だからメグは、愛が売り場に出てクラスメイトの子たちと対決してからしか知らない

何かがキッカケで、愛が変わったということは判っていたけれど

工房の中で、どんな話がされ愛がどんな風に変わっていったのかを見ていない

その後は慌てて午後の授業を受けるために、クラスに戻らなくちゃいけなかったし

あ、あたしは愛は

愛がメグに話す

愛はどんなことでも、ママや他の人に助けてもらおうとするダメな子でしたでも自分のことは、自分でしなくちゃいけないって教えてもらって

たどたどしくだが、一生懸命、愛は喋る

それで自分で、色んなことをもっと、ちゃんと上手にできるようになりたくって

心の中の思いを、必死に言葉に変換して話していく

それから一緒に一緒にするってことが、楽しいって判ったの

オレとのセックスが2人で気持ち良くなることが素晴らしいっていうことを愛は学んだ

そしてそれからそれからね

白い肌が興奮で赤くなっていく眼はすっかり涙目だ

愛も他の人に、何かしてあげたい助けてもらうばかりじゃなくて愛も、助けてあげたいの愛だって

ダメな子のままじゃ嫌だから

愛は、ポロッと涙を零す

そ、それは判ったわでも

メグは困惑の表情で、愛を見る

どうして、それを今あたしに言うの

そんなの愛が、メグを助けてあげたいって思っているからだろ

えあ、あたしを助ける喜代原さんか

メグは眼を丸くする

メグはいわゆる優等生だ

成績も良いし、友達も多い

オレと婚約しているという特殊性を抜けば先生にも、クラスメイトたちにも、評価の高い子だ

オレたちの家族の中には、メグよりもさらに能力のある人はたくさんいるけれど少なくとも、オレたちのクラスの中では、できる生徒で通っている

愛みたいな内向的な子に、助けてもらうことなんて何もないと思っているのだろう

恵美さんは自分に自信がないんだよね愛みたいに

でも愛と違うから愛よりも勇気がある子だからすぐに怒っちゃうんだよね

メグが怒りっぽくなったのは、自信の無さの裏返し

心配で、怖くなっちゃうからだから吉田くんとか、怒ってもいい人にだけ怖い気持ちをブツケちゃうんだよね

そうネメグミは、ミスズたちには強いコトは言わないヨネ

Darlingやアタシ、マナそれからユキノそれぐらいネメグミが感情をブツケる相手は

いいえ、そうよ恵美って、弓槻や克子には甘えてるけれどアタシやこのバカに対してするみたいに、ギャーギャー喚いたりはしないじゃない

雪乃も、クククと笑う

テイウカほとんど9割、Darlingに怒っているネ

イーディが何か突飛なことをやるとメグが叱っていたりするけれど

あれはイーディが、メグのガス抜きのために、わざと怒りやすい子を演じてくれていたんだな

最近は、イーディが本当は飛びっ切り頭の良い子だってバレているからメグがイーディを叱ることは減っている

マナも昔から知っている妹だから、色々と文句がいいやすかったんだろうけれど

マナは瑠璃子と一緒に克子姉を師匠にしてどんどん家事仕事が上達してしまったし

マナがどんどん綺麗になっていくことにも、メグはコンプレックスを感じているからこれも最近は、関係が薄くなっている

ああ、そっか他の子たちに対するコンプレックスで気持ちが落ち込むと、このバカに喚いてストレスを解消してたのね

フンフンと、雪乃が納得する

や、やめてよあ、あたしはそんな薄っぺらい人間じゃないわよ

メグは、愛の言葉を必死に否定しようとする

でもそうだから愛、見てたから

愛はこの数日、オレたちの様子を観察していた

いや、愛これでも、前よりは良くなっているんだ

雪乃が一緒に住むようになったことで対等な立場で、文句が言い合える相手ができた

月子の子分になったことで少しずつ、心の調整をしてもらっている

メグのストレスは前よりは、緩和されてきている

でも今のままだと吉田くんが大変

愛が言う

そうネDarlingはメグミに文句を言われて、チョット可哀相って思う時もあるネ

イーディは、苦笑した

いいのよこのバカはそういうのを面倒だと思わないで、黙って受けとめるのがこのバカの唯一の良いところなんだし

雪乃は、そう言いながらメグに振り向く

恵美のこと好きなんだからこのバカは

えっよ、ヨシくん

好きだから怒られても、嫌いにならないんだよ

普通の人は、怒られたら嫌いになっちゃう自分が悪くて、怒られた時でも怒る人は嫌

ソウヨだからみんな、人に文句を言う時は、なるべく遠回しに言うネ嫌われないように直接、相手に怒りの感情をぶつけるのは、相手の心を攻撃するのと同じコトだって判っているカラ

恵美はこのバカが、絶対に自分のことを嫌いにならないって判っているからあんなに、思いっきり甘えていられるのよね

ゆ、雪乃あたし、甘えるなんて

後先のことを何も考えないで、ガンガン怒るなんていうのは相手に甘えているってことなのよ

ふんっ、と雪乃は鼻を鳴らす

そんで、このバカもそれを許してくれてるわけでしょ普通の男ならさうるせーなとかオレにそんなことグチんなよっとか、面倒がって逃げてくわよ恵美みたいな重い子ならグチグチ怒られるのが嫌だからってのが理由で、別れたりするわよ普通のレンアイなら

よ、ヨシくんは普通の子とは違うものっ

そうヨDarlingは違うヨ嫌な顔しないで、いつでもアタシたちの相手をしてくれるヨ

デモダカラと言って、メグミが今みたいにずっとDarlingに甘えていいってことにはならないのネ

メグは息を呑む

いや、これはメグの問題じゃなくってオレが悪いんだよ

オレさこういうのは、オレがメグを受けとめていれば、それでいいんだって思っていた

オレがガマンすれば、それで済むことなんだって

でも、そういう考えは間違っていたそんなのは、メグをバカにしているだけで

感情をオレにぶつけるメグと受けとめるオレ

オレは、そういう関係だと勝手に勘違いして

いつの間にかメグのことを上から目線で見ていた

みすずたちにコンプレックスを持ち溜まった感情をオレにぶつけるメグを

弱くて、可哀相だと思って

だからこそ、オレがガマンしなくちゃいけないって思っていた

とんでもない思い上がりだ

メグメグのコンプレックスは、メグ自身が解決していくしかないんだよ

オレはメグに言う

オレに感情をぶつけても何の解決にもならないんだ

むしろどれだけ怒っても、オレなら平気だと感じているから

怒りの度合いが、増していくばかりで

雪乃や月子たちという雪乃の心を紛らわせる防波堤はできたけれど

今のまんまでは、根本的な解決にはならない

でもあたし自分がどうすればいいのか判らないのよ

メグは言う

あたしだってヨシくんにプンプンしたくないでもあたしは、みんなには勝てないから

どうして勝つの

みんな違う子みんな、それぞれなんだよどうして勝たないといけないの

愛を見るメグ

勝ち負けなら今の愛は、誰にも勝てない

あなたは綺麗よあたしよりも、ずっと可愛いわよっ

それは恵美さんが、そう思っていることで

愛は、メグの眼を見る

あたしにとっては何の力にもならないだってそれは、愛が自分で手に入れた力じゃないから

愛は弱い子今の自分が弱いってことは、判っているでも、このままじゃ嫌だ弱いままの愛では愛が嫌なの

吉田くんに、嫌われちゃうからとかじゃないよだって、吉田くんは今のままの愛でも好きでいてくれると思うだから、これは愛の問題

本当に愛は変わった

愛は自分のことが、全部、自分でできる子になりたいまず、これそれからパンを作るのが上手くなりたいこれも大事セックスも、上手になりたいもっと、吉田くんと気持ち良くなりたいから

愛は、一生懸命話し続ける

初めて人のために何かしたいと動き出している

他の人は関係無い他の人のことを考えたら怖くなっちゃうからだって、愛はみんなよりも、何周も遅れてるから

愛の真摯な言葉をメグは聞いている

だから、そんなことは考えないの自分が今、しなくちゃいけないこととしたいこと自分と吉田くんだけが見えていればいいの他のことを考えたら愛は、何もできなくなっちゃうだって、愛はバカな子だから

いいえ、あんたはただのバカじゃないわよ自分のことがそれだけ判っているんだもの目的を持ったバカなんだからさ

うん愛には目的があるの

目的

メグが、思わず聞き返す

自分に自信を持ちたいの

愛はニコッと笑顔で言う

自分に自信が持てたら幸せになれると思うのだから頑張りたいの

ああ、応援する応援するからな、愛

うん応援してて吉田くん

愛は、嬉しそうにそう答えた

メグは、そんな愛にショックを受けたらしい

メグミ、まさか今、自分はアイに負けたトカ思ってなイカ

イーディが、呆れた口調で尋ねる

だって、あたしあたしだって、自分に自信が持ちたいわよでもヨシくんの周りの子は、みんなあたしよりも上の人たちばかりだしあたしは、自分が何をしたら自信が持てるとかそういうのは全然判らないんだもんっ

だから前向きになったこの子にも、自分は負けたとか感じているのね

ホントにどこまで大馬鹿なのよっこのバカ恵美っ

あたしだってさここ何日か、この子と生活してたのよこの子が、アニエスたちに色々教わってそれこそ、洋服の畳み方から、ベッド・メイクから何から何まで、自分じゃやったことないからって教えてもらってるのを見てたわよホント、自分のお尻も拭けない子じゃないかって心配したわよっ

愛は、頭を下げる

いい先生が、アニエスなのよほんの数ヶ月前まで、地下室に幽閉されてた子よあんな子に物を教わるような女よ世の中を知らないにもほどがあるだろうっていう、底抜けの世間知らずよこの子は

自分でも周回遅れって言ってたけれどさホントにどうしょもない子が、やっと色んなことをやってこうって、思い立ったってだけのことなのよ

雪乃は、愛を見る

ねえ、あんた料理とかできる

洗濯は

洗濯機の使い方だけ教えてもらった

お裁縫は

なにそれ

会社に手紙を書くときには御中て書くの知ってる

愛は、パクパクと口を開く

愛シャッフル

オレは、慌てて愛を再起動する

雪乃の勢いと迫力じゃ、パニックを起こすよな

ほら、まだこんなレベルの子なのよ恵美は何だって、一通りは知っているしできるんでしょ優等生なんだから

パンだってさこの子ははじめたばかりで上手くなりたいつて言ってるだけなのよ、まだ今なら、あんたの方が全然上手に作れるわよ

でも、きっと

メグは、愛を見る

そのうちに抜かれちゃうわよあたしなんて

このネガティブ・バカっ

雪乃が怒鳴った

そう思ったら、抜かれないようにメグミも頑張ればいいダケのことネ

でも、この子はあたしより綺麗なんだものっ

ちょっとぐらい何かできたって、意味がないわよ綺麗な女の子には勝てないんだから

メグだって、綺麗だと思うよオレは

でも、愛さんの方があたしより、ずっと綺麗なんだもんっ

結局、そこへ戻るのか

メグは、女の子なんだなどこまでもどうしょもなく

ジャア、メグミも綺麗になればイイノネ

イーディが、そっけなく言った

な、なれるわけないでしょあ、あたしは

何、言ってるのよあんただって、下地はそこそこ良いんだからさあたしの姉妹なんだから

でも、あたしは雪乃とは違うわ

そうねあたしとは違うわよねでも、舞夏とはどうなの

雪乃は、サラッと切り返した

聞いたわよあの子は弓槻と克子が作った綺麗になるためのプログラムってのをやっているんでしょそんで最近、成果が出て来た

体質改善からスタートしてマナは美しくなってきている

舞夏に頑張れてんだからさ優等生のあんただって、頑張れるんじゃないの

で、でもマナは

あの子には、スーパーモデルになるっていう夢があるのよだから、頑張っているのよでも、あたしには

そういう夢なんてないから

メグには、こうなりたいっていう具体的なイメージが無い

前に学校の先生になりたいって言ってたけれど

そういうんじゃなくって

もっと、生理的な肉体的な感覚的なイメージが

メグオレたち、20歳になったら結婚するって約束したよな

オレはとっさにそう言った

クラスの連中を全員呼んで式を挙げるって

まさかヨシくん

ああ、ネガティブなメグは、また勘違いをしたらしい

別に婚約を破棄するとかそういう話じゃないよ

先にクギを挿しておく

そういうことじゃなくってメグ、お前、どんなお嫁さんになりたいんだ

そうだこういうレベルでの明るい未来のイメージをメグは持たないといけない

花嫁衣装を着たメグは、綺麗なのか

オレは、綺麗な花嫁さんじゃないと嫌だからな

あうう、愛は真っ白なドレスでここにレースが

愛の話は後で聞くから今は、メグの番だからまた後でな

メグ4年後に綺麗な花嫁さんになりたいのなら今から頑張らないとな

メグは普通の女の子なんだ

だから、普通の女の子として考えてあげないといけない

それでオレたちは結婚したら、どうなるんだ

でもヨシくんは克子お姉さんとパン屋さんを始めるんだしみすずさんたちとだって

ああ、そうだそうだけどメグとは、どんな夫婦になるんだ

女の子らしい夢のイメージを

子供は欲しいだろ

それは欲しいけどでも、他の人たちが

オレはメグにも産んで欲しい

男の子、女の子メグは、どっちが欲しい

お、女の子

可愛い子か

だったらその子のために、メグは綺麗なお母さんにならないとな

だってメグが産む女の子のお母さんは、メグなんだからお母さんが綺麗じゃないと、可哀相だろ

4年なんて、あっという間だよ自分のために綺麗になるとか、オレのためとかそういうのは考えなくていいからでも、未来の自分の娘のためには今から頑張れよ綺麗になれよそれに

結婚式には山峰のお義父さんとお義母さんも呼ぶだろ

それはできれば

メグは、養父母にはとてもお世話になった

あの人たちのためにも綺麗なお嫁さんにならなくちゃいけないって、思わないか

別にさヤッちゃんとか、克子姉たちみたいな綺麗さにならなくていいんだみすずたちみたいな気品もいらない月子たちの神秘性も

メグはメグなんだから普通の子なんだから

マナみたいにスーパーモデルになるための努力はしなくていいただ4年後の結婚式に、みんなに祝福してもらえるような綺麗なお嫁さんになる努力はしたっていいだろ普通のレベルで頑張れば良いんだメグの手の届く範囲で

あたしの

自分と違う他の人のことばかり気にしているから、判らなくなっちゃうんだよ何をするべきか、何ができるのか迷う自分にはできないし無理なんだから、やらない方がいいって諦めちゃう人と比べるから

でも、自分の手の届く範囲ならやれること、やらなきゃいけないこと、やりたいことがたくさん見つかるはずだよ

オレの言葉にイーディが続く

ニンゲンは自分がイメージできることしかできないノネ

そうだできない、無理だと思っているコトはできないし、やらない

やる前から、諦めてしまうから

ダカラ、できることからスルのネできることなのに、できるって判っていることなのにまだ、やってないことが、たくさんあるはずヨ

そうだまずは、そこからだ

アイの自分のこととパンとセックスっていう選択は、正しいノネとりあえず、眼の前にあることカラ、始めてみようっていうコトなんだカラ

うん愛はそう

コクリとうなづく愛

だから恵美さんも思い付いたことからしたらいいと思う

そうよ恵美はさ頭でっかちになって、人と自分を比較してあのさ、あの家に今居るのは、みんな化け物レベルなんだからねこんなのとかさ

雪乃は、イーディを指差す

ハイよユキノもネ

ユキノだって相当、凄い子だヨ

うんすっかり、毒舌タレントとして成功し始めているから

雪乃の番組の視聴率は、全く下がっていない

だからさもし、どうしても比較したいって言うのなら、あたしたちじゃなくクラスの子とかにしなさいよそしたらまだ手の届く範囲で、やることが思い付くわよ

あ、愛も普通だから

愛が、上目遣いでメグに言う

まあちょっと綺麗なだけの普通の子よね毒っ気がないんだからさ

雪乃は、そう言って笑った

な、仲良くして下さい

愛はメグに手を差し出す

それから吉田くんを独り占めにしないでね愛もしないから

喜代原さん

愛だって心配なんだよメグが、他の子を見て心配になるように

愛からすれば、オレの婚約者のメグは最大の脅威なんだ

これからは同じクラスの生徒なんだし

わ、判ったわ仲良くしましょうね

初めてメグは愛を自分よりも弱い存在だと認めた

自分からオレを奪う脅威の1人ではなく

この子が、弱い子だということを肌で感じ取った

はい、お待たせあたしの妹がメンドくさい子でいつも悪いわね

さあセックスしなさいよ、あんたたち

一緒にセックスするほど仲良くなる方法はないノネ

イーディも、ニコッと微笑む

夜中にドンジャカと、ディスコミュージックみたいなリズム音が窓の外から聞こえてくる

窓を開けると、さらに強く聞こえる

誰かが夜中に大音量で音楽を聴いているのかと思い、方向を確かめるがよく判らない

外へ出て確かめてみようと思い靴を履いて、玄関のドアを開ける

外はシーンとしている

夜の静寂だ

あんなにうるさかったリズムが、まったく聞こえない

これは妖怪タヌキ囃子か

ツィゴイネルワイゼンの映画を思い出す

とりあえず、家の前の道へ出るが音はしない

シーンとしているネコがいるだけ

もしかしたら、家の裏側から音が廻ってきたのかと思う

裏側へ廻って見ると

夜中の3時過ぎだと言うのに

隣家の窓が開いており、中から人影がこちらの方を覗いていた

私は暗い路地に居たから、人影が私に気付いたとは思えない

数分、様子を見ていたが

人影はずっと開いた窓から外を見たまま動かなかった

怖くなって、家に戻った

何だったんだろうあれは

838.セックス・キングダム / つぶあんとこしあん

この会スロー会ダッケこのメンバーで、こうして集まっていることは、とても良いことネ

イーデイはニコッと笑う

今の当番制とゲスト制で、色んな組み合わせの子たちでDarlingとセックスすることになっているけれどやっぱり、どうしても偏りがアルのネ

例えば基本的に美智は、みすずかイーディが一緒だし

だから、この間みすずの居ないところで美智とセックスしたら、あいつはビックリするくらい弾けまくってた

みすずや瑠璃子が、ヨミやルナをゲストに呼ぶことはあっても

月子のことは呼ばないし

翔姉ちゃんやレイちゃんは、緊張するのかみすずや瑠璃子を呼ぶことはあまりないむしろ、最近は月子たち鷹倉姉妹と交流を深めているし

それと人前では、あんまりキツイことは言えないカラ

メグミはネイやミスズたちの前では、厳しいことを指摘されたくないデショ

イーディの言葉に、メグは

な、何よそれってイーディは、あたしに何か言いたいことがあるの

アタシも、こういうチャンスがなかったら言わなかったと思うネ

イーディは、オレの前にやってきてしゃがむ

オレの勃起したペニスを捧げ持って

メグミフェラチオしてみるネ

え、あたしが

ソウヨ初心者のアイも居るネメグミのフェラチオの仕方教えてあげるノネ

やってみろよ、メグイーディは、いつでもちゃんとした考えを持って話している子だから

悪い子じゃない

本気で、メグに伝えたいことがあるんだ

ほら、ご指名なんだからやんなさいよ、恵美

雪乃はアイの勉強机に座って、楽しそうに見学している

メグが、オレの前にやってくる

イーディそこ代わって

はいネ

イーディからオレの勃起ペニスを奪い取るメグ

愛さん、見ててフェラチオっていうのはね

いきなり、パクッと亀頭を咥え込む

左手で玉袋を持ち上げて右手は指で輪を作って、根元をシゴく

ぷっちゅっぱ、ぷっちゅぱ

いきなり激しく唇と舌を使った

ペロペロと亀頭の周りを舐め回す

先っぽを吸う

こういう風にするのよっ

カリの下をチロチロと舐めた

ヨシくんはここが感じるんだから

下手くそ

横から、メグのフェラチオを見て雪乃が言った

恵美ってホント、下手ね改めて見てみて、びっくりしたわ

ちょっと雪乃

ああ、そういうことかイーディが、何が言いたいのかあたし、判ったわ

何てったってあたしに判るぐらいだからね

ヨシくんあたし、下手

オレのチンコを握りしめたまま、見上げてくるメグ

いや、そんなことはないけれど

そんなにダメみたいに言われるようなことはないはずだ

代わってメグミ

ニヤッとイーディが笑ってメグをオレから押しのける

メグミと同じことをスルネよーく、見ていてネ

さっきと同じ様に、褐色の指がオレのペニスを捧げ持つ

しかし、すぐに口を付けずに

Darlingっ

ニコッと、オレを見上げて微笑む

大好きなのネ気持ち良くナッテ

そして、オレの顔を見たままゆっくりと、亀頭を口に含む

ちゅぷり

オレはつい快感に声が漏れてしまった

うふふ可愛いヨ

イーディは、さっきのメグがしたのと同じ動きをする

唇と舌で舐めしゃぶる

ああっ気持ちいいよ、イーディ

オレは、ビクッと震えてしまった

イーディの舌使いは蕩けるようだ

ど、どうしてヨシくんあたしの時はそんな風にならなかったのに

恵美はさ全然、このバカがどう感じてるかとかお構いなしに適当に舐めてるだけじゃない

雪乃が、笑う

そ、それはだって、あたしにはイーディみたいにヨシくんの気を感じることとかできないもの

メグは、イーディは気の力でオレがどうしたら感じるのか探知していると思ったらしい

コレ気は関係ないノネ

イーディが、チチュッとペニスを吸う

気持ちいいうふふDarling、大好きヨ

チュパッ、チュパッ、チャパッとイーディは、強めに唇を使う

ああっ、イーディ気持ちいいよ

オレの様子を見て、メグは

な、何でよヨシくんどうして、あたしの時はそんな風になってくれなかったのよ

そ、そんなことい、言われても

雑だったから

ぽわわーんと、愛が呟いた

ざ、雑あたしが

うんイーディさんの方がとっても丁寧

確かに、愛の言うとおりだ

同じことをしていてもイーディの方が細やかに、オレの感じさせようとしてくれている

ううっ、い、イーディ

判っているヨ、Darlingどこに出シタイ

ベロッと亀頭を舐めながら、イーディは笑う

イーディはどこに出されたい

そんなの子宮に決まっているノネ

イーディは、スッと立ち上がり

Darlingベッドに寝るネ

オレをベッドに押し倒す

全部、イーディが気持ち良くしてあげるカラ

オレの眼の前でパンティを脱ぎ取る、イーディ

ちょっと、イーディ

恵美、黙って見てなさいよ愛さんもね

ハーイ、Darlingスグダカラネ

イーディの引き締まった褐色の裸身が、オレにのし掛かって来る

見エルDarlingが、アタシの中に入ろうとしているヨ

ああ褐色の肌でも、割れ目の中は鮮やかなピンク色だ

とろとろと透明な愛液が染み出している膣口に、イーディはオレの亀頭を擦り付ける

気持ち良いデショアタシも気持ちいいヨ、Darling

はううっと、熱い息を吐くイーディ

ああっ、ドウシヨウもう挿れちゃいたいノネイイカDarling

オレも早くイーディの中に入りたいよ

イーディが、ゆっくりと腰を落とす

もう何度も入った膣だけど

イーディの締めつけはどんどん良くなっている

まるで、吸い付くようだ

あああっ気持ちいいヨもっと、来てDarling

じゅぼぼぼっ

女性上位で熱く湿ったイーディの中に潜り込んで行く

あああっ、イーディ

根元まで全部入るとイーディは身体を倒して、オレの上に重なってきた

気持ち良いDarling

眼の前にイーディの優しい笑顔がある

イーディは、気持ち良いでなく幸せだと言ってくれた

はいおっぱいネ

少しだけ身体を浮かせてオレの顔の前に、自分の美乳を差し出す

繋がったまま、おっぱいを舐めるの好きだよネ、Darling

愛が、真剣な顔で見ている

オレは、イーディの乳首に吸い付く

アアウッ

イーディの膣が、キキュッと締まる

乳首を舌でコリコリ転がすと、イーディの中からタプタプと愛液が染み出してきた

あ、愛もしてあげたい

愛が、ゴクッと唾を呑む

ソウネ、後でしてあげてネ

イーディは、愛にそう言うと

Darlingアタシのことはいいから、出したくなったらイツデモ中に出してネ

でもイーディ

イーディだって、イキたいんじゃないのか

今は可愛いDarlingが、いっぱい見たいノネ

ニッと、微笑むとオレの上で、腰をくねらせる

あっ、ああい、イーディ

イーディは、ゆっくりと腰を上下させる

判るヨここがいいのネ

ああオレの亀頭が、イーディの胎内の色んな場所に擦られていく締め付けられていく吸われていく

い、イーディ

YES My Darling

イーディの腰の動きが加速する

い、イーディそんなに激しくされたら

いいのネいつでも

オレは下から両手を伸ばして、イーディのおっぱいを揉む

手の平で、固く尖った乳首を感じる

ああっ、気持ち良いヨDarling

汗ばんでくるイーディ

イーディの厚手のビロードのような滑らかな肌触り

汗の匂いには、蜂蜜の香りがする

オレの上で、金色の美しい髪を振り乱して

青い瞳が、ニコニコとオレを見下ろしている

オレを受け入れてくれている

も、もう出ちゃうよイーディ

うん、ジャアもっと激しくするネ

あああああああっ

イーディはさらに腰の動きを激しくした

可愛い可愛いよだぁーりぃん

ああっ、オレ、オレ、オレ

出してぇっ中に出してぇぇぇ

も、もうダメだっ

い、イクぅぅっ

オレの勃起がイーディの胎内で弾けた瞬間

イーディは、全身でオレをギュッと抱き締めてくれた

大好きDarling

耳元で囁かれる甘い声を聞きながらオレはイーディの子宮に、噴き上げる

亀頭の先が、ぷにぷにとした子宮口を押し上げている

その開いた内側に向かって、オレの熱くて臭う精液を発射する

ああっ、ああっ、ああっ感じるヨドクドク出てるヨ

子宮の奥に精を浴びせられイーディの腰も、ククッと痙攣した

オレの精液を呑んでいる

イーディが、オレにキスしてくる舌を絡ませてくる

舌を啜られながらオレはまだ、びゅるびゅると射精を続ける

ううっ、ううっ、うーっ

オレも、ギュッとイーディを抱き締めた

この身体はオレのものだ絶対に放さない

ウンウン判っているヨ、Darling

イーディが最後にもう一度、キキュッと膣を締め付ける

ペニスの中に残っていた精液が、絞り出されてイーディの子宮に届いた

イーディが、オレの上で脱力する

それでもイーディのブルーの眼はオレを見ている笑っている

何ガ

キョトンとした顔で、イーディは答えた

そのオレだけ、1人でイッちゃったから

すると、イーディはオレの唇にチュッとキスして

男の子は、毎回射精してイカないといけないけれど女の子は、いつもイカなくても平気なのネ

Darlingを気持ち良くしてあげたっていうダケでも結構、満足なのネ

イーディは、オレの鼻の頭をペロペロ舐める

わ、判りますあ、愛も

愛が口を開く

愛の身体で吉田くんが、気持ち良くなってくれるだけでとっても嬉しい

顔を赤らめて言った

でも、Darlingは女の子にもイッて欲しい人デショだから、今まではなるべく一緒にイクようにしてたのネ

ミナホやカツコからも言われてたノヨDarlingに変なクセがつかないようにッテ

オレに変なクセ

ああ、そういうことね

雪乃が、うなづいている

何かさ普通の男ってのは、女の子のことなんかおかまいなしに自分だけ勝手にイッちゃうものらしいわよちゃんと、女の子がイクようにしてくれる人の方が少ないんだって

いや、だって雪乃セックスなんだからさ、一緒にイケないとダメだろ

ダメじゃないのネアタシ、今、満足しているヨ

イーディは、ニコッと笑ってオレのペニスを締め付ける

あたしも、ここからただ見てただけだけどさ

何か、とっても気持ち良さそうなあんたを見ていたら嬉しくなってきちゃった

愛も

ミンナDarlingのことが好きだからなのネダカラ嬉しいんだヨDarlingが、気持ち良くなると

でも恵美は、あたしたちと違うみたいね

雪乃の言葉に、メグを見る

だ、だってあたしがヨシくんにフェラチオしてあげてたのに途中から、イーディが取ってっちゃうんだもの

そんなメグミだからダメなのネ

Darling間違った優しさは、もうダメなのネソレは、メグミを勘違いさせるダケなのネ

あ、あたし勘違いなんてしてないわよ

メグは、イーディに抗議する

あのさ、恵美どうして、イーディが今、このバカとセックスしてしかも、さっさと射精させてあげたのか判る

雪乃の問いに、メグは

それはイーディが、あたしからヨシくんを

吉田くんがずっとガマンしていたから

え、オレ、別にガマンなんて

そんなのしてないぞ

ずっと、オチンチン大きいままで、ガマンしてた

愛が、オレに言う

愛も可哀相だと思ってたでもみんなが大事な話をしていたから

Darlingはガマン強すぎるノネそれで最近ちょっとマヒしているノネ

イーディが、オレを抱き締めてそう言う

ダカラ、メグミのフェラチオが雑になっていることも気付かないのネメグミがしてくれるだけで、嬉しいカラそう感じるのは、良いことだけど実際のメグミのパフォーマンスが判別できなくなっているのね

オレはマヒしている

恵美も相当、マヒしているわよねこのバカに愛されているこのバカは、絶対に自分を裏切らないって信じ切っているからセックスが雑になっているのよ全然、このバカのこと見てないでテキトーにしゃぶってるだけでしょ

て、適当なんかでしていないわよっ

そうかしら今ならこっちの愛さんの方が、恵美よりフェラチオが上手いかもしれないわよ

雪乃は、せせら笑う

そんな愛さんには、ま、負けないわよ

メグは、愛を睨むが

Darlingのことをちゃんと見て、感じているのはアイの方が上ネホントは、アタシがフェラチオした後に、アイにもやってもらおうって思ったんだケレド

イーディは言う

アイが言ってた通り、Darlingをこれ以上待たせるのは悪いカラそれに、アイの方がフェラチオが上手かったら、メグミが落ち込んじゃうカナって思ったノネ

メグは、愕然とする

Darling、抜くヨ

イーディが胎内から、オレを引き抜く

つるんと亀頭が外に出るとトロトロっと精液が滴り零れる

アイ、こっち来てDarlingに添い寝して、おっぱい舐めてもらうネ

愛がオレに添い寝してくる

はい吉田くん愛のおっぱい舐めて

ニコッと、愛は微笑む

オレは、愛の乳首をペロペロと舐める

うん、気持ち良いよ吉田くん

その間に、イーディは全裸のまま、ベッドの上であぐらをかき

さてメグミ

1つは馴れの問題ネ5月からDarlingとセックスしてきて馴れてきたから相手を感じない、相手のことを考えないで身体が流れでセックスしているノネ

そうね、あたしもそう思うわ

イーディの批判に、雪乃も同意する

おい、ちょっと待てよみんなでメグを糾弾するみたいなことは

吉田くんは愛のおっぱい舐めてて

愛がギュッと、オレの頭を抱く

あ、あたしが何もかもいけないって言うの

メグは心が防御態勢になっている

あのままじゃ

大丈夫だよ吉田くん

スロー会だから

同い年のこのメンバーの中だけで

きっちりと、メグと話をする

モチロンメグミだけの問題ではないノネ

アタシたちも、Darlingもどんどん変わっているノネ身体は成長する新しい体験をする心と身体は、毎日変化していくのネ

そんなことは判っているわよ

ううん判ってないネ

あのさ心と身体が変われば、セックスなんかの好みなんかだってどんどん変わっていくってことよ

雪乃が横から、口を挟んだ

特にこのバカは相変わらず、被害者を増やしているわけだからさ

オレは乳首を舐めながら最新のオレの被害者の愛を見上げる

愛はポーッと、嬉しそうな顔でオレを見ていた

吉田くん可愛いよしよし

オレの髪を撫でてくれる

ダカラアタシたちは、いつもDarlingの変化に注目しているネ

イーディの言葉に、メグは呆然としている

さっきは同じフェラチオでも、アタシはちゃんとDarlingを感じてしていたのネ今のDarlingは、どうしたら気持ち良いのかをネ

一方、メグミはずーっと前の記憶だけで、このバカはこうしたら喜ぶはずだってそれだけで、舐めてたわけよ

2人は言う

もちろん、Darlingだけでなくてアタシたちだって、好みが変わっているノネ今日のアタシは、上になって自分が腰を振りたかったシ

ほら、昨日まで大好きだったつぶあんの鯛焼きが突然、嫌いになっちゃうこととかあるでしょこしあんの方が食べたくなったり

雪乃の例えは、今イチ判らん

何にしてもさこのバカは自分はガマンして、なかなかこうして欲しいとか口に出さないからそのくせ、あたしたちの方からこうしたいって言えば、全部オッケーでしょだから、メグミの雑なセックスにも喜んでくれてたんでしょうけれど

デモDarlingの身体は、ホントはこうしたいとかこう気持ち良くなりたいっていうのが、ちゃんとアルのネ

そうそうホントにこいつバカだから自分のそういう欲求を無視しているけど

ダカラこそアタシたちの方からネ

イーディと雪乃が、そう言うと

愛たちが見つけてあげないといけないんだよね

愛は、ニコニコしてそう言った

よしよし吉田くん可愛い

自分の胸に顔を埋めているオレを優しく撫でてくれる

サッキもDarlingは、早く射精したいっ感じてるのがアタシには判ったカラ

だから、イーディはメグとの話の途中なのに、オレに膣内射精させてくれた

愛も判ってたよ

でも、恵美は判ってなかったみたいね

雪乃が、意地の悪い笑みを浮かべる

メグは、ぐったりと落ち込んでいた

今のことは今、ここにいるメンバーだけよ他の人には言わないで

スロー会だけネ

雪乃の言葉に、イーディと愛がうなづく

あ、あたしはどうしたらいいの

そう呟くメグを見てオレを抱き締めている愛は

恵美さんはちょっと、慌てん坊なんだと思う

考えて答えを出すのが早すぎそれで、いつも間違った方向へ行ってしまうんだと思う

そうね恵美は、あたしと一緒でそんなに頭が廻る方じゃないのにさみすずや寧にすぐに対抗しようとするから

オレと一緒だ

何としても、あの子らの速い思考スピードに追いつこうとして

メグの場合は、暴走する

自分がバカにされているんじゃないかと余計な反発をしてみたり

他の子たちに勝てない自分に深く落ち込んだりする

ゆっくりだよゆっくり見れば吉田くんが、何をして欲しがっているのか愛だって判るよ

愛の言葉に、メグがオレを見る

うんまあ、一目瞭然よね

判らない方が、どうかしているノネ

メグの股間がまだ勃起しているオレのペニスを見る

ヨシくん、まだ出したりないの

いやそんなことは

嘘よこれだけ可愛い女の子たちが、全員、裸でいるのよ本当は、全員で襲いかかって欲しいんでしょ

くふふっと雪乃が笑う

あたし、判ってたからだから最初に、あたしはしないってイジワルなことを言ってみたのよ

雪乃が、最後の1枚のパンティを脱ぐ

あんたがそこまでしたいんならあたしも、参加してあげるわよ

い、いやオレは

正直にならないとダメヨDarling

このスロー会ではみんな、素直になるノネ

チュッと、愛液と精液で輝いているオレのペニスにキスする

で、恵美はどうするの

雪乃に問われた恵美は

わ、判ったわよ素直になるわよっ

大きな声で、そう言った

昔、付き合っていた女のがこしあんが好きで

ある日、こしあんを買って行ったらちっと舌打ちされた

あれ、こしあんが好きなんじゃなかったっけ

と問うと

今はつぶあんなのよ

とキレられた

まもなく別れた

人は変わる、趣味も好みも変わる

839.セックス・キングダム / 涙で押し流す

ゆっくりゆっくりなの

右から愛が、メグに言う

Darlingのこと、よく見るネ

左からはイーディが

メグは、全裸でベッドに横たわるオレの足の間に入り込み

もう一度、フェラチオに挑戦する

な、舐めるよヨシくん

メグはオレのペニスを掴んで、はむっと口に含む

ああ、温かいよメグの口の中は

オレの顔を見ながらゆっくりとメグは舌を使った

ヨシくん、これがいいのね

オレの反応に、メグがそう言うが

慌てないノネよく周りを見るネ

ユキノが、Darlingの足の裏を舐めてるのネ

メグが振り向くと、そこで雪乃がオレの足をペロペロ舐めていた

ちょも、ちょっと雪乃

あら、別にメグだけの時間じゃないでしょ今は

ふふんと、雪乃は笑う

その通りなのネ

イーディは、オレの右手を取り指と指の間をペロペロ舐める

あ、愛も

愛はオレの首筋と耳を、舐めてくれた

あっ、ああ

メグの手の中でオレのペニスがさらに硬直する

ちょっとみんな

そうよ、ミンナのDarlingネミンナで気持ち良くしてあげるノネ

そのあたしが、あたしがって考え方止めた方がいいと思うわよ

このバカにはさ恵美は、たくさんの女の1人でしかないんだから変なアピールしたって、何の役にも立たないわよ

それは判っているけど

メグは、悲しそうにそう言う

判ってないネ

たくさんの女の1人でもDarlingは、ちゃんとメグミことを認めているし、愛してくれているネそれ以上、何を求めるノカ

メグミが、このバカを独占することはできない判っているでしょこのバカは、あたしたち全員のことが好きでみんな幸せにしようとしている、究極のバカなんだから

愛されていることに気付くノネ愛してもらっているだけで、満足ヨ普通は

愛こうしているだけで幸せ

愛は、オレの胸に頬擦りする

恵美は望み過ぎて求め過ぎよそのくせ、自意識過剰だから、このバカが反応する前に勝手に自爆して怒り出したりしてホント、どうしょもないわよね

困惑しているメグに、オレは

メグおいで

両手を開いて、メグを呼ぶ

メグのスレンダーな裸を、オレは抱き締める

ほら、深呼吸ゆっくり

すう、はぁぁ

メグはオレの腕の中で深呼吸する

いいかどんな時でも、ゆったりと呼吸するんだそうしたら、慌てないから急がないから

愛がパニックになった時のシャッフルのようにメグも、心を再起動させるシステムが必要だ

呼吸がゆったりになったら、気持ちに余裕ができる周りや相手がよく見えるほら、オレに合わせて一緒に深呼吸しよう

オレたちは、ぴったりと肌を合わせているからお互いの呼吸がよく判るはずだ

ほら、深呼吸いくぞ

すぅぅはぁぁ

いつも、美智に工藤流の稽古をしてもらう時のように深く長く、呼吸する

オレの胸と腹が膨れたり凹んだりするのに合わせて、メグも呼吸した

はぅぅすはぁぁ

愛やイーディ雪乃までが、一緒に深呼吸していた

ウンしっかり呼吸すると、脳みその奥まで酸素が行き渡ってシャッキリするネ

イーディ、後でメグに正式に気の呼吸法を教えてやってくれ

オレは、イーディを見て頼んだ

メグは、ギョッとしてオレを見る

オレは専門家じゃないから美智に教えてもらうよりは、イーディの方がいいだろ

オレもなるべく一緒にするから

ほら、どうだ深呼吸してみて

ヨシくんがさっきより、身近に感じる

肌を合わせていても、セックスしていても

ちゃんと息が合わなかったら遠くにいるのと同じだ

いつもはヨシくんが、どこかに行っちゃうんじゃないかとかあたしだけ、置いてきぼりになっちゃうんじゃないかってぼんやりとした不安があるんだけれど今は感じないわ

だからちょっとでも不安になったら、深呼吸してみるんだ今みたいにオレもいつも、そうしているんだから

ヨシくんも

ああ、だって毎日オレだって、不安になるから

せっかくの機会だから話してしまおうと思った

オレだって、毎日不安だよパンはちゃんとできているかとかオレが何かヘマをやって、売れるパンが1つもできなかったらどうしようとか

パンそのものは、みんなで作っているけれどオーブンで焼いているのは、オレだからな

オレが失敗したら、みんなで作ったたくさんのパンが全部ダメになる

でも、ヨシくんちゃんとできているわよ

だけど、気を抜くと失敗するかもしれないだってオレなんだぜオレがやっていることなんだぜ

オレはオレを信用できない

だって、オレはダメなニンゲンだからだ

今のオレどうにかやってきてはいるけれど不安なことばかりだよホント、みんなが居てくれるおかげだよ

オレ1人なら何一つ上手くいかずに、とっくに失敗しているはずだ

オレみたいなダメ人間が、パン屋の運営なんてできるはずがないんだから

毎日、パンを作って、売って翌日の仕込みをして売り上げを見て、新製品を考えて

夢みたいだよ4月の時のことを考えたら

あの頃のオレは何もかも絶望していた

今オレには希望があるホント、嬉しいよ幸せだよ、オレ

だからこそもっともっと不安にもなるんだ

みんなに見捨てられちゃったら、どうしようって思うよまた、独りぼっちになっちゃったらってオレの廻りから、みんないなくなっちゃうんじゃないかって不安になるゾッとする夢にも見る

幸せだからこそ怖い

そういう時は、深呼吸するよ大きく深く、呼吸して何とか心を落ちつかせるんだ

ソウネDarlingは、真夜中にベッドの中でも時々、やっているネ

そう、オレは女の子と一緒のベッドの中でも

温かな裸身を抱いたままでも、不安になることがある

アタシもそうダケド

うん、イーディも時々深呼吸しているよな

イーディは、ちょっとでも時間があるとストレッチしたり、気の呼吸法をやっていたりしている

ずっと、練習熱心な子なんだと思っていたけれど違うんだ

イーディは、不安を感じるとああして、心を穏やかにさせるんだ

あたしも、そうよ

あたしの場合はオナニーだったけど不安でいっぱいになると、いつもあんたに犯されているところを想像して、オナニーしてたわ今は、もうしなくても平気だけど

でも、今でも気合い入れないとマズい時は、あんたにおっぱいを吸われているのを想像するわあんたが、あたしの乳首をチューチュー吸っている時のことを思い出すと気分が落ち着くのよ

愛吉田くんに、シャッフルしてもらわなくても自分で自分にシャッフルできるようになったよ

愛のシャッフルによる心の再起動も同じか

みんな、それぞれ不安な心への対処方を持っている

恵美はさ、優等生過ぎたのよ今までが

あんたって、ほら山峰さんたちも真面目な人たちだったしねあの人たちに申し訳ないからって、あんたはずっと何でも平気です堪えられますって顔して生きてきた子じゃないまああんたに酷かったあたしが言うことじゃないんだけれどさ

メグは白坂創介に娼婦に堕とされるという運命も、受け入れるつもりだった

周りに甘えられる人がいなかったからDarlingに、ついつい甘えちゃうのも判るノネデモ

メグミは少し甘えすぎネ甘えるばかりで、Darlingの負担になっているカラ

ヨシくんがもっと、あたしに甘えてきてくれたらいいのに

それは無理ヨ

今のメグミには誰も甘えられないネ

雪乃もうなづく

自分で自分のこと、ちゃんとできない子には吉田くんは、甘えてきてくれないと思う

愛も

甘ったれ同士が傷を舐め合うのは周りの人からしたら、迷惑ネ

イーディの言葉は、厳しい

まず、しっかりと自分で運命に立ち向かおうとするコトその意志を見せつけるコトどんなに弱くても闘う勇気をそういう子たちなら集まることに意味があるノネDarlingは、そのことをちゃんと判っているネ

愛にも判る

愛は自分のことをダメダメだと思っていたから愛は愛だから、何もできないって思ってたでも、吉田くんはそれじゃ、いけないって言ってくれたダメダメが嫌ならダメじゃない愛に、なるしかないって

オレ自身が愛にそっくりなんだよオレも、ずっとオレはダメな人間だと思っているからオレには、何もできないって生きている価値のない人間だって、思ってきたから

愛が、オレの手を握る

吉田くんは愛にはいてくれないと困る人だから

ずっと、愛のこと見てて欲しいのきっと、また愛道に迷うから判らなくなるからだから

ああ、一緒に歩いててやるよ押したり、引っ張ったりはしないでも、見ててやるからオレがずっと

あたしも芸能界の相談は、スナッチやフランシーにすればいいけれど何かに迷った時は、あんたに話すわそういう話ができる相手は、あんたしかいないから

舞夏は年下だし、恵美はこの通り頭でっかちだし他の女たちが、もうあたしに悪いことはしないっていうことは判っているけれどでも、やっぱり信用はできないからそうなるとあんたしかいないのよ客観的かつ親身に、あたしの相談に乗ってくれそうなのは

ああ、オレならいつでも相談に乗るぞ

オレに抱き締められたまま、メグは泣きそうな顔でオレを見上げている

結局、恵美はさ恵美自身が思っているほど大人じゃないのよ精神的にね今は、舞夏よりも幼いと思うわ

アタシはアニエスと同じぐらいだと思っているネ

雪乃とイーディが、言う

でも、あたしはホントは、ヨシくんと同い年でヨシくんのパートナーになりたい対等なそれで、他のみんなのお姉さんになりたい

メグが、心の中の思いを言う

それは無理ネ

うん、ちょっと今の恵美じゃ無理だわ

2人は、即座に否定する

そうなりたいのなら頑張りましょう

愛もなりたい自分が、できましたそうなるために頑張る

恵美さんも、一緒に頑張りましょう

メグは愛のことを、ずっと下に見てたろ

でも、違うんだ愛は愛の考え方で愛に合ったスピードで、頑張っているだけだから恵美より、遅れているとか劣っているとか、そういうことはないんだ

オレもかつては愛のことを舐めていた苦い記憶として、深く反省している

まずは、愛を認めろよ自分が愛と同じ位置にいることも今の自分を素直に見つめ直すことができなかったら、メグの不安はずっと消えないぞ

そして不安になる度にDarlingに怒鳴り散らすのネ

ああ、嫌だ嫌だ恵美のヒステリーは、もう見たくないわ

判ったあたしがあたしのプライドが高すぎたのね

涙目で、オレに言う

それでみすずさんたちには、コンプレックスを感じてて愛さんや年下の子たちのことは、小馬鹿にしてた

ぽろろっと、涙が零れる

だけどあたしのプライドとゲンジツが合わないから不安になって、不満になってヨシくんに当たり散らして

メグは優等生だ1つのことに気が付いたら、次々と判っていく

あたしカッコ悪い情けないわあたし

オレは、滴るメグの涙を吸い上げる

女の子の涙は塩辛くて、苦い

ほら、メグするぞ、セックス

オレはメグをベッドに寝かせ、自分が上になる

こういう時はメチャクチャ、セックスするんだよ

オレは、荒々しくメグの唇にキスした

メグのおっぱいも、強く揉む

少しぐらい痛い方が良いはずだ

ヨシくん、ヨシくんわぁぁんっ

メグは、子供の様に泣きだした

ああ、それでいい全部、吐き出せメグ

あああっ、あああっ、うわわぁぁんっ

泣きじゃくるメグの足をオレは、大きく開かせる

ああ、ちょっと待ちなさいよ

雪乃とイーディが、オレのペニスを舐めて唾でベトベトにしてくれた

これでいいわ

オレは、2人の唾で濡れた亀頭をメグの秘部に擦り付ける

メグのそこは、まだそんなに濡れていない

あああっ、ヨシくんヨシくんうわぁぁっ

大泣きするメグの中にオレは、ズブリと侵入する

ああっいっ痛いよヨシくん

大丈夫だゆっくりするから

オレは亀頭の先で、メグのまだ緩んでいない胎内を押し広げていく

よっ、ヨシくんうわぁぁんっ

メグは、泣きながらオレを受けとめていく

ほらっ、メグっ

根元まで押し込む

うううっ、うううっ、わぁぁ、うわぁぁんっ

メグは、オレにしがみついて泣く

ほら大丈夫だから平気だからオレがここにいるからな

オレはゆつくりとペニスを出し入れする

ううっ、わぁぁ、わぁぁ、ううわぁあっ、あっ、あっ、あうううっ

ピストンしていくうちにメグの膣が湿っていく

柔らかくなっていく

熱い汁で、グチョグチョになっていく

ヨシくんヨシくんああああっ

メグは涙と愛液上下で濡れていく

あああっ、ああーっ、あああーっ

ぐっちょっ、ぐっちょっ、ぐっちょ

結合部から、いやらしい水音がする

メグの可愛いおっぱいが、オレに動きにプルプル揺れている

ああっ、もっとね、ヨシくんもっともっと犯してぇぇ

涙眼で、メグがオレを求める

メグのこともっと叱ってメチャクチャにしてぇぇぇぇ

そのつもりだ

オレは、さらに荒々しくメグの中をかき混ぜていく

あああっ、あああーっ、ヨシくんヨシくぅぅんっ

メグメグっ

ああっ、ああっあたしどうしようあたし叱られているのにヨシくんに、叱られているのにあああっ、変になっちゃぅぅ

ほらっ、変になれよっ

オレはメグの下腹部に、自分の下腹を叩き付ける

パンパンと肌と肌の打ち鳴らされる音が響いた

あああっ、あああーっああああーっ

他の子たちが見ている前でメグは乱れた

は、恥ずかしい恥ずかしいみんなが見ているのに

そういうプライドも捨てろよ

う、うんヨシくんっああああっ

ああっ、あああんっあたしイキそうイキそうなの

ああメグっ

ヨシくん出してぇ、あたしの中に出してぇぇぇ

オレは、一気にラストスパートをかけた

パパパパパパンと、音が鳴る

ううっ、ああっ、くぅぅあああ、ヨシくぅんっ

あたしああああーっ、イクイク、イッちゃうううううっ

膣の中が、ビュクビュクと痙攣するぅっ

オレも出すぞ、出すぞメグっ

出して、出して、いっぱい出してぇぇぇぇぇぇっ

オレは射精した

温かいの入って来たわぁっ

メグの中に、グイグイ腰を突き込みながら射精し続ける

あああっ、あああーっ、あああーっヨシくんっヨシくぅぅんっ

オレの射精が続く

恥ずかしいわううう、恥ずかしいよぉ

メグはエクスタシーから醒めると、顔を真っ赤にして泣きだした

オレはメグに挿入したまま、メグの身体の上にぐったりとしている

みんなに見られてしかも、泣いちゃっているところを泣いてるのに、エッチして感じて、イクところまで見られちゃったわ

また、メグは泣く

うううっ、うわぁぁんっ

そんなメグの頭を愛が撫でる

イーディと雪乃は

ソウヨ見てたヨー

すっごいみっともない姿よ、恵美動画を撮っておけば良かったわよね

クスクスと笑う

忘れてよこんなの全部忘れてぇぇぇ

忘れるわけないでしょ、こんなのねえ

オフコース、なのネ

ここまで、みっともないところを見られちゃったんだからこのメンバーには、プライドなんて、もう残って無いだろ

メグのおっぱいに顔を埋めたままそう言った

泣き止むメグ

そういうことよ今度、あたしたちの前で偉そうな態度に出たら

みんなに言うネ恵美が、大泣きしながらイッちゃった話を

わ、判ったわよあ、あたしこれからは、気を付ける気を付けるから

みんなに約束する

ヨシくんに甘えないわすぐに怒らない心を落ち着けるために、深呼吸します

愛が笑って、メグを撫でる

そして、メグも見つけろよこうなりたい自分を

オレは顔を上げてメグの眼を見る

判ったわ可愛いお嫁さんに可愛いお母さんになるのにどうすればいいのか、考える

みんなにも、相談してみるんだぞ

メグは大きく深呼吸した

心を落ちつかせている

色々、ごめんなさい迷惑をかけて

いいんだよオレとメグとの仲だろ

そうねこのバカは、結局貧乏クセが抜けないから恵美みたいのが、近くにいないとダメなのよ

ソウヨミスズたちや、ツキコたちやアタシもだけど、規格外のオンナたちとDarlingがやっていけているのは普通の子のメグミも居るからナノネ

だから、あたしたちも別に恵美を追い出そうとかはしないから安心なさい

雪乃が、優しく言う

もし、恵美のことを悪く言う子がいたらあたしが、ブッ叩いてやるんだからっ

アタシも蹴飛ばすネ

うううっ、うわぁぁみんな、ごめんなさぁぁいっ

またメグは大泣きした

そんなメグの頭を愛は、ずっと撫でている

まさか、自分が毎日、父や母の下着を洗濯し干すようになるとは思っていませんでした

買い物なんかも、母はもう重い物が持てませんし父だと、時々判らなくなっちゃったりするので私が行かなければいけません

母お父さんと散歩しながら、あそこの大きなスーパーまで行って来るわ

私え、荷物とか持てるの

母それがね、あそこのスーパー買った物を家まで届けてくれるサービスを始めたんだって

私そうなんだ

母届け賃で、何百円か取られるけれどお魚とかは、自分で見て選びたいから

私じゃあ、行って来なよ

というわけで父と母は、その大型スーパーへ

午後の3時過ぎのことです

母行ってきたわ後で、配送車で持って来てくれるってとっても美味しそうな魚があったから、今夜はそれを食べましょう

好きに買い物ができてとっても、楽しそうでした

父まだ届かないね

母そうね

父もう、お腹が空いたよ

結局、夕方の3時過ぎに買った品物が届いたのは

午後の8時半過ぎでした

スーパーの人遅くなって、申し訳あれません

母どうして、こんなに遅いんです夕ご飯に間に合わないんじゃ困ります

スーパーの人それが急に上の人から配送サービスを始めると言われて全然、人が足りてないんです

母は

スーパーの人私1人でお届けに廻っているんです

母ということはよっぽど、早く買いに行かないと、夕方には届けていただけないの

スーパーの人夕方5時までの配送でしたら午前中でないと

母お魚悪くなっちゃうじゃない

840.セックス・キングダム / ともだち

よしよしよしよし

愛が、泣いているメグの頭を撫でてやっている

何度も、何度も優しい笑顔で

メグは泣き止んで、愛を見上げる

もういいから撫でてくれなくていいから

泣いて赤くなった眼で、メグはオレを見る

今までヨシくんや、お姉さんたちに何度も言われたのに判らなかったことが判ったわ

ごめんなさいどうして、あたし、今まで判らなかったんだろう情けないわ

またグスッと、メグは鼻を啜る

そういうこともアルのネ

イーディは、優しく微笑む

年上から言われたことには、どうしても反発してしまうネ上から頭ごなしに怒鳴られたみたいな気分になるノネ

まああのお姉さんたちはみんな、エラソーに上から目線で喋るのが大好きだからね

マナたち、年下の子たちがあたしのことを心配してくれてたのも、判ったわ

そっちは、あんたが舞夏たちを下に見てナメてたからでしょ

雪乃が責める

その通りよあたし年上の人たちには何もかも敵わないって拒絶ばかりしていたし年下の子のことは馬鹿にして、ちゃんと話を聞いてあげてなかったヨシくんのことも

あたしはお姉さんたちの言う通りに、流されているだけだと思ってバカにしていたんだと思うごめんなさい

いや、オレは実際、バカだし

そうよこのバカは、ホントにバカなんだから、バカにしてもいいのよっバカっ

同い年の人間に何か言われるのはツライよネみんな、同じだけの時間を生きてきたんダカラ

その通りよ特に

メグは、愛を見た

愛さんは怖いわ

あたし怖い

愛は、キョトンとする

そんなこと、言われたの初めて

オレは愛くらい、無害そうな子を見たことがない

人を怖がらせる以前に、守ってあげないといけないって感じさせる子だ

あたしが、このまんま意地っ張りのダメな子だったらヨシくんのお嫁さんは、愛さんに取られちゃうわ

ソウネ愛は、癒やしの力を身に付け始めているカラ

メグの言葉に、イーディは同意する

今のままならメグミはDarlingを困らせ続けるだけだしネ

そうね、この子なら他の連中も納得するんじゃないこのバカの公式のパートナーは

愛がメグの代わりに、オレの婚約者になる

え何で、そうなるんだよ

Darlingは、ヨシダ・ヨシノブとしての顔と生活も持ち続けないといけないノネ

オレは今、2つの戸籍を持っている

そのどちらも吉田の名前ではない

オレはすでに、吉田の家からは出ているのだから

しかし、オレの高校ではそのことは秘密にしている

誰もオレが、黒森家の養子になったことは知らない

クロモリの家のことはなるべく、隠しておくべきだからネカムフラージュとしての、ヨシダ・ヨシノブは捨てるわけにはいかないヨ

でも、何でメグを押しのけて、愛がオレの婚約者になるんだ

判っているわあたしあたしは、たまたまヨシくんのカムフラージュに適した位置にいたからそれだけで、ヨシくんの婚約者にしてもらっているってこと

いや、メグそうじゃないぞ

決して、それだけじゃない

オレは、メグを必要としている

Darlingは、黙っていてネ

イーディが、スッとオレを制する

そうヨアタシたちは別に、メグでもアイでもイイノネDarlingにとって、良い方の人に公式のパートナーになってもらえるのナラ

イーディは、メグのコンプレックスを、わざと突っついているのか

アタシやネイたちはダメなのヨ普通じゃないカラDarlingの公式パートナーは、普通の子じゃないと無理もちろん、ユキノもダメネ

ええ、あたしは人並み外れたオンナですからっ

そうよあたしは普通だからみんなと違って普通な子だっていうことしか、取り柄のない子だからそれで、ヨシくんの婚約者にしてもらえていただけよ

でも、メグミはその地位が安泰だと思い込んで散々、Darlingにメイワクをかけたネ

みなさんにもよ本当にごめんなさい

メグは、みんなに謝罪する

アイも普通の子ヨちょっと綺麗だけれど、普通の子メグミと同じネDarlingも、同い年で気負いなく、気兼ねなく付き合える相手ネ

しかも気軽にね

イーディの言葉に、雪乃が付け足す

この子は、メグミと違ってワンワン、ギャーギャー騒がないものネ基本的に大人しいものねこのバカが望んだら何でもやるんじゃないの

します吉田くんがしたいことなら

これだもんね恵美あんたとこの子、どっちがマシなのかあんたにだって判るでしょ

雪乃は、フフンと笑う

判るわ今のままじゃ、あたしはダメなんだってこと

変わりたいノカ

変わりたいわよ変わらないと今度こそ、ホントにヨシくんの側に居られなくなっちゃう

いや、オレはメグ

あたしが嫌なのよ今のままのあたしがあたしもヨシくんに何かがしてあげられる人になりたいの

Darlingに甘えるだけでなく役に立つオンナにネ

イーディが、ムフフと笑う

愛もそうなりたいなりたいです

人に助けてもらうだけじゃダメ自分のことは自分でするそして、一緒に楽しくそして最後に人のことを助けてあげられるようになるなりたいなりたいの、愛は

ああ、頑張れ一緒に、頑張ろうな

オレは、愛の手を握ってやる

うんだから恵美さんも一緒にがんばろっ

そうねあたし愛さんに負けないように頑張るわ

愛のことをライバルと認めた

ついこの間までは、何もできない子と舐め切っていた相手を

自分の気持ちの揺れに、ただ乗っかっちゃってカッカするのは、もう止めるわ自分の心が揺れている時こそ、相手のことをゆっくりと、落ち着いて、じっくりと見るそうでないと、メイワクになるだけなのねヨシくんにもみんなにも

心がドキドキ、ワサワサしたらゆっくりと深呼吸それでも、ダメならしゃっふるって呪文を唱えるのそしたら、スッキリなるから

シャッフルは、愛にしか効かないけれどまあいいか

あのオドオドしているだけだった愛が、人にアドバイスしているんだから

メグは、愛に礼を言った

えっとど、どういたしまして

愛は、恥ずかしそうにそう答えた

そろそろ、いいお買い物に行って来て欲しいんだけど

下の階から、克子姉の声がする

ここの家、しばらく留守にしていたから晩ご飯の材料が、全然無いのよ

掃除は終わったらしい

夜の8時過ぎに単身赴任先から帰って来る愛の父親のために夕食を作るんだな

判ったよ、すぐに下へ行くから

オレは、克子姉に大声で返事するとベッドから起き上がる

ほら、みんな服を着て愛タオルとかある

汗や愛液や精液を拭かないと

多分そこ

愛は、タンスを指差した

服とかの収納なんかも全部、母親の真琴さんにやってもらっていたから

自分の部屋なのに、細かくは知らないんだな

あ、これねほらっ

オレとこの場でセックスしていない雪乃が、引き出しからタオルを取り出して、オレに向けて放り投げる

あ、サンキュほら、メグ愛も

吉田くん自分でするから

愛は自分で股間を拭おうとするが

こういうのは、Darlingにしてもらっていいのネ

何もかも自分でスルんじゃなくて相手が、どうしたら喜ぶのかを考えることネ

う、うん吉田くん、お願い

オレは、愛の身体を綺麗にしていく

あたしもヨシくんに喜んでもらうことを第一に考えるわ

イーディの言葉を噛みしめるメグ

ソレでいいと思うネメグミ

イーディは、嬉しそうに笑った

やっと、メグミとも仲良くなれそうネ

えイーディ

これからヨロシクなのネ

その言葉にメグは、また泣き出す

ごめんあたしそんなに、迷惑をかけていたのね

メイワクじゃないネちょっと、心配だったダケ

ごめんなさい本当に、ごめんなさい

メグはイーディに、心から詫びていた

ええっと、買って来てもらいたい物のリストはこれえーと、恵美ちゃんとイーディちゃんと愛ちゃんで行ってきてもらえる

みんなで服を着て居間に下りると

え、オレは

あなたは、お風呂の掃除をしてくれるかしらちょっと男の人の力で、ゴシゴシ磨いて欲しいのよ愛ちゃんのお父さんに、気持ち良くお風呂に入ってもらいたいでしょ

そりゃ、まあ

仙台から帰って来て、お風呂が綺麗なら嬉しいだろうけど

ガードは、イーディちゃんがいれば大丈夫でしょスーパーは、すぐ近所みたいだし愛ちゃん、場所は判るわよね

学校への通り道のお店のこと

愛はお使いで何か買いに行くとかも、したことがないんだな

あたしも判りますこの辺は、部活の買い出しで来たことがありますから

女子陸上部で、何かを買いに来させられたことがあるんだろう

あそこのドラッグ・ストアの隣のスーパーですよね

ええそうよ一番近いのは

メグの問いに、真琴さんがうなづいた

じゃあ、頼むわこれ、お金ね

克子姉は、財布をメグに手渡す

愛さん持ってて

そうよ責任持って愛さんが持ってて落としたり、なくしたりしないように

愛は、財布を受け取る

大丈夫ヨアタシが見てるネ

イーディが、小声でオレに囁いた

これで今度はオレ抜きで

メグと愛とイーディの同い年トリオが、共同作業をするのか

雪乃は世間に顔が知られすぎているから、さすがに一緒に行かせられないし

ああ気を付けてな

オーケイ、Darling

3人は出掛けて行く

で、オレは風呂場だっけ

ええ、こっちに来て真琴さん、お台所の方をお願いしますわ火を見ていて下さい

克子姉は、真琴さんに言う

すでに何か料理を作り始めているらしい

鍋で煮込んでいるのか

真琴さんこれはどうしたらいいの

台所から、コヨミちゃんの声がする

はい、今、行きますから

真琴さんのことは、コヨミちゃんに任せておこう

あたし何か冷たい物でも飲んで来るわ

いや、今はいいよ風呂掃除が終わってからで

雪乃は、スタスタと台所へ

オレは克子姉と風呂場に向かう

ヨッちゃん、お疲れーっ

風呂場は寧とルナがタワシで磨いている

寧は、制服のスカートを脱いで下だけ下着姿で四つん這いになっている

ゴシゴシと、タイルを磨く

額に汗の玉が浮いている

ルナも、楽しそうに壁のタイルを磨いていた

風呂の掃除ってほとんど終わっているじゃないか

ええ、まあちょっと、あなたとお話したかっただけだから

どう上手くいった

どっちの子のこと

オレは、克子姉に問い返す

どっちもよ

やっぱり最初から、愛とメグ2人をターゲットにしていたんだな

なら2人とも問題無いよとりあえずは

そう、良かったわ

まヨッちゃんなら、大丈夫だと思ってたけれど

結局さあたしたちだと、ついついミナホお姉ちゃんの真似をしちゃうからさっ

そうねついつい、偉そうにお説教しちゃうものね

ああまた、オレたちが話している様子を見て、克子姉が途中で乱入してくるかと思ったよ

あるいはミナホ姉さんが

いつものならそんな展開になっていただろう

そういうパターンは、もう効かないって反省したのよメグちゃんにはね

メグちゃんは、ホラ勘も良いし、秀才だからさそうやって年上に、ガミガミ言われるのはもう嫌だって感じているって判ったんだよ

ええ、1度説教されるのはウンザリだって思っちゃったら理屈は納得できても、心が受け入れなくなるから

何を意見されても右から左へ聞き流すようになっちゃうからさ

だからメグは、何度同じことを言われても、態度が直らなかったのか

そこそこ頭の良い子だからこそそうなっちゃうのよね

愛さんみたいな子だと、納得できたらとっても素直になるしみすずさんたちは、客観的に自分を見ることができるから

客観視できる心の余裕が無いと香月家の娘は勤まらない

雪乃さんみたいに、何があっても挫けない精神力があればいいけれど恵美ちゃんは、そうじゃないから

他者へのコンプレックスが、自己嫌悪を引き起こしまた、心が荒れる

年長者から何を言われてもそんなことは言われなくても判っているもう言わないでと、耳を塞いでしまうようになっていく

弱い人なんだよ愛さんと同じくらい

そういう人だからボクやマナお姉様たちがアドバイスしたって、聞いてくれないんだよね

年下の子に意見されるのは自分が情けなく感じるから

だから、拒絶するのか

それで同い年か

オレ、雪乃、イーディ愛

年上でも年下でもない相手なら

特に愛さんの存在が良い刺激になると思ったのよ

ああ、正解だよ愛に追い抜かれるかもしれないっていうのが、一番堪えていたみたいだから

寧が、うなづく

まあ、これで良い方向へ進んでくれると思うよ

メグと愛は良い友達になっていくと思う愛のゆっくり考えるところや、人を癒やしてあげようとするところはメグに良い影響を与えてくれると思うし

愛にとっても、メグと一緒に居ることはプラスになっていくと思う

それに、雪乃とイーディが加わればあいつら、良い友達になっていくと思うよ

ヨッちゃんもだよ

ヨッちゃんもその同い年の仲良しグループのメンバーになるんだからねっ

ま、これでメグちゃんの方はもう平気だと思うよ一緒にやってく同い年の仲間がいれば、心が安定するし何かプライベートで年上の子に相談したいことができたら、月子さんがいるしねもっと、大きなことはミナホお姉ちゃんに話すだろうし

ええ、相談したいことの種類によって窓口がたくさんあることは良いことよ

やっぱり人の悩みにはレベルがあるのよ親でないと解決できないこともあれば、親には話せないこともあるわ学校の先生には言えるけど、親には言えないことも

兄姉になら相談できるとか親友になら、とかねっ

でも、あたしたちの家族はそういうレベルの差があやふやだったでしょ

オレたちはホンモノの家族ではないし

親はいない

ヨッちゃんを中心として放射状に繋がる人間関係だから横糸を通して、クモの巣みたいにならないと、女同士の繋がりは弱いままになっちゃうんだよ

ああ、誰かもそんなことを言っていたな

クモの巣みたいにならないとって

でも一番身近で、どんな恥ずかしいことでも相談できる仲間ができたんだからさっ

ええ、一番大切な横糸が通ったと思うわ

親役のミナホ姉さんにも相談できないことを話せる同い年の親友たち

ああ、これからは

メグに何が起こっても、みんなで上手くフォローしていけると思う

メグちゃんの方がオッケーならもう1人の子の方もオッケーだよね

ああ、愛の方も

オレが、そう言った瞬間寧は、あんという顔をする

え愛ちゃん

そうだよもう一人って、愛のことだろ

オレが、そう言うとクスクスとルナが笑い出す

兄さんは、さっきからずっと勘違いしています

愛ちゃんはもう大丈夫でしょこの何日か、たっぷりヨッちゃんに愛されたんだから

ええ、愛さんは今日のお昼の段階で、もう大丈夫だと思ったわよ

みんなの前ではっきりと自分の意見が言えるようになったんだからもう心配はいらないでしょ

それはその通りだけど

じゃあ、克子姉たちは誰のことを心配していたんだよ

イーディちゃんよ

ちゃんとイーディちゃんみんなとお友達になれた

あの子も頭が良すぎて、上手く他の子と繋がりが持ててなかったでしょミッちゃんも年下だし

それに、美智さんにはみすずさんという主がいるものね

暗殺教団で年下の子の世話をしていたから面倒見が良い

でも、美智とは仲良くしているけれどイーディが美智の相談を聞くことはあっても、逆は無い

イーディにも、何でも心を割って話のできる同い年の親友が必要だったんだ

イーディも大丈夫だと思うみんなに、自分が怖々みんなと接していることとかも話していたから

メグの心を開くために、自分の心の中の弱さを伝えた

年下の美智には、絶対にああいう話はしない

年上の人たちにも

イーディにとっても、あれは転機だったんだ

きっと変わるイーディだって

あいつらどんどん仲良くなっていくと思うよ

同い年同士で、みんな仲良くなる

克子姉は嬉しそうに笑った

メグのストーリーについては、これで決着にします

何度も何度もトライして、何とか決着させようとしてきたんですが

その度にこの子が、こんなことだけで落ち着くはずがないと

まるであれが最後のゴジラだとは思えないという、しぶとい子でした

今度こそは、決着です

これから先はメグがグズッても、愛や雪乃やイーディがフォローしますから

メグ自身も、愛に負けないように奮闘するでしょうし

愛編は、普通の子サイドの決着編なので

この次は、みすずたちの方のストーリーに移る予定です

愛の父親の件だけは、やってしまわないといけませんが

感想欄の返信をため込んでいて、申し訳ありません

昨日の時点で、12ページ分ありました

毎日、数ページずつ返信していきたいと思います

本当に、申し訳ありません

840.ハイ・ライフ / 不機嫌な王

それでどうなったのかね

ジッちゃんは、オレに尋ねた

香月家の本家邸宅ジッちゃんの読書室

オレたちは2人きりで、話をしていた

ああ、8時過ぎに予定通り愛のお父さんは帰ってきたよ

びっくりしていたのではないか

まあね愛が学校の友達を家に呼んで来ているのを見たのは、初めてだったらしいし

以前は母親の真琴さんが、愛を溺愛していたから

家の中は、母娘だけの世界で友達を呼ぶ空気なんかなかった

お父さんも、さすがに雪乃のことは知っていたから自分の家に雪乃が来ていることにも驚いていたよでも、雪乃は愛と同じ学校の生徒なんだから特に変なことじゃないし

克子くんや鷹倉家の娘たちのことは

克子姉は、真琴さんのカルチャーセンターの友達ってことでルナとコヨミちゃんは、克子姉の妹っていう設定ちょっと無理があるけれどその辺は、ルナとコヨミちゃんが

巫女の力で、誤魔化したのか

ジッちゃんは、フフっと笑う

まあねそんなに変なことじゃないって、思い込ませただけだよ

愛の父親には悪いけれど

結局落ち着いて話し合いをするためには、あの2人の力がどうしても必要だったし

感情が高ぶりすぎないかチェックすることと

もし、興奮し過ぎてヤバそうになったら力で沈静化させないといけないから

それで、みんなでちょっとしたホームパーティみたいな感じで、晩ご飯を食べたんだ愛のお父さんは喜んでいたよ愛が作った料理もあったし

あの家では今まで、家族揃っての食事は全然やってきていなかったみたいだった

愛と真琴さんだけが、一緒に食事を摂り

お父さんは、作り置きされたものを、後で1人で食べていたらしい

ヤッちゃんやイーディが、場を盛り上げてくれたしルナやコヨミちゃんも気を遣ってくれたし愛のお父さんは、アメリカに興味があるらしくて、イーディと色々と話していたし

決して、悪くない雰囲気での食事になった

食後に愛がパン・コースに移りたいっていう話を、自分でお父さんにして

愛の説明だと判りづらいだろうからオレたちが色々と補足しないといけないかと思ったけれど

父親は、あっさりと転科を認めただろう

ジッちゃんは、笑ってそう言う

そうだけれどどうして

その娘の応援のために、お前たちが家まで来てくれたと判れば全て、納得できるそれも1人や2人じゃないんだなかなか無いことだぞ自分の娘のために、何人もの人間が来てくれるなんて

オレ、メグ、寧、イーディ、雪乃か

それじゃあ愛のお父さんは、オレたちの顔を立てて、あの場では愛の転科を認めてくれたってこと

オレの問いに、ジッちゃんは

男親の中には男の子の進路については深刻に考えても、女の子の将来については何でも好きにすれば良いと鷹揚な態度な者もいる

何より父親からしてみたら、わざわざ自分に相談してくれたことが嬉しかったんじゃないのかそれも自分の帰宅をみんなで食事の支度をして、待っててくれたのだから

そうやって礼を尽くしてもらった以上は父親は、快く承諾したんだろう

父娘と言っても愛との関係は、限り無く希薄だったんだから

それが、初めて自分と向き合ってくれた

しかも、オレたちの眼の前で父親として、娘の相談に真摯に堪えないといけない

相変わらす、愛は言葉がゆっくりで話の内容が舌っ足らずでなかなか、何が言いたいのかは判りづらかったんだけどさでも愛がパン作りが上手くなりたいって本気で思っていることそれをキッカケにして、自分自身を変えていきたいって真剣に考えていることは伝わってきたから

だから愛の父親は、了解してくれたのだと思う

それから、真琴さんも家から出て、社会に出て仕事がしたいっていう話をして

愛の熱気に押されたのか、真琴さんも顔を真っ赤にして、一生懸命話していた

愛のお父さんは、むしろそっちの真琴さんの話の方を驚いていたけれど

結婚してからずっと主婦で、ほとんど外へ出ない人だったんだから

こっちは、克子姉がフォローしてとりあえず、渚の花屋でパートで働くという話にして渚の店のホームページとかも、見てももらってさ

幸いなことに、渚の店はネットでの評判も良い

変なお店でなく、きちんとしたお店で無理しない範囲で働くのなら構わないって、言ってもらえたんだよ

愛も真琴さんもちゃんと正しい形で許可を取ることができた

それで、そういう話が終わった後でオレたちはお屋敷に帰ったんだけどさ

愛と真琴さんと父親を残して

で、週末が終わってお父さんが赴任先の仙台へ帰った後に、また愛の家へ行ったんだけどさ

オレの話を、楽しそうにジッちゃんは聞いている

結局オレたちが帰った後で、家族3人でゆっくりと色んな話をしたんだってさその

ジッちゃんに話すべきか

いや、話しておこう

愛ももう、オレの家族なんだから

真琴さんが愛が、旦那さんの本当の娘じゃないことを告白して土下座して謝ったらしい

でも、旦那さんはやっぱり、知ってたんだってずっと前から愛が自分の娘じゃないことを

そうだろうな人はそんなに鈍感ではないからな

真琴さんが泣いて詫びて愛も泣いて離婚や、慰謝料の話までしたらしいけれど

男の方は、そんなことは望まなかったのだな

うん愛のお父さんは

愛のお父さんはホモ・セクシャルだったんだよ

学生時代から山登り友達に相手がいて

そういうことか

うん女性が愛せないからだけど、上司のお嬢さんとの縁談が来ちゃってさ断れないし

そういうこともあるな

そうなんだよそれで結婚して

真琴さんとセックスしたのは、新婚初夜だけだったという

そんな状態だったからさ真琴さんとの夫婦生活には、全然不満が無かったんだって愛が自分の娘でないことも気にしていなくて

むしろ、上司や自分の両親に対して子供がいるということで面目が立つと感じていたらしい

ほら、ホモ・セクシャルだから自分の子供が産まれることは、最初から諦めていたから愛みたいな可愛い娘が居ることは、むしろ嬉しかったって

日本じゃ、ホモ・カップルが養子をもらうとか無理だし

これからも、気にしないで今まで通り家族を続けていきたいって言ってくれたらしいよ

ジッちゃんは、うなづく

ただもし、真琴さんに他に好きな人ができたとしてもできれば、定年までは夫婦のままで居て欲しいってお願いされたらしいけれど

ああ、離婚すると経歴に傷がつく会社なんだな

ていうか独り身になると色々と厄介な仕事ばかり押し付けられる会社らしいよアフリカとか中東の国に、数年の予定で赴任とか

奥さんと子供が居ると厳しい現場には送り込まれないんだって

だから、このまま偽装夫婦を続けさせてくれというのも

でも、まあそういうことなんだよな

子孫ができなくても構わないというのは、私の理解の外だがそういう人間もいるのだろう世の中は広いからな

いや、むしろその方が伝統的なのかもしれん血の繋がらない娘でも自分の墓の世話をしてくれるのなら

日本は家というものを尊ぶがなこの家とは、血の繋がりではない自分の本当の子供でなくとも先祖代々の墓を供養をしてくれる人間が残ってくれれば、それで良いということになっている

日本では、先祖の供養を誰もしなくなることが一番の罪なのだよ古事記にあったと思うぞ疫病が蔓延したので占ってみたら、誰にも供養されない霊の仕業だと判ったそれで、慌てて子孫を探して供養をさせたら、疫病が鎮まったとか

歌舞伎などには、まだこの考えは続いている今の団十郎家は、江戸時代からの団十郎家とは血が繋がっていない

えそんなのアリなの

だが、団十郎家の芸を引き継ぎ先祖の供養も引き継いでいるそれが家を継ぐということなんだ

オレは、ふと吉田の家のことを考える

オレはもう、戸籍上は吉田の家の子供ではない

オレの父親や母親あの人たちもいつか死ぬのだろう

その後、誰があの人たちの葬式や、お墓の世話をするんだろうか

黒森の子になったんだ

ミナホ姉さんは、子供を産めない身体だから

黒森家のお墓は、オレが守っていかないといけない

吉田の家のことを考えている余裕は無い

バァちゃんのお墓は、今どうなっているんだろう

オレは墓参りをしていない

で、とりあえずその愛という娘の家については、何の問題もないのだな

ジッちゃんの言葉で、オレは現実に引き戻された

あ、うん問題無いよ今は、愛も真琴さんもほとんどお屋敷に居るけれど週末だけは、家に戻って今度は、お父さんの相手の人とも会うらしいよ

そうか一応、調査はさせておくぞ

何が問題の起点となるか判らないからなホモのカップルがケンカしたことがキッカケで、みすずや瑠璃子にまで飛び火しては困る

そうなんだ香月家の影響力は、大きすぎる

お屋敷に居るということは、みすずたちとも親しくするということなんだから

愛のお父さんが原因で、おかしなスキャンダルに発展する可能性もある

うむよく、率直に話してくれた感謝するこれからもどうしても話したくないことは構わないが、できる限り私に話してくれ

ジッちゃんは、オレにそう言う

香月家を守るためには仕方のないことなんだろう

オレが気付かないような問題でも、ジッちゃんなら判るんだろうし

オレも、ジッちゃんには何でも話しておかないといけないと思っている

それが、オレの義務だと

愛や真琴さんのプライベートなことまで話さないといけないのは、とても心苦しいけれど

ジッちゃん香月家との関係は、オレたちの生命線だから

特にお前が、新しく抱いた女たちのことは、詳しく話せよ

ジッちゃんはニヤッと笑う

私自身の楽しみのためにもな

そして、小さく溜息を吐く

お前も知っての通り私は老齢過ぎて、もうセックスはできないからな正直、お前が羨ましいよ

ごめん、ジッちゃん

そういうことは、考えていなかった

病気で点滴して、何日も食事しないで安静にしている人の前で美味しい大盛りラーメンの話をするようなもんだよな

何を謝る気にせずに、もっと奔放になれますます、私を羨ましがらせろ私はこれからも、お前から艶っぽい話を聞きたいぞエロティックな体験談をなそれが、私にとっては最高の若返りの薬となる

口惜しいとか、羨ましいという気持ちも人生にとっては大切なスパイスだ特に、高齢者にとってはな

何もかも諦めて枯れてしまうよりコンチクショウメと罵りの言葉を吐く方が、よほど健康的だ

この老人はまったく

オレと瑠璃子のセックス映像はあいかわらず、盗み見しているんだろ

当たり前だ瑠璃子は、なかなか良い表情をするようになったな

これだ

だが、私だったら20代の私だったら、もっともっと瑠璃子をよがらせることができたと思うぞ

オレはまだ10代だよ

なら、仕方ないかふふふふふっ

楽しそうに笑うジッちゃん

何にせよこれからも、瑠璃子を可愛がってやってくれ頼むぞ

ジッちゃんの瑠璃子に対する愛情は、屈折し過ぎている

みすずのことはいいの

馬鹿を言えみすずたちのことはわざわざ口に出して、お前に頼むことではないだろう

瑠璃子のことだけジッちゃんは、オレに頭を下げるのだ

さてとお前の方の近況報告は、それで終わりだな

ジッちゃんは、話を変える

ああ、そうだけど

では、今日の話をしようちょっと待ってくれ

ジッちゃんは、傍らのインターフォンを押す

この声は翔姉ちゃんだ

今はどうなっている

お客様は、7割方到着なさってますわ

客の相手は

美子様と瑠璃子様がなさっています

みすずはどうした

閣下のご指示を待たれています

ああこの部屋の脇に控えているのか

はい、そのようでございます

ではこの部屋に通せ良信との話は終わった

ジッちゃんは、インターフォンを切る

みすずめ私の指示待ちと言うが、実際はお前のことが心配なんだろう

オレは愛たちのことをジッちゃんに報告するために

ジッちゃんと、2人きりでの対話を希望したから

やっぱりみすずたちには、愛や真琴さんの個人的な話は聞かせてはいけないと思うし

ドアが、ノックされた

もう来たか入れ

ガチャッとドアが開きパーティ・ドレス姿のみすずが入って来た

お話は、お済みですか

みすずは、穏やかな笑顔で尋ねる

ああ、今、終わったところだ中庭の方はどうなっている

今日は、良いお天気ですし風もありませんガーデン・パーティには最適ですわ

そう今日は、この香月家の本家の屋敷で

みすずと瑠璃子主催のガーデン・パーティがある

もう7割方客が揃っていると聞いたが

良い人材はいそうかね

それは、翔お姉様や谷沢さんそれに美智が、1人1人チェックしていますわ

今日はみすずたちの超・お嬢様学園の女生徒たちを招待している

それも、学校に私的な警護役を連れてきている子だけ

つまり、お嬢様中のお嬢様だ

当然、警護役も一緒だ

もっともあちらはあちらで、あたしたちの警備態勢を値踏みしていらっしゃるおつもりのようですけれど

今回は学校内での警護が連携できるように

それぞれの主人と警護役を交えた親睦会ということになっている

ゲストが、翔姉ちゃんとレイちゃんで

香月セキュリティ・サービスの警護体勢についてのレクチャーもある

まあ主たちの方は、半分が麗華お姉様とお話がしてみたくていらしたみたいですけれど

レイちゃんは、香月セキュリティ・サービスの広告塔として、テレビにも出ているから

元々、麗しき男装の美女だからファンが多い

みすずや瑠璃子の警護で、学校への送迎を担当することもあるからお嬢様たちの中には、レイちゃんと親しくなりたいと思っている子もいるんだろう

藤宮くんを自分の担当の警護人にしたいと言い出す者も現れるんじゃないのか

それは今、担当なさっている警護の方が、嫌な顔をなさるでしょうから

ああ、ご主人様に連れて来られて気分を悪くしている警護人もいるのか

そうだよな、自分は自分のやり方で主人を守っているのに

今更、香月セキュリティ・サービスのレクチャーを受けるとかそういうのを嫌がる人もいるだろう

警護人なんて、一匹狼な性格の人が多いと思うし

私は最初に一度だけ顔を出す

機嫌の悪い連中も私の顔を見れば、気持ちを入れ替えるだろう

わざわざ、香月家の当主が顔を出すのだから

ジッちゃんの価値は、それほどまでに高い

ところで良信

私は普段、人に会うときは、できる限り不機嫌な顔をすることにしているそして、尊大で傲慢で誰の話も聞かないような嫌な人間を演じるのだ

オレと2人きりで話すときは、陽気でいつも笑っているのに

いや確かに、ジッちゃんは、人前じゃもの凄く偉そうにしているけれどさ

あれってホントに偉いからなんじゃないの

オレの答えに、ジッちゃんは苦々しく微笑む

私は自分自身を偉いとは思っておらんよ

わざわざ偉そうで、不機嫌な態度を取るんだ

まるで自分から相手に嫌われようとしているみたいじゃないか

するとジッちゃんは

その通りだ私はできる限り、初対面の人間に嫌われるように振る舞うのだよ

香月家当主の業ですわね

私が誰か初対面の人間に会うとするたまたま、私はその日、上機嫌だっただから、初めて会った人間にも優しく、丁寧に、明るく応対したとする

あくまでもたまたま、その日の私の機嫌が良かっただけのことだしかし、その時の印象が彼の心に残る

ああ、ジッちゃんは明るくて優しい人間だと、思い込むんだ

そして、人に吹聴する香月家の当主に会ったが、なかなか明るい人間だったよとかな

だが、その人間と次に会った時たまたま、私が不機嫌だったとするその人間とは関係の無いことが原因でな

そういうこともあるよな

しかし、その人間からすればこの前、会った時はあんなに明るく、優しい人間だったのに一体何が起きたんだと疑心暗鬼になる自分や自分の会社が、私に嫌われたとか勘違いをしてな

そして、また吹聴する香月の当主に嫌われたから、私の会社はもうお終いだとかそして、良からぬ噂が巷を駆け抜けあちこちに影響する株価が上がったり、下がったり関係の無い会社が、経営危機になったりな

ジッちゃんの影響力ってそこまであるのか

一番困るのは自意識過剰な連中だ私に一度会っただけで私は香月家の当主と仲が良いあの人は、私のことを高く評価しているなとど自己アピールに使おうとする輩もいる

一度会っただけでジッちゃんのお気に入りになったと、他の人たちに言いまくるのだ

もちろん、そういう輩には抗議する君のことなど、評価はしていないと公衆の面前で言ってやったこともあるだが、ああいう連中はね

こちらが、そういう対応をしても香月の当主が手の平返しをしたこの前は、あんなに評価してくれたのに何て尊大で身勝手な人間なんだろうと、私のことを悪く言うのだよ

そんな連中もいるのか

人間性を悪く言われるのは構わんが態度や意見をコロコロと変える人間だと思われるのは困る香月グループの信用に関わるからなだから、私は最初から、尊大で傲慢で我が儘でいつも不機嫌な人間でいることにしたのだよ

でも、そういうんじゃみんな怖がって、近付いてこられないじゃないか

ああだが、仕方ない嘘吐きや、馬鹿や、ドロボウを寄せ付けないためには常にそういう怖面の人間でいないとならないのだよ

なかなか大変なんだな

ホントお祖父様が、外ではずっと怖い顔をなさっていらっしゃいますものね

オレやアニエスなんかの前では笑ったりして、楽しそうなのに

そりゃ身内の前なら、そんな芝居はせずに済むからな

この後もみすずたちの学校の可愛らしいお嬢さんたちの前で、苦虫を噛みつぶしたような顔をしなくてはならん

ああ女の子たちの前でも、そうしないといけないのか

男よりも女の方が余計に気を遣うよ私が、どこかの名家のお嬢さんと、ニコニコしながら会話したりすれば

家によってはその娘をお祖父様の愛人に差し出してきますわね

そうなるとな断るのも、その娘に失礼だしななかなか、面倒なことになるのだよ

だから、お祖父様はずっと、黒森の娼館に通っていらっしゃったのですね

ああ、高級娼館の女なら後腐れが無いからな

とにかく変な話にならないようにするためには、不機嫌であり続けないといけない可愛い娘でも、冷たくあしらう興味を全く示さないそれが大事だ

うーん当主は大変なんだなあ

判ったな、良信

旦那様もあたしの相手、黒森公としてパーティに出席していただきますから

あもしかして、オレも

常に不機嫌に尊大で、傲慢で、我が儘な態度だぞ

ジッちゃんは、そうオレに命じた

新章突入、今度は香月家サイドです

ミクロマンの新商品が出るらしいのですが

1体3500円マジっすか

いや、昔の大きさのままのミクロマンなのに

だって、ミクロマンて35年前は400円くらいだったのに

10年くらい前のだって、1000円ぐらいだったばずなんですけれど

中国の人件費の高騰で、オモチャは全部値上がりしています

値段を抑えているのは、最大大手のB社ぐらいです

お金持ちのマニアしか買わない物になると、先細るだけなんですけれどね

841.ハイ・ライフ / 職業としての仕事

そんなこと言われてもさ

オレ尊大な態度とか

だってみんな名家のお嬢様たちなんだろ

オレがエラソーな態度とかしていたら失礼なんじゃ

取りあえず、旦那様これをかけて下さい

みすずが、サングラスを取り出す

公式の黒森公はメガネをかけているということに致しますから

ああサングラスでもすれば、オレのマヌケな顔を少しは誤魔化せるか

濃いサングラスは、相手に視線を気取られず済む

ただし目下の人間の前だけでかけろ特に、対等な立場の人間との駆け引きの場では、絶対にサングラスはするな

サングラスをしていれば、心を隠していると思われる真剣勝負の場で心を隠そうとするのは、余裕の無い証拠だナメられるぞ

今は良い名家の娘たちには、お前が自分たちのことなど少しも関心が無い完全に無視していると思い込ませられるからな

オレはみすずのくれたサングラスをかける

このサングラスはみすずの趣味か

いいえ翔お姉様です

あたしの選んだサングラスは、他の皆さん全員に却下されました

相変わらずみすずはオレに関する物についてだけは、趣味が変わっている

あたしはもっとワイルドなサングラスの方が良いと思ったのですが、みなさんエレガントな方が良いと

うむこれで良いと私も思う

ジッちゃんもそう言うんだからワイルドは控えてくれ、みすず

今日のスーツにも合っているそのスーツは例の店で作ったのか

ああ、ジッちゃんが教えてくれたお店で作ってもらったよ

香月家関連の行事の時用にオーダー・メイドのスーツを作れとジッちゃんに言われた

店も教えてもらって全身、寸法を測られて仮縫いとかも何度もして

克子姉のオレ用に直してくれたスーツも気に入っているけれどあれは元は、ミナホ姉さんのお祖父さんのスーツだし

これ以上、形見のスーツをもらうのは悪いから腹を括って新調した

どうだ、自分の体型にぴったりと合ったスーツは着心地がいいだろう

うん何かすごく軽くて、動くやすいし、疲れないんだよこのスーツ

ホントさすがプロの技は凄い

生地は、あたしと瑠璃子と克子お姉様で決めました

スーツの生地のこととか、色や柄がどうとかオレには判らないから

一緒に店まで付いて来てもらって決めた

美智もいたけれど、一言も喋らなかった

まあ美智も24時間ずっと制服しか着てない子だし

あんまりファッションのことは判らないみたいだから

これはあたしの意見も聞いていただきました

うむ、少し派手で艶っぽい生地だが良信は若いのだし、今日はビジネスの場ではないまあ、いいだろう

落ち着いた席のためのスーツも、作りましたわそちらはあたしの意見は採用されませんでしたが

残念そうに、みすずは言う

克子くんの見立てなら問題はあるまい彼女の顧客には、私を始めたくさんの洒落者がいたからね良い生地、良い仕立てをたくさん見てきているお前や瑠璃子よりも、眼が肥えているよ

ジッちゃんは、そう言ってクククと笑った

さてでは、貴婦人たちのいる中庭へ行くとしようか

ジッちゃんは、立ち上がる

おう、そうだ良信いや、今からは黒森くんと呼ぶべきだな

オレを見て笑う

さっきも言った通り、私は公の場では権威のある人間として振る舞わないといけないだから、悪いが私に少しは気を遣ってくれよ

オレだって、そこまでバカではない

オレもジッちゃんじゃなくて、閣下って呼んだ方がいいんだろ

そこは、お前お祖父様と呼ぶべきだろう

みすずとの仲を許していることは、皆に知られているんだ身内に閣下などと呼ばせていると思われたら、私の人格が疑われてしまう

判ったじゃあ、お祖父様で

おう頼むぞ

ニヤッと、ジッちゃんは言う

呼び方は、それでいいが奉ってくれよ私は香月家の当主で権力者なのだから

みすずや瑠璃子の友人たちが挨拶しに来るだろうが、私が挨拶するまではお前は何もするな私の顔が潰れる

ああ、偉い人から順番てこと

当たり前だお前は、近付いて来た女の子たちの顔を見るのもダメだからな眼が合ったら、何かしら挨拶しないといけないだろ

私と遠くから、女の子たちを眺めるのはいいだが、しげしげ見るのはダメだし、挨拶するまでは眼を合わすな絶対にだぞいいな

なかなか、大変だな

でも、しょうがないジッちゃんに恥ずかしい思いをさせるわけにはいかないんだから

私が話をしている時は、私の顔だけを見ていろよそ見をするな真面目に聞いていろいいな

では参ろうか

廊下に出ると大徳さんと張本さんが待っていた

この2人の専任警護人は、とにかく身体が大きい見ただけでも、強さが判る

ジッちゃんが2人に何も言わなくとも、ススッと後ろから付いてきてくれた

ああ、そうだ私には自由に話し掛けて良いからな女の子たちに、お前が緊張しすぎて何も話せなくなっていると思われるのはシャクだろ

ああ、オレもジッちゃんの横に控えていて、何か言われた時だけ答えるとかじゃないんだ

お前は身内だと言ったろそんなにシャチホコ張ったままの身内がいるかそういうことは普通でいいんだただし、周りにバカだと思われそうな会話はするなよ

えっと頑張るよ

だって、オレはバカだからバカなことを言ってしまいそうだよな

だから、ずっと黙ったまんまでいる方が良いんだろうけれど

ジッちゃんは、普通に会話をしろって言うし

中庭の皆さんは全員、耳をそばだててお祖父様と旦那様のなさっている会話を聞こうとすると思いますわ

女の子はみんな、聞き耳を立てるのが大好きですから

そういうのはお嬢様も、オレのクラスの子たちも変わらないか

旦那様こちらです

オレたちは、そのまま中庭に面する2階のテラスに出る

しかし、ホント広くて、古くて、立派な屋敷だ

だけどこの建物でも、香月家本家の敷地内では、3番目に古いもので昭和の中頃の建築だっけ

向こうには、明治に建てられた洋館があるらしい

そっちは建物が貴重すぎるのと、生活しずらいので今では、特別な行事の時以外は使用しないで保存しているらしい

暖房が、暖炉と薪で煙突が各部屋に繋がっているっていうんだから

窓ガラスの一部は、明治時代のステンドグラスで現在では、再現することができないって言うし

歴史ある建物は美しいが住むにはな冷暖房のシステムが完備する前の時代の設計はどうしたって夏は暑いし、冬は寒いのだよ夏場に風通しがよくなることを優先するからな従って、後からクーラーを付けても冷気が逃げる冷えにくい冬は、外の冷気が入り込んで来る

暮らすのなら、新しい家の方が良い

というわけでジッちゃんは、普段は平成になってから建てた別の棟に住んでいるそこは広くて、冷暖房完備で、広いお風呂もある瑠璃子や美子さんが暮らしていたのも、そっちだ

もっともパーティをするのなら、こっちの古い建物の方が趣があるがな

それで今日のガーデンパーティは、この昭和館の中庭ということになった

なるほど随分、集まって来ているな

テラスの柵まで近寄って、ジッちゃんは下の中庭を見下ろす

ああ、10人くらいのパーティドレスの美少女たちが白い椅子に座って、楽しそうに歓談している

そして、それぞれの脇には警護の少女たちが控えている

直接警護する少女警護人以外は中庭の外で待機していただくことになっていますわもちろん、香月セキュリティ・サービスの皆さんも

ああお付きの警護の少女以外に

男の警護員を連れて来ている子もいるんだな

これはあたしたちの親睦会ですし香月セキュリティ・サービス・トップエリートの翔お姉様、麗華お姉様にレクチャーしていただく場ですから、他社の警護の方はご遠慮していただきました

そうか商売敵に、香月セキュリティ・サービスのやり方を教えるわけにはいかないもんな

ふむまあ、いいだろう

ジッちゃんは、少女たちを見る

どこの家の娘たちも皆、美しいだろそう思わないか

確かに名家のお嬢様たちは、みんな顔も綺麗だしスタイルも良い

どうしてってお嬢様だからだろ

だから、何でお嬢様だと美人ばかりになるんだね

良い家の人は美人と結婚するとか

一か八か、そう答えてみる

まあ、そういうことだ金持ちや権力者だって女は綺麗な方が好きだからな綺麗な女に子供を産ませれば、生まれてくる子供には美しい遺伝子が備わるそういうことを何代も重ねてみろどんどん母親側から美の遺伝子が足されて、やがては美人ばかり生まれてくる家系になる

みすずや瑠璃子や美子さんも美しい

もちろん、家同士の結びつきを強くするため他家の娘を嫁にもらうことも多いがなあに、そういう家だってどこかの代で美しい女を娶っているんだよ昔は、正妻に子が産まれずに美しい妾の産んだ子が、家督を相続するケースも多かったしな

名家というものは美女の遺伝子を溜め込んでいくものなのか

あそこにいる少女たちは、ただの令嬢ではない成り上がり者の娘は1人もいないみんな、何代にも渡ってこの国の上流階級の中で生きてきたホンモノの名家の娘たちということだ

だから、皆あんなに美しい

オレは、もう一度少女たちの姿を見ようとするが

まあ香月様がいらっしゃいましたわ

ああ、閣下

あ2階のテラスから見下ろしているオレたちに、彼女たちが気付いた

さきほどまで楽しそうに歓談していた声が、シンと鎮まる

ジッちゃんの出現に、中庭全体が緊張していた

彼女たちと視線を合わすなよ

ジッちゃんにもう一度、小声でクギを刺された

さあ、行きましょう旦那様

みすずが先頭に立ちオレ、ジッちゃん、大徳さんと張本さん

オレたちはテラスの脇の白い石の階段を中庭に向かって下りていく

中庭の少女たちは、息を呑んでオレたちを見上げている

オレ緊張してきちゃったぞ

愛なら自分にしゃっふると呪文を唱えているような緊迫感だ

おお、そうだ黒森くん

階段を下りながら、ジッちゃんが大きな声で言った

黒森くんが克子くんとしていたという仕事についての話を、この間、君のお姉さんから聞かせてもらったよ

えオレと克子姉の話

仕事についての話だプロは失敗してはいけないという

ああもしかして、パンのことか

オレが、勝手に焼き方を変更して克子姉に叱られた

あの会話をミナホ姉さんが盗聴していて、ジッちゃんに話した

ああお客さんにはいつも、同じ品質で同じものを提供しないといけないから失敗したものを売るのは、お客さんの信頼を損ねるだろだからオレは、失敗するわけにはいかないんだ

うむ業務としての商品管理という意味においては、その通りだ私たちは、どんなものであろうとダメな物を販売してはいけないそれは、そうなんだが

すでにオレたちは階段を下りきって、中庭に下りている

だが、職業として仕事をするということと業務として失敗をしてはいけないということについては、これはなかなか難しい問題でな

降りて来たオレとジッちゃんに各名家のお嬢様たちも警護役の少女たちも、注目している

中には席を立ってジッちゃんに挨拶しに来ようととている子もいる

職業と仕事ということについて私は最近よく考えるのだよ

ジッちゃんは、そんな少女たちを全て無視して空いているガーデンテーブルの椅子に座った

まあ、黒森くんも座り給え

オレも少女たちの視線を浴びたまま、椅子に座る

みすずは、ジッちゃんの横に立ったままだ

ススッとごく自然に、瑠璃子だけが笑顔でやって来る

お祖父様と黒森様は大事なお話の途中ですから

はいでは、いつものように

瑠璃子は笑顔で、答えた

ええ、いつものようにお願いするわ瑠璃子

公の場だから瑠璃子はみすずをお姉様と呼んだ

中庭の少女たちは、オレたちに注目したままだ

みんな黙ってこっちを伺っている

さて黒森くん君はこの世には絶対に失敗してはいけない仕事というものが、あると思うかね

それはあると思うよ

例えば、シザーリオ・ヴァイオラとの闘いみたいな

失敗したら、みんなが死んでしまうみたいな負けられないこともある

その通りだそういう類いのことは確かにある特に、人の生死を直接扱う職業医師や、救急隊員、消防士、警察官、それと軍人などの場合に

だが、ここではそういった特殊な職業に関しては脇に置いておく一般論として、普通の職業について考えてみよう

ジッちゃんは、オレの眼だけを見て話し始める

例えば職業としてやっている仕事においては、これは絶対に失敗できない、これを失敗したら、クビにされてしまうというようなものは、どれだけあるのだろうか

まあ無いわけではない会社の運命を決めるような、大きなプロジェクトというのはあるからなだがそれは本当に失敗してはいけないものなのか失敗したら、クビになってしまうものなのか

結論を先に言うとどんな仕事だろうと、それが職業として成立しているものならばある程度までの失敗は許されるまあ、降格されたり、出世が止まることはあるかもしれないがなかなかクビになるところまではいかないよましてや、死んでお詫びしないといけないようなコトには、そうは陥らない

失敗が許される

簡単にクビにはならない

企業の正社員だったら、まあそうだよほどの大きな損失を出さない限り失敗した社員がクビになることはない

えっと、よほどの大きな損失てどれくらいのこと

それは会社の屋台骨に関わるかどうかにような深刻な場合のみだ普通の会社ならな大きな会社なら、数億の損失を出したってクビにならないケースもある逆に、小さな会社なら、100万円単位でも経営が傾く失敗した本人が、腹を切って辞めなくてはならなくなることもあるまた金額の問題ではない場合もある会社と会社、人と人の信頼を壊した場合などは、懲戒解雇しなくてはいけないこともある

だが、よほどのことでない限り企業は正社員を解雇しない労働組合もうるさいし、法も労働者を守るしな

何よりその程度のミスやトラブルは、日常的に起きているからだ社員のミスやトラブルで誰かの何らかの失敗で会社に不利益が出るそういうことは、よくある実に良くあるそんなことで社員を一々クビにしていたらそれこそ働いてくれる人材がいなくなってしまう

ミスして、頭を下げてそういう失敗体験を重ねて、社員は成長するものだしな失敗を恐れていたら、創造的な仕事は、何もできなくなるよ

私は職業として行っている仕事には、失敗は付きものだと思っているというより、いつも成功するとは限らないものなんだと思うだから、私は部下に成功するように頑張れとは言うが失敗するなとは言わないそういう言葉は、部下を萎縮させるだけだそうなったらどんなものも冒険のない創造性に欠けた仕事になってしまう

人はいつかどこかで失敗する一度も失敗しない人間なんていないんだそれは判るよな

だからこそなるべく失敗しないように、できる限り努力するそれでも失敗したら、苦笑いするしかないがそういうこともあるということは、頭の中に置いておかなければならない

そっか絶対に成功する失敗はできないっていう人だと、失敗した後のことまでは考えていないんだ

そういうことだ成功至上主義の人間は常に背水の陣だからな心にも、余裕が持てない

最初から失敗の可能性も考えていたら心がカツカツにはならないのか

覚えておけそれがどんな物でも、職業として成立しているものならば、多少の失敗は許されるんだ逆に、1度の失敗でダメになるものは仕事であっても職業ではない

ジッちゃんは、真顔でそう言った

例えばF1レースのレーサーがいるとするだろ職業としてレーサーとして認められている人間なら、1年ぐらい成績がパッとしていなくても翌年もレーサーでいられるすでに、レーサーとしての実績を上げ、能力が認められているからだ

ああ、1回でもチャンピオンになったことのある人は

成績の悪い年があっても、車の性能が悪かったのかなとか思われて次の年も、F1に出られる

1年だけレースには出たが、翌年にはどこのチームとも契約できなかったとしたらその人間は、F1レーサーだったとは言えても、職業としてF1レーサーをやっていたとは言えないと私は思う

職業として

1度きりでダメになるあるいは1年だけしか続けられなかった失敗は許されないそういう、厳しい仕事は職業ではないんだよ多少の失敗をしても、ずっと続けていかれるものこそが職業なんだ

克子くんの話は正しいだが、足りていない例えばパン屋を例にして話すと

パン屋はオレの仕事だ

昨日は、いつも通りパンが焼けて客に売れたしかし、今日は何らかのトラブルで例えば、いつも使っている高級な素材が手に入らなかった下働きの人数が確保できなかったまあ、色々あるそれで、いつもとは違うパンしか作れなかった

そんなことが現実に起こるだろう起こらないはずがないんだ予想もできないトラブルは常に起きる本当に信じられないような、突拍子のないことが起きる

避けられない失敗もある

いつも通り、いつもの味のパンを売るということは理想だそうであるべきだし、そうでなくてはいけないしかし、いつもそうできるわけではない

絶対は無い

だが、もしそのパン屋が職業として成立していたら客に認知していたら1日ぐらい味が落ちても、取り返せるそういうものなんだ

オレや克子姉のパンが美味しいものだと判ってもらえていたら

1日、どうしようもない理由でダメなパンを売ってしまったとしても

信頼が完全に地に堕ちることは無い

そこからまた取り返せる

いや取り返すしかない

失敗を恐れるなという言葉の意味は、もちろん失敗してもいいということではない失敗はやって来るんだよいずれにしてもだからこそ、失敗したとしても、自分の仕事を立て直すことができるように常に考えておくべきだ特に、自分と顧客の関係を

職業として何かをするということはずっと顧客がいるということだからな

うーん、大きな企業ほど新人研修とかあってミスに寛容な気がする

ブラック企業は、入った当日でもベテランと同じくらい仕事に精通していないと怒鳴られる

もちろん、新人に判るわけがないから怒鳴られる

ホント、陰惨ですよねその内に、また世話になるかもしれないけれど

前に働いていた現場に、インドの人がやって来て

初日に正社員に何でできねーんだ、コラと怒鳴られたら

入った初日からできるわけねーだろコラァと言い換えされていたのが面白かったです

日本人は、大人しすぎるみたいです

842.ハイ・ライフ / 雇用と経営

なぜ、私が君にこのような話をしたか判るかね

ジッちゃんの話は続く

それは、君の学習が新しい段階へ進んだからだ

オレが進んだ

今までの君は、克子くんの下でつまり、組織の一番下に位置していた

そうだ克子姉が指示を出して、オレがパンを作る

寧や可奈センパイたちは、あくまでも売り子だけを手伝ってくれていただけで

パン・コースの生徒として、工房で正式に実習を受けているのはオレだけだった

だがこれからは違う

うん愛がパン・コースに転科してきたから

新しく入って来た人材は、君と同い年だそうだが君は職場の先輩ということになる

ジッちゃんは、オレを見てフフと笑う

克子くんだけでなく、君もまたその新人を指導しなくてはいけない

実際、すでにオレは愛にパン作りのことを色々と教えている

他人を指導してみてどう感じた

自分が前に習っていて、もう充分判っていると思っていたことも人に説明してみると、新たな発見があったりああ、こういう理由でこうしているんだとか今まで以上に、仕事のことが判るようになった

感覚的に理解していたことも、人に話すためには理論的な言葉に変換しないといけないから

特に、愛のゆっくりとした思考スピードに合わせて、説明すると

判っていたはずのことが、ホントはもっと深い意味があったこととかまで、ハッと気付くことができた

そうだ人に説明し、教えるということは自分自身にとっても作業内容の再確認となるそれはとっても大切なことだ

克子くんと君の事業は君たち2人だけでは成立しない

オレと克子姉のパン屋は2人だけではできない

今だって売り子は寧たちに助けてもらっているし

50円安い方のパンは、マナやアニエスたちが作っている

いずれは誰かを雇っていかなくてはいかなくなるしかも、その人間は君たちの事業を行うために必要な技術や経験は持っていないかもしれないいや、大抵の場合はそうだろう

パン屋で働いた経験があって、すでにパンを作ったり焼いたりできる人がオレと克子姉の店に来てくれるとは限らない

確かに、オレたちが今、従業員を募集したら今までパンを一度も作ったことのない人の方が多いだろう

君は事業を継続していく限りは、ずっと雇用者を指導していくしかないのだよ10年も20年も、ずっと君の下で働いてくれる人材ばかりではないからな

ああパン屋なんて、アルバイトの子とかどんどん変わるよな

進学や就職で、オレたちのパン屋では働けなくなるとか

違う街に引っ越すとか

もっと、単純に他の仕事をすることになったとか

オレのことがどうしても気にくわなくて、辞めたいという人だって出て来るだろう

私の企業グループだって、そうだ毎年、新入社員が入って来て毎年、新人研修がある企業が存続する限り指導は続けなくてはならない

パン屋をやるのなら10年後も、20年後もオレは新しく入って来てくれた人に、パンのことを指導していかないといけないのか

君はそういう意識を、今から持っていなくてはならん

愛にパン作りを教えるということは

オレと愛との密接な関係とは関係無しに

オレが、今後パン屋としてやっていく時に、新人の子にどう指導していくかの練習だと思わなくてはいけない

君は経営者になるんだからな雇用者でなく

ジッちゃんは、真顔でオレを見る

雇用者は経営者側とこういう業務をすると契約で取り決めたことをするのが仕事だからなどのような仕事を、どのような手順で、どう進めるかは経営者側の決めることだつまり君が考えるんだ雇用者に何をしてもらいたいかを君が決め実際に、その通りに作業が進むように君が指導する

働いてくれる人に何をしてもらうか

どうやったら、オレが望むようにみんな働いてくれるようになるか

全部、オレが考え指導しないといけない

もちろん、実際に現場で働いている雇用者からどうやった方が効率的か意見を聞くことはできるだろうだが、雇用者の意見はあくまでも意見だ決めるのは、君だ経営者には、責任を持つ義務がある

経営者の責任

それで上手くいかなかったら、君のせいだ作業が滞るかもしれない、雇用者たちが不満を感じて辞めていくかもしれない特に、君の要求する作業が対価に見合わないと感じたらな

対価賃金お金

いや、金だけではないぞ情熱を持って一生懸命やるのに相応しい仕事だと感じたら、雇用者たちは少々賃金が低くても働いてくれることもある少々ならな何とか食っていける範囲ならということだ生活が成立できないのなら、どんな魅力的な仕事でもやる人間はいない死んでしまうからな

ああ、タダでもいいから働きたいなんて人は実際にはいないのか

そういうバカは、たまにいるだがそういうやつらは、生活に逼迫してはおらんからなだから、そんなバカなことを言うんだ明日の食事にも困る人間が特に子供のいる人間が、タダでもいいから働きたいなど言うはずがないもし、そんなことを言ったらそれは狂人だよ

この世には、タダで働く人間はいないいては、ならない労働には、必ず対価がなくてはいけないだからこそ対価を求めない社会活動としてのボランティアは、貴い行為となるのだ

でも落語家さんとかのお弟子さんとか、タダ働きだって聞いたことがあるけれど

うむそういう昔からある弟子とか、江戸時代の商家の丁稚奉公は給金が出なかったたまに、師匠や主人から小遣い程度はもらえるが

やっぱり、タダ働きだったんだ

だが、その代わり最低限の衣食住は、保証されていた腹一杯は食えんが、飢えることはない寝る場所もある着る物だって与えられる

衣食住の保証

奴隷ではないということだよ必要最低限の物は与えられなければならない

だから、誰かの弟子となるとか、商家の丁稚になるということは何とか食うには困らない確実に生きていけるということを意味していたのだそれは、明治より前の近代社会においては、実に大きな意味のあることだぞ

ああ飢え死にするということが、ありえた時代なら

逆を言うと寄席芸人が弟子を1人取るということは、その男には弟子を1人食わせるだけの力があるということだ自分の衣食住にもことかく師匠が、弟子を取ることはありえないし許されないのだよそれが本来の師匠と弟子との関係だ

最低限の衣食住は保証するから弟子にタダ働きを求めることができるのか

そして弟子は、ほぼ24時間師匠に付き添い寄席の中で働く他の仕事はしない師匠や他の芸人の芸を見て自分の芸を磨くやがて、師匠の前座をするようになりそこから、賃金が発生する最初は寄席が開いたばかりの早い時間の出演だ客もほとんどいないそして芸が評価されるようになれば、少しずつ遅い時間に出演するようになる給金も上がり、やがては師匠の元から独り立ちしていく

それがかつての寄席芸人か

だから、最近の演芸の仕事が無い時は、アルバイトして食っている芸人が居るというのは、私には理解ができないね彼らの師匠は、なぜ衣食住を保証してやらないのだろうか飢えないだけマシ、着る物があるだけマシ、寝起きするのが外でないだけマシというような若者は、現代ではもういないのかもしれないが

それ以前に師匠がいない芸人がたくさんいる

だが、どんな仕事もその仕事の現場に長くいて、経験を積むことが一番大切なはずなのだがアルバイトをどれだけやっても、芸が上達すると思えんどこまでいっても、学生の芸人ゴッコの延長にしかならないと私は思うよ

まあ、いい話を戻そうとにかくこの世に、何の見返りも無くタダ働きしてくれる人はいないだが、最低限の衣食住さえ保証されていれば何とか堪えて働くという人たちはいる

世に言うブラック企業というのはそこの見極めが上手いのだろう本当にギリギリ生きていける賃金や労働環境を見極める生かさず殺さずの瀬戸際で、雇用者を酷使するのだな

でも確か、会社の人が無理して働いて死んでしまったところもあったろ

そういう企業は、もはや企業ですらない雇用者を生かすのが企業だ自分の会社で働いてくれる人材を死なせてしまうのは恥だ

そもそも、経営者がやたらとマスコミに露出するのを好んだりましてや、選挙に出馬するなんていうのは会社としては2流以下なのだよ

本当に恐ろしい経営者は表に出るのを嫌がる隠れているそういう連中の方がはるかに手強いね

さてギリギリ賃金なら、働く人間もいるという話をしたでは、今度はその正反対の話をしよう

逆に賃金がとても高い人よりもずっと給料がいいただし毎日の仕事は、どうしようもなくつまらない時間をすり減らすだけに感じる世の中にとっても、何の益も無いムダな仕事だと思うそんな職業に就いている人のことを想像してみたまえ

ああ毎日、オフィスに行っても、ろくに仕事が無い

でも、給料だけはメチャメチャ良い

そういう仕事君なら、するかね

オレはできないと思うどれだけ、お金が良くても

そんな生活生きている感じがしないし

君は、そうなんだろうが多くの人間は、そんな仕事に耐えられるものだ

え、そうなんだ

ああどんなにつまらない仕事でもというより、そういう仕事に限って、確実に休日は来るからな仕事時間がどれだけ退屈でも金があれば、他の時間が有意義になる

そういう人間も割と居るのだよ高い給料をもらっている人間が、みんな充実して溌剌と働いているわけではないのだ給料の高さと、仕事内容は比例するものではないのだ

この間、白坂家のテレビ局を手に入れたろ

あ、ああジッちゃんが、白坂本家から経営権を奪い取った

調べてみたらあのテレビ局には、正社員の配車係がいるそうだ

ハイシャガカリ

ああ、テレビ局というのは色々な人が来ては帰るから、タクシーを呼ぶだろそのタクシーを呼ぶのを専門としている社員がいるそうだ

えそんなの普通に連絡したら来てくれるだろ

番組ごとにスタッフが連絡するとか

いや、タレントさんにはマネージャーとかもいるんだろうから自分で呼んだっていい

だが、何故か配車専門の部署があって、正社員が勤めていて、他の社員と同じ高い給料を払っているそうだよ

知らん大きな会社になればなるほど訳の判らない部署や係があるものだよ

せっかくテレビ局の社員になったのに朝から晩まで、タクシーの手配をするなんて面白くないだろうね

だが、正社員で給料が良くて、社会的なステイタスもあるどんなにつまらない仕事だろうと、そいつは辞めんよ

さあ黒森くん君も、いずれは経営者になる君は雇用者の賃金をどう考えるね

最低限の生活ができるギリギリの額しか払わないかねそれとも儲かった金は、全て雇用者の賃金に廻してしまうかね

まあギリギリしか支払わないというのは論外だろうがだからといって、意味も無く給金が高いというのも困りものなのだよ

そうか給料を高くしたから、良い人材が一生懸命働いてくれるとは限らないのか

一応各都道府県は、最低賃金というものを決めているそれ以上の額は、払うそれは当然だが

まずどんなことをしても、最低賃金が支払えるだけは儲けないといけない

パンの価格や、原価の設定もそれを考えないと

働いてくれる人に、ちゃんと賃金が支払えるようにすることだけは絶対に守らないといけないから

では君は、君の事業で働いてくれる雇用者の賃金をどう設定する

オレは儲けが出たら、できる限り働いてくれる人たちに払いたいと思っていた

いいかね雇用者というのは君が示した賃金の額を見て、応募してくるものなんだよもちろん、高ければたくさんの人が応募してくる

そうオレは、ずっと働いてくれる人を募集し続けることになる

オレがパン屋を続ける限りずっと人を募集して、雇って、指導する

だが、現実問題として君が支払える賃金には限度がある

うん経営を考えずに、高い賃金を払っていたら店が潰れる

では、支払える限界ギリギリの高い賃金を出すのかそれでいいのか多少、賃金を抑えてその金は、店舗や商品の他の部分に使った方がいいのではないかそういう分野に投資して、さらに収益を伸ばすことを考えるべきなのではないか

ジッちゃんは、言葉を続ける

働いてくれている雇用者の中にも、いずれは技術に差が出るその時、君はどういう差を付ける完全に能力だけを見て、賃金をアップするのかそれとも、長く居てくれている人は一律に賃金を上げるか新人との差はどうする

人を雇うということは色々あるんだ

君は君の方針を決めなければいけないそして、その方針は君の事業に関わらず、君の事業に応募してくる雇用者の質を決める

ああ美味いパンを作るだけじゃ、ダメなんだ

良いスタッフが働きに来てくれる店にしないと

今は賃金だけのことを言ったが待遇、福利厚生、労働環境、考えないといけないことはいっぱいあるぞ

どういう募集をすれば、君が望む人材に巡り会えるのか君は、よく考えるべきなんだよそれが君の事業を成否を決める

単純な問題じゃないんだな

真剣に考えなきゃいけないことがたくさんある

色々と考えないいけないことがあるってことなんだね

そうだ君が経営者になるのならな

ジッちゃんは、笑った

それで最初の話に戻る

経営者になるのなら他人の失敗には、寛容になるしかない

失敗は気にするなって話か

雇用者は君ではない多くの経営者が、自分なら簡単にできることなのに、どうしてできないんだと失敗した雇用者に当たるそれは間違いだ

経営者と雇用者は違う立場が違う責任が違う会社に対する思いも違う経営者にとっては、会社は自分自身だ利益も評価も全て自分の実績となるだが雇用者は会社に愛着を持ってくれることもあるが、責任はその人間が与えられている権限の範囲だけだどれだけ社に利益を出しても次の給与額が多少アップするぐらいのことにしかならんその人間個人の実績になることはマレだ

ヒットした新製品は会社名しか有名にならないのが普通だ誰が作ったのかは、世間の人間には知られない企業を越えて、個人の成果だと世に知られるようになったのは青色発光ダイオードぐらいだよ

そうだな有名な電化製品とかだって、どこの会社の製品かは知っているけれど

社員の誰が作ったかなんて、知らないもんな

だから経営者は、雇用者に自分と同じ熱意や、努力や、無理を期待してはいけないもちろん、頑張ってくれる人はいるたが、我々が最初からそれらを期待するのは間違っているのだよ

オレだって頑張っているんだからみたいなことも働いてくれている人には、言ってはいけない

立場が違うんだから

さっきも言った通りミスもトラブルも、必ず起こる人は絶対に失敗する何もかもがノー・トラブルで進むことなど、ありえないそれが現実だ

だから君も経営者になるのなら、働いてくれる人たちが失敗するのは当たり前に起きることなんだと判っていたまえ

一々、怒ってたら間に合わない

もちろん、叱るべきことは叱る注意は喚起するそれはそうだが相手がどうしようもない人間でない限りは、終わったことは忘れてやれ

そうかその人がミスしたり、トラブルを起こしたのはオレの指導が悪かったっていう可能性もあるんだよね

そういうことだ特に新人は大目に見てやるしかない君も、自分自身がどう指導したりかを何度も顧みてみるべきだろう

ただし相手が、どうしようもない人間だと感じたら

速やかに解雇しろ世の中には、言って判らない人間もいるそういう人間は失敗を叱ってやることさえ、時間のムダだ

白坂創介やシザーリオ・ヴァイオラみたいな人間もいるもんな

たくさんの人間を雇い入れるとどうしても、そういう輩も紛れ込むああ、こいつは危険だと感じたら、可能な限りスパッと切り捨てろ多少の金を握らせてやってもいい笑顔でな大丈夫だやつらも切られることには慣れている少しでも金が手に入ったら君や君の会社のことは忘れてくれる

そうかああいう困った人間が、紛れ込んで来ることも考えておかないといけないのか

とにかく長引かせるな長いこと、君の会社に潜り込むとそういう人間は、毒を吐く他の雇用者たちにも悪い影響を与えるここは楽な場所だと居座られたら、追い出すのも大変になる

判った気が付いたらすぐに追い出すようにするよ

オレは、ポケットからメモ帳を取りだしてジッちゃんの言った大切なことを書き込んでいった

そろそろよろしいですか

顔を上げると瑠璃子が居た

お祖父様には紅茶をお兄様とお姉様には、コーヒーをお持ちしました

うむありがとう、瑠璃子

ジッちゃんは笑顔で、礼を言う

瑠璃子はオレたちの前にカップを置いていく

瑠璃子が、ニコッとオレに微笑むが

いや、ジッちゃんとの話に夢中になっていて、すっかり忘れていた

オレたちの周りに居る、名家のお嬢様たちは

相変わらず、こちらを注目したままシーンとしている

しかし旦那様ぐらいですわね

少し大きめの声で、みすずが言った

お祖父様から直接経営についてのお話をしていただけるのは

うむ私の私塾のやつらとも、2人きりでここまで話すことはない

まあ、仕方ない黒森くんには、立派な経営者になってもらわんといかんみすずのためにもな

周囲のお嬢様たちの気がざわめく

まあ、お祖父様それだけでございますか

ニコッと、みすずが祖父に微笑む

もちろん、違う

私も黒森くんのことが気に入っているからな

時々、こんな変な会話が書きたくなります

私の勝手な意見なので、気にしないで下さい

マンガのセントールの悩みの最新刊を買ってきました

SFで日常物で人外物で社会風刺で文明批評にもなっているというスゴイ作品だと思います

この先、どうなっちゃうんだろう

843.ハイ・ライフ / 4人の令嬢

オレとジッちゃんの話が、ひとまず止まる

瑠璃子が持って来てくれた、コーヒーを一口啜る

あ、みすずも瑠璃子もまだ立ったままだ

ジッちゃんとの会話に集中していて、椅子を勧めるのを忘れていた

というかオレが座れとか言っていいのか

そんなことを考えていると

みすず、立ったままではコーヒーも飲めんだろう座りなさい

みすずは、ようやく席に着く

わたくしは、あちらで皆様のお相手をさせていただいておりますから

ああ、向こうのお嬢様たちの座っているテーブルに、瑠璃子の席もあるのか

といっても、そういうテーブルは幾つもある

オレはサングラス越しにそしてお嬢様たちと眼を合わせないように注意しながら、周囲を見る

ジッちゃんとの会話のおかげで緊張が取れたうん、助かった落ち着いて観察できるぞ

あ、そうか今日は、みすずたちの超・お嬢様学校に通っている専任警護係のいるお嬢様だけに集まってもらったから

つまりそういうお嬢様は、みんな名家中の名家のご令嬢たちだから

ああ、なるほど

当然、香月家とはそんなに親しくない子もいるんだな

そういう子たちまで、警護についての特別講習会ということで来てもらわないと今日の会は意味が無いし

ああ、他のお嬢様たちと離れて、すぐ側に立っている警護係の少女と2人だけでテーブルを占めている子もいる

ああいう子たちの中には、香月家と敵対している家の子もいるかもしれない

いや、ただ単に一匹狼な性格なだけかもしれないけれど

普通のお嬢様じゃないんだから、変人もいるだろう

うちのみすずや瑠璃子も、かなり変わっているし

そうか友人は大切にしなくてはいけないな皆さんのところへ戻りなさい

ジッちゃんは、瑠璃子に言う

はい失礼致しますお祖父様、お兄様

瑠璃子はオレたちに頭を下げて銀のお盆を持ったまま、自分の席へ戻る

る、瑠璃子様香月閣下にお茶を差し上げるのでしたら、わたくしがいたしましたのに

そ、そうでございますわ瑠璃子様が、その様なことをなさるなんて

オレは最近、瑠璃子が家の中のことをしてくれているのに、すっかり慣れてしまっていたけど

香月家のそれも本家の血筋のお嬢様が、お茶を運んでくるなんてことは普通ではありえないことなのか

いえ、これはわたくしの勤めですから

お祖父様もお兄様もわたくしには大切なお方ですし他の方に、お願いするわけには参りませんわ

まあ、瑠璃子様はもう、あの方をお兄様とお呼びなのですね

お嬢様たちの視線がオレに集中するのを感じる

はい、わたくしのお兄様ですわ

オレは公式にみすずの相手として認知されている

そして、そのことをジッちゃんも瑠璃子も、喜んで受け入れてくれていることが示された

こうやって、お前は神格化されていくのだよ

ジッちゃんは、小声でオレに囁いたニヤッと笑う

胸を張っていろ平然としているんだ

ええ、これでまだ今日は意地悪な方が少ない方ですからね

みすずも、オレの耳にそう囁いた

し、失礼致しますわっ

1人だけでテーブルを占拠していたお嬢様がスクっと立ち上がって、こっちへやって来る

長い黒髪で長身の紫のドレスにパールのネックレスをした高校生ぐらいの美少女だ

その後ろには、もちろん警護役の少女が付いてくるこちらは短髪で、お嬢様学園の制服のままだ

ジッちゃんの背後に立っている、大徳さんと張本さんに止められないのか

2人の巨漢は全く動かなかった

つまりこのお嬢様と警護役の接近を脅威と見なしていない

あ警護の短髪の子が、ムッとしたのが判った

自分の戦闘力を無視されたように感じたのだろう

お初にお目に掛かりますわわたくし鳥居まり子と申します

お嬢様は、上品に礼をする

日頃、父が大変お世話になっております本日はお目にかかれて大変光栄ですわ

ジッちゃんは、このお嬢様を無視してみすずを見て

誰なんだねこのお嬢さんは

みすずは、平然と

鳥居まり子様とおっしゃっていますわ

みすずの知り合いかね

いえ、学年が違いますから確か、トリイ電子の会長様のお孫様ですわ

ああ、鳥居くんの

不機嫌そうに、ジッちゃんは言う

は、はい鳥居要三は、わたくしの祖父でございますわ

無視されていても、空気を読まずにお嬢様は自己アピールを続ける

だから、何なのだね

まるで虫ケラを見るような眼で、ジッちゃんは言った

あ、あのほ、本日はお招きいただきま、まことに

私が君たちを呼んだわけではない今日の会の主宰はみすずと瑠璃子だ

主宰に美子さんの名前が入っていないのは

急にジッちゃんの孫として認知された美子さんを、好ましく思っていない人もいるからだと聞いた

さっきの、オレやジッちゃんに出してくれたお茶だって以前なら、瑠璃子のお付きだった美子さんが運んできたんだと思う

それを瑠璃子が自ら運んで来たのはもう、美子さんがお付きではないことを示す意味もあったんだと思う

以前なら絶対に瑠璃子から離れてはいけなかったお付きの美子さんが、今、この場にいないのも

多分、翔姉ちゃんやレイちゃんたちと一緒に居るんだろう

この家は香月家本家の邸宅だみすずや瑠璃子が自由に友人を招くのは構わん君はこの子らの友人なのだろう私の客ではない違うかね

まり子さんは、ブルブル震えながら

し、しかしこ、香月様はみすず様たちのお祖父様でいらっしゃいますから

だから、何だね

ご、ご挨拶させていただかないとわ、わたくしが祖父や両親に叱られますわ

そんなことは、君の都合だ私の知ったことではない

ギロッと、まり子さんを睨む

まり子さん、閣下にお詫びして、すぐにこちらへ戻ってきなさい

向こうのテーブルからあ、この人も一匹狼だまり子さんに声が掛かる

ワインレッドのドレスを着た、大人っぽい感じの令嬢だ

まり子さんの理屈だと閣下は、わたくしたち全員の挨拶を受けて、1人1人にお声をかけて下さらないといけなくなるのよあなたは、そんなご面倒なことを閣下にお願いするつもりなの

この鳥井さんが満足するようにしたら

ジッちゃんは、ここにいるお嬢様全員と挨拶を交わしてお祖父さんは元気かねとか、1人1人と会話してあげないといけなくなる

申し訳ないがね私は香月という古い血の家の当主だが王族でも政治家でもないのだよ

王族や政治家なら、それでも全員と挨拶して、和気藹々と短い会話もするとか人気取りのサービスをしなくてはいけないのだろうけれど

ジッちゃんには、そういうことをしなくてはいけない義務はない

ここは公式なパーティ会場でもないしね私の家だ私が私の家の中なら、どこだって自由にお茶を飲む権利がある今は、たまたま黒森くんと話をしながら、ここに来たら、君たちがいたそれだけのことなのだからねそして、孫娘の友人たちに挨拶するかどうかも、わたしの自由だ

ジッちゃんはこの家の主で、香月家の当主だここにいるお嬢様全員にとっては、目上の存在となる

お嬢様たちの祖父や両親が、ジッちゃんと親交があったとしてもお嬢様たち自身は、あくまでもみすずたちが呼んだ客なんだから

孫娘の客にどう対するかは、ジッちゃんの勝手なんだから

だから、ジッちゃんの方からお嬢様たちに皆さん、今日はよく来て下さいましたと挨拶しないのなら

令嬢たちも、わざわざ出向いて挨拶するべきではないんだ

失礼でないように、軽く会釈するとかだけにしておいてオレたちが話をしているテーブルに割り込むなんて、やってはいけないことなんだ

君は私がどんな立場の人間なのか、判っていないようだね

そしてジッちゃんは、力を持ちすぎている人間だ

軽々しく人に頭を下げたり、ジッちゃんの方から親しげに話したりすることは許されない

今日集まってもらったのはみすずたちの学校に在籍していて、自分の専任警護人を連れてきている令嬢だけだ

今、ここにいる令嬢とだけ、ジッちゃんが親しく会話したなんてことになったら他の名家の人間はどう思うだろう

そういう勘違いも、避けないといけない

私は、わざわざ君たちの前に姿を現したそれだけで、君たちに対する礼は果たしていると思っているよ

ジッちゃんは、まり子さんを見る

今日、家に帰った後でみすずと瑠璃子が主宰したパーティに、私が姿を見せたことをお祖父さんに伝えてみなさい鳥居くんは、それだけで驚くだろう

香月グループの経営は、もう司馬さんに任せているけれどジッちゃんは多忙な人だ

忙しいのに、わざわざ孫娘たちの様子を見にやって来た

それがこのお嬢様たちの祖父や親たちに伝われば、それがジッちゃんは、孫たちを本当に大切に愛しているというメッセージになる

だからお嬢様たちの前に、ジッちゃんが姿を見せたことで、何もかもが完了しているわけで

この上、お嬢様たちの方からジッちゃんに改めて挨拶とかするべきじゃないんだ

場の空気を読まずに、この鳥居まり子さんという人はジッちゃんの前にしゃしゃり出てしまった

君が私に声を掛けたなんてことを知ったら鳥居くんは困惑するだろう君は酷く叱られることになるだろういや、彼なら慌てて、私に詫びの電話をかけてくるだろうなそっちの方が、私には面倒だな彼は確か、心臓が弱かったはずだあまり、お祖父さんに心配をかけるべきではないな

言葉は優しいがジッちゃんの態度は、冷たかった

まり子さんは、慌てて頭を下げ元の席へ戻ろうとする

いや、ちょっと待ちたまえ

ジッちゃんは、そんな彼女を呼び止めた

は、はいわ、わ、わ、わたくしでございますか

他に誰がいるんだねそれと

ジッちゃんは、まり子さんに注意した令嬢を見た

この娘に声を掛けた君そう君だよ

さっきのワインレッドのドレスの人

大人っぽいお嬢さんは、スッと席を立ち

わたくしに、御用でございますか

うむ、私はそろそろ退席しなくてはならん君たち、申し訳ないがこちらの席へ来て黒森くんの相手をしてくれないか

お、お祖父様

構わんだろう黒森くんに、上流階級の女というものがどういうものなのか示すためのサンプルとしてはこの娘たちは適任だと思うが

わたくしでよろしければ

ワインレッドのドレスの子が、深々と頭を下げる

名前を聞いておこうか

狩野桜子でございます

赤いドレスの令嬢は、そう名乗った

ああ、狩野くんの娘さんか確かにお母さんの面影がある

うむでは、よろしく頼む鳥居くんのところの娘さんもいいね

は、はいぃぃぃ

まり子さんが、頭を下げる

さて、では私は行くよみすず皆さんと楽しくやってくれたまえ黒森くんもな

ジッちゃんが、大徳さんたちを連れて退席しようとすると

お、お待ち下さいっ

瑠璃子たちのテーブルの一番、端に座っていた白いドレスの女の子が立ち上がる

ありす、お止しなさい

横に座っていた同じ白いドレスを着た姉らしき少女が、中学生ぐらいの女の子を止めるが

でもお姉様っ

ありすと呼ばれた少女は、ジッちゃんに向かって叫ぶ

は、はじめましてっわ、わたし鞍馬ありすと言いますっ

たった今、ジッちゃんに直接挨拶するのは禁止だと話があったばかりなのに

それでこっちが、姉の鞍馬美里ですっ

お姉さんの方が、慌てて妹の口を押さえる

た、大変失礼を致しました申し訳ございません閣下皆様も

ジッちゃんと周りのお嬢様たちに、ペコペコと頭を下げる

あの座り位置から判断するとこの姉妹は、香月グループと関係のある家の子ででも、他の子よりも弱い立場なんだろうと思った

ああ君たちか鞍馬くんから、話は聞いているよ

ジッちゃんは、姉妹に言う

ちょっとこっちを向いてくれたまえ妹さんもだ

は、はいありす、閣下にお顔を見せて

あ、はいお姉様

姉妹は真剣な表情で、ジッちゃんを見る

ジッちゃんは少し考えて

ふんもういい

少し不機嫌そうに言った

済まないが私は、君たちの力になってはやれんよ

かっ閣下

姉妹の顔色が青くなる

こういう場合私の答えはノーと決まっている申し訳ないがね

ジッちゃんは、そう言ってからオレを見て

だから、悪いが黒森くんとみすずで、あの姉妹の話を聞いてやってくれ

とりあえず聞いてやるだけでいい何かしてやれとは言わんお前たちの判断に任せる

いや、任せるとか言われてもさ

鞍馬くんには、私の方から話しておくまったく、彼にも困ったものだよ私は慈善活動家でないのだからね私が興味があるのは、実直なビジネスだけだ

ビジネス

だからあの姉妹の話が、ビジネスになると思うのなら助けてやりたまえそうでないのなら、追い返せ

鞍馬姉妹が、ブルルッと震え上がる

私なら今すぐ追い返すこれはそういう事案だしかし、黒森くんのビジネスの勉強の教材になるのならあの少女たちを助けてやるのも構わないと思う

判りました鞍馬さんたちをどう扱うかは、旦那様と相談して後ほど、お祖父様にご報告致しますわ

オレが返答する前に、みすずがそう言った

いや、報告もいらんよお前たちで全て処理しろこんなことまで一々、結果を知りたくはない

そして、改めて姉妹を見て

鞍馬くんの長きにわたる忠誠には感謝しているしかし、これは彼の自業自得だ私は、君たちの一族に何かしてやるつもりはない

お、お姉様美里お姉様

突然泣きだした姉を、妹が抱き締める

そういうことだでは、失礼するよ

ジッちゃんは、大黒さんたちを連れて屋敷の中へ入って行く

オレやみすずそれに今まで椅子に座っていたお嬢様たちも全員起立して

立ち去るジッちゃんに一礼した

ただ、鞍馬姉妹だけは芝生にへたり込んだまま、抱き合って泣いていた

ジッちゃんの姿が完全に消えると

お祖父様のお申し付けです鳥井さんと狩野さん、こちらにいらして

みすずが、2人に声を掛けた

それから鞍馬さんたちも

2人はまで泣いている

ちょっと手間をかけさせないでちょうだい

鳥井さんが、姉妹に言う

閣下のご命令ですからさあ

狩野さんは、芝生にしゃがんでいる鞍馬姉の肩を叩く

このまま、ここであなたたちが泣いていると他の家の方に迷惑が掛かるのよ

優しいけれど厳しい声で、そう言った

も、申し訳ございませんみ、みなさん

鞍馬姉は同じテーブルの他のお嬢様たちに言った

そ、そうよ早く、みすず様のテーブルにお行きなさい

わたくしたちのことは気にしなくて良いから

同じテーブルの親・香月グループの娘たちは早く厄介払いをしたいようだった

まあ、あそこまで徹底的に、ジッちゃんに言われたのだから仕方ないか

鞍馬さんのお家の事業が危ないというのは本当だったのね

そんなことを言う人もいる

だからって、こういう場で閣下に直訴なさろうとするなんて

もう、わたくしたちのテーブルに戻っていらっしゃらなくて結構よ

今のことは帰ったら、お父様にご報告致しますわ

鞍馬さんのところ、うちのお父様お取引がないといいのですけど

早く、立てよそれで、こっちへ来い

オレは鞍馬姉妹に言った

とりあえず話を聞かないと、どうすることもできないからな

鞍馬姉が縋るような眼で、オレを見る

オレは、こういう視線が嫌いだ

助けるとはまだ言っていないとにかく話を聞いてからだ

ええ、お話次第では、申し訳ないですけれどお力になれませんわそういうおつもりで、いらして下さい

みすずも、クギを挿す

行こう、お姉様

妹が姉に言った

ありす

お話を聞いていただくしかないよもうこうなっちゃったら

大きく息を吐いて

そして、姉妹は立ち上がる

さあ、鞍馬さん行きましょう

このワインレッドのドレスの狩野さんは、面倒見が良い人みたいだ

鞍馬姉の肩を抱いて、一緒に歩いて来てくれる

もう仕方ありませんわね

鳥居さんも、オレたちのテーブルに来る

それぞれの背後から

無言で気配を消したまま4人の警護役の少女が、主人に付いてくる

瑠璃子さんもあちらへどうぞ

あれれ、いつの間にか屋敷の中から美子さんが来ている

こちらのテーブルの皆様のお相手は、わたくしが致しますから

面倒な親・香月グループの令嬢たちは、自分に任せて

瑠璃子は、オレたちのテーブルに行けというのか

でも美子お姉様

心配そうに、瑠璃子は美子さんを見る

美子さんはずっと、瑠璃子のお付きということになっていた

ジッちゃんの孫娘として認知されたけれど亡くなった長男の隠し子だった人だし

親・香月グループのお嬢様たちとは、まだ微妙なわだかまりがあるのだと思う

大丈夫ですわ

美子さんはテーブルの座っているお嬢様たちを見る

まさか、この期に及んでわたくしを香月家本家の娘と認めないような方が、この場にいらっしゃるとは思えませんもの

ニコッと皆に微笑む

それもまた美子さんが闘って、自分で居場所を確保しないといけないことなんだ

判りました美子お姉様皆様のお相手をお願い致します

瑠璃子は、従姉にそう言うと

皆様もわたくしの大切なお姉様をよろしくお願い致しますわ

テーブルに並ぶお嬢様たちに頭を下げた

一気に春めいてくると、花粉がケホンケホン

年を取るということは、病院へ通うということのようです

844.ハイ・ライフ / 名乗り

ええっとあ、あの、本日はお招きいただきまして、光栄でございますわ

紫のドレスの鳥居まり子さんは、オレたちのテーブルに来るといきなり、みすずと瑠璃子に挨拶した

あの香月家のお二人のご尊顔を拝しこのように親しくしていただけるなんて、光栄の極みにございます

みすずは笑顔で

ご丁寧なご挨拶、ありがとうございますわどうぞ、鳥井さんお座りになって

緊張しながら席に着く、まり子さん

みすずは、さらに

狩野様も、お座り下さいどうぞ

ワインレッドのドレスの狩野桜子さんは、躊躇している

これは、お祖父様からお願いしたことですからお気になさらないであちらのテーブルにいらっしゃる皆様も、このことで狩野様に何か思われるようなことはございませんわ

あちらのテーブル美子さんが相手をしている親・香月グループのお嬢様たち

あのグループに属さず、一人で別のテーブルに座っていたところを見ると狩野さんの家は、香月家とは仲が良くないのかもしれない

みすずは、狩野様と呼んでいるし

そうですわせっかくの機会でございますからどうぞ、お掛けになって下さいませ

遅れて後ろからやって来た瑠璃子も、狩野さんに椅子を勧める

そうですね判りましたでは、失礼させていただきます

狩野さんは、オレたちとテーブルを囲むことを受け入れてくれた

狩野さんのお付きの背が高くて目付きの鋭い警護役の子が、椅子を引く

狩野さんは優雅に音を立てずに座った

何で鳥居さんの警護役は、主人の椅子を引いてあげなかったんだろう

オレは、視線を合わせないように鳥井さんの警護役を見る

ああ、サングラスのせいで良く判らなかったけれど

この人、眼が青いハーフっぽいな黒髪だから、目鼻立ちのクッキリした日本人かと思っていたけれど

鞍馬さんたちもどうぞ

みすずは、オドオドしている鞍馬姉妹にも声を掛ける

怯えている姉

お姉様これが最後のチャンスになるかもしれませんわ

妹は、弱気な姉に声を掛ける

でも、わたくしたちのような者が皆様と同じテーブルに座るなどということは

姉の鞍馬美里さんは、すっかり狼狽している

構いませんわよね狩野様鳥井さん

笑顔で2人に尋ねるみすず

わ、わたくしはみすず様がおよろしいのでしたら

鳥井さんは、必死に作り笑顔でそう言う

わたくしも構いませんわ鞍馬さんたちとお話するのは、これが最後の機会になるでしょうから

狩野さんは、冷たくそう言った

本当に残念ですわ鞍馬さんとは、幼稚部の頃からずっと一緒でございましたから

ということはこの狩野桜子さんは、鞍馬姉妹のお姉さんと同い年なんだな

もっとも、今までも親しくお話したことは一度もございませんでしたわね

みすずたちの学校は、幼稚園からずっと繋がっているから

少なくても10年以上は、一緒に通って来ているのに

話をしたこともないのか

いつまで立っていらっしゃるのあなたたちがそうなさっていると、みすず様たちやわたくしが意地悪をしているように見られますわ

強く、狩野さんは言う

自分とみすずたちを同格に言う

しかし、鳥井さんのことは無視

ああ、何となく人間関係が見えてきた

そ、それではし、失礼致します

鞍馬姉妹の場合はああ、ちゃんとお付きの警護役の子たちが椅子を引いている

姉妹に1人ずつ、警護役の子が付いているんだな

ああこの警護の2人は、姉妹かもしれない

顔がよく似ているし、気の感じも

瑠璃子、あなたも座って

瑠璃子は自分で椅子を引いて座る

旦那様改めて、ご紹介致しますわ

こちらが狩野桜子様狩野様、この方があたしの旦那様ですわ

狩野桜子です初めまして

桜子さんは、ツンとした表情で答えた

ああ、嫌われているな

悪意はないけれど、敵意は感じる

そして、こちらが鳥居まり子さんでしたわよね

鳥井さんはみすずも面識がないのか

は、はいっ鳥居鳥居まり子でございますっ

鳥井さんは、すでにちょっと舞い上がっている

助かる眼の前に緊張しまくっている人がいるとオレの方の緊張がほぐれる

黒森公です初めまして

は、ははぁーっ

何で深々と頭を下げる

オレは将軍様か

そして鞍馬さんのご姉妹ですわこの方たちのお家は、香月グループの一員ですの

みすずが、そう説明するということは

狩野さんと鳥井さんの家は、香月家とは関係無いっていうことだな

身内だからこそ、最後にオレに紹介する

鞍馬ありすですっ

妹の方が元気に答えた

鞍馬美里でございます

姉はすっかり消沈している

黒森公ですいつも、みすずや瑠璃子がお世話になっています

い、いえわたくしどもこそっ

わ、わたくしたちみすず様と同じ日舞教室に通っているんです

震え上がる姉に、妹がフォローする

ああ、撫子先生の教室て、ことは5月の発表会の時に

ええ、旦那様このお二人も、踊りましたわ

ああ、あの時に

ああ、でも済みませんオレ、日舞はまだそんなに詳しくないからあの発表会は観ていたけれど、どの踊りをどの人がやってたとかは

この二人のことは覚えていないなあ

日舞の衣装を着て、お化粧もしたら印象が変わりますから

瑠璃子が、そう言ってくれた

わ、わたくしたちも見ていましたわ

鞍馬姉が、恥ずかしそうに言う

黒森様とみすず様のその

そうだオレは舞台の上でみんなの見ている前で、みすずとキスしたんだっけ

わ、わたくしも見ていましたっ

鞍馬妹が、強くそう言う

いやまいったな

あ、あのどういうお話です

鳥井さんは知らないらしい

ということは、この人は日舞とか撫子先生の教室とかは関係無い人なんだな

んんんんんんっ

あのもしかして、狩野さんはあの日、踊っていませんでしたか美子さんの前ぐらいに

オレは、ハッとして思い出す

この少し大人っぽい顔には覚えがあるぞ

はいわたくしも踊りを披露させていただきました

狩野さんは、ムスッとしてそう答えた

ええっと、あのわたくしにもご説明いただけませんか

鳥井さんが必死に割り込んで来ようとするが

日舞の話は、もう終わりにしていただけません今、どうしてもしなくてはいけないお話ではないと思いますわ

狩野さんは、強くそう言う

そうか判ってきたぞ

狩野さんの家は、多分、香月家並みに歴史のある名家なんだ

だから、みすずは様付けで呼んでいる

そして、あの日の発表会はみすずが最後で、その前が瑠璃子、さらに前が美子さん狩野さんは、さらに前だ

ああいうのって、やっぱり最後になればなる程上手い人っていうか、格上の人が踊るんだろう

しかも、美子さんは、あの時はまだジッちゃんの孫であることは公表されていなかったから

狩野さんは、瑠璃子の付き人だった美子さんよりも先に踊ることになっていたのが不服なんだな

そうね鳥井さんのお判かりにならないお話をするのはここまでに致しましょうね

みすずが、狩野さんに気を遣っている

多分、色々と面倒なことがあるんだな

まあ、追々判ってくるだろうから今は追求しない

それより後ろの警護の人たちも紹介して欲しいな

狩野さんは、ギョッとした顔をする

警護の者はただの使用人ですわ

そういう考えなのか

でも、今日は皆さんで警護のことについて話し合う懇親会なんでしょせっかくですから、ご紹介下さい

そうですわね見たところ、主同士は懇談していますけれど、警護の方同士の会話はまったくないようですし

みすずが、他のテーブルの方を見る

うん、椅子に座った主人たちはお互いに会話しているけれど

警護役の方は主人に後ろに立ったままで黙り込んでいる

今は席を外していますが後ほど、うちの警護役も皆さんに紹介致しますわ

みすずが、にこやかにそう言う

うちのって美智か

そういえば、美智はどこへ行った

しかしそういうことは、使用人同士で話をさせるべきなんではございませんか

狩野さんは言う

お互いの警護役を紹介し合って後で引き抜きみたいなことが起きたら

まあ、そうなんだけれど

香月セキュリティ・サービスは、良い人材がいたらホントに引き抜きたいと思っているだろうし

でも、せっかくこうやって会ったんですからせめて皆さんのお名前ぐらいは、教えていただけませんか

人間同士なんですから名前も判らないのは悲しいですよ

そのようなことは、調べればすぐにお判りになるでしょ香月様は、香月セキュリティ・サービスという調査機関もお持ちなんですし

狩野さんは反対する

確かにどなたの警護の方が、どんなお名前なのかぐらいは調べればすぐ判ることだと思いますでも、それでは人と人の関係が始まりません

人と人の関係使用人の警護役に

ああ、この人には判らないんだろうな

そして4人の警護役の少女たちと視線を合わせて

こんにちは初めまして黒森公です

1人1人の眼を見て挨拶した

4人は無言のまま、困惑している

うふふふふっうふふふふふふっ

鳥井さんが、笑い出す

黒森様って、とても面白い方でいらっしゃいますのねっ

そして、自分の後ろに立つ黒髪だけどハーフの少女を見上げて

彼女は、わたくしの警護役のハイジですわ

するとハイジと呼ばれた少女は

アーデルハイトでございますまり子様

アーデルハイトだからハイジでいいのよ

鳥井さんは、そう言ってまた笑う

初めまして、アーデルハイトさん

オレが、そう挨拶すると

鹿取アーデルハイトでございます

ススッと、オレに頭を下げる

そうなんですわこの子ハイジなのにカトリなんですうふふふ

鳥井さんが何を笑っているのかオレには判らない

鳥井さんがアーデルハイトさんをご紹介して下さったんですから狩野さんも警護役の方を紹介して下さいませんか

オレは、やんわりと狩野さんに言う

わたくしからもお願い致しますわ狩野様

はぁみすず様が、そこまでおっしゃるのでしたら仕方ないですわね

狩野さんも、ようやく折れてくれた

彼女がわたくしの警護役ですシエ皆様にご挨拶なさい

シエと呼ばれた背の高い少女がオレではなく、みすずと瑠璃子に向かい

狩野家にて警護役を拝命しております不知火江《シラヌイ・ゴウ》にございます

サッと一礼するキビキビとした動作だ

旦那様江さんなのでシエさんて呼ばれているんですわ

あれ、みすず知っているの

はいシエさんは小さな頃から、ずっと狩野様の警護役を勤めていらっしゃいますから

狩野さんが頑なにオレに警護役の紹介をしてくれなかったのは

みすずや瑠璃子たちは、もう知っているからだ

超お嬢様校は、在校生の人数だって限られているからこの警護役の子たちだって、毎日、学校で見掛けているんだし

名前ぐらいは当然、知っている

だから、今更使用人を紹介する必要はない

そして、この中で唯一、警護人のことを知らないオレを

狩野さんは、全然認めてくれてはいないのか

ええっと、初めまして江さん

オレが挨拶すると

シエとお呼び下さい

無表情で、そう答える

桜子お嬢様が、そうお望みですから

自己紹介のような公の時には、本名である江さんを名乗られるんですけれど普段はシエさんとお呼びしないと、振り向いて下さらないんですわ

はい、シエさんはあたしの同じクラスです

てことは高校2年生か

狩野様と鳥居様は旦那様と同じ高校1年生でいらっしゃいますわ

鳥居さんはともかく、狩野さんは絶対に年上だと思っていた

ていうか、みすずが年下の狩野さんに様を付けているんだからホントに家格が高い名家の人なんだな

うちのハイジは、中学1年生ですわ

それも、ええーっだ

美智より2つも年下

やっぱりハーフの子は、成長が良いんだな

13歳で専任警護人をやっているということは

相当強いのか、元々そういう家系に生まれた子なのかどっちかだな

はい、では鞍馬さんたちも、旦那様に警護役を紹介して下さい

鞍馬家は、香月家と関わりがあるからみすずの言うことは聞いてくれるだろう

は、はいあ、あの

姉の鞍馬美里さんが自分の警護役をオレに紹介してくれようとするが

これって意味があることなんですのだって、鞍馬さんの家は

鳥居さんが、また口を滑らせる

そうねすぐに解雇することになる警護人なのよね

狩野さんも、冷たい口調でそう言う

現状から考えれば鞍馬さんの家には、もう警護人を雇う余裕はないでしょうから

泣き出す鞍馬姉

お、お姉様っ

妹が、姉を抱き締める

鞍馬美里様の警護役、安城ミタマでございます

姉の警護役がオレに挨拶する

鞍馬ありす様の警護役、安城キヌカですっ

妹の警護役も

やっぱり姉妹か

あなたたち今後の身の振り方は、どうなさるおつもり

狩野さんが、いきなりスバッと尋ねる

よろしければ狩野家で雇用してもいいのよ

そんな藪から棒に

あ、それより確か、瑠璃子様には専任警護人がいらっしゃらなかったはずですわよねっせっかくの機会ですから、この子たちはいかがです

鳥居さんが、さらに余計なことを言う

あのわたくし、まだ鞍馬様の家と契約しておりますから

はい契約期間中ですのでっ

安城姉妹は、ピシッと言い切る

でもいずれはそうなるのよわたくしの申し出、よく考えておきなさい悪いようにはしないわ

狩野さんは、そう言う

みすず様、瑠璃子様もこの警護役2人のことは、どうかわたくしにお任せ下さい

強い眼でそう言う

何かあるのか

狩野さんには、この安城姉妹いや、鞍馬家に対して

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