それは四千万円の身代金のことですか
ミナホ姉さんの冷たい言葉に市川老人は、ウッと息を呑む
そ、そうだとも君らの様な、売春組織の人間からすれば、破格の条件だろう違うかね
市川老人が感情を露わにする
この際、はっきり言っておくぞ僕たちは、この国のマスコミ業界の根幹に居る人間だ表の世界にも、裏の世界にも知り合いは多いんだ君たちのような、小さな犯罪集団など簡単に潰すことができるんだぞ僕たちは、君らの様な下賤な連中に屈することはない今すぐ、舞夏と創介くんをこちらに引き渡して貰おう二人とも、君たちの様な存在に拘束されるべき人間ではないんだぞ
市川老人の言葉に、マルゴさんが笑い出す
ああ本当に馬鹿なんだねこの人自分で自分の吐いた嘘をバラしてしまったよ
え、どういうことなんです
さっき、この人が自分たちから言い出した取引の内容白坂創介を見捨てるから、一度、白坂家に戻して欲しいという約束していたよね
あれ全然、守る気が無いんようだねあたしたちが、白坂創介の身柄を渡したら最後もう、こちらには戻さないつもりだ
だから、こんな言葉を吐くんだ
その後は、白坂家の中で飼い殺しにでもされるのだろうけどいずれにせよ、この人たちは白坂創介を生きたまま黒い森から奪回したいみたいだね
ということは白坂家の当主だけが、この件に反対しているというのも嘘なんだな
念書を残していったって、後であれは、白坂家の当主の認可が無いから無効って押し切るつもりだったんだろ実際は、白坂家の当主は全部知っているよあの弁護士だって、当主の意志でここに派遣されて来ているんだろう
全部、嘘
そんなことでミナホ姉さんと交渉しに来たって
汚いというより、こちらを舐めているよね本当に、どうしょうもない人たちだよ
マルゴさんは、吐き捨てるように言った
段々、腹が立ってきたぞ
それとも君は、四千万では不服とでも言うのかね
市川老人は、恩着せがましくそう居直っている
その四千万円だって
本当に支払う気はあるのかどうだか
嫌無いんだろうな
だからこいつらは、具体的なことを何も決めずにここに来た
ええ、不服ですわね
市川老人にキッパリと言う、ミナホ姉さん
その口元が苦笑して歪む
わたくしは、この十二時間で一億二千万円使っていますから
い、一億二千万
市川老人が、目を見開いて驚く
マナの母親と弁護士も
ミナホ姉さんが静かに話し出す
普段ならこの様な問題が起きた時には、市川様の会社も白坂様の家でも、懇意にしている裏組織の力をお使いになれますよね自分の手は汚さず裏の人間に指示だけを出して、処理させるそれが、あなた方のような人間のやり方ですから
ミナホ姉さんの強い視線に市川氏と弁護士とマナの母親は、凍り付いたように固まっていた
それが今回だけは、いつもの組織は動かなかったどれだけ金を積んでもあなたたちのために、誰も働いてはくれませんでした何故だと思います
そうですわあたしが、裏から手を廻したからですあらゆるツテを使ってかなりお金もバラ巻きましたし、酷い恫喝もしましたわざとブラフを仕掛けて、相手を追い込むような真似もしました
同じ十二時間をミナホ姉さんは、ずっと闘い続けた
裏社会の中で
そもそもどうして、この場に白坂浩太郎弁護士がいらしたんです白坂家の顧問弁護士が大畑先生だということは、誰でも知っています大畑法律事務所は政財界にも多くの顧客を持つ、力のある事務所ですからね
ミナホ姉さんの眼が、白坂弁護士を強く見据える
しかし大畑法律事務所では、裏社会に関わる案件は、全て鷺坂弁護士か辻本弁護士が担当することに決まっているはずですね白坂弁護士は、あくまでも白坂家からお預かりしているだけのお若い弁護士で例え、白坂家に関わる事案だとしても、今回の様な汚い仕事には関わらないようになっているはずです
ミナホ姉さんは十二年掛けて、この復讐の準備をした
当然白坂家の周辺の事情については徹底敵に調査している
なのに、白坂浩太郎弁護士がこの場にいらっしゃったということは大畑先生も、この案件には関わりたくないという判断をなさったのでしょうね
何で市川氏たちが強硬で、無茶苦茶な要求をこちらに提示してきたか判った
市川氏たちはいつもなら、こういう場合に手助けしてくれる人々から、全て協力を断られたんだ
裏組織の人々からも
自分の顧問弁護士からも
みんな黒い森との揉め事には、関わりたくないと言ってきたんだ
そういう流れを作るために
ミナホ姉さんは、徹夜で工作活動を行ったんだろう
金と脅しと両方の力を全開で駆使して
どうです普段なら、決してご自分ではなさらないような汚れ仕事をなさってみてはっきり申し上げますが、市川様の交渉術は最低ですブラフはブラフになっていませんし、お金で解決するにしてもこの様な場合に提示すべき金額の相場をご存じない取引における最低限のルールもね
ミナホ姉さんが、鼻で笑う
少なくともお二人は、見せ金ぐらいは用意してくるべきでしたね裏の人間は、銀行振り込みなんて絶対に使いません取引に使うお金は必ず一度流通した、番号の揃っていない古いお札で現金で用意しますそれを安物の風呂敷で包んで、無地の白い紙袋に入れて相手に渡すそれが、ルールですあたしたちは、眼の前にある現金しか信用致しませんから
市川氏も、弁護士も黙り込んでいる
マナの母親だけは、まだ状況が判っていないのかそれでも、鬼の形相でミナホ姉さんを睨み付けている
結局市川氏も白坂弁護士も、裏の人間との交渉について何も判っていなかったんだ
いつもなら、こんなことは誰かに任せるだけだから
上から命令して、自分の意志を実行させるだけで具体的な交渉ごとのやり方を理解していない
現場の交渉で血と汗と涙を流している人々の苦労を知らない
いや、知ろうともしない
だから今日もまた、何も理解していないくせに、いつもの様に
上からただ自分たちの命令だけを押しつける形で、ミナホ姉さんに応対した
どうせ下賤なやつらが相手なのだからと高をくくって
こいつらはクズだ
最低の人間だ
わたくしたちは、この復讐に全てを懸けています今更、四千万程度の金に心を動かされたりはしませんわ
そうだミナホ姉さんは、復讐が終わったら死ぬ覚悟だったんだ
自分の持っている資産を全て失っても構わないという気構えで昨夜は、金をバラまいたんだろう
それにわたしくたちはこの日のために、裏社会に悪名を響かせて参りました黒い森の人間は、金では動かない黒い森の人間は、徹底的に敵を潰す黒い森の人間は、残虐で残忍で何人たりとも容赦はしないとね
画面を見つめながらマルゴさんが言った
そうさだから、あたしたちは夜な夜な繁華街で暴れてきたんだ黒い森には、とんでもない狂犬がいる下手に手出しすると、何をされるか判らないって評判を作るために
うんあたしたち、不良でもチンピラでも、嚙み付いてきた相手には、絶対に容赦して来なかったもんね
寧さんが、呟く
あああいつらはイカレてる近寄るとケガをするだけだぞって思い込ませるまで、眼に付いた連中を徹底的にブチのめしてきたからね
あの夜ごとの暴虐行為も全ては、黒い森の名を裏社会に轟かせるため
この日のために裏社会の人々に、黒い森をアンタッチャブルな存在だと認識させるための活動だったんだ
あれでどれくらい効果があったかは判らないけれどそれでも、市川氏や白坂家から依頼があった時に、黒い森が相手なら手伝えないっていう連中が少しでも居てくれたのなら暴れた甲斐があったよ
結局最初に白坂家の依頼を受けた調査会社が、黒い森がどういう組織なのかを知った段階で手を引いたんだ正確には、ミナホが手を引かせたかなこちらから、向こうの会社に積極的にアプローチしたからね
ミナホ姉さんはそこまでやっているのか
それで市川氏も白坂家も、他の調査会社や別の裏社会の組織に次々に依頼をしていったんだけれどことごとく断られたのさあちら側の動きは、こちらには完全に読めていたからね全て、先回りしてこの勝負は、白坂家には勝ち目が無いという噂を流したんだ誰だって、負ける馬には賭けない正直、この十二時間が勝負だった
白坂家や市川氏が、どんなにマスコミ業界の大物だとしても
あくまでも表の世界での存在でしかない
黒い森という犯罪組織と闘うためには、どうしても裏社会の人間に協力を求める
それが判っていたからミナホ姉さんは徹底敵に先回りして、彼らに協力しそうな相手を押さえていったんだ
大きな組織は、お金の力でねじ伏せて、小さな組織は黒い森の悪名で脅しを掛けたんだよっ最後には、少人数の小さな暴力団事務所にまで話が行ったんだよでも、そこは前にマルちゃんとあたしに酷い目に遭わされた人たちだったからそんな人たちからも協力して貰えないで市川氏も白坂家も、ついに丸腰の状態で交渉にやって来たってわけなのっ
寧さんが、そう教えてくれた
それなのに市川氏も白坂家も、あたしたちに対して見えすえたブラフだけで対抗しようとしたここまで馬鹿にされるとは、正直思っていなかったよ
マルゴさんの内面の怒りはモニターの中のミナホ姉さんに通じる
さて、どうしましょうか、市川様裏社会には、あなたたちの味方はいませんそれでもまだ、わたくしたちに無理な要求をなさいますか
市川老人は
判った一億二千万円いや、一億三千五百万円支払おう
何だ、その微妙な額は
お金の額が問題だとは、申し上げておりませんわたくしたちは、あなたがたの誠意の無い対応に大変憤慨しています
ミナホ姉さんは、微笑む
それはどうあっても、舞夏も創介くんもこちらには返さないということかね
市川氏は、この期に及んでまだ強気の姿勢を崩さない
まともな交渉にならないようにしたのは、そちらです違いますか
ミナホ姉さんの言葉に
お父様あたくしは、もうガマンできませんっ売春婦風情に、あたくしたちがこうも愚弄される筋合いはございませんわっさあ、今すぐ、舞夏を返しなさいあたくしたちを誰だと思っているの
マナの母親がヒステリーを起こして喚き出す
マナがオレを見上げる
どうしたんだ
マナが泣きそうな顔で、オレに言った
マナはこれからママとお祖父ちゃんの前で、お兄ちゃんにレイプされるんだよね
そしてパパは、オーストラリアのゴールドコーストに居るって叫べばいいんだよね
パパは本当はもう、オーストラリアには居ないんでしょ
色々あって、大変です
ここ2週間は、体力的に厳しい
140.交渉.3
さっきの話はマナを騙すために、わざとしたんでしょ
マナがマルゴさんを見る
マルゴさんは、ククッと苦笑して
別に騙すつもりはないよただ、マナちゃんを試そうとしただけさ
そうかマナの現在の心を知るために、わざわざ目の前で白坂創介がオーストラリアのゴールドコーストに居ると言ったんだ
それを、マナが祖父や母に言うかどうかを試すために
もちろん、ゴールドコーストの件は偽の情報で
黒い森は、いつも人を試す
簡単に人を信用しない
何度でも納得がいくまで試し続ける
あたしたちは、白坂創介をオーストラリアで拘束しているということは、昨日の段階ですでに市川氏には告げているよね
マルゴさんが、ニヤリと微笑んだ
つまりあの電話をした時には、すでに白坂創介はオーストラリアから連れ出されている
もちろん本当のことは、この場では教えられないよ白坂創介は、まだオーストラリアのどこかにいるのかもしれないしすでに別の場所に移動しているのかもしれないどっちなんだろうね
マルゴさんの言葉に、マナは答える
でもゴールドコーストの近辺には、いないということですね
まあ、そういうことだね
マナの言葉に、マルゴさんは頷いた
白坂家が、ゴールドコーストの方面に注目してくれてそちらに人員を割けば、他の場所が手薄になるただのそのためだけの攪乱情報だよもっともこの攪乱が成功しなくても、あたしたちはそんなに困らないけれど
もし、すでに白坂創介がオーストラリアに居ないのならゴールドコーストの件は、大した問題じゃない
いや、判らない
今のマルゴさんの言葉も、陽動なのかもしれないし
むしろ日本に入国するのを阻まれる方が困るよね
そっか、空港なんかで網を張られたら
いずれにせよ、白坂創介を連れて帰国することは判っているのだから
一応、言っておくけれどあたしたちは、オーストラリアからの直行便を使うほど馬鹿じゃないよオーストラリアからの直行便は、年々減る傾向にあるからね便数が限られているそんなのじゃ、すぐに発見されるよね
マルゴさんが、マナに言う
インチョン空港経由ですか
さあね香港かもしれないよ上海経由という手もあるいずれにせよ、中国や韓国の空港からなら、日本の地方空港への便もあるしね
そうかいったん、日本の近くの別の国へ出て
そこから、日本の地方の空港へ
そうすれば、白坂家は全国の空港に監視の眼を拡げなくてはならなくなる
あたしたちには、幾らでも選択肢があるそれに、こういう裏の仕事に関しては、恭子さんはエキスパートだからね
マルゴさんは、師匠である恭子さんという人を心から信頼しているようだ
というか恭子・ドスノメッキーという人は、本当に実在するらしい
もう、マルゴさんの話は一々疑ってかからないといけないから大変だ
何が本当で、何が嘘なのか全然判らない
市川様と白坂家からのご提案は、以上ですか
校長室の中ではミナホ姉さんが、市川老人たちと向き合っている
ああ僕たちからの提案は、これまでだ
市川老人は、ミナホ姉さんを睨んでそう答えた
確かに僕たちの提案のやり方が、スマートでは無かったことは認めるいずれにせよ、まんまと君にしてやられたようだねしかし、君だって裏社会の全ての勢力を押さえたわけではないだろう金さえ出せば、どんなことでもやるという連中は、意外と多いもんだよ
市川老人は、この期に及んでなおミナホ姉さんに脅しを掛ける
そうでしょうね時間を掛ければ、こちらが不利になることは判っていますわわたくしたちの資金は有限ですし
ミナホ姉さんは、笑ってそう答えた
ああ今までの段階では、僕たちは世間体を考えて、最低限のことしかできなかった君たちが、ここまで金と労力を使って対抗してくるとは思わなかったよ君が有能なゲーム・プレイヤーであることはよく判った最初の第1ラウンドは、君たちの勝ちだしかし、勝負はここからだよ僕たちはもう、君たちに手加減はしない
市川老人は、そう言うが眼に焦りの色が見える
首にびっしょりと汗をかいていた
こういう時にね饒舌になるのは、負けている証拠なんだ覚えておいてどんな時にも、短い言葉で感情を押し殺したまま、静かに対応するんだ冷静になろうなんて考えてはダメだよかえって、焦るし言葉が増える余計な言葉は、相手にこちらの情報を教えるだけだしこちらの心理状態も知られてしまう短い言葉と静かな声それだけに集中するんだ今の、ミナホのように
マルゴさんが、オレにそう教えてくれた
モニター画面の中では市川老人が、汗を垂らしながら必死に話し続けている
いいかねよくよく考えれば判ることだがね僕と白坂くんが本気になって行動すれば、今の状況は簡単に逆転するんだよ僕たちの立場なら、長期にわたって裏社会の人間に恩恵を施すこともできるからね恥を忍んで、政財界の友人たちに助けを求めることもできるマスコミ業界と司法業界は、割と近い関係にあるしね
それに対してミナホ姉さんは、涼しい顔で応対している
はいそうでしょうねですから、この十二時間が勝負だと思って行動して参りましたわ
ミナホ姉さんの冷たい微笑
すでに勝負はついているように見えた
まあいいでは、君の側の提案を聞こう僕たちがどうすれば、舞夏と創介くんを返してくれる条件を聞こう幾ら欲しい何をしたらいい条件次第では、君たちの要求に従ってもいい白坂くんには、僕から話してみてもいいんだよ
それでも上からの目線で、何とかこの場を支配しようとする、市川老人
うふふこちらからの条件提示なんて、何一つございませんわ
ミナホ姉さんの冷たい言葉に
市川老人は、ギョッとする
では交渉決裂で、このまま第2ラウンドへ突入ということかね
あはははは第2ラウンドなんてございませんわ市川様とのお話しは、これが最初で最後になりますわ
ど、どういうことかねッ
市川老人は、大きな声を出して叫ぶ
ミナホ姉さんは穏やかに答えた
わたくしどもは最初から、市川様や白坂家と交渉するつもりはございません
なんだと
わたくしたちにとって、この十二時間は別の方々と交渉するために必要だったのです
ミナホ姉さんは立ち上がって、校長室の机の脇の機械へ向かう
それは、校長室から全校に通知をするための放送の機械に見えた
機械の上に、マイクが飛び出している
ミナホ姉さんは一つのスイッチをパチンと押して
マイクに向かって、話し掛ける
御覧の通りでございます閣下
か、閣下って
すると校長室に据え付けられている大きなスピーカーから
威厳のある老人の声が聞こえてくる
市川くんにも白坂の家にもどうやら、自浄能力というものは無かったようだね
だ誰なんだ、この声の主は
声だけで人を制することのできそうな強い意志が感じられる
君たちの話は、最初から聞かせてもらっていたよ
その低い声に市川老人が苛立つ
盗み聞きをなさっている不届き者は、どなたですかな僕を市川伸一郎と知った上で、あなたはこんな無礼を働いているのかね
スピーカーから、声の主は答えた
私は、これを無礼だと思わんよこんな事態を招いておきながら、何の対応もできていない君たちの方が、世間に対してよほど無礼だ
市川老人が、怒りに任せて声を荒げる
何者だね名を明かしていただこう
声の主は穏やかに答えた
市川くん、私だよ香月重孝だ
香月って
みすずのお祖父さん
さきほど、閣下と申し上げたでしょう
ミナホ姉さんが、市川老人を笑った
閣下
香月さんはね、お若い頃に駐英大使に任命されたことがあるんだ日本では大使には閣下という敬称を付けるよねだから今でも香月さんは、親しい人たちからは閣下と呼ばれているんだよ
明治以前からの歴史ある名門貴族の家系で政財界の大物で元・駐英大使って
もう、とんでもない権力者ってことなのか
ほ、本当に閣下なのであらせられますか
市川氏は、すっかり青ざめている
市川くん私は、君がまだ若い頃に話したことがあったろう企業の経営者に必要なのは、想像力とインスピレーションだと覚えているかね
スピーカーからの声は、そう言った
は、はい覚えております
君は事態に対する想像力もインスピレーションもそこに居る御名穂くんに、完全に劣っているようだね
マナの母親が、市川老人を見る
お父様、本当に
市川氏は
間違いない香月先生だよ
ま、まあ
後ろで、白坂弁護士も真っ青になっている
みすずのお祖父さんは市川老人や白坂家ですら敵わない程の力を持っているのか
市川くん御名穂くんは、君に充分な情報を知らせていたはずだよしかし君は自分たちの家のメンツに拘る余り大切なことを見逃していた
スピーカーの声が市川老人を責める
僕が大切なことを
市川老人は、ポカンと口を開けている
何が何だか判らないという表情だ
御名穂くん、説明してやりたまえ
はい、閣下
ミナホ姉さんが市川氏に振り向く
昨日のお電話でわたくしは、市川様にはっきりと申し上げたはずです白坂創介氏がわたくしたちを裏切りわたくしどもの顧客リストを暴力団関係者に渡そうとしていると
そ、それは、判っているだから、君たちは創介くんを捕らえて、抹殺しようとしているのだろう
市川氏は、ミナホ姉さんにそう答えるが
やっぱり何もお判りになっていませんね白坂創介氏が、裏切ったのはわたくしたち黒森の娼館に関わる人間だけではありません
ミナホ姉さんの言葉に、スピーカーの声が続いた
白坂創介という人間のしたことは黒森の娼館を利用したことのある全ての顧客に対する裏切りだそうは思わないかね
市川老人はガタガタと震えだした
黒森の娼館は戦後間もない頃に、御名穂くんの祖父によって設立された日本の政財界の重鎮とアメリカ軍の高級将校を対象とした、洗練された娼館だった館の女性たちは若く美しいだけでなく、深い教養と奥ゆかしい性格の持ち主ばかりだったし常に最高の料理と音楽が用意されていた
香月閣下は黒森楼の一番良い時代を知っているらしい
その頃からのお屋敷の顧客なんだ
敗戦期から高度経済成長時までの黒森楼は、日本を代表する人々の社交場でありあの屋敷に出入りすることは、ステイタスだった女を抱くことが目的ではないあそこに集う、一流の人間たちと交際するために黒森楼に通う者も多かったまだ若かった君も、正会員の誰かに連れて行って貰ったのだろう
市川老人は震えながら、答える
ははいわ、わたくしも、先々代の社長であった杉内様に二度ほど連れて行っていただきましたしかし娼婦とは関係しておりません
当たり前だ当時の君の給料では、黒森楼の女を買うことなどできはしなかったろうまた、ビジターの客は娼婦を買えないルールだったしなそれでも行っただけの価値はあったろう
は、はい確かに、多くの著名な方々とお話させていただきました
それがミナホ姉さんのお祖父さんが作った、そもそもの高級娼館黒森楼
ただ女を売るのではない高級娼婦たちの居る社交場
あの頃の黒森楼の常連だった人物は、ほとんど現役を引退しているすでに亡くなっている者も多いしかしその子供や孫は、親の事業を引継ぎ、政財界の中核に数多くいることは判っているだろう
スピーカーの声は、静かに語り続ける
かつての常連の名は、全て黒森の娼館の顧客リストに載っているそれも、写真付きでね黒森楼は、会員制の秘密クラブだったのだからねそんなリストが、白坂創介という小悪党の手で暴力団組織の手に落ちたらどうなると思うね
暴力団は、そのリストを元にかつての顧客の親族を恐喝する
自分の父親や祖父が、かつて娼館に通っていたということをネタに脅されるというのは、どうにも面白く無いだろうまた、私のようにかつての常連で、まだまだ現役にこだわり続けている者もいる困るのだよ今更、そんなリストが暴力団組織に流れるのは大変な迷惑だ
白坂創介の裏切りは
かつて黒森楼を訪れた全ての客に対しての裏切りなんだ
ミナホのお父さんと白坂創介がクーデターを起こして、お屋敷の実権を握った時それまでの顧客情報は全て、支配人の森下さんが持って逃げたんだ白坂たちは、森下さんを追放したということにしていたけれど実態は逆なんだよ
マルゴさんが、説明してくれる
ミナホがお屋敷の運営者になって、森下さんを呼び戻した時には、香月さんの指示で恭子さんが派遣されてきた後だし昔の顧客リストを白坂の手に渡さずに済んだんだよまあ、白坂創介は自分の変態的な性癖を満足させたいというだけのバカだったから、顧客リストの重要性には気付いていなかったんだろうけれど
だから暴力団に、お前のために新しい売春組織を作ってやるから、黒い森の顧客リストを持って来いと言われて、ホイホイ従ってしまったのか
顧客リストは、オーストラリアに逃げたミナホのお父さんが持っているという嘘の情報を信じてね
なるほどそういうことか
白坂創介という人間が、黒森の館を乗っ取った後はかつての高級娼館の面影は、完全になくなってしまった子供じみた下らない低俗なだけの売春組織に変貌してしまった私はね当時、大変失望したよ私は、昔の黒森楼の趣きのある世界を愛していたからね
閣下は語り続ける
しかしそれも時代の変化かもしれないと諦めたバブル経済の絶頂期で、日本中が浮かれていた時代だったからね私を含めた多くの常連が、それ以来、黒森の屋敷には足を踏み入れなくなった
白坂創介に乗っ取られた高級娼館黒森楼は少女を拉致、監禁、強姦して売春婦に堕とすだけの悪辣な犯罪組織黒い森になってしまう
しかし今から、十二年前だ私たちは、黒森の館の女から助けを求められたそうあの屋敷の中には、かつて私たちが贔屓にした娼婦たちが、まだ何人か残っていた私は、女たちから屋敷内の惨状を聞いてねこれは可哀想だ少しでも力になってやりたいと思ったのだよ
それはミナホ姉さんの妹さんが殺されたばかりの時期か
もちろん私たちの様な表の世界の人間には、娼館の運営などに携わることはできないしかし、少しでも黒森の屋敷に昔の光を取り戻してやりたくてね私は、ここに居る御名穂くんを抜擢し、白坂創介と対抗する運営者になってもらったのだよ
声の主閣下は話し続ける
御名穂くんは、私たちの期待に応えてくれた十二年という時間を掛けて破壊し尽くされていた黒森楼の雰囲気を、少しずつ昔の感じに取り戻す努力をしてくれた彼女が見出し、磨いた娼婦はみな、なかなかの逸材だった私は、彼女のこれまでの努力に深く感銘しているよ
ありがとうございます閣下
ミナホ姉さんは頭を下げる
それに比べて白坂創介という人間の今回の失態は、どういうことなのかね
も、申し訳ございません
白坂弁護士が、家を代表して閣下に謝罪する
こんなことなら、十二年前に徹底的に介入しておけば良かったと思うよ白坂創介の側には、亡くなった黒森さんの息子がぴったりとくっついていたからね黒森さんの息子に対して仏心を出したら、白坂創介を処分することができなかったその結果御名穂くんには、大変な苦労を掛けることになってしまった謝罪する
いいえ閣下当時のわたくしはまだ小娘でしたし閣下の派遣して下さって、恭子さんや古くからの黒森を知る森下の協力がなければ、父や白坂創介とは対抗できませんでした閣下のお力添えには、いつも感謝しております
ミナホ姉さんと閣下の結びつきに市川老人たちは、唖然としている
さて市川くん、今後のことなんだがね
閣下が、話し掛ける
は、はい何でございましょうか
市川老人は、すっかり怯えていた
かつての黒森楼の常連だった京極さんや大原くんそれに、神戸の五代くんなんかとも話し合ったんだがね
市川氏は名前を聞く度に、ブルッと震えた
オレには判らないけれどどの人も、日本の政財界の権力者たちなんだろう
私たちは御名穂くんの提案を全て飲むことにしたよ
ミナホ姉さんの提案
ミナホ姉さんはずっと、香月さんたち昔の顧客と交渉していたんだ
この十二時間はそのための時間
今日の午後三時に、オーストラリアで白坂創介が現地の警察に逮捕されたというニュースが各マスコミ機関に流れる
白坂創介がオーストラリアの警察に逮捕される
容疑は、オーストラリアでの連続少女強姦と未成年ポルノの製造、販売だ夕方、五時からの各局のニュースは、この白坂創介の逮捕だけを大々的に特集させる
これは作り話じゃないんだよ白坂創介は、実際に三年前にオーストラリアの高校生を三人レイプしているその時に撮った映像と仲間に売っていたそれを今回、オーストラリアの警察に告発するんだ
日本どころかよその国でそんなとんでもない性犯罪を犯していたことが、トップニュースで公表されたら
白坂創介の社会的な地位は、完全に失われる
いやその家族や、一族にも影響が及ぶだろう
その上白坂家は、有名な名家だから
た大変なことになる
白坂くんのところの新聞社とテレビ局は、どうするつもりかは知らないがね他の報道機関には、徹底してこのニュースを流すそういうことになっているこの命令は徹底しているもはや、覆すことはできない
閣下の声は、裁判官の下した判決の様に響いた
白坂くんは野球の球団も持っているし、新聞社のオーナーとして広く世間に知られているその甥で大手広告代理店に勤めるエリートサラリーマンが、国辱としか言えない犯罪を他国で犯して逮捕されたんだこれはもう、大変なスキャンダルになるだろう
オーストラリアで、連続少女強姦で、児童ポルノの製造・販売で捕まったら
そんなの日本の恥と言われても仕方ないよな
日本の国民全体が白坂創介を白い眼で見る
そして、その家族も
ま、待って下さいそれでは、白坂家が潰れてしまいます
白坂弁護士が、スピーカーからの声に嘆願する
白坂創介という害虫を身内に抱えながら、何の対応もできなかった君たちが悪い言っておくが、今回の事態に関しては、私は非常に怒っているんだよ私だけでない京極さんも大原くんも五代くんも昔の黒森楼に通っていた人間は、完全に腹を立てている白坂家には、当然、それなりのペナルティを支払ってもらうつもりだよ
閣下は、強い口調でそう言い切った
市川くん、君もだ
市川老人が、ガクガクと床に崩れ落ちた
引退したまえ娘の結婚相手がそれだけの罪を犯したんだ当然、君にも責任がある
おおおおおおッ
市川老人は、床に頭を抱えて大声を上げる
お父様、これはどういうことなんですっあたしは、どうなるんですか
ヒステリックに喚き散らす、マナの母親
もう、ダメだ閣下を怒らせて、生き延びた人間はいない
絶望の眼差しで娘を見る市川老人
お前も僕も終わりだ僕たちは、日本の恥の家族なんだからな
市川氏は会社の代表の座から退くことになるだろう
マナの母親ももう、料理評論家なんていう華やかな仕事はできない
これからは世間の眼から逃れるように、日の当たらない場所で生きていくしかない
私たちに対する裏切りへの報いだ仕方ないね
閣下の声が市川老人を突き放す
お、お願いですせめて、一族の者と相談する時間を下さい
白坂弁護士が、必死に頼み込むが
くどいね君も
閣下は、拒絶する
さっき市川くんが言っていたよね何でも、君たちはこの国のマスコミを牛耳っている存在で、表の世界にも裏の世界にも知り合いが多いのだろう私たちの決定に不服ならば、自分たちの力で何とかすればいいじゃないかまだ、白坂創介の逮捕のニュースが配信されるまで三時間以上あるぞ
そんな三時間程度では、何もできません
弁護士は、半泣きで訴える
その三時間があれば御名穂くんなら形勢を逆転してみせるだろうよそれが、君たちと彼女との違いだ
あたしたちがこんな売春婦よりも劣っているというのですか
マナの母親が絶叫する
君も彼女も同じように人間だ売春婦であったことが汚らわしいというのなら、夫以外の男性と不倫している君は汚らわくないのかね自分たちは他の人間とは違うという、君たちの驕った感性が白坂創介という悪党を野放しにしてきたのだよ
声の主はそう言った
ああミナホ姉さんは、白坂創介についての全ての資料を閣下に見せているんだ
マナの母親の不倫のことまで知っているんだから
この件について私たちが、白坂創介に下す処罰については以上だ
市川氏、マナの母親、白坂弁護士はただ呆然としている
あ、あたし、帰る場所がなくなっちゃった
その様子をモニターで観ていたマナがそっと言った
もう、家には帰れないううんあたしの家は、もうすぐなくなっちゃうパパのせいで
外国で連続レイプをしていた人の娘だなんてみんなに知られたらあたし、もう学校へも行かれないあたしどこにも、行かれない
ブルブルと震えるマナ
あたし、何もかもなくなっちゃったよ
マナが怯えている
えっ、何言ってるのそんなことないじゃんっ
寧さんが明るく、マナに言う
驚いた顔で寧さんを見る、マナ
マナちゃんには、ヨッちゃんがいるじゃんっ
マナちゃんが、ヨッちゃんの奴隷でいる限りマナちゃんは、あたしの妹だよっ
寧さんはニヒヒと微笑む
そうよあなたはもう吉田マナでしょ白坂舞夏じゃないんだから
メグもマナに笑ってそう言ってくれた
お父さんのことで後ろ指さされるのが嫌ならさ、吉田マナって名前で別の中学に潜り込めばいいんだよあたしが、先生に頼んであげようか
寧さんが、そう言ってくれるけれど
いえそれは、オレからミナホ姉さんに頼みます
オレの言葉に、寧さんがニコッと微笑んでくれた
そうだねヨッちゃんから、お願いするのが筋だよね
マナは驚いた顔で、オレたちを見ている
どうしてお兄ちゃんたちは、平然とそんなことが言えるの
マナはぶるぶると震えたまま
あたし帰る場所がなくなっちゃったんだよ
強く感情を放出するマナ
あうんと
ええっと何て言ってあげればいいんだろ
そんなのさあたしたち、みんなそうだからっ
寧さんがマナに微笑んで答えた
マナがその微笑にショックを受ける
マナちゃんには言ってなかったけれどあたし、アメリカで両親を殺されたのそのまま双子の弟と犯人に拉致されてね弟も殺されちゃったんだそれから、やっとその犯人から逃げ出したら、悪い女に奴隷として売り飛ばされてねそんで、先生に引き取られたのあたしもねマナちゃんと同じで、奴隷だった時期があるんだよっ
寧さんはニコニコして、そう言う
あたしはアメリカのインディアン居留地に産まれてね十二歳で男二人にレイプされたあたしを売ったのは、あたしの父親だよそして、あたしはその男たちを銃で射殺した一応、正当防衛っていうことになったからねその後は、施設に送られてでも、レイプされて人を殺したことのある女に友達なんかできるわけがないだろう荒れている時期に、ミナホと出会ったんだ
マルゴさんもマナに微笑む
だからあたしにも、帰る家は無いんだ
その次はメグ
あたしのことは知っているわよねあたしは、白坂さんに売春婦にさせられる寸前だったわもう白坂の家にも、山峰の家にも帰れない
メグも優しくマナに微笑む
ミナホと克子さんのことも知っているよね二人とも、白坂創介に売春婦にさせられて親の死に目にも会えなかったやっぱり、帰る場所が無いからここにいる
マナちゃんと、おんなじなんだよっ
マルゴさん寧さん
やっとあたしたちと同じなれたわね、マナ
同じなの、あたし
マナが呟く
そうよそして、あたしたちにはヨシくんがいてくれるわ
ここに居て、いいのだろうか
オレにはまだ帰れる家がある
あの電気を消したままのオレの寝床のソファが
本当に帰れる家を失ったみんなとは違う
吉田くんがマナちゃんを受け入れている限りあたしは、マナちゃも受け入れるよ
マルゴさんが言った
うんヨッちゃんがマナちゃんのことを可愛がっている限り、あたしもマナちゃんのことを可愛がってあげるっ
あたしは心の中ではもう、吉田恵美のつもりよだから、ヨシくんがマナを妹だと言うのなら、あたしも妹としてあなたを受け入れるわ
先生も克っつんも、同じ考えだと思うよ後は、マナちゃん次第だねっ
寧さんがそう、マナに告げる
あたし次第
ああ上の部屋へ、お母さんとお祖父さんのところへ帰ってもいいんだぞマナ
お兄ちゃんママとお祖父ちゃんが見ている前で、あたしを犯して下さい
あたしこの後、お祖父ちゃんたちの前で犯される予定だったんですよね
マナの問いに、マルゴさんは
あああたしたちの復讐計画では、そうなっていた
素直に、計画の存在を認める
あたしまだ、ママもお祖父ちゃんも知らないままだけどあたしは、もう何度もお兄ちゃんに犯されました
マナが、寂しそうに言う
ああオレは、昨日の処女レイプを含めて、一日で十二回もマナを犯している
お兄ちゃんに犯されたあたしを見てそれでも、ママやお祖父ちゃんがあたしを受け入れてくれるのならあたしは、白坂の家に戻ります
マナの顔は真剣だった
一生後ろ指をさされてもいいママとお祖父ちゃんと一緒に、頑張って生きていきますだけどもし
レイプされたあたしをママやお祖父ちゃんが、汚いものを見るような眼で見たのなら
マナの眼に涙が溜まる
あたしもう、一生、お兄ちゃんの奴隷でいい奴隷として生きていきます
うーむ、なかなか大変だ
ということで、次話はマナの公開レイプになります
141.マナの誕生
じゃあ、吉田くんは全部脱いで
マルゴさんに言われたままオレは学生服を脱ぐ
マナちゃんは、こっちに来てっ
全裸に首輪のままのマナは、寧さんに呼ばれて部屋の片隅のソファへ
うわん、何これっ
マナが、ソファに腰掛けるとビョンッと強く跳ね上がる
あ、気を付けて、これソファのスプリングが特別製で、ちょっと動いただけでビョンビョン跳ね上がる様にできているからっ
寧さんが、マナに注意した
どうして、そんな造りになっているんです
こんなにスプリングが過敏で強力だと、座りにくいじゃないか
これはセックス用のソファだからさ
マルゴさんが、フフッと笑った
ちょっと揺らすだけで、スプリングの力で上下に激しく動くからこの上でセックスするとちょっと面白いことになるんだよ
上から女の子の身体を突き込むと下からスプリングがビュンビュン跳ねるし男の身体の上に女の子を乗せてもソファの跳ね上がりでカエルが飛び上がるみたいに、女の子のお腹の中を突き上げることができるんだ
ヨシくんオチンチン、硬くなっているよ
さっき、克子姉に貰った精力剤が効いているようだ
オレのチンコはすでにビンビンに勃起していた
チンコの付け根あたりがジワッと熱い
メグが、舐めてあげるね
メグがオレのパンツを脱がせて、ペニスにしゃぶりつく
くちゅくちゅと亀頭を口に含んでくれた
赤い舌で、ぴちゃぴちゃと舐めてくれる
その間にマナはソファの上で、大きく開脚させられていた
これ克っつんが用意してくれた特製のローションなんだよっ
寧さんが、赤い液体の入ったボトルを取り出す
どうせならお祖父さんたちには、マナちゃんがたった今、バージンブレイクしたと思い込ませた方がいいでしょ
そう言ってマナのヴァギナにローションを注ぐ
ヴァギナから、とろりとした赤い液体が零れて
まるで、処女血の様だった
マルゴさんが、いつもの吉の字の入った黒マスクをオレに手渡してくれる
別に上の連中に顔を晒してすることでもないだろ君がマスクをしている方が、マナちゃんが一方的に犯されていることが強調できるしね
マスクの男に犯されている方が、マナの悲壮感が際立つ
オレは、ズズッとマスクを被る
メグありがとう行ってくるよ
オレは、フェラチオしてくれているメグに礼を言った
はい、あなたがんばってね
メグが、最後に亀頭にチュッとキスしてくれた
さて
これからマナの公開レイプが始まる
お兄ちゃんマナのこと、メチャメチャにしてね
マナが、ソファから立ち上がって、オレを迎える
マナの眼は、すでに涙が溜まっていた
遠慮しないでいいから
その小さな裸体を、オレは抱き締める
判ったマナもオレに最初に処女を犯された時を思い出して、力一杯叫ぶんだぞ
うんたった今、処女を犯されたつもりで泣き喚くね
オレはマナに変わって、ソファに座ってみる
なるほど、スプリングの反発力が半端じゃない
お兄ちゃん、どんな風に繋がりたい
マナは震えながら、セックスの体位をオレに尋ねた
これからオレたちの痴態を撮影するカメラはオレたちのソファの正面にある
オレとマナの繋がっているところが、カメラにはっきりと見えるようにしたい
うんマナはどうすればいいの
オレがこのソファの上に浅く座るからマナは、オレの膝の上に座る様にして、オレのチンコを受け入れるんだ
いわゆる座位の体位でオレは、マナを犯す
マナは、小さく返事をした
ソファに腰掛けたオレの前に背中を向けて立つ、マナ
緊張しているその背中を、オレは優しく撫でてやる
そのまま、ゆっくりお尻を突き出してマナの入り口に、オレのチンコを当てるんだ
オレは、そう指示した
恐る恐る、可愛いお尻をオレの硬く勃起したペニスに近づけるマナ
ちょっと待って
マルゴさんが、オレたちに声を掛ける
その角度だと、首輪の鎖がカメラの邪魔になるから
マルゴさんがカメラの画像を見て、マナの首輪の位置を調整する
今まではマナの身体の中心線を描く様に真っ直ぐ下に垂れていた鎖
確かにこれでは結合部がよく見えない
首輪の鎖は、右の肩から背中の方に流さすようにする
それならさ手はやっぱり、革手錠で縛っておいた方がレイプっぽいよっ
寧さんが、そう言って革の手錠を持って来た
後ろ手で縛ると、引っ繰り返った時に危ないから前で縛ろう
マナの手首を革の手錠で拘束する
ヨッちゃん気を付けてねスプリングの威力が凄いから、マナちゃんが前に倒れ込んだりしないようにね
はい、気を付けます
オレはマナの細い腰を後ろから掴む
マナの十四歳の背中がオレのすぐ眼の前にある
こうやって見るとまだ子供の身体だ
大人になりきっていない、女の子の柔らかいライン
オレは、その背中を舌でペロッと舐めた
きゃうんっ
マナが、ビクッと背中を反らす
マナのお尻も触る
緊張しているのか肌が冷たい
お尻の柔らかい感覚を楽しんでから再び、腰を両手でホールドする
何があってもこの手は外さない
さて用意はいいかい、二人とも
はい、オーケイですいいなマナ
はい、お兄ちゃん
オレはソファから少し腰を浮かせて亀頭をマナのヴァギナに当てる
オレの亀頭は先走りの液でマナの秘部はローションで濡れている
それぞれの肉体の体温をそれぞれが一番感じる場所で伝え合う
もっと、お尻を突き出していつでも、オレの上に体重を掛けられるようにスタンバイするんだ
マナが乾いた声で、そう答えた
いいかい上の階には吉田くんのペニスがマナちゃんの中に、挿入された瞬間から映像を流すからね
マルゴさんが、オレたちに言った
オレはマナの耳元に囁く
いいなマナ
マナの眼は、すっかり潤んでいる
マナは最初の涙を零した
ミナホ、余興の準備が出来たよ
マルゴさんが、壁のマイクで上の校長室に連絡する
オレたちのソファの正面カメラの後ろには、大きなモニターで上の部屋の様子が映し出されている
さて、市川さん現在の舞夏さんの様子をお見せしましょう
ミナホ姉さんが、ぐったりと落ち込んでいる市川老人に告げる
顔を上げる、市川氏
マナの母親と白坂弁護士もミナホ姉さんの方を見る
ええ舞夏さんの艶姿をお見せいたしますわ
その言葉と共に校長室のミナホ姉さんの後ろに、天井から白いスクリーンがツーッと下りてくる
プロジェクターでこれから、あそこにオレたちの痴態が投影されるのだろう
マナが犯される姿を祖父と母親は観ることになる
スタンバイ
マルゴさんの言葉にオレはペニスの先に全てを集中させる
オレの亀頭の先は、すでにローションで濡れたヴァギナとキスしている
クチュクチュと水音を立てている
これが、現在の白坂舞夏さんです
ミナホ姉さんの後ろのスクリーンに
今、正に犯されようとしている全裸のマナの姿が
はっきりと、投影された
アクションッッ
マルゴさんの合図とともに
ンンンッ
ペニスをマナの中に潜り込ませるッッ
絶叫するマナ
マナの腰を掴んだ手を、力任せに一気に下に下ろすっ
マナの中学2年生の身体は軽い
体勢を崩したマナはオレの上に座り込むように、乗っかってくるッッ
グリュグリュッとオレの剛勃起したペニスが、マナの胎内をえぐり込んで侵入していくぅッ
ああああっイイイイ、痛ァいッッ
スクリーンの中に、大きく眼と口を開けて絶叫するマナの顔が映っている
ま、舞夏ぁぁっ
市川老人の叫び
きゃあああっっ
マナの母親は、スクリーン内の陰惨な光景に絶叫する
入ってくるぅぅお腹の中にぃぃぃ
熱い涙をポロポロと流しながらマナが苦しみに呻く
ほらっもっとだ根元まで、ネジ込んでやるからなっ
オレは、マナの腰をググッと下に引き下げる
下から上に腰を突き上げる
マナは足を大きく開脚させて完全にオレに体重を委ねた
ああマナの柔らかい尻の重みを、オレは膝で感じた
マナと繋がっている
オレのペニスは、マナの子宮口に達している
根元まで、まだ小さくて狭い膣穴にギッチリとハマっている
結合しているその場所をカメラに向かって、はっきりと晒した
ま、舞夏ぁぁッッ
正面のモニターで市川老人が、絶句している
ややややめなさいっ何てことをするのぉぉぉっ
マナの母親は犯される娘の映像を観て、半狂乱になっていた
交渉が決裂すればこうなることは判っていましたよね
ミナホ姉さんが冷たく、市川老人に言った
君たちは、舞夏の無事は保証する言っていたはずだ
そんな市川氏をミナホ姉さんは、侮蔑の眼で嘲笑う
ちゃんと生きているじゃないですか
殺しはしませんでしたわ
き、貴様ぁぁ
殺さなかっただけ、感謝していただきたいですわねわたくしたちは、犯罪組織ですのよ
市川氏はミナホ姉さんの冷たい眼に、ゾッとする
さあ舞夏さんお祖父様とお母様の前で、犯されなさい
ミナホ姉さんの言葉にオレは、ゆっくりとピストンを開始する
普通の状態の様に、下から腰を突き上げるのではない
ソファに腰を鎮めてスプリングの反動を利用して、跳ね上がる
ギュッと腰を下ろしてビヨーンッ
あ、ああああっ
男に無理矢理開かれた膣道を亀頭がムニムニと擦りあげていくっ
肉体の最奥をドスンと突かれる
いやぁぁいやぁぁ犯さないでぇぇ
マナが叫ぶ
半分は演技で
半分は本気で
祖父と母親の前でオレの陵辱に耐える
いゃゃあんこんなのこんなの、嫌よおぉぉあああんっ
オレが、マナの腰を両手で固定しているから
マナは、オレから逃げられない
ソファのスプリングが弓で、オレのペニスが矢だ
マナの子宮口が、的となって
何度も、何度も硬い男の性器を撃ち込まれていく
痛ぁぁいっっ助けてぇぇ、お祖父ちゃんママぁぁ
カメラに向かって、涙を流しながら絶叫するマナ
オレは、マナの小さな肉体を責めていく
マナの全身から苦痛の汗がじんわりと溢れてくる
た、助けて、助けてこんなの嫌だよおっお祖父ちぁゃん
痛いのぉぉぉアソコが痛いよおっ犯されてるあたし、犯されちゃってるよおぉぉ
照明のライトに照らされてテラテラ光る赤いローションは市川氏たちには、破瓜の血の輝きにしか見えないだろう
お、おい、今すぐに、止めさせろ
市川老人が、ミナホ姉さんを怒鳴りつける
今すぐにだ舞夏を解放するんだッッ
こんな状態でもなお、市川氏は命令口調のままだった
あら何故です
ミナホ姉さんは、妖しく微笑む
何故だと
はいだって、あなた方のせいでこうなったんじゃありませんか
ぼ、僕は
全身を怒りで激しく震わせながら市川氏は、ミナホ姉さんを睨んでいる
さっき、閣下がおっしゃっていた通りですよ市川様には、想像力とインスピレーションが足りてらっしゃらないようですね
ハッとする市川老人
孫娘を預けたままわたくしたちを怒らせたら、こうなるのは当然じゃありませんか
ミナホ姉さんは、そう言って冷たく笑う
その背後に立っている、克子姉も
市川老人を嘲笑する
ああああ、舞夏、舞夏どうしてこんなことに
マナの母親は、おろおろとして泣くだけだった
お父様お父様が、いけないんですわっ
自分の父親を責めるマナの母
あああ舞夏が舞夏が、こんな酷いことに
マナの母親は、パニックに陥っている
ななんてこった
白坂弁護士も、ただ呆然としてマナのレイプシーンを見つめているだけだった
別室で行われている凄惨な少女のレイプ
市川と白坂の大人たちは、ただスクリーンを見るだけでどうすることもできない
絶対に貴様らを許さない全員、皆殺しにしてやるからな
そう憎しみの言葉を吐く市川氏に
ミナホ姉さんは、穏やかに言った
わたくしたちも、そう思ったんですよ
市川老人の眼が、カッと見開かれる
白坂創介という男に犯されて全てを奪われてわたくしたちも、そう思いました絶対に復讐してやるって
ミナホ姉さんの眼は市川氏の何百倍も、憎しみに燃えていた
どうですこれが、白坂創介のやって来たことですあなたたちが、平然と見逃してきたことです
だが市川老人は
貴様たちの復讐のためにそんなことのために、舞夏を犯しているというのかっ舞夏はまだ、十四歳だぞッ
わたくしも妹も十二歳で犯されました十二歳で、売春婦にさせられたんですわ
しかし舞夏は、僕の孫なんだぞ
その言葉にオレは、力強くマナの中に突き込むッツ
痛ぁいいいいっっ
ハッとして、マナの画面を見る市川氏
そんな市川氏にミナホ姉さんは憎しみの思いを叩き付ける
わたくしたちも人間ですわたくしたちにも、親がいます
あたしにも母親がいました母親から無理矢理引き離されて、拉致され、犯され家には戻して貰えなかった
たくさんの女性が白坂創介という男によって、地獄に堕とされたんです
しかし市川老人は
そ、それが何だって言うんだ貴様たちと一緒にするなッ舞夏は、僕の大事な孫娘なんだぞ貴様らみたいな卑しい女とは、違うんだッ
その祖父の言葉に
犯されている、マナが
キレた
お祖父ちゃんのバカァそんなことを言ったら、誰もあたしのことを助けてくれるわけがないじゃないッ
幼いヴァギナを、オレのペニスでえぐられて
怒りと哀しみと屈辱の涙を流しながら
マナが、カメラに向かって絶叫する
どうして、何が何でも、あたしを助けようとしてくれなかったのよッ土下座でも何でもして、あたしを助けることを一番に考えてくれても良かったじゃないッッ
全裸に首輪手を手錠で縛られて、男に犯されながら孫娘が祖父を責めるッ
ぼ、僕は、こいつらがここまで非道な連中だとは思わなかったんだ
その祖父の言い訳がマナの怒りに油を注ぐ
この人たちは、本物の犯罪集団なんだよっパパのことを、心底憎んでいるんだよこんな人たちに捕まったら、あたしが何をされるかなんて、簡単に想像できるじゃないのッッお祖父ちゃんのバカぁッッ
マナは眼から、ぶわわわっと激しく涙を零した
昨日、オレにレイプされてから溜め込んできた怒りと憎しみを一気に祖父にぶつける
ま、舞夏僕は、ただ
お祖父ちゃんや白坂の家を恐れて、この人たちがあたしに手を出さないって信じていたのバカじゃないの、お祖父ちゃんこの人たちは、命懸けであたしたちに復讐しているんだよそんなことも、判らないの
マナの膣がオレのペニスをキュウキュウ締め上げていく
ま、舞夏僕はただ
そ、そうよ、舞夏お祖父様は、あなたの安全を第一に考えて
孫の叱責に力を失っていく父親を見てマナの母親がそんなことを言い出す
みんな大ッ嫌いパパも、ママも、お祖父ちゃんもみんなみんな、大ッ嫌いよっ
マナが絶叫する
絶叫しながら、自分で腰を動かす
オレとのセックスに逃げ込もうと
そうだオレたちの肉体は繋がっている
肌と肌粘膜と粘膜で
肉親との血の繋がりよりも濃く性器と性器で繋がっている
パパが、この人たちの人生を狂わせてしまったからお祖父ちゃんやママが、パパを止めてくれなかったからあたしの人生も、この人たちに狂わせられたのよっ
オレの眼の前でマナの尻の筋肉がキュッと収縮する
オレのペニスを締め上げる
パパなんて、死んじゃえばいいのよっ殺されちゃえばいいんだっ
そのマナの言葉に
マナの母親が叫ぶ
舞夏親に向かって、何てことを言うの
絶叫した
ふざけないでよぉっッッ
憎しみの眼を母親に向ける
娘をこんな目に遭わせて、何が親よ大嫌い、大嫌い、大嫌いみんな、大嫌いだぁぁ
ぷるぷると、頭を左右に振るマナ
こんなのいやぁぁ
マナの哀しみの絶叫がオレの心を突き刺す
オレのマナ
オレは、動きを止め後ろからマナの身体を、優しくギュッと抱き締める
マナつらいなら、もう止めような
そっとマナの耳に囁いた
マナが、首を振ってオレを見る
オレはジッとマナの眼を見つめた
マナ、大丈夫かもういいもう、止そうな
オレの言葉に、マナは
大丈夫じゃないわよっ大丈夫なわけないじゃない
またポロポロと熱い涙を零す
再び、キッとカメラを向いて
ママあたし、今、レイプされているんだよっ犯されちゃっているんだよっ処女を強引に奪われてメチャクチャにされちゃっているんだよもう、ヴァージンには戻れないんだよ
必死に母親に訴えるが
マナの母親には、届かない
マナの母親は、眼を閉じ耳を手で塞いでいた
わたしは知りません、わたしは知りませんこんなことこんなことみんな夢よ悪夢なのよ
自分に都合の悪いことは決して認めないというのか
マナが哀しみに耐える
何でよどうして肉親よりも、あたしをレイプしている人の方が優しいのよこんなのおかしいよ嫌だよあたし
マナ続けるぞ
マナはボロボロに泣きながら、答えた
一気に、射精まで行くからな
どうぞお兄ちゃんの好きにして下さい
心の中にあるものを全部吐き出せ思っていることを全部叫んじまえ
怒りも憎しみも悲しみも全部、思いっきり吐き出せあの人たちの前に、叩き付けてやるんだ
うん、判った判ったよ、お兄ちゃん
スプリングの効果を最大限に利用して
激しく猛スピードで
マナの身体を陵辱する
十四歳の肉体を犯す、犯す、犯す
いやぁぁ、痛い、痛いのおっ
マナは、叫んだ力一杯
助けてぇぇぇ嫌よ、こんなの嫌あああ
心の中の全てを晒して
犯さないであたしの身体から出ていって
胸の中の苦しみを一気に吐き出す
怖いよおっつらいの痛いのぉぉぉこんなの嫌ぁぁ
マナが、絶叫する
マナはもう、助けて、お祖父ちゃんとか助けてママとは言わない
ただレイプされる苦痛を、思いっきり吐き出す
肉体の痛みと
精神の苦しみを
何一つ隠さずに叫び続ける
ま、舞夏ぁぁ
市川老人は、呆然として孫のレイプ場面を見つめている
母親は、眼と耳を閉じたまま
白坂弁護士も、もはや顔を背けている
それほどマナのレイプは凄惨な物に見えたんだろう
そんな彼らを見守るミナホ姉さんと克子姉
二人の娼婦たちは、顔に冷たい微笑を浮かべていたが
その眼は、泣いていた
今、オレに犯されているマナは過去の自分だ
過去の自分と向き合っているんだ
ま、マナイクぞ、射精するぞ
それでも最後の時が来る
マナの胎内に、オレの精が吐き出される完全に少女の肉体が汚される、その瞬間を祖父たちに見せつける時が
い、嫌よっ嫌よぉぉ出さないでぇぇあたし、妊娠したくないぃぃっ
マナが、叫ぶ
それは、昨日マナが初めて、子宮でオレの精を受けた時に言ったのと同じ言葉だった
おい、頼むやめさせてくれ舞夏を孫を助けてくれぇぇ
市川老人がミナホ姉さんと克子姉に土下座する
何でもするどんなことでもする舞夏のことを助けてくれぇぇぇ
床に額をぐりぐりと擦り付けて市川氏は懇願した
もう遅いですわ
ミナホ姉さんは、侮蔑を込めて言った
なぜ、最初からそうなさらなかったんです
市川氏の顔が絶望に黒く染まる
ああああっ、イクっイクぞっ
ああああっ、出、出るぅぅっっっ
灼熱の迸りが、マナの子宮に飛び込むッ
きゃああああああっっ
胎内に男の精を受けてマナの幼い身体が弓なりに反り返るッッ
熱いぃぃぃ入って来るぅぅッ入って来ちゃってるよおぅ
マナが身体の中に拡がっていく白濁液の感覚を言葉にする
と、届いてるぅぅあたしの中ぁぁっ犯されちゃってるぅぅ
男にトドメを刺されてしまった十四歳の肉体が小刻みに、震えている
あああ、舞夏
市川老人は、ボロボロと涙を零した
お父様舞夏は、どうしたんですどうなって、しまったんです
必死に目を閉じているマナの母親が父に尋ねる
お、男に射精されてしまった舞夏はもうダメだ
市川老人は、脱力している
ウッウウウーッウウーッ
オレは、最後の一滴までマナの中にどっぷりと注ぎ込んだ
それからカメラによく見えるようにマナの足を拡げて
オレのペニスを引き抜く
舞夏の小さなヴァギナからオレの白い精液がたらたらと滴り落ちる
ああ、これは酷い
白坂弁護士が、小さく呟いた
首を横に大きく振る
まるでマナが瀕死の重傷で、もう助からないとでも言うかのように
あたし、もうダメなんだ
マナが、小さな声で言った
マナは、レイプシーンの全てを祖父たちに見られた
ねえ、お祖父ちゃん、あたしはもうダメなの
股間から精液を零しながら叫ぶ孫娘に市川老人は
そ、そんなことはないぞど、どんな身体になっても、ま、舞夏は僕の孫だお、お祖父ちゃんは、お前を絶対に見捨てないぞ
その祖父の様子に、マナは
どんな身体になってもって、どういう意味
祖父は口籠もる
あたし、生きているよっ全身、ちゃんとしているっただ、犯されちゃっただけだよっまだ、何も失っていないよ
市川老人は全裸で拘束されて股間から男の精液を垂らす孫の姿を、もう見つめることができない
ギュッと眼を閉じて叫ぶ
ああキズモノになっても舞夏お前は、僕の孫だ
その言葉に全てを捨てた
家も、名前も、過去も、自分自身さえ
もういいさようなら、お祖父ちゃんママ
全裸でオレに後ろから抱かれたままマナは言った
市川老人にはマナの心は判らない
お兄ちゃん、あたしはキズモノなの
いいやお前は、オレの宝だ
オレはマナの下腹部のタトゥに手を当てる
マナもそのオレの手に、自分の手を重ねる
そうだよねあたしは、お兄ちゃんの宝だものねあの人、何を言ってるのかしら
マナは、自分の祖父をあの人と呼んだ
そんなマナに市川老人が言う
一緒に帰ろう舞夏お前の面倒は、一生、お祖父ちゃんが見てやるキズモノになっても、舞夏は舞夏だお前の進学も、就職も、結婚もみんなお祖父ちゃんが助けてやる助けてやるから
マナは、キッと祖父を睨み付ける
結構ですあたしは白坂舞夏は、もう死んだものと思って下さいあたしは、この人たちの味方になります
おい舞夏、何を言い出すんだ
お祖父ちゃんあなたは、あたしのことを汚れた物みたいに見ているわさっきまで、弓槻さんや克子さんをそういう眼で見ていたように
マナが怒りの眼で、祖父を見ている
それならあなたたちは、あたしの敵よ
おい、舞夏落ちつくんだ僕は、ただね
うるさい、うるさい、うるさいッッ
最後に一つだけ教えてあげるわパパはオーストラリアのゴールドコーストっていうところに居るらしいわ後、三時間以内にパパを見つけることねオーストラリアの警察からパパの身柄を奪還すれば、お祖父ちゃんたちも破滅しないで済むのかもねっ
マナはそうカメラに向かって叫んだ
もういいでしょうカメラを切って下さい
オレはマルゴさんに言う
このままじゃマナが、可哀想だ
画面の中で、ミナホ姉さんが頷く
マルゴさんがカメラを止めた
撮影中の赤いライトが消える
マナ、もう平気だから
オレは、マナをギュッと抱き締める
お兄ちゃんあたし、一生、お兄ちゃんの奴隷になるからね
マナは、興奮したままそう言った
もういいのあたしマナの身体も未来も、みんなお兄ちゃんにあげるマナのこと、メチャクチャにしていいからね
マナの頬を軽く、パチンと叩いた
マナがハッとして、オレの顔を見る
そんな偉そうな奴隷があるか
オレは、そうマナを叱る
そしてマナは、激しい恐怖に襲われる
ごめんなさい、お兄ちゃんマナが悪かったです捨てないでマナのことを、捨てないで良い子になりますおにいちゃんの奴隷になるからマナを捨てないで
マナにはもう、オレしか居ない
マナは、家族を捨ててしまったのだから
ああマナが良い子なら、絶対に捨てたりはしないずっと、ずっと、可愛がってやるからな
緊張と恐怖で、すっかり血の気が引いて冷たくなったマナの肌をオレは、優しく撫でてやる
マナの眼にまた、涙の粒が溜まっていく
マナ命令だ
潤んだ瞳がオレを見つめる
このまま抱いていてやるからオレの胸で、思いっきり泣け
泣きたいんだろ、マナ
ギュッと抱き締めているマナの身体
ずっと緊張に固く強ばっていた小さな肉体が
スーッと脱力していく
オレは、ここに居てやるからずっと、マナと居てやるから
お、お兄ちゃぁぁん
マナの眼から一気に涙が噴き上がる
あたしあたしあああああああーっああああああーっ
オレの胸に顔を埋めてマナは絶叫しながら、涙を流す
オレは、そんなマナを力一杯抱き締めた
ということで、マナ編はこれでひとまず終わりです
長かったですね紆余曲折して、真・奴隷少女となりました
さて、次話では残務処理をして余裕があれば、次の場面に行きます
遠藤の試合ですね雪乃編に入るところまでいければいいのですが
さてでは、働いてきます
142.叱るということ
オレは泣きじゃくる裸のマナを抱き締めている
わあああああっうあああああんっ
ついにマナは全てを失った
家も家族も友人も
白坂舞夏にはもう、戻れないんだ
昨日から、こうして何度マナを慰めたろう
その度ごとにマナは、オレを心の中で裏切ってきた
内心では、オレたちから逃げることばかり考えていてずっと、偽りの演技をしていた
オレやメグがマナを甘やかしたことに、いい気になりミナホ姉さんや、珠代さんたちに馴れ馴れしく、失礼な態度を取ってきた
だけど今のマナはもう、オレを裏切ることはできない
マナにはもうオレしか残っていないのだ
さあ上の部屋は、そろそろお開きの時間だね
マルゴさんが、モニター画面を見てそう言う
壁際の大きなモニター画面には上の校長室の様子が、映し出されていた
閣下、いかがでしたか
ミナホ姉さんが、静かに言う
うむなかなか見応えのあるショウだったね余興にするには、少しもったいないくらいだ
スピーカーからの声がそう言った
マナの悲しみの決別をショウと
今のが、例の男かね
オレのことか
はいそうでございます
ミナホ姉さんは、答える
なるほど、確かに面白そうな男だねしかし
閣下はオレとみすずのことをどう思っているんだろう
しかしと言うからにはやはり、反対なのだろうな
オレは、ただの庶民で
いや庶民よりももっと低い立場だ
オレは、両親に捨てられた子供なんだから
そして犯罪組織黒い森に属している
香月家の一員である、みすずとは絶対に釣り合わない
何よりオレには、複数の女がいる
香月閣下でなくてもこんな男に、自分の孫娘を托すのは嫌だろう
その上みすずには、閣下の決めた婚約者がいる
オレはみすずが好きだ
みすずを、手放すつもりはない
閣下そのお話は、また別の機会に致しましょう
うむ確かに、これは人に聞かせる話ではないな
その部屋にはまだ、市川老人や白坂家の弁護士が居る
そいつらに、聞かせるべき話ではない
まだ、この勝負は決していないのだから
実際に、白坂創介のオーストラリアでの犯罪がニュースとして流れるまでは
そして、白坂創介本人の身柄を帰国させ復讐を遂げるまでは
黒い森と白坂家の闘いは、終わらない
今はまだ、ただの通過点でしかない
明日の夜の紺碧流の家元の踊りの会には、君たちも来るのだろう
閣下の声が、そう言った
はい伺わせていただきます
もちろん、私も行くつもりだ御名穂くん詳しい話は、その時にしようか
国立劇場で
オレとみすずの今後について、話し合う
ミナホ姉さんは、声の主に頭を下げる
さて市川くん
閣下が市川老人に声を掛ける
はっはい
マナに絶縁を宣言されて呆然としていた市川氏が、ハッとなって姿勢を正す
この後、君はどうするかね
市川老人は一気に十年も年を取ったような顔をしていた
全て、閣下のご指示に従います
断腸の思いで市川氏は、平伏する
良い判断だねでは、五時のニュースに合わせて、記者会見の準備をしなさい
記者会見ですか
声の流れてくるスピーカーをハッと見上げる市川氏
そうだ君は、白坂創介の悪行は何も知らなかった知らなかったがこんな事態になってしまった以上、義理の父としての責任を取り、君の会社の代表の座から下りるそういう会見だよ引退会見だ
香月閣下の言葉に市川氏は、震える
そうせねば、なりませんか
そうすれば、君が受けるダメージは最小限で済む自ら腹を切って見せれば世間もマスコミも、必要以上に君を責めることは無いだろうなあに、君もそろそろ引退すべき時期だった良い頃合いだったと思うのだね
みすずのお祖父さんはこういう人なんだ
市川老人や白坂家なんかよりも遥かに高いところに居る
日本でも有数の実力者なんだ
娘さんもそうしなさい記者会見に出て、評論家としての全ての仕事を自粛すると言うんだねしばらくは、謹慎だほとぼりが冷めれば、また料理評論家としての仕事もできるようになるかもしれない運が良ければね
お父様
マナの母親が、市川氏を見る
香月様の言う通りにするんだ僕たちには、それしか道は無い
マナの母親は、泣き出す
マナのことよりも自分の仕事を失うことの方が、悲しいのかよ
さて白坂弁護士市川くんたちは、私の言う通りにするそうだが白坂家はどうするだろうね
閣下は矛先を、白坂弁護士に向ける
あの私では、どのようなことも返答する立場にはございません一度、家に持ち帰り当主である守次様にご相談致しませんと
君個人の意見で構わない守次くんは、納得すると思うかね
いいえ守次様は、この様な事態はご納得いただけないと思います
そうだろうね彼はなかなか頑固な人間だからね意固地と言ってもいい
閣下は、白坂家当主、白坂守次をその様に評した
しかし、先程、話したとおり夕方三時には、白坂創介のニュースは各マスコミに伝わり五時のニュースでは、トップ項目で報道されることになっている白坂家の関わる新聞社とテレビ局以外はねこれから、君たちも他の新聞社やテレビ局に、ニュースを流さないように要請するのだろうがこの決定は、決して覆らないよ
そうか夕方三時のマスコミへの連絡と五時のテレビニュース
その時間まで白坂家は、まだ工作を続ける余地がある
これはメディアを牛耳る一族である白坂家のスキャンダルだからねマスコミ他社の人間には、白坂家の支配を嫌う者は多い徹底的に叩いてくるだろうよまた、そういう風に私がさせるのだがね
お、お待ち下さい守次様から、香月様にご連絡していただく様に致しますので是非とも、守次様とお話し合い下さいますよう
白坂弁護士の言葉を閣下は、途中で遮る
なぜ、私が新聞屋風情の親玉と話し合わないといけないのかね
香月氏にとって白坂家や、白坂家の支配する新聞社は大した意味は無いんだ
しかしこれでは、白坂の家が潰れてしまいます
潰れても仕方がないだろうね他のマスコミが全て報道するニュースを、白坂家の支配下の会社だけが流さなかったとしたらメディアの私物化だそれも、自分の身内の恥だから、報道しなかったということになれば潰れても仕方が無いだろう
香月様は、白坂家の新聞社やテレビ局が無くなっても良いとおっしゃるのですか
弁護士は、それでも食い下がる
潰れるのは、白坂家だけだよ白坂家は、新聞社やテレビ局を経営することで利益を得てきたのであり白坂家のおかげで、新聞社やテレビ局が栄えてきたわけではない白坂家が潰れたからといって、新聞社やテレビ局が無くなることはありえんよ何なら、良い譲渡先を紹介しようか
閣下は白坂家から、新聞社やテレビ局を奪い取るつもりなんだ
私は、日本の新聞社やテレビ局は、少し数を減らした方が良いと思っているああ、白坂くんの持っているプロ野球チームは別だよ
閣下は言った
もっとも白坂くんが、自分の球団の利益を優先する様な動きをしすぎたから、日本のプロ野球人気は衰退したんだと、私は思っているそろそろ退場するべきたね白坂守次という人間は企業経営者としても球団オーナーとしても
それは白坂家に対しての宣戦布告だった
さあゲームを始めようプレイ・ボールだ君たちの支配する報道機関だけがオーストラリアでの白坂創介の逮捕は誤報だ、誤認逮捕だと言い張ればいいしかし市川くんは、こちらに付いたぞ白坂創介の妻と義理の父親が、記者会見で罪を認めてしまってもなお君たちだけは、否定し続けるのかね面白いね守次氏がどう動くか楽しみだよどうせなら、徹底して私と対決して貰いたいそういうゲームは、ここしばらくしていないからね
閣下の言葉に白坂弁護士は、呆然としている
まもなく、正午だそろそろ行きたまえこれから始まるのは、二枚舌、抜け駆け、裏切り、見殺し、何でもありの残虐なゲームだ白坂守次くんが、私と同じくらいこのゲームを楽しんでくれると嬉しいんだがね
スピーカーから流れる閣下の声が、クククと笑う
市川くんもまあ、これから君にも白坂くんからの懐柔の電話があるだろうが別に私を裏切っても構わないんだよそれ相応の報復を覚悟するのならね
め、滅相もございません僕は香月様のお言葉にただ従うだけです守次くんからの電話には、一切出ません娘にも徹底させます
本当に、そうだと有り難いんだがねまあ、期待しているよ
市川氏は、床に額を擦り付ける
ではこれで解散だ御名穂くんいいね
はいいろいろとお骨折り下さり、ありがとうございます閣下
ミナホ姉さんも、声の主に頭を下げる
君はこの十二年間私に対し誠実であり、有能な人間であることを証明し続けた私は、君の才覚を高く評価しているんだよところで
どうしても、娼館は閉鎖するつもりかね
それがわたくしの夢でございますから
残念だね私は君なら、昔の黒森楼を再建できると思っているんだが
わたくしには、そんな力はございません
まあ、いいその話も、明日しよう君と君の組織の未来についての相談だ
香月氏はミナホ姉さんに、娼館を続けさせたいんだ
そしてオレたち黒い森の未来についても、介入するつもりだ
では諸君楽しい午後を過ごしてくれたまえ
そして閣下の声は途切れた
ミナホ姉さんが口を開く
克子市川様たちがお帰りよ下までお見送りして差し上げて
克子姉がそう答えた
下の監視室でオレたちは、その様子を観ていた
どうなっちゃうんでしょうねオレたち
オレがポツリとそう言うと
そんなの今、考えてもしょうがないじゃんか気にしないのっ
と寧さんは、言った
でも気になるじゃないですか
だけどあたしたちにできることなんて、何もないでしょ先生に任せるしかないよあたしたちのリーダーなんだからさ
それは判っていますけれど
こういう時は、先生が余計な心配をしなくていいように、あたしたちはニコニコしていればいいのよあたしたちには、そんなことしかできないんだからさ
寧さんは、そう言ってニッコリ微笑んでくれた
そうだ寧さんの言うとおり
ここまで来たらオレたちにどうこうできるレベルの話ではない
オレができることはミナホ姉さんを心配させないように
ほら、マナそろそろ落ち着いたか
オレは、ずっと抱き締めていたままのマナに声を掛ける
う、うんお兄ちゃん
マナは、まだグズっていたがさっきよりは、落ち着いていた
そこの奥の部屋がお風呂場だからさヨッちゃんとマナちゃんは、お風呂に入って来なよ
本当にこの監視室は、いつでも立て籠もることができる様に造られているんだ
もうすぐ克っつんも、戻って来ると思うからさそしたら、マナちゃんは、あたしと一緒に克っつんがお昼ご飯作るのをお手伝いしようねっ
寧さんは本当に優しい
マナは、そう返事をした
マナ、先にお風呂に行ってお湯を入れておいてくれ
オレはマナに命じる
マナは奴隷らしく、オレに答えた
あ、あたしが案内するね
寧さんが、マナに付いて行ってくれた
オレはパンツとズボンだけを身につけると、マルゴさんのところへ行く
マルゴさんは、すでにコンピューターで何かの調査を開始していた
何あたしに話があるの
あのどうして、マナのお祖父さんたちは、あんな酷い有様だったのかマルゴさんの意見が聞きたくて
ミナホ姉さんに、裏社会の協力者のルートをことごとく断ち切られ
ほとんど丸腰の状態だったのに、ずっと上から目線での立場を崩さないで
四千万円という、口約束のお金をちらつかせればこちらが折れると思っていた
何よりマナの安全について、完全に無頓着だった
あんな人が大きな会社のトップだなんて
そういう立場のある人ならもっと慎重でしっかりとしているものだと思っていたけれど
市川氏もね、良い家のお坊ちゃんなんだよ元から
お父さんの興した広告会社に入社して、三十代に入った途端に会社の役員だよ文字通りのエリート人生だったってわけ
エリートだといけないんですか
エリートだからどうだってことはないんだけどあんまり、人から叱られないまま大人になっちゃった人なんだろうね
人から叱られる
これは、あたしが居た施設の牧師さんが言っていたんだけどね人は、大人になると他人から叱ってもらえなくなるんだそうだよだから、子供の時に愛情をもって自分を叱ってくれた人の言葉は大切にしないといけないしその経験は、絶対に忘れちゃいけないって
愛情をもって、叱ってもらえなくなる
怒られるというのと叱られるは違う判るよね
あはい怒られるは、相手が頭にきてガーッて感情的に怒鳴られるって感じで叱られるは、向こうがこっちのことを考えてくれていて、物事を教え諭すように話してくれるって感じですよね
オレはそんな風に思うんだけど
まあそうだねあたしが小さい頃にさインディアン居留地で、夜、大人たちが集まってお酒を飲んでたりするでしょそうすると、必ずその場にいない人の悪口が始まるわけあいつはダメだとかあいつは仕事が判ってないとかねどういう時のどういう行動が悪いのかみんな細かく、的確に話すんだよあたしはそれを横で聞いていて、どうして本人に直接言わないのか、ずっと不思議だったんだ
言わないんですか
うんとケンカになって、ガッと文句を言うっていうのはあるけれどちょっと呼び止めてお前は、こういうところが悪いから直した方がいいっていうのは、まず無いね
どうしてなんです
悪いところがあって気になるのなら本人に教えてあげればいいのに
それはねそういうのが、大人の社会だからさ
マルゴさんは、ニコッと笑った
人を叱るってことはさよっぽど相手に愛情や仲間意識がない限り、絶対にしないのが大人の世界なんだよ余計なことを言って、相手に根に持たれても困るしねそういう面倒なことに一々首を突っ込むのはバカなんだよ無用なトラブルを招き込むだけだからねだからこの人のこういうところは嫌だな直した方がいいって思っても、みんな本人には黙っている直接の上司とか、その人の行動で直接被害を受けることが限り本人には言わないで、ガマンするんだよそして、酒の席でこそこそと陰口を言う
そういうものなんだ
市川さんは、その会社のトップの人間の息子として入社してまだ若い内に役員になって社長でしょ市川さんを叱ってくれる大人なんて、実の親ぐらいしかいなかったんじゃないかな
それでどうして、さっきみたいなことになるんです
市川さんが、昨日、マナちゃんを人質に取られて、白坂創介があたしたちに拘束されていることを知ってから何から何まで、全部一人で考えて行動したと思う
えっと、判りません
市川さんは、色んな人に相談しているよ会社の部下とか、自分の弁護士とか、いつも頼っている暴力団関係者の偉い人とかねあたしは、いつ誰と連絡を取ったかだいたい把握しているよ
でもそういう人たちは、市川さんに対して親身になって話を聞いてあげたりはしないわけあくまでもビジネス上の付き合いでしかないんだからさ事態をどうするかってことでなく何て言えば、市川さんの機嫌が良くなるかを考えて、発言するそれで、迷走していくんだ
誰一人、お孫さんを助けることが最優先だから、何もかも投げ出して、下手に出て行動しましょうとは言わなかったんだろうね市川さんがあたしたちを売春婦の集まりとしか思っていなくて、そういう連中に好きにやられていることに腹を立てているからあんな連中は、大したことありませんちょっと、脅してやればいいんですとか、言い出すそれが、一人や二人じゃなければ市川さんも、段々そういうものかと思い込んでしまうだろう
それであんな、無防備な状態で偉そうにしてやって来たのか
マナちゃんのことだって最初は、とても心配だったとしても、周りの人間から彼らが人質に手出しをするはずがないとか彼らは市川さんの力を恐れているはずだとか言われているうちに、心配しないでも大丈夫だろうと思い込むまあ、ミナホの作戦もあるんだけど
昨日マナちゃんに市川さんに電話させたのはホテルで晩ご飯を食べて、少しリラックスさせた時を狙ったよねあの時のマナちゃんの声が明るかったから市川さんは、マナちゃんのことはそう心配しなくてもいいと間違った判断をしたんだよ
でも結局は、周りの人だよね市川さんの機嫌を伺うことしか言わないで、市川さんを怒らせてでも厳しい状況判断を進言してくれる人がいなかったってことさ
そういうことですか
うんそれでも、きちんと誰かから叱られた経験のある人なら、こんなことにはならないんだいつも、心の中に、自分を叱ってくれた人がいるからこんな時、あの人なら自分にどう言ってくれるだろうって、自問自答するだから、甘ったれた判断は決してしない市川さんには、そういう心の中の誰かが居ないんだろうねつまり誰かに愛情をもって叱られた経験が無いんだよ
マルゴさんの心の中の人って誰ですか
マルゴさんはニコッと笑った
あたしの場合は施設の牧師さんと、恭子さんあと、ミナホと克子さんだね
そんなに
うんあたしも、昔はちょっと意固地な娘だったからみんなによく叱られたよ今では、感謝している何か困ったことがあった時には、いつも思うんだこんな時に、牧師さんならどう言ってくれるだろう恭子さんならミナホならって自分にとって厳しい選択をしなくてはいけないこともあるよでも勇気を持って、苦難に飛び込めるあたしの中のその人たちが、あたしの勇気を後押ししてくれるから
恥ずかしそうに、マルゴさんは微笑む
心の中で意見が対立することは無いんですか
オレは、ちょっと疑問に思って尋ねてみた
そりゃあるさ牧師さんは常識的な人だったし、恭子さんは裏社会の人間あの人なら、この状況で何て言ってくれるだろうって考えたら、全然正反対の意見になったりすることはよくあるよそんな時は、自分でベストだと思った行動を選択するまあ、たいていは心の中の牧師さんにごめんなさいって言うことになるんだけどあたしは、犯罪組織の女だから
倫理的にいけないことを選択せざる得ない
でも大切なのは、心の中にそういう誰かがいるってことなんだいつでも相談ができる自分を甘やかさないで、厳しく接してくれる信用できる誰かがね
そういう誰かがいるのだろうか
ちょっと、判らない
お湯が溜まりましたお兄ちゃん
マナがやって来る
ああ、今行くよマルゴさん、色々、教えて下さって、ありがとうございます
オレは、お礼を言った
別に構わないよほら、マナちゃんが待っているよ
オレは風呂場に向かう
風呂場に向かうとあれ、マナだけでなくメグもいる
メグも、すでに裸になっていた
寧さんは
寧さんは、お台所へ行ったわお昼の用意をするって
それは聞いてたけど
何で、メグも脱いでここにいるの
これから、ヨシくんのことあたしたち姉妹が綺麗にしてあげるねっ
メグがそう言って、オレのズボンに手を掛ける
ちょっと、メグ
マナと二人だけでお風呂なんて、許せないんだから
メグはそう言って、嫉妬心から風呂場に乱入したように言うけれど
本当は、マナのことが心配なんだな
あやっぱり
メグは、パンツの下で半分勃っているオレのチンポを見て、そう言った
マナこっちに来て見てごらんなさい
風呂の湯加減を見ていたマナがパタパタとやって来る
やっぱりちょっと、元気が無い
克子さんの精力剤って強そうだったから一回、マナに射精したくらいじゃ、ヨシくん満足できないでしょ
メグがエッチな顔で、オレに微笑む
メグとマナどっちとする
今、出さない方がいいんじゃないかな今日は、この後も、いっぱいしないといけないような気がするし
気がするじゃないな
ほぼ、確実に
これから、みすずがやって来るんだし
みすずが来たら、セックスするのは当然だろうし
メグは今、欲しい
マナは、どう
マナはさっきの祖父と母の前での公開セックスを思い出したのだろう
ちょっと暗い顔になる
あらそうじゃあ、メグがもらっちゃうわ
メグはオレのパンツを引き下ろし
オレの勃起ペニスを、口に含む
ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ
ほらマナったら、さっきエッチしてもらった後に、お掃除してあげてないでしょヨシくんのオチンチンの中に、精液が残ったままになってるわよ
メグは、そう言ってオレの亀頭をチュウチュウ吸って、尿道の中の精液を吸い出してくれる
はい綺麗になりました
メグが、うふっと微笑む
マナ、あなたがお仕事しないなら、あたしが全部もらっちゃうわよ
オレのペニスを愛撫したままメグが、マナに言う
戸惑っているマナ
あなたはヨシくんの何なの
オレに可愛いおっぱいを擦り付けながらメグが、マナに問う
あたしはお兄ちゃんの奴隷です
それなら、奴隷の仕事をしなさい奴隷にさえなれないような役立たずな子なら、あたしが叩き出すわそんなの、ヨシくんの迷惑でしかないもの
本当に、マナの姉になるつもりなんだ
マナのことについて愛情をもって、叱ってあげるつもりなんだ
マナがメグに言った
そうよあたしはマナのお姉ちゃんよマナがちゃんと奴隷の仕事ができない間は、お姉ちゃんも一緒にヨシくんの奴隷になるわマナを助けてあげるつもりはないわよマナがもたもたしていたら、奴隷の仕事は全部、お姉ちゃんがしてしまいますからね役立たずは、ここから追い出されるそれくらいは、判っているでしょ
そうだ市川氏との交渉の前に、下の部屋に居た全員がマナに言った
オレとの関係がある限りマナが黒い森に居ることを認めると
それに、メグが今さらなる条件を加えている
オレにとって役に立たない人間ならマナをここから、追い出すと
マナに人に甘えるのではなく、自ら進んで行動することを求めている
何だマナ
マナがお兄ちゃんの足を洗ってあげるね
足
うんマナ、足を洗ってあげたいの
マナがオレを風呂場の椅子に座らせる
オレの前に跪いて
お湯をオレの足に掛け石けんでシャボンを作り
両手でオレの足を洗っていく
足の指の間を丁寧に
ど、どうかな
マナが上目遣いで、オレを見る
昨日最初にマナをレイプした後に
オレが風呂場でマナにしてやったことだ
お兄ちゃん、あたしね
マナが言った
あたし自分が何をしたら、お兄ちゃんに喜んでもらえるか判らないから
小さな細い指がオレの足の指を丹念に洗っていく
自分がお兄ちゃんにしてもらって、嬉しかったことをするね
マナはバカだからこんなことからしか始められないけれどそれで、いいのかな
マナが潤んだ眼で、オレを見上げる
ああ、オレも嬉しいよマナ
それを見てメグもオレの前に跪く
マナそれだけじゃダメなのよ
メグは、オレのマナが洗っているのとは逆の足に手を伸ばす
あたしたちはヨシくんの奴隷なんだから自分が嬉しかったことから先のことを考えないともっともっと、ヨシくんが悦んでくれることは何だろうって
メグはそう言ってオレの足の指を舐めた
指の間にちろちろと舌を這わす
ヨシくん、気持ちいい
ああ、気持ちいいよ
マナは、ハッとして洗っていたオレの足にお湯を掛けて石けんを流すと自分も足の指に舌を這わせた
一生懸命オレの足の指をしゃぶっていく、マナ
うん二人とも次は、オレがお前たちの足の指を舐めてやるからな
オレは嬉しくて、そう言った
ま、マナはいいです
そう言って首を振るマナに、メグは
ヨシくんがしたいって言っているのよどんなことも、ヨシくんの好きなようにしてもらうのが奴隷でしょ
とマナを叱る
ははい判りました後で、マナの足をいっぱい、ペロペロして下さいお兄ちゃん
マナは少しずつ、妹奴隷として学び始めている
メグが、そんなマナを温かい眼で見つめている
こんな優しい姉がいるのだ
マナはきっといい子になるだろう
オレはそう、確信する
香月閣下は、善人ではありません
物わかりの良い人ですが、自分が俗物だと判っている俗物です
対処するのが、いろいろと大変な人ですね
前話で積み残した分を終わらせましたので、次話からは本当に野球編に行きます
マナがお休みで、雪乃とみすずが登場します
143.次の指令
メグとマナと三人で風呂から上がる
何だかんだあったけれど三人で、洗いっこしているうちにマナも少しは明るい顔を取り戻してきた
オレは結局風呂場では、セックスも射精もしなかった
マナもメグも、少しだけ舐めてくれたけれどオレは、この可愛い姉妹と風呂に入っているだけで満足だった
本当にいいのヨシくんのまだ元気だよ
また後でいいよもうすぐ、みすずも来るし
そろそろ、克子姉に電話があるはずだ
そうねみすずさんに悪いものね
え、どうしてメグ
昨日の夕方からずっとあたしとマナで、ヨシくんを独占しているなあって思ったから
みすずと分かれた後メグの家で一回したしその後は、珠代さんのラブホテルで合計十二回か
克子姉と渚さんとのセックスが一回ずつ入ってるけど後はずっと、マナとメグだもんな
うんこれは、みすずさんに
そう言って、メグはオレのペニスにキスしてくれた
ああたしもします
マナも、亀頭にチュッと唇を当てる
可愛いぞ、マナ
オレは、マナの頬を撫でる
マナはまだ奴隷であることに慣れていない
可愛いと言われて、ちょっと戸惑った顔をしている
オレたちは三人で、お互いの身体をバスタオルで拭き合って
オレとメグは、元の制服姿に戻れば良い
ここには、下着の替えも持って来ているし
高い下着は、また今度にするね
そう言ってメグは、さっきまで着ていた一万二千円の身体測定用の下着を仕舞う
ここには、洗濯する場所はあるのかしら
さあ後で、克子姉に聞いてみようよ
おそらく、しばらくはこの秘密の監視室に閉じ籠もって生活することになるだろう
白坂家が、もしまだ反撃してくるとするならメグもマナも、ここに隠れて生活した方がいい
それに寧さんを狙っているという、シザーリオ・ヴァイオラのことも気になる
はい、ヨシくんお願い
振り向くとメグが、家から持って来た普段用のブラとパンティを持って立っていた
オレは、まずパンティから履かせてやる
二人で居る時のメグの下着の脱着はオレの仕事ということになっている
ブラジャーも付けてやる
何か女の子の乳首が隠れてしまうのは、惜しいような気もする
でも、メグはモデル体型でプロポーションがいいから、下着を付けると身体のラインが一層際立つ
本当に綺麗だ
はいヨシくんのは、あたしが履かせてあげるね
メグにパンツを履かせてもらった
ヨシくんがお爺さんになっても、一生してあげるわね
メグが笑って、オレを見上げる
じゃあオレも一生するよ
メグは、微笑んでいる
オレはズボンを履いて
マナをどうしよう
マナは、バスタオルを纏ったまま
うつむいている
やっぱりまだ、気持ちの切り替えができていないんだな
ガチャリとドアを開けて寧さんが入って来た
あのさ、マナちゃんの服なんだけどね
寧さんは、段ボールの箱を抱えていた
えマナに服を着せてもいいんですか
昨日の躾のなってない態度に対する罰でマナは朝から全裸に首輪のままの状態だった
そして、珠代さんにもミナホ姉さんたちにも、全裸で土下座をさせられた
先生がねこれからどうするかは、ヨッちゃんが決めなさいって
寧さんがそう言う
うんマナはオレの奴隷なんだからこれからは、オレが全てを考えてやらないといけないよな
マナのことは何でも、オレが責任を持たないといけない
なら服を着せます
このままじゃ、風邪をひきますから
寧さんは、ニコッと微笑む
ヨッちゃんがそう言うと思ってね幾つか、着れそうな服を持って来たんだよ
さすが、寧さん
ヨッちゃん、どれがいい
寧さんは、段ボール箱を開けるが
ああん
えっとねえこれが、ロリ・レースクイーンの衣装ねこっちが、ロリ・バニーガールで、これがロリ・スクール水着に猫耳どれにする
黒い森は、売春組織で昔は、マナみたいな小さな女の子もいたんだろうから
ここに、ストックされている服となるとこんなのだろうなあ
普通の服は無いんですよね
というか、何でロリが付くんですか
だって、そういうエッチ目的のための衣装なんだもん
スクール水着は、エッチ目的用じゃないでしょう
だって、スクール水着の色が白だよ水に濡れると透け透けになる素材の
それはエッチだ
もう少し、布地が多いものは無いのか
せめてロリ・メイド服とか、ロリ・ナース服とか、ロリ・巫女衣装とかないんですか
無いよんっ
寧さんは、楽しそうに笑っている
じゃあ、バニーで
スクール水着じゃ、ド変態過ぎるし
レースクイーンの格好でうろつかれるのは、何か落ち着かない
んふふふふっそうだろうと思ったよんっ
ヨッちゃんマナちゃんには、バニーちゃんの服が似合うと思っているでしょ
そうなんでしょ
寧さんが、ニタァと笑う
メグとマナが、ジトっとオレを見る
思っています
うん、素直でよろしいっ
マナが驚く
お兄ちゃんマナのバニーガール姿が見たいの
バニーガールって、寧さんや克子さんみたいなグラマーな人が着た方がいいんじゃないの
マナの言うことは、もっともなのだが
マナみたいな成長期の肉体というのもそれはそれで、アリだと思う
オレは、別にロリコンじゃないけれど多分
マナは眼が大きくて、大人っぽい顔立ちをしているからバニーガールの格好は、きっとセクシーだろうなって思ったんだよ
オレの言葉に、大きく眼を見開く
判ったお兄ちゃんが気に入ってくれるのなら
マナは、バスタオルを外して裸で寧さんの方へ歩み寄る
寧さんはマナのお腹を見て言った
うんさっき、あたしが書いた正の字ちゃんと消えてるねっ
そう言えばトランプの勝負で、そんな罰ゲームをやっていたんだっけ
せっかく、あたしが効果的に書いておいたのにマナちゃんのお祖父さんは、全然気付いてくれないんだもんっ
え寧さん
ほら、よく集団レイプされちゃった女の子が、犯された回数を落書きされたりするでしょあれをイメージしてみたんだけど
寧さんそれはエロマンガの世界だけです
って、もしかして
ちゃんとヨッちゃんがマナちゃんとエッチした回数に合わせておいたのにさ
え十二回
マナの身体の落書きって正正Tだった
あれってトランプの勝敗で、書き込んでたんですよね
寧さんも負けて脱衣してたし
それでもちょうど良い時間に合わせて、マナを十二回きっかり負けさせた
だって、ポーカーだよ勝ち負けなんて、幾らでもコントロールできるじゃん
あ、そっか普通の人は、できないんだっけ
まさかエスパー
ほら、あたしさ昔、アメリカのカジノで、散々イカサマの片棒をさせられてたからさミスター・ヴァイオラに
寧さんはケロリとそう言った
寧さんの過去って
しっかしあたしの正の字もタトゥの宝の字も、全然眼に入ってないんだからマナちゃんのお祖父ちゃんは、本当にマナちゃんのことを見ていなかったんだね
寧さんは、また元の話に戻す
カジノの話は、もうしたくないみたいだった
結局心配しているフリだけで、あたしのことなんて考えてくれてなかったんですよ
マナが言う
マナ前に学校で転んで、膝に大きな絆創膏を貼って家に帰ったことがあるんです膝が痛くて、真っ直ぐに歩くと痛むくらいだったんですけれどママは気付いてくれなくて三日ぐらい経った後に、言うんですあら、その足どうしたのって
三日後でも、気付いてくれるならいいじゃないか
オレの母親なら、まず気付かない
気付いても、何も言わない
お祖父ちゃんもいつ会っても大きくなったなあとしか言ってくれないんです三日前に会ったばかりの時も、そう言いましたというか三日前に、あたしに会ったことも覚えていてくれないんです
オレは中学の男子校の寮から、夏休みに初めて家に帰った時に、どうして、ここに居るのって、母親にこっぴどく怒られたなあ
この家は、お前のものじゃないんだから、帰ってくる前にあたしの許可を取るのが筋だろうこの恩知らずって、怒鳴られたっけ
母親と真っ正面を向いて、話をしたのはあれが多分、最後だな
あれ以降は、同じ家に居ても親父を経由でしか話していなかったから直接、話し掛けるのは禁止だったもんな
今思うとお祖父ちゃんも、ママも、ちゃんとあたしの顔を見て、お話を聞いてくれたことなんて無かったと思います
どんな家族でも、そんなものよなかなか、ちゃんと相手の顔を見て喋っていることなんて無いもの
メグがそう言った
有名な写真家の先生がエッセイで書いていたわだから、家族の写真を撮っておきなさいどうせ、忘れちゃうんだからって
そうだね、メグちゃんあたしも、ずっと一緒に生活していると、段々、マルちゃんや克っつんの顔をちゃんと見ないで話しているような気がするよちょっと、それ取ってとかうん、ありがとうとか会話しているけれどちゃんと、顔を見ていないかも
寧さんがそう言った
だからヨッちゃんは偉いんだね
うんヨシくんて、絶対に相手の眼を見て話をしてくれますものね
ヨッちゃん、いっつも真剣に話を聞いてくれるし
自分では、あんまり自覚がない
ほらオレ、あんまり頭が良くないから必死で話を聞かないと、みんなの本当の気持ちが判らないから
ミナホ姉さんも、克子姉も、渚も、マルゴさんも、寧さんも、みすずも、メグも、マナもその時、口に出している言葉と本当の気持ちが違っていたりするから
オレみたいなバカは必死で食らいついていかないと、本当の姿が理解できない
普通はさみんな、そういうところをナアナアにして生活しているんだよ判ったフリをして適当に人間関係を保っているんだよ
でもオレ、そういうの苦手ですから
うんヨシくんて不器用だよね
だけど、そういうところが可愛いんだよね絶対にナアナアにしないで、いつも一生懸命、判ってくれようとしてくれるから自分なりに理解できるまでは、ジッと相手の顔を見ているもんね
すみません、自分ではあんまり気付いていませんでしたそんなジロジロ見ていたら、嫌ですよね今度から気を付けます
オレは、寧さんたちに頭を下げる
嫌じゃないから、続けて
そうだよヨッちゃんに、一生懸命な眼で見つめられるとね、ドキドキするんだよ
あたしもいつも、ドキドキしているの
そうだねお兄ちゃんは、いつもジッと見ているよねどんな時でも
マナも、そう言ってくれた
最初はそれが怖かったんだけど今は判るお兄ちゃんは、昨日からずっと、マナがどんな子なのか一生懸命理解してくれようとし続けてくれたってこと
ありがとうお兄ちゃん
小さなバニーガールを連れて、みんなで監視室に戻る
思った通りだマナのバニーちゃんは、格段に可愛い
ウサギの耳が何ともいえない
まだ十四歳で成長途中だけどマナの身体は、将来凄くなる予感があちこちに見える
今はまだぷくっとした胸もお尻も、これから膨らんでいく予兆が見えているし
長い足に細い腕背もまだまだ伸びていくだろう
バニーガールの衣装は、さっきまでの全裸よりもマナの肉体の素晴らしさを際立たせていた
相変わらず首輪と鎖付きだけど
あら可愛いウサギちゃんね
ミナホ姉さんが、紅茶を飲んでいた
あれ他の人は
克子はお昼の準備マルゴは、みすずさんを迎えに行ったわ
ミナホ姉さんが答えた
マルゴさんが迎えに
あれお迎えは、克子姉の予定だったんじゃ
色々と物騒な状況になってきたでしょだから、マルゴに行って貰ったの
午後三時のマスコミへの伝達と、午後五時からのテレビニュースが終わるまではねそれに
シザーリオ・ヴァイオラの暗躍もある
まあみすずさんには、香月家の護衛がすでに付いていると思うけれどこちらも、礼儀として、一番の警護役を迎えに行かせるべきだから
香月家の警護が付いている
香月さんは今日、みすずがこっちに来ることとか、今までのこととか全部知っているんですか
ご存じでしょうね
知ってて今日も、みすずを
みすずがオレとセックスする仲だと知っているのなら
今日だって、セックスするんだろうし
香月様はね吉田くんとみすずさんがセックスすることには反対ではないのよ子供さえ作らなければね
香月様はご自分でも、何人もの愛人を持っていらっしゃったしセックスに関しては、寛容なお方なの孫娘の処女性にこだわるようなお方ではないわみすずさんも、セックスを存分に楽しむべきだと考えていらっしゃるの
いやでも
あの雰囲気はオレとみすずの付き合いに反対しているみたいだったけれど
あくまでも、吉田くんがみすずさんの愛人ということならね香月様は、みすずさんには予定通り、ご自分の選んだ婚約者と結婚させたいと思っていらっしゃるのよ婚約者と結婚して、子供さえ産んでくれれば後は、吉田くんとずっと愛人関係を続けても構わないと思っていらっしゃるわ
そ、そんな
でもあなたとみすずさんは、そういうのは嫌なんでしょみすずさんは、もうあなた以外の男の人とセックスしたくないみたいだしあなたの子供を産みたいと思っているそこまで本気になられると、香月様としては困るということなんでしょう
みすずが愛の無い結婚をして
オレではない男の子供を産むのは嫌だ
オレ、どうしたらいいんでしょうか
ミナホ姉さんは、答えた
それはみすずさんと相談しなさい大丈夫よ明日の夜までに考えればいいことなんだから
明日の夜
みすずの日本舞踊の発表会まで
さて、今日、これからのことなんだけど
ミナホ姉さんは黒い森のリーダーとしての顔で、オレに言う
吉田くんと恵美は、遠藤くんの練習試合を観に行きなさい
何でオレが、あんなやつの試合を応援に行かないと
雪乃ですね
そうかミナホ姉さんは、雪乃に遠藤の試合を観に行くように指示していた
吉田くんさっきの騒ぎの後、市川さんと白坂瑤子さんは雪乃さんに何かしら連絡していると思う
普通ならこういう展開になって、マナが捕まっているんだから
雪乃にも気を付けろと、電話の一本もするよな
ていうかどこに居るのか確認して、連れて帰るよな
せっかく、雪乃の学校まで来ているんだし
お二人ともご自分たちのことで手一杯みたいね雪乃さんの電話が使用された形跡は無いし雪乃さんは、ちゃんと校内に残っているしね
ミナホ姉さんが、監視モニターを操作する
教室でアンニュイな顔をして、落ち込んでいる雪乃の姿が映る
祖父と母親に存在を忘れ去られている
白坂弁護士の車は、新聞社へ向かっているわ電話じゃ白坂守次氏に状況の説明をするのは無理でしょうから直接会って、話をするつもりでしょうね
弁護士が話をした上でそれでも、白坂家がこちらへの攻撃を止めないようなら
ミナホ姉さんは、言った
白坂雪乃を拉致します
それが次の指令
吉田くんは、メグと一緒にフェンスの外から試合を観ていて欲しいのこの間、みすずさんと野球部の練習を見ていた辺りがいいわ
この間ってオレがみすずと野球部員の前でキスした時か
えでも、あそこは学校の敷地の外ですよ
だから、いいのよあそこなら、学校の違うみすずさんが一緒でも、問題無いでしょ
確かにみすずが、一緒に観戦するとしたら、あの場所がベストだけど
学校外ということは危険なんじゃないのか
恵美とみすずさんの安全は、あなたが確保しなさい
黒い森での、あなたの役割は判っているわよね
オレの役割はいつも同じ
囮になることだ
判りました二人は、オレが守ります
オレは、腹を括ってそう答えた
では、恵美とそろそろ行きなさいお昼は、みすずさんと一緒に後で届けるわ
マナちゃんは、あたしと克っつんのお手伝いをしようねだから、ヨッちゃんは心配しなくても大丈夫だよっ
寧さんがそう言ってくれた
可愛いバニーガールは、心配そうな顔をしていた
もう、そんな顔をしてたらダメだよっだから、マナちゃんは奴隷からやり直すことになっちゃったんだよ
寧さんの言葉に、マナが驚く
どんな時でも笑顔でいるの特に、家族や仲間にはね
寧さんが、お手本とばかりにニコッと微笑む
でも、あたしそんなに上手に笑えません
マナが、寧さんに言う
それでも笑うの人はね笑いたくて笑っている時よりも、誰かに笑顔を見せるために笑っている時の方が遥かに多いんだよ笑顔は、コミュニケーションなんだよ野生の動物は、笑わないでしょ笑うっていう機能は、人間が自分で身につけたことなんだよ
寧さんは、自分の顔を指で触りながら言った
知っている人間の顔にある、表情を作るための筋肉って十本ぐらいしか無いんだよそれだけの筋肉を駆使して、人間は色んな表情を作っているんだよマルちゃんの話だと、表情を作るということは、言葉以前の最初のコミュニケーション手段で人間の最初の文化なんだってさ
表情は自然な感情から、勝手に表れてくるものだけではない
人間が自分で誰かに示すものなんだ
作るもので、見せるもので伝えるものなんだ
誰だって、明るくニコニコして見送られたいでしょだから、奴隷のマナちゃんは、ヨッちゃんにニコニコしてお見送りするところから始めましょうっ
自分の心に嘘を付いてでもですか
マナが、真剣な顔で寧さんに尋ねる
そうだよ最初はそれでいいと思うそのうちに判ってくるから笑顔の力がさ
寧さんは、いつもニコニコしている
いやニコニコ、オレたちに微笑んでくれている
どんな時でも
さ一緒にやってみようっニッとして
寧さんとマナが、ニッと唇を動かす
うん良い感じ、良い感じ
いや変な笑い顔だけど眼が泣きそうだし
でもこれを機に、マナが他人の気持ちを考えて、コミュニケーションすることに気付いてくれれば
マナみんなに迷惑を掛けるんじゃないぞ
強ばった笑顔のままマナが答えた
寧さんマナのことをよろしくお願いします
まっかせといてーっ
寧さんの笑顔は、いつもの様に晴れやかだった
メグと手を繋いで校長室を出る
オレは学生服の袖に、ブン殴り棒を仕込んでいく
オレには、他に武器は無い
とにかく雪乃を連れていきましょう
まずは、教室へ
部活のある生徒以外は、もうすでに帰宅している
教室には雪乃しかいなかった
メグが声を掛けた途端に、机に突っ伏していた雪乃がビクッとする
雪乃、お前
今自分の股間を触っていただろう
マナの報告の通り雪乃はすっかりオナニーっ娘になってしまったらしい
ギョッとした顔で、雪乃がオレたちを見る
そんな睨んでもダメだよ
さっきまで、同じ校舎の別の部屋の中で
祖父や実母が泣き喚いていたり
妹が公開セックスさせられてたりしたってのに
雪乃は誰もいない教室で、一人寂しくオナニーなのか
何か、ちょっと悲しくなってくる
弓槻先生から伝言よあたしたちと一緒に練習試合の観戦に行くようにって
メグが雪乃に告げる
雪乃はメグを睨んでいる
メグも負けずに睨み返す
判っているわ言う通りにすれば、いいんでしょう卑怯者
雪乃が、机から立ち上がる
ちょっと、カチンときた
雪乃に命令して、オナニーの途中でグショグショになったパンティでも見せて貰おうかと思ったけれど
まだ、ここでは何もするべきではないな
そんなに雪乃がオナニーばっかりしているってことは
雪乃は今、相当、欲求不満になっているということだから
さあ早く行きましょ
雪乃を見ているオレの手を、恵美が引っ張る
雪乃も、ついてきなさいね
恵美は、ジロッと雪乃を見た
うんこっちの方がいい作戦だ
メグ腕を組もう
メグがオレに嬉しそうに微笑む
うんっヨシくん
オレとメグは腕を組んで、ベッタベタにイチャイチャしながら廊下を歩く
オレの肘が、時々、メグのおっぱいに当たる
うふふ、ヨシくん、もっと触っていいよ
メグはオレたちの後ろを付いてくる雪乃に、見せつけるように言った
あたしの身体は、みんなヨシくんのものだものいつでも可愛がってね
背後から雪乃の視線を感じる
強い欲望の視線を
階段の途中でメグが潤んだ眼で言った
ここでキスして
オレはメグにキスをする
舌と舌を絡め合う濃厚なキスを
オレの舌を吸いながらメグがちらりと雪乃の方を見る
また、自分の股間に手を当てていた
処女レイプからの連日の陵辱が
すっかり、雪乃を淫乱化させているんだ
性の快感にすっかり、溺れてしまっている
雪乃にはあげないわよあたしの旦那様なんだから
勝ち誇った眼でメグは、雪乃を見る
べ、別にいらないわよそんなの
雪乃は、力なく言った
だけどその眼は、ギラギラしている
母親の違う同い年の姉妹
お互いにコンプレックスを抱き合う二人が
熱い嫉妬の視線をぶつけ合う
学生時代に、奥さんの居る男性と付き合っている女の子の知り合いがいて、
奥さんがいるとしてもあの人にはあたしがいないとダメなのよと、言ってました
その後なぜか私は、その男性の奥さんと会う機会があり
ああ、こういう奥さんだから旦那さんは、安心して外に愛人を作るんだと思いました
嫉妬している時の女の子の、エッチの激しさは普段の数倍だそうです
ずるい男は、二人の女を嫉妬させてそれで、自分から離れないように縛っていくみたいですね
私には、まず体験できない世界ですが
さて、そろそろ働いてきます
144.プレイボール
どこに行くのよ
雪乃が後ろから、オレに尋ねた
決まっているでしょ野球部のグラウンドよ
オレより先にメグが答える
メグは、オレと腕を組んで、ぴったりと身体をくっつけている
道が違うじゃない
そう学校の敷地内で、練習試合を観戦するのならこの道ではない
学校の外から試合を観るのよ金網の外からね
メグが、後ろから付いてくる雪乃にそう言った
どうしてよ
雪乃は警戒している
学校の敷地内からでも、試合は観られる
というかほとんど全員そっちに居るだろう
わざわざ遠回りして学校の外に出て、金網フェンスの向こうへ行くのは手間だし
そっちは、普段から人通りが少ないし
知らないわそこに居ろというのが、弓槻先生の命令だから
メグは、雪乃に振り返ってそう言った
これまでずっと雪乃に怯えて生きてきた、メグ
それが今では、メグの方が雪乃よりも強い立場にいる
しかしメグの中の雪乃へのコンプレックスは、まだ強く残っている
メグは、オレの腕にギュッと力を込めてしがみついている
こんな状況になっていることに戸惑っているんだ
オレはメグに声を掛ける
大丈夫だから
メグはうんと小さく頷いた
オレたちは、裏口から校外へ出てぐるっと、敷地に沿って、外の道を廻り込む
やがて野球部のグラウンドが見えてきた
一塁側が学校内で三塁側が校外だ
グラウンドの外は、金網フェンスの先がすり鉢状の勾配になっていてその一番上が自動車の通れる幅の道になっている
一塁側にはすでに多くの生徒が集まっていた
今日、練習試合に来た相手は、近くの高校でもそこそこ名が知られている野球の名門校だ
ちょっと試合を観てみようという生徒が多いのだろう
生徒だけでなく、先生たちも結構、集まっている
あゲロッパ校長まで
相変わらず、マラドーナによく似ているな
雪乃、何でお前、そんなところにいるんだよっ
グラウンドからユニホーム姿の遠藤が怒鳴っている
もうすぐ試合開始だってのにそんなことしてていいのか、お前
つーか、何でお前、そいつらと一緒なんだよっ
遠藤は、雪乃がオレたちと一緒な様子を見て、不審に感じたらしい
関係無いわ、こんな人たちたまたまよ
雪乃も遠藤に怒鳴り返す
全然、恋人同士の会話とは思えない
お互いに、怒号をぶつけ合っているだけだ
ならいいけどよっ何だって、そっちに居るんだよっ
金網フェンスの外側にいる雪乃に怒鳴る、遠藤
どこから見たって、あたしの勝手でしょ
グラウンド内の運動に怒鳴り返す、雪乃
はたから見たら終わってるよな、このカップル
バッカじゃねえのか、お前
遠藤が雪乃に叫ぶ
しかし遠藤は、でっかい絆創膏で鼻が隠れているまんまだし、相変わらず腰が痛そうな変な歩き方をしている
こんな酷い有様なのにやっぱり、試合に出るんだろうか
いや試合用の学校名の刺繍の入ったレギュラーのユニホームを着ているしな
うん出るんだろうな
すげえな本当に、野球部の監督を買収してるんだ
そっちは三塁側で敵側なんだよっお前、そんなことも知らねえのかよっ
知らないわよっ野球なんて興味ないんだからっ
遠藤はぷりぷり怒っているが、金網フェンスの向こうだし、こっちの方が高い位置にいるから
グラウンドの中で、馬鹿が一人で喚いているだけにしか見えない
まあ、こっちで怒鳴っている雪乃も相当、変なんだけど
一塁側のたくさんの生徒や先生たちに比べて三塁側のフェンスの外は、オレたち三人きりしかいないし
おい、遠藤もうすぐ試合開始だぞ、早くこっちへ来い
三年の野球部の先輩が見かねて、遠藤を呼ぶ
うんもう、練習試合の相手の高校の人たちも試合の準備をしているし
校長とか、他の生徒も見ているし
ホント遠藤って、人の眼とか気にならないんだな
ある意味、凄いと思う
今行きまッすしょうがねえな雪乃ぉもう、そこでいいから、しっかりオレを応援してろよっ
遠藤は雪乃にそう叫んで一塁側の自分のチームのベンチの方へ、走っていく
はあオレたちとかうちのチームとかじゃないんだ
遠藤の野球は、個人競技なのか
何かとことん、突き抜けているな
雪乃の彼氏面白いわねキーキー叫んで、まるで動物園のお猿さんみたいだわね
メグが雪乃に言う
酷いことを言っているがオレの腕を掴んでいるメグの手は、震えている
メグは、一杯一杯なんだ
あなたの彼氏だって、大したことないじゃない
雪乃が敵意剥き出しで、メグに言う
彼氏じゃないわ婚約者よ
メグも負けない
ふーん、そんな卑劣な強姦魔と婚約するなんてあたしには、下品な血筋の人の考えることは判らないわね
雪乃はまた、メグの母親のことを悪く言う
下品な血筋はお互い様じゃない
メグは雪乃の言葉を、白坂創介にすり替えて反撃した
あたしとあんたは違うわあたしは白坂の家の人間で、あんたは山峰一緒にしないでちょうだい
香月閣下という、最強の血筋の人に白坂弁護士や市川老人が平伏する姿を見たばかりのオレたちには雪乃のその言葉は、少しも響かない
あたしは、吉田よ吉田恵美になるんだから
山峰の家を捨ててきたメグには白坂の家から受けた屈辱は、すでに過去のことになっている
心の中に、まだコンプレックスを残していたとしても自分の意志で撥ね付ける
あらそうまあ、強姦魔と淫売の娘なんて、意外と良い組み合わせなのかもね
雪乃は嘲笑の眼でメグを見る
今の遠藤との怒鳴り合いで雪乃のテンションはすっかりハイになっている
いつもの様にメグが、雪乃の酷い言葉に屈しないことに気付いていない
メグは自分の中のコンプレックスと闘っている
子供の頃から、長年に渡り押しつけられてきた雪乃に勝ってはいけないというトラウマを、自分の力で克服しようとしている
そのことに雪乃は、気付かない
ええあたしは、とっても幸せよ愛している人がいてあたしも愛してもらっているから
メグが強い心で、雪乃と対峙する
昨夜もねあたし、ヨシくんとラブホテルに泊まったの朝まで、いっぱい愛してもらったわあたし、やっとセックスの気持ちよさが判ってきたみたいヨシくんは、とっても優しくあたしのことを可愛がってくれるから
メグが、逆襲する
あら、そうそれは良かったわね
雪乃は、興味無いフリをしているが軽くショックを受けた様だった
うん愛し合っている人とのセックスって素敵なのよ雪乃は、レイプしかされたことしか無いから、判らないでしょうけれどね
メグの言葉に雪乃がギッと睨み付ける
あんただって、その男に遊ばれているだけなんじゃないのその人、女なら見さかい無しなんでしょうから
ヨシくん昨日、山峰の両親に会ってくれたわ恵美さんを下さいって、頭を下げてくれたのよあたしたち、本当に婚約したのあたしはヨシくんの奥さんになるのよそれに、ヨシくんは見さかいが無いわけではないわヨシくんが愛するのは、みんな素敵な女性ばかりだもの雪乃以外はね
睨み合う二人
そうなら、もうあたしには構わないで欲しいわねあたし、本当に嫌なのよその男に犯されるのは、もう気持ち悪いの思い出すだけで、ゲロ吐きそうよ
それなら良かったわ雪乃は、もう用無しだからこれからは、もう雪乃の番は来ないからねあたしたちが、ヨシくんと楽しむわたくさん、たくさんエッチして貰うんだから
メグが、強い眼で言う
あそう、それは助かるわあたしはその男に犯されるのは、本当にもううんざりだったからあなたみたいな淫売に引き取ってくれるのなら、とっても有り難いわよ
雪乃の手が小刻みにぶるぶると震えている
オレはマナの証言で知っている
雪乃は、ここ数日、自宅でずっとオナニーに狂っていた
ミナホ姉さんの仕掛けた陵辱は確実に、雪乃の身体を蝕んでいる
性の快感を無理矢理に覚え込まされた肉体はもう、普通のセックスでは満足できなくなっているのだろう
しかし雪乃のヴァギナの上には、吉田のタトゥの文字がエメラルドグリーンに輝いている
プライドの高い雪乃には遠藤や他の男に身を任せて、性の欲求を解消することはできないだろう
雪乃が自分のプライドを保ったまま欲求不満を解消するにはオレに犯され続けるしかない
それならこれは自分が望んだことではない自分は、あくまでも無理矢理にセックスを強要されているのだと言い訳して欲望に溺れることができる
なのに今
メグは雪乃にお前はもう用無しだと、リストラ宣言をした
雪乃は内心、動揺している
眼に落ち着きが無い
あたしこれからも雪乃が体験できないような気持ちの良いことをいっぱいいっぱいして貰うの毎日、セックスするわ、あたしたち
メグの声も震えていた
これはコンプレックスを抱き合う、二人の少女の嚙み付き合いだ
コンプレックスを剥き出しにして
二人の少女が、対決する
正式に婚約しているんだものどれだけ、セックスしてもいいのよ、あたしたちさっき、弓槻先生が教室で言ってたでしょう婚約している人同士のセックスは、最高裁判所が認めているって
メグが心の中で、雪乃よりも高い位置に立とうと必死に背伸びをする
ふん勝手にやればいいじゃないエッチし過ぎて、せいぜい妊娠しないように気を付けることね
雪乃は、そう言ってメグを愚弄しようとするが
ええ妊娠するのは、雪乃だけでいいものね
そのメグの言葉に
雪乃はぷるぷると身体を震わせた
そっと自分の下腹部に手を当てる
どう妊娠するってそろそろ、身体に変化が出て来たんじゃないの
メグが雪乃のお腹を見つめる
何の変化も無いわよ次の生理だって、ちゃんと来るわよ絶対に
雪乃は眼を潤ませて、そう言った
雪乃は精神的につらくなると、すぐに泣く
泣いて感情を発散させてそれで終わってしまう
事態の原因を自分の力で解決しようと努力したりはしない
ただ泣いて状況に流されるだけ誰かに助けられるのを待つだけ
それが白坂雪乃という女の生き方なんだと思う
そんなことないわ雪乃は妊娠しているわよ、絶対
メグは負けない
自分の意志で、自分の運命から脱出しようとしているメグは
何よりも、雪乃の精神支配から抜け出そうとしている
そのためにはどんな酷いことでも言う
メグは雪乃に勝ちたいんだ
ほら妊婦さん用の雑誌があるでしょ雪乃は、出産までにあの雑誌を読んでおいてねあたしは、出産後の育児用の雑誌を読んでおくから
メグの言葉に雪乃は、ついに黙り込む
眼からぽろりと涙を零す
雪乃は産むだけでいいのよ育てるのは、あたしたちがするから安心してね
ああこの言い方は
ミナホ姉さんの喋り方だ
メグは、ミナホ姉さんのやり方を真似している
だけどメグも、震えている
震える手で、必死にオレに縋り付いている
あんたなんて大嫌いよ絶対、絶対、許さないわ
雪乃がメグに言った
お生憎様あたしの方が、その何倍もあなたのことを憎んでいるの雪乃あたしは、あなたを許さないわ絶対、絶対、許してあげない
メグにとって雪乃は天敵だ
絶対に、負けられない相手なんだ
あたしによくそんな口が利けるわね淫売の娘のくせに本家の叔父様にお願いして、あんたたちみんな酷い目に遭わせてあげるわあんたもその男も、メチャメチャにしてやるから弓槻先生も、他の人も、あたしを陥れた人たちはみんな地獄に堕としてやるんだからっ
雪乃も負けない
しかし黒い森のメンバーであるオレたちには、その言葉は通じない
オレたちは、白坂家当主白坂守次とガチンコで抗争している最中なんだから
そんな脅し、もう全然怖くないわあたしはもう、白坂の家とも山峰の家とも関係無いのよそれに、あたしにはヨシくんが居てくれるもの
メグが震える手でオレの学生服の裾を掴んでいる
そんなクズ男が何の役に立つっていうのよ
半泣きの雪乃が、メグを責める
あなたこそ白坂の家が、雪乃を助けてくれると本当に思っているの
思っているわ守次様は、あたしにはとっても優しいもの
雪乃は、もう何十回もレイプされてて、タトゥを入れられてて、お腹には赤ちゃんがいるのよそんな娘を、白坂の家が助けてくれるのかしらね
メグの言葉に、雪乃はギッとメグを憎しみの眼で見る
助けてくれるわよっ白坂の家の人はみんな、あたしには優しいんだからっ
グラウンドの中に次々とユニホーム姿の選手たちが集まっていく
一塁側の応援の生徒たちから歓声が上がる
メグ、座ろうぜそろそろ始まりそうだ
両校の選手が整列する
いよいよ試合開始のようだ
オレとメグは、並んで勾配に腰を下ろす
雪乃は、オレたちから少し5メートルくらい離れたところに座る
オレは、改めて周囲をぐるりと見回す
案の定観戦者は一塁側にばかりいる
三塁側のフェンスの外は、オレたち三人しか居なかった
なるほどミナホ姉さんが、ここから観戦しろと言った理由がよく判る
ここはすり鉢状になっていて周囲に隠れる場所が無いが、その代わり誰かが近寄って来れば、すぐに判る
何より、グラウンドの中にいる野球部員たちや一塁側から応援しているたくさんの生徒たちから丸見えだ
ここでオレたちを襲ったり拉致しようとしたりしたらたくさんの目撃者を産むことになる
まず、普通のやつならここで襲撃は掛けないだろう
よっぽどの馬鹿か、よっぽど切羽詰まっていない限り
プレイボール
球審役の野球部のコーチが大きく叫ぶ
そして練習試合は、スタートした
先攻は、うちの学校だった
メグは、野球は詳しい
まあ、スポーツ少女だしルールくらいは知ってると思うけれど
あたしはそんなに詳しくないけれど山峰の父がねいつも野球のニュースを観ていたから
山峰さん、野球好きなの
好きって言うか一応、白坂家の関連会社に勤めているでしょ
だからあそこのプロ野球チームを応援しているわ
応援ていうか父の会社の社長が、熱狂的なファンなんですって試合に負けた次の日は機嫌が悪くなるくらい
はあそりゃ、大変だ
ていうか、まだいるんだそういう人
だから山峰の父だけでなく、会社の人は全員、試合内容をチェックしているのよ試合中継は観ていなくても試合の結果だけは必ずね社長さんの話に合わせられるように
サラリーマンて、大変なんだな
山峰の父の居る会社は、社員数が二十人くらいの小さなところだから社長さんが誰彼構わず話し掛けてくるんだって負けて機嫌の悪い日よりも、連勝中の方が大変らしいわ機嫌の良い時の方が、いっぱい話し掛けてくるんだってあの選手は最近よく打っているよな打率で今、何位なんだとか聞かれるらしいから
ああ選手とかの細かいデータまでチェックしとかないといけないんだ
そんな話をしているうちに最初の打者が、ピッチャーフライでアウトになる
ヨシくん、眠くない少し休んだら
メグが、オレにそんなことを言った
昨夜から大変だったでしょ
それはまあセックス十二連発とかだったし
さっきもマナとの公開セックスをしたばかりだし
メグの膝枕でお休みしない
でも、ほら急に誰かが襲って来たりしたらマズイし
オレは一応、周囲を警戒する
大丈夫よ誰か近付いてきたら、あたしが起こしてあげるから
メグが、ぽんぽんと自分の膝を叩く
メグの膝枕きっと気持ちいいと思うよ
誘惑に負けた
どう、ヨシくん
メグの膝に頭を乗せてオレの真上に微笑んでいるメグの顔がある
うんメグの膝、ふんわりしていて気持ちいいよ
メグが、オレの頬を優しく撫でている
ニコニコとオレの顔を見つめながら
なあに、ヨシくん
試合観なくていいのか
ヨシくんの顔を見ている方が幸せなんだもの
メグは、嬉しそうにそう言った
おい、こらそこの一年
怒鳴り声に思わずグラウンドの方を見るといつの間にか、チェンジになったらしい
ピッチャーが投球練習している間にうちの高校の野球部の三塁手が、守備位置からオレたちを怒鳴りつける
こっちは真面目に試合をやっているんだイチャイチャするんなら、他でやれっ
多分、二年生か三年生なんだろうな
確かに、練習試合中に膝枕でイチャついているカップルが視界に入るのは気になるのかもしれない
オレはすみませんと言って、身体を起こそうとするが
メグがオレの肩を押さえて、起き上がらせてくれない
あたしたちだって、真面目にイチャイチャしているんですっ先輩こそ、もっと試合に集中して下さいっ
一塁側の観戦者たちから、ドッと笑い声が起きた
そうだ、そうだ、集中しろ
そんなことを囃し立てるやつまでいる
すっかり、オレたちの姿は注目されてしまった
いやこの先のことを考えたら、注目されている方がいい
オレは膝枕のままでいることにした
横になったままグラウンドの中を見る
遠藤はライトを守っていた
オレたちの居る位置からは、グラウンドの反対側の奥だから結構離れている
うーん、マジで試合に出てるんだ
監督も、よくあんなケガしているやつを外野で使うな
もっとも一年生を依怙贔屓してレギュラーにしたんだから
さすがに先輩たちを差し置いて、内野は守らせないよな
ライトに球が飛んでかないといいんだけど
プレイ
審判が合図して、一回の裏になる
ピッチャーが球を投げる
うわっ結構、速いな
この人がエースの滝本先輩か
このスピードなら、そうは打てないだろう
カキーンッ
金属バット独特の澄んだ快音が響く
ライトバックだ、バック
あ早速、遠藤のところにボールが飛ぶ
遠藤がヒョコヒョコ歩く
ちょこまか動く
簡単なライトフライだけど
やっぱり落とした
遠藤が、慌ててボールを投げるが
おい、どこに投げてんだよっ
腕もマルゴさんにヤられてたんだな
ライトからファーストに投げたボールはワンバウンドして、あさっての方向へ
暴投のボールを追っている間にランナーは、二塁を越えて、一気に三塁まで進んでしまった
ただのライトフライがノーアウト・ランナー三塁の大ピンチに変わる
おい、こらぁ、遠藤、死ねえ
遠藤が、謎の力で無理矢理試合に出ていることはみんな知っているから
一塁側から、遠藤にブーイングが起きる
試合に出ていない野球部員の先輩たちのブーイングが、一番酷かった
動けねぇんなら、とっとと交代しろよっ
そうだ、このバーカ
これはもう何回かライトにボールが飛んだら、大変なことになりそうだな
二番バッターに、ピッチャーがボールを投げる
ここは、セオリー通りきっちりと犠牲フライを放つ
んと
犠牲フライはライトに飛んだ
おーい、遠藤
やっぱり、落とした
てめぇ、死ねぇ自分で死ね切腹しろぉぉぉ
ベンチの後ろの野球部員たちから、また怒号が轟く
す、すいませぇぇん
ふてぶてしいのだけが取り柄の遠藤もさすがにミス二連発には頭を下げるしかない
これで1点取られて、ノーアウト・ランナー一塁
ブッブー
後から車のクラクションが聞こえた
振り向くと克子姉の青いミニバンが勾配の上の道を向こうから走って来る
うん運転席に居るのは、確かに克子姉だ
メグが、車に手を振る
車がオレたちの真後ろで、停まった
ここからだと車の窓ガラスは全てスモークが貼ってあるから、中の様子は判らない
後部のドアが、ガチャリと開いて
中からいつもの制服を着た、オレのみすずが降りてくる
おおーっ
ちょうど試合が止まったところだったからグラウンドと一塁側の観戦者の男たちから声が上がった
そっち側からだと見上げる感じの堤の上に、突然、美少女が現れたわけで
しかもみすずは、誰もが知る超お嬢様高校の制服を着ている
まるで、アイドルのコンサートの演出のようだった
かっ可愛い
あれ、この間の子だよなっ
うちの学校の野球部員がみすずを指差して、そう言った
その男たちの注目を浴びているみすずは
その全ての視線を無視して勾配の下のオレを見る
そしてニッコリと微笑んで
旦那様ぁぁ
オレたちに向かって、嬉しそうに手を振っている
だ、誰が
まさかあそこの一年か
遅くなってごめんなさぁーいお昼ご飯、持ってきましたぁぁ
満面の笑みで、叫ぶみすず
みすずを見ていた全ての男たちが、ズッこけたことは言うまでもない
な、何だあいつ
あ、あんなところで、お、女に膝枕させておきながら
あの子とも、関係があるってのか
ていうかこの間は、あっちの子とチューしてたよな
じゃあ、今、膝枕している女は何なんだ
ていうか膝枕の女も、結構、いい女じゃねえ
どうなってんだよ、これ
誰か、あっち行って、聞いて来いよ
馬鹿言え、ここからあっちへ行くには学校の外を廻って十五分は掛かるぞ
一塁側から、色んな声が聞こえる
まったくみんな声がでかいよ
みすずの出現によって、みんな遠藤へのブーイングも忘れてしまったらしい
ていうか試合は、どうなった
静かにしろ試合を再開するぞ
主審の野球部のコーチが、一塁側の観衆を怒鳴りつけた
そうだとも全員、試合に集中しなさいッッ
ゲロッパ校長まで生徒たちに注意する
今度は、車の反対側のドアが開く
な、何だ
今度のも、可愛いぞ小っこいけど
ロリコンの血が騒ぐぜ
そこには身長150センチくらいの美少女が立っていた
みすずと同じ制服を着て手には、大きなバスケットを持っている
前髪パッツンに切り揃えられた黒髪
日本人形の様に整った顔
克子様、ありがとうございました
バスケットの少女は、運転席に向かって可愛い声で挨拶する
克子姉は、少女に何か返事したらしいがここからでは、聞こえない
みすずを迎えに行ったのは、マルゴさんじゃなかったっけ
克子姉は、昼ご飯の用意をしていたはずだ
ということはみすずはこの少女と、一度監視室に立ち寄ってから、ここに来たということか
お昼ご飯を持ってきたってことは、そうなんだろうな
車の運転手が、マルゴさんから克子姉に交代になって
ねヨシくん
メグがオレに言う
ああオレも気付いた
助手席の窓が、ちょっとだけ開いていて
そこからウサギの耳がちょろんと外に出ている
あの車に、マナが乗っている
マナは車のスモークの窓にくっついて、オレたちの方を見ているのだろう
だからバニーガールの耳だけが、窓の外にはみ出して見えている
バスケットの少女が、ドアを閉めると車は、そのまま発進した
ええ
克子姉はマナをどこへ連れて行くんだ
恐ろしい話ですが新キャラの名前をまだ考えていません
今日、働きながら考えます
145.美少女と野球
初めまして、工藤美智と申します
前髪パッツンの小柄な少女は、無表情でオレたちに挨拶した
吉田様と山峰様でございますね
日本人形の様な、白くて綺麗な顔がオレたちを見る
お二人のことは、みすず様より伺っておりますふつつか者でございますが、どうぞよろしくお願い致します
黒髪の小さな美少女がスッとオレたちに、頭を下げる
あ、こちらこそ
オレとメグもとりあえず頭を下げるが
えっと何が、よろしくお願いしますなの
この、異常に礼儀正しい和風美少女は何者
この子はみすずの護衛です
みすずが、ニコニコしてそう言う
こんな、小っこいお嬢ちゃんが
はい、香月閣下のご命令で本日より、みすず様の護衛を拝命致しましたまた、みすず様より、吉田様や山峰様やみなさまの護衛もするように申しつかっております
香月閣下の命令
本来なら、香月家でのみすずの立場では護衛が付くなんて、とんでもないことなんですけれどお祖父様がご心配して下さったんです
みすずが、恥ずかしそうに言った
はあこの子が、本当に護衛役なんだ
護衛、かあ
美智さんの家は、ご家族全員で香月家の護衛を担当して下さっているんですお父様の工藤さんは、古流武術を伝承していらっしゃるお家の方でお祖父様の護衛の1人ですお母様とお兄様は、香月家の関連している企業のセキュリティ部門にお勤めなさっていて美智さんのお姉さんも、今は本家のお嬢さんの瑠璃子さんのガード役をしています
一家全員で、香月家を護っているんだ
まあ、古くからの名家だからそういう人たちが仕えていてもおかしくはないんだろうけれど
それでこの子が、みすずの護衛役に
これから数日間だけのことですよ今のあたしたちは、色々と危険な状況ですから
みすずは、笑顔でそう言った
こちらに来る前にこれまでのことは全てうかがいました弓槻様と克子様から
みすずは、昨日の夕方にオレたちと別れてから何が起きたのかを全て、聞いたらしい
もちろんさっきの香月閣下のことも
本当に、事態は切迫しているようですね
白坂家にシザーリオ・ヴァイオラ
強大な二つの敵がオレたちに迫っている
これから夕方までが一つの山場になることは間違いない
それでも香月さんは、みすずにオレたちの所へ行くなとは言わなかったんだ
オレはそれが不思議だった
どうして閣下は大事な孫娘がオレたちの所に来るのを止めないのだろう
オレたち黒い森の現在の状況を全て詳細に知っていて何で、平気で送り出せるんだ
オレには香月閣下という人物が判らない
お祖父様は、身内にはとても厳しい方ですからみすずが自分の道を選択し続ける限りは、どんな危険な状況が待ち構えているとしても引き止めようとはなさらないですわ
みすずは言った
リスクを負わなければ、本当に欲しい物は手に入りませんから
みすずは真剣な眼でオレを見る
お祖父様はあたしたち親族には、どんなものでも絶対に無償では与えて下さいませんどんな物にでも価値があり、それを手にするためにはそれなりの代償を払わねばならないということを常にお示しになられます
価値に対する代償
いつも、心に勇気を持てと、お祖父様はよくお話になられますリスクを負う覚悟をするということは、そういうことだと自ら危険の中に入り込んで闘い取らなければ、どんなものも自分のものにはならないと
本当に厳しい人なんだ
今、オレたちを取り囲んでいるのは尋常じゃ無い危険だ
いいのだろうか
オレはみすずをこんな状況に巻き込んでしまって
もう、旦那様、そんな顔をなさらないで下さい
みすずが、優しくオレに微笑む
みすずは、お祖父様に示さないといけないんですよどんな困難があろうとも、決して旦那様と離れないという覚悟を
あたし覚悟はできています
この子は強い
オレなんかより、何倍も
でもお祖父様は、お優しい方ですみすずに美智を貸して下さいましたから
みすずが小柄な少女を見る
黒髪の美少女は、無表情のまま片手に黒く光る短い棒を持っている
うん長さ30センチくらいの
棒って言うか時代劇とかで、お姫様が持っている懐剣みたいに見える
あのそれは何
オレは美智さんに尋ねた
美智さんは、顔色一つ変えずに言った
もし、みすず様が暴漢に襲われた場合は、これで成敗致します
せ成敗って
美智さんは素振りするように、短棒を上下にブンブンと振っているけど
やっぱりこれ、刃物か何かなんだ
つーか、こんな短い刀一本でどうにかなるのか
どうにかするんだろうな
古武術の人だから
美智さんは、お幾つですか
メグが尋ねた
数えでですか
いやあの
ま、満でお願いします
オレの言葉に美智さんは
私めは、今年の誕生日で満十五歳になります
ということは今は、中学三年生ですか
メグが、尋ねる
はいみすず様と同じ学園の中等部に在籍しております
なるほど、遠くから見た時は同じ制服に見えたけれどこうして近寄ると、細部が微妙に異なっている
十五歳でもう護衛役なんだ
何かすげえな
美智は、これが初仕事なのよね
みすずが、美智さんに微笑む
はい精一杯、お勤めを果たします
小さな美少女は、真顔で答えた
そ、そうですか
頼りになるようなならないような
とにかく、小柄で可愛らしい美少女だということは判っているけど
アウトチェンジ
グラウンドから、球審の声が響く
オレは、スコアボードの方を見る
一回の裏は相手の高校に、3点取られて終わったらしい
うち2点は、遠藤の失策絡みだ
遠藤、てめぇ、死ね、この野郎
ライトの守備位置から、ひょこひょこ帰って来た遠藤にベンチの野球部の先輩たちから罵倒の言葉が突き刺さる
遠藤はベンチの中に入れて貰えず、外に立たされている
二回の表うちの高校の攻撃だ
さあ、旦那様お昼にしましょう
みすずの言葉に美智さんが何も言わずにピクニック用のシートを斜面に敷いていく
さあ旦那様も恵美さんもこちらへ
みすずがシートの真ん中に美智さんが運んできたバスケットを置いて、中を開く
克子様より、お預かりして参りました
バスケットの中身はサンドイッチだった
お茶もございます
うん魔法瓶の水筒も入っている
あ旦那様、ここは恵美さんのホームグラウンドですから、恵美さんにぴったりと寄り添っていて下さいね
今日のみすずは、いつもみたいにオレにベタベタして来ない
いつもよりも少し距離を取っている
メグが、みすずを見る
他の人の眼がありますここでは、旦那様は恵美さんにお任せ致しますみすずは、お二人の親しい友人の様に振る舞いますわ
みすずはメグの立場を考えてくれている
その代わりみすずのホームグラウンドでは
メグが、答えた
その時はあたしが、一歩後ろに下がります
みすずとメグが見つめ合う
それでもみすずさん、お気遣いありがとうございます
メグが、みすずに頭を下げた
気にしないで下さい恵美さんは旦那様の本妻で、みすずは愛人です本当なら、どんな時でも恵美さんを立てるべきだということは判っているんですけれど
いいえ、あたしは本妻の役をさせていただくだけですからヨシくんの本当の奥さんに相応しいのは、あたしよりもみすずさんだということは判っています
みすずさんは、とても聡明な方です御名穂さんの次に、あたしたちのリーダーになる方だと、あたしは思っています
恵美はみすずが黒い森の次世代のリーダーになると思っている
ミナホ姉さんは、もう黒い森を潰してしまおうと考えているんだろう
さっきのお話で香月様が、黒い森を解体してしまうのはもったいないということを考えていらっしゃることが判りました香月様に認められて、あたしたちが暮らしていくためには何らかの方法で黒い森を存続させていくしかないんだと思います
恵美がみすずに言う
克子様も、そうおっしゃっていました弓槻様は、何もおっしゃっていませんでしたが
みすずが、そう答えた
黒い森の存続とは娼館を続けるということだ
お屋敷に囚われた売春婦たちの苦しみを知っているミナホ姉さんとしては
受け入れることの出来ない選択だろう
しかし香月閣下には、力がある
閣下の要請を簡単に断ることはできない
いずれにせよ、あたしたちはこれから先のことを考えていかないといけませんね
真面目な顔でみすずが、そう言った
先のこと未来
心に勇気を持ってリスクを負ってでも、未来を勝ち取らないと
みすずとメグは、すでに未来のことを考え始めている
オレは、今現在のことに精一杯で
突然美智さんが、怖い顔でみすずを見る
どうしました、美智
日本人形の様な美しい顔が、凜として答えた
早く、お食事に致しましょう
いつのまにか、美智さんはサンドイッチを並べ全員分のお茶も用意している
ただの護衛役ではない
メイドさんとしての教育も受けているらしい
そうね、いただきましょうか
ピクニック・シートの上
オレとメグが、ぴったりと並んで座る
サンドイッチを挟んで向こう側にみすずと美智さん
グラウンドや、一塁側で観戦している生徒たちから見れば
さっきまで膝枕していたオレとメグがカップルで
みすずと美智さんが、親しい友達としか見えないだろう
野球部員だけが前にオレとみすずがキスしたことを知っているけれど
遠藤と数人のオレのクラスメイトぐらいしかオレの顔は知らない
他の野球部の先輩たちは、オレが誰なのかは判ってないし
超お嬢様学園の制服に身を包んでいる美少女の方ばかりを見ていたから
現在のこの状況を見れば、ただただ混乱するだけだろう
さらに
雪乃さんこっちにいらっしゃい
みすずがオレたちから離れて座っている雪乃に声を掛ける
あなたの分もあるんですよ
雪乃はみすずの声を無視している
ジッと、グラウンドの方を見ている
試合を観ているのではない
何か考え事でもしているかの様に誰もいない方をボーッと見ていた
雪乃さん
みすずは、さらに声を掛ける
あたし、弓槻様から言われているんですあたしたちと一緒に食事しないようなら、雪乃さんの映像を全校生徒の携帯に送信するそうです
雪乃の映像
裸の画像かオレに犯されている画像か
いずれにせよ公開されればとんでもないことになる写真を、雪乃はすでに何十枚も撮られている
犯される度に写真を撮られていたもんな
どうしますあなたの写真、みんなに見られてもいいんですか
みすずの言葉に
雪乃は、静かに立ち上がる
今、行きます
雪乃がオレたちの輪に加わる
オレは一塁側のうちの学校の野球部の連中を見る
さすがにベンチに居るレギュラー選手たちは試合に集中しているが
ベンチ外の控えの連中は、試合そっちのけでオレたちの方を見ていた
こっちを指差してコソコソ話しているのが見えた
そりゃそうだ
雪乃が、遠藤の彼女だということはみんな知っている
試合前に、仲良く怒鳴り合っていたし
それがオレたちと一緒に仲良く食事を始める
うん野球部員からすれば、もう何が何だか判らない状況だろう
とにかく雪乃の存在が、迷彩になっている
あ遠藤が、ポカンとした顔でこっちを見ている
さあ雪乃さんも食べて下さいね
みすずが雪乃にサンドイッチを勧める
食べないとどうなっても、知りませんよ
雪乃が無言でサンドイッチを一つ取って、口に入れる
あたしたちも、いただきましょう
オレたちも食事を始める
相変わらず克子姉の手作りのパンは、風味が違う
サンドイッチは、卵やハムやキュウリや手作りジャムや
とにかく、何種類もあった
タイム
一塁のベンチから、野球部の監督が出てくる
四十近い、いかつい黒眼鏡のオッサンはそのまま、オレたちの方へやって来る
おい、そこの一年
試合中だと言うのに野球部の監督が、フェンス際まで来てオレたちに怒鳴る
そんなところで飯を食っているんじゃねえ試合の邪魔だ
何だろうこのオッサンは
買収されて、ケガ人をレギュラーで使っているくせに
選手たちの気が散るんだよどっか、余所へ行って食え
いやこんなことで気が散るって
ここは学校の敷地外ですどこでお食事しても、あたしたちの自由だと思います
メグが監督に、抗議する
何だ、お前は何年何組だ
メグに叫ぶ監督にみすずが言った
答える必要はありませんよこの方は、あたしたちに言い掛かりを付けているだけですから
そして、みすずはグラウンド内の選手たちを見る
監督のタイムの声で試合は、止まっていた
監督の怒号でみんな、驚いた顔でこっちを見ている
あたしみなさんのお邪魔になっていますか
みすずは満面の笑みで、選手たちに声を掛ける
邪魔になっていますかぁぁ
美智さんがなぜかみすずの問いを復唱する
選手たちはうちの野球部員も、試合に来た相手の高校の選手たちも
ブンブンと大きく、首を振った
あたしここでお食事していても構いませんよねっ
構いませんよねぇぇ
美少女高校生の笑みと可愛い中学生の復唱
野球選手たちは、ウンウンと大きく首を縦に振った
いや選手だけじゃない
グラウンドの外で観戦している一般生徒やゲロッパ校長までが、こちらを見て大きく頷いている
それほどまでにみすずの上品な笑顔は、素晴らしかった
美智さんの人形の様な可憐な姿も
ほらみなさんは構わないとお返事してくださいましたわっ
みすずは、笑って野球部の監督に言った
チッほら、何やってる試合再開だ
監督は、一塁側のベンチへ戻って行く
すごいなあみすずは
ニコニコしているだけで監督を引き下がらせるなんて
みすずがオレに微笑む
旦那様にいただいた力ですわっ
みすずは、旦那様と一緒ならどんなことも怖くありませんから
みすずは変わっていく
渚のお店で最初に会った時は、少し内向的で、大人しくて渚に依存していた女の子だった
あれから、数日しか経っていないのに
今のみすずには、余裕が感じられる
ニコニコ微笑んで誰にも頼らずに、自立している
さっき、メグの言っていた通りだと思う
頭の回転が速くて、決断力に優れていて包容力も感じられる
オレたちの世代のリーダーは、みすずなのかもしれない
雪乃さん、もっと召し上がって下さいね
雪乃にまで気遣いすることを忘れない
また、金属バットの澄んだ音が響く
オーライ、オーライ
ショートフライで、アウトだ
試合は、三回の裏に入っている
3対0で、うちの学校が負けているままだ
みすずは、野球って詳しい方
バターとカラシの利いたハムサンドを食べながらオレは尋ねた
みすずはスポーツは、あんまりよく判りません
みすずは、お茶入った紙コップを持って恥ずかしそうに、言った
確か3点でハットトリックですよね
うん何も知らないみたいだ
でも選手のみなさん、みんな最初から帽子を被っていますよね
ええと
何から、説明するべきだろうか
あ遠藤くんの打順みたいね
メグの言葉に振り向く
遠藤が、バッターボックスに入る
遠藤は、8番打者か
本当に、無理矢理レギュラーに押し込んだんだな
遠藤きっちり、こなしていけよッ
ノーアウトで遠藤の前の打者が、一塁に居る
四球を選んで、出塁したんだ
セオリー通りなら、送りバントなんだけど
ストライクッ
遠藤は振るんだな
中学までは、遠藤中心のチームだったらしいし
そこそこの強打者だったみたいだけど
今日の遠藤は、ケガをしているし
何よりこいつ硬式球の試合は、これが初めてだろ
ここは、変な意地を見せるところじゃないと思うんだけど
あの人、身体の動きが変
美智さんが、ジッと遠藤を見てそう言った
うん、数日前にちょっと、ボコボコにされたんだよ
マルゴさんに
雪乃がすぐ近くにいるから、マルゴさんの名前は出せない
あれが雪乃のお付き合いしている人です
メグが、みすずに言った
ふうん雪乃さんは、あんな鼻に絆創膏をしている人がいいんですか
みすずが、感想を述べる
いやあの絆創膏は、いつもしているわけではないんだけど
粗雑な人っぽいですね
また、大振りしてストライクを取られた遠藤を見てみすずが言った
ケガをしていることもあるけれど元から、注意力が散漫なんだと思うあの人
美智さんが、そう言った
古武術の人は、立ち振る舞いだけで相手の性格が判るみたいだ
雪乃さんいいんですか
みすずが雪乃を見る
雪乃はこの試合の間中、全然、遠藤の方を見ない
いや、試合そのものだって見ていない
全てを拒絶するようにうつむいたままでいる
あの人自分勝手なセックスしかしないような気がしますあんな人に抱かれても、きっと気持ち良くはなれないでしょうね
みすずが、囁くように雪乃に言う
あたしたちの旦那様とは違いますね旦那様はいつでも、みすずたちを幸せな気持ちにして下さいますから
みすずの言葉に雪乃が、顔を上げる
何がおっしゃりたいんですか
雪乃が、みすずを見る
雪乃は、みすずが香月の家の人間であることを知っている
メグと違って対決姿勢で、きつい言葉を言うようなことはしない
いいえ、別にあたしたちの旦那様は、とっても素敵なセックスをして下さるってお話ししただけですよ
みすずが雪乃に微笑んだ
みすずはミナホ姉さんから、雪乃のことで何か指令を受けているのか
もし、白坂家がオレたちへの攻撃を止めなかった場合の次の手は
雪乃を拉致すると、ミナホ姉さんは言っていた
そのための布石として
みすずは、すでに行動を起こしている
ストライク、バッターアウト
最後は、見逃し
遠藤もう、お前、どうしようも無いな
何やってんだ、コラぁぁ
バントもできねえのかよっ
そこは死んでも、ランナーを送るところだろ
つーか、自分から当たりにいけよ
デッドボールに当たって、本当に死ね
野球部の先輩からたちの罵倒が、どんどんキツくなる
ヨシくん、手を見せて
メグがオレの手を握る
いつも、この手に気持ち良くして貰っているのよねヨシくんに触られるのあたし、大好きよ
雪乃の見ている前でメグは、オレの手にキスする
オレの指をチュッと口に含んだ
みすずも大好きです旦那様の手旦那様とのセックスは、とっても気持ちいいですから
みすずも、潤んだ眼でオレを見る
いつもならメグに負けじと、オレの指を舐めようとするんだろうけれど
人目のあるここでは、ガマンしているらしい
代わりに、自分の指を舌でペロッと舐めて見せた
手も好きですけどみすずは、舌でペロペロして貰うのも好きです
うん判るヨシくんに、おっぱいを舐められると女の子に生まれてきて良かったって、本当に思うもの
メグも、みすずの話に乗る
二人は、アイコンタクトで何となく意志を疎通させているらしい
つまり雪乃の前で性的な話題をするということを
みすずはアソコを舐めていただくのも好きですでも、やっぱり
ヨシくんと繋がるのが、一番気持ちいいですよね
はい身体がトロトロに熔けるような気持ちになります
判りますあたしも昨夜やっと、セックスでイケるようになりました
そうなんですか良かったですね、恵美さん
はいあたし、それまではヨシくんにご奉仕するだけで充分だって思っていたんですけれど一緒に、イクのって本当に幸せな気持ちになれますよね
そうですよ、恵美さんみすずは、絶頂に達した時に旦那様の精を子宮に注いでいただくのが大好きですあんなに幸せな瞬間は、ありません
判りますみすずさん
雪乃の喉がゴクッと音を立てた
二人の少女の性的な会話に雪乃も興奮している
何だ
遠くから音の割れたスピーカーから流れるこれは軍歌か
斜面の上の道を黒いワンボックスの車が3台
オレたちの方に向かって、爆走してくる
車はみんな大きく政治結社の名前が書いてある
あれ偽右翼ですね
みすずが、政治結社の名前を見て、そう言った
偽右翼って
オレの問いに、みすずは
右翼の政治結社のフリをしている暴力団の手先です
そんなやつがここに来るってことは
3台の車はオレたちの真上で、停まった
ドアがガラガラとスライドして、開く
揃いの黒い服を着たガラの悪い男たちが、次々に降りてくる
3台の車から全部で十五人近くは居るだろう
先頭に立つ、サングラスの男が言った
山峰恵美ってのは、どいつだ
恵美を捕まえに来た
オレでも、みすずでもなく
ということはこいつらは、白坂家に雇われてきたのか
裏組織に協力を断られ続けてようやく、雇うことのできた連中がこいつらってことか
山峰恵美は、この子よ
雪乃が恵美を指差す
ったく、この女は
みなさまここから動かないで下さい
美智さんがすっと、立ち上がる
例の黒い短棒を持って
ススススッと、男たちの方へ斜面を昇っていく
なんじゃ、お前は
威嚇する男たちに、美智さんは言った
あなたたちの相手は、わたくしが致します
無表情のまま美智さんは、男たちをジッと見据える
黒い棒をしっかりと握りしめて男たちに向かって、突きだしている
お嬢ちゃんケガしたくなかったら、すっこんでな
オレたちは、山峰恵美っていう姉ちゃんに用があるだけなんだ
お嬢ちゃんじゃ、オレたちの相手はまだ早いもんな
嘘吐けロリコンのお前には、ストライクゾーンのど真ん中だろ
あ、判りますぅ
兄貴、オレはあっちの子の方が好みっす
捕まえた後は、マワしていいんですよね
偽右翼の男たちはゲラゲラと笑う
メグを捕らえて犯すつもりだって
そんなことは、絶対に許さない
オレはブン殴り棒に、そっと手を置く
何だ、何だ、何だ
グラウンドの方から、声が上がる
突然の偽右翼たちの乱入に野球部員や観戦の生徒たちが、こちらを注目している
おい大丈夫なのか、あの子
オレたちから離れて男たちの前に一人立つ、小柄な黒髪の少女
お嬢ちゃんちょっと、そこをどいてくれないか
お遊びはそれくらいにしてくれよオジさんたちは、忙しいんだよ
兄貴、もうその子も拉致っちまいましょうぜ
そうだなついで、この子もマワしちまうか
全員連れてきましょうよ
うんよく、見りゃ、美人ちゃんばかりだもんな
あのガキだけ、ブチ殺して全員、拉致と行こうぜ
そうはさせない
オレは、女たちの前に出る
これより成敗致します
真剣な顔で、美智さんは言った
成敗何言ってるんだ、お前
頭がおかしいんじゃねえの
男たちは、美智さんを嘲笑う
美智さんはすっと、黒い棒を正眼に構える
男たちの先頭に居るリーダー格の男に向かって
棒を男の額に真っ直ぐに向ける
工藤流古武術、工藤美智参ります
バッシュッッッ
凄まじい発射音と共に
黒い棒の先端が、高速で射出された
黒い塊がバキッと鈍い音を立てて、リーダーの男の額にヒットする
うぎゃああああっっ
男は、そのまま後方に数メートル吹っ飛ばされた
なななな何だ、こりゃあああ
お覚悟
美智さんは、先端のなくなった黒い棒の中から丸い鋼球と細い鎖をしゅるしゅると取り出す
ビュンビュンビュンと、超高速で空気を切り裂いて鋼の分銅を振り回し始める、美智さん
こ、怖ぇぇ
これが古武術
時代は、スペツナズ・ナイフということで
色々と、反省しています
申し訳無いです
いつでも、気が付いた時にはもう遅いのですが
働いてきます
146.工藤流古武術
な、何だぁぁ
グラウンドの中から
一塁側で観戦している生徒たちから
驚きの声が上がる
三塁側の金網フェンスの向こう側
グラウンド側から見れば、小高くなった斜面で
十五人近い、偽右翼のチンピラたちに
小柄な美少女中学生が、立ち向かっている
ビュン、ビュン、ビュン、ビュン
ハァァァァァァァァッッ
自分の頭上で超高速で、鋼球付きの鎖を振り回している、黒髪の少女
工藤美智、中学三年生
香月閣下の命を受けて、みすずの警護役となった和風美少女
美智さんは、手首だけで鎖を振り回してはいない
腰を軸に全身のバネを使って、腰をくねらせて分銅の鎖をビュンビュン唸らせる
まるで西部劇のカウボーイが、投げ縄を扱っているような動きだった
右の手だけで鎖を振り回し左腕でバランスを取っている
鎖を掴む右の手を上下に不規則にゆらゆらと伸縮させてチンピラたちに鎖の間合いを掴ませないようにして鋼球を打ち込むタイミングを計っている
トゥャァァァ、ハァァァァ
腹の底から鈍い声を出して偽右翼たちを牽制する、美智さん
お嬢ちゃんそんな鎖の振り回したって、オレたちには当たりゃしねえぜ
高速で射出された黒い棒の先端を額に受けて失神したリーダーに代わり、背の高い別の男が美智さんに言った
どんなに素早く鎖をブン回したって、先っぽの球がこっちに飛んでくることは判っているんだそんなもん、簡単に避けられるぜ
確かにこの距離では、サッと身を躱して避けられるかもしれない
美智さんの手と、振り回されている鎖鋼球が飛んでくる軌道は、簡単に読めるだろう
オレは、普段からバッティングセンターで、160キロの球を打ってるからな眼がスピードに慣れてん
鋼球がキラリと閃くッッ
アガぁぁッッッ
男の側頭部に、打ち込まれるッッ
言葉を最後まで言い終える前に男は、スババコーンッと斜め後ろに吹っ飛んだぁッッ
そのまま、バタリと失神して倒れる
ひとぉぉぉぉつ
美智さんは、低い声でそう叫びながら再び鋼球を頭上でシュルルルと加速させていく
サングラスの偽右翼が、美智さんに声を掛けた瞬間ッッ
ふたぁぁつ
シュゴッっと、繰り出される鋼球がサングラスを砕いて、男の額を割るッ
ムギィィッ
その男もビョンと宙を舞って、バッタリ崩れ落ちる
お、おいおいそんな、見切れないスピードじゃないだろ
何で、避けられないんだ
ビュンビュンと、回転する鎖と分銅
みぃぃぃっつッ
ビュウインッ
バコムッ
ウッヒィィィィッッ
三人目の偽右翼が吹っ飛んでいく
ヨシくんあれって
メグが、オレに耳に囁く
美智さんの左手を、よく見て
ズコッッ
ギョヘェェッッ
よっつ
四人目が、頭を分銅で強打されて、地面にブッ倒れる
美智さんの左手
オレはメグの言うまま、美智さんの左手に注目する
あ、あれは
美智さんは左の手の中に、レーザーポインターを隠し持っていた
いつつ
美智さんの左手が、スッと動く
次の標的の男の眼に赤いレーザー光を照射する
男が怯んだ瞬間
高速で打ち出された鋼球が、なぎ払うようにその男の頭を吹っ飛ばすッッ
ミィギョォォォォォォンッ
また一人偽右翼が、地面に転がる
す、すげぇ
メチャメチャ、卑怯だが素晴らしい技だ
むっつぅぅッッ
六人目の偽右翼が、分銅の餌食となる
うおおおおおおおーっ
オレたちの背後から、大きな歓声が上がる
野球の試合は、またしてもストップしていた
グラウンド近辺に居る誰もが美智さんの鋼球攻撃に注目している
ちくしょう、このままじゃ一人ずつ倒されちまうぞ
こうなりゃ、全員で一気に攻めるしかねぇ
偽右翼たちが、互いに声を掛け合う
あの鎖の間合いの中に入り込めば、こっちのもんだ
つーか、あいつは一度に一人ずつしか攻撃できねえんだからな
よし左右に分かれて、一気に襲いかかるぞ
そうだ、立ち止まったまんまじゃ、標的になるだけだからムゴォォォッッ
最後に口を開いた男の頭に、鋼球が炸裂するッッ