んんっんっんんんっんんんんんっ

メグオレに犯されている、メグ

ぽろぽろと涙を零しながら

それでも、メグは悦んでいる

メグ、メグ、メグ

オレは、腰を動かしながらメグの乳首にむしゃぶりついた

チューチューと乳首を吸いながらおっぱいを揉む

んんんっんっんんんんっ

メグの息遣いが、荒くなる

性的な興奮に、メグの肌が赤くなり全身から、じんわりと汗が浮かんでくる

メグの汗は甘いミルクのような匂いがする

メグの部屋メグの毛布メグの肉体

メグの匂いに包まれてオレは、メグを激しく犯す

あああああっ

メグの胎内は熱く湿っている

セックスに慣れていない膣が力任せの交合に悲鳴を上げながら、ぐっちょりとオレを絞り上げる

んんんっんっんぅんんんっんんんっっ

白いハンカチを噛みしめて男の暴虐に耐えている、メグ

それでもその眼は、オレを見ている

オレにレイプされることを心の底から、悦んでいる

め、メグッ

快感がこみ上げてくる

出すよメグの中にオレの精液、ブチ撒けるよ

メグが眼で訴えている

中で射精して、と

メグ、メグ、メグぅぅあああああっ出るぅっっ

メグの一番奥でオレは、白濁を漏らした

小便するように激しく射精するッ

メグの子宮にオレの液を注ぎ込む

んんんんっんっんんんんっっっっ

メグも胎内に熱液を感じている

ぶるぶるぶるっと身体を震わせた

し絞り取られるッッ

恵美、吉田くん準備はできた

階下から弓槻先生の声がした

や、やばい

オレはまだメグの中で射精を続けている

射精が止まらない

もう少しです、御名穂さん後、五分待って下さいっ

メグが、咥えていたハンカチを取って、先生に返事した

全裸でオレに貫かれ受精しているまま

早くしなさい

はいすぐに参りますっ

メグは優等生の声で、先生に答える

ようやくオレの長い射精が終わる

気持ち良かったよ、メグ

オレは、メグにキスをした

さあ急いで、服を着よう

そう言うオレにメグは

待って、ヨシくん写真を撮って

あたし記念写真を残して置きたい

メグの眼は、真剣だった

オレはメグと繋がったままの写真を撮る

それからペニスを引き抜いて

全裸開脚したままのメグのヴァギナから、白い精液がトロトロと零れる様子も撮した

あまだ仕舞わないで

パンツを履こうとするオレを、メグが止める

メグが綺麗にするから

愛液と精液に塗れたオレのペニスをメグは舐めてくれた

その光景もカメラに収めた

もういいよ急ごう

メグは、バッグから着替えの下着を取りだした

今のセックスで汚れてしまった下着は、ビニール袋に入れてバッグに仕舞う

こんなのこの家に残していくわけにはいかないものね

オレは、メグのブラを取る

ほら、背中を向けろよ

オレは約束通りに、メグのブラジャーを付けてやった

ついでに、パンティも履かせてやる

ありがとう本当に、ヨシくんて優しいね

メグが、照れてオレに言う

そんなことはいいから早く、服を着ろ

恵美は、幸せそうに微笑んだ

オレたちは急いで、身支度する

メグは高校の制服から白いワンピースに着替えた

清楚な美少女が、そこにいた

ほんの数分前まで、男とセックスしていたとは思えない清純な少女が

うん綺麗だ

それに比べて服を着たオレは、何だかだらんとした感じになっている

もうヨシくん、そこに立って

メグが、オレの服装を直してくれた

はい、これでよしっ

ニコッと笑う、メグ

その顔にはもう、何の陰りも無い

メグ、綺麗だ

素直に、そう思った

メグはセックスする度に、どんどん綺麗になっていくように思う

ありがとうあたし、がんばるね

ヨシくんの女の中で、あたしはヨシくんの表向きの彼女を担当するんだからあたし、できる限り綺麗に見えるようにがんばるわそうでないと、他の女の人たちに悪いもの

メグは、オレにそう約束した

荷物はオレが持つよ

オレは、メグの三つのバッグを持ち上げる

メグは、もう一度ぐるりと部屋の中を見回した

おかしいね

メグが笑った

あたしこの部屋とは、もうお別れなのに

オレの顔を見てニッコリと微笑む

悲しいはずなのに嬉しくてたまらないの

最後だから、しっかり部屋の様子を見ておこうって思ってたのにヨシくんの顔しか、覚えていない

メグが、両手にカバンを持ったオレを抱き締めてそっとキスをした

これでいいのよあたしヨシくんが居てくれたら、もう何もいらないんだから

下の階へ降りる

先生もメグの養父母もすでに玄関で待っていた

それだけでいいのかい

メグの荷物がカバン三つ分しか無いことに、養父が驚く

はい、お父さんこれだけで充分です

メグは、笑顔で答えた

恵美のお部屋は、ずっとそのままにしておきますからね

メグの養母が、そう言ってくれた

ありがとうございます十年間本当にお世話になりましたお父さん、お母さん

メグが、両親に頭を下げる

ご恩は一生忘れません本当にありがとうございました

恵美の養父が、涙を堪えている

済まない僕に力がないばかりに

白坂家に頭の上がらない山峰の家

養父は、本当に口惜しそうだった

では、先程お話しした通りあたしたちの車が立ち去ったと同時に、白坂本家に連絡して下さい

弓槻先生が、最後に念押しする

はい恵美は、黒森御名穂という女性に無理矢理、連れ去られた警察に連絡すると、白坂創介の命は保証できないと言われているどうしたら良いのか、指示して欲しいでしたね

養父が、連絡するべき内容を復唱する

その連絡さえしておけば山峰さんに白坂本家からの追求はありませんあちらは、他のことで手が一杯になりますから

オーストラリアに居る、白坂創介の捜索

当然弓槻先生やオレたちも、ターゲットになる

では行きます

メグが、再度、養父母に頭を下げる

恵美はお父さん、お母さんの娘にしていただいて、本当に幸せでした

重い空気が玄関を漂う

恵美どうか、僕たちを許してくれ

養父にとっては山峰の一族のために、恵美を家から追い出すようにしか思えないのかもしれない

十年育てた養女を売春組織の女当主に托すのだから

いいえお父さん、これは恵美が望んだことですお母さんも、どうか笑って見送って下さい

メグはオレの腕を掴む

これから恵美はこの人と幸せになるんですから

恵美さんは、一生、オレが守ります

メグの養父母に、そう誓った

どうか、恵美をよろしくお願いします

養女と別れる夫妻が、オレに頭を下げてくれた

絶対に、幸せにしますから

オレにはそう答えることしか、できなかった

家の外に停めてあった車に戻る

山峰夫妻は、車まで見送ろうとしてくれたが先生が止めた

娘を無理矢理連れ去られたという設定なのに見送るのは変だ

外なら、誰が見ているか判らないのだから

克子、監視されている様子はある

運転席に座って、先生は後部座席の克子姉に尋ねた

今のところは、何の兆候もありません

克子姉はそう、答えた

では山峰さんが白坂本家に連絡した瞬間がスタートね

先生は、わざと大きくエンジンを吹かして車を発進させる

その音を合図にメグの養父は、電話を掛けるだろう

メグの誘拐と白坂創介の疾走が、発覚する

白坂本家と黒い森は全面抗争となる

舞夏さん、どう思った

そうだ先生は隠しマイクを持って、山峰家に行った

メグの養父との交渉や、その後の打ち合わせを全て、車の中で舞夏は聞いている

弓槻さんは、さっき舞夏に今夜は、泊まっていかないかっておっしゃいましたけれど本当は違いますよね舞夏は、今夜は帰れないんですね

悪いけれど、そうしてもらうわ

ミラー越しに、先生が答えた

車は大通りに出る

白坂の家を敵に回すわけですから舞夏も、人質になった方がいいですよね

舞夏は、ニコニコして先生に答えた

舞夏、いいのか、お前

オレが尋ねると、舞夏は

だって、舞夏はおにいさんの女でしょ白坂のお家を敵にするのはつらいけれど、でも仕方ないです舞夏は、もう姉妹会の一員ですから

舞夏はすっかり覚悟を決めているようだった

そうねできれば連休が終わるまでは、あたしの屋敷に居て欲しいわ

先生が、舞夏に言う

判りましたでも、そのうちに一度、家に帰らせて下さい舞夏も着替えとか持って来たいですし手元に置いておきたい物もありますから

ええ、状況を見て、機会を作るわ

舞夏も、恵美さんみたいに家を出ないといけないんですね

舞夏もメグと同様に、誘拐されたことになる

白坂本家に対するカードとして

家に戻る時はお兄さんも、一緒に来てねっ

ああ判ったよ

オレはこないだの夜に、雪乃の家の前まで行ったことを思い出す

家の前の路上に車を停めて雪乃をレイプしたんだっけ

舞夏のお部屋で、エッチさせてあげるからっ

ま、舞夏

さっき恵美さんと、上のお部屋でエッチしてたでしょ

舞夏が、へへーんと笑う

な、何で

どうして判った

音を立てたり、声を出さないように気を付けていたのに

あれだけ、天井がミシミシ鳴っていれば、誰でも気付きますっ

そうよあたし、山峰さんご夫妻とお話ししながら本当に恥ずかしかったんですからね

あの二人は本当に愛し合っているからとか若い人たちは、どうしても熱情を抑えられないからとか山峰さんたちに、適当なことを言って場を保たせたんだからっ

それはマジで、申し訳無い

というかオレ、死にたい

誰かオレを殺してくれ

ご、ごめんなさい御名穂さん

メグも顔を真っ赤にして、先生に謝る

でも、あたしどうしても、したくなっちゃったんですっ

めメグ

その言い訳って、どうなんだろ

だと思ったわもう、しょうがないわねっ

先生が、メグに言った

まあね、あたしもあの状況なら絶対セックスするわね

って克子姉まで

だから舞夏ともしようねっ舞夏のお部屋で

ま舞夏

舞夏が、むふふんとオレに甘えてくる

バレてしまったら、仕方が無い

オレの女は、みんな公平に接すると約束したんだから

わ、判った舞夏ともするよ

オレは約束した

お兄さん、大好きっじゃあ、舞夏も一仕事するとしますかっ

舞夏が自分の携帯電話を取り出す

カチャカチャとスイッチをいじって

あ、もしもし、お姉ちゃん舞夏だけどね舞夏、今日はお友達の家に泊まるからご飯要らないよえ、帰って来いって何言ってんのよ、お姉ちゃんだってこの前ママの帰って来ない日に、無断外泊したじゃないっ

舞夏雪乃と電話しているのか

だいたいねえ、最近、お姉ちゃん、夜中にハァハァうるさいのよっ隣の部屋まで響いているんだからねっうるさくて眠れないわよっお姉ちゃんの声で、窓ガラスがビリビリ鳴るんだからねっお姉ちゃんの声、甲高くて、超音波みたいなのよっ

喘ぎ声で、窓のガラスが振動するってゆ、雪乃

お姉ちゃんのオナニー狂そんなにオナニーが好きなら、オナニーと結婚すればいいのよっエロッ子、スケベ、変態っ

ま舞夏さん

というわけだから、舞夏はお友達の家にお泊まりしますからっえ、誰の家に泊まるかって

舞夏はオレの顔を見て、ニコッと笑った

もちろん、男の子の家だよっ

舞夏は、そのまま通話をガチャ切りする

すぐに、電話が鳴った

雪乃が、リダイアルしているのだろう

もおっうるさいなぁっ

舞夏は、携帯の電源を落とした

えー、今日は特に何もありません

では、また明日

112.女いろいろ万華鏡

オレたちを乗せた車は、夜の街を走る

住宅地から、繁華街の方へ

御名穂さんお父さんに渡してて下さったお金の件ですけど

メグが、心配そうに弓槻先生に尋ねる

さっき、弓槻先生は山峰夫妻に口止め料として一千万円の現金を手渡していた

あたし一生掛けてでも、必ずお返ししますから

恵美は、真剣な顔でそう言った

別にいいわよあれ、吉田くんのお金だから

車を運転しながら先生は、軽く答える

オレの金

吉田くん岩倉さんが、あなたの命を狙った慰謝料として、一千万円払う約束をしていたの、覚えている

そう言えばそんな話があったような

とりあえず岩倉さんの口座から、七百万円抜いたわ後の三百万円も必ず回収するから、気にしないで

黒い森の売春部門が閉鎖させた時に、弓槻先生は屋敷の全ての娼婦に分配金を渡している

当然岩倉さんも大金を貰ったはずだ

その口座から先生は、引き落としたのか

恵美のために使ったんだから、吉田くんは構わないわよね

ミラーの中のクールな瞳が、オレを見る

はい、もちろんです

オレは、きっぱりと答えた

そんなあたし、困ります

恵美が、オレの顔を見る

自分の女のために、金を使ったんだ何も困ることは無いよ

でもそれでは、あたし、ヨシくんにお金で買われたみたい

視点を変えれば、オレは山峰家から一千万円でメグを買い取った様にも見える

あら恵美は、その方がいいんじゃないの

恵美は吉田くんと一生、別れられなくなる明確な理由が欲しいんでしょ

先生はメグの本性を見抜いている

清楚で優しい優等生の顔に隠されたメグの本性を

メグは少し考えてから、先生に答えた

はいそうですね、御名穂さん

メグは先生の言葉を完全に肯定する

あたしこれで一生、ヨシくんに尽くして生きなくてはいけなくなったんですね

メグは嬉しそうに微笑んだ

そうよ、彼に一生尽くしなさい

ちょちょっと待ってくれよ

でもオレは、別にそういうつもりは

オレはメグが好きです本当に一生、大切にしたいと思ってます

その言葉に、嘘偽りは無い

でもオレは自分に自信が無いんだメグに愛されるに相応しい男である自信がだから、もしメグが将来、オレ以外に好きな男ができたなら、オレのことなんか捨てて、その人と幸せになって欲しいオレは、メグが幸せならそれでいいんだから

オレは、メグにそう言う

お兄さん、まだそんなこと言ってるの

舞夏が、はぁと溜息を吐く

もう、そんなことを言って許されるラインは、とっくに越えちゃってるんだよあたしたち

あたしたちは姉妹は全員、とっくに運命共同体でもう、お兄さんと一生生きていくしか選択肢が無いんだからね

選択肢が無い

舞夏が、寂しそうな眼でメグを見る

恵美ちゃんは、もう山峰の家には帰れない舞夏もそうだよ舞夏、白坂の家を裏切るんだからお兄さん、ゴールデンウィークが終わった後の舞夏のこと、ちゃんと考えてる

ゴールデンウィークの後

お休みの間は、弓槻さんのお屋敷に居させて貰うわでも、その後、舞夏はどこへ行けばいいの

白坂創介は、破滅する

舞夏の家庭は崩壊するだろう

もし、白坂のこれまでの悪行が世間に知れたなら舞夏は、学校へもいけなくなる

舞夏の現在の日常は全て失われる

舞夏の居場所は、オレが作ってやるから絶対に、一人で放り出したりはしない

信じていいんだね

オレは本当に覚悟しなくちゃいけないんだ

何もかも

オレ何とかしなくちゃ

命を懸けてでも、何とかしないと

どうすればいいんだ

吉田くん、あなたは少し、世間のしがらみというものを学ばないといけないわね

先生がミラー越しにオレの様子を見て、そう言った

人間はね、絶対に一人きりでは生きていけないのよ例えば吉田くんは、山峰さんご夫妻の苦悩が本当に理解できている

白坂家に生活の基盤を握られている人たち白坂本家を怒らせたら、仕事を失うかもしれない社会的に抹殺されるかもしれないしかも、自分だけでなく、山峰さんのご兄弟や親類にまで害が及ぶかも知れない

世間のしがらみ

人間は、一人きりでは生きていけない

山峰さんは、あの一千万円をどう使うと思う

オレには想像もつかない

きっと数百万円ずつ、親戚に渡すことになると思うわ今回の件のお詫び金として

お詫び金

恵美が連れ去られたことでいずれにせよ白坂家から山峰の一族には、何らかのお咎めがあるでしょうからね大事にはならなくてもちょっとした嫌がらせくらいはあるでしょうねだから恵美のお父さんは、他の山峰の縁戚に、お詫びしないといけないの

あのお金一円たりとも、山峰さんには残らないわ大人の世界って、そういうものだから

それが、大人のやり方

吉田くんは単純だから今すぐ高校を辞めて働いて、恵美と舞夏さんを養おうって考えているんでしょ

馬鹿なことを考えるのは、止めなさい吉田くんはもう、一人ではないんだから

あなたにはあたしたちが付いているのよ

克子姉が、スッとオレの手を掴む

あたし銀行に七千万円預金があるわあなたのためなら、全額使ってもいいわあなたも、恵美ちゃんも、舞夏ちゃんもあたしが養うわお金のことは心配しないで、安心して学校へ行きなさい

克子姉、でもそれは、克子姉がパン屋さんを始めるための資金だろ

お金なんて、これからまた貯めればいいのよあたしは、あなたの女よ恵美ちゃんも舞夏ちゃんも、あたしの姉妹なの家族のためにお金を使って、何が悪いの

もう判ってるあなたは、さっきあたしと同じ事を言ったのよ自分の女のために金を使って何が悪いって

それはオレのさっきの理屈と同じだ

メグのために、オレが一千万払うのなら

克子姉が、オレや姉妹たちのために金を出すことを批判できない

オレ、一生掛けて、きっと返すから

オレの言葉に、克子姉はプッと噴き出した

それもさっきの恵美ちゃんと同じ返事じゃない

同じ立場になってようやくメグの立場が判った

メグにはもう一生、オレと生きる選択肢しか見えないんだ

オレが、決して克子姉を裏切るまいと誓うように

きっと舞夏も

克子だけではないわ渚もきっと、あなたたちのためにお金を出すって言うでしょうねもちろんあたしもね

はっきり言っておくわ三人とも、高校までは必ず卒業しなさいその後の進路は、自分で決めて大学に行きたいのなら、あたしがお金を出しますあたしの屋敷には、ずっと住んでくれて構わないわうちが嫌なら、渚の家でもいいと思うわただあなたたちだけで、部屋を借りて済むことは許しません

舞夏が驚く

舞夏も、お兄さんや恵美ちゃんと一緒でいいんですか

あたし正直な気持ちを言うと、舞夏さんには複雑な感情を抱いているわでも、あなたが吉田くんの女である限りは保護します約束するわ吉田くんを裏切るようなことをしたら、その場で叩き出しますからねよく、気を付けて行動しなさい

それでは舞夏は、他の男を好きになることは許されない

ずっと、オレに縛られたままになる

しかし、舞夏は

はいっ判りました舞夏は、一生、お兄さんだけの女になりますお兄さんを裏切るようなことは絶対にしません

中学二年生の可憐な少女が宣言する

舞夏、お前、それでいいのか

舞夏は、きょとんとした顔をする

いいも悪いもないよだって、これが、あたしたちの運命でしょ

オレたち全員の

吉田くんも、もう、何重ものしがらみに縛られているのよ絶対に一人きりでは抜け出せないわ運命を受け入れるのならそろそろ家族に甘えることを学びなさい

家族

オレの

あなたがあたしに言ったのよオレたちはもう家族みたいなものだって

オレが、言ったんだ先生に

好きなだけ甘えなさいあたしもあなたの姉の一人です

オレこれから先生のこと、ミナホ姉さんて呼んでいいですか

好きになさい学校の中では、ちゃんと先生って呼ぶのよ

はい姉さん

あたしは吉田くんのままでいい

先生が、恥ずかしそうに言った

他の呼び方にすると学校の中で、つい呼んじゃいそうだから

うん判った姉さん

オレはそう答えた

ミナホ姉さんが、克子姉に話し掛ける

どうしました、お嬢様

急に、姉さんて呼ばれると心臓に悪いわね胸がキュンとするわ

克子姉は、クククと笑った

心臓だけならまだ良い方です克子は、彼に克子姉って呼ばれる度に、子宮が疼きますっ

あのあたしも、メグって呼んで貰う度に、キュンキュンしてますっ

メグも、顔を赤くして報告する

いいなあ舞夏は、何て呼んで貰おうかしらっ

なななな、何なんだ、この空気は

そんな会話を続けているうちにオレたちの車は、繁華街近くの高級マンションに到着する

赤い外壁の大きなマンション

その地下駐車場へ、車はするりと滑り込む

ここ、池田先生の医院よ

メグが、舞夏に言った

あたしも、昨日、連れてきて貰ったのとっても親切な女医さんだから、安心してね

えじゃあ、恵美ちゃんは昨日ロスト・ヴァージンしたの

そうよヨシくんに抱いて貰ったの

さっき、お部屋でしてたのが二回目

そうだけど

舞夏の質問に、メグは戸惑っている

二回目だと痛くなかった

うーん、ちょっとまだ痛むけど最初の時ほどじゃないわ

みすずさんは、二回目から気持ち良かったって言ってたけど

二人の会話に、克子姉が口を挟む

そういうのは女の子の体質で違うから最初っから、全然痛くないって子もいるらしいし

うわっ、そうなんだいいなあ舞夏も、その方が良かったのに

あたしは痛くて良かったわ

え恵美ちゃん、どうして

ちゃんと、ヨシくんにヴァージンをあげれた感じがするから

ええーっ、男の子って、痛がる女の子の方がいいの

いや、あんまり痛がるのは困るけど心配になっちゃうしでも、処女なのに、すごく感じまくる子もどうだかなあ

何、言ってるんだオレ

はぁ結構、バランスが難しいんだ

舞夏は、ぽかんとしている

でも、あたし、今は痛いけれどちょっとだけ、気持ちいい感じも判るしヨシくんとエッチするのすごく好きよ愛し愛されてるって気持ちになるの

め、メグ

うわっ、恵美ちゃん、エッチな顔してる

そうちょっと、思い出しちゃったからさっきのエッチ

メグは、頬を染めて舞夏に微笑む

舞夏ちゃんも、すぐに気持ち良くなるわよどんな子でも、二週間毎日セックスしていたら、エクスタシーを感じるようになるらしいわ

克子姉が、また余計な情報を吹き込む

克子さん、それ本当

ええ昔、読んだアメリカの性科学者のリポートに載っていたから

二週間かぁ

えっとま、舞夏さん

じゃあ、取りあえず気持ち良くなるまでは、毎日しようねお兄さんっ

まマジですか

でも毎日、エッチしてたら、舞夏のアソコ、ガバガバのユルユルになっちゃたりはしない

舞夏が再び、克子姉に尋ねる

ああそれは、大丈夫よ舞夏ちゃんが、アソコをちゃんと鍛えればね

アソコを鍛える

女の子の入り口って、ちゃんと筋肉があるのよよく、聞くでしょオマンコでおチンポを締め上げるって

そんなの舞夏、初めて聞いた

女の子の穴には、そういう機能があるのよだから、全然鍛えないで、のほほんとセックスし続けたら、確かにガバガバのユルユルになっていくんでしょうけれど本気で鍛えていけば、どんどん凄いオマンコになっていくのよ

うわっ、そうなんだ

膣の中もそうよ鍛えていけば、中でおチンポを何段階にも締め付けることができるようになるわ男の人が感動するぐらい気持ちの良い女性器を名器って言うんだけれどねちやんと鍛え上げれば、どんな女の子のアソコも名器になるのよ

克子姉女子中学生に名器とか

ね、お兄さん、どうする舞夏、名器になった方がいいよねっ

それは、まあ

どちらかと言えば

それで克子さんどう鍛えれば、名器になれるの

舞夏は、盛りの付いた子犬のように、克子姉にしがみつく

まずは、セックスに慣れること後は、セックスしながら実地で教えてあげるわ

あわわわわ

舞夏が、克子姉に弟子入りしてしまった

名器への道は、険しいわよっ

舞夏、がんばりますっ

そこへメグが声を掛ける

あの、克子姉さん

どうしたの、恵美ちゃん

あたしも、教えて欲しいです

あたし、恵美ちゃんには無理矢理にでも教え込むつもりだったわよ

克子姉は、優しくメグにそう言った

セックスが下手で彼に嫌われたくないんでしょ

はい克子姉さんも渚姉さんも、お上手そうだしみすずさんは、才能がありそうですしここで、舞夏ちゃんまでエッチが上手くなったらあたし、ヨシくんに嫌われちゃうから

いや、そんなことは無いんだぞみんな、それぞれ抱き心地が全然違うんだから渚さんは、ふんわりと包み込んでくれる感じだし克子姉は、中身が詰まってて弾けるみたいだしみすずは、つるつるしてて柔らかで舞夏は全身でギュッと抱き締める感じが良くてメグは

オレは心配そうな顔のメグに言った

メグの身体は、キュッと引き締まっていてでも、柔らかなところもあって気持ちいいんだオレはとっても好きだよ

メグは、ホッと溜息を吐く

じゃあ、それぞれの身体の特性に合った形で鍛えていきましょうもっともっと、彼に気持ち良く愛して貰うためにね

克子姉が、上手く話をまとめた

みたいだったんだけど

あれ、寧さんは

何で、お前は変なところが鋭いんだ

あなたたち、いつまでお喋りしているつもり

グッドなタイミングで、ミナホ姉さんが突っ込んでくれた

さすが、オレたちの姉さん

もうそろそろ予約の時間よ舞夏さんは、克子と池田先生のところへ行きなさい

あれみんなで行くんじゃないんですか

ミナホ姉さんが、呆れた顔でオレを見る

池田先生は非合法なお医者様なのこんな大人数で押しかけるわけには、いかないでしょ

非合法

ああ黒い森と関係のあるような医者だ

やはり、裏の世界の人間なのだろう

安心なさい、腕は確かな方だから

それにあなたが舞夏ちゃんに付いて行ったら、先生にこっぴどく怒られるわよ

と克子姉が言う

克子姉は、意地悪な眼でオレを見て

一昨日はみすずさん、昨日は恵美ちゃん、今日は舞夏ちゃん三日連続で、処女喪失の子の診察をするのって、女医さんとしては複雑な気持ちだと思うけれど

ななるほど

ていうかオレ

天罰とか当たるんじゃないかそろそろ

お嬢様ぁ、付き添いはあたし一人なんですかぁ

悪いけれど克子、頼むわ

克子が、池田先生に嫌味を言われますう絶対、絶対、言われますぅ

悪いけれど一人でお相手して

ミナホ姉さんは、克子姉に女医さんとの対応を押しつけた

はいはい判りましたぁ

もちろん克子姉は本気で不満なわけではない

ミナホ姉さんとじゃれ合っているだけだ

克子姉がニコッと微笑んで、舞夏を見る

じゃ、いきましょうか舞夏ちゃん

お医者さんに診せて舞夏、どうなるの

処女膜がちゃんと破れているか、膣の中に傷は無いか、出血は止まっているかそういうことを診てもらうのまあ、大丈夫だと思うけれどセックスのための定期点検だと思ってそれから、妊娠しないためのお薬を貰うわ身体に影響の少ない、毎日飲むタイプのをね

判ったそれなら診て貰った方がいいもんねっ

じゃあ、行って来るねっお兄さんっ

ああ、しっかり診て貰うんだぞ

判ってるよっ

舞夏と克子姉が車を降りる

暗い、マンションの地下駐車場を奥の方へ歩いて行く

じゃあオレたちは、診察が終わるまでここで待機ですか

いいえあなたたち二人は、このまま街へ行きなさい

街って

買い物とか今のタイミングでしかできないわよ

ミナホ姉さんが、真顔で言う

白坂家がいかに名家だからって結局は、ただの新聞社のオーナーよさっき、山峰さんから白坂本家に連絡があったからといってそのまますぐには動けないわ

動けない

まずオーストラリアの白坂創介が、本当にあたしたちに捕まっているのか、安否を確認するところから始めるでしょだけど、オーストラリアは遠いしこちらも、色々と工作を施しているから、今日中に明確な情報を得ることはできないはずよ

最初から、携帯電話の繋がらない地域に行くスケジュールだったことにしておけば確認のしようがない

まあ、取りあえずは新聞社のオーストラリア在住の社員とかを動員するんでしょうけれどこっちの尻尾は、簡単には掴ませないわ

ミナホ姉さんは徹底的に、計画を練っているんだ

恵美が、さらわれたというのもね白坂本家としては、優先順位は白坂創介より低いことだからまあ、知り合いの裏組織の人間に調べさせるんでしょうけれどそれもきちんと動き出すのは、明日以降でしょうね

なぜです

裏の世界の人間というのはね仕事を頼むと高くつくのよしかも、一度仕事を頼んだ以上は、途中でキャンセルするにも大金が掛かるしね恵美が本当に黒い森に誘拐されたという確証を得るまでは、白坂家は裏の人間に依頼しないわ

そうか恵美の誘拐は、狂言かも知れない

まずは白坂創介の安否確認に集中して

メグのことは明日の朝に山峰家に連絡して、本当に彼女が帰宅していないことを確認してからでも、対応は遅くは無い

恵美がよっぽど白坂の本家の人に気に入られていれば、話は別だけど

それはありませんあたしは、一族の汚点ですから

恵美がそう答えた

だから街に出て買い物するなら、今日しかないのよ

ミナホ姉さんが、笑ってオレたちに言った

でも買い物って、何を買うんです

オレは特に何を必要とはしていないけれど

まず明日は、学校で身体検査があります

ミナホ姉さんは、そんなことを言い出した

恵美吉田くんの下着は、あなたが選んで買いなさい

それから恵美の下着は、吉田くんに選んで貰うのよ

し、下着を選ぶ

どどうして

高校一年生の最初の身体検査よ女の子は、お互いの下着とかチェックしているものよ恵美が、他の女の子と比べられて恥ずかしくない下着を選んであげなさい

それから明後日、五月二日に、みすずさんの日本舞踊の発表会へ行くわよね

吉田くん恵美のドレスを選んであげて

メグのドレス

御名穂さんあたし、制服で行きますから

メグは、ミナホ姉さんの提案を断ろうとする

恵美あなた、みすずさんに恥をかかせる気

ミナホ姉さんは、厳しくメグに言った

あたしそんなつもりはありません

ではみすずさんの友人として相応しい格好で行きなさい

みすずの出る発表会は、日本舞踊の家元の教室の発表会で

たくさんのセレブの人たちが観に来るんだ

制服ではみすずの前に行けない

メグ、買いに行こう、ドレス

ヨシくんでも、あたし

メグは雪乃の妨害で、ずっと晴れ着を着せて貰えなかった少女だ

どんな場にもいつも学校の制服で出席させられていた

いいんだよメグはもう山峰家のいいや、白坂家に気を遣う必要は無いんだ

オレは、メグを抱き締める

思いっきり、綺麗な格好で行こうなっ

恵美は小さな声で呟いた

昨日で、感想の欄が700件を越えました

いっぱい感想をありがとうございます

誤字や表記の間違えだけで無く、いろいろとご指摘いただいています

どこが説明不足なのかや、判りづらいのかなどご指摘で気付かなかったことが判明することも多く、すぐに翌日の原稿に反映させていただいています

本当に、ありがとうございます

ところで舞夏ちゃんの愛称はどうしたらいいでしょう

とのあえずマイマイとキングマイマイだけは避けたいと思っています

113.ドレスと指輪

はい、これ

ミナホ姉さんが、オレに封筒を差し出す

二十万円入ってるから、使いなさい

吉田くん、昨夜、渚のために黒い森の活動をしてくれたでしょその報酬として、百五十万円支払うわあなた用の口座を作ったから、残りの百三十万円はそっちに振り込んでおいたから通帳とカードは、屋敷に戻ってから渡すわね

ミナホ姉さんは、当然のことのように言った

いやでも、オレ、何もしていませんし

ヤクザの前で渚のために身体を張ったり、殺し屋に命を狙われたりしたでしょいいから、受け取っておきなさいマルゴにも、寧にも、克子にもちゃんと支払っているんだから

お金は必要でしょあたしは、あなたたち三人の生活の面倒は見るけれどそれ以外の費用は、吉田くんに任せますからね

それ以外

恵美と舞夏ちゃんの洋服代とか、月々のお小遣いとか吉田くんが払うのよ

お、オレが

当然でしょ二人とも、あなたの女なんだから

何から何まで、ミナホ姉さんに頼るのはよくない

どうせ、恵美たちのために何かしらアルバイトをするつもりだったんでしょあなたの仕事は、あたしが見つけてきますから

オレの仕事ですか

黒い森は、売春部門しか無いわけではないのよ

元々あたしの祖父、黒森公之助は、自分の事業の拡大のために売春部門を作ったのであって、娼館が全てはなかったのよ

昔は、貿易や興行なんかの仕事もしていたらしいわ父の代になって、全て処分してしまったけれど

先生は、寂しそうに言う

父は、祖父にコンプレックスがあったから祖父を越える実業家になろうとして、無茶をして事業に失敗したのそれで、黒い森の娼館だけが残ったのよ白坂創介につけ込まれることになったのも、父のそういう性格が原因ね

父親の話をする時御名穂姉さんは、いつも辛そうな顔をする

あたしが黒い森の運営に参加するようになってから少しずつ、他の事業も始めていたの今は、投資部門と不動産部門があるわ

そうだミナホ姉さんは、渚さんが契約している駅前のホテルの大株主なんだっけ

これから、克子のためにパン屋も始めるしマルゴや寧のためにも、事業を始めるわ

ミナホ姉さん

黒い森の売春部門は、もうなくなるんだからあたしたち、別の仕事を見つけないといけないものね

ミナホ姉さんはずっと先のことまで、考えてくれている

本当にオレたちの姉さんなんだ

吉田くんや恵美も、将来の希望があったら言ってちょうだいあたしどんなことでも、準備するから

正直ありがたいと思う

とにかく吉田くんのアルバイトは何か考えておきますいいわね

オレは、大きく返事をした

御名穂さんあたしも、アルバイトします

ヨシくんだけ働いて貰うのは悪いですあたしも、自分の必要なお金くらいは自分で稼ぎます

メグは、そう言ってくれるけれど

ダメだメグは、陸上部が最優先だろ

竹柴キャプテンや他の部員の前で、約束したんだから

心苦しそうなメグに、ミナホ姉さんが言った

恵美部活の練習の無い日週に二回ぐらいなら、働けるわよね

はい、それなら大丈夫だと思いますけど

ミナホ姉さんが、メグに微笑む

じゃあ、渚のお店にアルバイトに行きなさいみすずさんの代わりにね

みすずの代わりって

みすずさんもう、アルバイトしている余裕は無いもの本気で東大の受験を考えているのなら

ああそんな話もあった

みすずは、高校二年生もう、受験勉強に本腰を入れないといけないのか

後で、みすずさんに電話して話してみなさい渚には、あたしから話しておいてあげるから

メグは、ミナホ姉さんに頭を下げた

というわけだからとにかく、二十万円は渡しておくわよ恵美が発表会に着ていくドレスは、吉田くんのお金で買いなさいいいわね

オレの金という実感は、全然無いんだけど

とにかくメグの服は、この金で買うしかない

五万円以上のドレスを買うのよそれから、二万円以上の靴もね

ミナホ姉さんは、強くそう言った

そんな御名穂さん、高すぎますあたしが着るんですよ

メグの言葉にミナホ姉さんは

他の子は、もっと高くて高価な物を着てくるわ本当なら、二十万円の服に十万円の靴って言いたいくらいよでもあなたたち二人じゃ、そんな金額だとどんな物を探せばいいのか見当も付かないでしょ

そんな天文学的な数字の服どこで売っているんだ

今回はあなたたち二人だけで、買い物することに意義があると思うのだから、克子や寧に付き添って貰わないで行きなさい

ミナホ姉さんはオレたちに経験値を積ませようとしている

恵美の服のセンスは、マトモだと思うから可愛い感じのドレスで、七万円くらいのを目安に買いなさい靴はドレスに合わせて買うのよ判らなかったら、店の人に聞きなさい予算三万円で、この服に合う靴を見せて下さいって、言えば出してくれるから

ミナホ姉さんは、そうアドバイスしてくれた

あの御名穂さんヨシくんの服はいいんですか

メグが、そう言う

確かにオレも学生服で行くつもりだったし

メグが制服じゃダメならオレもだよな

吉田くんの着ていく服は今、克子が直しているわ

克子姉が直している

昨日、吉田くんの服のサイズを測ったでしょうちの屋敷には、亡くなったお祖父様の着ていたスーツがかなり残っているのその中から、吉田くんが着れそうなのを探して克子が直すそうよどうせ、今からじゃオーダーメイドは間に合わないし吊しの服を買ってくるよりは、マシだろうって

オレのためにサイズ直しをしてくれる

克子は、そういうことをするのが好きなのよやらせてあげなさい

あこれ、あたしが喋ったことは内緒にしておいてね克子から吉田くんに話すまで、知らなかったことにして

ミナホ姉さん克子姉

みんな、オレのために考えてくれている

それから吉田くん

ミナホ姉さんが、ニッと微笑む

ついでにメグに指輪を買って上げなさいとりあえず、一万円くらいのでいいから

ゆ、指輪って

学生手帳持ってるわよね

オレは、学生服のポケットから、学生手帳を取り出す

校則の女子生徒の服装規定のところを見て

ミナホ姉さんの言葉にオレはパラパラとページをめくる

横からメグが、オレの手帳を覗き込んだ

アクセサリーに関する項目に、何て書いてある

ええっと

華美なアクセサリー類イヤリング、ネックレス、ペンダント、ブローチ、ブレスレットなどは、校内の持ち込みを一切禁止するただし、

何じゃこりゃ

石の付いていない婚約指輪と首に巻くチョーカー類は、学年主任が認める場合は着用を許可される

えアクセサリー類は、全面的に禁止なのに

指輪とチョーカーはいいの

昔は、昼間、うちの高校に通いながら、夜はお屋敷で娼婦をしている子が何人もいたから

ミナホ姉さんは、そう答えた

チョーカーは首輪の印よ校内の先生たちに、この生徒は黒い森の娼婦だから気を付けろ、というサインだったの

うちの高校は黒い森の娼婦のカモフラージュとして、ミナホ姉さんの祖父が買い取ったんだっけ

現在は、娼婦の候補者の狩り場になっているけれど昔は、娼婦がそのまま通学していたんだ

指輪はこの子には婚約者がいるから、手を出すなって、男子生徒に対する警告だったわけ

だから恵美に指輪を買ってあげなさい

他の男たちにメグはもうオレの物だと知らしめるために

メグと二人で、マンションの外に出る

ミナホ姉さんは車の中に残って、パソコンを開いていた

オーストラリアの様子や、白坂家の動向を調べるつもりらしい

ここ、どの辺だか判る

地下の駐車場から、外界へ

夜の街もう六時を過ぎている

ここは、繁華街の近くということは判るけれど

普段からあまり出歩かないオレには土地勘が無い

判るわあっちがJRの駅の方だと思う

さすがメグは頼りになる

ね、手を繋いでもいい

あうん、いいよ

オレたちは手を繋ぎひとまず、駅の方へ向かう

うふふ

メグが、笑い出す

どうしたんだよ

あたし男の子とデートするの初めてだから

オレだって、そうだよ

ヨシくんも、そうなの

メグが、急に自販機の影にオレを引き込む

オレが尋ねる前にメグがキスしてくる

好きよ、ヨシくんあたし幸せ

メグが、オレを抱き締めてそう、囁いた

メグは、さっき十年間暮らした家を失った

もう、帰る場所は無い

それどころかこれから白坂の家から追い掛けられることになる

それでもメグは

ずっと一緒に居ようね

今度は、オレの方からメグにキスをした

とりあえずどこから行く

照れ隠しに、そんなことを尋ねてみる

五万円以上の服なんて、あたしもよく判らないからとりあえず、駅前のブランドショップのたくさん入ってるデパートへ行ってみましょうか

メグは、そう提案した

高級ブランドの出店が並んでいるデパートの中

オレたちは通路を行ったり、来たりしている

お店の前は通るけれど中に入る勇気が無い

外国ブランドのお店は、何か妙にギラギラした感じで

店員さんたちが何、この子たちって睨んでいる感じで

オレも、メグも

すっかり、ビビっている

ここって、オレたちには似合わないんじゃない

あたしも、そう思ってた

脱出する

うん、ここは止そうね

二人手を繋いで、ぴゅーと建物の外へ逃げ出す

表に出たところで、メグと顔を合わせる

自然と笑みが零れた

こんなことで、あがっちゃってダメだね、あたしたち

ああダメだな、オレたち

二人でケラケラと笑う

何か楽しい

不意にメグが、自分のお尻を押さえて立ち止まる

メグは、困ったなという顔でオレを見る

垂れてきたの

ヨシくんのが

ヨシくんの精液だよ

そうだオレ、さっきメグの胎内に射精したんだ

うんもう大丈夫行こう

メグがまたオレの手を取って、歩き出す

隣を歩いている女の子の子宮にオレの精液が入っている

そう考えると何だか、興奮してきた

ヨシくんエッチなこと考えているでしょう

メグが、オレをニッと見る

あごめん

いいのよあたしも考えてたから

あたしいつも、ヨシくんので満たされていたい

エッチな女の子で、ごめんね

いやエッチな女の子の方が嬉しいよ

オレは、メグの腰を抱いた

あんまた垂れちゃう

メグは、オレの耳にそう囁く

初めから、こっちに来れば良かったね

オレたちは、もう少し庶民的なデパートに移動した

エスカレーターで、婦人服売り場を目指す

このデパートなら、あたし、お母さんに洋服を買って貰ったこともあるし

あたし他の子より、少し背が高いでしょだからもう、子供用じゃなくて大人の服じゃないと入らないから

エスカレーターに乗る、メグの全身を見る

うんメグは長身で、モデルさんみたいにスラッとした体型をしている

おっぱいは子供サイズでごめんね

みすずといい、舞夏といい女の子は、みんな胸の大きさを気にするなあ

オレは好きだよメグのおっぱい

うんメグらしくて、可愛いよ

あたしもヨシくんに、おっぱいぺろぺろして貰うの好きよ

メグが、うつむいて言った

また後でしようね

オレは、メグのお尻をポンと撫でる

あんっもう

メグが声を上げる

ごめん嫌だったまた垂れてきたとか

メグは、恥ずかしそうに

もう平気よ触られるのは、嫌じゃないわメグの身体はヨシくんのだもの、好きなだけ触ってね

メグは、オレと二人きりの時だけ、自分のことをメグと言う

少し恥じらう様子がオレにはとっても可愛い

こっちかそっちだと思うな

婦人服売り場をぐるっと巡ってメグは、二着の服を選んだ

一つは真面目そうな、かっちりとした感じの上着とスカートのセット

もう一つはちょっと華やかな感じのドレスだった

といっても、メグのセンスだから派手過ぎではない

どっちも、色は鮮やかなグリーン

緑の服がいいのか

うんグリーンの服で行きたいの

さてどっちにしようか

値段は真面目な方が五万八千円で、華やかな方が七万三千円

高い方が布地が少ないのに

女の子の服の規準は、よく判らない

安い方でいいよ

メグは、そう言うが

そういう考え方は、止めよう

オレは、きっぱりと言った

でもどうしようか

真面目な方はメグらしくて、これはこれで似合うと思う

華やかな方はメグのイメージを変えるキッカケになると思うこれは、これで見てみたい

試着してみる

メグの話だと、若い子向けの洋服屋だと、カップルで入れる試着室というのがあるらしい

男は自分の彼女の生着替えを、その場で見られるらしいのだがここは、普通のデパートだからそんな設備は無い

オレは、試着室の外で待つ

まず、真面目な方

アリだすっごく、可愛い

服だけ見た時は、地味だと思ったけれどリアル委員長のメグが着ると、清楚でとても可愛いメグの可憐さを引き立ててくれる服だ

うんじゃ、もう一つの着るね

再び、メグは試着室の中に

デパートの婦人服売り場はあんまり人通りが無い

外でボーッと待っているとオレ、何やっているんだろうって感じがする

ちょっと、厚手のカーテンの隙間から中を覗く

メグの裸の背中が見えた

もうヨシくんのエッチ

あ、気付かれた

見たいのなら言ってくれればいいのに

メグが桜色の乳首をチラっと見せてくれる

今はこれだけまた、夜にねっ

カーテンの隙間から、メグが微笑む

夜が待ち遠しい

はいお待たせしました

試着室のカーテンが、サッと開く

華やかな方のドレス

これもいいなあ

メグってこんなに美人なんだ

普段から地味な感じになろうとしているから印象が地味なだけで

華やかな服を着ると背は高いし、スタイルはいいし、目鼻立ちもクッキリしているし本当は、すごい美人なんだと気付く

雪乃が死んでも晴れ着を着せなかった理由が判った

これはちょっと恥ずかしいな

こんなに足とか肩とか出す服初めてだから

え、とっても可愛いと思うよ

でも恥ずかしいよ

恥じらうメグは、とっても可愛い

あたしさっきの大人しい服がいいなあっちの方が安いし

オレはこっちの華やかな方が好きだけど

さて意見が対立した

いっそのこと、二着とも買おうか

オレは思い切って、そう言ってみた

ええーっ、それはもったいないよぉ

もったいなくないよメグの服だもの

あたしの服だから、もったいないんじゃない

どうして、メグは自分を卑下するんだろう

こんなに可愛いのに

ヨシくんは、どうしてこっちの服の方が良いの

メグが、オレに尋ねた

こっちのドレスの方が、メグの足がくっきり見えるから

オレは、思った通りのことを答える

あたしの足

恵美は、びっくりした顔をする

うんメグの足は、細くて長くてとっても綺麗で、格好いいんだちゃんとスポーツをやっている子の足でオレは大好きなんだだから、その足がくっきり見える、こっちのドレスの方が好きだよ

メグはジッとオレを見ている

どうしたんだよ、メグ

ヨシくんてホント、良い人だね

どんな時でも、絶対にいい加減なことを適当に言わないから

そんなの、当たり前だろ

ううんみんなは、そうじゃないよヨシくんみたいに、何でも真剣には考えないし真剣に答えようとはしないよ

そうなのかな

うん、そうだよだから、あたし、ヨシくんが好き

メグが、オレに微笑みかける

あたし、このドレスにするねっ

ヨシくんにあたしの足、もっと見て貰いたいから

メグは静かに言った

あたしみすずさんの発表会に行って他の女の子に比較されても、恥ずかしくない服を着ないといけないって、そればっかり考えてた

いやそれでいいんだろ

でも、違うんだねそんなこと考えてたら、発表会にどんな服を着て行ったって、あたし結局、恥ずかしがってたと思うわ

他の子は、もっと高価な服を着てくるかもしれない

単純に服を比較しようとすればメグに分があるはずがない

あたしヨシくんの女だもんねヨシくんが、気に入ってくれる服を着て行けばいいんだそうだよね

メグが、オレを必要としている

ああ、そうだオレがメグを見て可愛いって思えばいいんだ他の人間の視線なんて、関係無い

ミナホ姉さんがなぜ、オレと二人きりで服を買いに行かせたのか判った

メグの晴れ着へのコンプレックスを打ち壊すために

オレがどう思うかというよりメグ本人が納得して着るのなら、どんな服でもそれは晴れ着になるのだということを理解させるために

ヨシくん本当に、このドレスでいいの

メグが再度、オレに尋ねる

ああオレは、そのドレスがいい

オレはそのドレスを着た、メグが好きだよ

メグの顔が大輪の花が咲いたように輝く

ありがとうヨシくんっ

ドレスを買ってそれに似合う、靴も買った

二十万円貰ったけれどすでに半分以上が、吹っ飛んだ

女の子の服って、本当に高いんだな

オレとんでもなく稼がないといけないかも

メグは庶民派だけど

みすずと舞夏は、高級志向な気がするし

寧さんなんて、最高級品しか似合わなそうだし

克子姉や渚さんにも、何かしらプレゼントしたいしな

今までは自分が金を使わない生活をしてきたから、お金なんてどうでもいいと思ってきたけれど

もう、そんなことは言えない

いっぱい働かないと

ヨシくんこれなんかどうかな

続いて指輪売り場に来た

何か女性服売り場より、さらに恥ずかしい

女の子と一緒に指輪を買うというのはこの子がオレの女だと世間にアピールしているわけで

道行く買い物客が、みんなオレたちを見ているような気がする

ああ恥ずかしくて、死んでしまいそうだ

というか誰か殺してくれ

そちらより、こちらの方が最近は人気のアイテムなんですよ

店員のお姉さんが、さりげなく値段の高い指輪を示すがメグの眼は、一万円以下の指輪ばかりを見ている

ったく

メグ三万円以上の指輪じゃないと買わないからな

オレは、そう宣言した

どうして御名穂さんは、一万円ぐらいのって言ってたわよ

っていうかだからって一万円以下のコーナーを探すのか

ミナホ姉さんは最初の、1個目の指輪だから安いのでもいいだろうっていう意見なんだよ

何となく、それぞれの女性の考え方の違いが判ってきた

どの人もみんな、少しずつ違うんだ

でもメグは、その指輪、一生付けてる気だろ

ほらやっぱり

ならちょっとでも高い方がいいよ簡単に壊れたりしないようなやつがいい

そうだね、判ったわ

メグが、三万円以上のコーナーに眼を向ける

うんこれで良い

一万円でも三万円でも、実際はそんなに大して強度は変わらないと思うけれど

メグの選択の幅が拡がるのは良い

正直、一万円以下の指輪はそんなに種類が無かったし

プラチナでもいい

ああ、何でもいい

プラチナって何だか判らないけれど

プラズマとは関係無いんだろうな

メグは真剣に選んでいる

これとこれとこれだったら、どれがいい

オレは指輪と指輪に付いたタグを見る

これは止した方がいいよ

これだけ、プラチナの純度が違うからこういうのって、純度が高い方が高品質なんじゃないかな

あすごいね、ヨシくん

いやよくわかんないけれど多分

あたし、聞いたことがあるわ純度が低いとプラチナの指輪でも、歪んじゃったりするって

誰に聞いたの

部活の先輩

あいかわらずメグは、耳年増だ

となるとこれかこれだよね

最終的に、メグはシンプルなデザインの方の指輪を選んだ

これにする

店員のお姉さんが、ササッと寄って来る

指のサイズを見ますねえ

そしたらメグは

サイズは薬指に合わせて下さい

メグは、満足そうにニッコリ微笑んだ

これ結婚指輪にしますから

オレはもちろん仰天していた

だってオレたち、どう見てもまだ高校生だし

オレなんか、学生服だし

しかし店員さんはこういう展開になれているのか

幸いメグは細くて長い指をしている

サイズ直しをしなくても、ぴったり薬指に入った

とってもお似合いですよ

店員さんの言葉に、オレは

これ買います

オレは指輪の代金を支払った

三万二千円

あ包まなくていいですこのまましていきますから

メグは、店員さんにそう言うと

プラチナの指輪をオレに差し出す

ヨシくんがはめて

オレはメグの白い手を掴んで

左手の薬指に指輪をはめる

指輪が薬指の根元に届いた時メグが小さく声をあげた

まるでペニスで子宮口を突かれた時のように

これであたし完全にヨシくんのものになった気がする

うっとりとした眼で、メグは指輪を撫でている

指輪ってこんな魔力があるんだ

指輪はヴァギナの暗喩でしたっけ

私は、女の子に指輪を買ったことは一度しかありません

まあ、その後ふられましたが

なんか、もの悲しくなったので仕事に行きます

114.下着と追跡者

指輪を買ってさて、次は

ヨシくんの下着を買おうよ

オレのパンツか

いやオレのパンツなんて、別にデパートで買わなくても

えヨシくん、普段はどこで下着を買ってるの

メグは、意外そうな顔をする

百均

ひゃく

百円ショップ

というかオレはこの五年、ずっと百円ショップのパンツで暮らしている

うんと百円のパンツなんて履き心地悪いんじゃないの

メグは、心配そうにそういうけど

そんなの判らないよオレ、百円のしか履いたことないし

男のパンツに、そんな履き心地の違いなんてあるのか

百円のパンツなんてよくないよもっと、良いパンツを買おう

メグは、真剣な顔でオレにそう言う

いやオレは、百円ので全然問題無いんだけど

いいよもったいないよオレが履くんだよ

それならメグも百円のパンツしか履かないわそれでもいい

メグが、ジッとオレを見つめる

いやメグがオレに合わせることないんだよ百円ショップで売っている女の子の下着なんて、ロクなもんじゃなさそうだし

うん品質が悪そうだ

何て言っても百円なんだし

ヨシくん百円ショップで売っている女の子の下着がロクなものじゃないんなら、男の子のパンツもそうなんだと思わない

真面目にそう言うメグ

確かにそう言われたら、そうかもしれないけれど

でもオレは、別に履き心地なんか気にしないし

あたしは気にして欲しいの

ヨシくん世の中には、色んな物があるんだよあたしは、ヨシくんにちゃんと物の違いの判る男の人になって欲しい

物の違いの判る男

うん違いが判らないと、本当の価値は判断できないでしょ

メグは、オレの手をギュと力強く握りしめる

でもパンツなんて外からは見えないんだし

他の人からは、見えなくても履いているヨシくんには、判るでしょ身につけて肌で感じるんだから

それは、そうだけど

ヨシくんあたしが、お金がもったいないからって、古くなってボロボロになったパンツを履いて学校に行こうとしたら、どうする

メグがボロボロの下着を付けているとしたら

それは嫌だメグにはいつも、綺麗で良い物を身につけていて欲しい

あたしだって、そうだよ

メグが強くオレに言った

オレが一方的に、メグに尽くすだけじゃいけないんだ

メグに綺麗な良い下着を付けて欲しいと思ったらオレも、綺麗で良い下着を身につけるしかないんだ

それに明日は身体検査だよあたし、ヨシくんには、ちゃんとしたパンツで行って欲しい

明日の身体検査というのは、身体測定のことだ

お医者さんに学校に来て貰う、健康診断は入学してすぐにやった

まあ、内科の検診だけだったけど

明日のは身長や体重とか胸囲とか座高を量るのがメインだ

それとレントゲン車が来るんだっけ

とにかく男女に分かれて、下着姿で測定されることになる

ヨシくんが変なパンツ履いてたら、あたしが笑われるんだよ

メグが、オレをメッと睨む

あたし学校では、ヨシくんの彼女なんだから

ああ何もかも、完全に包囲されてしまったんだな

オレもう、一人きりじゃない

オレの女たちの思いを背負って生きるしか無いんだ

判ったメグに任せるよ

メグが、ニコッと微笑む

しかしだ

紳士服売り場の端っこで

うふっふっふふふーん

メグは、上機嫌でオレのパンツを選んでいる

鼻歌交じりで

メグ恥ずかしくないの

だって男のパンツの売り場だぜ

あたし、とっても楽しいわよっヨシくんの奥さんになったみたいで

お、奥さん

ええっとヨシくんは、トランクス派だよね

メグには何度か、下着姿を見られている

下着以上の格好も見せているけれど

でもさこれからは、こっちのボクサーブリーフにしてみないこれの方が、肌触りが良いと思うわよ

ボクサーブリーフ

ああ、トランクスのちょっとぴったりした感じのやつか

うんじゃ、それでいいや

オレには、特に異論は無い

パンツなんて、別に何を履いたっていいんだし

白のブリーフは嫌だけど

百円ショップのトランクスを買う前は、オレも白ブリーフをはいていた

あれ一年くらい履いていると、何回洗濯しても黄ばみが取れなくなるんだよな

判ったじゃ、5枚買うね

5枚

いや3枚でいいよ3枚も、あれば洗濯して充分ローテーションできるって

ダメ5枚買います予備も居るわよ

奥さん仕様のメグは、強情だった

ちなみにそれ、おいくらですか

1枚、840円

ボクサーブリーフ1枚で、百円ショップのトランクスが8枚買える

それが5枚

だだだ、大散財だ

そんな顔しないのあたしの七万円のドレス買ってくれたんでしょ自分のパンツにもお金を使いなさい

ち、ちくしょう

こうなったら

そんなもったいないわよ

オレたちは今、女性下着売り場にいる

もう、とんでもなく恥ずかしい

顔から火が出そうな気分だが断固として耐える

いや、ダメだメグには、上下セットで一万円以上の下着を買ってやる

もうヤケだ

最高のブラジャーとパンティを揃えてやる

それも3種類買うからな

3種類って

メグが、きょとんとした顔をする

まず明日の身体検査用のやつこれは校則に合わせて、白の無地のじゃないとマズいだろ

白の無地でもブラとパンティが、ちゃんとセットでデザインしてあるのを買う綺麗で可愛くて、格好いいやつだ

そんな学校に着て行く下着なんだから、普通のでいいわよ

ダメだっ明日は、身体測定で他の女子に見られるんだろオレだって、メグに最高に綺麗で可愛い下着で行って欲しい

さっきメグがオレに言った理屈を、そのまま返す

判ったでも、三千円のでいいよ

絶対にダメ一万円のにするっもう、見た目から違うのに

オレは断固として、宣言する

それから明後日、みすずの発表会に着て行くやつせっかく、良いドレスを買ったんだから、下着も良いのを付けていくべきだ外から見えなくても、お洒落するべきだろ

それはそうかもしれないね

七万円のドレスに似合う、ブラとパンティを買うぞ

うんそれは、判った

これについては、メグはすぐに了承してくれた

最後にエッチな下着を買おう

メグの切れ長の眼が、大きく見開かれる

エッチな下着を付けたメグが見たいんだ

メグが顔を赤く染める

メグが、オレに抱きついてくる

メグどんなエッチなのでも着るからね

二人で下着売り場を漁る

まず、明日用の校則に合う下着を探す

これなんかいいんじゃない

オレは、スッキリとしたデザインのセットを選んだ

メグは、恥ずかしがっている

ええっと値段の付いているタグを見る

純白のブラとパンティのセットが、一万二千円

さっきのメグの話が、よく判ったよ

え、どうして

ただの白い下着なのに本当に、見た目からして全然違うこっちの方が、高級品で肌触りも付け心地も違うって、外観から伝わって来るよな

本当にシンプルなデザインなのに

安売り品とは、一線を画した風格が漂う

やっぱり、一万円を越えると違うんだなあ

ヨシくんの百円のパンツと八百四十円のパンツだって、全然違うわよ

多分、そうなんだろうけれど女の子の下着の方が、差がはっきりと判る

まあ、値段も値段だし

よしまずは1セット目が決定

本当に、これでいいの

今度は、発表会用の下着だ

オレは、二万三千円のセットがいいんじゃないかとメグに提案する

淡いピンクのレースのフリルとか付いているやつ

花柄の透かし模様が入っている

もう、見た目からしてゴージャスで可愛い

あたしこんなの似合うかな

メグは、また自分を低く見ている

ならそっちの四万円のにするか

オレは、強気で責める

って所持金ギリギリだけど

い、いいよこっちので、いいから

メグは、二万三千円ので納得してくれた

最後にエッチな下着だけど

ヨシくんそんなのでいいの

オレが選んだのは、赤い生地に黒のレースの付いた下着のセットだった

色こそ派手だがデザインは、普通だ

高校生の女の子が、普通に履いてそうな感じの

それでも、まあ勝負下着っぽい感じはする

もっと変なのでもいいんだよ

とメグは、頬を染めて言ってくれる

あたし子供の頃に、お屋敷でお姉さんたちが、すっごいのを着ているの見てきているからヨシくん、ああいうエッチなのがいいんでしょ

メグは、もっと変態っぽくて扇情的な下着を買うのだと思っていたらしい

そういうのは多分、克子姉がいっぱい持ってるだろうから

うん穴あきのブラとか、紐のパンティとか、いっぱい持ってるんだろうな

それにここは、普通のデパートだからそんな、ブッ飛んでるのは置いてないよ

マジでエロ下着を買おうと思ったらそういう専門店に行かないといけない

でもこれ、そんなにエッチな下着じゃないし全然、大人っぽくないよヨシくん、こんなのでいいの

メグは、判っていない

メグ今まで、どんな下着を付けてきた

全部、白の無地だよ校則通りの

だと、思った

色が付いてたり、派手な下着って付けたことないだろ

いきなりさ、エロ過ぎる下着とか付けなくていいんだよ今までずっと、メグは優等生の良い子だったろそんなメグが、勝負下着っぽいのを着てくれるだけで、オレは興奮するよ

メグは、まだ高校一年生なんだからさエッチな子になるにしても、高校生らしい方がいいよ

オレはメグとは同い年の等身大の付き合いをしたい

無理して、背伸びする必要なんか無いんだから

メグは深く考え込む

そうだねあたし大人のセクシーさなら、克子姉や渚さんに勝てるわけ無いんだよねメグが勝負するなら、高校生らしいエッチさを武器にするしかないものね

勝負とか、武器とか

あたし山峰の家に置いて貰ってからは、ずっと良い子の優等生を目指してきたしその殻は、なかなか壊せないと思うのこれからも多分、優等生の路線からは抜け出せないと思うし

メグが、自分自身を分析していく

ヨシくんはそういう優等生のメグが、エッチで淫らになることに興奮してくれているんだよね

メグが、オレを顔を覗き込む

うんとオレは、エッチなメグも好きだけど

ちょっと待てよ

オレも、オレ自身の内面をよくよく考えてみる

いいや頑張り屋で、努力家で、みんなに優しくてとっても清楚なメグが、オレの前でエッチになることに興奮しているんだよな

イメージのギャップに

メグが真剣にオレの話を聞いている

そしてうんと大きく頷く

判ったメグはこれからも優等生は止めないみんなの前では、ずっと良い子でいるそして、ヨシくんの前でだけ悪い子になる

メグは、キラキラとした眼でそう言った

ヨシくんは、両方のメグを見ていてどっちも本当のメグだから

メグは、赤と黒の勝負下着を手に取る

そうだね今まであたし、こんな色付きの下着を付けるのは悪い子のすることだと思ってたそれぐらい、カチンコチンの優等生だったんだよね

黒い森との再会が、メグの感覚を狂わせていたんだと思う

エッチな下着と聞いただけで娼婦らしい下着と思い込むほど

うんヨシくんの言う通りだあたし、この下着くらいから悪い子を始めるべきなんだよね

メグは自分の立ち位置を確認しそこからスタートしようとしている

無理な背伸びをすることなく

メグは、ヨシくんの同級生で高校生らしいエッチをするべきなんだね

メグちょっと、そこの柱の裏へ行こう

オレは、メグの手を掴む

メグが、オレに微笑む

ちょっとメグにキスしたくなったから

メグがオレに抱きつく

奇遇だねっメグもヨシくんとキスしたかったのっ

メグはそのまま、オレに唇を寄せた

デパートの女性下着売り場でオレたちは、キスをした

結局のところ、最後に選んだ高校生っぽい勝負下着が一番安かった

上下セットで、何と八千八百円うーむ

三種類の下着を買うことを決めた後で、サイズのことに気付く

メグは、多分、これで合っているはずと言うけれど

高い買い物だし

すると、店員さんが試着しますかなとど言う

え、下着って試着できるの

そっか高価な買い物だしなあ

でも他人が試着して買わなかった下着とか何か、嫌じゃね

ちょっと、着てみるね

と、メグは店員さんと試着室へ行った

今度はちょっと付いていけない

幾ら何でも、恥ずかしすぎる

もうそれに決めてるから、サイズが合うかだけ調べてくるんだぞ

なんて女性の店員さんの前だから、格好つけてみたけれど

オレ学生服姿だし

何、言っているんだつーか、馬鹿かオレは

そして一人、待つことになって

女の下着売り場にボーっとたたずむ、学生服のオレ

あ道行く買い物客のみなさんが、みんなオレのことを変な眼で見ている

この子、何でこのフロアに居るのって顔をして

オレどう見ても変態じゃないか

メ、メグ

は早く、帰って来て

ヨシくん、お待たせ

結局、十五分ほど、世間の冷たい眼を浴びてみた

試着してみて良かったわ最後の勝負下着は、サイズぴったりだったんだけど前の二つは、ちょっと大きかったの同じ商品のサイズが、別なのと交換して貰ったわそれとね店員さんに、胸が大きく見えるブラの付け方教えて貰っちゃった

あそうですか

では、お会計してよろしいでしょうか

女の店員さんは、浮き浮きした顔でそう言った

まあ、一気に四万円を越える買い物だからな

お支払いは、現金ですよね

そりゃオレみたいな高校生が、カードなんて持っているわけない

はい現金です

オレはミナホ姉さんから貰った封筒から、お金を取り出す

彼女に誕生日のプレゼントですか

店員さんは、笑ってオレにそう言った

レジの前に並んで立っているオレとメグ

メグは、またオレの手を握っている

オレたちそういう風に見えるんだ

確かに、オレはメグのドレスの袋を持ってるしメグの靴もオレが持っている

その代わりメグはオレの下着を買った袋を持ってくれているけど

いえそうじゃないです

オレは、店員さんにはっきり答えた

これは、オレの彼女への感謝の気持ちです

メグが、繋いでいるオレの手をギュッと握りしめる

潤んだ瞳で、恥ずかしそうに下を向いている

今、お包みしますね

店員さんは、ニッコリ笑ってそう言ってくれた

メグのドレスが、七万三千円

ドレスに合わせた靴が、三万五千円

指輪が、三万二千円

オレのパンツが、四千二百円

ついでに買った無地のTシャツタイプの下着が、3枚セットで千八百円

メグの下着が、三つ合わせて四万三千八百円

合計十八万九千八百円

思い切って、買ったなあ

二十万円貰ったのに一万二百円しか、残っていない

不思議だな

オレは、ついそう呟いてしまった

メグが、オレを見る

いやね自分のためにお金を使うのは、もったいないって思うのにメグのために買うのは全然惜しくないむしろ、もっと買ってあげたいって思うよ

ホントに不思議だ

オレいっぱい稼ぐよメグだけでなく、舞夏や他の子にも色んな物を買ってあげたいから

メグがオレの身体に寄りかかる

あたしもバイトするヨシくんに、色んな物を買ってあげたいから

オレはいいよメグの働いたお金は、メグの好きなことに使うべきだよ

メグの好きなことは、ヨシくんに尽くすことですっ

メグはニッとオレに微笑んだ

何か胸が熱くなった

オレよく判らないけれど

幸せっていうのは、多分、こんな気持ちなんじゃないかと思う

ブルルルルッ

不意に、ポケットの中の携帯が振動した

多分、御名穂さんじゃないかな

そうか舞夏の診察は終わったのかな

オレは、電話に出る

もしもし、吉田くん今、どこに居るの

駅前のデパートです

買い物は終わった

はい、全部買いました

幾ら残ったの

えっと一万円くらいです

怒られるかな

使いすぎだって

合格よあなたのことだから、半分以上残すかと思ったわ

もし五万以上残していたら、もう一着、恵美の服を買わせるつもりだったんだけど問題ないみたいね

相変わらずミナホ姉さんは、人を試すのが好きだな

十五分後に、駅前のバス乗り場に着て市民病院行きのバス停に並んでいて

市民病院行きのバス停

あたしたちの車が近付いても、知らない振りをしてクラクションを鳴らしたら、ダッシュで車に飛び乗っていいわね

何か、裏があるんだ

はい、判りましたクラクションが鳴ったら、走って飛び乗るんですね

オレは、腹を括って返事する

じゃあ十五分後にね

電話が切れた

すみません、荷物をまとめたいんで大きめの袋をいただけますか

オレの電話を横で聞いていたメグが店員さんに言った

走って車に飛び乗るなら、その方がいいでしょ

メグは、平然と微笑んでいる

もう、覚悟は決まっているんだ

急がず慌てず

普通のスピードで歩く

買い物は二つの袋にまとめた

ドレスの袋は、メグが持って

靴と下着は、袋にまとめてオレが抱えている

デパートを出てバス乗り場へ

市民病院行きのバスって、何番の乗り場か判る

と、オレが尋ねると

十二番よ前に、山峰のお母さんが入院していた時に、通ったことがあるから知っているわ

と、メグは答えた

お母さん、何で入院したの

会社の階段で転んで腰の骨を折ったのよ

お母さんも働いているんだ

ええ広告のデザイン会社よ小さな会社なんだけどね新聞の折り込みチラシとかのデザインをしているのスーパーとかじゃなくて、自動車会社とか大きなマンションとか、印刷部数の多いチラシよ

つまりメグの養母も、白坂家に関係する会社に勤めているんだ

あ十二番はこっち側よ

市民病院行きのバス乗り場は一番、外れにあった

もうすぐバスが来るのかすでに十人くらい並んでいる

オレたちも並ぼう

オレたちも、列に並ぶ

ミナホ姉さんとの約束の時間まで後、五分くらいある

缶ジュースでも買ってこようか

と、オレが言うと

いいよ動きが鈍くなるから

メグは、そう答える

それよりヨシくん

メグが、オレに寄り添って、小声で囁く

もし誰かがあたしたちを付けて来ているとしたら、この列に並んでいるはずよ

そ、そっか

だから聞かれたくない話は、大きな声では話さないでね

というよりヨシくん、こういうの苦手でしょ

メグが適当に喋るからヨシくんは、うんうん頷いていて

オレの女たちはみんな、オレよりも頭が良いんだろう

とっても助かるけれど

メグは、そのまま学校の陸上部の話を始めた

オレはとにかく、うんうん頷き続ける

来たわ

表情を変えないでメグが、オレの耳に囁く

ヨシくんは振り向かないで

クラクションが鳴ったら、走って乗り込めばいいのよね

メグが、オレの手を握る

緊張しないでメグも一緒だから

メグは、何て頼りになる女の子なんだろう

車は、ヨシ君の右の後ろ十メートルくらいの所に、停まってるわ

メグが、細かい情報を教えてくれる

今、克子さんがドアを開けた

ブッブーッ

クラクションが鳴った

オレとメグは、車に振り返って猛ダッシュする

さすが、陸上部メグの足は速い

おいこら、待てぇぃ

背後から、怒号がするッ

やっぱり、付けられていたのか

おい、兄ちゃん、落とし物したぞっ

その手に乗るかっ

車では、克子姉が後部ドアを大きく開けてくれている

舞夏は、小さくなって隠れているのだろう

オレからは見えない

泥棒だそいつらを捕まえてくれっ

後ろから追い掛けてくる男が、そんなことを叫んだ

もう、何でもアリかよ

まず、メグが車内に飛び込んだ

続いてオレも車内に

急いで、ドアを閉めようと振り返ると

チンピラ風の三人の男が、オレたちを追って来ていた

ま間に合うかっ

しっかり掴まってなさい

ドアが閉まる前に車が急発進する

コラアッ

一人のチンピラが、車のドアを蹴った

そのお陰で、ドアが閉まるッ

バババババァ

車の加速

リア・ウインドゥの向こうに三人の男たちが、小さくなっていく

助かった

オレが、そう息を吐くと

いいえちゃんと追って来ているわ

とミナホ姉さんが呟いた

えー、私は十年くらいパンツは百円ショップで買ってます

この間、保険屋のオバさんにパンツを貰いました

百円じゃないパンツって、いいですねえ

しみしみ言うことでは無いんですけど

115.地の底で

ミナホ姉さんの言葉に、背後を振り返る

確かに異様なスピードで追っかけてくる車が一台ある

あれ一台だと思ったら、大間違いよ

今は、携帯電話とネットの時代だからねああやって、一台が派手に追い掛けてくる間に、別の車が先回りしているはずよ

相手は、そんな大組織なんだ

どどうするんです

オレは先生に振り向く

ハンドルを握った先生は平然と言った

大丈夫よだから、さっきから駅前の周りをぐるぐる廻っているのよ

そう言えば全然、駅の近くから遠ざかっていない

これで敵の動いている数が、だいたい読めるわ数が判れば規模が判る相手がどれくらい本気なのかもね

あたしたちが、何年この街に居ると思うこっちも信頼できる調査会社の人間を雇っているのよ今、駅前周辺に展開している怪しい人間を全て抑えさせているわこっちは地元だからね商店街や公共施設の監視カメラなんかの映像も使えるし

相手を見極めるためにわざと駅前に敵を集めているんだ

それに、これだけ人目の多い場所なら相手も無理な接触はできないしね

さすがオレたちの姉さん

どうするんだ

最初から、逃げ込む先は決めてあるから

逃げ込む先

みんな、しっかり掴まっていて

そう言うと、ミナホ姉さんは、突然、ハンドルをグワッと廻した

きゃあーっ

思いっきり横Gが掛かる

舞夏とメグが悲鳴を上げた

ブァァァーンッ

車はエキゾーストを吹かして、大通りから駅前の大きなホテルの地下駐車場へ飛び込むッ

ここって

克子姉がニヤっと笑った

そうよ、渚が契約しているホテルそして

克子姉がミナホ姉さんを見る

あたしは、ここの株式の四割を持っているわ

つまりミナホ姉さんは、このホテルの大株主で

この建物は、黒い森の息が掛かっている場所なんだ

やっぱり、追って来るわね

オレたちの車は、地下の駐車場を爆走する

後ろから、さっきの車が追って来る

いや2台に増えている

さてそろそろ終わりにしましょうか

ミナホ姉さんは、車を駐車場の一番奥のゲートに向けた

ゲートの前には会員専用・駐車場と書いてある

管理用のオフィスもあって、中から屈強な警備員がぞろぞろと走り出てくる

ミナホさんが、車のライトをチカチカと光らせた

それだけで、自動的にゲートが開く

先に連絡してあるからあたしの車だってことは、向こうはよく知っているしね

オレたちの車は、そのまま会員専用・駐車場に滑り込む

車が入った瞬間、警備員たちがミナホ姉さんに頭を下げた

後は頼みます

車の窓を開けて、ミナホ姉さんが警備員たちに言った

すでに背後のゲートは閉まっている

おい、こらぁここを開けろっ

追っ掛けて来た2台の車は、ゲートに阻まれて中へ入れない

すいません、ここは会員専用なんですよ

警備員たちが、追跡者たちの車に向かう

何ダァ、何の会員だぁ

追跡者たちも、ドタバタと車から降りてきた

一、二、三、四全部で五人いる

全員、チンピラというかヤクザ風だ

それがですねえここは、何の会か知らないような人間は絶対に通すことのできないゲートなんですわ

警備員たちは当たり前の様に、金属の警棒とスタンガンを取り出した

後はあの人たちに任せておけばいいわ

オレたちの車は、そのまま会員専用・駐車場の奥へ向かう

駐車場の奥には、大型車がそのまま入れるサイズのエレベーターになっていた

ミナホ姉さんが、電子キーみたいな物を取りだしてエレベーターに向ける

ここは人間の警備員が守るゲートと、機械認証式のエレベーターの二重のチェックが行われているらしい

エレベーターのドアが開き車は中へ入る

うぎゃぁぁ

背後から、男たちの悲鳴が聞こえてくる

振り返って見ちゃダメよ見苦しいだけの景色だから

ミラー越しに、ミナホ姉さんがそう言った

エレベーターのドアが閉まる

悲鳴は、もう聞こえない

エレベーターは、さらに地下に降りる

ここは、地下五階まであるから

ミナホ姉さんは、そう教えてくれた

エレベーターの降下が止まり扉が開く

そこは車が十台くらい駐められる駐車場になっていた

もっとも今は、一台も駐まっていない

ここに来るのも久しぶりね

克子姉が、無表情で呟く

オレにも、何となく判ってきた

このホテルは黒い森の娼館の別館になっていたんだ

黒い森の存在を教えたくない舞夏を気遣ってミナホ姉さんが、言葉を選んで説明してくれる

ここはねお金持ちの人が、誰にも知られずに愛人と密会するための場所なの今は、そういう目的の人たちに時間貸ししているの

黒い森の売春部門は、活動停止しているけれど

この別館は、今でも昔からの黒い森の顧客に部屋だけ貸しているんだ

顧客は、自分で相手の女性を連れてやって来る

だから、警備員たちもここに常駐している

こういうシティ・ホテルなら、別の部屋で会議をする振りをして秘密のエレベーターで地下の施設へ降りてくればいいでしょ誰にも見られずに、大人の密会ができるわアリバイ用に普通の客室も借りてくれるから、ホテルの方も儲かるしね

そういうビジネスをやっているんだ

とにかく、あたしのオフィスへ行きましょう荷物は全部持って降りてねこの車、気に入ってたんだけど、もう乗れないわあの人たちに、ナンバーを控えられているからね

ミナホ姉さんは、口惜しそうに言った

登記上、この車の持ち主になっている人が可哀想だけど迷惑料は先払いで払ってあるから、諦めてもらうしかないわね

どんな人なんです

オレは、ちょっと興味が湧いて聞いてみる

確か、工業団地の中のメッキ工場で働いている年輩の人だったと思ったけど

はあその人の所に、あのチンピラたちの仲間が押しかけるんだ

ご愁傷様というしかない

オレたちは、荷物を抱えてミナホ姉さんに付いていく

ここよオフィスと言っても、ほとんど使ってないんだけどね

姉さんは鍵を開けて、オレたちを中に招いた

事務机と応接セットがあるだけの意外に質素な部屋だった

とにかく座ってここは絶対に安全だからね

姉さんの言葉に、オレたちはソファに座る

舞夏がはぁと大きく溜息を吐いた

やっぱり、緊張していたんだろう

大丈夫か、舞夏

うん平気っていうか、ドキドキするよねっ

舞夏がオレの顔を見て、ニッと微笑む

弓槻さん、大人の密会用って、どんなお部屋なんですか

舞夏が、ミナホ姉さんに尋ねる

何だよ

ドキドキするって、そっちに興味があるのかよ

いや、違うな

舞夏は顔は笑っているけれど

足下は震えている

不安を隠すために、わざと違う話をしているんだ

この子は、そういう性格だ

オレもっと気遣ってやらないと

オレの視線にメグが頷く

メグは判っている

克子姉もさりげなく、舞夏の肩を抱いてくれていた

みんな一番小さな舞夏を大切に思ってくれているんだ

密会用の部屋は、どの部屋の内装も豪華よ部屋ごとに趣向が違うの

わあ、舞夏、見てみたいです

今はダメよ色々と、刺激的な物も置いてあるしね

えーっ刺激的って、どんなのです

ミナホ姉さんの言葉に舞夏が食い付く

見学は、また今度にしましょう今日は、ちょっと余裕が無いから

ミナホ姉さんは、苦笑してそう言った

事務机の上の電話がルルルと鳴る

はい、あたしです

ミナホ姉さんが、電話に出る

そう、判ったわホテルのフロントにも押しかけているのね構わないから、警察を呼びなさい地下まで追い掛けて来た連中から何か判ったそう、やっぱりね暴力団関係者なら話は早いわ弁護士の鶴谷先生にも連絡してあそこの組が相手なら、逆にたっぷり毟り取ってやるわ

やっぱり暴力団か

細かい対応は、高田支配人と野本コンシェルジュ・チーフに任せますあくまでもホテル側は、言い掛かりを付けてきた暴力団と対応しているという形を崩さないでホテルは無関係であることを強くアピールして下さいすぐに上へ行きますいつもの部屋をお願い頼みます

姉さんは、そう言って電話を切った

このホテルのコンシェルジュのチーフはあたしの先輩なの

克子姉が、笑ってオレたちに言う

克子姉の先輩つまり、引退した黒い森の女の一人か

とっても頼りになる人だから、みんな安心してね

多分、かつてのお屋敷の女たちの多くが、ミナホ姉さんの様々なビジネスに関与しているんだろう

娼婦にさせられた女同士の、固い絆があるんだ

お嬢様お茶を入れましょうか

克子姉が、ソファから立ち上がろうとする

いいわここでの話はすぐ済むから上の客室を用意させたから、そこでルームサービスを頼みましょう

では、夕食もこちらで

そうねルームサービスで済ませた方が無難よね

今日の晩ご飯は、このホテルで食べるらしい

この地下施設に来たのは、追跡者から逃げるためだけじゃないのよ

ミナホ姉さんが、オレたちを見る

この地下施設は、携帯の電波が届かないの中継施設も置いていないわ電話が掛かってくる場所じゃ密会が楽しめないっていうお客様が多くてね

携帯

三人ともここで携帯電話を回収します

ミナホ姉さんがオレとメグと舞夏に告げる

携帯電話の電波から、持ち主がどこに居るかの位置情報が判るって話、聞いたことない

うん聞いたことがある

あなたたちの携帯は、向こうの連中に特定されると思うわ

位置情報からオレとメグの現在位置がバレたんだ

でも舞夏、お友達の連絡先が判らなくなると困ります

それなら大丈夫よ

克子姉が車から持って来たノート・パソコンみたいな機械を取り出す

携帯電話屋さんにあるのと同じものよ携帯の中のメモリーを読み取って、移し替えることができるわ

さらに、克子姉は同じ機種の3台の携帯電話を取り出す

回収した電話の代わりに、これをあげるわちゃんと使えるから安心してメモリーされている電話番号とメールも、全部こっちのに移してあげるこの機械が気に入らなくてもガマンしてね今回の事件の片が付いたら、機種変更してあげるから

克子姉は、笑顔でそう言った

それならいいでしょ、舞夏ちゃん

メグが、舞夏に微笑み掛ける

率先して、自分の携帯を克子姉に手渡した

はい、任せてっ

克子姉が、携帯と機械をケーブルで繋いで、作業を始める

しょうがないよね舞夏、この間、新しくしたばかりなんだけど

そう言って、舞夏も自分の携帯を差し出した

オレも携帯を取り出す

でも思ってたよりも早かったですね

オレは、ミナホ姉さんに言った

白坂本家の動きが、こちらの予想よりも素早かったってことですか

するとミナホ姉さんは

いいえ白坂本家の方は、まだ動き出してないわあたしが調べた様子では、どうやら裏の仕事も請け負う調査会社に依頼したみたいだけどそこは評判が悪くて、動きがトロくて、調査能力も低い会社なのよね何でわざわざ、あんなところを雇うのかしらやっぱり新聞社の人たちってダメね物を知っているようで、視野狭窄だから結局、世間知らずなのよ

じゃあ白坂本家の調査は、まだ始まっていないんですか

そうよまあ、あそこの調査会社の規模なら、全ての準備が整って実際に調査員が動き出すのは明日以降になるでしょうね

てことは

あれそれなら、今、追っ掛けて来ている暴力団のみなさんは

だ、誰に雇われて来たんだ

不意に部屋のドアがノックされる

オレたちは、ビクッとした

この地下施設って今は、オレたちしか居ないはずだろ

ミナホ姉さんの声にドアの向こうの人が答えた

あたしだよミナホ

ミナホ姉さんをミナホと呼ぶ人は一人しかいない

ま、マルゴさん

入って、鍵は開いてるわ

ガチャリとドアを開けてマルゴさんが入って来る

ミナホ姉さんの問いにマルゴさんは、一枚のプリントアウトされた紙を示す

思った通りやつだよ

紙にはどこかの監視カメラから撮した、解像度の低い写真が印刷されている

背の高い外人

顔は、よく判らないけれど

シザーリオ・ヴァイオラだよ

やつはもう、この街に来ている

オレは目先のことに頭がいっぱいになって、強力な敵の存在を忘れていた

この外人さん誰なの

舞夏が不思議そうに、写真を覗き込む

寧の仇だよ

マルゴさんが、吐き捨てるように言った

寧さんの仇

ああ寧の家族を殺して寧を付け狙っているアメリカ人だよ

オレはハッとする

もしかして今、追跡してきている人たちは

マルゴさんが苦笑する

吉田くんの想像通りだよミスター・ヴァイオラが日本に来てから雇った連中さ

ミスター・ヴァイオラは、親が軍人なんだ子供の頃に、日本に来ているから日本語は喋れるただし、ずっと沖縄に居たはずだよ本土に来たのは、あたしが知る限り、今回が初めてだと思う当然、土地勘が無いから地元の人間を雇ったんだろうね

そんなに簡単に日本のヤクザって雇えるものなんです

メグの問いに、マルゴさんは

ミスター・ヴァイオラは、アメリカの裏社会では顔が広いからね日本の暴力団と交流がある人間に紹介して貰ったんだろう

今、ホテルに押しかけている暴力団員たちを尋問しても、シザーリオ・ヴァイオラの情報はほとんど判らないだろうな

人を介して、雇われているだけの関係なんだから

とりあえずの手として大量のヤクザに吉田くんを追跡させて、ミスター・ヴァイオラはあたしたちを反応を見ているんだろうね

反応

人数とか、規模とか裏の世界との繋がりとかね

それはこちらも同じだけどね今はまだ、お互い探り合いの状態だよでも、駅前周辺だけに集中して騒ぎを起こしたから、ミスター・ヴァイオラ本人がすでに来日していることが確認できたこの辺りの全部の監視カメラを、一斉にチェックさせたからね

ミナホ姉さんが、駅前周辺に追跡者を集合させたのはシザーリオ・ヴァイオラの姿を確認するためだったんだ

絶対にミスター・ヴァイオラ本人も、現場に寄って来るだろうと考えて

それでこの人は今、どこに

マルゴさんは、首を振った

監視カメラの映像だと、この後、タクシーに乗って立ち去っている一応、タクシー会社に調査しているけれど追跡は無理だろうねこのホテルには、来ていないと思うやつも一人で敵の巣に飛び込んで来るほど、馬鹿じゃないからね

すでに日本に居ることを確認できただけで、良しとするべきなのか

でもどうして、あの人たちにあたしたちの居場所が判ったんです

メグが、マルゴさんに聞く

それは吉田くんの携帯からだろうね

オレの携帯

岩倉さんが、吉田くんとあたしと寧の情報を裏社会に流したことは覚えているよね

そうだオレたち三人の個人情報は、岩倉さんによって裏社会に流れてしまったんだ

ミスター・ヴァイオラは、その流出情報の中の寧さんの写真を手掛かりに日本にやってんだろうし

あたしも寧もずっと隠れた存在だから日本国内では、あたしたちの居場所を調べるのは、ほぼ不可能なんだよ

マルゴさんも寧さんも黒い森の一員だけど

寧さんは、一度も客を取ったことが無いのだから黒い森の客の前に姿を見せたことはないのだろう

マルゴさんだって、警護役という裏方だから基本的には顔出ししないだろうし

黒い森と二人を関連づける情報は、何も無い

寧がどこの学校に通っているかぐらいは、岩倉さんの流した情報に記載されているけれど元々、寧が役所や学校に提出している住所や電話番号は、全部架空の物になっているからね誰かがアクセスしてきたら、すぐに警戒態勢に移るように体勢を整えてある今は休み中だし、学校から寧の居場所が判別されることはないあたしが、在籍している大学や大使館に登録している連絡先も同じだよ携帯電話は、全部他人名義の物だしいつも、複数の物を使っているあ、今まで使っていたあたしと寧の携帯はもう処分したからまた、後で新しい番号を教えるね

そこまで徹底してやっているんだ

だから吉田くんだけが、やつらの手掛かりになんだよ

君がどこの誰でどこの学校に通っているかは、岩倉さんの流した情報でバレてる携帯の番号だって、クラスメイトの誰かに一万円も握らせれば、電話連絡網のコピーくらいは手に入れられるだろう

多分、そうだ

オレ緊急連絡先に、携帯の番号を書いておいたんだっけ

それでやつらはまず、君を追って来たんだ

オレが黒い森の関係者であることは、誰も知らない

やつらは、ただの高校生だと思っている

まずオレを捕まえて寧さんの居場所を吐かせるつもりなんだ

あそれなら、舞夏やメグの方は、まだ安心てことですよね

オレは、大きく溜息を吐く

オレ一人が狙われているだけなら、どうにでも対処できる

しかしマルゴさんは

あのね、吉田くん裏の世界ってのは、割と狭いんだよ

ミスター・ヴァイオラに雇われたヤクザと白坂本家が依頼した調査会社が情報を共有したら、どうなると思う

情報を共有

君と一緒に逃げた女の子が、恵美ちゃんだってことは、すぐにバレるだろうその恵美ちゃんは、白坂家から調査会社に捜索を依頼されている同じ学校の同じクラスの生徒が裏社会の情報網にアップされるんだ何か関係があるかもと考える人間は少なくないと思うよ

つまり両者が協力して、オレたちを追ってくる

吉田くんと恵美ちゃんの後ろに、あたしたちが居ることはすぐにバレるよお互いのターゲットが同じグループだとしたらミスター・ヴァイオラの雇った暴力団と白坂本家が依頼した調査会社が共闘する可能性はあるよね

それはメンドクサイことになるかも

シザーリオ・ヴァイオラの雇った暴力団に手を引かせることはできませんか

うん黒い森の名前を出せば、暴力団は諦めてくれるかも

それはダメだよ暴力団のやつらは、ミスター・ヴァイオラとコンタクトしているこちらは、ミスターに関する手掛かりがほとんど無いんだ泳がせて、もう少し情報を得たいな

マルゴさんの意見は、もっともだった

暴力団の方には、たまたまこのホテルに逃げ込んだということにしておきましょうこの施設とあたしたちとの関わりは、向こうは知らないわけだしね

ミナホ姉さんが、そう言った

このホテルの地下ゲートに入り込んだのは、あくまでもホテルの顧客で顧客の情報は教えられないって、突っぱねるわそれで、向こうも黙るでしょう

黒い森が、政財界の大物を相手にしている売春組織であることは暴力団の人間なら、知っているはずだ

その顧客情報は、死んでも教えられないということも

とりあえずミスター・ヴァイオラの雇った暴力団の方は、それで制することができるはずだ

何も知らずに黒い森の支配下のホテルに営業妨害をしてしまったという負い目も感じさせることができる

しかし白坂本家の方は

そっちは、初めから相手が黒い森だと知っている

白坂本家の方の体勢が整う前に、一発カマしておく必要があるね

マルゴさんが、そう言って舞夏を見る

舞夏ちゃん悪いんだけど、お母さんとお母さんの方のお祖父さんに連絡してくれるかな

白坂本家が、今、一番恐れているのは白坂創介の悪行が世間に知られることだ白坂家自体に深刻なダメージを与えるからね

マルゴさんが、判りやすく分析してくれる

二番目が、白坂創介の身柄を確保することそれも、白坂創介が誘拐されていることを誰にも知られないうちに、奪還したいと考えているはずだ

恵美ちゃんの身柄の確保は、優先順位としてはその後になるもっとも、白坂創介の現在の所在を知るための手掛かりだとは思っているだろうけどね

マルゴさんの話に、ミナホ姉さんが補足する

白坂本家が、もうちょっとマトモなら真っ正面から、あたしに連絡してくるんでしょうけれどねあたしやうちのお屋敷のことは、あの人たちの中にも知っている人がたくさんいるんですから

白坂創介の家族や関係者は当然、黒い森のことを知っている

いや一族の中には、顧客になっていた人間だって何人もいるはずだ

姑息なのよ手が汚れる様な仕事はみんな人を雇って、直接自分でアプローチしないからどんどんメンドクサイことになるのよ

だから白坂創介がこれまで裏で何をしていたかそして、今、オーストラリアで拘束されているという事実を白坂家以外の人間にリークしてしまおうって思うんだよ

マルゴさんが、ニヤッと微笑んだ

つまり舞夏の母方の一族に知らせて白坂本家に牽制させるのか

舞夏さんのお母さんのお父さん市川さんは、真面目で実直な人物だと聞いているわあたしたちは、一度もお会いしたことは無いのよ

つまりお屋敷の客ではない

今の黒い森とは、全く接点の無い人なんだ

白坂創介の裏の顔を一気、世間に公表する必要は無いのさまずは身内の、市川さんに知らせるだけで、充分な効果がある市川さんは、広告業界の重鎮で白坂本家とは対等の立場にある人だ白坂家の勝手な都合に合わせてはくれないだろうね

むしろ、白坂家のスキャンダルに自分たちが巻き込まれるのを嫌うでしょうね市川さんからすれば、白坂創介の悪行は許しがたい裏切り行為でしょうから

政治的な家同士の結婚といっても自分の娘を嫁がした男が、違法な売春組織を運営していたんだもんな

実直な人間なら、そんなことを許せるはずが無い

お祖父様きっと、びっくりしちゃうと思うな

舞夏が、そっと呟いた

そうですねここで今、舞夏が連絡した方がいいんですよね

静かに笑って、答えた

舞夏、やってくれるか

オレの言葉に、舞夏が顔を上げる

何言ってるのあたし、お兄さんの女だよ

舞夏にも、弓槻さんたちがどれだけ本気なのか判りますしでも

舞夏が、口籠もる

そろそろ舞夏にも、全部、教えて下さい

舞夏は、聡明すぎる少女だ

オレたちが黒い森の全貌を舞夏に語らないようにしていることに気付いている

今は、まだダメよ全部は教えられないわ

ミナホ姉さんが、きっぱりと言った

それは舞夏のことが信用できないからですか

舞夏は、真っ直ぐにミナホ姉さんを見つめる

違うわよ単純にタイミングの問題よ今は、舞夏さんに全部話さない方がいいと思うのその方が、安心して行動できるわ

ミナホ姉さんは、笑って答える

今夜は、舞夏さんをお家に帰してあげれないけれどもしかしたら、明日にはお母様やお祖父様と対面して貰うことになるかもしれないわその時に、舞夏さんが何もかも知り過ぎていると困るのこちらがまだ知らせたくない情報が、市川さんに伝わるかもしれないでしょ

舞夏がぺらぺら、お祖父様に喋ると思っているんですか

そうは思わないわでも、舞夏さんのお祖父様はあなどれないわ大企業の経営者でいらっしゃのでしょ舞夏さんから、言葉巧みに情報を聞き出すことぐらいはなさると思うの

ミナホ姉さんも、強い眼で舞夏を見る

だからあなたには、まだ全ては話せないのよ

今は、まだですよねいつかは、全て話して下さいますね

ええ約束するわ

二人の女は、睨み合う

判りました舞夏、ママとお祖父様に電話します

舞夏はひとまず、折れてくれた

ということで、2つの勢力が黒い森に迫っています

色々と、話が進展していますが雪乃は、現在も自室でオナニーしているはずです

116.お祖父ちゃんにお電話です

あ、もしもし、お祖父ちゃん

あたし舞夏だようん元気にしてるよ

今、電話してても平気あ、良かった

え舞夏は、今、ご飯食べてる途中

途中なんだけど、お祖父ちゃんにお願いしないといけないことができちゃってさ

えーっ違うよっ

お小遣いとかは、いいです

別に、買って欲しいものとかはありませんっ

お姉ちゃんじゃないんだからさ舞夏は、お祖父ちゃんにそういうお願いはしないよ 違う、違う、違うのっ

舞夏は、そんなにお子様じゃありませんっ

だからおねだりとかの電話じゃないってば

実はね

んとあのね

舞夏ね誘拐されちゃったんだよね

誘拐

そうだよ舞夏、誘拐されてる最中なの

もう

お祖父ちゃん、舞夏のお話、ちゃんと聞いて下さいっ

ホントにホントに、誘拐されているんだらねっ

あでも、酷い目には合ってないから、安心してね

誘拐犯の皆さんは、みんな、とっても優しい人たちばかりだから

うん今、みんなでご飯食べてるの

そうだよ、お外でご飯食べてる

誘拐されてるんだから、家に居るわけないじゃん

今、どこに居るかなんて言えるわけないでしょ

舞夏、捕まっちゃってるんだからさ

舞夏はねハンバーグ食べてる

違うよ、ファミレスとかのじゃないよ

ちゃんとしたコックさんが作ってくれたやつだよ

うん結構、イケてるとっても美味しいよ

違うってだから、そういうんじゃなくって

本物のシェフがいるレストランのハンバーグみたいのだってば

だから、そうじゃなくって

どうして、舞夏のお話、真面目に聞いてくれないの

舞夏、怒っちゃうよ

いいよ、いいよ、別に謝ってくれなくてもいいけどさ

別に舞夏、本気で怒ってないからね

あーっ

お祖父ちゃんまだ、信じてくれてないんだ

舞夏本当に、誘拐されているのに

ちょっと、待ってて

今、誘拐犯のボスの人に代わるね

だから、違うって

愉快犯じゃなくってユーカイハンっ

とにかく電話、代わるね

お電話、代わりました

市川様でいらっしゃいますね

初めてご挨拶させていただきます

わたくし黒森御名穂と申します

いいえ舞夏さんの学校のお友達ではありませんわ

そういう関係の者でもございません

わたくし裏の世界の人間です

はいわたくしが、舞夏さんを誘拐致しました

はいおっしゃる通りです

そうです、黒森です

黒森公之助の孫娘と言えば、お判りになると思います

はい黒森公之助

父は、黒森公一郎

祖父の作りました組織は、現在、わたくしが引き継いでいます

市川様も、昭和50年代に何度かお越し下さったと思います

ええ

はい、その黒森です

思い出していただけましたか

そうです

私は黒森の家の現在の当主です

組織の実権を握っています

はい、そうです

なぜ、黒森の人間が、舞夏さんと一緒に居るかですか

ふふふふ

それは今、お孫様がお話しなさった通りですわ

わたくしどもは、白坂舞夏様を誘拐致しました

冗談でも、狂言でもございません

黒森の家は、長年、日本の裏社会に属しておりますから

ええ、そうですわ

舞夏様は、わたくしどもが丁重におもてなししています

うふふっ

そんなにお慌てにならないで下さい

どうぞ、最後まで、わたくしの話をお聞き下さい

拙速な行動はお慎みいただくべきだと思いますわ

わたくしどもは、事を荒立てたくは無いと考えています

舞夏さんの安全は、保証致します

いえいえ、そういうことではありませんの

わたくしどもの組織は、すでに複数のマスコミにコンタクトを取る準備をしています

はい幾ら、市川様が広告業界の重鎮でいらしても、全てのマスコミ機関をコントロールなさることは不可能ですわ

今は、インターネットという物をございますし

ええ舞夏さんのお父様のご実家は新聞社でいらっしゃいますけれどライバル社の傘下の報道機関までは抑えられないでしょう

むしろ白坂家に繋がるスキャンダルなら、彼らは喜んで報道して下さると思います

そうでございます

わたくしどもは、白坂家についての大きなスキャンダルの情報を持っています

ですから、市川様が先走った行動をなさるとスキャンダルの火種が市川様の一族にまで及ぶ可能性がありますのでご忠告致します

白坂家は、市川様のご長女様が嫁がれたお家ですものね

市川様にとっても、命取りになりかねませんわ

詳細をお話ししてもよろしいですか

はいでは、お話しさせていただきます

まずあらかじめ、警告させていただきますがわたくしどもの組織が現在拘束しているのは舞夏さんだけではございません

現在、オーストラリアにご出張なさっている筈の舞夏様のお父様白坂創介氏の身柄もわたくしどもは抑えています

はいそうです

白坂創介氏は、わたくしどもの手の者によってすでに監禁されています

今、どちらにいらっしゃるのかは、お答えできません

すでに、白坂家は創介氏の捜索を開始しているはずですわ

後ほど、ご確認下さい

実のところ私どもの目的は、白坂創介氏にあります

はい舞夏様にこちらに来ていただいたのも、営利誘拐などが目的ではありません

舞夏様には、あくまでも市川様とコンタクトする手段を得るために来ていただきました

重ねて申し上げますがわたくしどもは、舞夏様に危害を加えるつもりは毛頭ございません

できる限りご無事な状態で、お宅へお戻ししたいと考えています

市川様とは、なるべく友好的な関係を築きたいと考えております

わたくしどもも、そういう状況が続くことを強く願っています

何より舞夏さんは、ご聡明で美しいお嬢様でいらっしゃいますから

可能な限り、手荒なことはしたくないというのが、わたくしの正直な気持ちでございます

舞夏さんの安全は保証するということは、先程すでにお約束致しましたわ

もちろんわたくしどもに極めて不利な状況に陥らないならば、ですが

よろしいですね

では話を白坂創介氏に戻します

市川様が白坂創介氏が過去二十年近くに渡って、わたくしどもの組織に属していたことをご存じですか

白坂創介氏は、長年、黒森の組織の主導的な立場にいらっしゃいました

もし、お信じいただけないのでしたらそうですね

市川様の会社の方でしたら、役員の山崎常務、事業局の田村局長あるいは、メディア戦略推進部の吉岡部長にお尋ね下さい

このお三方が、特に白坂創介氏と親しい関係にあることは、市川様もよくご存じだと思います

このお三方は、わたしどもの組織の長年のお客様です

はい白坂創介氏が、組織の運営に関わってからの常連様です

わたくしどもと創介氏との関わりは、みなさん、とてもよく知っていらっしゃるはずです

どうぞ、後ほどご確認下さい

今は、話を先に進めさせていただきます

端的に申し上げます

白坂創介氏は、わたくしどもの組織を裏切りました

現在、創介氏はとある暴力組織のバックにして、ご自分で新しい組織を立ち上げようとしています

このことも、どうか山崎常務にお尋ねしてみて下さい

山崎常務も、創介氏の新組織の設立に深く関わっていらっしゃいますから

そして白坂創介氏は、ご自分の新組織のためにわたしどもの顧客リストを盗み出そうとなさいました

これが、組織に対する裏切り行為であることは明白です

もちろんわたくしどもと致しましては、黙って見過ごすことはできません

黒森の家は、裏社会に属しておりますから

裏切り者は、絶対に許すことは出来ませんわ

そういう世界であるということは、市川様もよくご存じだと思います

白坂の家は、それでも創介氏を奪還したいというお考えのようです

どうやら白坂創介氏の救出のためには、わたくしどもの組織の殲滅まで視野に入れている様ですね

このままでは、黒森は白坂家と全面的に闘うことになります

そうなれば火の粉は、市川様にまで及ぶことになりかねません

料理評論家のお嬢様やお二人のお孫様を巻き込むことになるのは当然ですが

市川様のご一族や、ご支配なさっている企業にも悪い影響が及ぶ可能性がございます

重ねて申し上げますがわたくしどもの組織は、この業界の老舗です

市川様ご本人が、来館なさっていただいた記録も残っていますし

ご一族の中には、過去にご贔屓下さった方が何人もいらっしゃいます

わたくしどもの組織にはスキャンダルの火種でしたら、幾らでも確保しております

わたくしどもの番頭の森下を覚えていらっしゃいますか

森下は、今でもわたくしどもの組織におります

絶対に組織の中でのできごとは、外部に漏らさない

お客様の秘密は守り通すというのが、わたくしどものこれまでの流儀でした

ですから組織はこれまで、お客様にご愛顧いただき存続して参りました

しかし白坂創介は、わたくしどもを裏切りあまつさえ、顧客情報を盗み出そうと致しました

そうですわ

このままでは、長年の組織の秘匿してきた顧客名簿お客様たちの個人情報が、白坂創介が接近している暴力組織に流れる恐れがございました

わたくしどもが、全力で白坂創介氏を抹殺しなければならない理由が、お判りいただけたと思います

その通りでございます

わたくしどもの目的は、白坂創介氏の処罰

それだけです

白坂の家や、市川様との無益な争いを望んではおりません

もちろんです

そう、ご理解下さい

わたくしどもは、白坂創介氏さえ諦めて下さればそれで結構です

しかしどうしても、白坂家が創介氏を助けようとなさるのなら

また、わたくしどもの組織に対する攻撃を停止なさらないのなら

わたくしどもも、自衛手段を執らざる得ません

はいそういうことです

あくまでも白坂創介氏の起こした裏切り行為が発端です

わたくしどもは、裏社会の組織として当然の行動を行っているだけです

はい金銭で、どうなるものではありません

白坂創介氏は、わたくしどもの組織の一員でいらしたのですから

無理でございますね

不可能です

では市川様は、組織の顧客情報が、暴力組織の手に渡るのを見過ごせとおっしゃるのですか

はい市川様のご想像通りです

白坂家が、創介氏の救出にこだわるのはよろしくない判断だと思います

創介氏は、このままわたくしどもの手で処罰される方が後々の禍根は残さずに済むことになるかと

ですがどうも、白坂家の中には、わたくしどもと全面対決してでも、創介氏を救出するべきだと主張なさっている方がいらっしゃるようで

わたくしどもと致しましても緊急的な防衛対策を講じざる得ない状況にあります

舞夏さんをお預かりすることになったのはそういう事情です

お判りいただけましたか

昔から、窮鼠猫を噛むと申します

わたくしどもの様な小さな組織が、白坂様の様な名家と闘うためには、相当の覚悟をしなくてはならないと考えています

ですがわたくしどもも、白坂創介氏のために組織を崩壊させるわけには参りません

防衛のためなら、どんなことでもいたしますわ

話し合いなどという段階は、すでに過ぎています

白坂の家は、すでに動き出しているようですし

これはご確認いただければ、すぐに判ることだと思います

いいえ

もちろんわたくしどもは、市川様のご協力を得たいと考えております

しかし今すぐ、お返事をいただくつもりはございません

市川様は、今はご自宅にいらっしゃいますか

それでしたら今、お話ししました事柄についての詳細なファイルを、転送致します

ご自分の眼で、お確かめ下さい

白坂創介氏が、過去に売春、婦女暴行、拉致監禁などの重犯罪を犯していた証拠の画像も添付しておきます

また、市川様の部下であられる山崎常務らの違法行為も

まずは、それらの資料をご参照いただいてから今後の対応をご検討いただきたいと思います

では、今から一時間後にこの電話番号で、再度ご連絡します

ご賢明でいらっしゃる市川様が、まさかそのようなことはなさらにいと思いますが

もしこの一時間の間に、何か一つでも市川様がわたくしどもに敵対的な動きをなさった場合はまず、市川様の会社の山崎常務の違法行為からネットにアップします

スキャンダルの最初の火種は、市川様の足下からということになりますので、どうかご了承下さい

舞夏さんですか

最後の切り札を最初に使うほどわたくしどもは愚かではありませんわ

わたくしどもは、舞夏さんのことをとても愛らしいお嬢様だと思っております

可能な限りご無事でお返ししたいと、心から願っていますわ

今、舞夏さんに代わります

あ、お祖父ちゃん

とにかくさ、そういうことになったみたいなのっ

そうだよね

いや、ホントみんな、舞夏には優しくしてくれているよ

だから、舞夏は大丈夫

今のところはね

ホント、ホント嘘じゃないって

元気だよ元気、元気

無理して、明るく喋ってるわけじゃないってば

本当に、良くして貰ってるから

ハンバーグ、美味しいし

うんみんなでご飯食べてるんだよ

みんな良い人それは本当だってば

そうだっての

あのさ

結局パパがみんな悪いんでしょ

舞夏も、色々教えて貰った

あでも、全部じゃない

子供に全部教えるのは、可哀想だからって

ちょっとだけ教えて貰った

っていうかパパに酷い目に遭わされた人に会ったの

その人、嘘は吐いてないって判った

舞夏にも、判ったよ

パパ、ここの人たちに本当に酷いことをいっぱいしてたみたい

いや、舞夏、パパよりもこの人たちの方を信じるよ

だって、この人たち、本気だし

真剣だし

舞夏のこと子供扱いしないもの

舞夏のお話だって、ちゃんと聞いてくれるしね

あのさ、お祖父ちゃん

そうじゃないの

舞夏ねもう、覚悟している

パパのことはもうダメだと思う

無理だよ

だって本当にパパ、どうしょもない人なんだもの

ここの人たちにたくさん迷惑を掛けたみたいなんだもの

判るでしょ

舞夏のパパが、どんな人間かお祖父ちゃんだって、よく知ってるじゃない

静岡の叔父さんが言ってた通りの

舞夏のパパは、ろくでなしだった

だから仕方ないよ

舞夏は、もう諦めているよパパのことは

それはさ、白坂の本家の叔父さんは、パパのこと好きだから

あの人、プライドの塊みたいなところがあるじゃない

でもそれは違うよ

舞夏のパパのせいで、大きな揉め事になるのは、よくないと思う

それは、舞夏もそう思うけど

でもそんなこと、今更言ってもどうにもならないよ

判ってる

ホント、舞夏は大丈夫だから

あママとお姉ちゃんには、まだ何も言ってない

お姉ちゃんにはね今夜は、友達の家に泊まるって話してあるよ

そうだね

あ、ちょっと待ってよ

ううん、そうじゃなくってさ

お姉ちゃんには、まだ何も教えない方がいいと思う

あの人、パパッ子だし

白坂の本家の叔父様を焚き付けて、変な事しそうだから

お祖父ちゃんも知ってるでしょ

雪乃お姉ちゃんちょっと、頭が悪い子だから

でも、声が大きくて、すぐにヒステリー起こすでしょ

あれ、誰に似たんだろうね

パパとおんなじで、駄々っ子のところがあるから

そうだよ、そう

とにかくさ

舞夏がお家に戻るまでは、お姉ちゃんには何も伝えないで

お願い

そんなの嫌だよ

舞夏、誘拐されてるだけでも大変なのに、お姉ちゃんの心配までできませんっ

そうですっ

とにかく、舞夏は舞夏でがんばってるんだからさ

お姉ちゃんには、黙っていてよ

頼んだからねお祖父ちゃん

ああそうだね

うんママには、お祖父ちゃんから話して

今日は、静岡に行っている筈だから

ママの携帯がつながらないようなら、マネージャーさんに電話してみて

大丈夫よいつも、マネージャーさんと二人で居るから

夜だって、同じ部屋に泊まってるんでしょママたち

知ってるよ

舞夏、もう中学生なんだからさそれくらい、見てれば判るって

えっとマネージャーさんの携帯の番号判る

うんそうだね

お祖母ちゃんが、知ってるよね

とにかく舞夏は無事だから

今は、本当によくして貰ってる

みんな、舞夏に優しいよ

だからね舞夏

レイプされるぐらいで済めばいいなあって、思ってるの

だって、そうでしょ

ここの人、心の底からパパのこと怒ってるもの憎んでるもの

それくらい、酷いことをずっとやって来たんだよ舞夏のパパは

舞夏、無理矢理レイプぐらいされても仕方ないと思うよ

殺されたって、文句言えないよ

舞夏まだ死ぬのは嫌だけど

とにかくさ舞夏は今、そういう微妙な状況の中にいるから

お祖父ちゃん、無茶なことはしないでよね

この人たち、警察の情報とか怪しい調査会社の様子とか、全部把握しているから

お祖父ちゃんがこの人たちとの約束を破ると舞夏がピンチになるんだからね

舞夏もう一度、お祖父ちゃんに会ってお話したいからさ

舞夏お祖父ちゃんのこと、好きだよ

お祖母ちゃんも好き

ママのことも好きだよ

でもパパのことは嫌い

二度と顔を見たくないよ

お祖父ちゃん、知ってる

舞夏のパパ、色んな女の人に乱暴していたんだよ

レイプしたり売春させたりしていたんだよ

亡くなった人もいるんだよ

舞夏もう、パパのことは嫌いだよ

絶対に許せないよ

あちょっと待って

黒森さんに代わるね

今、ファイルを転送しましたご確認下さい

では一時間後に、またご連絡致します

プツッ

ツー、ツー、ツー

でもさあ、ホント、このハンバーグ美味しいよね

ミナホ姉さんが電話を切る後ろで、舞夏が大きな口を開けて肉塊を食べる

うんオレ、こんな美味しいハンバーグ食べたの、生まれて初めてかも

オレも、自分の皿に向かってムシャムシャ食べる

えー、これ位、普通でしょうこの味なら、あたしだって作れるわよっ

と克子姉は言うけれど

ホテルのルーム・サービスって、誰が作っているんです

オレの問いに、ミナホ姉さんが答えてくれる

うちのホテルの場合は、各レストランのコックさんが担当しているわ洋食、和食、中華、イタリアンとそれぞれの厨房で基本的には、レストランで出しているのと同じ料理を部屋まで持って来てくれているのよ

ああ、それで美味しいんだ

オレたちは地下施設から、ホテルの客室に移動している

二十七階から見る夜景

部屋は、一番小さいルームライトしか点けていない

薄暗い部屋の中で

駅前のキラキラと瞬く喧噪を見下ろしながらオレたちは、夕食を摂っていた

あんまり窓には近付かないでね望遠レンズで見られている可能性があるから

マルゴさんが、オレたちに注意する

そうだオレたちは、ミスター・ヴァイオラの雇った暴力団員たちに狙われているんだっけ

このホテルの中に居ることは、バレている

外から双眼鏡で、一部屋ずつチェックしていると思うよだから、部屋の電気はなるべく点けない様にしているんだ明るい方が外からよく見えるからね

部屋の中に暗い空気が漂う

ええっと何か、会話をしないと

しかしさ舞夏、さっきのは少し言い過ぎじゃないか

えー、お兄さん、何の話

ほら電話の最後の方のレイプぐらいされても仕方ないっての

えー、だって、本当にそう思ってるもん

でもさお祖父さん、あんなこと言われたら、頭に血が上って、無茶なことをしたりするかも

無茶なことって

何かほら、特殊部隊とかを雇って、舞夏の救出作戦をするとか

お兄さん、馬鹿なんじゃないの特殊部隊なんて個人では雇えません

でもさ何か、そういう闇のスペシャリストとか

マンガとかじゃないんだからさそんな人間がいるわけないでしょだいたい、舞夏のお祖父ちゃんは普通の人なんだから闇のスペシャリストの知り合いなんていませんっ

舞夏は、ぷんぷん怒り出す

だいたいさお兄さんホントにしたじゃない

え、何が

舞夏のことレイプした

ヤブヘビだったかもしれない

それも何度もしたよねっ

確かに改めて、別の視点から見てみると

舞夏はすでに黒い森の人間であるオレに、レイプされてしまっているわけで

舞夏のお祖父さんに知られたらヤバいよな

本当に、特殊部隊を送り込んで来るかも

ま、別にいいんだけどね

舞夏は、ケロッとしてオレに微笑む

舞夏は今、ロスト・ヴァージン記念キャンペーン中だからさお兄さんに限り、いつでも、どこでも、何回でもレイプされてあげるねっ

舞夏まだ、エッチの気持ちよさってよく判らないしさでも、アレって何度もやって、身体を慣らしていかないと気持ち良くならないんでしょだからさお兄さんがしたくなったら、どんどんレイプしちゃっていいよ舞夏、早く、気持ち良くなりたいから

舞夏ちゃん、さっきも大変だったのよ池田先生のところでね

克子姉が、苦笑して話す

案の定池田先生に怒られたわよ毎日、処女喪失の子の診察ばかりさせて、どういうつもりだって

別に、そういう計画があってそうなったわけではないけれど

結果的に、三人ともオレが初体験の相手だったわけで

何か、申し訳なく感じてしまう

そしたら、舞夏ちゃんそんなことより、舞夏は今晩すぐにエッチできますかって先生に聞いて

だって今夜は、舞夏、お兄さんと一緒でしょ舞夏がエッチできないと、お兄さん、可哀想だと思ったから

舞夏は、ニコニコしてそう言う

一応、先生に診て貰ったの舞夏のアソコ、傷ついてたりはしてないって本当は、今夜はあんまりエッチしない方がいいらしいんだけど二回ぐらいなら、してもいいってあ、明日以降は、どんどんしてももう平気だって言ってたよピルもたくさん貰ったし、いっぱい舞夏のお腹に出してねっ

おいおいどうなってるんだ

あでも、舞夏は今晩は二回までだからねそれ以上は、克子さんか恵美ちゃんとして下さいっお兄さん、いいですねっ

これが、誘拐されていることになっている中学生の発言だろうか

メグが顔を赤くして、こちらをチラっと見る

あ、あたしは何回でもするからね

こ、この姉妹はまったく

そうだこの二人は、母親違いの姉妹なんだよな

二人とも綺麗な顔立ちをしているけれど全然、似ていない

メグは切れ長の眼で、大人っぽい感じだし

舞夏は、ぱっちりとした大きな瞳でいつもニコニコしている

いや鼻が似ているかな

じっくりと見れば似ている箇所は、もっとあるかも

それでも普通は、姉妹には見えないな

舞夏ね寧さんみたいになりたいの

不意に舞夏が、そんなことを言った

ほら、寧さんて、とっても綺麗でセクシーでなのに、とっても明るくてハチャメチャでしょ舞夏も、寧さんみたいな楽しい女の子になりたいの

舞夏にはそう、見えるんだ

寧さんがさ克子さんと一緒に、お兄さんをセックス・パートナーにしているって話を聞いた時にピピーンて来たのそれって、凄いなって

えどういうこと

だって寧さんも克子さんも、もうエッチはお兄さんとしかしないって言ってたでしょ

それは本当よあたしはもう、この子としかセックスしないわ

克子姉が食後のコーヒーを飲みながら、舞夏に言った

あたしもヨシくんだけ一生、ヨシくんだけでいいわ

メグは、真顔で舞夏に答える

寧さんもそうでしょあんなに綺麗でセクシーな人がさっ

ますます、寧さんが処女であることが言い出せなくなってきた

だからね舞夏も、寧さんみたいな女の子になることにしたのっ

寧さんみたいって

舞夏はお兄さんとしかエッチしない、ビッチになりますっ

ビ、ビッチ

舞夏ビッチって何だよ

まさかロシア人になるとか

イワン・セルゲイビッチとかってやつだよな

ビッチってのはちょっと下品でエッチな子ってことだよそういうハチャメチャな女になるのっ

ああロシア語でそういう意味なんだ

いやでも、無理にハチャメチャになる必要は無いと思うけど

オレの言葉に舞夏は、答えた

だって舞夏、もうハチャメチャになるしかないんだよ舞夏白坂の家の敵になっちゃったんだしパパのこと、見捨てるわけだし多分、もう今の学校へは戻れないよね

舞夏は今、エッジにいる

恐ろしい現実と未来への不安が、舞夏に迫っている

舞夏ねお兄さんの情婦になる情婦で合ってるよねエッチな愛人てこと

ええ意味は合っているわ

恵美ちゃんが、お兄さんの正妻でしょなら、舞夏は情婦がいいな日陰の女でも、とってもセクシーでハチャメチャなのお兄さんだけのビッチなの

舞夏は無理に明るく振る舞っているけど

やっぱり、無理しているんだ

ビッチになるんなら、一度、セックス浸けになるくらいの体験はしないとね

ミナホ姉さんが、オレを見た

セックス浸けなるなるっ舞夏、お兄さんに徹底的に犯して貰いたいなっ

舞夏は眼の前の恐怖から、逃避したいだけなんだ

吉田くんしてあげなさい

ミナホ姉さんが、オレに言った

いずれにしても、今夜は舞夏さんと同じベッドで寝るのよいいわね

それは、前からミナホねえさんと約束している

舞夏のレイプ体験を恐怖を和らげるため

オレは、今夜は舞夏を抱き締めて、寝ないといけない

ああたしも、一緒に寝るわ

え恵美ちゃんも一緒に寝てくれるの

舞夏ちゃんがビッチになるのなら、あたしもはしたない娘になりますっ舞夏ちゃん姉妹で一緒に、ヨシくんに愛して貰おう

え二人ともいっぺんに

うわっ、舞夏するそういうのって、すっごくビッチっぽいもんねっお兄さん恵美ちゃんとううん、恵美お姉ちゃんと舞夏と三人でしよっ

し姉妹丼なのかな

この場合でも

そうね仲良く、三人でしましょうね

メグも、勝手に決めているし

いやオレ、どうなるんだ今晩

楽しそうな話の邪魔をして申し訳ないんだけどまずは、どうやってこのホテルから脱出するかを考えないとね

今まで黙っていたマルゴさんが、笑ってそう言った

今晩は、このままここに泊まるんじゃないの

今、舞夏ちゃんのお祖父さんの市川さんは、あたしたちが送ったファイルのチェックをしていると思うよさきのミナホの話が真実かどうかを見極めようとしているはずだもちろん、白坂の本家の様子や白坂創介の状況についても調べさせているはずだ

ミナホが吉田くんと恵美ちゃんを連れて、このホテルに入ったことはミスター・ヴァイオラの雇った暴力団員たちに見られているあの人たちは、ミナホの正体を知らないだろうけれどこのホテルとミナホの関係を知っている人間は、裏の社会には多いよ

確かにそうだ

このホテルの地下施設も黒い森の一部なんだから

この一時間でそこまで調査が行き着くとは思えないけれどでももし、あたしたちがこのホテルに居ることが判ったら市川さんはどうすると思う

ミナホ姉さんが、ここに居るということは

もちろん、舞夏もここに居るということになる

あたしなら、このホテルに特殊部隊を送り込むよね

実際の話、本物の特殊部隊ではないけれど、似たような連中は実在するんだ市川さんだって、裏社会の知り合いぐらいはいるだろうしそういう奴らにコンタクトを取るのは、そんなに難しいことじゃないんだよ

だからずっとこのホテルに閉じ籠もっているのは、良策ではないよねどっちにしたって、シザーリオ・ヴァイオラの雇った連中がホテルの周囲を固めているあたしたちが、ここから出てくるのを待ち構えていると思うね

じゃあ今、出て行くのも危険じゃないですか

マルゴさんは、ニヤッと笑った

出て行くのも危険だし閉じ籠もるのも危険だ何より、あたしは早くお屋敷に戻りたい寧を残して来たのが心配だからね

黒い森の本拠地であるお屋敷こそ、一番、狙われる危険がある

まあ、あそこのセキュリティは要塞並みだからね簡単に突破されることは無いと思うけれど

慌てないで吉田くんちゃんと、対策は講じてあるから心配は無いわ

まずは市川さんのお返事を聞くのが先よそれによって、あたしたちの次の打つ手も変わることになるから

そうだね次の電話までは、このままこの部屋に待機だよ

オレはさっき貰ったばかりの新しい携帯の時計を見る

さっき、舞夏のお祖父さんに電話をしてからまだ十五分しか経っていない

次の連絡をするまでまだ四十五分もある

ああ花粉がやってくるよおっ

ホテルから脱出した後は、姉妹丼になります

117.脱出

舞夏の祖父へ、二度目の連絡をするまでのわずかな時間ミナホ姉さんたちは、情報収集に当てた

ミナホ姉さん、マルゴさん、克子姉とそれぞれが、自分のノート・パソコンに齧り付いている

ミナホ姉さんは、舞夏の祖父の周辺の動きを

マルゴさんは、ミスター・ヴァイオラの雇った人間たちの動向を

克子姉は、ホテルの外部の監視カメラの映像をチェックしている

やっぱりダメねどの出口にも、誰かしら見張りが付いているわ

克子姉が、呟いた

どの出口もって

正面玄関はもちろん、お客用の地下駐車場への出入り口から、テナント用の搬入口まで数人ずつ、見張っているわ車も二、三台ずつ待機しているようねあたしたちが、飛び出して行けば、すぐに追って来るでしょうね

うわホテルの周囲は、ガチガチに固められているのか

ホテルに出入りしている業者さんに協力していただくわけにはいきませんか例えば、宅配便屋さんとかこういう大きなホテルなら、毎日、たくさんの荷物が送り出されてますよねその荷物用のトラックに忍び込むとか

舞夏が、克子姉に言う

それはダメよそういう車は、集配の時間がちゃんと決まっているのもう夜の便は終わっている時間よ

それに初対面の宅配便の人が、あたしたちをトラックに乗せてくれるとは思えないしねああいう仕事の人たちは、指定された目的地に荷物を時間通りに運ぶことが最優先だからね百万円払うって言っても断られるよ目先の百万円で、日々の仕事を失う様なことはしないよ

マルゴさんも、舞夏の意見を却下する

あ向こうも、舞夏さんと同じことを考えたみたいね一人、宅配便の人に化けて、ホテル内の侵入しようとしたらしいわすぐに、うちの警備員に捕まったみたいだけど

克子姉が、モニター画面を見てそう言った

このレベルのホテルだと、出入りの業者は警備の人間が完全に把握しているからね幾ら、偽装しても、詰問されたらすぐにバレるよ

でも、マルゴさんお客さんのふりをして来られたら、お断りできないんじゃないですか

メグが、マルゴさんに聞いた

まあねロビーやレストランは、自由に入り込まれるけれどそういうオープンな場所に来た怪しそうな人は、ホテルマンが必ずチェックして監視しているよ幸い、さっきフロントで一騒ぎ起こしてくれたから、警察の人も何人か来ているみたいだしね無茶なことはできないだろうね

でも勝手に客室の階まで、上がって来てしまったら

ホテルにチェックインしたお客でないと、客室の階へは来られないよ勝手にエレベーターに乗ろうとする客には、どのお部屋へ行かれるつもりですかって、ベルボーイが声を掛けるしねあやふやな答えの人は、絶対に通さないから安心して

マルゴさんは、そう答えた

こういうホテルの従業員たちは、普段から怪しい人間の監視を怠らないように厳しく教育されているのよそうでないと、泥棒とか、変質者とか、詐欺師とかがどんどん入り込んで来るでしょ暴力団の集会に使われたりね

先生が、補足する

なるほどホテルならではの来訪者のチェック・システムがあるんだ

ですがあの人たちが、普通にフロントへ行って、ホテルの部屋を借りたら客室階へ上がって来ることは拒めませんよね

舞夏が、心配そうにそう言った

特に理由が無い限りホテル側が宿泊拒否することってできないはずですから

だからあたしたちが、ここに逃げ込んだ瞬間に、本日は、満室にして貰ったわ嘘では無いわ空き部屋は、全部、あたしが予約したからどの部屋に逃げ込んだか、判らないようにね

さすがミナホ姉さんは抜け目が無い

満室なら、断っても仕方ないよな

克子さん、今、このホテルを監視している人間の総数って、何人ぐらいだと思う

マルゴさんが、自分のコンピューターと睨み合いながら克子姉に尋ねた

そうね各出入り口に居るのと、車で待機している人を合わせて、五十人くらいじゃないかしらロビーやレストランに入り込んだ人を足しても七十人前後って、とこでしょうね

克子姉は、そう分析する

さっき、地下の警備員に捕まったやつらの所属先か判ったんだよまあ、暴力団の下部組織の一番、下っ端だけどねでも、末端が判れば、そいつらの親が判るミスター・ヴァイオラが雇った相手がね

うんこういう無茶な仕事を引き受ける人間は、そう何人もいないからねどうにか、特定できたよそいつの動かせる組織の規模もね

マルゴさんが、ニッとオレたちに微笑んだ

おそらく、今、ホテルを取り囲んでいる人数で、彼らの組織の動かせる人間は手一杯だねもし他に別動部隊いたとしても、せいぜい十人くらいだよ

何とか、ホテルを取り囲んでいる包囲網を気付かれないように潜り抜ければしばらくは、時が稼げる向こうは、吉田くんとあたしたちがどういう繋がりなのか、まだ判っていないだろうからね

ですが気付かれないように、このホテルから逃げ出すのはとても難しいんじゃありませんか

舞夏が、マルゴさんに尋ねる

舞夏さん消防法って知ってる

ミナホ姉さんが、舞夏に尋ねた

何かお店をとかを始めようとする時にはね消防法で、必ず三カ所の避難口を設けることが定められているの火事になった時に、出口が火に包まれたら逃げられないでしょだから、三カ所ね酷いお店だと、消防署の検査の時だけ避難口を開けて、普段は荷物置き場とかして、人が通れなかったりしてるけれど

ミナホ姉さんは、フフッと微笑む

だからということではないけれどあたしは、どんな時でも必ず三つ以上の脱出手段を準備するわそれも別の方向にね同じ方向の出口じゃ、一つが使えなくなったらもう一つもってことになるでしょ

そういう考え方なんだ

あら、そろそろ時間ね市川さんにお電話しましょうか

先生が、パソコン・モニターの時間表示を見て、そう言った

もしもし、黒森でございます

うむ、連絡を待っていたよ

電話機に接続した外部スピーカーから、舞夏の祖父の声がする

お送りしましたファイルは、御覧いただけましたか

まだ全部は見ていないだが、概要は判った創介くんが、君たちの組織に属していて、かなり悪辣なことをしていたというのは間違いないようだね

個人的な性的欲求を解消することの方に熱心な方でしたから組織にとっては、決して好ましい人物ではありませんでしたわそれに非常に、変態的な嗜好の強い方ですし

それもよく判った彼がどういう人間かということはねまた、私の部下が彼と親密すぎる関係にあるということも、確認した君たちの組織を利用して、非常に恥ずべき行為を行っていたということも彼らは、必ず処分するよ

それは、市川様のご自由になさって下さいわたくしどもがターゲットにしているのは、あくまでも白坂創介氏お一人です

白坂家そのものと闘う意志は、無いのだね

はい白坂の本家も、また、創介氏の奥様のご実家でいらっしゃる市川様にも、危害を加えるつもりはございませんわ

電話機に向かって、ミナホ姉さんはニッと微笑む

私の娘瑤子と二人の孫、雪乃と舞夏はどうなる

それはわたくしどもの中でも、意見が分かれています

わたくしどもの中には白坂創介氏によって、無理矢理拉致監禁されて娼婦にさせられた者もおります妊娠させられた者も二度と子供の産めない身体にされた者もいますわたくしどもにそのような仕打ちをしておきながら白坂創介氏が、幸福な家庭を築いていたことに対し、深い憎しみを抱いている人間は一人ではありません

だが黒森さん、君がボスなんだろう君の意志で、組織全体の意志を統一することはできるんじゃないかね

ハッと、ミナホ姉さんは鼻で笑った

市川様白坂創介氏に、子供の産めない身体にされましたのは、このわたくしですわ

重い沈黙が、しばらく続いた

その時、わたくしは今の雪乃様と同じ年齢でした十六歳で強制的に売春させられ、妊娠させられ子供の産めない身体になりましたわたくしの妹もそうです妹は白坂創介氏の連れて来た無免許医の堕胎手術の結果、死にました亡くなった時の妹の年齢は今の舞夏様とほとんど変わりません

しかし君は、黒森公一郎氏の娘なんじゃなかったのかね

ミナホ姉さんが静かに答える

ですから先程、申し上げました白坂創介氏は、非常に変態的な嗜好が強い人間だとわたくしの父もそうですわ中学生の娘をレイプして、売春させて、悦んでいたんですからわたくしどもは、ずっとそういう男たちに奴隷のように扱われてきました組織の女たちの中で、白坂創介氏に恨みを感じていない人間は一人もおりませんわわたくしどもは永年にわたり、白坂創介氏に対する復讐の機会を待ち続けていました

それで、ようやく事態の全貌が見えたよそうか君も、組織の女の一人だったんだね

はいですから金銭的な補償で、白坂創介氏の身柄を引き渡すようなことは決してありません白坂創介氏は、完全に破滅していただきます

判った白坂家には、私から君たちの意志を伝えよう

よろしくお願い致します

だが私の娘と孫たちは見逃して貰えないだろうか

市川老人は、それだけは譲れない様子だった

それは白坂の家がわたくしどもに対する、敵対行為を停止させてからのご相談ですわね

ミナホ姉さんは、そう突っぱねる

市川様明日のご予定は

君に任せる舞夏が人質に取られているんだ、どんなスケジュールにでも合わせる

では午前十一時に、雪乃様の通っていらっしゃる高校へお出で下さい

雪乃の学校

はいお嬢様もご一緒に雪乃様の学校に、お母様とお祖父様がご来訪なさるのは、そんなに変なことでは無いと思います

しかし

ああわたくし、表向きは高校の教師をしておりますの

どういうことだね

雪乃様の学校はわたくしどもの組織の一部ということですわ

雪乃が、その学校に通っているのは君たちが何か裏工作をしたのかね君たちは、雪乃のことも狙っているのか

さすが舞夏のお祖父さんは鋭い

まさか雪乃様が、わたくしどもの高校に入学なさったのは偶然です偶然と言うより雪乃様が、進学する高校をお探しになっている時に、白坂創介氏が勧めたんですわわたくしどもの高校なら、色々と便宜が図れると思われたのでしょう

ミナホ姉さんは、あくまでも白坂創介の決定だと印象づける

そうか君がそう言うのなら、そうなのだろうね

市川老人は、不承不承、納得する

では、明日の十一時に、校長室でお待ちしています

待ってくれ舞夏に代わってくれ

ミナホ姉さんが、舞夏に電話を手渡す

もしもし舞夏だよっ

舞夏今晩だけだから明日には絶対、助け出すからな

そんなに心配しなくても平気だよっみんな、いい人たちだしとっても、良くしてもらってるから

帰って来たら、お祖父ちゃんが舞夏の言うことを何でも聞いてやる何でも、買ってやるからな

舞夏、何もいらないよっああ、そうだお姉ちゃんには、舞夏のこと話してないよね

ああお前が言ってた通り、雪乃には話していない瑤子にも口止めした

良かったお姉ちゃんがグチグチ言い出したら、たまんないもんねっ

本当に、酷い目には遭ってないんだな大丈夫なんだな

最初はちょっと怖いこともあったし痛い思いもしたんだけど今は、もう平気みんなと仲良くしてる

とにかく明日には家に帰れるから、もうしばらくガマンしていてくれ

うんごめんね、お祖父ちゃん心配かけて

いいんだ私は、お前のためなら何でもする

老人は、言葉を詰まらせた

もう、そんな声出さないでよ、お祖父ちゃん本当にごめんね舞夏悪い子でごめんごめんなさい

舞夏も眼に涙を溜めている

いいや悪いのは創介くんだ舞夏は何も悪く無い

そうじゃないの舞夏、本当に悪い子なんだよっだから、こんなことになったのごめんねっお祖父ちゃん、ごめんっ

舞夏は泣き出してしまった

やっぱりこの現在の状況に、中学生の心は押し潰されそうになっているんだ

メグが、オレの背中を押す

オレは舞夏の身体を抱き締める

舞夏の身体が一瞬ビクッと震えてその後で、脱力した

ミナホ姉さんが、舞夏から電話機を取る

市川様そろそろ、よろしいですか

ああ、判った舞夏のことを頼む

ご不自由はさせませんわ

後で母親にも電話させてやってくれないか

残念ですがわたくしどもも、そろそろ現在の所在地から移動しないといけません市川様も、わたくしどもが今、どこに居るのかそろそろ、把握なされていると思います

ああそこがどこのホテルかなのは判っておるよ

この短時間でもう、そこまで調べているんだ

ですから違う場所へ移動致します申し訳ありませんが、明日まではどのような接触も致しませんので、ご了承下さい

そうか君たちは、裏の人間だものなこちらの手は、全てお見通しということか

それは市川様も同じでございましょう

ミナホ姉さんは、そう切り返した

では、明日お目に掛かるのを楽しみにしておりますわ

重ねて言うが、舞夏のことだけは頼む

はいご無事でお返しできるよう、努力致しますわ

ミナホ姉さんは、電話を切った

マルゴ、克子どう思う

すぐにミナホ姉さんは、二人のブレーンに意見を聞いた

今のところは五分五分だねあちらも、嘘は吐いていないだろうけれどすでに、舞夏ちゃんの救出チームを結成する準備はしていると思うよミナホの言葉を信用してはいないね

でも白坂本家に対しては、良い牽制になって下さると思いますただ、市川様かからの要求で、白坂本家が白坂創介を諦めるとは思えませんが

いや、この場合、白坂家と市川家の仲がギクシャクしてくれるだけでも、充分だよ後々の布石になる

でももう、オレたちがこのホテルに居ることまで知られてましたけど

それはわざわざ、バレるようにホテルの電話を使ったんだよ

いくら黒森御名穂って自己紹介したって本物かどうかは確認できないでしょこのホテルから電話すればホテルとミナホの関係は、調べればすぐに判ることなんだから電話してきた人間が、本当に黒森御名穂だという保証になるまあ、完全な証拠にはならないけれどね

そして市川さんは、あたしたちが暴力団組織にホテルごと取り囲まれている事態はまだ知らない知っていたら、ああいう反応はしないよ交渉のカードに使おうとするだろうからね

マルゴさんは、そう教えてくれた

とにかくここから、脱出することが先ねこれ以上は、ここに籠もっていると状況が悪化するだけだから

ミナホ姉さんは、そう言った

うんこのホテルにずっと居ると判ったら

外で取り囲んでいるやつらに加えて、今度は市川さんの配下の人間も駆けつけてくるだろうし市川さんからの連絡を受けて、白坂本家の人間も集まって来る

今以上に、逃げ道がなくなる

では、部屋を出ましょうみんな、準備して

ミナホ姉さんの言葉に、マルゴさんたちはノートパソコンを閉じる

メグが運び出す荷物をまとめている

舞夏、大丈夫か

オレは、抱き締めている舞夏に尋ねた

うんもう平気だよお兄さん

嘘だと判った

舞夏の身体は、まだ震えている

抱いているオレには、判る

オレは舞夏の口にキスする

舞夏か一瞬、驚くが、それでもオレの舌を受け入れる

舌を絡め合ううちに舞夏の震えは治まった

唇を離すと、舞夏が大きく息を吐いた

ぷはっ酷いよ、お兄さん

何が酷いんだ

舞夏に無理矢理キスした

嫌だったか

うんうんでも、する時はするって言って欲しいな

じゃあ、もう一度するぞ

キスするからな

オレたちは、再び唇を重ね合う

業務用のエレベーターを乗り継いで2階まで降りる

そこから、隠されている秘密のエレベーターで、さっきの地下施設へ戻る

この地下にはどこかに通じている秘密の通路があるんだろうか

このホテルを建てる時はねここのブロックが丸ごと全部、再開発されたのよ

長い廊下を歩きながら、ミナホ姉さんが、オレたちに言った

だから、インフラのための地下の施設は周囲のビルと繋がっているわけ

じゃあ、メンテナンス用の通路か何かが通じているんですね

まさかそんな通路があれば、抜け道があるってことが知られちゃうでしょ

マルゴさんが、ククッと笑う

他のビルからだって、来放題になっちゃうしね

じゃあどうやって、逃げるんです

それは、まあね

マルゴさんが、廊下の途中の鉄の扉の鍵を開ける

中は広い空間の機械室になっていた

壁と天井には、大きなパイプが何本も通っている

電気だかガスだか水道だか何用のパイプか判らないけれど

人間が立って歩けそうなパイプもある

ここに四本、大きなパイプが通ってるだろ

このうちの1本は、フェイクなんだ

フェイク

実際には、他のパイプに繋がってないんだよ真っ直ぐ、二つ隣のビルに繋がっている

ここから、入れるんだ

マルゴさんは、一本のパイプの途中のカバーをガチャンと外した

なるほど、ここから中に入ることができる

マルゴさんが、懐中電灯を手に持って先に中へ潜り込んだ

床が丸く湾曲しているから、気を付けて歩いてね所々に空気穴があるから、酸欠の心配は無いよとにかく暗いから、注意して

大人が立つと頭をぶつけそうな狭い空間をオレたちは進む

パイプの中は空気が悪いすえた匂いがする

マルゴさんは、正面を照らしながら先頭を行く

克子姉は、両肩にノートパソコンやら荷物やらを下げているから大変だ

メグと舞夏は手を繋ぎ合って、オレの前を行く

メグには、自分のドレスの買い物袋を持って貰った舞夏にも、小さな荷物を運んで貰う

オレもメグの家から持って来た3つのバッグを抱えて進む

一番後ろからミナホ姉さんが、懐中電灯でオレたちの足下を照らしてくれていた

パイプの中を進むこと二十分

ようやく、マルゴさんが出口を見つける

うんここが、出口だ

マルゴさんが、一人で先にパイプの外に出る

やっぱり、そこも暗闇だった

大丈夫だ一人ずつ、出て来て

指示通り一人ずつ、バイブの外へ

そこは別のビルの地下の機械室の様だった

真っ暗な空間にブブブと何かの振動音が聞こえてくる

みんな出たね出口は、こっちだと思うよ

また、マルゴさんを先頭に暗闇の中を進む

また、鉄の扉に行き着く

鍵はかかっていなかったガチャリと開く

その部屋もやっぱり暗いままだったけれど

あ今、電気を点けるよ

マルゴさんが、壁のスイッチを入れる

蛍光灯が、ビカビカと灯った

ずっと鞍や者中にいたから眼が眩しい

うわっ、みんな酷い顔してる

舞夏が、笑った

みんなホコリまみれで真っ黒になっていた

舞夏だって、そうだよ

オレがそう言うと、舞夏は笑った

ほらホコリをはたいてあげるね

舞夏が、オレの学生服の背中をパンパンと叩いた

待って待って、舞夏ちゃんここだとホコリが舞うから、そういうのは外でやって

ケホケホしながら、マルゴさんが舞夏に言った

あごめんなさいっ

舞夏が、ペコリと頭を下げる

周りを見渡すとそこは、災害時用の備蓄倉庫のようだった

棚にたくさんの段ボールが並んでいる

普段は誰も入らない部屋なんだろう

こっちだよ

マルゴさんが、さらに奥に続くドアを示す

そのドアを開くと外は、ビルの地下駐車場になっていた

外と通じている空気の匂い

間違いないさっきのホテルの二つ向こうのビルだよ

マルゴさんが、確信を持ってそう言った

ここに辿り着くことになるかもしれないってことは、前から想定していたからねここの駐車場には、うちの車を2台、用意してあるよ

何とか、脱出できそうだ

じゃあ、舞夏がはたいてあげるねっ

舞夏が、オレの学生服をパンパン叩く

オレも、舞夏の髪に付いたホコリを払ってやった

恵美は、ミナホ姉さんを

マルゴさんは、克子姉の汚れを落としてあげている

早く、お風呂に入りたい

舞夏の意見には同感だった

マルゴさんが事前に用意した車は2台のライトバンだった

案の定、丸子印刷の文字が入っている

じゃあ、マルゴと克子は、お屋敷へ戻ってあたしは、子供たちを連れて行くから

ミナホ姉さんが、指示を出す

えオレたちはお屋敷に戻らないんですか

ええこのまま全員で帰るのは、危険よあなたたち三人は、今晩は別の所に泊まって貰うわ

明日はそこから直接、学校へ行くことになるわだから、明日必要なものだけを持っていきなさい他の荷物は、マルゴの車に預けて

ミナホ姉さんの言葉に、一番荷物の多い恵美が返事した

あんまり、格好いい脱出方法にはなりませんでした

感想の方でも、地下通路を予想している方がいらっしゃいましたし

まあ、これしか思いつかなかったので

ご勘弁下さい

花粉症で苦しいです

118.逃亡者たち

じゃあ、ドレスと靴は、あたしが預かるわサイズ直しとかはしなくて平気ね

克子姉が、メグの買ったばかりのドレスを受け取る

はい、ちゃんと試着しましたから

メグは、恥ずかしそうに答えた

これに似合うアクセサリーを探しておくわみすずさんの発表会ですものお洒落して行かないとね

克子姉は、ニッコリと微笑む

メグは、克子姉に頭を下げる

いいなあ、恵美ちゃん舞夏、どの服着ていこうかな

と、舞夏は言うが

どの服も何も現在、誘拐されていることになっているんだぞ

明日の着て行く制服のブラウスと下着はさっき買ったから

メグは持って来たカバンの中から、必要な物を取り出して別のカバンに詰めていく

でもオレは、どうしよう

学生服だけで、何も用意していない

あ下着だけは、さっき買ったのがあるんだっけ

あなたの着替えのYシャツは、明日の朝、届けてあげるわ

いや、いいよYシャツなんて、二日着てても

ダメよ清潔にしないと笑われるのは、恵美なんですからね

ミナホ姉さんに叱られた

後は学生鞄には、何を入れていけばいいのかしら

と、克子姉がオレに尋ねる

あ空っぽでいいよ明日は、健康診断だけだから

ホント授業の無い日で助かったわね

ミナホ姉さんが、しみじみとそう言った

とにかく、荷物をマルゴさんと克子姉の方の車に移す

気を付けて下さいお屋敷の方にも、監視の人間が来てるかもしれないですし

オレがそう言うと、マルゴさんは

確実に居るだろうねミスター・ヴァイオラの配下は、まだかもしれないけれど白坂家の雇った調査員は、もう押しかけて来ていると思うよ

大丈夫なんですか

オレはお屋敷に残っている寧さんが心配だった

平気だよお屋敷に通じる道は、私道なんだよだから、道ごと閉鎖したよ無理矢理乗り越えようとしたら、不法侵入だからすぐに警備会社の人が飛んでくる手はずになっている

でもそれじゃあ、お屋敷の廻りの家の人が困るんじゃないですか

うちのお屋敷は、小高い丘になっているだろ廻りには、ぐるりと家が六軒あるんだけどね誰も住んでないんだよ

あ裏の一件だけ、今は住んでるんだっけ六軒の内二軒だけは、外の通りに直接出られる出口があるんだそこには、洋画家の先生が住んでいる

浜さんよ信頼できる先生だから、お貸ししているの

マルゴさんの言葉に、ミナホ姉さんが付け足した

うんカモフラージュにね残りの五軒も、書類上は誰かが住んでいることになっているんだその内の一軒は、あたしが住んでいることになっているし

マルゴさんが

そうだよどこかに一人で出掛ける時は、わざとその家から出るようにしているあ、六軒の家は、全部、地下通路でお屋敷と繋がっているからね浜さんは、知らないだろうけれど

あたしたちは、浜さんの家じゃない方の外と通じている家に行くよそこから、お屋敷に戻る寧もとりあえす、今晩中にあたしの家に移すよしばらくは、あたしが寧に貼り付くからお屋敷は、克子さんと森下さんだけ残って貰うことになるね

仕方ないですね誰かしらが、監視者のお相手をしないといけないですから

克子姉が、溜息を吐く

それにアニエス様が、お腹を空かせるといけませんから

アニエスって

ミナホ姉さんの六番目の玩具

えっアニエスって子、お屋敷の中にいるの

いるわよ地下に

地下って

確か、監禁部屋になっているんじゃ

晩ご飯は、寧があげてくれたかしら

それなら、あたしが用意しておきました寧様にもお願いしてあります

克子姉が、穏やかな顔でミナホ姉さんに答える

アニエス様は、あたしか寧様がお届けしないとお食事して下さらないのよ

アニエスは白坂創介が、自分欲望を満たすために産ませ、成長させた娘だって聞いている

ずっと地下に監禁され学校にも通わせて貰っていないんだ

その子どうして、地下に居るの閉じ込められているの

舞夏がミナホ姉さんに尋ねた

ミナホ姉さんは

舞夏さんあなたの秘密の姉妹は、恵美だけじゃないの

ビクッと震える、舞夏

あなたには、もう一人妹がいるのよ

ミナホ姉さんは静かに、そう言った

混乱の表情の舞夏

名前はアニエスただのアニエスよ戸籍も何も無いの生まれてから、ずっと屋敷の地下室に居るから

舞夏の問いにミナホ姉さんは、しばらく考えてから答えた

舞夏さん源氏物語の紫の上って判る

源氏物語は学校で習ったけれど詳しくは知りません

オレもだ

多分、源頼朝が平家を倒して、鎌倉幕府を作る話だと思うけれど

簡単に説明するとね光源氏が、紫の君という少女を誘拐して、自分好みの女に育て上げるっていうエピソードがあるのよ

あれ頼朝は義経と弁慶は

男の人の理想らしいわ自分の好みに育てた娘を自分の女にするというのは

まさかパパは

ミナホ姉さんは、吐き捨てる様に言った

そうよ白坂創介は、自分好みの娘を作ってその娘を玩具にしたいって思ったのそれでアニエスを監禁しているの生まれてから、ずっとね

マズい

克子姉とメグが、後ろから舞夏を抱き締める

元々はあたしの祖父が考えた計画だったらしいけれど本気では無かったみたいただの遊び老人の個人的な妄想の計画それを白坂創介は実行したのよ自分の肉欲のために

何て酷い男なんだ

しかも白坂創介は、自分の娘とセックスしたいと思ったのよだからアニエスのお母さんは、フランス人よとても、綺麗な人だったわ十七歳で、白坂創介の娘を産まさせられたそれが、十二年前

十二年間ずっと、アニエスは地下に居る

母親と引き離され、友達もなくまともな教育は、何一つ受けていないわただ、ひたすら、白坂創介を愛することしか教えられていない子なの

それが人間のやることなのか

自分の娘に対して

アニエス様は、言葉はお判りになりますが文字を知りません読むことも書くこともできません今までに接触したことのある男性は、白坂創介だけです白坂は幼い頃からアニエス様に、ずっと自分のセックスビデオを見せていますお前は、そのうちパパとこういうことをするんだぞと言いながら

克子姉も、憎しみの表情で白坂の悪行を語る

その後お屋敷は、色々とありましたから去年の秋以降、白坂とアニエス様は接触していませんお嬢様が、保護なさっています幸いまだアニエス様の身体は、白坂に汚されてはいません

十三歳の誕生日に、処女を奪うのを楽しみにしていたものね

はいお嬢様それだけが、救いですわ

克子姉は、ハッと息を吐く

白坂はアニエスに自分の子を産ませることまで、計画していたものね

あたしの妹奈生実を幼いまま妊娠させて死なせてしまったでしょその事が、白坂にとっても、一応トラウマになっていたみたいなのだからある程度、肉体が成長するまでは、セックスしないでガマンすることにしていたようよあの男処女を犯す時には、絶対に避妊しないから

メチャクチャだ

そんな男がこの世の中に居るなんて

本当に、アニエスちゃんは舞夏の妹なの

舞夏が、ミナホ姉さんに尋ねた

ミナホ姉さんは、まっすぐに舞夏の眼を見て答える

あたし、アニエスちゃんに会いたい

舞夏が、悲しげにそう呟いた

ええ、会ってちょうだいあの子は、舞夏さんみたいな年の近い女の子とまだ出会ってないから

そうですね食事を届ける寧様とあたしとお嬢様以外は、往診に来ていただく女医の池田先生だけしか会話していないですものね

あたしとは会話はしてくれないわ

ミナホ姉さんは、寂しそうに言った

あたしだって、ほとんど会話して下さいません寧様とは、多少、お話になられるようですが

克子さんが世話をする様になる前の白坂創介が雇っていた、女が本当に酷い人だったからね食事の上げ下げをするだけで、何もしないしいっつも、無表情で時々、アニエスに暴力も振るってたんだろ

それで解雇したのよ監視カメラに、アニエスを叩いている記録が残ってたから

ミナホ姉さんが、マルゴさんに答える

アニエスちゃん可哀想

舞夏は泣きそうな表情で、克子姉にしがみつく

そうだわ今度は、吉田くんや恵美にも、アニエスに食事を届けて貰いましょうか

ミナホ姉さんが、オレたちにそう言った

そうですね、お嬢様それは、良い考えだと思いますわ

克子姉も、うんうんと頷いている

舞夏も、お世話します

アニエスちゃんが舞夏の妹なら舞夏が助けて上げないと

2台の車に分かれて、出発する

1号車に、マルゴさんと克子姉

2号車に、ミナホ姉さんと、オレ、メグ、舞夏

ミナホ姉さんが運転席で、オレが助手席

女の子二人は、後部座席へ

吉田くん学生服は目立つから脱いで

確かに丸子印刷の車の助手席に、学生服は変だ

オレは学生服を脱いで、Yシャツ姿になる

ダッシュボードを開けてみて、マルゴのことだから変装用の小道具を入れてあると思うの

言われた通りに開けて見ると帽子と伊達眼鏡とネクタイが出て来た

その帽子は、あたしが貰うわ吉田くんは、眼鏡とネクタイをして後ろの二人は、あたしが良いって言うまで隠れているのよ

代表して、メグが返事をした

二人とも、車内にあった毛布を被って伏せる

オレは眼鏡は掛けたけれど、ネクタイが

何をやっているの

ミナホ姉さんが手を伸ばして、オレのネクタイを結んでくれた

いやミナホ姉さん、ネクタイを結ぶの上手いなって思って

子供の頃祖父のネクタイを毎朝結んであげるのが、あたしの日課だったから

黒森の祖父ではないわ弓槻の母方の祖父よ小学生の頃、同居していた時期があるのそういえば、祖父のお葬式にも行かれなかったわね

ミナホ姉さんは白坂創介に拉致されて、黒い森の女にさせられたから

お墓参りに行きましょうみんなで

オレは、ミナホ姉さんにそう行った

そうね全ての方が付いた後でね

ミナホ姉さんは車のエンジンを始動させる

ビルの地下駐車場から夜の街へ

さっきまで居たホテルを背にして2台の車は、走り出す

最初の交差点でマルゴさんたちの車とは別れた

そのまま十分ほど、車は走り続ける

もういいわ尾行してくる車は無いみたいだから

ミナホ姉さんの言葉に、後部座席の二人が毛布から顔を出す

熱かった

舞夏のおでこと鼻には、汗の球が浮いていた

メグも、大きく深呼吸する

ちょっと、休憩しましょう電話もしたいし

ミナホ姉さんは、車を二十四時間経営のスーパーマーケットの駐車場に駐めた

吉田くん悪いんだけど、みんなで買い物に行って来てこの後でお腹が空いたら困るから、飲み物やお菓子とかを買いなさい明日の朝ご飯は、克子が届けると思うけど

そう言って、ミナホ姉さんがオレにお金を渡そうとする

いいですよまだお金、残ってますから

うんさっきの残金だって、1万円ちょっと残っている

いいのよこれは必要経費だからあなたのお金は、使わなくていいの

ミナホ姉さんが、オレの手に五千円札を押し込む

周囲には、注意してねこんなところまで、誰かが付けて来ているとは思えないけれど、用心に越したことは無いわ

オレは学生服を着直して、袖にブン殴り棒を仕込む

お兄さん、何それ

んブン殴り棒

ブン殴り

そう一応、何かあった時のための武器だよ

舞夏は、大きな口を開いて驚いている

じゃあ、行ってきます

オレたち3人が、車から降りるとミナホ姉さんは、誰かに電話していた

あ、もしもし、あたしだけど今晩、あなたのところのホテルに泊めてくれないかしら

誰と電話しているんだろう

ありがとう助かるわ

とにかく今夜の宿は、どうにか決まったらしい

ほらお兄さん、行こう

舞夏が、オレを急かす

その横からメグが、当然の様にオレの手を握る

ヨシくん、行こう

メグと手を繋いでオレはスーパーの店内に向かう

ちょっと買いすぎよ舞夏ちゃん

メグが、買い物カゴに山と突っ込まれたお菓子の量を見て怒った

二十四時間経営のスーパーマーケット

店内は、とても明るい

しかし買い物客は、ほとんどいなかった

今夜の分だけでいいんだから残したら、もったいないでしょ

残ったらまた、明日、舞夏が食べるよ

もう、そんなこと言って欲しくなったら、また買いに来ればいいじゃない

メグの言葉に、舞夏は

だって舞夏、この後しばらくお外に出られないかもしれないし

舞夏は誘拐されているって設定だったんだっけ

メグは少し、間を置いて言った

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