
あら2人とも可愛いわね
ミナホ姉さんが、着飾っている2人を見て言う
レイちゃんは、ちょっと元気が無い
そろそろみすずさんたちは、移動の準備をして
ああみすずたちは、パーティへ行くんだっけ
みすずたちも、ドレスに着替えるんだ
いえ着替えは、パーティ会場のあるホテルで致しますわ
オレに笑って、そう答える
オレはてっきりこの屋敷で着替えて、ホテルに行くんだと思っていた
本物の上流階級の人たちは、そうするのよパーティ会場のホテルに支度部屋として、部屋を取っておくわけそうしたら、パーティの途中でも、席を外せるでしょ
その支度部屋でパーティに来た他のお客さんと、秘密の相談をしたりもできるしね
翔お姉さんにお願いして、部屋を2つ予約してあるわみすずさん用と瑠璃子さん用ということにして香月家なら、それが当然でしょうから
もっとも、隣合っていて中で繋がっている続き部屋にしてもらったわだから、一度室内に入ってしまったら、両方の部屋の行き来は自由よ
何しろみんなで行くんですからね部屋が大きく無いと困るわアリバイ作りのためには
克子姉が、ミナホ姉さんを見る
グリーン山スタジオでの、恭子さんのアクションにあたしたちが関わっていないことを、公安警察に証明しないといけないですものね
ええそのために、恭子さんはわざわざ香月セキュリティ・サービスの敵に廻って下さるんだから
それで今夜のアクションが終わったら、そのまんまミス・コーデリアたちとアメリカへ発たれるそうよロサンゼルスに、殺さないといけない男がいるって
ああ、ミス・コーデリアに、恭子さんについての嘘情報を教えてミス・コーデリアが恭子さんに敵対するように仕向けた男か
ほとぼりが冷めるまでは、しばらく国外に居るそうよミス・コーデリアと色々と計画を練っているみたいだし
恭子さんが、日本から出国したことが判れば屋敷の外の公安警察の監視も、緩むことになるでしょうし
だから、今夜のアクションには黒い森は参加しないわよあたしたちは、パーティには出ないけれどみすずさんたちのホテルの控え室に居るわ
肩書きは護衛と付き人と衣装係とメイク係っていうことですわね
渚も呼ぶわ真緒ちゃんも一緒に
うん、商売をしている渚こそちゃんとしたアリバイがあった方がいい
だから、あなた恵美を連れて来てくれる
恵美今日の練習を早退させてもらうことになっているからさっき、克子に電話してもらったわ学校の職員室から恵美と竹柴キャプテンを呼び出して、直接オーケイをもらったから
ああメグの親族として、電話をしたのか
白坂創介が急死したことは、女子陸上部の子たちも知っているから大丈夫よ
メグが白坂家の遠縁であることは、みんな知っている
白坂創介が急死したとなれば早退することになっても、変では無い
本当は、連休の練習の最後だから女子陸上部の子たちは、みんなでカラオケに行く予定だったらしいんだけど
ミナホ姉さんメグのアリバイなら、それでも良いんじゃないの
竹柴キャプテンたちが、メグと一緒に居たと証言してくれれば
もう、恵美の気持ちも考えなさいよ
ミナホ姉さんが、オレを叱る
あなたのことが気になってカラオケなんか楽しめないわよ
みすずさんや瑠璃子さんをエスコートしてパーティに出ることは、恵美も納得しているわ家族の一員としてでも、自分の見ているところでやって欲しいと願っているわよ
メグならそうだな
はい、あたしたちも正々堂々としていたいと思います恵美さんに見ていていただきたいです
ということだからあなたは、学校へ恵美を迎えに行ってそれで、渚たちと合流してホテルへ来て
ああ、また渚・マルゴさん・寧・真緒ちゃんが車で迎えに来てくれて
オレとメグをピックアップしてホテルへ行くのか
あたしたちはここから直接、ホテルへ向かうわ
イーディとアニエスはどうするの
2人とも存在していることが秘密になっている
アニエスは地下に監禁されていて、戸籍が無いし
イーディはミス・コーデリアたちと偽造パスポートで入国してきたはずだ
しかも、その時に使った偽造パスポートを持って来ていない
お嬢様あたしが、お屋敷に残りましょうか
ダメよあなたも黒い森の中心メンバーなんだから姿を現さなければ、恭子さんのサポートをしていると思われるわ
でもイーディとアニエスだけを、屋敷に残していくわけにはいかないよ
特にアニエスを再び閉じ込めたくは無い
森下さんは
オレは、この屋敷の近くに住んでいる黒い森の番頭役だった森下老人の名を挙げる
森下さんは奥様と歌舞伎を観に行かれたわアリバイ作りに、あたしが切符を取って、行ってもらったのよここのところ無理なお願いをしてきたし
森下さんも不在なのか
あたしが残るよ
あたし2人と一緒に、お留守番しているから
ミナホ姉さんみんな連れて行こうよ
腹を決める
さっき、メグのことでミナホ姉さんが言った通りだよ置いてっちゃダメだマナにも、イーディにも、アニエスにも見えるところに来てもらって、見てもらいたいよ全て、正々堂々と
オレは、3人に微笑む
そうですよお嬢様よくよく考えたら公安警察は、この子たちの存在を知っていましたし
この間アニエスを池田先生の医院に連れて行った帰りにファミレスでパフェを食べましたから見られてます確実に
ああ、その時はイーディもマナも、一緒に行っている
公安警察としては誰なんだろうって首を捻っているでしょうけれどあたしたちと香月家との繋がりがある間は、強制的な調査はできないでしょうし
うんそれなら、2人も一緒に連れて行こうよ
ていうか改めて考えてみたら
公安警察は、あなたのことが一番判らないと思うわよ
あなたが、どこの誰でどうして、あたしたちと一緒にいるのか
この女ばかりの組織に一人だけ男だし
公安警察にとっては、あなたが最大の謎になっていると思うわ
今のプリキュアは観ていません
でも、キュアソードちゃんのビジュアルは好きですおでこちゃんなところが
フレッシュ・プリキュアの頃当時、働いていた会社の正社員さんとの会話
正社員さんうちの娘が毎週観ているから一緒に観ているんだよね、プリキュア
私ああそうなんですか
それでさ先週の放送でさ、敵だった子がプリキュアに寝返ったんだよね
ああ、イースがキュア・パッションになったんですっけ
それでさ異次元人かなんかだから、住む家が無いんだよそれで、主人公が自分の家に連れて来てうちに住まわせてあげてって両親にお願いするんだよ
ああ、桃園さん男前ですもんね
それを観てさぁオレ、考えちゃったよねえ
いやさ今もし、うちの娘が同い年の女の子を家に連れて来てさ
この子をうちの子にしてって言い出したら、果たしてオレはどうするかって
ああリアルに考えたら、食費とか色々大変ですものね
しかも、その子が自分の子よりも可愛かったら
やっぱり、オレ着替えとか風呂とか覗くんだろうか
知らないよそんなの
536.PAINT WHITE
オレについての情報を公安警察は、何も知らない
おそらく、あなたが恵美と雪乃さんの同級生ということぐらいは調べがついていると思うけれど
白坂創介については詳細に調査されているはずだ
メグが、白坂創介の隠し子であることまでは判らないだろうが白坂家の遠い縁戚である山峰家の養女だということは調べれば判る
オレが、2人のクラスメイトであるということも
あなたとメグが婚約しているというニュースは、学校全体に拡がっているわうちの学校の生徒の中にも、ブログやトゥイッターをやっている子も多いしでも、恵美が女子陸上部の部員だっていうことは伝わっていても、あなたのことは誰もよく知らないままなのよ
オレは、この4月に入学してから精神的に落ち込んでいたから、クラスのやつらとも親しく話してきていない
オレは、中学は山奥の寮生活だったし昔のオレを知っている生徒も、1人もいない
あなたのことばかりは、何も確実な情報が掴めていないみたいねどうして、あたしたちと一緒に行動しているのかいつからのメンバーなのか全然、判らないはずよ
オレが、最初から黒い森の工作員で雪乃を拉致するために、同じ高校に入学してきたという可能性も考えられる
香月家の方から、公安警察に圧力を掛けましょうか
あたしから、お祖父様へお話すれば谷沢さんが話をつけて下さると思います
それは最後の手段にしましょう公安とかの人たちって反骨精神が強いから、無闇に圧力を掛けてはいけないのよムキになるから
かえって、オレの正体を暴くために捜査を深める
圧力を掛けるにしても、上から思いっきり抑え付けるのではなくそこそこ良い感じでにしておかないとね
ミナホ姉さんは、レイちゃんを見る
そういうことだから麗華さん、この子を学校まで送って来てくれる
ええ徒歩で行って、徒歩で帰って来て
ニッと微笑むミナホ姉さん
徒歩って歩きってこと
ここから学校まで裏門なら、10分も掛からないわ麗華さんは、この子を校内に送り届けたら、そのまま戻って来て今日は天気ががいいわ気晴らしにお散歩するには、最適だと思うわよ
ああもちろん、香月セキュリティ・サービスの制服で行ってね麗華さんも着慣れておいた方がいいでしょあなたが行けば、外に居る香月セキュリティ・サービスの監視員は彼に付いて来ないでしょうし公安の人との折衝は、お任せするわ
ご命令なら
不承不承、納得してくれる
あ、待って学校へ行くなら、制服に着替えて来るから
ええ、パーティで着るスーツは、あたしがホテルの支度部屋に持っていくわ向こうで着替えればいいから
イーディが、ヌッとオレを見る
何か言っている
どこかへ行くのかって尋ねているよ
ああ、学校にメグを迎えに行くって行ってくれ
マナが、英語で話す
イーディが、ふんふんと聞いている
イーディちゃん、自分も一緒に行くって、言っているよ
昨日も、迎えに行ったからって
ああ、そうだったぁぁ
いいじゃない連れて行ってあげなさい
そうですよせっかくお洒落したんですから、お出掛けするべきです
みすずが、優しい笑顔でそう言った
イーディさんは、うちの高校に編入させるから下見に来ているってことで、問題無いはずよ克子、特別・入構許可証を渡してあげて
克子姉が取りに行く
教職員に何か言われたら、見せればいいから今年からの新任の先生以外は、みんな判っているから
うちの高校は長いこと、黒い森の外部施設として使われてきた
去年の秋に、黒い森が活動停止になる前は
うちの女生徒の中から、娼婦候補者を探していたわけだし
娼婦たちを学校に通わせていた
みんながみんな、黒い森のことを知っているわけではないけれどあたしが、学園の全てを掌握していることは判っているから
うちの高校は、黒森家が支配している
ミナホ姉さんのお祖父さん、お父さんが、理事長を勤めてきたし
今は、暫定的に克子姉が、その地位を受け継いでいる
はい、持って来たわ
克子姉が、透明なプラスチックに入ったハガキサイズの紙を持って来る
あたしのサインと理事長の印もあるしこの色は、黒森家のゲストという意味だから守衛さんたちも、一目見れば判るわ
ということでイーディを、徒歩で正門から連れて入ることになった
それはいいが
でもレイちゃんは正門まで送ってくれたら、帰っちゃうんだよね
そうよ、何が心配なの
判っているくせに
言葉だよ言葉
昨日は、英語のできる寧が居たけれど
今日は、まだ渚の家だし
でしたら、わたくしも参りましょうか
いや気持ちは、ありがたいけれど
イーディだけでも、大変なのに瑠璃子みたいな、美少女かつ究極のお嬢様を連れて歩いたら
校内で何を言われるか想像ができない
あたしたちはダメよあたしたちが外を歩いたら監視の方たちが、全員付いていらっしゃることになるわ
みすずが、従妹にそう言った
ああ、そうでしたわね歩いて行かれるんですものね
瑠璃子は、納得する
香月瑠璃子は香月セキュリティ・サービスの監視員はもちろんのこと、公安警察の人たちにとっても、最大レベルの監視対象者だ
あの方たちの前でもし、ルリたんが、つまずいて膝を擦りむいただけでも処分されることになるんだから
そんなまさか
冗談だろ、みすず
本当です監視中の事故は、監視者に責任がありますから側に居て、観ていたのに、なぜケガをさせたとお祖父様に、キツク叱られることになります
ああジッちゃんは
瑠璃子には、特別の感情を持っているから自分の部下たちどころか、公安警察にもクレームを付けるなこっぴどく
じゃあ、あたしが行くよ
マナが、口を開いた
あたしは本当に、メグお姉ちゃんの親族で、妹だし
マナはメグの腹違いの妹だ
メグお姉ちゃんを迎えに来たってことで変じゃないでしょ
マナのこと知っている生徒がいる可能性は無いのか雪乃の友達に会ったこととかは
もう、高校に入学して1ヶ月になる
雪乃が学校の友達を家に連れて来たりしていたらマナと会っているかもしれない
無いよあたし、雪乃お姉ちゃんの高校のお友達には会ったこと無いし雪乃お姉ちゃん、絶対に家には友達を連れて来ないから
雪乃お姉ちゃん部屋汚いし
そうでした
お友達から、掛かって来た電話に出れなかった理由が携帯電話を掘っていたって人だもん
電話を掘る
脱ぎ捨てたお洋服の中を掻き分け、掻き分け
それでも、一応は変装しておきましょう念のために
マルゴと寧の変装グッズが、いっぱいあるわよ
ミナホ姉さんも、ククっと笑う
じゃあ、オレ、急いで着替えて来るからマナも準備して
オレは、急いで自分の部屋へと向かう
では、後ほど先にホテルに参りますわ
玄関先で、みすずがオレに言う
お兄様、お気を付けて
瑠璃子は、オレにそう言うとイーディに英語で話す
多分、オレたちの警護をよろしく頼むとか、そういう話だろう
お待たせ、お兄ちゃん
マナは髪の毛を三つ編みのお下げにしている
ああ、毛を足しているんだな実際よりも髪の毛の量が増えている
それとピンクのフレームの眼鏡をしていた
アニエスちゃんの服、借りちゃった
服は、黒いワンピースだった
アニエスの服
ええ、さっきあたしたちのドレスを買うついでに、アニエスちゃんの服も何着か買ったんですわ
あたしほら学校の制服は着れないから
ああマナの学校も、良く知られている名門校だ制服から、正体がバレるかもしれない
あーあ、アニエスちゃん、あたしより2つも年下なのに服は、サイズが同じなんだもん
アニエスは、白人とのハーフだから発育が良いんだよな
マナは、病弱だった時期があるから同学年の子の中でも、小柄な方だし
パパ行ってしまいますの
当のアニエスは、寂しそうな顔でオレを見上げる
後でまた合流するからさ
合流
えっと3時間ぐらいしたら、ホテルでまたアニエスと会えると思うから
そしたら、またセックスしますの
オレが返事をする前に、マナが割り込む
するする一緒にしよっあったり前よっアニエスちゃん
では、待ってますの
これも時間を掛けてしか治せないことなんだよな
今は、少しずつアニエスに外の世界への興味を持たせることが大切だ
すぐに戻りますから
さっき仕立て直ししたばかりの黒い制服を着たレイちゃんが申し訳なさそうに言う
大丈夫よ翔お姉さんが、こっちに向かっているそうだからもう、後、10分ぐらいで到着する予定よ美智ちゃんも居るし最悪の場合は、外の監視の人たちにも出動してもらうから
克子姉が、笑って言う
美智は、ドレス姿のままドンと胸を叩く
うん、この立ち振る舞いがプ*・*ュアっぽいんだな
どうしてましたご主人様
いや美智は、格好いいなって思って
美智はポワーッと赤面する
しかも可愛い
オレは、美智の頭を撫でてやった
パパ、アニエスもですの
アニエスの頭も、撫で撫でしてやる
旦那様、みすずも
みすずの頭も撫でてやる
瑠璃子の頭も撫でてやる
イーディニコニコしているな
イーディの頭も、撫でてやる
克子姉まで
ええーい克子姉の頭も、撫でてやる
ミナホ姉さんっ
あたしは、いいわよっ
いいから、頭を出してっ
オレは、ミナホ姉さんの頭も撫で撫でする
マナとレイちゃんはっ
オレが2人に振り向くと
マナは、ニコニコ笑っていた
レイちゃんは、呆然としている
あたしたちは、いいよねっみんなの見ていないところで、撫で撫でしてもらうからっ
マナは笑って、レイちゃんを見る
レイちゃんは、困惑顔だ
そんな顔していないで気楽にお散歩していらっしゃい
ミナホ姉さんが、レイちゃんに言う
この格好ですよ
レイちゃんは、自分の黒い制服を見て自嘲気味に言った
格好は関係無いわいつでも、あなたの気持ち次第よ
じゃあ、みんなまた後で
ええ、あたしたちも翔お姉さんを待って、時間差で行動するわ気を付けてね、渚たちによろしく
うん、みんなも気を付けて
オレは、みんなの顔を見てそう言った
本当は、お屋敷を廻り込んで裏門から出た方が学校に近い
前に、メグと登校した時は、そのルートで行った
克子姉にバイクで送ってもらった時も、そうだ
でも、今日は堂々と監視者たちの前を抜けて、登校することが大切だから
遠回りでも、正門から出ることにする
しかしいつもは車で、突っ切っているけれど
お屋敷から正門まで、結構距離があるなあ
下りの道だからいいけれど
うん、庭の木々の新緑の香りが気持ちいい
今日も、天気が良い
午後も4時を過ぎているから陽射しも、厳しくないし
イーディが、オレに手を差し出す
ああ、手を繋いで歩きたいのか
オレは、イーディと手を繋ぐ
あ他の子と感触が違う
力強い
イーディの手だ
お兄ちゃん、あたしもっ
反対の手は、マナと繋ぐ
マナの手はイーディの手よりも、ひんやりとしていた
手の感触だって、女の子ごとに違う
あのわたくし
不意に、レイちゃんが言った
レイちゃんは、制帽を目深に被り撲殺ステッキを肩に担いでいる
この姿なんですが
その警備部長としての、新ユニフォーム
うん、似合っていると思うよ
カッコいいよ、レイちゃん
SO COOL
オレたちは、口々に褒めるがレイちゃんは
この格好ちょっと、バカっぽくないですか
英国紳士服を身に纏った、男装の撲殺剣士だった人にそう言われても
何かヒーロー物の司令官みたいじゃないですか、わたくし
それは、その通りなんだけれど
皆様が選んで下さった制服ですので不平を言うつもりは無いのですが
レイちゃんは俯いて、とぼとぼと歩いている
嫌なの、その姿
いや、嫌というよりこんな衣装を着て、わたくし、警備部長としてどう振る舞ったら良いのか、全然判らないんです
そもそもわたくしには、警備部長なんて不向きですし
そうかなオレは、そうは思わないけれど
レイちゃんが、驚いてオレを見る
その格好だってすごく判りやすいよ翔お姉さんが、レイちゃんにどういう警備部長をやって欲しいのか
オレは、レイちゃんにニコッと微笑む
わたくし、どうやればいいんですか
レイちゃんはその格好を鏡で見て、ヒーロー物の司令官みたいだって思ったんだろ
神妙な表情で、レイちゃんはオレに応える
だったら、ヒーロー物の司令官みたいにやればいいんだよ
えあのどういうことなんです
レイちゃんは、困惑している
レイちゃんてほら、形から入る人でしょ
そうじゃないとあそこまで英国紳士を徹底しない
だから、翔姉ちゃんは形から示してくれたんだよすっごく判りやすく
うん、とっても判るその姿なら
マナも、レイちゃんに微笑む
な、何が判るのですか
オレは足を止める
みんなも、止まった
レイちゃん、そこでステッキを構えて全員突撃って命令してみて
いいから、やってみて
ぜ全員、と、とつげくっ
か噛んだ
そうじゃなくって今、自分がどういう格好をしているかは散々鏡で見てきたから判ってるだろ眼の前に、配下の警備士たちが400人くらいいるって想像してその人たちに向かって、颯爽と命令するんだ想像してみて
レイちゃんは、一旦、眼を閉じる
想像ですね
そしてカッと眼を開き
全員、突撃せよっ
撲殺ステッキをブァッと掲げ、全部隊に司令する
イーディが、拍手する
うんレイちゃん、カッコいいっ
マナもオレも拍手する
あ、あのわたくし
ハッとして、羞じらうレイちゃん
今のでいいんだよ今みたいに、颯爽と命令を下すための衣装なんだからそれは
レイちゃんは、オレの言葉を真顔で聞いている
翔姉ちゃんはレイちゃんに、新しく生まれ変わった香月セキュリティ・サービス警備部の象徴になって欲しいんだと思うよ
象徴ですか
そうだよ、若くて、凛としていて、颯爽と現場で指示を出す女性の指揮官カッコいいよね何より、指揮官自ら、現場の最前線に立つっていう信念が素晴らしいと思うよ
指揮官自ら最前線に立つ
レイちゃんは、ポカンとしている
そういう制服だってばそれはどう見ても
オレの言葉に、マナが笑う
そうじゃなかったら、そんなに派手な服は必要ないよレイちゃん
撲殺ステッキを片手に、常に現場で指揮を執る警備部長そんなの、レイちゃんにしかできないよ
山岡部長が、よくなかったのはあの人、いつも警備本部に居て、現場には出て来ないことだったと思うよ最後には、現場から報告をしてくれる人がいなくなっちゃって、全然状況が判らなくなってたのにそれでも、自分から外に出ていこうとはしなかったから
工藤母と2人でおろおろするだけで
谷沢チーフに、職場放棄とみなされて解雇されたのもよく判る
レイちゃんは、そんなことしないだろ身体を張って、自分から危険なエリアに出て、部下の人たちと一緒に闘うだろ
でもわたくし、頭がよくないですから指揮官としての状況判断とか、作戦立案とかはできませんし
レイちゃんは、自信なさげに言う
そんなのは、翔姉ちゃんがサポートしてくれる人を用意しているよレイちゃんじゃ判断できないようなことは、翔姉ちゃんが全部差配してくれるだろうしさ
ではわたくしは
レイちゃんが、オレを見る
翔お姉様の指示通りに道化を演じればいいのでしょうか
道化じゃないよ警備部長だよ
そして、こんなの誰にでも、演じることができるような仕事じゃないってレイちゃんだからこそ、できる役目なんだ
わたくしだから
オレは大きく頷く
レイちゃんはずっと英国紳士の撲殺剣士を演じてきたじゃないか
わたくしが演じてきた
そうだよ楽しかったんだろ男装して撲殺ステッキで闘う警護人になるのは
この派手な制服を着て警備部長になることに違和感を感じるのに
男装の撲殺剣士をやっていたことは、普通に受けとめている
それはつまりレイちゃん自身が、楽しんでやっていたからだ
でも撲殺剣士を演じても、レイちゃんが意識していた観客は、レイちゃん自身だけだったろ
わたくし自身だけ
そうだよ自分自身の喜びのためにレイちゃんは、男装の剣士をやっていたんだからさ
特に誰かを楽しませる、楽しんでもらいたいという感覚は、レイちゃんに無かったろう
あくまでもレイちゃん個人の一人遊びだとても、内向きな
今度の警備部長の役は、みんながレイちゃんを見ているんだよオレも、翔姉ちゃんたちも、香月セキュリティ・サービスの人たちたくさんの人たちが、レイちゃんの警備部長姿を見ているんだ
レイちゃんが、ジッとオレを見ている
みんなが見ているんだからみんなを楽しませてくれよオレたちは、みんなレイちゃんに期待しているんだから
そうだよっレイちゃんならできるって、信じてるよっ
レイちゃんオレたちは、レイちゃんにレイちゃんができないようなことは望んでいないよオレたちは、レイちゃんなら警備部長ができるって信じている
わたくしをですか
でも、わたくしは自信が無いんです無理だと思うんです
でも、オレたちは信じているしできるってことも、判っているんだよ
オレは前に進み出て、レイちゃんを抱きしめる
いいからはい、深呼吸して
レイちゃんが、深く息を吸う
はい、吐いて
スゥ
また吸ってここが、空気が美味しいって気付いた
そう五感を開いて、自分の内面に閉じ籠もらない
オレはレイちゃんを信じてるレイちゃんなら、できるって思っている
Me Too
マナとイーディも、レイちゃんを後ろから抱きしめる
ああ、イーディ気で、レイちゃんの不安を察していたんだな
オレたちが信じているってこと感じる
は、はい心が温かいです
レイちゃんは、そう答えた
オレたちは信じているレイちゃんも、レイちゃんを信じているオレたちを信じて
レイちゃんは、もう1人じゃないんだからオレたちの大切な家族なんだから
もう何度もレイちゃんには、そう言っている気がする
いや、何度でも言わないといけない
レイちゃんが、オレたちを信じてくれるまでは
そして、その後もレイちゃんが、不安になる度に何度でも
どうして、そんなに優しくして下さるのですわたくしは、こんなにもダメな女ですのに
レイちゃんがダメかどうかは、レイちゃんが決めることじゃないよそして、オレたちは、絶対にレイちゃんをダメな女にしないから
家族だから仕方無いよオレたちは、みんなレイちゃんが大好きだから
例えば、家に白いペンキを塗る
ペンキは、風雨にさらされて剥げていく
そしたら、また白いペンキを塗る
どうせまた、剥げるのだからペンキを塗り直すのは無意味だというやつがいたらそいつは、家に住む資格は無い
オレたちは何度でも、諦めず、へこたれず、ペンキを塗り直し続ける
それが家族を愛することなんだとオレは、思う
今度は、レイちゃんの方からギュッとオレを抱きしめてくれた
レイちゃんの被っていた制帽がストンと地面に落ちる
ほらほら大丈夫だからオレはここにいるよ
わたくしが壊れてあたしが出て来た
ああレイちゃんは、アニエスちゃんと同じなんだ
パパが欲しい人なんだね
母あのねお母さん、株を始めてみようかと思うの
私ええ
母何か、お友達がみんな始めるって言うからあべのみくす
私いやそれは、どうだろう
母それでねこれから値が上がるっていう銘柄が載ってたから、げんだい買って来たわ
私まさか週間
母いいえ、日刊
私よりによって、そっちかよ
537.スネーク
結局、レイちゃんは自分の感情の吐き出し方が、よく判っていないのだ
祖父から剣道を習い学生時代は、剣道で卓越した成績を残して
長身で、強くて、見た目もカッコイイから
周囲の人たちが、レイちゃんにクールな剣士というイメージを被せてしまった
そして、レイちゃんは律儀だから周りが自分に感じているイメージ通りの人間に成り切ろうとして
だけどそんなことを、していたらレイちゃん自身の心理的なストレスは溜まる一方だから
剣道家の道を外れて谷沢チーフのスカウトを受けて、警護人に
しかも誰ともチームを組まない、孤高の警護人になってしまった
レイちゃんの心に加わる圧迫がおかしな方に暴走して、撲殺剣士というキャラクターを形成してしまったんだろう
レイちゃんこれからするのは、お芝居だから
オレは、レイちゃんの眼を見てそう言う
レイちゃんは闘う警備部長という役を演じる観客は、香月セキュリティ・サービスの人たちや警察、それからもちろん顧客の皆さんたちレイちゃんがこれから出会う、ありとあらゆる人たちだよ
レイちゃんは、ジッとオレを見ている
レイちゃんはその人たち全員に信頼されないといけない
信頼
そうだよこれは、そういうお芝居なんだから
レイちゃんの意識を内向きにしてはいけない
それでは、どんどん孤独な人間になつてしまうだけだ
意識を外に
みんなが、レイちゃんの立ち振る舞いを見て安心できないといけないんだこの人なら、自分や自分の家族のことを守ってくれるみんなが、そう思ってくれないとね笑顔で
だからさっき、レイちゃんが言っていたヒーロー物の司令官ていうイメージは正しいんだよみんなが、笑顔で安心できないといけないんだから怖い人になっちゃダメなんだ
そうだよカッコ良く、ニコッと笑ってレイちゃんレット・バトラーみたいな感じだよ
何だ、それ
え、お兄ちゃん知らないのレット・バトラー
レッド・キングなら知ってる
タカラヅカの2枚目の男役ってことだよ
あたしに、できるかしら
レイちゃんは、また悩み出す
大丈夫だよできるってオレたちには、判っているから
オレは笑顔でそう言った
レイちゃんオレたちは、レイちゃんがお芝居をしているってことを知っているだって、オレたちは本当のレイちゃんを知っているからね
落ち込みやすくて、悩むと時間の掛かる困ったお姉さんだということを
だから家族だけになったら、幾らでも素のレイちゃんで居てくれていいんだ闘う警備部長は、外だけでいいレイちゃんには、もう帰って来る場所があるんだから
そうだよみんな、そうしているでしょみすずお姉ちゃんや、ルリお姉ちゃんだって外向きの顔と、お兄ちゃんと一緒の時の顔を使い分けてるよねお兄ちゃんと一緒に居る時は、素の自分でいられるからあ、最近は、美智お姉ちゃんのデレっぷりが一番凄いかもっ
イーディも、うんうん頷いている美智の名前が出たから、何となく判っているのか
またレイちゃんが、悩んだり、判らなくなったらオレたちが、一緒に考えるから何時間でも一緒に考えるよ何度でも、何度でも遠慮は要らないよ家族なんだからさだから外では気を張って、強くてカッコイイ、オレたちのお姉ちゃんでいてくれよ
そして天を仰ぎ
よーしっ
レイちゃんが、不意に大きな声を出す
あたし頑張るっ
青い空を見上げて、レイちゃんは決意を露わにする
オレも、マナも、イーディも優しい笑顔で、レイちゃんを抱きしめている
うん頑張るよぉっあたしぃ
お屋敷の正門に着くと
鉄の巨大な門が、いきなりガガガと開いた
克子姉が、お屋敷から遠隔操作してくれたんだろうここには監視カメラもあるし
屋敷の敷地の外に出ると
相変わらず、公安警察と香月セキュリティ・サービスの監視の車輌が並んでいる
オレは、大きな声で挨拶し一礼する
マナとイーディも、真似してペコリと頭を下げる
突然の開門に両方のグループの監視者たちは、緊張している
先に動いたのは、香月セキュリティ・サービスの方だった
どちらへ行かれますか
車から黒いサングラスに黒スーツ姿の中年男性が降りてくる
オレは、素直に学校へ行くと答えようとしたら
レイちゃんが、オレを制する
答える義務はございません
まずは、オレに向かってそう言う
ご苦労様ですこの方たちの警護は、わたくしが担当しています皆さんは、このままお屋敷の警護を続けて下さい
それから、香月セキュリティ・サービスの黒スーツにそう言い切った
藤宮さん我々にも、もう少し情報をオープンにしてもらいたいね
昨夜も、レイちゃんは別の警備担当者とトラブルになった
トップ・エリートであっても、レイちゃんは翔姉ちゃんと違って現場の人の受けが悪い
ほとんど現場の人たちと仕事してきていない上に撲殺剣士としての悪評の方が先行しているからだ
あんたや関さんは、この屋敷の中へ自由に入って行くが我々は、ずっと外の車の中だしかも、中の人たちのスケジュールは何も聞かされていないこれでは、現場の士気に関わる
サングラスの男は、苦言を吐く
もうちょっと、どうにかならないのかね
確かに、この人たちはお屋敷の外で、24時間警備を担当させられているが
オレたちのスケジュールは、何も教えられていない
お屋敷から、車が出て来る度に慌てて、追跡しているわけで
いつ、動きがあるから判らないから気が休まらないだろう
レイちゃんは、黒スーツの男をジロッと見る
私の名前も知らないのか警備部6課、黒グループ第14班班長の杉野だ
男は答える
ああ、この人は警備部の人なんだ
存じ上げないで申し訳ありません
ああ、頼むよあんたも、警備部の人間になるんだろ
レイちゃんの部長就任についてすでに、話が漏れている
あんたも、今の仮の部長をやっている女の子みたいにお飾りで部長になるんだろうがなキッチリやってくれないと現場の気が緩む
男は、ハァと溜息を吐く
あんたも、トップ・エリートから降格されてそんな、デパートの屋上のヒーローショーみたいな格好をさせられるのは気の毒だがな我々、現場の人間の苦労も考えてくれもうちょっと、我々が仕事しやすいように考慮してくれるべきでは無いのか
黒いサングラスの男はレイちゃんの部長就任を、トップ・エリートからの降格だと思っているらしい
まあお飾りのあんたに何を言っても、ムダかもしれないがな関さんが到着したら、直接、進言するよもうすぐ着くはずだろ
レイちゃんは答えない
もういいあんたは、あんたの仕事をしてくれトップ・エリートだったあんたが、今更、制服組に戻って子守りってのも大変だろうが
男が、オレやマナやイーディを見てそう言った瞬間
無礼者ぉぉぉぉッッ
レイちゃんの撲殺ステッキが眼の前の道路のガードレールを
ベキィィィィッッ
カードレールが、ベコッと大きく凹んだ
若様に対して、無礼であろうが
ふ、藤宮、お前どういうつもりだ
まず、そのサングラスが不敬であるっっ
撲殺ステッキの切っ先が男のサングラスを跳ね飛ばすっ
てめえっ
動くな、次は額を割るぞっ
レイちゃんの裂帛に黒スーツの男は、動きを止める
撲殺ステッキで額を叩かれたら頭蓋骨が砕ける
第14班、全員下車せよっ
レイちゃんの鋭い声が、車の中に残っていた監視員たちに命じる
早くしないかっ
おい出て来い藤宮が、オレたちに話があるらしい
班長の言葉に監視員たちは、ゾロゾロと車から降りてくる
レイちゃんは黒スーツの服の男に向けていたステッキをスッと下ろし
貴様らの仕事は何だ
ギロッと監視員たちを睨む
この場での24時間監視だよもっとも、三班交代だから、オレたちの勤務は8時間だがな
黒スーツの男が、答えた
山岡前部長の教育は、どうやら酷いものだったらしいなここまで、現場の空気が緩んでいるとは
レイちゃんは、憎々しげにそう言った
貴様らにはこのお屋敷の中にいらっしゃる警護対象が、どなたなのか判っていないようだ
判っているよみすず様と瑠璃子様だろう
レイちゃんは、そう言った黒スーツの男をギッと睨んで
現時刻を持って、お前を班長勤務から解くこれ以上1つでも失態を重ねれば、解雇するからそのつもりでいるがいい
おいおいあんたには、そんな権限は無いだろう
黒スーツの男は、激高するがレイちゃんは、その男を無視して
誰かこの男、杉野だったなこいつが今までにしでかした失態について、説明できるものはいるか
他の監視員たちに尋ねる
名前を言え
14班篠原です上層部批判をしたことですか
そんなことは問題にならんおまえたちが、わたくしたちに進言したいことがあれば、それがどんなに下らないことだろうと、わたくしたちは真摯に聞く他にはいないか
名前は
14班酒井です今さっき、杉野班長は
杉野前班長だ
レイちゃんは、鋭く言う
杉野前班長は藤宮さんの、その新しい制服を馬鹿にするような発言を
馬鹿はお前だそんなこと、一々構っていられるか次
14班近藤ですあの、もしかして、もうすぐ関さんが到着するということを話したことですか
そうだ機密情報の漏洩だ
レイちゃんの言葉に
そんなの大したことじゃねえだろ
それを判断するのは、お前では無い香月セキュリティ・サービス上層部の予定を、軽々しく口にするな
公安さんが聞いているんだぞ
レイちゃんはこちらの様子を見ている、公安警察の車輌を見る
この男の失態は、他にもある誰か判るか
近藤という男が、再び手を挙げる
あのみすず様、瑠璃子様のお名前を口にしたことですか
その通りだ
ちょっと待てこの屋敷の中に、今、お二人がいらっしゃるということは、公安のやつらだって知っていることじゃないか
黒スーツの杉野が、レイちゃんに食って掛かる
だから、何だお前の発言で公安さんが、お二人がいらっしゃることを再確認してしまったではないかそれがどれだけ迂闊なことなのか、お前には判らないのか
レイちゃんは、冷たくそう言う
それが要人警護という仕事をする人間にとっての資質を左右する問題だということを
居ると判っていても確認されないように、細心の注意を払わなければならない
ところでさっき、この男は、後ほど関さんに中の人たちのスケジュールについて、監視班に公開しろと進言すると言っていたがそれは、ここに居る監視員全員の総意と考えていいのか
レイちゃんが言う
いえ、あの自分は、そうではありません
あ、自分もです
若い監視員たちが3人ばかり、手を挙げる
おい貴様ら
黒スーツの杉野が威嚇するがすでに班長職を解かれた人だからと、3人は手を下ろさない
どういう理由でそう思うのか
レイちゃんが、尋ねると
あ、14班森ですいや、あのオレたちみたいな下っ端が、生意気なことを言って申し訳ありませんでした
そんなことを聞いてはいない他は
手を挙げたのはまた近藤監視員だった
中にいらっしゃるのは香月家のお嬢様方なのですから、そもそも事前に判るような予定が決まってはいないのでは
その通りだ我々は、要人警護を仕事としている何だ、貴様らは自分たちの仕事を楽にしたいから、あらかじめスケジュールを全て決めておけと警護対象者に言うのか
レイちゃんの言葉は、重い
いや、だって普通は警護対象者から、事前にスケジュールを貰っているぞ
杉野が、レイちゃんに食い下がる
それは、お前がやってきたのが、たまたま企業の重役の警護だけだったからだろう社会的に高い地位にある顧客は、最初っから分刻みのスケジュールで動いているそれだけの話だそういう生活をなさっていない奥様やお嬢様方はそもそも、細かいスケジュールで動いていらっしゃらない
レイちゃんの言葉が、監視員たちを圧倒している
わたくしは、トップ・エリートとしてそういう方たちの警護を何度も行ってきている
ああ、レイちゃんは他の警護人とチームが組めないから、そういうVIPの奥さんや子供を直接警護するのが専門だったんだっけ
自分たちの経験だけで判断するなそもそも、お二人とも香月家の方だぞお前たち、閣下に同じことが言えるのか
事前にスケジュールを提出して全て、その通りに行動しろイレギュラーは許さないなんて、ジッちゃんに言える人間はいない
そうね閣下なら、突然、予定外の行動をなさるのはいつものことよ
不意に翔姉ちゃんの声がした
振り向くとそこに居た
動揺する香月セキュリティ・サービスの監視員たち
あら、わたくしもトップ・エリートの1人よ気配を消すぐらいのことはできるわ
そう言って笑っている
そうねあなたたちは、普段はこのレベルの対象者の警護はしてきていないのよね谷沢チーフは、あなたたちの経験値を高めるおつもりで、配置なさったんでしょうけれどちょっと問題が多いみたいね
翔姉ちゃんは3人しかいないジッちゃんの直援警護人だトップ・エリートの中でも、高い立場にいる
さて近藤くん、杉野さんがしでかした失態が、もう一つあるんだけれど判るかしら
翔姉ちゃんが、近藤監視員に尋ねる
あのもしかして、そちらの方たちへの無礼ですか
近藤監視員はオレやマナたちを見た
こうやって、藤宮さんが直接警護に付いてらっしゃるということは
もちろん警護対象よとても大切な
そうですよね藤宮さん、若様っておっしゃってましたし
翔姉ちゃんが、笑って杉野を見る
杉野さんこれ、謹慎処分じゃ収まらないのあなたを解雇します懲戒免職よ
うちの会社警護を子守りっていう人は、置いておけないのそれから、麗華が言ってた通り、サングラスも失礼だったし顧客の眼の前で、食って掛かったのも論外よついでに、公安さんに全部見られちゃっているし恥ずかしいわ
翔姉ちゃんの笑顔が怖い
それにねこちらの若様、絶対に失礼をしてはいけないお方の一人なのよ
いや、オレは別に
小馬鹿にされたって、気にしない
何たって、学生服姿だし
誰がどう見たって、オレはVIPには見えない
子守りって言われたって仕方無いと思う
若様は、気になさっていらっしゃらないようだけれど若様に不敬を働いたというだけで大問題なのよ閣下にこの件が聞こえたら大変なお怒りになると思うわ
えっとオレ
どんな大物なんだよ
今回は、懲戒解雇で済ませておいてあげるわ感謝して下さいね
翔姉ちゃんは、杉野にそう言った
麗華6課黒グループ14班の新班長は誰が良いと思う
その近藤さんが良いと思います
あたしも、そう思うわ近藤くん新班長は、あなたにお願いします
向こうの道路を曲がったところに、あたしの車が置いてあるから誰かに取りに行かせて
翔姉ちゃんは、近藤監視員に車のキーを渡す
車をそこに停めて気配を消して、オレたちの様子を観に来たらしい
判りました森、頼む絶対に事故るなよ
14班は、そのまま監視態勢に戻りなさい
翔姉ちゃんの指示に、監視員たちは車輌に走って戻る
キビキビとした、良い動きだった
さすがです翔お姉様
レイちゃんが、感服している
麗華も立派だったわよあなたは、あなたのやり方を工夫しなさいわたくしの真似をする必要は無いのだから
そして翔姉ちゃんは、呆然としているままの杉野を見て
あら、あなたまだそこに居たの目障りだから、消えてちょうだい
消えろ
二人の若い女性警護人の蔑視に杉野は
こ、この件は直接、谷沢チーフに訴えます不当解雇だ、これはっ
どうぞ、ご自由に
翔姉ちゃんは、微笑む
イーディが、笑顔で杉野に道に落ちているサングラスを指差す
杉野は、サングラスを拾うと小走りで、走って行った
ちっくしょおっ
口惜しさと憎しみを込めて全速力で、走って行く
あっち駅じゃないんだけれど
オレは呟いた
放っておきなさい近隣の地図も頭に入ってないなんて、この仕事では使い物にならないから山岡さん、よくもまあ、ああいう人を班長に昇格させたものね
翔姉ちゃんが、嘆息する
ところでさ、どうして翔姉ちゃんは
オレが、翔姉ちゃんに話し掛けようとすると
オレを制する
そして公安警察の車輌の方を見て
集音マイクで、こちらの会話を聞いていらっしゃる公安さん何かご質問があれば、直接お尋ね下さいもちろん話せることと話せないことがありますけれど
翔姉ちゃんが、そう言うと
突然、ガチャと公安警察の車輌のドアが開き
白髪のスーツの男が、一人だけ降りてくる
近藤くんたちは、こっちに来ないであなたたちも集音マイクを持っているんでしょうが、あたしたちの会話は聞かないで機密事項だから
翔姉ちゃんが、大声で香月セキュリティ・サービスの監視員たちに言う
公安さんの方はあたしたちの会話を録音していると思うけれど
やがて白髪の公安警察官が、オレたちの前に到着する
ご足労いただいて、ありがとうございますお名前や官職は、結構です判っていますから
翔姉ちゃんは、笑顔でそう言った
私もあなたが何者かは判っているが挨拶抜きっていうも味気ないだろうまあ、名前だけでもね葉山です
お姉さん2人と礼を交わす
おお、ついでに君たちも、名前を教えてくれんかな
葉山公安官は、笑顔でオレに言った
お兄ちゃん、ダメっ
マナが、オレを制する
それ、この人の策略だから
いやいやこりゃ、挨拶だよ私らでも、君たちがどこの誰かは判っているんだから白坂舞夏さん
ニッと笑う葉山
でもこの子が誰なのかは、判らないですよね
翔姉ちゃんも笑顔で、イーディを指差す
そうなんだよこれが、困っているんだよ何しろ、その外人のお嬢ちゃんが入国した記録が無いんでね
イーディはミス・コーデリアたちと一緒に日本に来た
記録でしたら、今、作っていますので後ほど、お知らせしますわ
翔姉ちゃんは平然と言った
そいつは助かる
葉山も笑顔を崩さない
でも、私は警察官だからねいや、これが普通の役人なら書類さえ揃っていれば、文句は付けないだが、どうしてそういう記録が作られたのかを調べるのも、私らの大切な仕事なもんでね
まあ、大変ですねえ頑張って下さいね
頑張るよ、まあ仕事だから
2人の笑顔の応酬は続く
それから、君吉田くん君のことも、よく判らない
葉山が、オレに微笑む
君は何なんだね香月家や、黒森家とは、どういう関係にあるんだね是非とも、話を聞かせて欲しいね
あら、まさか彼を連れて行かれるおつもりではないですよね
翔姉ちゃんが微笑む
私は任意で同行してもらいたいと思っているんだがなあに、無理にでも連れて行くことはできるよ君たちと同じで、理由は幾らでも作れるから
残念だけれど彼、カッターとかは持ってないですから
翔姉ちゃんが、そう言う
おやおや彼若様じゃなかったのかね
葉山の口元は笑っているがその眼は、蛇のようだ
オレを狙っている
また感想欄の返信が滞っております
これからやります
ここのところ週末にまとめて返信するみたいになっています
必ず、返信は致しますのでしばし、お待ち下さい
538.コップス
葉山さん、脅かさないで下さい子供たちが怯えているじゃないですか
翔姉ちゃんが、笑顔でそう言う
私は、冗談を言っているつもりは無いんですよ
葉山も、笑みを崩さない
私はこちらの吉田くんが、全ての突破口になるんじゃないかと踏んでいるんです
オレを標的にしている
お言葉ですが葉山さんそれは、見当違いのご判断ですわ
翔姉ちゃんは、さらに笑顔で水面下の暗闘を続ける
若様を突っつけば、こちらが弱みを見せるとお考えなら大きな間違いです
ほう
緊迫した空気が辺りを包む
麗華公安さんが、ここに出張っていらっしゃっている目的を端的に説明しなさい
翔姉ちゃんが、レイちゃんに質問する
第1の目的がキョーコ・メッサーの所在確認第2の目的が、みすず様、瑠璃子様の警護をすることで、香月家に恩を売ることだと思います
レイちゃんが、そう断言する
その通りねそして警察上層部及び日本政府からの指示は、第2の方がメインだけれど公安さんとしては、第1の方に主眼を置いていらっしゃるんだと思いますわ
翔姉ちゃんは葉山に、そう言う
いや、本当はオレやマナに、公安の狙いは恭子さんだから、恭子さんのことは絶対に喋るなと伝えてくれている
キョーコ・メッサーの逮捕できれば一番なんでしょうけれどできれば、可能な限り早く国外退去してもらいたいと考えていらっしゃいますよね
まあ我々は、国家の安全を脅かす物を監視し可能な限り排除するのが、仕事ですからね
葉山は、答える
キョーコ・メッサーさんの様な有名人には、あんまり日本に居て欲しくはないんですよ正直な話
そうでは、一つ、有益な情報を教えて差し上げますわ
翔姉ちゃんが、カードを切る
キョーコ・メッサーさんは、もうこちらのお屋敷の中にはいらっしゃいません
葉山の頬が、ピクッと反応する
そうですかどちらへ行ったのか、ご存じないですかね
それをお調べになるのが、葉山さんたちのお仕事ですわ
睨み合う2人
香月セキュリティ・サービスは、キョーコ・メッサーさんとこの先の行動方針についての話し合いで対立しましたですから、キョーコ・メッサーさんは、すでにわたくしたちとは袂を分かっています今、どちららにいらして、次にどんな計画を練っていらっしゃるのかも存知あげませんわ
翔姉ちゃんは、香月セキュリティ・サービスとキョーコさんの決別を宣言する
やはり昨夜の車での外出は
葉山は、すぐにどの時点でキョーコさんがお屋敷を出たのかを推察する
さあわたくしには、判りませんわ
翔姉ちゃんは、笑顔でシラを切る
ふんあなたの話は、信じられないね
葉山は、翔姉ちゃんにそう言う
香月家がキョーコ・メッサーと決別したというのならどうして、その外人娘がここに居るその子は、キョーコ・メッサーが国外から連れて来たエージェントなんだろ
葉山は、イーディを恭子さんの手下だと思っているのか
いや、それもブラフかもしれないが
ああこの子は、閣下がキョーコ・メッサーから買った子ですわ取引が成立した以上、置いていくのは当然です
翔姉ちゃんは、そう言ってイーディを見る
買っただと
ギロッとイーディを睨む葉山
イーディは、ケロッとしている
はい若様の護衛役としてこの若さで、有能な警護人はなかなか居ませんからキョーコ・メッサーさんに、アメリカから連れて来ていただんたんですわ
翔姉ちゃんの言葉にイーディが、ニヤニヤ笑いながら英語で何か言う
翔姉ちゃんも、英語で答える
イーディは、プフフと声を上げて笑う
何の話をしているんだ
イーディちゃんが、何を手こずっているんだこんな男、自分がブチのめしてやろうかって言って関さんがそれには及ばないわあなたの手を汚すほどの相手じゃないからって
クックックとイーディは、葉山を見て笑う
こいつは驚いたな確かに、この外人のお嬢ちゃんは強そうだ
ええ、キョーコ・メッサーには、躾はこちらでするから、とにかく強い子を探して欲しいとお願いしましたから
翔姉ちゃんは、そう言い切る
うん、躾は大切だわたしのような年寄りは大切にするように言い聞かせておいて欲しいね
あら公安警察には心を許すなと、教えておきますわ
そうかい
葉山の蛇の眼が、再びオレを見る
そんなら、やっぱりこのお兄さんがキーマンだな香月閣下が、キョーコ・メッサーから警護役を買ってまで守ろうとする人物あんた本当に何者なんだい
まあ、別にここで話してくれなくてもいいんだちょっと、我々の本部にまで来て貰おうか
葉山が、オレの腕を掴もうとする
イーディが動く前に、レイちゃんが葉山の手を掴んだ
公務執行妨害ってことでいいのかな
あなたこそこの場で殉職することになりますよ
レイちゃんは、撲殺ステッキを構える
ふん、警察官を脅すってのはあんまり、頭の良いやり方じゃありませんねぇ
葉山は、そう言うが
あなた国の安全を守る公安警察官ですよねこんなことで香月家と日本政府の関係がギクシャクするような火種を作ってもいいんですか
レイちゃんも、凛として負けない
公安警察ってのもそもそもは、警察組織の一員でね私もまた、1人の警察官なんですよ
葉山は、ニッと微笑む
スッと片手を上げると公安の車輌から、黒スーツの公安警察官たちがバタバタと降りてくる
この前のホテルでの騒ぎ、キョーコ・メッサーにシザーリオ・ヴァイオラ香月重秋氏の不審死都内で銃撃戦とかこのまま我々が、見過ごせるようなことじゃあないんですよ
そうだオレたちは、数々の法を犯してきた
警察をナメやがってふざけるんじゃねぇぞ、テメエらッ
葉山が、オレたちを恫喝する
慌てて、香月セキュリティ・サービスの面々も車から降りてくるが
14班車に戻りなさいこちらから手を出してはダメよ
翔姉ちゃんが、大きな声で命じる
香月セキュリティ・サービスの監視員たちは、どうしていいか判らず立ち往生している
葉山は
いいですかもし、この日本国内で犯罪行為や、何かしらの法律違反があったのなら我々は犯罪者を検挙し、何が起きたのか事実を解明しないといけません名家の人間だから、権力者と繋がりがあるから見逃さなければならないなんて、あってはならないことなんですよそれが、警察という組織の仕事ですから
ニィイと笑う
つまり、わたしは、警察上層部や、政府まあ実態は、政治家どもですがそういう連中と香月家との癒着に、縛られるつもりは毛頭無いんですよ
葉山の言葉に、翔姉ちゃんは
あなたの首が、飛ぶだけよ
葉山は、平然と
構いませんわたしは、今月いっぱいで定年です国家と一部の名家との、汚らしい繋がりが公表できれば、それで本望ですわたしは今、わたしの警察官としての良心正義感に基づいて行動していますすなわち、わたしが正義を執行するのです
こいつそれが目的なのか
さて、吉田くんわたしに同行していただきましょうか
彼を連行してもすぐに取り戻すわ不当逮捕として訴えます
翔姉ちゃん
どうぞ、何でもやって下さい急いで、弁護士に相談するんですねもっとも、我々は、我々の持ち時間の間にこの少年に、聞き出せる限りのことを全て喋っていただきますからなあに我々の専門家が本気を出せば、今時の高校生なぞ、ものの数分でペラペラ喋り出すことになりますよ
こいつオレを拷問しようというのか
そうだついでに、そちらのお嬢さんも我々が保護しましょう
蛇の眼が、マナを見る
吉田くんの逮捕理由は、彼女の誘拐容疑ということでそれなら、確実に拘留できますからね
笑う葉山
オレをマナの誘拐犯として逮捕拘留する
当然、この逮捕については我々が、マスコミにリークします香月家の力で、ウヤムヤにされないように
公安警察官たちが、ザッザと隊列を組んでオレたちに近付いて来る
マナの誘拐犯として、マスコミに顔と名前を出されたらオレは、社会的に抹殺される
ああ、そうだこちらのお屋敷には、もっと有名な方も居るんでしたよね
雪乃のことを言っているのか
ちょっと待ちなさい、葉山さんあなた、こんなのやり過ぎよ
何がやり過ぎだわたしは、貴様たち名家の人間の横暴を決して許さん正義は、わたしにあるぅぅ
公安警察がオレたちに近付く
ああ、ブン殴り棒を持ってくれば良かった
しゃあねえな
素手だと、痛いだろうけれど
道の脇に丁度いいレンガが落ちている
ちょっと待って下さい葉山さん
オレは、そう言ってしゃがんで、そのレンガを拾う
うん重さもいいな
オレは、レンガを握って軽く上下する
な、何をやっているのかね
葉山は、オレの行動の意味が判らないらしい
いや、これであんたを殴ろうと思って
オレは、葉山を見上げてそう言った
何を言っているんだ
オレは、レンガを握ったままスッと立ち上がる
いや、ほら暴力に対抗するためには、暴力しかないでしょ
オレの言葉に葉山だけでなく、翔姉ちゃんやレイちゃん、マナまで凍り付く
暴力わたしは警察だぞぉぉッッ
葉山の叫びに公安警官たちが、歩みを止める
うん、判っているよ警察という名の暴力だろ
オレはハッキリと答えた
正義という名の暴力、国家という名の暴力、法律という名の暴力全部、暴力だよだから、オレも暴力で立ち向かうんだ
お前、正気か
葉山が、呆然としている
いや、オレもどこかに正しいものがあるってことは、信じているよでも、正しいに則って、人を正しく導くのもやっぱり暴力だよ世界を支配しているのは、暴力だから
オレは、この数日で学んだ
ミナホ姉さんたちは白坂創介によって、暴力によって拉致監禁され、娼婦に堕とされた
法律も正義も、ミナホ姉さんを助けてはくれなかった
だから、ミナホ姉さんもまた暴力によって、復讐を果たした
マルゴさんや恭子さんによる肉体的な暴力から
インターネットで情報を流したり、世論を誘導するという暴力
ジッちゃんという権力者の力を借りたのもやっぱり暴力だ
シザーリオ・ヴァイオラだって、暴力によって制するしかなかった
あいつが死ななければ寧の心の平穏は来なかった
あんたが、警察という暴力を持ち出したんだオレたちも、暴力であんたたちを制する
ちょっと、待ちなさい
翔姉ちゃんが、慌ててオレを止めようとするが
黙ってオレに従えよ
オレは、静かに翔姉ちゃんに告げる
マナは、レイちゃんの後ろにレイちゃん、頼むよ
レイちゃんも、戸惑いながら撲殺ステッキを構える
オレは、褐色の戦闘美少女に声を掛ける
イーディは、ニッとオレに微笑む
殺すなよ、ドント・キル
OK.darling
イーディは、答えた
お前判っているのか公安警察と、真っ向から闘うつもりか
見りゃ判るだろ
オレは、手の中の赤いレンガを揺らす
そっちが仕掛けてきたケンカだ覚悟はできているんだろ
葉山だけでなく、公安警察の人間全員が戸惑っている
香月セキュリティ・サービスの監視員たちも
わ、我々は警察なんだぞ
うん知っているよ
と公安警官の1人が、スーツの懐に手を入れようとする
その足下にイーディの投げた手裏剣が突き刺さった
ヒッと怯える公安官
銃とかは出さない方がいいよイーディが、加減できなくなるかもしれないから
さてとじゃあ、暴力の応酬を始めようかああ、香月セキュリティ・サービスの監視の人たちは参加しなくていいからこんなのでケガをするのは、馬鹿らしいだろ
オレは、警備部黒グループ第14班のメンバーに言う
翔姉ちゃんに、レイちゃん、イーディオレたちだけで、勝てるし
翔姉ちゃんは
ご期待に応えます
レイちゃんも、ギュッとステッキに力を込める
どうしてこんな
葉山は混乱している
何なんだ、馬鹿なのかお前どうして、お前たちも、こんな小僧に従っている
翔姉ちゃんたちに叫ぶ葉山
この人はねあなたとは違う理屈の世界で生きてきた子なのよ
答える翔姉ちゃん
国家警察の威に怯えるような、弱い肝っ玉の持ち主じゃないのよ
葉山の眼が、大きく見開かれる
ジッと、オレを見つめている
お、お前は一体、何者なんだ
その問い掛けにマナが答えた
みすずお姉ちゃんのお相手だよっ
香月セキュリティ・サービスの監視員たちの中に、動揺が拡がる
ああ、一般の警備員たちにはまだ知られていないんだな
ええこの方は、香月みすず様のご結婚の相手として閣下がお認めになられた人です
翔姉ちゃんがそう告げる
婚約者がいらっしゃるとは聞いていたが
まさか本当に
で、ことはこの方が、香月家の後継者に
近藤監視員たちが、思わず言葉を漏らす
まだ、そこまでは決まっていませんしかし、候補者の1人であることは確かよ
翔姉ちゃんがそう答えた
せっかく波風を立てないようにしていたのに葉山さん、あなたのせいよあなたが、香月家と公安警察を全面対決させるように仕向けてしまったんだから責任を取って下さいね
ちくしょうはぁぁ
脱力する
香月家の関係者なら最初から、そう言っておいてくれ余計な恥をかいちまったじゃねぇか
そして配下の黒服たちを見て
オレたちの負けだ、戻れこのお方をしょっ引いたら公安部が解体されるオレの首が飛ぶだけならいいが組織全体をブッ壊すわけにはいかねえや
政治家や上層部との癒着だけならまだしも相手は、日本中のマスコミも全て黙らせることのできる巨大な化け物だ我々のチンケな正義感で、勝てるような相手じゃねぇ
あんたいい加減にしろよ
何なんだこの大人は
軽々しく正義って言葉を弄んであんたのどこに正義があるんだッ
実際にやっているのは警察の権力をという暴力で、オレたちを脅しただけだ
そして、オレと悶着を起こすのが不利だと判った途端逃げに走る
はんっ香月家の権威に守られている小僧に、言われたくはねぇよ
葉山は、吐き捨てるように言う
こっちから矛を引くんだ関さん、こいつは貸しにしておくぜ
冷たい微笑で葉山に答える
わたくしたちの若様に無礼を働いたのは、あなたの方です謝罪なさるおつもりはないのですね
み、水に流してやるって言ってるんだこっちもガマンしているんだそういうのは、いいだろ別に
そうはいきません今、この場に居る公安警察の方で、葉山さんの次席の方はどなたですか
黒服たちを見る
じ、自分です
40過ぎの体格の良い男が、手を上げる
橋本と申します階級は
それは結構です橋本さんあなた、どうなさいます
橋本公安官は葉山を見て
葉山の行動に問題があったと思います
おい、橋本
驚く、葉山
この件は自分から上司に報告致します
謝罪文は、正式な書面で下さいいいですね
ちょっと待て、橋本それじゃあ、香月にオレたちが借りを作ることになるじゃねぇか
葉山に対し、橋本は
そうなりますね我々は、失態を犯したわけですから
いや、待て我々は公安警察だぞ名家だか何だか知らないが一企業家に借りを作るなんてのは
これは我々の失態です我々が、責任を持って処理します葉山さんには、もう関係の無いことです
橋本
わたくしたちは今回のことを、葉山さん1人の独断による暴走だと認識していますそれでいいですね
橋本公安官は、オレたちに頭を下げる
ほらっ、お前たちも
慌てて、公安警官全員が深々と頭を下げる
ちょっと待てお前ら
自分たちは葉山さんの個人的な正義感のために、将来を棒に振るわけにはいかないんです
橋本は言った
あなたは、もう定年でしょうが我々は、まだまだこの組織で働くのですからっ
わ、わたしは
ホントカンベンして下さいよっ
翔姉ちゃんが、オレを見て
若様レンガは、もうおよろしいでしょお捨て下さいませ
あ、ああオレは、まだレンガを握ったままだった
ポイと放り捨てる
パキッ
レンガは、アスファルトの道に落ちて、二つに砕けた
何だ意外と脆いレンガだったんだな
橋本さんさっきお伝えしたとおり、キョーコ・メッサーはもうここに居ません後は、自分たちで探して下さい
ただし香月家に対してご配慮して下さるのなら、このままみすず様、瑠璃子様の警護は続けて下さいあなたたちとしても、このまま撤退したのでは顔が立たないでしょうし
そうですね監視いえ、警護はもうしばらく続けさせていただきます
翔姉ちゃんは次に、香月セキュリティ・サービスの監視員たちを見る
あなたたちこちらの若様が、みすず様のお相手だということは機密事項ですから、他言はしないでね
これでみすず様たちが、頻繁にこのお屋敷に滞在なさっていることも麗華が、若様の護衛に付いているということも、理由が理解できたわね
翔姉ちゃんは、ニコッと微笑む
おい
気落ちしていた葉山が不意に、オレに話し掛けてくる
結局お前はどこの名家の人間なんだ
名家
香月家の娘の結婚相手ってことは名家の人間だろうどっかの家の隠し子かまさか香月重孝のご落胤て、ことはないだろうし
そんなの自分で調べろよ定年まで、まだ何日か残っているんだろ
どうせ調べても何も判らないだろうけれど
公安警察と香月セキュリティ・サービスの両陣営は再び、それぞれの車輌に戻った
他言無用って言ったけれど、あなたのことはすぐに広まるでしょうね
翔姉ちゃんが、溜息を吐く
山岡部長の教育した人たちですから
レイちゃんも
まあ、いいわこれで、香月セキュリティ・サービスの人たちは、あなたに対して自然に敬意を払ってくれるようになるでしょうし
翔姉ちゃんは言う
公安さんの方もほぼ問題無しで片付いたしどこにの組織でもいるのよ、ああやって自分ルールで他の組織との関係を壊しまくる人が
しかしこの段階で、出て来たということは
そうね麗華
2人は、顔を見合わせる
あたしたちの内情を探るためにわざと、変な人を押し込んできたんだと思うわ
今みたいに結局は、1人の人間の独断で失礼なことをしましたごめんなさいで済ませるつもりだったのよ
定年間近の偏屈な人を捨て駒にしたんだ
ま、こっちも良い感じに、情報操作できたからこれはこれで良しとしておきましょう
翔姉ちゃんはそう言った
あなたの、カッコイイところも見れたしね
こういう話をやっておかないとグリーン山スタジオの闘いが陳腐になるので
暴力の話は、宇宙の戦士の高校の授業にあったと思います
母の株の話が続いていて
お友達に勧められたんだけど母さん、シャ*プの株を買おうかと思うの
目の付け所がシ*ープ
いや、ニュース見てないの赤字が巨額なんだよヤバいんだよ
それがね、お友達の話だとそういう安くなっている時に買うのが、狙い目なんですって
あとね、マク*ナルドも良いって言ってたわ
助けて
539.ザ・ハンド
関さん、お車です
香月セキュリティ・サービスの監視員が、翔姉ちゃんの車を運転してきてくれた
監視員は、車を停めるとすぐに運転席から降りてくるエンジンは掛けたままだ
ありがとう、森くん
さすが、翔お姉さん車を取りに行ってくれた監視員の名前をちゃんと覚えている
あなたたち、送って行くわ乗りなさい
翔姉ちゃんは、笑顔でオレたちに言った
いやでも歩いて行けって、言われているから
オレは、ミナホ姉さんにそう言われた
いいんだよ、お兄ちゃん乗せてもらおうよ
歩いて行かないといけない理由は、無くなったんだからさ
ミナホ姉さんが、オレたちを正門から徒歩で外に出したのは香月セキュリティ・サービスと公安警察の二つの監視者たちに遭遇させるためだ
別に学校までの道程を歩いて行くことに、意味があるわけではない
今の騒ぎで、遅くなっちゃったしさ
メグが、待っているんだもんな
うん、じゃあ乗せてもらうよ
どうぞ、若様
翔姉ちゃんが、おどけて言う
イーディ、乗るぞ
イーディは、ニヒッと笑ってオレに先に乗れと、手で示す
ああ、ここではオレが若様なのか
まだ、香月セキュリティ・サービスの監視員たちや公安警察の眼がある
イーディは、ジッちゃんがオレの警護役として恭子さんから買い取ったという設定になっているからオレより先に、車に乗り込むはずがない
麗華も乗りなさい
はい、翔お姉様
ということで助手席に、レイちゃん
後部座席に、オレ、イーディ、マナの並びとなる
出すわよ
翔姉ちゃんが、アクセルを踏む
監視者たちの車輌が、後ろにだんだん小さくなっていく
まだ喋っちゃダメよ麗華、お願い
レイちゃんがポケットから、小さな機械を取り出す
車内から、おかしな電波は発信されていません
了解さすがに、森くんが盗聴器とかを仕掛けるってことは無いか
翔姉ちゃんは、クスッと笑う
全ての可能性を考えて、家族以外の人間は疑って掛かる見落としは、自分自身だけでなく家族にも悪い影響を及ぼすかもしれないのだから、絶対に許されない
ルームミラーの中で、翔姉ちゃんの眼がオレを見る
昨夜、ミナホさんに徹底的にそういう話をされたのよわたくしと麗華は
ああ、みすずのマンションの隣の部屋で3人で飲んでたんだっけ
素晴らしい人ね、ミナホさんわたくし、自分の今までの甘さに気付いて、恥ずかしくなったわ
そう言えば最初に、レイちゃんと翔姉ちゃんに会った日
劇場からホテルへの移動の時車のチェックを怠って、襲撃を受けたことがあったっけ
これからは敵に隙を突かれるようなことがないように、気を引き締めていくわわたくしも、麗華も
レイちゃんも、頷く
ところで、麗華は人の名前を覚えるのは苦手
翔姉ちゃんが、レイちゃんを見る
あ申し訳ありません男の人は、特にこれからは、すぐに顔と名前を覚えるように努力致します
警備部長になるんだもんな
部員のことは、判っていないといけない
翔姉ちゃんは、香月セキュリティ・サービスの中で仕事したことのある人は全員覚えているみたいだし
あら、無理に覚えなくていいわよ
翔姉ちゃんは、笑ってそう言う
え翔お姉様
驚くレイちゃん
人には、得て不得手があるし上に立つ人間のスタイルなんて、千差万別よあなたが、人の名前を覚えるのが苦手ならそういう部長になればいいわ
フフッと微笑む翔姉ちゃん
あなたは強いんだから孤高の存在になりなさい部員たちに藤宮部長に自分の名前を覚えてもらえるように、現場で奮起するぞって思わせるのよそういうリーダーシップだって、アリでしょ
しかしそれでは、警備部の機能が
大丈夫よ麗華には、気配りの出来る優秀な秘書を何人か付けてあげるから細かいフォローは、その子たちに任せればいいからわたくしや谷沢チーフも、フォローするしだいたい、あなたデスクワークは不得意でしょ
いいから、丸投げしちゃいなさいねあなたはゼネラリストでなく、スペシャリストなんだから自分の得意なことだけに集中してくれればいいわ
翔姉ちゃんは、そう言う
あ、そうだ部下の名前が判らなかったら、絶対に適当に誤魔化してはダメよそういう時は、本人に名前を尋ねるのもダメ必ず、側にいるあなたの秘書に尋ねなさいこの部員の名前は何だって高飛車に、偉そうでいいから
すぐに秘書の子が何々でございますって答えるからそしたら、そうか何々、覚えておくよって、これまた思いっきり偉そうに言いなさい相手を褒めるときでも、叱るときでもどんな時でもね
でも、わたくし覚えておくって約束しても、覚えられないかもしれません
レイちゃんは俯いて言う
別にいいのよ次の機会でも秘書の子に、この部員の名はって尋ねなさいそうしたら、秘書の子がこの間の何とかの件の時の何々でございますって具体的に答えるからそれなら思い出せるでしょ麗華はああ、そうだったなって、笑ってればいいから
そんなことでは部下が自分を信頼してくれないのではありませんか
わたくしを信頼してやってごらんなさい上手くいくから
翔姉ちゃんは、笑っている
麗華が自分のことを思い出してくれたっていうことで、忘れていたってことはチャラになっているから相手の心の中ではそういうものなのよちゃんと覚えていないのに、覚えている振りをしてボロを出すより、よっぽどいいわ相手にとって誠実だし
そういうものなのですか
そうよわたくしを信じなさい
さっきの対応だって良かったと思うわ麗華は、ちゃんとやっているできているわたくしたちは、ちゃんと観ていたんだから
あそこの正門には、監視カメラも盗聴マイクも付いているのよお屋敷の中で、ミナホさんや克子さんたちも、あなたたちの様子を観ていたのあたしは、映像と音声を送ってもらって、この車の中で観ていたわ
翔姉ちゃんは、ダッシュボードの上のコンピューターを見る
うちの会社の監視員のあのダメ班長に対する対応は、あれでオーケイよ前の山岡さんの作った体勢は、全部壊していいからね新部長が女だからってナメて掛かってくる奴らは、ことごとく凹ましてやんなさいわたくしが許可します
公安さんとの対話は色々と問題もあるから、わたくしが出しゃばらしてもらったわあたしの到着が遅れた場合は、ミナホさんたちが割り込むことになってしたしでも、公安さんの相手は、閣下の専任警護人であるわたくしの方が良いでしょ
ジッちゃんの側に居て翔姉ちゃんは、政財界の多くの人と会ってきている
もちろん、ジッちゃんと国内外のVIPとの会談の警護もしてきているから警察上層部にだって、知り合いがいる
公安警察の組織や交渉の仕方だって、熟知しているんだろう
公安警察の現場の人間を威圧するなら翔姉ちゃんの方が、適任だ
だから、今日は割り込んだけれど早く、麗華自身が、公安さんに恐れられる存在になってちょうだいね
暗い顔の麗華
レイちゃんなら、大丈夫だよ
オレは、後部座席から声を掛ける
オレたちのレイちゃんだから
レイちゃんは、胸に手を置いて
わたくしの後ろに守らなければならない家族がいるということを、決して忘れません
うんまだ、肩に力が入っている
大丈夫かな
はーい着いたわよ
車がオレの高校の正門に着いた
結局この車には、尾行は付けなかったわねさっきのわたくしの態度を見て、一応は敬意を表してくれたのかしら
翔姉ちゃんは、車の後ろを見てそう言った
麗華分析なさい
あっ、はい
香月セキュリティ・サービスに関しては翔お姉様が警護車輌を出せと命じられなかったので、誰も付いてこなかったのだと思います
わたくしだけではないわ麗華も命じなかったからよ
レイちゃんが、次の警備部長監視班の人たちの上司になるということは、すでに知られている
まあ、トップ・エリートの警護人が2人も付いているんですもの命令がなければ、付いては来ないわよね班長が、近藤くんだし思い切ったことはしないか
近藤班長は、前の人に変わって班長をやれと命じられたばかりだ
公安さんの方は
公安警察は翔お姉様が彼らに示した情報の確認を優先しているんだと思いますつまり、恭子さんの行方ですが
レイちゃんは、答える
翔姉ちゃんは、レイちゃんを見る
いやわたくしなら、1車輌ぐらい出して尾行させますどうして、わたくしたちに尾行が付かなかったのか、よく判りません
正直でよろしい
翔姉ちゃんは微笑む
公安さんは彼とイーディさんへの警戒を解除したのよ
オレとイーディ
わたくしが、彼らの納得できるような説明をしたからよ
イーディが、オレの警護役でオレが、ジッちゃんの認めたみすずの相手だってこと
オレの問いに、翔姉ちゃんは
あの葉山って公安官が、最後に言ってたでしょあなたが、どこの名家の人間なんだって
確かにそんなことを言っていた
あの人たちの感覚だと香月家のそれも閣下の孫娘が、一般家庭の男の子と婚約するはずがないのよ
でも、オレは名家の人間なんかじゃないよ
そうよあなたのことをどれだけ調べても名家との繋がりは出て来ないわ
出て来るはずが無い
だからあの人たちは、あなたを有力な名家の人の隠し子だと思ったわけそんな話もしていたでしょ
ああそういえば
セックス・スキャンダルなんていうものは名家には付きものだから
香月家だって美子さんという、ジッちゃんの謀殺された長男の隠し子がいる
とにかく閣下の承認を受けているのならそれなりの名家の隠し子だってことは、間違いないだろうってことになるわけそれも香月家レベルの大名家よ
閣下があなたのために、わざわざイーディさんみたいな警護役をあなたのために買ったのよ普通の名家の隠し子じゃ、あり得ないでしょというより、香月家の中の有力者の子供だって思うわ公安さんなら
だから、オレを御落胤なのかと尋ねていたのか
で公安さんの第1目的は、恭子さんでしょ香月家とは、特にケンカしたいわけではないわあなたが、香月家と関わりのある人間だって判ったら捜査対象から消すしかないのよ
翔姉ちゃんは、そう言った
どれだけ、あなたのことを調べても名家との繋がりが無いのも当たり前あなたが香月家の係累なら記録が消されていたって、不思議じゃないわけだからそれに、あの人たちは国を守るって意識で働いているから名家のセックス・スキャンダルを暴くことに情熱は無いのよ
ということであなたに対する捜査は打ち切りよついでに、あなたを強制連行しようとしたことについて、公安警察は香月家に謝罪しなければならなくなったのよ香月家と公安警察の力関係を考えれば、当然ね知らなかったとはいえ閣下の身内を不当逮捕しようとしたんだから
さっきの最後のやり取りは、そういう意味だったんだ
まあ、公安さんはさっきの葉山公安官の暴走ということにして、平謝りよ香月家は、その謝罪を受け入れて警察上層部への圧力は掛けないと約束するその代わりに、あなたについての警察の捜査は二度と再開されないでしょうね
オレの過去は警察にとって、触れてはいけないものになる
イーディさんもあなたの警護人ということで、公安さんが手を出すことは無いわキョーコ・メッサーは、これまでも閣下に人材を紹介しているのよそして、恭子さんが日本に置いていった人を調べても、恭子さんを逮捕できるような情報は得られないことも今までの捜査で、判っているのよ
翔姉さんは、笑う
例えばあなたが警察に捕まったとしても、恭子さんについて何か知っているあの人の犯罪について、証言できることはある
瑠璃子の父親、香月重秋を殺したのはミス・コーデリアだ
恭子さんは、オレの眼の前では誰も殺していない
ヤクザの事務所への襲撃だって、オレは話を聞いただけだし
恭子さんの犯罪に対する証拠は何も知らない
そもそも、恭子さんのアジトとか知っている国内にも、外国にもたくさんあるはずだけど
そうでしょあの人、あたしたちに迷惑を掛けることになりそうなことは、何一つ知らせないようにして下さっているから
ああ本当に危ない仕事は、全てミス・コーデリアたちとやっている
凄い人よ自分にも他人にも厳しくて徹底的しているわそれなのに、あんなにユーモアがあって
だから、イーディさんもこれで、もう公安さんにマークされることは無いわ公安さんにとっては、日本に捨ててっていっても構わない程度の手下っていう認識でしょうから
それは、イーディがオレたちの家族として日本で暮らすことに公安警察は、邪魔をしないということを意味する
イーディの戸籍の問題とかは、別に何とかしないといけないけれど
あたしはいいんですかここに居ても
公安警察はマナが白坂舞夏だということを知っていた
麗華答えてあげなさい
警察に捜索願が提出されていない限り誰も手を出せないわ安心して
そうかマナの母親か、祖父の市川さんが捜索願を出さなければ
マナがどこにいようと、警察は手出しできない
でも、お兄ちゃんをマナの誘拐犯として逮捕するって言ってた
あれは、公安さんの脅しであり探りだったんだと思うわ
レイちゃんが、答える
あの場で、マナちゃんが助けてって言ったらわたくしたち全員を逮捕するつもりだったんだと思うの
公安警察はマナが、オレたちと一緒に居る理由を知らない
もし、マナが誘拐されていて自分の意志に反して、オレたちに連れ回されているのなら
あの場で、警察に保護を求めたろう
でも、マナちゃんは公安警察の人に助けてって言わなかったわだから、これは誘拐されているんじゃないって、判断したんだと思う
あたしもそう思うわ麗華
翔姉ちゃんも、太鼓判を押してくれた
誘拐じゃないのなら、手出しはできない胸を張っていれば良いのよ
しかしミナホ姉さんに、もう一度市川さんに連絡してもらった方がいいな
マナの母親が逆上して、警察に捜索願を出したら大変なことになる
食い止めないと
あなたが心配していることなら、ミナホさんはもう動いているわよ
翔姉ちゃんが、オレに微笑む
わたくしたちのお姉様ですものぬかりは無いわ
ミナホ姉さんなら、とっくに行動しているだろう
じゃあ、気を付けてあたしたちは、みすず様たちをホテルまではお送りするけれど、そのまま次の現場へ向かうから
翔お姉さんが、運転席の窓を開けて校門の前に立つオレたちに言う
そっか、翔姉ちゃんもそのまま車で、レイちゃんと一緒にグリーン山スタジオへ向かうのか
大丈夫よあたしたちは居ないけれど谷沢チーフが閣下の警護を取り仕切っているし、大徳さんたちもいらっしゃるわ
ジッちゃんの臨席する大きなパーティだ警護体勢は万全だろう
あの雪乃お姉ちゃんを、よろしくお願いします
判っているわケガとかは絶対にさせないから
翔姉ちゃんは、優しい笑顔で約束してくれた
それから、イーディに英語で何か言う
ウンウンと頷いている、イーディ
まあオレたちの警護を頼むぞとか、そういう話だろう
オレは、車を廻り込んでレイちゃんのいる助手席の窓をコツコツと叩く
レイちゃんは、窓を開けて
キョトンとした顔で、オレを見上げる
頑張って、期待しているからレイちゃんのこと、信じている
オレは手を差し出す
レイちゃんは顔を赤らめてオレと握手した
レイちゃん、緊張している
手が冷たいから
ちょっとだけです
イーディがやって来て車の影で、何やらゴソゴソしている
レイちゃんに、手裏剣を一つ手渡した
さっき、美智から貰ったやつだ
イーディは、グッと親指を立てる
イーディなりの激励なんだろう
じゃあ、わたくしたちは行くわ
翔姉ちゃんが、車のエンジンを掛ける
全て上手くいったら麗華と、お屋敷へ戻るわ夜にまた会いましょう
うん、判った成功を祈っているよ
あなたたちも、気を付けてね
翔姉ちゃんの車はキキッとターンして、お屋敷の方へ戻って行く
雪乃を連れてグリーン山スタジオへ向かうのだろう
ミナホ姉さんたちは、みすずたちとホテルへ向かう
オレたちは、メグを迎えに行って渚やマルゴさんを待って、ホテルへ
克子姉から貰った入構許可証を持って正門を潜る
オレは制服だが、イーディとマナは私服だ
だけど、別にオレたちを呼び止める人はいなかった
五月の連休の最終日しかも、もう夕方近い
今、学校に居るのは、部活の人だけだろうしそれだって、もう帰宅しているクラブも多いだろう
最終日には、早めに練習を切り上げてファミレスとかで打ち上げする部もあるらしいし
とにかく、校舎の近くに人気は無い
女子陸上部のグラウンドの方へ向かう
♫♫
イーディは、上機嫌だった
オレの手を握って、英語の歌を歌いながら学校の敷地を歩いて行く
マナが、オレのもう片方の手を握って付いてくる
イーディ、お前この学校に通うんだぞ
オレはマナに通訳してもらった
イーディは、不思議そうな顔をして笑っている
お前学校って判るか
何かねぇイーディちゃんは、教団施設の中の学校にしか、行ったことないみたい
マナが教えてくれる
暗殺教団が、自分のとこの子供たちを外の公共の学校へ通わせるはずがないもんな
でも、数学とか科学や物理は得意だったんだって
へえ意外だ
暗殺に必要だから
経典講読の授業は、苦手だったって
それはもういい
イーディは、暗殺教団からは抜けたんだから
こりゃアニエス並みに大変かもなすぐに編入するのは、無理かもしれないぞ
アニエスと一緒で年明け、三学期からの通学を目標にするべきか
いいんじゃない、イーディちゃんの場合は
元から、アメリカの人なんだし日本の国語とか、歴史とか、地理とかが判らないのは当然なんだから
そうか荒技だけど、このまま学校に通わせてしまった方が、日本の生活に慣れるのが早いかもしれない
だって、お兄ちゃんとメグお姉ちゃんのクラスメイトになるんでしょ
うんオレとメグで面倒を見ればいいんだよな
メグは、クラスの女の子に友達も多いし
イーディお前、これから毎日、オレとここに通うことになるからな
オレの言葉に、イーディは喜ぶ
オレの手をギュッと握って大きく手を振る
とっても嬉しそうだ
どうした学校に通うのがそんなに嬉しいのか
イーディちゃんお兄ちゃんと、毎日一緒に居られるのが嬉しいんだって
そっちかよ
それに、ここは木がいっぱいあって気持ちいいって言っているよ
初夏の午後涼しくて、風が気持ちいい
オレたちは、3人で手を繋いだまま歩いて行った
女子陸上部のグラウンドへ着く
ここは、いつ来ても土だらけだなぜ、こんな広い土地を耕さないのかだって
マナが、翻訳してくれた
うんとここは、運動をするための場所なんだよ
ランニングしているチームとああ、あっちは幅跳びか
暗殺教団に陸上用のグラウンドは無かったらしい
イーディは、フンフンとマナの説明に感心している
えっとメグはいない
どこへ行ったんだろう
あベンチのところに、竹柴キャプテンが居る
4人の3年生の先輩たちと一緒に、部員たちの練習を監督している
失礼します、竹柴先輩
オレは、竹柴キャプテンに挨拶する
えっとメグを
聞いている
不機嫌そうに、ジャージ姿の竹柴キャプテンは答えた
すみません昨日、今日とメグを早退させることになって
この他にも、メグはこの連休中の部活を何度か休んでいる
仕方ないよあたしも、朝のニュースは知っている
白坂創介の変死はマスコミに大きく取り上げられている
メグが、白坂家の遠縁であることはみんな知っているし
冠婚葬祭はケジメだからね
ギロッと、オレを睨む
え、竹柴さん何を怒っていらっしゃる
で何なんだ、その2人は
あ、もしかして学校の生徒でない人を連れて来たことを怒っているんですか
オレの問いに、竹柴キャプテンは
手
オレの手
あんた、恵美という恋人がいるのに何で、そいつらの手を握っているんだ
オレ、イーディとマナと手を繋いだままだった
ここのところ、自分の女と手を繋ぐのが普通になってたから
全然、意識していなかった
あたしに判る様に説明してもらおうか
竹柴キャプテンだけでなく、他の3年生のセンパイたちもジロリとオレたちを見る
梶島正樹先生の原作の小説が出ているというので、本屋へ
しかし、近所では無し
発売は、2週間も前だったらしいし
というか、こうだんしゃでも、らのべ文庫というのは置いている本屋がほとんど無い
仕方が無いので自転車を漕いで、売ってそうなところまで
この年で、アニメイトへ入るのは恥ずかしいです
中学生の女の子たちの後ろに並んで買って来ました
大昔に、マクロスのポスターを買ったのはアニメイトでなく、アニメックでした
女の子の絵でなくバルキリーの絵でした
540.ロマンチックが止まらない
そっちの外人の子は昨日のABCDだよね昨日よりは、オンナオンナした格好をしているけれど
ギロっとした眼で、竹柴キャプテンがイーディを見る
昨日のイーディは、渚の店のツナギ姿だったけれど今日のイーディは、白ワンピースに金のアクセサリーでお洒落している
イーディです
オレは、恐る恐る答える
イーディは、あっけらかんと笑ってグラウンドの方を見ている
まあ、いいで、そっち子のはあんたの何なわけ
竹柴キャプテンの眼力の強い瞳が、今度はマナに向けられる
気が付くと、竹柴キャプテンと3年生部員だけでなくグラウンド中の女子陸上部員が、オレたちに注目している
メグと婚約しているはずのオレが両手に美少女を抱えて、登場したんだから
あの、あたしは
マナが喋ろうとすると
あたしは、そいつに聞いているんだよっ
竹柴キャプテンは、マナを制する
あくまでも、オレの口からマナのことを聞き出したいらしい
ほら言ってみなよ
ええっと何て説明しよう
オレが、困惑していると
あたしの妹です
振り向くと制服姿のメグが居た
ああ、オレたちがお屋敷の門の前でのイザコザで遅くなっていたから先に部室で着替えていたんだな
は、はい山峰マナです恵美お姉ちゃんが、いつもお世話になっています
えっ、山峰さんて妹いたっけ
グラウンド内の1年生部員から、声が上がる
メグと同じ中学から進学した子かもしれない
あ、あたし、身体が弱くて、ずっと静岡に療養していたんで東京へ帰って来たのは、最近なんです
マナは、平然と答える
今日は、お兄ちゃんと一緒にメグお姉ちゃんのお迎えに来ましたでも、知らない学校の中へ入るのはちょっと怖いんで、お兄ちゃんに手を繋いでいてもらいました
マナの言葉を、ジッと竹柴キャプテンは聞いている
あたし、まだ中学2年生なんです高校生は、みんな大人に見えるから
マナは、同年代でも小柄な方だから
その言い訳には、何となく信憑性があった
嘘じゃないだろうね
本当ですメグお姉ちゃんとあたしの顔、見比べてください本当に血が繋がっているんですから
メグとマナは本当に姉妹だ母親は違うが
ふん、まあいいやで、そっちの外人の子は何なんだい
竹柴キャプテンの興味が、再びイーディに戻る
えっと、こいつは
オレが、イーディのことを説明しようした瞬間
クンクンクンと鼻を鳴らす
掴んでいたオレの手をバッと離して
いきなり、自分のスカートをバサッと捲り上げるッ
イーディの真っ白なパンティと形の良いお尻が、人前に晒される
その柔らかそうな太ももに付けられた黒代武器ケースも
HA
イーデイは、手裏剣を抜き取りグラウンド脇の茂みの中に、投げるッ
ヴゥゥゥオンッッ
美智の特性の手裏剣は、小さな穴が開いていて投げると空気を切り裂いて独特の音を鳴らす
ズサッズサッズサッ
最後の手裏剣の音だけ金属的な、何かを砕く音がした
ひぇぇぇぇぇぇッッ
茂みの中から、2人の男が転げだしてくる
な、何てことしやがるっ
おい、止めろ、馬鹿危ねえじゃないかっ
そいつらは
えっと誰だっけ
確か野球部の2年生の
お前らこそそんなところで、何をやっていた
竹柴キャプテンが、立ち上がる
カメラなんか持ってあたしたちを盗撮していたのかいっ
ああ、2人組の1人が手にビデオカメラを持っている
そのレンズのすぐ後ろに、イーディの投げた手裏剣がザックリと刺さっていた
や、やべぇ逃げるぞっ
おおっ
2人組が、走って逃げようとするが・
SHHAAA
風の様にスカートを翻してイーディが、ダッシュする
こ、こいつっ
男たちが、イーディに立ち向かおうとするが
meeweee
イーディの蹴りと抜き手で、あっという間に転倒させられる
イーディ、殺すなっ
Don’t Kill
慌てて、マナが英語で叫ぶ
イーディの拳が、男の額の直前で止まった
であんたたち、学年と名前を言いな
竹柴キャプテンと女子陸上部員が、捕らえた男たちを取り囲んでいる
えっとその
あのあの
早くしなよあたしは、気が短いんだ
両手を組んで、仁王立ちで2人を見下ろす竹柴キャプテン
二年の杉山です
同じく鯉住です
あ、思い出した野球部の2軍の
確か、生徒会長の岩倉さんの手下だったはずだ
ふーんで、何で、そんな草の中に隠れて、あたしたちを盗み撮りしていたんだい
竹柴キャプテンが、2人に問う
お互いの顔を見合う杉山と鯉住
う、美しからです
せ、青春の汗を永遠に記録しておこうと
そんなの嘘だ
多分岩倉さんの命令だな
あの人、ここのところミナホ姉さんが忙しくて、相手をしてもらっていないし
特に、学校内に白坂創介や恭子さんやミス・コーデリアたちが隠れていたりしたからミナホ姉さんは、岩倉さんを校長室の近くに寄せ付けないようにしていたはずだ
岩倉さんは、前にオレや寧を襲撃させるために、裏社会に情報を流出させた前科がある
学校内に白坂創介や恭子さんたちが居たことは、絶対に誰にも知られてはいけない秘密だったんだから
しかしそういうミナホ姉さんの態度は、岩倉さんとしては自分のことを無視されているみたいで、気に入らないんだろう
そこへ正門から、オレがイーディとマナを連れて、堂々と入って来たから
オレたちのことをチェックしに来たんだな
何かしら、オレたちの弱点を見つけてオレたちを責めるカードとして使おうと思っているんだろう
ミナホ姉さんの許可が無いと校内の盗撮システムは使えないから自前のカメラを使って
オレはぐるっと、周囲を見廻す
あ、居た
グラウンドの反対側の木の陰に岩倉さんが居る
うわっ、サイテーあたし、今日、短パンでトレーニングしてた
あたしだってブラ紐透け透けだし
盗撮とか、冗談じゃないわよ
それ、どうするつもりだったのよ
女子陸上部員が、口々に杉山たちに文句を言う
映像を確認したいけれどこれ、完全にブッ壊れちまっているしね
竹柴キャプテンが、杉山の持っていたビデオカメラを見る
イーディの手裏剣が深々と刺さって内部の機械を破壊してしまったらしい
キャプテン、メモリーは生きているでしょうからメモリーだけ引き抜いて、他のカメラで観たらどうでしょう
1人の部員が、手を上げて言う
メモリー
竹柴キャプテンが、メモリーの取り出し口を探す
と、イーディがトコトコと前に進み出て
ニッとキャプテンに微笑みビデオカメラを渡せと示す
あんた判んのかい
キャプテンが、カメラを渡すと
イーディは、すぐにカメラからメモリーカードを引き抜き
そのまま、スカートの中から取りだした電子ライターでメモリーカードを焼く
ゴオーッという、強力な火力でメモリーカードは、瞬時にチリチリと溶ける
このライターも、特製のものみたいだ
イーディは、ニコッとみんなに微笑み
That’s OK
うんまあ、未来に対する不安は完全に消えたが
何なんだいこの子は
イーディちゃんニンジャ・カブレなんです
マナが思い切ったことを言う
あの、アメリカでは今、日本の忍者が大人気で忍者道場とかも、あるんですイーディちゃんは、そういうところに通って
あ、あたしテレビで見たことあります何か、アメリカ人でかってに忍者教室みたいのをやっている人がいるんですよね
女子部員の1人が言った
それでこの子は、こんなに身体能力が高いってのかい
竹柴キャプテンは、呆れて言う
忍者教室だけじゃなくって他の武道もやっていたみたいです詳しくは、知らないんですけれど
メグも話を合わせてくれる
それで、どうしても日本の学校へ留学したいってあの、うちの学校に編入することになっているんです
メグの言葉にイーディは、ニコニコ笑っている
で、何であんたたちが、この子を連れているんだい
竹柴キャプテンは、オレたちに尋ねる
それはイーディちゃんの家族が、ヨシくんのお父さんの勤めている会社と取引があってヨシくんのところに、ホームステイすることになっているんです
メグよく、思い付くさすが、オレより頭が良い
でも、この子こういう子なんで、ヨシくんが手を繋いでいないと、すぐにどこかへ行ってしまうんでそれで、仕方なく手を繋いでいたんです
メグは、さらに辻褄を合わせてくれた
あたしも知っていることですし悪い子じゃないんであたし、この子とヨシくんが手を繋ぐことぐらいで、嫉妬したりしないですから
この子日本語は判っているのかい
いえ、アメリカ人なんで日本語は、まだ喋れないみたいです
オレたちはカタコトの英語で、何とかコミュニケーションを取っているというか
竹柴キャプテンは、女子部員たちに振り向き
平松、あんた英語は得意だったろこの外人と、ちょっと喋ってみな
山峰たちが言っていることが本当かどうか、この外人に直接尋ねてみるよ
まままマズイ
イーディ、空気を読んでくれるだろうか
余計なことを喋ったら、大変なことになるぞ
平松は、帰国子女で英語は完璧だからね何年行ってたんだっけ
小学校1年から中2までニューヨークに居ました
これは本気でヤバイんじゃ
じゃあ、ちょっと話してみな
平松という女の子がイーディに話し掛ける
イーディは、ニッコリと微笑んで
しばらく、2人の会話が続く
どうだい平松
竹柴キャプテンが尋ねるが
キャプテン、ダメです言ってることは何となく判るんですが細かいことは、よく判りません
この子の英語ちょっと、普通じゃないんですよ
平松さんは、困り顔で答える
あ、イーディちゃんニューオリンズの子なんです
平松さんは、納得する
ニューオリンズだと、何かあるのかい
竹柴キャプテンの問いに、平松さんは
ニューオリンズだと南部訛りが強い上に、フランス系移民の独特の英語が使われているんですよケイジャン文化って言うんですけれど
そんなに訛っているのかい
はいあたしじゃ、ちょっと判らないですね
いや確かに、イーディは訛りが強いはずだけれど
マナですら、意思疎通してきている
平松さんみたいに何年もアメリカに居た人が、話が通じないなんてことがあるはずない
イーディは、この場の空気を読んでくれている
それで、わざとニューオリンズ訛りを強くして、平松さんの質問が判らないような芝居をしてくれているんだ
とにかく山峰たちは、自分の家族だって言っています信頼できるって
平松さんは、そう言った
当のイーディは、カメラに突き刺さっていた手裏剣を引き抜く
それからちょんちょんと、オレの肩を叩いた
さっき杉山たちが隠れていた茂みを指差す
ああ、判った一緒に探してやるよ
オレは、イーディに答えた
マナが、不思議そうにオレを見る
さっき投げ込んだ手裏剣を回収したいんだよこれ、イーディが美智から貰った手裏剣だから大切にしたいんだよ
オレは、イーディと茂みに向かう
さっき、レイちゃんに1本あげていたけれどあれは、イーディがどうしてもレイちゃんを激励したかったからなんだな
イーディにとっては、とっても意味のある行為だったんだ
レイちゃんを、大切な家族だと思っているからこそ大切な手裏剣を分けてあげたんだ
待って、お兄ちゃんあたしも探す
マナも、走って来る
茂みの中を四つん這いになって
イーディ、パンツ見えるだろっお尻を向けるな
イーデイは、ウンウンと頷いて身体の向きを変える
杉山たちも見ているんだから、もう少し気を遣って欲しい
イーディちゃん、ここに刺さっているよ
マナが、地面に刺さっていた一本を見つける
イーデイも、一本回収する
最後の一本は木に刺さっていたオレが引き抜く
ほら、イーディ
イーデイは、ニコッと微笑んで手裏剣の泥を払い、スカートの中へしまう
そして、オレに手を差し出す
オレは、その手を自然に握って女子陸上部員たちの輪の方へ戻った
マナも、オレに手を差し出す
ああマナ
マナとも手を繋いで3人並んで、歩いて戻った
ああ判った納得できたよ
竹柴キャプテンがオレに言う
あんたの手のことだよ
ヤバイ、また自然にイーディとマナと、手を繋いでいた
とっても面倒見がいいんだなお前
バーカ、褒めているんだよあたしは
ニッと笑う竹柴キャプテン
あんたとその子らが、どういう関係なのか良く判ったよ山峰もケロッとしているし、あたしがとやかく言うことじゃないみたいだね
ああ、判ってくれたんだ
ところで、その子イーディって言ったねホントに、うちの学校に編入するんだね
あ、はいその予定です
そしたら伝えておいて
日本には忍術よりも、もっと素晴らしい武道があるあんたは、それをやるべきだって
その武道とは陸上競技と言う己を見つめて、己の技術を磨いていく地上最強の武道だよ
竹柴キャプテンは陸上競技もまた武道であるというのが持論だった
キャプテン、ところでこいつらどうします
3年生の部員が杉山たちを指差す
そうだねそいつらは、あたしたちの姿を盗撮しようとしたんだ何かしら、ペナルティを受けてもらわないといけないね
あの竹柴キャプテン
オレはこっそりキャプテンに、岩倉さんが隠れている方を示す
判っているよこれは女子陸上部のメンツが掛かった問題だから、あたしの方で話を付けるから
あ気付いていたんだ
あたしは、視力は2.0だからね
大きな瞳で、ニコッと笑う
あんたたちは、もう行きな家の方が大変なんだろ
あそれじゃあ、失礼します
皆さん早退させていただきますこの連休は、色々とご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした
メグが、部員たちに深々と頭を下げる
練習を休んだ日もあったし昨日、今日は早退している
メグは1年生だから、本当は後片付けとかもしないといけないのに
本当に、申し訳ありませんオレも謝ります
オレも深く、頭を下げる
マナとイーディも、一緒に頭を下げてくれた
家のことなんだから、しょうがないよあんたも大変だったよね親戚に、あんな馬鹿男がいたんだから
竹柴キャプテンが言ったその人物はメグとマナの実の父親だ
でも、今日で全部終わりましたから
白坂創介が息を引き取ったのは今朝だ
搬送された病院でおそらく白坂本家によって、命を断たれた
明日からは、一生懸命部活に励みますみなさん、よろしくお願いします
まあ山峰が、打ち上げに出られないのは残念だね夏の大会も近いんだ明日からは、またビシビシ鍛えてやるからね
竹柴キャプテンは、オレを見て
山峰を頼むよ
マナが、メグを呼ぶ
お姉ちゃんお兄ちゃんの隣にどうぞ
その様子は、親しい姉妹にしか見えなかった
では失礼します
オレたちは、もう一度女子陸上部の人たちに頭を下げてグラウンドを後にした
さっき嫉妬はしていないって言ったけれどあたし
大分、日が陰ってきた
校内を歩きながらメグが言った
ホントはちょっとだけ嫉妬しているの
オレをチロッと見る
ヨシくんいつから、そんなにイーディさんと仲良くなったの
イーディは、オレの手を握りしめてニコニコしている
さっきかな
さっき
さっきイーディと一緒にお風呂に入って居て
一緒にお風呂
いや、みすずや瑠璃子やマナも居たしアニエスも
メグの眼が、オレを見ている
ふーん、お風呂で何していたの
オレの全身をペロペロ舌で舐められて射精した
いや、その時はイーディはいなくて、イーディが風呂場に来たのはその後なんだけれど
あたしのいない間に、色々あったんだ
オレは、メグを抱きしめキスをする
今は居るだろメグの前に、オレが
そうだね一々、嫉妬するようなことじゃないよね
と、イーディがオレに寄って来る
オレに、顔を突き出す
自分にもキスして欲しいっていうのか
今はダメだ
ここは校内だ岩倉さんの手下が、他にもいるかもしれない
オレとメグとの関係は、学校公認になっているけれどイーディは、そうじゃない
変な噂を立てられたら、大変なことになる
MOOO
イーディは、不機嫌そうに息を漏らすがこればかりは、仕方ない
すると、イーディの表情が和らぐ
OK、darling
マナ、イーディに何て言ったんだ
お兄ちゃんは、照れてるんだってそれとイーディちゃんとは、ロマンチックなシチュエーションでキスしたいって思っているんだよって言ったの
イーディと、ロマンチックか
ヨシくんあたしも、ロマンチックにしたい
お兄ちゃんマナも、ロマンチックがいいなあ
3人の美少女がオレに寄り添う
渚さんたち、もう着くって
校門の前でメグが携帯のメールを確認してくれた
darlingdarling
イーディが、眼を輝かせてオレに近付く
コーラの自販機を指差している
ああ、こいつ自販機が好きなんだっけ
いいよ、買ってやるよ
オレは、財布を取り出す
あ、お兄ちゃんあたしがイーデイちゃんと買ってくるよ
そうか、じゃあ頼むよ
お兄ちゃんは何がいい
お茶がいいなちょっと喉が渇いているし
メグお姉ちゃんは
スポーツドリンクあの、レモン味の炭酸じゃないやつよ
オレの財布を持ってマナがイーディと行く
そうだマナ全然、お金を持っていないんだよな
そういうことも、考えないといけないな
中学2年生の女の子って、一ヶ月幾らぐらいお小遣いをあげればいいんだろうか
マナは、白坂家のお嬢さんだから結構、貰っていたかもしれない
何かバイトを始めないとマナに小遣いも渡せないな
いや、昔石田三成がさ
石田
自分の知行が、まだ500石の時にさ有能な家臣を手に入れたくて、その500石を丸まる全部与えたんだって
何を言ってるんだ、オレは
イーディさんヨシくんのこと、ダーリンて呼んでるんだね
あそうだなああ、あれダーリンって言ってたのか
ダー何とかって聞こえていたけれど
darlingで、ダーリンか
え、気付いていなかったの
ほら、英語だからよく判ってなかった
ダーリンてどんな意味なんだろう
メグが、プッと噴き出す
え、メグ
ヨシくんたら
クククと笑っている
あたし、ヨシくんのそういうところ大好きよ
そういうところってどういうところだ
あのさメグ
オレは伝えないといけない
雪乃は、自分の意志でグリーン山スタジオへ行くって決めてくれたよ
あいつはオレの家族にはならないオレも雪乃もそれが判っているから
もういいの
うん、もういいオレには、メグたちが居る守らないといけない家族が
オレは、楽しそうに自販機でジュースを買っているマナとイーディを見る
なら、あたしももう気にしないわ
スッと、オレに寄り添って来る
ヨシくんが、心を決めてくれたのなら
東京は、一日雨でしたしとしと
何か、大学時代のことを思い出しました
色んなことがあったし、彼女もいて幸せだったはずなんですけれど
思い出すのは、授業の空いた時間に一人でボーっと学食に居る時間で
ちょうどこの時期に小雨の降る外を眺めていたことを思い出します
背伸びして、メイプルソープの特集号の美術雑誌とか眺めながら
大学は、授業が一番楽しかったです何たって、自分の興味のある授業ばかり受けていいのですから
確か、3年生の段階で卒業に必要な単位は、全部取ってしまっていた気がします
最終的に、20単位ぐらいオーバーしたような
友人に、お前の単位をオレにくれと言われた覚えがあります
まあ大学で習ったことなんて、その後の人生に何の役にも立っていませんけれど
541.HOTEL
さて、メグ、マナ、イーデイと4人で校門前で缶ジュースを飲み終わった頃
ようやく、迎えの車が到着した
っていつもの渚の外車でなく、渚の店の商用バン
オレたちの前に、車が着く
お待たせ
窓を開けて、そう言ったのは運転の渚だった
助手席は、寧マルゴさんと真緒ちゃんが、後部座席に居る
車のスライドドアを開けると、真緒ちゃんがオレに飛びついて来る
オレは、真緒ちゃんを抱きしめて頭を撫でてやる
早く乗ってあんまり、見られたくないから
マルゴさんが、笑顔でそう言った
メグ、マナ、イーディが慌てて車に乗り込む
バンの2列目にオレが加わり
メグ、マナ、イーディは、折りたたみ式のベンチシートの最後列に乗った
幸い、校門の近くに生徒の姿は無い
ドアを閉めると同時に、バンは加速する
この人数だと、この車でないと乗れないでしょ
渚が、運転しながらそう言った
あ、そうか8人だもんな
それに、今日はこっちの車の方がいいのよ
オレが尋ねると渚ではなく、寧が答える
これから行くホテルは今夜のパーティのために、VIPがたくさん来場するからこういう仕事用の車の方が怪しまれないよ
でも、この間のみすずたちの日舞発表会の時はわざわざ、高級車で出掛けたじゃないか
マルゴさんのマセラッティとか、ミナホ姉さんのベンツとか
あの時はあたしたちも、観客として出掛けたわけでしょだから、他のお金持ちの人たちに負けないように、派手な車で出掛けたけどさ今日のパーティは、出席するのはミィちゃんたちだけでしょ
あたしたちの分まで、招待状が無いしあたしたちは、恭子さんがアクションを起こした時間にホテルに居たっていうアリバイさえあればいいんだから
寧の言葉に、マルゴさんが補足する
今日のパーティは、警備も厳重だからアリバイとしては、申し分ないと思うよ
そう言えば何のパーティなんです
オレは詳細を知らない
一応、表向きとしてはロシア映画フェスティバルのオープニング・パーティってことになっているんだけどね
来賓として、ロシア政府の資源や天然ガス関係の大物が来日しているんだよそれと、ロシアのエネルギー関連の会社のトップがロシア演劇祭のスポンサーになっているから
ロシア
だから、このパーティに日本の総理大臣も来るんだついでに、政府の事務次官がパーティの合間に、ロシアの人たちと極秘会談する予定だってさ
極秘
首相のお供で、パーティに来ましたってことにしておいてホテルの別室で、こっそりそれなら、マスコミに気付かれずに話ができるだろ同じホテルの中でやっているんだから
日本側も、ロシア側もパーティのために控え室をあらかじめ用意しているから、お互いの部屋を行き来すればいいマスコミのカメラは、どうせ首相だけを追っ掛けているんだから
もちろん、政府関係者でなく日本の財界の人たちも、たくさん来るよロシアとの取引を増やしたい企業は多いし
そういう人たちも映画祭のことは建前として、こっそり裏で商談をする
こういう文化的なパーティの方が、嫌味なくコネクションを作ることができるからだから、香月さんが今日のパーティに臨席しないといけないんだ
ジッちゃんが、何で
だって、ほらコネを作るには、紹介者ってのが必要だろ香月さんみたいに、広く顔も名前も知られている人が間に入らないと酷い場合だと、香月さんがロシアの人と歓談している時を見計らって、わざと自分の知り合いを紹介したりしてね香月さんに、その知り合いをさらにロシアの人に紹介してもらったりして
シゲちゃんみたいな地位に居る人は、そういうこともしてあげないといけないのよ
逆に、あんまりロシアに紹介しちゃいけないような人はシゲちゃんが、間に入って排除したりね
ジッちゃんも大変だ
力ある者の義務だよ
ま、あたしたちは関係無いよあたしたちは、ミィちゃんとルリちゃんのお付きとしてドレス・アップとお化粧だけしてあげればいいんでしょ後は、部屋の中でテレビでも観ながら、真緒ちゃんと遊んでればいいんだし
寧はそう言って、笑う
いや、オレは一緒にパーティに出てくれって言われたぞ
えそうなの
うん何か、克子姉がオレのスーツも用意してあるって言ってたし
総理大臣とかの来るパーティとかあんまり出たくないけれど
まあ、しょうがないだろうね今言ったようなパーティだから、名家の人たちもたくさん来場するしロシア映画祭ってことだから、みんな奥さんや子供も連れて来るだろうからね君のことをアピールするには、最適な場だろうから
香月グループの重役たちには紹介されたけれど公式な場で、みすずちゃんのお相手として披露されるのは、今夜が最初ってことだよ
隣に座った、メグの顔が曇る
それも、香月さんの了解無しにサプライズでやっちゃおうっていうんだから、みすずちゃんも瑠璃子ちゃんも、良い度胸だよね
オレは瑠璃子とジッちゃんの関係改善だけを考えていたけれど
あの2人は、さらに先を考えている
子供の頃から、ずっとお嬢様中のお嬢様だった2人だから覚悟が違うんだよ昨夜、一晩一緒に居て、よーく判ったよ
香月家の娘として、常にみんなから見上げられている存在でいつも気を張って、凛としていないといけないからヨッちゃんの前だと、弾けちゃうんだよヨッちゃんとのセックスでしか、自分を解放できないんだよね2人とも
だからオレ、あいつらの望みはできる限り叶えてやりたいんだいつも、ガマンしている2人だから
みすずも瑠璃子もオレの前だけでしか、裸の自分に戻れない
オレとの時間を喜んでくれている
ただ、あいつらオレのこと、スーパーマンだと思っているから
どんなことでも、受け入れてくれる強い男だと思っている
あ、それも昨夜感じたそうだねそういうのは、あたしたちで様子を見て、ヨッちゃんの負担にならないようにしないとね
寧が、メグに言う
何驚いているのよっミィちゃんとルリちゃんの暴走を防ぐのはヨッちゃんの正統な姉であるあたしとヨッちゃんの正妻であるメグちゃんの仕事でしょうが
寧は笑って、そう言う
ヨッちゃんは、できる限りあの子たちの自由にさせてあげたいって言ってるんだし年上のお姉さんたちが注意したら、根が優等生なあの子たちは萎縮しちゃって、ヨッちゃんに対して遠慮をしだすでしょだからさあたしたちが、ちょっと嫉妬して妨害するぐらいのノリで修正していくしかないんだよ
メグは眼を見開く
あ、あたしそんな
じゃ、交代するあたしがヨッちゃんの正妻でメグちゃんは、愛人1号になるあたしは、それでもいいよっ
そ、それは嫌です
じゃあ、正妻としての仕事をしなさいっての他の女の子から憎まれるのは、当然でしょ正妻なんだから偉そうに、堂々としてなさいってば
あたし自信がありませんあたしよりも、みすずさんの方が綺麗だし、堂々としているし、よっぽどヨシくんの正妻に向いていると思うし
でも、しょうがないじゃんヨッちゃんは、ミィちゃんが正妻じゃ保たないんだからメグちゃんじゃないと、ダメなんだよ
ヨッちゃんはさ香月家のあの子たちが、素の自分になる時には必要だけど香月家の堅苦しい世界の中で生活するのは無理なんだから普通の子なんだもんミィちゃんやルリちゃんみたいに、子供の頃から上流階級に鍛え上げられていないんだから
オレには無理だ
今日みたいな、ヨッちゃんがあの子たちとパーティに出なくちゃいけないような特別な機会は、これからもあるかもしれないけれどでも、基本的には、ヨッちゃんはメグちゃんやあたしと同じ世界に居て、ミィちゃんたちの方が心を休ませるために遊びに来るんだよだからメグちゃんが、正妻なんだ
メグが感激している
ねえねえ、真緒は真緒は、どの世界にいるの
ずっと話を聞いていた真緒ちゃんが寧に尋ねる
うーん、真緒ちゃんはまた別の世界にいるんだよそうだね、トモゥロー・ランドだねっ
あたしやメグちゃんは、アドベンチャー・ランドでアニエスちゃんは、ファンタジー・ランドに居る克姉と渚さんは、ワールド・バザールでマナちゃんは、クリッター・カントリーイーディは、トゥーン・タウンだな
みすずちゃんたちは
真緒ちゃんの問いに、寧は
そりゃあ、ミイちゃんとルリちゃんはシンデ*ラ城決まってるよっミッちゃんは、時計を持ったウサギでその辺を走り回っているっ
ウェスタン・ワールドには誰もいないの
渚が笑って言う
だって、そこは恭子さんたちが暴れているでしょ
そうキョーコさんたちなら、カリ*の海賊の方じゃないの
あ、そうかも
寧も笑う
ミナホはどこに居るのさ
マルゴさんの問いに、寧は
そりゃ、ファンタジー・ランドだよイッツァ・ス*ールワールドとか、好きそうじゃんかっ
ホーン*ッド・マン*ョンじゃなくて
あはははと笑い出す寧、マルゴさん
レイちゃんと翔お姉さんは
渚が尋ねると、寧は
2人とも、正面入り口で来場者の手に再入園可のスタンプを押しているよっ
オレはよく判らない
というわけでさ一段落したら、みんなでネズミー・ランドへ行こうねっ
うーん、あたしはパスだな
マルゴさんが、即座に言う
えっどうしてよ
あそこってアメリカ人の頭の中にある歪な世界を元にしているからあたしはあんまり好きじゃないんだそれにさ
どこへ行っても、ネズミが出るし
そう言えば、今の寧の話にマルゴさんは出て来なかった