いいんだよヨッちゃんの嫁としては、不甲斐ないメグちゃんが悪いんだからあたしたち別に一度、そう決めたんだから、絶対に守らないといけないことなんて無いんだし
あたしたちが譲り合った結果メグちゃんが正妻で、それでヨッちゃんが不幸になりそうならお姉ちゃんは、ブッ潰すよどうしても、メグちゃんじゃなきゃダメなんてことは無いんだからさ
でもそんなことしたら、メグお姉ちゃんは
家族の中で居場所を失ってしまう
マナちゃん優しくするのと、甘やかすは別だよそれとあたしたちは、あたしたちのこのハーレムを守り抜くことの方が常に優先だよメグちゃんの我が儘が、あたしたち全体に影響を及ぼすのなら切り捨てることも考えないとね
メグを切り捨てるって
ヤ、ヤッちゃん
ヨッちゃんあたしはあくまでも、最悪の事態を想定して言っているだけだよ今はメグちゃんの正念場ここでメグちゃんが、成長できなければってこともちろん、あたしだってメグちゃんが目覚めてくれることを望んでいるよでもね
ヨッちゃんは、絶対にメグちゃん1人だけのものにはならないもし、そうなったらあたしたち全員が行き場を失うよヨッちゃんだって、絶対にそんな選択はしない
オレはオレの家族を見捨てることなんてできない
でも、メグちゃんはヨッちゃんと2人きりだけの、普通の家庭を夢見ているあたしたちは、たまに遊びに来る姉妹ぐらいになればいいのにって思っている
メグは普通の女の子だ
メグちゃんが、その夢を捨ててくれないとあたしたちは、メグちゃんを正妻の座から引きずり下ろすことを考えないといけなくなるんだよ
これもまたこの4ヶ月間の家族生活の結果
家族の中ではオレの女の1人として、平等な立場のメグが
学校内ではオレの正式な婚約者として、特別な立場に居る
そのギャップがメグを苦しませている
メグは、学校で認知されているようなオレの特別な存在になりたいと、心の中で望んでいる
もちろんそれはできない
となればこの病根を絶つためには、学校内でのオレたちの関係
公式な婚約の方を解消しなくてはならなくなる
マナちゃんあんたにはまだ、ファイティング・スピリットは残っているかい
寧がマナに言う
いいんだよマナちゃんが、ヨッちゃんの正妻を狙っても法律上の戸籍上の妻になっちゃったって
でもメグお姉ちゃんが
そこは気にしないどうせ、ヨッちゃんが、本当に結婚するまではまだ何年もあるんだよ競い合ったっていいんじゃないのていうか、競い合え女を磨くんだよルリちゃん、どんどん綺麗になってるよね
確かにオレたちと一緒に暮らすようになって、瑠璃子は心の安定を得ている
家事だけでなく克子姉や渚、寧から、どんどん美についても学んでいる
あんたもだよマナちゃん
寧の笑みにマナは驚く
マナちゃんもどんどん、綺麗になっているあたしたちみんな、知っているんだよマナちゃんが、メチャクチャ努力しているってこと
マナも瑠璃子と並んで、克子姉から家事を習っている
そしてスーパー・モデルになるためのプログラムも頑張っている
日々の体質改善と運動
特に、背を伸ばしたり足を長くするための成長促進のプログラム
そして、毎日欠かさないオレとのセックス
マナは、間違いなくここから飛躍的に美しくなっていくと思う
メグちゃんが頑張っていないとは言わないけどさでもね、こういうのはさ一番努力した人が、勝ち取るべきだと思うよあたしは
いいのあたしが、お兄ちゃんのお嫁さんになっても
そんなの、あったり前っメグちゃんから奪っちゃえ
寧は、可奈センパイに振り向く
ああ、もちろん可奈ちゃんがゲットしてもいいんだよ妻の座は
それは判ったけれど何で、寧さん自身は参戦しないの寧さんはノブのお嫁さんになる気は無いわけ
あたしは本当にお姉ちゃんになっちゃうんだよ
ほら、あたしが理事長先生の家の養女になったって話はしたよねそんでヨッちゃんも、その内やっぱり理事長先生の家の養子になることになっているから
というかオレは戸籍上は、すでに黒森だ
親父が養子縁組の書類にサインした段階で
だからあたしは、絶対にヨッちゃんとは結婚できないんだよ
えー、そこはノブの方を養子縁組で、寧さんと結婚させちゃう手があるじゃない
それはまあ、色々と家庭の事情もあるんだけれどねそれ以上にあたしは女としてヨッちゃんのことを心から愛しているわ愛しているけれどお姉ちゃんとしても愛しているのあたしは奥さんでなく、お姉ちゃんとして一生、ヨッちゃんを支えたいんだ
寧はそう言ってくれた
そして、ヨッちゃんの愛している女の子たちのこともメグちゃんやマナちゃんや他の子たち、もちろん可奈ちゃんのこともお姉ちゃんとして、愛したいの今はこうやって、マナちゃんに火を焚き付けているけれどもちろん、この後、メグちゃんも激励するよあたしはあたしたちが一度、こう決めたんだから、もう仕方がないって諦めて、不活性化して、沈滞しないようにより幸せになるためなら、競い合いでもバトルでも何でもアリなんだよって、みんなに呼び掛けたいだけだから
なるほどということは、わたくしが正妻になるという可能性もあるということですね
ずっと話を聞いていたレイちゃんが微笑む
うん、そうだねっもちろん、オッケーだよ、レイちゃん
寧は、笑顔で即答した
では勝負ですマナちゃん
戸籍上の正妻の座は一つですけれどわたくしは負けませんよ
そうかオレたちが停滞しないためには、家族内での前向きな競い合いは必要なんだ
譲り合っているだけでは家族全体が弱くなる
ってことはさやっぱり、ノブはあたしの彼氏になるべきなのよ
可奈センパイがそう言った
あの陸上部の子よりあたしの方が絶対に良いって
可奈センパイは、そう言ってオレの腕に、胸を擦り付ける
ほらほら、そろそろテニスコートだよっ
寧が、オレたちにそう告げた
星崎さん今の今まで、どこへ行っていたのよ
いきなり偉そうなメガネの女の先輩に怒られた
ごめんなさーい、モリ副部長ちょっとアレがきちゃって、お腹が痛くなってぇ
可奈センパイは笑顔で答える
嘘よあなたの生理周期、知っているわよ
副部長のモリさんは、そう言う
そんなの、たまには乱れまーす来ちゃったものはしょうがないでしょなんなら、血が出てるところを見せましょうか
今の可奈センパイの股間には処女喪失の血が
寧さんに、生理用のパンツとナプキン借りてきたんだからっ
もう、そういうことを大声で言わないでよっ
副部長さんはムムムツっと怒った
ねぇ、ちょっとアレ
あの人ってそうよね
テニスコートの中から、次々にテニス部の女の子たちがこっちに寄って来る
あの藤宮麗華さんですよね
1人の小柄な女の子がレイちゃんに尋ねる
はいそうですけれど
鷹揚にレイちゃんが答えると
きゃぁぁっ
女子テニス部員たちの黄色い歓声に包まれる
ああアーニャの時とは、反応が違う
ロシア系アメリカ人で、美人で金髪でプロポーションの良いアーニャに寄って来たのはどっちかって言うと、男子生徒だったけれど
レイちゃんやっぱり女子には、爆発的な人気があるんだ
ちょっとちょっと待ちなさいあなたたち、まだ練習は終わっていないわよっもう、星崎さん、どうして部外者をここに連れてきたのよっ
副部長のモリさんが、キレる
今日、こちらの学校にわたくしの天敵が来たと聞いて、調査に来ました
レイちゃんはニコやかに、そう言う
昔はこういう融通の利く性格じゃなかったんだけどなあ
レイちゃんも、やっぱり変わってきている
ああ、ニキータさんねっ
見た見たあたし、見ました
あたしも、サインしてもらっちゃいました
藤宮さんもサインして下さい
やっぱりテレビの力は、凄いなあ
みんな、レイちゃんを知っている
それに、レイちゃんは元々、下級生の女の子に人気があるタイプだったっけ
下級生の子らのリクエストに応えていたらいつのまにか、男装の麗人になっていたという
テニス・コートの前はすっかり、レイちゃんのファンの集いと化していた
どう、テニス部の子もみんな可愛いでしょノブ、エッチしたい子いる
可奈センパイがオレの耳に囁く
あたしだけ犯されちゃったのもクヤシイから次は、あたしも犯す方になりたいわ
オレの女はみんなこうなるのか
ほほほほほほ星崎さんっ
そこへ木刀を持った、男子生徒が乱入してくる
困り顔の可奈センパイ
あたしのさっき別れた人
さっき、オレがレイプした後オレのペニスを胎内に挿入したまま、別れ話をさせた
ささささ、さっきの電話はどういうことですかっぼぼぼぼ僕は、なななな納得がいかないですっ
あれって剣道部の主将でしょ確か、学年で2番か3番に頭が良いって言う
背も高いし顔も、オレより遥かにハンサムだ
頭も顔も良いから連れて歩くには良い人だったんだけどねぇ家もお金持ちだしただオコチャマなのよ、あの人
小声で可奈センパイが、そう囁く
ぼぼぼぼぼ僕はわっ、わっ、わー、別れませんよっあああ、あなたとはっ絶対に、別れないですともいや、ホントにマジで
突然、可奈センパイに別れを切り出されて気が動転しているらしい
ここここ、ここを見張っていればずぜずぜ、絶対に、あなたは帰って来ると思っていましたああー、あなたは帰ってくるくるくるくる待ちかねたぞぉぉぉぉ
黙っていれば、ハンサムなんだけどなぁ
ごめんなさいさっきも言ったけれど、あたし、他に好きな人ができたのだから、あなたとはもう付き合えません
可奈センパイは、ハッキリ、そう言う
星崎さん、そういう言い方はないでしょうっゴダイくんがゴダイくんが可哀想よ
え副部長さん
ぼぼぼぼ僕は僕は信じないぞおおおおっそんなの信じない信じないってば、信じないっ
すっかりテニス部の子たちは、みんな突然のイベントを唖然として見ている
そうは言っても本当のことなのあたしも、まさかこんなに突然、恋に落ちちゃうとは思ってなかったんだけどね
可奈センパイはさらに別れた男を煽る
そそそそ、そんな
あなの何百倍も好きになっちゃったのあたしその人のことが
クククと微笑む可奈センパイ
剣道部のゴダイ主将は顔面蒼白となって
だだだだ、誰だっ誰だっ誰だぁぁっ
喚く剣道部のゴダイ主将
相手はだだだ、誰なんですかぁ
うふふそれはね
可奈センパイは寧とマナの間に居る、オレをチラリと見る
ええーっ
あれってパン屋の子よね
女子陸上部の子と婚約しているんじゃなかったっけ
えまさか、二股
電撃が迸った様にに、そんな声が次々と聞こえる
まままままま、まさかぁぁおおお、お前かぁぁおーまーえー、なーのーかぁぁ
ゴダイ主将の血走った眼がオレを睨む
ゆゆゆゆゆ、許せんっせせせせせ、成敗してくれるぅぅそこに直れぇぇぇぇ
いつの時代の人間なんだ
ゴダイ主将が木刀を正眼で構える
このままでは寧とマナも危険に巻き込む
前に出るか
相手の剣戟を避けるだけなら工藤流6級のオレでも、何とかやれるかも
オレは距離を詰める覚悟をする
わたくしですが何か
レイちゃんが、ニャッと微笑んでゴダイ主将に言った
はははは、はい
だって、ほらこの子、こんなに可愛いんだもの
レイちゃんは、すっと前に出て可奈センパイの頬を撫でる
済まないね君から取っちゃって
レイちゃんの爽やかな笑顔にテニス部の女の子たちは
ハートマークの吐息を吐く
レイちゃんは、撲殺ステッキを握りしめゴダイ主将の方へ進む
君剣道をやっているんだろせっかく、藤宮麗華に会えたんだちょっと遊んで行ったらどうです
そして傍らにあった、大きな石を見る
セェイッ
レイちゃんが、撲殺ステッキでシュバッと、その石を叩く
軽やかだが切っ先が空を切るスピードは、スバ抜けて速い
カツッ
ステッキの先端が、石を叩いた音は軽かったが
大きな石は、そのままパカッと二つに割れた
わたくしは、プロですからどんな時も手加減は致しませんそれだけは、判っていて下さい
そして、撲殺ステッキをゴダイ主将に向けて、構える
スゥゥゥっと、深く息を吸い相手を本気で睨む
藤宮麗華、参るッッッ
その裂帛だけでゴダイ主将は、腰を抜かした
あわわわわわわわわわわっ
レイちゃんが、撲殺ステッキを振り上げた瞬間
止めてぇぇぇぇぇっゴダイくんがぁぁゴダイくんが、死んじゃうぅぅっ
テニス部のモリ副部長が剣道部のゴダイ主将を庇って、飛び出した
あー、あんたたち、もう付き合っちゃえば
寧が無責任に呟いた
じゃこの子のことは、諦めてくれますね
レイちゃんが、笑顔でステッキを下ろす
ゴダイ主将はすでに気絶していた
その身体を抱いてモリ副部長が、ワンワン泣いている
はぁー、またやられたわこれも、チームワーク
可奈センパイが、オレたちを見る
そういうこと可奈ちゃんも、早いところチームに参加してね
その方が楽しいよーっ
うふっそうみたいね
可奈センパイも、笑っている
うーむ、今頃夏バテなのか、何かくたびれています
649.いるかいないか
そんじゃあね寧さん、ノブ、藤宮さん、それからマナちゃんだっけ
可奈センパイが、オレたちに微笑む
わたくしのことは、麗華さんで構いませんよ
じゃあ、麗華さんまたあ、そうだ
可奈センパイは、お屋敷で貰った物を詰めた紙袋を示して
克子さんに、ありがとうって言っておいて寧さんも、ありがとう、これ
克子姉とブランド小物と寧から貰ったルージュか
どうしたの可奈っち
それ、どうしたんですかセンパイ
すぐにテニス部の子たちが、興味を持って近寄って来る
あ、これ貰ったのよ実はね寧さんのお家が学校の近くだからって、ちょっと遊びに行ってたのそしてら、寧さんのお姉さんが使わなくなったブランド品をあたしにくれるって寧さんからも、口紅貰っちゃった
うわぁっ、いいなあっ
あ、そのポーチ限定品だよ、確か
えー、日本限定品
違う違う確か、パリ本店だけのはず
えー、いいなあっあたしも欲しいっ
レイちゃんに興味を持たなかった子まで、ブランド品には食い付いてくる
ダメダメ、あたしは寧さんの親友だから特別に貰ったんだもんそうよね、寧さん
可奈センパイは、寧を見る
うん、まあそういうことっ
寧さんのお姉さんにまたあげるから、いつでも遊びにいらっしゃいって言われちゃったわあたしだけっ
可奈センパイは自分が特別なのだと、みんなにアピールしている
えー、じゃあ、あたしも奈島さんの親友になるぅ
あああ、あたしも
あのあたし前から、奈島センパイのファンでした
わーっと、テニス部の女の子たちが寧の方へ押し寄せる
みんな適当なこと言っちゃダメよ寧さんは、人を見る眼のある人なんだからだから、あたしのこと親友にしてくれたのよねっ
可奈センパイの方がよっぽど適当なことを言っている
あっ、そうだ寧さんのお姉さんが今度、ブランドの関係者オンリーのバーゲンの招待状くれるって約束してくれたのよあたしと寧さんとで行くんだけどもう一人ぐらい、会場に入れるかも
あ、あたし行くっ
可奈さん、あたしが行きたいですっ
まあ、その辺は寧さんと相談して決めるわ
この人はオレは普通の特上と思っていたけれど
そうじゃないな
可奈センパイは普通の女の子たちの女王様なんだ
オレの女たち寧も、みすずたちも、普通の女の子たちを良く知らない
普段、余り接触してきていないし最初から、普通の子は自分とは違うものだと考えているからだ
でも、可奈センパイは自身も普通の女の子の中に居る
普通の女の子の生態を良く理解している
だから普通の子たちをコントロールし、君臨する力を持っている
それじゃあね今度こそバイバイね皆さんによろしくぅまたね
可奈センパイは、ニッコリと微笑む
それからノブ今夜にでもメールするわ
メールも何も可奈センパイには、オレのアドレスなんて教えていないけれど
ああ、みんな聞いてさっきの麗華さんの言葉は、もちろん冗談なの
ニッと笑う、可奈センパイ
今のあたしはねあのノブに夢中なのッ
大きな声で女子テニス部員たちに宣言する
えっえーっ
今まで一番大きなざわめき
え、でもあの子、婚約者が居るでしょ
パン屋くん校内で一番有名なカップルだよ、可奈さん
驚く女子部員たち
つーか、可奈センパイだけでなくオレの通称はパン屋くんになっているのか
でも、しょうがないでしょ好きになっちゃったんだから
か、可奈センパイ
あたしのものにするためなら、何でもするわよだって、ノブはあたしと居る方が幸せだと思うもんっ
マナがキュッとオレの背中にしがみつく
だ、だいたーんさすが、可奈っち
それって下克上ってやつ
いや、下克上じゃないでしょ略奪婚
強奪
ところでパン屋くんの後ろにいる可愛い女の子は誰
うんうちの制服着ていないけれど
テニス部員の眼がマナに集中する
ああ、彼女はねノブの妹まだ中学生なんだっけ
可奈センパイがマナに尋ねる
吉田マナです中学2年です
お兄ちゃん子なんだよねっそのうち、あたしがお兄ちゃんのお嫁さんになるから、よろしくねっ
それは可奈センパイの宣戦布告だ
か、可奈さんはお兄ちゃんのお嫁さんになったりはしないですっ
あーらら、可奈ちゃん、嫌われちゃったみたいね
何をまだまだ勝負はこれからよっ将を射んとすれば、まず馬からマナちゃんのことも、攻略するわよっあたしのことお姉様って呼ばせるんだからっ
可奈センパイは大きく笑った
しかし、凄い子ですね可奈さん
テニス・コートを離れ、今度はメグの居るグラウンドへ向かう
充分にテニス部の子たちから離れたところでレイちゃんが言った
あの子なりに、判っているんだよ何をどうすれば、より得になるかってこと
あたしやミィちゃんやルリちゃんたちと対抗するためには学校内でのヨッちゃんの彼女の地位を手に入れるのが上策だってミィちゃんたちは学校は違うしあたしはヨッちゃんのお姉ちゃんポジションを守るってことを話しちゃったからね
オレを手にいれればみすずたちに対する、可奈センパイの発言力は増す
そしたら香月家から、可奈センパイに贈られる数々の特典も、強化されることになる
ホント強かだよね普通の子はさ
寧はオレに微笑む
ヨッちゃん、気を付けてないと可奈ちゃんのパワーに、抑え込まれちゃうかもよ
そんな暗い顔をするようなことじゃないってあの子は越えちゃいけないラインは、越えてこない子だから可奈ちゃん、あたしたちに際どい質問はしてこないでしょ
どういうこと、ヤッちゃん
例えばヨッちゃんが、ミィちゃんたちとどうやって知り合ったのかとかあのお屋敷の持ち主である理事長先生の正体とか克子姉が、あの年で何であんなにブランド品を持っているかとか
そう言えば可奈センパイは、そういう質問はしてこなかったな
判っているのよそういうことは知らない方がいいってこと可奈ちゃんなりに、深みにはハマらないようにしているんだろうねあたしたちが本質的には、ヤバい存在だってことに気付いているからっ
オレたちは犯罪組織黒い森のメンバーだ
だけど、あたしたちにビビッてると思われるのがシャクだったんだろうねだから、最後に、ああいうイタズラを仕掛けて来たんだと思うよっ
可奈センパイはお屋敷や香月家の巨大な財力や権力、それに香月セキュリティ・サービスという暴力まで見せつけられて
処女をレイプされオレのハーレムの一員に無理矢理に堕とされた
肉体的には完全に屈服させられている
精神的にも同じ
だけど、可奈センパイは心まで折られたことを認めたくないから
自分の方から、オレの彼女になろうとしているんだとテニス部の仲間たちには話している
寧のことも自分が、寧を親友にしたのだと
無理矢理に力尽くで、そうなったのではなく
自分の意志で、そう決めたのだと思い込もうとしている
可奈ちゃん、本気だよ本気で、ヨッちゃんの恋人の座をメグちゃんから、強奪するつもりだよねどうする、ヨッちゃん
返り討ちだよそんなの
可奈さんにはお兄ちゃんは、取られたくないもん
おやおや、マナちゃんも参戦ですか
レイちゃんが笑う
寧ちゃんはこれを狙っていたのですか
そうレイちゃんに言われて寧は
まあねここまで、上手くいくとは思っていなかったけれど
あたしたちさもうちょっと、お互いの関係に緊張感を持たないといけない時期に入ったんだよ最近の家族は、内側でナアナアになり過ぎてたから
可奈ちゃんは手強いよ甘く見ていると、ヨッちゃんだって嚙み付かれるからねあの子は、損得でしか物事を見ていないんだから自分にはメリットが無いと思ったことは、何もしないよその代わり、これは得になるって思ったことには、力一杯食い付いてくるけれどね
可奈センパイは基本的に、悪人ではない
ただ自分の欲求に正直なだけだ判りやすいぐらい、ストレートに
彼女は彼女の明快なルールで生きている
可奈ちゃんと交流することはあたしたち家族にとって、本当に良い勉強になると思うんだ
その寧の意見は正しいと思う
オレたちはオレたちと根本的に違うルールで生きている可奈センパイと、接することで色んなことを学ぶだろう
もっと、慎重になるあるいは、剛胆に
みすずや瑠璃子や美智たちにとっては初めての普通の子の友達だし
あたしがマルゴお姉ちゃんとアメリカへ行くまでにヨッちゃん一人で、可奈ちゃんをねじ伏せられるようになってね
寧は、自分が不在になる期間オレがちゃんとやれるのか、心配しているのか
最近、マルゴお姉ちゃんは黒い森の行動にはノータッチでしょ
それはマルゴお姉ちゃんは、アメリカで女子格闘技のビジネスをするんだから、今は裏の仕事からできる限り離れていたいってこともあるんだろうけどそれ以上に、自分が動かなくても、もうヨッちゃんたちは大丈夫なはずだって信じているんだよね
マルゴさん抜きのオレたち
護衛ならイーディも居るし、美智ちゃんも強いし、レイちゃんや翔お姉さんとも連携が取れているんだからさ
だから自分は、一歩退いている
でも、あたしはマルゴお姉ちゃんみたいに、信じるって割り切れるほど強くないからやっぱり心配なんだよねヨッちゃんたちのこと
だからあたしは、可奈ちゃんを連れて来たんだあの子は、家族を引っかき回すだろうけれどそれで今、沈殿しちゃっている澱みも浮き上がるだろうし
確かに、この4ヶ月間でオレたち家族は、かなり馴染んだ
その代わり馴れ合いも、増えている
その隙を可奈センパイは、突いてくる
さっきの発言だって今、オレの女の中でメグとの関係が一番危うくなっていることに、可奈センパイは気付いているんだ
オレたちの普段のパン販売の様子と
オレとみすずたちとの関係を比較して
可奈ちゃんみたいな子を御せるようにならないとヨッちゃんも、本当に成長したとはいえないよ判っているよね
ああ可奈センパイは
寧の不在を埋めるための新しい人材であると同時に
新たなる試練なんだオレにとって
Darling、Darling、Darling
女子運動部のグラウンドに到着するとイーディが、オレに飛びついて来る
アタシちゃんと、メグミを見ていたヨ
オレ隠れて見てろって言わなかったか
細かいことは、どうでもいいのネ
いやいやほらメグが、こっちを睨んでいる
ちょっとちょっとあれ
えー、今度は藤宮麗華なのぉ
今日は、テレビの人ばかり来るわね
朝練で、アーニャを見ている陸上部員たちはレイちゃんの訪問に、驚いている
それとあっちの子は
ああ、確かパン屋くんの妹だよ
マナは、前にもここに来たことがある
オレたちに気付いて、こちらへやって来る竹芝キャプテンにオレは挨拶する
キャプテンは、オレを無視して
藤宮麗華さん
あなたが優勝した高校の時の大会会場で観ていましたあ、姉が剣道をやっていましたので
レイちゃんの高校時代4、5年前か
とっても、素晴らしかったです藤宮さんの剣は、とっても綺麗で
それはありがとう
あ、握手していただけますか
レイちゃんは笑顔で竹芝キャプテンと握手する
あの後どうして剣道をやめてしまわれたのですか
竹芝キャプテンは、尋ねる
はいやめてませんよ別に
ああ剣道の大会に出るのは、やめましたですがわたくしの剣の道は、まだ続いています
レイちゃんは撲殺ステッキをヒョイと持ち上げる
あんなテレビに出るようなことがですか
いえ、あれは仕事の一部です本来のわたくしの業務は重要人物の身辺警護ですご存じですよね
あはい何となくは
竹芝キャプテンは、答える
現実にはあんなテレビでやっているみたいな派手なアクションはありません実に地味な仕事です何時間も護衛として貼り付いているわけですから
そこにどうして、剣の道が続いているんですか
わたくし、スポーツの剣道には満足しましたから
スポーツという完全にルールの定められた世界の中で、一番を目指すというの高校時代までで、もういいかなって思ったんです
そんなスポーツとしての剣道だって、もっともっと奥の深いもののはずです
それは判っていますただわたくしは、剣の道というものが本来は何のために生まれたのかを考えたんです
武術ですから、人を殺すためですか
竹芝キャプテンの顔は暗い
人を守るための剣だって、あるでしょう
日本では警護員のような仕事でも、拳銃などで武装するわけにはいきませんからねわたくしの今の剣は、これですステッキならどんなに重く、強靱であろうとも持ち歩きを制限されることはありませんこれを奮って今は、人を守っています
片手でビュンとステッキを振る
切っ先はブレずに、ピタッと止まった
レイちゃんの鍛錬された肉体と技を示している
スポーツとしての剣道はわたくし個人と、せいぜい出身校や道場の名誉のためにしか力を奮えませんでしたしかし、プロの護衛人となった今では己の鍛え抜いた技で、人を守っていますその力と技術で、報酬も得ていますこれには、スポーツの剣道では得られない満足があります
レイちゃんは、イーディを見る
イーディ本気で掛かってきてただし周りに迷惑を掛けてはダメですよ
スーツとステッキを正眼に構える
オッケイネ
イーディは、オレから離れると
ハウウウウッ
いきなり、レイちゃんに手裏剣を3発、投げ付けた
ハィ、ハィ、ハィィッッ
それをレイちゃんは全て、ステッキで払い落とす
人の居ない方の地面に手裏剣が落ちていく
ギャウウウンッ
その瞬間イーディは、全力で突進し、レイちゃんに跳び蹴りする
レイちゃんも全力で撲殺ステッキを振り切って、迎撃しようとするが
バルバルバルゥゥ
イーディは、ギリギリで切っ先を躱し回し蹴りを
その足をステッキで受けるレイちゃん
イーディは、ステッキを蹴った反動を使って後ろに宙返りする
てぃ、てぃ、てぃぃやぁぁッ
レイちゃんの3段突きッッ
それも、全てイーディは躱した
3回目の突きで身体が伸びきった瞬間を狙って、イーディは撲殺ステッキをガシッと掴む
レイちゃんは、それに驚きもせずステッキを掴んだイーディの手を蹴り上げる
ミギャッ
これまたギリギリでイーディはステッキを離し、後ろへ跳んだ
うんここまでにしよう
レイちゃんの言葉にイーディは、ニヤリと微笑む
物凄い攻防だったのに2人とも、汗をかいていないどころか、息も乱れていない
こういうことですわたくしはスポーツとしての剣道では認められていない、キックなども使いますわたくしたちの世界には、場外も待ても判定もありません勝負ですらないのです守るべき人を守るそれが仕事ですから
レイちゃんは、竹芝さんに振り向くとそう答えた
おー、凄い凄い
グラウンド内の女子陸上部員と、たまたま通りがかったヤジウマが拍手する
何か色々、申し訳ありませんでした
竹芝キャプテンはレイちゃんに謝る
あたし失礼なことをいっぱい、言っちゃったと思います
自分の人生をどう決めるか何をどう考えるかは、人それぞれですわたくしは、わたくしの考えをお話ししただけですそれが誰にとっても正しいことであるとは思っていませんだから、あなたはあなた自身の考えに従えばいいのだと思います
竹芝さんは、ジッとレイちゃんの話を聞いている
わたくしはただ自分の習い覚えた技を、何かの役に立たせたいと思っただけですたまたま、こんなわたくしをスカウトして下さる方がいましたし
レイちゃんは谷沢チーフにスカウトされた
それでも、自分の力をどう生かしたら良いのかずいぶん長い間、迷っていたように思います本当に最近ですよフッ切れたのは
レイちゃんの爽やかな微笑み
テレビに出るのもあんなのは、もちろん茶番ですし、馬鹿げたことですでも、わたくしもニキータさんたちも本当に鍛え上げられた、自分の肉体を駆使して闘っていますその本気度がわずかでも伝われば良いと思っていますあれは、わたくしたちの会社の宣伝なのですから
済みません、本当にあたし、何も判ってないくせに
反省する竹芝キャプテン
気にしないで下さい練習は、もう終わりですか
レイちゃんは尋ねる
はいもう後は、片付けだけです
そうですか少し、山峰恵美さんをお借りしてもいいですか
驚く竹芝キャプテン
ごめんなさい、詳細は言えません今のわたくしの任務、警護に関わることですので
ニコッと微笑みキャプテンを見る
竹芝さんは
山峰、こっちへ来なっ
他の1年生たちと一緒に片付けをしていたメグが、オレたちの方を見上げる
今は、これを部室に運んでいる途中ですから
いいから、とっとと来るんだ
メグは持ち上げていた用具の入ったカゴを、ドンと地面に下ろす
そしてこっちへ向かって来る
結局あの子、どうなっちゃってるんだ今日は、一日中、あんな感じだよ
竹芝キャプテンがオレに言う
アーニャのこと、まだ怒っているというか
オレと離れて1人になったら、さらに怒りがふつふつと湧いてきたんだな
この上可奈センパイの結果まで報告したら
メグ火山が噴火するかもしれない
済みません本当に、ご迷惑をお掛けします
オレは、キャプテンに頭を下げた
まあ、たまにはあんたたちもケンカぐらいはするんだろうけれどあたしには良く判らないよ今朝の外国人のこととか何で、あんなに山峰が対抗しようとしていたのかとか
まあ、その辺は色々とありまして
そんなことを言っているうちにメグが来た
ムッとした感じて、メグがオレを見る
何から話そうか
オレが、悩んでいると
こんにちは初めまして、山峰恵美さんですね
レイちゃんが笑顔で、メグに話し掛ける
竹芝キャプテンの前だから、他人行儀なんだろうけれど
それでも、レイちゃんの様子は少し変だった
わたくしが、ここまであなたに会いに来たことの意味判りますか
レイちゃんが女子陸上部のグラウンドまで来た意味
香月セキュリティ・サービスのトップ・エリート警護人であるわたくしがわざわざ、ここまで来なくてはならなかったのですよ
メグはすっかり困惑している
あなたの家族が緊急事態ですいいえむしろ、家族存亡の危機ですね
家族存亡の危機
そんな風に、不機嫌な顔をしている場合では、ありませんよ山峰恵美さん
レイちゃんは微笑む
いつも、一緒にいるオレや、マナ
あるいは、おどけた口調の寧でなく
普段から、極めて真面目なレイちゃんの言葉だからメグの心に、強く響く
そろそろ頭をシャキッとして下さい
あなたには家族が必要ですが果たして、家族にはあなたが必要なのかもう一度、考えるべきですよ山峰恵美さん
映画を初日にしかも、初回上映を観たくて、始発電車で映画館へ入ったのはナウシカだけです
ちなみに1984年
そう著の新宿駅前は、真っ暗で三越の辺りにあったマクドナルドだけ電気が点いていました
ちなみに、このナウシカが70年代終わりから続いた、アニメブームの終焉ですね
アニメの歴史的には、小氷河期になります
この前年の夏には、ザブングル・グラフティまで上映されたアニメ映画が、ナウシカ以降パタッと本数を減らします
トトロとか、小規模上映でその後、公民館とかでの上映で少しずつ認知されていったぐらいですから
某テレビ局が、トトロは何度もその局で放送を繰り返したから世間に認知されたという話は嘘です
映画館の興業としてはヒットしなかったのに短編映画なので、本当に各地の公民館で繰り返し上映されて知られていったんです
マスコミの取り上げているジブリ史とか、物凄く歪んでます
ていうか、何でカリオストロの城の話が、ことごとくカットされているのか
ジブリの映画じゃないからなんでしょうけれど
某局が繰り返し放送されたことで、知られるようになったのはむしろカリオストロです
だってカリオストロ劇場公開時は、客が来なくて、2週間で打ち切られてますから
そう言えば宮崎監督の昔の仕事パンダコパンダやハイジや赤毛のアンやコナンのことまで全然、話にあがらないのも、どうなっているんでしょうか
おかしいですよ、カテジナさん
650.妻の座
どういうことなんです山峰の家族に危険が迫っている
竹芝キャプテンが、レイちゃんに尋ねる
竹芝さんにとっては、メグの家族はオレと山峰家の養父母ということにになる
黒森の家族の存在をキャプテンは知らない
それは、あなたにはお話できませんわたくしの仕事守秘義務に関わりますから
レイちゃんは、笑顔でそう答える
でも練習が終了したのでしたら、速やかに下校なさることをお勧めします今、この周囲には、色々と問題のある人たちが集まって来ていますので
あたしたちも危険ということですか
いいえ、皆さんは安全ですすでに、ここの学校の周囲は、わたくしたち香月セキュリティ・サービスが万全の態勢で警護していますしああ、下校にはなるべくバスを利用して下さいこちらの高校前に停車する全てのバスに、わたくしたちの警護車輌を付けてありますそれで駅まではガードします最寄りの駅まで、行けばもう安心ですし
まあ、今から下校したとしても
交通の重要地点は、全て、香月セキュリティ・サービスが押さえている
もしかしたら、一か八かで突出してきたヤクザを工藤父が退治している様子が、バスの中から見えるかもしれないけれど
ほ、本当なんですね
わたくし、あなたに対して一度でも嘘を吐きましたか
レイちゃんが、竹芝さんを見る
その美しい瞳
大丈夫ですここでの問題は、今晩中に片を付けます明日以降の、あなたたちの練習には支障はありませんわたくしの名にかけて、お約束致します
ほら、1年とっとと、片付ける2年も手伝いな今日は、ミーティングも無しだ明日、まとめてやるからさっさと帰る支度をしなっ今日は全員揃って集団下校で帰るよっ
集団下校って、キャプテン
有事を想定した訓練だいいねっ
有事って何を想定しているんだ
ご協力、感謝します
レイちゃんは、キャプテンにそう言った
さて山峰恵美さんは、皆さんと一緒に片付けをしてから帰る支度をして、校長室まで来て下さい今は、そちらが緊急対策本部になっていますから
そんなあたしも、今すぐ行きます
いいえ、あなたはちゃんと女子陸上部の一員としての仕事を果たしてから、来て下さい何を優先するべきなのか、ちゃんと判って下さらないとわたくしたちが困ります
レイちゃんはそう言った
イーディ片付けが終わったらメグを連れて来てくれ
O.K.なのネ、Darling
うん、メグのガードはイーディに任せておけば良いな
ほんじゃあねっあたしたちは先に校長室の方へ行ってるからっ
色々とお騒がせしましたところで
レイちゃんが竹芝キャプテンに
あなたは3年生ですよねそろそろクラブ活動は引退ですか
そうですけどあたしは、体育大学に進むつもりなんです
キャプテンは、答える
あたしは藤宮さんの様に、傑出した成績を残すことはできませんでしたが将来は、陸上競技の指導者になりたいんです
もう、志望校は決めていらっしゃいますか
いいえ、まだ絞り切れていません
ああ、うちの高校ってさあんまり、スポーツが強くないからどこの体育大学がどんな指導をしているのかとか、詳しいことを知っている先生がいないんだよねぇ
この学校は長いこと、黒い森の娼婦を見つけるのに利用されてきたから
体育教師とか、白坂創介派の人間が多かった
もちろん、みんな教師としての実績より白坂創介のイエスマンであることが求められてきた
その連中は5月以降、ことごとく校外へ追放されてしまったので
今のうちの学校は体育の教師の層が薄い
香月セキュリティ・サービスには、詳しい人間がいますよ各体育大学から、毎年、社員を受け入れていますしよろしければ、一度、相談してみたらいかがでしょうかわたくしが担当者をご紹介致します
そして、自分の名刺を取り出し
今日は土曜ですから月曜日の午後にでも、ご連絡下さいそれまでに、担当の者に話しておきますから
竹芝キャプテンは名刺を受け取った
んじゃ戻ろっか
メグじゃ、待ってるから頼むぞ、イーディ
ガッテンだぁ
どこで覚えてくるんだそんな言葉
メグは、オレに返事をしない
いいから、行こうお兄ちゃん
マナが、オレの手を引っ張る
結局、オレはメグとまともに会話しないまま、女子陸上部のグラウンドを後にした
大分暗くなってきている
オレンジ色の光に包まれた高校の裏庭をオレとマナ、レイちゃんと寧の4人で戻る
竹芝キャプテンのこと良かったの
オレは、レイちゃんに尋ねた
ええ、メグミちゃんがお世話になっている先輩ですし良い生徒を体育大学に紹介することは、香月セキュリティ・サービスにとっても、悪い話ではありません
でも竹芝さんは、そんなにメチャクチャ成績が良いわけではないよ
県大会とかの1位とかには、届かない
だいたい、陸上競技の人だし
香月セキュリティ・サービスの欲している人材では無いだろう
ヨッちゃん大学教育というのは、別に一流のアスリートを作ることだけが目的じゃないよ将来の指導者、学校の体育教師を育成することだって、大事なことなんだからねっ
わたくし、事前に御名穂さんから資料を見せていただきました竹芝さんは、普通の科目の成績も優秀ですし、とても真面目な性格です香月セキュリティ・サービスが推薦する価値はあると思いますよ
レイちゃんはすでに竹芝さんについて調べていたんだ
いや、校内でオレたちに関わっている人たちについてはすでに調査されているんだろう
たとえばオレのクラスの田中とか
オレたちの敵が竹芝さんや、田中と接触する可能性だってあるのだから
竹芝さんのお父さんや、田中の家の家業に絡めて近付いて来る可能性もある
おそらく香月セキュリティ・サービスの調査部門も使って詳細に調べている
その指揮を執っているのはミナホ姉さんと翔姉ちゃんだろう
うちの会社も武道の達人ばかりでなく、そういう真面目な生徒も紹介した方が体育大学とのパイプも太くなりますし
レイちゃんは、そんな風に言い訳した
だいたい、将来、うちの会社に就職しそうだとアタリを付けて推薦する学生はたいてい、学内では大問題児ですからアスリートの道からはみ出すような性格だから、警護人みたいなものになってしまうんですよわたくしみたいに
レイちゃんは笑う
ですから、たまには竹芝さんの様な、まともな人を推薦するべきなんですよ
うんうん、そうだろうね
寧が相づちを打つ
さっき竹芝さんには、少しカッコ良く話しましたが、現実はそんなものですルールのあるスポーツの世界には向かないからこんなことをしているんですよ
でもレイちゃんのおかげで、オレたちは助かっているよ
レイちゃんだってとても真面目な性格だ
だからそこそ、剣道で高校日本一にまでなったんだろうし
そういうレイちゃんだから竹芝さんは、急いで下校しろという話を受け入れてくれた
そう言っていただけけるととても嬉しいです
メグとイーディを置いて来ちゃって、良かったのかな
あのまま、竹芝さんにお願いして無理して連れて来るべきだったんじゃないだろうか
いいんだよちゃんとクラブの1年生としての仕事を、みんなとやらないとメグお姉ちゃん、そろそろみんなに嫌われちゃうから
今朝は部活の朝練の後に、無理矢理ニキータさんと勝負したりしてたでしょ
で今日は、ずっと機嫌が悪いしまあ、みんなお兄ちゃんとケンカでもしているんだろうって、思っているだろうけどさ
うんそう思うだろうな
さっきの、メグのオレに対する態度とか見れば
ああ、それはヨッちゃんが、ニキータのおっぱいに見とれて、デレデレしてたからってことになっているから
はい寧
ほら、あたし今日の午前中は、ニキータさんと一緒に行動してたでしょ
アーニャと呼ばないのはマナとレイちゃんの前だからか
寧は2時間目から、アーニャを自分のクラスで体験入学させていた
そん時にみんなに広めといたからヨッちゃんがニキータのおっぱいをガン見してたからメグちゃんがムクレてるって
そりゃアーニャのおっぱいは、美乳だけど
肌も、メチャクチャ白いし乳首もピンクだし
だってそれで、朝の長距離走勝負から何から、全部説明が付くでしょ
一般の人たちは、時系列とか気にしないんだよ納得できる理由さえあればさ
オレがアーニャを邪な眼で見たから
メグが怒っているとみんな思っている
だから今日は、ちゃんと陸上部の仕事をしないと、メグお姉ちゃんはみんなに嫌われちゃうんだよ
そんな夫婦ゲンカなんて、周りからすればどうぞ、ご勝手にって感じだもんだいたい、みんな彼氏がいない子の方が多いんだしさ
ああ、そういう理由で機嫌の悪いメグはウザいんだ
あれで、後片付けもしないで迎えに来てくれた、お兄ちゃんと先に帰ったら、何よ、あの子って、みんなに総スカンされちゃうよ
女の世界は難しい
ていうかこれだけ時間が経って、まだあんなに機嫌が悪いってことはメグお姉ちゃん、いよいよヤバいよね
はい我が君我が君には、これから重大な任務がございます
鷹倉さんのこと
オレは鷹倉さんのお嬢さんを明日までに、娼婦に堕とさないといけない
ジッちゃんに娼婦として、充分に働いていけると納得させないと
メグちゃんに、ここでガタガタ言われると困るでしょそんな時間、無いんだもの
メグを説得したりする時間は取れないな
だから、これでいいんだよメグちゃんは、ヨッちゃんと少し離れて、考える時間が必要なんだしさ
オレと離れて
うんあたしたち家族の今の生活は結構、砂上の楼閣なんだよヨッちゃんは、もう判っているでしょ
ああ、ミナホ姉さんからこの4ヶ月は、家族が馴染むための時間だったけれどもう、こんな平穏は許されないって言われたよ
オレたちは香月家、つまりジッちゃんによって庇護されている
あるいは、恭子さんの国際指名手配犯としての、圧倒的な暴力によって
それで今は国家警察にも、裏社会にも、どうにか存在を許されているが
この平穏は永遠では無い
ジッちゃんが体調を悪くしただけでも崩壊する可能性がある
みすずも瑠璃子もまだ10代だ
香月グループの屋台骨を背負う準備はできていない
鷹倉様のことは閣下が入念に準備なさったことですから
レイちゃんは、そう言う
どうして鷹倉家のお嬢様を娼婦に堕とすことが必要なのかオレには判らない
でも、それが黒い森が存続し続けるための有効な手になると、ジッちゃんは考えている
なら従うしかない
オレは、ジッちゃんを信じている
ミナホ姉さんだってジッちゃんの考えに賛同しているようだった
でも今のメグは、オレみたいには割り切れないんだろうな
メグは今の家族のメンバーだけで、静かに暮らせればいいと思っている
これ以上、オレの女が増えることを望んでいない
いや家族としてなら、受け入れるだろう
だが、家族ではないオレのただの女なら
どっちみちメグちゃんにとっては、瀬戸際なんだよ4ヶ月前あたしたちは、メグちゃんがヨッちゃんの正妻になれば、全て丸く収まるって思ってただから、そうしたし家族みんなで、それを認めただけど
今はメグちゃんの正妻という地位が、問題になっちゃってるメグちゃんが望むようにヨッちゃんをメグちゃんだけの旦那様にするわけにはいかないもの
うんメグお姉ちゃん今は、自分が本妻であたしたちはみんな、お兄ちゃんのお妾さんだと思っているから
お妾って愛人ってことか
だから新しくお妾さんを増やすのなら、本妻である自分の許可を取れってことでしょ
ああ、マナの指摘は判りやすい
でもさぁ現実には、この4ヶ月のお兄ちゃんの本妻さんは寧お姉ちゃんだったんだよね寧お姉ちゃんがあたしたち全員の心の交通整理をずっとやって来てくれたんだしだから、あたしたちケンカもせずに仲良くやってこれたわけでしょ
マナは寧を見る
わたくしも、そう思います寧ちゃんは人と人の間のバランスを取るのが、とても上手ですから
レイちゃんも、そう言うが
それは、レイちゃんの勘違いだよあたしは、本当は人間関係とか、とても苦手だからさ
寧の上辺の明るい性格は全て、作ったものだ演技だ
本当の寧は寧子は、とても繊細で傷つきやすい
それなのに寧はオレと家族のために、ずっと頑張ってくれた
あたしはヨッちゃんが好きだし、この家族が愛おしいんだよだから自分のできることは、できる限り何でもしたいって思っているだけだよ
寧は表面上はオレの姉という位置から、絶対に動かない
だから、名目上の正妻であるメグともぶつかることは無かった
瑠璃子も自己主張はしない子だし
一番メグとぶつかりそうなみすずはオレたちと同居はしていない
マナやアニエスは現実としても、メグの血の繋がった妹だし
ミナホ姉さんや、克子姉、渚は娼館育ちのメグとしてはお姉さんでしかない
レイちゃんと翔姉ちゃんだって時々、訪問してくるだけだったし
だから、これまでの生活では名目上の本妻としてのメグが、何とか成立していた
昨日のアーニャ来訪から変化している
オレは、お屋敷にやって来たアーニャを抱くのにメグの許可は取っていない
ぶっちゃけると昨日からのことは全て、ミナホお姉ちゃんの指示に従ってやってきているわけ今のメグちゃんの顔を見るだけで、ヨッちゃんとはまともに話をさせずに置いて来るっていうのも
はいご指示通りです
寧とレイちゃんが言う
朝のニキータとのほら、パン工房の休憩室でエッチしたでしょあの時に、確認したんだけどねメグちゃんは、自分がヨッちゃんの正妻だから、ヨッちゃんが他の子とセックスするのは自分が納得していないとダメだって思ってるメグちゃんが許可しないとヨッちゃんは、誰ともセックスしちゃいけないって
確かにパン工房では、オレとアーニャがセックスすることを、メグは認めた
不承不承でも
でもさ、そういうわけにはいかないんだよこれからはっていうか、ヨッちゃんは、ヨッちゃんの好きでいいんだよメグちゃんの許可なんか取らないで誰とでも思いっきりセックスしていいんだ一々、メグちゃんの許可を仰ぐとかヨッちゃんが、ちっちゃい男になっちゃうよ
そんなオレは小さい男だよ
オレは自分に自信が無い
ううん、お兄ちゃんは大きいよ他の男の人のは見たことないけれどいつも、大きいって思ってるし
わたくしも口に含む度に、そう感じています
あたしは昔、娼館の監視カメラで色んなお客さんを観てたから判るけれど大丈夫、ヨッちゃん自信を持って大きい方だから
ていうか大きさは関係無いよお兄ちゃんのとっても気持ち良いし
角度が良いんですよねわたくしの中に侵入して来る
そうそう、感じる所にクイッと引っ掛かる感じ
そういう話は、もういい
あたしたちも嫌なんだよヨッちゃんが、セックスについてメグちゃんにお伺いを立てないといけないなんていうのはそういうことをするためにメグちゃんの本妻を認めたわけじゃないんだからさ
そうかメグの許可を一々取るというのは
他の女たちよりも1人だけ、極端に優遇しているってことになるのか
だから可奈ちゃんの件は、メグちゃんには浮気するかも知れないとしか伝えないで、メグちゃんの不在時に全部敢行したんだよ
メグの最終許可を得ないままオレは可奈センパイを抱いた
それをメグちゃんは、さっきヨッちゃんの顔を見た瞬間に気付いたんだよ自分のいない間にヨッちゃんが浮気したってだから、あんなに不機嫌な顔をしていたんだよ
ああそういうことなのか
メグも、もうオレの顔を見るだけで、何となく何が起きたか想像が付くようになっている
だからあそこで、メグちゃんを陸上部の子たちと離したらさメグちゃん、ヨッちゃんにどうして自分のいない時に、許可も取らずにエッチしたんだって詰め寄ったでしょしかも、ヨッちゃんのことだから
きっとゴメンてメグお姉ちゃんに、すぐ謝ってたよねえ
うん2人の言う通りだと思う
だから今は、メグちゃんの心情を確認しただけで終了鷹倉さんの件が終わるまでは、ヨッちゃんとは会わせられないよねあんな様子じゃ
そうだなメグと話し合っている余裕は無い
あたしも、困っているんだよ今のまんまだと、安心してアメリカへ行けないし
寧はマルゴさんとのアメリカ行きが迫っている
別に、ずっと向こうに行ってるわけじゃないけれどあたしのいない時に、メグちゃんが暴発したりしたら困るし
でも、今はルリお姉ちゃんが、寧お姉ちゃんの代わりになるように頑張ってるよ
そうか家事とか妹たちの世話を一生懸命やってくれているのは
寧がいなくなることを考えてなのか
瑠璃子は判っている子だから
うんルリちゃんは頑張ってくれてるよねえでも、ルリちゃんはメグちゃんより年下だし学校が違うし
こないだ高校からは、お兄ちゃんと同じ学校へ通いたいって言ってたよ
香月家の娘が超お嬢様女子校から、うちの高校へ入学するなんてあり得ない
少しでもお兄ちゃんの力になりたいからって
瑠璃子の気持ちは、ありがたいけれど
年上のお姉さんたちは学校内のことまでは介入して来ないしね
ミナホ姉さんも、克子姉も、渚もちゃんとした高校生活を送れなかった
だから、オレたちには楽しい高校生活を過ごして欲しいと願ってくれている
だから学校生活に関しては、指導的なこと以外は、基本的にノータッチだ
マルゴさんも今はオレたちから一歩退いて、見守ってくれているし
もっとも、克姉は今日からようやくパン販売にも引き込めたし
克子姉は今までは、オレのパンの指導だけに専念して校内でのパン販売なんかには、顔を出さなかった
それが、ミナホ姉さんの指導で自分自身のパン屋経営の勉強のために、これからは積極的にパン売り場にも立つことになった
ていうかそもそも、あたしがパン販売を手伝うようになるまでに、一悶着あったの、ヨッちゃんは知らないでしょ
最初はさメグちゃんは、パンのことは何から何まで、自分とヨッちゃんの2人だけでやるから、あたしには手伝いに来るなって言ってたんだよ
メグとオレ2人だけ
オレは知らないよだいたい、オレとメグ2人じゃパンを売るのだって無理だし
2人きりじゃ、交代要員がいない途中でトイレも行けないオレたち自身の昼食も摂れない
だから、あたし最初の日だけは様子を見て、ほら、やっぱり売り子がもう1人いないと大変でしょって、2日目から参加したんだよ
ああ、メグの本妻意識のせいで、寧に迷惑をかけていたんだ
だから今日、ニキータが手伝ったことや、これからは克姉も売り場に立つってこともメグちゃんとしては、不満なんだと思う自分のテリトリーに、入り込まれたみたいで
ごめん、オレ全然気付いてなくて
本当に寧がみんなの心の交通整理をしてくれているんだ
だからオレたちケンカせずに、やって来れた
今まではメグちゃんのプライドとコンプレックスを刺激しないように、何とかやって来たけれど
でももうすぐ寧は不在になる
いや、それ以前に
オレは、ジッちゃんから出された課題をこなさないといけない
メグちゃんはねメグちゃんとして、幸福の追求をしているだけなんだよだから、頭ごなしに責めるべきことじゃないんだよそれは判ってあげて
でもそれは違うだろ
メグの個人的な幸福の追求と
オレたち家族の幸福の追求がズレてしまっているんだから
オレは何としてもパン屋にならないといけないんだし今は、全てが勉強だみんながその夢のために、手伝ってくれているんだから
メグ1人のの我が儘を許すわけにはいかない
いや、メグだけに正妻という特別な地位をあげたのが、間違いだったんだ
女心は複雑ですね
はーあ、やっぱり寧お姉ちゃんには適わないや
さっきさ可奈さんたちと歩いている時に、メグお姉ちゃんから正妻の座を奪っちゃえって話が出てたでしょあたしちょっと考えてたんだあたしも、お兄ちゃんのお嫁さんになれるかもしれないのかなって
オレに身を寄せる
でも、お嫁さんて正妻さんて、ここまで色んなことを考えないといけないんだね寧お姉ちゃんみたいに考えて、みんなが上手くやっていけるようにバランスを取って、時にはガマンもしてでも、いつも優しく笑ってる
寧は常に朗らかに微笑んでいる
あたしには無理だな
そーおじゃああたしがいない間、メグちゃんの暴走は誰が止めるの
寧はマナに微笑む
あたしはマナちゃんに期待しているんだけどなっ
それならあたしよりも適任な人がいるよ
メグお姉ちゃんの天敵
誰だそりゃ
マナは実姉の名を言った
あの人本当に変わったよさっきも、ずっと真緒ちゃんや美子さんの相手をしてくれてたし2人が退屈しないように、気を遣って
美子さんにステマの解説をしていたっけ
メグお姉ちゃんを抑えられるのは雪乃さんしかいないよあたしには、判るんだ
だけどマナはまだ雪乃をお姉ちゃんとは呼べないのか
次回、ついに鷹倉さん登場
えー、長かったお待たせしました
ようやくこのエピソードの全ての問題提起が終わって
鷹倉さんの章となります
感想欄の返信がまた滞っています
今夜でも、少しずつ返信していきますのでもうしばらくお待ち下さい