空の満月と杯の中に映った月
わたくしにはずっと、その心境が判りませんでしたしかし、今宵ご主人様に抱いていただいたことで、永年の疑問がスゥーッと氷解致しました
オレとセックスしたことで
夜空の月と、杯の中の月は違うものです違うと判った上で心で月を飲み干すそうすれば月を呑み込んだ境地に達することができる
オレには、全然よく判らないんですけれど
お祖父様と、奥義心月の修行をした時はわたくしは、自分の身体とお祖父様の身体の違いについて理解していませんでしたお祖父様は、男性ですし老齢ですなのに、わたくしは女でしかもまだ幼い肉体です
そうですそのまま、呼吸と鼓動を同調させようとしても合うわけがないのですお互いの肉体の基盤が違うのですから
自転車とレース用の大型バイクで足並みを合わせろっていうのと同じだ
そもそものお互いの差が判っていなければ合うわけが無い
逆を言えば違いが判っていれば、同調させるのは難しいことではないということですご主人様は、とっても素直で判りやすいお心の持ち主ですから、合わせることは簡単でした
そっか美智が、オレに合わせてくれたんだ
そうです違いを知って、合わせていくということお祖父様との時には、その加減が判りませんでしたわたくしが、お祖父様に甘えていてお祖父様は、まだ未熟なわたくしを完全には信頼して下さっていないということもあったと思いますしかしご主人様とは、一度、わたくしの中に射精していただいて心も身体も、よく判りましたから
奥義によって同調してみてさらによく判りましたご主人様のお心も身体もご主人様は、わたくしを理解して下さいましたか
うんオレすごくよく判ってる美智がどんな子で美智の身体が、どんななのか美智は、身体がしなやかで柔らかくてでも、とっても強靱なんだオレ、美智の身体がどこまで曲がるか、全身全部判るよ
うん同調の体験をした結果オレは、美智の肉体の何もかもが判っている
それからタイミングも美智が、どういうリズムで生きているのか判った
わたくしもですご主人様のお好きなリズムが、判りました
そのリズムでさっき動いてくれたろすごく、気持ち良かった
美智とのセックスはヤミツキになりそうだ
はい、お望みでしたらいつでも、何度でもお相手致します
美智は、ニコッと微笑んでくれる
ちょっと待って美智
みすずが、割り込んで来る
あのさっきの奥義あたしにも教えてくれないかしら
旦那様も美智もとっても、気持ち良さそうで本当に溶け合っているみたいだったわ
みすずはちょっと、興奮している
あたしも旦那様と、あんな風になりたいの
真っ赤な顔でみすずは言った
そうね、あたしも体験してみたいかも
うん何か気持ち良さそうよねそれに、彼と溶け合う感覚って、魅力的よね
克子姉と渚が顔を見合わせて、そう言う
うんうんっミッちゃん、あたしたちにも教えてよっ
と、処女の寧さんまでそんなことを言う
はい、お教えすることはできますが
何か問題があるの
いえ、特に問題はありません工藤流古武術に正式に入門していただいてみすず様なら、おそらく10年以内には、身に付けることができると思います
10年
まあ奥義だもんな
えっ、あたしはっ
寧様は今からですと、ちょっと
無理なのあたし
山ごもりとか、必死に研鑽を重ねていただければ、20年くらいで身に付くかもしれません
寧さんに山ごもりとか
ていうことは
あたしたちは全然ダメってこと
克子姉と渚が、嘆息する
美智は、頭を下げる
あのあたしもやっぱり、山ごもりですか
そうですねマナさんなら、7年ぐらいで到達できますねわたくしが、マンツーマンで指導すれば
恐るべし工藤流古武術
あのわたくし、思うのですが
瑠璃子が口を開く
お兄様は特に何か修行をなさったわけではありませんよね
ああオレは別に何もやっていないよ
ということはお兄様と美智さんが溶け合うような心持ちに達せられたのは全て、美智さんの能力でございますよね
うんそうだと思う
瑠璃子が、美智を見る
美智さんのその奥義1対1でないと、使えないのですか
例えば美智さんと、お兄様と、みすずお姉様の三人で、愛し合われたらどうなんでしょう
みすずが、ハッとして美智を見る
どうなの美智
この奥義をセックスで活用したのは、おそらくわたくしが初めてだと思いますので正確には、何とも申し上げられませんが
美智は、真剣な顔で答える
わたくしの能力が拡大すれば可能だと思います
美智を媒介として三人で溶け合ったセックスをする
どうしたら、美智の能力は拡大するの
それはもっともっと、ご主人様とセックスして溶け合う感覚をコントロールできるようになりませんと
さっきは暴走して止まらなくなっちゃったし
しばらくは、どなたかに監視していただかないとこの奥義は、使えません
あたしが、必ず監視します
マルちゃんにも、付き合って貰った方がいいと思うよっマルちゃんなら、心理学的なことにも詳しいしもし暴走しちゃっても、さっきの麗華お姉さんみたいな危ない止め方はしないと思うから
はいあたしからマルゴさんにお願い致します
その代わり3人でする時の最初は、あたしよいいわね美智
美智は、みすずにニコッと微笑む
わたくしその次でいいですか
そう言ったのは瑠璃子
溶け合う感覚ってすごく興味があるんです
いいわよね、旦那様
みすずが、勝手に了承してしまう
それと美智さん、4人はできますか
4人
研鑽を続ければいづれは
美智は、はっきりとそう答えた
良かったその時は、美子、一緒に溶け合いましょうね
ハッとして瑠璃子を見る美子さん
わたくし美子と溶け合ってみたいの美子は嫌
そ、そんなことはございません
良かったじゃあ、約束よ美子
あのオレを抜いて、美智と瑠璃子と美子さんの三人で溶け合えばいいじゃないか
オレが瑠璃子にそう言うと
わたくしはお兄様と溶け合ってみたいですしそういうわたくしを美子に理解して貰いたいのです
だから溶け合うときは、4人です
瑠璃子は、ニコッと微笑む
えー、あたしはあたしも溶け合いたいよ
マナが喚くが
構いませんけれどまず、完全にわたくしにマナさんが心を開いて下さらないとできません
心と身体の全てを開放する覚悟がないと溶け合う境地まではいけませんよ
ううー、頑張る
小さく呟く
うふふいつのまにか、美智に追い越されてしまったみたいね
みすず一概にそうとは言えないわよ
あなたには、まだ美智さんに教えてあげれることがたくさんあるでしょ
みすずがハッとする
美智さんはさっきまで、処女だったんだから
みすずは美智を見て言った
美智セックスの後の、旦那様へのご奉仕の仕方を教えてあげるわ
お願い致しますみすず様
じゃあ、美智のお口で旦那様を綺麗にして差し上げましょうね
病院に行ったらまた父が呆けてました
なかなか大変です
食事も病院食から、鼻からの流動食に戻っていました
おい、昼飯はどうするオレは、天ぷらそばがいいなあ
とか言うのです
頭が上手く動かないみたいでテレビすら興味を示しません
針の時計が読めなくなってますデジタル時計すら、間違える
4時57分を、4時5分と言いました
よつばちゃんみたいになってます
さて次話から、またホテル内の戦闘に戻ります
というかこの先の展開をまだ考えていません
288.家族合わせ
メグが立ち上がり清潔なタオルを水道で濡らしてきてくれる
血が付いているから、これで拭いた方がいいわ
濡れタオルをみすずに手渡す、メグ
人間の血って、舐めたりするとよくないって部活の先輩に習ったことがあるんです
ありがとう恵美さん
みすずが、笑ってメグに礼を言う
旦那様、ではお拭き致しますね
ひんやりとした濡れタオルがオレの火照った肌に触れる
萎え始めたオレのペニスを、みすずは持ち上げて優しく拭いていく
楽しいなあって感じたんです
旦那様のお世話をすることですあたしがこうしていると、旦那様がとっても気持ち良さそうなお顔をなさっていらっしゃるから
恵美さんもどうぞしたいでしょ旦那様のお世話
メグが、みすずからタオルを受け取る
ヨシくん、ここも拭いてあげるね
メグは、オレのペニスの裏から睾丸にかけて、拭いてくれた
うん、気持ちいいよメグ
一通り、綺麗に拭き終わったところでみすずが言った
恵美さん、そこから先は美智にやらせます美智に、ご奉仕のやり方を教えてあげないといけませんから
メグが、オレから離れる
代わりに、美智が
さあ、美智お口で舐めて、綺麗にするのよセックスの最後には、必ずしなくてはいけないことですからね
美智がオレの亀頭に小さな舌を這わす
ペロリ
快感が、拡がる
チュウチュウ吸うのよ旦那様の体内に残っている精液を、ちゃんと吸い出して差し上げて
美智は、亀頭の先にキスしてチュッと吸う
ああ吸い出されていく
みすず様ご一緒に
わたくし、みすず様と一緒にご奉仕したいです
ありがとうでは、一緒にするわ
みすずも、オレの股間に顔を寄せる
あたしは下の方を舐めるから美智は先の方を、ね
みすずはオレのペニスの根元の方から舐めてくれた
美智は、亀頭にむしゃぶりついている
袋の中のタマタマを、舌で転がすようにするものいいのよ優しくね男の人の精子は、そこで作られているんだから強くはしないで、そっとするのよ
渚がみすずにアドバイスする
みすずの舌がふんわりとオレの玉袋の表面を優しく撫でる
ああむずむずする
美智ちゃんは、舐めているところが彼にはっきりと見えるように顔を上げてご奉仕している姿を、ちゃんと見て貰いましょうね
美智には、克子姉がアドバイスする
恥ずかしそうに、美智がオレを見上げる
フェラチオしている顔をオレに見られて、赤くなる
うん、良い顔だわ初々しくてちゃんと撮っておいてあげるわ
お掃除フェラする美智を克子姉は、カメラに収める
渚もビデオカメラで、オレの股間に顔を寄せる二人を記録していく
も、もういいよそれ以上されるとまた大きくなっちゃうから
わたくしは構いませんこのままお口の中でも、また子宮にでも何度でも、わたくしの中に射精して下さいませ
ちょっとちょっと美智さんばっかり、ずるいよっ
マナが、横から口を挟む
マナは、自分の股間をまさぐっていた
次は、マナやメグお姉ちゃんの番でしょそれから、寧さんだって全然していないじゃないっ
えあたしっ
スットンキョな声を上げる寧さん
そうだよ寧さんあたしたちが来てからずっと、お兄ちゃんをあたしたちに優先にしてくれててずっと、お兄ちゃんとしていないんだから寧さんだって、セックスしたいんでしょ
うんとあたしは
我慢しなくていいですから次は、寧さんがお兄ちゃんを思いっきり可愛がってあげて下さい
マナはオレと寧さんは、とっくに関係していると思っている
ええっとそれはね
寧さんは、あんぐりと大口を開けて困っている
いやあのとにかく、少し休ませてくれ
オレはみんなに言った
今、これ以上射精するとさすがに、今後の行動に差し支えるから
今、オレたちは敵の襲撃を受けて退避中だ
いつまた、ここから移動しないといけなくなるかも判らないし
とにかく1回、ストップだ
みすずが、オレのペニスを見て
残念ですけれど仕方ありませんね、美智
また今度、3人でしましょうねその時は、一晩中、旦那様に可愛がっていただきましょう
お願い致します、ご主人様
美智は、嬉しそうにオレに微笑む
うん、判った約束するから
オレは、美智とみすずを両腕で抱き締める
じゃあ、寧さんはマナとコンビを組んでくださいね
マナ寧さんとお兄ちゃんがしているところ見てみたいんですマナまだセックスには慣れていませんから、寧さんのテクニックを教えて下さい
マナは、寧さんを相当な性のテクニシャンだと思っているらしい
まあ見た目がセクシーでグラマーだからなあ
寧さんはマナと一緒にするのは嫌ですか
そ、そんなことはないよマナちゃん
困り顔で寧さんは答えた
じゃ約束ですよ
う、うん判った
さあどうなることやら
でも、メグにばかり、べったりとくっついたマナが、他の女と交流することは良いことだと思う
じゃあ、恵美ちゃんはあたしと一緒にしましょう彼が悶絶しちゃうようなテクニック、全部教えてあげるっ
克子姉が、メグに微笑む
メグは、素直にそう答えた
うん家庭的な克子姉に弟子入りするというのは、メグにとって悪くない選択だと思う
克子姉と一緒なら、一人で落ち込むことも無いだろうし
では、わたくしはどなたと組めばいいのですか
麗華の言葉に部屋の中はシーンとする
れ、麗華お姉様はええっと
困惑する克子姉
麗華お姉さんは、まだ誰かと組むとかは考えなくていいんだと思うよまだ、処女なんだし
寧さんが、笑顔で言う
とにかく、一度セックスしてみないとね
実際の問題としてセックスを体験したら、麗華がどうなるのか全然予想が立たない
感じたり、喘いだりする麗華の様子が全く想像できない
なるほど、判った確かに、いきなり三人での組み手は、わたくしには荷が重いかもしれない
麗華組み手って
まあ、慌てなくていいわよゆっくり、いきましょうどうせ、最後には家族全員で楽しむんだし
渚が、笑ってそう言う
ということだから、あたしもしばらくは誰とも組まないで彼としっぽり、二人っきりで楽しんじゃおうかなあっ
渚は笑うが
渚様は、あたしと美智の指導をお願いしますっあたしたちセックスに関しては、まだまだ未熟ですから渚様のお教えを必要としています
みすずが渚に言う
美智もそう思うわよね
はいわたくしとみすず様のセックスのお師匠様になって下さいませ
セックスのお師匠様
美智ちゃんお師匠様は、やめて何か、天竺までお経を貰いにいかないといけないような気分になるから
渚は苦笑して、そう言った
もう判ったわよあなたたちの面倒は、あたしが見るわでも、克子にも教えて貰いなさい一人だけから教わると、偏っちゃうからセックスについての色んな人の意見を聞いてその中から、自分のやり方を選んでいきなさいそれとやっぱり、彼が気持ち良くないと意味が無いんだから彼の好みに合わすのよ彼がどういうセックスが好きなのか、しっかり研究しなさいね
ご主人様は、わたくしのお尻が好きです恵美お姉様のお尻も、お好きですねいつも、ご覧になっていますから
美智の言葉にメグが反応する
そうなのヨシくん
うんヨッちゃん、キュッと締まったお尻が好きだよねいつも、ちろちろ見ているもの
寧さんがニッと笑う
おっぱいもお好きですよ寧さんや克子さんのおっぱいをジッと見ている時がありますから
そうよねたまにあたしの顔でなく、胸に向かって話している時があるもの
いいのよでも、そんなに気になるのなら、どんどんさわってくれていいのよ抱き締めてくれるとか
でも、ほらみんながいるから
関係無いよっみんな家族なんだからヨッちゃんは、もっと本能のままにあたしたちに襲いかかるべきだと思うよっ
本能のままにって寧さん
でも、羨ましいです旦那様は、そんな風にあたしの身体を見てはくださいませんから
みすずの呟きに寧さんは、答える
仕方無いじゃんヨッちゃん、ミィちゃんの顔が好きなんだから
ヨッちゃんミィちゃんやルリちゃんみたいな、綺麗な上に上品で純真そうな顔立ちの子、好きでしょ
自分の好みって、自分ではよく判っていないって本当なのね
昔のあたしのお客様にさ自分は、髪の毛が長くて清楚なタイプの女の子が好きだって公言している方がいらしたんだけど実際に、その方がお選びになるのはショートカットで、口が大きくて、ちょっと下品な感じの子ばかりなのそれがその方の本当の好みの女性のタイプなのよねだけどご本人だけが、ロングで清楚な子が好きだって思っていらっしゃるのよ
するとみすずや、瑠璃子の顔立ちは、オレの好みにジャストミートなのか
でも、好きな女性のタイプって裏表あるでしょだから彼、恵美ちゃんみたいな顔立ちも、結構好きなんだと思うわよ
恵美ちゃんて巫女さんの色気があるから
メグには、理解できないらしい
うん男性が女性に感じる魅力は、裏表あるって言われているんだよっ
寧さんが説明してくれた
神話的に言うと、ビーナスとダイアナセクシーで奔放な完成された美の女神と、純真無垢な未成熟な処女神どちらも、魅力的だよねっもう少し時代が下ると、金髪のイゾルデと白い手のイゾルデの対比なんかの例もあるよ
詳しいんですね寧さん
メグが感嘆する
いやあ、こんなの全部、マルちゃんの受け売りだよマルちゃん、そういうのに興味があって、研究している人だから
そう言えば一応、大学生なんだっけ
別にさ、どっちが優っているっていうわけでもないんだよ男性は、色んなタイプの女性に魅力を感じるものだってこと
遠回しにメグに何も落ち込む必要は無いんだと言ってくれている
とっても、ありがたい
いいなあ、みんなお兄ちゃんに気に入られているところがあるんだ
何言ってるのよマナちゃんはまだ若いんだから幾らでも、彼の好みの女になれるでしょ
そうよあたしたちなんて成長しきっちゃってるから、今更変われないもの
克子姉と渚が、マナを慰める
そっかメグお姉ちゃんや美智お姉さんみたいに、キュッと締まったお尻になって、克子さんや寧さんみたいなツンとしたおっぱいになればいいんだねっ
それと、みすずさんと瑠璃子さんのお上品で清楚な雰囲気よ
あと、メグちゃんの巫女の色気ね
克子姉と寧さんが、そう言うが
マナにはお上品とか、巫女さんとかは無理だよ
マナはマナでいいんだマナらしい女の子になるのが一番良い
オレは、そう言ってマナの頭を撫でる
オレは今のままのマナでも、充分好きだよ
マナが、オレにしがみつく
今のままのマナちゃんてロリ・ビッチだよね
あんまりロリコンになってしまわれるのは、心配です
うんあたしか渚にとっては、死活問題だわ
そこは、ほら大人のテクニックで、メロメロにしちゃいましょう
渚が、高校以来の親友に提案する
ええ、それしかないようね
美智ちゃんも、おっぱいが大きくなるようにあたしが指導するわとにかく、彼の興味がロリ方向だけに向かないようにしないと
全面的に協力するわ渚
21歳の二人が、タッグを組む
オレどうなっちゃうんだろう
さてとは言うもののエッチなことは、ひとまずブレイクね
克子姉が、オレに振り向く
あなたたち、シャワーを浴びて来なさい
あ、ではわたくしが旦那様のお背中を流します
ここ、シャワールーム幾つあるの
2つあります
克子姉の質問に、メグが答えた
何人もこの退避室に籠もる場合を想定してトイレとシャワールームは複数用意されているらしい
じゃあ、一人ずつ入りなさい
克子姉の言葉に美智は、オレを見る
彼には少し、一人になる時間が必要よずっと、あたしたちのことで気を遣ってくれているんだから
ここで一人の時間を貰えるのはとても助かる
美智克子お姉様のおっしゃる通りになさい
みすずは部屋の中を見廻し
マナさん美智と一緒にシャワーを浴びて下さらない
あたしですかっ
ええ美智と仲良くしていただきたいんです
そうやって家族が少しずつ仲良くなるキッカケを増やしていくべきだ
判りました美智お姉さん、行こう
はい、マナ妹《イモウト》
えっとその呼び方は嫌だなあ
では、何と呼びましょう
マナでいいよっマナも、美智お姉ちゃんって呼ぶから
二人は、シャワー室へと向かう
オレも、隣のシャワー室へ
リフレッシュしてらっしゃい
シャワーから出るとオレの服が、綺麗に折りたたんで置いてあった
さすがにこの状況だから、替えの下着とかは無いけれど
こうやってきちんとして貰うと、気分が良い
ありがとう、メグ
えっと、あの
メグが畳んで置いてくれたんだろ
メグは、気が利く奥さんだよな
オレの言葉に、メグは赤くなる
うんやっぱり、役割を振って良かった
以前のメグならこういうことを思い付いても自分が勝手にやっていいのだろうか他の人に対して嫌味にならないだろうかと悩んでしまったと思う
今のメグは家族のクラス委員なんだから、どんどん思った通りに行動してくれていい
みんなのために身体を動かしている方が、メグの精神にとっては良いはずだ
なかなか、状況は緊迫しているようね
オレがシャワーを浴びている間に克子姉は、部屋のモニターを起動させていた
隣のジッちゃんやミナホ姉さんたちの居る監視室と回線を繋げたらしい
大型のモニターにはホテル内の映像が映し出されていた
敵は7階のフロアまで上がって来ているようね少しずつ、工藤さんの配下の人たちで撃破しているみたいだけれど
画面には、敵部隊と交戦しているバンバルビー3の姿が映し出されていた
地味に家族内交流が始まってます
意外な取り合わせで、3Pとかできそうですね
9月に入ったのに猛暑が続きます
はぁ頑張ろう
289.実写版
画面の中の闘いは
敵の部隊はおおよそ20人前後か
敵部隊と交戦していると言っても相変わらず、闘っているのは番場さんだけだ
バービーさんとルビーさんはホテルの廊下にうんこ座りして、アンパンと牛乳でブレイクしている
ルビーさんの前には、なぜか大量の陶器の皿が置いてあった
ホテル内のどこかの厨房から持って来たのだろうか
ほっらー、番場ちゃん、後ろからも敵来てるわよーん
ほっらー、頑張れー
番場さんは、敵の群れの中に飛び込んで相手が迂闊に銃を使えない様な態勢にしておいて、確実に一人ずつ敵をフレイルで刈っていく
はーい、あらよっと
長い剛棒の先の鋼球が、また一人黒い戦闘服の男を薙ぎ倒す
おっと、危ない
番場さんの視界の外から、敵が襲いかかろうとしていたのをルビーさんがお皿をフリスビーの様に投げて牽制する
シュルルンッッッバリンッ
陶器のお皿が敵に当たって砕けた瞬間フレイルの鋼球が、そいつの頭を打ち倒す
ドカバキッ
ルビーさん、サポート、ありがとうございます
うん、気張って闘いなっ
番場さんは、一人だけ戦闘させられていることに少しも疑問を感じていないらしい
あたしっファイトっ
自分に自分でエールを送りながら、番場さんは闘い続ける
とっころでさあ番場ちゃぁん
バービーさんが、番場さんに声を掛ける
はーい、何ですかぁバービーさぁぁん
ドッカ、バキキッ
ドゥガッチャン
一撃で、二人の敵戦闘員が薙ぎ倒される
こんな時で何なんだけどさぁぁあたし、実写版・科学忍者隊ガッチャマンのキャスティングを考えてみましたぁぁ
おっバービー姐さん、それ面白そうっすね
ルビーさんは、乗り気だが
バービーさぁぁんガッチャマンて何ですかぁぁ
ドッガンッガツンッ
バービーさんは、番場さんの質問を無視して
それでは、発表しまーすっ
おー、いけいけ
バービーさんとルビーさんだけで、盛り上がっていく
まずさあG1号、大鷲のケンはやっぱり主役だから、貫禄のある大スターってことでマツダイラ・ケンさんで決まりよねっ
ふむふむ、なるほど
そんでさぁコンドルのジョーは、やっぱり渋い人の方がいいから、ジョー・ヤマナカさんが良いと思うのっ
なるほど、なるほど
それってもしかして
白鳥のジュンは、やっぱり可愛くてセクシーな女優さんがいいからミホ・ジュンさんがいいわよねっ
あの名前が同じ芸能人を探しているだけなんじゃ
そしたら、バービー姐さんミミズクのリュウは、やっぱりリュウ・ライタさんですか
ルビーさんの発言に、バービーさんは
そうね、あたしもさリュウ・ライタかリュウ・チシュウかで悩んだんだけどさほらその二人よりも、もっとビジュアル的にミミズクのリュウにぴったりな人がいるでしょう
え誰です
バービーさんは、自信たっぷりに答えた
リュウ・ホセイよ
あっ、確かに体型もぴったりだし、顔も似ていますねっ
でしょ、でしょルビーちゃんっ
ドンカッ、バキッ
番場さんが、また一人敵を屠りながら
バービーさぁぁんリュウ・ホセイって誰ですぅぅ
なぁにっ番場ちゃん、リュウ・ホセイを知らないの
済みませんっ知らないですぅぅ
勉強不足よっ明日までにリュウ・ホセイの業績についてレポート書いておいてっ400字詰め原稿用紙で30枚よっ
はぁぁい、判りましたぁぁ
こんな下らない会話をしながら番場さんは、さらに数人の敵を打ち倒していく
でバービー姐さん、最後に残ったツバクロのジンペイですけれど
ルビーさんが、バービーさんに話を振る
ああ、ジンペイはねジャン=クロード・ヴァン・ダムでいくわっ
ジとンしか合ってないような
やっぱり実写版・ガッチャマンだからさ一人ぐらい、本格的なアクションのできる人がいないとねっ
さっすが、バービーさん考えが深いっすねぇ
いや、あのルビーさん
あたしだったら、ケン・ヌッツォに、ジョー・ヒグチ、イノウエ・ジュンに、ムラカミ・リュウノズエ・チンペイの取り合わせで行きますねっ
ルビーちゃん、そのメンバーじゃアクション映画にならないわよっ
まあ、その辺は主にCG合成を多用するってことで
ああそれならアリか
はいでも予算の関係上、CGが多用できるのは冒頭の場面だけなんですが
ということはラストシーンは
そこはやっぱりキャストの皆さんに身体を張って貰うしか
いいのあなたのキャスティング、凄い年齢の人ばかりじゃないていうか、故人もいるわよね
そんなこと言ったら、バービーさんのキャスティングだって
まあ、そこいら辺はCG班に頑張って貰いましょう
ドカカッバキキッ
で、バービーさぁぁん結局、ガッチャマンて何なんですかぁぁ
話がまたループする
そんなことは、もうどうでもいいのよ番場ちゃん
穏やかにバービーさんは言う
そうですね姐さんこれで判りましたね
ええこいつら、日本人じゃないわねっ
普通の真っ当な日本男児なら今のあたしたちの話に、突っ込みを入れないはずがないものっ
間違いないっす姐さん
そ、そのための馬鹿話だったのか
番場ちゃん、ちょっとどいて少し、汗をかいて身体を温めたいから
はーい、バービー姐さん
番場さんが、スッと敵の集団から離れる
さぁっていくわよんっ
そしてバービーさんは、マシンガンを取り出した
ずばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばッ
黒い戦闘服の敵集団は、ことごとく倒れていく
んカ・イ・カ・ンっっ
もわっという硝煙の中
マシンガンを全弾撃ち切ってバービーさんが、呟く
姐さんそこは、もうちょっとボケて下さいよ海岸にガイガンとか
ルビーさぁん海岸にガイガンて、どういう意味の言葉ですぅ
意味なんてないわよ高原でマギーみたいなことなんだから
ルビーさんは、倒れている敵の方へ向かう
姐さん、ゴム弾でもこれ効きますねえ
まあねプロテクターを付けていても、身体の内部に衝撃を与える構造になっているから頭に当たったら、ヘルメット越しでも脳震盪を起こすのよ
すっごいですよねぇ
ゴム弾がベットリと張り付く感じで直撃するから衝撃の波で、激しく脳を揺らすようになっているのよほら、ボクシングでも大きなグローブの方が貫通力は減るけれど、相手にヒットする面積が大きくて脳震盪を起こす確率は上がるでしょあれと同じ理屈よ
バービーさんは、そう説明してくれた
ルビーさんが、倒れている男の覆面を剥がす
どう何人どこの国の人
これロシア人ぽいですね
バービーさんに、ルビーさんが答える
ルビーさんは、男の服を捲り上げて、腹を見る
やっぱりタトゥの文字がロシア語ですから
本当ルビーちゃん
はいRの字が引っ繰り返ってます
ロシア人
アメリカの犯罪者がロシアのチンピラを使って、日本に侵攻してくるなんて、あたしの子供の頃には想像もできなかったわね
バービーさんが、溜息を吐く
これ、多分北海道か新潟ルートですねロシア人に紛れて、シザーリオ・ヴァイオラたちも日本に上陸したんじゃないですか
ルビーさんは、そう推測する
しかし30人の部隊に、一人もヴァイオラの部下らしい人間はいなかったわ
襲来してきた敵って合計で150人くらいでしたっけ
ええ、大型バス3台に分乗してきたやつらとフリーの人間で、あっちに付いた連中と合わせて、それぐらいよ
工藤のオッチャンが、1階を水浸しにして上階に上がるのは、6ルートに分けたんですよね
そうよ敵は、20人から30人の班に分かれて侵攻してきているわ
普通なら各班に、ヴァイオラの子飼いの人間を配置しますよね
そうね指揮を取る人間だけは、自分の配下にやらせるわよね
それをしないってことはヴァイオラ自身の直属の部下はそんなに人数がいないんでしょうか
ロシア人の出稼ぎの連中は、最初から見殺しにするつもりなんじゃないのほら、こいつがカメラを持っているわ
指揮は、カメラの画像を見ながら通信でやっていたのか
だから、ロシア人だけの部隊で上階へ昇ってきた
ヴァイオラの精鋭部隊は、一人も欠けることなく健在ってことなんでしょうねそいつらがまだ1階に居るのか6つのうちのどれかのルートから、すでに昇ってきているのかは判らないけれど
バービーさんは、そう分析する
とにかく工藤のオッチャンに連絡しますか
ていうかどうせ、あいつ、あたしたちの闘いを監視カメラで観ているわよ
バービーさんの言葉に、ルビーさんが天井の監視カメラに向かって
ハロー、工藤のオッチャンあたしの乳首見てるぅぅ今日もほんのりピンク色よーん
番場ちゃんもカメラに向かって、尻文字をやりなさいっ
えー、バービーさん、尻文字ですかぁぁ
そうよっほらっ、♫番場のバの字は、どう書くのぉ♫
♫こうして-、こうして、こう書くのぉぉ♫
番場さんが、カメラに向かって腰をくねらせる
バンバルビーのお姉さんたちは相変わらず、やりたい放題だ
お前たちも、観ていたか
ドアが開いてジッちゃんたちが、入って来る
ミナホ姉さんも、マルゴさんも暗い顔をしている
はい、観ていました
みすずが、答える
この方たちの闘いだけですけれど
関さんが、補足した
他も同じだ1階から上がってきた、敵の3部隊をすでに撃破した全員、ロシア人だったよ極東のロシア・マフィアいや、マフィア以前のチンピラだな工藤が、ロシア語のできる部下を使って、すでに尋問もしているどうやら、ウラジオストックでヴァイオラに声を掛けられて、日本に来たらしい
バービーさんの分析は正しかったってことか
フェリーと、ロシアの商船に分乗して新潟港から来たらしいわ
となると私の部下の中で、新潟に地盤があるのは香月昇だ
香月昇って香月健思のお父さんで、何の連絡も無いままホテルに到着していない
普通に考えれば裏切り者は、彼ということになる私の招集指令を無視し姿を見せない上に、彼の力なら新潟の税関に圧力を掛けて、ロシア人たちを無検査で上陸させることもできる
香月グルーブ内の裏切り者は香月昇なのか
でも香月さんは、そうは思っていないんでしょ
ああ裏切り者が香月昇というのは、話が出来すぎている自分の影響下にある場所を使ってわざわざ、自分が疑われるような形で、敵を呼び寄せたりするだろうか
ジッちゃんは、深く考え込む
私や今、このホテルに居る重役たちを皆殺しにしたとしても香月グループには、まだ他の重役や関連会社の代表が居る香月昇が、私たちを謀殺したのが見え見えな状況ならば残された人間たちが、彼を許すはずがない
つまり香月昇が疑われるように、誰かが仕組んでいる
香月昇が、何の連絡もないままだというのも誰かにすでに拉致されているということなんじゃないかと思う
では本物の裏切り者は
みすずの問いにミナホ姉さんが、答える
おそらくすでにこのホテルに来ている重役の中に居るのでしょうね
平然とジッちゃんの招集に応じておきながら
裏では、ヴァイオラと通じているやつがあの中に
今、重役のみなさんは、私塾の子らと一緒に上層階の部屋に避難しているんだけれど
マルゴさんが、深刻な顔をして言った
このままじゃマズいよねあの中に裏切り者が居て、その人が敵を招き入れたら、他の重役たちと私塾の子らが全員、人質にされちゃうことになる
彼らは私の大切な臣下だまた、私塾の子らも殺したくは無い
苦しそうにジッちゃんは、言った
だから、急いで上層階まで戻って誰が裏切り者なのか判別して、他の人たちと隔離しないといけないんだよ可能な限り、速く
マルゴさんそれって
オレたちの中から、特殊任務の部隊を派遣しなくてはいけないってこと
もちろんこの部屋の警護態勢は、万全にしておかないといけないっていうか、この緊急避難室の存在を敵に知られるわけにはいかない少人数で、サッと上まで上がって任務をこなして、またすぐに戻って来るそうするしかないね
となればこの部屋には、最低1名は警護人を残して置かないといけませんね
それと、上のエレベーターの前にも敵が、エレベーターの存在を気付かないように見張っている人間がいる
もし、エレベーターが占拠されそうになったらこの部屋からでも、エレベーターを停止させることはできるけれどでも、そうなったら、上に上がった人間はこの部屋に戻って来られなくなる
うん避難室の人間を守るためなら、仕方が無い
さてチームの編成をしようか
暗い顔のマルゴさんに美智が言った
当然わたくしは、上へ参りますっ
えっと、メッセージボックスの方に、直接メッセージを下さっている方が数人いらっしゃいますが
すみません、感想は感想欄の方にお願い致します
現在の私は、とても忙しい状態で
感想欄の方の返信すら、一日遅れとかになっています
この上、メッセージボックスでの個人的な感想の返信までは、手が回りません
感想欄でしたら、オープンですので他の方にも観ていただけます
それなら、同じ様な疑問をお持ちな方への返答にもなります
しかし、クローズなメッセージボックスで感想をいただいてもその方だけに、返信しても他の方には判らないわけですし
あの、よっぽど特別なこと何かお仕事を下さるとか、そういうことでない限り、メッセージ・ボックスの方は使わないようにお願いします
マジに無理です
それとあの、私はアマチュアですし
この作品は、ネット投稿での最初の作品です
過度なご期待をなされても困ります
特定の読者の方のご希望通りには書けません
というか自分の使える時間内で、ギリギリの状況で書き続けています
よろしくお願い致します
昨日の父は大分、元気になり
現在の政治の話とか倒れる寸前までの記憶が、大分戻って来たみたいだったのですが
ところでさここの病院の位置って判る
と聞いたら
この病院は台北だろう
などと、言い出します
いや、台北って行ったことなないだろ
テレビで観た
それにしても、台北の病院に居るわけないだろ看護士さんとか、みんな日本語で喋っているじゃないか
それが、ずっと不思議だったんだ
父の妄想ワールドは、まだまだ続きそうです
290.遺言
美智上へ行くって
現在、ここにいる戦闘要員は、わたくし、マルゴお姉様、麗華お姉様、関様の4名です居残りが一人ならば、残りの3名が出撃するのは当然かと
美智は、平然とそう言う
でも、美智あなたは、まだ中学生なんだから
みすずが、口を挟む
他の皆さんにお任せして美智がここに残るべきではないの
確かに麗華と関さんは、香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートだし
マルゴさんだって、恭子さんに鍛え上げられたプロだ
美智は工藤流古武術継承者とはいえ、任務としてみすずの警護役になってまだ日が浅い
順当に考えれば、ここには美智を残すべきなんだろう
ミナホ姉さんが、オレを見て言った
オレの意見
そうよ、あなた今何を考えているのいえ何を感じている
オレが感じていること
頭の中で理屈では判っているのだけれど
感覚的に、何か警報が鳴っている
あたしみたいに大人になるとね理屈と感覚の差に惑わされることが多いのよ現実的に考えれば、おかしいことなんだけれど感覚では大丈夫だと思って、行動して失敗することも多いわ経験から得た感覚って、間違っていることが多いからだから、大人になったら理屈で行動した方がいいの常識的に考えて、そんなことはありえないっていう判断ね
ミナホ姉さんは、言う
でも、あなたはまだ若くてこういう危機に直面した経験なんて、ほとんどないでしょだとしたら感覚を優先させた方がいいと思うのあなたの生存本能は、どうした方が良いって言っている
オレなんかが、自分の感覚で話をしてしまっていいんだろうか
何でもいいからあなたが、今、感じていることを言ってみて
ミナホ姉さんは、信頼の眼でオレを見てくれている
うんじゃあ
心に引っ掛かっていることを言ってみようか
上に行くのは今、心の中がテンパってないメンバーで行くべきだと思う
テンパる
ああっと男子学生的な表現だったな
マナには、判らないか
えっと今、心がいっぱいいっぱいで、テンションが上がりすぎになっている人は、判断力がおかしくなっていると思うんだだから、心が落ちついていて、判断力が鈍っていない人で部隊を組むべきだと思う
具体的に言ってご覧なさい
いいからみんなの安全に関わることだから、はっきりと言った方がいいわ
上に行くのはマルゴさん、関さん、美智の3人だよ麗華は、ここに残った方がいい
わたくしは、判断力を失ってなどおりません充分、闘えます
美しい男装の麗人が強い眼で、オレを睨む
そうやって何でも、平気そうな顔をするのが、麗華の悪いところだと思うよ
谷沢チーフが、麗華をジッちゃんの専任警護人に抜擢しなかった理由何となく、判ったよ
ど、どういうことでございますか
麗華がオレを問い詰める
麗華は自分の美学にこだわりすぎなんだよ
美学
部屋の中の人間が、全員オレと麗華に注目する
眠っちゃっている、真緒ちゃんを除いて
香月の家の内側の話を突然、聞かされてさそれで、これからも、警護人として仕えてくれなら問題はないけれど、家族にならないかって誘われたら普通は困惑するよ今の関さんみたいに関さんの反応が、当たり前なんだと思う
でも、麗華はそこではい、判りましたお受けしますって言った方が、自分の美学に合った行動だと思ったんだろだから、そうした
わたくしは、覚悟はできております自分の選んだ道を後悔してはおりません全て、納得した上で皆様の家族にしていただきました
麗華は、少し強い声でそう言う
ちょっと、興奮している
やっぱり冷静じゃない
うん、麗華が一度約束したことは死んでも守る人だってことは判っているだから、オレは家族として麗華を受け入れるでも、麗華の心は無理をしていると思う
そんなことは、ございません
そうかな麗華は、何かある度にオレたちの家族になったことを、自分に納得させるための言葉を言っているよ何度も何度も
自分の現在の状況を受け入れるためにわざと、少し過激な発言をしている
無意識的なもので本人は、気付いてないんだろう
でも、それは麗華の心が、急激に変わった麗華の状況に追いついていなくてアップアップしているからで
最初はさ麗華は、ものすごくマイペースな人で、少し鈍い人なのかと思った
いや、鈍いですよ藤宮さん
関さんが、ポロリと本音を言う
いいえ、違います麗華の本質は、繊細でデリケートなんですだから、わざと豪放で思い切りの良い人格を演じているんです
オレの視線から麗華は逃れる
その英国紳士の男装もそうだけれど割と形から入る人ですよねそして私はこういう人間だと他人に示すことで、自分の心を防御している麗華の心の中に、理想の麗華が居てその理想に近付こうと、いつも体当たりで突撃していくから、他の人には麗華は割り切りの良すぎるマイペースな人格に見えるんだと思うよ
わ、わたくしは何もかも、ちゃんと納得して受け入れています皆様の家族になったことだって
いや、だから麗華の気持ちは全然疑っていないし、今だってオレたちは麗華のことを歓迎しているよでも、頭では割り切れていても心は
心
ああ麗華の心はオレとセックスして、オレの子を産むということには戸惑っているだから、一生懸命、真緒ちゃんと交流して自分に子供ができた時のシミュレーションをしてみたりさっきから、子供を産むということについてばかり、話しているじゃないか
そうだ麗華は
無理して、オレとセックスするとか子供を産むとか、そういうことは考えなくていいよ
あ、主様わたくしは家族失格でございますか
そういうことを言っているんじゃないよ麗華はもう、みんなのお姉さんだよこのまま、家族の中に居てくれていいんだ
そうだ問題は、そこじゃない
別にオレの女にならなくてもいいよせっかく家族になったんだから
オレの言葉にみすずは
待って下さい旦那様あたしたちは本当には血縁の無い家族ですですから、旦那様との交わりを要として、家族としての結束を
いや、違うよみすず
それは最初は、オレとしか繋がりのない子が多かったから、たまたまそうなっただけのことで別に、これからもずっとそうでないといけないことでは無いんだよ
みすずが、オレを見ている
いいやもし、オレが死んでいなくなったとしてもこの家族は、続いていくよもうっていうかそうじゃないといけないんだよ
ミナホ姉さん、克子姉、渚、マルゴさん、寧さんそれから、ジッちゃんもし、オレが今日、この後、死んだとしてもメグやマナ、それからみすずに瑠璃子、美智と麗華オレたちの家族のこと、頼むよみんなが幸せに生活できるようにしてあげて欲しいんだ
旦那様何を言っているんです
みすずが、呆然としている
年長者を代表してミナホ姉さんが、オレに言ってくれた
あなたの家族は、あたしの家族よどんなことがあっても見捨てないわ全員、きっと幸せにするから
うんミナホ姉さん
オレはみすずたち、年少組の少女たちを見る
みんなもお互いに仲良くなって、本当の姉妹みたいに助け合っていって欲しい
ヨシくん、どういうことなの
メグとマナも心配そうに、オレを見る
オレはマルゴさんたちと、上へ行くから
オレの言葉に少女たちは愕然とする
ま、待って下さい旦那様
そうよ、ヨシくんが行かなくたって
いいや、オレは行く行かないといけないんだ
ジッちゃんが、オレを見る
別にお前が行く必要はない上には、わしが行こう
そう言うと、思った
重役の中の誰が裏切り者なのか、判断しないとならないし何より、あいつらは私の命令しか聞かないだろう私が行かなければ、どうにもなるまい
そこは黒い森流に片を付けるよそうだよね、マルゴさん
そうだね誰が裏切り者か判ったら、実力行使で黙らせればいいよねそれで、他の重役さんたちや私塾の子らと隔離してくればいいんでしょ
暴力で、無理矢理言うことを聞かせばいい
わざわざ、ジッちゃんに出張って貰う必要は無い
私が命令すれば、一言で済むのだぞ
敵は、ジッちゃんを狙っているむざむざ上に上がっていけば、敵の思う壺だよ
しかしだな
ジッちゃんは、納得しようとしない
ジッちゃん悪いんだけれど、みすずと瑠璃子のために、今は生き続けてくれないか
ジッちゃんが、どうして自分の命を危険に晒そうとしているのかは判らないけれどいや、きっとジッちゃんのことだから裏に意図があることは判っている
そうだ私は、私の計画に従って行動している
シザーリオ・ヴァイオラを、このホテルに呼び込むということ
ホテル一つを犠牲にするような、大胆すぎる行動
オレとみすずの仲を簡単に認めてくれたこと
自ら家族入りしてくれたことだってみすずと瑠璃子を、ミナホ姉さんに託すためだろうし
私塾の連中の前で、みすずを後継者にする宣言をしたことだって性急すぎる
ジッちゃんは何か隠している
自分の命の危険を感じてみすずと瑠璃子のために、急いで色んな事を決めた感じがする
でも今のジッちゃんは、少し焦っているよ冷静じゃないこのまま上に行って、裏切り者やヴァイオラと対決するべきでは無いと思う
だからと言ってなぜ、お前が上に行く
ジッちゃんが、叫ぶ
それはあたしが上に行くからでしょ
その声は寧さんだった
どどういうことかね
驚くジッちゃんに寧さんは
この緊急避難室は絶対に安全なんでしょ香月さんが、ミィちゃんやルリちゃんを避難させているんだから
ああ裏切り者にも、ヴァイオラにも気付かれない自信が無ければ
ジッちゃんは、大事な二人の孫娘をここに連れては来ない
でも、あたしがここに居る限りヴァイオラは、執拗にホテル内を探し回ると思うのもしかしたら、何かの拍子にこの部屋の存在に気付いてしまうかもしれない
それに敵のターゲットが、全員ここに集まっているというのは得策じゃないよね
だからあたしは上に行って、敵の前に姿を見せて攪乱するべきなんだと思う
うん寧が姿を見せることで敵をさらに分断することができる香月さんや白坂家の反抗勢力を狙う部隊と、寧を追う部隊に
寧さんなら、そう言い出すと思っていた
妹たちの安全を確実なものにするためには寧さんは、この部屋から出ないといけない
オレも寧さんと一緒に、上の階へ行かないといけない
寧さんを守るために
オレの強い意志を知ってみすずが不安そうに、そう言う
みすず今日は、頑張ったな凄いと思うよ
一度は、ジッちゃんに香月家から追い出される覚悟までしてそれで、ジッちゃんと対決して香月家を丸ごと引き受ける約束をして私塾の連中とも渡り合った
みんな旦那様のおかげです
違うよみすずの力だ大好きだよ、みすず
オレはみすずの身体を抱き締める
だから今日はもう、これ以上頑張らなくていい
お前が、家族のリーダーになる必要なんてないんだゆっくり休んでいろよ
みすずの身体が、震える
みすずはオレの女なんだよな
だったら今は、これ以上頑張るな
みすずには、オレの言葉の意味が判らないらしい
メグがさ、ちょっと前に、今のみすずと同じ症状だったんだよ
症状
オレとある程度、信頼関係ができた段階でずっと、その関係が続くのか不安になっちゃうんだよ不安だから、メグの場合はオレとのセックスに溺れようとしたセックスで、不安を消そうとしたんだみすずの場合は
あたしの場合
家族の年下組のリーダーになることで、オレとの関係を強化しようとしているんだよ無意識的に
そうだあの頃のメグと同じだ
みすずも不安なんだ
元々、黒い森のメンバーでないみすずは、コンプレックスがあった
だから自分に近い、美智や瑠璃子や麗華というメンバーを新たに家族に加入させようとした
そして、瑠璃子にオレとのセックスを見学させたり
美智の処女喪失を公開したりした
でもさ美智も瑠璃子も、みすずの支配下にはならないよ二人とも、強い女の子だもの麗華だって、命令されれば何でも従うような人間じゃない
オレは、みすずを抱き締めたまま瑠璃子を見る
瑠璃子はまだ、オレのこと信用していないだろ
信頼はいたしておりますお兄様の何事にもフェアなところは、瑠璃子、大好きですわ
うん、そんなものだろう
みすずが、どれだけオレを薦めたって瑠璃子の様な、しっかりした女の子が簡単にオレを受け入れるはずがない
こういうことはさすべて時間を掛けて、ゆっくり関係を作っていくしかないんだよみすずだって、最初からオレのことを信頼してくれていたわけではないだろ
みすずと本当に心が通じたのは2回目のセックスぐらいからだ
最初からでは無い
わたくしは、完全にご主人様を信頼しております
美智が、自信満々に言った
心と心が同調致しましたから自分自身と同じくらい、ご主人様を愛おしく感じています
まあ工藤流古武術奥義は、特別だ
普通の人間同士では、あんな心の交流はできないんだし
とにかくみすずは急ぐな今のまんまじゃ、みすずが他の子たちを急かして、みんなでオレの取り合いになってしまうよ
旦那様の取り合い
そうさみんな、他の女よりも、よりオレとの関係を強くしたいと思うからただオレを取り合うだけで、疲弊しちゃうよ
それはそうかもしれませんが
そんなことをしているヒマがあったらさどんどん、他の女の子と仲良くしろよ誰がリーダーで、誰と誰がグループとかそういう力関係のゴタゴタは抜きにしてくれみんな家族で姉妹なんだからさ
オレが死んでもお互いに助け合うことができる姉妹になってくれ
みすずがオレを見上げる
例え話だよオレとの関係を強化することばかりに、集中しないでくれってことさもっと家族として結束しろってこと
みすずは、うつむく
オレ、みすずのことを責めているんじゃないよみすずは、今日色んなことがあって神経が高ぶっているんだよ本当に今日のみすずは、一生懸命頑張ったもの
オレは、ギュッとみすずを抱き締める
だからしばらく大人しくして、心を落ちつかせてくれいいな
はいあの、旦那様
なんだいみすず
あたし申し訳ありませんでしたきっと、あたし、旦那様の良い奥さんになりますから
みすずは、とっくにオレの良い奥さんだよ
オレは、みすずにキスをする
ふんすっかりやられてしまったな
仕方無いお前たちの気の済むようにしろ
どうにか、自ら上階へ行くプランは諦めてくれたらしい
はいじゃあ、瑠璃子オレがいない間は、みすずやメグと相談してみんなのことを頼むよ
瑠璃子は、驚く
ああ、多分、瑠璃子が年少組では、今、一番冷静なんだと思うんだ
メグやマナは白坂家から見捨てられたこともあって、もっとテンパっている
マナがやたらとオレに擦り寄って来るのも見捨てられるのが怖いからだ
雪乃を責めるのも不安の裏返しだろう
何だかんだ言って血の繋がっている雪乃と話すのが、一番気楽なんだと思う
今のこの状況で必要なのは冷静な神経の持ち主だ
どんな事も、瑠璃子の視点で分析し直してみる方がいいと思うみんなも、瑠璃子の意見に注目して
オレは、みんなに言った
とにかく香月さんとみすずさんと瑠璃子さんの3人は、このままこの部屋に居て貰うよこの3人が敵に捕まったら、その段階でこっちの負けでゲームオーバーになるからね
上に行くのはあたしと寧と、関さんと美智ちゃんそれに君っていうことでいいのかな
マルゴさんの言葉にオレは
雪乃も連れて行きます
へあたし
雪乃が驚いてオレを見る
ああ雪乃の眼が、必要なんだ
毎日、父には同じ話をします
今、入院している病院の位置と、家からどれくらいの時間で来れるのかと
私は毎日、自転車で来ていること
しかし父は、毎日、忘れてしまいます
また今日も、同じ話をするのでしょう
291.遺言 (その2)
あ、あたしは、嫌よ
だってここに居れば、絶対に安全なんでしょ
雪乃のこういう割り切った視線が今のオレたちには、必要だ
お前、オレが居なくなったこの部屋に居るのって辛くないのか結構、針のムシロだと思うけれど
オレは、意地悪く脅す
雪乃は、みすずやメグ、マナを見る
みんな雪乃には好意的では無い
むしろ雪乃に対して反感を持っている
旦那様がお出かけになられるのでしたら、その人は連れて行って下さい
みすずが、フォローしてくれる
そうねあたしも、雪乃と同じ空気を吸うのは嫌よ
ミー・トゥーです
メグとマナも
わ、判ったよ出て行けばいいのね出て行けば
雪乃も本質的には、同世代の女子が苦手だ
雪乃は、男にちやほやされるのが好きだ
自分より綺麗で可愛い女の子が近くに居るのは好きではない
だから、白坂家内ではメグのことを徹底的にイジメていたし
妹のマナのことも、ずっと小馬鹿にしていた
その代わり絶対にあたしを守りなさいねいいわね
雪乃はプンプンしながら、そう言う
確約はできないねむしろ、雪乃さんの方こそ、あたしたちから離れないで姿が見えなくなっても、捜索する気はないから
マルゴさんは、冷たく言った
雪乃との交渉は、いつだって脅して言うことを聞かせるしか無い
雪乃はいつだって、自分優先で他人無視なんだからフィフティ・フィフティな取引は不可能だ
恐怖で縛るしか雪乃を繫ぎとめることはできない
ホント自分のことばかりで、他人には興味が無い女なんだよなあ雪乃は
雪乃は、このまんまの格好で連れて行く
今の雪乃は、黄色と黒の縞々のドレスに、変なメイク黄縞黒子状態のままだ
戦闘区域に連れて行くのは、ちょっと派手過ぎるんじゃないだろうか
いいんじゃない目立ってた方が
あ雪乃は完全に囮に使う気なんだ
マルゴさん、割り切っているな
いえ上には、工藤さんの配下の方たちもたくさんいらっしゃいますからその派手さでは、フリーの戦闘要員と勘違いされる恐れがありますわ
関さんが、そう言った
そうかヴァイオラの手下たちは、相当、バンバルビー3や他のフリーの人たちに煮え湯を飲まされているから
雪乃がこんな格好でウロウロしていたら、問答無用で銃撃されるかもしれない
えっとこの部屋に、着替えとかある
オレはジッちゃんを見る
そっちの棚を見てみろプレイ用に、幾つかコスチュームが入っているはずだ
ジッちゃんの部下は多分、谷沢チーフだと思うけれど
本当に用意がいい
ジッちゃんがここに避難してきた時に、女の子を連れ込むことを想定して
何でもセックス用のグッズを置いているんだ
ここまで用意されているとなると
ジッちゃんが、性的に枯れているという話は、本当だろうか
谷沢チーフって、ジッちゃんの健康状態だって熟知しているはずだろう
克子姉はジッちゃんは、もう何年もお屋敷の中でセックスしていないと言っていたけれど
どれがいいナース服に、ボンテージ、セーラー服もあるけれど
克子姉が、クローゼットを開けてこちらに振り向く
普通の服は無いの
不機嫌そうに言う雪乃に克子姉は
あなたには聞いてないわよ
雪乃を無視してオレを見る
雪乃さんには、どの服を着せる
セーラー服にしよう
ピンクのナース服やボンテージみたいなエロ衣装だと正直、バンバルビー3の仲間にしか見えない
雪乃は、現実に16歳の少女なんだからセーラー服を着れば、年相応に見えるだろう
髪型やメイクは、どうする
校則遵守で
いやよ、あたし地味なのは
雪乃は、そう言うが
戦場で派手なのはどこから撃たれても文句が言えないけれど、いいんだね
マルゴさんの言葉に、黙り込む
それじゃあ克子は、雪乃さんの準備をして
あなたはあっちの部屋へ来てちょっと事前の打ち合わせがしたいの
打ち合わせ
そうね渚と寧、瑠璃子さんも来て克子も雪乃さんの着替えは、あっちの部屋でやってあなたにも居て欲しいから
克子姉が返事する
一緒に上階へ行く寧さんや関さんは判るけれどここに残る渚や瑠璃子さん、克子姉と何の話をするんだ
マルゴは
判っているよミナホこっちで美智ちゃんと打ち合わせしているよ
それでいて戦闘チームの2人だけは、こっちの部屋で打ち合わせさせるなんて
麗華お姉さんちょっと、真緒の様子を見ていてくれますか
渚が、落ち込んでいる麗華に優しく話し掛ける
この子、一度寝たらなかなか起きない子ですけれどちょっと心配だから
いいのわたくしで
力なく、麗華は呟く
はい家族ですから
渚は、癒やしの微笑で麗華に答えた
判った真緒ちゃんは、わたくしが見ています
お願い致しますお姉さん
美子では、ちょっと行ってきます
美子さんは、心配そうだった
大丈夫ですわたくしも、黒森様とはお話ししてみたかったから
瑠璃子は、お付きの年上の少女にそう告げる
お祖父様のことよろしくお願いね
いいから、ずっとお祖父様のお側に居て離れないでね
美子さんが、不思議そうな顔をして返事する
瑠璃子さんこちらへ
ミナホ姉さんが、隣の監視室へ続くドアを開いて瑠璃子を呼ぶ
今、参ります
瑠璃子が、立ち上がる
オレと渚と寧さんも
そしてオレたちは隣の監視室の方へ向かう
ちょっと、こっち見ないでよ
モニターとパソコンの並んだ部屋の奥に雪乃と克子姉が行く
雪乃は着替えのセーラー服を抱えていた
いや、見るよオレが見るのはもう判っているだろう
雪乃が着替えを見るなというのならオレは見る
オレがそういう性格だってこと、雪乃はいつになったら判るんだろう
判ったわよじゃあ、見てなさいよもおっ
ぷんぷん怒りながら雪乃は、黄色と黒のドレスを脱いで行く
お前身体のラインだけは綺麗だよな
おっぱいは大きく無いけれど雪乃はスタイルがいい
雪乃は、ギッとオレを睨む
今だけよもうすぐ、あなたの身体のラインは崩れちゃうんだから
克子姉が、雪乃に言った
妊娠して赤ちゃんを産むんだからね
雪乃がうつむいてブルッと震える
女の子らしい、綺麗な身体のラインも2、3ヶ月後には変わるからお母さんらしい体つきにね
ミナホ姉さんが、雪乃に冷たく宣言する
諦めなさい確実にもう妊娠しているってことは、あなたにだって判っているでしょう
うんこれだけ毎日膣内射精していれば
妊娠しないはずがない
避妊なんて、一度もしていないのだから
さて、瑠璃子様
ミナホ姉さんは、雪乃を無視して瑠璃子を見る
香月様の監視はマルゴにもやらせています
ドアを閉めた瞬間ミナホ姉さんが瑠璃子に言った
お心遣い、感謝致します
瑠璃子が頭を下げる
さっきは諦めたような口振りでしたがお祖父様のことですお一人で突然、上階へ向かわれようとするかもしれませんから
ミナホ姉さんも瑠璃子もジッちゃんの言葉を信用していない
ジッちゃんはまだ、危険を顧みず上の階へ戻ろうとしていると考えている
だから瑠璃子は、美子さんにジッちゃんから離れないように命じ
ミナホ姉さんは、マルゴさんに監視させている
香月様が、何をなさろうとしているのか瑠璃子様はお判りですか
ミナホ姉さんは、尋ねた
判りません黒森様こそ何かしらご存じなのでは
あたしは幾つかのケースを想像していますが、確証はありません
今回の騒ぎを起こした張本人はお祖父様なのでしょうか
このホテルに敵を誘導したり裏切り者と他の重役を同じ場所に集めたり何かしら関わっておられるのでしょうが、香月様が全ての黒幕では無いと思います
今回のシザーリオ・ヴァイオラというアメリカ人犯罪者の襲撃は、あくまでも突発的に起こったことです香月様は、この機会を利用しようとなさっているだけで全ての準備を香月様がなさったとは、あたしには考えられませんただ
香月様が、今回の騒ぎを利用して何かをなさろうしていることは確かですしかも急いでいらっしゃるこのホテル一棟丸ごと使い捨てることも覚悟して
確かに、普段の何事にも慎重なお祖父様からは考えられない性急さだと思います
瑠璃子も、ジッちゃんの行動が気になるらしい
なぜ、ご自分の専任警護人である大徳さんや張本さんをお側に置かれていないのか普段なら、谷沢さんだってお祖父様からは離れないはずです関さんや藤宮さんしか、お側に置かないなんて異常な状況としか、思えません
そう言えば香月セキュリティ・サービスは、何をしているんだ
ジッちゃんの護衛はどうなっているんだろう
しばらくは様子を見ましょう今、お尋ねしても、香月様は何もお答えにはならないと思いますし
はいわたくしもそう思います
本当にジッちゃんは何を企んでいるんだ
香月様の件は、一先ず置いておくとして瑠璃子様
さきほどのみすずさんのことですが
二人の会話に着替え途中の雪乃が口を挟む
さっきのあれ、面白かったわよね
面白かった
あんたさあのみすずって子が、ウザクなったんでしょ
雪乃が、見下す眼でオレに言う
ま判るけどねあんな風にやたらめったらにベタつかれたら、あんな可愛いお嬢様でも嫌になっちゃうわよねあんたの気持ちも判るわ
下卑た笑みで雪乃はオレを笑う
オレはメンドくさいとか、ウザったいとか、全然思ってないよ
嘘吐きそんなはずないじゃない
雪乃お前さ、この際はっきり言っておくけれどさ
一生懸命に頑張っている人間を馬鹿にするな
雪乃が、ギョッとした顔でオレを見る
死んだバァちゃんによく言われたんだ例えどんなことであろうと、一生懸命頑張っている人間は偉いんだ認めないといけないんだ
みすずはオレや、香月家や、オレたち家族のことを考えて、一生懸命頑張っているんだそりゃあ、ちょっとやり過ぎだったり強引なところもあるけれど、みすずなりに精一杯考えてやっていることなんだそのみすずの心は、無視しちゃいけないんだ認めてあげなきゃいけないんだ
黙り込む雪乃
ミナホ姉さんが、瑠璃子に言う
あなたはどう思いますか瑠璃子様
はい、わたくしもお兄様と同意見です
だからあたしたちの家族に参加することを同意して下さったのね
はいわたくしはどうせ自分の望む通りの結婚はできませんからわたくしとみすずお姉様が、同じ男性と結ばれるというのはいささか突飛な解決策だとは思いますが、それでみすずお姉様が幸せになられるのなら、良いだろうと判断しました
瑠璃子はみすずのために、家族になることを受け入れてくれた
わたくしとみすずお姉様二人とも望まぬ結婚をして不幸せになるよりも、みすずお姉様だけでもお好きな男性と結ばれた方が良いですわそれに、わたくし嬉しかったんです
みすずお姉様は昔からご自分のお心をお隠しになって、香月家や周囲の人たちのために行動なさる方でしたから何でも、人のことが優先でご自分のことは我慢なさってばかりでそんなみすずお姉様が、お兄様と結ばれるために遮二無二に頑張っていらっしゃる姿を見ていたら、とても嬉しくなって
それで、みすずのプランを受け入れたのか
はいそれに、決して悪いプランではありませんよ私塾の方と結婚することになったり、余所の名家の方と縁組みさせられるよりはマシですわたくしはずっと、香月の家の中に居たいと思っていましたし、美子とも離れたくありません何より、わたくし
瑠璃子は、言う
男の方に命令されるの大嫌いなんですお兄様みたいな方でしたら、わたくしに何かを強いることは無いと思いますし
いや、確かにオレは別に、瑠璃子に命令するつもりはないけれど
お兄様とみすずお姉様が結婚なさってでも、お兄様は香月家の経営には携わらないというのは、本当に良い選択だと思いますそして、経営の中枢はみすずお姉様が握り、わたくしは香月家の象徴として存在するわたくしとみすずお姉様による、共同支配というのはとても魅力的ですし実現させたいと思っています
この15歳の美少女は強かだ
瑠璃子は生まれながらにして、香月家の正嫡の後継者として育てられてきているのだから
わたくしの様な不調法な女は、お兄様のお好みには合わないと思いますがどうぞ、末永く可愛がって下さいませ
瑠璃子はオレに頭を下げる
そのお行儀良すぎる態度にオレは、反発する
瑠璃子あのな
オレはなお前のこと、本当に抱きたいんだよお前は可愛いし、綺麗だから
お褒めいただいて、ありがとうございますお気遣いいただいて申し訳ありません
気遣いなんかじゃない
最初に見た時からお前とセックスしたいって思っていた
お前を抱いて、お前の中にオレの精子を流し込みたいって思っていたんだ
あの何をおっしゃっているんです
瑠璃子は、それくらい魅力的ってことだよっ
ご冗談を瑠璃子には、魅力なんてありません
そんなわけないだろ
皆様瑠璃子に良くして下さいますし、褒めて下さったりもしますがそれはあくまで、瑠璃子が香月の家の娘だからですわたくしには、判っています
こいつも
捻れているなあ
判った瑠璃子お前、香月家やめろ
このホテルの戦闘で、瑠璃子は死んだことにしよう
そんで、あらためてオレのとこに来い
あ、そんなんじゃ足りないな
黒い森の流儀で行こう
瑠璃子オレ、お前を誘拐することにする
でオレの女にする香月家には返さないはっきり言って、香月家なんてオレにはどうでもいいし
うんこれが正しいな
一生、可愛がってやるからお前はもう二度と、香月家のことなんて考えなくていいんだずっとずっと、オレに誘拐されたままなんだから
どうして、そんなことをおっしゃるんです
瑠璃子の仮面が剥がれていく
そんなのお前が可愛くて、お前とヤリたくて溜まらないからに決まっているだろ
香月家の後ろ盾の無いわたくしなんて何の価値も無い女でございますっ
価値が無いって思うんなら、オレにくれお前は、オレが磨き上げてやるっ
何も無しの素っ裸の瑠璃子がいいんだ丸裸で、オレに誘拐されろっ
オレたちの様子を、雪乃が呆れ顔で見ている
あいつにとっては、またオレが馬鹿げたことを言っているようにしか見えないのだろう
お前自分にあるのは香月家の名前だけで、自分自身には何の価値も無いと思っているんだろ
そうです香月家の後ろ盾が無ければ、わたくしなんて何の意味もありません
オレは香月家の部分はいらないんだお前が無意味だっていう瑠璃子の本質だけが欲しいんだ
わたくしの本質
瑠璃子は可愛いよ
オレたちの会話にミナホ姉さんが、介入する
また女の子と約束してしまったわね
これでもう簡単には死ねないわよ
いいえ絶対に、死なせないから
平日の後半はツライ
毎日、父にこの病院はどこにあるのか判ると聞いていますが
昨日の返答は仙台あたりかでした
台北よりは近くなったけれど
東京都内なんです
毎日、説明しているんですけどね
292.遺言 (その3)
あなた、今死ぬことを考えているでしょ
いや、別に死のうとか、死にたいとか、そういうんじゃないよ
オレは答える
ただ、オレ今、ここで死んじゃった方が、いいのかなって気がして
どういうことですお兄様
瑠璃子が、驚いて尋ねる
いやさみすずも、メグも、マナもさみんな、オレとの関係を強めることだけに意識を集中させて、ちょっと暴走気味になっているだろ
そうね、確かにあの子たちはあなたに依存し過ぎていると思うわ
ミナホ姉さんが、オレの言葉にそう言った
うんみんな悪い子じゃないんだけれど一生懸命で、必死なだけででも、このままじゃいけないと思う
切実にオレはそう感じる
確かにオレを接合点にして、家族が集まって来たっていうことはあるんだろうけれどこれからは、オレを抜きにして家族同士でもっと交流して、仲良くなっていくべきなんだと思うんだ
実際そういう方向になりつつある
メグやマナには、今まであんまり喋ったことのない人と交流しろって言ってあるし
みすずも、一人だけ突出することはもうないと思う
それでみんながちゃんと家族になって、お互いを支え合うようになったらオレはもう、いらないわけじゃないか
いらない
瑠璃子は、呆然としている
そうだよ今はみんな、寂しくて心を埋める相手がいないから、たまたまオレのところに来てくれているだけだろ家族がちゃんと機能して、みんな心に余裕が持てるようになったら、みんなオレなんかじゃなくもっと、良い人と付き合っていくべきだよ
あ、あんた自分が欠陥人間だってことは、判っているのね
雪乃が、ニヤッと笑う
判っているよオレ何も無い人間だもの
良かったわそれさえ判っていないような男だったら、こっちがたまらないもの
うんオレに犯され、人生をメチャクチャにされた雪乃には
何を言われても仕方が無いと思う
自分がさっさと死んだ方がいい、救いようのないクソ野郎だってことちゃんと判っているってことよね
死んだ方がいい人間だ
みすずやメグやマナにとっては今、ここでオレが死んだ方が良いような気がするんだオレが死んでも、ミナホ姉さんたちがあいつらを助けてくれることは判っているしジッちゃんだって、約束した以上は家族を見捨てたりはしないよ
ジッちゃんの真意は判らないけれど
香月重孝は、約束したことを反故にするような人間ではない
むしろ、オレがここで死んだ方があいつらは、オレのことを吹っ切れるしその方がいいんじゃないかって思ういや、別に本当に死にたいわけじゃないよただ、そんなことも考えるんだよオレ
今のオレはもう家族には不要なんじゃないかって
美智さんは、どうするの
美智はもう大丈夫だよこれからのあいつは、武道家として、自信を持って生きていくよみすずやオレに依存することはもうないと思う今のあいつは、しっかり自分の足で立っているもの
麗華お姉さんは
麗華は自分の家族が欲しい人であって、別にオレの女になりたいわけじゃないものこのまま、みんなで受け入れてあげたら、それでいいじゃないか
瑠璃子さんのことは
オレが答える前に瑠璃子が口を開く
お兄様が、そこまで正直にお話下さいましたから瑠璃子も、お話致します先程も言いましたが、わたくしはみすずお姉様と一緒に、お兄様にお仕えすることは構わないと思っています香月の家を守るための選択肢としては、アリだとでも、心の奥底で今ここで、お兄様が亡くなられたらなという気持ちも確かにあります
わたくしは今回の件でみすずお姉様のお心が良く判りました今後は何事も、みすずお姉様と共闘して、香月の家を盛り上げていくということについては異存はありません決して、敵対は致しませんわわたくしみすずお姉様が大好きですし
今までは、お互いの心の内がよく判らなくて疑心暗鬼だったんだろうけれど
現在のみすずと瑠璃子は、心と心の信頼関係が築けている
ですからわたくしとみすずお姉様の関係には、お兄様という仲立ちは必要ありませんみすずお姉様が、心底お兄様を愛しておられるということは判っておりますしわたくしも、そのことは尊重しておりますがお兄様が、この段階で亡くなられたらまた別の選択肢が生まれるということを、つい考えてしまいます
香月家を支配しようという野心を持っている男を排除して自分たちのパートナーには、企業グループの経営に参画させない
香月家は、みすずと瑠璃子で共同統治する
そこまではいいのだろう
しかし、瑠璃子にとっては別にオレでなくてもいい
どこの誰だか判らないオレよりも
家柄と血筋の良い男で野心の無い男を探して来た方が
この計画は、より堅固で完璧なものになる
うんそうだろうなよく判るよ
やっぱりオレ、ここで死んだ方がいいんだな
オレが死んだらあちこちに角が立たないで、丸く収まるような気がする
何だよ、瑠璃子
瑠璃子は困惑していた顔面蒼白だ
わたくし今、わざとお兄様を怒らせるために酷いことを申し上げました
本当にお兄様はみすずお姉様やわたくし、ひいては香月家全体のことまでお考えになって下さっているのですね
だってお前たちが幸せにならなきゃ、意味が無いじゃないか
わたくしのことも家族だと思って下さっているのですね
いつからいつからです
いつからわたくしを家族だと思って下さっていますか
いや、いつからだなんてはっきり覚えていないけれど瑠璃子のことを、瑠璃子さんでなく瑠璃子って呼んだ時から、腹は括っているよ
腹を括る
ああこいつはもう、オレの家族なんだから幸せにしなくちゃいけないんだって
覚悟はできている
結局あなたの頭の中には、いつも、あなた自身の幸せが欠落しているのね
さて、最後に尋ねるけれどあたしたちのことはどうする気あたしと、克子と、渚と寧は
4人の年上の女たちがオレを見る
そ、それはでも、ミナホ姉さんたちは強いから、オレがいなくても平気だろ
ミナホ姉さんが、ハァッと溜息を吐く
良い機会だから言っておくわ前に、あなたに言ったでしょ何があっても、最低一人の女は、あなたから離れないって
確かにそんなことを言われたと思う
そのことなんだけれどあなたの居ない時に、あたしと克子と渚の3人で取り決めをしたの
取り決め
もしあなたが死んだら、あたしたち3人の中でその時に一番あなたに近い場所に居た女は一緒に死ぬから
絶対にあなた1人では、死なせないから
大丈夫よ、残った2人が後のことはちゃんとするわみすずさんや、恵美やマナさんの面倒も見るわ美智さんや麗華お姉さん、瑠璃子さんたちのこともね
そうよ一番近い場所に居た1人だけが、あなたを追って死ぬの
あたしたち、そう決めたんだから
ミナホ姉さん克子姉渚
でも、渚は真緒ちゃんが
真緒のことも御名穂さんと克子にお願いしてあるわ
全部、あなたが死んだらってことが前提の話よあなたが、生きていてくれたら起こらないことなんですからね
渚が涙目でオレを見ている
あたしも死ぬよっヨッちゃんが死んだら、そっちの3人とは関係無しに
あたし弟が先に死ぬのを見るの、もう嫌だものヨッちゃんが死んだらあたしも一緒に死ぬとっくに、そう決めているよっ
寧さんは、ニコッと微笑んでくれた
だから、あなたは絶対に死んではダメなのよ
克子姉が瑠璃子に言う
告白するけれどあたしも渚もお嬢様も、元娼婦なの
娼婦
瑠璃子はジッちゃんによって性的な知識を制限されてきた
娼婦が何だか、判らないのだろう
悪い男に無理矢理誘拐されて奴隷のように働かされてきたのよ何年も
まあ、
あたし自分にはもう、人並みの幸せは来ないって思っていたわパン屋さんになるのがあたしの夢だったけれどそれはただの妄想で、絶対に実現する可能性は無いって思っていた
だってあたしの心も身体も、すっかり汚されていてこんなボロボロのあたしが、生き続けていて良いのかって、ずっと思っていたからあたしにはもう、誰からも愛される資格はないし、あたしも誰も愛してはいけないって思っていたあたしは汚れた女だから
そんなことは無いよ
あの頃のあたしは自暴自棄でパン屋さんになりたいっていう妄想だけで、何とか自分を保っていたわあなたに出遭うまでは
あたしという汚れた女に価値を見出してくれたのは、あなたよあなただけよあなたがいないと、あたしはダメなのまた、自暴自棄なだけの心が溺れた女に戻ってしまうわ
あたしも、そうよあたしは足を洗うことができてお花屋さんを始められたけれど、やっぱり自暴自棄になっていたあたしの過去は、あたしの心を蝕んでいたもの特に、真緒の存在は
真緒はあたしの宝よあの子のためなら、あたしどんな辛いことでも耐えられるでもあの子は、あたしが望んで産んだ子じゃないそのことがあたしの心にずっと突き刺さっていたの
真緒ちゃんは父親が誰だか判らない
渚が娼婦としてたくさんの男たちに避妊せずに犯され続けて、妊娠した子だ
あたし何度か、恋をしてみようと頑張ったの結婚相談所にも登録したのよお見合いもしたことがあるわでもどんなに素敵な人に出会っても、真緒のことを全て話すことはできなかったわいいえあたし自身のことも
渚は震えていた
あたしと克子は、高校一年生で誘拐されて娼婦に堕とされたあたし、一度も恋ってものを体験していなかったのだから、恋してみたかっただけど普通の男性には、あたしの過去も、真緒の出生についても、どうやっても話すことはできなくて
娼婦としての過去犯されて産んだ子
だから、あたしどうしても、恋ができなくてそれであたしも、自暴自棄で自堕落な生活をしていたわ
渚はお店の美少女店員たちをペットにしていた
男と恋愛できないから年下の女の子たちを誘惑していた
だけどねあたし、今、恋をしているのよあなたに
渚が、オレに言う
あなたはあたしを元娼婦では無く、真緒のお母さんでもなく1人の女の子として見てくれている愛してくれている
覚えているこの間あたしのお店を脅しに来たヤクザさんと交渉するのに、あなたが工場街の小さなお店にまで来てくれたじゃない
覚えているよ
お店に入る前に、あなた体操していたわよね
あれはちゃんと身体を慣らしておかないといけないかなって
すっごくおかしかった楽しかった一生懸命なあなたの気持ちが伝わってきて胸が熱くなったあの時、あたし高校生の頃に戻った気がしたの
あなたと一緒に居ることにドキドキしてあなたは絶対にあたしに嘘をつかないし、心の中が全部顔に出るでしょそれでいて、いつも思い切ったことばかりするんだものあなたを見ているとワクワクが止まらないの
ただ、頭の悪い、馬鹿な男っていうだけで
あたし、恋しているわ一生に一度の恋だと思うあなただけよあたしは、あなたの前でだけは、本当に心も身体も裸になれるのあなたじゃないとダメなのよ
渚は、ほろほろと涙を零した
だから死なないで生きていて他に何人女を作ってもいいわあなたのためなら、何でもするわお願いだから生きていて
うん、ヨッちゃん生きていてよ生きていてくれるだけでいいから死んじゃったら、もう会えないんだよ生きていてよ、ヨッちゃん
お願いあなた
渚寧さん克子姉
ごめん、オレみんなの気持ち、全然判っていなかった
みんなオレがいなくなっても、平気だって思い込んでいた
あなたがいるから、みんな救われてきているのよ
ミナホ姉さんが、穏やかに言った
むしろ、あたしたち年上組の方があなたがいないと生きていけないわ
だから自分を大事になさい
そうだよっ、ヨッちゃんが死んだら、ホントにあたしも死ぬからねっ
あたしたちだってねえ、克子
うん渚
判った生きるよ、オレ何があっても、必死になって生き残るよ
ここまで言ってもらった以上オレは、絶対に死ねない
それまでずっとオレたちの話を黙って聞いていた関さんが、口を開く
ど、どうしたの関さん
オレには関さんの言葉の意味が判らない
わたくしは、閣下の専任警護人ですからもちろん、皆様のプロフィールについては存じ上げています
つまり黒い森という売春組織と
そのメンバーである、ミナホ姉さんたちのことについて
ですが皆様のお気持ちというものを理解していませんでしたそれどころか娼婦であった皆さんを、心の中では見下げていました
仕方無いわ普通のお嬢さんには、そう思われても仕方無いですもの
ミナホ姉さんは、笑って関さんにそう答える
本当に、誘拐されたのですか
あたしは12歳の時に、克子と渚は高校生になったばかりの時期に、誘拐・拉致・監禁されて無理矢理に娼婦にさせられました
ミナホ姉さんの答えに、関さんは震える
それは存じ上げませんでした
ええ、特に公表はしていませんから
香月セキュリティ・サービスの調査票にも、そこまでは書いてなかったのだろう
あたしたちを娼婦に堕としたのは白坂創介という人間ですですから、あたしたちは何年も掛けて、娼婦の世界を脱し、白坂創介に復讐する機会を狙っていたのです
それで、全て合点がいきました
関さんの中で今回の件での、黒い森の動きが繋がったらしい
閣下の思惑とは別に黒森様たちは、ご自分の復讐を遂行なさっておられるのですね
そういうことです付け加えると、今、ホテルを襲撃しているシザーリオ・ヴァイオラという悪党は、寧の両親を殺害し、寧と寧の弟を誘拐して奴隷にしていた男です寧は、あたしたちが奴隷の境遇から救い出しましたが、寧の弟はヴァイオラの配下に殺されましたヴァイオラがここを襲撃しているのは、白坂本家の要請もありますが寧を取り戻すためでもあります
関さんは、まっすぐにミナホ姉さんを見る
判りました充分ですわたくし全力を尽くします
それは香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートとしてのお言葉ですか
ミナホ姉さんの言葉に関さんは
1人の女として皆さんのお気持ちに共感しました
関さんが、フッと微笑む
今まで、誰にも話したことはないのですがわたくしの父は酒乱で、いつも酔って暴れては母に暴力を振るうような人間でした
幸い、わたくしが小学校3年生の時に両親が離婚し父とは離れることができましたが実の父がそういう男であったことは、あたしの心に深く陰を落としました
フッと溜息を吐く関さん
わたくしが一度も恋愛をしなかったのは、それが原因だと思います普段は、温和しくて気弱な男性が、お酒を飲んだ途端に粗野で乱暴な人間に変貌するわたくしには、男というものが信用できないのです
あたしたちもそうよ男はもうこりごり
だから少年を愛することにしたの
それにこんな馬鹿正直な子、なかなかいないわだから、あたしたちもこの子の前では素直になれるの
克子姉が、優しい眼でオレを見る
うんっヨッちゃんは、ちょっとお馬鹿なところがいいんだよねっ
わたくしアメ車も好きですが、アメリカン・バイクも好きなんです
ハーレー・ダビッドソンて判る
名前ぐらいは
今度、乗せてあげるから
赤い顔で、関さんは言った
気持ちいいのよ風を切って走っていると
そうよわたくし、イライラすると中央高速をブッ飛ばすのあそこ、あんまり車が走っていない時があるから
大丈夫よ、あなたを乗せている時は、あんまり無茶しないから
何かよく判らないけれど
とにかく、関さんのハーレーに乗らないといけなくなったらしい
あ、判りましたよろしくお願いします
約束したからねっ
最近の父は、品川がブームです
昨日も、今日は、品川でパーティがあるから、行かないといけない
とか、突然言い出しました
品川のどこ
と、尋ねると多分、海の方だと言います
もちろん、そんなパーティはなく、全て妄想です
何かよく判らないのですが品川に何か、心残りがあるみたいです
ちなみに、毎日恒例のこの病院はどこにあるか判るを聞いてみたところ
品川のどこかだ
いや、都内ではあるんですが全然違うぞ
毎日、病院の場所と、自宅からどれくらいの距離なのか話しているんですけどねえ
あと、昨日は、リハビリ担当の**と言う先生が来たと私に言うのを看護士さんが聞いていて
昨日じゃありません、2時間前のことじゃないですか
と言ったところ
いや、日本とは日付の切り方が違うんだ
との返事
父よ、あなたは今、どこに居るんだ
293.彼のこころ
関さん
わたくしには、あなたっていう男の子のことは、まだよく判らないけれどっていうか、わたくしには男の人全般がよく判らないけどでも、あなたが悪い子じゃないってことは、よく判ったわもっとよく知り合うべきだって
関さんの言葉に、克子姉が言う
何でも、関さんがこの子に教えてあげたいことを話して下さい今のこの子は、どんなことでも興味津々で吸収していますから
そうですよ、あたしたちの話はいつだって眼を見て、真剣に聞いてくれるんですから
渚も、笑っている
わたくしが話せることなんてアメ車とアメリカン・バイクと、アメリカ映画の歴史ぐらいよ
あ、教えて下さいオレ、そういうの全然知らないですから
関さんは克子姉たちを見て
あなたたちが男にうんざりして、少年を選んだっていうの何となく判るわわたくしもたまに、同じ趣味の男性と出会っても自分より知識が薄いくせに、偉そうな態度を崩さないバカ男か、馬鹿みたいに詳しすぎてこちらの話を重箱の隅を突っつくみたいに一々揚げ足を取るクソバカ男か、どっちかしか出会わなかったものわたくしの話を聞いてくれて、あたしの趣味を一つ一つ教えてあげられるっていいかもしれないわね
だから、あたしはこの子にパン作りを仕込むんですっ
克子姉は、クッククと嬉しそうに笑う
あたしは何を教えようかしらお花屋さんの仕事や、華道はちょっと違うわよねあっ、そうだじゃあ、あたし、この子にセックスを教えるわ
ちょっとちょっと渚っそれは、あたしもやるからっ1人で教え込まないでッ
そうだよっあたしもヨッちゃんにセックス教えるぅぅ
いや、もう突っ込むのも疲れた
3人とも、いい加減にしなさい
ミナホ姉さんが渚、克美姉、寧さんを叱った
コツコツと足音を立てて、オレに近付いて来る
ミナホ姉さんは、そのままオレをギュッと抱き締める
ミナホ姉さんの身体は、細くて肉が付いていない
普通の女性なら、幼い少女から大人の女へそして母へと、成長と共に肉体が変化していくのに
16歳で二度とセックスできない身体にされてしまった、ミナホ姉さんは
少女のまま第二次性徴が止まって女性的な柔らかい肉体にはならなかった
そうだ、この骨張った細い身体は
少女の肉体だ
少女の体型のままミナホ姉さんは、年齢を重ねた
身長だけは高くなったけれどこの身体は、絶対に母親の肉体に変化することの無い少女のままだ
あたしに身体を預けて深呼吸なさい
ミナホ姉さんが、オレの耳にそう囁く
すぅはぁぁ
ごめんなさいね
あたしあなたに、色んなことを強いているわよね
そんなオレはただ、自分がしなくちゃいけないことをしているだけだよ
ミナホ姉さんに、何かを強いられてなんていない
そうじゃないわあなたが、自分がしなくちゃいけないと思っていることのほとんどは、本当はあなたがしなくてもいいことなの
普通の子だったらとっくに、放り出して逃げ出しているわ
だって逃げるわけにはいかないじゃないか
ミナホ姉さんが、オレの額にそっとキスをする
そう言ってくれるあなただからあたしたちは、ここまで来れたありがとう
そんなオレは、何もしていないよオレ、みんなの役には立っていないじゃないかオレには武術の能力も、コンピューターの知識も無いミナホ姉さんの復讐の手伝いだって、全然できていない
いいえあなたは、よくやってくれているわ
ミナホ姉さんが、オレの眼を見る
だからそんなに怖がらないで
怖がっている
克子、渚、寧
ミナホ姉さんが、3人に声を掛ける
どうしたの先生
3人とも不安げな表情でオレたちを見る
どうして、この子があたしたちに従順なのか判る何で、この子があたしたちの言うことを絶対に拒絶しないかどうして、何でも受け入れてくれるのか
この子怖がっているのよあたしたちに、見捨てられるんじゃないかってだから、あたしたちに嫌われないように、一生懸命頑張っているのよ
それじゃあ、マナみたいじゃないか
マナは、オレに見捨てられることを恐れてだから、いつもハイテンションでオレに迫って来る
この子もね必死なのよ
ミナホ姉さんはオレの眼をジッと見る
オレもマナと一緒
普通の高校一年生が両親に捨てられて、一人ぼっちになってしまって将来の展望が何一つ見えない状態で、あたしたちに出遭って
オレは両親に捨てられて
あの薄暗い家に、1人だけ取り残されて
親父が残した預金通帳の中の金しか持っていなくて
この後、どうなるのかどうすれば良いのか、何一つ判らなくなっていて
相談する人、助けてくれる人もいなくて
ただ、毎日雪乃を見て、雪乃でオナニーすることだけに現実逃避して生きていた
あたしは、この子をあたしの復讐のために利用したわなのに、この子はあたしを信頼してくれてあたしのためにあたしたちのために、頑張ってくれたあたし、いつもこの子に酷いことばかり強いてきたのに
ミナホ姉さんの計画のままに雪乃をレイプして
何度も何度も、繰り返しレイプして
それから克子姉や、寧さんや、マルゴさん黒い森の人たちと知り合って
渚、みすずメグマナ美智、瑠璃子麗華
しまいには、ジッちゃんまでが、オレたちの家族になってくれた
強いられてなんかいないよ楽しいよ、オレうん、楽しかった
何もかも、みんな夢みたいでさ
うんオレには、家族がいる
ホント夢みたいだ
夢じゃないわ
これは、みんな現実なのみんな、本当にあなたのことを愛しているの絶対に、あなたを見捨てていなくなったりしないからっだから
ミナホ姉さんの眼が潤んでいる
オレも、頭では判っているんだよでも
だけど、こんなことあんまりにも夢みたいだから、ずっと続かないような気がして
だから、せめてどの人に対しても一生懸命、精一杯、悔いが残らないようにしようって今のオレは、それだけだよ
ミナホ姉さんが、さらに強い力でギュッとオレを抱き締める
そんなに怖い信じられないあたしたち
ううん信じてるよむしろ、オレが信じられないのは、オレ自身だよ
あなた自身
だって今、オレの周りに居るのは、みんな魅力的な女の人ばかりじゃないかきっと、みんなオレなんかじゃなくって、もっと凄い男の人と付き合うべきなんだよ
そうなのかしら
前にミナホ姉さんは、雪乃のことを話した時に、オレに教えてくれたろ女の子だって、セックスを覚えたらもっと色んな、良い肉体の男性ともセックスしてみたくなるものだって
男が、色んな女の子とセックスしてみたいと思うように
女だって、色んな男の身体に目移りする
そうねそんな話をしたわね
みすずは男嫌いになるように育てられたし、レズッぽいところがあるから判らないけれどメグやマナは、きっと他の男にも興味を持つと思う特に、マナはアイドル歌手とか好きだったからオレよりも顔やスタイルの良い男の方が好きだと思うしいや、メグだってもっとスポーツマンの男の子の方が好きだと思うみすずだって、オレよりももっと頭が良くて格好いい男の人に惹かれていくと思うし
怖いのね他の男に、自分の女を取られるのは
だってオレは他の男よりも、全然劣っているんだからダメな男なんだから敵わないよ勝てるはずが無いんだ
誰があなたをダメな男だって言ったの
それはオレの母親が
あのオレを見下す顔を思い出す
母親がいつも言っていたオレは親父の遺伝子の方が強くて母親の遺伝子は全然伝わっていない、ダメ人間だって親父と同じ、ダメ人間で生きている価値が無い人間だって
オレの母親は不機嫌なことがあると、いつもオレと親父を罵った
オレと親父を罵り続けることで気分転換をした
子供の頃からずっと
あたしあなたのお母さん、ブチ殺してくるわっ
克っつん、あたしも行く
そう言う克子姉と寧さんに対しミナホ姉さんは
2人とも黙りなさい
そしてオレを見て
いいかげんにしなさいっ
あなたまだ吉田のつもりなのっあなたは、黒森よっどうして、あたしたちがあなたを吉田って呼ばなくなったか、判らないの
学校を脱出してから
みんな、オレを吉田と呼ばなくなっている
これってミナホ姉さんの指令だったのか
あなたは黒森の子ですっあたしの弟よここには、誰もあなたをダメだなんて思っている人間はいませんっあなたは、あたしの自慢の弟よあたしの誇りなの自信を持ちなさい
ミ、ミナホ姉さん
あなたが自分に自信が無いっていうのなら、あたしが自信を持てるようになるまで教育しますっあなたは、あたしの生徒でしょ先生を信じなさい
オレを抱き締めてミナホ姉さんが、囁いてくれた
あたしだって、お姉ちゃんだよっ何だって相談してくれていいし、甘えてくれていいんだからねっ
あたしだって、そうよ家族でしょ
他の3人に相談できないことは、あたしに言ってねそれから、あたしの家はあなたの家なんだから、いつでも寛ぎに来て真緒も待っているわ
来週中には、あなたのお父さんを見つけ出して正式にあなたを黒森の家に迎え入れますあたし、本気よあたしの戸籍に入って貰うわ本当に黒森の子になるのよいいわね
オレ、あのミナホ姉さん
言葉が出て来ない
戸籍に入ったら一生、あなたは黒森の子よあたしの弟よもう、何の遠慮もいらないからあたしの弟なんだからね
細い腕がオレを抱いている
ついでだから、寧もあたしの籍に入りなさいそしたら、彼とも本当の姉弟よ
やったぁ、先生大好きっ
寧さんが大喜びする
克子と渚も、入りたかったらいいのよいっそ、みんな、戸籍の上でも本当の家族になりましょうか
えっとあたしは、ご遠慮しておきます
あたしはこの子の恋人でいたいから近親相姦は、克子に任せるわ
そっか、同じ戸籍に入ったら、近親相姦よねそれ、いいわねっ
ちょっと、克子姉
まあ、ちょっとだけ考えさせて下さいでも、心配しなくてもいいわよあたしも渚も、もうあなただけだから他の男は、もういいわよ
そうね娼婦時代に散々、酷い目に遭ったものねあなただけがいいのよ
渚が、オレに優しく微笑んでくれる
とにかくあたしたちは、もう永遠にあなたの家族よあなたが嫌でも、離れないからそういう覚悟をしちゃっていますからね
克子姉も、そう言ってくれた
あたしたちは、あなたを見捨てて離れたりはしません約束するわ
だからあなたの中に、色んな感情を溜め込まないで辛いことは、全部、あたしたちに吐き出しなさい
ミナホ姉さんは、優しくそう言ってオレの頭を撫でてくれた
それであなたは、みすずさんや、恵美や、マナさんも、あなたから離れて行ってしまうんじゃないかって心配なのね
もしあの子たちが、あなた以外の男の子とセックスしたがったらヨッちゃん、どうする
寧さんが尋ねた
それはだって、オレの方は色んな女の人とセックスしているわけですから
あの子たちが、他の男と浮気するぐらいは許してあげる最後に、ヨッちゃんのところに戻って来てくれたら、それでいい
戻って来ませんよ
一度、他の男とセックスしたらオレなんかより、その男の方が良いに決まっているんですからオレのところには帰って来ませんよ
どうしてもそう悲観的なのかなあ
そう言われても寧さん
正直に答えてあなたは、あの子たちが他の男とセックスするのは嫌なの
渚がオレに尋ねる
そりゃあ嫌ですでも、たくさんの女と関係しているオレがそんなことを言うのは間違っているよね身勝手過ぎるよね
いいんじゃない身勝手で
克子姉は、言った
というかもっと、身勝手になりなさい
そんなことできないよ
うんとさヨッちゃんの気持ちも判るんだけれど、人間てさ理屈じゃ無いから
だって、ヨッちゃんはあの子らに浮気されたくないんでしょ一度でも浮気されたら、別れなきゃいけないって思っているんでしょ
オレ人間が小さいですよね
普通だよ普通こんなことの器がデカイ人なんて、かえって気持ち悪いよ博愛も度が過ぎれば、奇人変人だからねっ
それならさあらかじめルールを作っておけばいいのよ
渚がそういう提案をする
こういうルールよ女の子が浮気したら、その子は家族から離れるもちろん、裸で放り出したりはしないわ生活に困らない程度の保障はするけれどとにかく、家族の中からは出て行って貰うそうなったら、あなたはすっぱりその子を諦めるもう一生、その子とは関係しない
渚さん、それいいかもっあらかじめ、そういうルールになっているのに、それでも女の子が他の男と関係するってのは浮気じゃなくって、もう本気だってことだもんねそんなら、ヨッちゃんだって、スッパリ諦めなきゃいけないって思うでしょ
そりゃあ本気の恋なら
オレは身を引くしか無い
オッケー、そういうルールにして、みんなに伝えましょう
結局さ、他に男を作って出て行っちゃうような女は、ヨッちゃんが何をしたって変わりはしないのよヨッちゃん、そう思って割り切った方がいいと思うよ
割り切る
あなたは今いる女の子たちを全員キープしておきたいけれどでも、あの子らの何人かは、自分を捨てて出て行ってしまうって不安なんでしょ
それなら最初っから全員は残らないんだって割り切ってしまいなさい出て行く子がいるのが当然だって想定しておけば心が楽になるわ
そうだね、ヨッちゃんは身勝手になるのはできなくても割り切るならできるでしょ
そうか何もかも現状をキープしておきたいと思うから、辛いんだ
最初から、出て行く子もいると思っていたら耐えられる
どっちにしてもさ、今みたいにさヨッちゃんが、女の子たちに嫌われるのが怖いからって、何でもかんでも相手してあげているのは、サービス過剰だと思うよこのまんまだと、ヨッちゃんがアップアップして倒れちゃうよこんなのさ、ある程度のところで割り切らないと
あの寧さんの話はよく判るんですけれど具体的にどうしたら良いのか、オレには、それが判らなくて
そんなの簡単だよ今みたいに、女の子が求めて来たら何でも対応するのは続けてもいいけれどさ、あ、ちょっとこれは嫌だなと思ったことは、ちゃんと断るそれだけでいいんじゃない
でも断られたら、女の子は嫌じゃないですか
ちゃんと理由を言えば大丈夫だよみんな、意地悪な子じゃないもの今は時間が無いとかこれ以上疲れると、次の予定に差し障るとか、そういうのでいいからそれでも我が儘を言う子がいたら、あたしや克っつんがシメるよメグちゃんが家族の学級委員長なら、あたしは家族の番長をするからっ
寧さん、番長って
ていうか女の子たちだって、100パーセント自分の希望通りになるとは思っていないわよとりあえず、勢いであなたに甘えているだけなのよ
なのに、ヨッちゃんが一生懸命、女の子に応えようと頑張っちゃうから
それで、最近ちょっといい気になっている子が若干名いるわよね
うんうんいるよねえ
ちょっとシメとこうか副番長
番長がそう仰るのならあたしは付き合いますけど
寧さんと克子姉番長と副番長が、ニヒヒと笑い合う
いや、あのあんまり無茶なことはしないで
大丈夫だヨッちょっとお灸を据えるだけだからっ
そう、そうそれなりにね
いや2人のそれなりは、怖いよ
その必要はないわ
え、先生どういうこと
あれを見なさい
ミナホ姉さんがモニターを起動させる
その画面に映ったのは隣の部屋
緊急避難室の居間が映し出される
あの、あれって
驚く、寧さん
まあびっくりですわ
ずっと大人しく話を聞いていた瑠璃子が、声を上げる
その画面の中では
みすずとメグとマナの3人が
全裸で、床に土下座をしていた
もしかしてミナホ姉さん
そうよ、この部屋の中での会話はずっと向こうの部屋に聞こえるようにしていたの
みすずも、メグも、マナもオレたちの話を聞いていた
それで、今全裸土下座
みすずたちだけでなく吉田くんもずっとギリギリで頑張っていたんです
一度、そのことを明らかにしておかないとマズイかなと思いました
吉田くんだって、ずっとみんなに見捨てられるんじゃないかって、不安だったんです
彼は、精神的に強い人間ではありません
普通の人間です
心の容量はそんなに大きくないです
今日の父は大分、喋れるようになりましたし
トイレも自分で行けるようになりました
ただ病院の位置だけが、何度教えても覚えられません
今日聞いたら横浜かと言いました
都内だっての
294.授業
3人とも、何か言いたいことはある
ミナホ姉さんが、マイクに向かって喋る
向こうの部屋とは、回線が繋がっているのだろう
あのあたしたち
代表して、全裸のみすずが土下座したまま話す
あたしたち旦那様が何でも応えて下さることに甘えていました
それで自分の不安を、ヨシくんにぶつけて
お兄ちゃんに相手して貰うことで心を落ち着けていたと思います
メグとマナも頭を下げたまま、そう言った
そんな、オレは別に
オレの言葉を、ミナホ姉さんが手で制止する
あなたは、今は黙っていて
お嬢様の言う通りよここで簡単に許してあげると、あの子たちのためにならないから
あたし旦那様も、あたしたちに嫌われたくないって一生懸命だったこと全然、判っていませんでした
うんヨシくんは、どっしりとあたしを受けとめていてくれているって信じていたから
マナたちのこと、大切に思ってくれているから幾らでも、甘えていいんだと思っていました
3人の謝罪の言葉は続く
渚様や克子さんたちは旦那様のご負担にならないように、適度に旦那様と接していらっしゃるのに
そうね年長の皆さんは、ヨシくんが本当に助けて欲しい時にだけ、手助けして自分の欲求だけを押しつけたりはしていないのにあたしたちは、いつも自分の心の渇きを潤して貰おうとヨシくんに寄り掛かるばかりで
うん寧さんなんて、あたしたちの前では、絶対にお兄ちゃんとイチャイチャしないもんね我慢しているんだよね
いや克子姉と渚は、節度を弁えていてくれているけれど
寧さんの場合は
もう、何て説明すりゃいいんだろう
あたし、本当に旦那様だけですから一生旦那様以外の男性とはしません旦那様じゃないとあたしダメなんです
あたしだって、そうよヨシくんヨシくんじゃないとダメなのっ
マナだって、そうだよお兄ちゃん以外の人なんて、気持ち悪いもの
3人は一斉にそう言うけれど
もし、どうしてもご心配でしたらあたしのお腹に、雪乃さんみたいに旦那様のお名前を入れ墨して下さいもう、絶対に旦那様以外の男の人とはできないようにあたしの恥ずかしい写真だって、いっぱい撮って下さい
あたしも、そうしてヨシくん以外の人の前では、恥ずかしくて裸になれない身体にして
マナも身体中にお兄ちゃんの名前を書いていいから
そんな3人にミナホ姉さんが、言う
そういう過度な要求が彼を苦しめているって判らないのあなたたち
ビクッと震える3人
だいたい身体に名前を刻んで貰えないと、あなたたちは自分の貞操も守れないぐらい弱い女の子なわけそんなの雪乃さん以下じゃない
ミナホ姉さんの発言に、雪乃が吠える
あたしは関係ないでしょ
ミナホ姉さんはククッと鼻で笑って
彼にレイプされたことを隠したまんま、遠藤くんとセックスしようとしていた子が何言ってるのよ
自分でもそろそろ気付いているでしょ白坂雪乃という女の子の本質は、淫乱の変態だってこと
違うわあたし、淫乱でも変態でもないわ
あらそうでも、あなたの身体は、もう変態的なセックスでないと満足できなくなっているわよ高校生らしい爽やかな恋愛をして、恋人とセックスする青春なんてもうあなたには来ないってこと、判っているでしょ
雪乃の眼に涙が溜まる
ホントよく喚くし、よく泣くわよね、あなた
呆れ顔でミナホ姉さんは雪乃を見下している
まあ、いいわ次の機会には、あなたの方が土下座して彼にセックスして下さいってお願いすることになるから
そんなこと、絶対にしないわよっ
するわよ雪乃さん気持ちいいことに弱いから雪乃さんが気持ち良くなるセックスをしてくれる相手は、この子しかいないかゆいところに手が届くっていうか気持ち良いところを擦ってくれる相手はね
ミナホ姉さんは、雪乃を挑発する
そんなの嫌よあたしこんな男ダイッ嫌いなんだから
そう言いながら雪乃は、ぽろぽろと涙を流した
オレは雪乃に、声を掛ける
雪乃がジロッとオレを睨む
いや何か、久しぶりに雪乃らしい雪乃に出遭った様な気がしたから
雪乃はお笑い芸人みたいな黄色と黒の縞々ドレスを脱いで、セーラー服に着替えていた
どこの学校の制服なのかは判らないけれど白地に濃紺の普通のセーラー服だ
髪型も普段通りだし、変なメイクも落としている
うん雪乃は、やっぱり美人なんだな
オレは、正直に感想を述べる
な、何よあんた、あたしをバカにしているわけっ
涙を流しながら雪乃がオレに怒りをぶつける
ああいつもの雪乃との会話だ
オレと雪乃の間には深くてでっかい溝がある
オレたちは、絶対に判り合えないし恋人にも、友人にもなれない
どれだけセックスを重ねても心と心は平行線のままだろう
この距離感が遠い距離から眺めているしかない心の隔たりが
とても、愛おしく感じる
ほーら、あなたたちがゴリ押しで彼をイジメている間に彼の方は、雪乃さんと一緒に居る方が気が楽になっちゃったみたいね
ミナホ姉さんの言葉に画面の中の全裸の3人は、ブルルッと震え上がる
判る今のまんまのあなたたちじゃ彼の負担が増えるだけなのよあなたたちと居ると、彼はずっとあなたたちを気遣うばかりで、心が安まらないんだもの
いや、別にいいんだよ、ミナホ姉さんオレは、みんなに頼りにされるのが嬉しいし、みんなのためになりたいんだから
オレは、そう言うが
でも、今のままではあなたの心と身体が参ってしまうわよこの子たちは、身勝手で我が儘だからよく、こんな子ばかり3人も相手にしているわね
画面の中の3人は小さく震えている
あなたたちの処遇は、彼と話し合って決めますあなたたちも、そちらの部屋で3人で話し合いなさい
そう言ってミナホ姉さんは、音声回線のスイッチを切った
あちらの部屋の画面には審議中の文字が浮かぶ
こちらから、向こうの部屋はモニターできるが
あちらからは、こちらの部屋の様子は見られないらしい
あみすずが中心になって、3人で相談を始めている
あっちの部屋にはマルゴがいるし3人での話し合いが、変にシリアスな方向へ行ったら修正してくれると思うわ
画面を見ながらミナホ姉さんが、言った
先生あたしも、あっちに行こうか
寧さんが、そう言うと
ダメよ寧や、渚や克子だとあの子たちは甘えてしまうからマルゴなら、優しさと厳しさと両方兼ね備えて、あの子たちと接することができるし
うんマルゴさんは、家族だけどオレの女じゃないから
あの3人とは、一線を画して対応することができる
寧さんや渚や克子姉だと妹に優しすぎるんだよな
それにしても美智さんは、成長したわね
ミナホ姉さんは、画面の奥の美智を見ている
美智はマルゴさんと素知らぬ顔で、上階へ行く打ち合わせを続けている
前の美智さんだったらみすずさんに付き合って、一緒に全裸土下座の輪に加わっていたでしょう
美智にとって、みすずは絶対的な主人だし
でも、今回のこれは自分が関わらない方が良いってことを理解して、後ろに引いてくれているわ
そうだこの全裸土下座に美智が加わるとややこしくなる
メグはみすずにコンプレックスを感じていたし
みすずは、自分が年少組のボスになろうとしていた
マナは、何かある度にオレに擦り寄り続けていたし
ここに、みすずの臣下である美智が加わると3人のバランスが崩れる
3人が正直に話し合いをするためには美智はいない方がいい
あなたとの処女喪失での同調で自信がついたみたいねあなたとの間に、はっきりと絆を感じているんだと思うわ
あっちの3人より今は、あなたと心が通じているって感じているのねだから、何の心配もしないでいられるのよ
渚もそう言う
まあたしたちが、とっくの昔に通った道だけどねっ
結局さ自分がどう思っているかってことが全部なんだよヨッちゃんの心がどうであろうと、自分は死んでもヨッちゃんを裏切らない自分で自分の心をそう決めたら、それだけでもう何の心配もいらなくなるんだよね
そうよ相手の心は、自分ではどうすることもできないものあの子たちは、あなたの心を自分の思い通りにしたいって思うからおかしな方向に行っちゃってるのよあなたの心はあなたのもので尊重しなければいけない大切にしてあげなきゃならないってことが判ればそれだけで楽になれるのにね
あたしや渚は娼婦だったから自分の心を抑え込んで、好きじゃない人の相手をすることも多かったし何よりもまず、自分の心を決めることが大切だってことが、よく判っているのよ相手の心に、変な工作活動をする前にね
そうね、克子
あたしは、あなたが好きあなたが、あたし以外の女の子とどれだけセックスしてもあたしは平気よあなたにいつ捨てられても構わないだって、あたしがあなたのことを好きなんだからあたしは何でも受け入れるしあなたが、幸せになるためだったら何でもするわ
あたしもそうよ渚と同じ
あたしだってそうだよっヨッちゃんは、あたしの弟だもんっヨッちゃんが幸せになってくれればそれでいいんだよっ
寧さんはシザーリオ・ヴァイオラによって、何年も監禁されていた
克子姉、渚、寧さんみんな自由を奪われ、悲惨な状況に耐えた時期がある
だから自分の欲求を抑えて、相手の幸福を第一に考える強さがある
ヨッちゃんだってあたしたちと同じでしょだから、いつも自分の心を抑えて、みぃちゃんや、メグちゃんや、マナちゃんの要求に応えてきたんでしょ
オレは単に、あの子たちに嫌われたくなかっただけです見捨てられるのが怖かっただけです
ミナホ姉さんがオレの手を握りしめて、言った
いいえそれだけじゃないわ判っているわよ、あたしたちは
そして画面の中の3人に視線を戻す
3人は真剣な顔で何かを話している
時々、マルゴさんが助言しているようだ
でも、あの子たちもそろそろ自立しないとね
自立
このままちょっとした心の不安まで、あなたに縋って解決する様になっちゃうと成長できない人間になっちゃうから
成長できない人間
雪乃さんみたいにね
ミナホ姉さんの言葉に、雪乃がギロッと強い眼でこっちを見る
そんな眼で見たってダメよホントどうしようも無いのね、あなた
本当ならあなたが一番の被害者なのよお父さんへの復讐に巻き込まれてレイプされて、誘拐されて、妊娠までさせられるんだからあなたは全然悪くないのに
そうよ、あたしは何も悪くないわよっなのにっ
また雪乃の眼に涙が溜まる
ほら、また泣く本当に雪乃さんて、よく泣くし、よく喚くわよねだから、あなたに同情する人が1人もいないのよ判る
ミナホ姉さんそれって
実際には、一番可哀想な雪乃さんなのに、あなたの態度がウザッたいから、みんなあなたには同情しないのもっともっと、イジメてやろうって気にさせるのよこれって全部、あなたのせいなのよ
何であたしがっ
ほらまた喚くそして、また泣くのね
ミナホ姉さんが、雪乃を嘲笑う
湧き上がった感情を溜め込まないで、すぐに発散するから涙や怒声でねだから、どんな酷い目に遭っても、雪乃さんはすぐにカラッとしているのよ一々、発散しているから感情を引きずらないで気持ちのレベルがゼロに戻っているある意味、強靱な精神の持ち主なんでしょうけれどそんなんじゃ、誰も同情しないわよこっちが同情する前に、1人で自己完結して、感情を全部吐き出し終わっているんだからしかも、湧き上がった感情は、周りを気遣わないで、いつでもどこでも全開で吐き出しまくるから、騒がしいだけだしね
雪乃は息を呑む
こんなこと、今まで一度も言われたことが無いでしょう
無いわよ
白坂家のお嬢さんで我が儘放題で成長してきたんだものねそういう性格になっちゃったのは仕方ないんだろうけれど今のままでは、一生、あなたの味方になってくれる人はいないわよ
お大きなお世話よ
ずっと名家のお嬢様のままなら、それでも良かったんでしょうけれど雪乃さんは、もう白坂家には戻れないんですからね
判ってるわよ、そんなことッ
ほらまた、反射的に喚いている
もう少し、感情を自分の内側に溜めなさいそうしたら、状況を考えて物を喋れる人間になれるから
雪乃は口惜しそうに黙り込む
もっともあんまり感情を溜め込み過ぎるのも問題なんだけれど
ミナホ姉さんは、画面の中の3人を見る
確かにメグは、すぐに感情を溜め込むそれで、後で暴発する
マナも内に溜めるタイプだけど、オレに甘えたり、雪乃に八つ当たりして、少しは発散しているからいいんだろうな
問題なのはみすずだ
みすずは、頭が良すぎるから色んな可能性を考え過ぎちゃうんだろうな
それで苦しんでついつい、色々と陰謀工作をしようとしてしまうんだろう
雪乃さん自分のことだと、よく判らないと思うから、一例をあげるわね
渚が雪乃に言った
あたしお花の教室に通っているんだけれど、そこの生徒さんでたまに集まって、フレンチ・レストランでランチを食べたりしているの
うわ渚の師匠は、みすずも通っている華道の師範だからきっとみんな、お金持ちのお嬢さんとか、奥様ばかりなんだろう
ある時ねその生徒さんの1人で、20代半ばかなちょっと綺麗な女性が居てね、
その人が昨夜、彼氏と別れたのって、わんわん泣き出したのよ
うん、うん
みんな最初は、あら大変ねとか元気を出しなさいって声を掛けてあげていたんだけれどしばらくしたら、放置よね一人で泣いて、喚くだけなんだもの気弱な女の子が捕まっちゃって、ずっと話の聞き役にさせられていたけれどあたしたちは、なあに、あの子って冷ややかな眼で見ていたの
感情の垂れ流しで、泣き喚く人は誰にも相手にされない
それから、しばらくして生徒さんたちの集まりの時に、ちょっといつもより元気が無いかなぁって女の子がいて、どうしたのって尋ねたらその子が、こう言ったのよ
ふむふむ
昨夜、彼氏と別れたんですけれど、頭の中がすっかり空っぽでそれで、あたしどうしてだか大量にクリーム・シチューが作りたくなって、昨夜はずっとシチューを煮ていたんですよ大鍋いっぱい作っちゃったんですけれどよく考えたら、一緒に食べてくれる人はいないんですよねえって
大鍋いっぱい、シチュー
その時は、もうみんな、その子に同情しちゃってみんなで、その子の話を聞いて、ウルウル泣いちゃって、お昼なのに高いワイン開けちゃって飲んだくれたわみんな、それぞれの失恋話を語ったりすっごく盛り上がったのよその時のメンバーは、それからすっかり仲良くなっちゃったもの
つまりね悲しいから泣いた、喚いたっていうのは、人間の感情表現のレベルとしては低いのよそういうんじゃ、誰もまともに相手はしてくれないってこと悲しい気持ちが、別のことに昇華して初めて他人の心に通じるのよ
感情が別の行為に昇華する
その時の他の子の話ではね彼氏に裏切られた怒りで、その彼が好きだった音楽のCDを全部手で割った子の話とかとっても印象に残ってるわ一枚一枚、カッターでガリガリ傷を付けて切れ目を入れて、両手でグワシッて折って割ったらしいわ何十枚も
それはすげえ
普通の人はね人前で簡単に泣いたり、喚いたりすることは許されないから溜め込んだ感情が、別の行動に転換するのよただ、泣いた、喚いたでは済まないのよ感情そのものもそうよ余りにも悲しみが深かったら泣くを越えて、笑い出す人もいるし嬉しすぎて、怒る人もいるの溜め込んだ感情がレベルを超えた時に、別の感情表現に転換するそこまで表現して初めて、他人の心に通じるのよ
渚はそう言った
雪乃さんはただ泣く、喚くを繰り返している限りは、大人になれないってことだよねっ
寧さんが、笑う
そしてあの3人もそうよあの子たちは、今、自分の中に涌き起こった感情をすぐにあなたにぶつけて解消している不安な気持ちがなくなるのは、いいことだけれどもっと感情を自分の内側に溜め込んで、耐える能力を身に付けないとあなたに依存するだけの子になってしまうわ
だからミナホ姉さんは
オレとあの3人を隔離して
あの3人が、自分たちだけで相談する時間を設けている
この後あなたが上の階へ行かなければならないのなら、ここで後顧の憂いは断っておかないといけないでしょ
あの3人が、オレに依存しないで自立していく決意を見せてくれたら
オレは何の心配も無く上へ行かれる
これだけは今、やっておかないといけないことだものね
ミナホ姉さんの気遣いが有り難い
雪乃さんも今、言った通りよここで変わる気がないのならあたしたちは、今度こそあなたを見捨てるわよ
ミナホ姉さんは、雪乃を見る
し、知らないわよ、あたしはあたしはあたしだもの
雪乃は、それでも突っぱねる
そう、それが雪乃さんのお返事判ったわ
ミナホ姉さんは冷たく答えた
本当に黒森さんは、真面目でお優しい方なんですね
みすずお姉様たちや、お兄様や、白坂様のことを色々とお考えになってご指導下さって
ここまでのミナホ姉さんの行動に、すっかり感服したらしい
まるで学校の先生みたいですわ
先生なんだよ本当に
わたくしも、そう思いました
関さんもそう言ってくれた
さて、そろそろあっちの部屋に行きましょうかあの子たちの相談もまとまった頃でしょうし
そうだなそろそろ行ってあげないと可哀想だ
ところで、瑠璃子さん
判っております、黒森様お祖父様の件ですね
ジッちゃん
お祖父様がお一人で抜け出されないようわたくしも見張ります
頼みます
ジッちゃんは、何かを企んでいる
オレたちをこの安全な空間に退避させて自分は危険な上階に戻ろうとしている
とにかく皆様が、心から信頼できる方だということはよく判りましたお祖父様やみすずお姉様の意見ではなく、私自身の判断として皆様を受け入れます
そうか瑠璃子は、礼儀正しい女の子だから、ジッちゃんやみすずがオレたちを信頼しているとなれば、一応はそれに従う
しかしそれは、瑠璃子自身の判断ではない
心の底から、オレたちを信じているわけではなかったんだ
ミナホ姉さんは、そのことを理解していてわざわざ、瑠璃子と話す機会を作ったんだ
お兄様も決して、死ぬというようなことはお考えにならないで下さい
わたくしみすずお姉様のお申し出とは関係無く、お兄様を受け入れても良いと思い始めています
瑠璃子は、頬を赤らめる
どうやら、わたくしは香月の家の中で、ぬくぬくと成長し過ぎていたように思います今のお話でそれがよく判りました
瑠璃子の大きな瞳がオレを見る
わたくしお兄様に誘拐していただきますわ
ああ、三連休で良かった
ここで休んでおかないと死にます
今日の父は、やっと病院の位置がちゃんと言えました
でも、病院の名前が覚えられません
人間の記憶の回路って、色々と難しいですね
それでも、普通に色々な会話ができるようになってきたのですが
こうなると、今度は何を話したらいいのかよく判らない
老齢の父との話題を探すのは何とも難しいですね
結局、国際情勢とか、日本史の雑学とかを長時間話しているおかしな父子になっていました
看護士さんとか、どう思っているんだろうか
295.瑠璃子とルール
瑠璃子さん、その話はまた、後にしましょう
あの三人、相談がまとまったみたいだから
画面を見ると、全裸の美少女3人が心配そうにこっちを見ている
じゃあ、行こうかヨッちゃん
寧さんが、クフフと笑う
さあて、どうなりましたか
良い方向に意見がまとまってくれてると良いわね
克子姉と、渚が顔を見合わせる
大丈夫よ、あの子たちは頭が良いからそこのプライドばっかり高いお嬢さんとは違ってね
ミナホ姉さんが、雪乃を見る
ふんっ好きに言ってればいいじゃない
どこの学校か判らないセーラー服に着替えた雪乃が、プッとふくれる
さあ、向こうの部屋に行きましょう
関さんがオレに手を差し伸べてくれた
瑠璃子も、オレに手を差し出す
オレは右手で関さんの手左手で瑠璃子の手を握って、椅子から立ち上がる
ほらっ、一応はピシッとした顔をしてあの子たちのためにね
うん真剣に考えてくれたみすず、メグ、マナのために
いい加減な顔をして、向こうの部屋に行くことは許されない
じゃあドアを開けるわよ
全裸のままの三人は心配そうな顔で、オレを見ている
三人で話し合って何か結論は出た
代表して、みすずが言った
あたしたちは、まず自分たちのそもそもの立場に、戻ることにしました
そもそもの立場
あたしは旦那様のペットです
ペットの分際で旦那様に自分の望みを、無分別に押しつけていたと思います申し訳ございませんでした
土下座するみすず
マナはお兄ちゃんのセックス奴隷です奴隷だっていうのに、少しでも不安なことがあったら、お兄ちゃんに甘えて大きな声で騒いだりあたし、やりたい放題だったと思いますもう、あんなことは絶対にしませんだからマナを見捨てないで下さい
マナも床におでこを擦り付ける
あたしはヨシくんが、あたしに与えてくれた家族の中の学級委員長っていう役割が自分に合っていると思いますというかヨシくんは、あたしがどうしたら家族の中で居場所を作れるか必死に考えてくれていたのにそれなのに、あたしは、自分のことだけで精一杯になってヨシくんにずっと縋り付いていましたあたしすっごく重い女だったと思いますだけど、ヨシくんは全然あたしを嫌がったりもしないでごめんなさい本当にごめんなさい
メグもオレに全裸土下座する
いやオレ、別にそんな気にしていないから頭を上げてくれよ
好きな女の子たちに土下座されるというのは何か、困る
どう反応していいのか、判らなくなる
だいたい、3人とも全裸だし
それで、あたしたち3人で話し合って決めたんだけれど
メグが、顔を上げてオレに言う
まず第一にあたしたちは、ヨシくんがどんな女の子とセックスしても、絶対に嫉妬しません
旦那様は、お好みの女性とお好きなだけなさって下さい
何だったらマナたち、協力するから
あーんと
まったく、こいつらは
どうして、すぐ極端から極端へ走るんだよっ
ちょっと、頭にくる
オレは今までだって自分の女として、家族としてずっとずっと大切にする覚悟をしてお前たちを抱いてきたんだろっ
そうだよオレは
別に、興味のある女の子を全部口説き落として廻っているような、プレイボーイじゃないんだ
あのお兄ちゃん
雪乃さんは、どうなの
そういう覚悟は無しでレイプしちゃったかも
警察に捕まって、一生棒に振るとか
そのままもう死んでもいいとか
違う方向の覚悟はあったけれど
雪乃が、物凄い眼でオレを睨んでいる
さすがマナちゃん、いきなりタヴー中のタヴーに触れたねっくっふふ
寧さんが、おちゃらけて笑った
ゆ、雪乃は
マナが、オレの顔を覗き込む
雪乃さんは
うん雪乃はちょっと、例外なのかな
雪乃さん例外なの
マナは納得いかないという眼で、オレを見上げる
そ、そうだ例外中の例外かな
我ながら情けないそんな言い訳しか、出て来ないとは
とにかく超レアアイテムっていうことで今は、雪乃のことは除外しておいてくれ
不承不承ながら、マナは下がってくれた
よし雪乃のことは、一先ず棚に上げて置いて
もう、こうなったらオレの方からハッキリ言うけれど
場の空気が悪いから
オレは、勢いでこの場の雰囲気を誤魔化すことにする
まずオレたちの家族に誰か新しい人を参加させたいと思ったら事前に相談してくれそれもさいきなり、本人がいるところで勧誘するのは、もうナシにしよう一度、ちゃんとミナホ姉さんたちに相談して、勧誘するかどうか家族会議で決めてから、その人に伝えるそういうルールにしよう
これは、みすずへの釘刺しだ
瑠璃子や美子さん、麗華に関さん美智もだな
みすずの一存だけで、どんどん勧誘しちゃっていたから
まあ、みすずの眼だって確かだしみんな良い人ばかりだけれど
事前に挨拶が無いのは、年長組の人たちにしたら腹が立つことだろうし
判りましたもう、決してあたしの心だけで先走ったりは致しません
みすずが、オレに言ってくれた
それから家族になったからって、必ずオレの女にならなきゃいけないっていうのは変だと思うよ
えー、みんなお兄ちゃんのことが大好きで愛し合っているっていうのが良いんだと思います
いや、今だってミナホ姉さんとか、マルゴさんとか、純粋にオレの姉さんな人もいるんだし家族になってくれたら、それだけでいいじゃないか
セックスを強要しているみたいな関係がオレは良くないと思う
だから瑠璃子も、美子さんも、関さんも、もしオレたちの家族になってくれたとしても、オレが嫌だったらセックスとかしなくてもいいから家族になってくれる方が大切なんだから
オレは、部屋の中を見廻す
あれ一人足りない
麗華は
麗華お姉様なら、先程、お花を摘みに行かれました
美智が真顔で、オレに報告する
花を摘みに
ここ地下だぞ
え地上へ出て行ったってこと一人で
ま、まずいぞそれは
旦那様お花摘みというのは、おトイレに行くということの隠語です
みすずが、教えてくれたけど
インゴって何
言い換えよヨシくんほら、デパートの店員さんがちょっと、7番行って来ますとか言うでしょ
知らんそんなの
とにかく、麗華お姉さんならトイレに居るよ一人で上の階に行ったりしていないから、安心して
マルゴさんが笑って、そう言った
まあここに居るのなら、それでいいけれど
さっきの話に戻りますが、お兄様瑠璃子は、お兄様とセックス致しますよ
瑠璃子は、ケロッとそう言った
驚く、美子さん
だって、お兄様から赤ちゃんの素をいただかないと瑠璃子は子供を産むことができないのですよね
それはオレじゃなくって、別な男の人から貰ったっていいじゃないか
わたくしどんどん、お兄様という男性に興味が湧いてきました他の男性の子供を宿すのは、わたくしにとって色々な問題を引き起こすことになりますがお兄様の赤ちゃんなら、大丈夫でしょう
どどういうことだ
こっそり妊娠して3ヶ月ほど留学している振りをして、海外で赤ちゃんを産むこともできますよね
瑠璃子、お前
世間には内緒で、こっそり子供を産むつもりか
そうなったらわたくし、皆様と同じ家に住まわせていただきますわみすずお姉様もいらっしゃるでしょうから、わたくしが居住してもマスコミの眼は誤魔化せますわたくし、家族の皆様に協力していただいて皆様の中で子供を育てたいんです
確かにその頃には
雪乃のお腹の中の子も産まれているだろうし
渚だって、二人目の子供を産んでいるだろう
他の女たちも出産しているかもしれない
家族の協力があれば
一人ぐらい子供が増えていても世間にはバレないで済ませられるかもしれない
お前は私生児を産むつもりか
ジッちゃんが、瑠璃子に言った
大丈夫ですわ毎日、わたくしが愛情を込めて丹念に育てます世間の皆様に公表するのは成人してからということにすればいいですわ
わたくしは生まれながらにして、香月家の後継者ですがいささか、窮屈です何人もの大学教授の先生方から、帝王学を教え込まれるよりもこの家族で皆さんに磨き上げていただいた方が、より大きな人間に育つような気がわたくしはいたします
ふむ面白いな
ジッちゃんが、考え込む
はい家族の中に居れば、取り巻きもチヤホヤしてくれる騒がしい方たちもいません成人するまでは、一般の子供達と同じ目線で育てますただし本人にだけは、香月家の後継者であること大きな責任を背負って生まれてきたことは、幼い内から伝えておきます
なるほど世間にとっては隠し子だが、本人には香月の嫡男であることを教えて育てていくのか
やばいまた、ろくでもないプランだけが先行している
ジッちゃんも、瑠璃子もそこまでだっ
オレは、二人の間に介入する
他の家族の同意を得ないで勝手に話を進めないでくれよ
ああ、それは済まなかったな
ジッちゃんは、口では謝っているが
頭の中では、瑠璃子の言い出した計画を検討している
お兄様はわたくしに子種を授けては下さらないおつもりですか
あ判ってきた
鷹揚で世間知らずのぽわーんとした雰囲気のお嬢様は対外的なフェイクで
瑠璃子の本質はジッちゃんやミナホ姉さんに近い
色んな事を頭の中で計画し着実に実行するのが、好きなんだ
それもなるべく他人が思い付かないような、突飛なことを
お前のことは、ちゃんと誘拐してやるしその時に、何から何まで教えてやるから待ってろ
オレは、瑠璃子に言った
こういう強い性格の女の子は、真っ正面からぶつかって、引っ繰り返してやるしかない
ではその時を楽しみにしておりますお兄様
わたくしは本当は、この様な腹黒い女です心の醜い女ですこんなわたくしでも可愛がって下さいますか
瑠璃子は、もっと他の家族と交流していくべきだと思うよ
瑠璃子なんて、腹黒の内には入らないよ本当に、腹黒い女っていうのは寧さんのことをいうんだから
えっあたしっ
寧さんが、ズッコケる
ヨッちゃん、あたしそんなに腹黒ぉ
オレは克子姉と渚を見て
寧さんと瑠璃子で、腹黒対決をしたらどっちが勝つと思うどんなズルいことでも、何でもアリの闘いだったら
寧様に、有り金全部賭けるわね
克子姉は、ニコッと笑う
あたしも、寧ちゃんだなうちのお店を賭けてもいいわ
渚も、そう言う
瑠璃子さんは帝王学を施されているらしいけれど、厳しい現実に揉まれてきている寧には勝てないよ
えへっあたし、そんな凄い
寧さん腹黒対決ですよ
あっ、そうかアハハハハ
マナの突っ込みに大笑いする寧さん
その大らかな雰囲気の全てが作られたものだ
寧さんは頭もいいし、恐ろしい修羅場をたくさん潜り抜けてきている経験値も高い
そしてそれ以上に、誰よりも優しくて繊細だ
瑠璃子寧さんが、本当はどんな女性なのかじっくりと観察してくれ
寧さんの本質が判った時瑠璃子の孤独は消えるんだと思う
瑠璃子自分は孤独だと思っているんだろ
いいえ、わたくしには美子も居ますしお祖父様や、みすずお姉様、お兄様だって居て下さいますもの孤独なんて、感じたことはございませんわ
瑠璃子は、明るくにっこりと微笑む
瑠璃子の演技は、あんまり上手く無いんだよ
オレたちもっと、演技の上手い人と毎日一緒に居るからその人と毎日、心を支え合っているからだから、瑠璃子程度の演技には、もう誤魔化されないんだよ
仰る言葉の意味がよく判りませんが
瑠璃子はどこまでもトボケてみせる
この子も結局あたしたちの家族に入るしかない運命だったみたいだね
ジッちゃん瑠璃子は、オレたちが預かるよちょっと、荒療治することになるかもしれないけれど
お前に任せる何でも好きにしろただし処女喪失だけは、私の見ている前でしろ
瑠璃子は無言で、その場に立ち尽くしている
お祖父様、お兄様わたくし、何か粗相を致しましたか何か、ご不興を買うようなことを致しましたか
顔の口元は笑っているが、眼は真剣だ
ギュッと握りしめた手が震えている
額には小粒の汗が
お前に瑕疵は無い糾弾されるべきは、瑠璃子をそう育ててしまった私にある
ジッちゃんにミナホ姉さんは
香月様今は、そんなことをおっしゃるべき時ではございませんわ瑠璃子さんはまだお若いのですから幾らでも、修正はできます
そうだなこいつも、君たちも瑠璃子のために、動いてくれるのだろう
ミナホ姉さんは、笑って答えた
はい瑠璃子さんは、すでにあたしたちの家族ですから何でも致しますわもちろん同様に家族である、香月様のためにも
ほんの数秒ジッちゃんとミナホ姉さんの視線が合う
さっき、こいつが言っていた通りしばらく、そこに居る寧という少女の動向を観察しろ
きっと、お前にとっての良い発見があるだろう
当の寧さんは、ケラケラと笑って
何にも無いってばっあたし、普通の女の子なんだもんねっ
会話の切れたところでみすずがオレに声を掛ける
あたしたちへのお話が途中だったと思うんですけれど
あ、悪い
そうだったまだ途中だ
えっと何の話をしていたんだっけ
あのあたしたち、さっき話し合ったんですけれど
あたしたちの方から、旦那様にセックスを求めるの少し、控えようと思います
そうなのヨシくん何か、今のままだとあたしたちが求めるのに、ヨシくんが一生懸命応えてくれるばかりでしょ何か、良く無いって思うの
ていうかマルゴさんたちにも言われたんだけど、このままの勢いでマナたちがお兄ちゃんを求めると病気になっちゃうって
ここんとこ、やり過ぎって言えばやり過ぎだよな
だからねあたしたちは、どうしてもヨシくんに抱いて欲しい時以外は、できる限り我慢することにしたの
その代わり旦那様が、あたしたちをお求めになられる時には、いつでもお相手します
遠慮しないでねマナ、お兄ちゃんに求められたいの
あ、あのさ
オレも自分の意見を言う
オレなるべく一対一でしたいんだけれど
ヨシくんどういうこと
ほらオレ、まだセックスは覚え立てで決して、上達している訳ではないしさオレの身体は一つしか無いしできれば、一人の女の子を集中して抱いてあげたいんだ二人とか三人とかだとやっぱり、全員を気持ち良くしてあげないといけないって思うから
そうねヨシくんが、そう言うなら
マナは、みんなでエッチするの結構好きなんだけどな
旦那様はお一人で、全員のお相手をしているのですからあたしたちが我慢しないと
そうだねみすずさん
これで少しは落ち着いたセックスができる
本当に男が、オレ一人っていうのは色々とプレッシャーが掛かってくるから
それは克子姉の言葉だった
あなたは必ず、女の子2人と2人ずつ相手をなさいそれから、週一ぐらいで、多人数でのプレイも予定に入れますからね
克子姉がオレを見て、微笑む
家族の融和のためよ仕方無いでしょ
融和
一緒にセックスしたらみんな、すぐに打ち解け合えるわ裸と裸のお付き合いなんですもの
そうかあんまり親しくない女の子2人と、オレがセックスすれば
それがキッカケで仲良くなったりもする
それにねあなたは、自分では気付いていないようだけれど
克子姉ななな、何です
あなたは普通の男の子よりも、何倍も性欲が強いのよ一回に2人ずつ相手にしていかないと、女の子の方が参っちゃうんだから
そそそ、そうなの
あたしや渚も、もちろん加わるわあなたたちにも、色んなセックスのテクニックを教えてあげるからねっ
克子姉が、年少組にそう言った
東京には、ときおり雨が降るのですが妙に生温かい風が吹いています
フェーン現象というやつだそうです
アウトサイダー・アート(精神的に病んでいる人などの残したアート)の人に、ヘンリー・ダーガー(ダージャー説もあり)という人がいました
低賃金労働者で友人のいないダーガーは、自宅で数十年に渡り自分一人が読むためだけの、小説と挿絵を書き続けました
そして死後身寄りの無い彼の部屋を調べた大家さんによって、彼の作品は発見されました
その大家さんがたまたまアートに造形のある人だったため、彼のアートは紹介され世界中に知られるようになっています
(ただし、この大家さんが勝手に彼の作品を売却しているため彼の小説作品の全貌を知ることはすでに不可能となっています)
作品の内容は、架空の世界で少女たちが闘う物語なのですがなぜか、登場人物としてダーガー本人も出て来ます
ある時は、少女たちを助ける味方として
ある時は、少女たちを罠にはめる悪人として
少女たちも作中で良いダーガーと悪いダガーと、二人のダーガーが居るのかしらと語り合ったりしているそうです
それはつまりダーガー本人の内面、少女たちを保護したいという正の心と、少女たちを傷付けたい負の心が分裂して、二人のダーガーとして作品内に登場しているのです
毎日更新で、この作品を書いていると
ダーガーの気持ちが良く判ります
作品の中にその日その日の私の心が、やっぱり陰を落としています
ある意味小説の形をしたブログですねこれは
時々、思わぬ方向へ行ってしまってびっくりします
さてでは、また明日、お会いしましょう
296.麗華と通信機
というかヨシくん、お願いがあるんだけれど
三人の少女が、オレを見る
ヨシくんのオチンチンが、元気になっちゃった時は
いつでも、あたしたちが旦那様のお相手を致しますから
もう、お兄ちゃんは一人エッチとかしないでね
それはええっと
だけど男はさ、何かの拍子で突然勃起しちゃうこともあるんだよそれこそ、授業中とかでもさ
授業中なら、あたしとすればいいわ
二人で教室を抜け出して
マナも高校はお兄ちゃんと一緒の学校に行くから一年だけだけど、マナもするよ
学校外でしたら、あたしも電話で呼び出して下さいいつでも、どこへでも参ります学校だって早退します
いやそう言ってくれるのは嬉しいけれど
あたしたちヨシくんに我慢してほしくないの
むしろお兄ちゃんが我慢すると、心配なの
心配
性欲が高ぶった旦那様が他の女性に目移りなさるんじゃないかって
あ、もちろんヨシくんは、あたしたち以外の子を見て、エッチな気持ちになったりしてもいいのよ
お兄ちゃんが、どんどん新しい女の人とセックスするのはいいんだけれど
単純にエッチな気分が高まっちゃった時は、あたしたちで発散して欲しいのよ
マナお兄ちゃんのセックス奴隷だし
あたしだって、ペットです可愛がって欲しいんです
あたしだってヨシくんのお世話がしたいんだもの
オレ何て返事したらいいんだ
克子姉が、笑ってオレを見る
こういう時はね、笑って判ったやりたくなった時は、いつでもやらせろぐらいのことを言えばいいのよ
でも克子姉
この子たちは、あなたに約束して欲しいんじゃないのよ安心が欲しいの
何でもかんでも、大真面目に約束する癖そろそろ直しなさいこの子たちはあなたに求められている必要とされているってことを、確認したいだけなんだから
言葉の裏の心を見ないといけないのか
判ったセックスしたい気持ちになった時は、ちゃんと正直に言うからその時は、嫌がらずに相手をしてくれ
こんな感じでいいのかな
かしこまりました旦那様
三人は、満足そうに答えた
実際にはオレが勃起しちゃったって、言わなきゃ判らないんだろうし
その時の状況に合わせて行動すればいいんだから
ご主人様もし、不意に陰茎が勃起なさっても、わたくしたちが勘付かない場合もあるだろうなどと思っていらっしゃいますか
突然、美智がそう言った
申し訳ございませんがご主人様の心と肉体の状態は、全てわたくしが把握しておりますから
奥義心月による同調の結果ですご主人様がお隠しになられたとしても、性的な欲求が高まられば、わたくしにすぐ伝わります
そうね、その時はすぐにあたしに教えてちょうだい美智
みすずは、そう言うが
申し訳ございません、みすず様その時は、わたくしがご主人様にご奉仕致しますので
みすず様をお招きする場合もあるかもしれませんがわたくしも、ご主人様にたっぷり愛していただきたいと望んでおります
美智はみすずの支配から脱し、自立しようとしている
仕方無いわね
みすずは優しく微笑んだ
みすずと美智の絆がまた太くなる
主従から姉妹へ
これで安心して闘いに行けるね
そうだ、オレたちはこれより死地に向かう
ケガしないでね、ヨシくん
マナ、いい子にして待っているから
旦那様のお戻りをお待ちしております
メグマナみすず
ご主人様は、わたくしがお守り致します
美智が3人に言った
これを持って行って
ミナホ姉さんが、イヤホンのついた、ラジオみたいな機械を幾つか持って来る
そこの監視室にあったわこのホテル内で通信する機械よ携帯電話だと、逆探知される可能性があるから
位置を確認されたり会話を盗聴される可能性がある
この通信機は、ホテルの内部回線を利用しているからここから地上までは秘匿回線で、そこから上は各階ごとに壁に埋め込まれた中継器も通して電波を飛ばすのこの機械なら緊急避難室の存在を敵に知られずに、自由に連絡し合うことができるわ上に行く人たちに配って
オレは、上階へ行くメンバーに通信機を配っていく
マルゴさん関さん美智オレそれから
雪乃が、当然という顔をしてオレから通信機を受け取ろうとするが
あ、雪乃さんには渡さなくていいからね
通信機が一つ余っちゃうけれど
雪乃がギロッとオレを睨む
いいから、その子は放っといてはい、あたしの手元を見て電源スイッチがこれね音量がこれみんなと話がしたい時は、このスイッチを押して会話中はずっと押し続けるんだよ
マルゴさんが、オレに通信機の使用法を教えてくれる
関さんや美智は、すでに判っているらしい
通信機のこの部分がマイクになっているからまあ、よほど小さな声でなければ、機械の方で声を拾ってくれると思うよ
通話のスイッチを押すと、赤いランプが点く
全員で情報を共有したいからチャンネルは一つだけにしておく誰と個別に話そうとしても、会話内容は全員に聞こえるからね1人が喋っている間は、他の人は割り込めないから会話の最後にはどうぞとか、オーバーとか終了のサインを付けてね
ああテレビで見たことがあるな
わたくしたちが通信している様子を、敵に見られる可能性もあります上階では、お互いの名前を呼び合うのは止めましょう
関さんが、提案した
では、あたしがスペードで、関さんがダイヤ、美智さんがハート、寧がエースで、彼がジョーカーっていうことにしましょう
オレの問いに、寧さんが
ババよババに決まっているでしょ
雪乃の眼が怖い
スペード、ダイヤ、ハート、エース、ジョーカーにババ了解です
美智が、普通に返事をする
通信では、ミスター・ジョーカーとかミス・スペードとかも言っちゃダメよそういうことも、敵には大きな情報になりますからね
関さんが、そうオレに教えてくれた
あのババはちょっと可哀想じゃないのかなクローバーが空いてるし
オレが、そう言うとマルゴさんはニヤッと笑って
クローバーはもう、そろそろ出て来る頃合いなんじゃないかな
ドガッと大きな音がしてトイレのドアが開いた
わ、わたくしもッ連れて行って下さいませっ
それは、麗華
麗華は優雅な英国紳士のスーツを脱いで、何故か黄色いジャージ姿になっていた
顔もメイクを落としている
ど、どうしたんだよその姿
そちらのクローゼットにはわたくしが着られそうな服は、これしか入っていませんでした
そりゃ麗華は長身だけれど
先程の主様のお言葉にわたくしは、反省致しましたしばらく、自分の美学から離れて自分を見つめ直したいと思います
それで英国スーツを脱いだのか
麗華お姉さん、スーツの下に付けていたサポーターやプロテクターはそのまま
はい、この通りです
麗華が、ジャージの裾を引き上げる
足首には、黒いサポーター
脛には、プロサッカー選手が付けているような特殊樹脂のプロテクターが
膝や肘関節部分も、しっかりと守っているようだ
麗華は、上階へ戦闘に出るつもりなんだ
わたくしは武人ですプロの警護人です闘いの現場に立つことが、わたくしの使命ですどうか、わたくしも連れて行って下さい
麗華は、深々とオレに頭を下げる
どうしようか君はどう思う
戦闘班のリーダーであるマルゴさんが、オレに尋ねた
でもこの部屋に一人、警護役を残した方がいいんですよね
それはまあ、そうなんだけれどでも、麗華お姉さんは、切り込み隊長のタイプだからね本当のところ、守備向きの人ではないよね
確かにこの部屋に麗華を残して置いても、宝の持ち腐れかもしれない
麗華お姉さんの敵に対する打撃力は、魅力的だしね
だけどそうなると、誰をここに残す
リーダーであるマルゴさんは、外せない
通信機でここから指令を出して貰うっていう手もあるけれど
やっぱり、実際に現場に居て貰って、直接指揮して貰う方が良いに決まっている
ジッちゃんを連れて行かない以上重役たちや香月セキュリティ・サービスと渡り合うには、ジッちゃんの専任警護人である関さんの存在が必要だ
ということは美智を置いていくしか無いのか
麗華お姉様、わたくしを見て下さい
不意に美智が麗華に声を掛ける
麗華が美智を見た瞬間
美智は、招き猫の手をして空中をツイッと引き寄せるッ
麗華の身体が一歩前にズリッと釣り出される
まるで、美智に見えない糸で引っ張られたかのように
な、何なのこれ
工藤流古武術奥義心月の応用です眼の合った相手の心を捕らえて、身体のバランスを崩すことができますもっとも、いまはまだ、一歩前に踏み出させるか、逆に動きを止めるかぐらいしかできませんし、達人レベルの武道家には効かないかもしれません
美智は落ち着いて説明していく
しかし、この技上階での闘いでは、きっと役に立つものになると思います
美智は本当に変わったな
小さな身体に自信が満ちあふれている
前は戦闘力はあったけれど、心の弱い子だった
今は違う強い子になった
ヴァイオラの中核部隊と出遭った時は美智さんのその技があると助かるかもしれないね
マルゴさんは、オレを見る
美智まで連れて行くとなるとこの部屋には、警護役が残せなくなる
構いませんわ、旦那様美智も連れて行って下さい
旦那様のご無事が一番です
そうだよ、お兄ちゃんあたしたちは、ここでジッとしているから
そうね、美智さんが居てくれた方がヨシくんは安全でしょうし
オレの女たちは、そう言ってくれるけれど
でも、警護役が誰もいないっていうのは心配だろ瑠璃子
お兄様お祖父様にお尋ねしてみたらいかがですか
ジッちゃんに
この緊急避難室はわたくしたちが思っている以上に、安全が保たれているのだと思いますそうでなければお祖父様が、谷沢さんや大徳さんたちの居ない場所にいらっしゃるはずがありません
ジッちゃんにとっては
香月セキュリティ・サービスの谷沢チーフや、専任警護人の大徳さん張本さんの居ない場所は自分を防御する人員が居ないってことなんだ
関さんや麗華のことは、谷沢チーフたちほどは信頼していないみたいだし
ここが安全な場所だっていう認識が無ければジッちゃんは、ここには居ない
ジッちゃんこの部屋は、本当に安全なのかい警護役を全員、上に連れて行ってしまってもこの部屋に残ったみんなは平気だと思う
ジッちゃんは、苦笑して
大丈夫だ敵は絶体にこの部屋を見つけることはできんだろうしこの部屋に入ることもできん朝までなら、ここに居れば安全だやつらには手出しはできんよ
朝まで
朝になれば、政府機関が動き出すシザーリオ・ヴァイオラの手勢が好き勝手に動き回れるのは夜明けまでだ
何だかよく判らないけれど
ジッちゃんは、オレの知らない計画を幾つも同時進行で進めているらしい
じゃあみんなは、警護役抜きでここに居ても平気なんだね
それはお前たちが、自己責任で判断することだよ
ジッちゃんは、オレに微笑む
ここから外に出る脱出ルートは、表からは絶対に開かないんだよね
前に説明したとおりだ内側からしか外には出られないようになっているまた外部への出口は、外からは判らないようにカモフラージュしてある
となれば
よし麗華も連れて行くこの部屋には、警護役は残さないそれでいいねミナホ姉さん
ええ構わないわ
克子姉と渚も、うんと頷く
みんな覚悟してくれたらしい
ありがとうございます主様皆様
黄色いジャージの麗華が、みんなに頭を下げた
ついでだから聞くけれどジッちゃん
重役の中に居る裏切り者って誰だか判っているの
幾つか可能性は感じているが断定はできんよただし
ただし
他の重役や私塾の中に居る自分の子供まで巻き込んで敵を招き入れるなんていう真似は、普通の人間にはできんよ
重役というのも、様々なタイプがいる私塾はその縮小モデルだお前は私塾の連中を見て来て、どう思った
私塾の連中は
えっと、派閥があってボスが居て子分になっているやつもいれば、調整役を引き受けようとする人も居て
派閥でも何でも、ボスになる素質のある人間は自分の手は汚さんよ人を使うのが上手いから、ボスになるんだから
そうかそういう人間は、自分が危険を犯して敵を呼び寄せるようなことはしない
安全なところから見ているだけだろう
てことは香月操と香月昴の父親は、白ってことか
そういうことだ重役たちと私塾の子供たちはよく似ている子を見れば、親がどんな人間かよく判るだろうそうやって、誰が裏切り者なのかじっくりと調べていくんだな
短めで済みません
次話から、上階へ行きます
麗華にも、全裸土下座というプランはあったのですがまたの機会にします
それでは病院に寄って、仕事にいきます
297.エレベーターの中
私は、大学は京都に行ったんだがね
ああ京都にある大学へ行ったんだ
もう60年も前のことだ当時の京都は、なかなか自立心に富んだ大学でね戦争から、まだそんなに経ってもいなかったから、学内でことある度に上級生が威張っていてね
懐かしそうな眼で、ジッちゃんは昔話をする
あそこだけは、香月という家名も関係無い私は、ずっと家のしきたりの中で育ってきたからねそういうのも面白がっていたが
家の影響力に関係無く学年だけで上下関係がある大学生活は、ジッちゃんには刺激的だったらしい
一年生の学祭の時だったかな我々、一年生は上級生の指示で講堂の仕込み作業をやらされてねみんな、上級生の奴隷の様にあれをしろ、それを持って来いと使われていたよそして、1人の上級生が私に命じたんだ寮に忘れ物をしたから、大至急取ってこいとね私は、走って講堂の裏口から飛び出したそしたらだ
講堂の裏口で、1人の1年生が作業をサボっていたんだよタバコなんか吸ってね他の一年が作業を命じられている間に、スッと逃げたんだなで、作業終了の時間まで隠れていようと思ったんだろうなかなか、要領の良いやつだった
はあそういう人間は、60年前にも居たんだ
彼がサボっていたことは、何人かの1年生は気付いていたその日の作業後、他の1年生たちがこう言ったよああいう、団体行動の取れないやつは出世しない、今の内に先輩と良好な人間関係を築いておく方が、卒業後に大きな意味を持つことを、あいつは判っていないとか
大学ぐらいになると、人間関係が一生続くんだろうしな
ところがだ大学を卒業して、何十年も経ってみると、あの時に要領よく上級生の命令から逃げ出したやつは、その後大企業の社長にまで昇り詰めた逆に、積極的に自分から先輩の命令を聞いていたようなやつらは、みんな良くて役員止まりだよどうしてだか判るかね
いや判らないよ
組織の長になるような人間は、簡単に他人の命令に従ったりはしないんだよ上の人間の命令を、何でもハイハイ聞くいつも、上の人間の眼を気にしているような人間は得てしてトップにはなれないものだ
性格は、習慣を作り習慣は人生を定める18歳でたかだか数年年上なだけの連中に、何でもかんでも命令されるのは馬鹿馬鹿しいと割り切れた男は、どんなことも自己判断でやって行くことになるしかし、それは、トップになるために必要な考え方だし色々と人間関係で困難にブチ当たるだろうが、それは全て経験になる逆に自分で考えることを捨てて、先輩の手足になった連中は社会に出ても、会社や上司の命令に従うだけで生涯、誰かの部下でいることから逃れられない人間関係は至って平穏だがね
ジッちゃんは、ニヤッと笑った
これは一例だよもちろん、協調性が無さ過ぎて組織から追放され、自分で起業した結果、事業に失敗するようなやつもいるしかし、組織のトップになる様な人間は、みんなある程度の傲岸さを持っていることは確かだ平気で目下の人間を使い潰しながら、自分は絶対に誰かの下僕にはならないそういう自意識の強い面が必ずある
さて、今回の件だが私を裏切って、なおかつ、自ら敵を呼び込むために死地に立とうとする様な男はどういうタイプの人間だと思う
それは相当意志が強くて、なおかつ信用できる人が居ない人ってことかな
信用できる部下が居るなら、自分で危険な場に立つようなことはしないだろう
自分の眼で確認したいから、わざわざ他の重役とともにこのホテルに来たんだろうし
トップ型と部下型どっちのタイプだと思うね
それは、もちろんトップ型だよね
典型的な部下タイプ香月仁や、角田、夏木みたいな人間は、こういうことはしない
すなわち、彼らの父親の重役たちは除外していい
また、トップ型でも何でも部下にやらせて、自分の手を汚そうとはしない香月操みたいなお山の大将になりたがるような人間もその父親も除外するべきだ
プリンス派には、裏切り者はいないってこと
そう考えるべきだろうな自立心があって、トップ型の思考で危険な任務を押しつける様な子飼いの部下を持っていないとすると
裏切り者は新興グループの中にいるってことか
もちろんこれは私の勝手な想像に過ぎない実際は、どうだか判らんぞ
でも、とっても参考になったよありがとう、ジッちゃん
オレは、ジッちゃんに礼を言った
あたしと克子で監視室からホテル内の状況をモニターして、あなたたちに逐一報告するわ
ミナホ姉さんが、オレにそう言った
それは助かるけれど
ミナホ姉さんと克子姉が、監視室に籠もるということは
ジッちゃんはまだ、自分自身で上階へ行くことを諦めていないと思う
瑠璃子、みすず2人でジッちゃんの世話をしてくれ頼むよ
ジッちゃんも2人の孫娘には弱いと思うし
他の子の面倒は、あたしが見るから安心して
渚がそう言ってくれた
マルゴさん、寧さん、関さん、美智、麗華準備はいいかい
マルゴさんと関さんは、薄手の革手袋を填めている
美智は、制服のスカートの下の武器を確認している
麗華は、撲殺ステッキを握りしめる
寧さんは、ニコニコ笑っている
うん大丈夫だな
雪乃もいいな
うっさいわね一緒に行けばいいんでしょ
セーラー服姿の雪乃が、ツンとしている
これもまあいつもの姿だ
オレは留守番組の女たちを見る
渚、メグ、マナ
じゃあ、行って来るよ
気を付けてねあなた
ヨシくん頑張ってね
お兄ちゃんあたし、待っているからね
うん絶体に生き抜いてやる
こいつらを残して今は死ねない
美子さん朝までの辛抱ですから
ほとんど喋らないで震えている美子さん
これが、普通の少女の反応なんだろう
それから、クークー眠っている真緒ちゃんの頭を撫でる
行って来るよ、真緒ちゃん
守らなきゃみんなを
良い顔をしているぞお前
ジッちゃんが、オレに微笑む
関くん、藤宮くん香月家当主として、改めて命じるこいつを死なせるなこいつに死なれると困るからな
ジッちゃんの命に2人のトップ・エリート警護人は
ジャージ姿になっても麗華の心は、武士のままらしい
行ってらっしゃいあなた
最後に克子姉が、そう言ってくれた
上階へ戻るエレベーターは、人数制限があるから
二度に分けて、乗らないといけない
第一陣は、あたしと関さんと美智ちゃんで行くよ
マルゴさんが、そう行った
ミナホ、上のエレベーターの部屋の近くに敵はいないね
早速、通信機を使う
大丈夫よあそこのフロアには、まだ誰も上がって来ていないから
イヤホンから、ミナホ姉さんの声がする
それでも一応は、警戒した方がいいだから、あたしたち3人が先に行くよ
うんマルゴさんと関さんは、プロだし
何かあったら、美智の奥義が役に立つ
先発組の3人が、エレベーターに乗る
残されたのはオレと雪乃と寧さんと麗華
麗華あのさ
はい何でございますか、主様
麗華は少し緊張しているみたいだった
ジャージ姿も似合っているよ
わたくしはあんまり好きではありませんわたくしは、身体を締め付けるスーツの方が性に合っています
ふーん、麗華お姉さん抱き締められたい派なんだねっ
何ですそれ
子供の頃にスキンシップの少なかった人はね自分の身体を締め付けるような服を好むんだって
笑いながら、寧さんは答える
人間だって動物だからね肌による触感ていうのも大切なんだよだから、ヨッちゃんは麗華お姉さんのこと、よーく抱き締めてあげてねっ
わたくしは別に
困惑する麗華
そんじゃあさっ、早速やってみようっあたしが背中から抱き締めるからヨッちゃんは、抱き締めてあげてっ
寧さんは、きゃはっと後ろから麗華を抱き締める
ほらほら、ヨッちゃんも早く
オレは、麗華を前から抱き締める
麗華の力なら、引き剥がすのは簡単だろうに
麗華は、オレと寧さんの抱擁を受け入れる
怖くなぁい怖くなぁいほら、大きく深呼吸してあたしもヨッちゃんも、抱き締めているだけだよ酷い事なんてしないから
寧さんが、麗華の耳に囁く
どう温かくて悪くないでしょ服で身体を締め付けるよりはさ
麗華の身体の緊張が解けていく
顔の中の暗さが消えて行く
麗華メイクしてない顔も、綺麗だよねやっぱり元が整っているからかなあ
オレは、長身の麗華の顔を見上げてそんな感想を述べてみる
そうだよねえ、麗華お姉さんて美少年顔だもんね
美少年顔
眼元が涼やかで、鼻が高くて格好いいよねあたし、大好きっ
オレも好きですよ
照れている麗華
それに肌が白くて綺麗だよねきっちりメイクしている時の凛々しい顔も素敵だけど今のすっぴん顔も良いよねっ
寧さんが、そう麗華を褒める
うんオレもそう思うよ英国紳士のかっちりした格好もいいけれど今の麗華も良いと思う
麗華の頬が赤く染まる