子分たちの反応に、親玉は呆れる
かぁーっ何じゃいお前ら、揃いも揃ってカクテルも知らんのかいっ
へえすんません
オレら、とりあえず、ビールで生きてきましたから
もしくは、生グレープフルーツ・サワーですから
外国の酒ってのは、よう知らんのです
親玉に頭を下げる、子分たち
仕方ないのおいいか、よぅ覚えとけお前らもいつか、こういう大人っぽいバーとかに、お姉ちゃんを連れて行く夜もあるかもしれんそんな時に、カクテルの注文の一つもできんと、姉ちゃんに笑われるぞお前らだけじゃない、兄貴分のわしまで笑われることになるわっ
すんません、兄貴一つ、あっしらに教えていただけますか
ヤクザの親玉は、エッヘンと咳払いしてから、店のマスターに言った
オッチャン、悪いがこいつら四人にカルーア・ミルクを作ってやってくれんか
大きなアクションで格好つけて注文するヤクザの親玉
マスターが、作業に入る
兄貴カルーア・ミルクって何です
ドアホカルーア・ミルクってのが、カクテルの名前じゃいよーく覚えとけよこういう場所でカルーア・ミルクを注文するだけで、男のレベルがぐーんと上がるんだぞ一緒に居る女が、震え上がるからなっほら、全員で言ってみろカッコつけてなオッチャン、カルーア・ミルクをくれいくぞせーのっ
四人の子分たちの声がハモる
オッチャン、カルーア・ミルクをくれっ
何かとても、シュールな光景だ
うんそれでええ一生、忘れるなよっ
ヤクザの親玉は、満足げに頷いている
オレも、覚えておこう
カルーア・ミルクか
渚さんが、オレの腕をちょんちょんと突っついて、違う違うという顔をしている
えっ何が、違うんです
そういや、兄貴の注文がまだですぜ
子分の一人が、親玉に尋ねた
おう、そうだったオッチャン、オレはウーロン茶だっ
あれっ、兄貴は酒飲まないんですか
馬鹿野郎ッオレが酒飲んだら、誰が帰りに運転するんだっ
うええっ
あのポルシェ親玉が、自分で運転してたのかっ
いや、兄貴にウーロン茶を飲ませて、オレらだけ酒を飲むわけにはいきませんよ
そうっスよ帰りは自分が運転しますから、兄貴こそ飲んで下さい自分のカルーア・ミルク差し上げますから
子分たちの言葉に、親玉はキレる
ふざけんなよっお前らなんかに、オレの大切なポルシェの運転をさせられるかっあれはな、大枚230万円も出して、やって手に入れたポルシェ911だぞ帰りも、きっちりわしが運転するからなっ
す、すんません自分が出過ぎました
子分たちは、ペコペコと頭を下げている
まあいい判ればいいんだ、判れば
へえポルシェって、230万円もするんだ
高級車だもんなあ
やっぱり、黄緑色だと特別に高かったりするのかな
マスターが、グラスを持って来る
はいカルーア・ミルク4つに、ウーロン茶1つね
ほらお前ら、早くグラスを持たんかいっ
へーいっ
ヤクザさん、五人全員がグラスを持つ
そんじゃあ、まあシュバルツさんとわしらの今後の発展を祈って、乾杯といきましょうやっ
渚さんも、自分のグラスを持つ
仕方ないから、オレも
親玉は、グラスを掲げて叫んだ
乾杯《プロージット》
ぷ、ぷろー何だ
プロージット
子分たちも親分の真似をして叫ぶ
そして、酒をごくりと飲む
プロージットって言うのは、ドイツ語で乾杯の意味よ
渚さんが、オレの耳にこっそり囁いてくれた
しかしなぜにドイツ語
あっ、これ美味いっすね甘くて飲みやすくてカルーア・ミルク、イケますわっ
うん食後のデザートとかにいいかもしんねぇっす
銭湯から上がった時とかも、いいんじゃね
あっ、それオレも思ったっす
子分たちにはカルーア・ミルクは好評だったらしい
アホか、お前らそれじゃあ、ただのコーヒー牛乳だろっカルーア・ミルクにはな、カルーアが入ってんだぞっ
兄貴、カルーアって何です
子分の問いかけに、親玉の動きがピタリと止まる
カルーアってのはなあ
あ、ありがたいもんなんじゃいっ
ありがたい
ヤクザの親玉のやっちまったぁという顔
カルーアさんて家が作ってるんじゃいっ
カルーアさん
カルーア兄弟だったかもしれん
長男がゾフィで、末っ子がレオじゃ
店内は、シーンと静まりかえった
まるで、死に神が通り過ぎたみたいだった
サングラスの下のヤクザの親玉の眼が、店内をキョロキョロと見る
そしてその眼が
オレに向けられた
何じゃ、お前はっ
親玉が、いきなりオレに詰め寄って来るッ
朝も居たな、お前市場におったろ
ええ居ましたけど
誰だ、お前は
ヤクザがオレに尋ねてくる
そうだ偽名を言わないといけないんだっけ
マルゴさんに言われたんだ
本当の名前を教えちゃいけないって
田中ですっ
思わずオレは、さっき電車の中で会ったクラスメイトの名前を言っていた
田中だぁ
ヤクザの親玉は、物凄い形相でオレを見ている
マズイこのままでは、マズイぞ
田中が何だってんだああんッ
ヤクザの親玉が、オレの耳元に怒鳴りつけてくるっ
疑っているんだな
ええうわっ
田中って、下の名前は何だっけ
ヒデオか、ノリオかええっと
ヤスオですっ
オレは、イチかバチか叫んでいた
何じゃぁっ
ヤクザの親玉が怒鳴るッ
田中ヤスオですっ
誰がッ
おオレがですっ
ヤクザの動きが、一瞬止まる
お前が田中ヤスオ
はいっ、そうですっ
ヤクザの親玉は、オレの頭から足の先までジロジロと見ている
後ろの、子分たちまで
まあええわお前さんが、田中ヤスオだとしてお前さん、シュバルツさんとどういう関係だ
渚さんとオレの関係
肉体関係とか、答えるわけにはいかないし
田中と話した時、何て言ってたっけ
オレはバイトですっ
バイト
ヤクザの親玉は、怪訝な顔をしている
バイトってのは、どういうことだッ
し、しまった
そ、そこから説明しないといけないのかよっ
バイトってのは、アルバイトのことなんですっ省略形です
ああんッ
アルバイトってのは、英語で正社員じゃ無くて働いている人って意味で
違うわよアルバイトはドイツ語で労働って意味よ
渚さんが、小声で教えてくれた
間違えましたっ訂正しますっ訂正しますっ訂正しまーすっアルバイトは、ドイツ語で労働という意味でしたっ
もう、何が何だか判らないっ
とにかく、叫んでみた
つまり兄ちゃんは、アルバイトなんだな
親玉は、何とか納得してくれたらしい
そうですオレは、ドイツ語で労働という意味です
オレ何を言っているんだろう
で何で、アルバイトがここに居るんじゃい
ここに居るのがバイトなんです
お前、この店で働いてんのか
いやいやそういうことではなくって
じゃあ、どういうことなんじゃいっ
さてどうしよう
渚さんが、アハハハと大きく笑い出した
この子は、あたしの店のアルバイトです今日は、ボーディガードとして付いて来て貰ったのよアルバイト料を増額してあげるからってねえ
渚さんが、オレにニコッと微笑んだ
あはい、そういうことでしたええっ
とにかく、話を合わせてみる
うん何とか、誤魔化せそうだぞ
こいつがボディガード
親玉は再びオレをしげしげと見つめた
そして笑う
こんな小僧がボディカードねぇこりゃ、傑作じゃわっ
四人の子分たちも笑った
そんなこと、ありませんわ彼はとっても有能です
渚さんが、ニッと微笑む
必要な時間稼ぎを、しっかりやってくれましたわ
時間稼ぎ
どういうことじゃい
ヤクザの親玉の言葉に、渚さんは店の外を指差した
ほら、あれを見て
店の外の道路
相変わらず、人っ子一人通らない
ヤクザの黄緑色のポルシェが、さっきのまま路駐していた
街路灯の白い明かりが、いい感じでポルシェを照らしている
そこに
金属バットを小脇に抱えた、寧さんが現れる
寧さんは、店内に向かってニコッと微笑んだ
そしてバットをギュッと握りしめて
イチローみたいなフォームで、袖口をキュッと摘み上げる
バットを振り上げて
ポルシェの窓ガラスを、ジャストミートしたッッ
バリリンッッバコッバァリリンッバコッベコッ
ゲラゲラ笑いながら、黄緑色のポルシェを金属バットでボコボコにしていく寧さん
あの小娘何てことしやがるッ
ヤクザの親玉の顔が、真っ青になった
お前ら、早く止めにいかんかっこらぁっ
四人の子分たちが、マッハのスピードで店から飛び出して行った
四人全員が店から出た瞬間横から、マルゴさんが襲い掛かるッ
一人に一発ずつ的確に、行動不能に陥れる一撃を放つッ
うがぁぁッ
聞こえたのは、一人分の悲鳴だった
しかし、眼で見た光景は
二つの肉体が地面にストンと崩れ落ち
残り二つはくるんと宙に舞い、頭からザボッと落下したッ
さらにマルゴさんは、地面に転がっている男たちの利き腕を鋭い蹴りで潰していく
骨の折れるグシャという音が、四つ続いた
呆然と店外の光景を見ているヤクザの親玉に渚さんが、言った
さて、ビジネスのお話ですけれど残念ながら、あなた方と提携するつもりはございません
なるほど、こういうことですか
ゆっくりと、ヤクザの親玉が席から立つ
ハハハハハ、交渉決裂ってやつですなっ
キレたヤクザの親玉が、懐からナイフを取り出した
だけど、わしも簡単に引き下がるわけにいかんのですわこのままでは、わしのメンツ丸潰れですわ最低でも、あいつらの治療費と慰謝料それにポルシェの修理代は、ガッポリいただかんと割が合わんですわ
じりじりと、距離を詰めてくる
幾ら、欲しいんですか
渚さんは笑顔を崩さないまま、ヤクザに尋ねた
3000万いただきましょうかあいつらに250万ずつポルシェが2000万ですわ
えあのポルシェ、230万円で買ったって言ってたじゃないか
それと、あんたにはわしの女になって貰いますわ
ニヤリとヤクザの親玉は、笑った
さあ、こっちにこんかいっお前は人質だッ
ヤクザが、ナイフを持つ手を大きく振る
ヤバイどうしよう
マルゴさんは、店の外だし
このまま、渚さんを人質に取られるわけにはいかない
とにかく、ヤクザと渚さんの間にオレは入り込む
店のマスターが、ちょんちょんとオレの肩を叩く
見るとマスターはオレに、分厚い本を手渡してくれた
タイトルは家庭の医学
なるほど、この分厚い本ならヤクザのナイフを防げるかも知れない
オレは、その本を身体の前に突き出して楯代わりにする
ヤクザは、そんなオレを見て、けっと鼻で笑った
兄ちゃん素人考えで、下手なことをするもんじゃねえぜ何じゃい、そのへっぴり腰は早いとこ、その姉ちゃんをわしに渡さんと、大ケガするでぇ
な、ナメんなよ素人を
ほいっ、パス
オレは、バスケの要領で家庭の医学をヤクザに投げつけたッ
なぬっ
ヤクザは、サッと投げつけられた本から身を躱すッ
そこへオレは、すかさずタックルを敢行するッ
命懸けの全身突撃だッ
ざけんな、こらぁっ
ヤクザは、ナイフをシュシュッと振り回したッ
オレのツナギの袖が、ザパッと切られる
だが、オレは一塊の弾丸になって、肩からヤクザにアタックするッ
ドンガラガッシャアンッ
店の入り口に倒れ込む、オレとヤクザ
ドアがガチャリと開き、マルゴさんが疾風の様に飛び込んで来たッ
ナイフを持っているヤクザの手を、バシッと蹴り飛ばすッ
シュバっと、ナイフは店の壁に突き刺さった
それで、勝負は決まった
まだ続ける
コンバットブーツで、ヤクザの親玉の首元をぐいぐいと踏みつけながらマルゴさんが尋ねた
オレは、ヤクザから離れて起き上がった
わしにこんな前をしてお前ら全員、ただで済むとは思うなよッわしにはカタギじゃないんだぞっ組織のモンが黙っちゃいねえからなッ
ヤクザはそれでも、吠えていた
はいはいはーいちょっと、すみませーんっ
店内に克子姉が、入って来る
克子姉は、手にコンピューターのパッドを持っていた
最近は何でも電子化ですよねえヤクザさんたちの業界も、近代化の波には敵わないみたいですねっ組からの回状も今はメールなのねっ
克子姉は、ニヤリと笑った
河藤浩三さんてあなた
なんじゃいっわしが、浪速の河藤じゃいっ
あなた組織から絶縁状を出されているわよっ
なにぃ
ほら
克子姉が、ヤクザの親玉河藤さんにパッドを見せる
オレの位置からも、内容が読める
絶縁状 右の者は、渡世の仁義に反しました故、当方とは絶縁致しました今後、当方は一切関知致しません
わ、わしが絶縁されとる
そうそういうこと
克子姉の携帯が鳴った
はい、もしもしお待ちしてましたぁお久しぶりですっ、会長さん前にパーティでお目に掛かりました黒森の克子ですはいっ、今代わりますねっ
克子姉が、電話をヤクザの親玉に差し出す
あなたにお電話よっ会長さんから
会長ってまさかっ
引ったくるように、電話を取るヤクザの河藤さん
もしもし、わしですっ河藤ですっ
携帯電話から漏れる声
お前、何てことをしてくれたんだっ
は、はいか、会長
よりによって黒森さんのとこの店に手を出すなんて
く黒森
意味が判らないという顔をしているヤクザに、渚さんが言った
うちの店シュヴァルツ・ヴァルトは黒い森って意味よドイツ語で
うふふと笑う、渚さん
お前が手を出した店のオーナーは、本家の総裁や先代の大親分とも懇意なんだぞっお前、うちの組をブッ潰すつもりかっ
懇意って
はいお二人とも、あたしの大切なお客様でした
渚さんが、妖しく微笑む
渚が引退した後は、あたしもお世話致しましたわっ
克子姉が、そう言った
何者なんじゃい、お前ら
ヤクザの問いに、克子姉は答えた
その質問に答えるつもりはないわ世の中には、知らない方が良いことって、たくさんあるもの
明日の朝までに姿を消して下さい子分さんたちと一緒にそして、二度とあたしの前に姿を見せないで下さいこれは警告ではありません言う通りになさらない場合には、ホントに消えていただきますこの世から完全に
渚さんは、そうヤクザに宣告した
ボボボボボッ
店の外で、黄緑のポルシェが炎上する
寧さんが、火を付けたらしい
キャハキャハ笑いながら、車の周りを飛び跳ねている
マスター、お騒がせしたねこれは迷惑料だ
マルゴさんが、店のマスターに厚めの封筒を手渡した
気にせんでくれあんたたちが払ってくれた金で店の改装ができるうちとしては大助かりだ
マスターは、渚さんとオレの使ったグラスを洗って、ごしごしと布で拭いている
ここではヤクザ同士のケンカがあった片方のヤクザは、走って逃げた警察には、そう言っておく
渚さんが、マスターに礼を言った
マスターは何も言わず、布巾で渚さんとオレの指紋を拭き取っていく
そういうことだからねそれとも、警察にはお花屋さんに、やられたって本当のことを話す
マルゴさんが、ヤクザを見下ろしてそう言った
その足は、まだヤクザの胸を踏みつけている
判った判ったからわしの負けじゃい
ヤクザは、敗北を認めた
一応、言っておくけれどあなたのお花屋さんは、これから謎の失火で全焼するからお店には戻らないでね
マルゴさんは、ニッと笑った
渚さんが、オレに濃厚なキスをした
ポルシェの炎を見て、警察と消防が来ないうちにオレたちは現場から逃走する
渚さんは、そのままお屋敷に戻って真緒ちゃんが待ってるよ
マルゴさんの言葉に、渚さんがベンツの運転席でみんなに頭を下げる
みんな、ありがとう後はお願いねっ
まっかせておいてっ
寧さんが、バンの助手席から叫んだ
オレもマルゴさんの白いバンの後部に乗り込む
渚さんのベンツは、店の右側へ
克子姉のミニバンは、正面へ真っ直ぐ
マルゴさんのワンボックスは左側の道へ
それぞれ、違う方向へ逃走する
しっかし、ホント、どうしょもない人たちだったよねぇ色々と警戒してたのに、何も無しだもの
寧さんが、けらけらと笑った
いやまだ判らないよ寧、最後まで気を緩めないで
運転しながら、マルゴさんがそう言った
でも吉田くんはスゴかったね
はいオレ、何かしましたか
お店の前でのラジオ体操だよ
うんあれはスゴかったわっ
え全然、普通だけどな
というか、すごいラジオ体操って何だ
まさか、あの場でラジオ体操を始めるとは思わなかったって、ことだよ監視してた全員で大笑いさせて貰ったよ
あオレ、笑われてたんだ
まあいつものことだから、いいけれど
弓槻先生まで、声を上げて笑ってたもんねっあたし、先生があんなにケラケラ笑うところ、初めて見たわっ
と、寧さんは言う
弓槻先生の姿が見えない
どこにいるんだろう
あれヨッちゃん、手をケガしてない
寧さんが、バックミラーでオレを見て気がつく
ああ、さっきヤクザさんにナイフで袖を着られた時の傷だ
大したケガじゃない
皮一枚くらい切れて、血が滲んでいるだけだ
大丈夫ですよちょっと切れただけですから
大丈夫じゃないわよっマルちゃん、ちょっと車を停めてっ
マルゴさんが、バンを路肩に停めた
寧さんは助手席から降り、後部座席へやって来る
もう血が出てるじゃないのっ
救急箱を出して、寧さんが傷の手当てをしてくれた
そうだね店の外から見ていたけれど、ちょっと不用意すぎる行動だったと思うよ今日は運が良かったけれど、下手をしたら大ケガをしていたところだ
マルゴさんが、オレに苦言を言う
いやホント、平気ですって
そんな風に考えてはダメだよあのケースだと、ナイフの刃が手に当たったら、指が切り落とされていたかもしれない
だから、平気ですって
オレの答えに、マルゴさんは怪訝な顔をする
とにかく、オレが隙を作ればマルゴさんが助けてくれることは判っていましたからあの場合だと、渚さんの安全が最優先でしょオレは別に、大ケガしたって、指が取れちゃったりしたって構わないわけですし
寧さんが、ポカンとした顔でオレを見ている
ヨッちゃん、何言ってるの
指がなくなったって、困らないじゃないですか
いや困るでしょ
あ、オレは困りますけれど他の人には、問題ないじゃないですかオレが困るだけで済むのなら、それでいいでしょ
よくないわよっ
寧さん、何で怒っているんだろ
ヨッちゃんの指がなくなったら、あたしが困るわよっ
そんなわけないですよオレの指なんですから
ヨッちゃんはそれでいいのっ指がなくなったら大変なんだよっ一生、困るんだよっ
それは、判ってますけどそれで渚さんが無事なら、あきらめるしかないじゃないですか
オレなんかより、渚さんの方がずっと価値があるんだし
オレなんて、別にいつ死んでもいいわけだし
馬鹿ッ
寧さんが、オレの顔をビンタした
もし、ヨッちゃんの指がなくなったら、あたしも同じ指を切り落とすからねっヨッちゃんの眼が潰れたら、あたしも同じ眼を潰すわっヨッちゃんが死んだら、あたしも死ぬからっだからっ
寧さんは、泣いていた
もっと自分を大事にしなさいよおっお願いだからっ
寧さんがオレにしがみつく
寧さんが何でこんなに怒っているのかオレには判らない
とりあえず謝るしかない
寧さん、ごめんなさい
ヨッちゃんは馬鹿だよ馬鹿ぁ
うんオレは確かに頭がよくない
自分でも、馬鹿だと思う
どうしても寧さんの気持ちが、判らない
えー、ギャグ回になってしまいましたすみません
もう七十日以上、お酒を飲んでいません
カルーア・ミルクでいいので、飲みたいです
いえホントは、エビスがいいです
この連載終わるまで、飲めないのかな
さあ、働きに行こう
76.暗闘
オレ頭、悪すぎですよね世間知らずだしもっと勉強して、頭良くならないとダメですよね
寧さんに怒られて、ちょっとヘコんだ
ヨッちゃん、何言ってるのよっ
寧さんが、えっと驚いてオレの顔を見る
ヨッちゃんは、ちょっと頭が悪いところが可愛いんだから、賢くなっちゃダメよっ
ずっと、お馬鹿なままでいてお願いっ
えっと、寧さん
吉田くんは今、十五歳だっけ
マルゴさんが、運転席からオレに話し掛けてくる
はい、そうですけど
じゃあ、後五年だね
人間は、二十歳までしか教育できないって、あたしの施設の牧師様が言ってたよ二十歳までに、だいたいの性格が決まってしまって、それ以降はよほどのことが無いかぎり変化しないって
よほどのこと
軍隊に入って、二十四時間の行動を統制されるとか牢屋に入られて、強制労働とか完全に生活習慣の異なることをしないと人間は変化しないらしいよ
吉田くんは、聞いたことないかな環境が習慣を作り、習慣が性格を作り、性格が運命を決めるって言葉
初めて聞きました
今までとは違う人間になりたいと思ったら、自分の暮らす環境を変えないといけない環境が変われば、習慣が変わる習慣が変われば、性格も変化する性格が変われば、運命が変わるんだよ
マルゴさんは、そう言ってくれた
オレは、あの一人ぼっちの家から出られる日はくるんだろうか
この数日、家には帰っていない
ずっと、弓槻先生のお屋敷に泊まっている
克子姉の作ってくれる、美味しいご飯を食べている
だけどこんなことが、ずっと続くわけがない
今、オレが体験しているのは、わずかな期間の夢で
現実として、オレの身に起こっていいことじゃない
だから、オレに優しくしてくれる人には全力で返さないといけない
命懸けで、役に立たないと
みんな、こんなオレに優しくしてくれるんだから
オレはそのうち、あの暗い部屋の冷たいソファに戻らないといけないんだから
オレたちを乗せたバンは、夜の道を疾走していく
これから、さっきのヤクザさんたちのお花屋さんを燃やしに行くから具体的な手順は、現地に着いてから説明をするよ
マルゴさんが、不意にそんなことを言い出した
どうして、お店を燃やすんですか
さっき、ヤクザは撃退した
マルゴさんが、若いヤクザたちはみんな利き腕を骨折せさたし、親玉にも明日までに遠くに行くことも約束させた
そもそも、ヤクザ組織から絶縁状まで出させている
今更、お店を燃やすなんてことまでしなくても
だって、燃やした方が楽しいじゃんっ
と、寧さんは笑って言う
そりゃ、寧さんは放火マニアだからそうかもしれないけれど
ちょっと、やり過ぎだと思う
バックミラー越しに、マルゴさんが言った
はいちょっと
オレは、正直に答える
やり過ぎぐらいじゃないとダメなんだよああいう業界の方々にはね
マルゴさんは、フッと笑った
今回の件は、そもそもはあのヤクザさんが渚さんにチョッカイを出してきたことにあるあのヤクザさんは、とある組織の一員だったから、責任はその組織にある
はい、そう思います
だから、ミナホはその組織に連絡してクレームを入れ、あのヤクザを組織から絶縁させたここまで、何の問題も無いみたいに見えるだろう
うん迷惑を掛けられて、クレームを入れて、あのヤクザさんが絶縁されたんだから
当然の成り行きだ
こちらには、何の手落ちも無い
ところがあの業界の方々は、どういう経過があったとしても、無料で何かをすることが大嫌いなんだよ
え、どういうことです
あのヤクザさんが自分の組織の一員であったということとは関係無しに、あんたたちのために、わざわざ絶縁状をだしてあげましたって態度を取るんだよこの貸しはいずれ、何かの機会に返して下さいねって
そんなの、おかしいじゃないですか
あたしたちとは、理屈が違うんだよ普段からフィフティ・フィフティのフェアな取引をしていない人たちでしょどんな理由でも、相手に貸したことにしておきたいわけ
だからさっ、こっちも違う理屈で生きているってことをハッキリさせておく必要があるんだよっ
寧さんが、笑ってそう言う
あたしたちは、やり過ぎなくらいまでやり過ぎるのよっ黒い森に手を出したら、徹底的に潰されるってことを示さないといけないのっそれも、ヤクザ組織の手を借りずに、自分たちでやれるってねっ
黒い森のやつらは、ヤバイあいつらは、ちょっと頭がおかしい絶対に手を出してはいけないって、思わせないといけないんだよ
そこまでやらないといけないんだ
だから、あのヤクザの花屋は燃やす完全に、灰にするよ
ミラーの中のマルゴさんの眼には、強い意志があった
本当にマルゴさんは黒い森の警護役なんだ
黒い森を守り抜くために、人生を捧げている
二十分ほど走って車は、街外れの倉庫街に着いた
こんなところで、あのヤクザさんは花屋をやっていたんだ
この辺は、古倉庫が多くて家賃が安いからねそれに、あのヤクザさんは配達がメインで、店舗で花を売ってなかったみたいだよまあ、子分がみんな男だし
マルゴさんは、あのヤクザについてかなり詳細に調べ上げていたようだ
ほらあそこだよ
マルゴさんが指差した方を見ると
一軒の二階建ての古倉庫があった
もの凄いボロイ間違いなく、昭和の建物だ
錆びまくっているシャッターに、下手な手書きの文字ではなとでっかく書いてある
これじゃあ花屋だか鼻屋だか判んないよ
さらに、看板も手書きでちゅーりっぷの文字が
間違いないあのヤクザさんたちの店だ
右隣は月極駐車場で、裏は取り壊し中のビル、左隣の倉庫は現在テナントが入っていないちゃんと建物には火災保険が掛けられているから、燃やしても持ち主には迷惑が掛からないどうせ取り壊し間近のビルだし
マルゴさんは、そう説明してくれた
まず、二人とも手袋をして指紋を残さないように
マルゴさんが、オレたちに革の手袋をくれる
靴も吉田くんのサイズを用意してきたから、履き替えてどこでも売っている大量生産の作業靴だよ
本格的に悪事に足を踏み入れていくような気がする
オレは靴を履き替え手袋を填めた
吉田くんと寧は先行して、倉庫の中を調べていないと思うけれど、留守番している子分がまだいるかもしれないから
もし、誰かいたらどうします
火事だって叫んで、これを投げつけて
マルゴさんがオレに黄色い小さな筒を渡してくれた
発煙筒だよ自動車に搭載する用途のじゃなくって、本当に煙と炎が噴き上がるタイプだからあんまり日本では見掛けない種類の発煙筒だろそれは、横のピンを抜いて投げればいいからね
オレは、発煙筒をツナギのポケットに押し込んだ
それから、寧はこれを持っていって
マルゴさんが、シートの小物入れから取り出した物は
拳銃だった
もし誰もいなかったら、火の回らなそうところに置いてくるんだ
あの倉庫を借りた花屋がヤクザだってことは、ちょっと調べれば判ることだけど証拠品が出れば完璧でしょ警察は、大喜びだよヤクザ組織の上の人も、慎重に対応しなくちゃならなくなるしばらくは、警察とヤクザ組織の睨み合いが続くよ
でもオレたちが疑われる可能性もあるんじゃないですか
どうしてヤクザの借りていた倉庫からピストルが出てくれば、一番怪しいのはヤクザ本人でしょあのヤクザさんが、組織に内緒で隠し持ってた物かもしれないし真相が特定できない以上、誰もあたしたちを調べたりはしないよヤクザ組織も警察も、すぐ目の前の敵を相手にするので手一杯になるだろうからね
マルゴさんは、笑った
寧さんは、ジッと鈍く光る金属製のピストルを眺めている
一応、弾も何発か入っているから気を付けてね
寧さんは、ピストルをポケットにしまった
あたしも、すぐ後ろから追い掛けるから落ち着いて、行動するんだよそれから、吉田くん
ブン殴り棒は、忘れずに持って行ってね
バンから、寧さんと出る
オレは両手に、放火用の灯油の入った容器を下げていく
夜の十時近く
倉庫街に、人の気配は無い
夜空には雲が増えていた月は隠れている
寧さんは建物の裏に廻る
マルちゃんの調査だと、警備会社の電子システムみたいのは無いみたいまあ、あのヤクザさんがそんなのにお金を掛けているとは思わないけどね
寧さんは、そう話ながら一つ一つ、丹念に一階の窓を見ていく
ほら、あった
窓の一つに鍵が掛かってない
あの人たちのことだから、どうせ一つくらいは閉め忘れがあると思ったのよっ
するすると窓を開ける
灯油の容器を足場にして、寧さんが先に中に忍び込む
オッケー、誰もいないみたい
まず、灯油を中に
それからオレも窓を乗り越える
建物の中は、真っ暗だった
寧さんが、オレにペンライトを渡してくれた
足下の床だけを照らしてそれが一番、気づかれにくいから壁とか天井を照らしてはダメよ
ペンライトは光が拡散しないように、先に黒い紙が筒状に巻かれていた
足下を照らしながら進んでいく
廊下を抜けドアを開いて倉庫の中へ
倉庫は、バスケットボールのコートぐらいの広さだった
ここは、そんなに暗くはないわね
倉庫内には、道路側の窓から街灯の光が漏れていた
決して明るくはないが、真っ暗でもない
オレはペンライトの光を消した
水の入ったポリバケツに、花がたくさん生けてある
空箱の段ボールの山が、あちこちに散乱していた
あ、この箱、まだ花が入ったままよっ
寧さんの声に振り向くと、大きな段ボールが10箱くらい重なっていた
箱から出さないと悪くなるのにっ
今日はお花が安い日だったらしいですから、買い過ぎて使い道が無かったんじゃないですかね
オレは、ミユキさんの言っていた話を思い出していた
結局、あの人たち、お花屋さんなんて最初から向いていなかったのよっ
寧さんは、ぷんぷん怒っていた
誰もいなさそうですね
そうみたいね、上の階も電気は点いていないしまだ十時だから、もう寝てるってことも無いわよねっ
正直、上の階まで全部チェックするのはしんどい
いいわっ、ここで火を付けちゃいましょうそれで火事だって叫べばもし、上の階に人が居たって逃げられるでしょ
あ奥にも鉄階段があるんですね
そういうことじゃ、ヨッちゃん、始めようかっ
オレは、段ボールの山を一カ所に集めていく
寧さんが、その上に灯油を撒いていった
まず、火を付ける前に脱出口を確保しておきましょうっ
寧さんは、道路に面した窓を一つガラガラと開ける
倉庫の空気は澱んでいる窓からの外界の空気が新鮮に感じた
出やすいように、足場としてプラスチックのケースを置く
寧さんは自分の足でトントンとケースを踏んで乗っても大丈夫か、強度を確かめる
じゃあ、火を付けて炎の状態をチェックしたら、この窓から脱出ねっ
寧さんは、倉庫の中をグルッと見回す
ポケットからピストルを取り出して
やっぱり、ここかな
倉庫の壁際に置かれた事務机
電話機と書類ファイルの上に寧さんはピストルを置いた
うんこれでいいよねっ
寧さんが、そう言った瞬間だった
暗闇の中で何かが動くッ
太い腕が、オレの首を締めるッ
く、苦しいっ
動くな動くとこいつの命は無いぞッ
オレの頭の上で、低い男の声が響いた
ずっと隠れていたのかちくょうッ
寧さんはあっと空気を飲んだまま、動けないでいる
男の腕が、ギリギリとオレの首に食い込むッ
オレは、持っていたペンライトを男の顔に向けたっ
スイッチを入れた瞬間、男の眼に眩い光線が飛び込むッ
ンッ
男が怯むッ
オレたちが脱出する予定だった窓から、黒い人影が飛び込んで来るッ
吉田くん、頭を下げてッ
オレはマルゴさんの指示通り、腰を沈めるッ
頭の上で、マルゴさんの突きが炸裂するッ
ぐええっ
男の口から赤い血が零れる
男はそのまま悶絶して、床にばったりと倒れた
寧大丈夫っ
マルゴさんが、振り向くと
マルちゃぁん
寧さんは別の男に捕まっていた
光るナイフが、寧さんの首筋に当てられている
さらに、もう一人暗闇の中から黒装の男が現れる
あんたたち、あのヤクザさんの知り合いじゃないでしょ誰に依頼されて来たの
マルゴさんは、男たちにそう言った
プロが依頼者の身元を明かすと思うかい
リーダーらしき男が、静かにそう言った
そうだねしかし、女の子と少年相手に三人懸かりは無いんじゃない
マルゴさんは強気な発言をしながら、ゆっくりと相手との間合いを詰めていく
そっちのエースは一人きりって聞いたからなオレらは、確実な仕事しかやらないんだよ
リーダーの男は、クッと笑った
あたしたちをどうするつもりあたしのことは好きにしてくれて構わないでも、子供二人は助けて欲しい
オレの眼から見れば、あんただってまだ子供だよ安心しろ可愛がってやりたいが、仕事の依頼者からは、女二人には絶対に手を出すなって厳命されていてね
その代わり小僧の方は、確実に殺せって言われている
男の眼がオレに向く
そっかオレ、殺されちゃうんだここで
しょうがないな
フフフ
不意に、マルゴさんが笑い出した
まさか、吉田くんだけをピンポイントで狙ってくるとはね依頼者が誰なのか、あたしには判ったよ
リーダーの男は、フッと鼻で笑った
あんたが何を推測しようと、オレらには関係無いオレたちは、ただ依頼された仕事をこなすだけだからな
男が、ゆっくりとオレに近づいて来る
腰から、スッとナイフを抜いた
マルゴさんが、ピクッと反応する
おいっ、変な動きをするとあっちの姉ちゃんが大変なことになるぞっ絶対に手を出すなって命令はレイプするなってことで、仕方なく傷付けるのはアリなんだからなっ
リーダーが、マルゴさんに牽制する
寧さんの捕らえている男が、オレたちの方にナイフをちらつかせている
リーダーは、オレの顔を見てニヤリと笑った
安心しろ即死させてやるそんなに苦しまないで済むだろうよオレはプロだからな
オレ本当に死ぬんだ
みすず、恵美ごめん
克子姉、渚さんありがとう
先生さようなら
ヨッちゃん助けてよっ
寧さんが泣きながら、オレに叫んでいる
簡単にあきらめて殺されるなっ死んじゃう前に、あたしを助けてよっお願いだから、こっちを見てっ
寧さんを見る
寧さん、泣いている
寧さん、怖がっている
簡単に殺されるわけにはいかないッ
助けなきゃ
寧さんを助けなきゃ
ナイフを持った、リーダーの男がオレに近づいて来る
残り、3メートル
オレはポケットに手を入れた
発煙筒を取り出して、ピンを抜く
おじさん、はいっ
そのまま、ポンとリーダーの男に軽く投げ渡した
何だ、こりゃ
男は発煙筒を受け取って、一瞬眺める
マルゴさんは日本ではあまり見掛けない種類の発煙筒だと言っていた
シュゴッ
発煙筒が、赤い火花と煙を激しく吐き出すっ
オレは、袖からブン殴り棒を滑らせて男の脇腹を思いっきりブッ叩くッ
うわっ
リーダーの男は、体勢を崩して倒れた
同時に、マルゴさんが寧さんの元に向かっていた
オレも、寧さんの方へ走る
く、来るなっこいつの命がどうなってもいいのかよっ
寧さんを捕らえている男は、そう叫ぶがオレとマルゴさんの2方向からの接近に対応が遅れる
自分への注意が薄れたことを知った寧さんは、ポケットからジッポー・ライターを取り出すっ
シュボッ
ライターの赤い炎が、男のナイフを握った手を炙るッ
あちちちっ
男が慌てた瞬間マルゴさんのパンチが、男の顔面に炸裂するッ
寧、逃げてっ
寧さんが、男から逃げるッ
マルゴさんが、男に次々とパンチを食らわせていくッ
口から血を吹いて、倒れる男ッ
しかしっ
バリバリバリリリッッ
マルゴさんの背中に青白い火花が散った
ゆっくりと、マルゴさんが崩れていく
その背後にスタンガンを持った、リーダーの男が立っていた
ったく手間掛けさせやがって
リーダーは、完全にキレていた
もういいガキは殺して、姉ちゃん二人は犯す輪姦して、ブッ殺す
リーダーの男は、右手にナイフ、左手にスタンガンを握りしめている
据わった眼で、ゆっくりとオレに近づいて来る
このままじゃ寧さんとマルゴさんが、大変なことになる
オレは死んでもいい
でも、二人は絶対に守らなきゃ
ふと、眼を下ろすとオレの前に倉庫の机があった
その上に寧さんの置いた、ピストルがあった
オレはすっと、ピストルを手に持った
安全装置のことくらいは、友達のマンガで読んだことがある
安全装置を外してすっと男にピストルを向けた
何のつもりだ、そりゃ
男が、そう言い終わる前に
オレは引き金を引いていた
ダズーンッッッ
男の足下に、穴が開くッ
オレは反動で、壁に引っ付いていた
火薬の匂いが、辺りに拡がる
おおい、お前
男の言葉なんか、聞いていられない
オレはすぐにまた、引き金を引くッ
ドグゥゥンッッ
今度は、男の後ろの窓が割れた
ちょっと待てって言ってるだろっ
男が何か喋っているが、気にしない
さらに、引き金を引き絞るッ
ドギュゥゥゥンッ
男のすぐ脇を、弾は掠めていった
射撃って、結構難しいですね
オレは、男にそう言った
でも、コツが判ってきました次は、当てます
オレは男に狙いをつけた
待ておい、待ってくれ
オレが、引き金を引こうとした瞬間
寧さんの声がした
ダメだよっヨッちゃん、ダメぇぇぇ
はい、前話は前振りでした
今日は、零時ギリギリの投稿です
花粉飛んでますか眼が痛いです
アクションシーンて難しいですね
今見たら、前話が今まで一番多くポイントを貰ってました
ギャグ回の方が、エッチ回より高評価って
精進します
77.血と炎
ヨッちゃん、撃っちゃダメぇぇっ
寧さんが、そう叫んだ瞬間にはオレはもう、引き金を引いていた
カチャッ、カチャッ
弾切れ
へっ驚かせやがって
男が、体勢を立て直しそうとする
残念ねそこまでよ
開いていた窓から、不意に声がした
弓槻先生だ
先生が、男にピストルを向けている
あたしはその子と違って、ちゃんと射撃訓練を受けていますからね
へえ、そうかい
リーダーの男は、ゆっくりと先生の方を向く
動かないで、撃つわよっ
緊張した顔でそう言う先生に、男は言った
やってみろよどれだけ訓練したって、実際に銃の引き金を引くのは度胸が要るんだぜそこのガキみたいに、何のためらいもなくバカスカ撃てるやつなんて、そういるもんじゃねえ
確かに、先生の手は震えていた
ほらよッ
男は、突然、先生に力一杯、スタンガンを投げつけたっ
思わず、飛来物を避ける先生
男は、その瞬間を見逃さないッ
ナイフを振り上げて、一気にオレの方へ走ってくるッ
兄ちゃんの命だけは、貰っていくぜッ
ナイフの刃先が、外からの街灯の光にギラリと光った
殺されるッ
オレは、そう覚悟した
壁際のオレに逃げ場は無いッ
ハァァァッッッ
発煙筒の煙の中から
走って来る男に、マルゴさんが体当たりしたっ
グッ
体勢の崩れた男に、マルゴさんはさらに回し蹴りをお見舞いするッ
男の手から、ナイフが弾きと飛ばされたッ
カランカランカラン
ナイフは、倉庫の床に回転しながら転がっていく
てめえスタンガンで麻痺していたんじゃなかったのか
床に転げた男の言葉に、マルゴさんが答える
してたさこのジャケットは電撃は通さないって話だから買ったんだけどね完全には防げなかったよネットのユーザー評価は、あんまり信じるもんじゃないね麻痺が治まるまでは、死んだふりをしているしかなかったあんたが、再度、吉田くんを狙うのは判ってたしね
どういうことだ
男はゆっくりと起き上がりながら、マルゴさんに尋ねた
自分で散々、オレはプロだって連発してたろ吉田くんを殺して帰らないと、あんたのメンツは立たないそういうことだよね
お嬢ちゃんまだ、完全に回復しているわけでは無いんだろ
男が、マルゴさんに構える
この男も、何か格闘技をやっているらしい
試してみなよっ
悪いがオレは強いぜ
弱い男は、みんなそう言うよ
じりじりと、間合いを計っている二人
ゆっくりと、煙の少ない倉庫の中央に移動していく
なら楽しませて貰おうかッ
男が、そう呟いた瞬間
男の足下で何かが爆発したッ
バムッ
閃光と爆発音ッ
火薬の匂いが、倉庫内の空気を震わせるッ
驚く男に、マルゴさんは女豹のごとく襲いかかったッ
顔と腹に、パンチを叩き込むッ
頭を掴んで、膝蹴りをブチ込むッ
て、てめぇ、仕掛けやがったな
せっかく煙が立ちこめてるんだ仕掛けない方がおかしいだろ
き、汚ねえぞ
おいおい、それがプロの言葉かい
マルゴさんは、男に蹴りを入れるっ
両手の拳で、メッタ打ちにする
あたしたちは絶対に負けるわけにはいかないんだよどんな卑怯な手を使っても
マルゴさんが回し蹴りで、男の肩を打ち抜いたッ
バキッと、骨の砕ける音がするっ
ハァッ
マルゴさんのコンバットブーツが、男の下あごを砕くッ
ブガァァッ
男は鼻と口から血を吹いて、引っ繰り返る
それでもう、お喋りはできないだろっアアッ
マルゴさんの様子がおかしい
トァッッ
倒れた男の腹を、ブーツの先で蹴り上げるッ
次は脚ッ
男の太ももに、思い切り鋭い蹴りを叩き込んだッ
ウガァァァァァ
男の絶叫
脚の骨を折った
殺してやる殺してやるよ男なんて
マルゴさんの蹴りが、止まらないッ
男の腕を反対の脚を蹴り続ける
あははははっあはははっあはははは
狂った様に笑いながらマルゴさんは、男に執拗な攻撃を続けたっ
男の肌が裂け、血が飛び散るッ
ダメだよヤバイよ、マルちゃんっそれ以上はダメだって
寧さんが叫ぶがマルゴさんの攻撃は止まらない
動かなくなった男の身体を、蹴り続けるッ
寧殺しちゃおうよ男なんて男なんてさ
マルゴさんが、男の頭部を蹴り潰そうとした
先生っマルちゃんを止めてっ
寧さんが、弓槻先生に叫ぶ
窓の外の弓槻先生
先生は
STOPMARGUERITE
マルゴさんの動きが止まる
DON’T KILLDON’T KILLSTOPMARGUERITE
マーガレットと呼んだのか
あるいは、マルグリットなのか
オレには、発音が良すぎて良く判らない
とにかく英語で先生に名前を呼ばれた瞬間、マルゴさんは攻撃を止めた
O.K.MAMA
ママ
先生は、マルちゃんのママなんだよ
寧さんが、オレにそう言った
マルゴさんは、床にうずくまる
先生は窓を乗り越えて倉庫の中に入ってきて
マルゴさんを背中から抱き締めた
マルちゃんは、戸籍上は先生の養女になっているの
養女
うん養女って、年齢が一つでも違えばなれるんだよ
MAMASTAND BY ME
震えているマルゴさんを先生は抱き締めている
破壊衝動が暴走したマルちゃんを止められるのは、MAMAである先生だけなんだよっ
寧さんは、口惜しそうにそう呟いた
ALL RIGHTDON’T WORRYDON’T WORRYMARGUERITE
マルゴさんは震えながら、カチャカチャと腰のベルトを外す
自分でズボンを下ろした
筋肉質のマルゴさんの太もも
その股間は、グレイのスポーツ用のTバックで包まれていた
MAMA
マルゴさんは四つん這いになり、裸のお尻を高く先生に突き出した
PLEASE、MAMA
弓槻先生が、マルゴさんのお尻を平手で叩く
OHPLEASEPLEASEMAMA
先生は、何発も何発もマルゴさんのお尻を叩いたッ
OHSORRYMAMAOHOH
マルゴさんのお尻が、真っ赤に腫れ上がるまで先生は叩き続けた
あれでは、先生の手も痛いだろう
マルゴさんは、泣いていた
子供の様に、ワーワーと泣きじゃくっていた
オレの知らない言葉を呟いている
英語だけじゃないインディアンの言葉も混じっているんだろう
SORRYI’m SORRY.MAMA
先生は、寧さんに振り向いた
寧克子に電話して、すぐに来るように言ってマルゴは、しばらくはダメだからこの子はあたしが連れて帰りますあなたたちは、克子の車に乗りなさい
それじゃあ、一台、車を乗り捨てていかなきゃならないよっ
仕方ないわ
ダメだよ、残した車から調べられちゃうって先生、あたしが運転するっ
寧
あたし、アメリカで免許取ったから、運転はできるわっ日本の免許はないけれど何とかするからっ
寧平気なの
大丈夫ヨッちゃんもいてくれるし
寧さんの言葉に、先生は心を決める
ポケットから、車のキーを取り出した
あたしのフィットは、建物の右側に停めてあるわあたしは、マルゴをバンに乗せて帰るから
バンのキーは、マルちゃんが持ってるよっジャケットの胸ポケット
ここの始末は、あなたたちに任せるわできるわね
はい、何とかやります
オレにはそう、答えることしかできない
寧のこと、頼むわね
先生は、オレにそう言った
ヨッちゃん、倉庫の正面のシャッターを開けて
寧さんにそう言われて、オレはシャッターへ向かう
そこの壁際のスイッチだよ多分っ
スイッチを見つけた
壁に埋め込まれた↑開のスイッチを押す
ギギギギギキ
鈍い音を立てて、シャッターが開いていく
人が屈んで通れるだけ開けばいいからっ
寧さんの指示に従ってシャッターが1メートルちょっと上がったところで、停止ボタンを押した
O.K.STAND UP.MARGUERITE
先生は、泣きじゃくっているマルゴさんを無理矢理立たせて、シャッターへ向かう
マルゴさんは、ズボンを上げることもせず腫れたお尻を剥き出しにしたまま歩いて行く
こっちもやっちゃおうヨッちゃん
寧さんが、オレに言った
この人たちを焼き殺すのは、ちょっとだけ心が痛むでしょっ
この倉庫には、火を付けるんだっけ
ヨッちゃん、そっち持っていくよっ
オレと寧さんと二人で倒れている男の洋服を掴んで、ずるずると引き出す
地面に血の跡が付いていく
それでも、とにかく倉庫の外へ引き出した
後、二人っ
もう一度、倉庫の中へ戻って再度、気絶している男を二人で引きずり出す
外へ出ると先生がマルゴさんをバンの中に押し込んだところだった
寧さんが、手を振る
先生は、バンのライトをチカチカと光らせてそのまま、走り出した
大丈夫ですかね
マルちゃんのことは、先生が一番詳しいから任せるしかないよ
寧さんと、三人目の男を外に運ぶ
倉庫から十五メートルくらい離れたところに、三人並べて寝かせておく
このままじゃ、ダメだよね
寧さんが、倉庫から紙と太マジックを持って来る
キュキュキュとマジックで何やら、書いている
それぞれ男の頭の上に紙を置いた
この者、放火犯人
この者、下着泥棒
この者、変質者
黒い太マジックでそう書いた上から、赤ペンで大きくZの文字が書かれている
うんこれで問題なしねっ
何なんですか、これ
こうしておけば、後で警察が来た時にああ、こいつらは悪いやつなんだってすぐに判るでしょう
寧さんは、満足そうだからいいか
さあもう一度、火を付けに行くわよっ
再び、倉庫の中へ
さっきオレが撃ったピストルが落ちていた
弾の入っていないピストルを、オレは壁際に蹴飛ばす
ピストルは、カラカラカランと音を立てて、コンクリの床を滑っていった
さっき撒いた灯油は、すっかり気化して乾いちゃってるね
まだ、容器に灯油は残ってる
半分くらい、残ってますけど
じゃあ、それ全部、その辺の段ボールに掛けちゃって
オレは、言われた通りに灯油を撒く
寧さんは、段ボールの切れ端にジッポーで火を付けていた
段ボールがチリチリと燃えて、黄色い炎を立てる
ヨッちゃん、そこどいて
オレが後ろに逃げると寧さんは、段ボールの山に火種を投げた
ボボッ
一気にブァッと炎が拡がる
逃げるよっ、ヨッちゃん
寧さんは、すぐに出入り口のシャッターの方へ走った
ほらっ、早く
オレも急いで、寧さんを追う
シャッターの入り口から、中の炎に向かって空気が流れ込んでいる
空気の対流によって炎の勢いがどんどん増していく
シャッターの下を潜って、外に転がり出る
ヨッちゃん、こっちこっち
さっきの先生の説明通り、建物の右に赤いフィットが停まっていた
早く乗ってッ
運転席のドアを開いている、寧さん
オレも助手席に飛び込むッ
寧さんは、車を急発進させた
はい、火事です何か、燃えているんですっ
さっきの倉庫から1キロほど離れた場所で、公衆電話を見つけた
オレが電話する
住所は、寧さんが携帯で表示してくれたんでそれをそのまま答えた
とにかく、すぐに行って下さい人も倒れているみたいですえ、オレですかオレはただの通りかがりです名前名前は、田中ですっ
それだけ言って、電話を切った
移動するよっ
今、電話したから、ここの公衆電話の位置は警察に把握されてるとにかく、違うとこに行くわ
再び、車に乗って移動する
寧さんは少し高台になっている方へ車を向けた
寧さん、運転上手いですね
正直克子姉よりも、安定している
うんアメリカじゃ、毎日乗ってたから
アメリカ
うんあたし、去年の三学期は全然学校へ行けなかったでしょうずっと、アメリカに居て暇だったから、免許取っちゃったのあたしが居た所は、十七歳から免許取れるから
それで、毎日乗り回してたんだよねマルちゃんと
寧さんが留年した理由は、まだ判らない
ただ欠席期間に、寧さんはアメリカに居た
なぜ
あっ見えた、見えたっ
寧さんは、高台の上下が広く見渡せる場所に、車を停めた
建築途中の建て売り住宅が並んでいる
夜だから、もう工事関係者もいない人気は無かった
寧さんが、指差す先に赤い炎と黒煙が見えた
すっごい燃えてるっ上手くいったねっ
寧さんは、オレの顔を見て、イシシッと笑った
あれあたしとヨッちゃんで燃やしたんだよ
心なしか、寧さんの眼がとろんとしている
ほら聞こえてきたよっ
寧さんが耳をすます
遠くから、風に乗って消防車のサイレンが聞こえてくる
あははははっ楽しいねっヨッちゃん
寧さんの様子がおかしい
ねえギューッとしてっ
寧さんがシートベルトを外して、オレに抱きついてくる
ね、寧さんどうしたんですっ
オレの胸に寧さんは頭をもたれる
もうお姉ちゃんって呼んでっ
ニッとオレに微笑む寧さん
おお姉ちゃん
オレは思わず、そう言ってしまった
んふふっ可愛いねっ
寧さんが、オレの頬にチュッとキスする
お姉ちゃんね、火を見るとすっごい興奮しちゃうのっさっきのポルシェはイマイチだっけれどほら、見て御覧よ、ケイちゃんさっきの倉庫、すっごく燃えてるよっ
寧さんはオレをケイちゃんと呼んだ
オレを寧さんの亡くなった弟さんと、混同しているんだ
綺麗だよねっボーボー燃えてるよねっケイちゃんとお姉ちゃんを苦しめた悪いオジサンたちも、みんなあの中だよみんな、燃えちゃうんだよっ
お姉ちゃんだよおっお姉ちゃんて呼んでっ
オレに抱きついてくる、寧さん
豊かな胸がオレに押しつけられる
お姉ちゃん
オレは寧さんの錯乱に付き合うことにした
そうだよケイちゃんのお姉ちゃんだよケイちゃん、お姉ちゃんのこと好き
お姉ちゃんも、ケイちゃんのこと大好きっうふふふっ
寧さんの瞳に、火事の炎が映っている
ヤバイ寧さん、完全にトリップしている
ねケイちゃん
な、なあに
お姉ちゃんオナニーしてもいい
寧さんのぷっくりとした唇が、確かにそう言った
オナニーしてもいいって
もうダメだよお姉ちゃん、すっごく興奮しちゃってるのっだって、火が燃えててケイちゃんと二人きりでガマンできないよっこんなの着てらんないっ
寧さんは、ツナギの前のジッパーをジジッと引き下ろす
右手に填めている手袋の中指を噛んで、ずりっと引き抜く
寧さんの白くて長い指が現れる
お姉ちゃん自分でアソコ触ってもいい
眼ではオレを見ながら寧さんの右手は、ツナギの中に潜っていく
寧さんの股間に
オレは、とにかくそう答えた
どうぞなんて言わないでよっ
いいのっいいのよっごめんねごめんね、ケイちゃん
いや、あのな、何で謝るんですか
ごめんねお姉ちゃん、とってもエッチな子なのっいつも、ケイちゃんに隠れて一人で、アソコをイジッているのごめんねっ
寧さんの指が股間をまさぐる
あんっまた、触っちゃったよおっケイちゃん、ごめんエッチなお姉ちゃんでごめんっ
オレは寧さんの背中に手を廻して、ギュッと抱き締めるッ
いいんだよっお姉ちゃんは、エッチでいいんだいいんだからねっ
ありがとうありがとう、ケイちゃんケイちゃんの前だけだからねっ、お姉ちゃんがエッチになるのは、ケイちゃんだけだからねっ
寧さんはぽろぽろと泣きながら、オナニーを続けている
悲しくてたまらなかった
寧さんは今でも、亡くなった弟さんを深く愛している
愛しているんだ
今だけでも、オレは弟さんの代わりになろう
そう、思った
ケイちゃん、あたしね毎晩、ケイちゃんのこと考えて、オナニーしてるんだよっお姉ちゃん、ケイちゃんとセックスしたいセックスしたいよっ
大好きだよっケイちゃんケイちゃんもう、いなくなっちゃやだよおっ
ここに居るからオレは、ここに居るから
うんケイちゃんの心臓、トクントクンしてるねっ
寧さんは、左手でツナギの下のTシャツを捲り上げる
水色のブラジャーが、大きな肉塊を包んでいた
そのフロントホックをパツンと外す
ぽよんっと、白いおっぱいが自由にされる
触ってケイちゃん
オレも、革の手袋を外す
寧さんの大きなおっぱいを揉んだ
すごい、量感
華奢なみすずやスリムな恵美とは、全然違う
克子姉や渚さんも巨乳だけど、あの二人のおっぱいにはオレを包み込んでくれるような柔らかさがあった
寧さんのおっぱいはただ、そこにあるという存在感がスゴイ
きゅっと押すと跳ね返してくる、ぷるぷるとした弾力
つるつるとした肌の張り
十八歳の処女の乳房だ
お姉ちゃんのおっぱい好き
うふふ嬉しいな
小さな乳首が、すでに勃起していた
それを親指の腹で擦る
あんっくすぐったいよ
寧さんは、くふっと笑った
股間をまさぐる右手がいよいよ激しく動く
ちゅぱちゅぱと水音がする
寧さん濡れているんだ
お姉ちゃんね、最初はパンティの上から触るのその方が気持ちいいんだよ、色んなところに触れてそれから、直接触るの入り口の唇とね上のクリトリスをこんな風にあああんっ
寧さんがオレの眼を見ながら、自分のオナニーのやり方を説明してくれる
中に指を入れるのは怖いから、まだしないのケイちゃんを受け入れるところだから、綺麗に取ってあるんだよっ
本当に、弟さんを愛していたんだ
お姉ちゃんは、ケイちゃんの物だからねお姉ちゃんをあげるあげるから、絶対に一人にしないでっお姉ちゃんを、一人にしないでっ
お姉ちゃんっ
オレは寧さんの乳首を舐めた
乳首を吸った
もう錯乱する寧さんの顔を見ていられなかった
オレは、寧さんの胸に顔を埋めた
もう乱暴にしないででも、嬉しいよっケイちゃんが、お姉ちゃんを求めてくれて、嬉しいよっうふふふっ
オレを弟だと誤認している寧さんが乳首を吸うオレを愛しげに撫でる
可愛いケイちゃんあたしのケイちゃんあたし、ケイちゃんの赤ちゃんが欲しいよっケイちゃんの赤ちゃんを産みたいよっケイちゃんッ
寧さんの息が、荒くなる
股間をまさぐる手が、早くなる強くなる
オレは、寧さんの乳首をチューチュー吸う
おっぱいを、ぐにぐに揉むっ
もっと強くもっと酷くしてっお姉ちゃんをイジメてケイちゃんっ
オレは、寧さんの乳首に歯を立てた
ああんっ寧ちゃん、イッちゃうよおっ寧ちゃん、イッちゃうのおっ
寧さんは幼児退行したかのように、自分を寧ちゃんと呼んだ
ケイちゃん、見ててよおっ寧ちゃんが、気持ち良くなるところを、ケイちゃん見ててよおっ
見てるよっお姉ちゃんっ
見てててぇぇっ、見ててぇぇぇイクッ寧ちゃん、イッちゃうッイッちゃうよおっケイちゃぁぁんっ
寧さんの身体が、ビクンビクンと痙攣したッ
オレは、寧さんの身体を思いっきりギュツと抱き締めるッッ
ああんっケイちゃんに抱かれてるっ嬉しいよおっ寧ちゃん、嬉しいよおっ
寧さんは、オレの腕の中で絶頂の余韻に浸っている
寧さんの携帯の着メロが鳴った
寧さんがハッと意識を取り戻す
えっ、ヨッちゃん
剥き出しの裸の胸
オレの唾液でベトベトになって光ってる、ピンクの乳首
寧さんの右手はまだ、自分の女性器の上にある
あたしやっちゃったんだ
寧さんの顔が、真っ赤に染まる
ああの、ごめんなさい
オレは、急いで寧さんから身体を離した
うんうんヨッちゃんは悪くないよあたし、自分が何をしたか、はっきり覚えてるし
覚えているんだ
今、オレの目の前でオナニーして、イッたこと
それより、寧さん電話
あっ、そうだ
寧さんは、急いで電話に出た
もしもし、ごめーんっ克っつん
どうしたの、何かトラブった
寧さんの電話から克子姉の声が零れてくる
うんうん、大丈夫無事に脱出できたからっヨッちゃんも、ここに居るわっ
興奮したままの声で、寧さんは克子姉に返事する
良かった安心したわ途中までの経過は、お嬢様から聞いたわとにかく合流しましょう合流ポイントは
克子姉は、寧さんの変なテンションに気づかなかったらしい
オレは改めて、電話している寧さんの横顔を見る
美しい少女
見た目の美しさでは、世界で一番だと思う
オレは、大好きだ
何でも、力になってあげたいと思っている
そんな寧さんが心の中に深い闇を抱えている
亡くなった弟さんの存在が、今でも深く寧さんの心に突き刺さっている
いや寧さんだけじゃない
マルゴさんも
オレは二人に何かできるんだろうか
こんなに、お世話になっている二人に
とっても、大好きな二人に
自分が無力なことが、情けなくてたまらなかった
ということで、マルゴと寧の裏の性格が出ました
二人とも、心に闇を抱えています
寧は弟のトラウマが消えない限り、処女喪失できません
今日は、ワンフェスへ行きませんでした
ここ数年は、必ず行ってたんですけれど
まあ、金欠ですので仕方ないのですが
78.遅い夕食
克子姉との合流地点へ向かう車中寧さんは、ずっと黙っていた
窓の外は夜の町並みもう、十一時近い
空はどんよりとしてる明日は、雨かもしれない
時々、カーナビが進行方向を音声で教えてくれた
ヨッちゃん、ごめんね
不意に、寧さんがそう呟いた
あたし火を見ていると、時々変になっちゃうの普段は、それでも自分の部屋に戻るまでは、ガマンできるんだけどね今夜はヨッちゃんと二人きりだったから、心が破裂しちゃったみたい
寂しそうな、寧さんの横顔
気持ち悪かったでしょ、あたし
馬鹿なこと言わないで下さいっ寧さんは、いつだって綺麗です
思いの丈をぶちまける
寧さんは、世界で一番綺麗ですっ美人で優しい、オレのお姉ちゃんなんですからっ
オレ亡くなった弟さんの代わりにはなれませんけれど、オレのできることなら何でもしますっ
寧さんは、ゆっくりと首を横に振る
あたし、頭のおかしい女なんだよ火を見ると興奮しちゃって、毎晩、ベッドの中で一人でオナニーしてるんだよっそういう気持ちの悪い女なんだよっ
寧さんが眼に涙を溜めながら、そう言った
オナニーくらい、オレだってしますっ一晩で最高、五回したことだってあります
オレはもう、何もかも告白することにした
高校に入学してでも、家の中にいつも一人きりで寂しくて、怖くてオレ、毎日、オナニーばかりしてました日曜日には、七回出したこともあります
頭の中、妄想でいっぱいでずっと、雪乃をレイプすることしか考えていませんでした雪乃と付き合って、幸せなセックスをするみたいな考えは全然なくってただひたすら、色んな場所で雪乃を強姦することばっかり考えてそれでずっと、オナニーばっかりしていたんですっ気持ち悪いのは、オレの方ですっ
それが入学式以来のオレの生活だった
オレはずっと雪乃を性欲の対象としか見ていなかった
オレはそういう気持ちの悪い人間だ
あたしは自分の死んだ弟とセックスすることを妄想している女なんだよっその方がずっと気持ち悪いでしょ
いいえっ、オレの方が3倍気持ち悪いですっ
あたしの方が、全然気持ち悪いって
オレの方ですっオレは、寧さんの10倍気持ち悪いですっ
じゃあ、あたしはヨッちゃんの100倍気持ち悪い女なんだよっ
それなら、オレは1万倍気持ち悪くなりますっもう、ゲロゲロな男になりますからっ
ぷっ、と寧さんが笑い出した
ハンドルを握って、真っ直ぐ正面を見ている
馬鹿みたいだねおかしいよね、あたしたち
そうですね変ですねオレたち
横顔の寧さんが、ニッと微笑んだ
しょうがないかっ姉弟だもんねっ
オナニー好きの変態妄想姉弟そうでしょ
あのね
運転しながら寧さんが、オレに言う
たすき掛けになっているシートベルトが、寧さんの豊かな胸にグッと食い込んでいる
寧さんが、乾いた声でオレに言った
赤信号で車が停まる
寧さんは、ちらっとオレを見た
本気で、あたしの弟になってくれる
そんなの答えは、決まっている
どうしたらいいんです
寧さんはちょっと考えて、それから答えた
形から入ろうか
形って
マルちゃんが、弓槻先生の養女になっているって話したでしょ
あたしもね養女にならないかって、言われてるの
寧さんも
あたし、両親も弟も殺されちゃったし他の親族は、どこにいるかも判らないしね先生が、自分の戸籍に入れてくれるって言うの黒森の家に
弓槻先生も、戸籍上は黒森御名穂なんだっけ
だからねヨッちゃんも、一緒に入らない
オレも黒森の戸籍に
そしたら、戸籍上は本当の弟だよもう、あたしとは絶対に結婚できなくなるよそれでも構わないのなら
それで、寧さんの気が済むんならオレは全然構いません
別に吉田の家に未練は無い
オレは、両親に捨てられたんだし
寧さんは眼を丸くして、驚いていた
もう、戻れなくなるんだよ人生を黒い森に捧げることになるかもしれないんだよ
オレは笑った
オレの人生なんて、初めっから何の価値も無いんですからそれで、寧さんの気持ちが少しでも楽になるんなら、寧さんにあげます
いいよな別に
あ行方不明のオレの父親を探さないといけませんねオレ、まだ未成年だから養子に行くには保護者の同意がいりますよね
参ったな
母親にこんな話をするのは嫌だし
あっさり、決めちゃうんだ
寧さんは、ポカンとした顔をしている
だってそれが、寧さんの希望なんでしょ
寧さんが何を驚いているのか、オレにはよく判らない
あのね、ヨッちゃん
寧さんの顔が、クッと真顔になる
あなたにあたしたちの本当のことを教えるわね
寧さんが何を言おうとしているのかオレには、判らない
あたしも、マルちゃんも、先生もね男という存在が、心の底から嫌いなのどうしょもないくらい憎んでいるのよ
みぃちゃんもそうだと思う渚さんも克っつんと恵美ちゃんは違うなあの二人は、心の底から憎くむほど男を嫌悪してはいないわ
そんなこと急に言われても
だって
オレ男だし
あたしたちは、男を絶対に信用しないわ死んでも、心を許さないのみんな、男という生き物に散々な思いをさせられてきたからね警戒心を解くことは無いわ先生は、長年一緒に働いている森下さんにすら、完全に心を開いてはいないしね
無理なのよあたしたち、根本的にオチンチンの付いている生き物は信用できなくなっているから本当に大っ嫌いなのよっ
嫌われていたんだ
オレみたいな男が、こんなに綺麗な人に好かれるはずがない
ただ一人ヨッちゃん、あなたを除いて
ヨッちゃんあなたは確かに壊れているわ人間としての心の、大切な部分が大きく欠けている
でも、その代わりあなたは、一度信用した人間は絶対に裏切らない嘘を付かない自分の欲望を第一に行動しないこれって、スゴイことよ
そう、なんですかね
オレには正直、よく判らない
そうよだから、みぃちゃんはヨッちゃんをパートナーに選んだのよっ
みすずが
あの子、本当は男よりも女の子の方が好きよなのに、今はヨッちゃんにメロメロでしょ
メロメロかどうかは、オレにはよく判らない
すごく、オレのことを好いてくれているとは思うけれど
みぃちゃんみたいな家柄の子に寄って来る男は、みんな碌なもんじゃないわお金や権力目当てだったり、単なるステータスとして彼女を欲しがっているだけだったりあの子、良家のお嬢さんてだけじゃなくて、とびっきり可愛いしね
確かにみすずは、とっても可愛い
お祖父様やお父様や一族の身近な男性は、みんな相当に女遊びが激しいみたいだしあの子の性格じゃ、男嫌いになるのは当然でしょ
でもオレだって男ですよそれも、普通の男よりもよっぽど劣っている人間です
ヨッちゃんは、みぃちゃんのどこが好き
どこって
みすずの全部が好きです
全部って
あの子の可愛い性格も好きだし優しくて、いつも人に気を遣っているところは立派だと思ってます小柄で華奢な身体も好きですもちろん、顔も可愛いって思いますし抱き心地も好きですお腹のぷにっとした手触り感がすっごい好きですそれから、声も好きですちょっと高いけれど、何でもハキハキ喋る声がそれから、子犬みたいにコロコロしてて、柔らかくっていつも、オレの後ろをちょこちょこ付いてくるところも好きです
好き過ぎて、数え切れない
みぃちゃんに、何か不満はある
そんなのあるわけないじゃないですか
寧さんは、はぁと溜息を吐いた
それ全部、みぃちゃん個人のことじゃないっ
だってみすずの話をしているんですからっ
寧さんは、ノンノンと首を振る
ヨッちゃんは、どこまでもみぃちゃん自身のことしか見ていないんだよねっ普通の子はね、まずみぃちゃんの周りにある物に眼が行くんだよっ
周りの物
そうお祖父様が権力者だとかすっごいお嬢様学校に通ってるとか
だってそんなの、オレとみすずには関係無いことじゃないですか
寧さんは、アハハッと笑った
うんうん壊れてるっヨッちゃんは、ホント、良い感じに壊れてるよっ
そして、また真顔に戻る
だからあたしたちには、ヨッちゃんが必要なんだね
ヨッちゃんあたしのこと、好き
好きですよ当たり前じゃないですか
あたしどうしょもない変態女だよ
そんなことないですよ
あたしのどこが好きなの
寧さんは、いつも優しくてお茶目で、笑顔が可愛くてそして、綺麗ですオレ、世界で一番綺麗だって思ってますそれから、スタイルもいいしよく、オレにおっぱいをおしつけてくるでしょあのふんわりとした感触がとっても好きですそれから、いつもニコニコしているところも好きですっイタズラ好きで、クスクス笑っている時も好きですそれから
オレは寧さんの心の闇の部分を思い出す
今みたいに真面目な顔をしている寧さんも好きです寧さんには、まだまだオレの知らない顔がいっぱいあるんですよねっ
寧さんの顔が曇る
そうだよあたし、ヨッちゃんにいっぱい隠し事をしてるよっ
うわっ楽しみだなっ
楽しみ
寧さんは驚いた顔をする
だって、そうでしょまだまだ、寧さんの色んな顔が見られるんですよっすっごい、楽しみですオレ、どんな寧さんもきっと好きになると思いますっ
うんそうだ
きっとそうだ
あたしのこと嫌いにならない
もっともっと好きになると思いますっ
だってあたしの過去、メチャクチャなんだよ
寧さんは、寧さんですよ
過去も現在も未来も全部まとめて、寧さんじゃないですかオレが寧さんのこと、嫌いになるわけは無いでしょう
泣きながら車の運転を続ける
ほら危ないですよ、寧さん
大丈夫大丈夫だよ大事な弟を、交通事故に遭わせたりはしないって
寧さんは、涙目でニコッと微笑んだ
ヨッちゃん行方不明のお父様、弓槻先生はもう探してくれてると思うよ
うん調査会社に何か頼んでたから、多分、そうだと思う
先生、オレのこと、ちゃんと考えてくれているんだ
さっきの話に戻るけれど先生に話してもいいあたしとヨッちゃんで、先生の養子になるって
本当に、戻れなくなるんだよ
あたし、ヨッちゃんの本当のお姉ちゃんになっちゃうんだよっ
そのために同じ戸籍に入るんじゃないですか
お姉ちゃんになったら、あたし一生、ヨッちゃんにつきまとうよっもう、離れないからねっ
はい、判ってます
寧さんは、正面を見たままニッと微笑んだ
あたし、もうケイちゃんの夢を見ないで済むかもしれない
ケイちゃんのことは、今度話してあげるね今は無理そろそろ、目的地だから
ね正式に戸籍が一緒になってヨッちゃんが、あたしの弟になったらさ
いっぱい、セックスしようねっ
あたし一生、ヨッちゃんとしかセックスしないからあたしの性欲は、全部ヨッちゃんにブツけるから、覚悟しておいてねっ
あ、あの
なあにお姉ちゃんのお願い、きいてくれないのっ
いえわ、判りました
あたしヴァージンだからね優しくしてよっ
は、はい判りました
うふふふんっよろしいっ
寧さんは、いつの間にかいつもの寧さんに戻っていた
ふんふんと、オレの知らない歌をハミングしている
うんニコニコしている、寧さんの方がいい
本当に、綺麗な顔をしている
美人は横顔が一番良いって、中学の美術の先生が言ってたけど本当だな
オレ、寧さんが好きです
あたしもだよっヨッちゃん
寧さんは、最高の笑顔でオレに微笑んだ
克子姉が指定した合流地点は、街道沿いのファミレスだった
深夜だというのに、煌々と灯りが付いている
寧さんが、車を駐車場に入れる
見慣れた緑のミニバンを確認した
克子姉は、先に着いているようだった
店内に入ると克子姉と恵美が居た
遅かったですね運転、大丈夫でした
克子姉が、心配そうに寧さんに尋ねた
2ヶ月前にアメリカで運転して以来だからねまあ、何とかなったよっえへへっ
寧さんは、すっかり上機嫌だった
寧様の車はここに置いて、帰りは全員、あたしの車に乗って下さいあの車は、明日、あたしが回収しますっ
いいよあたし、お屋敷まで運転するってヨッちゃんにナビして貰うからさ
ダメですっ寧様、日本の免許証は持ってないんですからっ検問とかに引っ掛かったら、大変なことになりますよっ
克子姉が、強く寧さんを叱った
判ったよ、克っつーんあーあ、もう少し、ヨッちゃんと二人きりで居たかったのにっ
寧さんは、口惜しそうにそう言った
お嬢様はマルゴ様と一緒に先にお屋敷に戻りましたしばらくは、お二人だけにしておく方が良いと思います何かあれば、今はお屋敷に渚もいますし
真緒ちゃんが眠っちゃったから、渚さんは今夜はお屋敷にお泊まりなのねっ
はいお嬢様たちのお食事は、渚にお願いしましたあの子のことですから、台所の冷蔵庫を開けて何か作ってくれるでしょうあたしたちは、ちょっと遅いご飯になっちゃいましたけれど、ここで食べて帰りましょう
うん渚さんが居てくれるなら心配ないな
ところで恵美って、ずっとどこに居たの
オレは、恵美に聞いて見た
えっと最初は、御名穂さんと赤い車でお医者さんへ行って、それからお酒のお店でのヤクザさんとのやりとりは車の中で見てたその後、克子さんの緑の車に移って、倉庫の時は、1キロくらい離れた所で克子さんと待機してたの
恵美様は、黒い森としては今夜が最初の活動になりますから今回は、全体像を見ていただくだけに致しました
克子姉が、そう説明してくれる
でもスゴイね、吉田くんもうすっかり、活躍してるだね
いや、活躍とかしてないよオレは、ほらおとりだから
おとり
うん相手の隙を作って、マルゴさんが不意打ちをするキッカケを作るのが仕事だから
すごいすごいよっ
恵美が、オレの手を強く握る
おっほんと、克子姉が咳払いした
とにかく先に、ご飯を注文しちゃいましょう
寧さんが、メニューを拡げる
ヨッちゃん、何にする
オレは、メニューを眼で追う
吉田くん、一番安いものを頼もうとしているでしょ
恵美が、オレに言った
図星だった
あたしもそうだったから山峰の家では、いつも気を遣ってお母さんにいつも叱られるの値段は気にしないで、食べたい物を食べなさいって
恥ずかしそうに、恵美はそう言った
そうなんだオレの場合はさ、こういう所に来るの初めてだからメニューを見ても、よく判らないんだよ
えっ、ヨッちゃん、家族でレストランとか行ったことないの
小学生の時は、何回かありますでも、うちの場合は、何を食べるかは母親が全部注文しちゃうから
ヨッちゃんの分まで
はい父親とオレの分までメニューを見るのは、母親だけなんです母親が自分の食べたい物を注文して、それからそれよりも安い食べ物を父親とオレ用に注文するんです
それじゃあ、ヨッちゃんは食べたい物は食べられないじゃない
でも何を食べたいって言うほど、オレ、色んなものを食べてきたわけじゃないしうちはそれが普通だったから
吉田くん一人でファミレスに来たりはしないの
恵美が、オレに尋ねた
来ないよオレ、まだ高一だよ
ええっ、あたし高一の時には、毎日ファミレスに居たよ学校に居る時間よりも、ファミレスに居る時間の方が長かったもの
寧さん本当に、不良少女なんだな
ハンバーガー屋や牛丼店には一人でいきますけどファミレスって、高いでしょオレには無理ですハンバーガーなんかも、一番安い百円のしか食べないですから
ファミレスが高いって
驚く寧さんに、克子姉が言った
彼は、お父様が残されたお金で生活していたからできるだけ倹約していたのよね
はい贅沢したら、すぐにお金なくなっちゃいますから
でも今はいいのよ特に今夜は、黒い森の仕事で来ているんだから何を食べてもいいの一番高い料理だっていいのよ
克子姉が、優しくオレに言ってくれた
でもオレ何が美味いんだか、よく判らなくてオレ、学校の給食と、中学の寮の食事しか知らないから
正直メニューを見ても、何だかよく判らない料理がある
ドリアって何だ
ジャンバラヤって、どこの秘境だ
じゃあさ、ヨッちゃん、あたしと同じ物にしようよきのこのハンバーグハンバーグはさすがに知ってるよねっ
寧さんが、そう言ってくれた
はい、それにします
克子姉が、ウェイトレスさんを呼んでオーダーする
飲み物はドリンクバーだから、好きなのを何杯飲んでもいいんだからね
吉田くんこっち自分で取りに行くのよっ
恵美が、オレの手を引っ張る
克っつんは何がいい持って来てあげるよ
じゃあコーヒーをお願いします
了解っす
寧さんと恵美と三人で、ドリンクバーという場所に行く
えここにある飲み物、どれを選んでもいいんですか
そうよしかも、お代わり自由コーヒー飲んだ後に、コーラを飲んだっていいんだからねっ
スゴイ
世の中は、ここまで進歩していたのか
いつの間に
あたしはアイスティーにするけど、吉田くんは
じゃあ、オレもそれで
恵美がドリンクサーバーの使い方を教えてくれた
恵美ちゃん、氷入れない派なんだ
はいあたし、飲み物に氷を浮かべるの何だか苦手てで
へえ、そんなのも自分で選べるんだすごいな
陸上部の先輩とか、試験期間はファミレスで勉強しているんだよ
恵美が、教えてくれた
だって、一晩中やってるしドリンクバーを注文したら、飲み物はお代わり自由でしょアパートとかで家族と同居している人は、家で勉強するよりもファミレスの方が気が楽だって言ってたわ
あたしたちも今度、来ようか
付き合っているカップルで、ファミレスのテーブル席に座って試験勉強するの流行っているんだって先輩が言ってた
吉田くんは、嫌
そんなことないよ今度来よう勉強教えて
恵美は、恥ずかしそうに頷いた
あのねお医者さんがね
そうだ病院の結果はどうだったんだろう
どうだったの
綺麗に破れてるって
恵美が、オレの耳に小声で囁く
処女膜、ちゃんと破れてるって
お薬も貰ったし明日から、どんどんしてもいいって
どんどん
エッチなこと
恵美の顔が真っ赤になった
だからまた、してね
克子姉にコーヒーを届けに行った寧さんが、戻って来る
二人とも、いつまでドリンクバーに居るのさっ
あ、ごめんなさいっ
恵美は、恥ずかしそうに席に戻っていく
んー今夜のご相談かな
寧さんが、オレの顔を見てニヤッと笑う
違いますよ今夜は、寧さんと寝ますから
オレの言葉に、寧さんが驚く
約束したでしょ一緒に抱き合って寝るって
寧さんがモジモジする
あたしセックスはまだ、できないよ
エッチなら今日はもういっぱいしましたから
克子姉とも、雪乃ともしたし恵美の処女も貰った
みすずとは、風呂場と車の中と二度もしたし
充分すぎる
ただ抱き合って寝るだけです今日はもう疲れましたよ
うんそうだねっ
寧さんが、ニッコリと微笑んだ
あたし、ヨッちゃんの抱き枕になってあげるっ
オレが寧さんの枕になるんですよ
じゃあ、二人とも枕でいいよぐっすり、眠れそうだね
席から、克子姉がオレたちを呼ぶ
何をしているんですっご飯、届いてますよっ
はーいっほらっ、ヨッちゃん行くよっ
そして遅い時間の、楽しい夕食が始まった
というわけで、長かった四月二十九日の章がやっと終了です
次話より、四月三十日に入ります
舞夏ちゃんと恵美の話が中心となる予定です
79.朝の激闘
んん
もう、朝か
弓槻先生のお屋敷のふんわりとしたベッドにはまだ慣れない
ゆっくりと眼を開けると
目の前に寧さんの綺麗な顔があった
おはようヨッちゃん
寧さんは、真面目な顔でオレの顔を眺めている
オレと寧さんの顔は、30センチも離れていない
寝起きの寧さんは、カラーコンタクトをしていない
寧さんのダークブラウンの瞳が、オレを見ている
これが、寧さんの本当の眼の色
夕べは、確か
ファミレスで晩ご飯を食べて、みんなで克子姉の運転する車でお屋敷に帰って
部屋のシャワーを浴び終わった頃に、パジャマ姿の寧さんが枕を持ってやって来て
それで二人で寝たんだった
手を繋いで
セックス無しで
オレの左手をまだ寧さんの右手は掴んでいた
お早うございます
オレも、寧さんに挨拶する
寧さんは、まだオレの顔をジッと見ている
あのもしかして、よく眠れませんでした
あんまりにも寧さんの眼がぱっちり開いているので、ちょっと心配になった
オレと同じベッドじゃ、やっぱり眠れなかったのかな
ぐっすり眠れたよこんなに安心して寝れたのは、久しぶりだから、いつもより一時間も早く目が醒めちゃったの
それであの何をしているんですか
ヨッちゃんの寝顔を見ていたの
オレの寝顔なんて、見ていて面白いですか
面白いよっすっごい発見があったよっ
寧さんが、力強く答える
例えばさヨッちゃんて、全然寝返りとかしないんだねっ
自分で気づいてないヨッちゃん、夕べ眠り込んだ時と全く同じ体勢なんだよこの一時間もずっと見てたけれど、ぴくりとも動かないの寝相が良いとかいうレベルじゃないんだよっ普通は、もっともぞもぞ動くはずだから
何の研究をしているんですか
それはあのオレ、普段は居間のソファで寝ているでしょ
うちのソファだと、寝返りとかしたら床に落っこちちゃうんですよだからなんじゃないですかね
多分クセになっているんだと思う
中学の卒業式からずっと2ヶ月近く、そういう生活をしていたんだから
そっか、なるほどね
寧さんは、うんうんと頷いた
ねヨッちゃんヨッちゃんは、生きてるんだよね生きてここにいるんだよね
突然、妙なことを言い出す
え何です居ますよ、ちゃんと
寧さんは、左の手でオレの顔を撫でる
うんちゃんといる生きてる温かい
オレの体温を感じて寧さんは、そう呟いた
生きてるってすごいね
あたし昨日、ケイちゃんの夢を見なかったケイちゃんが死んじゃってから、初めてだよこんなの
死んじゃってる人って、やっぱり生きてる人が羨ましいのかなそうだよね、死んじゃったら何もできないもんね生きてる人には、適わないんだね
寧さんは、そう言いながらオレの鼻をむにっと掴む
ふが、ふが、ふががっ
ね寧はん、それじゃあ息ができまへん死んじゃいまふっ
寧さんに鼻を摘まれたオレは、変な声になる
あごめん、ごめん
寧さんは、摘んだ指を離してくれる
イタズラっ子ぽく、ニッと笑った
やっぱり、寧さんは笑顔が一番だ
ヨッちゃん、これから毎晩一緒に寝ようか
あたしね、ヨッちゃんと一緒だと、怖い夢を見ないで眠れるみたいなの
寧さんは寂しそうに笑った
ケイさんの夢って怖いんですか
そりゃ怖いよケイちゃん、毎晩、死んじゃうんだからいつも、ケイちゃんが死んじゃう所で眼を醒ますのお姉ちゃん、助けてって、叫んでるところででも、あたし、助けてあげれないんだ本当にそうだったから
寧さんの、悲しい過去
夢という形で、それが毎晩再現されている
だからさ一緒に寝てよね、いいでしょヨッちゃんと一緒だと、ケイちゃんが夢に出て来ないからんふふっ今朝はあたし、ヨッちゃんの夢を見たんだよっ
オレの夢
どんな夢だったんです
ちょっと気になる
あのねヨッちゃんが椅子に座っててね目の前の机の上に、肉まんが千個あるの
に、肉まんが千個
それをねあたしが、ヨッちゃんに食べろっもっと食べろって、無理矢理食べさせていくのよっヨッちゃんは、三百個くらいでギブアップしてもう食べれませんって弱音を吐くんだけど、あたしはダメだっもっと食べろっって、ヨッちゃんの口に肉まんをギューギュー押し込むのすっごい、楽しかったよっ
楽しいのか、それ
いや無理矢理、喰わせる方は楽しいのかも
オレはそんな状況は、ちょっと勘弁だな
というか、どんな夢だ
何を暗示しているんだ
寧さんがオレにすり寄ってくる
キュッとオレの頭を抱いた
ほっぺたに、柔らかいおっぱいが押し当てられる
寧さんのパジャマの間から大きな胸の谷間が見えた
寧さんの寝汗の匂い
ヨッちゃん大好きだよ
お、オレもです
ベッドの上で、寧さんがオレを抱き締める
温かい肉体
寧さんも生きてる
ん、ヨッちゃん
勃ってるでしょアレ
あ、あのこれは、男の生理現象で朝はこうなるんですっ
オレは、必死で弁解した
寧さんとはセックス無しっていう約束だもんな
えーっ、あたしに興奮してくれてるんじゃないのっ
それはその
寧さんの顔が、オレの目の前でクククッと笑った
オナニー、見せっこしようか
昨日は、あたしが見られただけでしょだから、今度は見せっこするの
寧さんは、パジャマのボタンを外していく
寧さんの大きなおっぱいピンクの乳首が見える
あたしもう、ケイちゃんのことでオナニーしないことにするわっ今日からは、ヨッちゃんでオナニーするっ
オレがオカズですか
そうよっだから、ヨッちゃんもあたしをオカズにしてっ
寧さんは、パジャマの下を脱ぐ
白いパンティには、じんわりと染みができていた
寧さん興奮して、濡れている
ほらっヨッちゃんも、オチンチン出して一緒に、オナニーしようよっ
まるで、ゲームでもするみたいな気安さで、寧さんはオレを誘う
しかし、寧さんの眼は情欲に熱く燃えていた
ほら早くぅっ
寧さんの指が、パンティの上に伸びている
オレも、パジャマの下を下ろそうと手を掛ける
突然部屋のドアが、ガバッと開いたっ
そこまでよっ
メイド服の克子姉が、颯爽と登場するっ
そ、そこまでですっ
パジャマ姿の恵美まで
えど、どういうことよっあたし、夕べ、部屋の鍵はしっかり閉めていおいたはずよっ
寧さんが、驚いて克子姉に叫ぶ
あっはっはこの部屋の合い鍵なら、ほらっこの通りっ
克子姉は、手の中の銀色の鍵をオレたちに掲げて見せる
あのあたしも、いただきましたっ
恵美の手にも、同じ鍵が
寧様も、欲しいのでしたら後で差し上げますっ!
って克子姉
それ、オレの部屋の鍵だろ
みんな、オレの部屋には入り放題ってこと
克っつん、ずるいーそりゃ、克っつんは、お屋敷の部屋の鍵は、全部持ってるんだろうけどさでも、人がいる部屋にノック無しで入るのは酷いよっ
そ、そうですよ
プ、プライバシーの侵害ですっ
お黙り下さいったった今、オナニーの見せっこを強要していたのはどなたですっ
な、なぜ知ってる
あーっ、克っつん、部屋の中の様子をずっと監視していたのねっ
当然ですっこの屋敷のメイドとしての克子の義務ですっ
わ克子姉開き直った
これがちゃんとしたセックスか、朝のご奉仕のフェラチオなら、克子も温かく見守りましたっしかし、よりによって朝からオナニーだなんて例え、天が許したとしても、この克子と恵美様が許しませんっ
ゆ、許しませんっ
克子姉は、ノリノリだけど
恵美は、とっても恥ずかしいらしいもう、顔が真っ赤だ
そのハレンチな女体をどうしてお使いにならないんですっ寧様のオマンコとお口は、何のために開いているんですかっ
うっさいなー、もおっいいじゃんか、別にっオナニーの見せっこだって、立派なプレイだよっあたしは、したいのっ
寧さんは、徹底抗戦するっ
いいえ、いけませんっ彼の貴重な精液をそれも朝一番の濃いのを、オナニーなんかで消費されては克子の面目が立ちませんっそうですよねっ、恵美様っ
あのっ
そ、う、で、す、よ、ねっ恵美様っ
羞恥の顔が、とっても可愛い
ということですのでっ克子の朝のご奉仕教室を始めさせていただきますっ
は、はい
では改めまして、おはようございます克子の朝のご奉仕教室の時間がやって参りました今日の生徒様は
お、おはようございますや、山峰恵美ですっ
恵美様は、今朝は何をお勉強したいのかしらっ
あ、あたしはよ、吉田くんのオチンチンをな、舐めますっ
舐めるだけでいいの
あのあたしのお口にだ、出して下さい
何を
よ、吉田くんの精液を、いっぱい出して下さい
出して貰ったら、どうするんですっ
の飲みます吉田くんの精液を飲みます
それで、おしまいですか
もしお口で満足できなかったらめ、恵美のお、オマンコも使って下さい恵美は、いつも吉田くんに犯されたくて、うずうずしてますっ
はいっ、よくできましたっ
うふふふっ、と笑う克子姉
きっと事前に練習させられたんだな
恵美は、恥ずかしさの極地で今にも倒れてしまいそうだ
では、ベッドに上がって、おチンポ様と対面致しましょうっ
恵美はふらふらと夢遊病者の様に、オレのベッドにやって来る
ちょっと、克っつんこれ、どういうことよっ
寧さんは、ご機嫌斜めだ
あーら、では寧様がフェラします
でしたら、寧様はご見学下さいそっちで、オナニーしてていいですからっ
ぐぬぬぅ
真っ赤な顔の恵美が、オレに言う
ぬ、脱がしていい
恵美の目の前にオレのパジャマの下半身が、テントみたいにビーンと立っている
オレは、唾を飲んで頷いた
し、失礼します
恵美の細くて長い指が、オレのパジャマとパンツを一気にペロンと捲った
勃起チンポが、ビビーンと現れる
お、大きい
ビクッとする恵美
こ、こんなのがあたしの中に入ったんだ
改めて見る男の勃起ペニスに、恵美は驚いている
ご、ごめん
オレは、つい謝ってしまった
グロいだろ気持ち悪くない
そんなの判んないよ吉田くんの身体に付いてるものだし
恵美は、すっかり困惑している
可愛いおチンポ様ですよっ克子が保証致しますっ
克子姉が、横から茶々を入れる
恵美は、勃起チンポを目の前にしてドキマギしている
高校一年の女の子には、やっぱりちょっとグロテスクだよなあ
恵美無理してしなくてもいいからな
無理なんかしてないよ
無理なんかしてませんっ
恵美が、オレの顔を見上げる
あたし吉田くんの以外は見たことがないし、一生他のを見るつもりはないからっ
だから、これがいいのっあたしには、これしかないんだからっもう一生、吉田くんのだけなんだからぁっ
恵美が、思い切ってペニスに手を伸ばす
あ温かい
ペニスの熱さに、恵美は驚く
これはですねえ、こういう風に優しく愛撫して下さいっ
克子姉が、恵美の手の上に自分の手を重ねてゆっくり、動かしていく
もっと力を入れて握って下さい大丈夫です、潰れちゃったりはしませんからっ
二人がかりの手コキ気、気持ちいい
ちっくしょう克っつんだけなら、邪魔するのにっ恵美ちゃんが健気過ぎて文句も言えないよおっ
ベッドの端で、寧さんがそんなことを言っている
でも、寧さんの指は自分の股間をまさぐり始めて
寧さん、この状況でもオナニーする気満々なんですねっ
恵美様見て下さいおチンポ様の先が濡れてきたでしょう男の人も、気持ち良くなると濡れるんですよ
オレの先走り液を見て、克子姉が解説する
吉田くん、気持ちいい
うん気持ちいいよ、恵美
嬉しい
恵美の優しい微笑
クラスメイト
優等生の委員長
陸上部のスリムで長身な美少女
そんな子が、今、オレのチンポを素手で触っている
嘘みたいだ
ではそろそろ、舐めてみましょうか
克子姉の言葉に、緊張する恵美
克子姉は、いつの間にかカメラを持っている
では、まずここをこのつるつるの場所を亀頭と言います亀の頭に似ているでしょ
ここが男の人は一番感じるんです思い切って、パクッと咥えちゃって下さい歯を立てて噛んじゃダメですよ唇と舌で柔らかい所で、優しく擦って差し上げるんですでも
先走り液の光っているオレの亀頭には、性臭も漂っている
恵美は、躊躇している
じゃあ、克子がいただいちゃいましょうかっ
克子姉が大きな口を開いて、オレのペニスをパックリ咥えようとする
待って待って下さいやりますっあたしが、やりますから
恵美が両手でオレのペニスを握って顔を近づける
あたし、恥ずかしくて死んじゃいそう
大丈夫です恥ずかしさで死んだ人はいませんっむしろ、恥ずかしさを楽しんで下さいっ
恥ずかしさを楽しむんですか
恵美様にも、いずれ判りますっさあ、どうぞっ
吉田くんあたし、おしゃぶりするねっ
大きく口を開けて勃起を口に収める
熱くて湿った恵美の口
克子姉が、その様子をパシャパシャとカメラで撮していく
恵美様そのまま、彼の顔を見て下さいご奉仕している恵美様のお顔を、彼にしっかり見ていただくんですっ
オレをしゃぶったまま恵美が顔を上げる
オレと恵美の眼が合う
恵美の濡れた瞳
それでは、おチンポを舌でペロペロ舐めて下さい亀頭をキャンディだと思って全体的に舌で舐めるんです
恵美が赤い舌でオレのペニスを舐めていく
チロチロとした舌使いはまだ判らないらしい
子猫が水を飲むようにペロッ、ペロッと舐めていく
舐めながら、ちゃんと彼の顔を見て下さいどこを舐めた時に、どんな反応をするか観察していくんですよ
真面目な顔でオレのペニスを舐めながら恵美の眼は、オレを見ている
恵美の舌がカリ裏を這った
思わず、声が出てしまった
吉田くん、ここ気持ちいいの
じゃあ、もっと舐めてあげるねっ
オレの気持ちいいポイントを発見して、恵美はニコッと微笑む
緊張が取れたようだ
嬉しそうに、舌を使う
舌の色んな部分を使って下さい舌先や舌の横も裏も使って
さすが、優等生
克子姉の指導に、恵美はどんどんフェラチオを学んでいく
そろそろ、激しくしましょうかちょっと口で説明しづらいので、お手本を示させていただいてもよろしいですか
克子姉が、オレのペニスに顔を近づける
これからするのは、お口をオマンコにする動作ですこれで彼を射精に導きますっ唇と舌を使って口全体をオマンコそのものだと想像して下さい
こんな風にします
克子姉が、いきなりオレのペニスを咥えて
チューチュー吸いながら、頭を振ってジュポジュポとピストンする
さすが気持ちいい
判りましたかこんな風にやって下さい
はいがんばりますっ
それはあたしにではなくて彼に言うのよっ
恵美が、恥ずかしそうにオレの顔を見る
吉田くん、あたし、がんばるからあたしのお口のなかに射精して下さいっ
その言葉を聞いただけで、射精しちゃいそうだよっ
じゃ、するね
恵美が、オレのペニスを咥える
ジュポジュポとピストンを始める
恵美の唇の感触が気持ちいい
克子もお手伝いしますわ
克子姉が、右手でオレのペニスの付け根を握って、シュコシュコしごく
左手は、玉袋を優しくさわさわと撫でてくれている
んふふふあたしも、手伝うーっ
寧さんが、後ろから手を伸ばして恵美のパジャマのボタンを外していく
ほーら、恵美ちゃんのおっぱいだよっヨッちゃん、見てみて
恵美の桜色の乳首
オレのペニスをしゃぶりながら恵美の顔が羞恥でさらに赤くなる
あっヨッちゃん、気持ちよさそうあたしも、気持ちいいよおっ
寧さんは、すっかり自分で自分を慰めていた
ぐっしょりと湿ったパンティの中に右手を入れて激しく動かしている
左手では、豊かなおっぱいを自分で揉んでいた
ピンクの乳首をクリクリしている
ああーんっヨッちゃん、どうしようあたし、イッちゃいそう寧ちゃん、イッちゃうよおっ
寧さんは、絶頂に近づくと幼児退行する
一人称があたしから寧ちゃんに変わる
寧ちゃん、気持ちいいのおっ気持ちよさそうな顔のヨッちゃん見てたら、寧ちゃんもおかしくなっちゃうのおっ寧ちゃん、もうイッちゃうよおっ
あああっ、オレももう限界に近い
ヨッちゃん、寧ちゃんに命令してっイケって命令してっお願いだからっ寧ちゃん、ヨッちゃんに命令されたいのおっ
寧さんが、叫ぶっ
ね、寧さん、イッて下さいオレも、もうイキますからっ
そんなんじゃ、ダメだよおっもっと、強く命令してっ寧ちゃんのこと、イジメてよおっ
イケッ寧イクんだっ
うんっ寧ちゃん、イッちゃうっヨッちゃんのお許しが出たから、イクのおっイッちゃうのおっあああああっイクぅぅッッ
寧さんが天国へ飛ぶっ
おっオレも恵美、出るよ出るよッ
恵美が、オレを見上げる
判ってる出してっと、眼で訴えている
い、イクよ恵美ッッ
びゅるるっ、びゅるるるっ、びゅるるるるるっ
恵美の口の中に、オレは激しく射精する
恵美はんんっと、苦しそうな顔をして精を受けとめている
生まれて初めて男の精を味わっている恵美
克子姉が、またカメラを出してそんな彼女の顔を撮影していく
うううっ
最後の一滴まで恵美の口の中に出した
もういいよありがとう、恵美
オレは、恵美の口からペニスを引き抜いた
恵美様大きく口を開いて、口の中にちゃんと精液があることを見せて下さい
克子姉が、そう指導する
それが、フェラチオの正しいしきたりです
恵美は恥ずかしそうに口を開いてオレに見せる
赤い舌の上に白濁液がたっぷりと乗っていた
それもまた、克子姉は写真に撮る
では、お口を閉じてクチュクチュして下さい唾がいっぱい出るように精液は唾に溶かした方が飲み込みやすいですから
素直に克子姉の指導に従う、恵美
クチュクチュとしてゴクッ、ゴクッと飲んでいく
苦いです
恵美は、そう感想を述べた
朝一番の精液は、特に濃いんですそこは、苦いではなく美味しいと表現して下さいっ
鬼教師の指導が入る
はい美味しかったよ吉田くん
恵美は、恥ずかしそうにオレに言った
ありがとう、とっても気持ち良かったよ
オレは恵美を抱き寄せて、お礼を言った
いつでもしてあげるからねっ学校でも、したくなったらいつでも言ってね
だってお昼休みとかは、おしゃぶりしかできないでしょ
恥ずかしそうに微笑む恵美
何を言ってるんですか、お昼休みの時間に、セックスは充分できますっ3回はできますっ
克子姉が、そう強く主張する
でも校内では、エッチする場所がありません
恵美は、そう答えた
まあ普通はそう考えるよな
場所はあるんだよ校長室の下に秘密の部屋がベッドもあったし
オレは、あの監視室を思い出して恵美に言った
そうなのじゃあ、お昼休みでもセックスできるかな
うん多分
吉田くんはあたしと、したい
恵美が、オレにすり寄って来る
恵美の髪は、シャンプーの良い匂いがする
オレは恵美とは、いつでもしたいよ
嬉しいじゃあ、毎日セックスしようね、吉田くんっ
パジャマの前を開けたままの恵美
可愛い乳首が見えている
ああ萎え始めた勃起がまた元気になってしまいそうだ
恵美様、フェラチオはまだ終わりではありませんよっ
横から、克子姉が割り込んでくる
あはい何をしたらいいですか
生徒の顔に戻る、恵美
射精が終わったおチンポ様を、もう一度舐めてお掃除しますっ特に亀頭に先にチュッチュッと吸い付いて、おチンポの中に残った精液を完全に吸い出して下さいっ
はいっ、判りましたっ
恵美は、オレの足下に寝転がって再び、ペニスに吸い付く
精液のついた勃起を、舌でぺちゃぺちゃ舐めていく
んふふふっヨッちゃん
絶頂の余韻に浸っていた寧さんがオレの手を掴む
寧ちゃんねヨッちゃんのことか好きっ好きなのおっ
まだ幼児退行したままだ
ヨッちゃんも、寧ちゃんのこと好き
嬉しいよおっ寧ちゃん、とっても嬉しいのおっ
寧さんが、オレに抱きついてくる
寧さんの大きなおっぱいで窒息するっ苦しい
PIPIPIPIPI
不意に、オレの携帯が鳴り出した
寧さん、電話が鳴ってるからちょっと、どいて
オレは枕元の携帯を取る
大の字に寝た、ベッドの上
下半身では、恵美がお掃除フェラをしている
上半身では、寧さんがオレの胸を枕にしている
足下では、克子姉が恵美の奉仕を指導しているし
もしもし
電話に出てみると
おはようございますっみすずですっ
そうだよな、やっぱり
旦那様みすず、おしっこをしてもいいですか
そして携帯電話の向こうから、ジョーっとおしっこの音が聞こえてくる
あれっ、吉田くんオチンチン、また大きくなってきているよっ
オレの股間から、恵美の声がした
では、今日二回目の精液は克子がいただきますっ
克子姉がオレのペニスに食いついてくる
ヨッちゃぁん寧ちゃんはねっ、ヨッちゃんが好き好きっ
克子さんの舌使い、すっごいそうやってするんですねっ勉強になります
んふふふふっ
旦那様ぁぁ、みすず、いっぱい出てますぅぅ
オレ、どうなっちゃうんだろ
あわわわわわわっ
えー、吉田くん大変だ
今日はバレンタイン
バレンタインて何ですか
80.青春少女・山峰恵美(その1)
ふう
恵美と克子姉に1回ずつ絞り取られて、シャワールームに逃げ込む
背中を流してあげるという女性が三人もいたが、丁重にお断りした
そんなのすぐにセックスに発展するのは、目に見えている
というか、三人がお互いに牽制し合ったので、その隙にシャワーへ飛び込んだ
恵美と克子姉にフェラして貰っていることが、みすずにバレた
みすずは電話の向こうで、あたしのいないところでズルい、ズルイと抗議したが、幼児退行から正気に戻った寧さんがそんなのいない方が悪いんだよっと言って、勝手に電話を切ってしまった
寧さん自分は、フェラ大会に参加していないくせに
みすずには、判らないと思って
あーあ
後が怖いなあみすず、今日も来ることになってるし
何かリフレッシュというより、ぐったりした気分になってシャワー室から出た
恵美が制服に着替えて、一人で待っていた
吉田くん、あのね
あたし今日は、陸上部の練習があるのだから
恵美は、顔を赤くしてうつむく
一緒に来てくれないかな
オレが
うん部活の人たちに、紹介したいのあたしの彼ですって
そんなイベントがあるんだ
嫌かな
恵美は心配そうな顔で、オレを見る
恵美はそうしたいの
そうしたいっていうか女子陸上部のルールなの
ルール
ほら、恋愛と部活は両立しないって言うでしょ
吉田くん、聞いたことない
オレ、中学は男子校だから、基本的に校内で恋愛は無いしそもそも、オレ、クラブに入ったことが無いから
そっか
でそのルールって、どんなの
恵美は、眉を八の字にして困った顔をする
それがね部員が彼氏ができた時は、部活の先輩たちに紹介して、承認して貰わないといけないのちゃんと真面目に交際しているかどうか判断して貰って、いい加減な相手だと思われたら別れさせられるの
げ
どうしよう
だってオレ、恵美だけじゃないしみすずや、克子姉や渚さんともセックスしてるし雪乃のことなんて、レイプしちゃってるしメチャクチャいい加減じゃないか
吉田くん、すっごい真面目だよ真面目にあたしのこと、好きでいてくれるもの
オレ、いいのかなこんなオレで
あたしは、吉田くんがいいのっ
恵美がオレに、抱きついてくる
だからいいでしょ部活の人たちに紹介しても
みすずは、恵美が自分で宣言してたしな了解してたし
渚さんは、あの場にいたよな
克子姉は、笑って許してくれると思うでも、一応聞いた方がいいか
それと、寧さんも
克子姉と寧さんのオッケーを貰ってからでいい
そっか勝手にそんなことしたら、やっぱり悪いよね
恵美も納得してくれた
ちょっと待っててすぐ、制服に着替えるから
オレは急いで、パジャマから着替える
恵美と一緒に、食堂へ下りる
マルゴさんが、英字新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた
あお早うございます
マルゴさんは、すっかりいつもの状態に戻っていた
お早う吉田くん恵美ちゃんも
マルゴさんは、爽やかに微笑む
もういいんですか
ああ、ミナホが付き添ってくれたからね一晩ぐっすり寝たから、もう大丈夫だよ夕べはみっともないところを見せてしまったね
マルゴさんは、恥ずかしそうにそう言った
いえ昨日は、マルゴさんに何度も助けていただきましたありがとうございます
オレは、深く頭を下げた
結局、ヤクザさんも黒服の男たちも全てマルゴさんが倒してくれた
オレはほとんど役に立っていない
あたしだって、吉田くんに助けて貰ったよピストルを撃ったのには驚いたけどね
笑って話すマルゴさんの言葉に、恵美が驚く
どうやら、彼女は夕べの倉庫内での出来事は知らないらしい
克子姉だけが待機車の中でモニターして、恵美にはわざと黒い森の裏の活動は見せないようにしたんだろう
吉田くん、約束して欲しいことがあるんだけど
マルゴさんが、オレに言った
ピストルの撃ち方はそのうち教えてあげるから、それまでは二度と撃たないでね
あオレ、そんなに危なっかしかったですか
何か、パンパン気軽に撃てたけど全然当たらなかったし
危なっかしいっていうかいや、そういうことにしておこうかな
マルゴさんは、何やら考え込みながらそう答えた
ピストルの弾って、変な角度でコンクリートの床とかに当たると、跳ねてとんでもない方向へ飛んだりすることもあるんだよ
ああ、それは危ないですね
だから充分に練習を積むまでは、二度とピストルには触らないいいね
そっか、オレの撃った弾が跳ね返って、他の人に当たったら危ないもんな
うんマルゴさんの許可が出るまで、ピストルには触らない
そうしよう
はいはいはーい朝ご飯、できましたよおっ
そこへ克子姉と寧さんが、食事のワゴンを押して入って来る
今日は、クロワッサンとサラダハムエッグそれから
これ、克っつんが作った自家製のヨーグルトなのっ
うわっヨーグルトって家で作れるんだ
オレはてっきり、化学工場でないと作れないもんだと思ってた
身体にいいから食べてねっ
克子姉も、ニコニコして勧めてくれる
あれヨッちゃん、ヨーグルト、食べれるわよねっ
正直あんまり食べたことがありません
小学校の給食以来か
中学の寮では、見たことないもんな
よしっ、じゃあ、食べてみようっ克っつん、ヨッちゃんのはお砂糖入れた方がいいかもよっ
そうですねっオリゴ糖があったと思うんで、持って来ますっ
寧さんの言葉に、克子姉が台所に駆けていく
結局白いヨーグルトに砂糖をまぶして、食べることになった
さあ召し上がれっ
克子姉が、ニコニコして見ている
オレは、おそるおそるヨーグルトを口に入れる
酸っぱい記憶にある給食のヨーグルトより遥かに酸っぱいそして、甘い
砂糖を入れなかったら、すっごい酸っぱいんだろうなこれ
何か不思議な味ですね
克子姉の問いに対して、オレはそんな感想しか返せない
身体にいいんだから、全部残さず食べなさいっ
克子姉が、オレに言う
オレは、金属のスプーンをグッと噛みしめて
何故だろう
涙が、こみ上げてきた
ど、どうしたの、ヨッちゃんヨーグルト、そんなに口に合わなかったの
寧さんが、オレの顔を覗き込んで驚く
いいえ、違いますそうじゃないんです
オレは涙を拭いながら、答えた
身体にいいんだから、全部残さず食べなさいっって言葉死んだバァちゃんがよくオレに言ってくれたんですそんなこと言われたの、久しぶりだなあって思ったら何かすごく嬉しくなって
子供の頃オレは、いつもバァちゃんと二人だけでご飯を食べていた
バァちゃんが死んでからはご飯は、いつも一人だった
身体にいいんだから、全部残さず食べなさいっ って言葉
バァちゃん、ホントオレのことを気遣ってくれてたんだな
その同じ言葉を克子姉が言ってくれた
ありがとう、克子姉
え何が
克子姉は、何の礼を言われたのか判らないようだった
いいんだよとにかく、ありがとう
克子姉が、困っている
よ、ヨーグルト、もっと食べるクロワッサンに付けて食べても美味しいのよっ
うん、そうしてみるよ
オレはクロワッサンをちぎって、ヨーグルトを付けて食べてみる
この方が食べやすいかも
美味しいよ、克子姉
そう、良かった
朝食が進んだところで、恵美が女性陣に話を切り出した
あの陸上部の人たちに、吉田くんとお付き合いしてるって報告したいんですか、構いませんでしょうか
ちょっと緊張気味に恵美は話した
いいんじゃないのねえ、克子さん
マルゴさんが、最初にそう言ってくれた
ええ運動部って、そういうのやかましいんですよねあたしも、最初にきちんと話しておいた方がいいと思いますわ
克子姉も、笑ってそう言ってくれた
恵美様には、あたしや渚の経験できなかった楽しい高校生活を送って貰いたいんですあたしや渚に遠慮はいりませんから、思いっきりエンジョイして下さいっ
恵美は、克子姉に頭を下げた
えっと、寧さんは
いいんじゃないの
ニコニコと笑って、そう言ってくれる
あたしは、ヨッちゃんのお姉ちゃんになりたい人だからさっ恵美ちゃんのことも、妹だと思ってるし学校の中では、ヨッちゃんと恵美ちゃんが付き合ってるってことにすればいいんでしょ
はい学校外は、別で構いませんみすずさんとの約束もありますし
みすずは、自分の友達にはオレと付き合ってるって話すって言ってたもんな
そっちでは、オレはみすずの彼氏になるんだ
いいよ、判った協力するええっと、女子陸上部のキャプテンて竹柴さんだっけ
寧さんが、言った
はい、三年の竹柴先輩です
あの子、頭が固いから大変なんじゃないの承認して貰えないと、別れさせられるんじゃなかったっけ
寧さんは、留年しているから今の三年生のことはよく知っているらしい
その時は陸上部を辞めますあたし
でも、大丈夫です吉田くんなら、きっとみんな認めて下さいます
恵美はそう言うけれど
でも、オレだよ
オレはオレに自信が無い
とにかく、がんばってみて何かあったら、いつでも相談してよねっ何なら、竹柴さんに直談判してあげようかっ
いや寧さんが、話すのは
この間の、うちの教室への乱入事件を思い出すとちょっと、怖い
まずは、あたしと吉田くんでお話してきます何かありましたら、必ずご相談致しますその時は、よろしくお願いします
恵美は、寧さんの顔を立ててそう言った
判ったうんとさ
寧さんが、ニヒッと笑う
あたし恵美ちゃんのこと、メグちゃんて呼んでもいい
ほら、みすずちゃんのことはみぃちゃんて呼んでるじゃないだから、恵美ちゃんはメグちゃんダメ
いいえそう呼んで下さいあたしも、寧さんのことこれからは寧姉さんて呼びます
あたしはここで生まれた生粋の黒い森の女ですから今日からは、克子姉さん、マルゴ姉さん、寧姉さんと皆様をお呼びします
別にいいのよ、恵美様はお屋敷の娼婦では無いのですから
はい、あたしは吉田くんだけの女ですでも、ここがあたしの故郷だということを、あたしは忘れたくないんです
恵美は、はっきりとそう答えた
食事が済むと克子姉が、何やら大きなカバンを持って来た
これ、昨日、あなたのために珠代様が持って来て下さったものなのよ
オレのためって
そういや、珠代さんてスタイリストをやっているんだっけ
今日の作戦のための服だよ
マルゴさんが、オレに微笑む
女子中学生に受けの良さそうな服だよんっ
そうか、今日は雪乃の妹を堕とすんだ
恵美を見ると彼女は判っているからという眼をしてくれた
恵美にとっては、腹違いの妹だ
親戚の集まりで、面識もあるだろう
一応ね、三種類コーディネートして下さったのよ
克子姉がテーブルの上に、それぞれ三種類の服を出す
えっとねA案が爽やかスポーツマン系ね
ブランド物のスポーツウェアに、たっぷりとした感じのズボンに、スニーカー
B案が、大人っぽい知性派だそうよ
こっちは、ボタンダウンのシャツにカーディガンそれと、スラックス茶色系の革靴
で最後のC案は星の王子様だって
えー、白いズボンに白いシャツあと、変なバラの花の刺繍の付いたチョッキに黄色いスカーフそして、謎の厚底ブーツ
確かに、王子様っぽいけれど何の王子様だ、こりゃ
いつの時代のアイドルだよ
どれがいいかしらね
克子姉の問いに、寧さんが答えた
そんなの、スポーツマン系しかないでしょっヨッちゃん、これ似合いそうだし
えオレのどこがスポーツマンなんですか
あたしは知性派がいいと思うな中学生から見れば、高校生は大人でしょ大人っぽい雰囲気を高めた方がいいんじゃないかな
マルゴさんは、そう言う
そうですねスポーツマン系は、ちょっと馬鹿っぽく見えるかも
克子姉も、マルゴさんの意見に乗るようだ
何言ってんの、ちょっと馬鹿っぽいところが可愛いんじゃないっ
寧さんやっぱり、オレのことをちょっと馬鹿だと思ってますね
いや確かに、そうなんですけど
恵美ちゃんは、どう思う
マルゴさんが、恵美に尋ねた
あたしはこれがいいと思います
そう言って、星の王子様のコーディネートを指差す
それはちょっと馬鹿じゃなくって、かなりの馬鹿だよっメグちゃん、そういうセンスなの
寧さんが、驚く
あたしは、こういうのは好きではないですでもあたし、舞夏ちゃんのことは良く知っているんです
恵美が、お姉さんたちに言った
舞夏ちゃんて雪乃の妹ですよ
恵美の一言が、部屋全体に衝撃をもたらす
じゃあ、星の王子様しかないですね
うん、仕方ないね
ということだから、ヨッちゃん後で星の王子様に着替えてねっ
えっ、オレこれ着るの
ま、マジですか
あ、マジなんですね
相変わらず、オレには選択権が無いらしい
本当にお送りしなくていいんですか
玄関で、克子姉がオレたちに言う
はい、歩いて行きますこれからは、毎日通学するんですしお姉様方に車で送っていただくのは、申し訳ありません
道は判ります
はい、この辺りは昔のあたしの遊び場ですから
恵美は、六歳までこの屋敷に居たんだっけ
次の予定がありますから、十時三十分までには戻って来て下さい
克子姉が、オレにそう言った
はい王子様タイムが待っているんですね
ちょっと、気が重い
では、行って参ります
恵美が、礼儀正しく克子姉に挨拶した
オレも行ってきます
オレも真似して、頭を下げる
あ待って
克子姉が、オレの制服の衿を直してくれる
それから、髪の毛にも手を入れる
うん可愛くなったわ
克子姉せめて、格好良くなったと言って欲しい
学校内では、恵美様が気を付けて直してあげてくださいね
克子姉が恵美に言った
はい判りましたみんなの吉田くんですから
何か、子供だと思われてるみたいでちょっと嫌だ
衿ぐらい、自分で直せるよ
じゃ、行ってくるからね
改めて、克子姉にそう言った
はい、行ってらっしゃい気を付けてね
克子姉は、満足そうに笑って見送ってくれた
お屋敷の正面の出入り口でなく恵美は、裏に廻った
こっちの方が抜け道になっているのよ
恵美は道路では無く、木の生えた斜面の山道を下っていく
帰り道はしんどいと思うけれど行きはただ下りていくだけだから
確かに、道になっている
所々、階段になっているし
あ、まだあった
山道の途中で、恵美が立ち止まった
見ると、道の向こうに小さな東家がある
あそこ子供の頃のあたしの秘密基地だったの
ここいら辺で、六歳の恵美は遊んでいたんだ
今度、あそこでセックスしようね
あそこもね本当は、そういう目的で建てられたのよ子供の時、何度か見たこともあるわあたしのお母さんも、あそこでお客さんに犯されてたの
お母さんがされてたみたいにあたしのこと犯して
恵美の眼が、濡れている
約束よ
しばらく歩くと、高校の裏の道に出た
何だ、車で五分の距離だけど抜け道を歩くと、十分も掛からないで着くんだ
そう言えばお屋敷は元々、うちの高校の女子寮に偽装して建てられたんだっけ
それなら、この近さも判る
寮生は、毎日歩いて通ってたんだろうから
校門が見えてきたところで恵美が言った
ね、吉田くん手を繋いでもいい
恵美がそっと手を差し出す
恵美と手を繋ぐ
女の子と手を繋ぐということ
何か、むずかゆい
力が抜ける恥ずかしい
でも恵美の手が、ギュッとオレの手を握りしめている
恵美緊張しているんだ
オレも、キュッと手を握り返す
大丈夫だからオレは、ここに居るから
うんありがとう
二人で手を繋いだまま校門を潜り抜けた
そのまま、運動部の部室棟へ向かう
休みの日だけれど、部活の生徒が何人もいる
みんな見ている
オレと恵美が、手を繋いで歩いている姿を
恵美の手が熱い
じんわり汗をかいている
大丈夫恥ずかしいけれど、恥ずかしくないから
赤い顔で、恵美は答えた
お早う、山峰さん
陸上部らしい女生徒が、恵美に声を掛けた
お早う、高城さん
高城さんと呼ばれた子が、オレと恵美の繋いだ手を見る
えどうしたの
ど、どうしたのは無いだろう
つ、付き合ってるのあたしたち
恥ずかしそうに、恵美は答えた
う、嘘
高城さんは、絶句する
すみません
こんな男で
嘘じゃないわそうよねっ、吉田くん
恵美が、オレに振る
うん嘘みたいだけど、嘘じゃ無いんですっ
一か八か、そう答えた
高城さんは、オレたちをしげしげと見る
そう言えば、山峰さん何か綺麗になった髪型変えた
うん昨日、切ってもらったの
何か、気まずい雰囲気のまま部室棟に到着した
ちょっと、待っててね
恵美が、オレにそう言う
着替えてきちゃうから
恵美と高城さんは、そのまま部室の中へ入って行く
オレは、部室棟の前で立っている
どこか、別の場所で待っていると言えば良かった
女子陸上部の部室の中には、何人かもう来ているらしい
時々、中からえーとかきゃあとか言う声が聞こえる
部室の入り口が少しだけ開いて好奇心いっぱいの眼が、オレの方を覗き込んできたりする
何だ
オレは、動物園のパンダか
珍獣か
やがて、部室の戸が開いて恵美が出て来た
短パンにトレーニングウェアの恵美
細くて長い素肌の脚
スリムな長身
切れ長の綺麗な瞳
昨日、優花さんに切って貰った髪が似合っている
美少女だ
本当に、綺麗な少女
顔だけでなく全身のスタイルが美しい
この肉体を昨日、抱いたんだ
恵美の子宮の中には、まだオレの精液が入っている
この可愛い口に、今朝射精した
オレの精液を美味しいと言って、飲んでくれた
愛おしい
とっても、愛おしいと思う
あの身体を、思いっきり抱き締めたい
ただ
恵美の背後には、たくさんの女子陸上部員が
みんな、ちょっと興奮した眼でわくわくしてオレたちを見ている
お、お待たせ
あ、うん
何か、恥ずかしい
みんなが、オレたちを見ている
しげしげと見ている
ジロジロと見ている
二年生らしい部員が、恵美に言った
恵美ぃ、ホントにこの子でいいの
ドキッとした
いいんですっあたし、吉田くんが好きなんですっ
恵美がつい、大きな声で抗弁する
言ってしまった後、自分でも驚いたらしい
ハッとして、真っ赤になる
女子部員たちはきゃあーっと歓声を挙げた
あ、あのね、キャプテンたちはもうグラウンドに行っちゃってるんだって
泣きそうな眼で、恵美は言った
だから、どうしようか
恵美は、朝の部室でみんなに報告するつもりだったらしい
部室の中なら内々で済むけれどグラウンドなら人目が多い
判った行こう
オレは、恵美に手を差し出した
恵美の眼が、オレを見る
いいも何もオレも、恵美が好きだから
また、背後でわあっと歓声が起きる
恵美が、オレの手を握った
行こう、吉田くん
手を繋いだままオレたちは、グラウンドに向かって駆け出す
後ろから、他の女子陸上部員たちも追っかけてきた
みんなでグラウンドに向かう
何か、映画みたいだった
本当じゃないみたいだった
だけど恵美と繋いでいる手が
この手のぬくもりが
キュッと握りしめてくる力が
これは嘘じゃない、本当のことなんだって教えてくれた
ハァハァと息を吐きながらオレたちは、グラウンドに到着する
グラウンドには、陸上部だけでなく他の運動部の連中もたくさんいる
正直ちょっと、ビビる
あ、あそこよ
恵美の視線を追うと
グラウンドの前のベンチで、トレーニングウェアの三年生が何人か集まって話をしていた
あの中に、女子陸上部のキャプテンも居るのだろう
あの真ん中のショートカットの背の高い人あの人が、キャプテンの竹柴遙香さんよ
綺麗な人でしょう
確かに、綺麗な人だった
恵美よりも長身で、日焼けしている
大きな二重の眼ちょっと怖そうな顔をしている
竹柴センパーイ、山峰さんがお話があるそーでーすっ
さっきの二年生が、茶化した感じでそう叫んだ
竹柴さんたち三年生も、一気にわさわさと現れた部員たちとその中心にいるオレたちに気づいたらしい
立ち上がって、こっちを見る
話って、何
不機嫌そうな顔で、竹柴キャプテンが恵美に言う
恵美は、どきどきした顔で
た、竹柴キャプテンそれから、三年生、二年生の先輩方陸上部員の皆様に報告致しますっ
恵美はオレと繋いだままの手を、ブンブン振った
思いっ切り大きな声で叫ぶっ
あたしっこの人とお付き合いすることになりましたっ
グラウンド中が騒然となる
えー、なになになに
何が始まったんだ
オレたちの周りに、どんどん生徒たちが集まってくる
竹柴先輩は、野次馬たちを不快そうに見て、チッと舌打ちする
そして恵美に、
どうゆうこと
と、吐き捨てるように言う
恵美は、ハッと息を呑んでさらに大きな声で叫ぶ
あたしっ、この人のこと愛しているんですっ
えー、舞夏ちゃん陵辱編に行く前に、先に恵美の青春編をやっておきます
そんなに長くはなりませんので
ここでまた新キャラか
81.青春少女・山峰恵美(その2)
さて大変なことになった
朝のグラウンドは、野次馬が次々に集まって来る
女子陸上部キャプテン、竹柴遙香先輩は不機嫌MAXの顔で恵美に言った
うちの女子部は、文武両道で通ってるんだ陸上部のどこに武があるってやつもいるけれど、あたしは陸上ってのは武道だと思ってるからそこんとこ、よろしくね
竹柴先輩は、周りのギャラリーをキツイ眼でギッと睨み付けて威圧する
はいっ、判ってます勉強も部活も、絶対に手を抜きませんっ食らい付いてがんばりますっ
恵美も、真剣な眼で先輩に答える
てめえ、男なんかとイチャイチャしてて、ちゃんとやれると思ってんのかよっ
竹柴先輩が、怒鳴るッ
グラウンド中が震撼する
はいっ精一杯、やって御覧に入れますっ
恵美も、負けないくらいの大きな声で先輩に答えた
恵美は、芯の強い子だ
キャプテンの声での恫喝ぐらいでは負けない
あっそあんたが、どうしようと別にあたしの知ったこっちゃないけどね
先輩は、ジロッとオレを見る
不快な生き物を見る目付きだ
あんた名前は
一年生
はい恵美と同じクラスです
先輩が、ハッと鼻で笑う
へえ恵美って呼んでるんだ
やべつい、口から出ちゃった
はいっ、吉田くんはあたしの恋人ですからあたしのことは、呼び捨てにして貰ってます
恵美が、ハッキリとそう言った
ふうん判ってると思うけれど、男ができたせいでフヌケたり、弛んでりした場合は別れて貰うよ
別れませんそうゆう風に先輩方がご判断された時は、クラブを辞めます
竹柴先輩の顔にクッと怒りが走る
なに陸上より、男の方が大事だっての
恵美は、怯まずに答えた
陸上も大事ですでも、吉田くんとは一生のお付き合いですから、絶対に別れません
先輩は、ハハハと笑った
恵美を小馬鹿にするように
馬鹿じゃないの、あんた男なんて、あんたとヤりたいだけなんだよどうせ、こいつに遊ばれて、捨てられんのが落ちだっての
彼はそんな人ではありません真面目な人ですあたしは、一生、この人を愛しますこの人の子供を産みますもう決めたんです
恵美の言葉にギャラリーからおおっという声が上がる
あら、そうじゃあ、今すぐ辞めなあんたみたいな恋愛で頭がブッ壊れてるがいると、部の士気に影響するから部内がチャラつくんだよねとっとと辞めて先生には、あたしから話しておくから今すぐ退部届を書いてきなっ
先輩は、冷たく恵美を突っぱねる
それはあたしの練習態度を見てから、ご判断していただけませんか
恵美は、尚もキャプテンに食らいつく
その必要は無いから、そう言っているんだけど
竹柴先輩の言葉は、冷たい
そうですか、残念です
恵美が、うつむく
短い間ですが、お世話になりました
ハンッと竹柴先輩は、恵美を笑う
こっちは世話した覚えは無いから悪いけれど、あんたは最初っから陸上部とは無関係だったってことにするから退部届けもいらないわあんたの入部届は捨てとくから最初っからいなかったってことにするわ
酷い
なんだよ、それ
ちょっと待って下さいよそれ、おかしくないですか
オレは、先輩にそう言った
何あたしの決定に不服なの、あんた
竹柴先輩は、ジロッとオレを見る
はい、不服ですおかしいと思いますこんなの変です
オレは止まらなかった
おかしいぞ
こんなの、全然オレらしくない
でも恵美の気持ちを考えたら
黙っているわけにはいかないっ
あんた一年のくせに先輩に楯突く気
竹柴先輩の眼が怖い
だが、負けられない
こんなおかしな話に、先輩も後輩も無いですよっ 恵美は中途半端なことはしたくないから、一生懸命陸上をがんばるって、オレに言ってくれました恵美は、いつも真面目で、一生懸命で、精一杯がんばる女ですっ恵美に一度もチャンスを与えないで、邪魔だから部から出て行けなんて、おかしいですよっそんなの間違ってますっ
口から感情のままに言葉が迸った
こんなの、初めてだ
オレじゃないみたいだ
よくそんなこと言えるわね生意気な上に馬鹿ふざけんじゃないわよっ
竹柴先輩が、オレを突き飛ばす
オレはグラウンドに転がった
恵美が、オレに駆け寄ってくる
ホントさ目障りだからさ、二人ともグラウンドから出てってくれる今すぐ、出て行きなさいよっ
竹柴先輩の怒号が、グラウンド中に響いた
出て行きませんよ
オレは、先輩に叫び返した
恵美にチャンスをくれるまではオレは、ここから動きませんっ
恵美が、ギュッとオレを抱き締めるッ
吉田くんっいいから、もういいからっ
全然、良くないよっこんなのっ
オレは、竹柴先輩を睨み返した
そうね、全然良く無いわね
観衆の中から現れたのは岩倉先輩だった
岩倉幸代さん
生徒会長で弓槻先生の玩具の一人でもある
あなたたちの話は全て聞かせていただきました生徒会長として発言するけど、竹柴さん、あなた、ちょっとやり過ぎなんじゃないかしら
岩倉さんは、ククッと微笑む
これは女子陸上部の内部の問題だ生徒会には、関係無いと思うけれど
竹柴先輩は、岩倉会長の介入に反発する
あら全てのクラブ活動は、生徒会の管轄下にあるんだけど竹柴さん、ご存じない
岩倉会長は、余裕の表情で竹柴先輩に話す
それは知っているだが、あたしは女子陸上部のキャプテンとして
キャプテンなら何をしてもいいの顧問の先生に相談もしないで、勝手に下級生の部員を退部させる権限なんて、どのクラブの部長には与えられてないと思うけれど
岩倉会長が、冷酷な瞳で竹柴先輩を追い詰めていく
あたしに、どうしろって言うんだ
竹柴先輩が、溜息を吐く
別に普通にしていてくれればいいわそうね、取りあえず1ヶ月その一年生の練習の様子を見てそれから、その子の処遇を決定すればいいわ
岩倉先輩は恵美に陸上部を続けるチャンスを与えてくれようとしている
一ヶ月、様子を見ればいいのね
ええ、一ヶ月でいいわ
見つめ合う、竹柴キャプテンと岩倉会長
あたしの考えは変わらないよ
それこそ、やってみないと判らないじゃない
竹柴先輩は、チッと舌打ちする
判ったよここは会長の顔を立てておくことにする
あら、悪いわね竹柴さん
岩倉会長は、フフッと笑った
さすが、岩倉会長だっ
よっ、生徒会長
公平なお裁き、ご苦労様っス
ギャラリーから、岩倉会長を讃える声が上がる
会長は、軽く手を上げて歓声に応えた
竹柴先輩はブスっとしている
あのありがとうございます
オレは岩倉会長に頭を下げた
恵美も、オレの後ろで頭を下げている
あなたたちに礼を言われる筋合いは無いわあたしはただ、生徒会長として正しいと思うことをしたまでだから
岩倉会長は、満足げにそう言った
あらこんなことで恩を売ったつもり
ギャラリーの列がスッと二つに割れる
現れたのは
弓槻御名穂
オレたちの先生
恩を売るなんてそんな気はありません
先生の姿を見た途端岩倉会長は動揺する
そうかしらこんなの全然、あなたらしくない行動だと思うけれど
弓槻先生は、あたしを誤解なさっています
睨み合う、先生と岩倉会長
驚いた顔で竹柴先輩も見ている
ああ、判ったわあなた、こっちの一年生に恩を売ろうとしたんじゃなくて、竹柴さんに気があるのね
先生は、冷たく笑った
竹柴先輩がえっという顔をして、岩倉会長を見る
ば、馬鹿なことを言わないで下さい
岩倉先輩は、疑惑を強く否定する
隠さなくてもいいわよ計算高いあなたが、わざわざこんなことをするんですものそうとでも考えなければ、話の筋が通らないでしょ
突然、先生が言い出した生徒会長のレズ疑惑に、観衆はざわつく
竹柴先輩も、思わず岩倉会長から距離を取った
違うわあたし、違いますからねっ
必死で抗弁する岩倉会長
それが、さらにギャラリーの注目を集める
まあ、別にあたしはあなたの性的嗜好についてとやかく言うつもりはないわそんなのあたしには関係無いもの別に、岩倉さんに興味は無いし
散々煽っておいて、先生は岩倉会長を切って捨てる
口惜しそうな会長の顔
ところで
あなたコーラを買ってきて
あそこに自動販売機があるでしょあそこまで行って、コーラを買ってきて
先生の指差す方向グラウンドの外、南校舎の端には確かに自販機幾つかがある
ここからは直線距離で、百メートルくらいだ
早くして
先生が、オレを促す
心配そうに、オレを見る恵美
はい、買って来ますっ
オレは全力疾走で、自販機まで走る
ダダダダダーッ
ポケットから財布を取り出して
一番手前のコカコーラの自販機でコーラを買う
再び、全力疾走でグラウンドを横切って
先生買って来ました
息を切らしながらオレは、先生にコカコーラの缶を届けた
ところが、先生は
あら、これコカコーラじゃないあたしが頼んだのは、ペプシコーラよ
えっ、そうだっけ
すみませんっ間違えましたっ
オレは再び、全力疾走で自販機まで走るっ
ええっとペプシ、ペプシ、ペプシあった
ペプシを買ってまた走るっ
はぁ、はぁ、はぁペ、ペプシです
先生は、オレの手渡したペプシの缶をしげしげと見ながら、
ごめんなさいやっぱり、紅茶にするわ紅茶の缶を買ってきて
先生が、冷酷に微笑む
レモンティですか、ミルクティですか
ストレートティってある
確か、ありましたっ
じゃあ、それにするわ
オレは再び、自販機に向かって駆け出す
先生は、何か理由があってオレにこんなことをさせている
なら、オレは精一杯やるだけだ
全身汗びっしょりになりながらオレはストレートティの缶を持って、先生の前に戻った
はい、ストレートティですっ
く、苦しい
普段から、もっと走り込んでおけば良かった
あら、もう買ってきちゃったのあなたが走り出した時に、やっぱり、レモンティがいいわって言ったんだけど聞こえなかった
先生は、平然とそう言った
判りましたっレモンティですね
オレは、汗だくの身体で走り出すっ
はぁ、はぁ、はぁ
自販機に向かってダッシュする
オレが財布を取り出すともう小銭が無い
仕方ないオレは千円札を取り出す
レモンティを買って
走って戻る
れ、レモンティです
差し出したレモンティの缶を見て、先生は言った
あなたの帰りがあんまり遅いから気が変わったわやっぱり、ウーロン茶がいいわ
はいっウーロン茶ですねっ
再び走り出すオレをギャラリーの連中は、不思議そうに見ている
竹柴先輩も岩倉会長も、呆然と見ている
オレはただ、言われたことをやり抜くだけだ
自販機に向かって走る
全力で走る
震える手で、自販機にコインを入れようとすると
吉田くーんっ
恵美が、オレに向かって走って来る
さすが陸上部足が速い
恵美は、誰かから借りたらしい大きなビニール製のカバンを持っていた
オレの前に駆け寄って恵美が言う
全部買いましょう
え全部
ここの自販機にある飲み物全部の種類買うのよっ
そそうかっ
吉田くん、お金ある
恵美は部活のトレーニングウェアだから、財布を持っていない
大丈夫足りるぐらいは持ってる
まだ先生に貰ったお金が残っている
オレは恵美に千円札を手渡して手分けして、飲み物を買う
オレは左の自販機から
恵美は右の自販機から
買った飲み物は、恵美が持って来たバッグに入れていく
全部で二十五本くらいは買ったと思う
吉田くん、そっち持って
重いバッグを二人で持ち上げてオレと恵美は、走り出す
二人で、足並みを合わせて
いっちに、いっちに、いっちに、いっちに
恵美が、声で拍子を取ってくれた
走る
オレたちは、走る
グラウンドのギャラリーたちに向かって
冷たい微笑でこちらを眺めている、弓槻先生に向かって
二人で走る
全部の種類を買って来ました弓槻先生のご希望の品はどれですかっ
恵美が、先生に向かってそう叫んだ
観衆たちは、恵美の声に圧倒されてしーんと静まりかえっている
どれもいらないわ
先生はそう言って、オレが最初に買ったコーラや紅茶の缶をオレたちの持つカバンの中に押し込んだ
どよめくギャラリー
先生は、ククッと笑って竹柴先輩を見る
竹柴さん、一本いただいたら
驚く、竹柴先輩
こんなにたくさん買ってきちゃってこのままじゃ、邪魔になっちゃうでしょそのカバンの中から、好きなのを一本取りなさい
先生の言葉に、躊躇する先輩
一本、取りなさいって言っているのよ
弓槻御名穂が悪魔の本性を晒して、竹柴先輩を見据える
ゾクっと震える、竹柴先輩
ど、どうぞ先輩取って下さいっ
肩で激しく息をしながらオレは、先輩に言った
どうぞ、キャプテンっ
恵美がバッグを開いて、先輩に差し出す
判ったいただくわ
先輩は、スポーツドリンクを選んでバッグから取り出した
それ女子陸上部の人たちにあげなさい山峰さん、判るわね
恵美の顔が、パッと明るくなる
恵美は大きな声で返事をした
吉田くん、一緒に持って
オレは、恵美とバッグを持ち上げる
こっちに来て
二人でバッグを抱えたまま恵美の促す方へ歩く
副キャプテンの青嶋先輩よ
恵美が三年生の部員を紹介してくれた
よ、吉田です恵美がお世話になっていますっ
オレは、頭を下げた
青嶋先輩、よろしければ一本貰って下さいっ
あえっと
恵美の言葉に青嶋先輩は、竹柴キャプテンの顔を見る
竹柴キャプテンは、小さく頷いた
じゃあ、オレンジジュースをいただくわ
二人で青嶋先輩に頭を下げる
次の人
三年の岩崎先輩よっ
吉田です恵美がお世話になっていますっ
岩崎先輩は、コーヒーを選んだ
三年生の部員から、二年生へ
飲み物を配りながらオレと恵美は、一人一人に頭を下げていく
重いカバンは、少しずつ軽くなっていった
次は一年生だ
高城さんは、もう紹介したわよね
ああ、さっき部室棟へ行く時に会った高城さんだ
恵美のこと、よろしくお願いします
オレがそう言うと、なぜか高城さんは泣き出してしまった
あたし応援するからね吉田くんが、こんなに恵美のことを好きだなんて知らなかったよ
見ると、他にも数人一年生が泣き出している
みんな、ありがとう
恵美も半分泣いている
一年生にも飲み物を配り終わってそれでも、カバンの中には二本残った
オレは、恵美の顔を見る
恵美、いいよね
オレたちは、岩倉さんにカバンを差し出す
岩倉会長残り物で申し訳ありませんが、会長も受け取って下さい
困惑した顔をしている岩倉先輩
貰ってあげなさい岩倉さん
弓槻先生に促されて残っていたコーラを取る
最後の一本は
あたしはいらないわよ
弓槻先生は言った
あたし、炭酸飲めないから
最後の一本は、ドクターペッパーだった
うんこれは確かに陸上部員は飲まないな
じゃあ、先生本当は何が飲みたいですか
オレの言葉に、先生はえっと驚く
買って来ますよオレ
もう、息も元に戻ってる
走るのは苦じゃない
じゃあ紅茶をいただくわ
ストレートティですか
レモンティがいいわね
先生は、クスッと笑った
恵美は
オレは恵美に尋ねる
え吉田くん
何が飲みたい
あたしも一緒に買いに行くわ
いいから恵美はここで、陸上部の皆さんと一緒に居て
オレは、恵美にそう言った
竹柴キャプテンが、ジッとオレを見ている
うんあたし、スポーツドリンクがいいレモン味の
オレは、再び全力疾走で自販機に向かう
恵美と先生に、注文の品を届ける
オレは残っていたドクターペッパーを取った
竹柴さん冷えているうちに飲んだ方が美味しいと思うけれど
弓槻先生が、竹柴キャプテンに言った
判ったよみんな、飲んでいいよ
竹柴先輩が、缶を開ける
女子陸上部員は、全員一斉にプルトップを開けた
プシッ
音が重なる
全員ほぼ同時に、缶に口をつける
ゴクリと飲み込む
オレの口の中で、ドクターペッパーがショワッと弾ける
で竹柴さん、あなたどうするの
これでも、山峰さんと吉田くんの交際は認められないあたしには、結構、気合いの入ったカップルに見えるんだけど気合いが入ったって言うのよね、確かあなたたちの言葉だと
先生は、クククと微笑む
竹柴キャプテンは、大きく溜息を吐いた
ここまで仁義を通されたら、文句は言えません山峰恵美の退部処分は取り消しますそこの一年生との交際も認めます
キャプテンは、はっきりそう言った
わぁっ
一年生の部員の中から、歓声が上がる
山峰さん、良かったね
恵美、おめでとうっ
何人かの女の子が、恵美に飛びついて喜んでくれた
あんた、吉田って言ったっけ
竹柴キャプテンが、ギッとオレを見る
今日のところは、認めてあげるあんたが彼女を大事にしていることもよく判ったでも、もしこの子を泣かせるようなことがあったら、あたしが承知しないからねっ
キャプテンが、強い眼でオレに迫る
泣かされませんよ、あたし
恵美がキャプテンに言った
だって、あたし泣きませんから絶対に泣きませんあたし、この人しかいませんからっ
そう言いながら恵美は半べそをかいている
オレ恵美が好きですずっとずっと大切にしますっ約束しますっ
オレは、そう竹柴先輩に誓った
判ったとりあえずは信じてやるよ二人とも
竹柴キャプテンは、そう言ってくれた
そんな和やかな光景を
岩倉会長だけが、コーラを飲みながら不服そうに眺めている
まさか、キャプテン→会長→先生と、ドSが三連発になるとは思いませんでした
竹柴キャプテンは、突発的に思いついたキャラなので、今後の展開は全然かんがえていません
今日は、めちゃくちゃ寒いです
皆様、ご自愛下さい
82.岩倉幸代という女(続々)
ああ、そうそう山峰さん今日、あなたの家に家庭訪問に行きますからね
女子陸上部員全員が缶ジュースを飲み終わった頃、弓槻先生が恵美に言った
再び、部員たちがざわつく
みんなで缶を開けた辺りをピークに、ギャラリーは散り散りに解散していった
今ここには、女子陸上部員と先生と岩倉会長とオレしかいない
別に変な用ではないわ山峰さんは、特待生でしょだから、保護者の方に直接ハンコをいただかなきゃいけない書類があるの特待生の管理は、あたしが担当しているから
先生は、平然とみんなにそう言う
本当は、そうじゃない
弓槻先生は、恵美を山峰の家から引き取るつもりだ
恵美の養父母と離れて恵美は、これから黒森のお屋敷に住むことになる
えーっ山峰さんて特待生だったの
あたし、そんなこと知らなかったわ
一年生の何人かが、恵美に話し掛ける
ううん、そうなのよ
恵美は、取りあえず誤魔化す
もちろん学力の方での特待生よ山峰さん、今年の入学試験のトップだから
先生は、笑ってそう言った
そうなんだ恵美ちゃん、頭いいもんね
今度、勉強教えてね
普段から優等生で誰に対しても優しい恵美一年生たちは、先生の言葉をあっさりと信じてしまう
吉田くんと一緒でいいからさ
高城さんが、恵美に言った
赤くなる、恵美
やっぱり、二人で試験勉強したりするんでしょ邪魔しないから、あたしも一緒に勉強させて
えー、高城っちあんたが一緒に居たら、充分邪魔してるっての
一年女子たちは、キャハハと笑う
構わないわよっ高城さんも一緒に勉強しましょ吉田くん、いいわよね
恵美が、にこやかにオレを見る
えっと恵美、オレに勉強を教えてくれるの
うんっ、もちろんっ
オレ勉強するんだ
するわよっ将来のお婿さんがお馬鹿さんだと、あたしが困りますっ
恵美が、ニコッと笑った
判った勉強、教えて下さい
オレは、恵美に頭を下げる
はいっあたしでよろしければ喜んでっ
また一年女子の間から、キャアと歓声が上がる
というわけだから後で、迎えに来るわあたしの車で山峰さんの家まで行きます今日の練習は、何時まで
四時半ですけど、一年は片付けがありますので五時過ぎになると思います
先生の質問に、恵美が答えた
そういう話なら先に上がっていいよ一年、山峰抜きでも片付けはできるだろ
竹柴キャプテンが、一年部員たちに言った
はいっ、キャプテン
一年を代表して、高城さんが答える
そんな困りますあたしも一年生ですから、片付けはちゃんとやりますやらして下さいっ
恵美は、みんなに頭を下げる
でも先生をお待たせするのは悪いでしょう
高城さんが、弓槻先生を見てそう言った
じゃあ五時に部室棟に迎えに行くわ竹柴さん、五時で山峰さんを先に上がらせてくれるかしらあたしも他の仕事があるから、その方が助かるわ
先生が妥協案を出す
判りましたじゃあ、みんな、そういうことにして山峰もいいね
はいキャプテン
先生が、オレに振り向く
吉田くんも乗っていかない
山峰さんのご両親には、まだちゃんとご挨拶していないでしょう
先生がオレを見ている
そうですねちゃんとご挨拶しないといけませんよね判りました、オレも一緒に連れてって下さい
オレは恵美の処女を奪った
恵美は、オレとずっと付き合ってくれると言ってくれている
オレには恵美の両親と会って話す、義務がある
心配そうに、恵美がオレを見る
大丈夫、恵美のお父さん、お母さんと、ちゃんと話すから心配しないで
オレは笑って恵美にそう言った
恵美は、また半べそになっている
さっき泣かないって言ったばかりなのに
あんた吉田だったよね
竹柴キャプテンが、オレに言った
はい、吉田です
さっき、山峰が言ってた一生、付き合うとか、子供を産むとかって話、あれ本気だったわけ
竹柴先輩は、やや驚いた感じでオレに尋ねる
はいあたしは、本気です
オレが答える前に、恵美が言った
あたし絶対に離れませんし吉田くんの赤ちゃんを産みます
恵美が震える手をオレに差し出す
オレはその手を握りしめる
恵美もギュッとオレの手を握りかえしてくれた
まさかもう妊娠してるとか無いよね
竹柴キャプテンの言葉に、オレは昨日の恵美の発言を思い出してドキっとする
昨日恵美は、雪乃と一緒に妊娠・出産したいと言い出して
あのっ恵美は妊娠したいって言ってたんですけど色々あって、無しになりましたっ
弓槻先生や渚さんたちに反対されたんだっけ
竹柴先輩の顔が歪むっ
ヤバイオレ、また変なこと言っちゃった
あたし、赤ちゃんは高校を卒業してから産みますっそうすることにしましたっ在学中は、高校生らしい交際をしますっ
恵美が、大慌てでフォローしてくれる
高校生らしい交際って
もうセックスしちゃったし、朝フェラもして貰ってるけど
あのさもう少し、判るように説明してくれないかな
竹柴先輩は、少しキレ気味に恵美に尋ねた
あたし養女なんです山峰の両親は、あたしの本当の親ではありません
恵美は一か八か、ブッチャケた
養父母はとても良い人たちですでもお互いに遠慮し合って、あたしたち、どうしても本当の家族にはなれませんだから、あたし早く結婚して、自分の本当の家族を持ちたいって思っていますあたしこの人の、吉田くんの赤ちゃんのお母さんになりたいんですっ
恵美は、みんなの前でハッキリとそう言った
山峰はこう言っているけれど、あんたはどうなのさ
竹柴キャプテンは、今度はオレに尋ねる
恵美が隠していた事実を告白した以上、オレも正直に話すべきだと思った
オレは両親が離婚して、今は一人で暮らしています家族のいない寂しさはよく知っているつもりですだから恵美の気持ちは、できる限り適えてあげたいって思ってます
オレたち、似たような環境なんだ
ふぅん本気なんだ、あんたたち
竹柴キャプテンは、ギロリとオレたちを見た
悪かったねあたし、てっきり山峰が恋愛に目が眩んでお馬鹿なことを口走っているだけだと思ってたたまにいるのよ、口先だけであたしの恋は世界一って連呼しちゃうみたいな、頭のおかしい子がね
先輩は、頭を下げて恵美に謝ってくれる
とにかくあんたたちが半端な気持ちじゃなく、恋愛してるってのは判ったよよく知らないのに、馬鹿にするようなことを言って済まなかった
そんな、いいんです、キャプテンあたし、本当に舞い上がってたと思います
恵美が、そう答える
あたし吉田くんと一緒に生きていけることになって、嬉しくて嬉しくて仕方がないんですあたし、少しうきうきし過ぎていたと思いますキャプテンに叱られて、当然です
恵美は本当に自分に厳しい
いい子だ
山峰
竹柴キャプテンが、恵美にフッと微笑み掛けた
これからは練習の時に、しっかり日焼け止めを塗っておくんだよあんたにはもう男がいるんだからお肌の手入れを怠ると、嫌われるよ
はいキャプテン、ありがとうございますっ
恵美は、またほろりと涙を流す
うん、良かった
がんばったね
恵美の周りに、一年生部員たちが集まる
ありがとうみんな
恵美が、みんなにニッと微笑む
可愛いなあ
恵美は、微笑んでいる顔が一番可愛い
吉田くんも、がんばってね
高城さんが、オレに言った
あ、うんがんばるよ
恵美の友達とはいえ、あんまり知らない女の子に微笑み掛けられたことなんてないから、ちょっと照れる
さて、吉田くん、そろそろ行きましょうか
弓槻先生が、オレに言った
あなたがここに居ると、みんな気になって練習にならないわ
確かにオレたちのせいで、女子陸上部の練習のスタートが遅れている気がする
はい、判りましたじゃ、恵美五時に迎えに来るから
うん待ってる
練習、がんばってね
がんばるよぉっ吉田くん
恵美が、赤い顔でオレに言った
そう言って、もう一度オレの手をギュッと握りしめる
また後でねっ
恵美は、陸上部一年の列に戻っていく
そうそう岩倉さん、田之倉先生があなたにお話があるそうよ体育祭の予算のことだと思うけれど一緒に職員室まで来てくれる
先生が、岩倉生徒会長に言った
岩倉さんは憮然として、そう答える
では竹柴さん、お騒がせしたわねみなさん、練習頑張ってね
いえ色々とありがとうございました
竹柴キャプテンが、弓槻先生に頭を下げる
さあ吉田くん、行くわよ
先生と会長とオレは、三人一緒にグラウンドから出る
途中で何度か恵美に振り返ったが、彼女はオレの方を見てはいなかった
真剣に先輩の話を聞いて、練習の準備に取りかかっている
山峰恵美は真面目な子なのだ
職員室ではなく弓槻先生は、校長室へ向かった
岩倉会長も、当たり前の様に着いてくる
隠し階段から、階下の監視室へ
克子姉が、オレたちを待っていた
適当に座って
先生はそう言って、椅子に腰掛けた
克子姉が指差してくれた、端の方の椅子に座る
岩倉さんは、先生の正面に
お話って何ですか
岩倉会長が、先生に尋ねた
あらあなたの方こそ、あたしに何か言いたいことがあるんじゃないの
弓槻先生が、会長に冷たく微笑む
岩倉会長は、大きく深呼吸して
はいお願いがあります
どうぞ、話して
弓槻先生は、軽く答える
克子姉が、それぞれにコーヒーを配ってくれた
黒い森の売春部門をあたしに任せて下さい
岩倉さんは突然、そんなことを言い出した
あら本気なの
先生はコーヒーを飲みながら、岩倉さんの眼を見る
本気です
岩倉会長は、真顔で答えた
そうどこまで話は進んでいるの
先生は穏やかに尋ねる
陽子さんと友加里さん、清乃さんは私に同調してくれています
会長は、持っているカードを晒す
みんな売春婦に戻りたいって
はいあたしたちは、売春しかできませんし、他に興味もありません
売春が大好きなのは、あなただけでしょ
先生は、冷たく言った
はい、あたしは売春行為が好きですあんなに楽しいことは他にはありませんそれは認めます
岩倉さん、本当に売春が好きなんだ
あたしはともかく、陽子さんたちが売春婦に戻りたいとお考えなのは事実です渚様や他の方々のように、売春以外に才能があって、別の職で生計を立てられる人ばかりでは無いことはご理解下さい
岩倉さんは、強く主張した
それなら、白坂創介が新しい売春組織を始めるらしいわよ
先生は、意地の悪い笑みを浮かべる
そんなものが成立しないことは、みんな判っています
岩倉さんは、キッとした眼で先生に言った
弓槻先生が、そんなことを許すはずがありません白坂創介は、すでに抹殺の対象になっているのでしょう
誰から聞いたの
先生が探りを入れる
聞かなくても判ります白坂よりも、政財界に太いパイプをお持ちなのは、弓槻先生の方です白坂の行動は黒い森に対する裏切りです抹殺されるのは、当然だと考えています
岩倉さんは白坂創介とは手を組んでいないんだ
そう白坂の組織は立ち上がらないことを知って、あたしの方へ来たのね
あたしは岩倉幸代は先生の玩具です初めから
岩倉さんは、先生にそう告げる
あたしの意にそぐわない玩具よあなたとアニエスはね
そういう玩具がいるのも面白いと、おっしゃったのは先生です
そうだったわね
二人の魔女は、心の探り合いを続ける
であなたが売春部門の運営責任者になりたいのね
あなたにできるの
正直、岩倉会長はそんなに自信が無いようだった
あなたに、陽子に友加里に清乃じゃあ大した稼ぎにはならないと思うけれど
先生は、フフッと笑う
判ってるあなた、克子の二十分の一も稼げなかったのよ岩倉さんに付くお客様は、変態ばっかりだから変態さんは困るのよねえこちらへの要求は多いくせに、支払いは悪いからいざ、精算となると途端にごねるのよ
確かに、あたしにはまともな顧客は付いていません
岩倉会長は、あっさりと認めた
しかし克子様には
岩倉さんの言葉を、克子姉が遮る
あたしは岩倉様の管理下に入るつもりはありません岩倉様が売春部門を運営なさるのなら、克子抜きでお願いしますわっ
克子姉が、ニッと笑う
克子様
岩倉様克子は、お嬢様の第一の玩具ですよ第四の玩具であるあなたの指揮下に入るわけがないでしょう
岩倉さんは、口惜しそうにうつむく
だから、勘違いしないで下さいね吉田くんを殺せば、あたしや渚が売春婦に復帰するとか、そういう単純なことではありませんから
克子姉は、さらっと言ったけれど
昨日の倉庫でオレらを襲った男たちを雇ったのは岩倉さん
夕べの三人組の素性はもう割れているのよどこの暴力団の所属かもね岩倉さん、あなたの顧客に暴力団の幹部が一人いたわよね
先生が冷たい眼で、岩倉会長を見る
あ、あたしは
答えなさい岩倉幸代ッ
先生にフルネームを呼ばれて岩倉さんの背筋にビクビクビクッと電流が走る
岩倉さんは、弓槻先生の精神支配を受けている
名前を呼ばれたらもう嘘は吐けない
は、はいっ岩倉幸代があ、あたしが、依頼しましたっ
岩倉さんはオレに死んで欲しいと思っている
吉田くんを殺そうとする目的は、他にもあるんでしょ
先生が、さらに岩倉さんを問い詰める
岩倉さんは、ぶるぶると震えている
答えなさい
先生の命令に岩倉さんは口を開く
し、白坂雪乃を彼女を狙っていました
雪乃を
白坂雪乃を黒い森の売春婦に迎えたかったんです
雪乃を売春婦に
あなたは吉田くんを殺して、自分が代わりに白坂さんの調教師になろうとしたのね
そ、そうです
岩倉さんが雪乃に優しくしていたのも自分の配下の売春婦にするつもりだったのか
アハハハハ
弓槻先生は、ゲラゲラと笑い出した
やっぱりダメね岩倉さん、あなたには娼館の経営は無理よ全然、センスが無いもの
先生は、そう断言する
白坂雪乃は、黒い森の娼婦には相応しくないわあの子には、高級売春婦に必要な細やかな気配りや優しさが根本的に欠落しているもの
SM専門にします
岩倉さんが、なおも食い下がる
あのねM奴隷でも、Sの女王様でも、普通の売春婦以上にきめ細かい心配りが必要になるんだけど判ってる遊びでやっているんじゃないのよ黒い森がお客様に提供するのは、最高級の娼婦なの白坂さんじゃあ、現役女子高生というだけの価値しかないわうちでは売り物にならないわよ
でも彼女は、白坂創介の娘です白坂に恨みのある人間は多いですそういう人たちに提供すれば
弓槻先生は、ハッと鼻で笑った
本当にゲスねあなたそういうところ、あたしは嫌いじゃ無いけれどでも、そんなのは商売にはならないのよそういう企画に乗っかってくるお客様なんて数が知れているしほとんどは一回限りのお客になるわ一度きりだからって、白坂さんに無茶苦茶なセックスを強要してくるのは目に見えているし、そのうちお客の誰かが警察にタレ込むわね良心の呵責に耐えかねて
先生は、冷静に分析する
その上、味をしめたお客からは次は、誰々の娘を浚ってこいって話になるでしょうし黒い森の評判が落ちるだけだわリスクばかり多くて、儲けは少なく、評判は落とす悪い運営の典型ね
岩倉さんが、がっくりと肩を落とす
白坂と父が黒い森の運営を乗っ取った時期の再現になるわあたしと森下が、古くからのお客様たちの信頼を取り戻すのに何年掛かったと思う白坂の変態嗜好が、あたしたちにとってどれだけの足かせになったことか
先生は、吐き捨てるように言った
確かに弓槻先生が運営に参加なさってからは、弓槻先生と森下さんの従来の政財界のお客様を顧客にする部門と、白坂創介の変態専門部門の二本柱で黒い森は安定してきたと聞いています
先生が苦笑する
それ白坂から聞いたんでしょ実際はね、変態部門はずっと赤字なのよまともな運営状態にないから白坂は無能だし、いつも自分の嗜好を第一に動くでしょ、あの人儲かるわけがないのよ黒い森の収益は、ずっとあたしと森下で出していたのよ
そうだ白坂創介と弓槻先生のお父さんの経営で、黒い森は一度メチャメチャになって、売春婦たちを苦しめて優花さんたちが古くからの顧客である政財界の大物にお願いして、弓槻先生と森下さんの二人が経営の立て直しをすることになったんだっけ
弓槻先生が運営者になって、業績が二十倍になったと聞いています
二百倍よ白坂と父が、黒い森の信頼も売り上げも徹底的に落としてくれていたから
先生は憎しみのこもった声で、岩倉さんに言った
岩倉さんあなたが黒い森の売春部門の統括をしたら、白坂の二の舞になるわねあなたも、経営より自分の性的嗜好が優先する女でしょ
黒い森が必要としている娼婦は、渚みたいな子よあの子は、高級娼婦としての素養の全てを持っているわ明るくて、神経が細やかで、決してお客様を不快にしない最高の娼婦だったわあの子の実働期間は、ほんの二年だったけれどあの子がその二年間で稼いだ収益は、誰よりも多いの
知っています今でも、多くの顧客とお付き合いがあることを
そうだよな渚さん、あんなに綺麗だし明るいし優しいし
たくさんのファンが付くことは判る
そんな渚の人気を妬んで白坂は、渚に辛いゲームを強要したわ
渚と克子先に妊娠した方を売春婦から解放してやるって言って、自分の顧客の変態たちに二人を売ったのよ
ええあれは辛い体験でした何日も、変態たちの相手をさせられて避妊ピルを飲ませて貰えないまま、何度も犯されました
克子姉が、悲しそうに騙る
いいえあなたは知らなかったんでしょうけど、白坂は克子にだけこっそりピルを飲ませていたのよ確実に、渚だけを妊娠させてお屋敷から、無一文で追放するつもりだったのよ
先生が、真実を告げる
でも、その件があったから妊娠したら引退っていうルールができたんですし、娼婦の引退後の生活の基盤作りも、お嬢様が掛け合って下さったからできたことです