そうか力のせいでなければ
ジッちゃんが、一番愛している瑠璃子の側に
ヤクザたちから追われている鷹倉姉妹を連れて来るはずがない
しかしそれだけだおそらく彼女が、私を操作したのはな鷹倉清美が、それ以上のことをしなかったのは姉の記憶の中に香月家に対する畏れの念が残っていたからだろうすなわち古き家名である香月の過去の権威に助けられたのだ
香月家がかつて、神社を取り仕切る立場だったから
死んだ巫女はそのことを記憶として、受け継いでいたから
姉の巫女と心を重ね合わせてしまった清美さんもそう思い込んだ
だから、ジッちゃんに全ての調停を委ねた
その代わり、こちらは狂っている女のイメージに合うように、色々と演じなければならなかったがな私が、ヤクザたちに対して圧倒的な力で超然としている貴人でなければ、あの女は納得してくれなかっただろうからなまあ、取りあえずは上手くいったと言えるだろう鷹倉清美を自死させることに成功したのだから
清美さんに自殺させることが成功なんだ
いや、他に方法が無かったと言うのなら仕方の無いことなのかもしれないけれど
お前昨日の国際ニュースを見たかメキシコの
メキシコって何のニュース
メキシコでなギャングが、病院の車を襲って搬送されていた荷物を奪ったんだギャングたちは、それを金目のものだと思って奪ったようだが中身は、放射線治療に使うコバルト60の塊だった数分間触れていたら、それだけで被爆してやがては死亡するというシロモノだよ警察官は、空っぽになった保護ケースだけは発見したそうだがギャングも放射性物質も行方不明のままだ何だか判らないものとして、ギャングたちが持ち歩いている可能性がある
それって知らないで、そのギャングに近付いた人たちは、みんな被爆しちゃうじゃないか
その通りだそしてこの問題は、現時刻も現在進行形で進行している
メキシコでは放射性物質を持った人が、うろついている
コバルト60は、簡単に兵器に流用できるいわゆる、ダーティー・ボムというやつだテロ行為などで使われたら、数千人もの被害者を出すだから、今メキシコと隣国であるアメリカの警察は、必死になってギャングたちを追跡しているもし、ギャングたちが自分たちの持ち歩いているものの危険性に気付いて当局に回収を願い出れば良いが、どこかに不法投棄したりあるいは、テロ組織に売り付けでもしたら恐ろしいことになる
確かにヤバいなんてもんじゃないぞそんなの
まあ遠い異国のことだから、私たちは続報を待つしかないがね
さすがに、メキシコの事件はジッちゃんにも、どうすることもできないか
今回の鷹倉神社の巫女のケースも、これと似たようなものだ
鷹倉神社の巫女も間違って使用すれば、恐ろしい結果をもたらすような禍々しい存在だったそれなのにそんな危険なものを、どういうわけだかヤクザたちが支配・管理していたその上仲裁の儀などという、下らないゲームにしか使っていなかった
ヤクザたちは、鷹倉神社を支配していたが明らかに、もてあましていた
放射性物質の恐ろしい力を知らずに、持ち歩いて逃げているメキシコのギャングと同じだよ幸いにしてこれまでのヤクザたちは、巫女の力を攻撃的に使うことに気付かなかった彼らは、彼ら同士でのヤクザ界の力関係の均衡にしか興味が無かったからだ彼らは、一人の大親分の力が突出するのを嫌った全員が共存することを優先に考えてきた今までは
だから仲裁の儀は
抗争をした親分たちに、巫女を抱かせ
巫女に心と記憶を読まれるという罰ゲームになっていた
内心の考えを他人に知られたら野心のまま、思い切った行動をすることはできなくなるから
しかし今回、鷹倉清美が、巫女の力の使い方を示してしまった巫女の力を本気で使えば、どれだけ恐ろしいことができるかをこれは、とても危険なことなのだお前もそうだったろう鷹倉3姉妹に巫女の力を目覚めさせたら天下が取れるとは、思わなかったか
思ってたよオレもみすずたちも、そんな話をしていた巫女の力があれば、香月家や黒い森にとっても役に立つだろうって
企業や外国との交渉を有利にするとか
お前がそう思うくらいだ他の人間も、そう考える結果、巫女の争奪戦になる多くの人が死ぬそして、日本人的な考え方としてそんな争いになるぐらいなら、鷹倉神社の巫女は抹殺した方が良いという話にもなる
歴代の鷹倉神社の巫女たちは自分たちの力の有効性を示したら、神社にまつわる血族が全員殺されることを知っていたんだろうだからヤクザたちのオモチャになる運命を甘んじてきたそれでも耐えられたのは巫女だったからだ巫女として神社の主として認められた存在だったからだしかし、鷹倉清美は彼女自身は、巫女ではなかった巫女としての矜持を持たないまま本当は、自分の方が姉の巫女よりも強い力を持っていると過信していただから清美は、暴走したんだ
巫女でなかったからこそ
巫女であるから耐えなくてはいけないという意識が、欠落していた
自分の力に溺れた結果病んだ姉の心に浸蝕されて
全てを崩壊させた
そして、鷹倉清美は自分が最後の巫女になることを望んでいた彼女が、姉から受け継いだ破滅願望は鷹倉神社の巫女の伝統そのものを終わらせようとしていただから、私はその思いを後押ししてやったんだ多くの観衆鷹倉神社の血族を苦しめ続けて来たヤクザたちの前で、最後の巫女が自死するというステージを用意してやった彼女は、実に感動的に死んだと思うよ彼女の望んだイメージ通りに
じゃあ、月子たちを清美さんに接触させなかったのは
ジッちゃんと同じVIP室から、見下ろすだけにして
清美さんの力の及ばない距離に居させたのは
1つは鷹倉清美に、月子たちが力に目覚め始めたことを気付かせぬようにあの姉妹たちにも力が芽生え始めていることを知ったら清美は、あの子らと心中しようとしたかもしれない
もう1つは鷹倉清美が、姉の巫女の暗い心の衝動に乗っ取られたようにあの姉妹たちも、鷹倉清美の病んだ心ら支配される可能性があったからだ
あの姉妹には、可哀想なことをした彼女たちの声を、一切、鷹倉清美に聞かせなかったのも、そういう理由だ
月子たちが何かの拍子で、自分たちが力に目覚めたことを口走ってしまうかもしれないから
じゃあ、オレがあの子らの力を目覚めさせたのは、全部、失敗だったんじゃないか
それは、違うわ良信香月様が今、おっしゃっていることは最終的に判明したことなのよ実際にはこの数日、たくさんの人間が様々な調査をして、鷹倉神社の巫女の真実に行き当たったのよそれこそ、古文書の調査から過去に仲裁の儀を行ったヤクザさんたちへの聞き取りとか、鷹倉家にまつわる人々の身辺調査なんかもねそして、もちろんあなたと鷹倉姉妹のことも、巫女というものの真実を知るためには有効だったのよあなたたちを監視していたからこそあたしたちは、清美さんに対する正しいアプローチを見つけ出すことができたんだと思うわ
ジッちゃんたちも、最初から解答を知っていたわけではない
この数日懸命に答えを探していたんだ
判っていると思うがあの娘たちの力は、隠せ多少、勘が鋭いとか、カリスマがあるとかその程度に留めるんだ巫女の力が、まだ存続していることが判ればいずれまた狙われることになるぞ
ジッちゃんが、ヤクザたちに鷹倉神社の巫女のことは忘れろと命じても
何かしらの記憶は残る
月子たちは、力の片鱗を見せてはいけない
相手に判らないように密かに使う方法を学ばせろ
ジッちゃんは巫女の力は、完全に消してしまった方がいいとか思わないの
そういう話じゃなかったのか
あんな便利な力を、どうして失わせる
ジッちゃんは平然とそう言った
要は使い方の問題だあんな力の存在を、世間に公開することはできんだから、力を商売のネタにすることもできない宣伝できないし邪な連中に狙われることになるからな
そうだよだから隠すっていうかいっそのこと、力が使えないようにしてしまった方が
そんなことは許されんよ
巫女の力は古代より、連綿と受け継がれてきたものだそれを彼女たちの代で、消してしまっていいものなのかね
お前は知らないだろうが世の中には、たくさんあるんだ世間の人々には、一切知らされていないが古代より、受け継がれているものはたくさんあるこの日本にはそれぞれの継承者が、自分の子供にだけ伝えるその子が、また子に伝える外部の人間には絶対に教えない秘伝というものがな
秘伝
鷹倉神社は途中で、ヤクザたちと関わるようになって、おかしくなっただけで遥かに長い歴史を持っている巫女の力も元々の秘伝に戻せばいいだけだ
ちゃんと隠しておけるのならあえて消失させる必要は無いのか
それとお前たちの個人的な問題に対して、密かに力を使うことはアリなのではないか例えば、人間関係をスムーズにするとかお前がビジネスを始めた時に、彼女たちを連れて行って、相手に好印象を感じさせるということもできるぞ
そんなことして、いいの
相手が力を使われたことに気付かねば何の問題もないだろう
でも、あの不公平じゃないかな卑怯っていうか
お前が、お前の家族を飢えさせたくないのならそういう感情は捨てろ
使えるものは何でも使えお前は、自分の家族を幸せにしたくないのか貪欲になれそうでないと家族は守れん
あなた人に同情しないって決めたんでしょ相手に対して公平にしようとかこれは卑怯かもしれないっていうのは、同情と同じよ相手を見下しているだけあなたは、自分が人よりも劣っていると思っているんでしょだったら、もっと貪欲にならないとダメよ
ミナホ姉さんにも、そう言われる
ちなみに鷹倉清美さんの夫が、隠し持っていたという資料は全て確保してあるわ
鷹倉神社にあった古文書か何かを元に巫女の力を強化させる方法を見つけたっていう
資料は全部焼き捨てたって、言ってなかったっけ
清美さんが死ぬ前に
原本はねでも、彼女の夫のコンピューターに全て、バックアップされたものが残っていたわ清美さんをどう行ってどういう成果が出たかという記録も
清美さんはコンピューターの中まで調べてなかったんだ
それもお前に預ける好きにしろ
色々言って悪かったがなこれより先は、お前とあの姉妹たちの問題だ私は高齢だ後、10年は生きられないだろう使えるものは、何でも残しておいてやるお前たちには、なるべく多くの選択肢をなそこから、どういう未来を選ぶかはお前たち次第だ
巫女の力も清美さんの夫の記録も、あたしたちはあなたたちから取り上げないわ全て、そのまま引き渡すからあなたたちで相談して決めなさいあなたたちの未来なんだから
これは危ないものだから取り上げるというのは、甘やかしなんだ
オレたちはもう危険物の取り扱いですら、自分たちで考えてやっていかないといけない
さっき、下のヤクザたちにも言ったが香月セキュリティ・サービスは、いずれお前にやるみすずと瑠璃子には、裏工作には関わらせるな関くんやミナホくんとよく相談してお前が舵を取れ
みすずと瑠璃子は聡明すぎるんだ頭の良い人間は、自分たちの敵も頭の良い人間だと思い込んで失敗するだが、今回のことを見て、よく判ったろう世の人々というのは意外と計画性が無い突発的に、場当たり的な行動を取ることの方が遥かに多いんだ表の世界のことはともかく裏のことは、みすずたちだと考えすぎて良くないだから、お前が中心になってやれ
オレは頭が悪いんだよジッちゃん
だから良いんだお前は確かに、聡明では無いがその分、自分の思考に囚われることがない人の意見も良く聞くし、よく観察し、よく考えるちゃんと反省もするそういう人間の方が裏の仕事に向いている表の世界は、攻撃が主体だが裏は、守りが肝心だからなお前は、守ることに向いていると思うよ
ジッちゃんはそう言ってくれた
さて、そろそろお前をあの娘たちのところへ返してやるべきだろうなあの姉妹が不安がっているだろうし
ジッちゃんその前に、ちゃんと報告させてくれよ
ああすっかり忘れているんだ
オレは、軽く片手を上げ
ジッちゃんに報告します月子と、夜見子と、ルナのことだけれど3人とも娼婦には向いていないですオレは、そう判断しました
オレはジッちゃんに鷹倉姉妹の娼婦の適性検査を頼まれていた
それは、本当は月子たちから巫女の力についての情報を聞き出すための方便だったのかもしれないけれど
オレは頼まれたんだジッちゃんに
ジッちゃんは静かに返事をした
それでジッちゃんに、お願いがあります
あの3人姉妹を月子と、夜見子と、ルナをオレに下さいオレの女として絶対に幸せにしますだから
承認する
ずっと不機嫌だった顔のジッちゃんが
クスリと笑う
私は、お前のそういうところが好きだよそのきちんとした頭の悪さが、気に入っている
鷹倉3姉妹は、もちろんお前にやるというより今となっては、あの姉妹の心を安定化できるのは、お前しかおるまいところでお前、何か忘れてないか
な、何のこと
3人姉妹のついでに、もう1人引き取れ鷹倉清美の娘だ
コヨミさん、12歳京都で保護されて今、こっちへ向かっているわ
ルナと同い年なんだっけ
清美の話では巫女の修行の最初ぐらいは、やらされているらしいやはり、他の姉妹と一緒にお前が管理しておくべきだと思うぞ
従姉妹の月子たちと一緒の生活をさせてあげた方がいいだろう
ちゃんと世話しなさいね姉さんは、手伝ってあげませんからね
ミナホ姉さんはまるで子犬でも拾うかのように言った
うん大丈夫だよみんなで面倒を見るから
自分が1人で頑張るは、止めたのね
今回のことで思い知ったよオレの力なんて、全然ダメだけどオレの家族の力は凄い月子たちだって、みんなが居てくれたからオレたちに心を開いてくれたんだし
ルナには、アニエスたちが
夜見子には、美智たちが
月子には、みすずたちが付いてくれた
私も感心しておるのだよ
いや、瑠璃子とみすずのことだ私は、あの子らはお前とのセックスに溺れて、少し品が悪くなると思っていた私は、そういう女をたくさん知っているからな特に、良家の子女ほどセックスに溺れると、だらしなくなる品の無い顔になる
だが、瑠璃子もみすずもお前と二人っきりの時は知らんが、私と一緒に居る時や、公の席では常に凛としているセックスに慣れた女の緩んだ感じが無い周囲の人間たちは、いまだに2人とも処女だと信じているようだよ実際、私もあの子らの精神に処女性を感じることがある
お二人とも、良信には心を開いていますが世の男性に対する警戒心は失っていないからですわセックスの対象は、良信1人きりで他の男性に抱かれるということは、全く考えていらっしゃいませんから
ミナホ姉さんが、そう解説した
いやオレのせいじゃないよそれは、やっぱり家族の中にいるからだよ
みすずも瑠璃子も家族の中で、今はお姉さんや妹をやっているから自分1人のことでなく家族みんなのために何をしたらいいかを考えているからだから、キリッとしているんだと思う
うむ確かに、黒森家での集団生活が瑠璃子にとって良い影響を与えているとは思う
ジッちゃんも納得してくれた
ねえ、ジッちゃん提案があるんだけれど
今が話を切り出す、チャンスだと思う
ジッちゃんもオレたちと一緒に、あの家で暮らさないか
演劇の仕事をしていた頃
あの頃も****を反対する運動というのがありまして
何知らないですけれど
反対の署名を集めるから、日本中の劇団にファクスを送れと言われまして
で、向こうから送って来たファックスの署名をコンピューターに打ち込んで、リストを作れと
全然、演劇の仕事とは関係無いんですけれど
こちらは立場が弱いので、やれと言われたらやらざるを得ず
1週間ほど、事務所に泊まり込みをさせられたことがあります
結果を言えばその署名運動は
**党系の名前のよく知られていた某劇団主宰者の名前を旗印に
呼び掛け人として、某若手の演劇人が名前を連ね
自分たちの名前を、左翼系の全国の劇団の人たちに売り込むための売名行為でした
だって、署名を集めて新聞記者を集めて、主だった人たちだけで記者会見しただけで
その後は、何もしないんだもの
その後も何かにつけて、**に反対する運動とかをやって
その度に自分の名前が、新聞に出ることだけを頑張っている
本当に、反対運動の時だけ、喚き立てて呼び掛け人とかになるくせに
普段は、何もしない
運動の前も後も何かしたという形式は無い
ただ反対したという実績だけをアピールする
というのは昨日も新聞で、その人の名前を見たからでした
あれから10年経って、まだ売名活動にいそしんでいるんだなあと
741.そして日は昇り、日は沈む
オレの言葉にジッちゃんは
お前たちの会話でそういう提案があったことは知っている
オレとみすずたちの会話は、全てミナホ姉さんによってモニターされていた
ミナホ姉さんが、すでにジッちゃんに報告していてもおかしくはない
いや、お前は不快に思うだろうがこの4ヶ月、ずっとお前が瑠璃子やみすずたちしてきた会話は定期的にミナホくんに報告してもらっていたのだ
何というか私の老婆心だ瑠璃子たちが、君たちの家でどんな暮らしをしているのか困ったことになっていたりはしないのか今は、何を考えているのかそういうことを常に知っておきたかった
ジッちゃんの孫娘たちへの愛は果てしなく深い上に、屈折しているからな
特にセックスをだな
ジッちゃんは、ちょっと申し訳なさそうな顔をして言う
瑠璃子が、セックスに慣れていくに従ってお前とのセックスに飽きてしまうのではないかと心配していたいや、もちろん杞憂だった瑠璃子は、お前とのセックスをとても楽しんでいるいつも童女に戻ったかのような朗らかな笑顔で
オレと瑠璃子のセックスも定期的に観ているんだ
いえ、あなたと瑠璃子様のセックスは毎回、全てご覧になっているわみすず様の方は、定期的だけれど
いやまあ瑠璃子の健康状態というか肌の艶を確認したいというか
ジッちゃんは初恋の女性の面影を継ぐ、瑠璃子LOVEだからなあ
別にいいよジッちゃんだしというか、あの屋敷に居ると観られるのは慣れた
写真とか動画とか撮られるのももはや、普通だし
しかし瑠璃子は嫌がるだろう私に観られているなんて
うーんそれは
黙ってこっそりっていうのはやっぱり、嫌がるかな
でも、ジッちゃんに観せるって最初から、ちゃんとそういう話をして撮影とかするんなら、瑠璃子はノッてくると思うよ瑠璃子は、ハメ撮りが大好きだし
瑠璃子はオレたちのセックスを記録するのが趣味になってきている
ていうかさ一緒に暮らすようになったら、いつでも観に来てくれていいよ瑠璃子は、初体験だってジッちゃんの見ている前でだったんだしジッちゃんになら、喜んでセックスぐらい見せると思うよ
オレが、そう言うとジッちゃんは
それは、私の方が緊張する1人で映像を観ている方が気が楽だ
瑠璃子のロスト・ヴァージンの時は、食い入る様に見ていたじゃないか
あれは特別だ瑠璃子の一生に一度のことだからなあの子の処女喪失の思い出に、お前と一緒に私と美子も居るそれがいいんだ
日々の恋人同士の甘い交接は盗み見る方が良いその場にいて観察ではお前たちに当てられるだけでは、寂しい気持ちになるだけだ
そういうものなんだろうか
いずれにせよ私は、お前たちと同居するわけにはいかんよ
何でさうちに来たら楽しいよジッちゃん瑠璃子だけじゃなくって真緒ちゃんやアニエスもいる明るくて可愛い女の子ばっかりだよきっと、みんなお風呂だって一緒に入ってくれるよ
それは楽しそうだな
しかし、私はお前たちと一緒に暮らすわけにはいかないのだよ
私は私の家から離れるわけにはいかないからだ
何でだ
それって警護の問題とかってこと
それもあるお前も知ってるだろう私が、お前たちの屋敷に行くだけで周囲は厳重警戒態勢になる
ああ昨日もそうだった
香月セキュリティ・サービスの警護員がうちの屋敷を取り囲んで
でも、そんなのはさジッちゃんが、ずっとうちに居るのならさ翔姉ちゃんに頼んで、ガッチガチの警護体勢を組んでもらえば
臨時だから大変なことになるんだ
黒い森はお屋敷の周囲の家とかも、実は全部、黒森家が持っているんだから
何なら、警護員用の住宅でもビルでも建てられるし
違う違う問題となるのは私ではないお前たちの方だ
私が、お前たちの屋敷に定住するようになったら同居しているお前たちが狙われるぞお前のところには学校へ通う年の子が多いあの子たち全員を危険に追い込む気か
ジッちゃんは、ジロッとオレを見る
警護のことなら今だって、充分気を付けているよ瑠璃子の通学には、美智が付いているしオレたちの方は、イーディ翔姉ちゃんやレイちゃんも、いつもチェックしてくれているし
今後鷹倉姉妹や、マナや、アニエスも学校に通うことになるけれど
何とか警護体勢は、キープし続けるつもりだ
ジッちゃんに頼んでみすずや瑠璃子や美智と同じ、超お嬢様校に編入させてもらうしかないけれど
それでも、香月家の当主と同居するというのは危険性が違うよ今日だって、私はたくさんの恨みを買ってしまった
さっきの老人たち口では、私に従うと言っていたが内心では、私を憎んでおるよ隙を見せたら、いつでも闇討ちしてくるだろう彼らはヤクザなのだぞだから、こちらもすでに対応策を取ってあるあの老人が関西に戻る前に彼らの表の仕事に攻勢をかける私の助力が無ければ関西圏だろうと、どこだろうと彼らのビジネスが立ち行かないようになさっきのように、公の場で頭を下げさせた後こそもう一度、手綱を引き締めておかないといけない徹底的に屈服させないと嚙み付いてくるのが、ヤクザという人種だ
あれだけ脅しておけば、もう大丈夫だとかジッちゃんは、思わないんだ
この人は、どんな相手も舐めない
お前たちが私のことも、家族だと思ってくれていることは大変嬉しく思うしかし私の家族は、お前たちだけではない
私は香月家の当主だお前も知っているだろう香月家には多くの分家の連中が居る香月の多くのグループ企業その従業員たちも居る司馬くんに、経営を任せたとはいえ私は当主だ彼らの代表であることは、辞められないのだよ
当主
香月家の当主なら当主の邸宅に住んでいなければならないそうでないと下の者たちが心配する例え、黒森の屋敷を私が買い取ったとしてもあそこは、香月家の当主の邸宅にはならないあの屋敷には娼館の匂いがこびりついているからな私が今、住んでいる邸宅の敷地は明治になって、香月家が華族として東京に来た時に買い入れた幸いにして、戦災にも免れたがさすがに明治期に建てた旧館は、住みづらいので、今はほとんど使っていない生活は、戦後に建てた別の棟でしているだが、いずれにしても香月家の歴史が染みついていることに間違いは無い私だけでなく、私の父や祖父そして、香月家に仕えてきてくれた多くの人間の記憶があそこには刻まれている
家
多くの人の記憶が染みついている家
オレには想像もできない
香月家の当主はあそこから離れてはいけないと思うのだいや、もちろんこれは私の勝手な思いだみすずや瑠璃子や美子には、強制するつもりはない私の死後、あの子らが、あの屋敷を処分してしまったとしても、私は構わないのだただ私が香月家の当主である限りは当主は、あそこに住み続けるべきだと信じているのだよ
ジッちゃんは、穏やかな笑顔でそう言った
分家や重役たちが、私にご機嫌伺いに来たり政治家や官僚が、泣きついてきたりもした新聞記者に追われたりもなみんなあの屋敷が、香月家の当主の邸宅だと信じているあの屋敷を訪ねて、私に相談することで苦況から脱出できるかもしれないという夢を見る者もまだ居るそういう、逆転のチャンスを掴めるかもしれない夢の舞台は黒森の屋敷では、無理なのだよ
例えばどっかの企業のお偉いさんが
例えば政府の重要人物が
ジッちゃんに、大きな頼み事をしに来るとして
確かに黒森家の元・娼館の屋敷には、来づらいよな
そこは明治以来の香月家の大邸宅でないと
まあ、お前たちからの折角の申し出だからな一ヶ月に一度くらいは、黒森の屋敷に遊びに行かせてもらうことにするよ一泊ぐらいなら、泊まることもできるだろうしかし、私の家は香月の邸宅だあそこから住民票を移すつもりは無い
キッパリとジッちゃんは、言った
ジッちゃんの家は、風呂は大きい
ジッちゃんが、一ヶ月に一度しか遊びに来られないのならこっちから行くようちの子たちを連れてそれなら構わないだろ
もちろん、瑠璃子も連れて行くとにかく今みたいに、広い屋敷にジッちゃんと美子さんとお世話の人たちっていうのはよくないよ
美子さんは瑠璃子と一緒に、黒森の家で暮らすことを望んでいたけれど
ていうかさみすずと瑠璃子と美子さんは、黒森の屋敷とジッちゃんの邸宅と、両方で暮らすようにさせるよ週の半分ずつとかその辺は相談するけどそれで一緒にオレが付いて行くこともあるだろうし他の子も行かせるよジッちゃんたちが寂しくないように
いや、それはいかん瑠璃子は、お前にやったのだから
ジッちゃんは、まだそんなことをこだわっている
瑠璃子は、とっくに瑠璃子のモノだよオレのモノでもなければ、ジッちゃんのモノでもないってば
だから、今、オレが言ってることも家に戻ってから、みすずや瑠璃子や美子さんや、みんなともう一度相談しないといけないんだろうけれどでも、とにかくジッちゃんが寂しくないようにみんなで考えるからいいね
う、うーむ
ジッちゃんは唸っている
香月様みすず様も瑠璃子様も美子様も、香月様のお孫様です香月家の邸宅に住むことは、変ではありませんわ良信は、公式には黒森公として、みすず様のお相手ということになっていますやはり、出入りは変ではありませんうちに居る娘たちは、みすず様や瑠璃子様のお友達ということなら、香月のお屋敷に泊まるのも問題は無いのではございませんかもちろん、わたくしや克子、渚、マルゴは香月のご邸宅には決して出入り致しませんそれならばいえ、もちろん、全ては香月様のお決めになられることでございますけれど
ミナホ姉さんはそう言ってアシストしてくれた
娼館の関係者として、顔を知られているミナホ姉さんたちが出入りしなければ
オレたち、学生だけなら世間の眼は、誤魔化せる
判った検討はしようただしまずは、みすずたちと話し合ってからにしてくれ特に瑠璃子とあいつは私との同居は、もう嫌なのではないか
そんなことないよ瑠璃子は自分のお祖父さんを尊敬しているから
男としては、見ていない
あくまでも祖父として敬愛している
そのことは、強調しておく
そうだなあれは優しい子だから
ジッちゃんは、少し悲しそうにそう言った
ジッちゃんに挨拶をして控え室を出る
元のガラス張りVIP室に戻ると
皆さんは、あちらの部屋で待っていますよ
レイちゃんが笑顔で、オレたちを待っていてくれた
ここは、見晴らしが良すぎるので
うん、今はもう下の大きな部屋の明かりは消されているけれど
鷹倉清美の死んだところを、いつまでも見下ろしているのは精神的に良くない
ミナホお姉様翔お姉様が、お話があるそうです
関西のヤクザたちの反応をチェックしているそうなので
ああ、見届け人の大親分さんたちから手打ちの結果が、公表されている頃合いだものね
大鳥総裁と佐竹会長、そしてジッちゃんの3者による手打ちを行うということで、関係者を全員東京へ呼んだのに
結果は大鳥総裁も佐竹会長も、闇で処分されるということになった
手打ちの場に臨席した大鳥と佐竹の部下たちも
鷹倉神社の巫女の秘密を守るためには、仕方のないことだけれど
ヤクザたちからすれば、納得できないことも多いだろう
最悪の場合は谷沢チーフが、関西に残してきたエージェントを動かしますけれどその前に、詳細な状況が知りたいですから
判ったわあたしの古い顧客には、関西の人も居るから、あちらの様子を聞き出してみるわ
大鳥や佐竹実際に、関西から東京に兵隊を送り込んだ連中でないと
鷹倉姉妹が、黒い森の屋敷に逃げ込んでいたことは知らないはずだ
東京へ来た連中は、ボロ負け状態だったのだから
自分たちの身内以外に東京での様子を話しているとは思えない
レイちゃんが、ミナホ姉さんに頭を下げる
良信あなたの口から、皆さんに話して今、香月様から聞いたことを
今回は最後まで、あたしは裏方でいいのよあなたたちは、あなたたち同士で話し合って考えてこれからのことを相談し合いなさい
うんそうだね判った
オレは、そう返事をする
やれやれやっと来たね
部屋に入って来たオレを見てマルゴさんが、苦笑する
折りたたみ机と椅子の並んだ多分、本当は香月セキュリティ・サービスの警護員たちの待機所に、みんなは居た
紙コップでお茶を飲んでいる
どうだった、ヨッちゃん
心配顔の鷹倉3姉妹に代わって寧が笑顔で、オレに言った
問題無し心配も無し月子も、夜見子も、ルナもこのまんま、オレと一緒に居ていいってさ
キャアッっと夜見子とルナが、喜ぶ
わたくしはできれば、昼前にお話しした通り、鷹倉神社に戻りたいのですが
ちょっと、待ってとにかく、オレに話をさせてくれよ
オレは一つ一つ、話した
鷹倉清美さんは月子たちの母親の巫女の暗い思念に取り憑かれていたということ
だから、ジッちゃんは月子たちを、清美さんには近づけなかったということ
巫女の力は、清美さんを最後に失われたということにして隠してしまうべきだということ
清美さんの力を強化した古文書なんかの資料は、残されているということ
とにかく、今後、鷹倉神社にはヤクザは近付けさせないし鷹倉神社は、ジッちゃんの管轄として普通の神社として再出発できるっていう約束はできたあの人たちと
見届け人として来た関西ヤクザの重鎮である5人の老人は、ジッちゃんとそう約束して帰った
でも、ヤクザの約束だからまだ判らないってこと
うん今、翔姉ちゃんたちが、色々調べてるだから、すぐに鷹倉神社に戻るのは無理だよしばらくは、こっちに居た方がいいていうか
妊娠するまでは、帰さないって約束したはずだ
月子は、ポッと頬を赤くした
でも、ずっとこっちで暮らすにしても身の回りの私物くらいは、1度神社へ取りに戻ったらどう何なら、護衛で付いていってあげてもいいよ
ただし君たちの居住スペースだった所にしか、入っちゃダメだよ
夜見子が、キョトンとして尋ねる
今聞いた話だと君たちのお母さんの巫女さんが住んでいた本堂には、暗い残留思念とかが溜まっていそうだからさ死んだ人に引っ張られちゃいけないよ
叔母には、申し訳ないことをしたと思います
あ、そうだ清美さんの娘のコヨミちゃんて子も、うちで引き取れって言われてきたんだ
オレは、そのことを思い出す
えっ、コヨミちゃんも来るのっ
嬉しそうなルナ
ルナ、喜んじゃダメよコヨミさんも、両親を亡くしたんだから
清美さんは夫を殺したという自分は自死した
今はもう、香月セキュリティ・サービスに保護されているってこっちに向かっていると思うよ
その子は幾つぐらいの子ネ
イーディが、尋ねた
ルナと同い年です
ワーオDarling、大変だネ
また、小さい子のロスト・ヴァージンするのネ
いや、イーディルナたちは、巫女の力について調べるために、セックスしないといけなかったけれど
もう、調査は終わったんだから
別に、そのコヨミちゃんて子とは無理に、オレがセックスする必要は
無いと思うんですけれど
ご主人様その子は、巫女の修行を始めていましたよね
うん清美さんそんなことを言ってたと思う
確か少しだけ、かな清美さんの夫が隠れて教えていたのを止めさせたって話だったよね
月子が、ハァと大きく息を吐く
どの程度修行が進んでいたか調べてみるべきですわね
うん、修行をしていたことの記憶は消されてても身体や心には、修行の痕跡が残っちゃってるかもしれないし
清美さんもあんな状態だったから、ちゃんと消せてないかもしれないよね
月子、夜見子、ルナがそう言う
そういう場合はどうなるんだ
わたくしの個人的な経験から申し上げればもし、コヨミさんが不安定な状態になっていたら、公様にセックスしていただいた方がよろしいと思います
ヨミもそう思う
ボクも
やっぱりそうなるのか
もう、諦めなよ、ヨッちゃん今更、1人2人増えても変わらないよっ
寧が、ドンとオレの背中を叩く
そうネアニエスが、喜ぶネお友達が増えたっテ
イーディが、クックックと笑う
恵美お姉様が、またお腹立ちになりそうなことが増えてしまいましたね
それを言うなよ
5時7分
寧が、腕時計を見て教えてくれた
迎えに行かないとね恵美ちゃん
部活が終わっても、あたしが迎えに行かないと学校から出ちゃ行けないって、話してあるから
今朝の段階では外にヤクザたちがうろついている可能性があったから
メグとは、そういう約束になっているんだ
じゃあ、行こうよ飛ばせば6時には、学校へ着けるでしょ
でも車は
行きは3台に分乗して来た
翔姉ちゃん、レイちゃん、マルゴさんの運転で
ミナホは翔お姉さんにお任せして大丈夫だと思うんだ
すっかり、香月セキュリティ・サービスの仕事にハマッちゃってるみたいだし戦闘は無理だけど情報解析とか作戦立案には合っているんだよねミナホの能力や性格は
まだ関西の状況分析に時間が掛かりそうだしな
でも、マルゴさんに運転してもらうとしても
マルゴさん、オレ、寧、美智、イーディ、鷹倉3姉妹
ちょっと、乗り切らないよな
あれ、そう言えば
工藤遙花って、どうなった
兄と一緒に悶絶した母親を運んで行ったけれど
今、考えると遙花は、良いタイミングで退室したよな
あのまま残っていて、巫女の力の話を聞いていたら
オレたちは、遙花の処分も考えないといけないハメになっていた
ヤクザたちとは別にして近くの病院に搬送したそうですそれでご主人様
美智が俯く
ああ、判った様子を見に行きたいんだな
美智が、ブチのめしちゃったんだもんな心配なのは判る
はい申し訳ないのですが
あたしも付いてってあげるよっ
寧が、美智の肩を優しく抱いた
もし、またあの子がミッちゃんに酷いことを言ったらあたしが、バチコーンッてブッ叩いてあげるからっ
美智と寧なら大丈夫かな
ああ、香月セキュリティ・サービスの滝さんも来てくれるって
寧が、オレに耳打ちする
兄と香月セキュリティ・サービスの上級職員が居れば遙花も、変な暴走はしないか
でも遙花は遙花だしなあ
まあ、とにかく、あたしが行って遙花ッチに契約するように話してくるからっ
え、ヤッちゃん契約って
だから、ほら高崎一郎さんとの話の時に
高崎ってああ、下の階で失神させた、大鳥総裁の4天王の1人
確か、日本での格闘技ビジネスの顔役だって話だったけれど
うちの団体が旗揚げするに当たって、マルゴお姉ちゃんとイーディちゃんだけじゃ、選手が足りないでしょだから、あの子も
え、あの時していた話ってマジなの
遙花を格闘技のリングに上げるって
マジも、マジ大マジだよっ
高崎さんが、あれだけ食い付いてきたってことはイケると思うんだよ高校女子チャンピオンの美少女が、世界のマットに挑戦するんだからさ
マルゴさんもニヤッと笑う
あの子、表情が豊かだからね勝っても負けても、人気が出ると思うよ
いや、オレには
格闘技の試合に勝った遙花でなく負けて口惜シィィィッとか叫んでいる姿しか想像できない
でも、まあ人気は出るかも
あの子は、純粋にアスリートの方が向いているしね香月セキュリティ・サービスに入社してプロの警護人を目指すよりよっぽど良いと思うんだ
だーかーらー、マネージャーのこの寧ちゃんがきっちり、かっちり口説き落としてくるからねっ乞うご期待っ
寧が、明るく微笑む
職場とかで、全員に送られて来るメール
例えば、飲み会のお知らせみたいなもの
これ、ボクにも送って来てくれるんですけれどボク当てじゃないんですよ
そんなことを言いながら、私に携帯の画面を見せる人がいました
この飲み会は若い人たちの親睦のためのものでボクにも、こうやって送って来てはくれるんですが、ボクは行っちゃいけないんですよ
そんなことないでしょうそうやって、全員に送ってきているんだから
と私が言うと
いや、私もこういうものは、むしろ積極的に顔を出さないといけないものかと思って、1度飲み会に顔を出したことがあるんですけれど翌日、上司に怒られました
お前にもメールは届いているかもしれないけれどお前は、呼んでいないって
ちゃんと空気を読めって叱られちゃいました
最近は私も年を取ったので
今、放映されていたり、出版されていたりするものが
私を対象にしていないことを判っています
だから、そういうモノに対しては評してはいけないということも
以前、若い人たちの劇団を対象にした演劇コンクールの裏方の仕事をしたことがあるのですが
審査員のお爺さんたちが若い人たちの作品が、そこの劇団のお客さんである若い人たちを対象に作られていることを、全然理解していなくて困ったことがあります
かといって、コンクールだからといって若い人たちが、審査員の高齢者だけを対象にして作っている作品もキッツイんですけれど
742.ハンカチの記憶
さて、車を借りないと帰れないね
寧と美智が去った後マルゴさんが言った
残りは、マルゴさん、オレ、イーディ、鷹倉3姉妹
6人
ミナホのベンツは残して置いた方がいいと思うんだそれに、あの車じゃ6人は乗れないしね
行きは、翔姉ちゃんのいつものアメ車に、香月セキュリティ・サービスのベンツ、それとミナホ姉さんのベンツの3台で来た
翔お姉さんか、麗華お姉さんが送ってくれると思うけれどミナホには、寧たちもピック・アップしてもらわないといけないからさ
マルゴさんの言うとおりだな
ちょっと待ってて1台貸してもらって来るから
マルゴさんが、部屋を出て外に立っていた、香月セキュリティ・サービスの警護員に話し掛ける
ミナホ姉さんと翔姉ちゃんは、まだ今回の事件の余波について調査と討議をしているだろう
香月のおオジィさんの移動はホテルの周囲から、完全にヤクザたちがいなくなったと確認された後になるネだから、もうしばらくは時間がかかると思うネ
イーディが、そう教えてくれた
形の上では、関西ヤクザたちはジッちゃんに完全敗北したことになったが
ここで、こちらが気を緩ませると思わぬ襲撃を受ける可能性もある
相手は、ヤクザなんだから
色々と、ありがとうございました
突然月子が、オレに言う
寧やマルゴさんが席を外したので話し掛けやすくなったらしい
オレは何もしていないよ
オレは、結局
今回は、何もできなかった
オレにだって、何かができるという考えこそが浅はかだった
ジッちゃんとミナホ姉さんは、オレにそれを思い知らせるために
危険を承知で、敢えてオレをヤクザたちと同じフロアに同席させたんだと思う
ジッちゃんや月子たちと同じ様に、高い場所のガラス張りのVIP室から見下ろすのでなく
ヤクザたちの怒号や、山岡と遙花の母親の悲鳴狂った鷹倉清美さんの生々しい呼吸を、肌で感じさせるために
あの部屋の中で翔姉ちゃん以下の香月セキュリティ・サービスの警護の人たちはもちろん、マルゴさんや、美智、イーディそして、おそらく寧にすらオレを守られていた
みんなに守られていなければオレは、あの部屋の中で生きられなかったかもしれない
その事実をオレは、強く心に刻む
いえ、公様が来て下さったからだから、わたくしは心を保っていられました
わたくしもです先生
ボクもだよ、兄さん
鷹倉姉妹がオレに、そう言ってくれる
公様たちがあそこに居らっしゃることは、教えていただいて判っていましたから
だから耐えられたんですわ
そうじゃなかったら清美さんの話を聞いている時に、頭がおかしくなってたと思うよ
信頼していた叔母が自分の両親を殺したんだもんな
兄さんがううん、兄さんだけでなく、美智お姉ちゃんや、イーディちゃんや、寧お姉さんの姿も見えたからだから、耐えられたんだよ
わたくしたち、独りぼっちじゃないって判りましたから
はい皆様わたくしたち姉妹のために、こんな危険な場所へ来て下さったんですもの
ルナ、夜見子月子
Darlingは自分が、相手に何をしてあげられるかではなく人と人のネットワークを感じるべきなのネ
最近ようやくアタシたちのfamilyが有機的に動き始めたのネみんなで、それぞれ持ち分を生かし合ッテ、お互いを助け合えるようになったネ
でも、それはオレじゃなくって、みんなが凄いからで
みんなオレと違って
頭が良くて、能力が高くて、才能も豊かで
ソウヨでも、familyの中心の要は、Darlingネだから、Darlingはドシッと構えていればいいのヨ面倒なことは、どうせアタシたちが片付けるからネ
イーディは、そう言うけれど
群れの中のライオンのオスはどっしり構えて何もしないネそれで、群れは丸く治まるノネ要が、オロオロしてたらみんな困るのネ
I LOVE YOUネDarling大丈夫ヨもう、誰もDarlingからは離れないし、離れられないノネだから、そんなに怖がらなくてもいいんだヨ
イーディが、オレをギュッと抱き締める
もっと、アタシたちを頼ってネそして、頼られなくても、アタシたちはアタシたちで動き出すヨアタシたちだって、Darlingがこのfamilyが大切だからネ
イーディの言葉が温かい肌の温もりが、オレの心に染み渡る
オレは、焦ってたのか
怖がっていただけなのか
オレが、いつでも先頭に立って突っ走らないと家族がダメになってしまうって
もおっ、先生っいつまでも、そんな顔しないのっ
大丈夫っ月子お姉様だけでなく、ヨミも先生の赤ちゃん、ちゃんと産んであげるんだからっヨミは妊娠奴隷だもんっ
あ、ボクも産むから今すぐでもいいよ
ルナまで
たった1日でわたくしたちも家族にしていただけたのは、公様のお力ですわ
違うネ家族にしたジャナクッテ、家族になったナノネDarlingは月子たちを受け入れただけでなく、月子たちの心も変えたノネ判るこれは、凄いことなんだヨDarlingじゃないと、できなかったことだヨ
そうですわ公様が何もなさらなかったなどということは、ないんです
夜見子とルナイーディも
末久しくよろしくお願い致します
ヨミのこともずっと可愛がってねっ
ボクもボクも兄さん
アタシも、ヨロシクなのネ
おやおやそれなら、わたくしのことも末永く、お願いします
廊下からレイちゃんが入って来た
マルゴさんも、一緒だ
今日はわたくしは、出番無しでした
言葉は残念そうだが、レイちゃんの顔は笑っていた
それは仕方ないよあんなヤクザたちの相手に香月セキュリティ・サービスの表のエースを出すわけにはいかないからね
マルゴさんが、そうフォローする
ああいう連中に、麗華お姉さんが負けることは絶対に無いけれど麗華お姉さんを登場させたら、ヤクザたちが図に乗るだろうからさ
ミチにムチでビシビシしばかれているのが、丁度いいのネ
女子中学生に蹴散らかされてたんだよなあ、あのヤクザたち
キョーコさんとのプローモーション活動での闘い以外で、麗華お姉さんが出て来るとなればもう、香月セキュリティ・サービスの本気の闘いってことになっちゃうからね
でも、わたくしとしては少し、身体が動かしたかったです
あ、そうじゃあ、キョーコさんにメールしとくよそろそろレイちゃんが暴れたがっているってさ
いえいえそ、それは
困惑するレイちゃん
レイカ、嫌なのネ
嫌ではありませんが趣向をもう少し、考えていただけると
確か、キョーコさん次は、ニキータさんたちとメイド服対決って言ってたよ
だから敵も味方も、メイド服で戦闘場所は仙台でニキータさんは似合うと思うんだけれど手下の人たちはどうだろうねえ
まさか、バービーさんたちもメイド服
わ、わたくしだって困ります
レイちゃんが、必死で拒絶しようとするが
そうなると、キョーコさんとご当地・緩キャラ対決になるけれど
いや、キョーコさんが久しぶりに仙台のタン塩が食べたいって言ってるんだよでも、ほら視聴率的に、キョーコさんよりも今は、麗華お姉さん対ニキータさんの方が評判が良いからさあんまり、大ボスのキョーコさんを来日させるわけにもいかないしキョーコさんとは、来年の新春特番で麗華お姉さんに振り袖を着てもらって、新春隠し芸爆笑ヒットパレード・チキチキ・キョーコ城100万円争奪ハンター・チャンスっていう大企画が待っているわけだし
わたくし聞いてませんが
うん、今、初めて話しているし他にも、麗華お姉さんが全米各地を廻ってキョーコさんの手下を1人ずつ倒してくというアメリカ横断・お笑いウルトラ・ストリート・ファイター麗華っていう企画もあるよ最終ステージで、自由の女神の上でキョーコさんと大戦ね
自由の女神の上
ああ、でもその前に一度、アメリカからインドに飛んでもらって、ダルシムとの対戦があるけれど
ダルシムって誰です
レイちゃんが、唖然として尋ねる
ダルシムだよダルシムの息子のダッタは、ガイルの娘クリスとはペンフレンドだから覚えておいてね
根が生真面目だからなあレイちゃんは
レイちゃん、マルゴさんは冗談を言っているんだよそうやって、本気にすると面白がって、どんどん話を付け加えるんだから、気にしてちゃダメだよ
でも、キョーコさん絡みのことはいつも、冗談では済まないですからこの間の闘いの時に、突然現れたニキータさんの部下の人小柄でカンフー着を着ていて、帰って来たコモド・ドラゴンパタリロ・リーとは私のことだって言ってたあの人は何だったんですよく判らないんで、ステッキで殴り倒しましたが
ごめんキョーコさんの趣味は古すぎて、あたしでもよく判らない時があるんだ寧の方が詳しいと思うよ
はいとにかくよく判らないものは、なるべく一撃で仕留めることにしていますそうでないと、うるさいですから
そうだねあたしもこの間のヘイセイガンネンッて叫びながら飛び出して来る一つ眼の敵キャラはよく判らなかったよ
そう言えばあの露出の多い変な衣装の企画は、断りましたよ
ああ、アレねキョーコさんは、レイカ繋がりだから、タイム・ギャルって言ってたけれどあれは寧も元ネタを知らなかったよ
何なんですかねタイム・ギャルって
やりたい放題だなキョーコさん
まあ、その話はまた今度恵美ちゃんを迎えに行かないといけないから
マルゴさんが、話を打ち切る
わたくしと翔お姉様は、閣下がご帰宅なさるまでの確認とここの撤収作業がありますから今夜は無理でも、明日の夜にはお屋敷に伺えると思います
そしてレイちゃんは、オレを見る
明日の夜はわたくしの時間ですし
ああ、レイちゃんと寝る順番なんだな
可愛がって下さいね
うん、判ってるよ
オレは笑顔を作って、そう答えた
セックスだけは精一杯しよう
オレには、それしかできないんだから
そういうお考えは、よくありませんよ
公様も楽しまないとセックスか楽しいことだと教えて下さったのは、公様ですわ
レイカは誰かGUESTを呼ぶノカ
イーディが聞いた
オレの女たちは自分の時間に、他の女を呼ぶ権利がある
久しぶりに2人っきりっていうのもいいかなって、思っていたんですけれどまた妹が増えたんですよね考えておきます
レイちゃんは、そう言って笑った
レイちゃんは家族が増えるのは特に妹が増えることを喜んでいる
だから、妹たちを呼んでのセックスも好きだ
だけど、レイちゃんは
オレと2人っきりの時は、オレをお兄ちゃまと呼んで甘えまくるから
寧もそうだけれど2人きりと、他の子が居る時で、全然キャラが違うんだよなあ
それも、明日だねじゃああたしたちは、そろそろ行きます麗華お姉さん、わざわざありがとうございます
マルゴさんが、チャランと車のキーを見せた
ああ、レイちゃんが自ら香月セキュリティ・サービスの車のキーを持って来てくれたんだ
Thank Youなのネ
オレとイーディも、礼を言う
いいのよわたくしも、みんなの顔が見たかったから気を付けてね
レイちゃんは撲殺ステッキを振るう最強剣士ではなく
オレたちの家族として、優しい笑顔で、そう言ってくれた
地下3階だよあたしたちが車を停めた、隠し駐車場じゃなくって普通の一般駐車場だって香月セキュリティ・サービスの一般警護員用の予備の移動車だっていうから
エレベーターの中で、マルゴさんがそう言う
ああ、あの壁の中の特別駐車場じゃすぐに車が出せないもんな
緊急事態に備えて、すぐに動けるように一般の駐車場にも、予備の車輌が用意されていたんだ
このまま、このエレベーターで下りられるみたいだね
マルゴさんの言葉に、月子が
それは良かったですわ行きの時みたいに、またこの格好で1階ロビーを歩くのは
うん、あの時は緊張していたけど今は、ちょっと恥ずかしいよね
ルナが、自分の服を見てそう言う
姉妹3人とも巫女の衣装のままだもんな
早く帰って脱ぎたいな、これ
そうね巫女の衣装はしばらくはね
ルナの言葉に夜見子が、答える
2人は、巫女として生きることを諦めてくれた
いずれ京都へ帰って、神社を継ぐつもりの月子は黙っている
ねっ、これ脱いだら先生、またヨミとセックスする
夜見子が、オレに抱きついて来る
ロリ巨乳を、オレを押し付けるようにして
まだ痛いんじゃないか
痛いけどいいの先生のオチンチンを入れてもらうと安心するから
ルナもまた、したいかも
淫乱になったわけでも、セックスに目覚めたわけでもない
清美さんの死や、巫女の力の真実両親の死の真相を知って
そんなに慌てなくてもいいでしょわたくしたちは、これからずっと、公様に愛していただくんですから
姉として月子が言う
この2日間公様を、ずっとわたくしたち姉妹が独占していたのよこれ以上、我が儘を言うのはみなさんに申し訳ないわ
あそうかみんなあちらのお屋敷で、わたくしたちのことを心配して下さっているのですね
そういう夜見子にオレは
あちらのお屋敷じゃないぞオレたちの夜見子たちの家だ
はい皆さんで、わたくしたちを待っていて下さっているんですよね
公様今夜はわたくしたちのことは構いませんから、どうぞ、みすず様や他のみな様をねぎらって差し上げて下さいませ
月子が、オレに頭を下げる
うん、ルナよりアニエスちゃんや真緒ちゃんとしてあげてっ
ルナがそう言う
いやいや、ルナアニエスはともかく、マオはまだセックスしちゃダメなのネ
笑い合うエレベーター内
それより、みんなで風呂にでも入ろうよそれなら、真緒ちゃんも参加できるし
はい、ヨミとルナで真緒ちゃんを洗ってあげますわっ
うん、そうするよ兄さん
そしてエレベーターが地下3階の駐車場に到着する
マルゴさんが、レイちゃんから渡されたメモを見てオレたちを誘導して行く
最初に、ルナが立ち止まった
ええいけませんね
次に、月子が
ウンみんな、後ろに下がってるネ
最後にイーディが気配を感じる
誰なのかな姿を見せてくれないと困るね
マルゴさんが、気配の方に叫ぶ
やっと、見つけたぜテメェら
安藤風伍だった
昨日は、服装も髪型もビシッとキマッていたが
今日は、服はヨレヨレ、髪はバサバサになっている
あたしとは初めてだけどみんなは、知ってる人
マルゴさんが、オレたちに尋ねる
ええっと、大鳥総裁のところの関西雷神鳳会の下部組織のヤクザです
鷹倉神社の警護をしていたから、月子たちとは面識があるんだそうですだから、昨日のうちに、東京へ送り込まれていた先発隊のメンバーだったんですけれど
先発隊は翔姉ちゃんたちに、ほぼ壊滅させられたはずだ
ああ、判った大鳥総裁の直近の部下では無かったからさっきの会場には、呼ばれなかったんだね
そう手打ちの会場では、安藤の顔を見ていない
その前に行った4天王の皆さんが待機していたフロアにも、入れてもらえなかったんだよね今頃、ここに居るっていうことは
わ、ワシは関西雷神鳳会の下の音羽組のモンじゃけぇのぉ
安藤は、苦々しそうにそう言う
でその下部組織の末端構成員が、あたしたちに何の用なのかな
マルゴさんは、そう言いながら相手との距離を測っている
もう、君のような下っ端の人も聞いていると思うけれど香月さんと関西のヤクザ界との手打ちは終わっているよさっさと、新幹線でも鈍行でもいいからあっちへ帰るべきなんじゃないのかな
すると安藤は
ふざけんじゃねぇぞ、こらぁぁッッ
絶叫が、地下駐車場に轟く
何なんじゃ、こりゃあっ大鳥の大親分も、佐竹の野郎もどっちも処分てのは、どういうことなんじゃぁいっしかも、大鳥の大親分と同行とした連中も、全員、ブッ殺されるっちゅうのはどうなっとるんじゃいっ
こんなんワケが判らんしのぉこんな、片手落ちな手打ちがあるかいっテメェらはワシら、ヤクザの命を何だと思っとるんじゃぁっ
マルゴさんは落ち着いて
さあねそういうことは、あたしたちに言われても困るよそういうのは、香月家か香月セキュリティ・サービスの人に聞いてくれるかな
何じゃとぉぉぉぉっ
あたしたちは、君の質問に答える立場にはいないってことだよ
だったらのぉぉぉ、月子お嬢さんたちをワシに渡せぇぇぇ
月子お嬢さんたちの身柄と引き替えに香月のボスと直談判するわぁっこんなん、おかしぃあってはならんことなんじゃぁい
すっかり、頭に血が昇っている
そうかなこの子たちを人質にしても香月さんは、君なんかとは会ってくれないと思うけれどな
マルゴさんは探る様に、そう言う
そんなん、やってみないことには判らんっ
安藤は血走った眼で、月子を見る
ちゅうのぉぉぉテメェみたいな性根の腐った連中に、月子お嬢さんたちは渡せんっワシが、ここから連れて逃げるっ
に、逃げるって
さぁぁ、お嬢さんこっちへ
月子に手を差し伸べる、安藤
月子は、そんな安藤にそっと首を振り
いいえ、安藤さんわたくしたちは、あなたと行くことはできません
ななな、何でですワシと帰りましょうやあの鷹倉神社へ
必死な形相で安藤は、月子を説得しようとするが
いいえダメなんですわたくし、あなたでは
月子はスッと、オレに寄り添う
お嬢それって
わたくしたちはもうこの方の女でございますから
おおお、オンナ
はい女にしていただきました真心も純潔も、全てこの方に差し上げました
安藤がブチ切れるっ
テメェ、この野郎っ
その瞬間イーディの渾身の蹴りが、安藤の背中にヒットする
ぐぇぇぇぇぇッッ
マルゴさんが安藤を引き付けている間にイーディが、気配を消して廻り込んでいたのかっ
グゲェェっガゲゲゲッ
倒れた安藤の腹部をイーディは、何発も蹴り込むが
コイツタフなのネ
筋骨隆々の安藤は、一撃では失神しない
こうなっタラ
イーディが、ゲンコツに気を溜めた瞬間
月子がイーディを止めた
ワシはこんなの認めねえぞこんなのは絶対に
安藤は、腹部を押さえて駐車場のコンクリートの床に横たわったまま喚く
香月家だが、何だか知らねぇがなっオレたちをナメやがってぇぇぇぇぇワシら、ヤクザは虫っコロかでっかい力を持っているからって、虫ケラでも潰すように簡単に潰すのかふざけやがってふざけやがってふざけやがって
今回の件に対する関西ヤクザの末端構成員たちの感想は
こういうことになるのか
手打ちにわざわざ東京へ行ったはずなのに
圧倒的な力で、徹底的にブッ潰された
メンツだけでなく大鳥総裁や佐竹会長、その側近の部下たちの命まで
ジッちゃんには、このままならヤクザそのものを根絶させるとまで宣言された
それなのにあの5人の重鎮の老人たちは
完全にジッちゃんに屈服するしかなかった
何もかもジッちゃんの望み通りに致しますと
でっかい力を持っていたら、何をしてもいいのかああんっワシらをどんだけ、踏みつけにしてもエエのかワシらみたいなのは、人間だとすら思ってないんだろうアアン香月って野郎はよぉぉぉぉぉ
口から血を吐きながら安藤は喚く
これからジッちゃんは、こういう憎しみと闘っていかないといけない
だから、オレたちとは一緒に住めないって言ったんだ
君がヤクザでなく普通の一般市民なら、まだ理解してあげられるんだけれどね
力で人を押さえ込むヤクザが力だけが全てのはずのヤクザが、そういうことを言い出すのは滑稽だよ君たちの世界こそ力で全てを解決してきているんじゃないのかい
何じゃとぉぉぉぉ
力に負けたことに文句があるのなら力をつけて出直して来なよ
黒い森はかつて、ジッちゃんと敵対した場合のことも想定していた
日本を脱出して香月家の手の出せない場所で、生活する計画を
オレたちは力には屈服しない
屈服するぐらいなら逃げる
だって、オレたちはみんな
かつて、誰かの悪意のある力に苦しめられてきた人間の集団なのだから
お前たちにワシの気持ちが判るかぁぁワシらみたいな踏みつけにされる人間の気持ちがぁぁ
ああ判らないよ踏みつけにされたまんま、立ち上がらないやつの気持ちなんて
オレたちは、みんな毎日、闘っているんだ生き残りをかけてオレも、あんたも香月のジッちゃんも毎日、闘い続けているってことに変わりはないんだ
オメェみたいな、ボンボンに何が判るぅぅ
安藤には伝わらないな
これ以上、伝える必要も無い
今回のことはワシが知ってることは、全部バラすからな新聞記者にも、マスコミにもいいや、警察にだって訴えてやるわっお前らが、今ワシにしたことは傷害じゃからのぉインターネットとかにも書き込んでやるぅぅ
そうやってジタバタしていた方が、ヤクザらしいけれどみっともないよね
マルゴさんが溜息を吐いた
殺すしかなすのかな
そして巫女服の懐から、ハンカチを取り出し倒れている安藤の方へ向かう
え月子
大丈夫ネDarling
心配するオレにイーディがそう言った
つ、月子お嬢
驚く安藤の前に、跪いて
月子は、安藤の顔の血の汚れをハンカチで拭ってやった
お嬢ワシは
もういいですから黙って、安藤さん
月子の指が安藤の頬に触れる
ありがとうさようなら
そして安藤は、沈黙する
記憶を消しました安藤さんはもう、わたくしたち姉妹のことを思い出すことはございません
そうか月子は
もしもの時のために、ずっと巫女の力をチャージしたままだったから
その力で安藤の記憶を消したのか
本当にさようなら、安藤さん
月子は、安藤の血のついたハンカチをジッと見つめている
あの初恋の思い出は
ハンカチ1つ残ってた
昨日そのハンカチは
いつの間にやら消えていた
今は遠い恋人よ
僕は二度と見ないだろう
呟く月子
尋ねるオレに、マルゴさんが
詩だよ
アナトール・フランスが書いた詩なのネ
イーディが教えてくれた
二度と見ない
月子は、そう言ってハンカチを床に投げ捨てた
参りましょう公様
もう20年くらい前になりますが
突然、父が
父実は、みんなに黙っていたが若いときに人に勧められて、土地を買った
と、突然言い出しました
父しかし、買ってから一度も観に行ったことがない
私それはマズイから、観に行こうよ
ということで、行ってみたのですが
私これは土地じゃ無いよ崖だよ
父うん、崖だな
父が持っていた土地は、山という崖の急斜面でした
しかも、とかでもない山奥の
父いやあ、20年以上ダマされていたことに気付かなかったどうりで安いと思った
それから、さらに20年
一昨日、不動産屋を名乗る人から家に電話があったそうで
母何か、不動産屋から電話があったんだけどお父さんの持っている土地を売って欲しいって
私土地っていうか崖だったよというか、まだ持ってたんだ
母何度か売る話もあったんだけどバブルの頃ですら売れなかったのよ山奥過ぎて
それが、何で今頃売って欲しいなんて話が
母それが大阪に本社があって、東京は品川に支社があるっていう大きな不動産屋さんらしいんだけれど日曜日に、担当者が大阪からうちに話をしに来るって
何で品川に支社があるのに
大阪の人が、しかも日曜に来る
母とにかく、話だけでも聞いてみるわ売れるんなら嬉しいし
ということで、今日そいつは来ました
母あそこは、山奥ですし崖なんですけれど、売れるんですか
そいつええ、大丈夫です中国人に売りますから
母中国
そいつああ、今は中国人が、日本の水源地とか山奥の土地を欲しがっているんですよ
母はあそれで、幾らぐらいで売れるものなんですか
そいつそれは、オークションなんで正確には何とも言えないんですけれど
母オークション
そいつはい、うちの会社の場合はヤフオクで、土地を売ってます
母ヤフオフ
そいつということで、オークションの登録料としてまず30万円ぐらいかかりますこれを、ご負担いただくことになりますが
母登録料を負担
そいつええ、経費が掛かるのは、仕方の無いことですので
帰ってもらいました
ちなみに、品川の支社があるという場所に兄が偵察に行きましたが
そんな会社は、ありませんでした
家族全員、黒いオーラを食らってぐったりしています
明日は、私はMRI検査なので、もう寝ます
743.引き金の感触
香月セキュリティ・サービスが貸してくれたのは8人乗りのミニバンだった
色は、メタリック・グリーン
まあ、街中で走っている分には目立たない車だ
オレたち6人に、学校でメグをピック・アップしても余裕で乗れる
みんな、眠ってていいよ昨日から、そんなに良く眠れていないだろ
運転席のシート・ベルトを締めながらマルゴさんが言った
公様一番後ろの列に、夜見子とルナの間にどうぞ
月子が、そう言ってくれたが今は、女の子に挟まれて座る気分では無かった
後ろは、3人で座ってよオレは、前でいいよ
触ったり、脱がせたりしてもいいんだよ先生
夜見子が、胸を張って自慢のロリ巨乳を強調する
ルナ今日のお昼前に、わたくし、車の中でのセックスを体験したのっとっても、楽しいのよほら、車ってバネでユッサユッサ揺れるでしょその時は、ガレージに停まっている車の中だったんだけれどみすずお姉様のお話だと、走っている車の中はもっと楽しいそうなの
夜見子お姉様それは楽しそうだけど、また今度にしようよ今は、車に酔っちゃいそうだから
ルナはオレの心を少し読んでいるみたいだった
さすがにここでカー・セックスとか、体力が保たない
オレはこの後メグとも、真剣な話をしないといけないし
身体にセックスの匂いを残してそんな状況で迎えに行ったら、またメグがムクれる話が面倒になる
そういうのは、今晩ゆっくり家に帰ってからにしようよ
そうよ公様はわたくしたちのために、お疲れになられているんだから今は、休んでいただきましょうね
オレの心が完全に読める月子が、妹にそう言った
月子とルナは、人の心を読むヨミの力に目覚めつつあるが
夜見子は、ツキの力の方ばかり開発されたからまだ鈍いんだな
清美さんが亡くなって自分の内側に溜めた力を全開にして対抗する必要もなくなったから、気も緩んでいるんだろうし
では、後ろの列にはわたくしたちが座ります公様は、真ん中のシートにお一人で、ごゆったりおくつろぎ下さい
そうさせてもらおう
アタシは、周囲の監視があるからここネ
イーディは、当然の様に助手席に座る
まさかの襲撃を受けた場合は運転席のマルゴさんは、車を安全な場所に移動させることに専念するから
助手席からイーディが飛び出して襲撃者に牽制を掛けることになる
頼むよ、イーディ
じゃあ、いくよ
マルゴさんが、車のエンジンを掛ける
ホテルの地下駐車場から車が走り出す
幸いにしてホテルの外に出ても、待ち伏せや尾行車はいなかった
今回の手打ちの結果に、ヤクザたちが不満を感じていたとしてもさすがに、ただちにオレたちまでをターゲットにして、追尾してくるような態勢は整っていないのだろう
ここ数日、オレたちと直接対決していた大鳥総裁と佐竹会長の組織は、全面的に解体されているのだから
関西ヤクザの重鎮の老人たちも先にジッちゃんとの約束である、大鳥と佐竹の処分をしないといけない
2人が支配していた下部組織は他のヤクザたちが奪い合うことになるだろう
ヤクザたちが反撃を企てるとしてもヤクザ界の再編成が行われた後になる
ふふふ、姉妹の方が先に寝ちゃったね
夕暮れの街を走る車ミラー越しに車内を見て、マルゴさんが言った
後部シートを振り返ると巫女服の鷹倉3姉妹は、スーッと眠りに入っていた
夜見子、月子、ルナ仲睦まじく、身体を寄せ合って
そりゃ、疲れているネ昨夜からロスト・ヴァージンして、何度もセックスして今朝は、力の修行もたっぷりやったネそしてとっても緊張してただろうカラ
うん3人とも、頑張ったんだよな
レイちゃんが側に居てくれたとしてもジッちゃんの隣で、上からヤクザたちの怒号や清美さんの告白を聞いているのも辛かっただろうし
でも、良かったネ
ああ良かったよみんな、ヤクザたちから自由になれて
鷹倉神社の巫女の運命から、脱することができて
それだけじゃないネDarling
このSISTERSにとって、一番良かったのは姉妹が仲良くなったことなのネ
覚えていないノカツキコたちは、最初に会った時は、決して仲良しな姉妹ではなかったんだヨ
なぜか、次女の夜見子が一番威張ってて
月子は、一歩引いていて
ルナは、内に籠もっていた
今は仲良しさんネ
イーディの言葉に、オレはもう一度眠っている3姉妹を見る
うんどう見てもお揃いの服を着た、仲睦まじい美少女姉妹だ
姉妹が、お互いを受け入れ合っているのを感じる
これもDarlingの力ネ凄いヨ、Darlingハ
何もしていないなんてことは、絶対にないノネ前に進んでいる限りハ
イーディはそう言う
さて良信くんちょっと、別の話をしてもいいかな
運転席からマルゴさんが言う
何だろう改まって
君は七人の侍って映画、観たことがある荒野の七人とか宇宙の七人じゃなくってそもそものオリジナルのクロサワの
まあ自分から観たいと思わないと、なかなか観られない映画だからね日本でテレビで放映されたのは、一度だけだそうだよそれも、権利が高かったのか頻繁にコマーシャルが入る、変な編集だったらしいし
こういうストーリーなんだよ日本の昔の戦乱の時代にね野武士に襲われている村があって野武士っていうのは、何かよく判らないんだけれど、主人のいないサムライが集まって盗賊みたいになった連中みたいだよそういう悪いサムライが、何度も村を襲って食料を奪って行くから村の農民たちは、もうこのままじゃやっていけないって困窮しているんだよそれで話し合いの結果、野武士を退治してくれるサムライを雇いに行くんだ
農民がサムライを雇う
まあ戦乱の時代だから主君のいない浪人みたいなサムライが、いっぱいいるんだよそういう人を村の農民たちで雇おうってわけでも、村は散々、野武士に荒らされた後だから報酬なんて何も無いわけせいぜい、お腹いっぱいご飯を食べさせるって約束するぐらいでさ
だから、そういう条件でも村の人たちを助けてあげたいって思ってくれるような、正義心の強いサムライを探すしかないわけそれでまあ何とか、七人のサムライを村に連れ帰って野武士軍団と闘うっていうストーリーなんだけど
そんな時代、日本の歴史には存在しないノネ
士農工商の身分制度ができる前はというか、軍人専業の武士が現れるまでは、武士と農民の間に差がないノネ日本の場合は特に戦乱期ナラ
戦国時代の途中までは、普段は農民をやっている人たちが、戦争になったら兵隊になるわけだからねずっと戦争しかしない、常備軍の兵隊というものがいなかったわけだから
農民の村には、武器があるし戦いに行った経験のある農民もいっぱいいるわけ野武士の集団なんかに、一方的にやられ続けるわけがないし近隣の村同士のネットワークだってあるんだから、盗賊集団ならみんなで潰すよだから、大規模な一揆とかも起きるわけでしょ加賀の一向一揆なんて、100年近く一揆した民衆で国を支配したりしてたんだから
寧が一向一揆で信長のヤボーを天下統一してたネ
大体、野武士なんてそんなに酷い連中が居るのなら、そこの領主が兵を出して鎮圧するよ幾ら戦乱の時代だからって、領内に野武士集団とか居られたら困るもの土地を耕すのでなく、ただ奪いに来るだけの連中なんて
しかし、何でオレはアメリカ人2人に、日本の歴史を教わっているんだろう
そして、一番の問題だけれど村を襲う野武士と、村から雇われるサムライどっちも、本質は同じモノなんだよ主君がいなくて帰る場所が無い自分の土地がなくて、腕だけを頼りにして諸国をうろついている不審な人たちたまたま、寄り集まって村を襲っているのが野武士で街道辺りをうろうろしていて、たまたまスカウトされたのが七人のサムライたち
でも七人のサムライたちは正しくて義心に溢れた人で野武士は、悪い奴らなのネ明確に、色分けされているのネ
これがどういうことを示すのか判る
いや、判んないです判るわけがないです
つまりさ時代劇というのは、過去にあった古い時代を舞台としているけれどその中にいる登場人物たちは、その作品が作られた時の現代人の感覚で描かれているんだよ
現代人の感覚
映画七人の侍が撮影されたのは昭和28年まだ戦後の混乱期というか日本の戦後は、どんどん右肩上がりで景気が良くなったみたいに言うけれど、そうじゃないから好況と不況の繰り返しだから昭和28年だと
朝鮮戦争が終わったのネ
それで戦争特需が終わり一旦、不況になる翌、29年から神武景気と呼ばれる好況が来て、32年はなべ底不況
上がったり、下がったりしつつ少しずつ、日本は復興したのネ
ていうかオレ、何で日本人なのに日本のこと知らないんだろう
で話を戻すけれど、七人の侍が作られた翌年には、最初のゴジラが製作されているんだけどゴジラというものが何の暗喩なのかは知ってるよね
アンユって何ですか
済みません馬鹿で
メタファーのことネ
そのまま明らかに示すのではなく、類似点から何となく裏の意味を連想させるような比喩だよゴジラが放射能を炎を吐くのは、知っているよね
ああ原爆とかの比喩ですか
そこまで言われたらオレにも判る
そうちょうど、大国が太平洋の島で原爆実験を繰り返していた頃だからねゴジラは、原子爆弾の暗喩だよそしてもう一つ
東京大空襲の記憶のメタファーなんだ
東京大空襲
最初のゴジラは、東京へ上陸して晴海通り沿いに、銀座の街を壊滅させるんだけれどそこは、東京大空襲の時に焼き尽くされたエリアと重なるんだしかも、ゴジラの進撃は今のJRの線路の手前のところで、止まっているからねそこから先は空襲の被害を受けていないんだ三信ビルなんて、ほんの数年前まで現存していたからね
戦争から10年近く経っているけれどいや、むしろそういう時期だったからこそ東京大空襲の圧倒的な物量の爆撃の炎に焼かれた記憶が、まだ生々しく残っていたんだろうね高空から焼夷弾を落としてくる爆撃機と口から炎を吐いて、街を壊滅させるゴジラはイメージ的に重なるんだ
七人の侍もそうだよあのサムライたちは主君がいなくて、街道をふらついているサムライたちは戦争に負けて、ヘロヘロになって帰って来た当時の日本人のお父さんたちの暗喩なんだよ
だから、時代劇だけど登場人物の心情は、現代人
日本という国の自治能力が、まだ不完全なままで政府や警察に頼れないと庶民が感じていた時代だから野武士対策を領主に頼みに行くのではなく、村民が自ら正義のサムライを雇いに行くというストーリーになるしかも、戦争に負けて帰国したお父さんたちにとっては村民たちのために戦うというのは、自らの新たなるアイデンティティを得られることなわけだよ荒廃した戦後の日本の国土を復興させていくために、自らを捧げるというイメージに結びつくわけだから
アイデンティティ
つまり現在の視点で考えると、野武士も七人のサムライたちも同じ主君を失ったあぶれ者の武士で一般社会からしたら、危険な存在なんだよ住所不定無職で、武器を持って、戦闘能力に長けているんだからだけど七人の侍が初めて公開された時代においては、野武士というのは庶民に襲いかかって来る様々な害悪の暗喩でしかないだから、正義のサムライたちがどれだブチ殺しても良いわけあの野武士にも、親や子がいるかもしれない村を襲わないといけないような、仕方の無い事情があったのかもとか、誰も思わない悪いものの暗喩だから
そうネ本物の戦国時代の農民は自衛する力も、武力も持っていたけれど七人の侍が作られた時代の庶民は自分たちを守ってくれる人たちがいないと感じていたのだろうネだからサムライに守ってもらうということに、疑問が無いのネ余所者のサムライを頼る前にまず、自分たちが武器を持って、野武士と徹底抗戦しようという気は無いのネ
そういえばそうだね何でなんだ
オレの問いにマルゴさんは
もう一度、言うけれど野武士もサムライも、現実の日本の歴史には存在していないんだよ
つまりイメージとしての暗喩としての存在なのネ
庶民に害を及ぼす者の暗喩である野武士は戦争から帰って来て、荒廃した日本を復興させようと立ち上がりたいと思っている人たちの心の暗喩であるサムライでないと殺せないね純粋に暗喩としてのイメージでしかない存在だから同じく純粋なイメージである別の暗喩でないと、倒せないノネ
この場合村民だって、社会や政府に不安を感じている一般庶民の暗喩でしかないのだけれどイメージが心情としてリアル過ぎるから純粋な害悪のイメージである野武士には太刀打ちできないノネ
だから七人の侍は、当時、圧倒的に観衆に受け入れられたノネもちろん、今、観ても面白いけれどアタシたちが現在の眼で見ると、色々と矛盾を感じてしまうワケなのネ
ろくな報酬も無いのに、村の人のために命を捨てて戦うサムライたちというのは当時の人たちの理想とか、願望とかを背負っているわけだからさ人間なんだけれどただの人間とは違う、プラス・アルファな何かを背負っているそれがヒーロー性なわけ
だから、今の感覚で登場人物たちの言動や、ストーリー展開を考えると、矛盾を感じたりするのネ作っている人たちや、それを観る人たちの感性が違うカラ
ずいぶん、回り道をしちゃったけれどさ何で、この話をしたかっていうとあたしは、ずっとヤクザのことを考えていたんだよね
今は、ほらヤクザ映画とかも、下火でしょ昔は、たくさん作られていたのに
それはアタシは知らないネ
さすがのイーディもヤクザ映画のことは、知らないか
いやね伝統的な、ヤクザ映画のストーリーはね七人の侍に同じ主君のいないはぐれ者の武士なのに正義漢のサムライと悪の野武士が居るのと同じなんだよつまり良いヤクザと悪いヤクザがいるんだ
良いヤクザは、悪いヤクザたちに徹底的に、酷い目に合わされるそれを耐えて耐えて耐え抜いてクライマックスで、ついに堪忍袋の緒が切れて、良いヤクザが仲間数人と悪いヤクザの家へ殴り込みに行くわけで、悪い奴らを全員、ぶった切る普通の勧善懲悪物のドラマと違うのは悪いヤクザを斬り殺したことで、主人公の良いヤクザも報いを受ける結末になるってこと仲間が死んだり、自分も死んだり、警察に捕まって刑務所へ入ることになったり愛する人と別れて、街から脱出しないといけなくなるそういう風に、悲劇的な終わり方になるのが伝統的なヤクザ映画のパターンなわけ
良いヤクザが何で、悪いヤクザたちからの嫌がらせに耐えないといけないかというと良いヤクザは、ヤクザとしての美徳仁義って言うんだけれど仲間への情とか、親分への忠誠とか、組織を守るための掟とかそういうものに縛られているからだから、何があってもギリギリまで我慢するそして、相手の悪いヤクザがついに良いヤクザの仁義の根幹を踏みにじるようなことをした時にキレて殴り込むわけそれだけは絶対に譲れないというポイントを犯されたら命を捨ててでも戦うっていうのは、いかにも日本人的だと思うよ他の民族はもっとすぐにキレるから
つまり、日本のヤクザには現実には、ありえないんだろうけれど美しく昇華された理想のヤクザ像というものがあったんだよだから、ヤクザというものを主人公にした映画が大量に作られたわけだね
ヤクザには理想の姿があった
でもやっぱり、そう言うのって、嘘臭いでしょそんな理想的なヤクザなんて実際はいないんだから現実のヤクザは裏切りとか、下克上とか、普通なわけだしさむしろ、そういうバイタリティに溢れたヤクザの現実的な姿を描いた方が面白いっていうことになって70年代に実録ものというシリーズが作られるんだヤクザ界の現実にあった事件と、実在するヤクザをモデルにした映画のシリーズだよ
理想でなく現実
もちろん、実録って言ってもドキュメンタリーじゃないから、演出が入っている現実のヤクザというより、現実的なヤクザを描いたあるいは、世間の人たちがヤクザって、こういう感じだよねって信じてくれるようなキャラクターとストーリーその最初にして最大の成功作が仁義なき戦いっていうタイトルなのは、面白いよねつまり、ヤクザ界の伝統的な美徳である仁義が無いって、最初っから宣言しているんだから
仁義か
でも、ほら実録ものだと、ネタ切れするんだよ現実には、映画にして面白いキャラクターや事件は、そんなに無いからで実録ものが流行った後、またヤクザ映画は変質するんだ
どうなったんです
登場人物が、ヤクザの美徳である仁義と現実的な、何でもありの無法行為を使い分けるようになった
使い分ける
つまり身内に対しては、情が厚く敵に対しては、ハチャメチャ片方では、強くて優しい兄貴とか親分だけれどもう片方では、それがなんじゃいヤクザに常識がきくと思ったら、大マチガイだぞって、倫理的にも許されないような残虐行為をしたりする二重人格というかダブル・スタンダードな人たちの物語になっていくわけ
そういう多面性がリアルだとか、人間らしいというような評価もあったんだよ最初はでも、結果的にそういう人たちのストーリーになってからだよ、ヤクザ映画の人気が落ちていったのは
いや、一時期は映画館に掛かるような作品が減った代わりに、Vシネマっていうビデオでの作品が大量に作られたけれど今は、もう下火だよね
面白くないノカ
それは、だって突然、優しくなったり逆にキレたり人として、感情移入できるかっていうか格好いいと思うかっていうところがさやっぱり、大昔の伝統的なヤクザ映画だと主人公に思い入れができるんだよ主人公の考え方や態度にブレが無いんだから
ああ感情がコロコロ変わる主人公だと、ワケが判らないもんなあ
だから、今はヤクザ映画って、あんまりよくないんだよね
なるほどネ
イーディが納得する
今のマルゴの話の教訓は実際には存在していないとしても、理想化された美しい形ヤクザの世界なら仁義の思想みたいなものが、大切だったということナノカ
仁義の思想
あたしは、そう思うよ世界的に犯罪組織というのは、幾らでもある今、この瞬間にだって世界のどこかでは、新しい犯罪組織が結成されているよそれは仕方ないよね人間の中には、どうしたって犯罪を犯していかないと生きていけない人がいるんだから
でも組織の構成員たちが共通した思想を持たない犯罪組織は、すぐに壊滅するこれは本当だよ裏切りや、密告そんなので、すぐに潰れる世界中の名の知れている大きな犯罪組織はマフィアでも、カモッラでも、ユダヤ系ギャングでもみんな独自の掟思想を固持しているからね
あアメリカでは、シチリア系の移民がマフィアでギャングっていうのは、それ以外のことネ
イーディが、注釈をしてくれた
もちろん、日本のヤクザも仁義という理想を、組織の思想として掲げてきたから明治以降の発展があったんだと思うよ義理と人情と親分への忠誠を何よりも尊ぶという思想がね
それが崩れている
あたしは、そう思う映画というのは、時代の思想を映す鏡だから映画は、絶対にそれが撮られた時代の現実を完全に切り取ることはできないんだよそこには、製作者たちの思想が入り込むからむしろ、現実よりもその時代に、どういう思想が存在していたのかということを如実に示すんだ
七人の侍の例のように
伝統的な仁義のヤクザの映画の時代だって現実世界のヤクザ界では、仁義の厳守が尊重されていたわけではないそれは、その頃に実際にあった数々の抗争事件が証明しているでも、その時代の理想的な仁義を守る主人公の映画が大量に作られたということは現実はどうであれ、当時の人間は仁義というものに、美しさを感じていたということだよ理想のモデルとなる美しいイメージがあれば現実がどんなに汚くても、人は美しい思想を掲げて生きていくことができるかつての人々はヤクザという反社会的な存在に対して、美しさを感じることができたそれが、現実のヤクザにとっても誇りになっていたと思うだけど
今のヤクザはそうは生きられないというノカ
イーディの言葉にマルゴさんは
うん今のあの人たちは自分のしていることに、誇りを感じられるんだろうか
誇り
ただ、力だけでのし上がっていくというのなら今はほらブラック企業の方が、よっぽどヤクザ的だからねヤクザ界の古くからの伝統とか、しがらみに縛られるより法律違反スレスレのビジネスをやっていけばいいんだしさわざわざ、ヤクザになることは無いんだよ
というか、ヤクザの世界に入って成功するというのが、どういうことなんだか判らなくなっているでしょ成功したヤクザに若い人たちは、美しさを感じるだろうか高級ブランドのスーツを着て、外車に乗るのならブラック企業とか起業して成功した方が早いでしょヤクザなら、せいぜいホステスさんぐらいしか口説けない気がするけれどブラック企業の社長だと、アイドルとかだって口説けそうだし
なるほど夢が無いノネ
イーディは頷く
日本のヤクザ界は多分、これからの10年で変わっていくと思うよそれでも、昔からの大きな組織力はまだ残っているけれど、今後は少しずつ衰えていく衰えていくしかないそれはヤクザの世界に、美しさを感じる思想も夢も、もうなくなってしまっているからだよだから、香月さんはヤクザ界の切り崩しを始めたんだ
今日の手打ちは実質的には、香月さんの宣戦布告だよ今日から、香月セキュリティ・サービスは、ヤクザ界全てと闘うことになる香月さん的には、おそらく数年でヤクザの世界を解体し、香月セキュリティ・サービスが新たなる思想を吹き込み、その組織力だけをそのまま奪い取るつもりなんだろうけれど
今日からが戦いの始まりなんだ
そして、新しく再編された裏社会の強大な力は、全て、君のものになるんだよ
君ってオレ
だから、今日君はあそこで、ヤクザの重鎮たちと顔合わせさせられたんだよ黒森公くん
ミラーの中のマルゴさんが、ニヤッと微笑む
君が戸籍を2つ持っていて、本当に良かったみすずさんの婚約者、戸籍上は黒森恵人で、通称が黒森公この名前が、これから香月セキュリティ・サービスの裏の支配者として、世に知られていくことになるからね
えど、どうしてオレが
香月さんは82才だよもう、高齢なんだよだから、今のうちから君に、裏の世界を押さえ込む力を継承させておきたいんだ
実はもう君の名前を、裏世界に流している
判らないのかい黒森公はあの香月老人に認められて、孫娘との結婚を承諾させた男なんだよそして
あの恐るべきシザーリオ・ヴァイオラを殺した男なんだ
オレの手に引き金の感触が蘇る
黒森公はすでに、幾つもの伝説を持っている裏世界の人間なんだよ
MRI検査というのを受けてきました
何か、ジャッカー電撃隊の変身カプセルというか
銀河鉄道999の棺桶に閉じ込められて、埋葬された話を思い出しました
閉所恐怖症の人には、お勧めできません
結局、首のヘルニアで2箇所ほど、神経を圧迫しているそうです
ただ、手術するほどまで悪くはないそうなので
理学療法で、体操していくしかないそうです
マッサージとか、行かなくて良かった
変に、力任せにして圧迫しているところが神経を傷付けたら、大変なことになるそうです
ということで、明日はリハビリ科の方へ行くことになりました
744.本音を探ると
でも、オレ香月セキュリティ・サービスで、何をすればいいんです
幾ら、オレが香月セキュリティ・サービスを裏で支配しているという設定を世間に流しても
オレは、ただの出来の悪い高校生だ
何もできない
別に君は何もしなくていいんだよ
軽やかにハンドルを捌きながらマルゴさんは、言った
面倒なことは、どうせ翔お姉さんが全部やってくれるから君はそうだね年に2、3回みすずちゃんと一緒に、黒森公として公のパーティに出席してもらうぐらいかなそれで、他の出席者からちょっとだけ注目されるあれが噂の黒森公だってざわざわされるんだよそれぐらいだね
オレの存在を年に、数回だけアピールして
後は、翔姉ちゃんやみすずの影に隠れている
君の日常生活には、ほとんど支障は出ないよだって、普段の君は黒森公ではなく、吉田良信のままだからね
オレは、今2つの戸籍を持っている
1つは、寧の亡くなった弟さんからもらった奈島景人の戸籍
これは今、黒森家に籍を移して黒森恵人となっている
黒森公は黒森恵人の別名ということにする
一方、オレの元々の名前吉田良信も
すでに、黒森家の養子になっているから戸籍上は、黒森良信に変わっている
ただ、高校ではオレが養子になったことを、みんなに公表していないから
そのまんま、吉田良信で通している
要はさ香月さんが、後顧の憂いを消したがっているんだよ
後顧の憂い
もし、今、突然自分に何かが起きたとしてもみすずちゃんと瑠璃子ちゃんと美子さんを守れる態勢を作りたいのさそれには香月セキュリティ・サービスの支配を盤石にしておかないといけないだろ
香月セキュリティ・サービスは警護と外敵と闘う攻撃力の全てだ
香月グループの他の企業は香月さんが亡くなるまでは、株なんかの名義をみすずちゃんたちに移すのは良くないよねまだ、みんな未成年なんだから新しい経営陣のトップの司馬さんが、余計な疑念を感じるかもしれないし
ジッちゃんが倒れたとかならともかくまだ元気なのに、株式なんかの移行を始めたら変に思われる
だけどもし、仮に今突然、香月さんが亡くなったとしたらすぐに香月さんの遺産を全てみすずちゃんたちが継ぐという風にはならないよね香月家には、多くの分家が居るし色々な人が、それぞれ利害関係を抱えているわけだからたくさんのグループ企業をどうまとめるかどうしたって、タイムラグが起きる
孫娘3人で、遺産をどう分割するかというのもあるだろうしな
まあ、グループの普通の会社なら多少は、混乱した時間があっても、経営に問題はないだろうけれど香月セキュリティ・サービスは、そういうわけにはいかないよね
ジッちゃんが死んで、オーナーが一時不在になったからって
みすずたちへの警護が疎かになるようなことがあったら困る
だから、他の会社とは別で香月セキュリティ・サービスだけは、今のうちに経営権から代替わりさせておこうっていう話になったんだよ
元々、香月セキュリティ・サービスは香月グループ内でも、独立している会社だからね株は100パーセント、香月さんが1人で持っているわけだけどそれをみすずちゃんに、生前贈与するわけみすずちゃんが、オーナーで黒森公は、みすずちゃんの公式のパートナーだから、君が香月セキュリティ・サービスの裏の支配者であることは、全然変じゃない香月さんが、君をみすずちゃんの相手として認めたことはみんな知っているわけだし
そうやって思わぬ事態が起きても、香月セキュリティ・サービスだけは、みすずたちへの忠誠を維持するようにしておく
そして、もう1つ
ルームミラーの中のマルゴさんの眼が、オレを見る
ミナホのことなんだけどさ
5年だけ娼館を再開して続けるっていうのは、ミナホ自身の過去の清算と他にまだ生きる術が見つけられていない元・娼婦の子たちの救済のために必要だってことは君も判っているよね
岩倉会長みたいな困った人もいるし
で5年後に娼館を完全閉鎖した後のミナホのことなんだけれど
香月セキュリティ・サービスに、何かの役職をもらうっていうのはどう思う
香月セキュリティ・サービスで、ミナホ姉さんが働く
いや、もちろんミナホは、ミナホで今だって、投資なんかのビジネスもやっているし、他の商売を始めてもいいんだけどさ
ハッと小さくマルゴさんは、溜息を吐く
黒い森の娼館の女主人であったっていう過去は、永遠にミナホに付いてくるんだよ色んな名家の人の人にはあんまり知られたくない個人的な秘密をいっぱい知っているわけだし、裏社会の人たちともいっぱい付き合いがあるそういうミナホが普通にビジネスだけをやっていくのは、中々大変だと思うんだよ周りはやっぱりミナホが色んなことをバラしたりしないかって、戦々恐々としちゃうだろうしさ
娼館という裏のビジネスを続けている間はミナホ姉さん自身が、やましい商売をして生きているのだから、ミナホ姉さんに対して、顧客たちや裏社会の人たちはそんなに恐怖心を持たない
だが、ミナホ姉さんが完全に裏の商売から足を洗って表のビジネスだけしかしなくなったら
過去のことや、裏の世界のことで脅迫されるのではないかと、ミナホ姉さんを脅威に感じる人も出る
だからさ香月セキュリティ・サービスの分析担当とか、裏社会との交渉係とか、まあ何でもいいんだけど香月セキュリティ・サービスに籍を置くのは、ミナホにとって良いことなんだと思うんだよ
香月セキュリティ・サービスなら名家専門の警護会社なんだから、色々と秘密にしておかないといけないことに対する守秘義務があるわけだしそういうことが、きちんとしていないと警護会社として、顧客から信頼されないからね裏社会の人たちも、香月セキュリティ・サービスの人間になら、一目置いてくれるだろうし気軽に、ミナホにケンカを売ってきたりはしないよね
なるほど香月セキュリティ・サービスに所属することで、ミナホ姉さんを守ることができる
香月セキュリティ・サービスだって、ミナホの今までのコネクションを活用できるしミナホの情報分析力や、処理能力もこれって、割とWIN-WINの関係になれると思うんだよ他のビジネスだって香月セキュリティ・サービスに所属したまま、やったっていいんだしさどうせ、普通の社員じゃなくてオーナーである、みすずちゃんの直属とかの役員待遇で入れてもらうことになるんだろうから社外取締役みたいのが一番いいのかなぁミナホの場合は
うんミナホ姉さんに年齢相応の普通の社員は無理だからな
普通の人じゃ、ミナホ姉さんの上司も部下も勤まらない
翔姉ちゃんや谷沢チーフのクラスでないと話もできないだろう
それとこれからの香月セキュリティ・サービスは、香月グループからの支援は期待できないから、独立採算でやっていかないといけない
グループ経営のトップが、ジッちゃんから司馬さんになるんだから
今までみたいに、ジッちゃんの号令で莫大な資金が投下されるということはなくなる
そういう時だからこそ、ミナホみたいな人材が必要なんだよミナホは商売のノウハウを知っているわけだからさ
ミナホ姉さんは白坂創介の乱脈経営で、ボロボロになった黒い森を黒字になるまでに建て直した経験がある
それに、ミナホのコネクションは香月セキュリティ・サービスが、今まで付き合いのなかった新しい顧客を開拓できるだろ
香月セキュリティ・サービスは、香月家が母体だから
香月家に近い名家の警護しか担当できなかった
黒い森には戦後からの日本の数々の名家の人々が訪れている
香月家と親しくなかった家へもセールスすることができる
もしかして、そういうこともあって今回、ミナホ姉さんを翔姉ちゃんと一緒に
さっきのホテルに残って香月家に対する関西ヤクザ界の動向を、翔姉ちゃんたちと分析している
そういうことさ谷沢さんの世代はミナホに対して、良いイメージを持っていないみたいだけれど、香月セキュリティ・サービスも現場部門は、もう翔お姉さんに代替わりしたわけだからね翔お姉さんの採用なら、谷沢さんも承認してくれるよというか君という存在がいる限り、谷沢さんだってミナホを香月セキュリティ・サービスに取り込んでおきたいだろうから
オレの存在ですか
みすずちゃんも瑠璃子ちゃんも、君の側に居て君の保護者は、ミナホなんだよ谷沢さんは、香月セキュリティ・サービスとミナホが対立するのが一番困るわけ
ミナホ姉さんがヘソを曲げてうちのお屋敷には、香月セキュリティ・サービスの人は立ち入らせないとか言い出したら困るんだ
だって、ミナホにはあたしやキョーコさんが付いていることは知っているんだからさ
香月セキュリティ・サービスに依存しなくても警護役には、困っていない
逆に今、香月セキュリティ・サービスと全面戦争して、多大な被害を与えられる唯一の存在がキョーコさんだ
キョーコさんには、マランドロという南米の国際犯罪組織が付いている
もちろん、ロサンゼルスの犯罪界の有力者であるミス・コーデリアとその配下たちも
キョーコさんとレイちゃんのマスコミを利用した馬鹿騒ぎを、谷沢さんが黙認しているのも本気で戦争するよりは、ああやって仲良くジャレ合ってた方がマシだと思っているからさああ見えて企画を出し合ったりして、割と連絡を密にしているわけだから
ああ、レイちゃんそんなことを言っていたな
この間の企画は、断ったとか
ということでさ今回のことを機に、ミナホには少しずつ香月セキュリティ・サービスに馴染んでもらおうと思うんだよいいよね
マルゴさんは、オレに尋ねた
そんなのオレが承諾したりすることじゃないですよ
オレが、ミナホ姉さんに保護されているのでありその逆ではない
そうかなミナホは君の言うことなら、何でも聞くんだからさ
Darling今、マルゴから言われた話を、ミナホにするのネDarling自身の自分の考えトシテ
ずっと助手席で話を聞いていたイーディがそう言う
そうしたらミナホは、すんなり受け入れるネというかミナホは、とっても聡明な人なのネすでに、自分が香月セキュリティ・サービスと関係を持った方が色々なことがスムーズになるということは、判っているネショウやレイカとなら良い関係を築けるというコトモ
うん今回の鷹倉姉妹の件では
ミナホ姉さんは、翔姉ちゃんやレイちゃんたちとずっと討議していたはずだ
谷沢チーフが、もう現場責任者は翔姉ちゃんなんだってずっと、引いて見ているだけにしててくれたから
ダカラ、ここでDarlingに自分の実感した考えを後押ししてもらえたら、嬉しいのネすんなり納得できるノネミナホはDarlingのことが、好き好きダカラ
あくまでも、香月セキュリティ・サービスに入社するっていう話じゃなくって名前だけでも、籍を置くっていうことだよ社外取締役ねそういうのを強調してミナホは独立心が強いから香月さんに、取り込まれるっていうイメージだと、拒絶すると思うんだ
マルゴさんが、そう付け加えた
判りました今夜にでも話してみますオレなりの言葉で
ジッちゃんがオーナーで、谷沢チーフがトップの香月セキュリティ・サービスならミナホ姉さんは、所属することを拒むだろうが
みすずがオーナーで、翔姉ちゃんがトップの香月セキュリティ・サービスなら受け入れてくれるかもしれない
頼んだよ
マルゴさんは笑顔でオレにそう言った
オレの学校の近くに車が着いた頃には外はすっかり暗くなっていた
えっとメグに電話して、校門のところでピックアップしますか
オレは、マルゴさんに尋ねる
いやここだと裏の職員用駐車場の方が近いからそこで一旦、車を停めるから、君だけ降りて、メグちゃんを探しに行ってよ
そんなことをしなくてももう6時を過ぎてるし、陸上部の練習も終わっていると思いますから
メグの携帯に電話をすればそれでいいことだ
学校の裏から正門まで廻るのだって、そんなに時間は掛からないし
でも、君はメグちゃんと話をする時間が欲しいんだろ
マルゴアタシがGUARDに付いていくネだから、マルゴはこのままツキコたちを連れて帰ってネアニエスたちが待っているカラ
そうだね2人きりだとメグちゃんが、暴走するだけかもしれないから、イーディが一緒の方がいいかもね
マルゴさんはそう答える
オレとメグだと
メグが、オレに一方的に感情を放出するだけになってしまうかもしれない
落ち着いて様子を見ていてくれるイーディみたいな子がいてくれた方が助かるかもしれない
あら、それでしたらわたくしも参りますわっ
後部座席から元気な声がした
振り向くと寝ていたはずの鷹倉3姉妹が、みんな目覚めていた
わたくし先生の学校って、興味がありますしっ
豊かな胸をぷるるんと揺らす
夜見子は行かない方がいいわ
どうしてです、月子お姉様っ
不満そうに、夜見子は言う
あなたはまだツキの力の方が強いでしょ恵美さんという人はあなたの力を知っているんだからあなたの顔を見たら、警戒するだけだと思うわ
メグは昨夜から、オレたちがやっていたことを全て知っている
オレたちが月子たちの力を何とか強化しようとしていたことを
メグは、朝から学校へ部活に行ってしまったけれど
午前中いっぱいを掛けて力の特訓をやっていたことは知っている
メグミはアタシたちが、巫女の力を使って、自分の心を操作するんじゃないかって恐れていると思うノネ
メグミの心を家族たちに従順になるようにネ
そんなことするわけないだろ
いや、君の考えではなく恵美ちゃんの考えだからね大きな力の存在を知ったら人は、疑心暗鬼になるものだよ
特に、夜見子さんは明るく、元気で、前向きなタイプだからね夜見子ちゃんの笑顔を見たら、恵美ちゃんはますます怖がると思うよ
このロリ巨乳の元気っ子は勢いがありすぎるから
余計なことを想像させる可能性がある
でも少しは怖がっていただく方が良いと思いますあの方は公様に、甘えすぎていらっしゃいますから
月子は、そんなことを言い出した
人を従わせるツキの力とまではいかなくともヨミの力で、自分の心の中がお見通しになっているというぐらいの重圧は必要かもしれません
自分の心に嘘を吐いてもこちらには、全てバレているぞというプレッシャーか
では、わたくしでなく月子お姉様が、行かれるのですか
夜見子が、自分よりもヨミの力の強い姉に尋ねる
いいえわたくしでは重圧が強すぎますわ
月子は一番年下のルナを見る
ルナあなたが、公様のお供をなさい
ボクが
そうですわねルナでしたらあの方にとっては、適度な重圧になりますわねっ
夜見子が、頷く
ルナはまだ12歳で、小柄だ
日仏のハーフだから発育の良いアニエスと違って体格も年相応に幼い
だけど
メグは、昨夜のセックスでオレたちが、ルナに力を溜め込んだことを知っている
強いんだか、弱いんだかよく判らないプレッシャーとしては、最適だろう
少なくとも元気印の夜見子や、年上で年齢以上に落ち着いている月子よりは
じゃあ、頼むよルナ
う、うん兄さん
ルナは、緊張した声でそう答えた
いや、居てくれればいいから何か特に、ルナが頑張ったりしなくていいからさ
マルゴさんは車を学校の敷地の裏から、職員用駐車場に入れる
校長室の地下へと繋がる秘密通路の前で停車した
行くのネ
オレとイーディとルナだけが車から降りる
じゃあ、あたしは一旦月子さんたちをお屋敷に届けるから迎えが必要になったら、連絡してすぐに来るから
お屋敷と学校は、車で5分だ
車をガレージに入れないで玄関前に停めておけば、すぐに迎えに出られる
ありがとうございます月子たちをお願いしますそれから、みすずや瑠璃子たちも心配していると思いますのでよろしく伝えておいて下さい
マルゴさんは、運転席の窓越しに笑顔で、そう答えてくれた
公様お屋敷で、皆様と夕食の準備をしておきますわ
月子が、オレにそう言う
そして、ご飯の後はヨミのことも食べてねっ
うん、まあそれは帰ってから
ていうか今夜は、本当は誰の番なんだっけ
昨日から、決めてあった順番とは違うことになっているし
どっちにしても、月子たちを加えた新しいローテーション表を作り直さないといけない
それじゃあ、また後でねイーディ、頼むよ
ガッテンなのネ
マルゴさんは、イーディに警護を任せると車を発進させた
後の窓から、夜見子が手を振っている
巫女服のルナは、心配そうにオレにくっついているだけだからイーディが、にこやかに夜見子に手を振り返していた
さて、行こうか
ここは学校の裏だから女子陸上部の部室棟まで少しあるけれど
Darling、そっちじゃないネ
イーディは秘密通路に通じる、隠しガレージを開くキーボックスを開けている
えこのまま、メグに会いに行くんじゃないのか
オレはイーデイの行動に驚いた
メグミはこっちから連絡しない限りは、学校の中で迎えを待っているネ今日、アタシたちが大変だっていうことは、知っているんダカラ
そうだメグだって
鷹倉3姉妹や、ヤクザとのいざこざのことは当然知っている
昨日は、学校の帰りにヤクザに襲われたんだし
アタシたちが、メグミの迎えを出すのが、遅れるかもしれないということは想定済みのハズなのネ多分、途中でアタシたちの経過は、カツコやナギサがメグミに伝えているはずダシ
昼休みや練習の休憩時間に
克子姉たちは、オレたちの状況をメグにも伝えている
それなら、オレたちが黒い森の戦闘メンバーは全員連れて、都心のホテルに向かったことは知っているんだから
メグの迎えが、遅くなるという可能性も判っている
ヤクザが絡んでいることなのだからガード役無しで、克子姉や渚がメグを迎えに来ることはあり得ないからだ
下手をしたら、迎えに行った人ごとヤクザに拉致される可能性もあるんだし
それは判ったけれど何で、そっちへ行くんだ
イーディが指紋認証と、暗証番号を打ち込んで秘密通路へ続くシャッターがジジジと開いた
判らないのカ
キョトンとして、イーディがオレを見る
今こそアソコの部屋の監視装置を使う時なのネ
校長室の地下の校内の全てを監視するあのシステムを
Darlingは、一度見えない所からメグミを見るべきなのネ
見えない所から
一度、メグの本音を探ってみるべきなのネ
うわぁ、何かすごーい
天井の低い地下通路を進みながら12才の巫女少女が、驚いている
はいはい、驚くのはまだ早いネこっちヨ
イーディは、どんどんオレたちを急かす
地下通路を出てコンクリートの階段を上がると、広い部屋に出る
オレは照明のスイッチを入れた
うわぁ、何これ
壁一面にたくさんのモニターが重なる監視ルームだ
校舎内にも、ミナホ姉さん専用の小さなサブの監視ルームがあるけれどここがメインだ
校内の全ての監視カメラと隠しマイクが、この部屋で自在に操作できる
何かロケットとか打ち上げられそうな部屋だよね
ルナは、そう率直な感想を述べた
さてとナノネ
イーデイが、主操作のシートに座り一つ一つ、電源を起ち上げていく
モニターが、一つ一つ生きてくる
校内のあちこちを映し出す
うわ、アレってシャワー室だよね
モニターの1つに女子校生たちの裸身が映る
そ、そうだな
ルナは、オレをチラッと見て
兄さんのエッチ
いや、別にオレが観たくて、あのモニターに映しているわけじゃないぞ
判ってるよちょっとからかっただけ
ルナが、オレに抱きついて来る
もう一緒にお風呂に入った仲だもん兄さんが、普通の子の裸に興味がないことは知ってるよ
ああ、この子は緊張しているんだな知らない場所に来て
さてさてメグミは、どこにいるのカイナ
歌うようにイーディが、次々と監視カメラを切り替えていく
すっかり、このシステムの使い方をマスターしている上に
イーディは、この高校の現役の生徒だ
校内について全て判っている
部活を終えたメグがどこら辺にいそうかということも
アレレおかしいネ
それでも、イーディのチェックにメグの姿が引っ掛からない
少し範囲を拡げるネ
イーディは、カチャカチャとキーを叩いた
CATCH
モニターにメグの姿が映る
メグはオレのパン工房の中に居た
工房の外からは見えない、待機室に
メグも、鍵は持っているから
え、どういうことなんだ
しかし、パン工房の中のメグは1人きりじゃなかった
誰かと喋っている
オレが居ない時に勝手に誰かを工房を入れたのか
ああ、このカメラの位置だと制服姿のメグの姿しか見えないぞ
判っているネ部屋の別のカメラに切り替えるネ
イーディがシステムを操作する
モニターに映ったその人物は
このメグの件が終われば、このエピソードは終わりになります
本編が終わった時の
何か、取りあえずの形には落ち着いたけれどこれって問題だらけだよな
という状態から
何とか、この人たちはこのまま幸せにやっていけるかも
に、しないといけないと考えて
こんな風にしてみました
このメグの問題さえ片付けば
本当の番外編に入れると思います
番外編というか後日談ですね
うーん、もう少しだな
745.陶片追放
何でマナがメグと一緒に居るんだ
黒森の屋敷は、ヤクザの襲撃を恐れて厳戒態勢だったはずだ
マルゴさんも、美智も、イーディも出払っているのだから外に出るための警護役も居ない
どうしてどうやって
屋敷を出てこの学校のオレのパン工房まで来られたんだ
そんなに驚くことでは無いネ
オレの表情を見てイーディが笑う
屋敷の外の警護は、ミチのパパがしていたネ1人でじゃなく仲間を連レテこの学校もメグが居るから、警護対象だったヨそれなら、カツコが連絡すればマナ1人をお屋敷から学校まで送ってもらうことなんて簡単ネミチのパパたちだって警護の人員交代とかで、行き来しているんダカラ
昼に工藤父は、部下の人たちの分の弁当を克子姉から受け取ってたし
工藤父の部下といえばネコさんとか、オレも何人かは知っている
マナをお屋敷から学校まで、安全に運んでもらうことは可能だろう
ていうことはこれは、マナが1人で屋敷を抜け出て来たってことじゃない
マナが自分だけの意志で、工藤父に話してというのは、無理だと思う
お屋敷の留守を預かっている克子姉から、工藤父に正式にお願いするのでないと
工藤父は、そういうところはキッチリしているから
当たり前ネDarlingは、アタシたちを何だと思っているノカ
イーディが、オレに言った
お屋敷に残ったDarlingのオンナたちがただジッとして待っているだけのハズがないデショあの人たちは、あの人たちでDarlingの不在時に、自分たちのできることを考えて行動するネ
克子姉、渚、みすず、瑠璃子、マナ
雪乃と美子さん、アニエスと真緒ちゃんは関係無いだろうけれど
屋敷に残った組は残った組で
オレがいない間に、自分たちのできることを考えて話し合う
ツキコたちの問題が片付いたらアタシたちの最大の懸念は、メグミのことネ
Darlingがメグミと直接話す前に誰かがメグミと話した方がいいネメグミの心を整理するためニモいきなりDarlingだとメグミは、甘えて暴走しちゃうかもしれないカラネ
だから、マナなのか
そうねカツコやナギサじゃやっぱり、メグミが甘えるネミスズやルリコじゃ反発するネユキノはロンガイだから、ここはメグミの本当の血族で、昔からよく知っている年下で話しやすいマナの出番ナノネ
イーディは克子姉が、マナを代表者としてメグに会わせるってことを、知っていたのか
だから直接、メグを探しに行くのではなく
オレをこの監視ルームへ連れて来た
知らないネ別に事前に計画を話し合ったりもしていないヨただ、判っているノヨあの人たちが、ただDarlingの帰りを待っているだけで、何もしないなんてことがあるわけないヨもう4ヶ月も一緒に暮らしているんだから、それぐらいは判るヨ
ああこれは克子姉の主導じゃないな
みすずと瑠璃子か
あの2人はこういうことをする
物事を理論立てて考えてなおかつ、実行力もあるから
マナを代表者にしたのは
みすずや瑠璃子が、お屋敷の外に出るのはさすがに工藤父も許さないと判断したからでもあるんだろう
香月家の娘は警護の最重要人物なんだから
マナはオレたちの学校に来たこともあるし
メグの妹を名乗って、女子陸上部の部員たちの前に現れたこともある
練習後のメグを尋ねていっても誰も不思議に思わない
まだ話は始まったばかりみたいネ部活が終わって、着替えてからだからパン工房へ着いたのは、ほんの数分前ネ
そしてこの時間に、このアクションをしたのは
もし可能ならば、メグとマナの会話を
オレに聞かせたいというのも
みすずたちの計画のうちなんだろう
あるいはイーディの
音声も出すヨ
イーディが、監視システムを操作する
だって仕方無いじゃない、あたしは
メグがマナに話している
あたしだって判っているわよこのままじゃいけないってことは今のままのあたしなら、みんなに迷惑を掛けているだけだってことも
判ってて、どうするの
さっき、克子お姉ちゃんから教えてもらったけれどお兄ちゃんたちの方は、全部上手くいったってだから鷹倉さんの3姉妹も、これからは一緒に暮らすことになるんだよますます、メグお姉ちゃんが、お兄ちゃんを独占することはできなくなるんだからね
そんなの、判っているわよ
メグは、苦々しい表情で答える
あたしだけが我慢が足りないって言うんでしょみんな家族で仲良くすることを一番に考えているから、ヨシくんを独り占めにしようとなんてしていないみんなは、そういう欲望を我慢しているそれなのにあたしだけ、自分の独占欲が抑えられていないっていうんでしょそんなことは判っているのよでも
仕方ないのよ女の子なんだもの好きな人を独り占めにしたくなっちゃうのよ嫌なのよあたしだけのヨシくんになって欲しいのよ
メグお姉ちゃんは少し勘違いしていると思う
穏やかにそう言った
あたしたちの家族の何人かの人は今、メグお姉ちゃんが言った様なお兄ちゃんを独占したいという気持ちは、全然持って無いよ
みんな違うんだよあたしたちとのそもそもの常識が
常識
例えばルリお姉ちゃんや、アニエスちゃんは2人とも、普通の人たちと隔離されて育ったから普通の家族を知らないんだよ今のあたしたちとの関係が、あの人たちにとっての最初の家族だからこういうものなんだって思っているから、全然、この生活にストレスを感じてないんだよ
オレとの関係とか以前にみんなと家族になって、一緒に生活していることが楽しくて仕方がない
もっと、言うとセックスのこともみんながお兄ちゃんを愛していて、お兄ちゃんもみんなを愛しているんだからみんなで仲良くセックスするのが、当たり前なんだって思っているんだよセックスも、家族としての愛の行為だから日常生活の中での
特に、ルリお姉ちゃんはお兄ちゃんとのセックスを楽しい、楽しいって言って喜んでいるでしょ気持ち良いじゃなくってあれはさ、ルリお姉ちゃんにとってはセックスも、家族生活の中での新しい体験の一つでしかないからだよ克子お姉ちゃんに料理や家事を楽しく教わっているのと同じなんだよ新しいことを覚えて自分も楽しいしお料理や家事は、家族みんなのために貢献できるセックスは、お兄ちゃんにご奉仕できるそれが嬉しくて楽しくて仕方がないんだよみんなのために自分が何をするということにも、喜びを感じているんだよだからお兄ちゃんを独占したいとか思わないみんなの中で共存している自分が好きだし、楽しいんだから
瑠璃子はそうだ
それが瑠璃子にとっての常識
アニエスちゃんは、もっと凄いから欲しくなったら、いつでもどこでもお兄ちゃんにセックスを要求してるし実際、ホントにしているでしょアニエスちゃんは、セックスってそういうものだと思っているし同じことを、マナたちがお兄ちゃんに求めても良いと思っているアニエスちゃんとお兄ちゃんのセックスに、途中からあたしたちが参加するのも、アニエスちゃん的には全然オーケイだしあの子にとっては、お兄ちゃんとのセックスだけが、人生の目的の全てなんだから
アニエスはセックス奴隷になるための教育しかされてきていない子だったから
しかも、お兄ちゃんが他の子とセックスすることについては全く、拒絶反応は無いでしょだって、アニエスちゃんはそういうものだと思っているしまあ、これは白坂創介さんのせいなんだけれどね
そもそもアニエスを自分専用のセックス奴隷にしようとした白坂創介は
アニエスにセックスの勉強をさせるために、自分が他の女とセックスしている映像を使っていたし
オレはアニエスの中で固定化されていた白坂創介への崇拝をいきなり破壊することはできなかった
それは、アニエス自身のアイデンティティを完全破壊することになってしまうから
だから、アニエスの中のパパ自分がセックスしなくてはいけないと思っている対象人物を
白坂創介から、オレにすり替えた
オレイコールパパだけが、アニエスがセックスしないといけない相手で
アニエスは、パパとのセックスだけを目的に生きている
だが、アニエスにはパパを独占するという思想は、最初から刷り込まれていない
パパが色んなオンナとセックスすることは当然なことなんだ
ただ、オレたちとの生活を通して
アニエスはオレがセックスする相手は、みんな自分の家族であり、心を許して良い人たちなんだと認識するようになってくれている
これはもう、アニエスのことに関しては現在進行形で
次は、家族の外にオレと性的な関係の無い友達を作るのが課題なんだけれど
やっぱりそれは、学校に通わせないと難しいと思う
他の人だってさお兄ちゃんに対する独占欲が弱い人は多いよ
マナは、話を続ける
寧お姉ちゃんや、レイちゃんは家族が欲しかった人だからさもちろん、お兄ちゃんのことが2人とも大好きだけれどあたしたちのことも大好きでいてくれるでしょだから、あたしたちがお兄ちゃんに甘えたがっている時は自分の気持ちは押し殺して、あたしたちにお兄ちゃんを譲ってくれるんだよ
いや、マナ
レイちゃんはともかく
マナは、寧の本当の独占欲を知らない
寧は本当に、オレの全てを独占したい子なんだ
つまり他のオンナたちも愛している、オレすら、寧は丸ごと呑み込んでいる
だからこそオレのために
可奈センパイを犯すために籠絡するようなことも、平気で出来る
オレが誰とセックスしようと
いや、他の女に対して性欲を感じるオレすら寧は、可愛いものだと感じているのだ
ある意味において、寧は狂っている
オレに対する愛情は誰よりも深い深すぎる
そして、オレは寧がそういう子だと知っていて、寧を受け入れた
オレもまた寧に対して狂っているからだ
もし、オレから寧を奪い取ろうとする相手が現れたらオレはそいつを殺す
ためらわずに殺す
オレは、寧無しには生きられない
それなのにも関わらず
オレたちは、男と女の正常な恋愛関係でなく
擬似的な姉と弟という、歪んだ関係を望んで選択した
オレと寧は徹底的に狂っているし、離れられない
狂愛で、縛られている
克子お姉ちゃんと渚お姉ちゃんは娼婦だったっていう負い目があるから、お兄ちゃんを独り占めするなんて気持ちは抑え込んでるんだよねお兄ちゃんには楽しい学生生活を送って欲しいと思っているしそれに、あのお姉ちゃんたちもずっと家族がいなくて寂しかったから、あたしたちにもとっても優しいんだよ
その認識もちょっと違う
克子姉と渚は娼婦だったから
それも、白坂創介の支配していた時代の誘拐されて、拉致監禁されて、苦しめられてきた時代の娼婦だから
娼婦同士が支え合い、励まし合ってみんなで協力して、一緒に生活することに慣れている
今のオレたちの生活が破綻しないのはオレたちのお屋敷が、元娼館で
女たちが、助け合って生活するという空気が強く残っているからだろう
特に克子姉が、お屋敷の主婦であることが
克子姉は、自分でも知らず知らずのうちに娼館が、多くの娼婦の共同生活を上手くとりまとめていた頃のノウハウを使っていると思う
克子姉が、みんなを仕切っているからオレたちは、内部でケンカすることなく、仲良く生活できているんだ
翔お姉さんもねぇあの人は、能力があんまりにも高すぎて、男の人と交際できなかった人だからお兄ちゃんみたいな、素直で何でも受け入れてくれる人じゃないとダメだったわけでしょでも、ほらあの人は、元は香月さんの専任だったし上流階級の愛人とかお妾さんとかがいるのが、当たり前な世界を散々見て来ているからお兄ちゃんがモテモテでも、全然許せるんだよそれは、翔お姉さんにとってはお兄ちゃんに女の子を惹き付ける魅力があるってことだからお兄ちゃんの才能なんだから、全然オッケーなんだよねお兄ちゃんが変な子は、引っ掛けてこないことも知っているし
この意見はオレも賛成だ
だからさあ日常生活のレベルでていうか、家族の中の女の子たちにまで、ライバル意識を持って、お兄ちゃんを独占したいなんて考えている子の方が少ないんだよ
判っているわよそんな判らず屋はあたしだけってことでしょ
メグは、不快そうに答えた
違うそうじゃないよ
ハアッと、溜息を吐くマナ
お兄ちゃんを独占したいと思っているのはメグお姉ちゃんと、あたしと、みすずお姉ちゃんそして、ミナホお姉さんだよ
特にあたしは今、ちょっと焦ってる
マナが眉を顰める
これからは夜見子ちゃんと、ルナちゃんも一緒でしょ今までは真緒ちゃんとアニエスちゃんは、特別枠であたしが、お兄ちゃんの妹だったじゃないそれが、2人も増えた夜見子ちゃんはあたしと同い年だけれど、あたしよりおっぱいが大きいし勝ち気な子だから、お兄ちゃんを取ってちゃうかもしれないルナちゃんは、美少女だし儚げで守ってあげたい感じがするでしょこのまんまだとお兄ちゃん、マナのことなんて見てくれなくなると思う
そんなことないわよヨシくん、マナのこと好きだもの
でも、おっぱいと元気では夜見子ちゃんに負けてるし美少女度とフレッシュさではルナちゃんに勝てないよそれに今だって、物凄く可愛いけれどもう2年もしたら、アニエスちゃんてメチャクチャな美人になるよあの子はお兄ちゃんが自分のことを好きだって判っているから何もコンプレックスが無いのよ他の人がどう思おうが、お兄ちゃんがセックスしてくれれば満足な子なんだから心が歪んで、顔やスタイルが悪くなんてこと絶対に起きないからあのまんま加速度的に綺麗になっていくよそうしたらあたし絶対に勝てない
マナちゃん
あたしはコンプレックスの塊だもん生まれた時から、身体が弱かったし身体の成長だって、よくなかった背も伸びてないしおっぱいだってそして、いつも綺麗な雪乃さんが、あたしのことを笑っていたんだもんアンタはダメねぇってそして、いつもみんな雪乃さんのことばかり、褒めてさ身体の弱い、あたしのことは見てくれなかった静岡の療養生活だって誰も会いに来てくれなかったし
マナは自分のコンプレックスを話す
それはあたしだって、そうよあたしは山峰の
メグお姉ちゃんは悪かったことしか話さないから、嫌いあたしは知っているよ白坂の一族の人たちだって、メグお姉ちゃんが可哀想だって言ってた人はいたよ山峰さんの家に、支援してくれた人だっていたよそりゃ、みんな白坂の本家には逆らえなかったけれど、みんながみんな悪い人じゃなかったよ
思わずメグは
マナを本当の名前で呼んだ
そうだよメグお姉ちゃんは同情してくれる人もいたんだよでも、舞夏さんは白坂創介さんの娘だから白坂創介さんや雪乃さんが、みんなの前で威張ってたから白坂の一族で、舞夏さんに優しくしてくれる人なんていなかったんだから
メグお姉ちゃんはズルいんだよそりゃ、メグお姉ちゃんが辛かったのは知っているけれどそれでも、メグお姉ちゃんは辛いっていう表情を出して生活することは許されていたじゃんかあたしは舞夏さんは静岡の親戚に預けられたまま、辛い顔もできなかったんだよ舞夏さんがそういう表情をすると静岡の叔父さんたちが、白坂創介さんに気を遣って舞夏のことを心配するからだから、あたしはいつでも、ニコニコと不満が無い顔をしていないといけなかったしそれなのに、東京からは誰もお見舞いに来てくれないし
マナは舞夏はそう言う
あーあ、あたしが嘘吐きな性格になっちゃったのはあの静岡時代のせいだと思うなああそこではいつも明るい子でいないと、何だか申し訳ないみたいな気がしてたから
5月に
最初に会った頃の舞夏は嘘吐きだった
オレにレイプされた直後なのに
オレに心を開くようなことを言ったりして
何度も、オレたちの仲間になるような言動をしながら心の中では、逃げだそうとしていた
だけど、そんな演技は黒い森の大人たちには、見透かされて
全裸で何度も土下座させられて
本当に彼女がオレたちに心を開くまでは随分と時間が掛かった
だから、あたしはお兄ちゃんが好きお兄ちゃんは、頭はあんまりよくないけれどあたしに嘘吐かないからあたしも、もうお兄ちゃんには嘘吐かないで生きていけるから
お兄ちゃんとのセックスも好きお兄ちゃんは本当にあたしのことを犯したいって思ってて、全力であたしのこと欲しがっているんだもんとっても、可愛いのだから、あたしもお兄ちゃんになら、全部あげられちゃうルリお姉ちゃんじゃないけれど楽しいよお兄ちゃんとのセックスはアニエスちゃんじゃないけれどお兄ちゃんとのセックスがあれば、他にはもう何もいらない
14才の少女はそう言った
あーあ、一週間でいいからお兄ちゃんを独占したいよ2人で南の島へ行って毎日、セックスするセックスだけセックスに溺れたい赤ちゃんができちゃってもいいというよりお兄ちゃんの赤ちゃんが欲しい赤ちゃん産んだら、もっとお兄ちゃんはあたしのことを見てくれると思うし幸せになれる気がするんだ
で、でもセックスだけを人生の目的にしてはダメだわ
不思議そうにマナは言う
あのさあたしは、白坂創介の娘なんだよ日本の国民の敵って、テレビや新聞でさんざん罵られたあの人の
それはあたしも同じよ
違うよメグお姉ちゃんは山峰家の人じゃんか白坂創介さんのことでメグお姉ちゃんの経歴には、何も傷は付いていないんだよメグお姉ちゃんは、今からだって大学へ進学して、普通にお勤めすることだってできるよ
それはあなただって
あたしはダメあたしは白坂舞夏という過去からは、逃れられないんだよだって、生まれてから14年この顔で生きて来ちゃったんだもん今だって、学校の友達に会ったらすぐにバレるよあたしが白坂舞夏だってことは
それがマナの現在のコンプレックス
雪乃お姉ちゃんは頑張っているけれどようやく、お姉ちゃんのことを認めてくれる人たちも増えてるみたいだけれどそれでも、白坂創介さんの娘だっていう現実は、一生追い掛けて来るんだよもっとも、あの人は、そんなことを気にしないくらい心がタフだからねあたしとは違って
雪乃の登山ロープ並みの神経のブッ太さには定評がある
とてつもなく、前向きな性格だし
あいつは、へこたれないオンナだよなあ
あたしは雪乃お姉ちゃんみたいには、なれないもん
あんな風に脳天気にはなれないよ違うんだよね生まれたときから、あの人とは
黙り込む2人
雪乃とは違う雪乃みたいにはなれないそれは、あたしがずっと感じてたことよ
メグが穏やかに言う
あああたし、いつからだろうヨシくんの女にしてもらって自分の方が、雪乃に勝っているって思いだして
そうだねメグお姉ちゃんは雪乃さんに自分が勝ったと思うようになってから、悪くなったと思う
あたしが悪くなった
うん良くなかったよ家族の中でも、1人だけ浮くようになってったし
メグはマナの言葉に、背筋が凍ったらしい
そうだったかしら
そうだよ前のメグお姉ちゃんは自分に自信の無い子だから、みんなにもっと気を遣っていたもんだけど今はみすずお姉ちゃんにまで、平気で嫌味なことを言ったりするでしょ
あたしそんなことしてる
してるよ自分では、気付いていないの
マナは苦笑する
メグお姉ちゃんにとっては雪乃お姉ちゃんだけが、人生の大きな壁だったんでしょだから、お兄ちゃんのことで雪乃さんはお屋敷に居ないけれど、メグお姉ちゃんはお兄ちゃんの側にずっといるしかも、公式には学校では、メグお姉ちゃんがお兄ちゃんのフィアンセだってことになったから気持ちが大きくなって、変になっちゃったんだよそれで、学校の人たちや同じクラスに居る雪乃お姉ちゃんにあたしは今、とっても幸せなのってアピールを一生懸命やるからどんどん気持ちだけが大きくなって、あたしたち家族の中での態度も大きくなってったんだよ
そ、そうなのかしら
2人の会話を聞いてルナが
そういうことなのネ
オレでなくイーディが、笑って答えた
メグお姉ちゃんは自分と雪乃さんとの関係だけで雪乃お姉ちゃんに勝ったってことだけで、いい気になってたからこんなことになっちゃったんだよ
本当に注意しないといけなかったのは雪乃お姉ちゃんじゃなかったのにさ
どういうこと、それ
メグがマナに尋ねる
さっき言ったでしょお兄ちゃんを独占したがっているのは、メグお姉ちゃんだけじゃないって
マナがクスッと笑う
あたしとミナホお姉さんとみすずお姉さんメグお姉ちゃんはみすずお姉ちゃんを怒らせちゃったんだよよりによって一番怖い人をね
ここで、みすずの名前が出るのか
そうなのネアタシだってミスズだけは、なるべく気を遣うようにしているのネあの子はミナホとネイの次に、怖い子ダカラ
ミナホお姉さんはあの人も、相当怖い人だけれどメグお姉ちゃんには、優しいでしょメグお姉ちゃんがお世話になった人の娘だから
ていうかあの人は、好き嫌いが激しいんだよお兄ちゃんのことだと思ったら我慢するけれど今回だってミナホお姉さんは、お兄ちゃんが鷹倉さんたちとセックスするのは本当は嫌だったんでしょ香月さんとの付き合いや巫女の力が、お兄ちゃんにとって必要だと思ったから、我慢してくれたんだろうけれどあの人は、お兄ちゃんのためならどんな苦しいことも受け入れるから
月子による癒やしが何でも自分1人で解決しようとして空回りしていたオレに必要だと、ミナホ姉さんは思ったんだ
自分がセックスできない身体だからこそミナホ姉さんは、オレのために色々な感情を押し殺してくれる
でも、ミナホお姉さんは嫌な時は、絶対に自分の部屋から出て来ない人だからその辺は、徹底しているのよ性格として判りやすい人なんだよ
マナは、そう分析する
であの人は、メグお姉ちゃんのことは好きあたしのことは嫌い嫌いだけれどお兄ちゃんのためだと思って、あたしのことも置いてくれているだから、あたしは絶対に、ミナホお姉さんには逆らわない言われたことは何でもするよあたしを、お兄ちゃんの側にいさせてくれている人なんだから
マナ、あなたは
メグは、すっかり絶句している
他の人もそうだからミナホお姉さんが、メグミお姉ちゃんだけを優遇してもみんな我慢していたんだよ
優遇って
メグお姉ちゃんだけ公式なお兄ちゃんの婚約者で、クラスメイトで、一緒に学生生活を楽しめてお兄ちゃんとの家までもらった自分の友達だって家に呼んでパーティしたりもした
そんなのあたしたちには許されないんだよあたしだって叫びたいよ外で大きな声でお兄ちゃんが大好きだってあたしは、お兄ちゃんの恋人なんだって
マナの眼に涙が浮いていた
思わず謝るメグ
いいんだよメグお姉ちゃんのせいじゃないからミナホお姉さんが、メグお姉ちゃんだけを優遇したからメグお姉ちゃんは、増長しちゃったってだけのことだからさ
でもあんまりにもメグお姉ちゃんの増長が酷くなりすぎちゃったからミナホお姉さんも、さすがにマズイと思ったしみすずお姉ちゃんの堪忍袋の緒が切れたんだよ
まそういうことなのよネ
イーディは、うんうん頷いている
あんな怖い人を本気で怒らせるなんて、メグお姉ちゃん、どうかしているよ雪乃お姉ちゃんの方ばっかり見て勝った勝ったって喜んで周りの人たちの我慢の限界をブッちぎっちゃったんだよねえ、判ってる
メグの顔は蒼白になっている
メグお姉ちゃんはお屋敷から叩き出されるかどうかの瀬戸際に居るんだからねいや、もう瀬戸際から落っこちゃっているのかもしれない
馬鹿なこと、言わないでよ
そうは言うけれどさ今、お屋敷でみんなで投票しているからメグお姉ちゃんをこのまま置いておくかどうか
う、嘘だろ
ちなみにあたしは、メグお姉ちゃんを追い出す方に投票してきたから
マナはそう告げた
最近シマコウサクのことをよく考えるのですが
やっぱり、宣伝部出身で途中で、レコード会社やワイン輸入とか、ふらふらしたことをしていた人が
社長に昇進するのはありえないような
いや、そういうことを批判したいのではなく
よりによって今は一流家電メーカーの会長職なのに
シーマの広告をやっているのが
安いんじゃないかというか、何というか
そっちが、納得できないのです
746.僭主宣誓
マナはあたしを追い出したいの
だってしょうがないじゃんメグお姉ちゃんは帰れる場所があるんだし
マナは真っ正面から、メグにそう告げる
あたしだって帰れる場所なんかないわよ今更、山峰の家に住まわせて下さいってお願いするわけにもいかないもの
そんなことないよ山峰さんはメグお姉ちゃんのこと、自分たちの娘として大切に育ててくれたんだし帰りたいって言えば、よろこんで迎え入れてくれるよあたしは、そう思うよ
ていうかそうするしかないんだよ投票で、メグお姉ちゃんには出てってもらうことになったら山峰さんの家しか、メグお姉ちゃんを引き取ってくれるところはないんだしさ
どうして、あたしが出て行かないといけないのよ
ムッとしてメグがマナを見る
それは、メグお姉ちゃんがいけないんでしょメグお姉ちゃんが、家族としての協調性に欠けているからミナホお姉さんからだって、言われたんじゃないの山峰の家に帰れって
ビクッとなるメグ
あ、ホントに言われたんだ
マナが、呆れたように突っ込む
ゆ、昨夜ねでも、それは御名穂さんが、あたしの心を引き締めようとして言ったことで本気じゃないわよ
えー、本気だよ絶対、本気そういう人じゃんか、ミナホお姉さんて冗談とか言わない人なんだから
あっ、そうか昨夜はメグお姉ちゃんが、自分の意志でお屋敷から出て行くっていう形にしようとしてくれたんじゃないの他の家族の総意で追い出されるより、自分から出て行くの方がメグお姉ちゃんにとっては、ショックが少ないでしょだから
感情的になるメグ
どっちにしてもさもうダメなんだよもう無理なんだよメグお姉ちゃんは、お兄ちゃんとは一緒に暮らせない出て行くしかないんだから
そんなのあなたが決めることじゃないわよ
ツンとしてそっぽを向く、メグ
だって雪乃お姉ちゃん、このままお屋敷で暮らすことになったからさ
マナの言葉に、ギョッとするメグ
メグお姉ちゃんは、雪乃お姉ちゃんとの同居は無理でしょだから、出て行くしかないんだよみんなそれが判っているからメグお姉ちゃんの追放に投票すると思うよ
ち、ちょっと待ちなさいよ
取り乱すメグ
そんなのどうして、あたしのいないところで決まっちゃってるのよ
しょうがないじゃんメグお姉ちゃんは、部活で朝から居なかったんだから
いやでも、あたしが帰るまで待っててくれてもいいじゃないのっ
何でって
どうして、メグお姉ちゃんだけを特別にして待ってないといけないわけ
マナのキツイ言葉にメグは絶句する
ヨシくんが、そう言ったの雪乃をあたしたちの家に住まわせるって
お兄ちゃんは、別に関係無いよ
雪乃をお屋敷に住まわせてくれって、ミナホ姉さんに頼んだのは
オレだぞ
みんなの前で
もはや、そういう問題じゃないんだよ
み、御名穂さんは何て御名穂さんは雪乃のことが嫌いなハズじゃない
メグは、顔面蒼白で尋ねる
だーかーら、もう、そういう段階じゃないってのっ
マナは答える
あのさ雪乃お姉ちゃんのお腹には、お兄ちゃんの赤ちゃんが居るんだよそりゃ、今までは色々あったけれどさミナホお姉さんも、他の人も、あたしも雪乃お姉ちゃんには、安心して赤ちゃんを産んで欲しいと思っているよお兄ちゃんの子供だもん大切にみんなで可愛がって、育てたいよ幸せにしてあげないと、可哀想だもん
そ、それはそうだけど
そろそろ潮時でしょ雪乃お姉ちゃん色々、苦労したから変わったし前みたいに、自分勝手なところなくなったもの相変わらずマイペースだけど雪乃お姉ちゃん、人の気持ちを考えるようになったもんだから、みんな認めたんだよだからこそ、もう雪乃お姉ちゃんを家族として迎え入れてあげないといけない時期なんだって感じているんだよ
でも雪乃なのよ
メグは、吐き捨てるように言った
あたしのことを、ずっと苦しめて楽しんでいた人なのよ人の性格なんて、そう簡単に変わらないわよ雪乃は雪乃なのよ
マナは冷たい眼で、メグを見ている
そういうメグお姉ちゃんこそどんどん、昔の雪乃お姉ちゃんみたいになってるよ
あたしが雪乃みたい
そんなはずがないでしょっ雪乃はイジメっ子であたしは、ずっと雪乃に苦しめられてきたんだからっ今だって
メグは、言葉を詰まらせる
あの子はあたしが幸せになりそうになると、必ず邪魔するのよ
苦々しげにメグは言った
うん良い傾向ネさすがマナだネ
モニターを見ながらイーディが言う
いや、マズイだろメグ、メチャクチャ、ヒートアップしてるじゃないか
オレはこのまま、2人が掴み合いのケンカとか始めるんじゃないかってハラハラしている
そんなことないネメグミのお腹の底に溜まってた感情が良い感じに発散されているネ
あの子は溜め込み過ぎて、自爆するタイプだからこうやって、吐き出させるのは良いことヨそれも、マナだからこんなにストレートに感情が出せているワケダシ
マナはメグの母親違いの妹で、昔からよく知っている相手だ
確かにメグにとっては、一番話しやすい相手のはずだ
これが、克子姉や渚ならメグは優等生らしく、従順に話を聞くだけだろうし
みすずや寧には、決して本心を明かそうとはしないだろう
イーディや瑠璃子なら、話をはぐらかすかもしれない
マナだからこそ、真っ正面から向き合って話ができている
だけどでも
雪乃はあたしとヨシくんの間に割り込んで今度は、あたしからヨシくんを奪うつもりなのよっそうよきっと、そうなんだわ
マナがはーぁと、大きく溜息を吐く
メグお姉ちゃんの世界にはお兄ちゃんと雪乃お姉ちゃんしかいないわけ
呆れたようにそう言う
メグお姉ちゃんの認識は、全然間違っているよ だって、今の雪乃さんは自分の存在がどんなものなのか判っているもの
雪乃の存在って何よ
だからさ例え、お腹にお兄ちゃんの赤ちゃんがいるからって お屋敷での生活は、雪乃さんの天下にはならないってことむしろ、雪乃さんの自由は制限されるんだよだって、お屋敷はミナホお姉さんの物だし怖いみすずお姉ちゃんがいる克子お姉ちゃんや、マルゴお姉ちゃんや年上の怖いお姉さんたちに、逐一行動を監視されるわけだし雪乃さんが、好き勝手なことをして許されるはずがないんだから雪乃さんにとっては今まで通り、香月セキュリティ・サービスの施設で暮らす方が、よっぽど気が楽なはずだよ
じゃあもしかして、雪乃の方からあたしたちとの同居を断ってくるっていう可能性もあるわけ
メグがそんなことを言い出す
そんなわけないじゃんかっ馬鹿なの、メグお姉ちゃんは
雪乃お姉ちゃんだってより、良い状況で赤ちゃんを産みたいんだよっ香月セキュリティ・サービスの施設に居るよりお屋敷で暮らしていれば、渚お姉ちゃんと一緒に万全の態勢で出産できるわけでしょお兄ちゃんの赤ちゃんなんだからミナホお姉さんだって、みすずお姉ちゃんだって良い病院の良い環境で、どれだけお金が掛かっても良いからって手を尽くしてくれることは判っているじゃんかっ
雪乃お姉ちゃんだって自分のお腹の中の赤ちゃんは大切なんだよっ愛しているんだよっ可愛いんだよっだから多少、居心地が悪いぐらいは我慢するよ安心してより良い態勢で赤ちゃんを産むことの方が、重要なんだから
マナは、きっぱりとそう言った
メグお姉ちゃんとは違うんだよ雪乃お姉ちゃんはもう、メグお姉ちゃんとケンカしてたこととか、どうでもいいんだよっ赤ちゃんが大事なのっそして
スーッと深呼吸してマナは言う
あたしもあたしたちもそう雪乃お姉ちゃんとの過去のゴタゴタとかどうでもいいんだよお兄ちゃんの赤ちゃんなんだよそれだけが一番大事に決まっているじゃんかだって
マナの眼が潤んでいる
お兄ちゃんの赤ちゃんを愛しむことはあたしたち家族にとっては、一番大切なことなんだもん誰が産んだ子でも可愛いよ大切だよ愛しているよそうでないといつか、自分が産んだ赤ちゃんを、みんなに大切にしてもらえなくなるもん
そんなことも判らなくなっちゃってるからメグお姉ちゃんは、追い出すしかなくなっちゃっているんだよこのまま、雪乃お姉ちゃんと一緒に暮らしてさメグお姉ちゃんは、雪乃お姉ちゃんが産んだ赤ちゃんをイジメるのそういうことするわけ雪乃お姉ちゃんが自分より先に、お兄ちゃんの赤ちゃんを産むことに嫉妬して
メグは呆然として、自分の手を見る
今のメグお姉ちゃんはそういうことをしかねないんだよっみんな、そう感じているだからだよお姉ちゃん
さっきも言った通りメグお姉ちゃんと同じくらいううん、多分、メグお姉ちゃん以上に、みすずお姉ちゃんとミナホお姉さんは、お兄ちゃんのことを独占したいと思っているもちろん、あたしも
いや、寧もそうだ
寧もとてつもなく情の深い女だ
でも、みんな我慢しているんだよ独占したい気持ちを抑えて家族を守ることに集中しているどうしてだか判る
メグは黙って、首を横に振る
あたしたちの大好きなお兄ちゃんは心にポッカリと大きな穴が開いているんだよこの穴はあたしたち、1人1人では大きすぎて塞げないんだよ家族全員で、愛情を込めて塞ぐしかないんだよ
オレの心の欠落
お兄ちゃんはまだ自分が、人に愛されているっていうことを信じていないお兄ちゃんは、あたしたちを愛してくれているけれどお兄ちゃん自身の心は、まだ孤独なままなんだよ愛情を込めて埋めてあげるしかないんだよ毎日、みんなで愛している、愛している、好き好き大好きって抱き締めてあげてそして、多分、あたしたち全員が、お兄ちゃんの赤ちゃんを産んでみんなで笑顔で育ててそこまでしたら、きっとお兄ちゃんは、あたしたちの愛を信じてくれると思う
オレはそうなのか
オレはマナたちの愛を信じられていない
判る我が儘なメグミお姉ちゃん1人じゃあどんなに頑張ったって、お兄ちゃんの心の穴は塞げないんだよメグミお姉ちゃんじゃダメなんだよだって、メグミお姉ちゃんは愛するよりも、愛されたい人でしょ
両手をグッと握りしめてメグは、ぶるぶると震えている
でも、お兄ちゃんは愛されたくて愛されたくて、どうしょもないのにその何百倍もあたしたちを愛しちゃう人でしょ命だって、軽々と投げ出しちゃう人でしょだから、あたしたちだってお兄ちゃんに惹き付けられてるあたしたち全員の愛と、お兄ちゃんの愛が釣り合っているんだよううんお兄ちゃんの方は、まだまだ愛が余っているよ鷹倉さんたち3人を、平気で受け入れちゃったもんまだ全然、余裕がある愛してくれる力に、余裕があるからマズイんだよ
この4ヶ月間お兄ちゃんを頑張らせ過ぎてしまったのは、あたしたちでしょ
オレは頑張りすぎていた
お兄ちゃんの心に空いた大きな穴がまだまだ、たくさんの女を愛することができるとしてもお兄ちゃんの身体は1つだもんしかも、毎回毎回命懸けじゃお兄ちゃんの身体が保たないよ
それは判っているわよあたしだってだから、ヨシくんは今は学校とパンのことだけに集中して欲しいのよ
違うよ学校だって、パンだってどうでもいいんだよっメグお姉ちゃんはホント、自分のことばっかり考えてるそうじゃないでしょ
お兄ちゃんはあたしたち家族全員のことを愛してくれているんだよもうすでに、お兄ちゃんにとっては家族全部が大切なんだよだったらさあたしたちは、お兄ちゃんが余計な心配をしなくていいように少しでも、家族の中のトラブルを自分たちで片付けるべきでしょ
だから留守番組の克子姉やみすずたちは
オレの不在時に、メグとの対話役としてマナを送り込むことを決めたんだ
オレがメグと2人きりで話をしてメグの問題を解決するのでなく
家族の問題として家族の内で処理する
そういう力が、そういう働きがすでにできていることを示すため
イーディは、この光景をわざわざオレに観せている
お兄ちゃんは鷹倉さんたちのために頑張って、くたびれて帰って来るのにこの上、まだメグお姉ちゃんの面倒な相手をさせるわけにはいかないもん
面倒ってあたしは、ヨシくんの婚約者なのよ
メグも喚いた
婚約者がヨシくんと話したらダメなのマナに、どうして、あたしがヨシくんと話すことを止める権利があるのよ
お兄ちゃんの婚約者ならみすずお姉ちゃんもそうだって、判ってる
オレは黒森公としては
ジッちゃんに公の場で認められたみすずの結婚相手だ
ホント判ってないねあんまりにも、メグミお姉ちゃんがうるさいようならさお兄ちゃんは、今の高校を辞めちゃってもいいんだよ吉田良信の方は、もう捨てちゃってみすずお姉ちゃんの婚約者の黒森公として、別の学校に通い直すことだってできるんだよ
そ、そんなぱ、パンはどうするのよ
メグは、戸惑う
そんなのどこでもできるじゃん幾らでもやり直せるしミナホお姉さんは、お兄ちゃんのために作ったこのパンの工房を捨てても、全然損だとは思わないよメグミお姉ちゃんみたいな、面倒な女とお兄ちゃんが別れられるのならね
もちろん、メグお姉ちゃんの方が、どっか遠くに転校してくれてもいいんだよその方がいいかなほら黒森公としてのお兄ちゃんとみすずお姉ちゃんの婚約は、絶対に守っていかないと家族みんなにとって困ることだけどメグお姉ちゃんとの婚約は、そうじゃないからね今からだって、解消できるんだよ簡単に
解消なんて、できないわよ
マナは意地悪く尋ねる
だって学校中のみんなが知っているのよあたしとヨシくんが、婚約していることは
そんなの高校1年生同士なんだからさやっぱり、止めます別れましたで済むことじゃんみんな、変には思わないよそもそも、16歳で婚約していることの方が変なんだから
ていうかさお兄ちゃんと、メグお姉ちゃんとの婚約は、たまたまの結果でしょ黒い森の家族のことを隠すためのカムフラージュで始めたことじゃんか
そうまあ、メグお姉ちゃんにとっては、重い意味があるのかもしれないけれどあたしたちにとっては、そうだよだってお兄ちゃんの女であることは、みんな対等な立場のはずなんだからお兄ちゃんは、ちゃんとみんな公平に愛してくれているんだからさ婚約者なんて、名目だけでしょたまたま、メグお姉ちゃんがお兄ちゃんのクラスメイトだったってだけのことだったからだよ
さらにマナはメグを追い詰めていく
みすずお姉ちゃんは、そういうことをちゃーんと判っているから自分がお兄ちゃんの婚約者なんだとか、そういう理由で威張ったりはしないでしょちゃんと、あたしたちにも気を遣ってくれるもん誰かさんとは違ってさ
いーえ、メグお姉ちゃんは自分だけが特別なんだっていう意識を持ってました上から目線で、偉そう光線をビシバシ出してたもんみんなに嫌われるのは、当たり前じゃん
ま、いいから、いいからということでお屋敷から追放と同時に、お兄ちゃんの婚約者っていう称号も剥奪ねこれも、多分今頃は、投票で決定していると思う
そんなの勝手に決めないでよ
勝手じゃないよ家族みんなで話し合って投票して決めることなんだから
あたしの居ないところで決めるなんて酷いわよ
酷くないよあそれでさメグお姉ちゃんの代わりに日常生活でのお兄ちゃんのカムフラージュ役をやってくれる人も、もう決まっているから
ちょちょっと待って
やっぱり、ほら世間的には、彼女アリってことにしておかないとどんどん、お兄ちゃんに女の子が寄って来ちゃうでしょだからメグお姉ちゃんの次の人を決めたんだよそういうお役目の人を
だ、誰よ
まさか雪乃
マナは、真剣なメグの顔にプッと噴き出す
さすがにそれは無いでしょ今の雪乃お姉ちゃんは有名人なんだからワイドショーの取材が来ちゃうよカムフラージュにならないってば
じゃあマナまさかあなたなの
メグは、憎しみの眼でマナを見る
それも無理だってばあたし、まだ中2だよしかも、雪乃さんとおんなじ立場でしょ外に出ればいつ、白坂創介さんの娘ってバレるか判らないんだからさ
じゃあ、誰よ寧お姉さんそれとも、みすずさん
メグお姉ちゃんの知らない人だよ
マナは、ポケットから携帯を取り出す
あ大変、お待たせ致しましたどうぞ入って来て下さい
パン工房の外から入る扉が開く
こっちでーすここにいまーす
マナは、パン工房の待機室のドアを開け外から入ってきた人に、声を掛けた
もう待たせるんだから部活が終わってから、ずーっと待たされているのよこっちはさもおおお外はすっかり、真っ暗になっちゃってるのよ
そしてオレたちが眺めているモニターの画面に
制服姿の可奈センパイの姿が現れる
2年生で一番と評判の高い美少女
テニス部で鍛えたいや、あんまりマジメに部活していなさそうだけれど
スラッとした長身に長い手足
ふっくらとした胸の前に腕を組んで上から、メグを見下ろしている
肩にはテニスのラケットを入れたバッグを背負っているから
可奈センパイも、日曜だけどクラブの練習に来ていたんだ
なーにあんたが、ノブの婚約者ってことになっている子
ニヤッと微笑む可奈センパイ
あたしの方が3倍綺麗じゃないのっくふふふっ
あ、あのどなたですか
知らない人の前では大人しい委員長の性格に戻ってしまう
あら知らないのあたしは2年の星崎よ星崎可奈テニス部のノブから聞いていない
ノブって
やーね良信だから、ノブなんじゃないの
ニヤニヤ笑いながら可奈センパイは、メグをジロジロ見る
うん奈島さんならちょっと負けちゃうけれど、あんたが相手なら完全にあたしの勝ちね100パーセント、間違いないわね
何の話ですマナこれは、どういうことなの
メグがマナに尋ねるが
なーに、大したことじゃないのよ香月家のねお嬢様に頼まれたのよ知っているでしょ、みすずさん
可奈センパイがメグに告げる
相手がマナでなく上級生だと、メグはすっかり態度が変わる
メグも、運動部員だもんな先輩には、弱い
ていうか座っていいかしら
あごめんなさいどうぞ
可奈センパイは、バッグを置いてドカッと椅子に腰掛ける
あのさあなたってほら、ノブと香月家のお嬢様たちとの関係を隠すためにノブの婚約者をやっているわけでしょ
あたしは全部知ってるから昨日、ノブたちと一緒に、あなたたちのお屋敷にも行ったし
そうよねぇ
可奈センパイがマナに微笑む
うん可奈さんは昨日、来たんだよメグお姉ちゃんが留守の時に
可奈さん
マナのその答えにメグは驚く
あああたしもさノブのええっと、ちょっと恥ずかしいんだけれどセックス奴隷なのよ
平然と、可奈センパイはメグに告げる
セックス奴隷よいやね、何度も言わせないでよノブにレイプされてあ、違うわノブに犯していただいて、あたしもセックス奴隷にしていただいたのよこれから、いっぱいご奉仕するわよーんセックス奴隷だからウフフフフっ
何度もセックス奴隷という言葉を繰り返す
そそうなんですか
そうよよねぇ
可奈センパイは、マナに微笑む
メグは昨夜、ミナホ姉さんからオレと可奈センパイのことを聞かされている
オレが可奈センパイとセックスする映像を見たはずだ
それなのに知らないと言い張るのは
可奈センパイを認める気が無いからか
あくまでも、自分は可奈センパイのことは知らないと
可奈センパイ本人に対しては、そういう態度で対している
ホントだから寧お姉さんや、美智お姉ちゃんたちが中心になってみんなで、可奈お姉ちゃんをお兄ちゃんの奴隷にしたんだよお兄ちゃんて、ほら、可奈お姉ちゃんみたいに綺麗な人をレイプするの大好きでしょとっても、喜んでくれたんだから
マナが、笑顔でそう告げる
うそ、ノブ喜んでたじゃあ、また犯されてあげないといやいや、ご奉仕させていただかないといけないわねっあたしセックス奴隷だからっるんっ
メグは呆然としている
まさか、可奈センパイがこんな風に突然、メグに会いに来るとは思っていなかったんだ
しかも、オレのセックス奴隷になったことを積極的に受け入れているなんて
メグの想像外のことだったんだな
あたし何も聞いていないですから
メグはなおも、そう言い切る
え、そうなの聞いてないのああ、そうかそれは、しょうがないかもねぇ
可奈センパイは、メグを見てクスクスと笑い出す
だって、あなたもうお払い箱になるんですものねっるんっ
ギョッとする、メグ
単刀直入に言うわよノブの婚約者っていうかこの学校の中での恋人の役は、今日からはあたしがするからあなたはご苦労様そういうことなんだけれど納得してくれるかな
メグは、眼をパチクリさせている
ああ、はいっていうのはYESって意味よね早速の承諾、ありがとうございまーすじゃあ、これでノブはあったしのモノっるるるるんっくふぅ
今、アップしようとしたら昨日の話が、リストに無くて
もしかして、昨夜、アップしそこなったのかと慌てたのですが
もう一度、やり直してみたら
昨日の話も、ちゃんと出て来た
どうなっているんじゃ
一瞬、ハラハラしました
母のところに、突然、全く知らない人から
私は、あなたの遠い親戚ですという手紙が来ました
えーと、母の母の妹のお孫さんなのかな
だから、祖母の父のところで、血が分岐している
何かよく判らないのですが
突然のことで、本当かどうかよく判らないですし
で、その人が送りつけてきた系図によると
私の曾祖父は戦時中、戦艦陸奥に乗っていたんだそうです
って陸奥を調べたら
謎の沈没をしていて戦争が終わるまで、そのことが秘密になっていたという
沈没で死んだ船員たちも、ずっと生きていることにされて給料が払い続けられていたという
本当に、私の曾祖父がその人の祖先と同じなのか判らないんですけれど
また、新手の詐欺かもしれませんし
戦艦陸奥っていうところが、妙に怪しい
747.オール怪獣総進撃
ちょっちょっと、待って下さい
突然の可奈センパイの略奪宣言にメグは、慌てる
星崎さんがな、何であたしのヨシくんと
可奈センパイは、ニヤッと笑って
ふーん、ヨシくんて呼んでるんだノブのこと
でも、二度とそう呼ばないでね今日からは、あたしのノブなんだからさっるっるるるんるんるんっ
それって星崎さんも、ヨシくんのことが好きってことですか
恐る恐るメグが尋ねる
うーんとそれは、どうだろう
可奈センパイはちょっと考え
あたしさ人のことを好きになるとか、あんまり経験無いんだよねぇほら、あたしってさ人並み外れて可愛いでしょもう、底抜けに可愛いでしょだからさ男の子から、好きですとか付き合って下さいとかコクられんのが当たり前でさその中から、良さそうなのを見繕って取りあえず、付き合ってるてのが普通だったから小4の頃から
でもさぁ大体が、つまんない男なのよ面白く無いのよ面白そうなことを言うヤツはさ、大抵ナルシストだしさ顔がいいだけのバカとかもねだから誰1人、キスすら許さないで取っ替え引っ替えしてきたのよほらあたしぐらいの女になると、フリーだってバレると、色々面倒なのよ取りあえずは、男がいますってことにしとかないとさそれで気弱な男は、寄り付いてこなくなるからていうか、男がいるって判っているのに、突撃かましてくる男は本気のバカか、スーパー・ナルシストか、どっちかだから知ってる彼氏のいる女の方が、落としやすいって本を書いてるバカがいるのよ自称・プロのナンパ師だって彼氏のいる女は、絶対に自分の相手に不満を持っているはずだからそこを狙えばイチコロなんだってさバカにしているわよねっ死ねばいいのにそんな本をわざわざ買うヤツも買って読むヤツも
可奈センパイ脱線してます
だからさあたしにとっては、男ってのは向こうから言い寄ってくるものでさ適当にサバいてれば、それでいいのかなって思ってたわけ季節ごとのイベントにプレゼントだけは、貰っとくっていうかああ、誕生日の頃にそろそろ終わりにする男と、次に付き合う予定の男と両方そろっていると二重取りとかもできるからどっちも、別れる気配と付き合いそうな気配を臭わせておくとばっちり、お金の掛かったものをくれるわよ片っ方は、あたしと別れたくないわけだしもう片方は、付き合いたいわけだから2人とも必死になるのよそれがまぁ気持ち悪いんだけれど女を追っ掛けるのに必死な男って、ダメよね魅力的じゃないからでも、覚えておいた方がいいわよそういう男のコントロール技術はあなたも、今日からはフリーなんだからさっ
あ、あたしフリーなんかじゃありません
本当にメグは、可奈センパイとは相性が悪そうだ
さっきまで、マナに対してはあんなに強気で話していたのに
すっかりタジタジになっている
内弁慶なのよネメグミは
そんな日本語まで知っているのかお前は
美智と仲が良いのは、武闘つながりではなく
2人とも、超天才児だからなんだな
美智も教科書を1回読んだら、全部暗記してしまうような天才だし
マゾっ娘だけれど
あら、フリーよフリーになるの今まで、ご苦労様ノブのことは、これからあたしが責任を持って面倒を見るからあなたは、お役御免なのさよなら
な何を言ってるんですか
可奈センパイはニコッと微笑む
あたしさ今まで生きてきて、こんなにもワクワクしているのは初めてなのよっスッゴイ、楽しいの
何がですか
判らないの香月家のお嬢様と寧さんよそれからノブもみぃーんな、ブッ飛んでるんだもんっメッチャクチャでしょモラルとか、常識とか全然囚われてないじゃないのっみんな、ノブのことが大好きでさだからって、学校に居る時のノブのセックス奴隷まで用意してあげようとするのよそういうの、全然平気なのよあの人たちやっぱり2人とも、あたし並みに綺麗だからかなノブのこと好き過ぎているから、嫉妬とか感じないみたいね超越しているわさすが
ウンウンと、可奈センパイは1人で納得している
でノブも、全然平気でしょあの天下の香月家のお嬢様たちよ普通ならさ、腰が引けてあたしみたいな美女が出て来ても、いえいえ、ワタクシメは生涯、みすず様にお仕えするでありますケロロとか、平身低頭でおでこを床に擦り付けるのが当たり前なわけでしょでも、全然平気普通に、アメとかチョコとか貰ったみたいにおっ、センキュウって、あたしのことを弄ぶわけ見られても平気っていうか平気で見せているし、お嬢様たちも喜んで見ているし寧さんもみんな、スゴイはうーん、突き抜けてる
ちょっと待って下さいヨシくんが星崎さんと
うん犯されちゃったわよっヴァージンあげちゃったくふふふっ
笑って可奈センパイは横のマナを見る
あなたは、知ってるわよねあの時、飲み物を持って来てくれたんだから
マナは、可奈センパイに微笑む
し、知らないわよあたし
だってメグお姉ちゃんに話している余裕は無かったじゃん昨日から忙しかったし
そんな必要も無かったし
マナは、冷たくそう言う
あなたもさノブとはしているんでしょ
はいマナもお兄ちゃんのセックス奴隷ですあ、あたしがセックス奴隷の第1号なのかなそう言えば
マナは、可奈センパイに答える
ふーん、あなたも、そこそこ可愛いもんね
マナは小雨の降っているお外で、いきなりお兄ちゃんにレイプされちゃったんです初体験が、レイプですだから、今でもお外でするのが大好きなんです
さすがノブね見境無しよね
それは違いますよお兄ちゃんは本当に可愛い子しか、セックスしてくれませんから
ああ、そうねそれはその通りだわ
可奈センパイとマナは、笑い合う
こっちの2人は妙に相性が良い
ああ、そうかだから、あなたはもうお払い箱なのねぇ
改めて、可奈センパイはメグをジトッと見る
ムッとして、睨み返すメグ