見られているんですよぉぉ吉田様にほうら、雪乃様も吉田様を見て下さぁい
呆けた顔をして雪乃がオレを見る
股間から弧を描いて流れ出ている、雪乃の汚水
ブリキのバケツから、湯気が立ち昇る
吉田様っ雪乃様に、何かお言葉を掛けて下さいっ
綺麗だ綺麗だよ、雪乃ッ
心からそう思う
心の奥底まで犯された雪乃は本当に美しい
良かったですねぇ、雪乃様っ吉田様が褒めて下さいましたよっ雪乃様も吉田様に感謝の言葉をお返しして下さいっ
暗い瞳の雪乃が、オレに言う
あ、ありがとうございます雪乃のおしっこを褒めて下さってありがとうございますありがとうございますありがとうございますありがとうございます
雪乃の眼に、もう涙は無い
あーあっ、お布団も畳も肌襦袢まで、全部おしっこでグショグショですっ
オレたちの痴態の跡は余りにも無残だった
まあ、いいですわっあたしが、後で片付けますからっ
狂乱の性獣は、再び元気なメイドさんに戻っていた
雪乃は、まだバケツの上でM字にしゃがんでいる
無表情でジッとバケツの中の自分の排泄物を眺めていた
とにかくシャワーを浴びましょうかみんな、酷い匂いですからっ
シャワー
この建物の中に、そんな施設があるの
こちらのフロアの一番奥の教室は、調理実習室ですから、湯沸かし器があるんですっだからっ
克子さんは、部屋の入り口の脇に置いてある段ボール箱から、長いホースとシャワーヘッドを取り出した
ガスの元栓も昨日のうちに業者さんに開けてもらってますし、湯沸かし器がちゃんと使えることも事前に確認してありますっ
この人は、本当に有能なメイドさんだ
っていうか何で、メイドさんなんかやっているんだ
美人だし、頭も良さそうだし、仕事は何でもテキパキこなすし克子さんなら、どんな仕事だって上手くやるに違いない
まあ性獣モードを見てしまった今となっては、その理由は何となく想像できるんだけど
さあっ、参りましょうっ
克子さんを先頭に、裸のまま宿直室を出る
いや、本当に全裸なのはオレと雪乃だけ
克子さんは、肩掛けのバッグを一つ担いでいる
そこに、カメラやホースなんかを入れているのだろう
すでに日が暮れてずいぶんになる
建物の廊下は暗い
克子さんは、バッグから大きめの携帯LEDライトを取り出した
済みません、さすがに廊下の蛍光灯を全部取り替えることまではしていませんお金も手間も掛かりますし何より、あんまりこの建物の光が外に漏れるのは何ですし
克子さんは、そう言って苦笑いした
そうだろうなあんまり煌々とした灯りだと、門の外から見えるかもしれない
LEDライトの光は、割と明るかった
三人で、薄暗い廊下を裸のまま歩く
雪乃はぐったりした感じだったが、それでも克子さんに命令されると彼女の後をとぼとぼと付いて行く
オレは、その雪乃のすぐ後ろを歩いた
裸の背中とお尻を、眼で楽しむ
昨夜以来、人前で裸でいることに慣れてきた
裸の女性と一緒にいることも
吉田様雰囲気がお変わりになりましたね
克子さんが、オレに言った
はいっすっかり、おどおどした感じがなくなりましたとても、堂々としていらっしゃいますわっ
そう言えば
女の人と喋っても、どもらなくなった
普通に話せている
ずっと雪乃の変化にばかり気を取られててたけれど
そうだよな
オレだって、夕べ童貞を捨てて雪乃を堕とす課程で、色んな目に遭った
変わらないわけがない
はいっ、何でしょうっ
もしかしてオレも調教されているんですか
弓槻先生に
克子さんは、オレに振り向いてフフッと微笑んだ
やっとお気づきになりましたかっ
でも吉田様へのお嬢様のアプローチは、調教ではありませんねっ
何なんですか
どちらかというと教育ですっ
教育
教え育てる
弓槻先生は、オレを何に育てようとしているのだろう
はい、こちらですっ
ようやく、調理実習室に着く
克子さんが壁のスイッチを入れると、部屋の蛍光灯の後ろ側三分の一だけが灯った
外に光が漏れない範囲を検討して、そこだけ照明が光るようにしてあるのだろう
部屋の中の作りは古いやっぱり、昭和の建物だ
使い込まれて、あちこち凹んでいるステンレスの作業机が幾つもある
部屋の床は、コンクリートの上に白いタイル張りであちこちに鉄の排水溝が切ってあって、少々の水なら流せるように出来ていた
確かに、これならシャワーを使える
克子さんが、湯沸かし器の蛇口に長いホースを括り付ける
そのままホースを伸ばして部屋の一番隅っこの排水溝まで引っ張って行く
シャワーヘッドを持っていて下さいっ
オレは、ホースの先端に取り付けられたシャワーのユニットを、克子さんから受け取った
克子さんは、そそそと湯沸かし器の前に戻る
飲むには適していない水ですけれど、浴びるだけなら平気だと思います
克子さんの手が、湯沸かし器の摘みを握る
ではっ、着火しますっ
カチンッという機械音ともに、ゴォォというガスの燃え上がる轟音
すぐにシャワーヘッドから、シュワワワッと水が吹き出てくる
どうですかっ、吉田様っ
そう言って、克子さんは湯沸かし器を点火させるすぐにお湯が出る
吉田様どうぞっ
あっという間に、お湯は適温になった
はいっ丁度良い熱さになりましたっ
オレは、シャワーを浴びる
全身の汗を洗い流す
股間にもお湯を
うわっ愛液や精液で、こんなにもベタベタになっていたんだ
もうお背中なら、克子が流して差し上げますわっ
そう言って克子さんが、シャワーノズルを取ってオレの背中にお湯を掛けてくれる
温かい湯が肌を洗い流す
気持ちいい生き返る感じだ
ありがとうございます
オレがお礼を言うと、克子さんは笑って、
では雪乃様は、吉田様が洗って下さいっ
オレは、克子さんにシャワーの持ち手を押しつけられる
雪乃はステンレスの机にもたれて、座り込んでた
無表情のまま
鈍く光る金属の脚に触れている背中が、冷たいだろうに
雪乃様、こちらへどうぞっ
雪乃は、動かない
さっさと来なさいッおしっこ臭いのよッ、この便器娘ッ小汚いあなたの身体を、吉田様がお手入れして下さるって言っているのよっっ少しは気を遣いなさいよッこのバカッッ
蘇った性獣が吠えるッ
スッと、立ち上がる雪乃ふらふらと、オレの前にやって来る
吉田様に、ご挨拶はっ
ご挨拶なさいっ
な、何て言えばいいんですかっ
そんなの自分で考えなさいッッ
すみませんっごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
雪乃は、か細い声で克子さんに謝り続ける
もういいわっ今日だけは、教えて差し上げますっあたはの言うことを繰り返して下さいっ
はい、判りましたぁ
裸の雪乃が、震えている
あたしは臭い便器娘ですっ
あ、あたしは臭い便器娘です
お手数ですが、あたしの身体にお手入れをして下さいッ
お、お手数ですがあ、あたしの身体に、お手入れをして下さい
これからも毎日、吉田様のお溜めになった精液を吐き捨てていただく精液便器ですっ
こ、これからも毎日毎日、吉田様の精液を吐き捨てていただく精液便器ですぅ
どうぞ末永く、雪乃の身体を玩んで下さいっ
ど、どうぞ末永く嫌ぁぁこんなこと毎日なんて嫌よ、いやぁぁ
雪乃の眼に、涙が溜まる
泣くなッ、便器がぁッッ
克子さんが、雪乃の裸の背中をトンと押すッ
その瞬間雪乃の涙が止まるッ
精液便器は、泣きませんっ便器は便器ですっ雪乃様は精液便器らしく、黙って吉田様の玩具になっていればいいんですっ
ははい、判りましたぁぁごめんなさぁぁい
必死になって、克子さんに謝り続ける雪乃
もう一度、確認しますっ雪乃様は、何ですかっ
べ、便器ですっ精液便器ですっ
誰の便器ですっ
よ吉田様の、精液便器ですぅぅ
では、毎日、吉田様に精液を吐き捨てていただきますねっ
ちゃんと、吉田様にお返事なさいっ
雪乃が、オレを見る
ゆ、雪乃は吉田様の精液便器ですっま、毎日、あたしの中に精液を精液を吐き捨てて下さいっ
よくできましたっ
克子さんが、即座に雪乃を褒める
満面の笑みで
さあ、吉田様も雪乃様を褒めてあげて下さいっ
えっ、褒めるって
抱き締めて、頭をナデナデしてあげるんですっ
あっ、ああ
オレは裸の雪乃をギュッと抱き締め、その頭を撫でてやる
うん偉いよくがんばった、雪乃は偉いぞ
とりあえず、思いついた言葉を適当に言う
雪乃はオレの腕の中で震えていた
さあ、雪乃身体を洗ってやるぞっ
オレは雪乃にシャワーの湯を浴びせる
雪乃は従容として、オレに洗われるままになっていた
顔は、無表情のまま
頭から、お湯を掛けてやる
背中にも
胸にも
股間にも
脚にも
雪乃の全身から、小便臭さが消えていく
雪乃は、まったく抵抗しない
何の反応もしない
ただ無言で無表情で
静かに、オレに洗われている
オレは雪乃のおっぱいを掴んだ
雪乃は、抵抗しない
オレは雪乃のお尻を掴んだ
裸の雪乃を抱き締めてキスをした
ジッと床を角を見つめている
そんな人形のような雪乃を弄ぶうちに
オレは、また、勃起していた
ガマンする必要は無いんですよっ
克子さんが、オレからシャワーヘッドを取ってそう呟いた
雪乃様は、吉田様のお便所なんですからっ
そして、雪乃に言う
吉田様が、雪乃様の身体をお使いになりたいそうですっ
雪乃がオレを見る
顔は無表情のまま
しかし、その瞳には怯えと恐怖の色が見えた
体位はどんなのがいいですかっ正常位ですかバック
克子さんが、オレに尋ねてくる
上から雪乃の上からのしかかって、ガンガン犯したいですっ
雪乃の身体がビクリと跳ねる
そういうことですからっ雪乃様、床に仰向けに寝そべって下さいっ
いいやぁ今日はもう許して、許して下さいっっ
早くなさいッ便器が、グズグスするんじゃありませんッ
雪乃が床にへたり込むそのまま、寝そべる
床のタイルは熱い湯で、すっかり暖まっている
ご挨拶は、どうしましたっ
どうぞ、お楽しみ下さいでしょっ
ど、どうぞ、お楽しみ下さいっ
オレは雪乃の裸体にのしかかるッ
雪乃は、一切抵抗しない
ただ身体をオレに委ねている
オレは雪乃の割れ目に指を入れた
雪乃の中は、先程までのセックスの余韻でグチョグチョのままだ
オレは大きく脚を開かせて
勃起を膣口に当てがう
雪乃の眼が、絶望に堕ちる
ズュボリッ
雪乃の中に侵入するッ
あっああんッ
ずっと無表情だった雪乃がペニスの挿入に声を上げたッ
オレはズンズンとピストンを開始する
あっっああんあっっ、あっ、あっ、あーんっっ
オレの突き込みに、雪乃の肉体がリズミカルに舞う
可愛いおっぱいが、ぷるぷると揺れている
うふふふふ一度、火が付いてしまった肉体ですっもう、犯されるのが気持ち良くて仕方がないのでしょうすぐにまた、イッてしまいますよっ雪乃様ッッ
性獣克子が、悪魔のように笑う
あんっあぁぁんっひぃぁぁんあっ、あっ、あっああっっ
セックス人形と化した、雪乃
実によく啼く
もっと、啼かせてやる
もっと、もっと、もっと
うふふあたしも、もう一回しちゃおっと
克子さんもシャワーノズルを股間に当てて、濃厚なオナニーを開始する
あっ、あっ、あっ、あっ、うぁぁーん、あンッ
雪乃のよがり声
オレに犯されるためだけの肉人形は、実に良く喘ぐッッ
うっンッッ気持ちよさそうっあたしも欲しいツッ欲しいのにぃぃ
克子さんは、熱い水流をクリストスに擦り付けながら自分のおっぱいをムニムニッと揉んでいるッ
自分で自分の乳首をペロペロ舐めてッ
あああーっあっ、あっああー
うううーんっうっ、うっ、うーんっ
二人の女のいやらしい喘ぎが、左右の耳から飛び込んでくるッ
オレも、激しく雪乃を犯す犯す犯すッッ
何度ヤっても、この身体は飽きが来ない
抱き心地の良い肉体
感じて震えている綺麗な顔
美少女オレが犯した処女を奪った
雪乃
またぁ、来ちゃう何か、来るのぉぉ光ってるぅぅ白っぽいのが光るのぉぉぉぉぉ
雪乃が、一気に絶頂への階段を駈け昇って行く
それを追い掛けるオレっ
よっ吉田様ッッ
激しくオナニーしながら、克子さんがオレを呼んだ
男の快感は射精の瞬間がピークですが女の快感は、絶頂からしばらく続くんですだから、同時にイクためには男の方は、女の後から遅れてイカないとタイミングが合いませんッッ
そうかっ
そうなんだっ
あああっ、光っているぅぅあたし、また飛んじゃう飛んじゃう飛んじゃうぅぅッッッ
いイクぞオレももうもうすぐ
絶頂に向かう、オレと雪乃
その時克子さんが、雪乃の耳にそっと囁いた
いいんですか、雪乃様四回目の膣内射精ですよっ
雪乃の眼が、カーッと大きく見開かれるッッッ
ダメよおぉぉぉぉ妊娠するのだけは、嫌あぁぁッッ
絶叫しながら雪乃の肉体は、絶頂に達するッッ
大きく弓のように反り返りながら全身が痙攣するッッ
一気に膣の中がギュギュギューッっと絞られるッツ
させてやるッッ
孕ませてやるッッ
子宮で、
オレの精液を呑み込めぇぇぇぇ
オレはどっくどっくと射精した
入ってくるぅぅ熱いのかきてるぅぅ
ごくっ、ごくっ
呑んでるッ
雪乃の子宮が、オレの精液を呑み込んでいるッッ
あはははは、あははははは、出されてしまいましたっ妊娠ですっママになるんですっ犯されて子供を孕むッあはははははははあたし、可笑しくてあんまり可笑しくて、イッてしまいますわっああああっっっ
性獣克子は笑いながら、自慰でイッた
はぁはぁはぁ
広い調理実習室
三分の一しか明かりの点いていない部屋は暗い
そんな寂しい室内にシャーというシャワーの水音と、裸の三人の激しい息づかいだけが響いている
どうしようどうしようどうしようあたし
天井を見上げたままオレの下に重なっている雪乃が、小さく呟いた
克子さんが、ゆらりと起き上がって自分のバッグのところまで行く
中から何かを取りだした
雪乃様、もしかしてこれが欲しいんじゃないですかっ
克子さんが、雪乃に見せたのは小さなビニール袋に入れられた小粒の何か
このお薬ご存じですよね
それはオレンジ色の丸くて大きな錠剤
あっ、それ
雪乃が、跳ね起きる
欲しいんですかって、聞いているんですよっ
そのオレンジ色の錠剤は今日の午後、雪乃が岩倉生徒会長から貰って飲んだのと同じ物
セックスして二十四時間以内なら、妊娠を防ぐことの出来る緊急避妊薬だと、雪乃と岩倉先輩は信じ込んでいる薬
オレは知っている
これは、そんな薬ではないことを
それは、ただのオレンジ色の糖質でコーティングされたマーブルチョコレート
妊娠を妨げる効果など無い
ほ、欲しいですそれを下さい飲ませて下さいお願いしますお願いしますお願いします
あたしに頭を下げられても困りますっ吉田様にお願いしてみて下さいっ
克子さんが笑って、オレを指さした
吉田様、どうしますこのお薬、雪乃様に差し上げてもよろしいですかっ
笑ってる
克子さんは、笑っている
お願いあたしに下さいっお願いだから一生のお願い頼みますっ何でもするからお願いしますぅぅ
雪乃が
裸でオレに、土下座をする
額をタイルの床に、押しつけている
オレに
オレみたいな男に
土下座してまで
贋の避妊薬を欲しがっている
そんなに、オレの子を孕むのが嫌なのかよっ
オレの中の獣が、眼を覚ます
女の心が丸裸になった時こそ、さらなる追い込みを仕掛けるッッ
いいだろう克子さん、その薬、雪乃にくれてやって下さい
雪乃が、ハッと顔を上げる
喜ぶなよ
喜ぶのは、まだ早い
オレは、雪乃の顔の前にペニスを突き出して言った
だが、その前にもう一発だッもう一回、楽しませろッ中に出してやるだから、くわえろっしゃぶれッお前の口の中で、オレのチンコを元気にしろッッ
雪乃の顔が絶望する
そっかここまでやらないと、ダメなんだ
雪乃は、手に入らないんだ
もっと、鬼にならないと
オレに犯されながら、克子さんのマンコを舐めろッお前の舌で、克子さんがイクまで舐めるんだッ
克子さんが笑っている
祝福してくれている
新しい性獣の誕生を
さあ、雪乃もう一回だ
そのまま、薄暗い調理実習室で、
オレはさらに三回、
白坂雪乃の中に射精した
昨日、前話をアップした時は、
雪乃の調教は、とりあえず心が折れるところまでやったんだから、これで充分だろう
と思っていました
ところが、夢枕に克子さんが出てきて
作者のバカバカチンポ心が折れたんなら、そこを狙ってさらに追い込むのが鬼畜道でしょうってのっこんなチャンス、なかなかないのよっ
と激しく叱られました
せっかく、おしっこを引っかけてあげたんだから、次は雪乃様がおしっこするターンに決まっているじゃないのっ
だからといって、さらに四回セックスするのは
いや、性獣たちの勢いは恐ろしいです
一週間で百回セックスこいつらなら、あっさりいけるかも
27.宴の後
全てが終わった後、もう一度シャワーを浴びた
もう何も出ないこんなに射精したのは生まれて初めてだ
眠いだるい身体がくったくただ
腰も痛むしヤリすぎて亀頭がヒリヒリする
克子さんが、清潔なバスタオルを出してくれた
それで身体を拭いてもう一度、おしっこ臭い宿直室に服を取りに戻る
克子さんは、元のメイドさんモードに戻って、明るく話し掛けてきてくれたがオレと雪乃はずっと無言だった
とにかく疲れた
制服の上着に入れてあった携帯を見ると、午後九時を過ぎていた
ずっと、セックスしていたんだ
雪乃と
雪乃も、自分の携帯を見ている
着信のランプが点いている
きっと、遠藤から電話が掛かって来ていたのだろう
何度も
服を着てもいいですか
小さな声で雪乃が、克子さんに尋ねた
吉田様よろしいですか
それを、克子さんがオレに
雪乃は決して、直接オレには尋ねない
ああもういいよ
だ、そうですっ
克子さんが、ニコッと笑って雪乃に言う
性獣モードの狂った女はいない
とても優しそうなお姉さんの微笑みだった
のろのろと全身が疲れ切っているのだろう雪乃は、脱ぎ散らかした衣服の中からパンティを探している
ほら、これだろ
床に落ちていたそれを見つけてオレは雪乃に拾ってやる
雪乃は、無言で受け取った
青いシルクのパンティに、脚を通して履く
丸いお尻が、布の中に包まれていく
これで裸が見納めなのは残念だが、仕方が無い
続いて、雪乃はよろよろとブラジャーを探す
裸電球一つの暗くて、小便臭い部屋の中で雪乃の情けない探索が続く
オレの方は一気に脱いだから服はだいたいまとまって堕ちていた
とっとと着る
時々、雪乃の様子を確認しながら
おおっ、ブラを付けている
克子さんは、一番早くてきぱきと服を着てしまった
さすが脱ぎ慣れしている人は、着るのも早い
そして自分のバッグから、大きな携帯電話機を取り出した
ボタン一つでコールする
もしもし、克子ですっ今、終わりましたっ
弓槻先生への報告か
はいっ判りましたっ
克子さんが電話機のスイッチをピッと押す
とスピーカーの音量が大きくなって、克子さんの電話から弓槻先生の声が聞こえてくる
二人ともお疲れ様どう、セックス部の初日の活動は気持ち良かった
弓槻先生の声は、楽しそうだった
克子詳細を報告してちょうだいっ
服を着る雪乃の手が止まる
白の制服ブラウスを着ただけ
下は下着丸出しのままの雪乃
はい、お嬢様膣内射精が七回、フェラチオ精飲が一回、顔面射精が二回それからオプションで、ストリップ強要と写真撮影、おしっこ浴びがあたしと吉田様の二人分、雪乃様ご本人の排尿披露が一回ですっ
うわぁ、ずいぶんやったなあ
そう膣内射精は、一回三万円だから全部で二十一万円ね精飲は二万円ストリップも一万円撮影も今回は動画無しの写真のみだから、十万円ってことでいいわねおしっこ浴びは、克子が好きなんだけどあたしは、あんまり評価していないのあれ、何が楽しいのかよく判らないわだから、二人分で一万円てことにするわね本人の排尿披露も一万円ね
電話の向こうで、弓槻先生がてきぱきと計算していく
合計で三十六万円よ今晩中にあなたの口座に振り込んでおくわまた随分稼いだわね、白坂さん卒業までに、マンションでも買うつもり
先生は大きく笑った
雪乃は無言のまま
今夜の彼女は、もう泣けない
吉田くんスタンプ・カードを出して
ああそうだった
オレは財布にしまっておいた、カードを取り出す
白坂さん、射精した回数だけ十個、スタンプを押しなさい
克子さんがバッグからスタンプを取り出し、雪乃に手渡す
雪乃は自分でスタンプを押すことを、嫌がっている
今日の労働の成果でしょ白坂さんが、自分で押すのよっ
さあっ押して下さいっ雪乃様っ
二人の女の命令に雪乃は、おずおずとスタンプを押す
カードにゆきのという印が増えていく
残り七十六回ねこのペースでいけば、残りの期日でスタンプ欄を全部埋めるなんて簡単ねそろそろセックスも、気持ち良くなってきたでしょ白坂さん、十六歳のゴールデンウィークは、一生忘れられない思い出になりそうねっ
先生は笑う
雪乃は無表情で、一つ一つスタンプを押していく
十個、確認しました吉田様どうぞ
克子さんが、新しい十個のスタンプを確認して、カードをオレに返してくれる
後六日で七十六回のセックス
それから、白坂さんあなたは、今日から生徒会のお手伝いをするってことにしておいたからそれで、今夜は帰宅が遅くなったお家の方にも、そういうことにして連絡しておいたから
家のことを話題に出されて雪乃は初めて、人間的な表情を取り戻した
安心なさいあなたとの約束通り、あたしは電話していないわ岩倉さんに電話して貰ったの全校から信頼されている生徒会長からの連絡ですものあなたのお母様も、すんなり信用して下さったそうよ
先生は自分の玩具たちを使って、雪乃を包囲していくつもりらしい
片方では岩倉会長という、同じ境遇に遭った先輩として心を許せる相手を用意し
もう片方では克子さんを強圧的に精神支配してくる恐怖の対象として、認識させる
そうやって自分の配下を使って、様々な方向から雪乃を攻略し自分は彼女たちの上に君臨する
雪乃を七番目の玩具に堕とし込むまで先生の戦略は続いていくのだろう
今夜はもう遅いから、白坂さんは克子に車で送らせるわ吉田君は、バスで帰りなさい
昨日からの二日間、本当に色んな事があった
やっと、自分の部屋に帰れる
そうね自分の日常生活の空間に戻った時に、あなたたちは初めて実感するんでしょうね自分たちが、どれほど変わってしまったのかそして、もう元には戻れないということに
先生は、ふふふふと笑った
もう、戻れない
今夜は、ゆっくり休みなさい明日は、遅刻しないようにね学校を休んだりしたらどんなことになるか、判っているわよね
先生の言葉に、雪乃は震える
白坂さん、お返事は
吉田くんも自分は関係ないみたいな顔をしてちゃダメよっ
えっオレもか
そうだオレも調教いや、克子さんの説明だと教育されているんだっけ
はいっ、判りました
と答えた瞬間に、ハッとする
やっぱり弓槻先生は、この部屋をモニターしている
どこかに、隠しカメラがある
先生ずっと、見ていたんだ
良い返事ねでは、二人ともまた、明日
電話が、切れた
建物を出て東門の前まで行く
克子さんが、一つ一つのドアに鍵を掛けて行った
はいっ、これ
克子さんは、オレに鍵の束を渡す
鍵のあるドアの位置を覚えておいて下さいねっ明日からは、吉田様と雪乃様で自由に出入りして下さいっ
ここはセックス部の部室ですからああ、お掃除なんかは、あたしが毎日やっておきますから気になさらずに汚して下さいそうだ、雪乃様専用のおまるもご用意しますねっ
おまる
さっき、お嬢様がおっしゃっていましたけどあたし、可愛い女の子におしっこさせるの大好きなんですよっ
いやそんなこと、満面の笑顔で言われても
あーっおまるより、猫用のおトイレとかの方がいいですかねっペットっぽくて
そ、そうですね
じゃあ、そうしますっ雪乃様、いっぱいおしっこして下さいねっ
雪乃は答えない
雪乃様、お返事は
性獣がちらりと顔を出す
はい、じゃないですよっ感謝の言葉はどうしたんですっ
何に感謝しているのか、ちゃんと具体的に言って下さいッ
ビクッと震える、雪乃
ああの、ゆ、雪乃のために猫のおトイレを用意して下さってありがとうございますっ
このおどおどした態度は今日の昼までのオレの姿だ
雪乃とオレの態度がいつの間にか、逆転している
ちゃんと、おしっこするんですよっ他のおトイレを使ったら、承知しませんからねっ
はいわ、判りました
克子さんが、ニッコリ微笑み雪乃を抱き締める
頭を撫でて
はい、よくできましたぁっ雪乃様は、良い子ちゃんですねっ
これが克子さんの調教
緊張と緩和を何度も繰り返して、精神を疲労させ心の奥底まで浸透していく
克子さんの豊満な胸に抱かれて雪乃は、無表情のまま脱力している
では、あたしは車を取ってきますのでお二人は、ここでしばらく待っていて下さいっ
克子さんは、にこやかにそう言った
それから、バッグの中から紙包みを取り出して
お腹空いたでしょこれ、食べてて下さいっ
それってやっぱり
あたしが焼いたパンですっ今日のお昼過ぎに焼きましたから、まだ美味しくいただけると思いますっ
うわー夕べ、今朝、お昼、そして今ずっと、克子さんのパンだ
まあ、美味いことは確かなんだけど
紙の袋の中には、菓子パンが何種類も入っていた
パン焼くの好きなんですね克子さん
はいっあたし、将来はパン屋さんをやりたいんですっ
将来
克子さんの夢
その時の克子さんの笑顔は
二十歳過ぎの普通の女の子の、笑顔だった
やればいいじゃないですかっ克子さんのパン本当に美味しいし
オレが、そう言うと克子さんは、少し寂し気な顔をした
今はダメです今のあたしは、まだお嬢様の一番目の玩具ですからっ
ついに克子さんの口から、真実が明かされた
やっぱり克子さんが、一番目なんだ
雪乃も、ハッとして克子さんを見ている
弓槻先生が許してくれないんですか
オレがそう尋ねると克子さんは、首を横に振った
違いますっ今は、まだ時期ではないから
時期
あたしはまだ抜けられませんっ
克子さんは、抜けるという言葉を使った
ということは
もしかして今までに抜けた人が、いるんですか
雪乃が真剣な眼で、オレたちの会話を聞いている
はい二番目の子が
その人は、今は
幸せに暮らしていますよっ女の子を産んで今年3歳になるのかなとっても、可愛いんですよっ
結婚したんですか、その人
克子さんは、ハハッと笑った
まさかぁお父さんが、誰だか判らない子を産んで育てているんですよっあの子ももう、普通のセックスじゃ満足できない身体ですし
はいお嬢様の玩具は、出産するまでは抜けられないんですっそういう、ルールになっていますから
ルール
あたしも赤ちゃんを産んだら、抜けられますお嬢様は、ママになった女には興味がありませんからその代わり、ちゃんとその後の生活も面倒見て下さいます二番目の子は、今、近くの街でお花屋さんをやっています開店の資金は、全てお嬢様が出して下さいましただから、あたしもいつかはパン屋さんをそう思っています
それが克子さんの夢
その二番目の人って克子さんのよく知っている人ですか
親友です高校時代の
克子さんは悲しげに、東門を見上げた
この門の前で、よく待ち合わせしましたあはっ、懐かしいなっ
克子さんてもしかして
はいこの学校の卒業生ですそして、お嬢様の最初の生徒ですっ
卒業生
先輩なんだ
さっきの料理実習室で、昔、パンを作りました最初にパンを焼き方を習ったのが、あの部屋ですあの頃は、まだ旧校舎でしたしこの東門が学校の正門でした今日は、懐かしい場所に来られてとても嬉しかったですっ剣道場もあたしの時のが残ってたら良かったんですけど
剣道場
そうだ、克子さんは高校時代、剣道部だって言ってたっけ
昔の剣道場は、三番と五番の子が燃やしてしまいましたからっ
五番の子って奈島センパイかよっ
金髪センパイ、マジ不良なんだっ
いやそんなことより
あの克子さんて、お幾つなんですか
克子さんはニヒッと笑った
女に年を聞くのは禁句ですよっ
あっすみません
二十一ですわっ
ということは五年前の新入生
お嬢様は、あたしが一年生の時に新任の先生としてこの学校にいらっしゃいましたこの五年で、この学校はすっかり変わってしまいましたね
校舎は、全て新しい物に建て替わり弓槻先生の盗撮・盗聴システムが埋め込まれた
同時に、この工事地区の様な一般生徒の立ち入り禁止も残されている
表では生徒会に、岩倉会長の様な精神支配した生徒を送り込み
裏では奈島センパイに暗躍させる
いやオレはまだ、三番と六番を知らない
さて、お喋りが長くなってしまいましたねすぐに車を廻して参りますので、お待ち下さいっ
そう言うと、メイド服の克子さんは東門から立ち去った
門には、オレと雪乃だけが残る
雪乃、パン食べようぜ
オレは袋から、クリームパンを取り出して食べた
克子さんのパン屋さんは、絶対に成功するだろう
幼子を抱えながら、店をやるのは大変だろうけど
雪乃も食べろよっ、腹減ってるだろ
雪乃は差し出されたパンを無視して、オレから距離を取った
ガニマタで、よろよろと歩く
昨日からセックスで酷使された肉体
克子さんがいなくなった瞬間に、緊張がとれたのだろう
一気に腰にきたのか、校門の脇のコンクリの塊に彼女は座り込む
おい、大丈夫かよっ
オレが近づこうとすると
来ないで近づかないで
小さな声で、そう呟いた
あたし、早く家に帰りたい家で温かいお風呂に入り直したい
地面を見つめてそっと囁く
何か、食った方がいいよ少しは元気になるパンが無理なら、飲み物でも買ってこようか
オレは、二十メートルほど先に自動販売機を見つけて、そう言った
いらない何も、いらない
雪乃は、オレの方を見ようとはしない
そんなこと言わずにさ雪乃って、普段はどうなのっ学校帰りに買い食いとかしないの
場の空気を和ませようとオレは、少し気安い感じでそう言った
よろよろの雪乃がキッとした眼でオレを見る
やめてよっ
さっきまでとは違うはっきりとした、鋭い口調だった
あなたとは、そういう関係じゃないでしょ
そういう関係って、どういう関係だよっ
雪乃は立ち上がって大きな声で喚くッ
忘れないであたしは、あなたが大ッ嫌い殺してやりたいって思ってるあなたなんて友達じゃないわ友達じゃないんだからそういう話はしないでっ
何度も体を合わせたオレに雪乃は、激しい言葉を投げつけるッ
そっかならいいよパンは、オレ一人で喰うから
オレは雪乃の憎しみの視線から、顔を背けた
すると雪乃は
そうよっあんたみたいな男は、一人がお似合いよッッ
なんだと
自分一人じゃ、何もできないくせにッッ
雪乃の憎悪の眼がオレを見ている
暗い瞳でオレを見ている
自分の過ちと誤りを理解した
雪乃を脅迫して、言葉で縛っているのは弓槻先生だ
オレじゃない
雪乃の信頼を掴んで、心に入り込んだのは岩倉会長だ
雪乃を精神的に追い込み、服従させているのは克子さんだ
確かにオレは何度も雪乃を抱いた
一緒に絶頂にも達した
だけどそれでも、なお
オレは雪乃の何でもない
支配者ではない
恋人ではない
友達ですらない
オレは彼女にとって憎むべき、弓槻先生の道具
彼女の中に精液を吐き出す、セックスの道具でしかない
雪乃はオレを一人の人間として承認していないっ
そう感じた瞬間オレの瞳に涙が溜まった
くわぁぁと、一気に涙が溢れる
ふぅんあなたでも泣くの泣けばいいのよっ
雪乃が、オレを嘲る
変態ッ気違いッバカッ人間のクズッあんたなんて死んじゃえッツ一人で死んじゃえっっっ
雪乃が、オレを罵る
ずっと溜め込まれていた、雪乃の負の感情が
オレに向かって、一気に放出されたッッ
雪乃が、憎悪の眼でオレを見ている
心の底から、オレのことを嫌悪している
オレを罵倒している
悲しい
涙が涙が、止まらない
オレはオレの初恋を、この手で締め殺してしまったんだ
道の向こうからヘッドライトの光が差す
克子さんの車だ
今日の車はミッドナイト・ブルーの大きなベンツだった
お待たせしましたっ
克子さんが運転席の窓を開けて、そう言った瞬間後部座席のドアがガチャッと開いて、岩倉会長が飛び出して来るッ
白坂さんあなた、大丈夫ッッ
雪乃に駆け寄る生徒会長
い、岩倉さぁん
信頼する先輩の姿を見て、雪乃は彼女の胸に飛び込む
岩倉先輩も、ギュッと雪乃を抱き締めた
ごめんなさい、白坂さんっ助けてあげれなくてでも、もう平気よっあたしがいるからここにいるんからねっ
せんぱいあたしぃぃぃ
わぁぁーっっと大きな声を出して雪乃は一気に泣き出した
堪えていたものが、一斉に噴出する
岩倉会長の胸の中で雪乃は泣きじゃくる
大丈夫よお家までは、あたしが付いていってあげるわっ御家族にも、あたしが上手く話すから絶対に心配させないからっねっ、白坂さんもういいのよ、もういいんだからねっ
そう言って、岩倉先輩は車の中に雪乃を押し込んだ
車に乗り込む時、オレのことをギッと睨んだ
侮蔑の眼だった
では雪乃様はあたしたちで、お送りしますっ
運転席の克子さんが笑ってオレにそう言った
あっ克子さん、待って下さいっ
オレは、車を発進しようとする克子さんに声を掛けた
はい、何でしょう
驚いて、きょとんとした顔の克子さん
今日は色々と、ありがとうございましたっ
オレは、克子さんに深々と頭を下げる
なっ何です、いきなりっ
感謝の言葉ですっ
そうこれも今日、克子さんに習ったこと
それからっ、パン、美味しかったですっきっと克子さんなら、良いパン屋さんになれると思いますっ
オレがそう言うと
運転席の克子さんは、少し照れた顔をして
そう思って下さるのなら、次の機会にはちゃんと克子のことも犯して下さいっ
克子は早く、出産したいんですっ
そんな恐ろしい言葉を残して
克子さんの運転する車は、走り去って行った
人気の無い東門の前にオレは一人きり
空には、月が昇っていた
えっと、何故か今週は土曜出勤を命じられました
クリスマスって何なんですか
28. 黒い森
携帯を見ると午後九時四十八分
さて、オレも帰るか
オレの家から学校までは、最短時間で四十五分だけどこの時間じゃあ、バスの本数が少ないだろうし
なんて考えながらオレは学校指定の青い通学バッグを担ぎ上げた
東門の前から大通りへ出る方向へ歩き出す
後ろから、やって来る車
ヘッドライトの目映い光
オレは、その車を知っている
車は緑色の大きなミニバン
後部座席は、ミラーシートで隠されている
それは弓槻先生の車
車は、オレの横で停車した
スーッと電動で運転席の窓が開く
あら、吉田くん、今帰り
白々しい
どうせ、どっかから監視していたんでしょ、弓槻先生
先生は、あははと笑った
ここは盗聴マイクだけよ面白かったわ白坂さんが、あなたにキレてたわね
ねえ、吉田くんどうして、あんな子がいいのっ
先生は、嘲るような眼でオレに尋ねた
言葉通りの意味よだって白坂さんて、つまんない女の子じゃない
つまらない
ちょっと可愛いだけの、どこにでもいる普通の子よそうね、顔は綺麗だからアイドルくらいはやれるだろうけれど、決して大成しないタイプ少数のマニアックなファンは付いても、ブレイクはいないまんま年齢を重ねてフェード・アウトで引退ってところかしら
先生は、楽しそうに雪乃のことを評した
性格は、もっと単純でありきたり恋に恋しているだけのバカな娘初めて男の子に付き合ってくれって言われただけで、舞い上がっちゃったのよね遠藤くんの外見とスポーツマンとしての評判が、自分の好みとたまたま合致したんでしょただ、それだけで相手のことをよく知らないまま、運命の恋だと思い込んでううん、思い込もうと決めちゃったんでしょうね彼女自身が勝手に
弓槻先生は雪乃の遠藤へ恋愛感情を、本物ではないと断言する
そうでしょうか
決まってるでしょ本当に相手のことを愛しているのなら、卒業するまで、恋人とキスもセックスもしないなんて、公然とクラスメイトの前で約束できる彼女の頭の中に理想の恋愛イメージがドンと大きく存在してて、彼女はそれだけを愛している本当は、遠藤くんじゃなくてもいいのよ彼女の理想に合ったキャラクターなら、誰でもね
そっか
そうだろうな
そうじゃなきゃ、雪乃が遠藤みたいな男を好きになるはずがない
もちろん、吉田くんあなたは、彼女の理想の恋人のキャラクターに含まれてはいないわよもし、あなたが普通に交際を申し込んでいたとしても、白坂さんがあなたを恋人に選ぶことは絶対に無かった
そんなことは、判っていますッ
そうさ、そんなことは初めから判っている
だから、オレは
彼女を犯すところからしか
始められなかった
まあ、そこそこの美少女で、ずっと周囲の人間からちやほやされて育ってきた女の子だから、客観的に自分を見ることができないんでしょうねでも、ちょっと脳内ファンタジーが過ぎるわよねっ白坂さん、頭のネジがどっか緩んでるんじゃないかしらっ
先生が車の運転席で大きく笑う
白坂雪乃という一人の少女を、徹底的に批判して嘲り、高笑いする
吉田くんは、どうしてあんな子がいいの
どうして
外見が気に入ったそれとも、あの子の上辺の優しさに感動しちゃったもう判っていると思うけれど、あの子が誰にも親しげに振る舞っているのは本心からではないわよ白坂さんは、日常生活の中で自分の理想像を演じているだけみんなから好かれる自分が好きってことねクラスメイト全員と仲良くしながら、心の中では自分より容姿や能力の劣る生徒を小馬鹿にしている白坂さんて、そういう女の子よ
先生は、ニッと笑ってオレを見る
どうして、そこまで言い切れるんですか
だって、あたし、先生だもの判るわ入学からまだ一月でも、ずっと見てきたから聞いてきたから教室内の会話だけじゃないわ女子トイレの中だけでの話とか、校舎の裏、屋上、クラブの更衣室での噂話白坂さん本人の言葉だけじゃなく、他の生徒たちが白坂さんについて語っている内容まで全てね
弓槻先生は何でも知っているんだ
学校の中で起きたこと語られたことの全てを
知ってる遠藤くんの野球部では、白坂さんがどのタイミングで遠藤くんに身体を許すか賭の対象になっているのよ一番人気は、夏休み夏の大会が終わって一段落した時期二番人気は、今度のゴールデンウィーク中遠藤くん本人は、ゴールデンウィークの後半に賭けているわ三千円
遠藤ッ
卒業までセックスしないという弓槻先生との約束を、あいつは全然守る気が無いんだなッ
ほら、遠藤くん、五月一日の練習試合に出るでしょさすがに、その前に白坂さんとセックスしたことがバレたら、レギュラーを外された二年生、三年生のセンパイ方に申し訳ないでしょ賭けになっている以上、結果は部員全員に報告しないといけないわけだから
それで、遠藤は
五月一日以降に、雪乃にセックスを迫る
そういうことだからあなたが昨日レイプしなかったとしても、どうせ白坂さんの処女は近いうちに破られる予定だったのよそしてまあ三ヶ月から半年で、遠藤くんとは破局ねあんな自分勝手な子同士が、そう長続きするわけがないものでも、別れるまでには、何度もセックスするわね白坂さんは、すっかりセックスの味を知って、遠藤くんと別れる
弓槻先生の恐ろしい予言が続く
でも、白坂さんて普通に可愛い子だから、すぐに次の恋人ができるわ卒業までずっと男が途切れることは無んじゃないかな長くて一年、短くて数週間で、どんどん男が入れ替わるもちろん、彼女のことだから全員とセックスしちゃうでしょうねそして、卒業式で泣くのよあたしの高校生活は、とっても楽しい三年間でしたっって実際にやったことは、何人もの男のペニスをくわえ込んでただけなのに
いやらしい笑みを浮かべる、女教師
先生の眼がオレを試している
多分、そうなんでしょうね
先生の分析は正しいだろうって、思った
間違ってはいないって
白坂雪乃はそういう女だ
吉田くんあなたは、たまたま、まだ誰にも汚されていない白坂さんに出会っただから、彼女に好意を持ったのよもし、あなたたちの出会いが一年先ですでに白坂さんが処女を失った後だったら吉田くんは、白坂さんを好きになったかしら
すでに非処女で他の男の精液の味を知っている女なんて、昨日までの吉田くんなら興味が無かったでしょう
昨日までのオレなら
おそらく
それでねここで、吉田くんにちょっと提案があるんだけど
悪魔が、オレに微笑みかける
白坂さん以外の女の子も抱いてみない例えば、克子とか奈島寧とか寧はいいわよ白坂さんの何倍も綺麗だし優しくて性格の良い子だしもちろん、他の子でもいいわよ学校にいる女生徒なら、誰でも吉田くんが、セックスしてみたい女の子がいれば、誰でもセッティングしてあげるわうちのクラスの女子、全員妊娠させてみる来年の入学試験を受けに来た中学生を片っ端からレイプするそういうのでもいいわよっ
オレは、女教師の眼を見て、ハッキリと答えた
オレは、それでも白坂雪乃が好きなんです
女教師の顔が、不満そうに歪んだ
あんな子なのに
オレの口から、思いが飛び出す
でも、好きなんですっ
この思いは、どうしようもないっ
あらそうでも、好きな子にあなたは最低のことをしたのよ無理矢理処女を奪って、何度も何度も犯した上に、おしっこまでした判ってる
判ってます
犯罪行為よ人として許されない行為知っている性犯罪で捕まった男は、刑務所の中では徹底的なイジメに合うのよそして、出所したあとでも一生性犯罪者のレッテルを貼られる住居や就職先を毎回警察に調べられるもちろん、過去を知られたら居場所を失うわ
それであなたこれから、どうするつもり
弓槻先生の意志に反する以上この先、オレは先生の助けは受けられない
警察に捕まり、学校を退学することになるのは当然だろう
オレの人生は、破滅だ
破滅であることは、確実だ
もう雪乃に会うことはできなくなるのか
あの身体を抱くことはもう
オレ、何でもします雪乃のためなら、何でもするつもりです
オレの答えに、先生の片眉がキュッと上がった
どういうことかしら、それっ何でもして、罪を償うってこと一生懸けて、白坂さんに謝罪するっとか
そういうことじゃありませんッ
一瞬の沈黙
夜空を見上げる
月が銀色に輝いている
オレは弓槻先生に深く頭を下げた
オレ、何でもしますっ先生の言うことでしたら、どんなことでもしますっ
両手を地面について、土下座するッ
ですからっ白坂雪乃は、オレにくださいっお願いしますッッ
自分でも理屈に合わない、ハチャメチャな願いだと思った
そもそも、雪乃は先生のものではない
でもどんなことをしてでも、オレは雪乃が欲しかった
罪を償うっていう気は無いのね
車中から先生が言った
はいオレ、何も後悔していませんからレイプしなければ、オレと雪乃は何も始まらなかったから
ずっと、遠くから見ているだけの方が幸せだったかもしれないわよ
そんなことないです見るだけじゃ、嫌です雪乃をこの手に抱いて雪乃の中に射精する方が、何万倍もいいっ
警察に捕まるようなことになっても
覚悟はできています
吉田くんの一生がメチャクチャになるのよっ
オレの心は決まっていた
もういいんですオレの一生とか、未来とか、そんなの全部オレ、今すぐ警察に捕まって、一生刑務所で過ごすことになっても構いません今、この場で死んだっていいですオレもう、死んでもいい
こんなに大好きな雪乃が抱けたんですキスもしました、セックスも雪乃は処女で、オレは童貞で腰が抜けるまで射精しました夢みたいでした
涙がまた、零れてくる
オレもう、一生分の幸運は使い切ってしまったような感じがしますっだから、もういいですっ残りの人生は、先生に捧げます先生がいなかったら、オレは雪乃を抱けなかったから感謝してますッ弓槻先生ッッ
オレの涙に呆れたように弓槻先生は呟いた
それってあなたがあたしの道具になる代わりに、白坂さんを自由にして欲しいって言うこと
違いますっ
オレは、土下座からカッと先生を見上げるッッ
先生の道具になりますッでも、雪乃は自由にしないで下さい雪乃が、オレ以外の男に抱かれるのは嫌ですッ
これは、恋では無い
これは、愛でも無い
固執だ妄執だ
それでもっ
雪乃とセックスするのは、オレだけなんですッッ
ぷっ、と弓槻先生は、吹き出した
ふふふふ、くふふふふ、はははははは、あはははははは
先生の笑いが止まらない
先生が、オレを笑っている
いいわぁ、吉田くんあなたって、本当に愉快だわっ最高の逸材よっ
ようやく先生の笑いが止む
ニッとオレに微笑みかけた
あたしね、白坂さんは外国に連れ出すつもりだったの
外国
東南アジアあたりのスラム街へね貧民窟で、白坂さんには売春婦をして貰おうって考えていたのよ一回二十円くらいで、セックスしちゃう最低の売春婦にね日本人の女の子は珍しいから、きっと人気者の娼婦になれるわもう、候補の街も幾つかピックアップしていたんだけどね
そんなことを計画していたんだ
あのプライドの高い、バカな娘を徹底的に堕としてやりたかったのでも、やめるわ
先生がオレを見る
白坂さんは、あなたにあげるわあなたに抱かれ続ける方が、スラム街で二十円の売春婦をさせられるよりも、よっぽど酷いわ本物の地獄だと思うから
オレは、雪乃を
この手で地獄に堕とす
吉田くん、何でもすると言ったわね
あなたにはこれから罪も無い人たちを傷つけたり、女の子を無理矢理レイプして貰うことになるんだけど構わないかしら
構いません
そのうち警察に捕まるかもしれない殺されることになるかもしれない言っておくけれど、あたしはいつでも平気であなたを見捨てるわよっ
それでもいいです
もう、どうなっても
抱き続けられる限り雪乃を抱いて破滅する
そんな人生でいい
車に乗りなさい、吉田くん
先生は満足げに微笑んでオレに言った
ようこそ、犯罪結社黒い森《ブラック・フォレスト》へ
弓槻先生の緑色のミニバン後部座席のドアを開く
そこには、すでに二人の乗客がいた
3列シートの2列目の左右に一人ずつ
二人とも金髪の少女
同じ黒い革ジャンを着ている
一人は
いやぁ、君はやっぱり面白いねぇっ
奈島寧センパイ
染めた金髪にブルーのコンタクト
センパイは昼に会った時よりも、濃いメイクをしている
ホント外国人みたいだ
黒の革ジャンの下は、ピンクのタンクトップに水玉のミニスカート
五十年代のアメリカ映画に出てきそうな姿がとても似合っている
でも、君ねあたしよりも、あんな子を選ぶなんてどうかしてるよっそのうちシてあげるから、あたしの良さを身体で確認しなさいっ
いや、まさか奈島センパイが乗っているとは思わなかったので
よくそんなことを言う
と言ったのは、もう一人の女性
誰だろこの人
奈島センパイは、外国人ぽい顔立ちなんだけどこの人の顔は、マジで外人外人そのもの
奈島センパイと同じくらいの量の金髪も、多分、本物
眼だって、本当に青いし
っていうかスッゲェ怖そうなんですけど
美人は美人なんですが左の頬に大きな傷がある
この傷が無ければ、奈島センパイ並に綺麗な顔立ちなんだけれど
むしろ、綺麗な顔に傷があることで、この人の怖そうな雰囲気が3倍増している
革ジャンの下の肉体も、スタイルは抜群だけど筋肉隆々な感じだし
黒いTシャツに、下はジーパン足は米軍みたいなブーツを履いている
怖い外人姉さんは、言葉を続けた
寧、お前まだ処女だろッ
えっ処女
思わず、寧センパイに視線を戻すッ
もおおっマルちゃんバラさないでよっっ
えっホントに処女なの
確か、奈島センパイって妊娠して堕胎して、それで出席日数が足りなくてダブったっていう話じゃ
バレちゃったんなら、仕方ないなぁっ吉田ちゃんに、あたしの処女あげちゃうからっする時は優しくしてねっ
せ、センパイ、何を言っているのかよく判らないです
後輩に自分の処女を押しつけるな
いいのっ今日から吉田ちゃんは仲間なんだからっマルちゃんだって、吉田ちゃんとセックスするでしょ
さあなどうするかな
どうすりゃいいんだ、オレは
吉田くん、寧とはもう会っているわよね寧の隣にいるのがマルゴよマルゴ・ハイウェイ・スタークウェザー三番目の子よ
三番目
マルゴは、あたしがアメリカに居た頃に拾った子なの彼女はアメリカ・インディアンの血を引いているのよ
と、運転席の弓槻先生が説明してくれたが
イ、インディアン
どうかした吉田くん
あのインディアンて言葉、使っていいのかなって
マルゴさんの顔が、ピクッと動く
何だ、お前、インディアンをバカにする気かッ
こ、怖ぇぇぇーっ
いやあの今は、ネイティブ・アメリカンとか呼ばないといけないんじゃないですか
そんなようなことを、習った覚えがあるのですが
ああそれは日本の出版社が一時期、勝手にやってたキャンペーンよアメリカじゃ、今でもインディアンはインディアンよっ
弓槻先生が運転席から助け船を出してくれた
そうなんですかオレ、知らなくてあっ、別にインディアンを馬鹿にしたりはしてませんからっあの
オレのビビッた様子に、マルゴさんはクックと笑い出す
初めましてマルゴって呼んでくれ
マルゴさんがオレに手を差し出してくる
吉田です
握手してみて判った
すげぇ分厚い手拳のところが硬くゴツゴツ盛り上がっている
これ普段から何かを殴り慣れてるってことだろ
吉田くん、マルゴは武闘派だから変なことして怒らせたら、大変なことになるからね
いや見れば判ります
そんなことないから、マルちゃんとっても優しいよっいつもあたしのこと抱っこして寝てくれるんだからっ
って、マルゴさんに抱きつく奈島センパイ
ど、どんな関係なんだこの三人
奈島センパイが金髪に染めて、青いコンタクトを入れてるのはもしかして、マルゴさんに合わせている
では行きましょう、吉田くんは後ろの座席に座って
言われるままに、席に着く
どこへ行くつもりなんだろう
弓槻先生は車を走らせる
車は学校から大通りへ私鉄の駅の方へ向かって、走っていく
車中では、奈島センパイだけが明るくペチャクチャと話している
マーゴさんと先生が、たまに相づちをついてオレは黙ったまま
やがて車は、私鉄の駅のロータリーに着いた
ここはそんなに大きな駅ではないから、そんなに賑わってはいない
ドーナツ屋とコンビニがやっているだけで、他の店は全部閉まっている
もう十一時近いから、電車が着かない限りほとんど人も通らない
そんな中に一台のワゴン車が停まっていた
見るからに不良の車
メタリック・パープルという頭の悪そうな色に塗り替えられてる
後ろのドアを開けて、車内からでっかいスピーカーでズンチャカとヒップホップ風の音楽を垂れ流している
車の周りには大学生くらいの男が四、五人とケバイ顔の女が二人たむろっている
あっコンビニから何か買って出てくるのは、うちのクラスの小林と大宮じゃないか
センパイッビールと摘み、買ってきましたっ
おっ、寄越せっみんなにも配れよっ
何で、あいつらこんなとこでパシリやってるんだ
地元の不良グループの集まりとかなのか
あーあ、駅前で酒盛り始めちゃったよ
地べたにみんなして座り込んで
標的は、あの車よ
運転席から、先生が命ずる
ドアを開けて、マルゴさんがスッと外に出る
んじゃ、吉田ちゃん、あたしも行って来るねっ
っと奈島センパイ
えっどこへ
センパイは、ニコッと微笑んで言った
んふふっあたし、おとりだからっ
マルゴさんとは違い、奈島センパイは大きくドアをガチャっと開けて外に出る
そのまままっすぐに、不良の車の方へ
黒い革ジャンを着た、金髪のミニスカートの美少女
するするするーっと、地べたにたむろっている不良たちの前へ
何よっ、あんたっ
最初に奈島センパイに声を掛けたのは、ケバイ不良女の一人だった
ねえねえ、この辺にトイレないかなっ
奈島センパイは、いつものニコやかさで女に尋ねる
そこのコンビニですりゃいいじゃんかそれより、一緒に飲まねぇか
デブッた不良大学生がジッポーでタバコに火をつけながら、じろじろと奈島センパイを視姦している
うん遠くから見ても、いい女だもんなあ
克子さんの方が、プロポーションはいいけれど逆に凄すぎて引く
その点、奈島センパイの身体は、親しみを感じるナイス・バディだし
やめてよ、そんな女
いいじゃんか、すっげぇ美人だぜっ
不良たちが奈島センパイに注目する
すると
もうガマンできないやっここでするぅぅ
奈島センパイは、水玉のミニスカートをまくり上げたッ
ぱぱぱ、パンティを履いていないッッ
そのまま奈島センパイは、放尿したッ
座り込んでる不良たちに向かって
シャーっと勢いよくおしっこが、奈島センパイの股間から吹き出すっ
てめぇぇ、何しやがるッッ
おしっこを引っかけられた不良の一人が立ち上がった瞬間
シュルルルンと物影から、マルゴさんが飛び出したッッ
シャッシュッ、シュッ、シュッ、シュッハァッ
蹴るッッ
殴るッッ
打つッッ
投げるッッ
グァッギッヒィィアアッゴォアッギョエッ
不良たちが男も女も声を上げる間もなく、あっという間に倒される
マルゴがスゴイのはね一撃で相手の行動力を奪いながら、絶対に失神させないってことなの誰にやられたのか、どれだけ痛くて苦しい思いをしたのかを、ハッキリ記憶させるためにね
倒れた不良たちは気管を強く打たれたのか、喉や胸を押さえてのたうち廻っている
これでは悲鳴も上げられない
あーあ、小林と大宮も引っ繰り返ってる
じゃ、吉田くん、これ被って行ってきて
弓槻先生が、オレに黒い物を差し出して来る
何ですか、これ
広げてみると覆面レスラーの被るマスクだった
完全な真っ黒のマスク
額に赤い字で吉と書いてある
それを被ったら、これを持ってマルゴと寧に渡して来て
それは、ビール瓶が2本
それから半分の長さにブッた切ったゴルフのクラブが2本
ビニールテープをぐるぐる巻きにして、持ち手を作っている
これって
オレが尋ねると、先生は
ぶん殴り棒よ
ぶん殴るのに使うから、ぶん殴り棒
早く行きなさいあんまり待たせるとマルゴがキレちゃうわよっ
先生は、ニタァと微笑んだ
吉田くんも、正式に犯罪者デビューしましょうねっ
オレは、急いでマスクを被って、ビール瓶とぶん殴り棒を抱えて車から走り出るッ
おーおー、来た来たっこっちだよーんっ
やっとおしっこを出し終わった奈島センパイが、オレに声を掛ける
遅いぞっ
すいませんっ
謝りながら、マルゴさんにぶん殴り棒を手渡す
マルゴさんは棒を手にすると、いきなり不良の車のフロントガラスを叩き割ったッッ
グワッシャン
あたしもやるーっ
奈島センパイも、ぶん殴り棒で窓ガラスをグァシャンッ
お、おいや、やめろやめてくれ
まだ地面に転がってのちうち廻っている不良の一人が、必死で二人に声を掛ける
だけど、マルゴさんと奈島センパイは
楽しそうに、ぶん殴り棒で不良の車をボッコボコにしていく
ドアが、ボンネットが、屋根がバキバキに凹んで
そんじゃあ、最後の仕上げだねっビール瓶貸してっ
オレは、奈島センパイに瓶を一本渡した
センパイは、割れたフロントグラスの上辺りにビール瓶を叩き付けるッッ
ガチャンと割れるビール瓶
ツンと鼻にくる臭い
ガソリンだッ
もう一本は、お前がやんなッ
マルゴさんが、オレに命じた
一瞬、躊躇する、オレ
何でもやるって、約束したんだろッ
オレは車のドアに向かって思いっ切りビール瓶を叩き付けたッ
ガソリンの飛沫が飛び散るッッ
マルゴさんが、地面に落ちていた不良のジッポーライターを拾い上げる
カチンッオイルライターの青白い炎
ひぃぃぃぃ
倒れていた不良が一気に起き上がって、逃げ出すッッ
や、やめてくれぇぇ
叫ぶ不良に、マルゴさんと奈島センパイが言った
Do’nt FuckBlack Forest
ブラック・フォレストをナメんなよっ
火の付いたジッポーが、不良の車の中に投げ込まれるッッ
ほらっ、逃げるよッッ
二人の金髪の美少女に抱きかかえられるようにしてオレは、先生の車に向かって全力で走るッツ
背後でボゥォァッっと燃え上がる熱気
炎で周囲が明るく照らされるっ
走りながら、奈島センパイがオレに叫んだ
これで君も仲間だねッッ
すみません、また時間が無くて推敲してません
後ほどやります
※12月26日早朝、推敲やりましたすいません
話は変わってません誤字脱字と言葉の入れ替えだけです
29.ターニング・ポイント
弓槻先生の車は、もの凄い勢いで現場から逃走する
そのまま車は、街の繁華街へ向かった
オレたちの学校の周りで、一番大きな駅の繁華街だ
高校生は土曜日も授業があるけれど世間的には明日から、もうゴールデンウィーク
街には、酔っ払ったサラリーマンや楽しそうなカップルがたくさん歩いている
ほんじゃあ、行こうかっ
奈島センパイが、オレに声を掛ける
行くって
んふふ見回りだよ、見回りっ
あたしらの縄張りのな
縄張りの見回り
はい、吉田ちゃんはこれ持って
奈島センパイが、オレに太くて黒い物を渡してくれる
革でできた長さ30センチくらいの筒渡されてみると、ズシッと重い
それっ、ブラックジャックって言うんだよっ中にはギッシリ砂が詰まっているのっ吉田ちゃん、専用だからねっ
ぶ、ブラックジャック
砂が詰まっている
振り回してぶん殴れ普通の鈍器と違って、肉体の内面に衝撃を与える殺傷力の高い武器だ相手に外傷が残らないから、こちらが特定されにくいという利点もある
殺傷力外傷が残らない
それから、これも渡しておくねっ
奈島センパイがもう一つ、電動ひげそりみたいな機械を渡してくれた
これは知ってるでしょっスタンガンてやつスイッチはこれね相手の身体に接触して、電撃をくらわす判った
今夜はなるべくフォローしてやるが自分の肉体は自分で守れ、いいなっ
えっとオレたち、これから何処へ行くんでしょうか
今夜は繁華街をぐるっと一周風俗街の一番ヤバイところまで行って、戻って来るミッションだAll Right
気を付けて行ってらっしゃい
弓槻先生の意地の悪い微笑みに見送られて車を出る
同じ黒革のジャンパーを着た、二人の金髪少女
その後ろを歩く学生服に黒覆面のオレ
って、これ何かの罰ゲームかよっ
マスクのおでこには吉の文字だし
しかし、あんまりにも変な格好なんで、革のブラックジャックをぶら下げて歩いていても、誰も気にしていないみたいだ
ちょっと、面白いものを見せてやるよっ
そう言って、マルゴさんがスタスタと先を歩く
マルゴさんの前には、酔っ払いのサラリーマンが二組と若いカップルが三組ほど歩いていた
すれ違いざまに
うぇっ
早くて、何も見えなかった
気がつくとサラリーマンとカップルの男が胸を押さえて地面に倒れるッ
うーん、さっすがマルちゃん
サラリーマンたちは、みんな倒れ込んだままゲェーゲェーと吐いている
カップルの男三人は股間を押さえて苦悶しているッッ
あっ、一人は血のションベンを漏らしている
連れの女の悲鳴
突然発生した阿鼻叫喚の地獄絵図に、周囲から人々が集まってくるッ
マルゴさんが、指で早く、こっちに来いと指示をする
慌てて追い掛ける現場から、何でも無い顔をして逃走する
あれさ、カップルの女の子が、ちょいブサイクだったよねっ
奈島センパイが、そんなことを言い出す
もう少し可愛かったら、拉致って来て吉田ちゃんにレイプさせたんだけどな
えっ奈島センパイ
そうか確かに、チンポ役が一人いると、遊びのバリエーションが増えるな
まマルゴさんまで
今度やろうよ花火大会とかクリスマス狙ってさ一番可愛い女の子を、彼氏の前でレイプすんのっどうどう、楽しくないっ
うん面白さそうだな、それ
あっ本当に不良なんだ
っていうか、不良なんてレベルじゃなくて、犯罪結社なんだ
この人たち
それぞれ一人が一組ずつカップルを選んでさ、誰の選んだカップルの泣き顔が一番面白かったか採点すんのっ吉田ちゃんにも、選ばせてあげるからねっ
こんな恐ろしい計画を名島センパイは天使の笑顔でする
弓槻先生が悪魔で、克子さんが性獣なら
奈島センパイは、堕天使だ
そしてマルゴさんは
見つけた行くぞ
風俗街に入った途端マルゴさんは、チンピラ風の四人組を見てオレたちに言った
オッケー行こう、吉田ちゃんっ
え、オレ
あたしたち、おとりだからっ
奈島センパイが、オレと腕を組む
腕にセンパイの柔らかな巨乳が当たってって、そんな場合じゃ無い
奈島センパイは、そのままオレを引きずるようにしてチンピラたちの所へ
お兄さんたち、ダメじゃないっこの街には二度と来ないでねって、お話ししたのにっここは、あたしたちの縄張りなんだよっ
奈島センパイは、天使の笑顔でチンピラたちに声を掛ける
チンピラたちは、突然近寄ってきた奈島センパイの姿にギョッとする
おっ、お前この間の外人女は、いないのかよっ
チンピラの一人が、周囲をきょろきょろ探す
マルゴさんの姿は見えない
ど、どこに行ったんだよ
姉ちゃん一人か
見ての通りっ、吉田ちゃんもいるよっ
何だこのガキはっ何でお前、マスクなんかしているんだっ
オレも理由を知りたいですっ
あの外人がいないんなら丁度良いこの間の礼をしてやるよっ姉ちゃん、オレたちの相手をしろよっ
そうだヤマダの兄貴のとこに連れてこうぜっ
そりゃいい姉ちゃん、援交ビデオに出て貰うぜノーギャラでなっ
この前の治療費と慰謝料、その身体で払って貰うぜっ
奈島センパイは、最高の笑顔で答えたッ
やっだよーんっ
チンピラたちが、一斉にセンパイに襲いかかるッ
捕まえろっふん縛れッ
バチバチバチッ
電気の火花が飛び散るッ
焦げ臭い匂いッッ
チンピラの一人が倒れるッッ
奈島センパイもスタンガン、持っていたんだッッ
吉田ちゃん、ぶん殴れッ
瞬間センパイの指示通りに、身体が動いたッ
オレは倒れ込んできたチンピラの肩口に、ブラックジャックを振り回して打ち込むッツ
ズシッと重い手応えッッ
チンピラの肩がベコッと凹むッッ
ええっ
一撃で骨が折れたッツ
ブラックジャックって、こんなに威力があるのかよっ
てめえら、やりやがったなッツ
残りチンピラ三人が、一斉に刃物を抜いた
風の様にマルゴさんが出現するッツ
シュッセェッハァァァッッ
わずか三発で残りの三人も、地面に転がる
お前たちは二度目だよなっ
マルゴさんは、チンピラの一人の足を思い切り蹴った
一撃で足が変な方向に曲がるッ
躊躇無く、折った
次のやつは腕をその次のやつは太ももを折るっ
チンピラたちは、うぎゃああと大きな声を出して呻いている
お前は、寧をビデオに出すとかふざけたことを言ってたから三倍な内臓破裂と膀胱破裂どっちがいい
地面に転がったまま、恐怖するチンピラ
マルゴさんの顔が冷酷に微笑む
睾丸破裂にしておこうっ
破壊力抜群の鋭い蹴りがチンピラの股間を潰すッッ
ギェェェェェェェッッ
チンピラの絶叫
マルゴさんは、なおもグリグリっと股間を踏みつぶすッツ
野獣だ
マルゴさんは野獣
もう一組、チンピラを病院送りにして俺たちは風俗街から逃走した
警察やチンピラの仲間が来ないうちに、現場を後にする
こんな見回りを毎晩やっているんですかっ
オレは早足で歩きながら奈島センパイに尋ねた
まっさかたまにだよ弓槻先生の命令があった夜だけまあ、一月に一回か二回かな
でもさっき、あたしたちの縄張りがどうのとか言ってませんでした
あんなの言いがかりを付けるための言葉遊びだよ縄張りなんて、どうでもいいじゃんっそんなの欲しくないしあたしたちは、ただ単に目に付いた地元の不良とかチンピラとかヤクザさんをブッ潰しているだけだよっ
えっ何で、そんなことを
オレの問いに、マルゴさんが振り向いた
あたしたちは、この街のヤバいやつらに顔と名前を売っているんだ
顔と名前を売る
ブラック・フォレストのねっブラック・フォレストは、最凶にヤバくて、危険で、狂ってるって評判を広めているのよんっ
この街のアンタッチャブルな存在になるために
何だって、そんなことを
吉田ちゃんもがんばってよねっ
さっきのブラックジャックの一撃は良かった思い切りの良いやつは、伸びるこれからも頼むぞっ
そうだ他人事じゃない
オレはブラック・フォレストのメンバーなんだ
弓槻先生の車に戻る
警察と病院には、もう話をつけてあるわチンピラさんたちの上の組織の皆さんたちにもね
いきなり、先生はそんなことを言った
吉田くん不良とチンピラ狩りをやっている分には、どこからも文句は出ないようになっているから安心なさいもっとも、ターゲットになった不良さんとチンピラさんは、こっちを目の仇にしているらしいけれど
それくらいの火の粉は、自分たちで何とかする
マルゴさんは、笑って言った
吉田くん、今夜はあたしの屋敷に泊まりなさいいいわね
二日連続の外泊
構わないでしょうどうせ、吉田くんの家には誰もいないんだし
やっぱり、知ってるんだオレのことも
えー、何吉田ちゃんて、一人暮らしなのぉっ
奈島センパイが驚きの声を上げる
一人暮らしっていうかそんなようなものっていうか
何それっ
失踪中なんです
オレは真実を語った
父親と母親が離婚して母親は家を出てって、父親は失踪中です
オレは中学の三年間を山奥の全寮制の男子校で過ごした
で、帰って来てみればこの有様だ
親父は会社の仕事がオーバーワークだった上に、上司と部下に挟まれて人間関係でも悩んでいたらしい
その上、お袋との折り合いが悪くなっていて
お袋は、オレの高校が決まると同時に離婚を決意した
オレはせっかく自宅から通える高校を選んだのだから、家に残った
こんな時に家を出て行くお袋が許せなかったし
でもそれらのことが一気に親父を追い詰めたらしくて
四月の三日オレの高校の入学式の日
親父は、遠いところへ行きます申し訳ありませんの書き置きを会社の机に残したまま戻らなかったらしい
家にはオレには何のメッセージも残していない
最初の一週間ぐらいは心配していたけれど二週間を過ぎた辺りから、もうどうにでもなれっていう気持ちが強くなっていた
まあ、親父の会社は現在はまだ休職扱いにしてくれているし家には、預金通帳は幾つか残されている
いざとなれば家を売ればいいし
少なくても、卒業までは何とか生活できる
なぁんだ、うちと同じじゃんっ
奈島センパイが、オレに微笑みかけてくれる
うちもそうだよっお父さんは、行方不明なのママはあたしが殺したんだけど
せ、センパイ
あたしもそうだ両親に捨てられたミナホが拾ってくれなかったら、インディアン居留地の中から出られないまま、酷い死に方をしていたと思う
マルゴさんもそう言ってくれた
今夜は、あたしが抱っことして寝てあげるねっ
奈島センパイが、オレをギュッと抱き締めてくれた
雪乃とは違う柔らかくて温かい肉体
セックスしてもいいけれど、寧はまだ妊娠しちゃダメよっ
車のエンジンを始動させながら、弓槻先生が言った
どうしてっあたし、早く赤ちゃん欲しいんだけどっ
センパイが先生に文句を言う
ルールを忘れたの出産したら、抜けてもらうわよ
そうだ、そうだった
弓槻先生の玩具には、そういうルールがあった
それは困るぅぅっあたし、まだマルちゃんといっぱい遊びたいし
あたしもそうだだから、すぐには妊娠するな寧
マルゴさんが、奈島センパイに優しく言った
判ったそうするぅ吉田ちゃん、すぐに赤ちゃん産んであげれなくて、ごめんねぇ
いやそんなの、謝られても
それより
なあに、吉田くん
運転しながらバックミラーでオレを見る
妊娠・出産したら、先生の玩具は引退なんですよね
そうよ、あたしは子供を産んだ女には興味がないから辞めてもらっているわ
でも先生はずっと、雪乃が妊娠するように仕向けているじゃないですか
それが何か変おかしい
だって雪乃は先生の七番目の玩具じゃないんですかっ
先生はぷっと笑い出した
マルゴさんも奈島センパイも、笑う
やっだぁ、吉田ちゃん、マジでそう思ってたわけ
いや、ある意味、ここまでくるとスゴイ逸材と言えるのかもしれないなっ
えっマルゴさん
へっ奈島センパイ
先生が、くふふと笑いながら鏡越しにオレに告げる
さっき、言ったでしょあたしは白坂さんなんてどうでもいいつまらない女の子だと思ってるって
それじゃあ、何で雪乃を
あたしが興味を持ったのは、最初から吉田くんあなた一人よ
お、オレ
白坂さんは、あなたを誘い込むためのエサだったのよ
ミラーの中で悪魔の唇がニッと歪む
あたしの七番目の玩具はあなたよ
屋敷へ向かう車の中で弓槻先生は、こんな話をした
野生のキュウリって食べたことあるあたしはあるわ形が歪つで、曲がっていて、味も美味しくないの神様が作った、生物の設計図は完璧よだから、そんなキュウリでも、生育にあった正しい環境で、適量の水と肥料を与えれば、ちゃんと育つ味も良くなるわでも、野生の世界には正しい環境なんて、まずないから人間の手が入らない限り、普通は歪つなまま、曲がったまま、味の悪いままよあたしは、そっちの方が自然なんだと思うの
夜の街をオレたちの乗った緑色のミニバンが走っていく
あたしはねうちの学校にいるほとんどの生徒が大っ嫌いあの子らはみんな、温室で大事に育てられたキュウリね形が揃っていて、見た目も綺麗で、そこそこ味も良いでも、あたしには面白くないのあたしは、あなたたちみたいな子の方が好き歪つで、曲がっていて、狂っている子の方があなたたちの方が、よっぽど自然で、野生で、荒々しくて魅力的よ
Born Be Wildってこと
と、マルゴさんが先生に尋ねた
そうね英語のワイルドという単語は、その全ての意味を含んでいるわね粗暴で、荒々しくて、粗雑で、野生そのもの
オレにはよく判らない
奈島センパイは座席に深く腰掛けて、くぅくぅと居眠りをしている
やがて、車は先生の屋敷に着いた
昨日と同様に、執事さんと克子さんが出迎えてくれた
もう、夜中の十二時を過ぎている一時近い
お帰りなさいませっ、ご飯の支度ができていますっ
克子さんは、相変わらずの元気印だった
ダイニングルームで、遅い夕食をみんなで食べた
克子さんの用意してくれた洋食は、美味しかった
スープとパン()とサラダと肉
そう言えば、ちゃんとした食事なんて久しぶりだ
お袋が家を出て親父が失踪いて以来、毎日ロクなものを食ってなかったから
菓子パンかカップ麺か牛丼かハンバーガーか
食後のコーヒーが出たところで先生が克子さんに言った
克子何か、動きはあった録音はできている
はい全て、お嬢様のご指示通りにっ
克子さんが、ニコッと微笑む
報告してちょうだい
克子さんは部屋の片隅に置いてあったノートパソコンを開くと、モニターに映し出されている内容を読み上げる
十時十九分に、雪乃様をお家までお届けしました岩倉様とお家の玄関まで入り、雪乃様のお母様と妹様とお話し致しました会話の内容は、今日から雪乃様は、生徒会の仕事を手伝うことになったということと、今日は、岩倉様の家まで資料を持ち帰るのを手伝っていただいたが、夕方に白坂様が体調を悪くして、今まで岩倉様の家で休んでいたという二点ですあたしは、岩倉さんの家の家政婦ということにしてありますっ
はあそんなことにして誤魔化したんだ
白坂さんは、おかしなことは言わなかったでしょうね
大丈夫ですあたしと一緒ですから雪乃様はもう、あたしには逆らえませんっ
雪乃は精神的に克子さんに屈服している
反抗しようにも、身体が恐怖を覚えているッ
報告を続けて
十時三十二分に、岩倉様と白坂家を退出しました岩倉様をタクシーに乗せて、あたしは監視を続行十時五十分まで、雪乃様は夕食をお摂りになり、その後、お風呂へ十一時二十二分に自室に引き上げ、遠藤様にお電話しています
風呂で身体を洗ってから雪乃は遠藤に電話をした
汚れている肉体のままでは、電話しずらかったのだろう
あっ、入浴時ですが、雪乃様は岩倉様から渡された浣腸器で膣内洗浄をなさっていますご自分で
ああれをやったんだ
でかい注射器みたいので、自分の膣に水を注いで
そんなことをしても妊娠を妨げる効果は無いのに
それ、写真は撮れている
申し訳ありません、本日はまだ隠しカメラを仕掛けるところまでは
仕方ないわね懸案事項に入れておいて
って先生は、雪乃の自宅にまでカメラを仕込む気かよっ
というか克子さんのことだから、盗聴マイクはもう置いてきているんだろうな
で白坂さんと遠藤くんの会話は録音できている
それはもうばっちりですっ
聞かせてちょうだい
克子さんがパソコンを操作する
スピーカーから、盗聴された電話でのやり取りが聞こえてくるっ
もしもし、ケンジ
何だよ、どうしたんだよ部活が終わった後に、何度も電話したのにさっ
ご、ごめんなさい今日は、ママが地方から戻ってきたから、家族で外でご飯を食べてて、電話に出られなかったの
雪乃はまた、遠藤に嘘を吐いている
本当は、ずっとオレとセックスしていたくせに
なんだぁまあ、いいや夕べと違って、ちゃんと雪乃から電話してきてくれたからうん、許すっ
ごめんね、ケンジ
いや、別に気にしなくていいよそれより、明日なんだけど四時で練習は終わるから
う、うん判ったあたしは一度家に帰って、着替えてくるねっ
オレも明日は私服を持っていこうどっかのトイレとかで着替えてさ、そんで遊びに行こうぜっ
そうだね、そうしようどの辺に行こうかっ
港の方とかどう新しくファッション・モールとかできたんだろ
判った、そこへ行こうっあたし、ケンジの行きたいところなら、どこでも行くからねっ
雪乃、どうしたんだよ
えっ、何が
何か変だぜテンション高過ぎっていうか
そうかなっ
そうだよあれっ、お前もしかして
吉田のこと気にしてるんじゃねぇの
よ、吉田くん吉田くんが、どうかしたのっ
ほらっ、やっぱり気にしてる
気になんかしてないよあたしっ
隠さなくてもいいよオレが吉田を屋上で殴っちゃったのが学校にバレて、停学とか野球部退部とかになるんじゃねぇかって、心配してくれてるんだろ
遠藤
お前は、馬鹿か
馬鹿なのかっ
クラスの中でも、真面目な連中がザワついてたしあれは、オレが悪いんじゃねぇからなっ吉田のやつがオレに変に絡んでくるからオレはブン殴らざる得なくなったんだよっむしろ、オレの方が被害者だっての
お前だけは殺す
というか、死ね自殺しろ
でも、ケンジが吉田くんを叩いてケガさせたんでしょ
あんなのケガのうちに入らねぇよだいたい、オレが殴ったっていう証拠があるわけでないしサイアク、吉田が学校にチクッたとしても、オレが最後までシラを切り通せばどうにでも誤魔化せるよ
そうかな
そうだよっ吉田なんて、一人も仲間がいないんだしさあいつが何を言ったって、信用するやつなんかいないっての何なら、こっちは誰かに口裏を合わさせて、アリバイを作ったっていいしさっ吉田が殴られた時間に、オレは別の所に居たって証言させればいいんだろッ
遠藤お前、世の中ナメ過ぎ
だけど、もし証拠があったら
そんなのあるわけないだろっ、屋上に隠しカメラでもなけりゃさ
いやあるんだよ
隠しカメラ屋上に
ゆ弓槻先生が、あたしたちのこと狙っているよあの先生だったら、吉田くんの証言を元に、ケンジを処分するように働きかけるかもしれないわあの人怖いわ、何をするか判らないんだものっ
それは雪乃の悲痛な訴えだった
その真意は、遠藤には届かない
ほーんと、あの先公、うざってぇよな
ぜったい、あの人あたしたちに何かしてくると思う
判ったどうにかするわっ
そんなに心配するなってのオレの親父がここの地元では名士だっての知ってるだろ教育委員会とかにも顔が効くし、有名な弁護士さんや警察関係の知り合いもいるしそれに、うちの叔父さんが市会議員でさ、うちの学校の理事もやっているんだよ弓槻みたいな若い先生に圧力を掛けるなんて簡単なんだぜ
弓槻だって、先生の職を失ってまで何かやろうとは思わないだろうしさ向こうがこれをネタに脅迫してくるようなら、こっちは学校と教育委員会を味方にして弓槻を吊し上げてやるさっ
だけどもしよもし、仮にケンジが吉田くんを叩いているビデオとかがあったとしたらそれが表に出たら、野球部が夏の大会に出られないみたいなことになるんじゃないの
だから平気だってこっちが認めなけりゃ、堂々巡りでうやむやにできるだろだいたいさ、野球部員の暴力事件なんて相手が死ぬくらいの大事件でも無い限り、大事にならないんだよ知らないか毎年、夏の大会が終わった後にこっそり高野連に報告して、対外試合三ヶ月自粛とかでテキトーに誤魔化してるってケース結構多いんだぜ学校も高野連も、あんまりつまんないことで出場停止処分にするのは、ネットとかで叩かれるからやりたくないみたいだしいつまでも、全体責任とか言ってる時代じゃないってことなんじゃねぇの
じゃあ、吉田くんの件で、ケンジが処分されたり、野球部が試合に出れないってことは無いのね
あったりまえだろっそんな可能性、1パーセントも無いって遠藤家の力をナメんなよっ
笑っている、遠藤
雪乃は
おい、雪乃お前、泣いているのか
雪乃は、泣いていた
彼女はすでに処女を失っている
何回も何回も膣内に精を受けて
彼女は遠藤が問題ないどうにでもなると言い切った件で
徹底的に犯され肉体を汚された
雪乃のすすり泣く声が聞こえる
ご、ごめんなオレ、雪乃がそんなに心配してくれてるとは思って無かったから
遠藤お前は馬鹿だ
雪乃の処女はもう、戻らない
ケンジィあたし、愛してるケンジのこと愛しているから
あっ、ああオレも愛しているよ、雪乃
大好きっ、大好き、大好きだからねっ
オレもだよ、雪乃明日は、思いっきり遊ぼうなっ
そして、録音は終了した
さぁて、どうする吉田くん
弓槻先生が、楽しそうにオレを見る
この先白坂さんは、黙ってあたしたちの言うことをきいてくれるのかしら
1の登場人物を更新しました
よろしければ、見てみて下さい
最新の設定にしてあります
クリスマスイブの夜に、たくさんのカップルを見ました
マルゴのカップル襲撃は、その時の個人的な感情から書きました
30.雪乃の反抗
ええっとこれは、どういうことになっているのだろう
ベッドに横たわるオレの顔は今、奈島センパイのふくよかなおっぱいに包まれている
雪乃よりも大きな巨乳パジャマの布一枚の向こうは、ノーブラ
オレのほっぺたに、ツンとした奈島センパイの乳首の感触が
ちなみにパジャマは上しか着ていない
下は、ノーパン
英語で言うと、NO Panties .
センパイによると、寝るときはパンツを履かない方が、健康的なんだよっなんだそうだ
だから無理矢理、オレもセンパイにノーパンにさせられた
はいオレは今奈島センパイと二人とも下半身丸裸で抱き合ってベッドに寝っ転がっています
おっぱいに顔を埋めて奈島センパイの美しい顔が、すぐ目の前に
間近で見ると、本当に綺麗だ
奈島センパイは、絶世の美少女だと思う
芳しい吐息がオレの顔にふぅ、ふぅと当たってくる
ある意味これは、天国なのかもしれない
しかし、問題なのは奈島センパイは、オレの頭を枕みたいに抱きかかえたまんま、クゥクゥと可愛い寝息を立てていることで
センパイ眠いから寝るぅっお休みぃっの一言から、わずか数秒で夢の世界へ行ってしまわれた
とほほ
さらに状況を説明するとオレの背中側には、やっぱりパジャマ一枚のマルゴさんが寝ている
こっちも下半身は素っ裸で
さっきからマルゴさんの鍛えられたゴムの様に柔軟な胸が、オレの後頭部に当たっている
これもまた素晴らしい感触なのだが
残念ながらマルゴさんも眠っている
オレの喉首に腕をぐるりと廻してチョーク・スリーパーの体勢で
く、苦しいです
た、助けて
頭を奈島センパイに優しく抱かれ首をマルゴさんに絞められている
ある意味、二人の美女に抱かれて寝ているわけだけどし、死ぬ
このままじゃ、オレ死にます
ああ奈島センパイの今日は、三人で一緒に寝よっという言葉に、ついつい従ってしまったオレがオレが愚かだった
お父さん
と、奈島センパイが小さく寝言を言った
ママン
と、マルゴさんも静かに呟く
ぐぐぐ苦しい助けてッ
気管を押し潰されているオレは声が出せないっ
じ、地獄だ天国に一番近い地獄
いつの間にか、気を失った
お早うございますっ朝ですよっ
だ、誰
克子さん、か
眼を覚ますとベッドの上に一人きりだった
寧様とマルゴ様は、先にお目覚めになりましたっ
メイド服姿の克子さんが、オレに教えてくれた
わざわざ、起こしに来てくれたんだ
ああそうみたいですね
時計を見ると七時二十分
この先生のお屋敷は、学校まで車で五分だから余裕で間に合う
吉田様、朝からお元気ですねっ
克子さんの視線の先にはオレのペニスがお早うっと朝勃起していた
美味しそっ
そこへ、シャワー上がりの奈島センパイが入ってくる
全裸で
初めて見る裸の奈島センパイ
スッゲェナイス・プロポーション
巨乳だけど、垂れてない乳首がツンと上を向いてるッ
腰はキュッと締まっててでも、お尻は丸く弾力的で
克子さんのヌードは性的過ぎるけど、奈島センパイの裸は芸術的だった
アメリカの男性雑誌のグラビアと、著名な写真家の撮ったアートなヌード写真の違いというか
おっ早うーっ、吉田ちゃんあたし、今朝は急ぐんだオチンチン舐めてあげたいけど、また今度ねーっ
そう言って、美しい裸身は隣の部屋へ
え、えーっな、奈島センパイ
続いて、シャワー上がりのマルゴさんもやって来る
やっぱり、全裸でえ、二人一緒にシャワー浴びてたの
マルゴさんの裸は完全にアスリートのヌードだ
余計なところに一切肉がついていない
きっちりと筋肉がついているでも、美しい裸身
格闘家ではなく、陸上選手の肉体に見えた
お早うあたしも朝のトレーニングがあるからおしゃぶりは、この次の機会にね
ははははいーっ
鍛え上げられた裸身も隣の部屋に消えていく
目の前の克子さんが、ニヒヒッと微笑んだ
じゃあ今朝のおチンポ様は、克子がいただきまーすっ
ちょ、ちょっと待って克子さん
あっ、うわわわわわっっ
勃起チンポが、カポッと克子さんの口に吸い込まれる
く唇でしごかないでっ
んふふふペロペロしちゃいますねっ
克子さんはオレの顔を見上げながら、亀頭を赤い舌で舐めるッ
竿を下からスーッと舐め上げ玉袋にも舌を這わす
うっ、巧い
いつでも構いませんからねっ克子のいやらしい口の中に吉田様の一番絞りを思いっきり出して飲ませて克子に飲ませてッッ
ジュッポジュッポと、唇がペニスをしごき上げるッ
亀頭をチュパチュパ吸いながら手でペニスを擦る
あああっ
もう、だめだぁぁっっ
どっくん、どっくん、どっくん
朝一番の白い精が克子さんの口の中に、びゅるびゅると噴出するっ
克子さんはオレのペニスをくわえたまま、ニコッと微笑んでくれた
射精が済むと、口を大きく開けて舌の上の大量の精液をオレに見せる
それからクチュクチュと頬を鳴らしてゴクリと精を飲み干した
美味しいっありがとうございますっやっと、吉田様の精を飲ませていただきましたっ
いや
お礼を言うのはこっちです
あっ、待って下さい今、お掃除しますから
そう言って、克子さんは再び亀頭をパクリとくわえる
尿道に残っていた精液まで、チュッと吸ってくれた
んふふでは、吉田様もシャワーをどうぞっ朝食のご用意を致しますわっ
チンポがまたムックリと起き上がる前に、克子さんはチュッと舌を離してくれた
朝食は克子さんと二人きりだった
パンとスクランブルエッグにサラダどれも、美味い
先生は
克子さんが紅茶を入れながら、答える
お嬢様は、先にお車で学校へ行かれましたっ
えっ、もう
吉田様は、遅刻ギリギリの時間に登校なさるようにという、お言いつけです
遅刻ギリギリ
うーん弓槻先生のことだから、何か考えがあるんだろうけど
まあいいかあんまり早く教室へ行って、また遠藤に絡まれるのも嫌だし
でもオレは、どうやって学校へ行こうか
大体の道は判るけれど歩いて行くと、どれくらいの距離なんだろ
今日は、吉田様はあたしがお送り致しますからっ
えっ、克子さんが
てことはあのベンツか
ベンツでご登校なんて身分じゃないんだけどなあ
クラスの連中に見られたら、何て言い訳をしよう
まあ、いっか
そんなに仲のいいやつがいるわけでもないし
何て、思っていたら
克子さん、これ何ですか
それから、十五分後のお屋敷の玄関前
克子さんは、赤と白のツートンカラーの革のライディング・スーツを着ていた
ヘルメットを二つ用意して
克子さんの前にとどーんと存在するメカメカしい、大きなマッシーン
えエンジンが横にはみ出てませんか
あたしの愛車ですっBMWのR 1200 GS アドベンチャーですっ
こ、こんなでかいバイクに、乗るんだ克子さん
はい、ヘルメットを被って下さいっ
お、オレも乗るのかこれに
克子の運転、ご心配ですか
いっ、いいえ乗りますっ乗らせていただきますっ
克子さんが、クスッと微笑む
吉田様なら、そう言って下さると思ってましたっ
これで登校ってのも、スゴイな
自分で乗るんじゃなくて、後ろの席だけど
克子さんが、先にバイクに跨がる
続いてオレも
しっかり掴まっていて下さいねっ後ろから、おっぱいとか揉んでも構いませんからっ
克子さんは、そう言ってくれるけれど
大型バイクって結構座席の位置が高いしコケないよな
とりあえず、克子さんの細い腰に背後から手を廻す
もっと、ギュッとしがみついて下さいっ
こ、こうですかっ
克子さんが、ブォォンとエンジンを掛けるッ
強力なパワーの振動が、股間からブルブルと伝わってくるッ
行きまーすっ
急発進ッッ
急加速ッッ
そして、オレたちは風になった
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ
オレは、荒い息で額からの汗を拭っていた
心臓がまだバクバクいっている
し、死ぬかと思った
八回くらい
着きましたよっ
オレはまだ、克子さんのしなやかな背中にギュッとしがみついて震えていた
ここ、どこ
知らない場所に居る向こうに見えるのは校舎の東側で、あれが部室棟だと思うから
ここは普段は使っていない教職員用の通用口ですっお屋敷からですと、ここが最短距離になりますので
は、はぁ、そうですかっ
何かすげぇ細くて曲がりくねっててアップダウンのある道を、猛スピードで突っ走ってきたような気がするっ
吉田様、大丈夫ですかぁ
克子さんが、心配そうに覗き込んでくる
だ大丈夫ですっ
生きてるっ
とりあえず、生きてる
か克子さんは、とりあえず法定スピードを守るべきですっ法定規則もですっ一旦停止、何回無視しましたっ
二回ぐらいかしらっ
七回ですっ
申し訳ありません、吉田様あたし、バイクは日本の免許を持ってないから
あたし、バイクの免許はカナダで取ったんですっそう言えば、日本の交通ルールって複雑ですものねっあたし、まだよく判らなくってっ
待て待てそ・ん・な・は・ず・は・な・い・だろーッッ
だいたい、あんた夕べ、車は普通に運転してたろぉぉぉッ
けれど克子さんは、ニコッと笑顔
オレは、今更ながら犯罪結社の恐ろしさを知った
大丈夫ですってこの道は、私有地ですから
私有地
はいっこの通用門からお屋敷まで、ずっと弓槻家の私有地ですっ免許無しでオートバイに乗っても、おとがめ無しですからっ
ゆ弓槻先生って、何者
そうだ吉田様、これっ
克子さんが、バイクの横のツーリングボックスから包みを取り出した
えっ今日は、土曜だからお弁当は
寧様と食べて下さいっ
奈島センパイ
はいっきっと、吉田様のところにいらっしゃいますからっ
よく判らないけれどとにかく、食べ物の入った紙包みを受け取った
ではっ行ってらっしゃいませっ
始業のチャイムが鳴る
弓槻先生の指示通り遅刻ギリギリの時間に教室に飛び込んだ
そこで眼にしたものは
ケンジ、それでねっ、妹があたしに怒るのよっお姉ちゃんのイジワルっておかしいでしょあははははっ
醜悪な景色だった
なんだよ、しょうがねぇなあ雪乃は
えへへっ
雪乃が、遠藤と談笑している
遠藤の身体に寄り添って
右手は、遠藤の手を上から握っている
あんまりにもハイテンションでベタベタしまくっている二人の異常な雰囲気に他のクラスメイトもドン引きしている様子だった
お早う、吉田くん
オレに声を掛けてくれたのはクラス委員の山峰さんだった
彼女も雪乃の異様な状態に困惑しているらしい
今朝はずっとあんな感じなの白坂さんと遠藤くん
遠藤が、オレに気付く
おいっ、吉田ぁっ
教室内が一気にザワついた
みんな、昨日のオレと遠藤のことを知っている
オレが遠藤に昼休みに屋上に呼び出されたまま午後の授業に出なかったこと
そして、帰りのホームルームに現れた時には、オレの顔の傷が増えていたこと
少なくても何らかの暴力的なトラブルがあったということは、みんな承知していた
な、何だよっ
オレも、遠藤をにらみ返すッ
ケンジ、ほっときなさいよっそんな人、相手にすることはないわよっ
雪乃が大きな声でそう言って、遠藤の身体にしがみつく
軽蔑の眼でオレを見て
でもよ、雪乃
いいじゃない、ケンジにはあたしが居るんだからさっ
そう言って、雪乃は遠藤の背中に抱きついた
教室中にえーっ、おいおいっ、何これという声が上がる
はい、早く席に着きなさい
このタイミングで
弓槻先生が、教室に入って来た
席を離れていた生徒たちが、慌てて自分の席に戻る
雪乃も
お早う、みなさん
弓槻先生は、相変わらずのマイペースだ
世間では、今日からゴールデンウィークねでも、あなたたちは高校生なんだから、もう半日授業を受けて貰うわところで、白坂さん
弓槻先生が、ニッと笑って雪乃を見た
あなた、生徒会長の岩倉さんのお手伝いをすることになったんだそうね
先生の言葉に雪乃は、挑戦的な眼で答える
そうみたいですねっ
教室の中がまたザワつく
えっ、何で白坂さんが
岩倉会長ってあの綺麗な人だろ、眼鏡美人の
生徒たちの声を無視して、先生は話を続けた
さっき、岩倉さんに頼まれたんだけどこれを貴方に渡すようにって
それは四角いネームプレート状のバッジだった
表面は液晶でできている
大きく表示されている文字は76
それは、残り六日間で雪乃がオレとセックスしなければならない回数
弓槻先生
やることが一々、えげつないっ
よく判らないんだけど、学校に居る時はずっとこのバッジを付けているようにって、岩倉さんが言っていたわはい
弓槻先生が、支配の液晶バッジを雪乃に差し出す
そんなのあたし、付けたくありませんっ
あら、困ったわねえあたしは、岩倉さんに頼まれたのよっ
あたし、そんなの付ける理由がありませんからっ
先生を睨む雪乃
女教師は、くふふふと笑った
そうじゃあ、ひとまずこれはあたしが預かっておくわっ
先生は、液晶のバッジを仕舞った
さてっ、あたし今日は少し忙しいのちょっと、早めだけどホームルームはこれで終わりにするわ
先生の眼が遠藤を見る
何か校内で重大な暴力事件があったらしくてね運動部の子が関わっているらしいのよその件で、校長先生に呼ばれているのっ
遠藤の顔がひきつる
雪乃は憎悪の眼で先生を睨んでいる
まああなたたちには関係の無い話だと思うけれどねまあ、帰りのホームルームの時までには詳細がわかっていると思うから、みなさんにも報告するわねっ
うふふふと楽しそうに微笑みながら先生は、教室から出て行った
何、あれ
暴力事件て、遠藤と吉田のじゃねぇの
吉田チクッたのかよ
やべぇんじゃねえの
野球部、出場辞退とか
一気に教室内がザワつく
遠藤と雪乃がオレを見ている
怒りと憎しみの眼で
ちょっと、みんな静かにしなさいよっ
見かねて山峰さんが、大きな声でみんなを鎮めた
教室の戸が、ガラガラと開く
入って来たのは一時間目の教師では、ないっ
吉田ちゃんいるぅぅ
やって来たのは奈島センパイだった
金髪にブルーコンタクトの美少女堕天使が何でここに
センパイ2年生でしょダブッてるけど
突然のセンパイの来訪に教室中がどよめくッ
金髪に青い眼というのも相当のインパクトだけどとにかく、奈島センパイは美人だそんじょそこらにはいないレベルの美少女だ
すっごい綺麗
かっ、可愛い
でも、不良
えっ、ゲーノージンか何かじゃねぇの
何でこんな美少女が、オレに会いに来たのかそれも一時間目の始まる直前に
あっ、いたいた授業なんて出ないでさ、サボっちゃおうよっ世の中はもうゴールデンウィークだよんっ
いや高校生はまだ、土曜の授業があるから
それから奈島センパイは、クラスの中をぐるっと見回す
白坂雪乃って子、どこっ
クラス中の視線が雪乃に集まる
センパイは、雪乃を見てニタァと笑った
なぁんだそんなに可愛くないじゃん
その言葉に雪乃はビクッとする
目の前の金髪のセンパイは雪乃にそんな言葉を言っても嫌味にならないほどの究極美少女だった
今日もギリギリです
31.フラッシング・寧
なっ何なんですかっ、あなた
雪乃が、奈島センパイを睨み付けるっ
しかし、センパイはフフーンと笑って、余裕の表情
そんな怖い顔しなくてもいいじゃんかっホント、可愛くないなぁっそれに、あたしは先輩だよっ一応、二年生だからさっもうちょっと、礼儀正しくしてくれてもいいんじゃないっ
完全に、奈島センパイのペースだっ
まあ君のことは、とりあえず顔は覚えたから、もういいやっ聞いてた話よりも、可愛くなかったのがちょっと残念だけど、元々あたしは、君のことなんてどうでもいいしっっ
ぐっと口ごもる、雪乃
激しい敵意の眼で、奈島センパイを睨む
雪乃のこれまでの人生の中で、初対面の同年代の女の子にここまで否定されることはなかったのだろう
それも自分よりも、美しい容貌の少女に
しかしセンパイは、そんな雪乃の敵意を完全にスルーするッ
ところでさ遠藤ケンジって、どの人
雪乃と遠藤
奈島センパイの口から、カップルの名前が順に出てきたことに教室の中は騒がしくなる
だから、どの人ちょっと、みんなで指さしてみてくれないかなっいくよーんっいっち、にーの、さんっはぃっ
センパイの号令で、男子生徒を中心に十名ほどが一斉に遠藤を指さすッ
教室中の視線も、全て遠藤に集中
な、何なんですかっオレに何か用ですかっ
ビクつく遠藤
何とか格好を付けようとしているみたいだけど
ふぅん君が、遠藤ちゃんねぇ
美しい金髪少女が、ジロジロと思わせぶりな視線で遠藤を見る
何かさぁ君、一昨日の放課後と昨日の昼休み、校舎の屋上で吉田ちゃんをボコったんだってねっ
奈島センパイは、いきなり核心を突くッ
教室中に激震が走った
ギョッとする、遠藤
生徒同士の小さな囁き声が部屋の中に拡がっていく
やっぱり、そうだったんだっ
何々、吉田くん、遠藤くんに何かしたの
白坂さんが、二股かけてたとか
それは無いだろ
吉田が白坂さんにまとわりつくから、遠藤がキレたんだろ
確かに吉田くん、いつも気持ちの悪い眼で白坂さんのこと見ていたけどさ
でも、見てるだけだったろ追っかけ廻したり、声掛けたりはしてなかったし
いきなり殴るってのは、やり過ぎじゃね
えーっ、遠藤くんて人に暴力を振るうような人だったんだぁ
うん、ちょっとゲンメツーっ
ていうかさ、遠藤って野球部員だろっ
さっき、次の練習試合にレギュラーで出るって自慢してたぜ
これってさ、暴力事件てやつなんじゃないの
吉田くん、まだ顔に痣が残ってるよねぇ
かなり強く叩かないと、あんな傷にはならないんじゃないの
吉田が警察とか高野連とかに訴えたら、野球部ヤバくねっ
時期が時期だよな
夏の大会、出れなくなるとか
クラスのやつらが好き勝手言う間奈島センパイは、大きな青い瞳でニッと遠藤を見つめている
口元には、薄っすらと笑みを浮かべて
さあ、いったい何のことですぅオレには全然、覚えがありませんけどぉ
遠藤は、真っ正面から先輩の言葉を否定するッッ
おでこに汗をたらーりと浮かべながら
ふうん君、そうやって誤魔化せば、どうにかなるって思っているんだ
金髪のセンパイは、腕を組んで遠藤を見下ろしている
だからっ、オレは知りませんって吉田のやつは、勝手に転んだんじゃないですかッなっ、そうだろッ吉田ぁぁ
遠藤が、大きな声でオレを恫喝する
ギョロリと眼を剥いてオレを睨むッ
しかし残念ながら、オレも昨日までの吉田ではないっ
今日のオレは、砂の詰まった革袋で怖いチンピラさんをブッ叩いてきた、吉田ちゃんなのだッ
遠藤ちゃんは、ああ言っているけどさ吉田ちゃん、どうなのさっ
奈島センパイが、期待の眼でオレを見る
雪乃もオレを見ている
それは、言わないでという、お願いの眼じゃない
これは、言ったら、許さないという敵対の眼
じゃあ、しょうがないっ
はいっ、遠藤に殴られましたっ
教室全体が、騒然とする
遠藤が、クッと奥歯を噛みしめるッ
雪乃は顔を伏せて頭を抱えた
う、嘘だぁっそいつは嘘を吐いているんだぁ
大声で喚く、遠藤
だいたいさっ、あんた誰なんだよっ吉田の知り合いか吉田と組んで、オレを陥れるつもりなんだろッそうだろっ、そうに決まってるっ
キレた遠藤が、奈島センパイを指差して叫ぶ
金髪のセンパイは、ニヒヒヒッと微笑んで
あっ、そうかみんな、まだ入学して一ヶ月経ってないもんねっあたしのこと、知らなくてもしょうがないかっ
先輩は教壇にトンと上がって、クラスの生徒全員を見渡す
はーい、この中であたしが誰なのか知っている人っ
スッと細い手が上がる
山峰さんだ
長身で黒髪ボブカット切れ長の瞳のスポーツ美少女
おっ、君、知ってるのっ
山峰さんは答えた
部活の先輩から聞きました二年生の奈島寧さんですよね
その瞬間運動部員を中心にソソゾという驚きの波が拡がるっ
あっ、あたし聞いたことがあるっ
そう言えば、部活の先輩に聞いたっ
えっ、あれってただの噂じゃなかったの
じ、実在したんだっ
こんなに綺麗な人だったの
えっ、すっごい不良なんでしょ昔、剣道場に放火したとかっ
あたしは、援助交際の元締めやってるって聞いてるけど
売春相手のヤクザを刺し殺したって聞いたわよっ
こんな美人が、まさか
でも、金髪だし染めてるよね
ブルーのカラー・コンタクトしてるし
センパイは人々の囁き声を聞いて、満足そうにクッククと笑う
そうですっあたしがこの高校で一番の不良美少女、奈島寧ちゃんですっ
教室の中が一瞬にして静まった
センパイのあまりにもアッケラカンとした自己紹介に
な、何て天然いや、明るくて気さくな人なんだッ
そ、その不良の先輩が何だって、オレと吉田の話に首を突っ込んでくるんですッ何か、色々誤解があるみたいですけれど、この件は、オレと吉田の問題ですんでっ先輩には全然関係無いですからっ
遠藤は、理路整然と奈島センパイの介入を拒否したつもりらしい
でもさあ
この金髪の美人センパイはそういう理屈の通る人じゃないんだよねぇ
悪いんだけどさ関係あるかないかはさ、君じゃなくてあたしが決めることだからっ
ほら
奈島センパイの顔が微笑から、怒りに急変していく
教室全体が、一気に凍り付いた
か、関係ないものは、関係ないだろぉっとっとと出て行けよっここは一年の教室だぞっ誰か、先生呼んで来いよっ弓槻先生じゃなくてもいいからっ先生なら誰でもいい呼んで来いよッッ早くッッ
遠藤は背筋を襲う恐怖感から、無理に大声を出して喚き散らすッ
あーあ、キレちゃった
結局、どこまでいってもチヤホヤされて育ったお坊ちゃんてことなんだな
ホント沸点が低い
クラスの他の連中も呆れている
遠藤ケンジの好感度急速に落下中
そんな、遠藤の後ろに小林と大宮がコソコソとやってくる
おい、遠藤お前、よしとけって
そうだ、お前、この方をあんまり怒らせない方がいいぞっ
遠藤が、二人に振り向く
あぁぁんっこの女が、何だってんだよッ
遠藤は、まだキレたまんま
遠藤、お前、知らないのか
最近、この近辺で不良狩りをやっている金髪二人組のこと
不良どころか、ヤクザさんまで手当たり次第にボコッてる
顔に傷のある外人女と、日本人の金髪二人組で
顔の綺麗な日本人の方が相手を油断させた隙に、ゴリマッチョな外人女が変な格闘技でボコボコにブチのめすっていう手口の
大宮今、マルゴさんをゴリマッチョって言ったな
お前、後で半殺しにされるぞ多分
骨の一本は覚悟しておけ
何だ、そりゃそんなやつら、本当にいるのかよっ
遠藤は、二人の話に半信半疑な様子だ
いるんだよ、それが本当に
だって、オレたちぃぃぃ
昨日、ブチのめされたものぉぉぉ
地元の先輩が、病院送りになった
ていうか、先輩の車にガソリン撒いて火を付けるんだぜっ
車が炎上、大爆発なんだよっ
夕べは、三人目もいたんだっ黒いマスクをしたプロレスラーみたいな男がっそうそう、2メートルもある大男でさっ
そいつが火炎瓶を二十本くらい、ドンジャカ投げてくるんだよっ
すんげぇ、ヤバイやつらなんだよっ
頭おかしいんだよっブッとんでるんだよッ
鬼なんだよッアンデッド・モンスター軍団なんだよっ
小林、大宮すまん、その大男はオレだ
恐怖の記憶が、お前たちの中でオレを大男にしてしまったのかもしれんがオレはそんなにデカくない
撒いたガソリンも、ビール瓶二本分だけだし
おーっ、君たち、夕べの子かぁっごめーん、痛かった怖かったびっくりしたぁっ
弓槻先生 っ
事前に小林たちの地元の不良グループを調べておいて、わざと襲撃させたんだな
本当にあの悪魔教師は、どこまでも徹底しているッッ
あのう、顔に傷のある金髪の外国人て、もしかしてマルゴさんて人ですか
一人のひょろっとした眼鏡の男子生徒が、奈島センパイに声を掛けた
誰だっけ天文部とかのやつだ
確か杉浦って名前だったと思う
えーっ、君、マルちゃんのこと知ってるのぉ
はいあの、僕、姉がこの学校の今年の卒業生で
あーっ、そうなんだっ
あのあれですよねアメリカからの留学生で、マーシャルアーツをなさってて
そうだよっ、そう
二年前に、音楽の男の先生が合唱部の女生徒を乱暴したって事件があった時に、その先生を半身不随にしちゃった人ですよね
再び、教室中がシーンと静けさに包まれる
え、そんな事件があったの
そうそうっあたし、その時の合唱部員
ま、マジですかっ
あの時のマルちゃんはねぇ、本当にスゴかったんだからっその先生ね、両手両脚複雑骨折に内臓破裂でね、今、車椅子の生活してるんだってさ顔も鼻が陥没で、顎が粉砕だったかなもう一生、フニャフニャとしか話せないらしいよっそれから、マルちゃんがその先生の股間を思いっきり蹴ったから、前が睾丸摘出で後ろが人工肛門だったかなとにかく二度とセクハラなんてできない身体にしておいたから、みんなも安心してよねっ
みんな、唖然としている雪乃も、山峰さんも
遠藤は汗だけでなく、鼻水まで垂らしている
すっかり涙目だ
そそこまでやるのかやったのか
ややったんだろうなあ
この人たちなら
あたしが剣道場を全焼させたのもね、やっぱりその事件の時それから、マルちゃんの頬の大っきな傷ねあれ、あたしが付けたんだよっその時に
奈島センパイは、にこやかに語るけれど
高校一年生たちは全員凍り付いたまま、動けない
みんな生まれて初めて、本当に恐ろしいものに出くわしてしまったという顔をして
えっと話を戻すけれど遠藤ちゃんだったっけ
奈島センパイは、遠藤に視線を戻す
遠藤はどうしようもなく、ブルってる
君野球をやっているんだよねっ
先輩の口がニヒッと微笑む
だったら、どうだって言うんだよっ
遠藤は強がってみせるがすでに全身、汗だくだ
あのね、複雑骨折するとねっ右足と左足の長さが、違っちゃったりすることもあるんだって遠藤ちゃん、見たところ足は長そうだから、片方だけ五センチくらい短くなっても別にいいよねっ
センパイは天使の笑顔で、遠藤に恐怖の予告をする
こっ、怖ぇぇ
こんな笑顔で、このセリフが言えるこの人はマジでヤバイッッ
遠藤はガタガタ震えている
格好悪いっ
雪乃が泣きそうな顔で、そんな遠藤を見つめている
君さ、さっきあたしはこの件には無関係だって言ってたけど、全然そうじゃないんだよねっあたしさ、吉田ちゃんのこと気に入っているのまあ、あたしが一方的になんだけど、とにかく気に入ってんのお気に入りなのっ
天使の笑顔が悪魔の笑みに変わるッ
だから、仕方ないよねぇ君は、あたしの可愛がっている吉田ちゃんにケガをさせたんだからっもう、諦めるしかないよねっ
センパイは大きく息を吸って、他の生徒たちに宣言するッ
言っとくけど、遠藤くんのお友達も同罪だからねっもし遠藤ちゃんの味方をして、先生とかに吉田ちゃんに不利な嘘の証言をするような子がいたら、あたしとマルちゃんが徹底的に懲らしめるからねっいいわねっ
みんなまだ、凍り付いたまま
センパイは再び、天使の笑顔に戻って、
もおっ、みんなそんな顔しないでよんっあたしは別に、吉田ちゃんが有利になるように嘘を吐けって言っているわけじゃないからさっもし、先生とかに聞かれたら、みんなが知っている本当のことだけを言ってねってお願いしてるのっ判ったセンパイのお願い聞いてくれるっ
何じゃ、この蕩けるような可愛らしさは
お返事はっ
遠藤と雪乃以外の全員が、奈島センパイに返事した
うんうん、よろしいっいい感じ、いい感じ
センパイは、ご満悦のようだ
さてと、遠藤ちゃんへの挨拶はこれで済んだからじゃ、吉田ちゃん、そろそろ行こうかっ
センパイが、笑ってオレを見る
えっど、どこにです
やだなあ授業サボって、あたしと屋上で過ごすって約束したじゃないっ
や、約束したかそんなこと
でもクラス全員の視線が
この超絶美少女なのに悪鬼過ぎる天使顔センパイをとにかく、早くどこかへ連れて行けと要望している
そういう眼で、オレに迫ってくるッ
みんな、そろそろ奈島センパイのハイテンションに付いていけなくなってるみたいで
一昨日は一日、授業サボったし
昨日も午後の授業出てないし
オレも、不良街道まっしぐらだな
吉田ちゃん、克っつんからおやつ貰って来たでしょそれ、持って来てねっ
カッツン
ああ、克子さんのことか
そうか、登校の時に貰ったあの紙包みは
ということは、オレが授業をサボってセンパイと一緒に屋上へ行くのは、最初っから弓槻先生の計画に入っているんだ
判りました行きましょうっ
オレはカバンから紙包みを取り出して、席を立つ
クラス全体がほぅと溜息を吐く
待って
オレに声を掛けて来たのはや、山峰さん
い、行ってはダメよ、吉田くんちゃんと、授業は受けないと
オレが、驚いて彼女に振り向くと
山峰さんは立ち上がって奈島センパイに深々と頭を下げた
奈島先輩、お願いです吉田くんは、このクラスの一員ですどうか、みんなと一緒に授業を受けさせてあげて下さいっ
先輩の顔が、ニッと微笑む
あたし人に指図されるのって、あんまり好きじゃないんだけどなぁっ
山峰さんは顔を上げて、奈島センパイを真っ直ぐに見るッ
吉田くんを悪いことに巻き込まないで下さいっ奈島先輩が困っている吉田くんを助けるために、わざわざこの教室まで来て下さったことは判ります本当は良い人なんだって思いますでも先輩と一緒に行ってしまったら、吉田くんまで不良生徒ということになってしまいますクラスのみんなから誤解されてしまうかもしれませんですから吉田くんを連れて行かないで下さいっ
この子、本当にいい人なんだ
山峰さんの言葉に奈島センパイの顔も優しく微笑む
微笑むというかつかつかと歩いて、そのままセンパイは山峰さんの前へ
いいねえ、君っ
センパイは、山峰さんの顎の下に手を入れて、クッと顔を持ち上げる
山峰さんは驚いてビクッとするがそのまま、センパイの好きにさせる
センパイは、右手で山峰さんの顎を持ったまま左右から顔を見る
じっくりと、眼や骨格や肌を観察して
いいっ実にいいっ
ええっと、山峰ちゃんだっけ下の名前は
め恵美です
山峰さんは、すっかり驚いてセンパイに触られるままになっている
恵美ちゃんか大変、気に入りましたっ
き、気に入ったぁ
センパイ、いったいどういうことです
性格もいい優しくて、勇気があるそこがいいっその上、顔もいいっっていうかこれ結構、掘り出し物かもマジにいいわっ君
あの、奈島さん
山峰さんの問いかけを無視して、センパイはオレに振り向くっ
吉田ちゃん、この子、磨いたらすっごい美人になるよっそこの白坂雪乃なんて、全然メじゃないっ化けるよ、この子はっあたしが根本から手を入れたら、とんでもないことになるよっ
は、はいっ
い、いきなり、何を言い出すのですか
とにかく顔の作りは完璧お化粧の仕方覚えて髪型を変えたら、どえらい美少女になるよっ背も高いし、身体もスレンダーだし、足も細いし胸がちょっと足らないけど、これは個性だッむしろ、無くていいっこういう、おっぱいは感度がいいって決まってるし
センパイは、どんどん暴走していく
ブレーキは無いのかこの人のブレーキッは
恵美ちゃんさあ、あたし、君にお願いがあるんだけどっ
山峰さんも、すっかり動転している
そうだよなあ急にこんな、徹底的に褒め殺されたら
君、吉田ちゃんと結婚しなさいっ
なななななななななな、何ですとぉぉぉぉぉぉッッ
ほらっ、吉田ちゃんも自分でお願いするっこんな美人で、優しくて、根性も決まってる子、なかなかいないよっ一生大切にするから、ずっとボクの側に居て下さいって言いなさいっっていうか、言いいやがれっ
な、奈島センパイ、ぬななななッ何を言うんです
わわわわっ山峰さん、真っ赤になっちゃってる
早く、ほら、土下座してっ
な、何がなんだかよく判らないけれど
とにかく、オレは土下座するッ
ごめんっ山峰さん、とにかくごめんッ
何かお詫びの言葉しか出て来ない
とにかく、申し訳なくって
ところが、奈島センパイは今度はクラスの連中に向かって
はいっ、クラスのみんな、よく聞いてっ注目ッ今日から、恵美ちゃんは吉田ちゃんのものだからねっ妻だからねっ正妻っ奥さんっだから絶対に他の男子は手を出しちゃダメだからねっ出したやつはブッ殺すッ
ぬなななっ、何を言っているんですかッ
わっ雪乃が見てるっ
すっげぇ眼でオレを睨んでるっ
違うッ
そうじゃなくって
うん、うんっ良かった、良かった恵美ちゃん、今度、遊ぼうっお化粧の仕方とか教えてあげるっそうだっ、君に似合いそうな洋服があるのっあたしの服で、恵美ちゃんが欲しいのがあったら全部あげるっあっ、そうだ、アクセサリーもあるんだ可愛い指輪があるんだけどあれは、吉田ちゃんが恵美ちゃんの指にはめてあげた方がいいねっうんうん、そうしょっねっ
ねっじゃないですってば
みんな、さっきとは違う意味で固まっちゃってるじゃないですかッ
山峰さん、顔を真っ赤にしたままおろおろしちゃって
すっかり、涙目で
まあ、確かに可愛いけど
センパイは、ニヒヒヒンと悪戯な笑顔でオレを見ている
酷いよ奈島センパイ
ちょっと、遊びが過ぎるよっ
でも恵美ちゃん、安心してねっあたしは、単に吉田ちゃんが弟みたいに可愛いだけだからっお姉ちゃん、恵美ちゃんから吉田ちゃんを取ったりしないからねっだから君たち二人は、ずーっとずーっと仲良くしていていいんだよっ
山峰さんの顔は真っ赤になりすぎてあっ、泣き出した
な泣かせちゃったよ、おい
どどどどうしよう
そうかっ、泣くほど嬉しいんだねっうんうんっじゃあ結婚が無事決まったところで、ろそろ屋上へ行こうか、弟の様に可愛い吉田ちゃんっ食べ物、忘れずにねっ
ほんと徹底して、楽しんでますねセンパイ
人が悪いというか
まあ、弓槻先生の周りの人は、みんなそうだけど
ごめん奈島センパイ、からかっているだけだからただの冗談だから
えーっ、あたしは本気だよっ君たちは結婚するのっもう、夫婦ッ
ちょっと、黙ってて下さいよぉっ
奈島センパイに、黙ってて下さいと言ったオレに、教室中からおおーっという歓声が上がる
そういうんじゃないっ
そういう関係じゃないからっ
と、とにかくオレがこのままここに居ると、クラスのみんなが勉強に集中できないと思うから今は、センパイと屋上に行くよ山峰さん何か、色々と気を遣ってくれたのに、申し訳ないんだけど
オレは、山峰さんにそう言った
山峰さんは、両手で顔を覆って静かに泣いている
吉田ちゃぁんそうじゃないでしょっ
奈島センパイが、ジロッとオレを見る
そこは、感謝の言葉でしょっ
そうだ、山峰さんは
オレのために、奈島センパイに文句を言ってくれたんだ
オレもクラスの一員だとはっきり言ってくれた
あありがとう、山峰さん
顔を伏せて泣いていた山峰さんがふわっとオレを見上げる
えっという驚きの眼で
オレたちの眼が合う
ありがとう本当に、ありがとう
雪乃の視線を感じる
雪乃が、睨んでいる
というわけで、クラスの中での遠藤と雪乃の評判はガタ落ちになります
というか、ここでやっておかないと明日から作中ではゴールデンウィークに入りますので、クラスの描写ができません
私は二十九日まで仕事ですがんばろっと
32.君は壊れているね
奈島センパイと教室を出る
階段を上がって、屋上に向かう
三階まで上がったところで、奈島センパイが急に立ち止まった
見ると教室移動なのか、三年生がいそいそと歩いている
その中に、岩倉会長の姿があった
あっオレたちに気付いた
やばいな岩倉さん、雪乃の味方だから、オレのことを毛嫌いしてるだろうし
と、思ったら
岩倉さんは、奈島センパイに向かって深々と頭を下げた
そして、そそくさとその場から立ち去って行く
あの子さぁ、校内であたしに会うと必ずああやって挨拶してくれるんだよっ何でなんだろうねっ
奈島センパイは、いつもの様に笑っている
センパイ、岩倉会長のことは知っているんですよね
うん、顔だけはねっ
話をしたこととかは
一回も無いなぁ
えっ岩倉さんて四人目なんですよねっ
一人目の克子さん
三人目のマルゴさん
四人目が岩倉会長で
奈島センパイは五番目
そうらしいねっ
らしいねって
ほらあの子は、あたしたちとはジャンルが違うじゃんかっ
ジャンル
不良組のマルゴさんと奈島センパイと、優等生の岩倉さんてこと
あたしたちは真逆だからさあんまり会わない方がいいんだよっ
そう言ってセンパイは、トトトンッと軽く階段を駈け上っていく
追い掛ける、オレ
屋上は、少し風が強かった
でも、天気はからりと快晴
むしろ風が肌を撫でるのが、さわやかで気持ちがいい
そこいら辺に座ろうかっ吉田ちゃん、克っつんのおやつ出してっ
はいはい
オレは、朝、克子さんに貰った紙包みを開ける
中には、フレンチトーストとカレーパンが3つずつ入っていた
紅茶のペットボトルも3本
あれ何で3本
うん、美味しそうだねっ
そうですね
オレが、カレーパンに手を伸ばそうとすると
あっ、そうだっ
突然、奈島センパイがスットンキョな声を出した
どうしたんです
オレが尋ねるとセンパイは、制服のブラウスのボタンを上から外して
ええ
白いブラが、ちょろっと見える
センパイ金色のペンダントをしている
センパイの巨乳の谷間に輝く十字架型のペンダント・ヘッド
奈島センパイは、首の後ろの金色の髪の中に手を入れてそのペンダントを外した
これねっ、すっごく大事なペンダントなのっ
あっ、そうなんですか
オレはとりあえず、相づちを打ってみる
うんお祖父ちゃんがね、あたしが生まれた時に記念で作ったんだって見て見て、ここに名前が入っているでしょ
確かに十字の表面にNEIというアルファベットが刻まれている
ホントだ生まれた時からずっとしているんですか、これ
そうだよっ、ずっとずっと大切にしてきたの
奈島センパイは、そう言いながらツカツカと屋上の金網の方へ近寄っていく
彼女は、思いっきりペンダントを空に投げたッッ
ええーっ
金色の十字架と鎖が、キラキラと初夏の陽光に照らされながら飛んでいく
ちょセンパイっっ
ペンダントは屋上の金網を越えて校舎の下に
オレは、急いで金網へと走るッッ
落ちて行くペンダントは裏庭の花壇の中に、落ちた
右から3つめ
落ちた辺りをはっきり確認したッ
吉田ちゃん、取ってきてっ
センパイが、オレに強く命令するッ
はいっ、拾ってきますッ
屋上の入り口の鉄扉に急ぐオレの背中に、センパイが再度、声を掛けてきた
待って、吉田ちゃんっ
な、何ですかッ
オレは、立ち止まって振り返るッ
途中で、ピングレのジュース買ってきてっ
センパイの眼はマジだった
ぴんぐれ
ピンク・グレープフルーツ・ジュース裏庭を出る直前の自販機で売ってるからっ
ああああーん
よく判らないけれど、とにかく買ってくればいいんだなっ
判っりましたぁぁっ
ダッシュよっダッシュ
行ってきますッ
オレは鉄のドアを潜り走るッ
ダダダダダと、一気に一階まで駆け下りるッ
裏庭へ出る廊下を抜けて
あっこれがセンパイの言ってたピングレの自動販売機だな
でも、帰りにしよう
とにかく、センパイのペンダントを探さないと
オレは花壇へ向かう
あれれ、この辺に落ちたと思ったのに
金のペンダントは、どこにも無いッ
まさかっ落ちたときの衝撃で、土の中に埋まっちゃったとか
オレは、花壇の土の凹んでるところを手で掘り返してみるッ
まだ芽を出したばかりの草葉の裏も
花壇のコンクリと土の隙間も
花壇の周囲も、もう一度よく見てみる
無い
右から3番目じゃなかったのかな
オレは、隣の花壇も探してみる
葉っぱを引っ繰り返して
土も掘ってみる
その隣の花壇も
やっぱり、無い
君が探しているのは、これかい
背後から、声がした
知っている人の声だった
振り向くとぴっちりとしたジーパンに白シャツ姿のマルゴさんが、ニコニコと微笑んでいた
手に奈島センパイの金の十字架のペンダントを持って
良かった
オレは、へなへなとその場に座り込む
一気に体中から、汗がどっわーと吹き出す
マルゴさんが携帯を取り出し、誰かに電話する
寧、見てた
マルゴさんは通話しながら、校舎の屋上を見上げている
そこには金網越しに大きく手を振る奈島センパイの姿があった
全部見てたっ
マルゴさんの携帯から漏れて聞こえてくる奈島センパイの甘い声
で寧は、どう思う
吉田ちゃん、ピングレ買った
ううん彼は、真っ直ぐにここに来て、ペンダントを探してた途中も全力疾走だったよ
じゃあ、合格マルちゃんは
あたしも合格でいい
ご、合格って
何のことですか
マルゴさんが、オレの制服のズボンに付いた泥をはたいてくれた
そしてオレに微笑んで言う
詳しいことは、寧の所へ戻ってから話すよ
途中でピングレのジュースを買ってマルゴさんと一緒に、屋上へ戻る
水飲み場で手も洗った
吉田ちゃん、ごめんねぇっ
奈島センパイは、笑ってオレに手を合わせる
はいっ、これがペンダントですで、こっちがピングレ
オレは何かよく判らないけれど、とにかく物品をセンパイに手渡す
おおっありがと、ありがとっ
センパイはジュースは傍らに置いてペンダントは、ギュッと両手で抱き締めた
金の十字架に、チュッと可愛いらしい唇を寄せる
やっぱりあれ、大切な物なんだ
何でそんな物を、投げ落としたりしたんだ
うふふん人を試すんだもの、やっぱり自分が本当に大事にしている物を使わないと申し訳無いでしょっ
オレの表情を察して、奈島センパイがそう言う
試す
試されていたんだオレ
とにかく、座ってパンでも食べながら話そうか
マルゴさんが、そう提案した
オレたちは、廃棄予定の椅子を引っ張ってきて座る
あたしたちと弓槻先生の間には、取り決めがあってね先生が新しいメンバーに選んだ人間には、必ずあたしたちの承認テストを受けてもらうことになっている
紅茶のペットボトルを飲みながら、マルゴさんはそう説明してくれた
あたしたちが承認しない限りは、新しい子はメンバーにはなれないのよっ
フレンチトーストをパクつきながら、奈島センパイもそう言う飲み物は、当然、ピンク・グレープフルーツ・ジュースだ
あたしたちって言っても、あたしと寧と克子さんの三人だけだけどね岩倉さんはあたしたちとは別枠だから
やっぱり、不良組と岩倉さんの間には壁があるらしい
ブッチャケて言うとさっ弓槻先生も色々と失敗してきているのよっいつも先生の計算通りに物事が進むとは限らないからさっ
どうしても誤算はあるだから、新メンバーのチェックは二重三重に行っているんだ
ほらっ、さっき教室で二年前の事件の話をしたでしょ二年前にさ、弓槻先生が男のチンポ奴隷として音楽の男性教師をメンバーに引き入れたわけっとっころが、そいつが先生が見ていないところで暴走しちゃってさ
その頃は、まだ旧校舎が取り壊される前だから監視システムが完成していなくてね
で弓槻先生の知らないところで、勝手に女生徒をレイプしてね
ああ、合唱部の
あっ、あたしじゃないよっあたしは、まだ処女だからっでも、マジでヤバイとこまではいったのよねぇホント、マルちゃんが助けに来てくれなかったら、あたしもヤられちゃってたと思う
彼を黙らせるためには、半身不随にするしか方法が無かった今でも幻覚効果のある薬を使って、現実と妄想の区別がつかないようにしているんだ彼の口走ることは、全部彼の妄想で、弓槻先生とは一切関係ないってことにするために
そ、そうなんだ
それはまた、何とも恐ろしい
結局さただの変態男とか鬼畜趣味とかじゃダメなのよっあたしたちのメンバーはさ
最低限信頼できる相手かどうか、見極めないとね
うんうんそうだよね、やっぱりっ
だけど弓槻先生は、変な趣味の人を見つけてくるのは上手いんだけど
あの人、人間の善し悪しが判らない人だからさっ
うん、確かに彼女は人を見る目が無いよね
特に男を見る目が壊滅的に無いっ
あ、あの、奈島センパイ
どうしたのさっ、吉田ちゃん、そんなに畏まっちゃって
多分、この会話も弓槻先生、聞いていますよね
当ったり前じゃん聞いてるから、あたしたちは言っているのっ
君も覚えておくといいよ先生に文句を言いたい時は、こうやって言えばいい
だ、大丈夫ですか
平気だよっこのくらい、いつも言ってるもんねぇ
まあ、先生も自分で反省していることだからね
こ、来ないよな急にここに
大丈夫、大丈夫っ先生はこの時間は、別の件で忙しいからっ
わざわざ嫌味を言いにここまで来るヒマは無いと思うよ
ならいいんだけど
ということでさ君はずっとあたしたちに審査されていたってわけっ
ドゥ・ユー・アンダスタァン
うんそれは、よく判った
意図も目的も
そしたら、ちょっと聞き取り調査したいんだけどいいかなっ
あはいどうぞ
奈島センパイの尋問が始まる
じゃあ、まずさっき、あたしにペンダント取って来いって言われたでしょそんなことを急に言われてさ、めんどくさいなぁとかかったるいなあとか、思わなかった
だって、センパイの大切な物なんでしょそれ
でも、あたしいきなり外に投げ捨てちゃったんだよっ
それは変だなあって思いましたけどでも、センパイはお祖父さんに貰った大切なペンダントだって言ってたから
あたしが嘘を吐いているかもしれないじゃないそういうことは、考えなかったの
そりゃあ、ちょっとは考えましたけどでも
取って来てあげた方がいいんだろうなって思ったから
あたしが意地悪しているだけかもしれないじゃないっ
それならそれで仕方ないじゃないですか別にオレが身体を動かす分はタダだし、センパイに取って来いって言われたらどこでも行きますよ
オレは率直に答えた
まあ、奈島センパイに言われたら大抵のことはやるよなオレ
でも全力疾走だったよね、君
マルゴさんも尋問に加わる
どうしてだい別にあんなに急がなくても構わないじゃないか授業中だし、裏庭の花壇に人が来ることなんてまず無いだろゆっくり階段を下りて行ってもよかったんじゃないかな
でももしもってこともあるしそれに、本当に大切な物なら、早く持って行ってあげた方がいいかなって思って
途中で寧が言っていた、ピンク・グレープフルーツ・ジュースの自動販売機があったよね
君は、どう思った
帰りに買っていけばいいかなって
寧は途中で買って来てって言ったよね
でも、ほら落っこちたペンダントの方が心配だし
マルゴさんが、奈島センパイを見て頷く
問題ないね緊急時に余計な命令を足したのに、混乱していないちゃんと、優先順位が判っているし、合理的に処理する能力も持っている
うん思っていた通りだねっ
奈島センパイが、オレを見てニコッと微笑む
吉田ちゃん君、やっぱり壊れているっ
こ、壊れている
オレが
まあ、確かに完全だとは思っていないけれど
昨日のことを覚えているかな街の風俗街のど真ん中で、君と寧を二人だけでチンピラ四人組の所に行かせただろ
あ、はい覚えてます
あんな怖いこと、忘れられるはずがない
寧がチンピラの一人にスタンガンで電撃をくらわせたその後、君にぶん殴れって命令したよね
そして、君はチンピラをブラックジャックで殴りつけた
うんあの重い手応えの感触は、今でも残っている
どうして君はあの時、チンピラを武器で攻撃したんだい
オレはマルゴさんの質問の意味がよく判らなかった
それはだって、殴れって言われたし実際、ピンチだったし
あたしが助けに来るとは思わなかった風俗街へ行く前に、私鉄の駅前で不良の車を襲撃したのを見ていただろ寧が危ない時には、あたしが助けに現れるそういう手はずになっていることは、知っていたはずだよね
それはそうですけどでも、もしものことがあるしっていうか、奈島センパイに殴れって言われたら、身体がそのまま反応しちゃったんですよ
あの時に君が殴ったことで、後からチンピラのグループに報復を受けるかもしれないそういうことは、思わなかったの
そりゃ考えましたけれどでも、オレは弓槻先生の命令をきくって約束したんだし約束した以上は、腹をくくってます怖い目に遭ったり、痛い思いをしたり最悪、死ぬことだって
そうやっぱり君は、自分のことが大切じゃない子なんだね
自分が大切じゃない
自分なんてどうなってもいいっていう前提で生きているそういうことだろ
そうなのかな
吉田ちゃん普通の人はね、あんな状態でチンピラさんを殴ったりはできないんだよっ特にブラックジャックみたいに重い鈍器を渡されたらね
そういうものですか
そうだよっやっぱり一瞬のうちに色んな事を考えちゃって、躊躇してタイミングを失っちゃうものなのっ吉田ちゃんみたいに、あたしがぶん殴れって叫んだ瞬間に本当に攻撃できる人なんて、そんなにいないよっもちろん、闘いのプロは別だけどね吉田ちゃんみたいな、普通の高校生ではさっ
君は少し、異常なんだよ
いや二人がかりで、そんなことを責められても
オレって、そんなに異常なのか
そんでさっ昨日の夜は、あたしたち三人で川の字になって寝たよねっ
あ、はい
三人とも下は丸裸でっ
パジャマの上だけ着て、下は裸で
エロかったなあセンパイもマルゴさんも
あたしが、おっぱいを君に押しつけてたよねっ
あたしも背中に胸を当てていたよ
ってマルゴさんは、オレの首を絞めてたじゃないかっ
あんな状態でさどうして、君は何もしなかったのっ
は、はいぃぃ
弓槻先生は言ってたよねセックスはしてもいいけれど、妊娠はするなって君は、寧とセックスしたくはなかった
あたし、そんなに魅力が無いかなっ
ええ
いや、だって、奈島センパイ眠いから寝るって言ってたし実際、眠っちゃったし
起きてたよっ、あたしっ
あたしも、寝たふりをしていた
マ、マジっすか
君が単純なエロ変態男なら寝ているあたしたちにイタズラしてくるはずだよ君の手は、自由にしておいたからね
いや、確かにそうだったけれど
おっぱいを揉むとか、お尻を触るとかしたいとは思わなかったこっそりキスしちゃおうとかさ
いや、もちろん思いましたけど
じゃあ、何でしなかったのさっ
き嫌われたくなかったからだと、思います
へっ
奈島センパイとマルゴさんに
オレは正直に話した
センパイとマルゴさんは顔を見合わせる
だから君は、壊れているんだよ
マルゴさんが、静かに言った
君は白坂雪乃という女の子に何をした
彼女を拘束して、無理矢理に処女をレイプしたそれも、一晩で十回以上も
うんうん、あれは凄かったよねぇ
すいません
全部で十二回です
さらに、朝、車の中でも一回ヤりました
君は、気を失っていた彼女のことだって、何度も犯したじゃないかその君が、なぜ、あたしたちには何もしなかったんだい
確かに何で雪乃は徹底的にレイプするのに、オレはセンパイたちには手を出さなかったんだろう
まあ実際、何かしてきたらマルちゃんが絞め落とすことになっていたんだけどねっ
えっ、あのチョークスリーパーは本気だったの
そして、君は候補者失格になる即、抹殺するつもりだった
不良狩りの時もそうだよっもし、吉田ちゃんが不良の車にガソリンを撒かなかったり、チンピラの所から一人だけ逃げ出しりしてたらその時は、マルちゃんが君を処分することになっていたんだ
うん他のやつらと一緒に、吉田くんも病院送りにするつもりだったよ
えーっ、オレそんなヤバイ橋をずっと渡っていたの
オレずっと、お二人の審査中だったわけ
あのオレ、いつからセンパイたちに審査されてたんです
奈島センパイはカーッと顔をしかめる
そんなの最初っからに決まってるじゃん君が最初に弓槻先生に声を掛けられた時から、あたしたちはずーっと見ているよっ
あたしたちもこの学校の監視システムは使えるからね
うえーっ
さ、最初の最初からかよっ
ていうかさもう、いいや全部教えてあげる君は、三人目の男の候補者なんだよっ
三人目
ってことは、オレの前にも
弓槻先生が前から、どうしても男のチンポ担当のメンバーを欲しがっていね二年前の事件以降、ずっと女ばっかりだったから去年二人、弓槻先生が候補者を選んで試してみたんだ君と同じ意中の女子生徒をレイプさせてあげるという条件で誘ってね
そ、それでその人たちはどうなったんです
奈島センパイは、ハァと大きく溜息を吐いた
一人目の子は、全然ダメ馬鹿過ぎ弓槻先生と二人っきりになった途端、いい気になって先生のことを押し倒そうとして、隠れていたマルちゃんに瞬殺されたわっ
あの子、あの後、どうしたんだっけ
逃げるように転校してったよっマルちゃんが、徹底的にボディブロー打ち込んだから、十日間ずっと血のおしっこが出続けたっていう話でさ
死なない程度には加減したつもりだったんだけど
お、恐ろしや
でねっ、二人目の子は無事に相手の女の子を捕まえてね、いよいよレイプってところまではいったのよっそこまでは、良かったんだけどね
彼はね、勃たなかったんだよ
勃つ
勃起不全
インポテンツ
先生の話だと別に珍しいことでは無いらしいよ
そうだって男って結構、精神が繊細なところがあるから、レイプする気満々で女の子を捕まえたのに、いざとなったらチンポが勃たないなんてのはザラなんだって
頭ではレイプしたいと思っていても、身体の方がビビって拒絶反応を起こしてしまうらしい
いや、そのあなたたち、普通にしていれば美人なんだからさ
レイプとかチンポとか
いつも、こんな話ばっかりしているんですか
その点、吉田ちゃんはスゴイよねっ
うん、あれは見事だった
童貞が処女の子をレイプしてるわけでしょっ
しかも、最初から躊躇なく中で出したな
普通は、どんな男の子でもビビるわよねっ
背筋にツツーと冷たいものが走った
あの、お姉様方
もしかして見ていたんですかっ
二人の年上の金髪美女は、うんっと大きく頷く
当然っ
別室のモニターでずっと観ていたよ
もしかしたら、あたしの処女膜をブチ破ってくれるかもしれないおチンポですものっそりゃあ、カブリついて観るわよっ
は、恥ずかしい
何だ、この羞恥プレイは
とにかく、吉田ちゃんはスゴイんだよっ普通の男の子はさ、まずレイプしろって言われてもレイプできないっ中出ししろって言われても妊娠が怖くて中で出せないってのあげくに処女の子に一晩で十回も中出しでしょ
だから十三回です
そんなメチャクチャな鬼畜野郎、世界中探してもなかなかいないってのっ
うん、オレもそう思う
凄い逸材だと思った反面あたしと寧は心配にもなった君はちょっとやり過ぎだった依存症じゃないかってくらい、一晩でセックスしまくったからねもし、君がただのタガの外れた変態セックス狂だったら抑制が効かないからね前の音楽教師の暴走事件があったし、あたしたちは慎重にならざる得なかった
何をしでかすか、全く理解不能だもんねっ
あたしたちは、すぐにその心配を先生に伝えただから先生はまず、君に寧を紹介した
オレが最初に奈島センパイに会ったのは、昨日の午後だった
寧が判断してもし、君が危険者だったら、あたしがすぐに処分するつもりだった本気でね
でも、そうじゃなかったあたしが会った吉田ちゃんはメンタル的には普通の子だったし、どこにもおかしな所は見られなかったから
次に克子さんが君たちのセックスに参加しながら、監視することになったやっぱり、君のセックスは度を超えていたけれど暴走はしなかった克子さんの指導には素直に従うし逆らわない克子さんが誘っても、無理に克子さんにセックスを強要することも無かった
それで気付いたのよっ吉田ちゃんは、白坂雪乃っていう女の子に対して、とんでもなく激しい欲情を抱いているけれど、きちんと性欲がコントロールできる子だって
克子さんも褒めていたよね
うん吉田ちゃん、今朝、克子さんに精子飲んでもらったでしょ
彼女が精飲するなんて珍しいよね
っていうか、自分からしたのは初めてだと思うよっいつもは、先生に命令されて嫌々やってたんだからっ
相当、君のことを気に入ったみたいだね
であたしとマルちゃんは、吉田ちゃんを本格的に試してみたくなったわけ
それが、昨日の夜と
今朝のことねさっきの教室での一件と、今のペンダントの件
はあずっと、審査中だったんだオレ
全然、気付かなかった
そしてあたしたちは結論に達した
吉田ちゃん君は壊れているっ
あたしや寧や、克子さんと同じように
何が普通の人と違うのか何が欠けているのかあたしたちにはよく判るっ
自分自身がずっと感じてきたことだからね
センパイのコンタクトをはめた青い眼が優しく、オレに言った
吉田ちゃんあなた、家族に捨てられた子供でしょう
あたしたちと同じで
今日もギリです申し訳ないです
次話は、吉田くんの過去と三人が本当の意味で仲間になるストーリーがあって、
その次に、吉田、遠藤、雪乃が校長先生に呼び出されるという展開になります
※12/30深夜、推敲やり直しました
33.縁と絆
家族に捨てられた子供はさっガマン強くなっちゃうんだよねっ心に必要以上の耐久力がついちゃうのっ
奈島センパイが、悲しそうに言った
だが普通の子供ならガマンできない様な状況に耐えられるようになるなんていうのは、やっぱり異常なことなんだよ
人間はさっ、寂しいなら寂しい、ツラい時にはツラい、嫌なことには嫌っ、お腹が空いたのならお腹が空いたって、ちゃんと素直に表現できる相手がいないとさ独りでガマンするのが当たり前になっちゃうとさ、やっぱり心のどっかが麻痺しちゃうんだよっおかしくなっていくのっ
そして、壊れてしまう
君みたいにねっ
あたしたちみたいに
マルゴさんと奈島センパイの眼は、寂しそうだった
オレ
そっか、壊れているんだ
自分では、そんなに自覚していないみたいだね
マルゴさんが、苦笑する
は、はいすみません
君には、主に三つの症状が出ている一つ目は、さっきから言っているように、どんなことも拒絶しないで従ってしまうということ
もちろん、吉田ちゃんが自分にとって好ましいと思った人に指示された場合だけどねっ
自分の肉体や環境、将来に対して害を及ぼす可能性のあるようなことでも、君は平然と受け入れてしまう自分が損をするかもしれないっていう可能性に、少しも躊躇しない
それはねつまり、君は何も持っていないってことなんだよっ
オレ何も持ってない
普通の人はさっ、現在の自分自身自分という人間を構成しているものがとっても大切なんだよっだから、何よりも先に、それを守ろうとするんだよっ
自分の夢とか、将来に対する希望とか、愛する家族とか、仲間とか
でもさっ、吉田ちゃんはそういうものを一つも持っていないんだよねっ
だから、危険な状況に平気で身体を投げ出せる現在の環境や、自分の未来への希望を失ってしまうことに、恐れが無い
吉田ちゃんもうこの先、自分はどうなっても構わない自分が死んでも、誰も困らないしとか、普通に考えてるでしょっ
虚無的というか君はすでに絶望の極地にいるみたいだね
確かにそんな様な感じで生きている
この先、オレの人生に幸福なことなんてあるわけないし
雪乃とセックスできた今が、多分、オレの人生のピークだ
そしてこんなことがずっと続くはずはない
今が特別でこんなことは続くわけがないんだ
オレが、ずっとラッキーでハッピーでいられるはずがないもの
いずれは警察に捕まるか遠藤に殺されるかもしれない
あるいは、雪乃に
オレの残りの人生は間違いなく悲惨なものになる
絶望のどん底で、のたうち回ってオレは死ぬだろう
でも、それでいい
それと引き替えにオレは雪乃を抱けたんだから
オレには何の後悔も無い
まあ、この症状は、あたしも同じなんだけどねっ
あたしもだ
マルゴさんまで
あたしさっ弓槻先生に命令されたら、東京の一番たくさん人が歩いている繁華街のど真ん中で全裸になっておしっこしたりできるよっそれを世界中継されたって構わないっだって、あたし、自分の未来なんてどうでもいいもの
あたしもそうだ先生の命令なら、誰だって傷つける殺すこともためらわない例え、相手がアメリカの大統領でもねあたしも、自分の命が惜しくないから
逆を言うとさ弓槻先生が色々指令を出してくれるから、何とか生きていられるんだよねっ
そうだね自分自身では、何かをする気力は無いもの何もかも、どうでもいいから何一つ、大切なものなんか無いから
吉田ちゃんと一緒なんだよっ
奈島センパイは、優しく微笑んでくれる
いや吉田くんの方が、あたしたちより壊れている度合いが激しいそれは、二つ目の症状に顕著に現れている
マルゴさんが、ジッとオレを眼を見る
まるで、実験中の科学者みたいに
君は嘘をつかない誰にも
いやあの、オレだって、嘘くらい吐きますよ
オレの反論に、マルゴさんは首を振った
君はあたしや寧に、一度でも嘘を吐いた
いや、でもそれはまだ、会ってそんなに日が経ってないし
普通の男の子はさっ、あたしに初めて会った瞬間からいっぱい嘘吐くよ心の無いような言葉を並べてさ大げさな自慢話したりさ、適当な作り話で笑わせようとしたりさっ吉田ちゃんは、全然そういうことをしないじゃないっ
それはだってオレには自慢できることなんかないですし面白くないでしょ、オレと話したって
君は、とっても面白いよ君は思っていることが、全て顔に出る何一つ隠そうとしない
ほーんとっ嘘の吐けない子だよねぇっ
君がもし嘘を吐いたとしても、それは誰にだって嘘だとすぐに判るそういうのは、嘘の内に入らないよ
ていうかさ吉田ちゃんはさ、自分で嘘つく時にごめん、これは嘘なんだって顔をしているんじゃないのかなっ
はぁそう言えば、そうかも
オレ、自分が嘘が下手なのは頭が悪いせいで、咄嗟に言葉が出てこないからだと思っていたけれど確かに、自分からこれ嘘ですからってバラしている気がする
人に嘘を吐けない人はね誰かから嘘を吐かれることを怖がっている人なんだよっ他人の嘘を聞くのが嫌だから、その投影として、他人に嘘を吐いてはいけないと自分自身に強制しているんだよっ
ハハッと、変な笑いがオレの口から漏れた
オレ、丸っきりダメなやつですね
そうだよ君は壊れているだから、三つ目の症状が問題なんだ
三つ目
吉田ちゃんどうして、白坂雪乃にそんなにまで執着してるのっ
ゆ、雪乃
執着
自分のやっていることが、恋じゃないってことは判ってるよねっ
そうだ、これは恋愛ではない
オレは、最初から雪乃がオレのことを好きになってくれるとは思っていない
例えばさ、吉田ちゃん、あの女と二人きりで映画を観に行ったり、カラオケ行ったり、街に洋服を買いに行ったりとか想像できる
で、できません
そんなことできるはずがない
オレみたいな男が雪乃みたいな子と、デートするなんて
でしょうっそれって、マトモな恋じゃないよね
そうだ、オレと雪乃の間にマトモな恋愛なんて成立するはずがない
だから、オレは雪乃を犯したんだ
なのに、何で、あの子をレイプしたんだい
普通の子はね好きな女の子をレイプしたりはしないのっその子の幸せを願うものでしょっ例え、その子が自分では無い男の子と付き合うことになっても
そ、それは
そうだとは、思うけれど
あの子に彼氏ができたと聞いて吉田ちゃん、どうしてもガマンできなくなったんだよねっ無理矢理レイプしてでも、自分の物にしたくなっちゃって
だけどどれだけ犯したところで、彼女は絶対に君のものにはならない
だから、セックスの回数だけが増えて、内容もどんどんエスカレートしているんだよっ
なぜ、白坂雪乃に執着してしまっているのか君は、一度よく考えた方が良いと思うよ
だって、それは
それはあのオレは、雪乃が好きなんですっだから
吉田ちゃんが、あの子の何を知っているのあの子が好きな食べ物とか知ってる趣味は何かとかそういうことに、興味ないでしょ
顔と身体だけが、好みだったのかい
マルゴさん
そ、そうじゃないです決して、そうじゃ本当に、オレ、雪乃が好きなんですっ雪乃じゃないとダメなんですっ
だからさそういうのを執着っていうんだよ
そもそも吉田ちゃん恋とか愛とか、ちゃんと理解しているっ
オレ、判ってないな
恋も、愛も
一回頭の中を整理してみようかっ吉田ちゃんさ、あたしとセックスしてみたいって思う
奈島センパイが、その抜群のプロポーションでオレにポーズをする
そ、それは
正直に答えてっあたしがさ、吉田ちゃんに抱かれたいっって迫ったら、セックスしてくれるどうっ
多分すると思います奈島センパイ、魅力的だし
ありがとっでもさ、二人で服を脱いで裸になって、いよいよオチンチンを入れるぞってなった時に、あたしがやっぱり、やめるぅって駄々をこねたら君はどうするもうチンコ、ビンビンでヤりたくてしょうがない状態でだよっ
多分、あきらめると思います
セックスは中止でいいのっ
何でさっ
いやそんなに怒らなくても
怒ってないってのっ驚いているんだよっ呆れてるのっ
寧、君もちょっと興奮しすぎだよ吉田くん相手が寧じゃなくて彼女だったら、君はどうするセックスを途中で諦められるかい
彼女白坂雪乃
もし、雪乃とのセックスの途中で、急に拒絶されたら
いえ多分、ガマンできないと思います
オレはそれでも無理矢理、続けるだろう
そうだね君のことだから、あの子がどれだけ泣いて頼んでもセックスを強行するだろうね実際、これまでもそうしてきたわけだし
そうだそうやってオレは、雪乃を犯してきた
じゃあ、なぜ相手が寧だったら途中でガマンできるんだい寧は、彼女よりセックス・アピールが弱いから
ムッ失礼だよ、マルちゃんっ
ごめんごめん、もちろん冗談だよっ
そうだ奈島センパイの方が、雪乃よりも遥かにセックス・アピールは強い
金髪の美少女
彫りの深いはっきりとした顔立ちは、雪乃よりもずっと美しい
プロポーションだって十八歳の少女としては、男の理想そのものだし
単純な女としての比較なら、奈島センパイの方が雪乃に勝っている
つまりね、君は、セックス狂じゃない君は、純粋な性欲とは別のところから、白坂雪乃という少女を求めているんだ
ブッチャケさ吉田ちゃんは、あの女とどうなりたいわけ
雪乃とどうなりたいかだって
恋人として付き合ってみたいのっ
無理だそんなことは
結婚して、幸せな家庭を築くとか
そんなの、オレにできっこ無い
昼休みに一緒にお弁当食べて、楽しくお話してみたりとかさっ
ダメだ雪乃と何を話せばいいのか判らないし
それより、オレ、雪乃に話したいことなんて何も無い
楽しく会話できる話題なんて一つも
ゾッとした
オレ雪乃とは、日常生活が送れない
だからさそんな君だから、レイプという最悪の形でしか彼女と接触できないんだよ
ううんむしろ、レイプっていう最悪のコミュニケーション方法を知ってしまったから、それにハマりこんでしまっているんだと思うなっ
ダメじゃん
最低だ、オレ
オレ可能な限り、雪乃をレイプし続けるとしか考えていませんでしたもちろん、そんなのずっとは無理なわけですぐに捕まるか、死ぬかいつか終わりが来るってことも判っていてでも、オレずっとずっと、雪乃を抱き続けたくてああーっ、何だオレオレって、何なんだサイテイですよねっこんなの
オレは自分で自分が判らなくなっていた
とにかく雪乃に酷いことをしているということだけは判った
君という人間の中にある負の部分抑圧された精神を解放させるための代償行為として、君の心はどうしようもなく白坂雪乃という少女に執着しているんだと思うなぜ、彼女がターゲットになってしまったのかは、君自身でないと理解できないことなんだと思うけど
オレ雪乃に執着することで、心の中のストレスを解消している
そうとしか思えないね
でもオレ、本当に雪乃のことが好きなんですッ
だからそれは愛じゃないんだってばっ
寧ちょっと、黙ってて
マルゴさんが、奈島センパイを制止する
もう一つだけ、質問に答えてくれるかな君は今、沈んでいく船に乗っている救助船が到着するが、後一人しか助けられないとする君は、寧と彼女、どっちを助けたいと思う
二人とも助けて、オレが死にます
オレは、即答した
ごめん質問の仕方が悪かった君が溺死することはすでに確実という前提で、二人のうちの一人だけ助けられるとしたら、君はどっちの女の子を救いたいと思う
十秒ほど、考え込んだ
奈島センパイですセンパイに助かって欲しいと思います
それは正直な気持ちだった
白坂雪乃は、助けなくても構わないんだね
自分でも、驚いた
ショックだった
オレ雪乃のこと、愛していない
愛と執着の違い理解できたようだね
でもだったら、オレの中のこの雪乃に対する思いは何なんだろう
オレどうして、こんなに雪乃のことが欲しいんだろう
何で、雪乃を独り占めにしたいって思っているんだろう
心臓が、ドキドキする
めまいがする
胃の中が気持ち悪い
落ち着いて、吉田ちゃん大丈夫よっ別にあたしたちは、吉田ちゃんを責めているわけじゃないんだからさっ
あああたしも寧も心の中に君と同じ様な危険な闇を持っているそれをはっきりと自覚しているんだ
だから、判るんだよ今の吉田ちゃんの状態がさっ
あたしたちは、君が今体験している場所を通過してきているっ
そうだよっ、あたしは吉田ちゃんのセンパイなんだよっお姉ちゃんなんだっ
君の執着とは、別の種類の闇だけどね
あたしたちも、自分の闇から抜け出せないでいるんだっ
二人がオレのセンパイ
あたしの場合はね月に何回か、物凄い破壊衝動に襲われるどうしても、人間をそれも自分とは無関係の見ず知らずの人を傷つけたくてしょうがなくなるんだ
マルゴさんが、辛そうな表情でオレに告白する
それって、夕べみたいなことですか
昨日のは違うよっ夕べの見回りは吉田ちゃんのテストためのイレギュラーだから
本当に飢餓状態になった時は、あんなものではない
相手を身動きできなくして、それからじわじわと、いたぶり続けるもんねっ
数時間は、衝動が止まらないんだよ
マルゴさんが拳を握って力を込める
おそらくたくさんの人の血を浴びた、呪われた拳
この衝動は、普通のスポーツや格闘技では解消されないんだあたしは、自分より強い人と闘いたいわけじゃないからあたしは自分より弱い人間をいたぶりたいだけなんだよひたすら、痛めつけたいんだ
マルゴさんの暗い微笑み
あたしはさっ、火を付けたくなっちゃうの大きな炎が見たくなって何もかも、燃やしたくなっちゃうのっ
夕べの炎上する車を思い出す
そうだ燃える炎を見る、奈島センパイの眼は異常だった
克子さんは、激しく男にレイプされたいという衝動に苦しんでいる
レイプ願望
克子さんが
克っつんのセックス衝動は自傷行為と同じだから
あの人は、セックスで自殺したいって思っているんだたくさんの男に繰り返し、無理矢理犯されてセックスに殺されたいって
克っつんセックス、苦手なくせに
彼女は精神的に不安定で、危険なんだそれで、弓槻先生は克子さんを常時監視できる状態に置いている
それで、克子さんは先生の家のメイドをやっているんだ
実は、先生の方が克子さんを監視している
今は将来、パン屋を開業したいっていう偽の願望を弓槻先生が与えたから、それでも割と安定してきているけれど
うん克っつん、パンを作るの止めたら、発狂しちゃうよね、きっと
偽の願望
作られた希望
それで克子さんは、パン作りに没頭している
弓槻先生本人だって、暗い闇を抱えている
あの人は、人を不幸にするのが自分の生き甲斐だと思い込んでいる
でも実際は、先生が自分は不幸にならないといけない人間だと思い込んでいるんだけなんだよねっ
だけど、その暗い思い込みに日々、呑み込まれていっている
自分を不幸にするために、毎日、一生懸命色んなことを画策しているんだよっ
あたしたちみたいなリスクの高い子供ばかり集めているのも自分と似たような存在を探した結果なんだろうけど
先生は破滅したがっているんだよっ社会的にも、人間的にも、自分が持って生まれてきたもの全てを巻き込んでさっ
でも、あの人持っている能力が高すぎるんだよそんじょそこらのことでは、破滅できないどんどん、先生の闇の世界が拡がっていくばかりでね
先生はこの学校を、先生の地獄に変えようとしているんだよっ
初めて会った時、
先生はそんなことを言っていた
この学校を地獄にするって
あたしたちはみんな、同じ様な心の病を抱えている普通の子と同じには暮らせない他人を傷つけて、不幸にしていかないと自分の心に押し潰されてしまう
うん心の中の暗い部分が、自由にさせてくれないのっ呪われてるよねっ吸血鬼みたいに他の人を犠牲にして生きていくの
でも、弓槻先生は、こんなあたしたちでも生きる価値があると言ってくれた
世の中はさっ弱肉強食なんだからあたしたちが、誰かの犠牲になって生まれて、育ってその結果、こんな風に歪つな存在になっちゃったんだから
あたしたちだって誰かを犠牲にしてでも、生き続ける権利があるって鬼にだって、悪魔にだって、生まれてきてしまった以上は生きる権利があるって先生、そう言ってくれたんだよ
あたしが、あなたたちを犠牲にして生きるように、あなたたちもあたしを犠牲にして生きてゆきなさいって
あたしが罪も無い人々を喰らって生きていくように、あなたたちも他人を犠牲にして生きていきなさいあなたたちの罪は、あたしが許してあげるあたしの罪は、悪魔が許してくれるって
だからいいんだあたしは、あたしが耐えきれなくなったら罪も無い誰かを殴る殴りたいだけ殴ってそれでも生きるッ
あたしだってガマンできなくなったら、火を付けるよみんな燃やしちゃうでも、生きるっ生きてやるんだから
この二人の過去に何があったのか
多分、悲しくて、寂しくて、おぞましいことが、たくさんあったんだろう
心ない誰のせいで彼女たちは、こういう生き方を選ぶ以外道がなくなってしまったのだろう
それは、奈島センパイとマルゴさんだけじゃない
弓槻先生も、克子さんも、岩倉会長も
そして、オレも
オレはいつか、それぞれの人の物語を知るのだろうか
オレもこの人たちに、オレのことを話すのだろうか
今は、まだ判らない
吉田くん君は、あたしたちの同族だ君を七番目として受け入れる
あたしも吉田ちゃんのお姉ちゃんになってあげるよっ
それでもとにかく二人の先輩は、こんなオレを受け入れようとしてくれている
もし、君の性衝動が白坂雪乃だけでは間に合わなくなったら、いつでもあたしの身体を使ってくれどんな要求にも応えるよ
あっもちろん、お姉ちゃんの処女だって、いつでもあげるよっ何でもしてあげるからねっ