そんなん持ってないさ

判らないぞどこかから、コロッと転がり出してくるかもしれん

無理矢理、オレたちが危険物を持っていたことにするつもりか

ふーんやっぱり、公安の人間は、どこの国でもやることがセコいねえ

恭子さんは、平然と笑う

何とでも言えこっちはこれが仕事なんだ

おいこれは香月家が絡んでる一件だぞ下手に手を出すと、お前らのクビが飛ぶぞ

工藤父が、そう刑事に言うが

国際犯罪組織の名前を出したのは、そっちだろうそっちがその気なら、我々もトコトンやってやる

刑事は、すっかり頭に血が昇っている

そんならさ、もう一つ教えてあげるよ

今のあたしは、ガモン共和国の外交官という立場でこの国に来ているんだけれどこれって、国際問題になるけど構わないよね

日本国の警察官僚が、国連加盟国の在日大使館の職員に不当な圧力を掛けるんだそれなりの覚悟はしてもらうよ

大使館

外交官て

あんたのクビ一つじゃ終わらないね日本の公安のトップと外務大臣のクビが飛ぶね間違いなく

あんた、最近、新聞読んでいるかいガモン共和国と日本政府は、現在、決して良好な関係では無いからねこれを機会に国交断絶いや、宣戦布告もありえるかもね国家を代表する外交官が、日本の警察官に不当な扱いをされたわけだからねうちの国の人間は、何よりもメンツを大事にするからねこりゃあもう大変なことになるよ

ニヤニヤと笑う、恭子さん

脅すつもりか

警告だよ下っ端が、あんまり突っ張らない方がいいんじゃないの

警察官たちは、動揺する

何なら上司にお伺いを立ててみればビックリすると思うよあたしみたいな国際的なユーメージンにはなかなか会えないからね

本当にホンモノなのか

嘘かもしれんぞ

どうする

だが、下手にしょっぴいて本当に外交官だったら、トンデモないことになるぞ

警官たちが小声で話している

公安の刑事は

いや、工藤が連れて来ているんだホンモノなんだろう判ったオレの権限で、ここは通してやる

物分かりが良くて助かるよ

虎のマスクの人間は、全員あたしの身内だ指一本触れるんじゃないよっマジで国際問題にするからねっ

警察官たちを恫喝する

車はそこのマイクロバスかい

恭子さんが、工藤父に尋ねる

ああ、そうだ

ほら、みんな早く乗りなとっとと撤収するよっ

恭子さんの号令でオレたちは、バスに乗り込む

工藤父とトニーさんも、運転席に乗って来る

警官たちは、遠巻きにオレたちを睨んでいる

トニーさんが、工藤父に虎のマスクを手渡す

それから自分もマスクを被った

バスの中は虎マスクの人間しかいない

マスクは、ずっと付けたままだよあたしがいいって言うまではね

恭子さんが叫ぶ

シスター・イーディには、寧さんが通訳する

姐さんが出張らなくても今回は、香月のジィさんのお墨付きがあるんだゴリ押しで通れたのに

工藤父が、恭子さんにそう言うが

ハッこれだから、男ってのは

呆れた顔で、工藤父を見る

あんたも香月のジィちゃんも警察の下っ端なんてのは、力押しでどうにでもなるって思っているんだろだけど、上の人間に全部情報を握りつぶされて、あいつらが一番焦れているんだガス抜きの一つもやってやらないとおかしな方に暴発するよっ

ガス抜き

そうさ、昨夜のこのホテルでの事件に国際犯罪組織のあたしが関わっているとなりゃあ、あいつらだって何で自分たちが捜査から外されているのか、勝手に想像してくれるだろ納得できそうな理由が一つでもあれば、諦めも付く何も知らされないままで、あんたみたいなのに力押しをやられたら、あいつらだってこの野郎って反抗してくんのは当たり前じゃないか

恭子さんが事件に関わっていて

しかも、その恭子さんが外交官の身分で来日しているとなれば

下っ端レベルでは、どうすることもできないんだと納得してくれる

公安の人間なんて、どこまでも蛇みたいにしつこく追っ掛けて来るんだから適当に情報を流してやって、満足させちまった方がいいんだよこれでしばらくは、マランドロの組織とガモン共和国の調査に集中してくれるだろうしね

黒い森には、気が付かない

国際犯罪組織とか日本と仲の悪いならずもの国家とかの調査の方が、ロマンがあるからね

まったく本当に、男ってのは男が分かっていないよね

恭子さんは、工藤父を小馬鹿にしてそう言った

トニー、車を出せ

いたたまれない顔で、工藤父が指示を出す

地下2階の駐車場からオレたちのバスが出発する

すぐに1階へ

さっきの刑事から連絡が行っているのだろう

ホテルの出口の検問はオレたちのバスを一時停止させずに、そのままスッと通してくれた

ホテルの敷地外ではマスコミのカメラが、ズラッと並んでいる

平然としてなっ変に顔を隠したりしちゃダメだよっ

虎のマスクの一団を乗せたバスがマスコミの前を通過する

フラッシュの光が、眼に眩しい

尾行は、5台だね

虎マスクのマルゴさんが、そっと呟いた

警察の車輌が2マスコミが3だ

虎マスクの恭子さんが、虎マスクの工藤父を見る

尾行を巻く準備は、もちろんできているんだろうね

当たり前だろオレだってプロだぜ

虎の穴編は、これで終わりで

すぐに寧さん編に戻ります

タイガーマスクは、交通事故死して行方不明というマンガ版も好きですが

マスクを剥がされたショックで、高笑いしたあげく、虎の穴で習ったありとあらゆる反則技を使って相手選手を惨殺した後、その日の飛行機で国外逃亡するというアニメ版も大好きです

345.それぞれの岐路

お台場から羽田にかけての湾岸には、大きな貨物の集積場が幾つもある

尾行してくる5台の車を引き連れて、オレたちのバスは疾走する

そういうところは、私有地扱いだからな警察の車だって、簡単には入れない入構許可証が無ければ、入り口で止められる

工藤父が、ニヤッと笑いながらファイルを取り出す

ところが、オレはこの辺の施設の入構証はあらかた持っているからなトニー

トニーさんが、近くの物流ターミナルにバスを突っ込ませる

工藤父が、ガッと警備員に入構証を提示するからオレたちのバスは、そのまま進入を許される

後ろの車は止められている

こっちの入り口から入って向こうから出る

そのままバスはターミナル内を突っ切って、反対側の出口から外へ

もちろん、追跡車は1回では振り切れねえ上から見ているやつもいるしな

工藤父が指差す方を見上げるとあ、ヘリコプターがいる

なるほど空からオレたちの行方を監視しているやつもいるのか

そいつらからさっきの追跡車に指示が出る

尾行の鉄則としてオレたちを追っ掛けて来ているのは、見えていた5台の他にも、何台か追跡車が用意されていると思った方がいいだろうということで

バスがまた、別のトラック・ターミナルに突っ込む

何回か、私有地内の横断を続けてみるわけだ

今度のターミナルは、大きくて屋根がある

ヘリから見下ろせない場所でターンして出口から外へ

そしてまた、別の入構証を提示して別の集積場へ

今度は巨大な建物の屋内に、バスを走らせる

内部をぐるぐる廻って、別の出口から出る

ん目的地に大分近付いて来たな

また別のターミナルへ飛び込む

屋内の施設にバスが進入すると

そこにはオレたちの乗っているのと同型のバスがあった

しかもそのバスの乗員も、オレたちと同じ虎のマスクを被っている

はいトニーくん、停車

工藤父の指令通り、トニーさんがオレたちのバスを停める

同時に、先に停まっていたバスが発進する

あれ、運転しているのはノーマくんね乗客の虎さんたちは、みんなマネキンだよあのまましばらく、オレたちが今して来たみたいに物流ターミナルをあっちゃこっちゃ走り回って貰う警察もマスコミも、そのうちにバスがすり替わったことに気付くだろうがどの段階でそうなったのかは、永遠に判らねぇだろうな

ということだから全員、そっちのトラックに乗ってくれ

マスクも、もう外していいよ

ふう、恭子さんのお許しが出た

オレたちは虎マスクとマントを脱ぐ

でここから、どこへ行くんだい

恭子さんの問いに、工藤父は

ここまで来るともう羽田空港は、すぐそこなんだぜ

ニヤッと微笑む

あそこには、VIP用の特別駐車場っていう便利な場所があるからなあんたたちの車は、昨夜のうちに劇場からそこへ移しておいた空港の駐車場なら、車の出入りは多いしあんたたちの車みたいに高級外車が並んでいても目立たないからな

工藤父とトニーさんは、すぐ運送会社の制服に着替える

オレたちはアルミの扉を開けて、荷室の中へ

2トンロングの荷室に、この人数じゃ狭いだろうが我慢してくれ

椅子とかあるわけじゃないから、オレたちは荷室の中に直接座る

真緒ちゃんは、渚に抱きかかえられてでも、楽しそうに笑っている

シスター・イーディも何か嬉しそうだ

麗華は、渚と克子姉の間に座っている

ミナホ姉さんは、恭子さんとマルゴさんに護られて

メグとマナが緊張しているので、オレと寧さんで抱き締めてやった

何でお前、まだブラックタイガーのまんまなの

だってあたしが白坂雪乃だって、知っている人に会うかもしれないじゃない空港なんて人でいっぱいなんだから

相変わらず、自意識過剰というか

黒虎の仮面の方が変だとは、思わないらしい

道は平坦だし、スピードも出さないから、そんなに揺れないと思うぜすぐに着くから辛抱してくれ

そう言って、工藤父は荷室の扉を外から閉めた

トラックの荷室に押し込められて、10分ほど我慢する

まあ確かに思ったほどは揺れなかったがそれでも、トラックの荷室ってのは人間が乗るべき場所でないことはよく判った

やがて、トラックは停車する

再び、荷室の扉が開く

着いたぜって、すげぇ女の匂いが充満しているな

荷室内の匂いを嗅いで、工藤父が言った

そりゃあまあ10人も女性が押し込められているんだから

お前、よく平気だね

ハハ慣れました

そうだオレはすっかり女だらけの生活に慣れてきている

トラックの外は立体駐車場の中らしい

眼の前に、見覚えのある車が停まっている

マルゴさんの青いマセラッティ

隣はミナホ姉さんのベンツ

それから、白いバン

これ、あたしの車よっ

渚がその横の車を指差す

赤い車

プジョーよフランス車なの

へえ渚によく似合っている

まだ触っちゃダメだよ、渚ちゃん

ちょっとみんな離れていて

そして、工藤父を見る

あんたらを信用していないわけじゃないんだけれどね職業病なんだよ他人が触った車は、必ず調べてからでないと怖くてね

発信器と爆発物がね

恭子さんは、ミナホ姉さんのベンツからチェックし始める

マルゴは自分の車を頼むよ

了解、恭子さん

マルゴさんもマセラッティの足回りから調べ始める

あ、わたくしも手伝います

麗華も、作業に加わる

はい爆弾は無いけれど発信器を発見

マルゴ、それ多分1個っきりってことは無いね

はいこれを見つけるところまでは、向こうの想定内でまだまだ仕掛けていると思います

1個も見落とすんじゃないよ

あ、ここにもありました

麗華も発信器を見つける

結局、4台の車から発信器が12個出てきた

これってどういうことなのかなぁ

恭子さんが、工藤父に詰め寄る

オ、オレは知らねぇよこんなの

判ってるよこんなことをやるのは、谷沢のオッサンだろうさ

恭子さんは、クスクスと笑う

あのオッサン、あたしたちの首に鈴を付けておきたいんだろ

ていうか恭子さんだけです谷沢さんが、野放しにすることに脅威を感じているのは

まあ、何でもいいさあたしは首輪を付けられるのは大嫌いだからね谷沢のオッサンには、そう言っておいて

恭子さんは、発信器の山を工藤父に手渡す

あら、もうこんな時間完全に遅刻だわ、あたし

渚が、時計を見てそう言う

もう10時30分近い

あたし、先に行きますお店を開けないといけませんから

待って、渚

メグ、今日は部活か

本当はそうだけれど今日はお休みしますって、朝、ホテルから竹柴キャプテンにお電話したの

昨夜の大騒ぎで、みんな全然休んでいないでしょお屋敷の中のこと、克子お姉さんだけにお任せするのは悪いし

メグは、すっかり家族の委員長になっている

竹柴キャプテンも白坂の本家があんなことになって、テレビで凄いことになっているから今日は部活に出ないでいいって言ってくれたわ

メグが白坂家の遠縁だってことは、みんなに知られているもんな

白坂家の当主押し込めの大クーデターは、昨日の白坂創介のセックス・スキャンダルよりも大々的に報道されている

白坂創介の方は、ただの興味本位での取り上げ方しかされなかったが

当主の方は、新聞社とテレビ局を有するマスコミ・ネットワークのボスの失脚だ

人気球団のオーナーとしても知られていたし

社会に及ぼす影響は、段違いなんだろう

判ったじゃあ、メグはお屋敷の方を頼むそしたら、マナお前、渚のお店の手伝いに行け

そうだこれからは家族なんだから手伝うのは当たり前だろ

マナは、納得してくれる

それから、麗華もだ

わたくしがお花屋さんのお手伝いですか

昨日の今日だから一応、渚のお店にも警護要員を置いておいた方がいい麗華は、お店の手伝いをしながら、渚たちを護ってくれ

いやオレの本心は

麗華は、少し剣以外のことに触れた方が良い

もちろん、お店に来たお客さんたちに変に思われないように、店の手伝いもしっかりやってくれ

渚いいだろ

手伝いというよりマナと麗華を、渚に預けるようなものだけれど

渚なら、二人を指導してくれるだろう

ええ、助かるわ

渚は、にっこりと微笑む

じゃあ、車に乗って真緒もいらっしゃいお店が終わったら、夜にでもまたお屋敷へ行くわ

渚、真緒ちゃん、マナ、麗華が赤い車に乗り込む

wooo、MAO

あんたは、こっち

真緒ちゃんが行ってしまうことに、イーディは納得いかないようだが

恭子さんが、力で抑え付ける

あたしたちは、一度お屋敷に戻りましょうもう白坂家やヴァイオラに雇われていた監視者はいなくなっていると思うけれどちゃんと確認しないと、怖いから

お屋敷の安全が確認された後で、あたしは恭子さんとターゲットの回収に行きます

ターゲットとは白坂創介のことだ

ブラックタイガーの雪乃が、ハッとしてミナホ姉さんを見る

ミナホあたしたちは別行動でいいかな

あたしと寧と彼の三人なんだけれど

そうねそっちの件は、あなたたちに任せるわ

そう言ってくれた

じゃあ、先に行くわまた後でね、あなた

お兄ちゃん頑張ってくるねっ

渚の車が走り去る

この子もあたしたちの車かい

ええ常に監視していないと、何をするか判らないですから

イーディよりは安全なんじゃないのまあ、見た目が面白いからいいかほら、乗りな

黒虎マスクの雪乃は、ミナホ姉さんの黒い車の後部座席に乗せられる

隣に、シスター・イーディ

それでも、キャッキャと悦んでいる

これから行く場所のことについて、ワクワクが止まらないのだろう

克子姉とメグは、白いバンに乗り込む

工藤さん、今回は色々とありがとうございました

ミナホ姉さんが、車に乗り込む前に礼を言う

気にしないで下さいオレっちは、仕事でやってるだけですから

工藤父は、笑ってそう答える

今回は、まあ味方側だったけれどそのうち1回、敵対してみようか

恭子さんが、そんなことを言う

勘弁して下さい姐さんの相手をするのは、身体が幾つあっても足りねぇッスよ

百戦錬磨の恭子さんには工藤父も、軽口は叩かない

それにオレは美智の居るところとは、ケンカはしませんよ

工藤父は真顔になって、ミナホ姉さんと恭子さんを見る

美智のことよろしくお願いします

スッと、頭を下げる

娘さんは、あたしの弟がいただきました幸せになれるようあたしたち年長者がしっかり監視・指導して参りますどうか、ご心配なさらないで下さい

ミナホ姉さんも、工藤父に頭を下げる

オレ、しっかりやりますから

オレも深く頭を下げた

頼みます本当に

工藤父の美智への愛情が心に染みる

ほんじゃあ、またな頑張れよ、少年

工藤父は、オレにそう言ってくれた

はいオレ、頑張ります

よろしくな

フッと笑って、工藤父はトラックに乗り込む

トニーさんに指示して、そのまま発進した

じゃああなたたちは、あなたたちでしっかりやりなさい

ミナホ姉さんは、そう言ってベンツに乗り込む

マルゴ、こっちのことは気にしなくて良いから寧ちゃんの事、頼んだよ

恭子さんが助手席から、そう言った

雪乃はオレと眼が合った瞬間、ツンと顔を背ける

黒虎のマスクのまま

そんな雪乃を、シスター・イーディがケラケラ笑っている

エンジンがトゥルルルと始動し

黒いベンツが走り出す

あたしたちも先に行くわ早く、帰ってらっしゃいね

ヨシくん、待ってるからねっ

ミナホ姉さんたちの車を追って克子姉とメグの白いバンも、走り出す

駐車場に残ったのは

オレとマルゴさんと寧さんの3人

そして、マルゴさんの青いマセラッティ

さあ、あたしたちも行こうか

オレたちはこれからオレの家に行く

口には出さないけれどそのことは3人とも判っていた

行こう、ケイ

そうだねお姉ちゃん

はい、これ寧も

マルゴさんは、車のダッシュボードを開けて

中から電話機を二つ取り出した

プリペイドカード式の携帯電話だよとりあえず、これを使っていて番号は、後ろにシールで貼ってあるから何かにメモして、そのシールは剥がして捨ててしまって

うん確かにシールにナンバーが書いてある

昨日まで使っていた携帯は、全機破棄することにしたから裏社会に、番号とかが漏れている可能性があるからね今渡した電話機は、あくまでも新しい携帯を手に入れるまでの繋ぎとして使っていて明日までには、新しい電話を用意するから

それで前の電話は回収して来なかったんだ

さあそれじゃあ、行こうか

マルゴさんが、始動キーを廻す

高出力のマセラッティのエンジンが、軽やかに動き出す

うん行こう

寧さんの手は緊張しているのか少し冷たかった

オレはこれから

寧さんの処女を奪うんだ

出すよ

マセラッティが、大地を蹴って荒々しく駆け出して行く

寒いです体調悪いです

次話から吉田家で寧さんとのエッチとなります

346.車の色は空の色

午前中の街を疾走する、青いマセラッティ

空は快晴ゴールデンウイークも中盤

街には、緊張感の緩んだ連休の雰囲気が漂っている

マルゴさんが、車内に音楽を流す

穏やかでゆったりとした美しい女性の英語の歌が聞こえる

あこれ、あたし好き

何て歌なんです

ブラジル

寧さんは、オレにニコッと微笑む

BRAZILっていうタイトルの映画があってねその中の夢の場面で流れる歌なんだよこれはケイト・ブッシュが歌っているバージョンなんだけれどね

BRAZILは、原題で日本では未来世紀ブラジルっていうんだよ

寧さんも教えてくれる

もちろんオレは知らない

やっぱりいいよねケイト・ブッシュはあたし大好き

うんケイト・ブッシュに嵐が丘っていう歌があってねあたしは、曲も歌詞も大好きなんだけれど、日本では長いことバラエティ番組のオープニングに使われちゃっててたんだってそれでお笑いのイメージが付いちゃって、頭に来るんだよね

寧さんが、そんなことを話し出す

日本に戻って来て、高校に入ったばかりの頃にさあたし、合唱部だったでしょ友達ができて、その子にあたし、この曲が好きなのって言って嵐が丘を聞いて貰ったら笑われたのよすっごい、ショックだったな

寧さんにも、そんな時期があったんだ

すぐに白坂創介の配下の男教師に眼を付けられて寧さんは、金髪不良少女路線になる

マルゴさんとペアで、身を守る代わりに校内の友人を失う

みんな悪い子じゃなかったけれどあたしと仲良くしていて眼を付けられたら、あの人たちに娼婦に堕とされたかもしれないしね

オレたちの高校は、長いこと黒い森の娼婦の供給源になっていた

今のところ、岩倉会長が最後の娼婦ということになっているけれど

あたしは、シザーリオ・ヴァイオラのこともあったし日本に来てからも、ずっとお屋敷の中での娼婦たちの生活を見てきたしセックスって、あんまり良いイメージが無かったんだよね本当、ごく最近あなたが来てからだよセックスって、優しくて楽しい行為なのかもしれないって思えてきたのは

寧さんはオレをあなたと呼んだ

マルゴさんの前でもケイとは呼んでくれないんだ

それってオレが、みすずや克子姉とセックスしているのを見てからですか

ううん最初の雪乃さんのレイプの時から感じていたよあなた白坂創介のレイプとは、全然違う雰囲気だったから

そう白坂創介が、女の子をレイプする時は、薄ら笑いを浮かべて楽しそうなのよそして気持ち悪い自分勝手で、女の子の身体と心を痛めつけることしかしないから

レイプって、そういうものだろう

男の性欲を女に叩き付けるだけだから

でもあなたの雪乃さんのレイプは最初の時から、感じが違ったよあなたは真剣で、カメラ越しに見ているだけでも痛々しかった悲しそうで雪乃さんの身体に、心の底から縋り付いているみたいで

オレそんなんでした

ていうか君のセックスは、いつもそうだよ誰が相手でも

運転席から、マルゴさんが言う

自分の心の中の虚無感を埋めようとしているのと同時に相手の心の中の寂しさも、埋めてあげようと必死で頑張るから痛々しさと、いじましさを感じるよね本当、面白い子だよ君は

恭子さんが驚いていたよ君のことを

オレのことを驚いていたってマルゴさん

いや、恭子さんには、途中の経過をあたしが逐一報告していたんだけどねそれでも、実際にあたしたちを見て、驚いていたあれだけ不安定だったミナホや克子さんの心が安定しているし渚さんや、寧や、あたしまでもね

マルゴさんもってマルゴさんは、オレが最初に会った時から、どっしり落ち着いてたじゃないですか

君には、そう見えるの違うよあたしだってみんなと同じで不安定だよただ寧の方が、不安定さが際立っていたから、気が付かなかっただけなんじゃないかな

そうだよこの人、結構、気分屋さんなんだから

寧さんは、マルちゃんという呼称も使わない

やっぱり、今この車の中に居る人は寧さんと寧子さんの間の人

人格が固定されていない

恭子さんは、あたしたちだけを残してオーストラリアに行くのをかなり心配していたんだよでも向こうで、白坂創介を捕獲するのは、恭子さんに任せるしか無かったしミナホが、かなり計画の実行を急いだからね

連休明けに、メグちゃんが白坂創介に娼婦に堕とされる予定だったろミナホは、それを何としても防ぎたかったんだだから、このタイミングで慌てて復讐計画をスタートするしかなかった

ミナホ姉さんにとって、メグは世話になった娼婦の先輩の忘れ形見だ

絶対にメグを白坂創介の娼婦にさせたくは無かったんだ

恭子さんやあたしは、渚さんの時のことで、とっても後悔しているからね

渚の時

渚さんが、無理矢理妊娠させられて真緒ちゃんを生むことになった時あの時は、恭子さんがお屋敷に居なかったんだどうしても所属組織のマランドロの仕事で日本を離れなくてはいけなくて恭子さんが居ないから、白坂創介が無茶をやったんだよだけどあたしもミナホも、まだ力が無くて、あの男の暴虐を止められなかったあたしたちにとっては、辛い思い出さ

真緒ちゃんが3歳だから渚の妊娠は、4年前

マルゴさんは15歳で、アメリカから日本に来たばかり

ミナホ姉さんも、まだ黒い森の運営を掌握してはいなかった時期か

白坂創介がヤクザ組織と接近していたしこのままじゃ、黒い森と関係無く、メグちゃんが拉致監禁されるのは時間の問題だったからねだから慌てて白坂創介に顧客リストの情報をリークして

オーストラリアに誘き出したのか

日本国内じゃあの時に白坂創介とツルんでいたヤクザ組織と全面戦争になる恐れがあったからねあたしたちには、そこまでの戦闘力は無いし白坂創介とヤクザを分断するためには、海外へ連れ出す必要があったんだそれに、そっちの方が恭子さんは自由に行動できるしね

国際派の恭子さんからすれば日本国内の方が動きづらいのだろう

であたしたちだけで大丈夫かと、ずっと心配してくれていたんだよあたしは毎日、定期的に連絡していたからよく知っているんだけれどあたしたちって、本当にメンタルの弱い人間ばかりだから

そんなことありませんよマルゴさんだって、ミナホ姉さんだって、克子姉だって、渚だって年長組の人たちは、みんなしっかりしているじゃないですかいつも、オレや年少組の人間は助けて貰うばかりで

そうじゃないそうじゃないんだよそれはさ

マルゴさんはまっすぐに正面を見たまま、言う

君のおかげなんだよ全部

いや、オレは何もしていませんよ

君の存在があるからあたしたちは、自分を律していられるんだよ君の信頼を損ねたくないから君にとっての、良きお姉さんでいたいから

オレのお姉さん

みんな必死だよでも、無理はしていないみんな楽しんでいるんだ君のお姉さんでいることを君が、あたしたちを信じてくれているからあたしたちは、生まれて初めて自分自身を許すことができたと思う自分自身を好きになれた君のお姉さんになろうと頑張っている自分をね

オレにはよく判りません

寧さんが、オレの手を取る

自分では判らないことかもしれないねでもあなたが、あたしたちを良い方向に変えてくれたことは確かだよ

あたしたちだけじゃないよ年少組の子らみすずさんや、メグちゃん、マナちゃん、美智ちゃんだって、君と触れ合うことでどんどん成長している麗華お姉さんや関さんですら

さっき恭子さんが、麗華お姉さんのことを叱ったでしょ

あんなこと珍しいんだよ恭子さん、よっぽど見込みのある相手でないと人を叱ったりしない人だから

うんたいていは茶化して、笑い話にするだけだよあんなに真剣に叱ってあげている恭子さん、あたしは初めて見た

恭子さんは、頭が良すぎる人だから怒るなんて、体力の消耗になるだけのことはしないんだよすぐに、対応策を思い付いちゃうから怒る前に次の行動に出ているさっきの警察官みたいに、脅しが利く相手ならためらわずに脅すし話の判らない、どうしようも無い馬鹿相手には、速攻で実力行使するし

頭が良い上に、メチャクチャ強いわけだから

怒ることに時間を取られる前に、相手を力で排除するのか

麗華お姉さんの中に残っていた余計なプライドを完全に壊したものね

男装していた頃の麗華お姉さんて、傷つきやすい心とプライドを、あの外見で徹底的に隠していたわけじゃないそれが今、心のヨロイが全部剥がれたわけだからさ

うんあたしたちに心を開いて丸裸になってくれたものね今日は、渚さんのお店に行かせたの正解だと思うよ

そうだよ今の麗華お姉さん丸裸過ぎて、警護人の仕事はできないもの一日、たっぷり渚さんや真緒ちゃんたちと家族の雰囲気に馴染んだ方が良いって

自分の護るべきものが判ったら麗華お姉さんは、もの凄く強くなると思うよ

いや、本当にさ君が起きてくる前に、恭子さんが言っていたんだよあたしたちが精神的に安定していたことも驚いたけれど君が連れて来る人たちが、みんな良い資質の人ばかりだって

いや、オレが別に連れてきているわけではないですよ

そうかなあたしは、君がキーマンだって思っているけれど

そうだよあなたがいなかったらみすずさんも、美智さんも、マナさんも、麗華お姉さんも家族にはなっていないわよ

やっぱり寧さんの言葉にちゃん付けは無い

まさかの香月さんまでが、家族入りしてくれたしね

それはオレも驚いた

ホント、君の能力は驚異的だって、恭子さんが言っていたよ

いや、オレなんて

みんなに引っ張られているだけで何の役にも立っていないのに

君は恭子さんのこと、ちょっと苦手

うんとそうですねまだ、ちょっとどういう人なんだか、よく判らないですから

恭子さんはね黒い森のあたしたちのお父さんなんだよっ

女性なのに、お父さん役だからあなたには、判りづらいんだと思う

そうだね恭子さんは男役だから

ああレズとしても

女性的な感性と、男性的な思考がゴッチャになっている人だからだから、普通にあの人の言動を理解するのは難しいんだと思うこの人は、みんなのお父さんなんだって割り切ると、とっても判りやすくなるんだけど

そうかオレが、恭子さんに感じる違和感はそれが原因か

黒い森の一番上のお姉さんて、感じではないもんな

ミナホ姉さんは、まちがいなく一番年上の姉だけれど

恭子さんはお父さんか

そのお父さんが、ちゃんとあなたの存在を認めてくれたのよあたしたちに、必要不可欠な弟だって

寧さんがニコニコして、オレに言う

他にも、恭子さんが君のことを褒めていたよ特に雪乃さんのことを家族にしないで、ちゃんとラインを引いて区別していることだね

あの子だけはどうしようも無いものね

寧さんにとっても雪乃の評価は、低いらしい

普通の男だとさそれでも、一緒に居るとだんだん情にほだされてくるから、雪乃さんみたいな子だって、仕方無く身内にしようって言い出したりするんだけど君の場合は、ちゃんと明確に区別している

雪乃さんが、絶対にあたしたちの身内にはならない気を許すことはできない女の子だってこと、判っているんだよねそういうことがキッチリできるのは、男の人としては珍しいし、優秀だって恭子さんが、君のことを褒めていたよ

オレは判っているだけです雪乃とは、解り合えないってこと

三次元における2本の直線の関係だね

数学的にはね三次元世界では、2本の直線には4種類の関係が考えられる1つめは、完全に重なる、2つめは平行に伸びていく、3つめは一点だけ交わる、4つめはねじれの位置絶対に交差しない

人間の人生を一本の直線だと考えたらちょっと面白いだろ誰かの人生と自分の人生が完全に重なることは、なかなかないよね平行なら、お互いの姿をずっと見ていられるだろう一点だけ交わって、そのまま離れて行く人生もある平行だと思っていても、実はほんの少しだけ角度が付いていてしだいに遠ざかって行くねじれの関係の人生なのかもしれないし

人と人の人生の巡り会いは、様々だ

オレと雪乃は本当なら、最初から最後まで交わることのないねじれの関係だったんですそれがたまたま偶然で、今、一点だけ交わることになりましたでも、この先は次第に遠ざかっていくしかない

オレたちの人生は重なることも、平行になることも無い

一度交われば後は別れるだけだ

さよならだけが、人生だか

マルゴさんが、溜息を吐く

昔、そういうことを言った人がいるんだよ人との出会いは毎日、意識していなくてもどんどん起きているからねだから、人間が意識できるのは別れの方ばかりだってこと

そっか別れることを前提にしているから、あなたは雪乃さんに優しいんだ

あたしとはどう

やっぱり、いつかは別れていく人だと思っている

別れたくないよずっとずっと一緒に居たい

あたしもだよ

だから、一緒にいよう一緒に居て下さい

それは、あたしがあなたにお願いすることだよ

寧さんが、オレの手にキスをする

あたし離れたくない死が2人を分かつ時まで

やがて車は、オレたちの住む街に到着する

あ、コンビニか何かで停めて下さいうち、飲み物とか何も無いですから

あの家には、しばらく帰っていないし

お茶の葉とか、紅茶のパックとかも無いんです家、お客さんとか来たこと無いんで

お父さんやお母さんは、お茶飲まないの

あ知らないです

知らない

親父や母親の住んでいるゾーンには、オレ、立ち入り禁止なんで

え、お台所は一緒でしょ

うんとバァちゃんが死んでから、2人ともずっと外食で家では食事しないんで2人とも自分の部屋に冷蔵庫とか持っているんじゃないですかね部屋の中、見たことないから判らないですけれど

じゃあ、お台所はあなた1人で使っているの

水道とコンロは借ります鍋も、アルミのやつ、自分用のを一つ持っていますからでも、それ以外は、オレは使用禁止なんで

使用禁止

台所の冷蔵庫は、使ってないからもったいないってんで、コンセントを抜かれているんで使えないんです食器棚とかは、全部、鍵が掛かっていますんでオレは、百均で買った自分用のコップとお皿とお箸をずっと使っています

だって、冷蔵庫が使えないと困るじゃない

寧さんが、驚異の眼でオレを見る

困らないですよこの春から1ヶ月、家で1人で暮らしてきましたけれど食事は、ほとんどパンかカップ麺なわけですし水道の水、飲み放題ですしたまには、お湯にして飲んだりもしています

だけどジュースとか買ったら、冷やすでしょ

買わないですから飲み物に、100円とか120円とか払えないですよオレ、お金は節約しないと生きて行かれないって思っていましたから

オレの身体を寧さんが、ギュッと抱き締める

そうだったあなたは、そういう子だったんだよね

そこに大きなドラッグストアがあるから寄っていくよ

マルゴさんが、車を停めてくれた

へえ、薬局なのに飲み物も豊富に売っているんだ

あたしは、それ人工甘味料と刺激物の入っているものは避けているから

マルゴさんはそう言って、麦茶のボトルを取る

あたし、そこの紅茶でいい冷えても美味しいものでないとね

寧さんは、ストレートティを選ぶと、店の奥へ行く

ごめん、あたし他に買い物があるから

何を買うんだろう

オレはミネラルウォーターのボトルを取った

それがいいの

ええ安いし、温くても飲めますし、水道水より美味しいですから

よく水道の水なんて飲めるよね日本は水が良いけれど、東京の水だけは例外だからね

他は違うんですか

外国じゃ、水道の水なんて飲んだら病気になる国も多いよシャワー浴びる時ですら、しっかり眼を瞑っていないと、眼にバイ菌の入る国もあるしね

日本は東京から離れたら、水道水だって美味しい所も多いよとにかく、東京の水道水は酷い

オレは他の場所の水の味は知らないな

さて、そのボトル、先に買って車の中で待っていよう

え、寧さんを待っていてあげた方がいいんじゃないんですか

男の子はね女の子の薬局での買い物は、見ないであげた方がいいんだよ

あ、うん

薬局って、色々とプライベートに関わる物が売っているもんな

特に女性にとって

そうですね判りました

寧先に外で待っているよ

マルゴさんが、店の奥の寧さんに声を掛ける

うんっすぐ行くから、ちょつと待っていてね

お待たせぇ

寧さんが小さなビニール袋を下げて、車の中に入って来る

何を買ったのかは聞かない方がいいな

カー・コンポも再始動する

ビョーンという音の後さっきとは違う、日本語の歌が流れる

何だフォークソングか

これ、誰の曲

あたしもよく知らないんだ昔の日本のバンドらしいけれど克子さんが貸してくれたんだよ

ふーん、面白い歌だね何て言うタイトル

花・太陽・雨だってさ

ゆるやかな音楽に包まれてマセラッティは、オレの家へと向かう

そこの角を曲がって下さい3軒先が、オレの家です

帰って来た

しばらくぶりに

最後に家を出てから、何日経つんだろうか

あの頃オレはまだ童貞だった

あれから、まだ1週間も経っていないのに

何十年も経過したみたいな気がする

はい、到着

家の前にマルゴさんは、車を停める

じゃあ、2人行っておいで

あたしは、ここで待っているよ

あたしのロスト・ヴァージン見てくれないの

寧君は、もうあたしから自立するべきだよ

寧さんがハッと息を呑む

アメリカで出会ってからあたしたちは、ずっと寧のことを1人にしないようにしてきたあたしか、恭子さんか、ミナホか、克子さんが常に、寧の近くに居るようにしてきたみんな、ずっと心配だったんだよ寧のことが

心が不安定な寧さんのために

常に誰かが、側に居た

そうやって、いつも寧の近くに誰かがいたわけだけれどその代わり、寧はあたしたちに何一つ秘密を作れなかったよね

秘密

マルゴさんが寧さんを見る眼はとても優しい

君たちには君たち2人だけの秘密が必要なんだと思う

マルゴさんは、オレのことも見る

君もそうこれまでずっと、君のセックスは誰かに監視され続けてきたからねそろそろそういう状況から脱するべきだよ

誰にも見られないで

オレと寧さんは、二人きりで

セックスをする

大人になるということは、秘密を持つことだよさあ

ニャッとマルゴさんは、微笑む

2人で、秘密を作っておいで

これはネット小説なので、興味を持たれた方がすぐに検索できるようなネタを色々とブチ込んでいます

ケイト・ブッシュはガンダムの登場人物では無く、実在の歌手です

さなならだけが人生だは、寺山修司の言葉です

花・太陽・雨は、帰って来たウルトラマンで流れていましたね

詳しく書きたいのですがもう仕事に行きます

347.空気の澱んだ部屋

マルゴさんが、オレにカメラを手渡す

黒い森では、初めてのセックスの時は記録するのがルールだけれど君と寧は、好きにしてくれていいよ撮っても、撮らなくてもいいし撮った写真は、あたしたちに見せなくていいから

本当にいいの

寧さんが、マルゴさんを見る

言ったろ寧には秘密が必要だって

この道に停車しておくには、この車は派手過ぎるねあたしは、近くに居るよ確か、そっちの通りにファミレスがあったから全部終わったら、携帯で呼んですぐに迎えに来るあ急がなくてててからねゆっくり3時間ぐらいは、時間を掛けていいよ

3時間寧さんと二人きり

さあ行っておいで

オレと寧さんが、車から降りると

マルゴさんは、すぐにマセラッティを発進させる

オレたちに微笑んだまま

二人だけで取り残される、オレたち

さあ、行こうかケイ

二人きりになった途端寧さんは、オレをケイと呼ぶ

うんお姉ちゃん

オレも寧さんに合わせて、呼び方を変える

うわっすっごいねジャングルみたい

オレの家の庭を見て寧さんが言った

うちの庭は、バァちゃんが死んでから誰も手入れしていないから

樹は茂りまくり、草は生えまくりの大変なことになっている

一応、玄関まで敷石のところは草が生えていないから通り抜けられるが

まあ、外から見たらグッチャグチャだな

住人のダメさ加減がよく判る

うちは親父も母親も、誰も家に呼んだりしませんからここは夜、寝に帰るだけの家だから家の手入れとか、誰もしないんです

オレも、今年の春まで中学は寮生活だったし

この家に帰って来てからも、庭をどうにかしようとは思わなかった

というか勝手に何かしたら、母親に叱責されることになるし

とにかく中に入ろうよ

オレは鉄の門を開けて中に入る

母親の車がいつも停められていた、駐車場は空いている

まああの人は、もう実家から戻って来ないつもりだろうから

ジャングル庭を抜けて玄関へ

あ、この入り口は母親専用なんでオレと親父は、勝手口からでないと入っちゃいけないことになっているから

よく判らないよオレが子供の頃から、そういうルールだから

ケイは、玄関から家に入ったこと一度も無いの

うん記憶には無いなあ

寧さんを連れて、家の外を廻り込む

ここはコンクリートが敷き詰められているから、ジャングル化はしていない

勝手口のドアの前に出る

オレは勝手口の脇に、無造作に積まれたコンクリート・ブロックを持ち上げる

確か、上から三つ目のブロックの隙間に

うんあった

キャンディの入っていた、小さな金属の箱が出て来る

錆びの浮いた箱を開けると鈍く光る鍵が出て来る

勝手口の鍵は、オレが小学生の頃からここに隠してある

オレはドアに鍵を差し込む

中へ入る

空気が澱んでいる

しばらく、家に帰っていなかったから

この家は元から、空気が澱んでいる

この家から離れてみて克子姉によって、ちゃんと生活感が保たれたお屋敷での生活を知って

吉田家の異常性に、オレは初めて気が付いた

この家はダメだ腐っている

娼婦たちの館よりも生命感に欠けている

家の中が、オレが最後に出掛けた時のままなら

どうしたの中、入らないの

不思議そうに、寧さんがオレを見る

あのちょっと待ってて貰える

いやちょっと、中を掃除してくるから

やだっ

お掃除なら、お姉ちゃんと一緒にしよう

でも何て言うか

恥ずかしいの

恥ずかしいというかオレのこと、嫌いになっちゃうと思う

うん多分

ならないよ嫌いになんて

でも、本当に汚いままですから

寧さんは、笑って

平気だよ

そして、言った

あたしケイのことは、何でも知りたいから

勝手口から家の中へ

うん、埃っぽいな

こんなだったんだオレの家

オレは急いで、台所のゴミをチェックする

ゴミ入れにはパンの袋とかしか入っていないし、カップ麺の容器も水で洗ってあるから

悪臭は発生していない

まあ生ゴミの元になるような、肉や野菜は買わないからなあ

オレ一人だけの生活だったし

冷蔵庫、使用禁止だし

ここが台所で隣が、居間です居間って言ってもオレの寝起きしていたソファがあるだけで、他は何も無いんだけれど

家族は来なかったの居間には

うん親父も母親も自宅には居る時は、自分の部屋に入ったきりだったしそれでも親父は、コーヒーとかを煎れにたまに台所に来たりはしたけれど2階の母親の部屋には、全部揃っているらしいから

揃っている

キッチンも、風呂場もトイレも母親専用のがあるらしいんです中へ入ったことがないから、よく知らないんですけれど

とにかく、同じ家の中に居ても、姿を見掛けないから

母親の部屋には、何でもあると思うべきなんだろう

親父の方は風呂やトイレに1階に降りて来るものなあ

オレ1階のことしか知らないから2階へは、上がっちゃいけないって言われてきたし

ね、見に行ってみない2階

無理ですよ鍵掛かってますから

はい、母親はとても疑り深い性格なんでとにかく、この家は家中鍵だらけだから

オレは、台所の食器棚を示す

この食器棚にあるお皿やカップは全部、母親専用なんだオレや親父は、使うことは許されてないんだよ

食器棚には全て、大きな南京錠で扉が開かないように施錠されている

この台所と隣の居間と1階のトイレと風呂場くらいかな母親が鍵を掛けていないのは後の部屋は、全部母親の持ち物で埋まっているから全部の部屋に鍵が掛かっているよ玄関の下駄箱とかもねあそこには、母親の靴しかないから

あなたやお父様の靴は

寧さんが、呆れ顔で尋ねた

オレの靴は、そこの勝手口に脱ぐことになっているまあ、通学用の靴だけだから親父は、毎回、コンビニのビニール袋に靴を入れて自分の部屋まで持って行ってた

玄関そのものが母親専用なんだからそうするしか無い

オレが居ていいのは、鍵の掛かっていない部屋だけなんだよつまり、台所と居間だけ玄関に出る廊下も、基本的にはダメなんだよね

子供の頃から、ずーっとそうなの

いや小学校の頃には、オレの部屋もバァちゃんの部屋が1階にあったんだけれど中学の寮生活から戻って来たら、なくなっていた

なくなっていた

うん鍵が掛けられていて母親の新しい荷物置き場になっちゃったらしい

詳しくは知らない

親父も母親も何もオレには言わないし

でも鍵が掛かっているということは、立ち入り禁止ってことなわけだし

いいも悪いもここはオレの生まれ育った家だけれどオレの持ち物ではないから仕方無いよ

オレは部屋の澱んだ空気が、息苦しくなる

窓を開けて、換気した

うわこの窓、とんでもなく汚れているな

最後に大掃除したのは、バァちゃんが生きてた頃だものな

家じゃないわねここは

こんなの家じゃないわよ

ケイは、そう思わない

うんと

オレここしか知らないから

他の家のことはよく判らない

黒森のお屋敷は、普通の家とは違うだろうし

そうだったねごめん

寧さんが、背中からオレを抱き締める

あたし全然判ってなかった

あたしはヴァイオラにケイちゃんと拉致される前は、幸せだったものパパもママも優しくて良い人だったあたしの家は家だったあたしには、ちゃんとそういう幸せな記憶があるのに自分は可哀想な人間だって、思い込んでた周りの人たちに甘えていたんだねあたし

お姉ちゃんはいっぱい悲しい思いをしたんだから、甘えていいんだよ

じゃあ、ケイはあたしに甘えて

寧さんの豊かな胸が、オレの背中にギュッと押しつけられる

ケイだって悲しい思いをたくさんしてきたのに自分が可哀想だってことすら、気付かせて貰えなかったんだから

オレは、別に可哀想なんかじゃないですよ

オレにはこうやって、寝起きする場所があったしご飯だって、何とか食べられたし

でもケイは、ずっと一人ぼっちだったんじゃないお父さんやお母さんに、無視されていて

ずっとじゃないですバァちゃんが居た頃もあるし

オレは、寧さんに振り向く

今は、お姉ちゃんやみんなも居てくれるから

寧さんは、オレを力強く抱いてくれた

それから居間の方へ行く

台所から廊下を出て、最初の部屋だ

廊下もこうやって見ると、埃が凄いな

親父が失踪していなくなる前は親父自身で掃除機を掛けていたんだろうか

母親がやるわけないからそうなんだろうな

ホントに他の部屋には、鍵が掛かっているんだね

寧さんが、廊下の他の部屋のドアを見てそう言う

各部屋のドア後付けで取り付けられた鍵に、でっかい南京錠で封印されている

ドアの入り口には、冬物とコート類とかバッグ類とか張り紙が貼ってある

この部屋がそれぞれ母親の荷物で埋まっているんですあの人、買い物キチガイで絶対に自分の物は捨てないですから、溜まる一方で

あの部屋は何

寧さんが指差した部屋のドアには

いらないものと書かれていた

だから捨てないんですよ買った物は、全部

あの人はそういう女だ

居間に入る

据えた匂いがする

やっぱりダメちょっと待って

止めて遅い

寧さんが、入って来てしまう

うわっ何の匂い、これ

あのこの家から出掛けた前の晩に、オレ、一人エッチしてそのままだったんで

居間の床に、使用済みのティッシュが落ちている

えっ、一晩だけでこんなにティッシュを使うの

オレの寝床のソファの周りは

使い終わった後のティッシュが、散乱していた

いえ親父がいなくなっちゃって家の中に一人きりになっちろゃってから、オレ、ちょっと自暴自棄で一人エッチばかりしていたから

全然掃除していなかったんだ

はい済みません

オレは、慌ててゴミ袋を引っ掴んで落ちているティッシュを拾って捨てる

あたしも手伝うよ

寧さんはそう言って床に手を伸ばす

いいですよ汚いですから

いいから、いいから

寧さんは、そう言ってオレの精液の臭う紙くずを、拾って捨ててくれた

掃除機も掛けようこの部屋も、埃っぽいから

寧さんは、窓を開けて部屋の据えた匂いを外に出す

オレは、掃除機を抱えてきてガーガーと床とソファの周りを掃除した

いや、あのオレ、本当に一人エッチばかりしていたんです入学式からずっと

親父が失踪したのが、入学式の当日だ

それから約一ヶ月

オレはこの部屋の中でオナニーばかりしていた

うん、このティッシュの量は、ちょっとやりすぎだね

ゴミ袋を見て、寧さんがそう言う

もうしちゃダメだよこういうのはさ

ケイのセックスの相手はあたしたちが、するんだから

ケイこの部屋で、自分がセックスすることって、想像したことある

無いよこの家には誰も呼んではいけないって、ずっと言われて来たから

小学校の頃でも

オレが暮らすの友達の家に遊びに行くことはあっても

家に誰かを呼んだことはない

それなのにケイここで、あたしのヴァージンを破るんだ

寧さんが、掃除したソファに腰掛ける

ボロボロのソファの表面を、撫でるように触る

ここがケイのベッドだったんだね

ちょっと狭くないこれじゃあ、身体を伸ばして寝られないでしょう

だから、丸まって寝るんだよ猫みたいに

寧さんの魅力的な肉体がオレがいつも寝起きしているソファに横たわる

そして、寧さんはソファの横の段ボール箱に気が付いた

この箱は

あ、それはオレの私物入れオレの持ち物が全部入っているんだ

寧さんは箱の上に乗せられていた写真に気付く

それは入学記念のクラスの集合写真

ふふーん、この位置にこの写真があったってことは

寧さんが写真をジッと見る

もしかしてケイこの写真に映っている雪乃さんを見て、一人エッチしていたの

ドキリとする

そ、そうだよ

それがオレのオナニーのネタだった

この部屋で最後に過ごした夜もオレは、雪乃でオナニーした

それは、雪乃を実際にレイプする前の晩だった

こんな小さく映っている雪乃さんでも興奮したの

したよあの時は

オレはまだ、童貞だったし

寧さんが、意地悪そうな眼でオレを見る

見せて

ケイが自分でするところ見てみたいの

あたしを見ながらしてみて

そして、寧さんは

ソファの上で、大きく開脚する

寧さんの白い下着が見える

ケイの頭の中から雪乃さんの記憶、全部フッ飛ばしてあげるんだから

寧さん、もしかして

オレが、雪乃をネタにオナニーしていたことに

嫉妬している

ケイの恥ずかしいところは、全部あたしに見せてっ

いい全部だからねっ

昨日書いた、後書きに間違いがありました

さなならだけが人生だは、井伏鱒二先生の文だそうです

寺山修司の言葉は、それを受けたさよならだけが人生ならばで歌にもなっているらしいです

寺山修司のこと

演劇の裏方の仕事をしている頃生前の寺山を知っている先生に何人も会いました

驚いたのはどの人も、寺山修司のことを悪く言わないんです

一人だけでも、寺山さんは本質的には田舎者だったと思うと言った演出家の先生もいらっしゃいましたがそれでも懐かしそうに、寺山との思い出を話されるのです

そのうちの一人の先生の言葉

寺山さんは凄いんだよ若い子たちに会って、その子の才能を見抜くんだよ君は編集者に向いていると言われた子は本当に編集者になったし君は写真家になるべきだと言われた子もプロの写真家になったんだ

当時は、へぇと思って聞いていましたが

後に、寺山氏に見出された人たちの文章を読んでみると

寺山氏が、才能があると感じた子には、次々と仕事を依頼したり自分の人脈を紹介しているんですね

写真家志望の子に、自分の本の写真を頼んだり

ただ予言するだけじゃなくて本当に、面倒見の良い人だったから、見出された人がプロになっていたわけです

そういう人だったからこそ生前の寺山氏を知っている人からは、悪口が出て来ないのだと思います

さて今度は母が入院しました

元から、ぜんそく持ちなので

いやはや今年は大変です

では仕事に行きます

348.ブルー&ブロンド

あ、待ってその前に、今、お掃除したから手を洗いに行こうっ

寧さんは、元気に立ち上がる

ほらっ早くおいでっ

二人で洗面所に向かう

あ、ここの鏡も全然磨いていないでしょ曇っているよ

ええっと家の鏡なんて、顔が映ればいいと思っていた

確かに、鏡の端の方は長年の汚れで曇っている

ケイ雑巾とかある

えっとこれとか

オレは、洗面所の脇にあった雑巾を取るが

そんなの汚すぎてもう雑巾じゃないよっ捨てなさいっての

確かにもう真っ黒だし、ずっと干したまんまでパリッパリッに固まっているし、埃が積もっている

じゃあ、取って来ますオレが使っていいタオルって、決まっているんで

そういうのは、もういいからっ一番手近にあるタオルは

オレは洗面所内を見渡す

あ親父のタオルだよな、あれ

あるじゃない

寧さんは、そのタオルを取り上げた

いや、それはあの親父のだから

失踪した人のタオルのことなんて、心配しなくて良いのっ

寧さんは、そのタオルを蛇口の水で濡らし

絞って、鏡を拭く

どうせ、鏡とかガラスとかを磨く用のスプレーなんて無いよね

あ、ここに何かありますけれど

洗面台の下に、幾つか洗剤類が並んでいる

ガラス磨きもあった様な

全部埃被っているじゃないいつからそこにあるの

オレが小学校低学年の頃には、もうここに並んで居たような記憶が

うちでガラス掃除用のスプレーを買って来てくれる人なんて

バァちゃんしか考えられないもんな

この家の生活感は、バァちゃんの死とともに停まっている

そうだと思った

もう、いいよ力入れて、ゴシゴシ拭くから

あ、オレも手伝います

鏡を濡れタオルで拭く寧さんの手にオレは、自分の手を重ねる

うんケイ、力を込めてねいっくよおっ

ゴシゴシ

キュキュキュ

タオルの面を変えて、何度も拭いていく

年々も掛けて張り付いた汚れが消えて行く

ほらっ、鏡は綺麗な方が気持ちいいでしょ

うんピカピカの鏡の中に寧さんの明るい顔が映っている

さあ、手を洗おうっ

ね、このボロボロの何年前のセッケン

洗面所のセッケンはちびたのが幾つも合体して、へなっと萎びていた

あ済みません普段は、洗面所で手を洗う習慣とか無いから

オレは洗面所から風呂場に入って、セッケンを取ってくる

こっちのセッケンは大丈夫

ダメだよ、ケイ外から帰ってきたら、必ずセッケンで手を洗いなさいお姉ちゃんと、約束だからねっ

どうしたの、ケイ

いや昔、バァちゃんにも、ここで同じことを言われたなって思って

オレにとっての家族はバァちゃんだけだったんだな

親父も母親も血は繋がっていても、家族じゃなかったんだ

当たり前よ家族なら、そう言ってくれるものよあたしも死んだママに、よく言われたわ子供の頃に

寧さんは、ニコッと笑ってそう言った

さあ、手を出しなさいお姉ちゃんが洗ってあげるからちゃんと清潔にしていないと、女の子にもてないわよっ

寧さんが洗ってくれる

寧さんは、まず自分の濡らした手の中でセッケンを滑らせてシャボンを作る

それからオレの手を取って

長くて白い指がオレの手を洗っていく

ゾクゾクする

はい、指と指の間も綺麗にしましょうね

寧さんの指がオレの指の谷間を擦っていく

女の人に手を洗って貰うことって、こんなにエッチなことだったんだ

オレのすぐ横にいる寧さん

その美しい横顔

首筋に汗の玉が浮いている

大きな胸もこの角度からだと、形がはっきり判る

はーい、流しまーすっ

寧さんが泡だらけの手で、蛇口を捻り

流れ出した水にオレの手を浸す

水の冷たさにヒヤッとする

寧さんの手がオレの手の泡を丁寧に洗い落としていく

うん綺麗綺麗になったっ

お、お姉ちゃん

オレは、思わず寧さんを抱き締めてしまう

どうしたの興奮しちゃった

うふふ見て鏡の中で、ケイがあたしを抱き締めている

オレは鏡を見る

鏡の中の寧さんとオレ

あたし、ケイにキスしちゃおっ

寧さんが鏡を見たままオレの唇に自分の唇を重ねる

ぷっくりとした柔らかい唇

寧さんにキスされているオレをオレと寧さんが、見ている

ケイはあたしに全然似ていないねっ

そこがいいんだけれどねっ

どういう意味だ

あたしはケイちゃんのことが、怖かったんだと思う

あたしとケイちゃんは双子で同じ顔をしていたから

鏡の中の寧さんが、オレを抱き締めたまま言った

なのに、ケイちゃんは男の子でしかも、心が綺麗すぎたケイちゃんは、とっても敬虔なクリスチャンだったし優しい子だったから

そういう人がシザーリオ・ヴァイオラに陵辱され続けた

でも、あたしはあたしは、本当は悪い子なんだよねっ悪いことがしたくて、仕方がないの

そうだよあたしの本質は黒い森に来てから、先生や恭子さんが暴き出してくれたんだと思うあたしは、本質的にはとっても悪い子でしかも、悪いことをしてもいい悪いことをするのは、楽しいことなんだって

金髪で青いコンタクトの不良少女

マルゴさんと二人で、夜な夜な不良やチンピラを狩り続けた

ケイちゃんと一緒の頃はあたしも、ケイちゃんみたいにならないといけないって思っていたからケイちゃんの清らかさが、眼に眩しくてケイちゃんに、嫌われたくなくて

鏡越しに寧さんは、話し続ける

でも、あたしはケイちゃんじゃないんだね

ギュッと力を込めてオレを抱き締める

ケイちゃんみたいにならなくていいんだあたしは

お姉ちゃんはお姉ちゃんの好きに生きればいいんだよ

いいのあたし、本当に悪い子でいいのかな

今更だよオレたち犯罪組織の人間じゃないか

オレにはもう、覚悟はできている

この人と、生きていくことに

あたし、悪い子で悪い子で、本当に悪い子だからケイにきっと、たくさん迷惑掛けると思うよ

全然オッケーだよ大好きなお姉ちゃんと、ずっと一緒にいられるのなら

寧さんは、もう一度オレにキスをする

これからは、ずっと笑って過ごそうね楽しいことをいっぱいしよう

当たり前じゃんか

あはどうしたんだろ、あたし

いいんだよね、あたしケイにはあたしを何もかもさらけ出していいんだよねっ

何でも、ドンときやがれだよっ

ね、あたしコンタクト外すね

そう言って寧さんは眼から、ブルーのカラー・コンタクトを外し

洗面台の脇に乗せる

うふふケイって、こういう顔をしているんだね

冗談だってば度の入っていないレンズだもん、見え方は変わらないよただ、今までは世界がずっと青味がかって見えていたから

寧さんは、大きな眼でオレを見る

寧さんの本当の眼の色はダーク・ブラウン

うん眼の色が違うだけで、雰囲気が変わるね

金髪ブルー・アイだったころの華やかさからしっとりとした、大人の雰囲気に変わる

いや本当の寧さん、寧子さんは元々温和な人だったっけ

これがあたしだよっもっともっと、見て

そう言って、寧さんは

ブラウスの前のボタンを開けていく

黒いブラジャー

そのフロントホックを開ける

大きなおっぱいが、弾ける

ピンク色の乳首が揺れる

ケイ舐めて

オレは寧さんの乳首にむしゃぶりつく

舌で廻す様にねぶり転がす

あんっケイが、あたしのおっぱいペロペロしてるぅぅ

鏡の中に映る自分の姿を見て寧さんが呟く

あたし、あたしね

エッチなことケイとしたいのいっぱい

オレは手で大きな乳房を揉み上げながら、左右の乳首を吸う

エッチなことってさとっても、いけないことでしょ

寧さんの声が、耳元に響く

セックスをしたらとっても、悪い子になれるような気がするの

あたしをいけない子にしてねえ、ケイ

うんオレと二人で、悪いことをしようよ

背徳感と罪悪感を感じながら二人で愛し合いたい

あんっ本当に、ケイがケイちゃんに似ていなくて良かったケイはケイだあたしの

悪いこと仲間

パートナーだよ、一生の世界で一番大切な人愛してる愛しているよ、ケイ

弟が好きなんてヘンタイなお姉ちゃんでゴメンね

オレもヘンタイだよお姉ちゃんが大好きなんだもの

鏡の前でオレたちは、お互いの身体をまさぐり合う

オチンチン出して

さっき約束したでしょあたし、ケイが自分で触っているところ、見たい

ズボンのベルトを緩めペニスを露出させる

わもう大きくなっている

お姉ちゃんが、エッチなことばかり言うからだよ

さあ自分でしてみて

オレは自分で勃起をしごく

いつも、そうやっているの

鏡の中オナニーしているオレ

それを熱い眼で見ている寧さん

そうだよいつもこうやっている

雪乃さんのことを考えて

今は、お姉ちゃんのことしか考えられないよお姉ちゃん、オレの眼の前にいるんだもの

そうよ、ここにはあたししかいないのよ

寧さんが、オレの背後に廻り込み後ろからオレを抱く

オレの耳を、チロチロと舐めた

どうお姉ちゃんの前でオナニーして恥ずかしい

恥ずかしいよ

ケイのこんな姿お姉ちゃんにしか見せちゃダメだからね

みすずさんにも、恵美ちゃんにもマナちゃんや、美智さん、克子さんや渚さんにだって見せちゃダメよお姉ちゃんだけ

うんお姉ちゃんの前でしかオナニーは見せない

いい子ねケイ

寧さんの手がオレのペニスに近付く

お姉ちゃんが触ってあげる

白い指が亀頭に触れる

こうでいいのかな_

オレのオナニーを手本にして寧さんの指が動いていく

ケイ気持ちいい

気持ちいいよ、お姉ちゃん

見てみて鏡の中のケイ、気持ち良さそうだよっ

鏡の中のオレ

寧さんにしごかれて感じている

オレの後ろの寧さんも、おっぱい丸出しで興奮して、真っ赤な顔をしている

自分でするのと、あたしが触るのどっちが気持ちいい

お姉ちゃんの手の方が気持ちいいよ

そうなら、いつでもしてあげるからねして欲しくなったら、言うんだよ

あたしも言うから

ケイお姉ちゃんのアソコ、触って

オレは、寧さんの股間に指を這わす

服の上からグリグリと秘部を触る

ああんっ本当だ自分で触るよりも、気持ちいい

お互いの一番感度の高い部分をオレたちは、まさぐり合い続ける

寧さんの股間は温かい液が染み出している

ね、ケイ

なあに、お姉ちゃん

あっちの部屋に戻ろうケイのソファへ

オレのソファ

ケイのソファの上でもっともっと悪いことをしようケイと、いけないことがしたいの

オレだって

勃起は、もうビンビンになっている

二人で半裸のまま、居間に戻る

身体を寄り添って抱き合って、何度もキスしながら

ケイ、脱がせてあたしも、ケイのことを脱がせてあげるから

オレたちは、小鳥のようにキスを重ねながら

立ったままお互いの服を剥ぎ取っていく

生身の肌が外気に触れる

お姉ちゃんパンツ脱がすよ

ちょっと、恥ずかしいね

それがいいんでしょ

あんすっごい、悪いことしている気がする

オレは、寧さんの黒いパンティに手を掛けゆっくりと引き下ろす

お尻の山を越え白いふとももから、ふくらはぎ、細い足首へ

片足ずつ、パンティを抜く

寧さんの秘部は、とろとろと熱い液を滴らせている

ふとももまで濡れていた

ケイも脱がせてあげる

寧さんが半脱ぎ状態だったオレのパンツを足から抜く

ビンビンの勃起が、寧さんの前にある

可愛いねチュッ

寧さんが、ペニスの先にキスをした

可愛くないてすよ、こんなの

オレの勃起は、激しく怒張しているのだから

可愛いよ、ケイのだもの

お姉ちゃんのだよ

ううんこれはみんなの物独り占めはしないよあたしはみんなのお姉ちゃんだし、妹だから

寧さんは家族の中の自分をそう位置づける

でも今だけは、あたしが気持ち良くしてあげるのっ

そう言って、オレの前に膝立ちになったままペニスをしごき、亀頭を舐める

温かい舌が、亀頭の周りをぐるっと舐め上げた

あっ、それ気持ちいいよ

そうじゃあ、もっとやってあげるっ

寧さんは、オレを見上げて微笑んでくれた

また赤い舌の感触が亀頭を擦る

ねえ、ケイ写真撮ろうか

無理に撮らなくてもいいよオレとお姉ちゃんのエッチはオレたちだけが覚えていればいいんだから

無理じゃないよあたし、欲しいの今の姿を撮ってきたいケイにしか見せないからね

お姉ちゃんが、そう言うのなら

オレは、マルゴさんに手渡されたカメラを取り出す

寧さんは、オレからカメラを奪い

はい、ケイこっち向いて

オレを撮るの

あたし今のケイの姿を記録しておきたいの丸裸のケイをこれから、お姉ちゃんを大人の女にしてくれるケイの姿をね

そう言って寧さんはオレの写真を何枚も撮った

勃起している姿を写真に撮られるのは何だか気恥ずかしい

ケイはどうする今のあたしの裸、撮っておきたい

そう言われたら

撮っておきたいよ

寧さんが、オレにカメラを手渡す

オレは興奮して、すっかり肌の上気した寧さんの裸身を、カメラに収める

寧さんは、色々とポーズを撮ってくれた

はい、交代また、あたしがケイを撮るから

今度は、寧さんが色々とポーズに注文を付ける

自分で自分のペニスをしごいている姿も写真に撮られた

オレのペニスのアップから肛門まで

ほら、ケイも撮っていいよ

寧さんは、ソファに腰を下ろして開脚する

これからケイがメチャクチャにするところ見ておいて

オレはぴっちりと閉じた処女の秘裂を指で開く

愛液が湧き出ている泉

てらてらと輝く寧さんの内側

その奥にピンク色の処女膜が見える

お姉ちゃん、このまま拡げていて

寧さんが両手の指で、割れ目を開いている

オレは、その前人未踏の秘裂を写真に撮った

アップも

寧さんの巨乳や、顔もはっきり判る全身像も

何枚も、何枚も

オレの性欲が、オレの中でたぎっている

お姉ちゃん、オレ、もう

ケイ、我慢できないの

あたしこのままでいいの

さっき、ドラッグストアであたし、髪染めを買ってきたんだよ

髪染め

ほらケイに処女を捧げる時は、黒髪に戻すって約束していたでしょ前に

黒髪のお姉ちゃんとセックスしたいそれとも、このまま金髪のお姉ちゃんを犯す

お姉ちゃんは、ケイの好きな方でいいよあたしの処女は、ケイにあげるんだからううんお姉ちゃん、一生、ケイとしかセックスしないんだから

土日分は、ずっとエッチシーンになる予定です

さて、昨日、母が緊急入院しました

前から、ぜんそく持ちだったのですが

ここ数日で体調を崩したらしいです

病院で点滴を受けたら、楽になったらしいですが

父が一人で見舞いに行くというのですが

まず駅へ向かうという段階で、話が噛み合いません

えあそこの駅にそんな出口はないだろ

父よそれは昭和の頃の話だ

駅ビルが建ったのは、20年も前だぞ

ということで一緒に付いて行きました

昨日、銀行で金を下ろして、封筒に入れておいたんだがな帰宅したら、見つからないんだ

それ、まずいじゃないか

うん風呂に入る時にみつかった

どこにあったんだよ

ももひきと、パンツの間から出て来たズボンの尻ポケットにしまったつもりで、ズボンの中に突っ込んでしまっていたんだな

絶句

最近、よく物がなくなって困るさつきも、顔の半分だけヒゲ剃りをしたら、ヒゲ剃り機が行方不明になった

それでどうしたの

うん、もう半分は見つけてからやることになった

なったってまだ未定かよ

ということで、顔の半分だけ沿った状態で、母の病院へ

何だかなあ

母の方は、来週には退院できるし、心配はいらないらしいですが

父のボケッぷりは、日ごとに酷くなります

349.マイ・ラブ

ソファ上の寧さんが、真剣な眼でオレを見ている

金髪のままのあたしと、黒髪のあたしどっちがいい

お姉ちゃんの中では金髪と黒髪で、違いがあるの

寧さんは、うつむいて答える

金髪なのは寧で黒髪は寧子だよ

そうだよあたし

濡れた瞳が、オレを見つめる

あたしずっと、みんなを騙していた誤魔化していたんだ、あたし

ケイは、もう知っているでしょ奈島寧《ナトウ・ネイ》って言う女の子は、実際には存在しないの寧は、あたしがううん、恭子さんが作ってくれた人格であたしの恭子さんみたいな強い人になれたらいいなっていう憧れだけで演じていた人格で

演じていた

そうだよ演じていたお芝居だよ嘘なの全部、嘘この金髪もブルーのコンタクトも、演技に没入するためのメイクなんだよ本当のあたしとは、違うの

じゃあ、本当のお姉ちゃんはどんな人

本当のあたしは昔の寧子は、大人しくて暗くて、あんまり喋らない子でいつも、部屋の中で本を読んでいる子だったお友達も、ほとんどいなくて何かあると、ケイちゃんに守ってもらってばかりで

オレは寧さんに、微笑む

それは昔のお姉ちゃんでしょ今のお姉ちゃんとは違うよ

今のお姉ちゃんは、どんな人なの

寧さんは、深く考え込む

判らないそれが判らないのあたしはもう、奈島寧《ナトウ・ネイ》の演技を続けてはいけないそれは判っているのでも、昔の奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》に戻れるわけでもない今、昔の自分に戻ろうとすると昔の自分を演じるだけになるから昔のあたしだったら、こうしたはずだって

寧さんは、正直な心を吐露する

だから、ケイに決めて欲しいのあたし、ケイが好きなあたしになる何でも、ケイが悦ぶことをしてあげるケイの望むお姉ちゃんになるから

この人は、この人で必死なんだ

オレと、同じ様に

オレはお姉ちゃんとケイのロールプレイを一度ストップする

ソファの寧さんの隣に、座る

寧さんと裸の身体を寄せ合って

オレねこの何日かの体験で、学んだことがあるんです

オレは、横から寧さんを見つめる

寧さんも一度、ただの寧に戻る

寧さんの中でこんがらがった糸を解きほぐすためには

オレたちが出会った原点寧さんとヨッちゃんに戻るしかない

人はねずっと、同じままじゃいられないんです

変わっていくんです良くも悪くも生き続けている限り、人は変わっていくんですずっと、同じ場所で同じ人間のままではいられないんです

オレはたくさんの人たちが、変わっていく姿を見た

ミナホ姉さんが克子姉が渚が

メグがマナが

みすずが美智が

麗華や、関さんジッちゃんまでも

そして、何よりオレ自身が

生きている限り変わっていくことは止められないんです多分

オレには、実感がある

だから、寧さんオレにとっては、いつもオレの眼に前にいるのが、寧さんです前の寧さんに戻って欲しいとは思わないしオレの望み見通りの寧さんになって欲しいとも思いません寧さんは、いつだって寧さんですから

そうです寧さんは、いつもオレをドキドキさせてくれますいつだって、今現在のこの瞬間のあなたが最高に素敵なんです

でも今のあたしは、自分で自分がよく判らないんだよ

シザーリオ・ヴァイオラというトラウマが排除された今

寧さんは、自分自身を見失っている

なら、混乱している寧さんが今の寧さんですそんな寧さんも素敵ですすっげぇ、可愛いと思います

どうならなきゃいけないとかどうしなくちゃいけないとかそんなことは、考えなくてもいいんですどうせまた、変わってしまうんですから生きていれば、変わっていくしかないんですからだから寧さん

今のこの瞬間の寧さんの心を教えて下さい

あたしの心

寧さんはオレとどうなりたいですか寧さんの本当の希望を教えて下さい

言葉を繰り出して途中で止める

何でも言って下さいここには、オレたちしかいないんですよ何を言っても全部、オレたちだけの秘密です

寧さんは秘密を作るべきだとマルゴさんは言った

その意味がよく判る

寧さんは何々しなければいけないという思考で、自分を縛りすぎです

根っからいい子過ぎる人なんですよねだからケイさんの悲劇だって、全部何から何まで自分のせいだと思い込んでいた

だって、あたしケイに何もしてあげられなかったから

そうじゃないそうじゃない

今のオレには一つ一つが見えてくる

ヴァイオラに捕まったことは、寧さんのせいじゃない相手は、犯罪組織の人間でどうしょもなかったことですそして、ケイさんはケイさんだって、寧さんがいたから頑張れたんです一人だけだったら、途中で挫けて死んでしまっていたかもしれない

でもケイちゃんは

ケイさんが亡くなったのだって寧さんのせいじゃないでしょう

ダメです何でも自分のせいにしたらそんなんじゃあ、亡くなったケイさんが可哀想です

ケイさんは寧さんに、笑って生きていて欲しいって思っているはずですから

寧さんの眼から涙が零れる

そしてケイさんが亡くなった後、内面に閉じ籠もっていく心を、少しでも開くために恭子さんは、彼女に奈島寧というファンキー過ぎる女の子を演じさせんですね

そうだよ寧はあたしじゃないんだよあたしは、あんな子じゃないもの

寧さんは、ボロボロと泣く

オレは、寧さんの手を取り抱き締める

眼から零れる涙を吸い取る

恭子さんは寧さんに少しでも、色んな人と交流を持って欲しくてそれであんなに明るくて、よく騒ぐ女の子を演じさせたんだと思います

うんあたしも、そう思う

寧さんは、そう呟く

でも、もう終わりもうあたし、寧は続けられないもの

だから前に恭子さんに指示されたように今度は、オレに次に演技すべきキャラクターを決めて欲しいんですね

オレは、寧さんの背中を擦って緊張を解す

ヨッちゃんは、ケイちゃんの代わりに、あたしの弟になってくれるって言ったけれどヨッちゃんはケイちゃんとは違うからあたし、どんなお姉ちゃんになったら良いのか判らないし

本当にこの人は

根が真面目なんだな

いや真面目過ぎる

またしなければいけないっていう発想になっていますよ

でもあたし、本当に嬉しいんだよヨッちゃんが、本当にあたしの弟になってくれるって約束してくれたことケイちゃんの戸籍を継いでくれるって言ってくれたこともこれで、本当にずっとずっと、ヨッちゃんと離れ離れにならずにいいんだって思ったら嬉しくて、あたし

寧さんのその言葉に嘘は無い

寧さん本当のことを言って下さい

オレ、判りますよ寧さん、何か焦っている言葉と心に、ズレているところがある何です寧さんの今の本当の心を教えて下さい

口籠もる寧さん

どんなことを言われても、オレは平気ですオレは寧さんが好きです寧さんのためなら、何でもはますこの気持ちは変わらないですから

やっぱり、オレじゃあケイさんの代わりは務まりませんか寧さんの弟は、無理ですかこうなったから仕方無い、そうするしかないんだではなくって寧さんの本当の気持ちを教えて下さい

ああたしはね

はっきり言って下さいオレ、どんなことだって受けとめますから

ギュツと寧さんの手を握りしめる

あたしも、ドキドキしているの

ずっとドキドキしているのあなたに

寧さんがオレを

もう、いつからか判らないけれどあなたと一緒に居ると、ドキドキするの側に居ると胸がキュンとするの昨夜、ずっとホテルの中をあなたと一緒に居てドキドキが止まらなかったあなたと一緒だったから、あたしは何でもできたのヴァイオラの前に立っても心が壊れずにいたわ

そしてあなたが、ヴァイオラを殺してくれたあたしの家族の仇を取ってくれたあたしは、もうヴァイオラの幻影に苦しめられることは無いあなたと一緒に居る限り

今度は寧さんがオレの手をギュッと掴む

オレのことを真剣な眼で見つめている

あたしはヨッちゃんが好き弟としてでなくあなたを男として見ているの愛している愛している愛しているの大好き

オレの唇に情熱的なキスを何度も繰り返す

あなたが好きヨッちゃん

弟じゃなくていいんですか

だって好きになっちゃったんだもんっこんなに好きになったのは、生まれて初めてなんだものっ

寧さんがオレに恋をしている

今朝もヴァイオラを殺したことを、平然と受けとめてくれたあなたは、格好良かったよすっごい愛おしいって思ったでも、あなたはあたしの弟にケイちゃんの代わりになってくれるって言うから

その選択は間違っていたのか

あたし凄く嬉しかったヨッちゃんが、本当にあたしのことを好きでいてくれて、大切にしてくれているって判ったあなたに愛されていることが、本当に幸せに思えたでもあたし、弟じゃ嫌なの

オレもそうだ

弟になることケイさんの戸籍を引き継ぐことを、頭では納得していても

心では踏ん切りが付いていなかった

口では寧さんをお姉ちゃんと呼んでいながら

心の中では、寧さんを寧さんと呼んでいた

オレだって一人の男として、この人を愛している

じゃあ結婚しようかオレたち

バカッ

寧さんは、怒った

でも、寧さんが、それを望むならオレは

そんなことできるわけないじゃない

オレも寧さんが好きだし寧さんも、オレのことを好きでいてくれるなら

ダメよあなたには、他の子たちもいるんだもの

寧さんの眼から、また涙が零れる

あたしは黒い森のお姉さんなのそれは絶対に、やめたくはないのだって、黒い森のみんなは、あたしの大切な家族だから

寧さんは苦しんでいる

あたしには、妹たちからあなたを取り上げることなんてできないよそんなことは、絶対にしないわ

オレも家族を捨てるわけにはいかない

多分あなたの申し出通りにするのが一番なんだと思うあなたはあたしの弟であたしは、姉としてあなたを愛するずっとずっとそれなら、家族も守れるし、あたしたちも離れずにいられるから

また、寧さんの思考が

**しなければいけない方に向かっている

それじゃあ、ダメだよそれじゃあ寧さんの心にとって、何の救いにもなっていない

だけど、ヨッちゃん

オレに一つのアイデアが浮かぶ

いやそうか

だからマルゴさんは

ううん、マルゴさんだけじゃない

ミナホ姉さんたちも

オレたちを、黙って送り出してくれたのは

結婚しよう、寧さんみんなに内緒で

いや、オレ多分他のみんなとも結婚するもちろん、法律的な結婚じゃないよでも、一人一人と結婚するよ克子姉とも、渚とも、メグやみすずとも美智もだなあいつはオレが横にいないとダメだからマナは、そのうち心変わりして他の男と結婚するかもしれないから、今すぐにはしない

瑠璃子や麗華たちは今後の流れ次第だ

望まれたらするし望まれなければしない

オレは、寧さんとも結婚するただしそのことは、他の人たちには言わない

オレは覚悟を決める

他の家族の前ではオレたちは姉弟だオレは、寧さんのことをお姉ちゃんて呼ぶよそれから、ケイさんの戸籍を受け継ぐのは予定通りにするから寧さんは、オレのことはケイでもヨッちゃんでも好きな方で呼んで

寧さんは、呆然としている

でも二人きりになった時は、寧さんはオレの女だからああ、寧さんじゃおかしいよな、もうこれからは寧って呼ぶ恋人だし、結婚相手だからもちろん、オレの子供も産んで貰うから

みんなには、内緒なの

ああ、秘密だオレたちだけの

そんなのみんなに悪いよみんなに嘘を吐いていくなんて

いいんだよ寧オレたち、どうせ犯罪者なんだから

オレは、寧に微笑む

一緒に悪いことしようぜっ

寧の背筋が、ゾクッと震える

悪いことしたいんだろオレと二人でさみんなを騙すんだよ一生

寧は

あたしたちだけの秘密

ああ、オレたち二人だけで一生、秘密にすんだ

オレは寧の乳首に、チュッとキスをする

大丈夫だよ、寧ずっと、オレが支えていてやるから

寧は、ジッとオレの顔を見ている

オレは、笑って寧に微笑む

判ったあたし

寧の眼に元気が蘇ってくる

あなたの秘密の奥さんになるっ

実際のところ

オレの姉であろうが妻であろうが黒い森の家族たちは、別に気にしないだろう

オレはすでに複数の妻を持っているしみんなそのことに納得した上で、家族に加わってくれている

寧のことだって年少組は、まだ処女だってことを知らないし

オレの女の一人だって、認識している

結局は寧の心の問題だ

寧にとって、弟とか家族というものは、心の中で複雑にこんがらがって意味を持っている

だから、彼女は弟か恋人かを明確に区別しなければいけなかったわけだけど

そんなのは、他の人たちには判らないことだ

寧は、ずっと罪悪感を持って、この秘密を守り続けるだろう

多分他の家族は、そんな寧の様子を温かく見守ってくれる

これまでと同じ様に

というかマルゴさんたちは、こういう展開になることを予想しているだろう

これからはずっと、寧のために気付かないふりをしてくれる

こうやって見ると本当に美少女だな

寧が、オレを見ている

ううん呼んでみただけ

オレは、可愛い寧に頬ずりする

嬉しいんだよこんなに綺麗な人が、オレの奥さんだなんてうん、お姉ちゃんより奥さんの方が嬉しいな、やっぱり

オレのものだ

この身体も心も

うふふやっぱり、甘えん坊さんだねっ

豊かな胸に顔を埋めるオレを寧さんは、優しく抱いてくれる

奥さんだけれどあたしの方が、ちょっと年上なんだからっお姉さんは、お姉さんなんだからねっ

やっぱりお姉ちゃんプレイもしてみたいな

え、何それ

そういうゴッコだよ禁断の姉弟エッチっていうシチュエーションでするやつ

いいよ恋人同士の遊びでしょお姉ちゃん役でも妹役でもやってあげるっ

結局は、寧さんの心次第

オレの秘密の奥さんということに納得して、精神が安定すれば

後は、どんなことでも受け入れられる

でも今は

寧が言った

恋人として、エッチして欲しいなっ

もう一度寧の姿を、写真に撮りたい

弟に処女を捧げる前の姉じゃなくてオレの奥さんになってくれた、今の寧の姿を記録しておきたいんだ

寧は、ニコッと笑う

うんいいよっ

二度目の裸身の撮影

さっきとは全然、表情が違う

さっきの寧には義務感とか、悲壮感とかがあった

**しなくてはいけないという重さが

今の寧にはそういうものは無い

写真を撮られながら寧はよく笑った

大きな声で笑った

あたし何か、すごく自由な気持ち

自分の好きな人が恋人だってこんなに楽しい気持ちなんだねっ

寧の表情は、どこまでも自然だ

あたしねあなたの前だと、何でも自分をさらけ出せそうだって、あなた、どんなことでも受けとめてくれるんだんっ

カメラを持つ、オレの身体に飛びつく寧

うっふふっあなた、あたしのこと好き

うん、好きだよ

あたしもぉっ大好きっ好き好き、チュッ

オレにキスの雨を降らせる、寧

ギュッと抱き締めてっ

寧は、甘えん坊だな

そうだよあたしたち、甘えん坊コンビなんだもんっ

オレはカメラを横に置いて寧と身体をまさぐり合う

オレのソファの上で

このソファ雨に濡れたイヌの匂いがするねっ

臭う

あなたの匂いでしょここでたくさん、一人エッチしたの

したよ親父がいなくなってからは、毎晩だから

ふーん、こんな感じ

寧が、オレのペニスをしごく

あっそうだよ

これからは一人エッチ禁止だからねしたくなったらあたしに言うんだよいい

あたしも、もうオナニーしないしたくなったら、あなたとするもんっ

うふふふと、寧は笑う

こういうのとか、どう

寧は、オレの亀頭を親指と人差し指でこねくり廻す

き、気持ちいいよ

あたし、お屋敷の監視カメラでお姉さんたちが、お仕事しているところずつと見てきたからやり方は色々と知っているんだっ

寧さんの指が、オレの玉筋から肛門に向かってツツツと滑っていく

それも気持ちいいよ

嬉しいな

あたしが、あなたを気持ち良くさせているんだよねっ

そうだよ寧は気持ちいいよ

可愛いうふっ、もっと可愛くしてあげるっ

寧は、オレにキスをし舌を絡めてくる

それから、自分の手に唾を垂らしてオレのペニスをしごく

こっちの方がいいでしょグチュグチュで

ああ寧

あなたも好きに触って、あたしの身体

オレも寧の胸を揉む

ふとももの感触を楽しむ

それから熱く濡れた股間を

そこは丁寧にねまだ、ヴァージンなんだから

オレは、割れ目の入り口を丁寧に触る

うんいいよおっ好きだよおっ好きなのっ

裸でソファの上でもつれあう二人

ここでセックスするなんて想像してなかったよ

でも、するんだよっあなたが、ずっと一人エッチしていたこのソファで

寧は、ニコッとオレを見つめる

女にして、あたしを

あなたの女に

処女を破る

ごめんねずっと待たせてて

そんなの気にしなくていいから

あなた、立って

オレは立ち上がって、ソファに向き合う

寧はオレの前で大きく開脚した

とろとろの秘部が露わになる

いいよきてっ

ロスト・ヴァージンは明日で引っ張って、こめんなさい

今日も、父を連れて母の病院へ

一緒にうどん屋で昼食を取ってから、行きました

来週の月曜か火曜には退院できるみたいです

まあ、元気というか機関銃の様に喋っていました

そして、来週末には前から予定していた友達との京都旅行にも行くそうです

緊急入院した人とは思えない元気っぷりでした

父のヒゲ剃りはまだ見つかりません

350.寧の誓い (ヴァージン・ブレイク)

あらためて、寧の裸身を見る

本当に、ヨーロッパのアート写真に出て来るような、完璧な体型

おっぱいを大きく、腰はキュッとくびれていて

豊かさと、スマートさがギリギリの配分で協調している

そして美しい顔

大きな眼と端正な顔立ち

まるで海の泡から生まれたばかりの美神

寧が、オレに微笑む

オレを見ている

オレを愛し合う対象として

寧は綺麗だ

ううん世界で一番、綺麗だと思う

こんなに美しい人がホモのシザーリオ・ヴァイオラに無視され続けた

双子の弟のケイさんを犯すためのそれもケイさんの心を傷付けるためだけの道具として使われ

寧の美しさは、価値の無い物として扱われた

それが寧のコンプレックスだ

女であること、人としての価値を取り戻すために

寧は、弟に純潔を捧げようとした

しかし、ケイさんは敬虔なキリスト教徒で、寧の申し出を拒絶した

優しく、愛を込めて

だから、寧はさらに歪んでしまい

ケイさんの不幸な死とともに普通の恋愛のできない女になってしまっていた

オレこそありがとうだよ

こんな綺麗な人がオレの奥さんになってくれるなんて嬉しいよ

そう言って、寧はクスクスと笑う

あなたって呼び方、変かなあたしらしくないよね

寧は言った

うんと寧は、ちょっと勝ち気な姉さん女房な感じがするから

そうだよねあんまり、しおらしいのはあたしらしくないよね

あたしらしいという言葉

ようやく、寧の中で寧と寧子が融合する

今、この瞬間の寧はオレの寧になろうとしている

寧は、言った

あたしにとって、あなたはやっぱり、ヨッちゃんだヨッちゃんて呼ぶよいい

いいよオレは、寧って呼ぶけれど

うんそれでいい

寧は、ニコッと微笑む

一周して、元の場所に戻った

前のヨッちゃんは、親しさの中に心の壁があったけれど

今度のヨッちゃんには、壁は無い

オレたちは夫婦になるんだから

ずっとずっと、そう呼ぶからねママになった後でも、おバァちゃんになっても、ひ孫の前でもヨッちゃんて呼び続けるからね

長生きするつもりなんだ

当ったり前じゃんっ今までの分まで、幸せになるんだもんっ

あのさっ

寧が、オレの手を取る

指切りして

今は二人とも裸で、何も持っていないからせめて、指切り

オレたちは、小指と小指を絡ませ合う

で何の約束をするのオレ、何でも誓うよ寧のためなら

誓うのは、あたしだよ

そして、寧は言った

健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も後、何だっけとにかく、どんな時でも、ずっとずっと生きている限りずっと、ヨッちゃんを愛し、敬い、慰め、助け、真心を尽くすことを誓います

オレも誓うよ寧

小指を絡めたまま、オレたちはキスをする

何度も何度もキスをする

そのうちにみんなに内緒で、二人だけで旅行しよう

それでどこか遠くの教会で、ちゃんと結婚式を挙げよう

別にいいよ式なんて生涯の誓いなら、今したから

オレは、寧のウェディングドレス姿が見たいんだよっ

寧は、クスッと笑って

ウェディングドレスなら、お屋敷にあるからいつでも着てあげる毎晩だっていいよ

そんなあれは、白坂創介が変態プレーに使っていた

そうだミナホ姉さんに、雪乃も着せられた

ウェディングドレス姿で犯された娼婦は自分が幸福な結婚をする希望を、精神的に打ち砕かれるという

だから、あれを着たいのお屋敷に居たお姉さんたちの無念を、あたしが少しでも晴らしてあげたいのあたしがヨッちゃんと幸せになることで

寧もまた行き場を失くして、お屋敷に転がり込んだ女の一人だ

娼婦にはならなかったけれどお屋敷の女たちの悲劇は見てきている

それでもいいけれどでも、やっぱり、オレはどこかの教会で寧の花嫁姿が見たいな二人きりで

そうね、二人で旅行には行きたいなじゃあ、考えとくよっ旅行の時のオプションとしてねっそうだな南の島とかがいいかな

うんいいね青い空と光る海白亜の教会に純白のドレスを着た寧が居てさ

もちろん、ヨッちゃんも居るんだよっ

そりゃいるさオレたちの結婚式だもの

ヨッちゃん大好きっ

寧がガバッとオレに抱きつく

オンボロのソファの上で

オレたちは、裸でお互いを抱き締め合う

そろそろヨッちゃんのお嫁さんにして

オレは、ソファに寧を浅く座らせる

腰を突き出させるようにして

足はもっと拡げて

寧のそこはすっかり準備ができていた

処女の割れ目は、ほんの少し緩んで開きしとしとと愛液を零している

ちょっと、怖いな

大丈夫大丈夫だから

オレは、寧の秘部に顔を寄せる

寧の味を知りたいんだ

ううん優しく優しくね

オレは舌で秘部を舐め上げる

寧の味は酸味がした

敏感な部分を舌先で転がす

ああああっき、気持ちいいっ

寧が身を震わせる

オレは、一旦、割れ目から離れふとももの内側や、可愛いおへそに舌を這わす

よ、ヨッちゃん

自分でするのより、全然いいっ

じゃあ、毎日する

するっして欲しいっ

寧は、欲望に素直だ

それがまた、たまらなく可愛い

寧、オレ、もう

挿れたいあたし、ペロペロとかしなくていいの

それは次の時でオレ、早く寧の中に入りたいよっ

もう我慢ができない

寧は、グッと眼を瞑って身体に力を込めて、開脚する

オレはそんな寧を抱き締め、耳の後ろをペロッと舐める

性感帯を舐められて寧の身体の緊張が緩む

そんなに身体に力を入れていたら、挿らないよ力を抜いて

寧はさんざん他の人のセックスは見学してきているけれど

処女なんだ

オレがリードしなくちゃ

眼を開けてオレを見て

寧が、眼を開ける

綺麗な瞳

金髪のままだけれど瞳には、偽りの青いコンタクトレンズは入っていない

ダークブラウンの瞳が、まっすぐにオレを見ている

愛してる、寧

オレの言葉に寧は、スウッと空気を吐く

身体の固さが、また和らぐ

オレは、優しくマッサージする様に寧の全身を揉みほぐす

寧は柔らかくて、あったかいな

腕を首筋を豊かな胸を細し腰をふとももも触る

さあ力を抜いて

寧はオレに全身を委ねた

オレは寧と眼を合わせながら勃起したペニスを、寧の秘部に合わせていく

直接、接合部を見なくてももう、それぐらいのことはできる

亀頭が温かく濡れた部分に、当たる

寧が、怯える

怖がらないで平気だから

中に溢れた愛液を押し出すように亀頭が少しずつ、寧の中に埋没していく

よ、ヨッちゃんあたしっ

オレは寧の肩をしっかりと掴む

寧もオレの腕をギュッと掴む

ああんっい、痛いッ裂けちゃうっ

亀頭が、壁にぶつかる

この肉の壁は薄くて破れやすい

オレはそのことを知っている

いい寧

いいよ、ヨッちゃんのモノにしてっ

寧が濡れた眼でオレを見ている

行くよ寧ッッ

スズッ

亀頭が処女地に進入する

純潔の扉を打ち砕いて

ぎゃあっ痛いィィイッッ

寧の眼からボロボロと涙が零れる

本当に痛いんだろう

でも、ここでやめるわけにはいかない

破れちゃった、破れちゃったよおっヨッちゃん

まだだまだだからっ

見つめ合ったままオレは叫ぶ

まだ半分しか入っていないからっ

しかし寧の処女は、狭い

オレのペニスをきつく締め上げている

ぐっちょりと湿ったそこは熱い

オレのペニスは半分だけが、高温の温泉に浸かったような感触だった

寧の痛みが和らぐまで、少し待つことにした

寧は、ハァハァと大きく息をしている

おでこには、大きな汗の玉が浮いていた

寧、大丈夫か

う、うんとりあえずは

大きな胸が、呼吸の度に上下するピンクの乳首が揺れている

これでまだ半分なのッ

うん、後半分こらえてっ、寧

そんなそんなに入ったら、あたしの身体を突き抜けちゃうよっ

処女地を侵されている寧にはオレのペニスは、実物の何倍もの大きさに感じられているらしい

だけどごめん、寧

オレは、この剛直を、何としても根元まで、寧の中にブチ込みたいっ

そんなことないからっ寧の中にぴったり収まるからっ

嘘っ今でも満杯だよっ

大丈夫だから寧の中に全部入るからっ

当たり前だろっオレと寧のなら、ぴったりサイズになっているはずだっ絶対に神様がそういう風に設計しているはずだっ

オレもメチャクチャな論理になっている

うんっそうだねっ絶対そうだ

寧は、苦しそうな顔のまま、納得してくれた

いいよっヨッちゃん全部突っ込んであたし、我慢するからっ

しかし言葉と裏腹に、寧の身体はまた力が入っている

この状態で強行突破するのは寧の身体によくないだろう

寧オレと、呼吸を合わせてオレも、寧に合わせるから

オレは美智に習った方法を試してみる

すう、はぁすぅ、はぁ

二人で息を合わせる

眼を見たまま

性器で繋がったまま

呼吸を合わせていくうちに寧の身体がリラックスしていく

ヨッちゃんあのね

すぅ、はぁじゃなくって、すぅ、すぅ、はぁの呼吸にした方が良いと思うのっ

うん、テレビでやってた

テレビで処女とのセックスでの呼吸法とか、教えているのか

あ、違う違うテレビでやっていたのは、便秘の時の呼吸法

便秘

すう、すう、はぁのはぁの時に、お尻の筋肉が緩むんだよ

いや、でもえ

知らないのお尻の穴の筋肉と女の子の穴の周りの筋肉は繋がっているんだよ数字の8の字の形になっているのだから、お尻が緩めば、女の子の穴の力も緩むはずだって

筋肉が八の字って、どういうことだ

とにかく、やって見ようすう、すう、はぁだよそれで、あたしの身体が緩んだなって思ったらはぁの時に、突撃してみてっいいわねっ

う、うんっ

よく判らないが

寧の言うとおりにやってみよう

行くよっすう、すう、はぁ

すう、すう、はぁ

真面目な顔で、見つめ合いながら

オレたちは、呼吸を合わせる

オレの額からも汗が零れる

寧の眼は、すっかり潤んでいる

うん大分、身体が解けてきた

オレは、ズンッと腰を突き込むッッ

いああああっっ

全ての障壁を押し壊して

オレのペニスが完全に寧の膣の中に収まる

オレたちの下腹部がぴったりと重なる

亀頭がゴールである子宮口にタッチする

入った全部入ったよ寧

寧が結合部を触る

ホントだ全部入っている

ああ、寧の中にそっくりそのまま入り込んでいるんだっ

やっぱり、神様はあたしたちがセックスできるようにして下さっていたんだねっ

当ったり前じゃないか

それから寧は

オレの顔を見て

クスクスと笑い出した

どうしたの、寧

ヨッちゃんて最高だよ

すっごい一生懸命で、すっごい真面目ででも、すっごいバカで、すっごい優しいの

あたしヨッちゃんに出会えて本当に良かった

寧は、オレを見たまま涙を流す

どうしたの痛いのか

バカっ幸せなんだよっ

そして、オレに向かって大きく手を開く

このまま抱っこして

オレは、腰を結合させたまま寧の身体を抱き締める

好き好き大好きヨッちゃん

オレ、絶対に幸せにするから大切にするから

もう幸せだし大切にして貰っているよ

そう言って寧は、オレにキスをした

さあ、動いてもう平気だから

大丈夫痛いのなら、いいんだぞもう抜いても

そういうこと言わないのあたしにもちょうだいよ

ヨッちゃんの赤ちゃんの種あたしの子宮にも撒いて欲しい

じゃあ、ゆっくり動くから

痛いのか

痛くていいんだよこの痛みだって、ヨッちゃんに愛されているからなんだもん痛いのだって楽しむよあたし

ヨッちゃんは、あたしの身体を楽しむことだけ考えてヨッちゃん、あたしの中に出したいあたしをママにしたい

し、したいよ

それだけ考えてあたしに、ヨッちゃんの性欲を全部吐き出してお願い

オレは、寧の舌を求める

おっぱいをまさぐり尖った乳首を擦る

ゆっくりと腰をピストンを深くする

寧は愛液が豊富だ

狭い膣の中で、オレのペニスがとろとろに溶かされていく

寧寧寧

すう、すう、はぁだよ、ヨッちゃん

オレに犯されながら、寧は言った

すう、すう、はぁの呼吸で抱いて

すう、すう、はぁ

はぁのタイミングで、ドンッと深く腰を押し出す

ぷっくりとした子宮口をノックする

あっあああっああああっ

寧は、オレの背中に手を廻しギュッと背中を抱き締める

やっぱり痛いのだろう、辛いのだろう

時々、オレの背中に、爪を立てる

オレもその痛みに耐える

寧寧オレ、もう

出ちゃいそうなの

寧が、痛みに耐える表情でオレを見ている

うんもう漏れちゃいそうだよ

いいよ全部、漏らしちゃってあたしの中に、吐き出して

あああぁぁ

で、出るよ寧寧寧

ね、寧愛してるぅぅ

ドぉククッッ

ドクッ

ドクドクドクッッ

ああ、熱い出てるよっヨッちゃんあたしも好きぃぃ愛しているぅぅ

力一杯抱き締め合ってオレは寧の子宮に射精する

寧は、全身でオレの精を受けとめてくれた

射精するオレの顔を寧が見ている

受精する寧の顔をオレが見ている

幸せだ、オレ

幸せだ、オレたち

全部吐き出し終わってオレは、ぐったりと脱力する

お疲れ様っ大丈夫

寧が、無理に微笑んでくれた

何か魂まで射精したみたいな感じだよ

うん魂まで子宮で受け取ったもんっ

そう言うと、寧はくふふふと笑った

何寧

うふふ呼んだだけぇっ

そう言って、寧はオレの唇にチュッとキスをする

ヨッちゃん、ヨッちゃん、あたしのヨッちゃーん

オレの顔にぐりぐりと頬ずりする

こんなに幸せであたし、いいのかなっ

いいんだよどんどん幸せになろう

うむ、なろうそうだね、ヨッちゃん

寧は、笑った

あ、もちろん、ヨッちゃんは他の女の子たちも幸せにするんだからねあたしは、みんなの後でいいから

その代わりあたしとのセックスは、二人きりでねたっぷりと充実した時間を送ろうほら、あたしは、みんなには秘密の奥さんなんだから

寧はオレの秘密の奥さんになることに拘っている

寧が、それでいいのなら

いや、黒い森の家族との共棲を、寧がそういう形で望んでいる以上

あ、でもお姉ちゃんキャラで、他の子とのセックスには乱入するかも

そうしてよマナとか、寧と一緒にセックスしたがっていたから

あたしは、みすずさんがいいなあヨッちゃんと一緒に、あの子をとことん、よがり啼かせてみたい

寧は、そんなことを言う

みすずさんだけは、あたしのことをお姉ちゃんて認識していないからねそりゃ同学年だけどあたしはタブリだから

どっちも高校2年生だけれど

寧の方が一つ年上だ

きっちりと誰がお姉ちゃんなのかを判らせてあげないとねみすずさんを押さえれば、あの変の女の子たちも全部押さえられるしぎっしっし

寧は家族を楽しんでいる

ならみすずにさんはいらないんじゃないかな

そうだねみすずさんでも、ミィちゃんでもなくこれからはみすずって呼ばないとね

うん心の壁は壊していかないと

何か、すっごく楽しみになってきたっうふふっ痛ッ

寧は、身体を起こそうとして悲鳴を上げる

オレは、寧との結合部分を見て

オレたちの股間は寧の処女血で真っ赤になっていた

うわっ、ごめんオレ、セックスに夢中になっていて

オレは、急いで身体を離そうとする

いや、待ってまだ抜かないで

そうは言っても

こんなに出血していたら、苦しいだろう

オレは半勃ちのペニスを慌てて引き抜く

スポンと膣から抜いた途端

白い精液と赤い処女血がとろろろっと零れ落ちる

あーん、繋がったままのところを写真に撮っておきたかったのに

寧は、そう言った

いや、そんな痛々しい写真残さなくていいよ

あたしは欲しかったの処女喪失の記念写真だよっ老後の楽しみに、ヨッちゃんと見たかったのに

じゃあ、事後写真だけでもいいやヨッちゃん、撮って

寧は、オレにねだる

ヨッちゃんとのハメ撮りは、また今度しようねうん確かにそうだなセックスしている写真は、出血していない方がいいかもね

やれやれオレは、カメラを取る

はーい、撮して

全裸の寧

処女を失ったばかりの寧

割れ目から処女血と精液を溢れさせている寧は本当に幸せそうだった

この幸福そうな姿は、確かに残しておきたい

じゃあ、撮るよ

オレは、シャッターを切る

何枚も何枚も寧の姿を

M字開脚で、ダブルピースとかした方がいい

寧は、笑ってそう言った

そうだね、あんまり派手な写真だと、処女喪失記念って感じじゃないものね

けらけらと寧は笑う

うんそういうエッチなのも、今度ねそうだ、アヘ顔ダブルピースはみすずにやらせよううんうん、もちろん写真も撮ってうひひひっ

これまで家族の年長組は、マルゴさんや、渚や、克子姉と、優しい大人の女性ばかりだった

ミナホ姉さんだって、敵に対してはとことん酷いけれど自分の家族には、際限なく優しいし

しかし新しい寧は

今までの寧は、心の壁を作っていたから年少組には、深く関係してこなかったけれど

この悪戯っ子のファンキー姉ちゃんは多分、凄いぞ

みすずメグマナ瑠璃子

きっとみんなを翻弄し驚かせきりきり舞いさせ

そして、楽しく、幸せにしてくれる

お姉ちゃん頑張っちゃうんだからっ

凄くて素敵なお姉ちゃんがここに誕生した

うん、やっぱり寧さんは、こうでないと

色々ありましたが、こういう形で安定しました

みすずが、黒い森の正妻で

メグが、学校生活での正妻なら

寧は影の正妻ということで

まあ、美智もだんだん正妻っぽくなってきていますが

さて、今日は母が病院から一時帰宅したのですが

昼過ぎに、父がお尻から血が出ると言い出し

入れ違いで、病院に

まあ色々と検査した結果多分、痔だろうということなんですが

付き添いには兄が行ってくれたのですが、家には母がいるので

またしても土日の休みが飛んでしまいました

父は無事に帰ってきましたが、日曜日は専門医がいないので

もし、明日具合が悪いようならばまた行かないといけないみたいです

大動脈の手術をしていますからちょっと怖いです

父母、ダブル入院だけは避けて欲しいですね

ちなみに父のヒゲ剃りは、まだ行方不明です

351.甘い生活 (ドルチェ・ヴィータ)

寧と裸のまま、お風呂場へ

とにかく、股間の精液と処女血を洗い流さないといけない

待って、すぐにお湯になるから

幸い、まだガスは止められていない

銀行引き落としで親父の口座には、まだ金が残っているから

ほら、お湯になったよ

オレは、寧の前に跪いて足先からお湯を掛ける

いきたり熱いお湯を引っ掛けたら、びっくりしちゃうだろうし

ゆっくりと足の舌から上へ、シャワーヘッドを上げていく

そして秘部へ

やっぱり、浸みる

処女膜が裂けて出血したんだから

傷になっているはずだ

ううん、大丈夫

寧は、上からオレに微笑んでくれた

やっぱり、優しいねっヨッちゃんはうん、あたしは良い旦那さんを手に入れたぞっあははは

オレにお湯を掛けられながら、寧は大きく笑った

ヨッちゃんのは、あたしが洗ってあげるねっ

そう言うと、寧はオレからシャワーを受け取り、オレの股間に向ける

おちんちんの下も洗わないと

寧はオレのペニスを指で持ち上げ、裏側にもお湯を掛ける

そんな風にしたら、また勃っちゃうよ

いいんじゃないどうせヨッちゃんが、1回の射精で満足するとは思ってないもんっ

あたし、ヨッちゃんのエッチはずーっと見てきているんだからっ

そう言えば最初の雪乃のレイプから、監視カメラの映像を観られているんだっけ

寧の出血は酷かった

今日は、もう挿入するのは止めた方がいい

美智ちゃんとか、連続2回戦いけたのにね

女の子それぞれで体質が違うから仕方無いよ

あたしの方が、あの子より成熟しているはずなんだけどなあ

確かに、美智は小柄で寧は、大人のプロポーションをしている

しかし、それが女性器の成熟状況と同じとは限らないわけで

というより美智はマゾっ気があるからな

痛い方がいいって言ってたし

お口でいい

寧が、ニコッと微笑む

それより、触って寧の手でイキたい

寧の白くて細い指で

うん、いいよっでも、最後は飲むから

というか、飲みたいのヨッちゃんの精子だもん全部、あたしの身体の中に吸収したいっ

オレは、シャワーを壁に固定する

上から振ってくる温かいシャワーの飛沫を浴びながら

寧とお風呂場のタイルの壁に背を付けて、床に座る

足を投げ出して

うん、じゃあ触るね

右手で、寧がオレのペニスを撫でる

左の腕は、オレの身体をギュッと抱いた

18歳のグラマーな肉体が、オレに押しつけられる

ヨッちゃんも、あたしの身体好きに触って

それより寧、キスしたい

いいよおっ

寧にペニスを弄ばれながらキスをする

舌と舌を舐め合う吸い合う

ああ、勃起がどんどん大きくなる

すっごーい大きく硬くなっていくぅうふふご奉仕しますねぇあなたぁーんっ

寧寧

なあにどうしたの

好きだよおっ好きなんだぁ

あたしもだよっヨッちゃあんっ

硬くなったペニスを、寧の手がサワサワとしごく

もっと、こうして

オレは寧の手の上に、自分の手を重ねて剛直のしごき硬くなったペニス教える

そうもっと力を入れて握っても平気だから

こんな感じかなっ

どうしたらいいのか、いっぱい教えてねヨッちゃんの気持ち良くなる方法これから、一生、ご奉仕するんだからっ

好き、好き愛してるからねっ

おれは寧のおっぱいを揉む

こりこりとした乳首を摘む

寧のおっぱい気持ちいいよ

幾らでも触ってヨッちゃんの好きにして

ああ、オレ、オレ寧

オレ、もう出ちゃいそうだ

寧は、ニンマリと笑った

我慢しなくていいよいっぱい出して

あああっオレ、オレ

寧の手を上から掴んで、オレは激しく上下する

熱情のリズムを刻む

もうすぐ爆発するぅぅッ

出るよ出るよ出るよ、寧

待って今、おしゃぶりするからっ

寧が、オレの前に身を屈めて

オレの亀頭を含む

ペニスが、寧の温かい口の中に

ああ唇の感触が、気持ちいい

イクよっイクよっ寧っ

寧の名前を叫びながら

オレは寧の口の中に、放出する

あああ出てるぅぅ止まらないよおっ

全身を痙攣させながら、最後の一滴まで放出する

寧は、精液を全て受けとめて

チュポンと唇をペニスから離した

そして、オレにニッと微笑み

オレに向けて、大きく口を開く

寧の綺麗な白い歯の奥ピンクの舌の上に、白い精液が見える

寧は、再び口を閉じると口中の精液を、自分の唾液と混ぜてクチュクチュして、ゴクンと呑み込んだ

うはぁ克っつんが精液は苦いって言ってたけれど、本当だねっ

そして、シャワーのお湯でうがいをする

ガラガラガラペッ

でも、好きになるねっヨッちゃんのだもんっ

たまらない愛しさを感じる

オレは、寧をギュッと抱き締める

んどうしたの甘えん坊さんなの

ああ寧に甘えたくなったんだよっ

寧の胸に、顔を埋める

うむっ、正直でよろしいっいっぱい、お姉ちゃんに甘えなさいっ

寧は、オレを優しく抱いてくれる

あたしも、ヨッちゃんに甘えちゃうんだからっ

オレの顔に、頬ずりをした

寧、寧、寧

何でだか涙が出て来た

何か判らないけれどオレ

寧が、オレの頭を撫でてくれる

ここのところ、ずっと頑張っていたもんねヨッちゃんは

そうだよいいんだよ、あたしの前なら泣いても、喚いてもどんな、ヨッちゃんも受けとめてあげるから

オレは、寧に縋り付く

そうだよねヨッちゃんが一番大変だったんだよねみんなの未来を、1人で背負っちゃってさ

ヨッちゃんは優しくて、良い子過ぎるんだよみんなの心の渇いているところが判っちゃうから、体当たりで潤してあげちゃうんだよね自分自身のキャパシティとか、全然関係無く

バカだよね、オレ弱くて、本当にバカなのに

いいんだよヨッちゃんは、それで

寧がオレにチュッとキスをする

それに、もう大丈夫ヨッちゃんには、あたしがついてるから

一緒に家族を守っていこうねっあたしたちの家族をさ

寧の優しい笑顔に

オレの心は、救われる

オレはもう1人じゃない

家族で姉で妻である、この人がいるから

愛してる愛してるよ

あたしも愛している

もう一度、オレたちは熱いキスを交わす

脱衣所でお互いの身体をバスタオルで拭き合う

オレが使っていいバスタオルは1枚しかないから

ねあたしやっぱり、黒髪にしていい

オレが、寧美しい背中を拭いていると彼女が言った

いいけどオレは別に金髪のままでも、気にしないよ

でも、ほらみんなに対してさ、あたしが変わったっていうのをアピールするには、一番効果的じゃないっ

効果的

今までのさ不良少女・寧ちゃんのキャラが必要な時は、金髪のカツラを被るよでも、ほらヨッちゃんの貞淑な妻としては、黒髪の方がイメージがいいでしょ

ムフフと寧は笑う

また何か頭の中で画策しているらしい

それともヨッちゃんは、黒髪のあたしは嫌い

金髪に青いコンタクトだったから寧の美しさは、派手派手しさに相殺されて、何となくイメージが固定されていたけれど

黒髪に戻したらこれは、もう、とんでもない可憐な美少女だぞ

寧本来の美しさだけが際立つことになる

黒髪にしたら、何か、他の男が放っておかなくなるような気がする

平気だよもう、ヨッちゃんのなんだから何なら、売約済みって張り紙して歩こうか

自信を持ってよあたしは、絶対にヨッちゃんから離れないんだからねっ

そして、オレにキスをする

寧は、キスとスキンシップが大好きだ

もちろん、オレも大好きだけれど

あたしは、変な男には付いていかないからヨッちゃんだって、守ってくれるんでしょ

オレは、心から誓う

だったら、平気だよあたし、これからはなるべく綺麗になるように頑張るからあなたのために

また寧はオレにキスをした

オレからも、寧にキスを求める

じゃあ、どうする今から毛染めやる

寧は、さっきドラッグストアで毛染め薬を買ってきたと言っていた

今ここでは止しとくあれは、ヨッちゃんが黒髪のあたしでセックスしたいかなあって思ったことだから

家で毛染めするって、結構、大変なんだよムラになっちゃうこともあるからもう、ロスト・ヴァージンしたんだもん黒髪には、お店でして貰うよこのまま、優花さんの美容室へ行こうかな

優花さんは元、お屋敷の娼婦で今は美容室を経営している

その前に池田先生のとこだな一応、診察して貰わないと

ピル貰った方がいいあたし、いつ妊娠する

高校を卒業するまでは寧にも、もっと学生時代を楽しんで欲しいし

判ったじゃあ、ピルも貰って来るねっ

寧は、ニッコリと微笑んで納得してくれた

それでね、確認なんだけれどヨッちゃんが、ケイちゃんの戸籍を引き継ぐのは、そのままやって貰っていいよね

うん、それはもう、ミナホ姉さんにお願いしちゃったし

だけどヨッちゃんは、吉田の家の戸籍も持っていた方がいいと思うのケイちゃんの戸籍と二つともねあたしも、奈島寧子の戸籍は取り戻すけれどカナダの偽名のパスポートも、そのままにしておくわ

黒森の家は、犯罪組織なんだよ使えるものは、何でも取っておいた方がいいって

確かにそうかもしれない

吉田の名前もここで、すっぱり捨ててしまうより、何かの機会を待って捨てた方がいいのかも

でね先生とマルちゃんには、あたしたちは姉弟になったという話のままにしておくからねっあたしたちが本当は夫婦なんだってことは秘密なんだから

また呼称が、マルちゃんに戻った

前の寧を上手く統合して、現在の寧は安定してくれたみたいだ

だから、先生とマルちゃんの前ではあたしはケイって呼ぶからねそういう姉弟関係になったんだって、2人には思わせておこうっ

楽しそうに、寧は悪巧みする

ケイって呼んだら、お姉ちゃんて返事するんだよっオッケイ

オッケイ

よしよし他のみんなが居るところではあたしは、今まで通りヨッちゃんて呼ぶからヨッちゃんは、あたしのこと何て呼ぶ

今まで通り、寧さんてのは変だよね

うんあたしたちの間にさんはもういらないよね

だからって寧と呼び捨てにするのもマズい

じゃあ姉さんて呼ぶよそれなら、一瞬では寧さんだか姉さんだか区別が付かないだろうから

ナイスアイデアだよっヨッちゃん

ニヒヒと寧は笑う

じゃあ、確認ね先生とマルちゃんの前では、ケイとお姉ちゃん他の子たちの前では、ヨッちゃんと姉さんあたしたち2人きりの時は

ヨッちゃんと寧

約束だよ指切りしよっ

オレたちは、また指と指を絡ませる

ヨッちゃん、あたしのヨッちゃん

寧オレの寧

うふふ好きっ

またオレたちは、キスをする

裸のまま居間に戻る

2人で1枚のバスタオルを掛け合ってソファに座る

それからさっき店で買った飲み物を開けた

ヨッちゃんあーんして

オレたちは、口移しで互いの飲み物を交換する

うふふ幸せだなあ

あたしは、ヨッちゃんと居る時が一番幸せなんだよー

変な声を作って、寧がおどける

何なの、それ

あっヨッちゃんは、知らないのか

知らないけれどオレも幸せだ

また、寧にキスする

もう、ヨッちゃんはキスが大好きなんだねっ

寧だって

あたしは、ヨッちゃんが大好きなのっ

寧がオレにキスを返す

このソファ、持って帰ろうかこれ、2人でイチャイチャするのにはちょうどいいよっ

この間までは、オレが1人で悶々としていたんだけれど

それがまたいいんじゃないっあ、でも、このソファはあたし専用にしたいなああたしの部屋に置こうか今日はマセラッティじゃ、乗せられないよねマルちゃんの白いバンで取りに来るしかないねいつがいいかな

寧は、どんどん計画を練り出す

そんでソファだけ回収したらさこの家は、燃やしちゃおうよ

寧は放火癖があったんだっけ

燃やした方がいいよここは空気が澱みすぎているから

心残りがあるの

うんここには、バァちゃんの思い出があるしそれに

この家を燃やしたら近所に延焼しちゃうよ裏の家とは、ブロック塀1枚しか無いし

そうかご近所さんを巻き込んじゃいけないか

ただでさえ、町内会の会費とか払ってないし近所の人には、迷惑を掛けているから

うちの母親ゴミを出す日とか、全然守らないから

ああそんな感じだよね

オレはオレの私物入れの段ボールに向かう

見せたいものがあるんだ

オレは中から一枚の写真を取り出す

これオレのバァちゃん

うん優しそうな人だね

優しかったよオレには

写真の中のバァちゃんは、微笑んでいた

この人がいてくれたからヨッちゃんは、良い子に育ったんだね

オレ良い子じゃないよ

良い子だよっ撫で撫でしちゃうっ

寧が、オレを撫でる

人から、ちゃんと愛情を受けた子でないと真っ直ぐな子には成長しないんだよヨッちゃんは、おバァちゃんから一杯愛情を注いで貰ったんだね

親父や母親の分まで

オレの本当の肉親はバァちゃんしかいない

ああたしも、そうなんだ

お父さんやお母さんが、ちゃんとあたしに愛情を注いでくれていたからケイちゃんが、あたしのこと愛していてくれたからだから、あたし今まで、狂わないでこれたんだ

寧がオレを見る

今判ったよあたしもみんなのお陰で、生きてこられたんだ

これからは、オレもいるからずつとずっと愛しているから

ヨッちゃんにだって、あたしがいるよっずっとずっと愛しているからね

オレたちは、寄り添い合う

おバァちゃんありがとう今日からは、あたしにとっても、おバァちゃんだからねっ

寧は、バァちゃんの写真にそう言ってくれた

ねえ、他には写真は無いのヨッちゃんの子供の頃とか

無いようちは家庭でのイベントとか、全然無かったし家族で写真を撮る機会なんて無かったから

家族旅行とか、クリスマスとか、誕生日とか何も無かったし

中学の卒業アルバムとかは

買ってない

そんな物にお金を払うのは嫌だって母親が学校にクレームを付けたから

メチャクチャな話だが、本当にオレの母親は中学にケンカを売った

その結果

オレにだけ、卒業アルバムは配布されなかった

まあ、私立だし全寮制の男子校だから、そんな無茶も通ったみたいで

寧はソファから立ち上がり、床に置いたままだったカメラを取り上げる

じゃあ、ヨッちゃんの写真は、これからあたしが撮るよ

パシャっと、シャッターを切る

いや、オレ今、裸だし

そこがいいんだよっ

さらに、写真を撮る

あたしの処女を奪った記念写真なんだからっ

どう、あたしの処女は気持ち良かった

うんすごく良かった

だったら、もっとニヤけた顔しなくちゃほら、笑って

あたしとセックスした時のこと、思い出してっ

寧がオレにカメラを向け続ける

そんなまた勃起しちゃうよっ

いいよ何度でも

寧は、怪しく微笑む

何度でも、相手をしてあげるから

また、むくむくとオレのペニスに熱い血が流れ込む

うっふふっ今度は、最初っからフェラチオねっ

はいカメラ

寧が、ソファのオレに前に跪きカメラを手渡す

あたしがおしゃぶりするところ撮って

いいんだよあたしたちしか見ない秘密の写真なんだからさっ

寧がオレのペニスを舐める

亀頭を舌でれろれろと

オレはその姿を、カメラに収める

オレの亀頭を咥えている

その下で、寧の大きな乳房が揺れている

寧すごい、エッチだよ

ヨッちゃんだけだよこんなエッチな寧は、ヨッちゃんだけにしか見せないんだからっ

明日になったら、またセックスしようねまた、寧のお腹の中にいっぱい出してくれるっ

ああ、出すよどくどく出す

妊娠しちゃうくらい

うふふ楽しみだっ

寧寧寧

今は寧のお口で我慢してね

ああっ愛してるっ寧っ

また寧の口の中に射精した

寧がブラジャーを付けている

ん寧の裸が見えなくなるのが、残念なんだよ

バカねヨッちゃんが望むんなら、いつでもまた脱ぐから

寧は、またキスした

キスし過ぎだね唇の周りがヒリヒリしてきた

あ、オレも

2人で笑い合う

服を着てオレは、私物の段ボールの中から、お屋敷に持っていくべきものを取り出す

バァちゃんの写真は当然として

学校関係のものとか

この下着とかはいいよもっと良いのを買い直した方がいいから

やっぱり百均のパンツは却下された

それから、オレは箱の一番底に手を伸ばし

オレは小さな小箱を差し出す

箱の中には小さな指輪が入っている

これ、バァちゃんの遺品なんだ亡くなる前に、バァちゃんがオレにくれたんだもし、何かの時には、これを売ってお金にしなさいって

そうは言ってもどう見ても、この指輪は高価そうじゃない

デザインもシンプルだし小さな石が一つ付いているだけだし

それもダイヤモンドじゃない

赤黄色い本当に小さな宝石が一つきり

ガーネットだね、これ

寧にあげるよ

寧はオレを見て

あたしだけ貰うのは悪いよ

みすずや、メグたちには将来、働いて自分のお金で指輪を買うよでも、このバァちゃんの指輪は、寧に持っていて欲しいんだ

じゃあ、預かるだけそれでもいい

寧が小箱から、指輪を取り出す

ヨッちゃん填めて

オレは指輪を受け取り、寧の手へ

人差し指には入らない

中指にも

バァちゃんも、小柄な人だったからなあ

指も細かったんだ

薬指なら入るぞ

うわっ薬指に填められちゃった

薬指だとマズイの

マズくないよ結婚指輪だなって、思って

うふふあたし、完全にヨッちゃんの物になっちゃったって、気がするよ

寧は、指輪を撫でながらそう言った

いいのかなこんなに幸せで

そんなの気にしなくて、いいんだよもっともっと幸せになろう

はい、あなたっ

寧は、嬉しそうにそう微笑んだ

サブタイトルはメルシー・ラヴィでも良かったかも

シャルロット・ゲーンズブールの変な映画でした

シャルロットの映画は、変なの多いですけれど

シャルロット・フォーエバーとか(サントラ持ってます)

僕の妻は、シャルロット・ゲーンズブールも面白かったけれど

上が父親が監督・主演で娘に対して、エロ妄想を持っている話

下が旦那さんが監督・主演で奥さんが寝取られる描写を、わざわざ入れているという

この作品では、処女喪失と同時に女の子がイクという展開は基本的には避けています

リアルに考えたら、無いことなので

美智ぐらいですね

美智はまあ、マゾですから

というか、よくあるエロ小説でのパターンになっている、処女喪失したらその女の子が空気になるというのを避けたくて

二度目、三度目でだんだん、セックスの感じ方も変化していくから味があるのだろうと、個人的には思っています

ということで、寧とのエッチもこれきりではありません

しかしここまで、バカップルになるとは思いませんでした

気軽にセックスできるという雪乃の唯一の長所が消えましたね

本編内での攻略のノルマは、アニエスと瑠璃子までだと考えています

美子さんと麗華は展開次第ですね

急ぎ足で一気に終わらせる必要は無いと思うので、じつくりとといきます

他の子ら(遙花とか、関さんとか)は、ゴールデンウィーク期間には収まらないので、番外編に廻す予定です

352.One Hand, One Heart

寧が電話をするとマルゴさんは、すぐに迎えに来てくれた

家の前にシュルルと到着した青いマセラッティその後部座席に乗り込む

寧はオレにぴったりくっついて離れない

済みませんお待たせしちゃって

オレは、運転席のマルゴさんに頭を避ける

いいんだよずっとファミレスに居たしやらなきゃいけない仕事もあったからね

車の助手席にはノートパソコンが置いてある

情報操作とか世論誘導とか白坂守次氏は、失脚したけれどあたしたちの復讐はまだ完遂していないからね

そうだ、全ての元凶である白坂創介にトドメを刺さない限り

ミナホ姉さんたち黒い森の娼婦たちの復讐は終わらない

それに黒い森の今後のこともある

それで君たちの方は、どううまくいった

マルゴさんが、ニコッと微笑んで寧さんに尋ねる

寧さんは、ムヒヒと笑って

もう、バッチリ女にして貰ったからっ

そうだよねぇケイ

オレの胸に頭をもたれかける

うん、お姉ちゃん

甘えてくる寧を、そっと抱き締めた

オレたちは、マルゴさんの前では、姉弟の演技を続ける

オレたちが本当は夫婦だという秘密を守るために

寧は、薬指の指輪を愛しげに触っている

それは良かったところで、寧

マルゴさんが、寧に言う

寧のことだから彼の家に火を付けるとか言い出すんじゃないかと思っていたんだけれど

マルゴさんは、寧さんの放火癖を誰よりもよく知っている

そもそもは亡くなったケイさんの遺体を、家ごと燃やしたことがトラウマになっているんだろう

あ、それは考えたんだけれどねいいの、いいのっ燃やしちゃうなんて、いつでも簡単にできるしっ

寧は、ニコニコと微笑んでいる

あっ、そうだマルちゃん、今度、白いバンでまたここまで連れて来てよケイのソファを持って帰りたいのっ

寧は自分が処女を喪失したソファが、本当に欲しいらしい

ソファ

うんケイがベッド代わりにずっと寝起きしていたソファあたしが貰うことになったから

あ、でもあのソファを運び出すんなら、勝手口からじゃ無理だよ玄関からじゃないと

裏の戸は小さいし家の外をぐるっと運び出すのも大変だ

いいじゃない、玄関から出せばさ

玄関を使ってはいけないと言われている

もう、ケイいいことあそこは、そりゃ確かにあなたが所有権を持っているわけじゃないけれど、でも、あなたの家なんだよ思い出がいっぱいあるんでしょっ

それはそうだけれど

だから、いいんだよ次は正々堂々と玄関を通るからねっあたしが許すっ

お姉ちゃんが、一緒に通ってあげるからっねっ

寧は、優しく笑ってくれる

うーん、良い子、良い子大好きっ

そして、オレをギュッと抱き締めてくれた

ねえねえ、マルちゃんあたし、今、とっても幸せなのっあたし、生きてきて良かったっ

そう良かったね、寧

マルゴさんが、寧に微笑む

ありがとう、マルちゃんっ

ううん、ありがとうお姉ちゃん

いっぱい、感謝しているいつも、ありがとうずっと、ありがとうマルゴお姉ちゃんは、あたしの恩人だよっ大好きっマルちゃん

高ぶる感情寧は顔を紅潮させ、眼から涙を零す

どうしたんだい、突然

マルゴさんは、すっかり戸惑っている

あたしマルゴお姉ちゃんや、先生ううん、ミナホお姉ちゃんや、恭子お姉ちゃん、克子お姉ちゃんたちに、いっぱいいっぱい優しくして貰ってた今、すっごく判るのみんながあたしを、とっても大事にしてくれていたってこと

オレは、泣いている寧の背中を抱いてやる

ありがとう本当にありがとうっ

寧気にしなくていいんだよ君は、あたしたちの大切な妹なんだから

マルゴさんは、優しくそう言った

うんっずっと妹だよっだから、マルゴお姉ちゃんも、ずっとずっとあたしのお姉ちゃんでいてねっ

心配しなくても平気だから

ううんあたし、判っているから

ねえ、ケイ

何お姉ちゃん

あたしね高校は、後1年しかいかない一年間は、ケイと一緒に学生生活を送る

寧は、タブッているからまだ高校2年生だ

今は5月

後1年ということは卒業はしないっていうこと

どうせ元々、卒業することは無理だったんだし

寧は偽の学籍で、高校に居る

本当の戸籍が使えなかったから奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》は、まだアメリカから帰国していないことになっている

だから、奈島寧《ナトウ・ネイ》の偽名のままでは、卒業はできない

それは元の戸籍を取り戻して、奈島寧子《ナジマ・ヤスコ》で再入学すればいいじゃないか

今は、まだ5月の始めだしカナダの高校から、編入したことにすれば

恭子さんのツテを使えば、そんな工作は簡単だろう

それでまた、1年生からやり直すの

そんなの、カナダの方の記録を操作すれば、どうにでもなるよミナホと克子さんが、学校の書類上だけ途中編入したということにしておいてくれるから寧は、今まで通り学校へ通えば、そのまま卒業できるよ卒業証書の名前を、寧から寧子に書き換えるだけで済む

マルゴさんは、そんなことを考えていたのか

確かに、うちの学校の運営はミナホ姉さんと克子姉が牛耳っているんだ

どんな無茶な工作だって、その気になればできるだろう

いいの、あたしそうまでして、卒業したくない

それよりあたし、マルゴお姉ちゃんの夢のお手伝いがしたいの

マルゴさんの夢

マルゴお姉ちゃんミナホお姉ちゃんの復讐が終わったら、1人だけで行動するつもりだったでしょ

寧が、真っ直ぐにマルゴさんを見る

顔は穏やかに微笑んでいるが眼は、真剣だ

ダメだからねあたしも一緒だからコンビでしょ、あたしたち

マルゴさんと寧はお揃いの黒い革ジャンを着て、街のチンピラや不良を狩り続けた、悪名高き二人組だ

でも寧は

大丈夫よっケイとあたしにはもう、絶対に壊れない絆があるんだもんっそれに、マルゴお姉ちゃんの計画だって、ずーっとお屋敷から離れて、どっか遠くに行っちゃうわけじゃないでしょ基本的には、お屋敷をベースにして行動するんだよねっ

マルゴさんは、黙って寧を見る

何か考え込んでいるようだ

マルゴさんの夢って、何なんですか良かったら、教えて下さい

まだ、夢っていうほど具体的なものには、なっていないんだけれどね

あたしはあたしみたいな女の子を増やさないために、何かできないかって思っているんだ

インディアン居留地に生まれながら、金髪に青い眼の持ち主だったために酷い差別を受けた

そして、12歳で実の父親を含む、男たちにレイプされ

自分の身を守るために相手を射殺した

今はあたしには、自分の身を守る技術があるから、大抵のことは怖くないあの頃のあたしが、闘う力を持っていたらあいつらだって、あたしを襲って来なかったろうし、あんなことにはならなかったと思うんだ

父親を殺したこと

それが、マルゴさんのコンプレックスになっている

だから世界中の悩んでいたり、大人に苦しめられていたりする女の子たちに闘う技術を教えてあげることができればいいなって思っているちょっとした護身術でも、知っていれば自信に繋がるから女の子たちが、おどおどせずに、胸を張って生きて行けるようになるんだよあたしがそうだったからマーシャル・アーツに出会って、あたしは本当に変わることができたから

そんな夢が

それって、道場とかジムを作りたいってことですか

それもあるけれどただの格闘技ジムじゃ、ダメだよねお金が無い子でも、通えるようにしないといけないし東京に一つだけジムを建てたって、みんなが来られるわけないしあたしは、世界中の子供たちみんなに届く活動にしたいから

世界的な夢なんだ

だから、まずはマルゴお姉ちゃんの知名度を高めないとね世界的に名前を売って寄付を集めるんでしょ国際的なムーブメントにしないとさ

女の子たちに力をマルゴお姉ちゃんの夢は、あたしの夢だよっあたしだって男の暴力で、家族を殺されたんだから

寧もまたシザーリオ・ヴァイオラという男によって、家族を殺されている

自分に闘う力があればってずっと思っていたよ

ケイだから、あたしマルゴお姉ちゃんのお手伝いがしたいのいいでしょ別にケイの側からいなくなるわけじゃないからあたしの家は、お屋敷だもん

うんお姉ちゃんが、そうしたいのならオレは応援するよでも、一年間だけでも高校生活は楽しんでよお姉ちゃんは、もっともっと幸せになって良い人なんだから

オレは寧の夫だ

寧が望むのならどんなことでも受けとめる

オレは克子姉とパン屋をやることに決めている

オレはこの街に根を下ろそう

そして、いつでも寧やマルゴさんが帰って来た時にくつろげる様に

オレたちの家を守り続けよう

マルゴさん、その夢の話ミナホ姉さんたちにはしました

まただよ復讐が終わるまでは余計なことは言わない方が良いと思って

時期を見て、話すべきだと思いますきっと、みんな協力してくれますよアイデアも出してくれるでしょうしそれに

オレたちの家族には、マルゴさんの夢に役立つ人材が揃っていると思いますよ

人材って

マルゴさんが、驚いた顔でオレを見る

例えば美智とか

国際的にアピールするなら、工藤流古武術は効果があると思いますよ

でも、美智ちゃんは

やらせますいえあいつは喜んで協力してくれますそういう子ですから

オレには、確信がある

美智は義の女だ

マルゴさんの夢の趣旨に賛同すれば人前で工藤流の技を晒すことは厭わないだろう

剣道なら、麗華だって教えられるじゃないですか頼んでみましょうかシスター・イーディの暗殺術は、ちょっと趣旨に反するかもしれないけれどとにかくマルゴさん一人で頑張る必要は無いんですマルゴさんの夢は、オレたち家族全員の夢ですから

オレは、ニコッと微笑む

そうだねっ美智ちゃんならニンジャ・ガールとして世界中で大人気になると思うよっ麗華お姉ちゃんだって、サムライ・レディだしマルゴお姉ちゃん一人よりも、インパクトがあるって

寧も、賛成してくれた

それはそうだろうけれど

マルゴさんは、深く考え込んでいる

とにかく、じっくり考えてみて下さい別に急いで答えを出さなきゃいけないことじゃないでしょ美智や麗華には、いつでもオレが話しますから

だけど、あたしがマルゴお姉ちゃんとのコンビをこれからも続けるっていうのは、もう決まりだからねっお姉ちゃんには、あたしみたいな可愛いマネージャーが居た方がいいんだからっ

寧が言う

寧の提案は嬉しいけれどあたしのマネージメントは、あたし自身でやった方が効率がいいよ

マルゴさんは強いだけでなく、頭も良い

確かに、個人マネージャーなんて必要無いのかもしれないけれど

判ってないなあ女豹みたいに鍛え上げられた、凛としたマルゴお姉ちゃんの横に、ゴージャスでエレガントなあたしが居るから絵になるんじゃない

寧は、クスクスと笑う

そうかそういう考えもあるね

とにかくコンビ解消はしないからね

寧は、強くマルゴさんに言った

それでこの後は、池田先生のところへ行けばいいのかな

うん足の間に、まだ何かが刺さっているみたいなのヒリヒリするんだあたしの大切な弟が、無茶なことをしたからっ

大丈夫、お姉ちゃん

寧は、オレを見て笑う

もおっ、ちょっと大げさに言っただけだよそんなに心配しないでっ

だって、お姉ちゃんの身体のことだから

寧は、オレを抱く

豊かな胸が、オレに押しつけられる

大事にしてくれて、ありがと

それから、マルゴさんに

あたしの大好きな弟がね妊娠するのは、まだ早いって言うのお姉ちゃんとしては、いつでも弟の性欲を満たしてあげないといけないから、身体のメンテナンスは怠れないよねっだから、やっぱり池田先生に診察して貰うっ

マルゴさんは苦笑して

了解じゃあ、車をそっちに向かわせるね

エンジンを始動させる

寧は、池田先生に電話して診察の予約をして

はーいあ、そうだついでに優花さんのお店にも電話して、今日予約できるかどうか聞かなきゃ

優花さんて美容室

あ、マルゴお姉ちゃんあたし、髪の毛、黒に戻すからケイが、黒い方か好きなんだってでも、大丈夫だよお姉ちゃんとのコンビの時は、ちゃんと金髪のカツラを被るからさっ

寧は、黒髪に戻す件をオレのせいにする

まあいいけれど

ちなみに、カラーコンタクトは外したままだ

ケースに入れて、持って来ている

やっぱりさ黒い森(ブラック・フォレスト)のコンビは、金髪同士でないとねっ

そう言って、携帯電話を取り出す

あ、ちょっと待って、マルゴさん

池田先生の医院に行くなら美智も連れてって貰えませんか

さっき美智の話をしたから思い出した

あいつも昨夜、処女喪失したばかりで

しかも、危険日なのに膣内射精しちゃってる

急いで診て貰わないと妊娠しちゃうぞ

ああ、そうだったねじゃあ、美智ちゃんを途中でピック・アップしよう美智ちゃん、今、青山斎場だっけ

多分、そうです今、みすずに電話して確認します

急いで取りあえず、青山方面に向かうから

青いマセラッティが、始動する

オレも急いでみすずに電話を掛ける

はい、もしもし

さっき貰ったばかりの携帯電話だ

みすずは、誰からの電話か判っていないようだった

もしもし、オレだみすず

ああ、旦那様っ

声が途端に柔らかくなる

あ、今使っているこの電話も臨時の携帯電話機だから昨日までの機械は、悪い奴らに調べられる可能性があるから廃棄することになったんだお前の電話も、換えた方がいい

かしこまりましたあたしと美智の分は、香月セキュリティ・サービスに処理させます

みすずは、反応が早くて助かる

その美智のことなんだけれど池田先生に連れて行きたいんだ

そうですねその方がいいですわね

今、どこに居るみすずの側に居るのか

はいここにいます瑠璃子たちも一緒ですわ

もう会場に居るのか

そこから美智だけ連れ出しても平気か

ええ、あたしたちの警護には関さんが付いてくれていますし隣の控え室には、お祖父様がいらっしゃいますから、谷沢さんや大徳さんたちもいらしています

香月セキュリティ・サービスの中枢部が、そのまま移動して来ているのなら心配は無いだろう

判ったそっちに付いたら、また連絡する

みすずの声が、小さくなる

美智と入れ違いでこちらの会場に残ってはいただけないでしょうか

瑠璃子と美子さんの状態が、不安定なんですあたし一人では

うわわ寧が安定したと思ったら、今度は瑠璃子か

まあ実の父親が亡くなったんだし

というか美子さんのお父さんを殺したのが、自分の父親だってことも判明してしまったんだっけ

瑠璃子の心は複雑だろう

長年姉妹の様に育った美子さんとの関係も微妙になってしまっているに違いない

判ったオレに任せろ

オレが何とかするしかないな

ああ、すぐに行くから

お待ちしております愛しています、旦那様

電話を切る

どうしたのケイ

青山で、オレは降ります瑠璃子が、落ち込んでいるらしいんです

寧も心配そうな顔をする

あ、でも、お葬式なんでしたっけオレ、こんな格好でいいのかな

オレは、昨夜ホテルに着ていったスーツにYシャツのまんまだ

克子姉が直してくれた、ミナホ姉さんのお祖父さんの

生地や仕立てが良いという話だったけれど

やっぱりお葬式用の黒服じゃないと、入れて貰えないですかね

大丈夫だよ今日は、お通夜でしょお通夜は、礼服じゃなくてもいいことになっているから

寧が、教えてくれた

急に知らせを聞いて、慌ててやって来たっていう設定だから派手派手しいスーツじゃなければ、問題無いはずだよ

うん、君の着ているスーツはクラシック・スタイルだし

運転中のマルゴさんが、ミラー越しにそう言った

クラシックって

男の人のスーツには、大きく分けて、クラシックとモードの二つの種類があるのさクラシック・スタイルも、ブリティッシュとコンチネンタルとアメリカンに別れるけれどねで、このコンチネンタルというのも、フレンチとイタリアンでは全然違うし

そういうのは、渚さんが詳しいから、教えて貰うといいよ男の子は、知っておいて損は無いから

渚お姉ちゃんは、お花の世界の人だからねえ服装とかについての知識も必要なんだよ服って、礼儀作法に通じるからね

寧も、そう教えてくれた

でも、ネクタイだけは地味な物をした方がいいよねっ

うん、そこのコンビニで買おうかお葬式用のネクタイとかって置いてあるだろ

え、あるかなあ

コンビニによっては置いてあるよ

マルゴさんが、車をコンビニの駐車場に入れる

待ってて、あたしが買ってくるから

寧が一人、車から飛び降りる

あ、オレも行きます

いいからあたしに任せてっケイは、ここで待っていてねっ

寧はそのまま、店の中に突進した

ふふふ、姉さん女房がやりたいんだよ、寧は君の世話がしたくて、仕方がないみたいだね

姉さん女房という言葉にドキッとする

マルゴさんにはオレたちの秘密は見抜かれているのか

どんな魔法を使ったんだい

マルゴさんが、オレの眼をジッと見る

寧がコンタクトを外してきたんで、びっくりしたよあれは、寧の心のガードの一つだからね

マルゴさん判っている

寧は心の壁を一つ壊すと、すぐ先に次の壁があるどこまで行っても、壁があって、他人には本当の心を中々見せてくれないそういう子だったあたしやミナホ、恭子さんにもね

この数年ずっとそうだったんだ

どんなに人当たりが良く見える時だって、他人との間に大きな壁を作っていたそんな寧が君には素直だ今の寧は、君に対しては、心の壁が完全になくなっちゃったみたいに見えるよ

オレは自分の心を、ありのままに伝えたんです

君の心

オレは、寧さんが大好きです大好きです大好きですって寧さんも、オレの気持ちを受け入れてくれて

要約するとそうしか言えない

オレたちは愛し合っている

それを確認した

人生を上手くやっていくコツは三つある一つ目は、人に親切にすること二つ目は、人に親切にすること三つ目は、人に親切にすることだ

昔、イギリスの貴族でそういうことを言った人がいるらしいよ君の場合は、愛することと親切にすることが一緒なんだね

寧のことありがとうこれからも、大切にしてあげて

もちろんですオレの大事な人ですから

大事な人愛している人

大好きな人

オレの奥さん

あったよっマルちゃんの言う通りだったぁっ

寧が、黒いネクタイを買って飛び出して来る

その表情は、とっても明るく幸せそうだった

ほらっ、ケイ

車の中に乗り込んで、オレの首にネクタイを当ててみる

うんっ、可愛いっ

可愛いのは寧の方だよ

オレと寧は、もう離れない

身体の距離は離れても

心と心は、くっついたままだ

ということで、次話は青山へ行きます

ボリス・ヴィアンの小説にうたかたの日々というのがあります

今は、日々の泡というタイトルで翻訳し直されて出版されているのですが

日々の泡の方が、原題の直訳であるとはいえ

うたかたの日々というタイトルには、惹かれるものがあります

うたかたの日々、とても詩的で比喩的なイマジネーションで書かれていますが

愛する人が、植物化していく悲しみについて書いた小説です

映画版は、低予算過ぎて今ひとつでしたが

岡崎京子先生のマンガ版もあります

父が手術してから、あまり笑わなくなりました

表情がまったく消えてしまう時もあります

呆けるということは、心が消えることなのでしょうか

悲しいですね

ちょっとうたかたの日々のことを思い出します

もう父は、私の子供時代の家族旅行のことなどは一切覚えていません

自分の子供時代の話ばかりします

いずれは私のことも忘れてしまうのかもしれません

私の祖母たちが、そうであったように

写真を撮っておきなさいどうせみんな忘れてしまうのだから

と行ったのは、写真家のアラーキーさんです

ここ数年、その言葉に従って、父の写真を撮っておいて良かったなと思います

353.弔いの地へ

青山へ向かう車の中不意に運転席のマルゴさんが言った

白坂創介への復讐の件なんだけれどね

寧は、オレにぴったり寄り添ったままオレの手を擦っている

あたしたちは、自分たちが間違っているということは、よく判っているんだその上で、君に頼みたいことがある

言って下さいオレは何でもしますよ

アニエスを犯して欲しい

君も知っていると思うけれどアニエスは、白坂創介が自分の性的な嗜好を満たすために産ませた子だ生まれてからずっと、お屋敷の地下室に閉じ込められていて白坂創介に尽くすことしか教えられていない

12歳になるまで友達もいなく、学校にも通っていない

ミナホの復讐は白坂創介から何もかも全てを奪い取って、絶望のどん底に突き落とすことだすでに、社会的な地位を一族の後ろ盾を家族を、やつから奪った

国辱的ハレンチ野郎として日本中のマスコミに晒された

勤めていた広告代理店もクビだろう

白坂の一族は、白坂創介を見捨てた

妻とその実家も

二人の娘は、オレたちと一緒に居る

後は、アニエスだけだ白坂創介の眼の前で、アニエスを犯せばミナホの復讐は最後のステージに向かうことができる

何の罪も無い12歳のハーフ美少女を

オレが無理矢理レイプするのか

マナを最初にレイプした時と同じ葛藤が

オレの中に起こる

頼むよミナホの心を救ってあげてくれそこまで徹底的にやらなければ彼女の心の闇は晴れないと思うんだ

マルゴさんの気持ちはよく判るけれど

白坂創介によって、人生を狂わされた娼婦たちはみな

そこまでしなければ、許さないだろう

自分の家族の処へ、二度と帰れなくなった人もたくさんいる

ミナホ姉さんみたいに、家族を殺された人も

マルゴお姉ちゃんそうじゃないよ

寧が、オレの手を握ったまま言った

もう、そういうアプローチをしなくてもいいんだよケイにはね

ニコッと笑って、オレを見る

ケイアニエスのことも、幸せにしてあげてっ

どうせ、あの子だってケイが何とかしてくれないと、幸せになれない子なんだからっ

オレの手に、チュッとキスをする

オレにできるのかな

自信を持って、みんなを幸せにしてきたケイじゃない

類にそう言われると何とかしなければという気持ちになる

大丈夫だよあたしたちも、付いているからケイ、一人で頑張らなくていいからねっ

オレの一番新しい奥さんは、そう言ってオレを鼓舞してくれた

うんとにかく、やれることからやって見るよお屋敷に戻ったら、とにかくアニエスに会ってみる

それがいいよマルゴお姉ちゃん白坂創介の最終処分て、そんなに急ぐ必要は無いんでしょ

ゴールデンウィーク一杯は、時間を掛けられるよマスコミの注目が、少し収まるのを待つから

白坂創介のスキャンダルが報道されたのが一昨日

白坂守次氏の強制引退が昨日の夜報道は、今朝

ミナホ姉さんが白坂創介をどう最終処分するのかは、判らないけれど

あんまり立て続けじゃあ、警察やマスコミの追求が厳しくなる

数日、沈静期間を置くつもりなんだな

連休が終われば、通常のニュースも増えるから報道の取り上げ方も変わるだろうし

今日が5月3日だから今年のゴールデンウィークは、6日までだよねっ

今日を入れて残りは、3日と半日

それで、決めないといけない

まっ、何とかなるでしょっ

何でそんなに余裕なの

あなた自分がどれぐらいの時間で女の子を変えちゃっているか判っているの美智ちゃんなんて、1日ちょいだよっ

そうだ美智と会ったのは1日のお昼が初めてで

2日の夜には、思いっきり心月セックスしていた

メチャクチャだなオレ

だっから3日もあれば、ケイなら充分だって

寧は、笑ってオレの手に頬ずりする

寧が一番変わったよ

呆れた様子で、マルゴさんが言った

変わってないよあたしは、最初っからずーっとケイのことが大好きだもんっ

それは彼の方だよ

出会った初日からずっと、寧にメロメロだったものね

マルゴさんには、そう見えていたのか

何か、顔から火が出そうなくらい、恥ずかしい

そうだよっケイは、お姉ちゃんのこと、ずーっとずーっと好き好きでいてくれるんだもんっ

幸せそうに寧が微笑む

さて青山の葬儀場に着く

お葬式の会場としては日本一の広さというだけあって、なかなか凄い

もちろん、香月セキュリティ・サービスの制服組が警備をしている

山岡部長がクビになっちゃったのに制服の人たち、大丈夫なんですかねえ

その辺は、谷沢さんが何とかしているんでしょまあ制服の人は、上から言われたことをそのまま自分のアレンジを加えずにするのが仕事だからトップが有能なら、何とかなるものだよ

トップ・エリートの管理もして、制服組の指揮も執るんじゃ大変ですよね

仕方無いよ山岡部長に色々と問題があるのを知りながら、それでもあの人に期待をして、ずっと使い続けてきたのは谷沢さんなんだから昨夜、ああいう形で山岡部長を解雇したのも、谷沢さんだしね同情しちゃダメだからね

そうだよ責任ある立場の人が、責任を持って対処するのは当然だよ

そういう風にドライに考えないといけないのか

池田先生の医院、2時半に来て下さいってそれから、優花さんの美容室は、夕方4時の予約になったからだから、ちょっと時間あるしあたしたちも、みすずたちに会いに行こうよ

寧が、マルゴさんに言う

そうだねちょっと、様子を見に行こうか

ケイ、着きましたって、みすずに連絡してっ

寧に言われて、オレはすぐに携帯を掛ける

寧さんとマルゴさんも、オレと一緒にそっちへ向かうと告げる

みすずは、関さんを寄越してくれると言った

マルゴさんは、車を正面入り口に着ける

失礼致しますどちらへ行かれますか

受付の警備員が、運転席のマルゴさんに尋ねた

昨日の劇場の入り口を警備していた制服組より、ビッとしている

トップが変わると、こんなに違うのか

正面受付は、会場の顔だから谷沢チーフが信頼できる有能な警備員を抜擢したんだろう

君のとこのトップ・エリートの関さんに連絡してみてすぐに指示をくれるはずだから

どちらの部署の関でございましょうか

警備員は、聞き返す

仕事に熱心なのは判るけれど、あたしに対して、そういう探り方をすると、あなたのクビが飛ぶよ

マルゴさんは、冷ややかに警備員を見つめる

自分の眼の前に居る人間が、どういう立場の相手なのかきちんと洞察できる眼を見に付けたら

制服警備員は、すぐに

申し訳ございませんすぐに関に連絡致します

車から離れて、無線機で通話する

確認致しました正面からお入りになって、3番の駐車エリアにお進み下さい関がお待ちしているそうです

ご苦労様

マルゴさんは、車を葬祭場の敷地へ入れる

覚えておいて着ているものとか、乗っている車とか、そういうのが大事だってこと

やっぱり、そういうのは相手の格を知るための目安だからねこの車がマセラッティじゃなかったら、こんなにすんなりとは通してくれないよ

ベンツでもフェラーリでもなくもマセラッティを選ぶセンスとこれを日常の足として乗り回している雰囲気をちゃんと相手に伝えればねあたしたちが、特殊な階層に属している人間だってことは、おのずと想像できるはずだよ

ベンツなら、小金持ちでも乗っているし

日常でフェラーリを乗り回しているのは、ちょっとバカっぽい感じがする

このマセラッティは風格もあるし相当なお金持ちでないと乗り回せないのは、誰が見ても判る

しかも、マルゴさんはボディも車内も綺麗にしているし

それなのにあの人が探りを入れてきたのは、運転しているのがあたしだったからだよこれが、渚さんだったら、迷いなく、すぐに関さんに連絡してくれたろうね

やっぱり品かなあ渚さんなら、この車に合った気品が出せるから、上流階級の女性に扮することもできるけれどあたしには、無理だからねまだまだ車の格に負けているんだなあだから、あの警備員に舐められた

マルゴさんは、反省しているようだ

先生、ううん、御名穂お姉さんだったら、どうだった

寧が尋ねる

ミナホには貫禄があるからね

じゃあ、マルゴお姉さんも貫禄路線を目指せばいいんじゃないっ

そっちの路線は、突き詰めると恭子さんになっちゃうよ

マルゴさんは、笑う

もっとも、恭子さんならわざと警備員とトラブルを起こして楽しむんだろうねそういうイタズラが大好きだからあの人

うんよく判る

指示された駐車区画にはすでに関さんが来ていた

マセラッティは停車し、オレたちは車を降りる

わざわざ済みません

オレは、関さんに頭を下げた

あなた、大丈夫なの

開口一番、関さんはオレに尋ねる

はいもう平気ですみんなのお陰で、立ち直りました

オレはニコッと微笑んでみせる

そうごめんなさいね、あたしの不注意で

関さんは、オレにピストルを預けたことを後悔しているらしい

その銃でオレは、シザーリオ・ヴァイオラを射殺した

気にしないで下さいもう、済んだことです

オレはそう言い切る

あの時は、あれがベストの選択だったと信じています後から考えれば、他にもっと良い手があったのかもしれませんがあの瞬間のオレには判らなかったんだし、結果として家族が無事だったのなら、それで良かったんだと割り切ることにしました

そう言って貰うと助かるわ

関さんは、ホッとした顔をする

でも、覚えて置いてあたしは、あなたに借りがあるのよこの借りは、一生掛けて返していくから

いや、大げさですよ関さん

いいえ人を殺すということは、それぐらい重いことなのよ故意だろうが、無意識下の事故だったとてもあなたの心に黒い染みを作ってしまったことに代わりはないわ

関さんの言葉にマルゴさんは

そうだね乗り越えたつもりでも、じわじわと心に染み込んでくるよ突然、フラッシュ・バックしたりもするからね君は、完全に克服したとは思い込まずに気を付けた方がいいあたしたちも、注意するから

マルゴさん自身、12歳の時の正当防衛の殺人が今でもトラウマになっている

オレも暢気でいてはいけないな

大丈夫よあたしたちが、ずっと側にいるからねっ

寧が、オレの手を握ってそう言ってくれた

オレのことより瑠璃子は、どうなんです

カメラの映像とはいえ瑠璃子は実の父が、ミス・コーデリアに殺害される瞬間を見てしまった

ショックは大きいだろうと思う

控え室にいらっしゃるわよくない感じよ

心配そうに、関さんは言う

判りましたとにかく、そこへ向かいましょう

オレたちは、葬祭所の親族控え室に向かう

ところであたしの同僚は、どうしているの

廊下を歩きながら関さんが言った

えっと麗華のことですか

そうよあたしが、瑠璃子様やみすず様の警護に付かないといけないから藤宮さんをホテルに残したのにその後、連絡が無いんだけれど

えっと麗華がいないと困りますか

元々、あの人はトップ・エリートの中でも外れていて自分の担当する警護対象者が居なかったでしょだから、別にあの人がするって決まっている仕事は無いんだけれどこういう突然の事態には、フリーで動ける人がいると助かるのよあちこち、フォローに廻って貰えるから

そもそも、昨日、劇場で麗華がみすずたちの警護をすることになったのだって

トップ・エリートの中でフリーな立場だったからだろう

その上、女性だから女の子たちの警護に最適だったわけだ

みんな忘れているみたいだけれどあたしは、本来は閣下の専任警護人なんだからまあ、そっちは化け物二人が揃っているから心配は無いんだけれど

今の状況では、関さんはジッちゃんの警護人から降格させられて、みすずたちの警護をさせられているみたいに見えるのだろう

確かに、ちょっと問題だな

麗華は今は、ちょっと手が離せない状態で

何でどこにいるの彼女

渚のお花屋さんの手伝いをしているとは言えないなあ

でも、今日一日ぐらいは警護人の仕事から離れて欲しいし

麗華お姉さんはみすずちゃんの代わりに、どうしてもしないといけない仕事があって、そっちへ行ったよ

マルゴさんが、関さんに言う

みすず様の

ああ詳細は、ちょっと言えないけれど

みすずは渚の店で、アルバイトしていたから

忌引きでお店に来られないみすずの代わりに、渚の花屋で仕事していると言えないこともない

かなり、ツライ言い訳だけれど

そうなら、しょうがないわね

関さんは、納得してくれた

控え室に行くまでの経路には、何人もの警備員が立っていた

検問所のようなところが幾つもある

まあ、関さんと一緒だから、どこも顔パスで通して貰えたけれど

さすが、ジッちゃんの専任警護人

香月セキュリティ・サービスの職員には、よく知られているらしい

こちらの部屋よ

関さんはご親族控え室・3という部屋をオレたちに示す

ジッちゃんは

他のご親族の皆様たちと、控え室・1の方にいらっしゃるわ

そうか今日は、香月家の親族やグループ企業の人たちも来ているんだ

香月家の当主であるジッちゃんの息子が死んだんだもんな

あなたたちは、そちらには行かない方がいいわお通夜は夜からだけれど、もうかなりたくさんのご親族の皆様がいらっしゃっているから

そのうち、香月操や、香月仁たちや、その家族も来るんだろうし

オレが顔を出したら、また面倒なことになるかもしれない

この控え室・3は、あちらの控え室からは少し離れているから

関さんが、位置関係を説明してくれる

閣下が、他の方たちにこちらの控え室には来ないように厳命して下さっているわご親族の皆様も、瑠璃子様が重いショックを受けられて塞ぎ込まれていることはご存じだしあなたたちが部屋に入っても、誰にも気づかれずに済むと思うわ

それは助かる

みすずたちも、この部屋にいるんですね

ええいらっしゃるわみすず様も美子様も美智さんもこの中よ

そして、関さんはドアの脇に立てかけられていたパイプ椅子を取る

あたしは、ここで監視しているからゆっくり、お話していいわよ大丈夫、閣下以外の人は、絶対に通さないから

そう言って、関さんはオレたちに微笑む

オレは、礼を言って控え室のドアをノックする

みすずの声だ

オレだ

ギイとドアが開く

現れたのは、美智だった

お待ちしておりました、ご主人様マルゴお姉様も、寧お姉様もよく来て下さいました

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